JP6988491B2 - 積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

積層フィルムおよびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6988491B2
JP6988491B2 JP2018002359A JP2018002359A JP6988491B2 JP 6988491 B2 JP6988491 B2 JP 6988491B2 JP 2018002359 A JP2018002359 A JP 2018002359A JP 2018002359 A JP2018002359 A JP 2018002359A JP 6988491 B2 JP6988491 B2 JP 6988491B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
film
resin layer
laminated film
carbon atoms
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018002359A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019034532A (ja
Inventor
雅美 尾形
悠 阿部
一善 太田
翔 坪倉
育 高田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2019034532A publication Critical patent/JP2019034532A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6988491B2 publication Critical patent/JP6988491B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に樹脂層を有する積層フィルムおよびその製造方法に関する。
近年、タッチパネルの普及により、酸化インジウムスズ(ITO)、銀などの金属やカーボンナノチューブ(CNT)を用いた、導電性機能を有する材料の開発が盛んに行われている。その中でも、金属ナノ粒子やCNTは、熱や薬液に対して安定性があり、分散剤を使用することで水や各種溶媒への分散が可能なため、コーティング材料として積極的に検討が進められている。
コーティングによって金属ナノ粒子やCNTの特性を活かすためには、基材上で金属ナノ粒子やCNTによる導電ネットワークを形成させることが必要である。そのため、基材には導電性金属ナノ粒子を含む塗液(導電性金属インク)やCNTを含む塗液(CNT分散体)の塗布はじきや塗布ムラの発生がない、優れた塗布性が求められる。また、導電性フィルムの要求特性として、基材である熱可塑性樹脂フィルムと導電層との接着性や耐湿熱接着性が必要となる。したがって優れた導電性を有するフィルムを作製するためには、導電性金属インクやCNT分散体に対して、優れた塗布性や熱可塑性樹脂フィルムとの密着性に優れたアンダーコート層が必要である。
例えば特許文献1には、インク受像層として、インクとの接着に優れ、且つ耐候性のあるインクジェットプリンター用のポリエステルフィルムに関する技術が記載されている。また、特許文献2には、インクとの接着と耐水性を両立したインクジェットプリンター用フィルムが記載されている。さらに、特許文献3では、用途は異なるが、特許文献1、特許文献2と近似した構成として、バインダー樹脂と不活性粒子からなる塗膜により、金属酸化物との接着性を達成している。
特開2003−71991号公報 特開平11−321074号公報 特開2003−12841号公報
しかしながら、特許文献1では、塗膜の表面エネルギーが高いため、導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に、金属ナノ粒子やCNTの凝集による適度な導電性ネットワークが形成しにくく、また耐湿熱接着性や耐水性が低下しやすい。特許文献2では、インク受像層に含まれる無機粒子の粒子径が大きく、透明性の点で光学フィルム用途への適用は困難である。また疎水性バインダーを使用しているため、耐湿熱接着性や耐水性は良好であるが、特許文献1とは反対に、導電性金属インクやCNT分散体の塗布性が低下してしまう。特許文献3は、包装材料用途向けのため導電性金属インクやCNT分散体との塗布性に関する技術の開示はなく、塗膜組成から特許文献1と同様の表面エネルギーと推定され、耐湿熱接着性や耐水性の低下しやすいものと考えられる。
本発明は次の構成からなる。すなわち、
[I]熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムであって、以下の(1)〜()を満たす積層フィルム、
(1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
(2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
(3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である。
(4)樹脂層(X)が無機粒子(A)と親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む。
(5)熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムである。
(6)炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である。
II前記無機粒子(A)がコロイダルシリカである[I]に記載の積層フィルム、
III]前記樹脂層(X)の表面ゼータ電位が、−50mV以上−10mV以下である[I]または[II]に記載の積層フィルム、
IV]前記樹脂層(X)の表面に、更に加工層を設けて用いられる[I]〜[III]のいずれかに記載の積層フィルム
]導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いられる[I]〜[IV]のいずれかに記載の積層フィルム、
VI]前記樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む塗料組成物から形成される層であり、前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含[I]〜[]のいずれかに記載の積層フィルム、
VII]熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に樹脂層(X)が設けられた、以下の(1)〜(3)満たす積層フィルムの製造方法であって、
熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、無機粒子(A)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)、及び炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(Bを含む塗料組成物を塗布した後、加熱、延伸することで、樹脂層(X)を形成せしめる工程を含み、
前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムであり、
前記炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である積層フィルムの製造方法、
(1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
(2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
(3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である
VIII前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種を、ジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む原料より製造されるポリエステル樹脂である[VII]に記載の積層フィルムの製造方法である。
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムとの接着性に優れ、特に水系溶媒に分散しているCNT分散体を塗布した際に、優れた塗布性を発現する樹脂層を有する積層フィルムに関する。
以下、本発明の炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムについて詳細に説明する。
(1)樹脂層(X)および積層フィルム
本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムである。本発明の樹脂層(X)は、表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下であることが必要であり、より好ましくは、10nm以上30nm以下である。表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上あることで、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)の表面積が大きくなるため、後述する導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に、ぬれ広がる面積を増大させ、塗布性を安定させることができる。また、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上であると、樹脂層の表面凹凸や無機粒子(A)同士の凹凸の隙間に、CNTの分散剤が吸着し、良好な塗布性を発現させることができる。一方、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が100nm以下であることで、導電性金属インクやCNT分散体を塗布する際に、樹脂層(X)を削ることなく安定な塗布性を維持することができる。一方、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が100nmよりも大きくなると、CNT分散体を塗布する際に、樹脂層(X)が削れてしまい、フィルムの透明性が悪化し、積層フィルムのヘイズが悪化(上昇)する。
本発明の樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)を5nm以上、100nm以下にするための方法は特に限定はされないが、例えば後述する無機粒子(A)を塗料組成物に含有させるか、または、ガラス転移温度(Tg)の異なる少なくとも2つ以上の親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を塗料組成物に含有させ、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布、加熱、延伸させ、樹脂層(X)を形成させる方法などが挙げられる。
また本発明の樹脂層(X)は、表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下であることが必要であり、より好ましくは35mN/m以上、40mN/m以下である。樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上あることで、導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に、塗布はじきなく塗布することができる。一方、樹脂層(X)の表面エネルギーが45mN/m以下であることで、導電性金属インクやCNT分散体を塗布し、溶媒を乾燥させた際に、金属ナノ粒子やCNTが樹脂層(X)中で適度に凝集し、導電性ネットワークを形成することで、良好な導電性を得ることができる。
さらに、本発明の樹脂層(X)は、水接触角が65°以上、110°以下であることが必要であり、より好ましくは80°以上、100°以下である。樹脂層(X)の水接触角を65°以上とすることで、導電性金属インクやCNT分散体を塗布し、溶媒を乾燥させた際に、金属ナノ粒子やCNTが樹脂層(X)中で適度に凝集し、導電性ネットワークを形成することで、良好な導電性を得ることができだけでなく、例えば60℃90%RHのような高温高湿下においても、樹脂層(X)の膨潤や吸湿による耐湿熱接着性の低下を抑制することができる。一方、樹脂層(X)の水接触角を110°以下とすることで、樹脂層(X)上に後述する導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に、樹脂層(X)は、表面粗さRa(中心線平均粗さ)の効果と合わせて、塗布はじきや塗布ムラなくCNT分散体を安定に塗布することが可能となる。
本発明の積層フィルムは、ヘイズが3.0%以下であることが好ましい。より好ましくは2.0%以下、更に好ましくは1.5%以下である。樹脂層(X)に塗布ムラや亀裂が発生すると、フィルムの透明性が悪化(ヘイズが上昇)する。また、本発明の樹脂層(X)が、無機粒子(A)を含有している場合、無機粒子(A)が凝集すると、フィルムの透明性が悪化(ヘイズが上昇)する。また、樹脂層(X)を構成する塗料組成物として、Tgの異なる少なくとも2つ以上の親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を用いる場合も、ポリエステル樹脂同士が非相溶であったり、凝集したり、樹脂層(X)に塗布ムラや亀裂が発生したりすると、フィルムの透明性が悪化(ヘイズが上昇)する。そのため、積層フィルムのヘイズを3.0%以下とすることで、樹脂層(X)に前述した本発明の効果を発現させることが可能となる。また、積層フィルムのヘイズを3.0%以下とすると、導電性コート用のアンダーコートフィルムとして用いた場合、例えば、タッチパネル、電子ペーパーなどの透明性が求められる用途に好ましく用いることができる。
本発明の積層フィルムは、その特性を活かし、前記樹脂層(X)の表面に、更に加工層を設けて用いられることが好ましい態様として挙げられる。本発明の積層フィルムは、樹脂層(X)の表面に加工層を設ける際、加工層の塗布性を安定させると共に、塗料のハジキや塗布ムラを抑制し、安定な層を形成させることが可能である。そのため、特に、本発明の積層フィルムは、導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして好適に用いることができる。本発明において導電性塗料とは、導電性を発現する金属ナノ粒子、または金属酸化物ナノ粒子が溶媒中へ分散された導電性金属インク、CNTと分散剤、溶媒からなるCNT分散体などを示す。導電性塗料を塗布した導電性フィルムは、タッチパネル、電子ペーパーなどの電極として用いることができる。導電性塗料用のアンダーコートフィルムに要求される特性としては、透明性や基材である熱可塑性樹脂フィルムとの接着性、耐湿熱接着性である。
また、導電性塗料用のアンダーコートフィルムには、導電性塗料の塗布性も必要である。一般的な熱可塑性樹脂フィルム(例えばポリエチレンテレフタレートフィルム)の表面に導電性塗料を塗布すると、導電性塗料が熱可塑性樹脂フィルム上ではじいたり、塗布ムラを発生させてしまう。導電性塗料が安定に塗布されないと、導電性コート層の導電性が低下する。また、導電性塗料中にはCNTなどの導電性材料を塗料中に分散させる目的で分散剤を含むことが多いが、一般的に分散剤は絶縁物質であるため、導電性塗料が均一に塗布されないと、導電層の導電性を低下させてしまう場合がある。本発明の積層フィルムは、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布性に優れる樹脂層(X)を有することで、導電性塗料のはじきや塗布ムラを抑制し安定な導電層を形成させることが可能である。そのため、本発明の積層フィルムは、前述した導電性塗料用のアンダーコートフィルムの要求特性を満たす。よって、本発明の積層フィルムは、導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして好適に用いることができる。
さらに、本発明の積層フィルムの樹脂層(X)は、表面ゼータ電位が、−50mV以上−10mV以下であることが好ましい。より好ましくは−50mV以上−20mV以下である。樹脂層(X)の表面ゼータ電位を−10mV以下にすることで、樹脂層(X)の表面に極性を持たせ、前述した導電性塗料のはじきや塗布ムラを抑制し均一な導電層を形成させることが可能となる。一方、−50mV以上にすることで、基材である熱可塑性樹脂フィルムと樹脂層(X)の接着性や耐湿熱接着性を付与することが可能となる。
なお、樹脂層(X)の表面ゼータ電位を−50mV以上−10mV以下に調整するための方法は特に限定されない。表面ゼータ電位を調整する方法としては、樹脂層(X)に、コロナ処理、プラズマ処理などの放電処理やフレーム処理などの物理処理、酸処理やアルカリ処理などの化学的処理を行い、樹脂層(X)の表面にカルボキシル基、ヒドロキシル基等のアニオン性官能基を導入することや、樹脂層(X)中に含まれる無機粒子(A)として、その表面の一部または全部に後述する水酸基を含有したアクリル樹脂(D)を有する無機粒子(AD)を用いることなどが挙げられる。樹脂層(X)中に含まれる無機粒子(A)として、その表面の一部または全部に後述する水酸基を含有したアクリル樹脂(D)を有する無機粒子(AD)を用いる方法、樹脂層(X)にコロナ処理、プラズマ処理などの放電処理を施す方法が、表面ゼータ電位を容易に−50mV以上−10mV以下に調整できるため好ましい。
なお、本発明の積層フィルムは、少なくとも一方の表層が樹脂層(X)であることが好ましい。
(2)無機粒子(A)
本発明の樹脂層(X)は、無機粒子(A)を含む特に無機粒子(A)を、樹脂層(X)全体に対して、3質量%以上、30質量%以下含むことが好ましい。本発明でいう無機粒子とは、有機化合物以外の化合物の中で、共有結合を有し、2種以上の原子からなる分子が最小単位となる化合物による粒子である。よって、本発明では、金属酸化物粒子は無機粒子に含まれるが、金属粒子は含まれない。樹脂層(X)を形成する塗料組成物中に無機粒子(A)を上記の範囲で含むことにより、樹脂層(X)は良好な塗布性を得ることができる。本発明に用いることのできる無機粒子(A)の組成としては、例えばシリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、セリア、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、各種金属酸化物からなる微粒子が好ましい。特に、粒子の硬度、耐熱性、耐アルカリ接着性の点から、無機コロイド粒子が好ましく、特にコロイダルシリカが好ましい。さらには、コロイダルシリカの表面に−SiOH基や−OH−イオンが存在し、負に帯電した状態で電気二重層が形成されているものが好ましい。例えば、日産化学工業(株)社製の“スノーテックス(登録商標)”シリーズや日揮触媒化成(株)社製の“カタロイド(登録商標)”シリーズなどが好ましく用いられる。無機粒子(A)として、上記のコロイダルシリカを用いると、無機粒子(A)が樹脂層(X)中に良好に分散し、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)を100nm以下とすることができる。
無機粒子(A)の平均1次粒径は15nm以上、80nm以下であることが好ましい。無機粒子(A)の平均1次粒径を15nm未満であると、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以下となり、表面が平滑になりすぎ、後述する導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に、良好な塗布性を発現させることがある。また、無機粒子(A)の平均1次粒径が80nmを超えると、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が100nmとなり、導電性金属インクやCNT分散体を塗布する際に、樹脂層(X)が削れてしまうことがある。また積層フィルムの透明性が悪化する。なお、本発明における平均1次粒径は、後述する測定方法によって求められる粒径のことを表す。
(3)炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)
本発明の炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)は、炭素数が12以上のアルキル基を有することが必要である。樹脂層(X)を形成する塗料組成物中に、5質量%以上、25質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは、8質量%以上、16質量%以下である。
本発明の樹脂層(X)に炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が含まれることで、樹脂層(X)の表面エネルギーを45mN/m以下、水接触角を65°以上とすることができ、導電性金属インクやCNT分散体を塗布し、溶媒を乾燥させた際に、金属ナノ粒子やCNTが樹脂層(X)中で適度に凝集し、導電性ネットワークを形成することで、良好な導電性を得ることができる。なお、炭素数16以上40以下のアルキル基を有する樹脂(B)であることがより好ましい。
本発明の炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)は炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂は、具体的には炭素数12以上のアルキル基を側鎖に持つアクリルモノマーから合成されるアクリル樹脂や、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に持つアクリルモノマーと、該アクリルモノマーと共重合可能なアクリルモノマーとのアクリレート化合物が挙げられる。炭素数を12以上にすることで、十分な疎水効果を発現させることができる。アルキル基の炭素数の上限は特に限定されるものではないが25以下であると製造が容易であるため好ましい。
(4)親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)
本発明の積層フィルムは、樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む塗料組成物から形成される層であることが好ましい。本発明において、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)とは、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料を用いて得られるポリエステル樹脂であり、ポリエステル樹脂の末端や側鎖に、親水性官能基を有するポリエステル樹脂を示す。親水性官能基を有するポリエステル樹脂とすることで、ポリエステル樹脂の親水性を高め、水系溶媒への溶解性、または分散性を良好にすることができる。親水性官能基としては、スルホン酸塩基やカルボン酸塩基などが挙げられる。ポリエステル樹脂(C)に親水性官能基を含有させるためには、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、ジオールおよびそのエステル形成性誘導体(スルホン酸塩基を含む化合物)や、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸およびそのエステル形成性誘導体(3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物)などをポリエステル樹脂の原料として用いることにより得ることができる。
また、本発明において、前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)としては、Tgの異なるポリエステル樹脂を2種類以上用いることが好ましい。特に、ポリエステル樹脂のTgの差が、10℃以上の場合、熱可塑性樹脂フィルム上に塗布、加熱、延伸させることで、Tgの差による延伸性の差により、樹脂層(X)の表面に凹凸を形成させることが可能となり、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)を5nm以上、100nm以下とすることができる。
スルホン酸塩基を含むジカルボン酸およびそのエステル形成性誘導体としては、例えば、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、およびそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができるが、これに限定されるものではない。
3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物としては、例えば、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、4−メチルシクロヘキセン−1,2,3−トリカルボン酸、トリメシン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸、およびそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ポリエステル樹脂を構成するカルボン酸成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸や3価以上の多価カルボン酸、およびそれらのエステル形成性誘導体などを使用することができる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、およびそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。
本発明の塗料組成物中における親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の含有量は、塗料組成物全体に対して、60質量%以上、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、85質量%以下である。親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の含有量が60質量%未満であると、良好な塗布性を得ることができない。この理由は、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の含有量が少ないと、無機粒子(A)を多量に含有した樹脂層(X)を形成させる際の造膜性が低下し、樹脂層(X)にクラックが発生するだけでなく、樹脂層(X)上に導電性金属インクやCNT分散体を塗布した際に無機粒子(A)が削れ、樹脂層(X)から脱落してしまうためと推定している。一方、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が90質量%を超えても、同様に良好な塗布性を得ることができない。この理由は、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の含有量が多すぎると、無機粒子(A)の樹脂層(X)の含有量が相対的に少なくなってしまい、また無機粒子(A)の多くが親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)に埋没してしまい、樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以下となってしまうためと推定している。前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む原料より製造されるポリエステル樹脂
前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)は、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して、1〜25モル%であることが好ましい。親水性官能基であるスルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種が1モル%以上とすることで、親水性官能基を含有するポリエステル樹脂(C)に親水性を付与することができるだけでなく、水系溶媒へ溶解、または分散が可能となる。また、親水性官能基であるスルホン酸塩基や3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物を25モル%以下とすることで、安定的に親水性官能基を含有するポリエステル樹脂(C)を共重合により製造することができる。
ポリエステル樹脂のグリコール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、などを用いることができる。
親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)は、例えば、次のように製造することができる。例えばジカルボン酸成分と、グリコール成分と、スルホン酸塩基や3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物をエステル化反応あるいはエステル交換反応させる第一段階の工程の後、重縮合反応させることによって製造する方法や、ジカルボン酸成分とグリコール成分をエステル化反応あるいはエステル交換反応させる第一段階の工程の後、スルホン酸塩基や3価以上の多価カルボン酸塩基を含む化合物を加えて、第一段階の反応生成物と重縮合反応させる第二段階の工程とによって製造する方法などにより製造することができる。この際、反応触媒として、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物などを用いることができる。
上記の製造方法により得られた親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)は、溶媒に分散または溶解させて塗料組成物とする。水系溶媒へ分散または溶解させる手段としては、ポリエステル樹脂(C)を、撹拌下にアンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、各種アミン類等のアルカリ性化合物の水溶液に溶解もしくは分散させる方法が挙げられる。この場合、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ等の水溶性有機溶媒を併用してもよい。
本発明の積層フィルムの樹脂層(X)は、より好ましい効果として、金属ロールと接触した際の摩擦帯電抑制にも優れる。本効果により、後加工工程の搬送時のフィルム電位上昇が抑えられるため、異物巻き込みを抑制することができるだけでなく、後加工層の塗布ムラを抑えることができる。特にこの効果は、本発明の積層フィルムを、導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いた際に好適である。導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いる際、導電性塗料は塗料自体が導電性材料を有するため、従来、帯電によって加工性が悪化するとは考えられていなかった。しかしながら、導電性塗料中にはCNTなどの導電性材料を塗料中に分散させる目的で分散剤を含むことが多いが、一般的に分散剤は絶縁物質であるため、金属ロールと接触によって摩擦帯電が発生したフィルムへ塗布すると、塗布ムラが問題となる場合があることが判った。本発明者らが鋭意検討したところ、本発明の積層フィルムを導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いると、上記の問題を解決できることを明らかにした。本効果を発現する好ましい様態としては、金属ロールと接触する樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、および親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含有することが挙げられる。
(5)熱可塑性樹脂フィルム
本発明の積層フィルムにおいて用いられる熱可塑性樹脂フィルムとは、熱可塑性樹脂から形成されるフィルムである。熱によって溶融もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではない。熱可塑性樹脂の例として、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンフィルムなどのポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリレート樹脂やポリスチレン樹脂などのアクリル樹脂、ナイロン樹脂などのポリアミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂フィルムに用いられる熱可塑性樹脂はモノポリマーでも共重合ポリマーであってもよい。また、複数の樹脂を用いても良い。
これらの熱可塑性樹脂フィルムの代表例として、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのアクリル系フィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを挙げることができる。
これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性などの点でポリエステルフィルムが特に好ましい。
そこで、以下、本発明において、熱可塑性樹脂フィルムとして特に好適に用いられるポリエステルフィルムを構成するポリエステル樹脂について詳しく説明する。
まず、ポリエステルとは、エステル結合を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、ブチレンテレフタレート、プロピレン−2,6−ナフタレート、エチレン−α,β−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4‘−ジカルボキシレートなどから選ばれた少なくとも1種の構成成分を主要構成成分とするものを好ましく用いることができる。これらの構成成分は1種のみを用いても、2種以上併用してもよいが、中でも品質、経済性などを総合的に判断すると、エチレンテレフタレートを用いることが特に好ましい。すなわち、本発明では、熱可塑性樹脂フィルムに用いられる熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。また熱可塑性樹脂フィルムに熱や収縮応力などが作用する場合には、耐熱性や剛性に優れたポリエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。これらのポリエステルには、更に他のジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは20モル%以下含まれていてもよい。
上述した本発明の積層フィルムの熱可塑性樹脂フィルムを形成するポリエステル樹脂の極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は、0.4〜1.2dl/gが好ましく、より好ましくは0.5〜0.8dl/gの範囲にあるのもが本発明を実施する上で好適である。
上記ポリエステルを使用したポリエステルフィルムは、二軸配向されたものであるのが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルムとは、一般に、未延伸状態のポリエステルシート又はフィルムを長手方向および長手方向に直行する幅方向に各々2.5〜5倍程度延伸され、その後、熱処理を施されて、結晶配向が完了されたものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示すものをいう。熱可塑性樹脂フィルムが二軸配向していない場合には、導電性フィルムの熱安定性、特に寸法安定性や機械的強度が不十分であったり、平面性の悪いものとなるので好ましくない。
また、熱可塑性樹脂フィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系易滑剤、顔料、染料、有機又は無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などがその特性を悪化させない程度に添加されていてもよい。
熱可塑性樹脂フィルムの厚みは特に限定されるものではなく、用途や種類に応じて適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの点から、通常は好ましくは10〜500μm、より好ましくは38〜250μm、最も好ましくは75〜150μmである。また、熱可塑性樹脂フィルムは、共押出しによる複合フィルムであってもよいし、得られたフィルムを各種の方法で貼り合わせたフィルムであっても良い。
(6)樹脂層(X)の形成方法
本発明では、樹脂層(X)は、前述した炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)と無機粒子(A)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)、添加剤や溶媒を含有する塗料組成物を熱可塑性樹脂フィルム上へ塗布し、必要に応じて溶媒を乾燥させることによって、熱可塑性樹脂フィルム上に形成することができる。
また、本発明では、溶媒として水系溶媒を用いることが好ましい。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な樹脂層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
ここで、水系溶媒とは水、または水とメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類など水に可溶である有機溶媒が任意の比率で混合させているものを指す。水系溶媒を用いることで、乾燥工程での溶媒の急激な蒸発を抑制でき、均一な樹脂層を形成できるだけでなく、環境負荷の点で優れているためである。
塗料組成物の熱可塑性樹脂フィルムへの塗布方法はインラインコート法、オフコート法のどちらでも用いることができるが、好ましくはインラインコート法である。
インラインコート法とは、熱可塑性樹脂フィルムの製造の工程内で塗布を行う方法である。具体的には、熱可塑性樹脂を溶融押し出ししてから二軸延伸後熱処理して巻き上げるまでの任意の段階で塗布を行う方法を指し、通常は、溶融押出し後・急冷して得られる実質的に非晶状態の未延伸(未配向)熱可塑性樹脂フィルム(Aフィルム)、その後に長手方向に延伸された一軸延伸(一軸配向)熱可塑性樹脂フィルム(Bフィルム)、またはさらに幅方向に延伸された熱処理前の二軸延伸(二軸配向)熱可塑性樹脂フィルム(Cフィルム)の何れかのフィルムに塗布する。
本発明では、結晶配向が完了する前の上記Aフィルム、Bフィルム、またはCフィルムの何れかの熱可塑性樹脂フィルムに、塗料組成物を塗布し、その後、該熱可塑性樹脂フィルムを一軸又は二軸に延伸し、溶媒の沸点より高い温度で熱処理を施し熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させるとともに組成物層を設ける方法を採用することが好ましい。かかる方法によれば、熱可塑性樹脂フィルムの製膜と、塗料組成物の塗布乾燥(すなわち、組成物層の形成)を同時に行うことができるために製造コスト上のメリットがある。また、塗布後に延伸を行うために樹脂層の厚みをより薄くすることが容易である。
中でも、長手方向に一軸延伸されたフィルム(Bフィルム)に、塗料組成物を塗布し、その後、幅方向に延伸し、熱処理する方法が優れている。未延伸フィルムに塗布した後、二軸延伸する方法に比べ、延伸工程が1回少ないため、延伸による樹脂層の欠陥や亀裂が発生しづらく、透明性や平滑性に優れた樹脂層を形成できるためである。
一方、オフラインコート法とは、上記Aフィルムを一軸又は二軸に延伸し、熱処理を施し熱可塑性樹脂フィルムの結晶配向を完了させた後のフィルム、またはAフィルムに、フィルムの製膜工程とは別工程で塗料組成物を塗布する方法である。
本発明において樹脂層は、上述した種々の利点から、インラインコート法により設けられることが好ましい。
よって、本発明において最良の樹脂層の形成方法は、水系溶媒を用いた水系の塗料組成物を、熱可塑性樹脂フィルム上にインラインコート法を用いて塗布し、乾燥することによって形成する方法である。より好ましくは、一軸延伸後のBフィルムに塗料組成物をインラインコートする方法である。
(7)水系溶媒を用いた塗料組成物の調整方法
水系溶媒を用いた塗料組成物は、水分散性または水溶性を有する(A)、(B)、(C)の各物質と、水系溶媒を任意の順番で所望の固形分重量比で混合、撹拌することで作製することができる。混合、撹拌する方法は、容器を手で振って行ったり、マグネチックスターラーや撹拌羽根を用いたり、超音波照射、振動分散などを行うことができる。
また必要に応じて架橋剤、易滑剤や無機粒子、有機粒子、界面活性剤、酸化防止剤などの各種添加剤を、塗料組成物により設けた樹脂層(X)の特性を悪化させない程度に添加してもよい。
特に、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物から選ばれる化合物(E)を含有させることができる。化合物(E)の質量は、(A)、(B)、(C)の合計質量を100質量%とした際に、樹脂層(X)の特性を悪化させない程度として、20質量%以下であることが好ましい。
本発明で用いることのできるメラミン化合物は、1分子中にトリアジン環、及びメチロール基をそれぞれ1つ以上有している必要がある。メラミン化合物としては具体的には、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等を脱水縮合反応させてエーテル化した化合物などが好ましい。
メチロール化メラミン誘導体としては、例えばモノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。
オキサゾリン化合物としては、オキサゾリン基またはオキサジン基を1分子当たり少なくとも1つ以上有するものであれば特に限定されないが、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーが好ましく、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリンを挙げることができる。
カルボジイミド化合物としては、例えば、下記式(1)で表されるカルボジイミド構造を1分子当たり少なくとも1つ以上有するものであれば特に限定されないが、耐湿熱接着性などの点で、1分子中に2つ以上を有するポリカルボジイミド化合物が特に好ましい。特に、ポリエステル樹脂やアクリル樹脂などのポリマーの末端や側鎖に、複数個のカルボジイミド基を有する、高分子型のイソシアネート化合物が樹脂層の硬度向上やオリゴマー析出抑制性が高まり好ましく用いることができる。
−N=C=N− 式(1)
カルボジイミド化合物の製造は公知の技術を適用することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物を触媒存在下で重縮合することにより得られる。ポリカルボジイミド化合物の出発原料であるジイソシアネート化合物としては、芳香族、脂肪族、脂環式ジイソシアネートなどを用いることができ、具体的にはトリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネートなどを用いることができる。更に本発明の効果を消失させない範囲において、ポリカルボジイミド化合物の水溶性や水分散性を向上するために、界面活性剤を添加することや、ポリアルキレンオキシド、ジアルキルアミノアルコールの四級アンモニウム塩、ヒドロキシアルキルスルホン酸塩などの親水性モノマーを添加しても用いてもよい。
(8)塗布方式
熱可塑性樹脂フィルムへの塗料組成物の塗布方式は、公知の塗布方式、例えばバーコート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の任意の方式を用いることができる。
(9)積層フィルムの製造方法
次に、本発明の積層フィルムの製造方法について、熱可塑性樹脂フィルムにポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略す。)フィルムを用いた場合を例にして説明するが、当然これに限定されるものではない。まず、PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押出機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出し、冷却固化せしめて未延伸(未配向)PETフィルム(Aフィルム)を作製する。このフィルムを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルム(Bフィルム)を得る。このBフィルムの片面に所定の濃度に調製した本発明の塗料組成物を塗布する。この時、塗布前にPETフィルムの塗布面にコロナ放電処理等の表面処理を行ってもよい。コロナ放電処理等の表面処理を行うことで、塗料組成物のPETフィルムへの濡れ性を向上させ、塗料組成物のはじきを防止し、均一な塗布厚みを達成することができる。
塗布後、PETフィルムの端部をクリップで把持して80〜130℃の熱処理ゾーン(予熱ゾーン)へ導き、塗料組成物の溶媒を乾燥させる。乾燥後幅方向に1.1〜5.0倍延伸する。引き続き160〜240℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)へ導き1〜30秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法、および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)全光線透過率・ヘイズの測定
一辺が5cmの正方形状の積層フィルムサンプルを3点(3個)準備する。次にサンプルを23℃、相対湿度50%に40時間放置する。それぞれのサンプルを日本電色工業(株)製濁度計「NDH5000」を用いて、全光線透過率の測定はJIS「プラスチック透明材料の全光線透過率の試験方法」(K7361−1、1997年版)、ヘイズの測定はJIS「透明材料のヘーズの求め方」(K7136 2000年版)に準ずる方式で実施する。それぞれの3点(3個)の全光線透過率およびヘイズの値を平均して、積層フィルムの全光線透過率およびヘイズの値とする。
(2)無機粒子(A)の平均1次粒径の測定
まず、コロジオン(濃度2質量%の低硝化ニトロセルロース)を純水面に滴下し、水面上に展開したコロジオン薄膜を支持膜としてニッケル製の400メッシュグリッドに貼り付ける。次に溶媒中に分散させた無機粒子をグリッド上に滴下し、溶媒を乾燥させ測定用サンプルを作製する。得られた測定用サンプルをTEM(透過型電子顕微鏡:(株)日立製作所製H7100FA型)にて1万〜100万倍で観察し、無機粒子全体が写った写真を10点得る。その10点(10個)の無機粒子について、それぞれの粒子の最も長い長辺(真球上であれば直径)を読み取り、10点の測定値を平均して、無機粒子の平均1次粒径とする。
(3)樹脂層の表面粗さRa(中心線平均粗さ)の測定
まず、積層フィルムの樹脂層(X)表面を走査型プローブ顕微鏡(Shimadzu,SPM9600)を用いて測定する。カンチレバーは、ノンコンタクト・モード高共振周波数タイプのプローブ(ナノセンサーズ(NANOSENSORS)社の型番PPP−NCHRを用いて、1μm×1μmの視野において、走査速度0.5Hz、画素数512×512の範囲を測定する。次に得られたデータをJIS規格のJIS B0601(2001)に基づいて計算処理し、表面粗さRa(中心線平均粗さ)を算出する。
(4)樹脂層(X)の表面エネルギー算出
まず、積層フィルムを室温23℃相対湿度65%の雰囲気中に24時間放置後した。その後、同雰囲気下で、樹脂層に対して、純水、エチレングリコール、ホルムアミド、ジヨードメタンの4種の溶液のそれぞれの接触角を、接触角計CA−D型(協和界面科学(株)社製)により、それぞれ5点測定する。5点の測定値の最大値と最小値を除いた3点の測定値の平均値をそれぞれの溶液の接触角とする。
次に、得られた4種類の溶液の接触角を用いて、畑らによって提案された「固体の表面自由エネルギー(γ)を分散力成分(γ )、極性力成分(γ )、および水素結合力成分(γ )の3成分に分離し、Fowkes式を拡張した式(拡張Fowkes式)」に基づく幾何平均法により、本発明の分散力、極性力、水素結合力及び分散力と極性力の和である表面エネルギーを算出する。
具体的な算出方法を示す。各記号の意味について下記する。γ は固体と液体の界面での張力である場合、数式(1)が成立する。
γ : 樹脂層と表1に記載の既知の溶液の表面エネルギー
γ: 樹脂層の表面エネルギー
γ: 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギー
γ : 樹脂層の表面エネルギーの分散力成分
γ : 樹脂層の表面エネルギーの極性力成分
γ : 樹脂層の表面エネルギーの水素結合力成分
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギーの分散力成分
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギーの極性力成分
γL : 表1に記載の既知の溶液の表面エネルギーの水素結合力成分
γ =γ+γ−2(γ ・γ )1/2−2(γ ・γp)1/2−2(γ ・γ )1/2 ・・・ 数式(1)。
また、平滑な固体面と液滴が接触角(θ)で接しているときの状態は次式で表現される(Youngの式)。
γ=γ +γcosθ ・・・ 数式(2)。
これら数式(1)、数式(2)を組み合わせると、次式が得られる。
・γ )1/2+(γ ・γ )1/2+(γ ・γ )1/2=γ(1+cosθ)/2 ・・・ 数式(3)。
実際には、水、エチレングリコール、ホルムアミド、及びジヨードメタンの4種類の溶液に接触角(θ)と、表1に記載の既知の溶液の表面張力の各成分(γL 、γL 、γL )を数式(3)に代入し、4つの連立方程式を解く。その結果、固体の表面エネルギー(γ)、分散力成分(γ )、極性力成分(γ )、および水素結合力成分(γ )が算出される。尚、本願発明の分散力は分散力成分(γ )に該当し、本願発明の極性力は極性力成分(γ )と水素結合力成分(γ )の和に該当する。
(5)CNT塗布性評価
CNT分散体を下記のとおり調製した。まず、0.1mgのCNT(直線2層CNT:サイエンスラボラトリー社製、直径5nm)とCNT分散剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(シグマアルドリッチジャパン(株))(以下、CMC−Naと略す。)を0.25mgと水249.65mgを50mLサンプル管に入れ、CNT分散体を調製し、超音波破砕機(東京理化器機(株)製VCX−502、出力250W、直接照射)を用いて30分間超音波照射し、均一なCNT分散体(CNT濃度0.04質量%、CNT分散剤0.10質量%、(B)/(A)=2.5)を得る。
次に得られたCNT分散体を、バーコートを用いて、積層フィルムの樹脂層(X)上へ塗布厚みが6〜10μmとなるように塗布する。次に、CNT分散体を塗布した積層フィルムサンプルを100℃(風量ゲージ「7」)に設定したエスペック(株)製熱風オーブン「HIGH−TEMP−OVEN PHH−200」にて1分間乾燥させ評価サンプルを得る。
得られた積層フィルムサンプルを目視による塗布ハジキ、塗布ムラの有無、及び(1)により得られた3点の平均値により算出された全光線透過率に対して、別途A4サイズ(210mm×300mm)の積層フィルムサンプルより無作為に10点の全光線透過率を測定し評価する。評価基準は評価基準「B」を良好なCNT塗布性と判定する。
A:無作為に測定した10点のいずれの全光線透過率も(1)により得られた3点の平均値に対して0.7%未満の差である。
B:無作為に測定した10点のいずれの全光線透過率も(1)により得られた3点の平均値に対して、0.7%以上、1.0%未満の差である。
C:無作為に測定した10点のいずれかの全光線透過率が(1)により得られた3点の平均値に対して1.0%以上数値に差がある。
D:目視により明確に塗布ハジキ、塗布ムラが確認される。
(6)接着性評価
積層フィルムの樹脂層(X)面に、JIS5600−5−6(1999年制定)に準拠し、カット間隔2mmで5×5の25マスの切れ目を入れる。次に、切れ目を入れた部分に、ニチバン18mmセロテープ(登録商標)(品番:CT−18S)を、切れ目が見えるようにしっかりと指でセロテープ(登録商標)を擦る。そして、樹脂層に対して約60°の角度でセロテープ(登録商標)を瞬間的に引き剥がす。マスの剥離数をカウントする。尚、マスの一部のみが剥離した場合でも、1マスとカウントする。評価回数は5回とし、その平均値を求める。評価基準は以下のように定める。評価基準「B」以上を良好な接着性と判定する。
A:マスの剥離数が0マス
B:マスの剥離数が0マスを超えて、3マス以下
C:マスの剥離数が3マスを超えて、5マス以下
D:マスの剥離数が5マスを超える。
(7)耐湿熱接着性評価
前項(6)と同様の方法で積層フィルムを60℃90%RHに設定した恒温恒湿層(エスペック(株)製LU−113)の中に10日間(240時間)静置保管させた。10日間経過後、サンプルを恒温恒湿層から取り出して、常態(23℃、相対湿度50%)にて1時間静置乾燥させた。静置乾燥後に(5)と同様の方法で接着性評価を実施する。評価基準は(5)と同様に評価基準「B」以上を良好な接着性と判定する。
A:マスの剥離数が0マス
B:マスの剥離数が0マスを超えて、3マス以下
C:マスの剥離数が3マスを超えて、5マス以下
D:マスの剥離数が5マスを超える。
(8)樹脂層(X)の表面ゼータ電位測定
まず積層フィルムを、固体表面ゼータ電位測定用セルのサイズに合うように3cm×1cmにサンプリングし、測定面が積層フィルムの樹脂層(X)面になるように、ゼータ電位計(大塚電子(株)製、ELSZ−1000、Flat Surface Cell使用)にセットし、溶媒として水(温度:25℃、屈折率:1.3328、粘度:0.8878(cP)、誘電率:78.3)で3回測定を行い、Smoluchowskiの式によって算出された値の3回の平均値をゼータ電位の値とした。
(9)金属ロールとの摩擦帯電(金属板との滑り性)
金属ロールとの摩擦帯電は、金属SUS板との滑り性で評価する。積層フィルムを5cm×20cmにサンプリングし、樹脂層(X)面が金属SUS板と接触するように置き、200g/cmの荷重をかけながら、長さ5cmの距離を滑らせ、止まるまでの往復回数で評価する。測定は23℃、50%RHの環境下で行った。評価基準は評価基準「B」を滑り性良好と判定する。
A:10往復以上
B:5往復以上10往復未満
C:3往復以上、5往復未満
D:3往復未満。
本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、以下、実施例9は参考例とする。
(実施例1)
塗料組成物を次の通り調整した。
無機粒子(A1):
コロイダルシリカ“スノーテックスOL”(平均1次粒径45nm、日産化学工業(株)製)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B1):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ステアリルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数18)80重量部、メタクリル酸15重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート5重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B1)を含む水溶液を調整した。
親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1):
まず、テレフタル酸50質量部、イソフタル酸50質量部、エチレングリコール50質量部、ネオペンチルグリコール30質量部を重合触媒である三酸化アンチモン0.3質量部と酢酸亜鉛0.3質量部とともに窒素パージした反応器に仕込み、水を除去しながら常圧下で190〜220℃で12時間重合反応を行い、ポリエステルグリコールを得た。次に、得られたポリエステルグリコールに5−ナトリウムスルホイソフタル酸を5質量部、溶媒としてキシレンを反応器に仕込み、0.2mmHgの減圧下、260℃にてキシレンを留去しつつ、3時間重合させ、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1)を得た。このポリエステル樹脂(C1)を、アンモニア水およびブチルセルロースを含む水系溶媒に溶解させ水溶液を調整した。
水系溶媒:純水。
上記した(A1)、(B1)、(C1)の合計を100質量部として表2記載の比率にて塗料組成物を調整した。さらに、ポリエステルフィルム上への塗布性を向上させるために、フッ素系界面活性剤(互応化学(株)製 プラスコート(登録商標)RY−2)を、塗料組成物の合計100質量部((A1)+(B1)+(C1))に対して0.03質量部になるよう添加し、塗料1とした。
次いで、実質的に粒子を含有しないPETペレット(極限粘度0.63dl/g)を充分に真空乾燥した後、押し出し機に供給し285℃で溶融し、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法を用いて表面温度25℃の鏡面キャスティングドラムに巻き付けて冷却固化せしめた。この未延伸フィルムを90℃に加熱して長手方向に3.4倍延伸し、一軸延伸フィルム(Bフィルム)とした。このフィルムに空気中でコロナ放電処理を施した。
次に塗料1を一軸延伸フィルムのコロナ放電処理面にバーコートを用いて塗布した。塗料1を塗布した一軸延伸フィルムの幅方向両端部をクリップで把持して予熱ゾーンに導き、雰囲気温度75℃とした後、引き続いてラジエーションヒーターを用いて雰囲気温度を110℃とし、次いで雰囲気温度を90℃として、コーティング用組成物を乾燥させ、組成物層を形成せしめた。引き続き連続的に120℃の加熱ゾーン(延伸ゾーン)で幅方向に3.5倍延伸し、続いて230℃の熱処理ゾーン(熱固定ゾーン)で20秒間熱処理を施し、結晶配向の完了した積層フィルムを得た。得られた積層フィルムにおいてPETフィルムの厚みは100μmであった。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
(実施例2〜3)
塗料組成物中の無機粒子(A1)と炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B1)、及び親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1)の質量比に変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つ熱可塑性樹脂フィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性、耐アルカリ接着性に優れたものであった。
(実施例4〜6)
無機粒子(A)を無機粒子(A2):コロイダルシリカ“カタロイドSI−80P”(平均1次粒径80nm、日揮触媒化成(株)製)に変更し、(A)、(B)、(C)の質量比を表の通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
(実施例7)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)に変更した以外は実施例4と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ベヘニルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数22)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)を含む水溶液を調整した。
(実施例8)
親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C)を、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C2)に変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C2):
まず、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを50質量部、ビスフェノールS1モルに対してエチレンオキサイド2モルを付加した化合物を50質量部、1,3−プロパンジオール30質量部を重合触媒である三酸化アンチモン0.3質量部と酢酸亜鉛0.3質量部とともに窒素パージした反応器に仕込み、水を除去しながら常圧下で190〜220℃で12時間重合反応を行い、ポリエステルグリコールを得た。次に、得られたポリエステルグリコールに5−スルホイソフタル酸ジメチルナトリウムを5質量部、溶媒としてキシレンを反応器に仕込み、0.2mmHgの減圧下、260℃にてキシレンを留去しつつ、3時間重合させ、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C2)を得た。このポリエステル樹脂(C1)を、アンモニア水およびブチルセルロースを含む水系溶媒に溶解させ水溶液を調整した。
(実施例9)
無機粒子(A)を用いず、親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C)を、2つの親水性官能基を有するポリエスエル樹脂(C1、C2)に変更し、(B1)/(C1)/(C2)の質量比を表に記載した通りに変更した以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。尚、C1のTgは65℃、C2のTgは90℃であった。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
(実施例10)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B3)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B3):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ラウリルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数12)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B3)を含む水溶液を調整した。
(実施例11)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B4)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズや全光線透過率などの透明性に優れ、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に優れたものであった。
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B4):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ヘンイコシルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数21)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B4)を含む水溶液を調整した。
(比較例1〜3)
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例1では、無機粒子(A)の量が少ないため、樹脂層(X)の表面粗さが低下しCNT分散体の塗布性が不良であった。一方、比較例2では炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂の量は少ないため、樹脂層(X)の表面エネルギーが高く、樹脂層(X)の耐湿熱接着性、およびCNT塗布性が不良であった。また比較例3は、比較例2と比較して、さらに親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の量が増えたため、水接触角が低くなり、樹脂層(X)の耐湿熱接着性、およびCNT塗布性がさらに不良となった。
(比較例4)
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例4と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例4は、無機粒子(A)の量が多く、樹脂層(X)の表面粗さが大幅に上昇したが、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)の量が低下したため、樹脂層(X)の接着性、耐湿熱接着性が不良となり、またCNT分散体を塗布した際に、無機粒子(A)が削れてしまい、塗布性が不良となった。
(比較例5)
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例8と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例5は、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)の量が多く、樹脂層(X)の表面エネルギーが低下し、水接触角が高くなってしまったため、樹脂層(X)の接着性、耐湿熱接着性が不良となり、またCNT分散体を塗布した際に、CNT分散体がはじいてしまい塗布性が不良となった。
(比較例6)
塗料組成物中の(A)、(B)、(C)の組成比率を表の通りに変更した以外は、実施例8と同様の方法で、積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。比較例6は、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B2)の量が多く、樹脂層(X)の水接触角が高くなってしまったため、樹脂層(X)の接着性、耐湿熱接着性が不良となり、またCNT分散体を塗布した際に、CNT分散体がはじいてしまい塗布性が不良となった。
(比較例7)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B6)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズが高く不良であり、またPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に劣るものであった。
炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B6):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ブチルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数4)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B6)を含む水溶液を調整した。
(比較例8)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7)であることから、ヘイズが不良であり、且つPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に劣るものであった。
炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、ヒドロキシプロピルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数6)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B7)を含む水溶液を調整した。
(比較例9)
炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B8)に変更した以外は実施例8と同様の方法で積層フィルムを得た。得られた積層フィルムの特性等を表に示す。ヘイズが高く不良であり、またPETフィルムとの接着性、耐湿熱接着性、CNT塗布性に劣るものであった。
炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B8):
攪拌機、温度計、コンデンサーを備えた温度調整可能な反応器中に、トルエン500重量部、オクチルメタクリレート(アルキル鎖の炭素数8)65重量部、メタクリル酸25重量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート10重量部、アゾビスイソブチロニトリル1部を滴下器に入れ、反応温度85℃にて4時間で滴下して重合反応を行った。その後、同温度で2時間熟成して反応を完了させ離型剤(C)である化合物を得た。得られた化合物を、イソプロピルアルコール5重量%とn−ブチルセロソルブ5重量%を含む水に溶解させ、炭素数が12未満のアルキル基を有する樹脂(B8)を含む水溶液を調整した。
Figure 0006988491
Figure 0006988491
Figure 0006988491
熱可塑性樹脂フィルムとの接着性、耐湿熱接着性に優れ、導電性金属インクやCNT分散体などの導電性材料に対して良好な塗布性を発現させることから、導電性塗料用のアンダーコートフィルムについて好ましく用いることができ、特にタッチパネルや電子ペーパー部材である透明導電フィルムのアンダーコートとして好ましく用いることができる。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む樹脂層(X)を有する積層フィルムであって、以下の(1)〜()を満たす積層フィルム。
    (1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
    (2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
    (3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である。
    (4)樹脂層(X)が無機粒子(A)と親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む。
    (5)熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムである。
    (6)炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である。
  2. 前記無機粒子(A)がコロイダルシリカである請求項に記載の積層フィルム。
  3. 前記樹脂層(X)の表面ゼータ電位が、−50mV以上−10mV以下である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記樹脂層(X)の表面に、更に加工層を設けて用いられる請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 導電性塗料用のアンダーコートフィルムとして用いられる請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記樹脂層(X)が、無機粒子(A)、炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)を含む塗料組成物から形成される層であり、前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む請求項1〜のいずれかに記載の積層フィルム。
  7. 熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に樹脂層(X)が設けられた、以下の(1)〜(3)を満たす積層フィルムの製造方法であって、
    熱可塑性樹脂フィルムの少なくとも一面に、無機粒子(A)、親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)、及び炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)を含む塗料組成物を塗布した後、加熱、延伸することで、樹脂層(X)を形成せしめる工程を含み、
    前記熱可塑性樹脂フィルムがポリエステルフィルムであり、
    前記炭素数が12以上のアルキル基を有する樹脂(B)が、炭素数12以上のアルキル基を側鎖に有するアクリル樹脂である積層フィルムの製造方法。
    (1)樹脂層(X)の表面粗さRa(中心線平均粗さ)が5nm以上、100nm以下である。
    (2)樹脂層(X)の表面エネルギーが30mN/m以上、45mN/m以下である。
    (3)樹脂層(X)の水接触角が65°以上、110°以下である
  8. 前記親水性官能基を有するポリエステル樹脂(C)が、ジカルボン酸成分原料とジオール成分原料から合成され、前記ジカルボン酸成分原料が、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸、スルホン酸塩基を有するジカルボン酸のエステル形成性誘導体、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸、カルボン酸塩基を3つ以上有する多価カルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも1種をジカルボン酸成分原料全体に対して1〜25モル%含む原料より製造されるポリエステル樹脂である請求項に記載の積層フィルムの製造方法
JP2018002359A 2017-01-17 2018-01-11 積層フィルムおよびその製造方法 Active JP6988491B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017005598 2017-01-17
JP2017005598 2017-01-17
JP2017160790 2017-08-24
JP2017160790 2017-08-24

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019034532A JP2019034532A (ja) 2019-03-07
JP6988491B2 true JP6988491B2 (ja) 2022-01-05

Family

ID=65636573

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018002359A Active JP6988491B2 (ja) 2017-01-17 2018-01-11 積層フィルムおよびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6988491B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN116056897A (zh) * 2020-08-06 2023-05-02 东洋纺株式会社 层叠聚酯薄膜

Family Cites Families (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4936936A (en) * 1988-08-30 1990-06-26 E. I. Du Pont De Nemours And Company Method of making thermoplastic acrylic polymer coated composite structure
JP2530718B2 (ja) * 1989-06-13 1996-09-04 東レ株式会社 配電基盤用ポリエステルフィルム
JP3522777B2 (ja) * 1992-09-18 2004-04-26 帝人株式会社 ポリエステルフイルム及びその製造方法
WO2003093008A1 (fr) * 2002-05-02 2003-11-13 Teijin Dupont Films Japan Limited Film lamelle a usage optique
DE10301786A1 (de) * 2003-01-20 2004-07-29 Mitsubishi Polyester Film Gmbh Mehrschichtige transparente, biaxial orientierte Polyesterfolie, Verfahren zu ihrer Herstellung und ihre Verwendung
WO2007094441A1 (ja) * 2006-02-16 2007-08-23 Toray Industries, Inc. 成形用二軸配向ポリエステルフィルム
DE102007041706A1 (de) * 2007-09-03 2009-03-05 Mitsubishi Polyester Film Gmbh Coextrudierte, heißsiegelbare und peelfähige Polyesterfolie
JP5289553B2 (ja) * 2008-03-31 2013-09-11 コーロン インダストリーズ インク 光学用ポリエステルフィルム
EP2271491A1 (en) * 2008-04-30 2011-01-12 MeadWestvaco Corporation Water-based barrier coating compositions
US9109138B2 (en) * 2011-08-02 2015-08-18 Toray Plastics (America), Inc. Optically clear biaxially oriented polyester film with anti-iridescent primer layer
CN104812564B (zh) * 2012-11-28 2017-04-12 理研科技株式会社 具有玻璃样设计的物品
JP2017506277A (ja) * 2014-02-07 2017-03-02 デュポン・テイジン・フィルムズ・ユー・エス・リミテッド・パートナーシップ 帯電防止コーティングされたポリエステルフィルム
JP6387725B2 (ja) * 2014-03-31 2018-09-12 東レ株式会社 積層フィルムおよびその製造方法
JP2016037046A (ja) * 2014-08-06 2016-03-22 三菱樹脂株式会社 積層ポリエステルフィルム
JP6398503B2 (ja) * 2014-09-12 2018-10-03 東レ株式会社 積層フィルムおよびその製造方法
US20160306084A1 (en) * 2015-04-20 2016-10-20 3M Innovative Properties Company Durable low emissivity window film constructions

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019034532A (ja) 2019-03-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5272730B2 (ja) 易接着性積層熱可塑性樹脂フィルム
JP5469767B2 (ja) 低熱収縮を示すポリエステルフィルム
US9200126B2 (en) Laminated film
JP6384325B2 (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP4765710B2 (ja) ポリカーボネートフィルムの製造方法
JP6131855B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP6414052B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP6988491B2 (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP2008221560A (ja) 積層フィルム
JP6194617B2 (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP6201749B2 (ja) 積層ポリエステルフィルム、およびその製造方法
JP2018039259A (ja) 積層フィルムおよびその製造方法
JP2004216877A (ja) 積層ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2023128687A (ja) 二軸配向ポリエステルフィルム
KR20080073663A (ko) 반사판용 백색 폴리에스테르 필름
JP2024056103A (ja) 積層ポリエステルフィルム
JP2021171995A (ja) フィルム
JP2023002050A (ja) 離型フィルム及びフィルム積層体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20201130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210831

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20211020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211102

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211115

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6988491

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151