JP6988279B2 - 建築物の基礎構造、および、その施工方法 - Google Patents

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Description

本発明は建築物の基礎構造、および、その施工方法に関する。
従来の建築物の基礎構造では、コンクリートにより構成される基礎の耐久性を高めるために様々な対策が施されている。特許文献1は基礎(1)の立ち上がり部(5)の内側面(51)に二酸化炭素の透過を妨げる養生シート(10)を設け、立ち上がり部(5)の外面側(53)に二酸化炭素の透過を妨げる弾性塗料により構成される保護層(12)を設ける技術を開示している。
特開2015−187342号公報
一般に、養生シートにより得られる中性化を抑制する効果は、弾性塗料により構成される塗膜により得られる中性化を抑制する効果よりも高い。特許文献1では、養生シート(10)および保護層(12)のそれぞれにより得られる中性化を抑制する効果の関係について明示していないが、保護層(12)よりも養生シート(10)の方が基礎(1)の中性化を抑制する効果が高いと考えられる。この場合、保護層(12)が設けられている外周面(53)から立ち上がり(5)の内部に二酸化炭素が侵入し、基礎(1)の中性化が進行するおそれがある。
(1)本発明に関する建築物の基礎構造の施工方法はコンクリートの中性化を抑制する特性を有する中性化抑制シートを基礎の立ち上がりの内面である基礎内面、および、前記基礎の立ち上がりの外面である基礎外面に貼り付ける第1保護工程と、耐候性を高める保護層を前記基礎外面に設けられた前記中性化抑制シートの外面側に設ける第2保護工程とを含む。
基礎内面および基礎外面のそれぞれに中性化抑制シートが貼り付けられるため、基礎内面および基礎外面から立ち上がりの内部への二酸化炭素の侵入が抑制され、基礎の寿命が長くなる。また、基礎外面に貼り付けられた中性化抑制シートが保護層により紫外線等から保護されるため、中性化抑制シートの特性が長期間にわたって保持される。
(2)好ましい例では(1)に記載の建築物の基礎構造の施工方法において、前記第1保護工程では、前記基礎内面に設けるための前記中性化抑制シートである内側シート、および、前記基礎外面に設けるための前記中性化抑制シートである外側シートを用意し、前記内側シートを前記基礎内面に貼り付ける作業と、前記外側シートを前記基礎外面に貼り付ける作業とを個別に実施する。
このため、各シートを基礎に貼り付ける場合の作業性が向上する。
(3)好ましい例では(2)に記載の建築物の基礎構造の施工方法において、前記第1保護工程では、前記外側シートの上端と前記基礎外面の上端との間に余白が形成されるように前記外側シートを前記基礎外面に貼り付け、前記第2保護工程では、前記外側シートの外面および前記基礎外面の前記余白に前記保護層を設ける。
このため、外側シートを立ち上がりに貼り付ける場合に外側シートの上端が立ち上がりの上端から飛び出さない。
(4)好ましい例では(1)〜(3)に記載の建築物の基礎構造の施工方法において、前記第2保護工程では、前記中性化抑制シートの外面に塗装することにより前記中性化抑制シートの外面に前記保護層を設ける。
このため、立ち上がりの塗装を塗り替える場合に、外側シートを立ち上がりから剥がすことにより塗膜である保護層も剥がすことができる。
(5)本発明に関する建築物の基礎構造は基礎と、コンクリートの中性化を抑制する特性を有し、前記基礎の立ち上がりの内面である基礎内面、および、前記基礎の立ち上がりの外面である基礎外面に貼り付けられた中性化抑制シートと、前記基礎外面に貼り付けられた前記中性化抑制シートの耐候性が高められるようにそのシートの外面側に設けられた保護層とを備える。
上記建築物の基礎構造によれば、上記(1)の基礎構造の施工方法により得られる効果と同様の効果が得られる。
本発明に関する建築物の基礎構造、および、その施工方法によれば、基礎の寿命が長くなる。
実施形態の建築物の基礎構造の断面図。 図1の保護構造を除いた基礎構造を含む建築物の基礎構造の斜視図。 基礎構造の施工方法の第8工程に関する断面図。 基礎構造の施工方法の第9工程に関する断面図。 図1の基礎構造に建築物が設置された状態の断面図。
(実施形態)
図1に示されるように、建築物の基礎構造1を構成する主な要素は地盤100、地盤100に埋められた基礎10、および、地盤100上に形成された土間コンクリート層120である。基礎構造1上に設置される建築物の一例は個別住宅または集合住宅である。基礎10および土間コンクリート層120を構成する材料は強アルカリ性のコンクリートである。図1では、基礎10の一例として布基礎を示している。基礎10はフーチング11および立ち上がり12により構成されている。フーチング11は砕石層20上に設置されている。立ち上がり12の下部13は地盤100に埋設されている。立ち上がり12の上部14は地盤100の表面100Aから突出している。フーチング11には、立ち上がり12の下部13と繋がる平坦部11A、および、フーチング11の側面を構成する湾曲部11Bが設けられている。基礎10の内部には基礎10の強度を高めるための複数の鉄筋15が埋め込まれている。基礎10の構造は設置される建築物の構造等に応じて異なる。
図2に示されるように、立ち上がり12は枠16を構成している。基礎10には立ち上がり12の枠16に囲まれた領域である内側領域17が形成されている。内側領域17には地盤100の一部である基礎地盤110(図1参照)が形成されている。基礎地盤110の表面100Aには基礎地盤110の内部から建築物への水蒸気の侵入が抑制されるように土間コンクリート層120が形成されている。立ち上がり12の内面である基礎内面12A、および、立ち上がり12の外面である基礎外面12Bはそれぞれ複数の単位面により構成されている。単位面は枠16の角の間に形成された平面である。図2に示される例では、基礎内面12Aおよび基礎外面12Bはそれぞれ4つの単位面により構成されている。
図1に示されるように、基礎構造1は基礎10の耐久性を向上させるための保護構造30をさらに備えている。保護構造30を構成する主な要素は内側シート31、外側シート32、保護層33、および、仕上げ層34である。内側シート31および外側シート32は基礎10の中性化を抑制する特性を有する中性化抑制シートである。一例では、各シート31、32は基材層および粘着層が積層された層構造を備える。基材層は二酸化炭素の透過を妨げる特性を有する。基材層を構成する材料の一例は合成樹脂である。この合成樹脂の一例はポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリルシリコン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、および、アクリルフッ素系樹脂である。粘着層はコンクリートとの良好な密着状態を保持する特性を有する。粘着層を構成する粘着剤の一例はアクリル系の粘着剤である。好ましい例では、粘着剤の接着力はリフォームにともない中性化抑制シートを基礎10から剥がす場合における剥離の状態を考慮して設定される。具体的には、作業者が中性化抑制シートを基礎10から手で剥がす場合に、そのシートの全体が基礎10から綺麗に剥離するように接着力が設定される。このように接着力が設定された場合でも、標準的な使用期間において中性化抑制シートと基礎10とが良好に密着した状態が保持される。
内側シート31は基礎内面12Aに貼り付けられている。一例では、基礎内面12Aを構成する複数の単位面のそれぞれについて、1つの単位面に1枚の内側シート31が貼り付けられている。外側シート32は基礎外面12Bに貼り付けられている。一例では、基礎外面12Bを構成する複数の単位面のそれぞれについて、1つの単位面に1枚の外側シート32が貼り付けられている。各シート31、32の基材層を構成する材料、および、各シート31、32の粘着層を構成する材料はシート毎に選択できる。一例では、各シート31、32における基材層を構成する材料、および、粘着層を構成する材料は同じである。
内側シート31は基礎10の中性化が抑制されるように基礎内面12Aの少なくとも一部を覆う。基礎内面12Aにおいて内側シート31が貼り付けられる範囲は任意に選択できる。第1例では、内側シート31は基礎内面12Aのうちの土間コンクリート層120よりも上側の部分の全部を覆うように基礎内面12Aに貼り付けられる。第2例では、内側シート31の上端31Aと基礎内面12Aの上端12AEとの間に余白が形成されるように内側シート31が基礎内面12Aに貼り付けられる。第3例では、内側シート31の下端31Bと土間コンクリート層120の上端120Aとの間に余白が形成されるように内側シート31が基礎内面12Aに貼り付けられる。第2例および第3例に関する好ましい例では、余白を覆うテープまたは塗膜が基礎内面12Aにさらに設けられる。
外側シート32は基礎10の中性化が抑制されるように基礎外面12Bの少なくとも一部を覆う。基礎外面12Bにおいて外側シート32が貼り付けられる範囲は任意に選択できる。第1例では、外側シート32の上端32Aと基礎外面12Bの上端12BEとの間に余白が形成されるように外側シート32が基礎外面12Bに貼り付けられる。第2例では、外側シート32は基礎外面12Bのうちの地盤100の表面100Aよりも上側の部分の全部を覆うように基礎外面12Bに貼り付けられる。第3例では、外側シート32の下端32Bと地盤100の表面100Aとの間に余白が形成されるように外側シート32が基礎外面12Bに貼り付けられる。第1例および第3例に関する好ましい例では、余白を覆うテープまたは塗膜が基礎外面12Bにさらに設けられる。
保護層33はシート32の耐候性を高める特性を有する。保護層33の構成は任意に選択できる。第1例では、保護層33は外側シート32の外面32Cにコーティングされた塗膜である。塗膜を構成する塗料の一例は基礎用弾性塗料または厚膜塗料である。第2例では、保護層33は外側シート32の外面32Cに貼り付けられたシートである。シートの一例は浸透性吸水防止シート、建築用仕上げシート、または、塗膜防水シートである。第3例では、保護層33は外側シート32の外面32Cに接合された、または、外側シート32の外面32Cと接触するように配置された、または、外側シート32の外面32Cに対して一定の間隔を置いて配置された保護板である。保護板を構成する材料の一例はフレキシブルボード等である。保護板が外面32Cと接触する形態、および、保護板と外面32Cとの間に空間が形成される形態では、保護板と外面32Cとの間に水分等の異物が侵入しないように、異物の侵入経路となる可能性がある部分がシールされることが好ましい。
保護層33はシート32を保護できるように外側シート32の外面32C側に設けられる。図1に示される例では、保護層33は塗膜である。この保護層33を形成する場合、外側シート32の表面に凹凸加工を施すことにより、または、外側シート32の表面にプライマーを塗布することにより、保護層33と外面32Cとを強く接合できる。凹凸加工の一例は紙やすりを用いた研削である。プライマーの一例は有機系プライマーおよびポリマーセメント系プライマーである。有機系プライマーの一例は溶剤型エポキシプライマーおよび水性アクリル樹脂である。ポリマーセメント系プライマーの一例はスチレンブタジエンゴム系のポリマーセメントペースト、および、ポリアクリル酸エステル系のポリマーセメントペーストである。
外側シート32の外面32Cにおいて保護層33が設けられる範囲は任意に選択できる。第1例では、保護層33は外面32Cのうちの地盤100の表面100Aよりも上側の部分の全部を覆うように外面32Cに設けられる。第1例に関する好ましい例では、保護層33は外側シート32の上端32Aと基礎外面12Bの上端12BEとの間の余白12Dを覆うように基礎外面12Bに設けられる。第2例では、保護層33の上端33Aと外側シート32の上端32Aとの間に余白が形成されるように保護層33が外面32Cに設けられる。第3例では、保護層33の下端33Bと地盤100の表面100Aとの間に余白が形成されるように保護層33が外面32Cに設けられる。保護層33がシートである場合の第2例および第3例に関する好ましい例では、余白を覆うテープまたは塗膜が外面32Cにさらに設けられる。
仕上げ層34は基礎10のレベル調整および水平性を確保する不陸調整のために、立ち上がり12の天面12Cを覆うように設けられている。仕上げ層34を構成する材料は任意に選択できる。好ましい例では、仕上げ層34は容易に平坦面を形成できる材料により構成されている。その一例はセメント系セルフレベリング材である。
図3および図4を参照して、建築物の基礎構造の施工方法の一例について説明する。建築物の基礎構造の施工方法は第1工程〜第10工程を含む。第8工程および第9工程は第1保護工程の一例である。第10工程は第2保護工程の一例である。
第1工程では、地盤100に基礎10を配置するための掘削溝(図示略)が形成され、掘削溝の底に砕石層20が設けられる。掘削溝を形成するために掘り起こされた土壌は地盤100の表面100Aに仮置きされる。第2工程では、複数の鉄筋15が砕石層20の上部に設置される。第3工程では、基礎10を形成するための型枠(図示略)が砕石層20上に設置される。第4工程では、型枠にコンクリートが流し込まれる。コンクリートが硬化することにより型枠の形状に応じた基礎10が形成される。第5工程では立ち上がり12の天面12Cを覆うように仕上げ層34が形成される。第6工程では、基礎10から型枠が外される。第7工程では、フーチング11および立ち上がり12の下部13が埋設されるように地盤100の掘削溝が埋め戻される。
図3に示される第8工程では、立ち上がり12の基礎内面12Aに内側シート31が貼り付けられる。図4に示される第9工程では、立ち上がり12の基礎外面12Bに外側シート32が貼り付けられる。具体的には、外側シート32の上端32Aと基礎外面12Bの上端12BEとの間に余白12Dが形成されるように外側シート32が基礎外面12Bに貼り付けられる。この場合、外側シート32の上端32Aが立ち上がり12の上端12AEから飛び出さない。第8工程および第9工程の実施の順序は入れ替え可能である。第8工程および第9工程では、基礎内面12Aおよび基礎外面12Bに中性化抑制シートを貼り付ける作業が個別に実施されるため、作業性が向上する。好ましい例では、立ち上がり12に中性化抑制シートを貼り付ける作業に、その作業に適した特有の構造を備えた貼付治具が用いられる。特開2015−187327号公報は貼付治具の一例を開示している。貼付治具が用いられることにより、基礎内面12Aの単位面の面積が広い場合でもその単位面に対して中性化抑制シートが綺麗に貼り付けられる。
第10工程では、外側シート32の外面32Cのうちの地盤100の表面100Aよりも上側の部分の全部、および、外側シート32の上端32Aと基礎外面12Bの上端12BEとの間の余白12Dを覆うように保護層33が基礎外面12Bに設けられる。第8工程および第9工程の実施の順序は入れ替え可能であるが、好ましい例では、第9工程に続けて第10工程が実施される。保護層33が塗膜である場合、保護層33の形成には塗料噴射装置またはローラーが用いられる。保護層33がシートである場合、保護層33の形成には上記貼付治具または類似の構造を備える治具が用いられる。塗膜である保護層33の塗り替え、または、シートである保護層33の貼り替えの必要が生じた場合、外側シート32を基礎10から剥がすことにより保護層33も剥がすことができる。このため、保護層33の塗り替えおよび貼り替えのための下準備にかかる時間を短縮できる。保護層33が塗膜である場合には特に効果が高い。
基礎構造1、および、その施工方法によれば、次のような作用および効果が得られる。基礎内面12Aおよび基礎外面12Bのそれぞれに中性化を抑制する特性を有する各シート31、32が貼り付けられるため、基礎内面12Aおよび基礎外面12Bから立ち上がり12の内部への二酸化炭素の侵入が抑制され、基礎10の寿命が長くなる。また、外側シート32が保護層33により紫外線等から保護されるため、外側シート32の特性が長期間にわたって保持される。また、図5に示されるように、建築物200に設けられる水切り210が基礎外面12Bの上端12BEよりも下方に位置する場合がある。外側シート32の上端32Aと基礎外面12Bの上端12BEとの間に余白12Dが形成されるように外側シート32が基礎外面12Bに貼り付けられる場合、作業者は外側シート32の上端32Aを容易に掴むことができる。このため、外側シート32の上端32Aを起点として外側シート32を立ち上がり12から剥がすことができる。このため、外側シート32および保護層33を立ち上がり12から剥がす作業を容易に行なうことができる。
基礎構造1およびその施工方法が発明された経緯について説明する。従来の建築物の基礎構造の施工方法では、基礎外面に塗膜を形成し、基礎内面が露出した状態で基礎を製造していた(以下「従来の第1施工方法」)。この基礎では、基礎内面から立ち上がりの内部に二酸化炭素が侵入し、基礎の中性化が進行し、基礎の寿命が低下するという課題があることが着目された。これを解決するための施工方法の1つとして、基礎内面に中性化抑制シートを設ける施工方法が提案された(以下「従来の第2施工方法」)。この施工方法により製造された基礎では、基礎内面から立ち上がりの内部への二酸化炭素の侵入が抑制され、基礎の中性化が進行しにくくなるという効果が得られている。
近年では、建築物の寿命をさらに伸ばすことが期待され、これに寄与する事項の1つとして基礎の中性化のさらなる抑制が挙げられる。本願発明者はその実現のために、より耐久性に優れたコンクリートを用いて基礎を製造することを検討したが、基礎構造の製造コストに及ぼす影響を考慮し、さらに別の手段を検討した。この検討により、従来の第1施工方法および従来の第2施工方法により製造された基礎では、基礎外面に形成される塗膜により基礎外面から立ち上がりの内部への二酸化炭素の侵入が抑制されているが、その効果をさらに高める余地があることが着目された。本願発明者はこの点を基に、基礎外面から立ち上がりの内部への二酸化炭素の侵入をさらに抑制する施工方法(以下「改良された施工方法」)として、基礎内面の保護に用いられている中性化抑制シートを基礎外面にも設けることに想到し、その効果を確認する試験を実施した。
試験での評価項目はコンクリートの強度、コンクリートの乾燥収縮性、および、コンクリートの中性化抑制性である。試験に用いられた試料は第1試料〜第3試料である。第1試料は円筒形のコンクリートの外周面だけに中性化抑制シートが貼り付けられた試料である。第2試料は基礎のうちの円筒形のコンクリートの外周面だけに塗膜が形成された試料である。第3試料は円筒形のコンクリートのいずれの面にも中性化抑制シートおよび塗膜が設けられていない試料である。中性化抑制シートおよび塗膜の種類はそれぞれ多数存在するが、この試験では代表的な中性化抑制シートおよび塗膜が用いられた。
コンクリートの強度を評価する試験では、材齢と圧縮強度との関係を測定した。圧縮強度は試料を圧縮し、試料が破断するときの最大圧縮応力である。コンクリートの強度を評価する試験では、第1試料および第2試料の圧縮強度が第3試料の圧縮強度よりも高いことが確認された。これは、中性化抑制シートおよび途膜がコンクリートに含まれる水分を保持し、コンクリートの強度を向上させる特性を有することを示している。
コンクリートの乾燥収縮性を評価する試験では、材齢と収縮率との関係を測定した。収縮率は試料の基準長さに対する規定部分の実際の長さの割合である。基準長さは試料の製造が完了した時点に測定される。実際の長さは試料の製造の完了から一定の測定期間が経過する毎に測定される。コンクリートの乾燥収縮性を評価する試験では、第1試料、第2試料、および、第3試料の順に材齢の増加に対する収縮率の増加の度合が低いことが確認された。これは、中性化抑制シートが塗膜よりもコンクリートに含まれる水分を保持する特性に関して優れていることを示している。
コンクリートの中性化抑制性を評価する試験では、材齢と中性化の進行具合との関係を測定した。この試験では、材齢が増加した場合に第1試料および第2試料はアルカリ性に維持され、第3試料が中性に変化することが確認された。これは、中性化抑制シートおよび塗膜が中性化を抑制する特性を有することを示している。
本願発明者は改良された施工方法を実施するにあたり、この施工方法に次のような課題が存在することに着目した。基礎外面に設けられた中性化抑制シートは、基礎内面に設けられた中性化抑制シートよりも厳しい環境に晒されるため、予め想定された期間よりも短い期間で中性化抑制シートの特性が損なわれるおそれがある。この課題を解決するため、基礎外面の中性化抑制シートの耐候性を高めるための保護層を設ける基礎の保護構造が発明された。この保護構造では、基礎外面の中性化抑制シートの特性が長期間にわたり維持されることが試験により確認された。実施形態に例示された保護構造30は、上記のとおり発明された保護構造の一例である。保護構造30は、基礎構造1の製造コストを抑えながら、基礎10の寿命を一層長くすることに寄与する。
(変形例)
上記実施形態は本発明に関する建築物の基礎構造およびその施工方法が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する建築物の基礎構造およびその施工方法は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。
・基礎構造の施工方法は任意に変更可能である。一例では、第9工程において複数の外側シート32が基礎外面12Bに積層されるように複数の外側シート32が基礎外面12Bに設けられる。具体的には、基礎外面12Bに1枚の外側シート32が貼り付けられ、その外側シート32に別の外側シート32が貼り付けられる。積層される外側シート32が3枚以上である場合には、外側シート32に別の外側シート32を貼り付ける作業が繰り返される。この施工方法により保護構造30が製造された後に、保護層33の塗り替えの必要が生じた場合、次のように保護層33の塗り替え作業を実施できる。最初に、基礎外面12B上に積層された複数の外側シート32のうちの少なくとも基礎外面12Bに貼り付けられた外側シート32については立ち上がり12に設けられた状態を保ち、基礎外面12B上に積層された複数の外側シート32のうちの少なくとも保護層33が設けられた外側シート32を立ち上がり12に残される外側シート32から剥がす。次に、最も外側に積層されている外側シート32に保護層33を形成する。立ち上がり12に残される外側シート32の枚数と、保護層33とともに剥がす外側シート32の枚数との関係は任意に選択できる。この施工方法によれば、保護層33の塗り替えのための下準備にかかる時間を短縮できる。
・基礎10に対する中性化抑制シートの貼り付け方は任意に変更可能である。第1例では、基礎内面12Aを構成する複数の単位面のそれぞれについて、単位面毎に複数枚の内側シート31を用意し、単位面における対象部位の全体が内側シート31で保護されるように複数枚の内側シート31を各単位面に貼り付ける。第2例では、基礎外面12Bを構成する複数の単位面のそれぞれについて、第1例と同様に複数枚の外側シート32を各単位面に貼り付ける。第3例では、第1例および第2例の両方を実施する。第4例では、基礎内面12Aおよび基礎外面12Bに加え、立ち上がり12の天面12Cにも中性化抑制シートを貼り付ける。立ち上がり12の天面12Cに貼り付けられる中性化抑制シートを天面シートと称する。内側シート31、外側シート32、および、天面シートの形態は任意に選択できる。第1形態では、内側シート31および天面シートは連続した1枚のシートである。第2形態では、外側シート32および天面シートは連続した1枚のシートである。第3形態では、内側シート31、天面シート、および、外側シート32は連続した1枚のシートである。
1 :基礎構造
10 :基礎
12 :立ち上がり
12A :基礎内面
12B :基礎外面
12BE :上端
12D :余白
31 :内側シート(中性化抑制シート)
32 :外側シート(中性化抑制シート)
32A :上端
32C :外面
33 :保護層
200 :建築物

Claims (5)

  1. コンクリートの中性化を抑制する特性を有する中性化抑制シートを、基礎の立ち上がりの外面である基礎外面に、前記中性化抑制シートの上端を起点として前記中性化抑制シートを引き剥がすことが出来るように、前記中性化抑制シートの上端と前記基礎外面の上端との間に余白が設けられるようにして貼り付ける第1保護工程と、
    耐候性を高める保護層を前記基礎外面に設けられた前記中性化抑制シートの外面側に設ける第2保護工程とを含む
    建築物の基礎構造の施工方法。
  2. 前記第1保護工程では、前記基礎の立ち上がりの内面である基礎内面に前記中性化抑制シートを貼り付ける作業をさらに含み、前記基礎内面に設けるための前記中性化抑制シートである内側シート、および、前記基礎外面に設けるための前記中性化抑制シートである外側シートを用意し、前記内側シートを前記基礎内面に貼り付ける作業と、前記外側シートを前記基礎外面に貼り付ける作業とを個別に実施する
    請求項1に記載の建築物の基礎構造の施工方法。
  3. 記第2保護工程では、前記外側シートの外面および前記基礎外面の前記余白に前記保護層を設ける
    請求項2に記載の建築物の基礎構造の施工方法。
  4. 前記第2保護工程では、前記中性化抑制シートの外面に塗装することにより前記中性化抑制シートの外面に前記保護層を設ける
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の建築物の基礎構造の施工方法。
  5. 立ち上がりの外面である基礎外面を有する基礎と、コンクリートの中性化を抑制する特性を有する中性化抑制シートと、前記中性化抑制シートの外面側に設けられて前記中性化抑制シートの耐候性が高める保護層と、を備え、
    前記中性化抑制シートは、前記中性化抑制シートの上端を起点として前記中性化抑制シートを引き剥がすことが出来るように、前記中性化抑制シートの上端と前記基礎外面の上端との間に余白が設けられるようにして、前記基礎外面に貼り付けられる
    建築物の基礎構造。
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