JP6991210B2 - シール組立体、当該組立体を備えるころ軸受及び当該組立体を製造するための方法 - Google Patents

Description

本発明は、シール組立体に関する。

より具体的に、本発明は、
－ 固定要素と；
－ 回転軸周りで固定要素に対して回転可能となるよう意図された回転要素と；
－ 固定要素及び回転要素のうちの一方の要素に固定して取り付けられた硬い環状補強部と、補強部に固定されたシールと、を備えるシール部材であって、前記シールが、弾性材料から作られ、固定要素及び回転要素のうちの他方の要素の摺動面と接触する、シール部材と；
を備えるシール組立体に関する。

このタイプの組立体の多くの例が公知である。

このようなシール組立体は、例えば軸受に使用され、例えば自動車ホイール軸受に使用される。特にこのシール組立体により、潤滑流体が、低摩擦での軸受の動作を提供するために軸受の内部に保持され得る。

残念なことに、このシール組立体は、回転摩擦トルクを意味する摩擦を増大させることに寄与する。この現象は、回転中の機械的エネルギーのロスの一部である。これらのロスを減少させるために、シールを維持することも可能にする低摩擦の解決法が求められる。

特許文献１は、このようなシール組立体の例を説明し、このシール組立体では、摺動面は、谷を作り出すために０．５μｍ以上の算術平均粗さ（Ｒａ）を有し、４０℃で１０ｍｍ^２／ｓから６０ｍｍ^２／ｓの間に含まれる動粘性を有するグリースが、使用される。

欧州特許出願公開第１８３００８６号明細書

本発明の目的は、特に摩擦トルクを減少させながら優れたシールを保つために、このタイプのシール組立体を改良することである。

このために、シール組立体は、
－ 摺動面が、０．１５μｍ以上でありかつ０．５μｍよりも小さい算術平均粗さ（Ｒａ）を有し；
－ 摺動面が、１以上である粗さ比率（Ｒ）を有し、前記粗さ比率（Ｒ）が、摺動面にわたる外形(profile)の山の量に対応する第２パラメータに対する、摺動面にわたる前記外形の谷の量に対応する第１パラメータの比率である；
ことを特徴とする。

これらの構成に起因して、摺動面が、シールの摩損を回避するのに十分に滑らかでありかつ潤滑されることが保証される。従って、固定要素と回転要素との間での摩擦トルクの大きな減少が得られる。この摩擦トルクは、複数の部分について、より一致した（再現可能な）値を有する。

これらの構成は、接触面、特にシールの摩耗を減少させるとともにシール組立体の寿命を増大させる効果も有する。

これらの構成は、シール性能を維持するとともに複数の部分にわたるこのシール性能の再現性を改善する効果も有する。

シール組立体のさまざまな実施形態では、以下の構成のうちの１つの構成及び／又は別の構成が使用されてもよい。

一側面によれば、第１パラメータがＲｖｋパラメータであり、第２パラメータがＲｐｋパラメータであり、前記Ｒｖｋパラメータ及び前記Ｒｐｋパラメータが規格ＩＳＯ１３５６５に従って規定及び決定される。

一側面によれば、粗さ比率が、１．５以上であり、好ましくは２以上である。

一側面によれば、算術平均粗さが、０．２μｍ以上でありかつ０．３μｍよりも小さい。

一側面によれば、組立体が、他方の要素に固定された環状リングをさらに備え、摺動面が、前記環状リング上に形成されている。

一側面によれば、
－ 環状リングが、固定要素及び回転要素のうちの他方の要素に固定して取り付けられたシリンダ状部分と、前記シリンダ状部分の一端から回転軸に対して径方向に延在するフランジ部分と、を備え；
－ シールが、前記シリンダ状部分に含まれる摺動面と接触するために環状補強部から出てシリンダ状部分へ径方向に延在する第１リップと、前記フランジ部分に含まれる摺動面と接触するために環状補強部からフランジ部分へ軸方向に延在する第２リップと、を備え；
－ 前記環状リングと、前記第１シールリップ及び前記第２シールリップと、が内部容積を規定する。

一側面によれば、内側容積が、少なくとも部分的にグリースで充填される。

一側面によれば、グリースが、５センチストークスから４０センチストークスの間に含まれる、４０℃での動粘性を有する。

本発明は、前述の特徴によるシール組立体と、回転軸周りでの固定要素に対する回転要素の相対回転を可能とするために転動空間内に配置された転動体と、を備えるころ軸受にも関する。

本発明は、
ａ）－ 固定要素と；
－ 回転軸周りで固定要素に対して回転可能となるよう意図された回転要素と；
－ 固定要素及び回転要素のうちの一方の要素に固定して取り付けられた硬い環状補強部と、補強部に固定されたシールと、を備えるシール部材であって、前記シールが、弾性材料から作られ、固定要素及び回転要素のうちの他方の要素の摺動面と接触する、シール部材と；
を備えるシール組立体を提供するステップと；
ｂ）－ 摺動面上に谷を形成するためのショットブラストサブステップと；
－ 摺動面上の山を少なくとも部分的に除去するためのポリッシュサブステップと；
の少なくとも一方によって摺動面が処理されるステップと；
を含む、シール組立体を製造するための方法にも関する。

方法のさまざまな実施形態では、以下の構成の１つの構成及び／又は別の構成が使用されてもよい。

一側面によれば、ショットブラストサブステップが、５分から１５分の間に含まれる時間の間、５０μｍから４２３μｍの間に含まれる直径を有するガラスビーズで、摺動面に衝撃を与えるステップからなる。

一側面によれば、ポリッシュサブステップが、仕上げ媒体の存在下で摺動面を振動させるステップからなる。

一側面によれば、ポリッシュサブステップが、１５分から４５分の間に含まれる時間の間なされる。

一側面によれば、シール組立体が、環状でありかつ他方の要素に固定されるよう意図されたリングをさらに備え、前記摺動面が、前記環状リング上に形成されている。

本発明の他の特徴及び利点は、非限定的な例として与えられる、添付の図面を参照する本発明の一実施形態の１つの以下の説明の中でより明らかになるであろう。

本発明の第１実施形態によるシール組立体の横断面図である。 本発明の第２実施形態によるシール組立体の横断面図である。 摺動面上での線の外形の曲線である。 図３の外形をカバーする長さレート曲線である。 本発明によるシール組立体を備えるころ軸受である。

さまざまな図では、同じ参照符号は、同一の又は類似する要素を特定する。

図１は、
－ 固定要素１１と；
－ 回転軸Ｘ周りで固定要素に対して回転可能な回転要素１２と；
－ 硬い環状補強部１４と、補強部に固定されたシール１５と、を備えるシール部材１３と；
を備えるシール組立体１０の第１実施形態を示し、前記シール１５は、弾性材料から作られ、摺動面１６と接触する。

補強部１４は、固定要素１１及び回転要素１２のうちの一方の要素に固定して取り付けられている。

摺動面１６が、固定要素１１及び回転要素１２のうちの他方の要素に接続されている。

特に、固定要素１１は、外側要素、すなわち回転軸Ｘから最も遠い要素、すなわち内側要素である回転要素１２周りに配置された要素である。これは、旋回シャフトである回転要素１２を使用する場合である（図１）。

一方、固定要素１１は、内側要素、すなわち回転軸Ｘに最も近い要素、外側要素である回転要素の内部に配置された要素とすることができる。

本説明の簡略化のために、補強部１４は、外側固定要素１１に接続され、摺動面１６は、他方の要素、すなわち内側回転要素１２に接続されているとみなされる。しかしながら、当然ながら、他の使用も、本発明に適している。

シール１５は、
－ 少なくとも１つの補強面１４に取り付けられた取付部分１５ａであって、例えば前記補強部１４にオーバーモールドすることによって、有利には前記補強面上での事前の接着コーティングにより、少なくとも１つの補強面１４に取り付けられた取付部分１５ａと、
－ リップの一端１５ｄにおいて摺動面１６と接触するために、環状補強部１４から摺動面１６へ径方向に延在する第１リップ１５ｂと、
を備えている。

図１のこの実施形態では、摺動面１６は、回転要素１２の一体部分であり、特に回転要素１２のシリンダ状外面１２ａの一体部分である。この摺動面１６は、環状でありかつ回転軸Ｘの長手方向において長さｃに沿って延在する、シリンダ状面１２ａの一部分に対応する。摺動面部分１６は、シール１５のリップの端部１５ｄが前記摺動面１６と接触するように、（長手方向において）シール部材１３と対応して位置決めされている。

変形例として、摺動面１６は、環状タイプのリング（図示せず）上に形成され、他方の要素（回転要素１２）に固定されている。例えば、このリングは、金属パーツである。このリングは、回転要素１２とシール１５との間に配置されている。シール１５のリップ端部１５ｄは、回転要素１２とともに旋回するこのリングの外面と摺動タイプの接触をする。

本発明によれば、摺動面１６は、
－ 摺動面１６が、０．１５μｍ以上でありかつ０．５μｍよりも小さい算術平均粗さＲａを有する、
－ 摺動面１６が、１以上である粗さ比率Ｒを有し、前記粗さ比率Ｒが、摺動面１６にわたる外形の山の量に対応する第２パラメータに対する、摺動面１６にわたる前記外形の谷の量に対応する第１パラメータの比率である、
という特徴を有する。

好ましい変形例によれば、第１パラメータは、Ｒｖｋパラメータであり、第２パラメータは、Ｒｐｋパラメータであり、前記Ｒｖｋパラメータ及びＲｐｋパラメータは、Ｒ＝Ｒｖｋ／Ｒｐｋを示す規格ＩＳＯ１３５６５に従って規定及び決定される。

粗さ規格の詳細は、後述される。

さまざまな前述の構成に起因して、摺動面が、シールの摩損を回避するのにかつ摩擦トルクの減少を得るのに十分に滑らかでありかつ潤滑されることが保証される。シール組立体のシール性能は保たれる。シールの摩耗は減少され、組立体の寿命は改善される。

図２は、図１のシール組立体と同じ要素を備えるシール組立体１０の第２実施形態を示す。

シール組立体１０は、回転要素１２に固定されかつ回転要素１２とシール１５との間に配置された環状リング１７をさらに備える。シール１５のリップ端部１５ｄは、回転要素１２とともに旋回するこのリングの少なくとも１つの表面と摺動タイプの接触をする。

第２実施形態では、より具体的には、環状リング１７は、
－ 例えば前記回転要素１２のシリンダ状面１２ａ上での締付嵌合によって回転要素１２に固定して取り付けられたシリンダ状部分１７ａと；
－ 前記シリンダ状部分１７ａの一端から回転軸Ｘに対して径方向に延在するフランジ部分１７ｂと；
を備えている。

シール１５は、図１の第１実施形態のように、
－ 少なくとも１つの補強面１４に取り付けられた取付部分１５ａと；
－ リップの一端１５ｄにおいて摺動面１６と接触するために、環状補強部１４から摺動面１６へ径方向に延在する第１リップ１５ｂと；
を備えている。

シール１５は、この第２実施形態では、第２リップ１５ｃも備え、第２リップ１５ｃは、環状補強部１４からフランジ部分１７ｂへ軸方向に延在し、これにより、リップの一端１５ｅにおいて、前記フランジ部分１７ｂに含まれる摺動面１６の第２部分と接触する。

従って、摺動面１６は、本実施形態では、回転要素１２に取り付けられた環状リング１７の一体部分を構成する。この摺動面１６は、例えば、補強部１４に向かって向けられた環状リング１７の外面のすべて又は一部に対応する。

摺動面１６は、例えば、
－ 環状リング１７のシリンダ部分１７ａの第１部分であって、回転軸Ｘの長手方向において長さｃ１にわたってかつ第１リップ１５ｂに対応して（面して）延在する、第１部分と；
－ 環状リング１７のフランジ部分１７ｂの第２部分であって、回転軸Ｘの長手方向と略垂直な方向において長さｃ２にわたってかつ第２リップ１５ｃに対応して（面して）延在する、第２部分と；
を備えている。

従って、第１リップの端部１５ｄ及び第２リップの端部１５ｅは、摺動面１６と摺動接触する。

本発明によれば、摺動面１６は、
－ 摺動面１６が、０．１５μｍ以上でありかつ０．５μｍよりも小さい算術平均粗さＲａを有する；
－ 摺動面１６が、１以上である粗さ比率Ｒを有し、前記粗さ比率Ｒが、摺動面１６にわたる外形の山の量に対応する第２パラメータに対する、摺動面１６にわたる前記外形の谷の量に対応する第１パラメータの比率である；
という特徴を有する。

好ましい変形例によれば、第１パラメータは、Ｒｖｋパラメータであり、第２パラメータは、Ｒｐｋパラメータであり、前記Ｒｖｋパラメータ及びＲｐｋパラメータは、Ｒ＝Ｒｖｋ／Ｒｐｋを示す規格ＩＳＯ１３５６５に従って規定及び決定される。

粗さ規格の詳細は、後述される。

そして、環状リング１７と、第１シールリップ１５ｂ及び第２シールリップ１５ｃと、は、シール組立体の内部に環状容積を規定する。

この内側容積は、少なくとも部分的にグリースで充填される。従って、摺動面１６の谷は前記グリースで充填され、摩擦トルクが減少される。

グリースは、好ましくは、５センチストークスから４０センチストークスの間に含まれる、４０℃での動粘性を有する。

さまざまな前述の構成に起因して、摺動面は、シールの摩損を回避するのにかつ摩擦トルクの減少を得るのに十分に滑らかでありかつ潤滑されることが保証される。シール組立体のシール性能は、保たれる。シールの摩耗は減少され、組立体の寿命は改善される。

変形例として、環状リング１７には、例えば弾性フェライトエンコーダといった磁気タイプのエンコード要素（図示せず）が設けられ得る。これらエンコード要素は、通常、交互の南北磁極を有する。そして、センサ要素が、所定の信号を発生することができ、この信号により、固定要素１１に対する回転要素１２の回転位置及び／又は速度を決定することができる。

前述の実施形態のいずれか１つにより、以下の特徴が可能である。

粗さ比率Ｒは、１．５以上であってもよく、例えば２以上であってもよく、これは、摺動面１６が、山よりも非常に大きい体積もしくは量の谷を備えることを意味する。従って、摺動面は、滑らかであり、十分に潤滑される。そして、摩擦トルクは減少される。

算術平均粗さＲａは、０．２μｍ以上でありかつ０．３μｍよりも小さいことを意味する減少された範囲内にある。このようにして、摩擦トルクが減少された、より滑らかな表面が可能である。

これから、本発明によるさまざまな実施形態の規定で使用される粗さ規格に関する説明をする。

図３は、表面のサンプル外形３０を示し、この外形は、表面分析器といった適切なデバイスにより測定された。外形３０は、長さＬにわたって延在する表面上での線の横軸ｘに沿って測定された、表面の連続的な高さｚ（ｘ）である。

二等分線３１は、外形の山と谷との間の中央の水平線である。この線は、例えばＩＳＯ１３５６５－１規格のフィルタリングプロセスによって規定されている。

算術平均粗さＲａは、好ましくはＩＳＯ４２８７規格に従って規定及び決定される。この算術平均粗さＲａは、外形３０の二等分線３１からのずれの絶対値の算術平均である。特に、算術平均粗さＲａは、通常、

によって計算され、
このうち、ｚ（ｘ）は、平均線３１からの外形３０のずれであり、
ｘは、横軸であり、
Ｌは、表面上での線の長さ又は二等分線の長さである。

最後に、この図３では、外形３０の山及び谷が、それらの重要性（量）を示すためにハッチングを有する。

ＩＳＯ１３５６５－２規格は、Ｒｖｋパラメータ及びＲｐｋパラメータの定義を説明する。これらのパラメータは、図３の外形３０とは反対側の、図４に示された支持長さ比率曲線(bearing length ratio curve)４０によって決定される。この曲線は、アボット－ファイヤストーン曲線とも称される。支持長さ比率は、全長Ｌに対する、高さｈでの外形３０からの支持長さ（高さｈでのものの水平セグメント）の和のパーセントの比率である。

同等直線Ｄが、支持長さ比率曲線４０の中央ゾーンでの最小二乗法によって決定される。この中央ゾーンは、外形のポイントの４０％を表す。同等直線Ｄは、第１ポイントＰ１の０％で縦座標軸をカットし、第２ポイントＰ２の１００％で縦座標軸をカットする。このようにして、外形３０は、
－ 第１ポイントＰ１の高さｈ１よりも大きい高さに配置された山を有するゾーンと；
－ 第２ポイントＰ２の高さｈ２よりも小さい高さに配置された谷を有するゾーンと；
－ 高さｈ１と高さｈ２との間に含まれる高さを有する外形ポイントを有する減少された、山の外形ゾーンと；
の３つのゾーンに分けられ得る。

そして、第１直角三角形Ａ１は、支持長さ比率曲線４０上でトレースされ、第１ポイントＰ１と支持長さ比率曲線４０との間で水平に延在する底辺と、高さＲｐｋにわたって第１ポイントＰ１から上方に縦座標軸（０％）上で延在する側辺と、を有し、このため、前記第１直角三角形Ａ１の表面積は、図３に示される山Ｓ１のゾーンの表面積に等しい。

次に、第２直角三角形Ａ２は、支持長さ比率曲線４０上でトレースされ、第２ポイントＰ２と支持長さ比率曲線４０との間で水平に延在する底辺と、高さＲｖｋにわたって第２ポイントＰ２から下方に縦座標軸（１００％）上で延在する側辺と、を有し、このため、前記第２直角三角形Ａ２の表面積は、図３に示される谷Ｓ２のゾーンの表面積に等しい。

パラメータＲｐｋは、第１直角三角形Ａ１の高さである。従って、このパラメータＲｐｋは、外形３０の山の量を定量化する。

パラメータＲｖｋは、第２直角三角形Ａ２の高さである。従って、このパラメータＲｖｋは、外形３０の谷の量を定量化する。

算術平均粗さＲａと、パラメータＲｐｋ及びＲｖｋと、は、有利には、本発明によるシール組立体１０の摺動面１６の特性を正確に規定するために使用される。

図５は、ころ軸受の内部の空間のシールを保証するために上述したシール組立体１０を少なくとも一方の側に備えるころ軸受１を示す。ころ軸受は、例えば、自動車用ころ軸受であり、より具体的に、例えば図５に示されるように自動車ホイールころ軸受である。

このころ軸受１は、特に、
－ 固定部材２と；
－ シャフト５によって回転駆動される回転部材３であって、例えば車両ホイールが取り付けられた、回転部材３と；
－ 固定部材と回転部材との間の相当な力を吸収しながら回転軸Ｘ周りでの固定部材２に対する回転部材３の相対回転を可能にするために、固定部材２と回転部材３との間に形成されたころ空間４ｅ内に配置された転動体４と；
を備えている。

シール組立体１０の固定要素１１は、まさに固定部材２であるか、又はころ軸受１の前記固定部材２上に取り付けられているかのいずれかである。

シール組立体１０の回転要素１２は、まさに回転部材３であるか、又はころ軸受１の前記回転部材３上に取り付けられているかのいずれかである。

転動体４は、玉もしくはころ又は任意の公知のタイプであってもよい。

本発明によるシール組立体１０に起因して、ころ軸受１は、従来技術よりも小さい摩擦トルクを有する。従って、このようなデバイスを備えた車両は、前進するのに、より少ないエネルギーを消費する。

シール組立体１０は、
ａ）－ 固定要素１１と；
－ 回転軸周りで固定要素に対して回転可能となるよう意図された回転要素１２と；
－ 固定要素及び回転要素のうちの一方の要素に固定して取り付けられた環状補強部１４と、補強部に固定されたシール１５と、を備えるシール部材１３であって、前記シール１５が、弾性材料から作られ、固定要素及び回転要素のうちの他方の要素の摺動面１６と接触するよう意図されている、シール部材１３と；
を備えるシール組立体１０を提供するステップと；
ｂ）－ 摺動面上に谷を形成するためのショットブラストサブステップと；
－ 摺動面上の山を少なくとも部分的に除去するためのポリッシュサブステップと；
の少なくとも一方によって摺動面が処理されるステップと；
の製造方法により製造され得る。

ショットブラストサブステップは、例えば、金属もしくはガラスビーズ又は他のもので摺動面１６（すなわち前記摺動面を備える部分又は要素）に衝撃を与えるステップからなる。

例えば、このショットブラストのために、５０μｍから４２３μｍの間に含まれる直径を有するガラスビーズが、５分から１５分の間に含まれる時間の間使用される。

ショットブラストは、摺動面１６上に山及び谷を形成する。特に、結果として生じる算術平均粗さＲａは、このショットブラストサブステップの特性に依存している。

ポリッシュ又は仕上げサブステップは、仕上げ媒体の存在下で摺動面１６（すなわち前記摺動面を備える部分又は要素）を振動させるステップからなる。振動ボウル又はＳｐｉｒａｔｏｎ（登録商標）といった振動機は、このために使用される。

仕上げ媒体は、例えば、研磨剤から形成されたピースであり、例えばセラミック又は石である。これら仕上げ媒体は、例えば球形状又はシリンダ形状又はプリズム（例えば立方又は四面体）形状である。これら仕上げ媒体は、処理すべき部分のすべての部分をポリッシュするために適している（選択される）。

仕上げ媒体は、例えば、２ｍｍから８ｍｍの間に含まれる直径と、５ｍｍから１５ｍｍの間に含まれる長さと、を有するシリンダである。

仕上げ媒体は、２ｍｍから１５ｍｍの間に含まれる、各方向（Ｘ，Ｙ，Ｚ）での寸法を有することができる。

さらに、ポリッシュサブステップは、１５分から４５分の間に含まれる時間の間なされる。

仕上げ媒体は、摺動面１６の上部を侵食し、これによりこの摺動面１６の外形から山の量を減少させる。従って、プロセスは、谷の量に対して山の量を減少させることができる。

特に、このポリッシュ又は仕上げサブステップにより、上述したように１以上又は１．５もしくは２以上として規定されるような粗さ比率Ｒが、望まれる場合に、得ることができる。

結果として、上述した製造プロセスにより、特に摺動面１６の処理ステップに起因して、好ましい粗さ特性が、シール組立体１０の摺動面１６に対して達成することができる。従って、摺動面１６は、０．１５μｍ以上でありかつ０．５μｍよりも小さい算術平均粗さ（Ｒａ）と、１以上である粗さ比率（Ｒ）と、を有するように処理され、粗さ比率（Ｒ）は、摺動面にわたる外形の山の量に対応する第２パラメータに対する、摺動面にわたる前記外形の谷の量に対応する第１パラメータの比率である。

そして、摺動面は、滑らかであり、かつ潤滑流体で充填されるよう意図されたキャビティを有する。

シール組立体１０は、上述したように環状リング１７を備えてもよく、摺動面１６は、その場合、この環状リング１７上に形成される。

環状リング１７の部分は、上記の製造方法によりなされた表面粗さ変化が、摺動面１６のゾーン上を意味する相補的部分にのみ有効であるように、マスクされ得る。

いくつかのサブ表面によって形成された摺動面１６を有し、各サブ表面が、互いに異なっていてもよい予め設定された粗さ特性を有することも可能である。

シール組立体１０の摺動面１６が、（０．１５μｍから０．５μｍの間に含まれる）小さい算術平均粗さと、山の量に対して谷の量が大きい粗さ比率Ｒと、を有するので、シール組立体の摩擦トルク又は抵抗トルクは、大きく減少されるとともに、優れたシールを保つ。
さらに、シールジョイント１５が、このシール特性のために優れた寿命も有する。

１ ころ軸受、４ 転動体、１０ シール組立体、１１ 固定要素、１２ 回転要素、１３ シール部材、１４ 環状補強部、１５ シール、１５ｂ 第１リップ、１５ｃ 第２リップ、１６ 摺動面、１７ 環状リング、１７ａ シリンダ状部分、１７ｂ フランジ部分、Ｒａ 算術平均粗さ、Ｒ 粗さ比率、Ｘ 回転軸

Claims (6)

1. － 固定要素（１１）と；
   － 回転軸（Ｘ）周りで前記固定要素に対して回転可能となるよう意図された回転要素（１２）と；
   － 前記固定要素及び前記回転要素のうちの一方の要素に固定して取り付けられた硬い環状補強部（１４）と、前記環状補強部（１４）に固定されたシール（１５）と、を備えるシール部材（１３）であって、前記シール（１５）が、弾性材料から作られ、前記固定要素及び前記回転要素のうちの他方の要素の摺動面（１６）と接触する、シール部材（１３）と；
   － 前記他方の要素に固定された環状リング（１７）であって、前記摺動面（１６）が、前記環状リング（１７）上に形成されている、環状リング（１７）と；
   を備えるシール組立体（１０）において、
   － 前記環状リング（１７）が、前記固定要素及び前記回転要素のうちの前記他方の要素に固定して取り付けられたシリンダ状部分（１７ａ）と、前記シリンダ状部分の一端から前記回転軸（Ｘ）に対して径方向に延在するフランジ部分（１７ｂ）と、を備え；
   － 前記シール（１５）が、前記シリンダ状部分に含まれる前記摺動面と接触するために前記環状補強部（１４）から出て前記シリンダ状部分（１７ａ）へ径方向に延在する第１リップ（１５ｂ）と、前記フランジ部分に含まれる摺動面と接触するために前記環状補強部（１４）から前記フランジ部分（１７ｂ）へ軸方向に延在する第２リップ（１５ｃ）と、を備え；
   － 前記摺動面が、前記環状リングの前記シリンダ状部分および前記フランジ部分上に形成され、
   － 前記環状リング（１７）と、前記第１シールリップ（１５ｂ）及び前記第２シールリップ（１５ｃ）と、が内部容積を規定し、
   － 前記摺動面（１６）が、０．１５μｍ以上でありかつ０．５μｍよりも小さい算術平均粗さ（Ｒａ）を有し；
   － 前記摺動面（１６）が、１以上である粗さ比率（Ｒ）を有し、前記粗さ比率（Ｒ）が、前記摺動面にわたる外形の山の量に対応する第２パラメータに対する、前記摺動面にわたる前記外形の谷の量に対応する第１パラメータの比率であり、前記第１パラメータがＲｖｋパラメータであり、前記第２パラメータがＲｐｋパラメータであり、前記Ｒｖｋパラメータ及び前記Ｒｐｋパラメータが規格ＩＳＯ１３５６５に従って規定及び決定されることを特徴とする組立体。
2. 前記粗さ比率（Ｒ）が、１．５以上であることを特徴とする請求項１に記載の組立体。
3. 前記算術平均粗さ（Ｒａ）が、０．２μｍ以上でありかつ０．３μｍよりも小さいことを特徴とする請求項１に記載の組立体。
4. 前記内側容積が、少なくとも部分的にグリースで充填されることを特徴とする請求項１に記載の組立体。
5. 前記グリースが、５センチストークスから４０センチストークスの間に含まれる、４０℃での動粘性を有することを特徴とする請求項４に記載の組立体。
6. 請求項１から５のいずれか一項に記載のシール組立体（１０）と、前記回転軸周りでの前記固定要素に対する前記回転要素の相対回転を可能とするために転動空間内に配置された転動体（４）と、を備えることを特徴とする軸受（１）。

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