〔第1の実施形態〕
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図1は、換気システムが設けられた建物を示す図である。
図1に示すように、住宅等の建物10は、一階部分11と二階部分12とを有する二階建ての建物となっている。一階部分11には、屋内空間として、居室14と寝室15と洗面室16とが設けられている。居室14は、仕切壁21により寝室15と仕切られており、その仕切壁21には居室14と寝室15とを連通する通気部22が形成されている。また、居室14は、仕切壁21により洗面室16と仕切られており、その仕切壁21には居室14と洗面室16とを連通する通気部22が形成されている。通気部22は、仕切壁21に通気口として形成されていたり、仕切壁21に設けられた出入口ドアのアンダーカットとして形成されていたりする。また、寝室15には、就寝用のベッド17が設けられている。
各屋内空間14~16の上方には天井裏空間18が設けられている。天井裏空間18は、一階部分11と二階部分12との間の階間に位置する階間空間として形成されている。また、図示は省略するが、二階部分12には、一階部分11と同様、複数の屋内空間が設けられている。
本実施形態の建物10には、一階部分11及び二階部分12にそれぞれ全館式の換気システムが設けられている。以下においては、これら換気システムのうち、一階部分11の換気システム30について説明する。なお、二階部分12にも、一階部分11と同様の換気システムが設けられている。
換気システム30は、一階部分11における複数の屋内空間を対象として換気を行うシステムとなっており、天井裏空間18に設置されている。換気システム30は、換気装置31を備える。換気装置31は、天井裏空間18において洗面室16の上方に設置されている。詳しくは、洗面室16の天井は居室14及び寝室15の天井よりも低い位置に設定された下がり天井となっており、その下がり天井の上方に換気装置31が設置されている。
換気装置31には、取込ダクト32と排出ダクト33とが接続されている。取込ダクト32と排出ダクト33とはいずれも屋外に通じている。また、換気装置31には、複数の給気ダクト34が接続されている。各給気ダクト34はそれぞれ居室14及び寝室15に設けられた給気グリル36に接続されている。給気グリル36は、居室14及び寝室15の天井部に設けられている。また、洗面室16の天井部には、吸込グリル37が設けられている。吸込グリル37は、換気装置31と接続されている。
換気装置31は、取込ファン38と排出ファン39とを有している。取込ファン38が作動すると、取込ダクト32を介して屋外の空気(外気)が換気装置31に取り込まれ(導入され)、その取り込まれた空気が各給気ダクト34を介して各給気グリル36へ供給される。そして、それら供給された空気が各給気グリル36より居室14及び寝室15にそれぞれ吹き出される(供給される)。
各給気グリル36より居室14及び寝室15に吹き出された(供給された)空気は、その後、仕切壁21に形成された通気部22を通じて洗面室16へと流れ込む(還流する)。排出ファン39が作動すると、洗面室16へ流れ込んだ空気が吸込グリル37を介して換気装置31に取り込まれ、その取り込まれた空気が排出ダクト33を介して屋外へ排出される。このようにして、本換気システム30では、一階部分11の各屋内空間14~16の換気が行われるようになっている。
また、本換気システム30では、常時換気装置31による換気運転(つまり24時間換気運転)が行われるものとなっている。換気装置31の作動時(運転時)には、取込ファン38と排出ファン39とがいずれも作動状態とされ、換気装置31の作動停止時には各ファン38,39の作動がいずれも停止状態とされるようになっている。
換気装置31(取込ファン38)は、給気ダクト34を通じて屋内空間14,15へ供給する空気(外気)の供給量を調整する調整機能を有している。この場合、換気装置31により屋内空間14,15への空気の供給量が調整されることで、屋内空間14,15の換気量が調整されるようになっている。屋内空間14,15への空気の供給量の調整は、取込ファン38の回転速度(風量)を調整することにより行われる。具体的には、換気装置31は、その運転モードとして、強モードと弱モードとを有しており、その運転モードの切替により取込ファン38の回転速度を調整する。換気装置31の運転モードが強モードにある場合には、弱モードにある場合と比べ、取込ファン38の回転速度が高くなり、屋内空間14,15への空気の供給量が多くなる。
また、排出ファン39は、取込ファン38の運転モード(回転速度)に合わせて回転速度が切り替えられるようになっている。具体的には、排出ファン39は、当該ファン39により屋外へ排出される空気の量が、取込ファン38により屋内空間14,15に取り込まれる空気の量と同じとなるよう回転速度が切り替えられるようになっている。
ここで、本換気システムでは、居住者が寝室15で就寝する就寝時においては、居住者の睡眠深さ(眠りの深さ)に基づき、換気装置31の運転制御が実施されるようになっている。そこで、以下では、その点に関する構成について説明する。
換気システムは、換気装置31の制御を行うコントローラ40を備える。コントローラ40は、CPU等を有する周知のマイクロコンピュータを有して構成され、例えば換気装置31に内蔵されている。なお、コントローラ40が制御手段に相当する。
寝室15には、ベッド17で就寝する居住者(ユーザに相当)の生体情報を検出する生体センサ41が設けられている。生体センサ41は、例えばベッド17のマットレスに内蔵された圧力センサからなり、その圧力センサによりユーザの睡眠深さに応じて変化する圧力の変化を検出する構成となっている。
なお、生体センサ41は必ずしも上記のような圧力センサである必要はなく、ベッド17で就寝する居住者の脈拍や体温、血圧等の生体情報を検出するものであってもよい。また、生体センサ41は必ずしもマットレス内蔵型である必要はなく、例えば居住者の身体に装着される身体装着型であってもよい。身体装着型である場合、例えばユーザの手首や指に装着されるものが考えられる。
コントローラ40には、生体センサ41が接続されている。コントローラ40には、その生体センサ41により検出された居住者の生体情報が逐次入力される。コントローラ40は、その入力された居住者の生体情報に基づき、当該居住者が睡眠状態にあるか覚醒状態(非睡眠状態)にあるかを判定する。また、コントローラ40は、居住者が睡眠状態にある場合、居住者の生体情報に基づき、当該居住者の睡眠深さを判定する。一般に、居住者が睡眠状態にある場合には、睡眠深さが浅い状態と深い状態とが交互に現れる(図4参照)。そこで、本実施形態では、居住者が眠り(睡眠深さ)の浅い浅睡眠状態にあるのか、眠り(睡眠深さ)の深い深睡眠状態にあるのかを判定することとしている。
なお、国際基準では、睡眠の段階が、覚醒段階、レム睡眠段階、ノンレム睡眠段階1~4の6段階に分類されている。本実施形態における「覚醒状態」とは、例えばこの6段階の分類における覚醒段階に相当し、「浅睡眠状態」とは、レム睡眠段階とノンレム睡眠段階1及び2とに相当し、「深睡眠状態」とは、ノンレム睡眠段階3及び4に相当する。
また、コントローラ40は、生体センサ41から居住者の生体情報が入力されているか否かに基づき、居住者がベッド17に入っているか否かを判定する。つまり、居住者が寝室15にて入床しているか否かを判定する。なお、かかる判定は、必ずしも生体センサ41を用いて行う必要はなく、例えばベッド17上に人がいることを検知する人検知センサを設け、その人検知センサの検知結果に基づき行ってもよい。
コントローラ40には換気装置31が接続されている。コントローラ40は、生体センサ41から入力される生体情報等に基づいて、換気装置31の運転モードを強モード又は弱モードに切り替える(設定する)。
次に、コントローラ40により実行される換気制御処理の内容について図2に示すフローチャートに基づき説明する。なお、本処理は所定の周期で繰り返し実行される。
図2に示すように、まずステップS11では、生体センサ41から居住者の生体情報が入力されているか否かに基づき、居住者が寝室15にてベッド17に入っているか否かを判定する。居住者がベッド17に入っていない場合、つまり居住者が起きている場合にはステップS18に進み、換気装置31の運転モードを強モードに設定する。その後、本処理を終了する。
一方、居住者がベッド17に入っている場合にはステップS12に進み、睡眠判定処理を行う(睡眠判定手段に相当)。睡眠判定処理では、生体センサ41から入力された居住者の生体情報に基づいて、ベッド17上の居住者が睡眠状態にあるのか覚醒状態にあるのかを判定する。また、睡眠判定処理では、居住者が睡眠状態にある場合、さらにその居住者の睡眠深さを判定する。
睡眠判定処理の結果、居住者が覚醒状態にある場合には、ステップS13の判定を否定しステップS16に進む。ステップS16では、今現在が朝時間帯であるか夜時間帯であるかを判定する。ここで、今現在が朝時間帯である場合には覚醒状態の居住者が睡眠後の目覚めの状態であるとみなすことができる。また、今現在が夜時間帯である場合には覚醒状態の居住者がこれから眠ろうとしている睡眠前の状態であるとみなすことができる。したがって、本ステップでは、要するに、覚醒状態にある居住者が睡眠前の状態であるのか睡眠後の状態であるのかを判定することとなっている(睡眠前後判定処理に相当)。
今現在が夜時間帯である場合、つまり覚醒状態にある居住者が睡眠前の状態である場合にはステップS17に進み、換気装置31の運転モードを弱モードに設定する。これにより、居住者の睡眠前においては、つまり居住者が眠りにつこうとしているときには換気装置31の運転に伴う騒音の発生が抑制される。その後、本処理を終了する。なお、換気装置31の運転時に生じる騒音としては、給気ダクト34を通じて寝室15へ伝播する換気装置31の運転音や、給気グリル36からの空気の吹出音等が考えられる。
一方、今現在が朝時間帯である場合、つまり覚醒状態にある居住者が睡眠後の状態である場合にはステップS18に進み、換気装置31の運転モードを強モードに設定する。これにより、居住者の睡眠後においては、つまり居住者が目覚めたときには換気装置31による寝室15への空気の供給量が多くされる。その後、本処理を終了する。
先のステップS13において、居住者が睡眠状態であると判定した場合には、ステップS14に進み、睡眠状態の居住者が深睡眠状態であるのか浅睡眠状態であるのかを判定する。居住者が深睡眠状態である場合にはステップS21に進み、換気装置31の運転モードを強モードに設定する。これにより、居住者の眠りが深い場合には、換気装置31による寝室15への空気の供給量が多くされる。その後、本処理を終了する。
一方、ステップS14において睡眠状態の居住者が浅睡眠状態である場合にはステップS19に進む。ステップS19では、上限フラグがセットされているか否かを判定する。ここで、本実施形態では、所定時間T(本実施形態では3時間)の間に換気装置31により寝室15へ供給が必要な空気の量が必要空気量として予め定められている。換言すると、所定時間Tの間に寝室15において換気が必要な必要換気量(最低換気量)が予め定められている。そして、本実施形態では、それに伴い、所定時間Tの間に換気装置31を弱モードで運転できる運転時間の上限(上限時間Ta)が定められており、弱モードでの運転時間がその上限時間Taに達すると上限フラグがセットされるようになっている(後述する図3のステップS38参照)。したがって、本ステップでは、要するに、所定時間Tの間における弱モードでの運転時間が上限時間Taに達しているか否かを判定することとなっている。さらに言うと、本ステップでは、所定時間Tの間に換気装置31により寝室15へ供給する空気の量について、必要空気量に対する不足が生じるか否かを判定することとなっている(不足判定手段に相当)。
ステップS19において上限フラグがセットされていない場合にはステップS20に進み、換気装置31の運転モードを弱モードに設定する。これにより、居住者の眠りが浅く、しかも弱モードでの運転時間がまだ上限時間Taに達していない場合には、騒音の発生が少ない弱モードで換気装置31が運転される。その後、本処理を終了する。一方、上限フラグがセットされている場合にはステップS21に進み、換気装置31の運転モードを強モードに設定する。これにより、居住者の眠りが浅くても、弱モードでの運転時間が上限時間Taに達している場合には、換気装置31が強モードで運転される(空気供給優先処理に相当)。その後、本処理を終了する。
次に、コントローラ40により実行される運転時間計測処理について説明する。運転時間計測処理は、所定時間T(3時間)の間に、換気装置31が弱モードで運転する運転時間を計測する処理であり、以下では、当該処理の内容について図3に示すフローチャートに基づき説明する。なお、本処理は、居住者がベッド17に入ったと判定されたことをトリガとして開始される。また、本処理は、居住者がベッド17から出たと判定されるまで所定の周期で繰り返し実行される。居住者がベッド17に入ったことの判定、及びベッド17から出たことの判定は、生体センサ41からの生体情報の入力の有無に基づき行う。
図3に示すように、まずステップS31では、換気装置31による弱モードでの運転時間の計測がすでに行われているか否かを判定する。運転時間の計測がまだ行われていない場合にはステップS32に進み、換気装置31による弱モードでの運転時間の計測を開始する。
続くステップS33では、タイマをセットする。これにより、弱モードでの運転時間の計測開始からの経過時間がタイマにより計測される。続くステップS34では、上記運転時間の計測開始からの経過時間が所定時間T(3時間)を超えたか否かを判定する。つまり、上記運転時間の計測開始から所定時間Tが経過したか否かを判定する。計測開始から所定時間Tが経過していない場合には本処理を終了する。一方、所定時間Tが経過した場合にはステップS35に進み、運転時間の計測を終了する。その後、本処理を終了する。したがって、本運転時間計測処理においては、弱モードでの運転時間の計測が所定時間Tの間継続して行われるようになっている。また、ステップS35では、運転時間の計測終了とともに、タイマをリセットする。また、上限フラグがセットされている場合には上限フラグもリセット(消去)する。
先のステップS31において、弱モードでの運転時間の計測が既に行われている場合にはステップS37に進む。ステップS37では、計測中の弱モードでの運転時間が上限時間Taに達したか否かを判定する。この上限時間Taは、上述したように、所定時間Tの間に換気装置31により弱モードで運転できる運転時間の上限となっている。換言すると、この上限時間Taは、仮に当該上限時間Taを超えて弱モードでの運転を続けた場合に、所定時間Tの間における換気装置31による寝室15への空気供給量が必要空気量に対して不足してしまう時間に設定されている。弱モードでの運転時間がまだ上限時間Taに達していない場合にはステップS34に進む。一方、弱モードでの運転時間が上限時間Taに達した場合にはステップS38に進み、上限フラグをセットする。その後、ステップS34に進む。
次に、コントローラ40により換気制御処理(図2)及び運転時間計測処理(図3)が行われる場合の一連の作用について図4を用いながら説明する。図4は、かかる作用を説明するためのタイムチャートである。
図4に示すように、タイミングt1以前では、居住者がベッド17に入っておらず、換気装置31が強モードで運転している。タイミングt1において、居住者がベッド17に入る(入床する)と、換気装置31の運転モードが強モードから弱モードに切り替わる。これにより、居住者の寝入りばなにおいて、換気装置31の運転に伴う騒音の発生を低減することができる。
また、タイミングt1では、換気装置31の弱モードでの運転時間の計測が開始される。これにより、弱モードでの運転中においては、時間の経過に伴い、弱モードの運転時間(の計測値)が増えていく。なお、タイミングt1では、夜時間帯になっている。
その後タイミングt2において、居住者は睡眠状態(眠り)に入る。詳しくは、居住者は浅睡眠状態となる。その後タイミングt3において、居住者は深睡眠状態になる。すると、換気装置31の運転モードが弱モードから強モードに切り替わる。これにより、居住者が比較的起きにくい深睡眠状態にある場合には、寝室15への空気の供給量を多くすることができる。
その後タイミングt4において、居住者は深睡眠状態から浅睡眠状態となる。すると、換気装置31の運転モードが強モードから弱モードに切り替わる。このように、タイミングt4以降も、居住者が深睡眠状態になると換気装置31が強モードに設定され、居住者が浅睡眠状態になると換気装置31が弱モードに設定される。したがって、居住者の睡眠中は、居住者の睡眠深さに応じて、換気装置31の運転モードが強弱切り替えられるようになっている。
タイミングt1から所定時間Tが経過した後のタイミングt5において、弱モードの運転時間の計測が終了する。そして、このタイミングt5では、計測終了と同時に、新たに弱モードの運転時間の計測が開始される。このように、居住者がベッド17に入っている間は、所定時間Tごとに、弱モードの運転時間の計測が行われる。図4の例では、居住者がベッド17に入っている間に、かかる運転時間の計測が計3回行われている。ここで、2回目の計測においては、タイミングt6にて、計測した運転時間が上限時間Taに達している。このタイミングt6では、居住者は浅睡眠状態にあるが、それにもかかわらず換気装置31の運転モードが弱モードから強モードに切り替えられる。
その後タイミングt7において、居住者は睡眠状態(詳しくは浅睡眠状態)から覚醒状態となる。すると、換気装置31の運転モードが弱モードから強モードに切り替わる。なお、タイミングt7では、朝時間帯となっている。その後タイミングt8において、居住者はベッド17から出る。すると、換気装置31の弱モードでの運転時間の計測が終了する。
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
寝室15で眠る居住者の睡眠深さ(眠りの深さ)を判定し、その判定した居住者の睡眠深さに応じて、換気装置31の運転モードを強モード又は弱モードに切り替え、換気装置31による寝室15への空気の供給量を制御した。具体的には、居住者が深睡眠状態にある場合には、居住者が起きにくい状態となっているため、換気装置31の運転モードを強モードとし、換気装置31による寝室15への空気の供給量を多くした。この場合、寝室15の換気を促すことができる。一方、居住者が浅睡眠状態にある場合には、居住者が起き易い状態となっているため、換気装置31の運転モードを弱モードとし、換気装置31による寝室15への空気の供給量を少なく(制限)した。この場合、換気装置31の運転に伴う騒音の発生を抑制することができる。よって、以上より、夜間における換気量の低減を抑制しながら、居住者の睡眠が妨げられるのを抑制することができる。
ここで、居住者が浅睡眠状態にある場合には、換気装置31の運転を停止し同装置31による寝室15への空気の供給を停止することも考えられるが、上記の実施形態では、居住者が浅睡眠状態にある場合には、換気装置31の運転モードを弱モードに設定するようにした。この場合、居住者の睡眠深さにかかわらず寝室15に空気が供給されるため、居住者の睡眠時において寝室15を常時換気することができる。このため、夜間における換気量低減をより一層抑制しながら、居住者の睡眠が妨げられるのを抑制することができる。
居住者が浅睡眠状態にある場合には、所定時間Tにおける弱モードでの運転時間が上限時間Taに達したか否かを判定し、上限時間Taに達した場合には、居住者が浅睡眠状態にあるにもかかわらず換気装置31を強モードに設定することとした。つまり、上限時間Taに達した場合には、居住者の睡眠状態にかかわらず、換気装置31による寝室15への空気供給を優先するようにした。この場合、居住者の睡眠深さに応じて寝室15への空気供給が制御される構成にあって、所定時間Tにおける寝室15の換気量が必要換気量(目標換気量に相当)を下回ってしまうことを回避できる。
居住者が寝室15において覚醒状態にある場合に、換気装置31を弱モードに設定した。換言すると、居住者が覚醒状態にある場合には、換気装置31による寝室15への空気の供給を制限する(少なくする)ようにした。これにより、居住者が寝室15で眠ろうとしている場合、つまり居住者の寝入りばなにおいて、換気に伴う騒音の発生を低減することができる。そのため、居住者は速やかに眠りにつくことが可能となる。
居住者が寝室15において覚醒状態にある場合に今現在が夜時間帯であるか否かを判定し、夜時間帯であると判定された場合に換気装置31を弱モードに設定した。この場合、覚醒状態の居住者が睡眠前であることを条件に、換気装置31が弱モードとされる。そのため、覚醒状態の居住者が睡眠後である場合、つまり居住者の起床時においては、換気装置31が弱モードに設定されず換気装置31が強モードとされる。居住者は起床時においては換気に伴う騒音を気にすることがないため、この場合、寝室15への空気供給を促すことで、換気量の低減をさらに抑制することができる。
全館式の換気システムでは、共通の換気装置31により複数の屋内空間14,15に空気を供給し換気を行うため、換気装置31の空気の供給能力が比較的大きい。そのため、運転時に発生する騒音もそれに伴い大きくなると考えられ、その騒音が給気ダクト34を通じて寝室15に伝わることが想定される。その点、上記の実施形態では、こうした換気システムに、睡眠深さに応じて換気装置31の運転モードを切り替える制御を適用しているため、かかるシステムを備える建物10にあって、換気量の低減を抑制しながら、居住者の睡眠が妨げられるのを抑制することができる。
〔第2の実施形態〕
次に、第2の実施形態について説明する。本実施形態では、コントローラ40により実行される換気制御処理の内容が上記第1の実施形態の処理(図2)と相違する。そこで、以下においては、かかる本実施形態における換気制御処理について図5に示すフローチャートに基づき説明する。なお、本処理は、所定の周期で繰り返し実行される。
図5に示すように、まずステップS51では、生体センサ41から居住者の生体情報が入力されているか否かに基づき、居住者が寝室15にてベッド17に入っているか否かを判定する。居住者がベッド17に入っていない場合、つまり居住者が起きている場合にはステップS63に進み、換気装置31の運転モードを強モードに設定する。その後、本処理を終了する。一方、居住者がベッド17に入っている場合にはステップS52に進み、睡眠判定処理を行う(睡眠判定手段に相当)。この判定処理は、上記第1の実施形態における睡眠判定処理(図2のステップS12)と同じ処理であるため、ここでは説明を割愛する。
睡眠判定処理の結果、居住者が覚醒状態にある場合には、ステップS53の判定を否定しステップS57に進む。ステップS57では、今現在が朝時間帯であるか夜時間帯であるかを判定する。今現在が夜時間帯である場合、つまり覚醒状態にある居住者が睡眠前である場合にはステップS58に進み、換気装置31の運転を停止させる。これにより、居住者の睡眠前においては、換気装置31による寝室15への空気の供給が停止され、換気に伴う騒音が生じない状態となる。その後、本処理を終了する。
一方、今現在が朝時間帯である場合、つまり覚醒状態にある居住者が睡眠後の状態である場合にはステップS63に進み、換気装置31の運転モードを強モードとする。その後、本処理を終了する。
先のステップS53において、居住者が睡眠状態にある場合には、ステップS54に進み、睡眠状態の居住者が深睡眠状態であるのか浅睡眠状態であるのかを判定する。居住者が浅睡眠状態である場合にはステップS55に進み、その浅睡眠状態が居住者の睡眠開始直後のものであるか否かを判定する。ここで、居住者の睡眠開始直後の浅睡眠状態とは、居住者が睡眠状態になってからはじめに訪れる浅睡眠状態のことである。換言すると、睡眠開始直後の浅睡眠状態とは、居住者が睡眠(浅睡眠状態)を開始してから最初の深睡眠状態に入るまでの間の状態をいう。
居住者の浅睡眠状態が居住者の睡眠開始直後である場合にはステップS58に進み、換気装置31の運転を停止させる。これにより、居住者の寝入りばなにおいては、居住者が深睡眠状態となるまで換気装置31の運転が継続して停止される。一方、居住者の浅睡眠状態が居住者の睡眠開始直後でない場合にはステップS56に進み、換気装置31の運転モードを弱モードとする。その後、本処理を終了する。
先のステップS54において、居住者が深睡眠状態にある場合にはステップS61に進み、換気装置31の運転が停止中であるか否かを判定する。換気装置31の運転が停止中である場合にはステップS62に進み、換気装置31の運転を実行させる。その後、ステップS63に進み、換気装置31を強モードに設定する。また、換気装置31が運転中である場合には、そのままステップS63に進み、換気装置31を強モードに設定する。その後、本処理を終了する。
次に、コントローラ40により換気制御処理が実行される場合における一連の作用について図6に基づいて説明する。図6は、かかる作用を説明するタイムチャートである。
図6に示すように、タイミングt11において、居住者がベッド17に入る(入床する)と、換気装置31の運転が停止される。その後タイミングt12において、居住者は睡眠状態(眠り)に入り、浅睡眠状態となる。その後タイミングt13において、居住者は深睡眠状態となり、すると換気装置31の運転が実行(開始)され、換気装置31の運転モードが強モードに設定される。この場合、居住者がベッド17に入ってから眠りの深い状態となるまでは換気装置31の運転が停止されるため、居住者の寝入りばなにおいて換気に伴う騒音の発生をなくすことができる。
その後タイミングt14において、居住者は深睡眠状態から浅睡眠状態となる。すると、換気装置31の運転モードが強モードから弱モードに切り替わる。また、タイミングt15において、居住者は浅睡眠状態から深睡眠状態となる。すると、換気装置31の運転モードが弱モードから強モードに切り替わる。このように、タイミングt15以降も、居住者の睡眠中は、居住者が深睡眠状態にあるか浅睡眠状態にあるかに応じて(つまり居住者の睡眠深さに応じて)、換気装置31の運転モードが強弱切り替えられる。
その後タイミングt16において、居住者は睡眠状態(詳しくは浅睡眠状態)から覚醒状態となる。すると、換気装置31の運転モードが弱モードから強モードに切り替わる。その後タイミングt17において、居住者はベッド17から出る。
上述した本実施形態の構成では、居住者が寝室15において覚醒状態にある場合には、換気装置31の運転を停止した。また、居住者が浅睡眠状態にある場合には、その浅睡眠状態が居住者の睡眠開始直後のものか否かを判定し、睡眠開始直後である場合には換気装置31の運転を停止した。この場合、居住者が眠ろうとしている睡眠前の覚醒状態時に加え、その覚醒状態から浅睡眠状態へと移行した後も、換気装置31による寝室15への空気の供給が停止されるため、居住者が深い眠りに入るまでは換気に伴う騒音が発生しない。このため、居住者は速やかにかつ快適に眠りにつくことが可能となる。
〔他の実施形態〕
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
(1)上記各実施形態では、換気装置31の運転モードを弱モードと強モードとに切り替えることで、換気装置31により寝室15へ供給する空気の供給量を段階的に調整するようにしたが、換気装置31としては、寝室15への空気の供給量を無段階に調整できるものもある。そこで、そのような換気装置31に本発明を適用してもよい。例えば、図7の例では、換気装置31による空気の供給量を強と弱との間で無段階に(連続的に)調整可能となっている。そして、コントローラ40が、寝室15における居住者の睡眠深さに応じて、換気装置31による空気の供給量を連続的に制御するようになっている。具体的には、居住者の睡眠深さが浅いほど換気装置31による空気の供給量を制限(少なく)し、換言すると、居住者の睡眠深さが深いほど換気装置31による空気の供給量を多くしている。この場合にも、上記各実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
(2)上記各実施形態では、居住者の睡眠深さに応じて、換気装置31の運転モードを強弱切り替えることで、換気装置31による寝室15への空気の供給量を制御するようにしたが、これを変更してもよい。例えば、居住者の睡眠深さに応じて、換気装置31の運転を実行又は停止させることで、換気装置31による寝室15への空気の供給を実施又は停止させるようにしてもよい。具体的には、居住者が深睡眠状態にある場合には換気装置31の運転を実行し、居住者が浅睡眠状態にある場合には換気装置31の運転を停止するようにする。この場合、居住者の睡眠深さが深い場合には、寝室15の換気が行われる一方、居住者の睡眠深さが浅い場合には、寝室15の換気が行われず換気に伴う騒音が発生しない。よって、この場合にも、夜間における換気量の低減を抑制しながら、居住者の睡眠が妨げられるのを抑制することができる。
(3)上記第1の実施形態では、居住者が覚醒状態であると判定された場合に、その居住者が睡眠前なのか睡眠後なのかを判定し、その判定の結果、睡眠前である場合に換気装置31を弱モードとしたが、居住者が覚醒状態であると判定された場合に一律に換気装置31を弱モードとするようにしてもよい。その場合にも、(覚醒状態の)居住者が眠ろうとしている場合に、換気に伴う騒音の発生を低減することができるため、居住者は速やかに眠りにつくことが可能となる。ただ、このような構成とすると、居住者が睡眠後において覚醒状態にある場合にも、換気装置31が弱モードとされるため、換気量の低減を抑制する上では好ましくない。そのため、その点を鑑みると、上記第1の実施形態のように、居住者が睡眠前であることを条件に換気装置31を弱モードとするのが望ましい。
また、居住者が覚醒状態であると判定された場合に、換気装置31を弱モードとすることに代えて、換気装置31の運転を停止させるようにしてもよい。その場合、居住者の寝入りばなにおいて換気に伴う騒音がなくなるため、居住者はより速やかに眠りにつくことが可能となる。
(4)ところで、上記実施形態の換気システムでは、屋外から換気装置31へ延びる取込ダクト32と、換気装置31より寝室15へと延びる給気ダクト34とを含んで、屋外から寝室15へ通じる空気通路が形成されている。かかる構成では、夜間に建物10周辺で騒音(例えば車の走行音等)が発生すると、その騒音が上記空気通路を通じて寝室15へ入り込むことが考えられ、その場合、その騒音により居住者の睡眠が妨げられるおそれがある。
そこで、こうした点に鑑み、上記空気通路を開閉する開閉装置と、建物10周辺で発生した屋外の騒音を検出する騒音センサとを設けることが考えられる。そして、コントローラ40により居住者が睡眠状態にあると判定された場合に、騒音センサにより所定以上の騒音が検出されたか否かを判定し、所定以上の騒音が検出された場合には、同コントローラ40により、上記空気通路を開閉装置により閉鎖する制御を行うことが考えられる。その場合、居住者の睡眠時に建物10周辺で騒音が発生した場合に、その騒音が上記空気通路を介して寝室15に入り込むのを抑制することができる。そのため、換気装置31の騒音だけでなく、屋外の騒音により居住者の睡眠が妨げられるのを抑制することもできる。なお、開閉装置は、例えばダンパ装置により構成し、寝室15へ通じる給気ダクト34内に設けることが考えられる。
(5)上記実施形態では、共通の換気装置31により寝室15を含む複数の屋内空間14,15に屋外の空気を供給し換気を行う全館式の換気システムに本発明を適用したが、本発明は必ずしも全館式の換気システムに適用する必要はない。例えば、換気システムとしては、寝室15にのみ屋外の空気を供給し当該寝室15の換気を行う換気装置を備えたものも考えられる。そこで、このような寝室専用の換気システムに本発明を適用してもよい。