JP6989924B2 - Iii族窒化物結晶の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、III族窒化物結晶の製造方法に関する。
近年、GaN結晶やInGaAlN系結晶等のIII族窒化物結晶は、青色LED、白色LEDや、Blu-ray(登録商標)の読取、書込みの光源として用いられる青紫LDなどの発光デバイスに用いられる材料として、その開発が盛んに行われている。高輝度かつ高い信頼性を有した上記の発光デバイスを実現するために、デバイスの下地基板となるIII族の窒化物結晶には、Fe、Zn、Mg、Al等の金属元素や、OやC等の軽元素の不純物が少ない結晶が求められている。
現在、これらの半導体デバイスに用いられているIII族窒化物結晶は、その多くが、サファイアあるいはSiCを種基板として、MOCVD法(有機金属化学気相成長法)やMBE法(分子線結晶成長法)等の気相法により製造されている。また、気相法の一部として、HVPE法(ハロゲン化気相エピタキシー法)では、サファイア、あるいはGaAsを種基板として、その種基板上にGaNを結晶成長させた後、その種基板からGaN結晶を分離することにより、GaN結晶が得られている。
一方、液相法によるGaN結晶の製造方法として、アルカリ金属のナトリウム(Na)とIII族元素のガリウム(Ga)との混合融液中に窒素(N)を溶解してGaN結晶を成長させるフラックス法がある。
フラックス法は、他の液相成長と比較して、低温低圧下で結晶成長させることが可能であり、得られたIII族窒化物結晶は、低転位密度である利点を有している為、実用化に向けた開発が盛んに行われている。
しかしながら、フラックス法には、実用化に向けて2つの課題がある。混合融液で用いるアルカリ金属のナトリウム(Na)は、低温低圧下で、種基板上に窒化物の結晶成長をさせる効果を有する。一方で、金属ナトリウムの特徴である易酸化性かつ易吸湿性から、わずかでも大気にふれると、急激に、大気中の酸素および水分と反応し、酸化ナトリウム、水酸化ナトリウムが生成される。大気との反応によって生成された、混合融液中の酸化ナトリウムや、水酸化ナトリウムは、結晶成長の阻害要因となると共に、III族窒化物結晶は、大気中の、水分由来の酸素を不純物として多量に取り込む可能性がある。混合融液を用いたフラックス法で、窒化物結晶に酸素が取り込まれた場合、得られたIII族窒化物単結晶は黒く着色し、デバイスの下地基板としては、使用できない。これがフラックス法の1つ目の課題である。
フラックス法は、もう1つの課題を有している。結晶成長中に、混合融液を均一に攪拌しないと、結晶内部にアルカリ金属が取り込まれるマクロ欠陥(インクルージョン)が発生する。また、混合融液と窒素(N)との境界には、多量の雑結晶が発生してしまう。そのため、III族原料が、雑結晶の成長に消費され、窒化物結晶を厚く成長できない。また、マクロ欠陥を有した窒化物結晶は、以降の後工程で熱処理を行うとマクロ欠陥が破裂してしまうため、これもデバイスの下地基板としては使用できない。これがフラックス法の2つ目の課題である。
混合融液を均一に攪拌するためには、例えば、本発明者が考案し、実施したように、反応容器内に加熱ヒータを複数配置し、結晶成長中に、複数のヒータを独立して厳密に制御することで、温度分布を設ける対策がある。これによって発生する混合融液の熱対流を活用して、混合融液を均一に攪拌し、マクロ欠陥や雑結晶の発生を抑制することができる。
上記対策において、温度分布の条件を精度よく実現するために、例えば、反応容器内に配置するヒータの材質にはカーボンを使い、複数のヒータを独立に制御する。独立したカーボンヒータ同士を絶縁する材質にはBN(ボロンナイトライド)、圧力容器内部の熱逃げを防止する断熱材として、繊維状のセラミックを用いる。BN、繊維状セラミック、いずれの材質にも、吸湿性や酸化性があり、特にBNの吸湿性は高いことが知られている。
フラックス法は、易酸化性、易吸湿性の金属ナトリウムを原料として使うため、窒化物結晶に容易に、酸素が取り込まれやすい。そのため、フラックス法では、混合融液の吸湿や酸化を低減させることが必要である。一方、上述の窒化物結晶のマクロ欠陥の抑制、雑結晶の抑制には、混合融液を熱対流させる温度分布が必要である。そのため、圧力容器内に、吸湿性のある複数のカーボンヒータ、絶縁材および断熱材を組み合わせる装置構成が必要であるとしている。フラックス法は、窒化物結晶の酸素不純物、マクロ欠陥、の課題に対して、その両者の対策内容は、一方を対策すれば、もう一方がその影響で、悪くなるというトレードオフの関係になっている。
本発明者が実施したフラックス法においても、同じ課題を有していた。本発明者が開発を行う結晶成長装置の内部は、当初、ヒータ構造が簡素なため、混合融液に、適切な熱対流を発生させられなかった。その結果、得られる窒化物結晶には常にマクロ欠陥が発生し、また、雑結晶の発生により、厚い窒化物結晶を得ることができなかった。本発明者は、その対策で上述のように、ヒータ構造を複雑化して、温度条件を厳密に制御した。その結果、マクロ欠陥は改善されるが、得られる窒化物結晶は酸素に起因した着色が発生した。特に窒化物結晶の着色は、同じ手順、同じ材料でも、突然発生する場合があった。また、明確な理由もなく、突然改善する場合があった。そのため、本発明者は、安定性に欠ける窒化物結晶の着色、すなわち酸素不純物の課題に頭を悩ませていた。
したがって、フラックス法は、上記の窒化物結晶の着色に対する課題の解決のため、特許文献1及び特許文献2のように、製造装置、圧力容器、反応容器の構造に関する発明が複数開示されている。
特許第4968708号 特許第4963108号
特許文献1、2は、いずれも、反応容器を加熱、加圧処理前には気密に封止し、加熱、加圧処理時、もしくは処理中に気密部の変形や溶融によって、連通させることで、反応容器を水分に晒さないことを特徴としている。
しかしながら、上記方法では、連通させた後に、圧力容器内の部材から排出された水分が、反応容器内の混合融液のアルカリ金属を酸化させ、結晶成長に影響を与える可能性を有している。
本開示の目的は、フラックス法が有する問題に鑑みてなされたものであって、結晶中の酸素不純物が少ないIII族窒化物結晶の製造方法を提供することである。
上述した目的を達成するために、本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、アルカリ金属、III族元素含有原料、種基板を収納する坩堝、前記坩堝を収納する反応容器、前記反応容器を収納する圧力容器、窒素元素含有ガス及び/又はアルゴンガスを前記圧力容器に導入するガス供給管、前記圧力容器を封止する蓋、前記反応容器を加熱するヒータ、前記ヒータと前記反応容器とを絶縁するための絶縁材、前記反応容器内の熱漏れを防止する断熱材を使用してIII族窒化物結晶を製造する方法であって、
前記蓋を前記圧力容器から分離して、前記圧力容器内に前記反応容器に収納し、前記蓋で前記圧力容器を封止した後に、アルゴンガスを前記圧力容器内に充填する工程と、
前記アルゴンガスを加熱して保持する工程と、
前記加熱したアルゴンガスを前記圧力容器から排出する工程と、
前記窒素元素含有ガスを前記圧力容器内に導入し、前記アルカリ金属と前記III族元素含有原料とを反応させて前記種基板上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、
を有する。
本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によれば、III族窒化物結晶の成長工程に先立って、圧力容器内にアルゴンを充填し、該アルゴンを加熱して保持した後、加熱したアルゴンを圧力容器から排出している。これによって、フラックス法で課題となっている圧力容器内部の絶縁材、ヒータに吸湿した水分を除去することができる。また、吸湿性を有するヒータ、断熱材、絶縁材を自由に、内部に配置することができ、対流を発生させる温度分布を実現できる。したがって、本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によれば、酸素不純物が少ない、III族窒化物結晶を製造できるという効果がある。
図1は、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造装置を示す概略断面図である。 図2は、実施の形態1に係る結晶成長方法の順番を示すフロー図である。 図3Aは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内に反応容器を設置するS07の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図3Bは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内部を真空引きするS08の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図3Cは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内にアルゴンガスを封入し、加圧、高温状態を継続するS09,S10の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図3Dは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、露点が-38℃以下の場合に圧力容器内からアルゴンガスを排出するS12の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図3Eは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内に窒素ガスを封入するS13の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図4は、実施の形態1に係る、結晶成長を3回行った際の得られたIII族窒化物結晶の出来栄えを示す図である。 図5は、比較例1における結晶成長方法の順番を示すフロー図である。 図6Aは、比較例1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内に反応容器を設置するS07の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図6Bは、比較例1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内部を真空引きするS08の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図6Cは、比較例1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内に窒素ガスを封入するS13の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。 図7は、比較例1における、結晶成長を3回行った際の得られたIII族窒化物結晶の出来栄えを示す図である。 図8は、比較例2において、加熱開始から20時間後に排出された窒素ガスの露点とIII族窒化物結晶の着色度合いとの関連を示す図である。 図9は、実施例1および比較例1で得られた窒化物結晶中の不純物をD-SIMSにより測定した結果の一覧である。
第1の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、アルカリ金属、III族元素含有原料、種基板を収納する坩堝、前記坩堝を収納する反応容器、前記反応容器を収納する圧力容器、窒素元素含有ガス及び/又はアルゴンガスを前記圧力容器に導入するガス供給管、前記圧力容器を封止する蓋、前記反応容器を加熱するヒータ、前記ヒータと前記反応容器とを絶縁するための絶縁材、前記反応容器内の熱漏れを防止する断熱材を使用してIII族窒化物結晶を製造する方法であって、
前記蓋を前記圧力容器から分離して、前記圧力容器内に前記反応容器を収納し、前記蓋で前記圧力容器を封止した後に、アルゴンガスを前記圧力容器内に充填する工程と、
前記アルゴンガスを加熱して保持する工程と、
前記加熱したアルゴンガスを前記圧力容器から排出する工程と、
前記窒素元素含有ガスを前記圧力容器内に導入し、前記アルカリ金属と前記III族元素含有原料とを反応させて前記種基板上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、
を有することを特徴とする。
第2の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1の態様において、前記アルゴンガスを充填する工程と、前記アルゴンガスを加熱して保持する工程と、前記加熱したアルゴンガスを排出する工程と、を繰り返し行ってもよい。
第3の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1又は第2の態様において、前記排出するガスの露点を測定する工程を有してもよい。
第4の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1から第3のいずれかの態様において、前記排出するガスの露点は-38℃以下であってもよい。
第5の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1から第4のいずれかの態様において、前記絶縁材は、ボロンナイトライドで構成され、前記アルゴンガスを200~700℃で加熱して保持してもよい。
第6の態様に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、上記第1から第5のいずれかの態様において、前記ヒータには、カーボンヒータを使用してもよい。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶製造装置を示す概略断面図である。図1を参照して、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法および使用されるIII族窒化物結晶製造装置の構成例を説明する。
<III族窒化物結晶製造装置>
実施の形態1に係るIII族窒化物結晶製造装置10は、種基板11上にIII族窒化物結晶12の成長を行うため、アルカリ金属と少なくともIII族元素を含む混合融液13、種基板11、坩堝容器14、それらが収納された反応容器15を反応容器設置台16に設置できる。なお、反応容器15は、反応容器設置台16から着脱可能である。
圧力容器28内の圧力を一定に維持するため、III族窒化物結晶製造装置10は、ステンレス製の閉じた形状の圧力容器28と蓋27とから構成されている。圧力容器28と27は、図示しないOリングによって密閉性を確保している。
前記マクロ欠陥の発生を抑制することを目的として、このIII族窒化物結晶製造装置10の内部は、ヒータ支持管25で支持された底ヒータ17~上段ヒータ20を有している。さらに、断熱材26、ヒータ17~ヒータ20を独立制御するための絶縁材21~24で構成されている。
III族窒化物結晶製造装置10は、III族窒化物結晶の原料を供給するための、窒素(N)ガス32とその圧力調節器31、および本開示の趣旨である装置内部に吸着した水分を除去するためのアルゴン(Ar)ガス34、その圧力調節器33を備えている。マスフローコントローラー30、ガス供給配管29によって、圧力容器28に窒素(N)、アルゴン(Ar)を供給することができる。なお、混合融液に溶解させる窒素元素は、III族窒化物結晶を成長させる窒素源となるものであれば足りる。例えば、窒素(N)ガス以外にもアンモニア(NH)ヒドラジン(N)アジ化ナトリウム(NaN)などの窒素元素含有ガスを適用することができる。
結晶成長中は、マスフローコントローラー30によって一定流量(例えば1000sccm)の窒素(N)を供給することが望ましい。結晶成長中の設定圧力を一定にするため、圧力計39と通信ケーブル41とで接続された圧力調整器40が、窒素(N)を排出し、圧力計39の圧力を一定に維持するように圧力調整を行う。また、排出した窒素(N)アルゴン(Ar)は、露点計測器42によって、水分の測定が可能である。
III族窒化物結晶製造装置10は、圧力容器28と蓋27を分離した際に、入り込む大気を追い出すための排気配管35、バルブ36および真空ポンプ38を備えている。また、真空計37によって圧力容器28内の真空度を測定することができる。
<III族窒化物結晶の製造方法>
図2の結晶成長開始までのフロー図および、図3A乃至図3Eの結晶成長までの段階的に示す概略断面図を参照しながら、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法を、詳細に説明する。
(1)III族窒化物結晶製造装置10は、マスフローコントローラー30、圧力調整器40を閉じ、バルブ36を開け、排気配管35につながれた真空ポンプ38を動作させて、圧力容器28の真空引きを行う。同時に、ヒータ17~20を通電して、炉内を加熱しておく(S01)。前回の結晶成長後、開放時に吸着した水分を追い出しておくことを目的とする真空ベーキングを行う。真空ベーキング中は、炉内の真空度を、真空計37で監視しておき、その真空度は、1×10-1Pa以下になることが望ましい。1×10-1Pa以上であると、圧力容器28と蓋27とを密閉するOリング(図示しない)、もしくはガス供給配管29、排気配管35で使用している継手(図示しない)のいずれかにリークが発生しているか、内部部材に水分が、多量に吸着している可能性がある。いずれも結晶成長に影響を与えるため、真空引きの経過時間に対しての真空計37が示す真空度を記録し、定期的にスヌープ液で、継手にリークが無いかの点検を行うことが望ましい。ヒータ17~20の負荷を少なくし、効果的な真空ベーキングを行うためには、加熱の温度は900度以上、1000度以下で、真空ベークは、真空計37が示す真空度が飽和するまで、12時間以上行うことが望ましい。
(2)III族窒化物結晶製造装置10が真空ベーキングを行っている際に、結晶成長に用いる、種基板11、坩堝容器14、反応容器15、III族元素材料、アルカリ金属を図示しない非酸化性雰囲気のグローブボックスへ搬入しておく(S02)。これらの部材や材料表面に吸着した水分をグローブボックス内の不活性ガス雰囲気中で、除去しておくことを目的としている。
(3)圧力容器28へ100℃以下の温度で反応容器15を設置できるように、ヒータ17~20の停止および、バルブ36を閉じて、真空ポンプ38を停止する(S03)。真空引きを継続したまま、結晶成長装置を冷却すると、100℃以下となる時間が約30時間となってしまう。
(4)降温時間を短縮するため、窒素(N)を、3.0MPaで、圧力容器28へ封入しておくことで、冷却時間を8時間以内に短縮することが望ましい(S04)。なお100℃以上で、反応容器15を設置して真空引きを行うと、アルカリ金属の蒸気圧が低下し、アルカリ金属が気化する懸念があるため、100℃以下とする。
(5)圧力容器28内部が100℃以下になる時間の1時間前に、図示しない非酸化性のグローブボックス内において、坩堝容器14内に種基板11、III族元素材料、アルカリ金属を設置する。坩堝容器14をさらに反応容器15内に収納する(S05)。作業中はグローブボックス内の酸素濃度が1ppm以下を維持し、かつアルカリ金属に変色が無いことを確認しておく。グローブボックス内で易酸化性のアルカリ金属が酸化、すなわち変色してしまった場合、セラミック製のナイフを用いて、酸化したアルカリ金属を取り除く。
(6)III族元素、アルカリ金属、種基板11が設置された坩堝容器14を反応容器15へ収納した後、圧力容器28の窒素ガスを排出し、圧力容器蓋27を取り外し、圧力容器28内部の大気開放を行う。
(7)圧力容器蓋27を外した後、反応容器15をグローブボックスから取り出し(S06)、圧力容器28の設置台16に反応容器15の設置を行い、圧力容器蓋27を閉める(S07)。図3Aは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器内に反応容器を設置したS07の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。圧力容器28内部は、大気雰囲気43であり、内部の絶縁材22、23およびカーボンヒータ19には、大気成分に由来する水分44が吸着している。なお、概要を説明するために、全部材は図示していない。反応容器15をグローブボックス内から設置台16上に設置する時間は、先行文献では5分の所要時間でも、窒化物結晶が着色したとの記載があり、短いほどよいとされている。これは大気成分に存在している水分が、部材に吸着するのを防ぐことを意図しているものであるが、本開示では、その時間が30分であっても同様の効果が得られる。
(8)圧力容器蓋27を閉めた後、バルブ36を開け、真空ポンプ38を動作させ、内部の大気45を排出する真空引きを行う(S08)。図3Bは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器28内部を真空引きするS08の工程における圧力容器内の状態を示す概略断面図である。圧力容器28内部は真空引きされているが、絶縁材23やカーボンヒータ19に付着している水分44は、装置内に残留している。真空引きの際は、真空計37の真空度を監視することが望ましく、圧力容器28内の真空46は、搬入前の真空ベーキングで得られた真空度と同じ、1×10-1Pa以下になることが更に望ましい。
(9)真空ポンプ38を停止し、バルブ36を閉じる。その後、圧力調節器33、マスフローコントローラー30を開けて、アルゴン(Ar)ガスを1.0MPaで封入し(S09)、圧力容器28内部を200℃に加熱して、アルゴンガス雰囲気の加圧、高温状態を1時間継続する(S10)。図3Cは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器28内にアルゴンガスを封入し、加圧、高温状態を継続するS09,S10の工程における圧力容器28内の状態を示す概略断面図である。封入したアルゴンガス47を加熱することによって、絶縁材23やヒータ19に吸湿した水分44を除去することができる。加熱温度は、アルゴン雰囲気下で、事前に絶縁材23やヒータ19の脱ガス試験を行っておき、水分が最も除去される温度を設定することが望ましい。絶縁材23の材質にBNを用いた場合は、200~700℃が最も水分の除去効果が高い。圧力容器28に配置したアルカリ金属が気化することを防止するため、アルゴンの設定圧力は、0.1MPa以上が好ましく、1.0MPa以上あることが更に好ましい。ここで、アルゴンガスを使用する理由は、その比熱にある。アルゴンの比熱は519J/kg℃であり、窒素は1043、J/kg℃、ヘリウムは5,195J/kg℃であり、不活性ガスの中では、最も比熱が低い。すなわち、アルゴンは、加熱されやすく、水分を除去する効果が高い不活性ガスであるといえる。その特徴を利用すれば、フラックス法で課題となっている圧力容器内部の絶縁材、ヒータに吸湿した水分をアルゴン雰囲気47に水分48として取り込んで除去することができる。また、吸湿性を有するヒータ、断熱材、絶縁材を自由に、内部に配置することができ、対流を発生させる温度分布を実現できる。したがって、本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によれば、酸素不純物が少なく、かつマクロ欠陥の少ない、III族窒化物結晶を製造できる。
(10)アルゴンガスでの加圧、高温状態を維持した後、圧力調整器40を1分間空ける。炉内のアルゴンガスの一部を排出し、排気配管35に接続された露点計測器42で、排出ガスに含まれる水分を測定する(S11)。本課題を解決するためには、後述する実施例2のデータから、露点は―38℃以下が望ましい。また―38℃以上の場合は、吸着している水分が除去しきれていない可能性があるため、100℃まで冷却した後、真空引き、アルゴン封入、の作業を複数回行うサイクルパージを実施することで、露点は―38℃以下を得ることができる。
(11)結晶成長にアルゴンガスは不要であるため、炉内の温度が100℃以下になった後、バルブ36を開いて、真空ポンプ38を動作させ、圧力容器28内部のアルゴンガス49および吸着した水分50を排出する(S12)。図3Dは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、露点が-38℃以下の場合に圧力容器28内からアルゴンガス49を排出するS12の工程における圧力容器28内の状態を示す概略断面図である。その後、圧力容器28内は真空46となる。
(12)バルブ36を閉じて、真空ポンプ38を停止し、圧力調節器31とマスフローコントローラー30を開いて窒素ガス32を圧力容器28内部に封入し、圧力を3.4MPaに設定する。図3Eは、実施の形態1に係るIII族窒化物結晶の製造方法において、圧力容器28内に窒素ガスを封入するS13の工程における圧力容器28内の状態示す概略断面図である。図3Eに示すように、圧力容器28内には残留する水分はほとんどなく、窒素雰囲気51となっている。
(13)ヒータ17~20を通電し、反応容器15の中心温度が870℃になるように、中段ヒータ19、下段ヒータ18の温度を870℃に設定する(S13))。マクロ欠陥や雑結晶の発生を防止するための熱対流の発生に、反応容器15内部は下側が875℃、上側が865℃の温度条件が必要であった場合、上段ヒータ20は865℃、底ヒータ17は875℃に設定する。結晶成長時間が100時間を越え、窒化物結晶の口径が4インチ以上となり、より均一な混合融液13の攪拌が必要とされる場合、中段ヒータ19と下段ヒータ18間、上段ヒータ20と底ヒータ17間で微調整を行い、前記のマクロ欠陥、雑結晶に対する課題を防止することができる。
(14)設定圧力3.4MPaを圧力計39および通信ケーブル41と接続された圧力調整器40で維持し、更にヒータ17から20の設定によって、反応容器の温度を870℃で制御された状態を維持すると、混合融液13に窒素(N)が溶け込み、混合融液中にGaN・Naの可溶種を形成される。種基板11上の過飽和領域においてGaN・NaからGaN単結晶の核が発生し、ついで熱対流により、マクロ欠陥がない連続的なGaN結晶の成長が行われる。この状態を50時間維持する(S14)。
(15)ヒータ17~20を停止し、炉内温度が100℃以下になるまで、窒素の加圧状態を維持する。
(16)窒素を排出し、炉内圧力が0.1MPaとなった後、圧力容器蓋27を開ける。そこから、反応容器15を取り出し、坩堝容器内14に設置していた種基板11上に成長したIII族窒化物結晶12を取出す(S16)。III族窒化物結晶12を取出した後、III族窒化物結晶製造装置10は、劣化した部品や、窒化の激しいステンレス部材の設置台16やヒータ支持管25を交換する等のメンテナンスを行うことが、装置維持、水分以外の汚染物付着防止の観点から望ましい。例えば、メンテナンス実施後、蓋27を閉め、次回の結晶成長に備えて、上記のS01の真空ベーキング作業を行っておく。
(実施例1)
図1に示すIII族窒化物結晶製造装置10を用い、図2、図3A乃至図3Eに示す方法に従って、III族窒化物結晶として窒化ガリウム(GaN)の結晶成長を3回実施した。
(1)まず、反応容器15を反応容器設置台16に設置する36時間前に、III族窒化物結晶製造装置10は、マスフローコントローラー30、圧力調整器40を閉じ、バルブ36を開け、排気配管35につながれた真空ポンプ38を動作させて、圧力容器28の真空引きを行った。同時に、ヒータ17~20を通電し、炉内を900℃に加熱し真空ベーキングを24時間実施した(S01)。真空ベーキング開始12時間後の真空度は7×10-2Paであったため、配管および継手のリーク、装置内の水分吸着は、問題ないと判断した。
(2)反応容器15を反応容器設置台16に設置する24時間前に、1mmのサファイア基板上にGaN薄膜を5μm成長した直径75mmのウェハを2分割した種基板11、直径140mm、5N純度のアルミナ製の坩堝容器14、直径180mmのステンレス製の反応容器15、III族元素としてガリウム(Ga)をグローブボックスへ搬入した(S02)。アルカリ金属は納入後、常時グローブボックス内で保管されている金属ナトリウム(Na)を使用した。
(3)反応容器15を反応容器設置台16に設置する12時間前にヒータ17~20を停止し(S03)、おって窒素ガスを、3.0MPaで封入し、III族窒化物結晶製造装置10を100℃まで、12時間かけて降温した(S04)。
(5)反応容器15を反応容器設置台16に設置する1時間前に、グローブボックス内において、坩堝容器14内に種基板11、III族元素のガリウム(Ga)と、アルカリ金属のナトリウム(Na)とを設置した。混合融液13中における、ナトリウムおよびガリウムの総モル数に対するナトリウムのモル数の比率、Na/(Na+Ga)は、0.73とし、高温での混合融液13の液面高さは坩堝容器14の底から20mmになるようにGa、Na重量をそれぞれ秤量した。設置作業中はグローブボックス内の酸素濃度が1ppm以下で、かつアルカリ金属のNaに、酸化に起因する白色、薄赤色や過酸化に起因する小金色の変色が無いことを確認した。3回の結晶成長は、いずれも、グローブボックス内の作業に30分の時間を要した。
(6)反応容器15へ種基板11、ガリウム(Ga)、ナトリウム(Na)の収納が完了した後、圧力容器28内部の窒素ガスを排出し、圧力容器蓋27を取り外し、III族窒化物結晶製造装置10の開放を行った。
(7)圧力容器蓋27を取り外した後、反応容器15をグローブボックスから取り出し(S06)、反応容器15の設置を行い、圧力容器蓋27を閉めた(S07)。3回の結晶成長は、いずれも、蓋を閉めるまでの時間は30分の時間を要した。
(8)圧力容器蓋27を閉めた後、バルブ36を開け、真空ポンプ38を動作させ、内部の真空引きを2時間行った(S08)。3回の結晶成長はいずれも、真空計37の真空度は、7×10-2Paだったため、問題ないと判断した。
(9)真空ポンプ38を停止し、バルブ36を閉じた。その後、圧力調節器33を開けて、アルゴンガスを1.0MPaで封入して(S09)、内部を200℃に加熱し、アルゴンガス雰囲気の加圧、高温状態を1時間継続した(S10)。その後、ヒータ17~20を停止させた。
(10)炉内のアルゴンガスの一部を排出し、排気配管35に接続された露点計測器42は―70℃を示した(S11)。3回の結晶成長はいずれにおいても、アルゴンガスのサイクルパージを実施しなかった。
(11)炉内の温度が100℃以下になった後、再度、バルブ36を開いて真空ポンプ38を動作させ、圧力容器28内部のアルゴン(Ar)ガスを排出した(S12)。
(12)バルブ36を閉じて、真空ポンプ38を停止し、圧力調節器31とマスフローコントローラー30とを開いて窒素ガスを、圧力容器28に封入し、圧力容器28内部の圧力を3.2MPaに設定した。
(13)ヒータ17~20を動作させ、反応容器15内部の温度が870℃になるように、中段ヒータ19、下段ヒータ18の温度を870℃に設定した。また、上段ヒータ20は865℃とし、底ヒータ17は875℃に設定した(S13)。
(14)マスフローコントローラー30の流量を1000sccmに設定し、設定圧力3.2MPaを圧力計39と、通信ケーブル41で接続された圧力調整器40とで維持した。更にヒータ17~20の設定によって、反応容器の温度を870℃で制御された状態を50時間維持した(S14)。装置内に設置された図示しないモニター用熱電対で、反応容器は865~875℃の温度分布になっていることを確認した。更に、圧力維持のために排気配管35から排出された窒素の露点を、露点計測器42で、温度が定常状態になってから、20時間後に測定すると、-50℃以下となっていた。
(15)ヒータ17~20を停止し、炉内温度が100℃以下になるまで、窒素の加圧状態を維持した。
(16)窒素ガスを排出し、炉内圧力が0.1MPaとなった後、圧力容器蓋27を開けた。そこから、反応容器15を取り出し、坩堝容器14内部に設置し種基板11上に成長したIII族窒化物結晶12をエタノールで混合融液13を溶かし、取出した(S15)。III族窒化物結晶12を取出した後、III族窒化物結晶製造装置10は、大気中にて、窒化の激しいステンレス部材の反応容器設置台16を事前にブラスト処理や酸洗浄を施した予備品と交換し、熱により破損したBNも取り替えた。同時に、III族窒化物結晶製造装置10に、ヒータの断線、劣化がないことを確認する点検を6時間要して行った。その後、圧力容器蓋27を閉めて(S16)、上記S01の真空ベーキングから2回目、3回目と結晶成長を行った。
得られたIII族窒化物結晶は、3回の結晶成長のいずれにおいても、厚さは0.9~1.0mmの範囲にあり、図4に示すように白色の結晶であった。実施例1で得られたIII族窒化物結晶の両面を研磨すると、無色透明のIII族窒化物結晶が得られた。1回目の結晶成長で得られたIII族窒化物結晶内の酸素の不純物量をD-SIMSにより測定したところ、7.00×1016atoms/cmであった。III族窒化物結晶には、マクロ欠陥がなく、混合融液13の界面に、雑結晶の発生も確認できなかった。
(比較例1)
比較例1に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、図1に示すIII族窒化物結晶製造装置を用いて、図5のフローチャート、および図6A乃至図6Cの結晶成長開始までを表す段階的断面図に基づいて行った。すなわち、比較例1では、本開示の骨子である実施例1のS09~S12のアルゴンガスの封入及び加熱からアルゴンガスの排出までの工程を実施しない以外は、実施例1と同様の方法で、結晶成長を3回実施した。
実施例1と異なったのは、S14の窒素の加圧高温状態で、20時間後に排出された窒素の露点を測定すると、-20℃から-25℃の範囲にあった。
つまり、図6Cの圧力容器28内に窒素ガスを封入するS13の工程における圧力容器28内の状態を示す概略断面図に示すように、封入された窒素51以外に絶縁材23やカーボンヒータ19に付着している水分44は、そのまま圧力容器28内に残留していた。
得られた窒化物結晶は、3回の結晶成長のいずれにおいても、厚さは0.4~0.5mmの範囲にあり、装置内部に吸着した水分によって結晶成長が阻害された傾向が見られた。図7に示すように、1回目、2回目、3回目のいずれの結晶育成においても得られたIII族窒化物結晶は、黒く、着色しており、研磨を実施しても着色したままであった。窒化物結晶には、マクロ欠陥がなかったが、比較例1の1回目の結晶成長で得られた窒化物結晶の酸素の不純物量をD-SIMSにより測定したところ、6.60×1019atoms/cmであった。実施例1と比較すると酸素不純物の濃度が約3桁も多い結果となった。
図9に示すように、また実施例1と比較例1で得られたIII族窒化物結晶中の不純物を酸素以外についても比較した。実施例1は、酸素以外にもアルミニウムやナトリウムが比較例1に対して少ない傾向があった。しかし酸素ほどの顕著な、差異は見られなかった。結晶成長中のアルミナ製の坩堝容器14は、アルカリ金属によってエッチングされ、アルミニウムが溶出し窒化物結晶へ不純物として取り込まれていると想定している。これに対して、実施例1のアルミニウムの不純物が少なかったのは、溶出量は同じだったが、実施例1の結晶成長の速度が、比較例1と比較して大きいことで、取り込まれる量が少なく変化したと思われる。
(比較例2)
図8は、比較例2において、加熱開始から20時間後に排出された窒素ガスの露点とIII族窒化物結晶の着色度合いとの関連を示す図である。
本発明の着想前に、比較例1の方法で、繰り返し結晶成長を行って、全く結晶成長が安定しない時期があった。そこで本発明者は、前記の20時間後に排出された窒素の露点の記録を引き出して、得られた窒化物結晶の出来栄えと、関連づけを実施した。その結果、図8に示すように、露点が悪化する、つまり露点が上昇すると、それに伴い結晶が着色していく傾向が見られた。具体的には、露点が-15℃になると、種基板11に窒化物結晶が全く成長しない結果となる結果を得た。露点が-38.0℃以下では着色がなく正常に結晶成長した(実施例1)。露点が-38℃を超え、-15℃未満の間では、結晶成長するものの、露点の上昇に伴って着色度合いが強くなる傾向が見られた。
(まとめ)
実施例1によって得られたIII族窒化物結晶は、マクロ欠陥も酸素不純物に起因する着色も見られず、結晶成長を複数回実施しても、その出来栄えも安定していた。これは、圧力容器28にアルゴンガスを充填し、高温加熱状態を維持したことにより、圧力容器28内の水分が除去されたことによる効果にほかならないと考えられる。実施例1に示す排出されたガスの露点値と、図9の露点値とIII族窒化物結晶の出来栄えも、その仮説を裏付けている。したがって、本開示に係るIII族窒化物結晶の製造方法によって、フラックス法が有していた課題を簡易な装置構成と、方法で解決したことがわかる。
なお、本開示においては、前述した様々な実施の形態及び/又は実施例のうちの任意の実施の形態及び/又は実施例を適宜組み合わせることを含むものであり、それぞれの実施の形態及び/又は実施例が有する効果を奏することができる。
本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法によって得られる、III族窒化物結晶からなる半導体基板は、LEDやLD等の発光デバイスの作成に利用することができる。得られたIII族窒化物結晶は、優れた発光特性及び高い信頼性を有する。つまり、本発明に係るIII族窒化物結晶の製造方法は、III族窒化物結晶の発光特性及び信頼性の向上に有用である。また、FETなどのその他一般の半導体デバイスにも有用できる。
10 :III族窒化物結晶製造装置
11 :種基板
12 :III族窒化物結晶
13 :混合融液
14 :坩堝容器
15 :反応容器
16 :反応容器設置台
17 :底ヒータ
18 :下段ヒータ
19 :中段ヒータ(カーボンヒータ)
20 :上段ヒータ
21 :底絶絶縁材
22 :下段絶縁材
23 :中段絶縁材
24 :上段絶縁材
25 :ヒータ支持管
26 :断熱材
27 :圧力容器蓋
28 :圧力容器
29 :ガス供給配管
30 :マスフローコントローラー
31、33、:圧力調節器
32 :窒素ガス
34 :アルゴンガス
35 :排気配管
36 :バルブ
37 :真空計
38 :真空ポンプ
39 :圧力計
40 :圧力調整器
41 :通信ケーブル
42 :露点計測器
43 :大気雰囲気
44 :水分
45 :大気
46 :真空
47 :アルゴン雰囲気
48 :水分
49 :アルゴン
50 :水分
51 :窒素雰囲気

Claims (6)

  1. アルカリ金属、III族元素含有原料、種基板を収納する坩堝、前記坩堝を収納する反応容器、前記反応容器を収納する圧力容器、窒素元素含有ガス及び/又はアルゴンガスを前記圧力容器に導入するガス供給管、前記圧力容器を封止する蓋、前記反応容器を加熱する複数のヒータ、前記複数のヒータ間及び/又は前記複数のヒータのうちの少なくとも一つと前記反応容器とを絶縁するための複数の絶縁材、前記反応容器内の熱漏れを防止する断熱材を使用してIII族窒化物結晶を製造する方法であって、
    前記蓋を前記圧力容器から分離して、前記圧力容器内に前記反応容器を収納し、前記蓋で前記圧力容器を封止した後に、アルゴンガスを前記圧力容器内に充填する工程と、
    前記アルゴンガスを加熱して保持する工程と、
    前記加熱したアルゴンガスを前記圧力容器から排出する工程と、
    前記窒素元素含有ガスを前記圧力容器内に導入し、前記アルカリ金属と前記III族元素含有原料とを反応させて前記種基板上にIII族窒化物結晶を成長させる工程と、
    を有し、
    前記複数のヒータは、前記反応容器の底側に配置される底ヒータと、前記反応容器の側面側の下部及び上部に配置される2つ以上の側面ヒータと、を含み、
    前記複数のヒータの各々を独立に制御することを特徴とする、III族窒化物結晶の製造方法。
  2. 前記アルゴンガスを充填する工程と、前記アルゴンガスを加熱して保持する工程と、前記加熱したアルゴンガスを排出する工程と、を繰り返し行うことを特徴とする、請求項1に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  3. 前記排出するガスの露点を測定する工程を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  4. 前記排出するガスの露点は-38℃以下であることを特徴とした請求項1~3のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  5. 前記絶縁材は、ボロンナイトライドで構成され、前記アルゴンガスを200~700℃で加熱して保持することを特徴とした請求項1~4のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
  6. 前記ヒータには、カーボンヒータを使用することを特徴とした請求項1~5のいずれか一項に記載のIII族窒化物結晶の製造方法。
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