以下、本発明に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
図1は、製品設計および工程設計装置の構成の例を示す図である。製品設計および工程設計装置200は、入出力部210と、記憶部220と、制御部230と、を有する。記憶部220には、製品設計情報221、工程設計情報222、コスト情報223、生産計画情報224および公差配分案225が含まれる。制御部230には、公差配分処理部231および設備計画処理部232が含まれる。
図4は、製品設計情報のデータ構造の例を示す図である。製品設計情報221には、入力400および出力410の情報が含まれ、製品設計情報221に含まれる情報は入力400または出力410のいずれかまたは両方の情報である。本実施形態においては、便宜上、入力400と出力410のそれぞれに含まれる情報は別の情報として扱うが、実際には同一の情報であってよい。
製品設計情報221の入力400には、設計対象とする製品の製品情報401が含まれる。ここで、対象とする製品は、類似品種など複数あっても構わない。また、入力400には、製品情報401として、設計仕様情報402が含まれる。ここで、1つの製品に対して、同時に満足すべき複数の設計仕様情報があってもよい。また、設計仕様情報402よりも具体的な関連情報として、製品構造案情報403が製品設計情報221において対応付けられる。そして、これらの製品情報401と、設計仕様情報402と、製品構造案情報403と、に応じた組立公差情報404が関連付けられて格納される。
図11は、設計仕様情報のデータ構造の例を示す図である。設計仕様情報402は、製品ごとに、設計仕様の対象となる項目のパラメータについて、下限、上限、中央値、幅、Vf設計仕様が対応付けられている。例えば、第一製品であれば、下限は「0.3mm」、上限は「1.9mm」、中央値は「1.1mm」、幅は「1.6mm」、Vf設計仕様は「0.8mm」である。なお、当該情報は、後述する本実施形態における製品の例に係る部品Aと部品CのクリアランスfのバラツキVfの許容量を示す情報である。ここで、許容量の上限値と下限値に対して、中央値から均等にばらつくという仮定においては、バラツキVfは上限値と下限値の幅の半分の値となる。ここで、上限値および下限値は、例えば6σの考え方から決定される。
図10は、製品構造案情報および組立公差情報のデータ構造の例を示す図である。製品構造案情報403は、製品の構造案を特定する情報である。ここで、基本的な部品のサイズや結合関係、結合方向等の構造は決定しているが、その詳細な寸法や誤差許容値が決定されていない状態の情報を、製品構造案情報403という。
例えば、製品構造案情報403には、使用する部品と、その位置関係を特定する情報が含まれる。本実施形態では、例えば、図10に示すように、製品は部品A、部品Bおよび部品Cの3つの部品から構成される。また、部品Bと部品CはX方向で隣接し、部品Aは部品Bおよび部品CとY方向で隣接するものとする。ここで、図10上のA、B、Cは各部品の代表寸法を示し、VA、VB、VCは各部品の製造方法による部品寸法誤差を示す。
製品構造案情報403には、部品A、部品B、部品Cを用いること、またその結合関係は図示した位置関係になることは構造として決定しているが、部品AのX方向の部品寸法誤差VA、部品BのX方向の部品寸法誤差VB、部品CのX方向の部品寸法誤差VC、部品Aの組立設備の精度により生ずる組立設備誤差によるX方向の調整位置ズレVH、組立の結果生ずる部品Aと部品Cの間のX方向の隙間の誤差Vfについては未決定であることを示す情報が含まれる。
組立公差情報404は、製品を構成する部品の寸法関係と、部品寸法誤差および部品組立誤差により生ずる積み上げ公差の関係を示す関係式を含む情報である。本実施形態の例においては、製品を構成する部品のX方向の寸法関係は、下式(1)により示される。
そして、部品寸法誤差および部品組立誤差により生ずるX方向の積み上げ公差は、下式(2)により示される。
もちろん、上述の式(1)、式(2)は第一製品の例であり、他の製品においては異なる誤差関係が生じるため、各製品について異なる式が必要となる。また、公差の計算は、上式(2)のように総和をとる方法以外に、平方二乗和をとる方法等を用いてもよい。
例えば、組立工程の異なる例として、部品B、部品Cを組み立てた後、部品B、部品Cの組み付け状態を計測する工程を追加し、計測結果に従って部品Aを組み立てる場合を例示する。この場合、部品B、部品Cの部品寸法誤差は、計測によって誤差分が部品Aの組み立てに反映されるため、最終的な寸法バラつきに影響しなくなる。このような計測工程を追加した場合には、公差計算式は下式(3)で表現される。
製品設計情報221の出力410には、設計対象とする製品の製品情報401が含まれる。ここで、対象とする製品は、類似品種など複数あっても構わない。また、出力410には、製品情報401として、設計仕様情報402が含まれる。また、設計仕様情報402よりも具体的な関連情報として、製品構造情報413が製品設計情報221において対応付けられる。そして、これらの製品情報401と、設計仕様情報402と、製品構造情報413と、に応じた組立公差情報404が関連付けられて格納される。また、公差配分情報415が組立公差情報404に関連付けられて格納される。
製品構造情報413は、基本的に製品構造案情報403と同様の情報であるが、確定した製品構造に係る情報を有する点で相違する。また、公差配分情報415には、組立公差情報404を満たす公差の配分案を選別した結果が格納される。
図5は、工程設計情報のデータ構造の例を示す図である。工程設計情報222には、入力450および出力460の情報が含まれ、工程設計情報222に含まれる情報は入力450または出力460のいずれかまたは両方の情報である。本実施形態においては、便宜上、入力450と出力460のそれぞれに含まれる情報は別の情報として扱うが、実際には同一の情報であってよい。
工程設計情報222の入力450には、設計対象とする製品の組立工程案情報451が含まれる。ここで、設計対象とする製品の組立工程案は、製品構造案情報403ごとに複数あっても構わない。また、入力450は、組立ライン案情報452に対して、組立ラインを構成する組立設備案情報453を有する。組立設備案情報453は、組立ライン案情報452に対して複数あっても構わない。
組立工程案情報451には、対象製品の組立順、および組立に伴う関連情報が含まれる。例えば、組立工程案情報451には、本実施形態にて例示する対象製品では、部品B、部品C、部品Aの順番に組み立てられること、部品Cは部品Bと接触するため、X方向のクリアランスがないように組み立てることが可能であること、部品Aは部品BとX方向マイナス側(図左側)端面が揃うように組み立てるが、構造で位置決めを行うことができず、組立設備誤差による調整位置ズレVHが生じること等を示す情報が含まれる。
出力460には、対象とする製品に対して、最終的に選出された、組立工程情報461、生産期間に対する製品ごとの組立ライン情報462および組立設備情報463を含む設備計画情報464、が含まれる。
図18は、組立ライン情報のデータ構造の例を示す図である。組立ライン情報462は、既存の組立ラインについて、組立ラインを構成する組立設備の情報を有する。ここで組立ライン情報462には、組立ラインID462Aに応じた最大生産量462Bと、部品Aの組立設備ID462Cや部品Cの組立設備ID462D等の、部品ごとの組立設備IDを特定する情報が含まれる。また、タクトタイム、最大生産量(最大月産量)、サイズや重量などの対象製品の制約、付随設備の情報、導入時期、設置場所、などの情報を有してもよい。また、既存の組立ラインの代わりや追加情報として、導入可能な新規組立ラインの候補を有してもよい。また、組立ライン案情報452は、組立ラインの決定前の案の状態の情報であり、同様のデータ構造を備える。ここで上記の各情報は、ライン設計時の仕様値を用いてもよい。また、ライン導入時の実績値を用いてもよい。さらに、図3の各利用例に示すように、あらかじめ設定した値に対して、ライン導入後の稼働実績を用いて定期的またはリアルタイムに更新してもよい。この方法によれば、例えば設備計画処理部232が、実績に合わせた最大生産量462Bを更新可能となる。
図13は、組立設備案情報および組立設備情報のデータ構造の例を示す図である。組立設備案情報453および組立設備情報463は、既存の組立設備について、設備仕様の情報を有する。ここで設備仕様には、組立設備ID463Aに応じた組立設備誤差463Bの情報が含まれる。また、タクトタイム、最大生産量、サイズや重量などの対象製品の制約、付随設備の情報、導入時期、設置場所、などの情報を有してもよい。また、既存の組立設備の代わりや追加情報として、導入可能な組立設備の候補を有してもよい。組立設備案情報453は、組立設備情報463と略同様のデータ構造を備える。ここで上記の各情報は、設備設計時の仕様値を用いてもよい。また、設備導入時の実績値を用いてもよい。さらに、図3の各利用例に示すように、あらかじめ設定した値に対して、設備導入後の稼働実績から定期的またはリアルタイムに更新してもよい。この方法によれば、例えば公差配分処理部231が、経年劣化による組立設備誤差の低下に合わせた組立設備誤差情報463Bを更新可能となる。
図19は、設備計画情報のデータ構造の例を示す図である。設備計画情報464は、表の縦軸に生産期間(生産月464A)、横軸に組立ライン(各組立ラインで製造する製品464B)を取り、生産月毎に各組立ラインで生産する製品の種類を番号で示している。
図6は、コスト情報のデータ構造の例を示す図である。コスト情報223には、入力500および出力510の情報が含まれ、コスト情報223に含まれる情報は入力500、出力510のいずれかまたは両方の情報である。本実施形態においては、便宜上、入力500と出力510のそれぞれに含まれる情報は別の情報として扱うが、実際には同一の情報であってよい。
入力500には、部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502、製品設計・工程設計・生産計画情報に対する組立コスト情報503が含まれる。
図14は、部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報のデータ構造の例を示す図である。部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501は、部品501Aごとに、寸法誤差501Bの度合いに応じた製造コスト501Cが対応付けて格納されている。一般に、部品の寸法誤差は部品の製造方法に依存し、高い精度、すなわち部品寸法誤差を小さくしようとすると部品の製造コストは高くなる。製造方法以外に、部品の形状や材質にも依存するため、部品寸法誤差と部品製造コストの関係は部品ごとに異なる。本実施形態における部品製造コスト情報501の例では、各部品に対して、5つの部品寸法誤差に対する部品製造コストの情報を有している。
図14の下部には、部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501のデータをグラフにプロットして示されている。部品A、B、Cともに、寸法誤差の許容量が小さくなるほど、製造コストが高くなる傾向が示されている。グラフに示すように各プロットの間は線形補間により算出することができ、線形補間以外の既存の方法で補間するものであってもよい。このような離散値の例に限られず、部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501は、コストの近似曲線を示す関数を格納するようにしてもよい。
図15は、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報のデータ構造の例を示す図である。組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502は、組立設備誤差502Aの度合いに応じた初期設備投資コスト502Bと、追加設備投資コスト502Cと、が対応付けて格納されている。一般に、組立設備誤差を小さくしようとすると、精度の高い組立設備が必要となり、設備投資コストは高くなる。設備投資の形態としては、新規に組立設備を導入する方法と既存の組立設備の精度を向上させる形態があり、それぞれ、初期設備投資コスト、追加設備投資コストが定義される。本実施形態における例では、6つの組立設備誤差に対する設備投資コストの情報を有している。
図15の下部には、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502のデータをグラフにプロットして示されている。組立設備誤差の許容量が小さくなるほど、追加設備投資コストが高くなる傾向が示されている。グラフに示すように各プロットの間は線形補間により算出することができ、線形補間以外の既存の方法で補間するものであってもよい。このような離散値の例に限られず、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502は、コストの近似曲線を示す関数を格納するようにしてもよい。また、組立設備ごとに異なる値や関係式を定義してもよい。
製品設計・工程設計・生産計画情報に対する組立コスト情報503には、組立の複雑さなどによって変わる組立時間の増加量に対するコストの増加量を特定する情報が含まれる。例えば、生産計画を満足するために、作業員の増員や残業の増加による生産量の増強を行う場合などに、残業代の割り増しなどを考慮した人件費のコストを含む。
コスト情報223の出力510には、公差配分情報に基づく部品製造コスト情報511、設備計画情報に基づく設備投資コスト情報512、製品設計・工程設計・生産計画情報に基づく組立コスト情報513が含まれる。
公差配分情報に基づく部品製造コスト情報511、設備計画情報に基づく設備投資コスト情報512、製品設計・工程設計・生産計画情報に基づく組立コスト情報513は、それぞれ、決定された公差配分情報に基づいて部品寸法誤差が確定すると、当該部品寸法誤差に応じて部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501を参照して算出される部品製造コスト情報、決定された設備計画情報に基づいて組立設備誤差が確定すると、当該組立設備誤差に応じて組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502を参照して算出される設備投資コスト情報、製品設計・工程設計・生産計画情報に基づく人件費等の組立コスト情報を示す情報である。
図7は、生産計画情報のデータ構造の例を示す図である。生産計画情報224には、少なくとも、入力550として、生産期間ごとの生産量情報が含まれる。
図12は、公差配分処理部により生成される公差配分案の例を示す図である。公差配分案225には、案225Aに応じて、Vf目標設計225Bと、VA225Cと、VB225Dと、VC225Eと、VH225Fと、の値の配分案が格納される。この公差配分案225の例は、第一製品の公差計算式に応じて、部品寸法誤差VA、VB、VCと1つの組立寸法誤差VHの総和が「0.8mm」となる数値の組み合わせに係る中間出力の情報であり、後述する設備計画処理の終了後は削除されるものであって構わない。本実施形態においては第一製品の4案の例があるが、これに限られるものではなく、他の製品および複数の案が含まれるものであってもよい。
図1の説明に戻る。公差配分処理部231は、公差配分案を作成する処理を行う処理部である。具体的には、公差配分処理部231は、製品情報401、設計仕様情報402、製品構造案情報403、組立工程案情報451、組立公差情報404の入力を用いて、公差配分案225を複数作成し、各公差配分案225についての部品製造コストと設備投資コストを算出する。
設備計画処理部232は、生産計画に応じたコストを算出する処理を行う処理部である。具体的には、設備計画処理部232は、生産計画に応じた組立ラインごとの生産量案を作成し、生産量案ごとに組立コストを算出する。例えば、設備計画処理部232は、製品設計情報221、工程設計情報222、コスト情報223、生産計画情報224および公差配分案225を入力として受け付け、製品設計情報221、工程設計情報222、コスト情報223を生成する。
ここで、設備計画処理部232の入力は、公差配分処理部231から出力される情報を受け取るようにしてもよい。また、設備計画処理部232の出力を、公差配分処理部231の入力として、繰り返し計算を行うことで、事前に全ての候補案を用意せずに、解を探索するようにしても良い。また、公差配分処理部231は、公差配分案225を複数生成した上で、設備計画処理部232の入力とするだけでなく、公差配分案225を1つ生成した上で、設備計画処理部232の入力とし、その結果を公差配分処理部231に返し、新たな公差配分案225を生成する等、公差配分処理部231と設備計画処理部232の間で繰り返し計算を行うことで、解を探索するようにしても良い。このようにすることで、より高速に設計情報を得ることが可能となる。
入出力部210は、製品設計および工程設計装置200が扱う情報の入出力を制御する。
図2は、製品設計および工程設計装置による入出力に係るデータフロー例を示す図である。入力側のデータには、製品設計情報221と、コスト情報223と、工程設計情報222と、生産計画情報224と、が含まれる。出力側のデータには、製品設計情報(公差配分済)221´と、コスト情報223´と、工程設計情報(整備計画済)222´と、が含まれる。そして、公差配分処理部231は、製品設計情報221と、コスト情報223と、工程設計情報222と、を入力として公差配分案225を中間出力として出力し、設備計画処理部232は、製品設計情報221と、コスト情報223と、工程設計情報222と、生産計画情報224と、公差配分案225とを入力として製品設計情報(公差配分済)221´と、コスト情報223´と、工程設計情報(整備計画済)222´とを出力する。
なお、図2に示したデータフローは例示であり、本実施形態の変形例により異なるものとなることがある。例えば、公差配分処理部231が公差配分案225を中間出力しているが、これを画面に示す等により出力情報として顕在化させてもよい。あるいは、出力として示した製品設計情報(公差配分済)221´と、コスト情報223´と、工程設計情報(整備計画済)222´とは、データ構造としてはそれぞれ製品設計情報221と、コスト情報223と、工程設計情報222と同様であるため、これを入力として公差配分処理部231の処理等を複数回サイクリックに行うようにしてもよい。
図3は、製品設計および工程設計装置の利用形態の例を示す図である。工場800内での利用例300では、工場内を管理する製品設計および工程設計装置200は、工場800内での生産に関わる入力情報を受け付け、工場800が有する各生産ライン810A、810B、810Cに適した製品設計情報および工程設計情報をLAN(Local Area Network)等のネットワーク100を介して出力(送信)することで、工場内での生産コストを低減することができる。また、各生産ラインおよび生産ラインを構成する各設備の稼動実績をネットワーク100等を介して収集し、稼動実績に基づき設備情報を更新することで、製品設計および工程設計装置の入力が実績に即した値となり、より実態に即した製品設計および工程設計が可能となる。
クラウド環境250を介した利用例301では、クラウド環境250上の製品設計および工程設計装置200は、生産可能な全ての工場800A、800B、800Cでの生産に関わる入力情報をインターネット等のネットワーク50を介して受け付け(受信し)、全ての工場800A、800B、800Cの有する各生産ラインに適した製品設計情報および工程設計情報をネットワーク50を介して出力(送信)することで、生産可能な全ての工場800A、800B、800Cの生産ラインを考慮した上で生産コストの最適化を行うことができる。また、各工場について、各生産ラインおよび生産ラインを構成する各設備の稼動実績をネットワーク50等を介して収集し、稼動実績に基づき設備情報を更新することで、製品設計および工程設計装置の入力が実績に即した値となり、より実態に即した製品設計および工程設計が可能となる。なお、生産可能な全ての工場には、自社の工場、他社の工場、自社と他社の工場の両方、を含んでも構わない。
図20は、製品設計および工程設計装置のハードウェア構成の例を示す図である。製品設計および工程設計装置200は、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)901と、メモリ902と、ハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)などの外部記憶装置903と、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)などの可搬性を有する記憶媒体904に対して情報を読み書きする読取装置905と、キーボードやマウス、バーコードリーダなどの入力装置906と、ディスプレイなどの出力装置907と、インターネットなどの通信ネットワークを介して他のコンピュータと通信する通信装置908とを備えた一般的なコンピュータ900、あるいはこのコンピュータ900を複数備えたネットワークシステムで実現できる。
例えば、制御部230は、外部記憶装置903に記憶されている所定のプログラムをメモリ902にロードしてCPU901で実行することで実現可能であり、入出力部210は、CPU901が入力装置906および出力装置907を利用することで実現可能であり、記憶部220は、CPU901がメモリ902または外部記憶装置903を利用することにより実現可能である。
この所定のプログラムは、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、外部記憶装置903にダウンロードされ、それから、メモリ902上にロードされてCPU901により実行されるようにしてもよい。
また、読取装置905を介して記憶媒体904から、あるいは、通信装置908を介してネットワークから、メモリ902上に直接ロードされ、CPU901により実行されるようにしてもよい。
なお、これに限られず、製品設計および工程設計装置200は、例えばヘッドセットやゴーグル、眼鏡、インカム等の、作業者が身に着けられるウェアラブルコンピュータであってもよい。
図8は、公差配分処理のフローチャート例を示す図である。公差配分処理は、製品設計および工程設計装置200の入出力部210が所定の指示を受け付けると、開始される。
まず、入出力部210は、対象となる全製品の製品情報401の入力を受け付ける(ステップS601)。
そして、入出力部210は、ステップS601で入力を受け付けた製品情報の一つについて、設計仕様情報402の入力を受け付ける(ステップS602)。
そして、入出力部210は、ステップS602で入力を受け付けた設計仕様の1つについて、対象設計仕様を実現する製品構造案情報403の入力を受け付ける(ステップS603)。
そして、入出力部210は、ステップS603で入力を受け付けた製品構造の1つに対して、対象製品構造の組立順序、組立方法を含む組立工程案情報451の入力を受け付ける(ステップS604)。
そして、入出力部210は、製品構造とその組立工程の1つに対応する組立公差情報404の入力を受け付ける(ステップS605)。
そして、公差配分処理部231は、ステップS605で入力を受け付けた組立公差情報404に含まれる公差の計算式を満足する部品寸法誤差および組立設備誤差の数値の組み合わせ案を生成する(ステップS606)。この数値の組み合わせについて、公差配分処理部231は、例えば、0.01mmなどの刻み幅で全ての組み合わせを生成する。しかし、これに限られず、公差配分処理部231は、乱数表などを用いて部品寸法誤差の値をランダムに生成し、公差の計算式を満たす組立設備誤差の値を算出するようにしてもよい。公差の計算式を満足する部品寸法誤差および組立設備誤差の数値の組み合わせ案が、公差配分情報415として中間出力される対象となる。
そして、入出力部210は、ステップS604で入力を受け付けた組立工程案情報451に関連する組立設備案情報453の入力を受け付ける(ステップS607)。
そして、入出力部210は、部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501および組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502の入力を受け付ける(ステップS608)。
そして、公差配分処理部231は、ステップS606で生成した公差配分案に対する部品製造コストおよび設備投資コストを算出する(ステップS609)。
ここで、図12にて示した公差配分案では、第一製品の設計仕様は、設計仕様情報402より、Vf=0.8mmである。また、第一製品の公差計算式は上式(2)であるから、部品A、部品B、部品Cの3つの部品寸法誤差VA、VB、VCと1つの組立寸法誤差VHの総和が0.8mmとなる数値の組み合わせが生成される。図12では4案のみ記載されているが、あくまで一例であり、候補はこれに限らない。
図16は、公差配分案に対する部品製造コストおよび設備投資コストの例を示す図である。部品製造コストの例700では、公差案700Aごとに、部品A700B、部品B700C、部品C700Dのコストが示されている。また、設備投資コストの例710では、公差案710Aごとに、既存設備ごとの追加投資額710Bと、新規投資額710Cと、のコストが示されている。
ステップS609では、公差配分処理部231により、各公差配分案の各部品の部品寸法誤差の値と、部品寸法誤差に対する部品製造コスト情報501を用いて、公差配分案に対する部品製造コストが算出される。また、公差配分処理部231により、各公差配分案の組立設備誤差の値と、組立設備案情報453の組立設備誤差の値と、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502を用いて、既存設備に追加投資した場合および新規投資した場合に必要となる、公差配分案に対する設備投資コストが算出される。
例えば、案1の場合、組立設備誤差VH=0.05であるため、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502を参照すると、新規投資では、初期設備投資コスト1,000,000ドルと追加設備投資コスト1,750,000ドルとが必要であり、合計2,750,000ドルの設備投資コストとして算出される。既存設備「XA001」への追加投資では、「XA001」は組立設備誤差「0.50」を満足するよう追加設備投資コスト500,000ドルがすでに投資されており、案1で必要となる組立設備誤差VH=「0.05」を満足するためには、組立設備誤差「0.05」の追加設備投資コスト1,750,000ドルとの差分として、1,750,000-500,000=1,250,000ドルが必要な設備投資コストとして算出される。
また、例えば、案4の場合、組立設備誤差VH=「0.5」であるため、組立設備誤差に対する設備投資コスト情報502を参照すると、新規投資では、初期設備投資コスト1,000,000と追加設備投資コスト500,000ドルが必要であり、合計1,500,000ドルの設備投資コストと算出される。既存設備「XA003」への追加投資では、「XA003」は組立設備誤差「0.15」であり案4で必要となる組立設備誤差VH=「0.5」よりも誤差が小さいため、追加の設備投資は不要であり、設備投資コストは0と算出される。
本例のように、公差配分案で必要となる組立設備誤差より高い精度(すなわちより小さい誤差の値)を有する既存設備(すなわち、必要な精度を既に備える設備)はすべて追加投資を不要とできる。しかし、組立設備誤差が大きい(すなわち精度が低い)分、各部品寸法誤差が小さくなるよう公差配分されると、部品製造コストは高くなる。すなわち、既存設備の組立設備誤差より大きい値の精度で十分な公差配分案では、部品製造コストは最小とならない傾向となる。
図8の公差配分処理のステップS610の説明に戻る。公差配分処理部231は、未処理の組立工程案情報があるか否かを判定する(ステップS610)。未処理の組立工程案情報がない場合(ステップS610において「No」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS611に制御を進める。未処理の組立工程案情報がある場合(ステップS610において「Yes」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS605に制御を戻す。組立工程により組立公差計算式が異なるため、その分、公差配分の候補案が増加することとなる。
そして、公差配分処理部231は、未処理の製品構造案情報があるか否かを判定する(ステップS611)。未処理の製品構造案情報がない場合(ステップS611において「No」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS612に制御を進める。未処理の製品構造案情報がある場合(ステップS611において「Yes」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS604に制御を戻す。製品構造により取りうる組立工程案が異なるため、その分、公差配分の候補案が増加することとなる。
そして、公差配分処理部231は、未処理の設計仕様情報があるか否かを判定する(ステップS612)。未処理の設計仕様情報がない場合(ステップS612において「No」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS613に制御を進める。未処理の設計仕様情報がある場合(ステップS612において「Yes」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS603に制御を戻す。未処理の設計仕様の1つに対して、対象設計仕様を実現する製品構造案情報403の入力を受け付けることで、同時に複数の設計仕様を満足する解を探索可能となる。
そして、公差配分処理部231は、未処理の類似製品があるか否かを判定する(ステップS613)。未処理の類似製品がない場合(ステップS613において「No」の場合)は、公差配分処理部231は、ステップS614に制御を進める。未処理の類似製品がある場合(ステップS613において「Yes」の場合)には、公差配分処理部231は、ステップS602に制御を戻す。製品により取りうる設計仕様が異なるため、その分、公差配分の候補案が増加することとなる。
設備計画処理部232は、設備計画処理を実行する(ステップS614)。設備計画処理については、図9で説明する。
図9は、設備計画処理のフローチャート例を示す図である。設備計画処理は、公差配分処理のステップS614において開始される。
入出力部210は、生産計画情報224、組立ライン案情報452、製品設計・工程設計・生産計画情報に対する組立コスト情報503の各入力を受け付ける(ステップS701)。
そして、設備計画処理部232は、生産計画情報224に含まれる生産期間を1つ選択する(ステップS702)。
そして、設備計画処理部232は、製品情報401に含まれる対象製品を1つ選択する(ステップS703)。
そして、設備計画処理部232は、ステップS702で選択した生産期間において、ステップS703で選択した製品が生産されるか、すなわち、生産量が0より大きいか否かを判定する(ステップS704)。生産量が0より大きい場合(ステップS704において「Yes」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS705に制御を進める。生産量が0より大きくない場合(ステップS704において「No」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS711に制御を進める。
そして、設備計画処理部232は、ステップS703において選択した製品に対してステップS606で生成した公差配分案を1つ選択する(ステップS705)。公差配分案の選択により、部品製造コストはステップS609の算出結果から一意に求められるようになる。
そして、設備計画処理部232は、組立ライン案情報452から組立ラインを1つ選択する(ステップS706)。組立ラインの選択により、組立ラインが有する組立設備が一意に決まる。組立設備が決まることから、設備投資コストはステップS609の算出結果から一意に求められる。
そして、設備計画処理部232は、ステップS703で選択した製品を、ステップS706で選択した組立ラインを用いる生産量案を生成する(ステップS707)。ここで、生産量案の生成において、製品と組立ラインの関係について取りうる選択肢について述べる。1つの製品を同時期に複数の組立ラインで組み立てることが許可されない場合、生産量案は0または全生産量となる。他方、1つの製品を同時期に複数の組立ラインで組み立てることが許可される場合は、「0」または全生産量を超えない任意の数となる。そして、生産量は整数値であるので、設備計画処理部232は、「0」から全生産量の分だけ全ての組み合わせを生成してもよい。また、任意の刻み幅で組み合わせを生成してもよい。また、乱数表などを用いてランダムに生産量を生成してもよい。また、1つの製品を同時期に複数の組立ラインで組み立てることが許可される場合でも、許可される組立ラインの最大数を制限するものであってもよい。
そして、設備計画処理部232は、製品構造、組立工程、公差配分、組立ライン、組立設備、などを変数とする、製品設計・工程設計・生産計画情報に対する組立コスト情報503を参照して、組立コストを算出する(ステップS708)。
そして、設備計画処理部232は、全ての組立ラインの候補案について処理を実行したか否かを判定する(ステップS709)。全ての組立ラインの候補案について処理を実行しておらず未処理の組立ラインがある場合(ステップS709において「No」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS706に制御を戻す。全ての組立ラインの候補案について処理を実行した場合(ステップS709において「Yes」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS710に制御を進める。
そして、設備計画処理部232は、全ての公差配分案について処理を実行したか否かを判定する(ステップS710)。全ての公差配分案について処理を実行しておらず未処理の公差配分案がある場合(ステップS710において「No」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS705に制御を戻す。全ての公差配分案について処理を実行した場合(ステップS710において「Yes」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS711に制御を進める。
そして、設備計画処理部232は、全ての製品について処理を実行したか否かを判定する(ステップS711)。全ての製品について処理を実行しておらず未処理の製品がある場合(ステップS711において「No」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS703に制御を戻す。全ての製品について処理を実行した場合(ステップS711において「Yes」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS712に制御を進める。
そして、設備計画処理部232は、全製品の組立ラインでの生産量案の組合せから、実行可能案を選出する(ステップS712)。ここで、実行可能案とは、以下の条件を満たす案である。(1)任意の製品を組み立てる全組立ラインでの生産量の合計が、生産計画の生産量と一致する。(2)任意の組立ラインで組み立てる全製品の生産量の合計が、組立ラインの最大生産量以下である。
なお、上記(2)の条件を緩和するための追加の選択肢を有するようにしてもよい。例えば、組立ラインの作業員の残業等の超過稼働を許可することで、組立ラインの最大生産量を緩和してもよい。また、組立ラインに追加投資することで最大生産量を大きくすることを許可してもよい。
そして、設備計画処理部232は、ステップS712で追加の選択肢が選択された場合に発生する追加コストを算出する(ステップS713)。例えば、設備計画処理部232は、残業による組立コストの増分を算出し、最大生産量を増加させるための追加投資コストを算出する。
そして、設備計画処理部232は、全ての生産期間について処理を実行したか否かを判定する(ステップS714)。全ての生産期間について処理を実行しておらず未処理の生産期間がある場合(ステップS714において「No」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS702に制御を戻す。全ての生産期間について処理を実行した場合(ステップS714において「Yes」の場合)には、設備計画処理部232は、ステップS715に制御を進める。
そして、設備計画処理部232は、実行可能案の中から、評価指標に基づき組合せを選出する(ステップS715)。例えば、設備計画処理部232は、総生産コストを評価指標とし、総生産コストが最小となる公差配分情報および設備計画情報の組合せを選出する。ここで、総生産コストは、例えば、部品製造コストと設備投資コストと組立コストの総和として計算できる。
各組立ラインで組み立てる製品の組み合わせを決定することにより、図19に示すような設備計画情報を得られる。本例は、ステップS707において、1つの製品を同時期に複数の組立ラインで組み立てることが許可されないと判定された場合の結果の例である。
図17の生産月と製品の関係と、図19の生産月と各組立ラインで製造する製品の関係とから、各生産月における各組立ラインの総生産量が算出可能である。例えば、図19から、生産月17/4における組立ラインL002で組み立てる製品は第三製品および第四製品であることが特定できる。図17から、生産月17/4における第三製品の生産量は8,000台、第四製品の生産量は28,000台である。よって、生産月17/4における組立ラインL002で組み立てる製品の総生産量は36,000台と算出できる。
組立ラインL002の最大生産量は図18の組立ライン情報より、50,000台/月である。よって、生産月17/4における組立ラインL002の稼働率は36,000/50,000×100パーセント=72パーセントであると計算できる。したがって、実行可能案の中から組み合わせを選出する評価指標として、総生産コストのほかに、上記のごとく算出した稼働率を用いてもよい。
また、図19の例において、第六製品は生産月18/10に、組立ラインL004から組立ラインL003に変更となる結果が示されている。このような製品を組み立てる組立ラインの変更は品質の低下や、追加の作業時間、作業コストを発生させる可能性がある。実行可能案の中から組み合わせを選出する評価指標として、製品を組み立てる組立ラインの変更回数などを用いてもよい。
また、組立ラインの変更にかかる作業コストを、ステップS713において追加コストとして算出することで、同様の選択が可能となる。
また、組立ラインの変更にかかる作業時間を定義し、作業時間がかかる分だけ組立作業が行えないものとし、当該期間における最大生産量を低下させて実行可能性を評価する処理をステップS712において行うようにしても、同様の選択が可能となる。
製品を組み立てる組立ラインの変更が発生するタイミングで、組立設備の追加投資が必要となる可能性もある。ステップS706で任意の生産期間における設備投資コストが算出されるため、設備投資コストとタイミングを算出可能である。評価指標として設備投資コストとタイミングを用いてもよい。例えば設備投資のタイミングが重ならないような案を選出することが可能となる。
また、実行可能案全てを評価指標とともに出力する対象としてもよい。
そして、入出力部210は、ステップS715の選出結果を出力する(ステップS716)。
以上が、公差配分処理と設備計画処理の流れである。公差配分処理と設備計画処理によれば、より投資効率のよい製品設計および工程設計を行うことができる。
図21は、公差配分情報の出力画面の例を示す図である。公差配分情報の出力画面909は、ステップS716における公差配分情報415の出力の例である。公差配分情報の出力画面909では、製品ごとの公差配分結果を一覧表909Aとして表示される。
図22は、公差配分情報(図面上)の出力画面の例を示す図である。公差配分情報(図面上)の出力画面910は、ステップS716における公差配分情報415の別の出力の一形態である。公差配分情報(図面上)の出力画面910では、製品構造の画像や図面、3次元モデルに対して、公差配分結果の値910A~910Dが重ねて表示されている。
図23は、設備計画情報の出力画面の例を示す図である。設備計画情報の出力画面920では、ステップS716における図19に示した設備計画情報がグラフとして表示されている。このようなグラフによる出力形態により、製品を組み立てる組立ラインの変更タイミングを直感的に読み取ることが可能となる。
図24は、コスト情報の出力画面の例を示す図である。コスト情報の出力画面930では、総生産コストおよびその内訳のコストを示す表931と、それを視覚化したグラフ932と、がステップS716において表示される。このような出力形態により、総コストとその内訳を直感的に読み取ることが可能となる。
図25は、組立ラインの稼働率の出力画面の例を示す図である。組立ラインの稼働率の出力画面940では、設備計画情報464に基づき算出される各組立ラインの稼働率がステップS716において表示される。出力の一形態として、各ラインの平均稼働率がグラフ941として表示されている。
以上が、本発明に係る実施の形態である。本発明に係る実施の形態によれば、より投資効率のよい製品設計および工程設計装置を提供することができる。
上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、実施形態の構成の一部について、削除をすることも可能である。
また、上記の各部、各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各部、各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
なお、上述した実施形態にかかる制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際にはほとんど全ての構成が相互に接続されていると考えても良い。以上、本発明について、実施形態を中心に説明した。
なお、本発明については、以下の技術的特徴を備えるものであるともいえる。上述の式(3)のように、計測工程が追加されることにより、実測された誤差を用いることが可能となる場合には、公差計算式を単純化することもできる。これにより、より実効性の高い公差配分案を作成することができるといえる。
また、公差配分処理部231は、公差配分案225を1つ生成した上で、設備計画処理部226の入力とし、その結果を公差配分処理部231に返し、新たな公差配分案225を生成することで、公差配分処理部231と設備計画処理部232の間で繰り返し計算を行って解を探索するようにできる。このようにすることで、より高速に設計情報を得ることが可能となるといえる。
また、製品設計および工程設計装置は、採用された公差配分、設備計画、コスト、稼働率のいずれかを図示する画面を表示するようにしてもよい。このうち、公差配分については、組み立て図に公差の位置とその量とを重畳させて示すようにしてもよい。このようにすることで、より理解しやすい設計情報を得ることが可能となるといえる。
また、設備計画処理部は、製品組立ラインの変更にかかる作業時間を定義し、作業時間がかかる分だけ組立作業が行えないとし、当該期間における最大生産量を低下させて公差配分案を評価する処理を行うようにしてもよい。このようにすることで、より精度の高い設計情報を得ることが可能となるといえる。
また、設備計画処理部は、製品を組み立てる組立ラインの変更が発生するタイミングで、組立設備の追加投資コストを算出し、設備投資コストとそのタイミングを特定し、評価指標として設備投資コストとタイミングを用いるようにしてもよい。このようにすることで、より合理的な設計情報を得ることが可能となるといえる。