JP6977947B2 - 軸受保持器、軸受保持器用金型、および軸受保持器の製造方法 - Google Patents

軸受保持器、軸受保持器用金型、および軸受保持器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両、自動車、産業機械などに用いられる樹脂製の転がり軸受用保持器、この製造に用いる射出成形用金型、および該金型を用いた保持器の製造方法に関する。
転がり軸受は、玉や円筒ころなどの転動体を、内輪と外輪との間の軌道空間に配列し、これらの転動体を保持器により保持している。軸受の低コスト化や軽量化の観点から保持器を樹脂製とする場合があり、例えば樹脂材料を用いて射出成形などで製造される。樹脂材料を用いて円環状の保持器を射出成形で製造する場合、図7に示すように、成形キャビティ18に溶融樹脂19をランナー20およびゲート21を介して高い圧力を持って注入していく。この際、ゲート21から成形キャビティ18に射出された溶融樹脂19は複雑に分岐し、等距離移動後に再び合流しウェルド部22と呼ばれる溶融樹脂の接合部を形成する。一般的にウェルド部の強度は非ウェルド部の強度の半分程度となることも判明している。それ故、ウェルド部の強度を向上させることは樹脂材料を用いた保持器について重要な課題となっている。
従来、樹脂製保持器について、このようなウェルド部における強度や精度を確保する方法として様々な提案がなされている。例えば、特許文献1では、キャビティ内に所定の凸状などを設けることで、ウェルドラインが径方向に対して傾いている軸受用樹脂製保持器が提案されている。特許文献2では、円すいころ軸受の樹脂製保持器において、一方の円環部にウェルドラインがあり、この形成面を貫通する線部材を設けたものが提案されている。
特開2016−80050号公報 特開2016−142381号公報
しかしながら、特許文献1のように金型内に固定形状で凸状などを設けるため、樹脂材料や射出成形条件などの調整が複雑になり、使用条件に対して所望されるウェルド部の強度(引張強度)を確保した軸受保持器を製造することは容易ではない。また、特許文献2のように、ウェルドラインに線部材を設けるものでは、部品点数が多くなり製品コストが高くなる。製造コストの増加を避けるため、より簡易な製造上の手法でこの強度向上を図ることが望まれる。
本発明はこのような背景に鑑みてなされたものであり、ウェルド部での強度に優れる軸受用保持器、この製造に用いる射出成形用金型、および該金型を用いた保持器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の軸受保持器は、樹脂組成物の射出成形体である円環状の軸受保持器であって、該保持器は、転動体を保持する複数のポケット部と、各ポケット部の間に位置する柱部と、該柱部を軸方向両側で固定する両リング部とを備えてなり、少なくとも一方のリング部において、周方向の1箇所または複数箇所にウェルドラインを有し、該ウェルドラインが周方向の一方側に凸状とされていることを特徴とする。ここで「ウェルドラインが周方向の一方側に凸状」とは、ウェルドラインが、リング部の表層部から内部にかけて徐々にリング部の周方向に沿う状態をいう。
上記軸受保持器が、円すいころ軸受用の保持器であり、上記リング部として大径リング部と小径リング部とを有し、上記大径リング部および上記小径リング部の一方のリング部に、周方向の一方側に凸状とされた上記ウェルドラインを有することを特徴とする。
本発明の軸受保持器用金型は、円環状の軸受保持器を樹脂組成物の射出成形で製造するための軸受保持器用金型であって、上記軸受保持器は、転動体を保持する複数のポケット部と、各ポケット部の間に位置する柱部と、該柱部を軸方向両側で固定する両リング部とを備えてなり、上記金型の成形キャビティは、上記軸受保持器の形状であり、少なくとも一方のリング部において周方向の1箇所または複数箇所にウェルドラインが形成されるようにゲートが配置され、上記少なくとも一方のリング部を形成するキャビティ部分に連結して、上記ウェルドラインとは異なる位置に樹脂だまりが2個以上配置されており、上記樹脂だまりは、容積変化による上記成形キャビティからの樹脂の引き込み、および/または、上記成形キャビティへの樹脂の再注入が可能な機構を有することを特徴とする。
上記ゲートが、上記ウェルドラインを上記リング部の複数個所に形成するように配置され、任意の1つの樹脂だまりは、2つのウェルドラインの間に挟まれて配置され、任意の1つのウェルドラインは、1つの樹脂だまりにのみ隣接することを特徴とする。
上記軸受保持器が、円すいころ軸受用の保持器であり、上記リング部として大径リング部と小径リング部とを有し、上記ゲートが、上記大径リング部および上記小径リング部の一方のリング部に配置され、上記樹脂だまりが他方のリング部に配置されることを特徴とする。
本発明の軸受保持器の製造方法は、上記本発明の金型を用いた樹脂組成物の射出成形によって円環状の軸受保持器を製造する製造方法であって、上記成形キャビティに上記ゲートを介して溶融樹脂を射出充填する射出充填工程を有し、該工程において上記樹脂だまりの容積を拡張して上記溶融樹脂を引き込み、および/または、上記樹脂だまりの容積を圧縮して上記溶融樹脂を上記成形キャビティに再注入し、上記リング部におけるウェルドラインを周方向の一方側に凸状とすることを特徴とする。
本発明の軸受保持器は、樹脂組成物の射出成形体である円環状の軸受保持器であり、転動体を保持する複数のポケット部と、各ポケット部の間に位置する柱部と、該柱部を軸方向両側で固定する両リング部とを備えてなり、少なくとも一方のリング部において、周方向の1箇所または複数箇所にウェルドラインを有し、該ウェルドラインが周方向の一方側に凸状とされているので、ウェルド部での接合面積を増加させることができ、別部材などを設けることなしにウェルド部の強度に優れる保持器となる。
上記軸受保持器が、円すいころ軸受用の保持器であり、リング部として大径リング部と小径リング部とを有し、大径リング部および小径リング部の一方のリング部に、周方向の一方側に凸状とされたウェルドラインを有するので、一方のリング部側にウェルドラインが形成される円すいころ軸受用保持器において、該ウェルド部の強度向上が図れる。
本発明の軸受保持器用金型は、円環状の軸受保持器を樹脂組成物の射出成形で製造するための軸受保持器用金型であり、その成形キャビティは、上記軸受保持器の形状であり、少なくとも一方のリング部において周方向の1箇所または複数箇所にウェルドラインが形成されるようにゲートが配置され、このウェルドラインがあるリング部を形成するキャビティ部分に連結して、該ウェルドラインとは異なる位置に樹脂だまりが2個以上配置されており、この樹脂だまりは、容積変化による成形キャビティからの樹脂の引き込み、および/または、成形キャビティへの樹脂の再注入が可能な機構を有するので、射出充填時(保圧時含む)に樹脂だまりの容量を変化させることができ、樹脂の引き込みや、一旦取り込んだ樹脂のキャビティ内への再注入が可能となる。これにより、ウェルドラインが樹脂流れ方向に沿うように調整できる。この結果、ウェルドラインが周方向の一方側に凸状とされた樹脂製の保持器が得られる。
また、この金型において、ゲートが、ウェルドラインをリング部の複数個所に形成するように配置され、1つの樹脂だまりが、2つのウェルドラインの間に配置され、1つのウェルドラインが1つの樹脂だまりにのみ隣接するので、複数のウェルドラインが形成される円環状のリング部において、効率的にウェルドラインの改善が図れる。
本発明の軸受保持器の製造方法は、上述の金型を用いており、射出充填工程において、樹脂だまりの容積を拡張して溶融樹脂を引き込み、および/または、樹脂だまりの容積を圧縮して溶融樹脂を成形キャビティに再注入し、リング部におけるウェルドラインを周方向の一方側に凸状とできるので、ウェルド部の強度に優れる保持器を製造できる。
本発明の円すいころ軸受用の保持器を示す斜視図等である。 本発明の軸受保持器用金型の概略図である。 図2の金型で成形された保持器の一部斜視図である。 樹脂だまりによる成形機構の概要を示す図である。 保持器引張試験結果を示す図である。 吸水率と引張強度との関係を示す図である。 ウェルド部における樹脂の様子を示す模式図である。
本発明の軸受保持器を図1に基づいて説明する。図1(a)は、円すいころ軸受用の円環状の保持器を示す斜視図である。軸受保持器1は、樹脂組成物の射出成形体であり、転動体となる円すいころを保持する複数のポケット部5と、各ポケット部5の間に位置する柱部4と、柱部4を軸方向両側で固定する両リング部2、3とを備えてなる。この軸受保持器1は、転動体としてテーパ状の円すいころを保持するものであり、リング部には軸方向に見て小径側と大径側とがある。図1に示す形態では、小径リング部2と、大径リング部3とが設けられている。射出成形時におけるゲートを小径リング部2の柱部間のみ(リング内径側)に設けるので、ウェルドライン(ウェルド部8)が大径リング部3の柱部間に形成される。ゲートを小径リング部の全柱部間に設けることで、ウェルドラインが大径リング部3の全柱部間に形成される。
樹脂製の保持器においてウェルド部の強度を向上させるためには、ウェルド部における接合面積を増加させることが重要である。上記のようなゲート位置では、通常のウェルドラインは、リング周方向の両側から略均等に流れてきた樹脂が合流することで形成されるため、大径リング部の柱部間において軸方向に沿った略垂直面となる。これに対して、本発明の軸受保持器1では、後述の保持器成形用の特殊な金型および製造方法により、図1(b)に示すように、ウェルドラインがリング周方向の一方側に凸状とされている。これは、ウェルドラインが、大径リング部3の表層部から内部にかけて徐々にリング部周方向(樹脂流れ方向)に沿う状態となっている。なお、図1(b)において、6が樹脂部であり、7が繊維状充填材である。これにより、接合面積が増加して高い結合力が得られ、繊維状充填材も樹脂流れに沿ったものとなり、ウェルド部での引張強度に優れる。このため、ウェルド部での保持器破損などの問題の発生を防止できる。
図2および図3に基づいて本発明の軸受保持器用金型の構造について説明する。図2は該金型の概略図であり、図3は該金型で成形された保持器の一部斜視図である。図2に示すように、金型11は、円環状の軸受保持器1を樹脂組成物の射出成形で製造するための軸受保持器用金型である。金型11は、固定型12と、固定型12に対して型締め・型開き可能な可動型13とを少なくとも有し、これらが衝合することで、所望の軸受保持器の形状の成形キャビティ14を形成している。成形キャビティ14に対して樹脂注入口であるゲートを1点または複数点設け、このゲートより溶融樹脂を注入し成形キャビティに充填させる。成形キャビティ内が樹脂で充填されると、この成形キャビティ内の樹脂を圧縮するように圧力をかける(保圧)。一定時間、金型内で溶融樹脂を冷却して固化させたのち、金型を開いて樹脂製の軸受保持器が得られる。なお、円環状の保持器のポケット部については、スライドコアを利用した金型で形成することもできる。
本発明の金型11は、少なくとも一方のリング部を形成するキャビティ部分に連結して、ウェルドラインとは異なる位置に樹脂だまり16が2個以上配置されている。この樹脂だまり16が、容積変化による成形キャビティ14からの樹脂の引き込み、および/または、成形キャビティへの樹脂の再注入が可能な機構を有することを特徴としている。樹脂だまり16の上記機構の態様としては、(1)容積変化による成形キャビティからの樹脂の引き込みが可能、(2)容積変化による成形キャビティへの樹脂の再注入が可能、(3)(1)と(2)のいずれも可能、の3つの態様がある。また、複数の樹脂だまりにおいて、機構の態様は同一でも異なってもよい。
図3に示すように、金型におけるゲート15を、小径リング部2において隣り合う柱部4の間に設けることで、ウェルドラインが大径リング部3の隣り合う柱部4の間に形成される。なお、図中に示すウェルドライン(リング部の点線)は、その位置を示すためのものであり、具体的な形状は図1(b)の如き形状とされている。図3に示す形態では、1つの樹脂だまり16が、2つのウェルドラインの間に挟まれて配置され、1つのウェルドラインは1つの樹脂だまり16にのみ隣接する。すなわち、周方向に1つ飛ばしのウェルドライン間に樹脂だまり16が配置され、1つの樹脂だまり16で、2つのウェルドラインの改善を担う。1つのウェルドラインに対して、これを挟み込む2つの樹脂だまりを設ける場合と比較して、少ない樹脂だまり数でウェルドラインの改善が図れる。
樹脂だまり16による成形機構の概要を図4に示す。図4(a)に示すように、金型11に成形キャビティ14に通じる樹脂だまり16を設ける。樹脂だまり16には、その容積を変化させるピストン17を設ける。図4(a)および(b)に示すように、ゲートを通じて成形キャビティ14に樹脂が充填される際に、樹脂だまり16にも樹脂が流入される。図4(c)に示すように、成形キャビティ14内で樹脂がウェルドを形成するタイミングで、図中左側の樹脂だまり16に設置されたピストン17を樹脂だまり16の容積が減少するように稼働し、樹脂だまり16内の樹脂を成形キャビティ14に再注入する。また、図中右側の樹脂だまり16は、ピストン17を該樹脂だまり16の容積が増加するよう稼働し、成形キャビティ14内の樹脂を該樹脂だまり16へ引き込む。
このように樹脂だまり16を用いて成形キャビティ14内への樹脂の再注入と引き込みを行なうことにより、ウェルド部で充填樹脂の内部流動が発生する。これにより、本来、リング部の周方向に対し垂直近いウェルドラインが、表層部から内部にかけて徐々にリング部の周方向に沿う状態となり、ウェルド部の引張強度が増加する。表層部は金型表面側に位置するため、内部と比較して冷却が速く、流動性に劣るため、リング部において引き込みや再注入を行なうと上記のような状態となる。
樹脂だまり16とピストン17による可変樹脂だまり機構の制御方法は、図4に示すものに限定されない。例えば、図3に示すように、リング部の周方向において、周方向に1つ飛ばしのウェルドライン間に樹脂だまり16を配置する場合、1つの樹脂だまり16で2つのウェルドラインの改善を担うことになる。このため、1つのウェルドラインに対して、再注入と引き込みを同時に作用させることはできない。よって、この場合は、すべての樹脂だまり16で、それぞれ再注入か引き込みのいずれかを行ない、その樹脂だまり16に隣接する2つのウェルドラインをリング部の周方向に沿う状態とする。再注入のみ、引き込みのみであっても、その周囲(リング周方向両側)の樹脂の内部流動を起こすことができる。なお、ポケット数によって等間隔に樹脂だまりを配置できない場合には、任意の箇所で余分に該樹脂だまりとピストンを設けてもよい。
ウェルドラインが複数ある場合、それぞれのウェルドラインがリング周方向の一方側に凸状(流れ方向に沿ったもの)とされていればよく、その凸状の向きはウェルドライン間で同じであっても逆向きであってもよい。1つの樹脂だまりで2つのウェルドラインの改善を担う場合、樹脂だまりを挟んだ両側のウェルドラインにおける上記凸状は反対向きとなる。
ピストンによる可変樹脂だまり機構は、公知の任意の機構を採用できる。図2に示す例では、可動型13側に該機構が設けられているが、固定型12側などに設けてもよい。また、ピストンの駆動は、射出充填中は勿論、充填後の保圧時間中においても可能である。その他、ピストンの駆動に際しては、ゲートからの樹脂の逆流などを防止する手段を適宜採用できる。
その他、本発明の金型では、ウェルドラインがいずれかのリング部に位置すればよく、ゲートの位置は柱部、リング部のいずれに設けてもよい。ゲートの個数も適宜設定できる。また、ゲートの方式は、形成位置に合わせてトンネルゲート、サイドゲート、ディスクゲートなどを適宜設けることができる。
なお、図3では、樹脂だまりは、大径リング部を形成するキャビティ部分に連結して、上記ウェルドラインとは異なる位置に設ける配置を採用しているが、樹脂だまりは、小径リング部を形成するキャビティ部分に連結して、上記ウェルドラインとは異なる位置に設ける配置を採用してもよい。また、樹脂だまりは、大径リング部および小径リング部の各リングを形成するキャビティ部分に連結して、上記ウェルドラインとは異なる位置にそれぞれ配置してもよい。
本発明の軸受用保持器の製造方法は、上記したような本発明の保持器を製造するための方法であり、上述の金型を用いて、射出充填工程において、樹脂だまりの容積を拡張して溶融樹脂を引き込み、および/または、樹脂だまりの容積を圧縮して溶融樹脂を成形キャビティに再注入し、リング部におけるウェルドラインを周方向の一方側に凸状とする方法である。
本発明の軸受用保持器の材料として用いる樹脂組成物は、射出成形が可能であり、保持器材料として十分な耐熱性や機械的強度を有するものであれば、任意のものを使用できる。この樹脂組成物のベース樹脂となる合成樹脂としては、例えば、ポリアミド6(PA6)樹脂、ポリアミド6−6(PA66)樹脂、ポリアミド6−10(PA610)樹脂、ポリアミド6−12(PA612)樹脂、ポリアミド4−6(PA46)樹脂、ポリアミド9−T(PA9T)樹脂、ポリアミド6−T(PA6T)樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(ポリアミドMXD−6)樹脂などのポリアミド(PA)樹脂、射出成形可能なフッ素樹脂、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンなどのポリエチレン(PE)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、射出成形可能なポリイミド(PI)樹脂などが挙げられる。これらの合成樹脂の中でも、耐熱性や射出成形性に優れることから、PA樹脂を用いることが好ましい。また、これらの各合成樹脂は単独で使用してもよく、2種類以上混合したポリマーアロイであってもよい。
また、保持器の弾性率などの機械的強度を向上させるため、これらの樹脂組成物に、射出成形性を阻害しない範囲で、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、各種鉱物性繊維(ウィスカー)などの繊維状補強材を配合することが好ましい。特に、補強効果や入手性に優れることから、ガラス繊維または炭素繊維を配合することが好ましい。繊維状補強材の配合範囲としては、例えば、樹脂組成物全体に対して15〜40重量%程度である。その他、保持器の機能や射出成形性を損なわない範囲で、繊維状充填材以外の添加剤などを配合できる。
ウェルド部では、接合に寄与する単位面積当たりの樹脂量が重要となり、繊維状充填材を配合する場合、非ウェルド部については強度確保できるものの、ウェルド部では繊維分樹脂量が少なくなるため、却って強度が低下しやすい。特に繊維配向が樹脂流れ方向に垂直となるような場合は、周方向垂直断面で破断しやすくなる。本発明では、上述のとおり、周方向の一方側に凸状とされたウェルドラインを有するので、繊維状充填材も同様の配向となり、繊維状充填材を含む構成においてもウェルド部で十分な強度を維持できる。
本発明の軸受保持器を用いた転がり軸受は、ウェルドでの保持器破損などの問題を防止できる。また、樹脂製の保持器を採用することで、軸受の低コスト化や軽量化が図れる。
実施例
PA66樹脂にガラス繊維を25重量%配合した樹脂材の成形用ペレットを用いて、図2に示す金型で、図3に示す形状(全体形状は図1)の保持器を成形した。樹脂だまり、ゲートの位置は図3に示すとおりである。射出成形時において、射出充填中から保圧中にかけてピストンを駆動させ、大径リング部のウェルドラインが周方向の一方側に凸状とされるよう調整した。この保持器のウェルド部の引張強度を確認するため、作製した保持器を用いて保持器引張試験を実施し、引張強度(MPa)を測定した。結果を図5に示す。また、この保持器の吸水率(保持器全重量に対する吸水量(重量%))と、引張強度(MPa)との関係を調べた。結果を図6に示す。
比較例
金型において樹脂だまりとピストンとからなる機構を設けない以外は、実施例1と同材料かつ同条件で保持器を作製して、実施例1と同じ試験により、ウェルド部の引張強度と、保持器の吸水率と引張強度との関係を調べた。結果を図5と図6に示す。
図5および図6に示すように、試験の結果、実施例の方が比較例よりもウェルド部の引張強度に優れ、かつ、吸水した際にも引張強度を維持しやすいことが確認できた。
本発明の軸受保持器は、ウェルド部での強度に優れるので、鉄道車両、自動車、産業機械などに用いられる転がり軸受用の保持器として広く利用できる。特に、一方のリング部側にウェルドラインが形成される円すいころ軸受用の保持器として好適に利用できる。
1 軸受保持器
2 小径リング部
3 大径リング部
4 柱部
5 ポケット部
6 樹脂部
7 繊維状充填材
8 ウェルド部
11 金型
12 固定型
13 可動型
14 成形キャビティ
15 ゲート
16 樹脂だまり
17 ピストン
18 成形キャビティ
19 溶融樹脂
20 ランナー
21 ゲート
22 ウェルド部

Claims (5)

  1. 樹脂組成物の射出成形体である円環状の軸受保持器であって、
    該保持器は、転動体を保持する複数のポケット部と、各ポケット部の間に位置する柱部と、該柱部を軸方向両側で固定する両リング部とを備えてなり、
    少なくとも一方のリング部において、周方向の複数箇所にウェルドラインを有し、該ウェルドラインが周方向の一方側に凸状とされており、該凸状の向きは隣接するウェルドライン間で反対向きになっていることを特徴とする軸受保持器。
  2. 前記軸受保持器が、円すいころ軸受用の保持器であり、前記リング部として大径リング部と小径リング部とを有し、
    前記大径リング部および前記小径リング部の一方のリング部に、周方向の一方側に凸状とされた前記ウェルドラインを有することを特徴とする請求項1記載の軸受保持器。
  3. 円環状の軸受保持器を樹脂組成物の射出成形で製造するための軸受保持器用金型であって、前記軸受保持器は、転動体を保持する複数のポケット部と、各ポケット部の間に位置する柱部と、該柱部を軸方向両側で固定する両リング部とを備えてなり、
    前記金型の成形キャビティは、前記軸受保持器の形状であり、少なくとも一方のリング部において周方向の複数箇所にウェルドラインが形成されるようにゲートが配置され、
    前記少なくとも一方のリング部を形成するキャビティ部分に連結して、前記ウェルドラインとは異なる位置に樹脂だまりが2個以上配置されており、任意の1つの樹脂だまりは、周方向に1つ飛ばしのウェルドライン間に配置され、
    前記樹脂だまりは、容積変化による前記成形キャビティからの樹脂の引き込み、または、前記成形キャビティへの樹脂の再注入が可能な機構を有することを特徴とする軸受保持器用金型。
  4. 前記軸受保持器が、円すいころ軸受用の保持器であり、前記リング部として大径リング部と小径リング部とを有し、
    前記ゲートが、前記大径リング部および前記小径リング部の一方のリング部に配置され、前記樹脂だまりが他方のリング部に配置されることを特徴とする請求項3記載の軸受保持器用金型。
  5. 請求項3または請求項4記載の金型を用いた樹脂組成物の射出成形によって円環状の軸受保持器を製造する製造方法であって、
    前記成形キャビティに前記ゲートを介して溶融樹脂を射出充填する射出充填工程を有し、
    該工程において前記樹脂だまりの容積を拡張して前記溶融樹脂を引き込み、または、前記樹脂だまりの容積を圧縮して前記溶融樹脂を前記成形キャビティに再注入し、前記リング部におけるウェルドラインを周方向の一方側に凸状とすることを特徴とする軸受保持器の製造方法。
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