JP6989522B2 - シート用パッド - Google Patents

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Description

本発明は、シート用パッドに関するものである。
本願は、2016年12月22日に日本に出願された特願2016−249497号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
この種のシート用パッドとして、例えば下記特許文献1に示されるような、乗員が着座する座部と、座部の後側から起立して乗員を背後から支持する背もたれ部と、を備えた構成が知られている。
国際公開第2005−122834号
しかしながら、前記従来のシート用パッドでは、カーブの走行時や車線変更時などで車体に遠心力(遠心加速度G)が作用すると、例えば、乗員の上体が捩じれたり、ぐらついたりする可能性がある。この場合、例えば乗員が運転者であると、運転中に視線がずれ操縦安定性が悪化する可能性がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、車体に遠心力が作用しても、乗員の上体が捩じれたり、ぐらついたりするのを抑制することができるシート用パッドを提供することを目的とする。
本発明に係るシート用パッドは、乗員が着座する座部の後側から起立して乗員を背後から支持する背もたれ部を備えたシート用パッドであって、前記背もたれ部のうち、乗員の少なくとも腰部を支持する下側部の前後方向の硬度は、乗員の少なくとも肩部を支持する上側部の前後方向の硬度より低くなっている。
本発明に係るシート用パッドによれば、車体に遠心力が作用しても、乗員の上体が捩じれたり、ぐらついたりするのを抑制することができる。
本発明の実施の形態によるシート用パッドを前方から見た正面図である。 本発明の実施の形態によるシート用パッドを斜め前方から見た斜視図である。 本発明の実施の形態によるシート用パッドの背もたれ部の一部を示す拡大縦断面図である。 発泡セルのアスペクト比を説明するための図である。 シート用パッドの背もたれ部の要部断面図であって、着座面側の前端部の拡大図である。 シート用パッドの背もたれ部の要部断面図であって、中間部分の拡大図である。 シート用パッドの背もたれ部の要部断面図であって、裏面側の後端部の拡大図である。 シート用パッドを製造するための金型の縦断面図である。 シート用パッドの背もたれ部における前後方向位置とアスペクト比との関係を示すグラフである。 シート用パッドの背もたれ部における前後方向位置と硬度比との関係を示すグラフである。
以下、本発明によるシート用パッドの実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1および図2に示すように、本実施の形態のシート用パッド1は、例えば自動車(車両)に取り付けられる座席(着座部)などに採用され、乗員が着座する座部11と、座部11の後側から起立して乗員を背後から支持する背もたれ部12と、を備える。座部11および背もたれ部12は、発泡原液が発泡し成形されることで得られる軟質ポリウレタンフォーム成形品である。前記発泡原液は、例えば、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、架橋剤、発泡剤、および触媒を含有する。
なお、シート用パッド1として、座部11を有さず、背もたれ部12のみを有する構成を採用してもよい。
座部11および背もたれ部12はそれぞれ、乗員を支持する着座面11a、12aを備える。座部11の着座面11aは上方を向き、背もたれ部12の着座面11aは前方を向いている。
そして本実施形態では、背もたれ部12のうち、乗員の少なくとも腰部を支持する下側部13の前後方向Xの硬度は、乗員の少なくとも肩部を支持する上側部14の前後方向Xの硬度より低くなっている。腰部は下部領域(背もたれ部を上下方向に3等分割したときの最も下部の領域)に位置する。
すなわち、下側部13における前後方向Xの全域にわたる硬度が、上側部14における前後方向Xの全域にわたる硬度より低くなっている。この硬度は、日本工業規格JIS K 6400(2004)に規定されるD法に準拠して測定することができる。上側部14の前後方向Xの硬度は、下側部13の前後方向Xの硬度の1.5倍以上となっている。また、上側部14の前後方向Xの硬度は、0.4kPa以上0.9kPa以下となっている。下側部13の前後方向Xの硬度は、0.2kPa以上0.4kPa以下となっている。なお、これらの硬度についての数値は適宜変更してもよい。
下側部13および上側部14はそれぞれ、互いに材質の異なる1種類の材質で各別に形成されている。なお、背もたれ部12は、下側部13および上側部14を含む全体を一体に1種類の発泡原液を発泡させて成形することで形成してもよい。
上側部14および下側部13は上下方向Zに互いに連なっている。これらの上側部14と下側部13との境界部15は、背もたれ部12を、上部領域12xと下部領域12yとこれら12x、12yの間に位置する中央領域12zとに3等分割したときの中央領域12zに位置している。
背もたれ部12の境界部15より上下方向下側すべてを下部領域とし、背もたれ部12の境界部15より上下方向上側すべてを上部領域とすることが好ましい。
境界部は、中央領域を上下方向に2等分割した位置又は2等分割した位置より下側に位置することが好ましい。
図示の例では、前記境界部15は、前記中央領域12zにおける上下方向Zの中央部に位置している。なお、前記境界部15の上下方向Zの位置は、これに限らず適宜変更してもよい。
ここで、背もたれ部12を上下方向Zに3等分割するに際し、背もたれ部12の上端位置および下端位置は、背もたれ部12および座部11を互いに組み付けた状態で、背もたれ部12を前方から見たときの、背もたれ部12の着座面12aの上端縁および下端縁により特定する。 なお、下側部13と上側部14との間に、これら13、14とは異なる材質で形成された部分を介在させてもよい。
背もたれ部12の着座面12aにおける左右方向Yの両側には、上下方向Zに延びる縦溝17が各別に形成されている。縦溝17は、背もたれ部12の着座面12aにおける下端部を除く上下方向Zの全域にわたって配置されている。縦溝17は、上下方向Zの外側から内側に向かうに従い漸次左右方向Yの内側に向けて延び、背もたれ部12の着座面12aを前方から見た正面視で、左右方向Yの内側に向けて突の曲線状を呈する。縦溝17における左右方向Yの内端部は、前記中央領域12zに位置している。
背もたれ部12における下側部13と上側部14との境界部15には、左右方向Yに延びるスリット18が形成されている。スリット18は、縦溝17を左右方向Yに横断し、背もたれ部12の着座面12aにおける左右方向Yの全域にわたって配置されている。
背もたれ部12の着座面12aには、縦溝17同士を左右方向Yに接続する横溝19が形成されている。横溝19は、前記中央領域12zのうち、スリット18より上方に位置する部分に配置されている。
なお、上側部14のうち、横溝19とスリット18との間に位置する下部14aは、横溝19より上方に位置する部分より上下方向Zの長さが短くなっている。
シート用パッド1は、背もたれ部12における左右方向Yの両側から前方に向けて突出した一対のサイド補助部16を備える。
サイド補助部16は、背もたれ部12における左右方向Yの両側のうち、少なくとも下部領域12yおよび中央領域12zに一体に配設されている。図示の例では、サイド補助部16は、背もたれ部12における上端部を除く上下方向Zの全域にわたって一体に配設されている。サイド補助部16の前端縁16aは、上下方向Zの外側から内側に向かうに従い漸次、前方に向けて突となる曲線状に形成されている。サイド補助部16の前端縁16aのうち最も前方に位置する頂部16bは、サイド補助部16における上下方向Zの中央部より下側に位置している。
そして、背もたれ部12における下側部13と上側部14との境界部15は、サイド補助部16の頂部16bより上方で、かつサイド補助部16の上端縁16cより下方に位置している。上端縁16cは、サイド補助部16の縁の上端に位置している領域である。
背もたれ部12に含まれる多数の発泡セル21は、図3〜図5Cに示されるように、前後方向Xの大きさRxに対する、背もたれ部12の着座面12aに沿う方向(以下、着座面方向という)YZの大きさRyzの比率、つまり、前記着座面方向YZの大きさRyzを前後方向Xの大きさRxで割った値(以下、アスペクト比という)が、前後方向Xに沿ってこの着座面12a側に位置するものほど大きくなっている。
なお、前記着座面方向YZは、前後方向Xに直交しており、左右方向Yおよび上下方向Zを含んでいる。また、図示の例では、前記着座面方向YZを、図4および図5において、便宜上、紙面の上下方向を示しているが、前記着座面方向YZは、この方向に限らず、着座面12aに沿う例えば紙面の奥行き方向等も含む。すなわち、背もたれ部12に、例えば左右方向Yに長い発泡セル21、および上下方向Zに長い発泡セル21等が混在していてもよい。
また、前記着座面方向YZとは、着座面方向の平面における、上下左右を含むあらゆる方向のことを指す。
背もたれ部12において、発泡セル21のアスペクト比が、前後方向Xに沿って着座面12a側に向かうに従い増加する割合は、背もたれ部12の全域にわたって同等になっている。これにより、背もたれ部12において、前後方向Xで硬さが急激に変動する部分を排除することが可能になり、乗員に着座した際の違和感を生じさせにくくすることができる。なお、ここでいう「同等」とは、全く同一であっても良いし、前後方向Xで誤差の範囲で異なることも含む。
背もたれ部12における下側部13および上側部14はそれぞれ、前後方向Xの全体が1種類の発泡原液を発泡させて成形することで形成されている。なおこれに代えて、下側部13および上側部14は、発泡原液を発泡させて成形した薄層体を複数積層することで各別に形成してもよい。
背もたれ部12において、図3に示す着座面12a側の前端部Aでは、図5Aに示すように、アスペクト比が1より大きく、前記着座面方向YZの大きさRyzが前後方向Xの大きさRxよりも大きく、発泡セル21Aが前記着座面方向YZに長い扁平形状となっている。つまり、この前端部Aに含まれる発泡セル21Aは、前後方向Xに撓み易く、前記着座面方向YZに変形し難くなっており、前後方向Xのクッション性として柔らかく感じられるようになる。
背もたれ部12の前端部Aに含まれる発泡セル21Aのアスペクト比は、1.4〜1.5の範囲に設定されることが好ましい。なお、この数値は、背もたれ部12の前端部Aに含まれる発泡セル21Aのうち、後述するキャビティC1の内面に当接する又は近接する部分で形成されて発泡が抑えられたものを除いたもののアスペクト比となっている。
ここで、前後方向に3等分した前側を前端部A、真ん中を中央部分B、後側を後端部Cとする。
背もたれ部12において、図3に示すような、前後方向Xの中央部分Bでは、図5Bに示すように、アスペクト比が1より大きく、かつ前端部Aのアスペクト比よりも小さい値であり、前記着座面方向YZの大きさRyzが前後方向Xの大きさRxよりもわずかに大きく、円形に対してやや前記着座面方向YZに扁平した形状となっている。つまり、中央部分Bに含まれる発泡セル21Bは、前端部Aの発泡セル21Aに比べて、前後方向Xに撓み難く、前後方向Xのクッション性としてやや硬く感じられる。
背もたれ部12のうち、着座面12aの反対側に位置して後方を向く、図3に示す裏面12b側の後端部Cでは、図5Cに示すように、アスペクト比がほぼ1に近い値であり、前記着座面方向YZの大きさRyzと前後方向Xの大きさRxとがほぼ同等となる円形状となっている。後端部Cに含まれる発泡セル21Cは、前端部Aおよび中央部分Bの各発泡セル21A、21Bに比べて、どの方向からの力に対しても同等の硬さで変形し難く、硬く感じられるようになっている。
背もたれ部12の後端部Cに含まれる発泡セル21Cのアスペクト比は、0.95〜1.05の範囲に設定されることが好ましい。なお、この数値は、背もたれ部12の下端部Cに含まれる発泡セル21Cのうち、後述するキャビティC1の内面に当接する又は近接する部分で形成されて発泡が抑えられたものを除いたもののアスペクト比となっている。
背もたれ部12に含まれる発泡セル21の形状は、前後方向Xに沿って着座面12a側から裏面12b側に向かうに従い漸次、前記着座面方向YZに長い扁平形状から略円形状に連続的に変化している。背もたれ部12の前端部Aに含まれる発泡セル21A、および後端部Cに含まれる発泡セル21Cの各体積は、これらの間に位置する中央部分Bに含まれる発泡セル21Bの体積よりも小さくなっている。すなわち、発泡セル21の体積は、前後方向Xに沿って、前端部Aおよび後端部Cから各別にこれらの間の中央部分Bに向かうに従い漸次大きくなっている。
また、背もたれ部12における前述した発泡セル21の、アスペクト比の数値、およびアスペクト比の変化率等の形態は、座部11においても同等になっている。なお、これに限らず、背もたれ部12および座部11それぞれにおいて、発泡セル21の前記形態等を互いに異ならせてもよい。
なお、以上のように構成されたシート用パッド1は、例えば図6に示される金型3を用いて形成される。
金型3は、下型31と上型32とを備える箱形状に形成され、その内部空間が、シート用パッド1を形成するキャビティC1となっている。上型32は、下型31の上端開口を塞ぐ蓋材であって、外周部に上下に貫くエア抜き孔33が形成されている。なおエア抜き孔33に代えて、下型31と上型32との境界面に細溝を形成してもよい。例えばこの細溝の幅を2mm〜50mmとし、深さを0.1mm〜1.0mmとしてもよい。キャビティC1において、前記境界部15に位置するスリット18を形成する部分に、図示されない壁体が配設される。
ここで、シート用パッド1を形成する材料である軟質ポリウレタンフォームについて説明する。
軟質ポリウレタンフォームの好適な実施形態は、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、および触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームである。上記発泡原液を構成する材料の特徴として、下記(A)〜(C)が挙げられる。
(A) ポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3,000〜12,000であり、かつ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。
(B) 架橋剤成分として発泡原液中に含まれる化合物の全体(架橋剤の総体)におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)は100以上である。
(C) ポリイソシアネートとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)をイソシアネートインデックスで70以上含有する。
<ポリオール成分>
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、重量平均分子量Mwが3,000〜12,000であり、かつ官能基数(ヒドロキシル基の数)が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有する。上記ポリエーテルポリオールとしては、反応性が良好であることから、アルキレンオキシドの開環重合により得られるポリエーテルポリオールが好ましい。
アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)等が挙げられる。ポリエーテルポリオールの材料として使用されるアルキレンオキシドは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールとしては、原料活性の観点から、上記POおよびEOを併用して得られたポリエーテルポリオールが好適である。POとEOとの配合比(モル比)は特に限定されず、例えば、EO/PO(モル比)として、8/92〜25/75が好ましく、13/87〜20/80がより好ましい。EO/PO(モル比)が上記範囲であると、反応性が良好なポリエーテルポリオールを容易に生成することができる。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの一分子中に含まれるヒドロキシル基(官能基)の数は3〜4個であることが好ましい。これらの好適な範囲であると、発泡原液の粘度が適度となり、優れた物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。なお、任意成分として、前記(A)のポリエーテルポリオールに加えて、官能基が2個のポリエーテルポリオールを併用しても構わない。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの重量平均分子量Mwとしては、3,000〜12,000が好ましく、3,000〜8,000がより好ましく、5,000〜8,000がさらに好ましい。ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が12,000以下であると、前記発泡原液の粘度が大きくなりすぎず、撹拌効率が良好になる。一方、ポリエーテルポリオールの重量平均分子量が3,000以上であると、良好な反発弾性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)によってポリスチレン換算値として算出した値である。なお、任意成分として、前記(A)のポリエーテルポリオールに加えて、重量平均分子量が8,000超12,000以下のポリエーテルポリオールを併用しても構わない。
前記発泡原液を構成するポリエーテルポリオールの不飽和度は、0.03ミリ当量/g以下であることが好ましい。上記不飽和度が0.03ミリ当量/g以下であると、耐久性等の物性が良好な軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで、「不飽和度」とは、日本工業規格JIS K 1557−1970に準拠し、試料中の不飽和結合に酢酸第二水銀を作用させて遊離する酢酸を水酸化カリウムで滴定する方法にて測定した、総不飽和度(ミリ当量/g)を意味する。
前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールは1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
前記ポリオール成分として前記発泡原液に含有されるポリエーテルポリオールが1種類である場合、重量平均分子量が7,000以上であり、かつ、官能基が4個(4官能)であるポリエーテルポリオールが含有されることが好ましい。当該ポリエーテルポリオールであると、発泡成形によって得られた軟質ポリウレタンフォームをシート用パッドとして使用した場合の前述のぐらつき感を大幅に低減することができる。
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリオール成分の総質量に対する、前記(A)のポリエーテルポリオールに該当する1種類又は2種類以上のポリエーテルポリオールの合計の含有量は、60質量%以上が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、80〜100質量%がさらに好ましく、85〜100質量%が最も好ましい。
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、前記ポリエーテルポリオールに加えて、ポリマーポリオールを併用しても良い。前記ポリマーポリオールとしては、ポリウレタン発泡成形体用として汎用されるポリマーポリオールが適用可能である。例えば、ポリアルキレンオキシドからなる重量平均分子量Mwが3,000〜8,000、より好ましくは4,000〜7,000のポリエーテルポリオールに、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−スチレン共重合体等のポリマー成分をグラフト共重合させたポリマーポリオールが挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドの原料となるアルキレンオキシドとしては、官能基(重合性基)としてプロピレンオキシド(PO)を含むアルキレンオキシドが好ましく、プロピレンオキシドのみを含むアルキレンオキシド、又はプロピレンオキシドおよびエチレンオキシド(EO)を共に含むアルキレンオキシドがより好ましい。また、上記ポリマーポリオールの総質量に対する上記ポリマー成分の含有量は、25〜50質量%であることが好ましい。
前記発泡原液を構成するポリオール成分として、ポリエーテルポリオールとポリマーポリオールとを混合する場合の混合比としては、ポリエーテルポリオール/ポリマーポリオール(質量比)として、70/30〜99/1が好ましく、80/20〜99/1がより好ましく、85/15〜99/1がさらに好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。
<ポリイソシアネート成分>
前記発泡原液を構成するポリイソシアネート成分として、ジフェニルメタンジイソシアネートをイソシアネートインデックスで70以上含有する。
ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)は、ポリウレタンフォームの分野で一般的に使用されるポリイソシアネート成分である。具体的なMDIとしては、一般にモノメリックMDIと称される4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4-MDI)、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4-MDI)、2,2−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2-MDI)、ポリメリックMDI、粗(クルード)MDI等が挙げられる。
前記発泡原液において、1種類のMDIが単独で含有されてもよいし、2種類以上のMDIが含有されてもよい。
本明細書において、「イソシアネートインデックス」とは、発泡原液中のポリオール等が有する全ての活性水素と反応するポリイソシアネートの、化学量論により算出される必要量に対する実際の配合量の百分率を意味する。例えば、イソシアネートインデックスが90の場合、発泡原液中のポリオール等が有する全ての活性水素と反応するのに必要な化学量論的な必要量に対して、質量百分率で90%に相当するポリイソシアネートが配合されていることを意味する。
前記発泡原液に含まれるMDIに由来するイソシアネートインデックスは、少なくとも70以上であり、70〜120が好ましく、80〜100がより好ましい。上記イソシアネートインデックスが70以上であると、発泡原液の撹拌不良を防ぐことができる。上記イソシアネートインデックスが120以下であると、フォームの崩壊の発生を防ぐことができる。
任意成分として、前記(C)のMDIに加えて、MDI以外の公知のポリイソシアネート成分を少量加えても構わない。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、トリフェニルジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームに所望の物性を容易に付与する観点から、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートの1種類又は2種類以上の合計の含有量は、70質量%以上が好ましく、80〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましく、95〜100質量%が最も好ましい。
また、前記発泡原液に含まれるポリイソシアネート成分の総質量に対する、前記(C)のジフェニルメタンジイソシアネートを構成するピュアMDIの含有量は、40質量%以上が好ましく、50〜90質量%がより好ましく、55〜85質量%がさらに好ましく、60〜80質量%が最も好ましい。
<架橋剤成分>
前記発泡原液が発泡成形されてなる軟質ポリウレタンフォームが所望の物性を有するために、前記発泡原液を構成する架橋剤成分として、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が水よりも高い架橋剤が、主成分として含まれることが好ましい。通常、グリセリン、エチレンオキシド基を有する架橋剤(EO系架橋剤)、水、プロピレンオキシド基を有する架橋剤(PO系架橋剤)の順で、前記ポリイソシアネート成分に対する反応性が低下する。これに基づいて、前記発泡原液に架橋剤として含有される1種又は2種以上の化合物の全体が有するEO基とPO基のモル比(EO基のモル数/PO基のモル数)は100以上であることが好ましく、105以上であることがより好ましく、110以上であることがさらに好ましい。このモル比は高い程好ましい。つまり、前記発泡原液において、PO基を有する架橋剤が実質的には含有されないことが好ましい。
ここで、エチレンオキシド基(EO基)は、エチレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。プロピレンオキシド基(PO基)は、プロピレンオキシドを構成する水素原子が1つ除かれた1価の結合手を有する基を意味する。
具体的な架橋剤成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の架橋剤が適用できる。架橋剤の分子量は、通常1,000以下であることが好ましい。上記EO基/PO基のモル比を大きくする観点から、「EO(基)/PO(基)=100/0」と表示された市販の架橋剤が好ましい。
前記発泡原液に含まれる架橋剤は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。EO基/PO基(モル比)が100以上の架橋剤とグリセリンを併用する場合、当該架橋剤/グリセリンの質量比は、10:1〜1:10が好ましく、5:1〜1:5がより好ましく、2:1〜1:2が更に好ましい。
前記発泡原液に含まれる架橋剤成分の合計の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、1〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲の上限値以下であると、独泡性が高くなりすぎたり、成形が困難になったり、フォームの崩壊を防止できる。上記範囲の下限値以上であると、架橋剤の効果が十分に得られる。
<発泡剤成分>
前記発泡原液を構成する発泡剤成分としては、水を用いることが好ましい。水はポリイソシアネートと反応して炭酸ガスを発生するため、発泡剤として機能する。
前記発泡原液中の水の含有量としては、ポリオール成分100質量部に対して、1〜7質量部であることが好ましく、2〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。また、得られた軟質ポリウレタンフォームの熱圧縮残留歪み特性が劣化することを防止できる。
<触媒成分>
前記発泡原液を構成する触媒成分としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の触媒が挙げられる。公知の触媒としては、アミン系触媒、スズ触媒が挙げられる。
通常、公知の触媒は大きく分けて、ポリウレタンの樹脂化を促進する樹脂化触媒と、ポリイソシアネート成分の発泡を促す泡化触媒と、に分類される。
好適な樹脂化触媒は、ポリイソシアネートとポリオールの反応を特に促進する第三級アミン触媒であり、特に限定するものではないが、例えば、トリエチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、および1−メチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)が挙げられる。また好適な泡化触媒は、イソシアネ−トと水の反応を特に促進し、炭酸ガスを有効に発生させる第三級アミン触媒であり、一般的にフォームの流動性、寸法安定性改良に使用される。泡化触媒としては特に限定するものではないが、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジエチレントリアミン、およびN,N,N′,N″,N''',N'''−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン等が挙げられる。
前記発泡原液には、触媒成分として、樹脂化触媒および泡化触媒のうち、少なくとも樹脂化触媒が含有されることが好ましい。
前記発泡原液に含有される、樹脂化触媒:泡化触媒の質量比は、100:0〜100:100が好ましく、100:0〜100:50がより好ましく、100:0〜100:20がさらに好ましい。
前記樹脂化触媒である1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であることが好ましく、0.2〜1.5質量部であることがより好ましく、0.3〜1.2質量部であることがさらに好ましく、0.4〜0.9質量部であることが特に好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。
前記樹脂化触媒である1,1’−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)と、前記泡化触媒とを併用する場合は、両触媒の合計の含有量が、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜1.5質量部であることが好ましく、0.4〜1.2質量部であることがより好ましく、0.7〜1.0質量部であることがさらに好ましい。上記範囲であると、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが容易に得られる。
前記アミン系触媒としては、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化(ゲル化)反応を促進し、ウレタン結合生成を促進するために、ゲル化触媒定数に対する泡化触媒定数の比が10×10−1以下である樹脂化触媒を用いることが好ましい。
ここで、ゲル化触媒定数は、ポリオール類とポリイソシアネート類との樹脂化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体の架橋密度が高くなって発泡体の機械的物性が良好になる。具体的には、トリレンジイソシアネートとジエチレングリコールとのゲル化反応の反応定数が用いられる。一方、泡化触媒定数は、ポリイソシアネート類と水との泡化反応の速度を決定する定数であり、その値が大きくなると発泡体のセルの連通性が高められる。具体的には、トリレンジイソシアネートと水との泡化反応の反応定数が用いられる。上記2つの触媒定数の比は、両方の触媒のバランスを表す。
好適なアミン系触媒の例を、前記樹脂化触媒の具体例も含めて以下に例示する。
前記樹脂化触媒の具体例として、前述した触媒も含めて、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンジアミンとポリプロピレングリコールとの混合物、N,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルプロピレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチル−(3−アミノプロピル)エチレンジアミン、N,N,N′,N″,N″−ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N′,N′−テトラメチルグアニジン、135−トリス(N,N−ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の第3級アミン、1−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、その他N,N,N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−メチル−N′−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジン、N,N′−ジメチルピペラジン、N−メチルピペラジン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン等が挙げられる。
前記発泡原液における前記アミン系触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜0.4質量部であることが好ましく、0.2〜0.4質量部であることがより好ましく、0.3〜0.4質量部であることがさらに好ましい。上記範囲の下限値0.1質量部以上であるとフォームの崩壊を防止できる。上記範囲の上限値0.4質量部以下であると独立気泡となってシュリンクが発生することを防止できる。
前記スズ触媒の具体例としては、スタナスオクトエート、スタナスラウレート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、オクチル酸スズ等の公知の有機スズ触媒が挙げられる。
前記発泡原液における前記スズ触媒の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であることが好ましく、0.01〜0.4質量部であることがより好ましく、0.01〜0.2質量部であることが更に好ましい。
<整泡剤成分>
前記発泡原液には、整泡剤が含まれてもよい。整泡剤としては、ポリウレタンフォームの分野で使用される公知の整泡剤が適用可能であり、例えば、シリコーン系整泡剤、アニオン系整泡剤、カチオン系整泡剤が挙げられる。これらの整泡剤には、分子鎖末端に水酸基を有する整泡剤が含まれる。
前記発泡原液における整泡剤の含有量は、前記ポリオール成分100質量部に対して、0.1〜5質量部が好ましく、0.2〜3質量部がより好ましく、0.3〜0.8質量部が更に好ましい。通常、5質量部以下の含有割合で、整泡剤としての効果が充分に得られる。また、0.1質量部以上の含有割合であると、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の攪拌性が向上し、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォームが得られ易い。
<その他の任意成分>
前記発泡原液には、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。例えば、顔料等の着色剤、鎖延長剤、炭酸カルシウム等の充填材、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、カーボンブラック等の導電性物質、抗菌剤などを配合することができる。各種添加剤の配合量は、用途や目的に応じて適宜調整される。
<発泡原液の調製方法>
前記発泡原液の調製方法は、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネート成分を除いた、残りの各成分からなる混合物(以下、「ポリオール混合物」と略記することがある。)を調製し、その後、ポリイソシアネート成分と混合して、発泡原液を得る調製方法が挙げられる。
前記ポリオール混合物の調製は、発泡剤である水と触媒成分との接触を減らすために、ポリオール成分に対して、まず触媒成分を混合し、次いで、整泡剤成分、架橋剤成分、および必要に応じて任意成分を混合し、最後に、発泡剤である水を混合することが好ましい。
その後、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する工程において、前記ポリオール混合物とポリイソシアネート成分とを混合し、発泡原液を調製することが好ましい。
調製された前記ポリオール混合物の液温25℃における粘度は、2,400mPa・s以下であることが好ましく、1,800mPa・s以下であることがより好ましい。これらの好適な粘度範囲であると、発泡原液の攪拌効率が良好となり、発泡原液の全体で均一に充分な量の発泡が得られ、所望の物性を有する軟質ポリウレタンフォーム(発泡成形体)が得られ易くなる。
前記発泡原液を使用して、軟質ポリウレタンフォームを発泡成形する方法は、特に制限されず、例えば、金型内に形成されたキャビティ内に発泡原液を注入し、発泡成形する公知の方法が適用できる。
上記の公知の方法において、発泡原液を構成する各成分の分離を防止するために、キャビティ内に発泡原液を注入する直前に、上述の各成分を混合して発泡原液を調製することが好ましい。注入する発泡原液の液温は、10〜50℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましく、25〜35℃であることが更に好ましい。金型の温度は、40〜80℃であることが好ましく、50〜70℃であることがより好ましく、60〜65℃であることが更に好ましい。発泡原液の液温および金型の温度が上記の好適な範囲であると、適切な発泡が得られる。発泡に続いて、金型内において硬化させた後、脱型することによって、目的の軟質ポリウレタンフォームが得られる。ここで得られた軟質ポリウレタンフォームについて、公知の除膜処理を更に施してもよい。
<軟質ポリウレタンフォームの硬度分布について>
発泡成形の方法によらず、本実施形態にかかる軟質ポリウレタンフォームは、発泡成形時における鉛直方向の下方から上方に向かって、徐々に硬度が高まる傾向にある。つまり、本実施形態にかかる軟質ポリウレタンフォームを背もたれ部12に適用すると、前後方向Xの硬度分布が、連続的な増加傾向又は減少傾向を示す。
なお、軟質ポリウレタンフォームの発泡成形時における鉛直方向の下方から上方へ向かう方向に見るとその硬度分布は増加傾向を示すが、同じ軟質ポリウレタンフォームを発泡成形時における鉛直方向の上方から下方へ向かう方向に見るとその硬度分布は減少傾向を示す。
本実施形態にかかる軟質ポリウレタンフォームが上記の硬度分布を呈するメカニズムの詳細は不明であるが、前記発泡原液を構成する各成分の組み合わせが要因であると考えられる。特に、架橋剤成分が有する主な重合性基(反応性基)がEO基であり、架橋効果が実質的に発揮される程度のPO基が架橋剤成分に含まれないこと、および、ポリイソシアネート成分の大部分として、MDIが含まれ、TDIが少ない又は含まれないこと、が大きな要因であると考えられる。また、架橋剤成分としてグリセリンが含有されること、触媒成分として樹脂化触媒が含有されていることも、上記の硬度分布が呈されることに少なからず寄与していると考えられる。
また、上記の硬度分布を呈する軟質ポリウレタンフォームを、発泡成形時における鉛直方向に切断したとき、その断面に現れる発泡セル形状の扁平の度合、つまり前述のアスペクト比が、発泡成形時の上端部から下端部へ向けて、徐々に大きくなる傾向が見られる。
発泡成形により得られた軟質ポリウレタンフォームにおいて、発泡成形時の下端部に位置する発泡セルは、重力方向に押し潰されて横に長い扁平形状(楕円形状)を呈し、中間部分に位置する発泡セルにおける扁平の度合は比較的緩和されて円に近づき、上端部に位置する発泡セルにおける扁平の度合は更に緩和されて、より一層円に近くなる傾向が見られる。このように、軟質ポリウレタンフォームの、発泡成形時における鉛直方向の断面に現れる発泡セル21の形状の変化は、上記の硬度分布の傾向と相関があると考えられる。
なお、本実施形態にかかる軟質ポリウレタンフォームの「軟質」は、それを手で押したり、その上に座ったりしたときに、当該軟質ポリウレタンフォームが変形して凹む程度の硬さ(剛性)であることを意味する。
また、他の軟質ポリウレタンフォームとして、ポリオール、ポリイソシアネート、架橋剤、発泡剤、および触媒を含有する発泡原液を発泡成形して得られる軟質ポリウレタンフォームであって、前記ポリオールとして、重量平均分子量Mwが3,000〜12,000でありかつ官能基数が3〜4であるポリエーテルポリオールを含有し、前記架橋剤として含まれる化合物の全体におけるエチレンオキシド基/プロピレンオキシド基(モル比)が100以上であり、前記架橋剤として重量平均分子量が1,000以下の短鎖ポリオールを含有し、前記ポリイソシアネートとして、トリレンジイソシアネートをイソシアネートインデックスで70以上含有するものを用いることができる。
以上説明したように、本実施形態によるシート用パッド1によれば、背もたれ部12のうち、下側部13の硬度が上側部14の硬度より低いので、乗員の腰部を背もたれ部12に深く沈み込ませることで、乗員の腰部の、シート用パッド1に対する位置を安定させることが可能になり、硬度の高い上側部14が乗員の肩部を支持していることと相俟って、車体に遠心力が作用しても、乗員の上体が捩じれたり、ぐらついたりするのを抑制することができる。これにより、例えば乗員が運転者の場合には、運転者の視線が運転中にずれるのを抑制することが可能になり、操縦安定性を向上させることができる。
また、上側部14と下側部13との境界部15が、背もたれ部12の中央領域12zに位置しているので、乗員の上体の捩じれやぐらつきを確実に抑えることができる。
また、上側部14と下側部13との境界部15が、サイド補助部16の前記頂部16bより上方で、かつサイド補助部16の上端縁16cより下方に位置しているので、乗員のうち、少なくとも腰部を含む、背もたれ部12に深く沈み込む部位を、背もたれ部12だけでなく、サイド補助部16により左右方向Yからも支持することが可能になり、乗員の上体の捩じれやぐらつきをより一層確実に抑えることができる。
また、背もたれ部12に含まれる多数の発泡セル21の形状が、前後方向Xに沿って着座面12a側に位置するものほど、前記着座面方向YZに長くなっているので、前後方向Xに圧縮変形しやすい発泡セル21が着座面12a側に位置する一方、前後方向Xに圧縮変形しにくい発泡セル21が前後方向Xに沿う着座面12a側と反対の裏面12b側に位置することとなる。
したがって、着座面12a側の硬度を裏面12b側の硬度と比べて低くすることが可能になり、乗員に着座時の硬さを感じさせ難くすることができ、着座感を良好に保つことができる。
しかも、前後方向Xに沿って徐々に前記比率を変化させることによって、背もたれ部12における着座面12a側と裏面12b側との間に位置する部分のなかで、急激に硬度が変動する箇所が生じてしまうのを防ぐことが可能になり、乗員に着座した際の違和感を生じさせにくくすることができる。
また、前記着座面方向YZに長い発泡セル21は、前後方向Xに圧縮変形しやすい一方、このように変形した状態では前記着座面方向YZにせん断変形しにくくなるので、着座面12a側を前記着座面方向YZに変形しにくくすることが可能になり、乗員が前記着座面方向YZにぐらつくのを確実に抑えることができる。
また、背もたれ部12の後端部Cに含まれる発泡セル21Cのアスペクト比が、1に近い値0.95〜1.05となっているので、この発泡セル21Cがどの方向からの力に対しても変形しにくくなり、ぐらつきをより低減することができるとともに、この発泡セル21Cが前後方向Xに潰されるのを抑えることが可能になり、乗員が着座時に硬さを感じるいわゆる底付き感を覚えてしまうのをより一層確実に抑えることができる。
また、背もたれ部12の前端部Aに含まれる発泡セル21Aのアスペクト比が、1.4〜1.5となっているので、乗員に着座時の硬さを感じさせずに、背もたれ部12の前後方向Xの沈み込み量が過度に大きくなるのを抑えることができる。
また、上側部14の前後方向Xの硬度が、下側部13の前後方向Xの硬度の1.5倍以上となっているので、操縦安定性を確実に向上させることができる。
また、上側部14の前後方向Xの硬度が、0.4kPa以上0.9kPa以下とされ、下側部13の前後方向Xの硬度が、0.2kPa以上0.4kPa以下となっているので、前述の作用効果が奏されるシート用パッド1を容易かつ確実に形成することができる。
(実施例)
表1に示す配合のポリオール成分配合液と、イソシアネート成分とを混合して調製したウレタン配合原液を金型3のキャビティC1に注入して発泡成形することにより、前後方向Xの大きさが約45mmの背もたれ部12を製造し、前述したアスペクト比、および硬度を測定した。 ここで、表1の配合は実施例および比較例を示している。
Figure 0006989522

測定に先立って、背もたれ部12から複数の評価サンプルを採取した。
具体的には、前後方向Xの大きさが45mmの背もたれ部12における上側部14から、縦13mm×横13mm×高さ13mmの立方体をなす評価サンプルを、前後方向Xの位置を異ならせて3つ採取した。
なお、背もたれ部12において、着座面12aを前後方向位置0%で表し、裏面12bを前後方向位置100%と表すと、3つの評価サンプルはそれぞれ、背もたれ部12における前後方向位置14.8%、44.3%、および73.9%から各別に採取した。
まず、アスペクト比の測定方法について説明する。
評価サンプルの中央部分を光学顕微鏡で拡大した写真を取得し、この写真を前記着座面方向YZに沿う上下方向Zに2mm間隔で等分割する複数の横ラインと、この写真を前後方向Xに2mm間隔で等分割する複数の縦ラインと、を特定する。このとき、複数の横ラインのうちの1つ、および複数の縦ラインのうちの1つは、写真の中心を通過させる。以下、写真の中心を通過する縦ラインおよび横ラインをそれぞれ、縦基準線および横基準線という。
そして、縦基準線、および縦基準線を前後方向Xに挟む一対の縦ラインそれぞれについて、横基準線から上下に5mmずつ離れた範囲内で、発泡セルを画成する骨格との交点の数を目視によりカウントする。各縦ライン上でカウントされた前記交点の数の平均値を算出し、この平均値を発泡セル21の前記着座面方向YZ(上下方向Z)の大きさRyzと仮定する。
また、前後方向Xについても同様に、横基準線、および横基準線を上下方向Zに挟む一対の横ラインそれぞれについて、縦基準線から左右に3mmずつ離れた範囲内で、前記骨格との交点の数を目視によりカウントする。各横ライン上でカウントされた前記交点の数の平均値を算出し、この平均値を発泡セル21の前後方向Xの大きさRxと仮定する。
以上より得られたRyz値をRx値で除すことでアスペクト比が特定される。
このような測定方法に基づいて、背もたれ部12に含まれる多数の発泡セル21のアスペクト比を求めた結果の一例を図7に示す。
この結果、実施例では、着座面12a側から裏面12b側に向けて、1.44、1.25、1.05となり、比較例では、着座面側から裏面側に向けて、1.17、1.13、1.10となっている。
図7に示されているように、実施例では、比較例と比べて、アスペクト比が、前後方向Xに沿って着座面12a側から裏面12b側へ向かうに従い低下する割合が大きい傾向を示している。
次に、硬度の測定方法について説明する。
前記した3つの評価サンプルそれぞれについて、まず、加圧板を、加圧板の受ける反力が0.1Nになるまで評価サンプルに向けて前進移動し、この位置を、評価サンプルの厚さが100%である、加圧板の初期位置とする。加圧板は直径200mmの円板とし、評価サンプルが載置される受け板には、19mmピッチで直径6mmの貫通孔を形成した。
次に、加圧板を評価サンプルに向けて50mm/minの速さで前進移動し、評価サンプルの厚さが25%になったときに、加圧板を50mm/minの速さで初期位置に復帰させる。そして、60秒間待機した後に、再度、加圧板を評価サンプルに向けて50mm/minの速さで前進移動し、評価サンプルの厚さが25%になったときに、加圧板を50mm/minの速さで初期位置に復帰させる。
以上の過程において、評価サンプルが25%圧縮変形したとき(厚さが75%になったとき)に、評価サンプルに及ぼされた応力値を特定し、この値を硬度とした。
そして、3つの評価サンプルにおける各硬度の平均を算出して、その平均値に対する各評価サンプルの硬度の比を算出した。つまりこの硬度比は、背もたれ部12における前後方向Xの平均的な硬度に対する各評価サンプルの硬度の比を意味する。この結果について、横軸に前後方向Xの位置をとり、縦軸に硬度比をとったグラフを図8に示す。
実施例の硬度比は、着座面12a側から裏面12b側に向けて、0.95、0.96、1.09となり、比較例の硬度比は、着座面側から裏面側に向けて、1.28、0.83、0.89となっている。
図8のグラフに示されているように、実施例では、着座面12a側から裏面12b側に向けた前後方向Xの硬度が連続的に増加している。つまり、前後方向Xの硬度分布が連続的な増加傾向を示している。この結果、シート用パッド1において求められる、ぐらつき感の低減が充分に図られている。また、着座面12a側の硬度比が比較的小さいため、着座時の反発力が適度であり、着座面12aからの圧迫感が少ないため、従来とは異なる快適な座り心地が得られる。
実施例の背もたれ部12が上記の硬度分布を示す要因として、軟質ポリウレタンフォームの発泡原液に、架橋剤としてのグリセロールが多く含まれていること、PO系架橋剤が実質的に含まれておらず、主要な架橋剤がEO系架橋剤であること、主要な触媒が樹脂化触媒であること、整泡剤が実質的に含まれていないこと、の何れか1つ以上が考えられる。
一方、比較例では、図8のグラフから明らかなように、着座面に近い前後方向位置10.5%の評価サンプルの硬度比よりも、この評価サンプルの直後に位置する前後方向位置31.6%の評価サンプルの硬度比が低下している。このような硬度分布であると、前記着座面方向YZに沿う例えば遠心加速度G等が加わった場合に、着座面に近い前端部よりも後側の中間部分において軟質ポリウレタンフォームが横ずれする感触が生じて、ぐらつき感が生じ易い。
比較例が上記の硬度分布を示す原因として、軟質ポリウレタンフォームの発泡原液に、架橋剤としてのグリセリンが含まれていないこと、架橋剤としてPO系架橋剤が多く含まれていること、触媒として泡化触媒が多く含まれていること、の何れか1つ以上が考えられる。
なお、上記表1において、型番又は名称で示された各材料の詳細は、以下の通りである。
「ポリエーテルポリオールA1−1」は、EO/POモル比16/84、重量平均分子量7000、官能基数4である。
「ポリエーテルポリオールA1−2」は、EO/POモル比13/87、数平均重量平均分子量7000、官能基数3である。
「ポリマーポリオールA2−1」は、固形分33%、水酸基価23mgKOH/g、重量平均分子量5400、3.2官能のポリマーポリオール(三洋化成工業株式会社製、商品名:KC855)である。
「架橋剤C−1」は、EO/POモル比0/100、重量平均分子量700、官能基数3である。
「架橋剤C−2」は、EO/POモル比100/0、重量平均分子量400、官能基数4である。
「架橋剤C−3」は、グリセリンである。
「触媒D−1」は、市販の樹脂化触媒であり、1,1'−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)イミノ)ビス(2−プロパノール)である。
「触媒D−2」は、市販の樹脂化触媒であり、トリエチレンジアミンである。
「触媒D−3」は、市販の泡化触媒であり、(2−ジメチルアミノエチル)エーテルである。
「触媒D−4」は、市販のジエタノールアミンであり、樹脂化と泡化の両方を触媒する。
「整泡剤E−1」は、エボニック社製の低活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8734)である。
「整泡剤E−2」は、エボニック社製の高活性型のシリコーン系整泡剤(商品名:B8742)である。
「発泡剤F−1」は、水である。
「ポリイソシアネート(B−1)」は、BASF INOAC社製の「フォームライト1302B」と称されるMDI系のイソシアネートである。TDI系のイソシアネートは実質的に含まれない。
BASF INOAC社製の「フォームライト1302B」と称されるMDI系のイソシアネートである。TDI系のイソシアネートは実質的に含まれない。
「ポリイソシアネート(B−2)」は、市販のポリイソシアネートであり、TDI/MDI=80/20(質量比)で混合されたTDI系イソシアネートである。
次に、上側部および下側部のうちの少なくとも一方の前後方向の硬さが互いに異なる複数の背もたれ部を製造し、上側部および下側部それぞれの硬度の測定と、操縦安定性の評価と、を行った。なお、背もたれ部の前後方向の大きさは、前述と同様に約45mmとした。
硬度の測定は、段落0088の記載と同様にして採取した3つの評価サンプルを用い、段落0093の記載と同様の方法で測定した。なお、3つの評価サンプルでの平均値を表2に記載の硬度とした。
なお、実施例(表2で測定した硬度比)は、中央領域を上下方向に2等分割した位置を境界として測定したデータである。
操縦安定性は、背もたれ部に背中を当てている評価者に横方向の力(遠心加速度G)を加えたときの、評価者の肩の回転角と胴(へその高さ位置)の回転角とを測定し、肩の回転角と胴の回転角との差をねじれ角として評価した。
結果を表2に示す。
Figure 0006989522
この表2における操縦安定性は、前記ねじれ角が小さい場合を○、前記ねじれ角が大きい場合を××、前記ねじれ角が中程度の場合を×で表示している。○を合格、×および××は不合格とする。
この結果、背もたれ部のうち、乗員の少なくとも腰部を支持する下側部の前後方向の硬度が、乗員の少なくとも肩部を支持する上側部の前後方向の硬度より低い実施例1、および実施例2の場合、前記ねじれ角が小さく、優れた操縦安定性を具備することが確認された。一方、下側部の前後方向の硬度が、上側部の前後方向の硬度以上である比較例1〜4の場合、前記ねじれ角が大きくなることが確認された。
なお、本発明の技術範囲は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
例えば、本実施の形態では、シート用パッド1としてサイド補助部16を備える構成を示したが、サイド補助部16を有しない例えば後部座席等にも適用可能である。
また、下側部13と上側部14との境界部15の上下方向Zの位置は、前記実施形態に限らず適宜変更してもよい。また、境界部15にスリット18を形成しなくてもよい。
また、発泡セル21のアスペクト比は、前記実施形態に限らず、例えば、前後方向Xの全域にわたって同等にする等適宜変更してもよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
本発明では、背もたれ部のうち、下側部の硬度が上側部の硬度より低いので、乗員の腰部を背もたれ部に深く沈み込ませることで、乗員の腰部の、シート用パッドに対する位置を安定させることが可能になり、硬度の高い上側部が乗員の肩部を支持していることと相俟って、車体に遠心力が作用しても、乗員の上体が捩じれたり、ぐらついたりするのを抑制することができる。これにより、例えば乗員が運転者の場合には、運転者の視線が運転中にずれるのを抑制することが可能になり、操縦安定性を向上させることができる。
ここで、前記上側部および前記下側部は上下方向に互いに連なり、これらの上側部と下側部との境界部は、前記背もたれ部を、上部領域と下部領域とこれらの間に位置する中央領域とに3等分割したときの前記中央領域に位置してもよい。
この場合、上側部と下側部との境界部が、背もたれ部の中央領域に位置しているので、乗員の上体の捩じれやぐらつきを確実に抑えることができる。
また、前記背もたれ部における左右方向の両側から前方に向けて突出した一対のサイド補助部が備えられ、前記サイド補助部は、前記背もたれ部における左右方向の両側のうち、少なくとも前記下部領域および前記中央領域に一体に配設され、前記サイド補助部の前端縁は、上下方向の外側から内側に向かうに従い漸次、前方に向けて突となる曲線状に形成され、前記境界部は、前記サイド補助部の前端縁のうち最も前方に位置する頂部より上方で、かつ前記サイド補助部の上端縁より下方に位置してもよい。
この場合、上側部と下側部との境界部が、サイド補助部の前記頂部より上方で、かつサイド補助部の上端縁より下方に位置しているので、乗員のうち、少なくとも腰部を含む、背もたれ部に深く沈み込む部位を、背もたれ部だけでなく、サイド補助部により左右方向からも支持することが可能になり、乗員の上体の捩じれやぐらつきをより一層確実に抑えることができる。
また、前記背もたれ部に含まれる多数の発泡セルは、前後方向の大きさに対する、前記背もたれ部の着座面に沿う方向の大きさの比率が、前後方向に沿って前記着座面側に位置するものほど大きくなってもよい。
この場合、背もたれ部に含まれる多数の発泡セルの形状が、前後方向に沿って着座面側に位置するものほど、着座面に沿う方向(以下、着座面方向という)に長くなっているので、前後方向に圧縮変形しやすい発泡セルが着座面側に位置する一方、前後方向に圧縮変形しにくい発泡セルが前後方向に沿う着座面側と反対の裏面側に位置することとなる。
したがって、着座面側の硬度を裏面側の硬度と比べて低くすることが可能になり、乗員に着座時の硬さを感じさせ難くすることができ、着座感を良好に保つことができる。
しかも、前後方向に沿って徐々に前記比率を変化させることによって、背もたれ部における着座面側と裏面側との間に位置する部分のなかで、急激に硬度が変動する箇所が生じてしまうのを防ぐことが可能になり、乗員に着座した際の違和感を生じさせにくくすることができる。
また、前記着座面方向に長い発泡セルは、前後方向に圧縮変形しやすい一方、このように変形した状態では前記着座面方向にせん断変形しにくくなるので、着座面側を前記着座面方向に変形しにくくすることが可能になり、乗員が前記着座面方向にぐらつくのを確実に抑えることができる。
また、前記上側部の前後方向の硬度は、前記下側部の前後方向の硬度の1.5倍以上となってもよい。
この場合、操縦安定性を確実に向上させることができる。
さらに、前記上側部の前後方向の硬度は、0.4kPa以上0.9kPa以下とされ、前記下側部の前後方向の硬度は、0.2kPa以上0.4kPa以下となってもよい。
この場合、前述の作用効果が奏されるシート用パッドを容易かつ確実に形成することができる。
本発明によれば、車体に遠心力が作用しても、乗員の上体が捩じれたり、ぐらついたりするのを抑制することができる。
1 シート用パッド
11 座部
12 背もたれ部
12a 着座面
12b 裏面
12x 上部領域
12y 下部領域
12z 中央領域
13 下側部
14 上側部
15 境界部
16 サイド補助部
16a 前端縁
16b 頂部
16c 上端縁
21、21A、21B、21C 発泡セル
Rx 発泡セルの前後方向の大きさ
Ryz 発泡セルの着座面方向の大きさ
X 前後方向
Y 左右方向
YZ 着座面方向
Z 上下方向

Claims (5)

  1. 乗員が着座する座部の後側から起立して乗員を背後から支持する背もたれ部を備えたシート用パッドであって、
    前記背もたれ部のうち、乗員の少なくとも腰部を支持する下側部の前後方向の硬度は、乗員の少なくとも肩部を支持する上側部の前後方向の硬度より低く
    前記上側部および前記下側部は上下方向に互いに連なり、これらの上側部と下側部との境界部は、前記背もたれ部を、上部領域と下部領域とこれらの間に位置する中央領域とに3等分割したときの前記中央領域に位置し、
    前記背もたれ部における左右方向の両側から前方に向けて突出した一対のサイド補助部が備えられ、
    前記サイド補助部は、前記背もたれ部における左右方向の両側のうち、少なくとも前記下部領域および前記中央領域に一体に配設され、
    前記サイド補助部の前端縁は、上下方向の外側から内側に向かうに従い漸次、前方に向けて突となる曲線状に形成され、
    前記境界部は、前記サイド補助部の前端縁のうち最も前方に位置する頂部より上方で、かつ前記サイド補助部の上端縁より下方に位置しているシート用パッド。
  2. 前記境界部は、前記中央領域における上下方向の中央部に位置している請求項1に記載のシート用パッド。
  3. 前記背もたれ部に含まれる多数の発泡セルは、前後方向の大きさに対する、前記背もたれ部の着座面に沿う方向の大きさの比率が、前後方向に沿って前記着座面側に位置するものほど大きくなっている請求項1または2に記載のシート用パッド。
  4. 前記上側部の前後方向の硬度は、前記下側部の前後方向の硬度の1.5倍以上となっている請求項1から3のいずれか1項に記載のシート用パッド。
  5. 前記上側部の前後方向の硬度は、0.4kPa以上0.9kPa以下とされ、前記下側部の前後方向の硬度は、0.2kPa以上0.4kPa以下となっている請求項1から4のいずれか1項に記載のシート用パッド。
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