JP6988491B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
コーティングによって金属ナノ粒子やCNTの特性を活かすためには、基材上で金属ナノ粒子やCNTによる導電ネットワークを形成させることが必要である。そのため、基材には導電性金属ナノ粒子を含む塗液(導電性金属インク)やCNTを含む塗液(CNT分散体)の塗布はじきや塗布ムラの発生がない、優れた塗布性が求められる。また、導電性フィルムの要求特性として、基材である熱可塑性樹脂フィルムと導電層との接着性や耐湿熱接着性が必要となる。したがって優れた導電性を有するフィルムを作製するためには、導電性金属インクやCNT分散体に対して、優れた塗布性や熱可塑性樹脂フィルムとの密着性に優れたアンダーコート層が必要である。
例えば特許文献1には、インク受像層として、インクとの接着に優れ、且つ耐候性のあるインクジェットプリンター用のポリエステルフィルムに関する技術が記載されている。また、特許文献2には、インクとの接着と耐水性を両立したインクジェットプリンター用フィルムが記載されている。さらに、特許文献3では、用途は異なるが、特許文献1、特許文献2と近似した構成として、バインダー樹脂と不活性粒子からなる塗膜により、金属酸化物との接着性を達成している。
[I]熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムであって、以下の(1)〜(6)を満たす積層フィルム、
(1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
(2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
(3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である。
(4)樹脂層(X)が無機粒子(A)と親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む。
(5)熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムである。
(6)炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である。
[II]前記無機粒子(A)がコロイダルシリカである[I]に記載の積層フィルム、
[III]前記樹脂層(X)の表面ゼータ電位が、−50mV以上−10mV以下である[I]または[II]に記載の積層フィルム、
[IV]前記樹脂層(X)の表面に、更に加工層を設けて用いられる[I]〜[III]のいずれかに記載の積層フィルム、
[V]導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いられる[I]〜[IV]のいずれかに記載の積層フィルム、
[VI]前記樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む塗料組成物から形成される層であり、前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む[I]〜[V]のいずれかに記載の積層フィルム、
[VII]熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に樹脂層(X)が設けられた、以下の(1)〜(3)を満たす積層フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、無機粒子(A)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)、及び炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む塗料組成物を塗布した後、加熱、延伸することで、樹脂層(X)を形成せしめる工程を含み、
前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムであり、
前記炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である積層フィルムの製造方法、
(1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
(2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
(3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である。
[VIII]前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種を、ジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む原料より製造されるポリエステル樹脂である[VII]に記載の積層フィルムの製造方法、である。
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムである。本発明の樹脂層(X)は、表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下であることが必要であり、より好ましくは、10nm以上30nm以下である。表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上あることで、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)の表面積が大きくなるため、後述する導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に、ぬれ広がる面積を増大させ、塗布性を安定させることができる。また、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上であると、樹脂層の表面凹凸や無機粒子(A)同士の凹凸の隙間に、CNTの分散剤が吸着し、良好な塗布性を発現させることができる。一方、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が100nm以下であることで、導電性金属インクやCNT分散体を塗布する際に、樹脂層(X)を削ることなく安定な塗布性を維持することができる。一方、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が100nmよりも大きくなると、CNT分散体を塗布する際に、樹脂層(X)が削れてしまい、フィルムの透明性が悪化し、積層フィルムのヘイズが悪化(上昇)する。
なお、本発明の積層フィルムは、少なくとも一方の表層が樹脂層(X)であることが好ましい。
本発明の樹脂層(X)は、無機粒子(A)を含む。特に無機粒子(A)を、樹脂層(X)全体に対して、3質量%以上、30質量%以下含むことが好ましい。本発明でいう無機粒子とは、有機化合物以外の化合物の中で、共有結合を有し、2種以上の原子からなる分子が最小単位となる化合物による粒子である。よって、本発明では、金属酸化物粒子は無機粒子に含まれるが、金属粒子は含まれない。樹脂層(X)を形成する塗料組成物中に無機粒子(A)を上記の範囲で含むことにより、樹脂層(X)は良好な塗布性を得ることができる。本発明に用いることのできる無機粒子(A)の組成としては、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、各種金属酸化物からなる微粒子が好ましい。特に、粒子の硬度、耐熱性、耐アルカリ接着性の点から、無機コロイド粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。さらには、コロイダルシリカの表面に−SiOH基や−OH−イオンが存在し、負に帯電した状態で電気二重層が形成されているものが好ましい。例えば、日産化学工業(株)社製の“スノーテックス(登録商標)”シリーズや日揮触媒化成(株)社製の“カタロイド(登録商標)”シリーズなどが好ましく用いられる。無機粒子(A)として、上記のコロイダルシリカを用いると、無機粒子(A)が樹脂層(X)中に良好に分散し、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)を100nm以下とすることができる。
本発明の炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)は、炭素数が12以上のアルキル基を有することが必要である。樹脂層(X)を形成する塗料組成物中に、5質量%以上、25質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、8質量%以上、16質量%以下である。
本発明の積層フィルムは、樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む塗料組成物から形成される層であることが好ましい。本発明において、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)とは、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料を用いて得られるポリエステル樹脂であり、ポリエステル樹脂の末端や側鎖に、親水性官能基を有するポリエステル樹脂を示す。親水性官能基を有するポリエステル樹脂とすることで、ポリエステル樹脂の親水性を高め、水系溶媒への溶解性、または分散性を良好にすることができる。親水性官能基としては、スルホン酸塩基やカルボン酸塩基などが挙げられる。ポリエステル樹脂(C)に親水性官能基を含有させるためには、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、ジオールおよびそのエステル形成性誘導体(スルホン酸塩基を含む化合物)や、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸およびそのエステル形成性誘導体(3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物)などをポリエステル樹脂の原料として用いることにより得ることができる。
前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)は、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して、1〜25モル%であることが好ましい。親水性官能基であるスルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種が1モル%以上とすることで、親水性官能基を含有するポリエステル樹脂(C)に親水性を付与することができるだけでなく、水系溶媒へ溶解、または分散が可能となる。また、親水性官能基であるスルホン酸塩基や3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物を25モル%以下とすることで、安定的に親水性官能基を含有するポリエステル樹脂(C)を共重合により製造することができる。
本発明の積層フィルムにおいて用いられる熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂から形成されるフィルムである。熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂の例として、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンフィルムなどのポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリレート樹脂やポリスチレン樹脂などのアクリル樹脂、ナイロン樹脂などのポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムに用いられる熱可塑性樹脂はモノポリマーでも共重合ポリマーであってもよい。また、複数の樹脂を用いても良い。
本発明では、樹脂層(X)は、前述した炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)と、無機粒子(A)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)、添加剤や溶媒を含有する塗料組成物を熱可塑性樹脂フィルム上へ塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥させることによって、熱可塑性樹脂フィルム上に形成することができる。
水系溶媒を用いた塗料組成物は、水分散性または水溶性を有する(A)、(B)、(C)の各物質と、水系溶媒を任意の順番で所望の固形分重量比で混合、撹拌することで作製することができる。混合、撹拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや撹拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
−N=C=N− 式(1)
カルボジイミド化合物の製造は公知の技術を適用することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することにより得られる。ポリカルボジイミド化合物の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートなどを用いることができ、具体的にはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどを用いることができる。更に本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加しても用いてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムへの塗料組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、熱可塑性樹脂フィルムにポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の塗料組成物を塗布する。この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、塗料組成物のPETフィルムへの濡れ性を向上させ、塗料組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みを達成することができる。
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
一辺が5cmの正方形状の積層フィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを23℃、相対湿度50%に40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、全光線透過率の測定はJIS「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(K7361−1、1997年版)、ヘイズの測定はJIS「透明材料のヘーズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施する。それぞれの3点(3個)の全光線透過率およびヘイズの値を平均して、積層フィルムの全光線透過率およびヘイズの値とする。
まず、コロジオン(濃度2質量%の低硝化ニトロセルロース)を純水面に滴下し、水面上に展開したコロジオン薄膜を支持膜としてニッケル製の400メッシュグリッドに貼り付ける。次に溶媒中に分散させた無機粒子をグリッド上に滴下し、溶媒を乾燥させ測定用サンプルを作製する。得られた測定用サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡:(株)日立製作所製H7100FA型)にて1万〜100万倍で観察し、無機粒子全体が写った写真を10点得る。その10点(10個)の無機粒子について、それぞれの粒子の最も長い長辺(真球上であれば直径)を読み取り、10点の測定値を平均して、無機粒子の平均1次粒径とする。
まず、積層フィルムの樹脂層(X)表面を走査型プローブ顕微鏡(Shimadzu,SPM9600)を用いて測定する。カンチレバーは、ノンコンタクト・モード高共振周波数タイプのプローブ(ナノセンサーズ(NANOSENSORS)社の型番PPP−NCHRを用いて、1μm×1μmの視野において、走査速度0.5Hz、画素数512×512の範囲を測定する。次に得られたデータをJIS規格のJIS B0601(2001)に基づいて計算処理し、表面粗さRa(中心線平均粗さ)を算出する。
まず、積層フィルムを室温23℃相対湿度65%の雰囲気中に24時間放置後した。その後、同雰囲気下で、樹脂層に対して、純水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンの4種の溶液のそれぞれの接触角を、接触角計CA−D型(協和界面科学(株)社製)により、それぞれ5点測定する。5点の測定値の最大値と最小値を除いた3点の測定値の平均値をそれぞれの溶液の接触角とする。
γS : 樹脂層の表面エネルギー
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギー
γS d: 樹脂層の表面エネルギーの分散力成分
γS p: 樹脂層の表面エネルギーの極性力成分
γS h: 樹脂層の表面エネルギーの水素結合力成分
γL d : 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギーの分散力成分
γL p : 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギーの極性力成分
γL h: 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギーの水素結合力成分
γS L=γS+γL−2(γS d・γL d)1/2−2(γS p・γLp)1/2−2(γS h・γL h)1/2 ・・・ 数式(1)。
(γS d・γL d)1/2+(γS p・γL p)1/2+(γS h・γL h)1/2=γL(1+cosθ)/2 ・・・ 数式(3)。
CNT分散体を下記のとおり調製した。まず、0.1mgのCNT(直線2層CNT:サイエンスラボラトリー社製、直径5nm)とCNT分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(シグマアルドリッチジャパン(株))(以下、CMC−Naと略す。)を0.25mgと水249.65mgを50mLサンプル管に入れ、CNT分散体を調製し、超音波破砕機(東京理化器機(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射し、均一なCNT分散体(CNT濃度0.04質量%、CNT分散剤0.10質量%、(B)/(A)=2.5)を得る。
A:無作為に測定した10点のいずれの全光線透過率も(1)により得られた3点の平均値に対して0.7%未満の差である。
B:無作為に測定した10点のいずれの全光線透過率も(1)により得られた3点の平均値に対して、0.7%以上、1.0%未満の差である。
C:無作為に測定した10点のいずれかの全光線透過率が(1)により得られた3点の平均値に対して1.0%以上数値に差がある。
D:目視により明確に塗布ハジキ、塗布ムラが確認される。
積層フィルムの樹脂層(X)面に、JIS5600−5−6(1999年制定)に準拠し、カット間隔2mmで5×5の25マスの切れ目を入れる。次に、切れ目を入れた部分に、ニチバン18mmセロテープ(登録商標)(品番:CT−18S)を、切れ目が見えるようにしっかりと指でセロテープ(登録商標)を擦る。そして、樹脂層に対して約60°の角度でセロテープ(登録商標)を瞬間的に引き剥がす。マスの剥離数をカウントする。尚、マスの一部のみが剥離した場合でも、1マスとカウントする。評価回数は5回とし、その平均値を求める。評価基準は以下のように定める。評価基準「B」以上を良好な接着性と判定する。
B:マスの剥離数が0マスを超えて、3マス以下
C:マスの剥離数が3マスを超えて、5マス以下
D:マスの剥離数が5マスを超える。
前項(6)と同様の方法で積層フィルムを60℃90%RHに設定した恒温恒湿層(エスペック(株)製LU−113)の中に10日間(240時間)静置保管させた。10日間経過後、サンプルを恒温恒湿層から取り出して、常態(23℃、相対湿度50%)にて1時間静置乾燥させた。静置乾燥後に(5)と同様の方法で接着性評価を実施する。評価基準は(5)と同様に評価基準「B」以上を良好な接着性と判定する。
B:マスの剥離数が0マスを超えて、3マス以下
C:マスの剥離数が3マスを超えて、5マス以下
D:マスの剥離数が5マスを超える。
まず積層フィルムを、固体表面ゼータ電位測定用セルのサイズに合うように3cm×1cmにサンプリングし、測定面が積層フィルムの樹脂層(X)面になるように、ゼータ電位計(大塚電子(株)製、ELSZ−1000、Flat Surface Cell使用)にセットし、溶媒として水(温度:25℃、屈折率:1.3328、粘度:0.8878(cP)、誘電率:78.3)で3回測定を行い、Smoluchowskiの式によって算出された値の3回の平均値をゼータ電位の値とした。
金属ロールとの摩擦帯電は、金属SUS板との滑り性で評価する。積層フィルムを5cm×20cmにサンプリングし、樹脂層(X)面が金属SUS板と接触するように置き、200g/cm2の荷重をかけながら、長さ5cmの距離を滑らせ、止まるまでの往復回数で評価する。測定は23℃、50%RHの環境下で行った。評価基準は評価基準「B」を滑り性良好と判定する。
B:5往復以上10往復未満
C:3往復以上、5往復未満
D:3往復未満。
塗料組成物を次の通り調整した。
無機粒子(A1):
コロイダルシリカ“スノーテックスOL”(平均1次粒径45nm、日産化学工業(株)製)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B1):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ステアリルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数18)80重量部、メタクリル酸15重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B1)を含む水溶液を調整した。
親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1):
まず、テレフタル酸50質量部、イソフタル酸50質量部、エチレングリコール50質量部、ネオペンチルグリコール30質量部を重合触媒である三酸化アンチモン0.3質量部と酢酸亜鉛0.3質量部とともに窒素パージした反応器に仕込み、水を除去しながら常圧下で190〜220℃で12時間重合反応を行い、ポリエステルグリコールを得た。次に、得られたポリエステルグリコールに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5質量部、溶媒としてキシレンを反応器に仕込み、0.2mmHgの減圧下、260℃にてキシレンを留去しつつ、3時間重合させ、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1)を得た。このポリエステル樹脂(C1)を、アンモニア水およびブチルセルロースを含む水系溶媒に溶解させ水溶液を調整した。
水系溶媒:純水。
塗料組成物中の無機粒子(A1)と炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B1)、及び親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1)の質量比に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つ熱可塑性樹脂フィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性、耐アルカリ接着性に優れたものであった。
無機粒子(A)を無機粒子(A2):コロイダルシリカ“カタロイドSI−80P”(平均1次粒径80nm、日揮触媒化成(株)製)に変更し、(A)、(B)、(C)の質量比を表の通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)に変更した以外は実施例4と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ベヘニルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数22)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)を含む水溶液を調整した。
親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C)を、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C2)に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C2):
まず、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを50質量部、ビスフェノールS1モルに対してエチレンオキサイド2モルを付加した化合物を50質量部、1,3−プロパンジオール30質量部を重合触媒である三酸化アンチモン0.3質量部と酢酸亜鉛0.3質量部とともに窒素パージした反応器に仕込み、水を除去しながら常圧下で190〜220℃で12時間重合反応を行い、ポリエステルグリコールを得た。次に、得られたポリエステルグリコールに5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを5質量部、溶媒としてキシレンを反応器に仕込み、0.2mmHgの減圧下、260℃にてキシレンを留去しつつ、3時間重合させ、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C2)を得た。このポリエステル樹脂(C1)を、アンモニア水およびブチルセルロースを含む水系溶媒に溶解させ水溶液を調整した。
無機粒子(A)を用いず、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C)を、2つの親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1、C2)に変更し、(B1)/(C1)/(C2)の質量比を表に記載した通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。尚、C1のTgは65℃、C2のTgは90℃であった。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B3)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ラウリルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数12)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B3)を含む水溶液を調整した。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B4)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ヘンイコシルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数21)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B4)を含む水溶液を調整した。
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例1では、無機粒子(A)の量が少ないため、樹脂層(X)の表面粗さが低下しCNT分散体の塗布性が不良であった。一方、比較例2では炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂の量は少ないため、樹脂層(X)の表面エネルギーが高く、樹脂層(X)の耐湿熱接着性、およびCNT塗布性が不良であった。また比較例3は、比較例2と比較して、さらに親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の量が増えたため、水接触角が低くなり、樹脂層(X)の耐湿熱接着性、およびCNT塗布性がさらに不良となった。
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例4と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例4は、無機粒子(A)の量が多く、樹脂層(X)の表面粗さが大幅に上昇したが、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の量が低下したため、樹脂層(X)の接着性、耐湿熱接着性が不良となり、またCNT分散体を塗布した際に、無機粒子(A)が削れてしまい、塗布性が不良となった。
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例8と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例5は、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)の量が多く、樹脂層(X)の表面エネルギーが低下し、水接触角が高くなってしまったため、樹脂層(X)の接着性、耐湿熱接着性が不良となり、またCNT分散体を塗布した際に、CNT分散体がはじいてしまい塗布性が不良となった。
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例8と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例6は、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)の量が多く、樹脂層(X)の水接触角が高くなってしまったため、樹脂層(X)の接着性、耐湿熱接着性が不良となり、またCNT分散体を塗布した際に、CNT分散体がはじいてしまい塗布性が不良となった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B6)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズが高く不良であり、またPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に劣るものであった。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ブチルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数4)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B6)を含む水溶液を調整した。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7)であることから、ヘイズが不良であり、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に劣るものであった。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ヒドロキシプロピルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数6)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7)を含む水溶液を調整した。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B8)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズが高く不良であり、またPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に劣るものであった。
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、オクチルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数8)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B8)を含む水溶液を調整した。
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムであって、以下の(1)〜(6)を満たす積層フィルム。
(1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
(2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
(3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である。
(4)樹脂層(X)が無機粒子(A)と親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む。
(5)熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムである。
(6)炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である。 - 前記無機粒子(A)がコロイダルシリカである請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記樹脂層(X)の表面ゼータ電位が、−50mV以上−10mV以下である請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記樹脂層(X)の表面に、更に加工層を設けて用いられる請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
- 導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いられる請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
- 前記樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む塗料組成物から形成される層であり、前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む請求項1〜5のいずれかに記載の積層フィルム。
- 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に樹脂層(X)が設けられた、以下の(1)〜(3)を満たす積層フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、無機粒子(A)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)、及び炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む塗料組成物を塗布した後、加熱、延伸することで、樹脂層(X)を形成せしめる工程を含み、
前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムであり、
前記炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である積層フィルムの製造方法。
(1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
(2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
(3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である。 - 前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む原料より製造されるポリエステル樹脂である請求項7に記載の積層フィルムの製造方法。
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