JP6991667B2 - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents
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Description
θg,F=(ng-nF)/(nF-nC)・・・・・・(1)
さらに、近年使用される車載用レンズや交換レンズなど、様々な環境下で使用されることが多いため、部分分散比(θg,F)が小さく、且つ相対屈折率の温度係数が小さい光学ガラスが求められている。
SiO2成分 10.0~35.0%、
Nb2O5成分 10.0~35.0%
Na2O成分 0超~15.0%、
BaO成分 0超~20.0%、
Rn2O成分 5.0超~30.0%
RO成分 5.0~30.0%含有し、
部分分散比(θg,F)がアッベ数(νd)との間で、
(-0.008×νd+0.828)≦(θg,F)≦(-0.008×νd+0.876)の関係を満たし、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+6.0×10-6~-2.0×10-6(℃-1)の範囲内にある光学ガラス(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上であり、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)。
SiO2成分、Nb2O5成分を所定量含有し、Na2O成分及びBaO成分を必須成分として含有する光学ガラスにおいて、所望の範囲内の高い屈折率やアッベ数(高い分散)と、低い部分分散比を有するガラスを得ることができ、特に、Na2O成分を0超~15.0%及びBaO成分を0超~15.0%、Rn2O成分を5.0超~30.0%、RO成分を5.0~30.0%とすることで、部分分散比(θg,F)を小さく保ったまま、相対屈折率の温度係数を低減させることができる。
そのため、所望の高い屈折率(nd)及び低いアッベ数(νd)を有しながら、部分分散比(θg,F)が小さく、光学系の色収差の低減に有用であり、かつ相対屈折率の温度係数が小さい光学ガラスを得ることができる。
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
SiO2成分は、安定なガラス形成を促し、液相温度を下げることができるため、光学ガラスとして好ましくない失透(結晶物の発生)を低減する必須成分である。
特に、SiO2成分の含有量を10.0%以上にすることで、部分分散比を大幅に高めることなく、耐失透性に優れたガラスを得られる。また、失透や着色を低減できる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは13.0%以上、さらに好ましくは15.0%以上を下限とする。
他方で、SiO2成分の含有量を35.0%以下にすることで、屈折率が低下し難くなることで所望の高屈折率を得易くでき、且つ、部分分散比の上昇を抑えられる。また、これによりガラス原料の熔解性の低下を抑えられる。従って、SiO2成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは30.0%以下、さらに好ましくは27.0%以下、最も好ましくは25.0%以下を上限とする。
SiO2成分は、原料としてSiO2、K2SiF6、Na2SiF6等を用いることができる。
特に、Nb2O5成分の含有量を10.0%以上にすることで、目的の光学恒数まで屈折率を高くして本発明の範囲の成分内で調整することで異常分散性を小さくすることができる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以上、より好ましくは11.5%以上、さらに好ましくは13.0%以上を下限とする。
他方で、Nb2O5成分の含有量を35.0%以下にすることで、相対屈折率の温度係数を小さくし、ガラスの材料コストを低減できる。
さらに、ガラスの失透を低減させることができる。従って、Nb2O5成分の含有量は、好ましくは35.0%以下、より好ましくは33.0%以下、より好ましくは31.0%以下、より好ましくは28.0%以下、さらに好ましくは25.0%以下を上限とする。
Nb2O5成分は、原料としてNb2O5等を用いることができる。
他方で、Na2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、且つ過剰な含有による失透を低減できる。
従って、Na2O成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.5%以下、さらに好ましくは10.0%未満とする。
Na2O成分は、原料としてNa2CO3、NaNO3、NaF、Na2SiF6等を用いることができる。
他方で、BaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、部分分散比の上昇を抑えられ、且つリヒートプレス時の失透を低減できる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは18.0%未満、さらに好ましくは15.0%未満を上限とする。
BaO成分は、原料としてBaCO3、Ba(NO3)2等を用いることができる。
他方で、Rn2O成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、30.0%以下とすることで、屈折率の低下を抑えられ、且つ過剰な含有による失透を低減できる。従って、好ましくは30.0%以下、より好ましくは28.0%以下、さらに好ましくは25.0%以下を上限とする。
他方で、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、30.0%以下とすることで、部分分散比の上昇を抑えられ、且つ過剰な含有による失透を低減できる。従って、好ましくは30.0%以下、より好ましくは29.0%以下、さらに好ましくは28.0%以下を上限とする。
一方で、TiO2成分は、多量に含有すると部分分散比が大きくなる。また、TiO2成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減でき、内部透過率を高められる。また、これにより部分分散比が上昇し難くなるため、ノーマルラインに近い所望の低い部分分散比を得易くできる。従って、TiO2成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.5%以下、さらに好ましくは10.0%未満を上限とする。
TiO2成分は、原料としてTiO2等を用いることができる。
従って、K2O成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、最も好ましくは3.0%超を下限とする。
他方で、K2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、部分分散比の上昇を抑えられ、屈折率の上昇を抑え、失透を低減できる。従って、K2O成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは14.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満を上限とする。
K2O成分は、原料としてK2CO3、KNO3、KF、KHF2、K2SiF6等を用いることができる。
他方で、B2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、且つ部分分散比の上昇を抑えられる。従って、B2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは9.0%、より好ましくは8.0%以下を上限とする。
B2O3成分は、原料としてH3BO3、Na2B4O7、Na2B4O7・10H2O、BPO4等を用いることができる。
他方で、Li2O成分の含有量を15.0%以下にすることで、且つ過剰な含有による失透を低減でき、リヒートプレスの失透性も低減できる。
従って、Li2O成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは7.0%未満とする。
Li2O成分は、原料としてLi2CO3、LiNO3、LiF等を用いることができる。
他方で、ZrO2成分の含有量を15.0%以下にすることで、失透を低減でき、且つ、より均質なガラスを得易くできる。従って、ZrO2成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%以下、より好ましくは10.0%以下を上限とする。
ZrO2成分は、原料としてZrO2、ZrF4等を用いることができる。
他方で、MgO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑制しつつ、失透を低減できる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満を下限とする。
MgO成分は、原料としてMgO、MgCO3、MgF2等を用いることができる。
他方で、CaO成分の含有量を15.0%以下にすることで、部分分散比の上昇を抑えられる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは14.0%未満、さらに好ましくは13.0%未満を上限とする。
CaO成分は、原料としてCaCO3、CaF2等を用いることができる。
特に、SrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスが安定し、ガラスの失透性を抑えられる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは6.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満を上限とする。
SrO成分は、原料としてSr(NO3)2、SrF2等を用いることができる。
他方で、ZnO成分の含有量を10.0%以下にすることで、失透や着色を低減することができる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%以下、より好ましくは5.0%未満を上限とする。
特に、La2O3成分、Gd2O3成分、Y2O3成分及びYb2O3成分のそれぞれの含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑えられ、失透を低減でき、且つ着色を低減できる。従って、La2O3成分、Gd2O3成分、Y2O3成分及びYb2O3成分のそれぞれの含有量は、好ましくは10.0%以下、さらに好ましくは9.0%以下、さらに好ましくは8.0%未満を上限とする。
La2O3成分、Gd2O3成分、Y2O3成分及びYb2O3成分は、原料としてLa2O3、La(NO3)3・XH2O(Xは任意の整数)、Y2O3、YF3、Gd2O3、GdF3、Yb2O3等を用いることができる。
他方で、Ta2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、希少鉱物資源であるTa2O5成分の使用量が減り、且つガラスがより低温で熔解し易くなるため、ガラスの生産コストを低減できる。また、これによりTa2O5成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、Ta2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満を上限とする。特に、ガラスの材料コストを低減させる観点では、Ta2O5成分を含有しなくてもよい。
Ta2O5成分は、原料としてTa2O5等を用いることができる。
他方で、WO3成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの部分分散比を上昇し難くでき、且つ、ガラスの着色を低減して内部透過率を高められる。従って、WO3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満を上限とする。
WO3成分は、原料としてWO3等を用いることができる。
一方で、P2O5成分の含有量を10.0%以下にすることで、P2O5成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、P2O5成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
P2O5成分は、原料としてAl(PO3)3、Ca(PO3)2、Ba(PO3)2、BPO4、H3PO4等を用いることができる。
他方で、GeO2成分の含有量を10.0%以下にすることで、高価なGeO2成分の使用量が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、GeO2成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
GeO2成分は、原料としてGeO2等を用いることができる。
他方で、Al2O3成分及びGa2O3成分のそれぞれの含有量を10.0%以下にすることで、Al2O3成分やGa2O3成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、Al2O3成分及びGa2O3成分のそれぞれの含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満とする。
Al2O3成分及びGa2O3成分は、原料としてAl2O3、Al(OH)3、AlF3、Ga2O3、Ga(OH)3等を用いることができる。
他方で、Bi2O3成分の含有量を10.0%以下にすることで、部分分散比を上昇し難くでき、且つ、ガラスの着色を低減して内部透過率を高めることができる。従って、Bi2O3成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Bi2O3成分は、原料としてBi2O3等を用いることができる。
他方で、TeO2成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して内部透過率を高めることができる。また、高価なTeO2成分の使用を低減することで、より材料コストの安いガラスを得られる。従って、TeO2成分の含有量は、好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO2成分は、原料としてTeO2等を用いることができる。
一方で、SnO2成分の含有量を1.0%以下にすることで、溶融ガラスの還元によるガラスの着色や、ガラスの失透を生じ難くすることができる。また、SnO2成分と溶解設備(特にPt等の貴金属)との合金化が低減されるため、溶解設備の長寿命化を図ることができる。従って、SnO2成分の含有量は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%未満、さらに好ましくは0.1%未満とする。
SnO2成分は、原料としてSnO、SnO2、SnF2、SnF4等を用いることができる。
Sb2O3成分は、原料としてSb2O3、Sb2O5、Na2H2Sb2O7・5H2O等を用いることができる。
一方で、質量比RO/Rn2Oは、3.30以下が好ましい。これにより部分分散比の上昇を抑えながら相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。好ましくは3.30以下、より好ましくは3.20以下、さらに好ましくは3.10以下、さらに好ましくは3.00以下、より好ましくは2.50以下とする。
一方で、質量比BaO/Rn2Oは、0超とする場合に、熱膨張係数を大きくし、且つ相対屈折率の温度係数を小さくすることができる。従って、好ましくは0超、より好ましくは0.20以上、さらに好ましくは0.30以上を下限とする。
一方で、質量比BaO/Nb2O5は、0超とする場合に、ガラスが安定し、部分分散比を小さくすることができる。従って、好ましくは0超、より好ましくは0.05以上、より好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.30以上を下限とする。
一方で、質量比RO/Nb2O5の比を0.10以上とすることで、相対屈折率の温度係数を小さくすることができ、部分分散比を小さくする。従って、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.50以上とする。
一方で、質量比Rn2O/(SiO2+B2O3)の比は1.10以下が好ましい。これによりガラスが安定し、所望の屈折率およびアッベ数を得ることができる。従って、好ましくは1.00以下、より好ましくは0.90以下を上限とする。
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
本発明の光学ガラスは、高い屈折率と所定の範囲のアッベ数を有する。
本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は、好ましくは1.67以上、より好ましくは1.69以上、さらに好ましくは1.70以上を下限とする。この屈折率の上限は、好ましくは1.90以下、より好ましくは1.85以下、より好ましくは1.83以下とする。
本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは25.0、より好ましくは27.0、さらに好ましくは29.0を下限とする。他方で、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)は、好ましくは40.0、より好ましくは39.0、さらに好ましくは38.0を上限とする。
このような屈折率及びアッベ数を有する本発明の光学ガラスは光学設計上有用であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができるため、光学設計の自由度を広げることができる。
従って、本発明の光学ガラスでは、屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、nd≧(-0.01×νd+2.03)の関係を満たすことが好ましく、nd≧(-0.01×νd+2.04)の関係を満たすことがより好ましく、nd≧(-0.01×νd+2.05)の関係を満たすことがさらに好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、屈折率(n)及びアッベ数(νd)が、nd≦(-0.01×νd+2.13)の関係を満たすことが好ましく、nd≦(-0.01×νd+2.12)の関係を満たすことがより好ましく、nd≦(-0.01×νd+2.11)の関係を満たすことがさらに好ましい。
より具体的には、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、アッベ数(νd)との間で、(-0.008×νd+0.828)≦(θg,F)≦(-0.008×νd+0.876)の関係を満たすことが好ましい。
従って、本発明の光学ガラスでは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、θg,F≧(-0.008×νd+0.828)の関係を満たすことが好ましく、θg,F≧(-0.008×νd+0831)の関係を満たすことがより好ましく、θg,F≧(-0.008×νd+0.834)の関係を満たすことがさらに好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、θg,F≦(-0.008×νd+0.876)の関係を満たすことが好ましく、θg,F≦(-0.008×νd+0.873)の関係を満たすことがより好ましく、θg,F≦(-0.008×νd+0.870)の関係を満たすことがより好ましい。
これにより、低い部分分散比(θg,F)を有する光学ガラスが得られるため、この光学ガラスから形成される光学素子を、光学系の色収差の低減に役立てられる。
より具体的には、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは+6.0×10-6℃-1、より好ましくは+5.0×10-6℃-1、さらに好ましくは+4.0×10-6℃-1を上限値とし、この上限値又はそれよりも低い(マイナス側)の値をとりうる。
他方で、本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、好ましくは-2.0×10-6℃-1、より好ましくは-1.0×10-6℃-1、さらに好ましくは-0.5×10-6℃-1を下限値とし、この下限値又はそれよりも高い(プラス側)の値をとりうる。
このうち、1.70以上の屈折率(nd)を有し、且つ25以上40以下のアッベ数(νd)を有するガラスとして、相対屈折率の温度係数の低いガラスは多く存在しておらず、温度変化による結像のずれ等の補正の選択肢を広げられ、その補正をより容易にできる。したがって、このような範囲の相対屈折率の温度係数にすることで、温度変化による結像のずれ等の補正に寄与することができる。
本発明の光学ガラスの相対屈折率の温度係数は、光学ガラスと同一温度の空気中における屈折率(589.29nm)の温度係数のことであり、40℃から60℃に温度を変化させた際の、1℃当たりの変化量(℃-1)で表される。
一般的に、平均線熱膨張係数αが大きいとガラスを加工する際に割れが生じやすくなるため、平均線熱膨張係数αの値は小さいほうが望ましい。一方で、相対屈折率の温度係数が低く、且つ平均線熱膨張係数αの値が大きい硝材と組み合わせて接合する観点においては、当該硝材と平均線熱膨張係数αの値が同一又は近似であることが望ましい。
このうち、1.67以上の屈折率(nd)を有し、且つ25以上40以下のアッベ数(νd)を有するガラスでは、平均線熱膨張係数αが大きい硝材が少なく、低屈折率低分散硝材と組み合わせて使用する場合に、本発明のように平均線熱膨張係数αが大きい値を有する方が有用である。
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製できる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、例えば研磨加工を行って作製したプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりできる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
そして、測定されたアッベ数(νd)における、図1のノーマルライン上にある部分分散比(θg,F)の値と測定された部分分散比(θg,F)の値との差から、異常分散性(Δθg,F)を求めた。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(νd)が25以上、より詳細には29以上であるとともに、このアッベ数(νd)は40以下であり、より詳細には38以下であり、所望の範囲内であった。
一方で、比較例の光学ガラスは、(-0.008×νd+0.828)≦(θg,F)≦(-0.008×νd+0.876)の関係を満たしていなかった。
一方で、比較例の光学ガラスは、(-0.01×νd+2.03)≦nd≦(-0.01×νd+2.13)の関係を満たしていなかった。
Claims (6)
- 質量%で、
SiO2成分 10.0~35.0%、
Nb2O5成分 10.0~35.0%
Na2O成分 0超~15.0%、
BaO成分 0超~20.0%、
Rn2O成分 5.0超~30.0%
RO成分5.0~30.0%
TiO 2 成分を5.0%以上、
含有し、
質量比RO/Rn 2 Oが2.50以下、
質量比RO/Nb 2 O 5 が0.50以上、
質量比Rn 2 O/(SiO 2 +B 2 O 3 )が0.41以上、
部分分散比(θg,F)がアッベ数(νd)との間で、
(-0.008×νd+0.828)≦(θg,F)≦(-0.008×νd+0.876)の関係を満たし、
相対屈折率(589.29nm)の温度係数(40~60℃)が+6.0×10-6~-2.0×10-6(℃-1)の範囲内にある光学ガラス(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上であり、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)。 - 質量比(BaO/Rn2O)が0.30以上であることを特徴とする請求項1記載の光学ガラス(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)。
- 屈折率(nd)及びアッベ数(νd)が、(-0.01×νd+2.03)≦nd≦(-0.01×νd+2.13)の関係を満たす請求項1又は2記載の光学ガラス。
- 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなるプリフォーム材。
- 請求項1から3のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
- 請求項5に記載の光学素子を備える光学機器。
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