JP6987948B2 - 半導体装置の製造方法、基板処理方法、基板処理装置、およびプログラム - Google Patents

半導体装置の製造方法、基板処理方法、基板処理装置、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、半導体装置の製造方法、基板処理装置、およびプログラムに関する。
半導体装置の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理が行われることがある(例えば特許文献1参照)。
特開2014−127524号公報
本発明は、基板上に形成される膜の膜質を向上させることを目的とする。
本発明の一態様によれば、
(a)基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する工程と、
(b)前記基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する工程とを、
前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、C、およびNを含む膜を形成する技術が提供される。
本発明によれば、基板上に形成される膜の膜質を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を縦断面図で示す図である。 本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置の縦型処理炉の概略構成図であり、処理炉部分を図1のA−A線断面図で示す図である。 本発明の一実施形態で好適に用いられる基板処理装置のコントローラの概略構成図であり、コントローラの制御系をブロック図で示す図である。 本発明の一実施形態の成膜シーケンスを示す図である。 (a)は1,3−ジシラプロパンの化学構造式を、(b)は1,4−ジシラブタンの化学構造式を、(c)は1,3−ジシラブタンの化学構造式を、(d)は1,3,5−トリシラペンタンの化学構造式を、(e)は1,3,5−トリシラシクロヘキサンの化学構造式を、(f)は1,3−ジシラシクロブタンの化学構造式をそれぞれ示す図である。 (a)はトリシリルアミンの化学構造式を、(b)はモノクロロトリシリルアミンの化学構造式をそれぞれ示す図である。 基板上に形成された膜のC濃度およびN濃度の測定結果をそれぞれ示す図である。 基板上に形成された膜のC濃度、N濃度および屈折率の測定結果をそれぞれ示す図である。 (a)は基板上に形成された膜の組成比の測定結果を示す図であり、(b)は基板上に形成された膜に含まれる炭素の結合状態の割合の測定結果を示す図である。 基板上に形成された膜のステップカバレッジの測定結果を示す図である。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態について、主に、図1〜図5を用いて説明する。
(1)基板処理装置の構成
図1に示すように、処理炉202は加熱機構(温度調整部)としてのヒータ207を有する。ヒータ207は円筒形状であり、保持板に支持されることにより垂直に据え付けられている。ヒータ207は、ガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応管203が配設されている。反応管203は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料により構成され、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管203の筒中空部には、処理室201が形成される。処理室201は、基板としてのウエハ200を収容可能に構成されている。この処理室201内でウエハ200に対する処理が行われる。
処理室201内には、ノズル249a,249bが、反応管203の下部側壁を貫通するように設けられている。ノズル249a,249bには、ガス供給管232a,232bがそれぞれ接続されている。
ガス供給管232a,232bには、上流側から順に、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)241a,241bおよび開閉弁であるバルブ243a,243bがそれぞれ設けられている。ガス供給管232a,232bのバルブ243a,243bよりも下流側には、ガス供給管232c,232dがそれぞれ接続されている。ガス供給管232c,232dには、上流側から順に、MFC241c,241dおよびバルブ243c,243dがそれぞれ設けられている。
図2に示すように、ノズル249a,249bは、反応管203の内壁とウエハ200との間における平面視において円環状の空間に、反応管203の内壁の下部より上部に沿って、ウエハ200の配列方向上方に向かって立ち上がるようにそれぞれ設けられている。すなわち、ノズル249a,249bは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うようにそれぞれ設けられている。ノズル249a,249bの側面には、ガスを供給するガス供給孔250a,250bがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の中心を向くようにそれぞれ開口しており、ウエハ200に向けてガスを供給することが可能となっている。ガス供給孔250a,250bは、反応管203の下部から上部にわたって複数設けられている。
ガス供給管232aからは、ウエハ200上に形成される膜を構成する主元素であるシリコン(Si)と炭素(C)との化学結合(Si−C結合)を含み、塩素(Cl)、フッ素(F)、臭素(Br)、ヨウ素(I)等のハロゲン非含有の第1原料(第1原料ガス)が、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。原料ガスとは、気体状態の原料、例えば、常温常圧下で液体状態である原料を気化することで得られるガスや、常温常圧下で気体状態である原料等のことである。第1原料ガスとしては、例えば、1,4−ジシラブタン(SiHCHCHSiH、略称:1,4−DSB)ガスを用いることができる。図5(b)に化学構造式を示すように、1,4−DSBは、Si−C結合、Siと水素(H)との化学結合(Si−H結合)、および、CとHとの化学結合(C−H結合)等を含む物質であり、1分子中に2つのSi−C結合と、6つのSi−H結合と、4つのC−H結合と、を含んでいる。1,4−DSBは、アルキレン基としてのエチレン基(C)を含み、後述するアルキル基非含有の原料でもある。1,4−DSBにおけるCが有する4つの結合手のうち、1つはSi−C結合を構成しており、2つはC−H結合を構成している。本明細書では、1,4−DSBのことを、単にDSBとも称する。DSBは、後述する基板処理工程において、Siソース、Cソースとして作用する。
ガス供給管232aからは、Siと窒素(N)との化学結合(Si−N結合)を含み、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基等のアルキル基非含有の第2原料(第2原料ガス)が、MFC241a、バルブ243a、ノズル249aを介して処理室201内へ供給される。第2原料ガスとしては、例えば、トリシリルアミン(N(SiH、略称:TSA)ガスを用いることができる。図6(a)に化学構造式を示すように、TSAは、Si−N結合およびSi−H結合を含む物質であり、1分子中に3つのSi−N結合と、9つのSi−H結合と、を含んでいる。TSAはハロゲン非含有の原料でもある。TSAにおける1つのN(中心元素)には、3つのSiが結合している。TSAは、後述する基板処理工程において、Siソース、Nソースとしても作用する。
ガス供給管232bからは、反応体(反応ガス)として、例えば、酸素(O)含有ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。O含有ガスは、酸化剤(酸化ガス)、すなわち、Oソースとして作用する。O含有ガスとしては、例えば、酸素(O)ガスを用いることができる。
ガス供給管232bからは、触媒(触媒ガス)として、例えば、ハロボランの一種であるトリクロロボラン(BCl)ガスが、MFC241b、バルブ243b、ノズル249bを介して処理室201内へ供給される。BClガスは、後述する基板処理工程において、ウエハ200上への膜の形成を促進させる触媒的な作用を発揮する。ただし、BClガスは、成膜処理の過程でその分子構造の一部が分解する場合もある。このような、化学反応の前後でその一部が変化するガスは、厳密には触媒ではない。しかしながら、本明細書では、化学反応の過程でその一部が分解する場合であっても、大部分は分解せず、また、反応の速度を変化させ、実質的に触媒として作用する物質を、触媒と称する。
ガス供給管232c,232dからは、不活性ガスとしての窒素(N)ガスが、それぞれMFC241c,241d、バルブ243c,243d、ガス供給管232a,232b、ノズル249a,249bを介して処理室201内へ供給される。Nガスは、パージガス、キャリアガス、希釈ガス等として作用する。
主に、ガス供給管232a、MFC241a、バルブ243aにより、第1原料供給系、第2原料供給系がそれぞれ構成される。主に、ガス供給管232b、MFC241b、バルブ243bにより、反応体供給系(酸化剤供給系)、触媒供給系がそれぞれ構成される。主に、ガス供給管232c,232d、MFC241c,241d、バルブ243c,243dにより、不活性ガス供給系が構成される。
上述の各種供給系のうち、いずれか、或いは、全ての供給系は、バルブ243a〜243dやMFC241a〜241d等が集積されてなる集積型供給システム248として構成されていてもよい。集積型供給システム248は、ガス供給管232a〜232dのそれぞれに対して接続され、ガス供給管232a〜232d内への各種ガスの供給動作、すなわち、バルブ243a〜243dの開閉動作やMFC241a〜241dによる流量調整動作等が、後述するコントローラ121によって制御されるように構成されている。集積型供給システム248は、一体型、或いは、分割型の集積ユニットとして構成されており、ガス供給管232a〜232d等に対して集積ユニット単位で着脱を行うことができ、集積型供給システム248のメンテナンス、交換、増設等を、集積ユニット単位で行うことが可能なように構成されている。
反応管203の側壁下方には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。排気管231には、処理室201内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ244を介して、真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ244は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201内の真空排気および真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で、圧力センサ245により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室201内の圧力を調整することができるように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ244により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
反応管203の下方には、反応管203の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属材料により構成され、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、反応管203の下端と当接するシール部材としてのOリング220が設けられている。シールキャップ219の下方には、後述するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、反応管203の外部に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ウエハ200を処理室201内外に搬入および搬出(搬送)する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持するように、すなわち、間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料により構成される断熱板218が水平姿勢で多段に支持されている。
反応管203内には、温度検出器としての温度センサ263が設置されている。温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電具合を調整することで、処理室201内の温度が所望の温度分布となる。温度センサ263は、反応管203の内壁に沿って設けられている。
図3に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a、RAM(Random Access Memory)121b、記憶装置121c、I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b、記憶装置121c、I/Oポート121dは、内部バス121eを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する成膜処理の手順や条件等が記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する成膜処理における各手順をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、プロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。また、プロセスレシピを、単に、レシピともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、レシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
I/Oポート121dは、上述のMFC241a〜241d、バルブ243a〜243d、圧力センサ245、APCバルブ244、真空ポンプ246、温度センサ263、ヒータ207、回転機構267、ボートエレベータ115等に接続されている。
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピを読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC241a〜241dによる各種ガスの流量調整動作、バルブ243a〜243dの開閉動作、APCバルブ244の開閉動作および圧力センサ245に基づくAPCバルブ244による圧力調整動作、真空ポンプ246の起動および停止、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作等を制御するように構成されている。
コントローラ121は、外部記憶装置123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。外部記憶装置123は、例えば、HDD等の磁気ディスク、CD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ等を含む。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、それらの両方を含む場合がある。なお、コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
(2)基板処理工程
上述の基板処理装置を用い、半導体装置の製造工程の一工程として、基板としてのウエハ200上に膜を形成する基板処理シーケンス例、すなわち、成膜シーケンス例について、図4を用いて説明する。以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
図4に示す成膜シーケンスでは、
(a)ウエハ200に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料としてDSBガスを供給するステップと、
(b)ウエハ200に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料としてTSAガスを供給するステップとを、
DSBガスにおけるSi−C結合の少なくとも一部およびTSAガスにおけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ200上に、Si、C、およびNを含む膜を形成する。
なお、図4に示す成膜シーケンスで行うサイクルは、
(c)ウエハ200に対して酸化剤としてOガスを供給するステップを、上述の(a)および(b)のそれぞれと非同時に行うことを更に含む。この場合、ウエハ200上に形成される膜は、更にOを含み、Si、O、C、およびNを含む膜、すなわち、シリコン酸炭窒化膜(SiOCN膜)となる。
また、図4に示す成膜シーケンスで行うサイクルは、
(d)ウエハ200に対して触媒としてBClガスを供給するステップを、上述の(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に行うことを更に含む。図4では、一例として、(d)を、(a)の前に行い、(a)の後であって(b)の前には不実施とする場合を示している。
本明細書では、図4に示す成膜シーケンスを、便宜上、以下のように示すこともある。以下の他の実施形態等の説明においても同様の表記を用いることとする。
(BCl→DSB→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものを意味する場合や、ウエハとその表面に形成された所定の層や膜との積層体を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、ウエハそのものの表面を意味する場合や、ウエハ上に形成された所定の層等の表面を意味する場合がある。本明細書において「ウエハ上に所定の層を形成する」と記載した場合は、ウエハそのものの表面上に所定の層を直接形成することを意味する場合や、ウエハ上に形成されている層等の上に所定の層を形成することを意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
(ウエハチャージおよびボートロード)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)される。その後、図1に示すように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内へ搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219は、Oリング220を介して反応管203の下端をシールした状態となる。
(圧力調整および温度調整)
処理室201内、すなわち、ウエハ200が存在する空間が所望の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ246によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室201内の圧力は圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ244がフィードバック制御される。また、処理室201内のウエハ200が所望の処理温度となるように、ヒータ207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電具合がフィードバック制御される。また、回転機構267によるウエハ200の回転を開始する。真空ポンプ246の稼働、ウエハ200の加熱および回転は、いずれも、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
(成膜ステップ)
その後、以下のステップ1〜4を順次実施する。
[ステップ1]
このステップでは、処理室201内のウエハ200に対してBClガスを供給する。具体的には、バルブ243bを開き、ガス供給管232b内へBClガスを流す。BClガスは、MFC241bにより流量調整され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してBClガスが供給される。このときバルブ243c,243dを開き、ガス供給管232c,232d内へNガスを流すようにしてもよい。
本ステップにおける処理条件としては、
BClガス供給流量:1〜2000sccm
ガス供給流量(各ガス供給管):0〜10000sccm
各ガス供給時間:1〜120秒
処理温度:400℃〜450℃、好ましくは425〜450℃
処理圧力:1〜2000Pa
が例示される。
上述の条件下でウエハ200に対してBClガスを供給することにより、処理室201内におけるBClガスの気相中での分解、すなわち、熱分解を抑制しつつ、ウエハ200の最表面にBClを吸着させることが可能となる。これにより、ウエハ200上に、第1層(初期層)として、BおよびClを含む層を形成することが可能となる。第1層は、ウエハ200上に物理吸着したBClや、BClがウエハ200上に化学吸着することで生じた物質を含む層となる。ウエハ200の表面に吸着したこれらの物質は、後述するステップ2,3において、ウエハ200の表面上で成膜反応(後述する第2層、第3層の形成反応)を進行させる触媒として作用する。以下、触媒として作用するこれらの物質を、便宜上、BCl(xは1〜3)とも称する。
ウエハ200上に第1層を形成した後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのBClガスの供給を停止する。そして、処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。このとき、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へNガスを供給する。Nガスはパージガスとして作用する。これらにより、処理室201内に浮遊するBClガスを除去することが可能となる。そしてこれにより、後述するステップ2を、処理室201内にBClガスが浮遊していない状態(非浮遊の状態)で行うことが可能となる。
触媒としては、BClガスの他、モノクロロボラン(BClH)ガス、ジクロロボラン(BClH)ガス、トリフルオロボラン(BF)ガス、トリブロモボラン(BBr)ガス、ジボラン(B)ガス等を用いることができる。
不活性ガスとしては、Nガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いることができる。この点は、後述するステップ2〜4や、ポストトリートメントステップ等においても同様である。
[ステップ2]
このステップでは、処理室201内にBClガスが浮遊していない状態で、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第1層に対してDSBガスを供給する。具体的には、バルブ232a,232c,232dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ232b〜232dの開閉制御と同様の手順で行う。DSBガスは、MFC241aにより流量制御され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してDSBガスが供給される。
本ステップにおける処理条件としては、
DSBガス供給流量:1〜2000sccm
DSBガス供給時間:1〜300秒
処理圧力:1〜4000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップ1における処理条件と同様とする。
上述の条件下でウエハ200に対してDSBガスを供給することにより、第1層に含まれるBClの触媒作用によって触媒反応を生じさせ、これにより、DSBの分子構造の一部を分解させることが可能となる。そして、DSBの分子構造の一部が分解することで生成された物質、例えば、Si−C結合等を含む第1中間体を、ウエハ200の表面に吸着(化学吸着)させることが可能となる。これにより、第1層を改質させ、ウエハ200上に、第2層として、SiおよびCを含む層であるシリコン炭化層(SiC層)を形成することが可能となる。なお、DSBガスはSi−H結合、C−H結合により終端されていることから、ウエハ200の表面に吸着しにくい特性を有するが、BClの触媒作用を利用することによって、ウエハ200の表面へ効率的に吸着するようになる。このように、第2層の形成反応は、ウエハ200の表面に予め吸着させておいたBClの触媒作用によって進行するものであり、気相反応ではなく、表面反応が主体となる。なおこのとき、処理室201内にはBClが浮遊していないことから、第2層の形成反応を、気相反応ではなく、表面反応によって進行させることがより確実に可能となる。
なお、上述の条件下では、DSBガスのSi−C結合の少なくとも一部は切断されることなく保持される。そのため、第2層は、SiおよびCを、Si−C結合の形で含む層となる。また、上述の条件下では、第1層に含まれていたBClの一部を、消滅させることなく第2層中に残留させることができる。このことにより、第2層は、BClをも含む層となる。第2層に含まれるBClは、後述するステップ3において、成膜反応(第3層の形成反応)を進行させる触媒として作用する。第2層を、BClを含むSiC層と称することもできる。
ウエハ200上に第2層を形成した後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのDSBガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
第1原料としては、DSBガスの他、1,3−ジシラプロパン(SiHCHSiH、略称:1,3−DSP)ガス、1,3−ジシラブタン(SiHCHSiHCH、略称:1,3−DSB)ガス、1,3,5−トリシラペンタン(SiHCHSiHCHSiH、略称:1,3,5−TSP)ガス、1,3,5−トリシラシクロヘキサン(SiHCHSiHCHSiHCH、略称:1,3,5−TSCH)ガス、1,3−ジシラシクロブタン(SiHCHSiHCH、略称:1,3−DSCB)ガス等を用いることができる。図5(a)に1,3−DSPの化学構造式を、図5(c)に1,3−DSBの化学構造式を、図5(d)に1,3,5−TSPの化学構造式を、図5(e)に1,3,5−TSCHの化学構造式を、図5(f)に1,3−DSCBの化学構造式をそれぞれ示す。これらのガスは、Si−C結合を含み、ハロゲン非含有の物質である。図5(a)〜図5(f)に示す物質は、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜のアッシング耐性、ウェットエッチング耐性、ドライエッチング耐性等(以下、これらを総称して加工耐性ともいう)を低下させる要因となり得る以下の結合、例えば、2つ以上好ましくは3つ以上より好ましくは全て(4つ)の結合手にCが結合したC同士の結合(以下、この結合を単にC−C結合と称する)、CとOとの化学結合(C−O結合)、Siとアルキル基(R)との化学結合(Si−R結合)、NとHとの化学結合(N−H結合)、NとOとの化学結合(N−O結合)を、ほとんど、或いは、全く含まない。
[ステップ3]
このステップでは、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第2層に対してTSAガスを供給する。具体的には、バルブ232a,232c,232dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ232b〜232dの開閉制御と同様の手順で行う。TSAガスは、MFC241aにより流量制御され、ノズル249aを介して処理室201内へ供給され、排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してTSAガスが供給される。
本ステップにおける処理条件としては、
TSAガス供給流量:1〜2000sccm
TSAガス供給時間:1〜300秒
処理圧力:1〜2000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップ1における処理条件と同様とする。
上述の条件下でウエハ200に対してTSAガスを供給することにより、第2層に含まれるBClの触媒作用によって触媒反応を生じさせ、これにより、TSAの分子構造の一部を分解させることが可能となる。そして、TSAの分子構造の一部が分解することで生成された物質、例えば、Si−N結合等を含む第2中間体を、ウエハ200の表面に吸着(化学吸着)させることが可能となる。これにより、第2層を改質させながら成長させ、ウエハ200上に、第3層として、Si、C、およびNを含む層であるシリコン炭窒化層(SiCN層)を形成することが可能となる。なお、TSAガスはSi−H結合により終端されていることから、ウエハ200の表面に吸着しにくい特性を有するが、BClの触媒作用を利用することによって、ウエハ200の表面へ効率的に吸着するようになる。このように、第3層の形成反応は、第2層中に残留させておいたBClの触媒作用によって進行するものであり、気相反応ではなく、表面反応が主体となる。
なお、上述の条件下では、TSAガスのSi−N結合の少なくとも一部は切断されることなく保持される。そのため、第3層は、SiおよびNを、Si−N結合の形で含む層となる。また、上述の条件下では、第2層に含まれるSi−C結合の少なくとも一部は切断されることなく保持される。そのため、第3層は、SiおよびCを、Si−C結合の形で含む層となる。なお、上述の条件下では、第2層に含まれていたBClは、TSAガスとの反応の際に、ほとんど、或いは、全てが消費され、第2層から除去される。第3層に含まれるBClの量は、不純物レベルにまで低下する。
ウエハ200上に第3層を形成した後、バルブ243aを閉じ、処理室201内へのTSAガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
第2原料としては、TSAガスの他、モノクロロシリルアミン(N(SiHSiHCl)ガス等を用いることができる。図6(b)にモノクロロシリルアミンの化学構造式を示す。モノクロロシリルアミンは、1分子中に3つのSi−N結合を含み、アルキル基非含有の物質である。図6(a)、図6(b)に示すように、これらの物質は、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の加工耐性を低下させる要因となり得る上述の結合、例えば、C−C結合、C−O結合、Si−R(Rはアルキル基)結合、N−H結合、N−O結合を、全く含まない。
[ステップ4]
このステップでは、処理室201内のウエハ200、すなわち、ウエハ200上に形成された第3層に対してOガスを供給する。具体的には、バルブ232b,232c,232dの開閉制御を、ステップ1におけるバルブ232a,232c,232dの開閉制御と同様の手順で行う。Oガスは、MFC241bにより流量制御され、ノズル249bを介して処理室201内へ供給され、排気管231より排気される。このとき、ウエハ200に対してOガスが供給される。
本ステップにおける処理条件としては、
ガス供給流量:1〜10000sccm
ガス供給時間:1〜300秒
処理圧力:1〜4000Pa
が例示される。他の処理条件は、ステップ1における処理条件と同様とする。
上述の条件下でウエハ200に対してOガスを供給することにより、ウエハ200上に形成された第3層の少なくとも一部を改質(酸化)させることができる。これにより、第3層中からH、B、Cl等の不純物を脱離させると共に、Oガスに含まれるO成分を第3層中に取り込ませることが可能となる。第3層が酸化されることで、ウエハ200上に、第4層として、Si、O、C、およびNを含む層であるシリコン酸炭窒化層(SiOCN層)を形成することが可能となる。
なお、上述の条件下では、第3層に含まれるSi−C結合およびSi−N結合のそれぞれの少なくとも一部は切断されることなく保持される。そのため、第4層は、Si−C結合およびSi−N結合のそれぞれを含む層となる。
ウエハ200上に第4層を形成した後、バルブ243bを閉じ、処理室201内へのOガスの供給を停止する。そして、ステップ1と同様の処理手順により、処理室201内に残留するガス等を処理室201内から排除する。
酸化剤としては、Oガスの他、亜酸化窒素(NO)ガス、一酸化窒素(NO)ガス、二酸化窒素(NO)ガス、一酸化炭素(CO)ガス、二酸化炭素(CO)ガス、オゾン(O)ガス、過酸化水素(H)ガス、水蒸気(HOガス)、Oガス+水素(H)ガス等を用いることができる。
[所定回数実施]
上述したステップ1〜4を非同時に、すなわち、同期させることなく行うサイクルを所定回数(n回、nは1以上の整数)行うことにより、ウエハ200上に、所定膜厚、所定組成のSiOCN膜を形成することができる。上述のサイクルは複数回繰り返すのが好ましい。すなわち、上述のサイクルを1回行う際に形成される第4層の厚さを所望の膜厚よりも小さくし、第4層を積層することで形成されるSiOCN膜の膜厚が所望の膜厚になるまで、上述のサイクルを複数回繰り返すのが好ましい。
なお、成膜ステップで示した処理条件は、ステップ2において、処理室201内にDSBガスが単独で存在した場合に、DSBガスのSi−C結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件である。また、上述の処理条件は、ステップ3において、処理室201内にTSAガスが単独で存在した場合に、TSAガスのSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件でもある。このような条件下で成膜ステップを行うことにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に、DSBガスおよびTSAガスのそれぞれに含まれていたSi−C結合およびSi−N結合のそれぞれを、そのままの形で取り込ませることが可能となる。
また、成膜ステップで示した処理条件は、ステップ1において、処理室201内にBClガスが単独で存在した場合に、BClガスが熱分解(気相分解)することなくウエハ200の表面上にBClの形で吸着する条件でもある。このような条件下で成膜ステップを行うことにより、ウエハ200上に形成される第1層中に、触媒として作用するBClを含ませることが可能となる。また、ウエハ200上に形成される第1層の厚さのウエハ面内均一性(以下、単に面内均一性とも呼ぶ)を高めたり、段差被覆性(以下、ステップカバレッジ特性とも呼ぶ)を向上させたりすることが可能となる。これらの結果、第2、第3層の形成反応を、効率的に、かつ、ウエハ200の面内全域にわたり均等のレートで進行させることが可能となる。そして、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の成膜レートを高めるとともに、この膜を、面内膜厚均一性が高く、ステップカバレッジ特性に優れた膜とすることが可能となる。
なお、処理温度が400℃未満となると、ステップ1において、ウエハ200の表面にBClが化学吸着しにくくなり、ウエハ200上への第1層の形成が難しくなる場合がある。また、ステップ2,3において、BClの触媒作用が得られにくくなり、ウエハ200上への第2、第3層の形成が難しくなる場合がある。結果として、ウエハ200上へのSiOCN膜の形成を実用的な成膜レートで進行させることが困難となる場合がある。処理温度を400℃以上の温度とすることで、これらの課題を解消することが可能となり、ウエハ200上へのSiOCN膜の形成を実用的な成膜レートで進行させることが可能となる。処理温度を425℃以上の温度とすることで、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の成膜レートをさらに高めることが可能となる。
また、処理温度が450℃を超えると、ステップ2,3において、原料の熱分解等が過剰に進行し、第2、第3層の形成を、気相反応よりも表面反応が主体となる状況下で進行させることが困難となる場合がある。また、ステップ2,3において、DSBガスのSi−C結合の少なくとも一部を保持したり、TSAガスのSi−N結合の少なくとも一部を保持したりすることが困難となる場合もある。処理温度を450℃以下の温度とすることで、これらの課題を解消することが可能となる。結果として、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の面内膜厚均一性やステップカバレッジ特性をそれぞれ向上させることが可能となる。また、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に、Si−C結合およびSi−N結合をそれぞれ取り込ませることが容易となる。
したがって、成膜ステップにおける処理温度は、例えば、400℃〜450℃の範囲内の温度とするのが好ましく、425〜450℃の範囲内の温度とするのがより好ましい。
(ポストトリートメントステップ)
ウエハ200上へのSiOCN膜の形成が完了した後、ヒータ207の温度を適正に調整し、後処理として、ウエハ200上に形成されたSiOCN膜を熱処理(アニール処理)する。このステップは、バルブ243c,243dを開き、処理室201内へNガスを供給しながら行ってもよく、また、バルブ243c,243dを閉じ、処理室201内へのNガスの供給を停止した状態で行ってもよい。いずれの場合も、このステップは、バルブ243a,243bを閉じ、処理室201内への触媒、第1原料、第2原料、酸化剤の供給をそれぞれ停止した状態で行う。
本ステップにおける処理条件としては、
ガス供給流量(各ガス供給管):0〜20000sccm
処理温度:600〜1000℃
処理圧力:0.1〜100000Pa
処理時間:1〜300分
が例示される。
(アフターパージおよび大気圧復帰)
成膜ステップおよびポストトリートメントステップが終了した後、ガス供給管232c,232dのそれぞれからNガスを処理室201内へ供給し、排気管231より排気する。これにより、処理室201内がパージされ、処理室201内に残留するガスや反応副生成物等が処理室201内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
(ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降され、反応管203の下端が開口される。そして、処理済のウエハ200が、ボート217に支持された状態で、反応管203の下端から反応管203の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
(3)本実施形態による効果
本実施形態によれば、以下に示す一つ又は複数の効果が得られる。
(a)DSBガスおよびTSAガスを、DSBガスにおけるSi−C結合の少なくとも一部、および、TSAガスにおけるSi−N結合の少なくとも一部が、それぞれ切断されることなく保持される条件下で用いることにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に、DSBガスおよびTSAガスにおけるSi−C結合およびSi−N結合のそれぞれを、そのままの形で取り込ませることが可能となる。これにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の加工耐性を向上させることが可能となる。
(b)成膜ステップをノンプラズマの雰囲気下で行うことにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に、Si−C結合およびSi−N結合のそれぞれを取り込ませることが容易となる。これにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の加工耐性をより向上させることが可能となる。
(c)第1、第2原料として、膜の加工耐性を低下させる要因となり得るC−C結合、C−O結合、Si−R(Rはアルキル基)結合、N−H結合等を、ほとんど、或いは、全く含まない物質を用いることにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に、これらの各種結合を含ませないようにすることが容易となる。これにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の加工耐性を、よりいっそう向上させることが可能となる。
なお、ウエハ200に対して、1,1,2,2−テトラクロロ−1,2−ジメチルジシラン((CHSiCl、略称:TCDMDS)ガス等のアルキルクロロシラン系ガス、ジメチルアミノシラン(SiH[N(CH])ガス等のアミノシラン系ガス、および、Oガスを非同時に供給するサイクルを所定回数行うことによっても、ウエハ200上にSiOCN膜を形成することは可能である。しかしながら、このような手法によって形成されたSiOCN膜は、膜の加工耐性を低下させる要因となり得る上述の各種結合を膜中に含むことがあり、本実施形態で形成されるSiOCN膜ほどの加工耐性は得られにくい傾向があることが分かっている。発明者の鋭意研究によれば、SiOCN膜中に含まれるC−C結合、C−O結合、Si−R(Rはアルキル基)結合は、例えば、膜のアッシング耐性の低下を招く傾向があり、SiOCN膜中に含まれるN−H結合は、例えば、膜のウェットエッチング耐性の低下を招く傾向があることが分かっている。
(d)以上述べた種々の効果によれば、本実施形態では、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中へのC成分やN成分の添加量を少なくしても、膜の加工耐性を充分に高めることが可能となる。また、誘電率の増加要因となり得るC成分やN成分のSiOCN膜中への添加量を少なくすることにより、この膜を加工耐性に優れた膜としつつ、誘電率の低い膜(Low−k膜)とすることが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、トレードオフの関係となりやすい加工耐性の向上と低誘電率化(Low−k化)とを両立させることが可能となる。
(e)ステップ2を行う前、すなわち、各サイクルの最初に、ウエハ200の表面にBClを吸着させるステップ1を行うことにより、BClの触媒作用を利用して、ステップ2における第2層の形成を効率的に進行させることが可能となる。また、ステップ2を行う際、第1層に含まれるBClの一部を第2層中に残留させることにより、BClの触媒作用を利用して、ステップ3における第3層の形成を効率的に進行させることが可能となる。これらの結果、ウエハ200上へのSiOCN膜の形成を、上述の低温条件下において、また、ノンプラズマの雰囲気下において、高い成膜レートで効率的に進行させることが可能となる。なお、ステップ1をステップ2の前に行い、ステップ2の後であってステップ3の前では不実施とすることにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中へのSi−C結合の取り込みを、Si−N結合の取り込みよりも促すことが容易となる。
(f)ステップ2を行う際、ウエハ200の表面に吸着させたBClの触媒作用を利用することより、第2層の形成を表面反応にて進行させ、第2層の面内均一性やステップカバレッジ特性を向上させることが可能となる。また、ステップ3を行う際、第2層中に残留させたBClの触媒作用を利用することにより、第3層の形成を表面反応にて進行させ、第3層の面内均一性やステップカバレッジ特性を向上させることが可能となる。これらの結果、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の面内膜厚均一性およびステップカバレッジ特性のそれぞれを向上させることが可能となる。
(g)ステップ1〜4を非同時に行うことにより、すなわち、ウエハ200に対するBClガス、DSBガス、TSAガス、Oガスの供給を、処理室201内のパージ処理を挟んで順に行うことにより、ウエハ200上へのSiOCN膜の形成を、気相反応ではなく、表面反応によって進行させることが可能となる。また、ステップ1を行った後、ステップ2を行う前に、処理室201内に浮遊するBClガスを除去するステップを行うことにより、すなわち、ステップ2を、処理室201内にBClガスが浮遊していない状態(非浮遊の状態)で行うことにより、ウエハ200上へのSiOCN膜の形成を、気相反応ではなく、表面反応によって進行させることがより確実に可能となる。これらの結果、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の面内膜厚均一性およびステップカバレッジ特性のそれぞれをより向上させることが可能となる。
(h)第1原料としてNソースとして作用せずCソースとして作用するDSBガスを用い、第2原料としてCソースとして作用せずNソースとして作用するTSAガスを用いることにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中に取り込ませるC成分の量やN成分の量を、独立して制御することが可能となる。すなわち、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜の組成の制御性を高め、その組成を広範囲かつ精密に制御することが可能となる。
(i)成膜ステップを実施した後、ポストトリートメントステップを行うことにより、ウエハ200上に形成されたSiOCN膜中に含まれるH等の不純物を、膜中から脱離させることが可能となる。また、ウエハ200上に形成されたSiOCN膜を緻密化させることが可能となる。これらにより、この膜の加工耐性をさらに高めることが可能となる。また、ウエハ200上に形成されたSiOCN膜が大気中に暴露された際等における膜の誘電率増加を回避することも可能となる。
(j)上述の効果は、BClガス以外の上述の触媒を用いる場合や、DSBガス以外の上述の第1原料を用いる場合や、TSAガス以外の上述の第2原料を用いる場合や、Oガス以外の上述の酸化剤を用いる場合や、Nガス以外の上述の不活性ガスを用いる場合にも、同様に得ることができる。
(4)変形例
本実施形態における成膜処理のシーケンスは、図4に示す態様に限定されず、以下の変形例のように変更することができる。また、これらの変形例は任意に組み合わせることができる。なお、特に説明がない限り、各変形例の各ステップにおける処理手順、処理条件は、上述の基板処理シーケンスの各ステップにおける処理手順、処理条件と同様とする。
(変形例1)
以下に示す成膜シーケンスのように、成膜ステップでは、DSBガス、TSAガスの供給順序を入れ替えるようにしてもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。また、BClガスを供給するステップを、TSAガスを供給するステップの前に行い、TSAガスを供給するステップの後であってDSBガスを供給するステップの前では不実施とすることにより、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中へのSi−N結合の取り込みを、Si−C結合の取り込みよりも促すことが容易となる。
(BCl→TSA→DSB→O)×n ⇒ SiOCN
(変形例2)
以下に示す成膜シーケンスのように、成膜ステップでは、Oガスを供給するステップを不実施とし、ウエハ200上に、Si、C、およびNを含む膜、すなわち、シリコン炭窒化膜(SiCN膜)を形成するようにしてもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。また、ウエハ200上に形成されるSiCN膜中に含まれるNやCの量に対するSiの量を相対的に増加させ、この膜をSiリッチな膜とすることも可能となる。
(BCl→DSB→TSA)×n ⇒ SiCN
(BCl→TSA→DSB)×n ⇒ SiCN
(変形例3)
以下に示す成膜シーケンスのように、成膜ステップでは、BClガスを供給するステップを不実施としてもよい。本変形例においても、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜中にSi−C結合およびSi−N結合のそれぞれを取り込ませることが可能となり、ウエハ200上に形成されるSiOCN膜を、加工耐性に優れた膜とすることが可能となる。なお、触媒を用いない場合、処理温度が450℃未満となるとSiOCN膜を実用的な成膜レートで形成できないことがある。処理温度を450℃以上とすることで触媒を用いない場合であってもSiOCN膜を実用的な成膜レートで形成することが可能となる。また、触媒を用いない場合、処理温度が470℃を超えると気相反応が過剰となり膜厚均一性が悪化しやすくなり、その制御が困難となることがある。処理温度を470℃以下とすることで、触媒を用いない場合に膜厚均一性の悪化を抑制でき、その制御が可能となる。よって、本変形例のように触媒を用いない場合においては、処理温度を450〜470℃の範囲内の温度とするのが好ましい。
(DSB→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
(TSA→DSB→O)×n ⇒ SiOCN
(変形例4)
以下に示す成膜シーケンスのように、成膜ステップでは、BClガスを供給するステップ、および、Oガスを供給するステップの両方を不実施としてもよい。本変形例においても、ウエハ200上に形成されるSiCN膜中にSi−C結合およびSi−N結合のそれぞれを取り込ませることが可能となり、ウエハ200上に形成されるSiCN膜を、加工耐性に優れた膜とすることが可能となる。また、膜中に含まれるNやCの量に対するSiの量を相対的に増加させ、この膜をSiリッチな膜とすることも可能となる。なお、本変形例においては、変形例3と同様の理由により、処理温度を450〜470℃の範囲内の温度とするのが好ましい。
(DSB→TSA)×n ⇒ SiリッチSiCN
(TSA→DSB)×n ⇒ SiリッチSiCN
(変形例5)
以下に示す成膜シーケンスのように、BClガスを供給するステップを、DSBガスを供給するステップの前、および、DSBガスを供給するステップの後であってTSAガスを供給するステップの前の両方で実施してもよい。また、BClガスを供給するステップを、TSAガスを供給するステップの前、および、TSAガスを供給するステップの後であってDSBガスを供給するステップの前の両方で実施してもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。また、触媒であるBClガスを2回に分けてそれぞれの原料を供給する前にそれぞれ供給することにより、ウエハ200上に形成される膜の面内膜厚均一性およびステップカバレッジ特性のそれぞれをよりいっそう向上させることが可能となり、また、成膜レートをより高めることが可能となる。
(BCl→DSB→BCl→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
(BCl→TSA→BCl→DSB→O)×n ⇒ SiOCN
(BCl→DSB→BCl→TSA)×n ⇒ SiCN
(BCl→TSA→BCl→DSB)×n ⇒ SiCN
(変形例6)
以下に示す成膜シーケンスのように、BClガスを供給するステップを、サイクルの最初では不実施とし、各原料を供給する間でのみ実施してもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。なお、各サイクルを行う際、最初にDSBガスを供給し、次にTSAガスを供給する場合に本変形例を採用することで、ウエハ200上に形成される膜中へのSi−C結合の取り込みを適正に抑制しつつ、Si−N結合の取り込みを促すことが可能となる。また、各サイクルを行う際、最初にTSAガスを供給し、次にDSBガスを供給する場合に本変形例を採用することで、ウエハ200上に形成される膜中へのSi−N結合の取り込みを適正に抑制しつつ、Si−C結合の取り込みを促すことが可能となる。
(DSB→BCl→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
(TSA→BCl→DSB→O)×n ⇒ SiOCN
(DSB→BCl→TSA)×n ⇒ SiCN
(TSA→BCl→DSB)×n ⇒ SiCN
(変形例7)
以下に示す成膜シーケンスのように、ウエハ200上へのSi、O、およびCを含むシリコン酸炭化膜(SiOC膜)の形成と、ウエハ200上へのSi、O、およびNを含むシリコン酸窒化膜(SiON膜)の形成と、を交互に繰り返すようにしてもよい(n〜nはそれぞれ1以上の整数)。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。また、SiOC膜およびSiON膜のそれぞれの膜厚を0.1nm以上5nm以下の膜厚とすることで、最終的に形成される積層膜を、積層方向において統一された特性を有し、膜全体として一体不可分の特性を有するナノラミネート膜とすることができる。また、SiOC膜とSiON膜との膜厚比率を調整することで、最終的に形成される積層膜の組成比を、広範囲に制御することが可能となる。
〔(BCl→DSB→O)×n→(BCl→TSA→O)×n〕×n ⇒ SiON/SiOC
〔(BCl→TSA→O)×n→(BCl→DSB→O)×n〕×n ⇒ SiOC/SiON
(変形例8)
以下に示す成膜シーケンスのように、BClガスを供給するステップの実施タイミングを、サイクル毎に変更してもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。また、ウエハ200上に形成される膜中へのSi−C結合の取り込みとSi−N結合の取り込みとのそれぞれを、バランスよく促すことが可能となる。また、ウエハ200上に形成される膜中のC濃度やN濃度を膜厚(深さ)方向で制御することも可能となる。
〔(BCl→DSB→TSA→O)×n→(DSB→BCl→TSA→O)×n〕×n ⇒ SiOCN
〔(BCl→DSB→TSA)×n→(DSB→BCl→TSA)×n〕×n ⇒ SiON
(変形例9)
以下に示す成膜シーケンスのように、DSBガス、TSAガスの供給順序を、サイクル毎に入れ替えるようにしてもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスと同様の効果が得られる。また、ウエハ200上に形成される膜中へのSi−C結合の取り込みとSi−N結合の取り込みとのそれぞれを、バランスよく促すことが可能となる。また、ウエハ200上に形成される膜中のC濃度やN濃度を膜厚(深さ)方向で制御することも可能となる。
〔(BCl→DSB→TSA→O)×n→(BCl→TSA→DSB→O)×n〕×n ⇒ SiOCN
〔(BCl→DSB→TSA)×n→(BCl→TSA→DSB)×n〕×n ⇒ SiCN
(変形例10)
ポストトリートメントステップでは、ウエハ200上に形成されたSiOCN膜に対してNプラズマ等を照射してもよく、マイクロ波等を照射してもよい。本変形例においても、ポストトリートメントステップで熱処理を行う場合と同様の効果が得られる。また、プラズマ照射処理やマイクロ波照射処理を行う場合は、熱処理を行う場合よりも、処理温度を低温化させることが可能となり、ウエハ200の熱履歴を低減させることも可能となる。例えば、プラズマ照射処理を行う場合やマイクロ波照射処理を行う場合は、処理温度を室温(25℃)以上470℃以下とすることができ、さらには、室温以上450℃以下とすることもできる。すなわち、ポストトリートメントステップの処理温度を、成膜ステップの処理温度と同一温度とすることも可能となる。
(変形例11)
図4に示す成膜シーケンスでは、成膜ステップとポストトリートメントステップとを同一の処理室201内で、すなわち、in−situで行う場合について説明したが、成膜ステップとポストトリートメントステップとを異なる処理室内で、すなわち、ex−situで行うようにしてもよい。また、成膜ステップを実施した後、ポストトリートメントステップを不実施としてもよい。本変形例においても、図4に示す成膜シーケンスとほぼ同様の効果が得られる。
<他の実施形態>
以上、本発明の実施形態を具体的に説明した。しかしながら、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
基板処理に用いられるレシピは、処理内容に応じて個別に用意し、電気通信回線や外部記憶装置123を介して記憶装置121c内に格納しておくことが好ましい。そして、基板処理を開始する際、CPU121aが、記憶装置121c内に格納された複数のレシピの中から、処理内容に応じて適正なレシピを適宜選択することが好ましい。これにより、1台の基板処理装置で様々な膜種、組成比、膜質、膜厚の膜を、再現性よく形成することができるようになる。また、オペレータの負担を低減でき、操作ミスを回避しつつ、基板処理を迅速に開始できるようになる。
上述のレシピは、新たに作成する場合に限らず、例えば、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを変更することで用意してもよい。レシピを変更する場合は、変更後のレシピを、電気通信回線や当該レシピを記録した記録媒体を介して、基板処理装置にインストールしてもよい。また、既存の基板処理装置が備える入出力装置122を操作し、基板処理装置に既にインストールされていた既存のレシピを直接変更してもよい。
上述の実施形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、例えば、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する例について説明した。本発明は上述の実施形態に限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて膜を形成する場合にも、好適に適用できる。
これらの基板処理装置を用いる場合においても、上述の実施形態や変形例と同様な処理手順、処理条件にて成膜処理を行うことができ、上述の実施形態や変形例と同様の効果が得られる。
また、上述の実施形態や変形例等は、適宜組み合わせて用いることができる。このときの処理手順、処理条件は、例えば、上述の実施形態の処理手順、処理条件と同様とすることができる。
(実施例1)
サンプルA1〜A3として、図1に示す基板処理装置を用い、ウエハに対してDSBガス、TSAガス、Oガスを、この順に非同時に供給するサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。サンプルA1を作製する際の処理条件は、上述の実施形態に記載の処理条件範囲内の所定の条件とした。サンプルA2を作製する際の処理条件は、1サイクルあたりのTSAガスの供給時間をサンプルA1を作製する際におけるそれよりも長くした点を除き、サンプルA1を作製する際の処理条件と同様とした。サンプルA3を作製する際の処理条件は、1サイクルあたりのDSBガスの供給時間をサンプルA1を作製する際におけるそれよりも長くした点を除き、サンプルA1を作製する際の処理条件と同様とした。
そして、サンプルA1〜A3のSiOCN膜中に含まれるN,C等の濃度を、XRF(蛍光X線分析)により測定した。図7にその結果を示す。図7の縦軸はXRFで測定したSiOCN膜中のN,C濃度(a.u.)を、横軸はサンプルA1〜A3を順に示している。図7によれば、サンプルA2のSiOCN膜のN濃度は、サンプルA1のSiOCN膜のN濃度よりも高くなっていることが分かる。一方、サンプルA2のSiOCN膜のC濃度は、サンプルA1のSiOCN膜のC濃度よりも低くなっていることが分かる。また、サンプルA3のSiOCN膜のC濃度は、サンプルA1のSiOCN膜のC濃度よりも高くなっていることが分かる。一方、サンプルA3のSiOCN膜のN濃度は、サンプルA1のSiOCN膜のN濃度よりも低くなっていることが分かる。これらのことから、1サイクルあたりのTSAガスの供給時間、すなわち、ウエハに対するTSAガスの供給量を制御することにより、ウエハ上に形成されるSiOCN膜のN濃度およびC濃度を調整できることが分かる。また、1サイクルあたりのDSBガスの供給時間、すなわち、ウエハに対するDSBガスの供給量を制御することにより、ウエハ上に形成されるSiOCN膜のC濃度およびN濃度を調整できることが分かる。
(実施例2)
サンプルB1〜B3として、図1に示す基板処理装置を用い、ウエハに対してDSBガス、TSAガス、Oガスを、この順に非同時に供給するサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。サンプルB1を作製する際は、1サイクルあたりのOガスの供給時間(酸化時間)を40秒とした。他の処理条件は、上述の実施形態に記載の処理条件範囲内の所定の条件とした。サンプルB2を作製する際は、1サイクルあたりの酸化時間を60秒とした。他の処理条件は、サンプルB1を作製する際の処理条件と同様とした。サンプルB3を作製する際は、1サイクルあたりの酸化時間を90秒とした。他の処理条件は、サンプルB1を作製する際の処理条件と同様とした。
そして、サンプルB1〜B3のSiOCN膜のN,C等の濃度および屈折率をそれぞれ測定した。なお、SiOCN膜のN,C等の濃度は、実施例1と同様、XRFにより測定した。図8にその結果を示す。図8の左縦軸はXRFで測定したSiOCN膜中のN,C濃度(a.u.)を、右縦軸は屈折率をそれぞれ示している。図8の横軸は、1サイクルあたりのOガスの供給時間(sec)を示している。図中■印はN濃度を、◆印はC濃度を、▲印は屈折率をそれぞれ示している。図8によれば、1サイクルあたりの酸化時間を長くすることにより、SiOCN膜の屈折率が低下していることが分かる。すなわち、1サイクルあたりの酸化時間を長くすることにより、SiOCN膜のO濃度を高くすることが可能であることが分かる。また、図8によれば、1サイクルあたりの酸化時間を長くした場合であっても、SiOCN膜中のN濃度やC濃度に大きな変化はないことが分かる。これは、図4に示す手法により形成したSiOCN膜は、CやNをSi−C結合やSi−N結合の形で含んでいるため、高いアッシング耐性を有しており、CやNの脱離確率が小さい膜となっているためと考えられる。
(実施例3)
サンプルC1として、図1に示す基板処理装置を用い、ウエハに対してDSBガス、TSAガス、Oガスを、この順に非同時に供給するサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。処理条件は、上述の実施形態に記載の処理条件範囲内の所定の条件とした。
サンプルC2として、ウエハに対して、ヘキサクロロジシラン(SiCl、略称:HCDS)ガスを供給するステップ、プロピレン(C)ガスを供給するステップ、Oガスを供給するステップ、アンモニア(NH)ガスを供給するステップをこの順に非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。
サンプルC3として、ウエハに対して、HCDSガスを供給するステップ、トリエチルアミン((CN、略称:TEA)ガスを供給するステップ、Oガスを供給するステップをこの順に非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。
そして、サンプルC1〜C3のSiOCN膜の組成比、すなわち、各SiOCN膜中に含まれるSi、O、C、N等の濃度を、XPS(X線光電子分光法)により測定した。その結果を図9(a)に示す。図9(a)の縦軸は、XPSで測定したSiOCN膜中のSi、O、C、N濃度[at%]を示している。図9(a)の横軸は、サンプルC2,C3,C1を順に示している。図9(a)によれば、サンプルC1のSiOCN膜は、サンプルC2,C3のSiOCN膜よりもC濃度、N濃度が低く、O濃度が高いことが分かる。このことから、サンプルC1のSiOCN膜の方が、サンプルC2,C3のSiOCN膜よりも、低い誘電率を示すであろうことが推察される。また、図9(a)に示すように、サンプルC2,C3のSiOCN膜はそれぞれClを微量に含むのに対し、サンプルC1のSiOCN膜からはClは検出されていないことが分かる。
また、サンプルC1,C2のSiOCN膜に含まれるCの結合状態の割合をそれぞれ測定した。図9(b)の縦軸はSiOCN膜に含まれるCの結合状態の割合を示しており、図9(b)の横軸はサンプルC2,C1を順に示している。図9(b)によれば、サンプルC1のSiOCN膜の方が、サンプルC2のSiOCN膜よりも、Cが有する種々の化学結合のうち、Si−C結合の割合が高いことが分かる。また、サンプルC1のSiOCN膜の方が、サンプルC2のSiOCN膜よりも、Cが有する種々の化学結合のうち、C−C結合、C−O結合、C−H結合等の結合、すなわち、加工耐性を低下させる要因となり得る結合の割合が小さいことが分かる。これらのことから、サンプルC1のSiOCN膜の方が、サンプルC2のSiOCN膜よりも、高い加工耐性を有するであろうことが推察される。
(実施例4)
サンプルD1〜D3として、図1に示す基板処理装置を用い、以下に示す成膜シーケンスにより、ウエハ上にSiOCN膜を形成した。サンプルD1〜D3を作製する際、各ステップにおける処理条件は、それぞれ、上述の実施形態に記載の処理条件範囲内の条件であって、互いに共通の条件とした。
サンプルD1:(DSB→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
サンプルD2:(BCl→DSB→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
サンプルD3:(BCl→DSB→BCl→TSA→O)×n ⇒ SiOCN
そして、サンプルD1〜D3のSiOCN膜のステップカバレッジ特性(以下、S/Cとも称する)をそれぞれ測定した。S/Cは、その値が大きいほどステップカバレッジ特性が良好であることを意味する。測定の結果、これらの膜のS/Cは、サンプルD1〜D3の順に、65%、102%、103%であることが分かった。すなわち、成膜ステップを行う際、原料(DSBガス、TSAガス)の供給前に触媒(BClガス)を供給することにより、ウエハ上に形成される膜のS/Cを向上させることが可能となることが分かった。
<本発明の好ましい態様>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
(付記1)
本発明の一態様によれば、
(a)基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する工程と、
(b)前記基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する工程とを、
前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、C、およびNを含む膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法、または、基板処理方法が提供される。
(付記2)
付記1に記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、(c)前記基板に対して酸化剤を供給する工程を、(a)および(b)のそれぞれと非同時に行うことを更に含む。この場合、前記膜は、更にOを含む。すなわち、前記膜は、Si、O、C、およびNを含む膜である。
(付記3)
付記1または2に記載の方法であって、
前記サイクルは、(d)前記基板に対して触媒を供給する工程を、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に行うことを更に含む。
(付記4)
付記3に記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、(d)を行った後、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に、前記基板が存在する空間に浮遊する前記触媒を除去する工程を更に含む。
(付記5)
付記3または4に記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルでは、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを、前記基板の表面に前記触媒が吸着し、前記基板が存在する空間に前記触媒が浮遊していない状態(非浮遊の状態)で行う。
(付記6)
付記5に記載の方法であって、好ましくは、
(a)では、前記基板の表面に吸着した前記触媒の作用により、前記第1原料が分解することで生成されるSi−C結合を含む第1中間体を前記基板の表面に吸着させる。
(付記7)
付記5または6に記載の方法であって、好ましくは、
(b)では、前記基板の表面に吸着した前記触媒の作用により、前記第2原料が分解することで生成されるSi−N結合を含む第2中間体を前記基板の表面に吸着させる。
(付記8)
付記3〜7のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
(a)、(b)、(c)、および(d)を、前記触媒が熱分解(気相分解)しない条件下で行う。
(付記9)
付記3〜8のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、(d)、(a)、(b)、および(c)をこの順に行うことを含むか、もしくは、(d)、(b)、(a)、および(c)をこの順に行うことを含む。
(付記10)
付記3〜8のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記サイクルは、(d)、(a)、(d)、(b)、および(c)をこの順に行うことを含むか、もしくは、(d)、(b)、(d)、(a)、および(c)をこの順に行うことを含む。
(付記11)
付記1〜10のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記第1原料はアルキル基非含有であり、前記第2原料はハロゲン非含有である。また好ましくは、前記第1原料および前記第2原料のそれぞれは、更にSi−H結合を含む。
(付記12)
付記1〜11のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記第1原料および前記第2原料のそれぞれは、2つ以上、好ましくは3つ以上、より好ましくは全て(4つ)の結合手にCが結合したC同士の結合、C−O結合、C−N結合、Si−R結合(Rはアルキル基)、N−H結合、およびN−O結合非含有である。
(付記13)
付記1〜12のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記第2原料は、1つのN(中心元素)に3つのSiが結合している構造を含む。
(付記14)
付記1〜13のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記第1原料は、1,3−ジシラプロパン、1,4−ジシラブタン、1,3−ジシラブタン、1,3,5−トリシラペンタン、1,3,5−トリシラシクロヘキサン、および1,3−ジシラシクロブタンのうち少なくともいずれかを含む、前記第2原料は、トリシリルアミンを含む。
(付記15)
付記1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記膜を形成する工程を、ノンプラズマの雰囲気下で行う。
(付記16)
付記1〜15のいずれか1項に記載の方法であって、好ましくは、
前記基板上に形成された前記膜に対し後処理(ポストトリートメント)を行う工程を更に有する。
(付記17)
本発明の他の態様によれば、
基板が処理される処理室と、
前記処理室内の基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する第1原料供給系と、
前記処理室内の基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する第2原料供給系と、
前記処理室内において、(a)基板に対して前記第1原料を供給する処理と、(b)前記基板に対して前記第2原料を供給する処理とを、前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、C、およびNを含む膜を形成する処理を行わせるように、前記第1原料供給系および前記第2原料供給系を制御するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
(付記18)
本発明のさらに他の態様によれば、
基板処理装置の処理室内において、
(a)基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する手順と、
(b)前記基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する手順とを、
前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、C、およびNを含む膜を形成する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム、または、該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
200 ウエハ(基板)

Claims (21)

  1. (a)基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する工程と、
    (b)前記基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する工程と、
    (c)前記基板に対して酸化剤を供給する工程とを、
    前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、O、C、およびNを含む膜を形成する工程を有し、
    前記サイクルは、(d)前記基板に対して触媒を供給する工程と、(d)を行った後、前記基板が存在する空間に浮遊する前記触媒を除去する工程とを、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に行うことを更に含み、
    前記サイクルでは、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを、前記基板の表面に前記触媒が吸着し、前記基板が存在する空間に前記触媒が浮遊していない状態で行う半導体装置の製造方法。
  2. 前記サイクルは、
    (a)を行った後、前記基板が存在する空間から前記第1原料を除去する工程と、
    (b)を行った後、前記基板が存在する空間から前記第2原料を除去する工程と、
    (c)を行った後、前記基板が存在する空間から前記酸化剤を除去する工程と、
    を更に含む請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. (a)では、前記基板の表面に吸着した前記触媒の作用により、前記第1原料が分解することで生成されるSi−C結合を含む第1中間体を前記基板の表面に吸着させる請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. (b)では、前記基板の表面に吸着した前記触媒の作用により、前記第2原料が分解することで生成されるSi−N結合を含む第2中間体を前記基板の表面に吸着させる請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  5. (a)、(b)、および(d)を、前記触媒が熱分解しない条件下で行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記サイクルは、(d)、(a)、(b)、および(c)をこの順に行うことを含むか、もしくは、(d)、(b)、(a)、および(c)をこの順に行うことを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記サイクルにおいて、(d)、(a)、(b)、および(c)をこの順に行う場合、(a)では、前記基板の表面に吸着した前記触媒の作用により、前記第1原料が分解することで生成されるSi−C結合を含む第1中間体と前記触媒の一部とを含む層を前記基板上に形成する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記サイクルにおいて、(d)、(b)、(a)、および(c)をこの順に行う場合、(b)では、前記基板の表面に吸着した前記触媒の作用により、前記第2原料が分解することで生成されるSi−N結合を含む第2中間体と前記触媒の一部とを含む層を前記基板上に形成する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記サイクルは、(d)、(a)、(d)、(b)、および(c)をこの順に行うことを含むか、もしくは、(d)、(b)、(d)、(a)、および(c)をこの順に行うことを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記サイクルは、(a)、(d)、(b)、および(c)をこの順に行うことを含むか、もしくは、(b)、(d)、(a)、および(c)をこの順に行うことを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記第1原料はアルキル基非含有であり、前記第2原料はハロゲン非含有である請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  12. 前記第1原料および前記第2原料のそれぞれは、更にSi−H結合を含む請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記第1原料および前記第2原料のそれぞれは、Cが持つ4つの結合手のうち2つ以上の結合手にCが結合したC同士の結合、C−O結合、C−N結合、Si−R結合(Rはアルキル基)、N−H結合、およびN−O結合非含有である請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  14. 前記第1原料および前記第2原料のそれぞれは、Cが持つ4つの結合手のうち3つ以上の結合手にCが結合したC同士の結合、C−O結合、C−N結合、Si−R結合(Rはアルキル基)、N−H結合、およびN−O結合非含有である請求項1〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  15. 前記第2原料は、1つのNに3つのSiが結合している構造を含む請求項1〜14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  16. 前記第1原料は、1,3−ジシラプロパン、1,4−ジシラブタン、1,3−ジシラブタン、1,3,5−トリシラペンタン、1,3,5−トリシラシクロヘキサン、および1,3−ジシラシクロブタンのうち少なくともいずれかを含み、前記第2原料は、トリシリルアミンを含む請求項1〜15のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  17. 前記膜を形成する工程を、ノンプラズマの雰囲気下で行う請求項1〜16のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  18. 前記基板上に形成された前記膜に対しポストトリートメントを行う工程を更に有する請求項1〜17のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
  19. (a)基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する工程と、
    (b)前記基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する工程と、
    (c)前記基板に対して酸化剤を供給する工程とを、
    前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、O、C、およびNを含む膜を形成する工程を有し、
    前記サイクルは、(d)前記基板に対して触媒を供給する工程と、(d)を行った後、前記基板が存在する空間に浮遊する前記触媒を除去する工程とを、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に行うことを更に含み、
    前記サイクルでは、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを、前記基板の表面に前記触媒が吸着し、前記基板が存在する空間に前記触媒が浮遊していない状態で行う基板処理方法。
  20. 基板が処理される処理室と、
    前記処理室内の基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する第1原料供給系と、
    前記処理室内の基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する第2原料供給系と、
    前記処理室内の基板に対して酸化剤を供給する酸化剤供給系と、
    前記処理室内の基板に対して触媒を供給する触媒供給系と、
    前記処理室内を排気する排気系と、
    前記処理室内において、(a)基板に対して前記第1原料を供給する処理と、(b)前記基板に対して前記第2原料を供給する処理と、(c)前記基板に対して前記酸化剤を供給する処理とを、前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、O、C、およびNを含む膜を形成する処理を行わせ、前記サイクルは、(d)前記基板に対して触媒を供給する処理と、(d)を行った後、前記基板が存在する空間に浮遊する前記触媒を除去する処理とを、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に行うことを更に含み、前記サイクルでは、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを、前記基板の表面に前記触媒が吸着し、前記基板が存在する空間に前記触媒が浮遊していない状態で行わせるように、前記第1原料供給系、前記第2原料供給系、前記酸化剤供給系、前記触媒供給系、および前記排気系を制御することが可能なよう構成される制御部と、
    を有する基板処理装置。
  21. 基板処理装置の処理室内において、
    (a)基板に対してSi−C結合を含みハロゲン非含有の第1原料を供給する手順と、
    (b)前記基板に対してSi−N結合を含みアルキル基非含有の第2原料を供給する手順と、
    (c)前記基板に対して酸化剤を供給する手順とを、
    前記第1原料におけるSi−C結合の少なくとも一部および前記第2原料におけるSi−N結合の少なくとも一部が切断されることなく保持される条件下で、非同時に行うサイクルを所定回数行うことにより、前記基板上に、Si、O、C、およびNを含む膜を形成する手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムであって、 前記サイクルは、(d)前記基板に対して触媒を供給する手順と、(d)を行った後、前記基板が存在する空間に浮遊する前記触媒を除去する手順とを、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを行う前に行うことを更に含み、
    前記サイクルにおいて、(a)および(b)のうち少なくともいずれかを、前記基板の表面に前記触媒が吸着し、前記基板が存在する空間に前記触媒が浮遊していない状態で行う手順をコンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
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