しかしながら、特許文献1に記載されたOリング組付け機構では、Oリング100を仮装着して保持するガイド102と、ガイド102に保持されたOリング100を、ワーク108のOリング溝107に向けて移動させる押圧治具105が、別々の部材として構成されている。
そして、ガイド102に向けて、Oリング100を下方に落下させ、Oリング100が、ガイド102のテーパ状外周部103の途中で止まった状態で、そのガイド102をテーブル(図示省略)で下降させ、Oリング100の供給を終える。このあとテーブルは180度回転し、押圧ユニット(図示省略)の下に搬送される。
その後、テーブルが上昇し、押圧ユニットのベース(図示省略)が下降して、ベースに接続したガイド102に向けて、テーパ状外周部103の途中で止まった状態のOリング100を押圧治具105で押すことにより、テーパ状外周部103のテーパに沿って、Oリング100が拡開し、大径部104に移動する。
ここで、Oリング100をガイド102に装着する工程では、Oリング100を、単に下方に落下させて、ガイド102に取り付けようとしているため、その落下状態にばらつきが大きく、再現性が悪いという欠点があった。
そうして、Oリング100が、ガイド102のテーパ状外周部103の途中で止まった状態では、例えば、水平方向に対してOリング100が傾いている等、不均衡な状態で止まっている確率が高かった。
そして、Oリング100が不均衡な状態のままで、押圧治具105により強制的に押し下げられると、Oリング100がねじれる可能性が高く、大径部104に移動した際に、Oリング100が、斜めになったり、ねじれたりした、いびつな形状で大径部104に取り付けられてしまう不具合があった。
このように、特許文献1に記載されたOリング組付け機構には、Oリング100がガイド102に供給される際の、供給位置のばらつきに対応できないという問題があった。つまり、ガイド102の外周面に沿ってOリング100を、押圧治具105で移動させる際に、その移動動作の信頼性が低いという重大な欠点があった。
さらに、この後、押圧治具105は、押圧ユニットのチャック部(図示省略)に把持され、搬送ロボット等により、ワーク108の上まで搬送され、押圧治具105とガイド102が共にワーク108まで下降する。
そして、ガイド102の下端が、ワーク108に当接し、ガイド102の大径部104に仮装着してあったOリング100を、押圧治具105でワーク108のOリング溝107へ移動させる。
この時、特許文献1に記載されたOリング組付け機構では、ワーク108の上端と、ガイド102の下端の、それぞれの軸心が同一直線状に位置することが前提条件となっている。
しかしながら、このような装置構成では、連続的に稼働させると、摩耗、振動等により、接続部分にゆるみがでたりして、必ず、動作にばらつきが生じ、軸心がずれる等の問題が生じる。
従って、連続的な稼働による機械上の不具合で、ガイド102の軸心と、押圧治具20の軸心とが、同一直線状に位置しないような、位置のずれが生じた際には、Oリング100をワーク108に向けて真っすぐ移動させることができず、Oリング溝107への組付けができなくなってしまう。
また、押圧治具105でOリング100を移動させることができたとしても、Oリング100の全周を均等な力で押せない場合には、Oリング100が変形して、いびつな形状でワーク108のOリング溝107に嵌り込み、気体や液体の漏れに繋がってしまう。
さらに、特許文献1に記載されたOリング組付け機構をはじめ、従前のOリング組付け機構では、Oリングの寸法ばらつきや、供給位置のばらつきを許容する仕組みにおいて改善の余地があった。
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、Oリングを対象物に組み付ける際に、Oリングの寸法ばらつきや、供給位置のばらつきに影響されにくく、簡易な構造であると共に、Oリングを安定して保持でき、かつ、対象物の方に安定して移動させて、精度高く組み付けることが可能なOリング組付け機構及びOリング組付け方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明のOリング組付け機構は、Oリングが保持される供給ユニットと、該供給ユニットから前記Oリングが供給され、同Oリングを保持すると共に、前記Oリングの組付け対象となるワークに向けて同Oリングを送り出す挿入ヘッドユニットと、該挿入ヘッドユニットから前記Oリングが送り出される際に、前記ワークの位置を規定するワーク受け部と、を備え、前記ワークの外周面に形成された環状溝に、前記Oリングを組み付けるOリング組付け機構であって、前記挿入ヘッドユニットは、対向して配置された、前記供給ユニットまたは前記ワークに対して、進退動可能に構成されたヘッド本体部と、略円柱状であり、その外径が前記Oリングの内径よりも大きな外形を有し、同Oリングと嵌合して、同Oリングを伸張させて保持可能であり、その先端側に開口した有底のホルダー孔部が形成される共に、その基端に取り付けられた第1の弾性体を介して前記ヘッド本体部に取り付けられたホルダー部と、該ホルダー部の先端に連設され、同ホルダー部の先端と連設した基端から、その反対方向に位置する先端にかけて、外径の大きさが小さくなるように形成され、かつ、その先端の外径が前記Oリングの内径よりも大きな外形を有するテーパ部と、前記ホルダー孔部の底部に、前記第1の弾性体よりも付勢力の小さな第2の弾性体を介して取り付けられ、前記ヘッド本体部が前記ワークの方向に移動することで、その先端が同ワークの端面に当接して押され、前記ホルダーの長手方向に沿って、同ホルダー部及び前記テーパ部の内部に収容可能に構成されると共に、前記第2の弾性体が自然長である際に、少なくとも前記テーパ部から突出した部分が、同テーパ部側の基端から、その反対方向に位置する先端にかけて、外径の大きさが小さくなるように形成され、かつ、その先端の外径が前記Oリングの内径よりも小さな外形を有するリングガイド部と、前記ヘッド本体部に設けられ、前記リングガイド部の先端が前記ワークの端面に当接し、同リングガイド部が前記ホルダー部及び前記テーパ部の内部に収容された状態で、前記ヘッド本体部が前記ワークの方向に移動することに伴い、前記ホルダー部の外周面で保持される前記Oリングを、同ホルダー部の外周面及び前記ワークの外周面に沿って移動させ、同ワークの前記環状溝に同Oリングを組み付ける挿入爪部を有し、前記供給ユニットは、前記Oリングが保持され、同供給ユニットが前記挿入ヘッドユニットと対向した状態で、同挿入ヘッドユニットの方に向けて進退動可能であると共に、前記Oリングを保持した状態で、同Oリングを前記リングガイド部、前記テーパ部及び前記ホルダー部の外周面に沿って移動させ、同Oリングを同ホルダー部の外周面における所定の位置まで搬送するリフター部を有し、前記ワーク受け部は、前記ワークの前記挿入ヘッドユニットとは反対側に配置され、前記ホルダーの長手方向、及び、同ホルダーの軸心と直交する方向に沿った、前記ワークの位置を規定するように構成されている。
ここで、供給ユニットが、Oリングが保持され、供給ユニットが挿入ヘッドユニットと対向した状態で、挿入ヘッドユニットの方に向けて進退動可能であるリフター部を有することによって、リフター部でOリングを保持しながら、挿入ヘッドユニットの方にOリングを移動させることできる。
また、供給ユニットが、Oリングを保持した状態で、Oリングをリングガイド部、テーパ部及びホルダー部の外周面に沿って移動させ、Oリングをホルダー部の外周面における所定の位置まで搬送するリフター部を有し、挿入ヘッドユニットが、Oリングと嵌合して、Oリングを伸張させて保持可能であるホルダー部を有することによって、リフター部で搬送したOリングをホルダー部で保持させ、仮装着させることができる。
また、ホルダー部が、その先端側に開口した有底のホルダー孔部が形成される共に、その基端に取り付けられた第1の弾性体を介してヘッド本体部に取り付けられ、テーパ部がホルダー部の先端に連設され、リングガイド部が、ホルダー孔部の底部に、第2の弾性体を介して取り付けられ、リフター部が、Oリングを保持した状態で、Oリングをリングガイド部、テーパ部及びホルダー部の外周面に沿って移動させ、Oリングをホルダー部の外周面における所定の位置まで搬送することによって、ヘッド本体部と、ホルダー部と、テーパ部、及び、リングガイド部が一体化した構造となる。また、その一体化した構造における各部材の外周面に沿って、リフター部でOリングを所定の位置まで移動させることができる。
また、挿入ヘッドユニットが、対向して配置された、供給ユニットまたはワークに対して、進退動可能に構成されたヘッド本体部を有し、ホルダー部がその基端に取り付けられた第1の弾性体を介してヘッド本体部に取り付けられたことによって、ヘッド本体部と、ホルダー部と、テーパ部、及び、リングガイド部が一体化した構造について、供給ユニットまたはワークに対して、進退動させることができる。
また、リングガイド部が、第2の弾性体が自然長である際に、少なくともテーパ部から突出した部分が、テーパ部側の基端から、その反対方向に位置する先端にかけて、外径の大きさが小さくなるように形成され、かつ、その先端の外径がOリングの内径よりも小さな外形を有することによって、供給ユニットからリングガイド部に向けてOリングを移動させる際に、Oリングの内側にリングガイド部の先端を容易に入れることが可能となる。これにより、リフター部を介してホルダー部側に向けて、リングガイド部の外周面に沿って、Oリングをスムーズに移動させることができる。また、リングガイド部の先端の外径がOリングの内径よりも小さな外形を有することによって、例えば、リフター部に置かれたOリングの位置にばらつきがある際や、Oリングの寸法ばらつきがある際にも、Oリングの内側に、リングガイド部の先端を通しやすくなる。即ち、供給ユニットでのOリングの位置のばらつきや、寸法のばらつきを吸収して、ホルダー部への安定した搬送が可能となる。
また、テーパ部が、ホルダー部の先端と連設した基端から、その反対方向に位置する先端にかけて、外径の大きさが小さくなるように形成され、かつ、その先端の外径がOリングの内径よりも大きな外形を有することによって、リフター部を介して、リングガイド部を通過したOリングが、ホルダー部の方に向かって移動する際に、Oリングを内側から外側に向けて徐々に伸張させ、Oリングに対する保持力を高めながら、Oリングを、ホルダー部に向けて案内可能となる。これにより、Oリングが脱落しにくく、安定してホルダー部に移動させることができる。
また、ホルダー部が、略円柱状であり、その外径がOリングの内径よりも大きな外形を有し、Oリングと嵌合して、Oリングを伸張させて保持可能であることによって、リフター部で、ホルダー部の外周面に沿って、所定の位置までOリングを搬送する際に、Oリングを内側から外側に向けて伸張させた形状にしてOリングを搬送できる。即ち、ホルダー部の外周面から、Oリングが脱落しにくくなり、安定して所定の位置までOリングを移動させることができる。また、ホルダー部の所定の位置で、Oリングを内側から外側に向けて充分に伸張させた形状にして、安定してOリングを保持することができる。
また、リングガイド部が、ホルダー孔部の底部に、第2の弾性体を介して取り付けられ、ヘッド本体部がワークの方向に移動することで、その先端がワークの端面に当接して押され、ホルダーの長手方向に沿って、ホルダー部及びテーパ部の内部に収容可能に構成されたことによって、ヘッド本体部をワークの方に向けて移動させた際に、第2の弾性体が縮んで、リングガイド部が、ホルダー部及びテーパ部の内部に収容され、テーパ部の先端を、ワークの端面に当接させることができる。これにより、ホルダー部で保持されたOリングを、ワークの方に移動させる際に、Oリングの内径よりも大きな外周面を有するホルダー部及びテーパ部に沿ってOリングを移動させ、テーパ部の先端からワーク側にOリングを移動させることが可能となる。つまり、Oリングを、内側から外側に向けて伸張させた形状にしたまま、安定してワーク側に搬送することができる。また、Oリングをホルダー部からワークに移し替える際に、ワークと接するリングガイド部がホルダー部及びテーパ部の内部に収容されることで、ホルダー部の先端部側の外径を変化させることができる。即ち、ホルダー部の先端部側の外径は、テーパ部の外径で構成されるものとなり、Oリングの内径を広げた状態が維持できるように変化するため、ホルダー部からワークに向けて、Oリングを乗り移らせる際に、ワークの上端にOリングが引っかかってしまうことを抑止できる。
また、ホルダー部が、その基端に取り付けられた第1の弾性体を介してヘッド本体部に取り付けられ、リングガイド部が、ホルダー孔部の底部に、第1の弾性体よりも付勢力の小さな第2の弾性体を介して取り付けられ、ヘッド本体部がワークの方向に移動することで、その先端がワークの端面に当接して押され、ホルダーの長手方向に沿って、ホルダー部及びテーパ部の内部に収容可能に構成され、挿入爪部が、ヘッド本体部に設けられ、リングガイド部の先端がワークの端面に当接し、リングガイド部がホルダー部及びテーパ部の内部に収容された状態で、ヘッド本体部がワークの方向に移動することに伴い、ホルダー部の外周面で保持されるOリングを、ホルダー部の外周面及びワークの外周面に沿って移動させ、ワークの環状溝にOリングを組み付けることによって、挿入爪部でOリングを、ホルダー部からワークの環状溝に向けて移動させることができる。また、挿入爪部でOリングを、ワークの環状溝に嵌め込むことができる。即ち、ヘッド本体部がワークの方に移動することで、第2の弾性体が、第1の弾性体よりも先に縮んで、リングガイド部が、ホルダー部及びテーパ部の内部に収容され、さらに、ヘッド本体部がワークの方に移動し、第1の弾性体が縮むことで、ヘッド本体部に取り付けられた挿入爪部を、ワークの方にさらに移動させることが可能となる。この結果、挿入爪部によりOリングを、ホルダー部及びテーパ部の外周面に沿って移動させ、ワークの環状溝に向けて搬送し、Oリングを環状溝に組み付けることができる。また、ホルダー部から挿入爪部が一体化した構造となるため、連続的な稼働によっても、両部材の軸心の位置関係にずれが生じにくく、この位置ずれに伴うOリングのねじれ等が発生せず、ワークの環状溝に、Oリングを均一に、ねじれなく装着することができる。
また、ワーク受け部が、ワークの挿入ヘッドユニットとは反対側に配置され、ホルダーの長手方向、及び、ホルダーの軸心と直交する方向に沿った、ワークの位置を規定することによって、挿入ヘッドユニットからワークに向けてOリングを送り出す際に、ホルダーの長手方向、及び、ホルダーの軸心と直交する方向において、ワークの位置がずれてしまうことを抑止できる。これにより、挿入ヘッドユニットで、ワークの環状溝に安定して、Oリングを嵌め込むことができる。
また、リングガイド部の先端がワークの端面に当接し、リングガイド部がホルダー部及びテーパ部の内部に収容された状態で、ホルダーの長手方向において、リングガイド部の先端と、テーパ部の先端の位置が揃うように構成された場合には、挿入爪部を介して、より一層安定して、テーパ部の先端からワークの端部に、Oリングを受け渡すことが可能となる。即ち、ホルダーの長手方向において、リングガイド部の先端側の外周面は、テーパ部の先端の外周面で覆われた状態となり、Oリングは、リングガイド部の先端側の外周面に沿って移動することがなくなる。つまり、テーパ部の先端の外周面に沿って、Oリングを内側から外側に向けて伸張させた形状を維持したまま、ワーク側の端部に受け渡されるため、Oリングが脱落することなく、より安定して、ワークに移動させることができる。
また、リングガイド部における、第2の弾性体が自然長である際にテーパ部から突出した部分が、ホルダー部の軸心方向と略直交する方向から見た断面が十字状になる形状を有する場合には、リングガイド部の外周面に沿って移動する際のOリングの形状を、安定した形状とすることができる。これにより、リフター部がOリングを、リングガイド部からテーパ部の方に移動させる際に、リングガイド部に対して、Oリングが引っ掛かりにくくなり、Oリングをテーパ側に向けて、安定して乗り映らせることができる。また、十字状の比較的簡易な構造で、Oリングの形状を、安定した形状で支持可能となる。
また、リングガイド部における、第2の弾性体が自然長である際にテーパ部から突出した部分が、ホルダー部の軸心方向と略直交する方向から見た断面が十字状になる形状を有し、ホルダー部の外周面及びテーパ部の外周面は、リングガイド部を収容可能な範囲に、リングガイド部の十字状の形状と嵌合するガイド溝が形成された場合には、ガイド溝に沿って、リングガイド部における十字状の形状の部分を移動させ、ホルダー部及びテーパ部に、リングガイド部を収容することができる。
また、挿入爪部が、ホルダー部の軸心を中心に拡縮可能に構成され、ホルダー部の外周面、テーパ部の外周面、及び、ワークの外周面の外径の大きさに合わせて拡縮しながら、Oリングをワークに向けて移動可能である場合には、挿入爪部によるOリングの搬送をスムーズに行うことができる。即ち、テーパ部の外周面における外径の変化や、ワークの外周面における外径の変化に対して、Oリングに当接して搬送する、挿入爪部の開き具合を追従させることができる。
また、リフター部が、供給ユニットの軸心を中心に拡縮可能に構成され、リングガイド部の外周面、テーパ部の外周面、及び、ホルダー部の外周面の外径の大きさに合わせて拡大させながら、Oリングを所定の位置まで搬送する場合には、リフター部によるOリングの搬送をスムーズに行うことができる。即ち、リングガイド部の外周面における外径の変化や、テーパ部の外周面における外径の変化に対して、Oリングに当接して搬送する、リフター部の開き具合を追従させることができる。
また、略円柱状であり、その外径がOリングの内径よりも大きな外形を有し、Oリングと嵌合して、Oリングを伸張させて保持可能であるホルダー部と、ホルダー孔部の底部に取り付けられ、少なくともテーパ部から突出した部分が、テーパ部側の基端から、その反対方向に位置する先端にかけて、外径の大きさが小さくなるように形成され、かつ、その先端の外径がOリングの内径よりも小さな外形を有するリングガイド部と、Oリングを保持した状態で、Oリングをリングガイド部、テーパ部及びホルダー部の外周面に沿って移動させ、Oリングをホルダー部の外周面における所定の位置まで搬送するリフター部と、ヘッド本体部に設けられ、ホルダー部の外周面で保持されるOリングを、ホルダー部の外周面及びワークの外周面に沿って移動させ、ワークの環状溝に同Oリングを組み付ける挿入爪部によって、供給ユニットに対するOリングの供給位置がばらついても、その供給位置のばらつきを吸収しながら、Oリングの内径を伸張させることができる。即ち、リングガイド部の先端の外径の大きさが、Oリングの内径よりも小さく形成されたことで、Oリングの供給位置がばらついても、リングガイド部の先端をOリングの内側に挿通させやすくなる。
また、リフター部が、ホルダー部に向けてOリングを移動させる方向と、挿入爪部が、ホルダー部からワークに向けてOリングを移動させる方向が反対方向であるため、ホルダー部からワークに向けてOリングに加える力とは反対向きの力で、リフター部でOリングを、その内径を伸張させながら、ホルダー部側に移動させることができる。つまり、Oリングは、その内径を広げられて、ワークから離れる方向と、ワーク側に戻る方向の、2つの力の方向を組み合わせて、最終的にワークの環状溝に組付けられるため、Oリングに力を加えて移動させる過程で、供給ユニットへの供給位置のばらつきを吸収することができる。また、2つの力の方向でOリングが移動するため、Oリングが斜めになったり、ねじれたりした、いびつな形状になりにくく、ワークの環状溝に組付けることができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明のOリング組付け方法は、Oリングを保持した供給ユニットから、該供給ユニットと対向して配置した挿入ヘッドユニットに向けて前記Oリングを供給して、前記挿入ヘッドユニットで同Oリングを保持する供給保持工程と、前記挿入ヘッドユニットで保持した前記Oリングを、同挿入ヘッドユニットと対向して配置したワークに向けて移動させ、前記ワークの外周面に形成された環状溝に同Oリングを組み付ける組付け工程とを備える、ワークにOリングを組み付けるOリング組付け方法であって、前記供給保持工程は、前記挿入ヘッドユニットにおける前記Oリングの内径より小さな外形を有する先端を、同Oリングの内側に通し、前記Oリングを保持する前記供給ユニットのリフター部で、同挿入ヘッドユニットにおける前記先端から基端に向けて、その外径が大きくなる外周面に沿って、前記Oリングの外縁を伸張させながら同Oリングを移動させると共に、前記挿入ヘッドユニットにおける前記Oリングを保持するホルダー部の外周面の所定の位置まで搬送して、同ホルダー部の前記所定の位置で、同Oリングを伸張させた状態で保持し、前記組付け工程は、前記ワークを前記挿入ヘッドユニットと対向して配置し、同挿入ヘッドユニットを前記ワークの方に移動させ、同挿入ヘッドユニットの前記先端を、前記ワークの先端に当接させて、同挿入ヘッドユニットの先端部の一部を、同挿入ヘッドユニットの本体に収容すると共に、前記Oリングを伸張させた形状を維持しながら、前記挿入ヘッドユニットの挿入爪部で、前記ホルダー部の外周面、前記本体の外周面、及び、前記ワークの外周面に沿って、前記Oリングを移動させ、前記環状溝に前記Oリングを組み付けるように構成されている。
ここで、供給保持工程が、挿入ヘッドユニットにおけるOリングの内径より小さな外形を有する先端を、Oリングの内側に通すことによって、供給ユニットから挿入ヘッドユニットに向けてOリングを移動させる際に、Oリングの内側に、挿入ヘッドユニットの先端を容易に入れることが可能となる。これにより、リフター部を介してホルダー部側に向けて、挿入ヘッドユニットの外周面に沿って、Oリングをスムーズに移動させることができる。また、挿入ヘッドユニットの先端の外径がOリングの内径よりも小さな外形を有することによって、例えば、リフター部に置かれたOリングの位置にばらつきがある際や、Oリングの寸法ばらつきがある際にも、Oリングの内側に、挿入ヘッドユニットの先端を通しやすくなる。即ち、供給ユニットでのOリングの位置のばらつきや、寸法のばらつきを吸収して、ホルダー部への安定した搬送が可能となる。
また、供給保持工程が、Oリングを保持する供給ユニットのリフター部で、挿入ヘッドユニットにおける先端から基端に向けて、その外径が大きくなる外周面に沿って、Oリングの外縁を伸張させながらOリングを移動させることによって、リフター部を介して、挿入ヘッドユニットの先端部を通過したOリングが、ホルダー部の方に向かって移動する際に、Oリングを内側から外側に向けて徐々に伸張させ、Oリングに対する保持力を高めながら、Oリングを、ホルダー部に向けて案内可能となる。これにより、Oリングが脱落しにくく、安定してホルダー部に移動させることができる。
また、供給保持工程が、挿入ヘッドユニットにおけるOリングを保持するホルダー部の外周面の所定の位置まで搬送して、ホルダー部の所定の位置で、Oリングを伸張させた状態で保持することによって、リフター部で、ホルダー部の外周面に沿って、所定の位置までOリングを搬送する際に、Oリングを内側から外側に向けて伸張させた形状にしてOリングを搬送できる。即ち、ホルダー部の外周面から、Oリングが脱落しにくくなり、安定して所定の位置までOリングを移動させることができる。また、ホルダー部の所定の位置で、Oリングを内側から外側に向けて充分に伸張させた形状にして、安定してOリングを保持することができる。
また、組付け工程が、ワークを挿入ヘッドユニットと対向して配置し、挿入ヘッドユニットをワークの方に移動させ、挿入ヘッドユニットの先端を、ワークの先端に当接させて、挿入ヘッドユニットの先端部の一部を、挿入ヘッドユニットの本体に収容することによって、挿入ヘッドユニットをワークの方に向けて移動させた際に、挿入ヘッドユニットの先端部の一部が、挿入ヘッドユニットの本体の内部に収容され、挿入ヘッドユニットの本体の先端を、ワークの端面に当接させることができる。これにより、ホルダー部で保持されたOリングを、ワークの方に移動させる際に、Oリングを、内側から外側に向けて伸張させた形状にしたまま、安定してワーク側に搬送することができる。
また、組付け工程が、挿入ヘッドユニットの挿入爪部で、ホルダー部の外周面、本体の外周面、及び、ワークの外周面に沿って、Oリングを移動させ、環状溝にOリングを組み付けることによって、挿入爪部でOリングを、ホルダー部からワークの環状溝に向けて移動させることができる。また、挿入爪部でOリングを、ワークの環状溝に嵌め込むことができる。
また、組付け工程が、挿入爪部を、ホルダー部の外周面、本体の外周面、及び、ワークの外周面の外径の大きさに合わせて拡縮しながら、Oリングをワークに向けて移動させる場合には、挿入爪部によるOリングの搬送をスムーズに行うことができる。即ち、本体の外周面における外径の変化や、ワークの外周面における外径の変化に対して、Oリングに当接して搬送する、挿入爪部の開き具合を追従させることができる。
また、供給保持工程が、リフター部を、挿入ヘッドユニットの外周面の外径の大きさに合わせて拡大させながら、Oリングを所定の位置まで移動させる場合には、リフター部によるOリングの搬送をスムーズに行うことができる。即ち、挿入ヘッドユニットの先端側の外周面における外径の変化や、本体の外周面における外径の変化に対して、Oリングに当接して搬送する、リフター部の開き具合を追従させることができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明のOリング組付け機構は、Oリング供給部よりOリングの内径を広げながら、前記Oリングの組付け対象となるワークの外径より、大きな外径を有するホルダー部に前記Oリングを装着させる機能と、前記ホルダー部に装着された前記Oリングを、前記ワークに移し替え、同ワークの外周面に形成された環状溝に装着する機能と、を有するOリング組付け機構であって、前記Oリング供給部側に位置する前記ホルダー部の先端の外径の大きさは、同Oリング供給部における前記Oリングの供給位置のばらつきを吸収可能となるように、前記Oリングの内径よりも小さく形成され、前記ホルダー部は、その先端から他端に向けて、その外径が徐々に大きくなるテーパ部を有し、前記Oリングを前記ホルダー部から前記ワークに移し替える際に、同ワークと接する同ホルダー部の先端部側の外径を変化させる機能を有し、前記ホルダー部の先端の外径の大きさは、前記Oリングを同ホルダー部から前記ワークに移し替える際に、同ワークを同ホルダー部と接するように搬送する搬送機構の搬送精度を許容可能な大きさに形成され、前記Oリング供給部に設けられ、前記Oリングに力を加えるリフター爪の先端が、前記Oリングに加える力の方向に対して垂直な平面上に配置され、前記リフター爪が前記Oリングに加える力の方向が、前記ホルダー部から見た前記ワークが位置する方向と反対方向であるように構成されている。
ここで、Oリング供給部側に位置するホルダー部の先端の外径の大きさが、Oリング供給部におけるOリングの供給位置のばらつきを吸収可能となるように、Oリングの内径よりも小さく形成され、Oリング供給部に設けられ、Oリングに力を加えるリフター爪の先端が、Oリングに加える力の方向に対して垂直な平面上に配置され、リフター爪がOリングに加える力の方向が、ホルダー部から見たワークが位置する方向と反対方向であることによって、Oリング供給部に対するOリングの供給位置がばらついても、その供給位置のばらつきを吸収しながら、Oリングの内径を広げることができる。即ち、ホルダー部の先端の外径の大きさが、Oリング供給部におけるOリングの供給位置のばらつきを吸収可能となるように、Oリングの内径よりも小さく形成されたことで、Oリングの供給位置がばらついても、ホルダー部の先端をOリングの内側に挿通させやすくなる。
また、リフター爪がOリングに加える力の方向が、ホルダー部から見たワークが位置する方向と反対方向であるため、ホルダー部からワークに向けてOリングに加える力とは反対向きの力で、リフターでOリングを、その内径を広げながら、ホルダー部側に移動させることができる。つまり、Oリングは、その内径を広げられて、ワークから離れる方向と、ワーク側に戻る方向の、2つの力の方向を組み合わせて、最終的にワークの環状溝に組付けられるため、Oリングに力を加えて移動させる過程で、Oリング供給部への供給位置のばらつきを吸収することができる。また、2つの力の方向でOリングが移動するため、Oリングが斜めになったり、ねじれたりした、いびつな形状になりにくく、ワークの環状溝に組付けることができる。
また、ホルダー部の先端の外径の大きさが、Oリングをホルダー部からワークに移し替える際に、ワークをホルダー部と接するように搬送する搬送機構の搬送精度を許容可能な大きさに形成されたことによって、ワークの搬送機構の搬送において、ワークの搬送位置に多少のずれが生じても、ホルダー部からワークに向けて、Oリングが脱落することなく、ワーク側に乗り移らせることができる。
また、Oリングをホルダー部からワークに移し替える際に、ワークと接するホルダー部の先端部側の外径を変化させる機能を有することによって、ホルダー部の先端部側の外径を、Oリングの内径を広げた状態が維持できるように変化させ、ホルダー部からワークに向けて、Oリングを乗り移らせる際に、ワークの上端にOリングが引っかかってしまうことを抑止できる。
また、ワークと接するホルダー部の先端部側の外径を変化させる機能が、ホルダー部の先端がホルダー部の内部に収容可能となる手段で構成された場合には、ホルダー部の先端を、その内部に収容するだけの簡易な構成で、ホルダー部の先端部側の外径を、容易に変化させることができる。
本発明に係るOリング組付け機構は、Oリングを対象物に組み付ける際に、Oリングの寸法ばらつきや、供給位置のばらつきに影響されにくく、簡易な構造であると共に、Oリングを安定して保持でき、かつ、対象物の方に安定して移動させて、精度高く組み付けることが可能なものとなっている。
また、本発明に係るOリング組付け方法は、Oリングを対象物に組み付ける際に、Oリングの寸法ばらつきや、供給位置のばらつきに影響されにくく、簡易な構造であると共に、Oリングを安定して保持でき、かつ、対象物の方に安定して移動させて、精度高く組み付けることが可能な方法となっている。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
[実施の形態]
本発明を適用したOリング組付け機構の一例として、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に示す内容はあくまで、本発明を適用した構造の一例にすぎず、本発明の実施の形態は以下に示す構造に限定されるものではない。
[装置の全体構成]
本発明を適用したOリング組付け機構の一例である、Oリング組付け機構Aは、供給ユニット1と、挿入ヘッドユニット2と、下受け部3を備えている(図1参照)。
このOリング組付け機構Aは、Oリング5の組付け対象となるワーク4の外周面に形成された環状溝40(図1(b)参照)に、Oリング5を組み付ける作業を自動的に行う機構である。
なお、以下の説明においては、図1(a)(正面視の構図)を基準に、供給ユニット1から見た挿入ヘッドユニット2の方を「上または上方」と称し、挿入ヘッドユニット2から見た供給ユニット1を「下または下方」と称し、図中の上下方向を「上下方向またはZ軸方向」と称する。
また、図1(a)を基準に、図中の左右方向を「X軸方向」と称し、図中の紙面の手前及び奥を結ぶ方向を「Y軸方向」と称する。また、図1(a)を基準に、X軸方向及びY軸方向と平行な方向を「水平方向」と称する。また、必要に応じて、図1(a)を基準に、「ホルダー21を正面視した状態」と称する場合がある。
以下、Oリング組付け機構Aの各構成部の詳細な構造を説明する。
[供給ユニット]
供給ユニット1は、後述するOリングパーツフィーダ機器からOリング5が供給され、供給されたOリング5が配置されると共に、挿入ヘッドユニット2に向けてOリング5を供給する部材である。
また、供給ユニット1は、本体部10と、リフター11と、リフターばね12と、リフター軸13を有している(図1(a)及び図1(b)参照)。
また、本体部10は、供給ユニット1の本体を構成する部材である。また、リフター11は、Oリングパーツフィーダ機器(図11参照)から供給されたOリング5が配置される部分となる。
また、リフター11は、供給ユニット1の上部が、挿入ヘッドユニット2の下部と対向し、供給ユニット1の本体10の上端と、挿入ヘッドユニット2のリングガイド20の先端とが当接した状態(供給ユニット1と挿入ヘッドユニット2が当接した状態)で、挿入ヘッドユニット2におけるホルダー21の外周面の所定の位置まで、Oリング5を搬送する部材となる。
即ち、リフター11は、Oリング5をホルダー21に保持させるために、Oリング5を搬送する部材となる。なお、図2(a)及び図2(b)では、リフター11の上下方向への進退動の状況を示している。
また、リフター11は、リフター軸13に接続され、リフター軸13を上下動させる駆動源(後述するリフターシリンダ130)により、リフター11及びリフター軸13が上下方向に沿って進退動可能に構成されている。
また、リフター11は、4つのリフター爪110を有している(図1(a)、図2(a)及び図2(b)参照)。4つのリフター爪110は、各上端にOリング5を乗せて、Oリング5を搬送する部材である。
また、4つのリフター爪110は、回転軸111を介して、拡縮可能に構成されている(図1(a)及び図3(a)参照)。
また、4つのリフター爪110は、リフターばね12に接続され、平面視した状態で、拡縮する方向において、内側に向けて閉じる方向に、リフターばね12で付勢されている。なお、図3(a)では、ホルダー21を正面視した状態でのリフター爪110の拡縮の動き(図3(a)中の符号Xで示す矢印)を示している。
即ち、4つのリフター爪110が、回転軸111を中心に拡縮可能であり、リフターばね12で、拡縮する方向において内側に向けて閉じる方向に付勢されたことで、後述するリングガイド20やホルダー21を通過する際に、各部材の外径に沿って、リフター爪110が広がり、Oリング5をスムーズに上方へ搬送することができる。
ここで、必ずしも、リフター11が、リフター爪110とリフターばね12により、拡縮するリフター爪110が、平面視で内側に向けて付勢された構造となる必要はない。例えば、リフター爪そのものを板ばねで形成して、その板ばねの付勢力で、リフター爪が、拡縮する方向において内側に向かうように構成されてもよい。また、このような構造は、適宜適宜設計することができる。
[挿入ヘッドユニット]
挿入ヘッドユニット2は、供給ユニット1から供給されたOリング5を保持すると共に、ワーク4に向けてOリング5を搬送し、ワーク4の環状溝40にOリング5の組付けを行う部材である。
また、挿入ヘッドユニット2は、リングガイド20と、ホルダー21と、ガイドばね22と、ホルダーテーパ部23と、ヘッド本体24と、挿入爪25と、ホルダーばね26を有している(図1(a)及び図1(b)参照)。
また、挿入ヘッドユニット2は、後述する搬送ユニットにより、供給ユニット1が配置された位置と、ワーク4及び下受け部3が配置された位置(図12(a)に示す下受け用シリンダ33が配置された位置)に移動可能に構成されている。
また、挿入ヘッドユニット2は、後述する搬送ユニットにより、供給ユニット1、または、ワーク4との間で、上下方向に移動可能に構成されている。
また、挿入ヘッドユニット2は、供給ユニット1から挿入ヘッドユニット2にOリング5を移動させる際、または、挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けてOリング5を移動させる際に、ホルダー21及びヘッド本体24を上下動させる駆動機構(図11(a)に示す挿入ヘッド用電動シリンダ282と、ガイドばね22及びホルダーばね26で構成)を有している。挿入ヘッドユニット2の駆動の詳細は後述する。
また、ヘッド本体24は、挿入ヘッドユニット1の本体を構成する部材である。ヘッド本体24は、ヘッドユニット搬送用電動シリンダ280と、ヘッドユニット上下用シリンダ281(図10及び図11(a)参照)を介して、水平方向、または、鉛直方向に移動可能に構成されている。
また、ヘッド本体24の内側には、下部側が開口した凹部240と、凹部240の上部側に位置する中底部241が設けられている(図1(a)及び図1(b)参照)。また、中底部241には貫通孔242が形成されている。
また、凹部240は、ホルダー21を構成するホルダー軸210が位置する空間である。また、凹部240は、ホルダー軸210の外周面に取り付けられたホルダーばね26を配置する空間である。
また、中底部241の貫通孔242には、ホルダー軸210が挿通されている。また、ホルダー軸210は、ヘッド本体24が上下動する際に、ヘッド本体24の動きをガイドする機能も有している。
また、ホルダーばね26は、ガイドばね22よりも強い付勢力を有するばね部材で構成されている。また、ホルダーばね26は、後述するように、ヘッド本体24が下降してガイドばね22が縮んだ後(リングガイド20がホルダー21に収容された後)、さらに、挿入爪25及びOリング5をワーク4に向けて下降させる、段階的な下降を行うための弾性部材である(図7(b)及び図9(c)参照)。
また、ホルダー21は、供給ユニット1のリフター11で搬送されたOリング5を保持する部材である。また、挿入爪25がOリング5をワーク4の方に搬送する際に、ホルダー21の外周面は、ホルダーテーパ部23の外周面と共に、Oリング5の搬送経路となる部材である。
また、リングガイド20は、供給ユニット1からホルダー21の所定の位置(Oリング5を保持する位置)までOリング5を移動させる際に、その移動を案内する部材である。
また、リングガイド20は挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けてOリングを移動させる際に、ワーク4の上端面に当接して、挿入爪25が下降する際には、ホルダー21の内部に収容される部材である(図3(b)参照)。この動きの詳細は後述する。
続いて、ホルダー21及びリングガイド20の詳細な構造を説明する。
ホルダー21は、その上端側にホルダー軸210が取り付けられている(図1(a)、図1(b)、及び、図4(a)〜(c)参照)。また、ホルダー21の先端側には、ホルダーテーパ部23が設けられている。
このホルダーテーパ部23は、供給ユニット1からホルダー21に向けてリフター11を介してOリング5を移動させる際に、Oリング5を外向きに伸張させて、Oリング5の保持姿勢を安定させながら、上方に案内するための部分となる。
また、ホルダーテーパ部23は、挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けて、挿入爪25を介してOリング5を移動させる際に、Oリング5を外向きに伸張させて、Oリング5の保持姿勢を安定させながら、挿入ヘッドユニット2からワーク4に、Oリング4を乗り移らせるための部分となる。
また、ホルダー21及びホルダーテーパ部23の内側には、下部側に開口したホルダー凹部212が形成され、そのホルダー凹部212の底面にガイドばね22の上端が取り付けられている(図1(b)、及び、図4(a)〜(c)参照)。
また、ホルダー21の先端部側の一部及びホルダーテーパ部23の外周面には、4つのガイド溝211が形成されている(図4(a)〜(c)参照)。この4つのガイド溝211は、ホルダー21に対してリングガイド20が上下動する際に、後述するリングガイド20の4つの突出部200が嵌合して、その移動を案内する部分である。
また、リングガイド20は、ホルダー凹部212の内側に配置されたガイド基部205(図4(c)参照)を有している。また、ガイド基部205の上部内側には、上部側に開口したガイド凹部204が形成され、そのガイド凹部204の底面にガイドばね22の下端が取り付けられている(図4(c)参照)。
このように、ホルダー凹部212の底面及びガイド凹部204の底面に、ガイドばね22が取り付けられたことで、ホルダー21に対して、リングガイド20が上下動可能に構成されている。また、上述したように、ガイドばね22の付勢力は、ホルダーばね26よりも弱い付勢力を有するばね部材で構成されている。
また、リングガイド20の下部側は、4つの突出部200で構成され、底面視で略十字状の断面形状となるように形成されている(図4(b)の下図、図5参照)。また、この4つの突出部の下端が、リングガイド20の下端面203を構成する。
また、4つの突出部200には、上下方向に沿って、下側から上側にかけて外周面の径が大きくなるテーパ部201が形成されている(図4(b)、図4(c)及び図5参照)。
このリングガイド20の下部側は、ホルダー21を正面視した状態で、水平方向の幅d1は、Oリング5の内円の直径よりも小さく形成されている(図4(b)参照)。即ち、底面視で、4つの突出部200を結ぶ円周の外径は、Oリング5の内径よりも小さく形成されている。
この下端面203の外径は、Oリング5の内径より、Oリング5が、Oリングパーツフィーダ機器7及びOリング移載装置8(図10参照)で供給された際の、位置ばらつきの範囲を許容できる程度に小さい。
これにより、供給ユニット1からOリング5を移動させる際に、リフター11に置かれたOリング5の内側に、スムーズにリングガイド20の下端面203を通ることが可能となる。
即ち、供給ユニット1上で、Oリング5の位置にばらつきが生じた際や、Oリング5自身の寸法にばらつきがある際にも、位置のばらつきや寸法のばらつきに対応して、挿入ヘッドユニット2側にOリング5を移動させることが可能となる。
また、リングガイド20の4つの突出部200の外周面にOリング5が位置する際には、テーパ部201に沿って、滑らかにOリング5を上方に移動させることができる。
また、ガイドばね22が上方に縮んで、ホルダー21及びホルダーテーパ部23の内側に、リングガイド20の下部が収容された状態(図5の上段、中段、下段の各右側の図、及び、図7(b)参照。以下、「リングガイド20の収容状態」と称する。)では、ホルダーテーパ部23の下端と、リングガイド20の下端面203が、上下方向において同じ高さ位置になるように構成されている。また、この際、4つの突出部200の外周面は、ガイド溝211より内側に位置する。
このような、リングガイド20の収容状態となることで、挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けて、挿入爪25を介してOリング5を移動させる際に、ホルダーテーパ部23が、ワーク4の上部と当接する部分となる(図7(b)参照)。
また、ホルダーテーパ部23の下端は、ホルダー21を正面視した状態で、水平方向の幅d2は、Oリング5の内円の直径よりも大きく形成されている(図4(b)参照)。即ち、底面視で、ホルダーテーパ部23の下端の外径は、Oリング5の内径よりも大きく形成されている。
これにより、リフター11を介して、リングガイド20の4つの突出部200の外周面からホルダーテーパ部23の外周面にOリング5を移動させた際に、Oリング5は、内径が大きくなるように、外向きに伸張され、Oリング5の保持姿勢を安定させながら、上方に案内することが可能となる。
また、ホルダーテーパ部23の外径は、下方から上方にかけて大きくなるため、Oリング5は、内径がさらに大きくなるように、外向きに伸張されながら、ホルダー21の保持位置に向けて移動させることができる。
また、挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けてOリング5を乗り移らせる際にも、ホルダーテーパ部23の外周面で、Oリング5の保持姿勢を安定させ、Oリング5が脱落することなく、ワーク4の外周面に乗り移らせることが可能となる。
また、もし、本発明のように、リングガイド20の収容状態のような、ホルダー21及びホルダーテーパ部23の内部に、リングガイドが収容されない形状となったら、図6(a)に示すように、挿入爪25で、ワーク4にOリング5を乗り移らせる際に、リングガイド20cの下端が、ワーク4の上端面との境界部分となる。
そうすると、リングガイド20cの下端の外径と、ワーク4の上端部の外径との差が大きくなり、挿入爪25の搬送中に、Oリング5がよじれて変形して(符号5aで示す)、リングガイド20cの下端が、ワーク4の上端面との間に引っかかってしまい、搬送できなくなってしまう(図6(a))及び図6(b)参照)。したがって、リングガイド20の収容状態となることで、安定したOリング5の搬送が実現できる。
また、本発明の構造では、リングガイド20を収容した、ホルダーテーパ部23の外径寸法は、このホルダーテーパ23の下端と接する、ワーク4の上端部の外径寸法と同等、若しくは若干大きい寸法で形成されている。その大きさの程度は、ホルダーテーパ部23とワーク4とが接する際の搬送精度を許容できる程度である。
また、ホルダーテーパ部23の上端は、ホルダー21を正面視した状態で、水平方向の幅d3は、ホルダーテーパ部23の下端における水平方向の幅d2よりも大きく形成されている(図4(b)参照)。即ち、底面視で、ホルダーテーパ部23の上端の外径は、ホルダーテーパ部23の下端の外径、及び、Oリング5の内径よりも大きく形成されている。
また、ホルダーテーパ部23の上端から、ホルダー21におけるOリング5の保持位置までは、ホルダー21の外周面の水平方向における幅は、幅d3と同じ大きさとなっている(図3(a)及び図4(b)参照)。
このように、ホルダーテーパ部23の上端、及び、ホルダー21の外周面の水平方向における幅d3が、ホルダーテーパ部23の下端の外径より大きく形成されたことで、Oリング5をホルダー21におけるOリング5の保持位置に移動させる際に、Oリング5は、その内径が充分に大きくなるように、外向きに伸張されるものとなる。
この結果、Oリング5の保持姿勢を、より一層安定させながら、上方に移動させることが可能となる。また、挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けてOリング5を下方に移動させる際にも、Oリング5の保持姿勢を、より一層安定させながら、下方に移動させることが可能となる。
また、図4(d)に示すように、底面視した状態で、リングガイド2の4つの突出部200の外周面にOリング5が位置する状態では、Oリング5の内面は、略十字状の断面を有する4つの突出部200の各先端で支持され、Oリング5はほぼ円形の形状となる。
これにより、上下方向において、リングガイド20の上部から、ホルダーテーパ部23の下部に、Oリング5が移動する際に、Oリング5が、2つの突出部200の間のホルダーテーパ部23に引っ掛かりにくくなり、スムーズに、Oリング5をホルダーテーパ部23に乗り移らせることができる。
ここで、例えば、図4(e)に示すように、リングガイドの下端側の形状として、リングガイド20aのように、6つの突出部200aを有する形状とすることも考えられる。
この形状でも、Oリング5の内面は、6つの突出部200aの各先端で支持され、底面視で、Oリング5はほぼ円形の形状となり、Oリング5が、2つの突出部200aの間のホルダーテーパ部(符号省略)に引っ掛かりにくくなり、スムーズに、Oリング5をホルダーテーパ部23に乗り移らせることができる。
また、本発明におけるリングガイド20の下部の形状は、底面視で、Oリング5がほぼ円形の形状として支持できれば、4つの突出部200や6つの突出部200a以外の形状を採用することができる。但し、底面視で、Oリング5がほぼ円形の形状として支持可能であり、より簡易な構造となることから、リングガイド20の下部の形状は、底面視で、略十字状の形状となる4つの突出部200で構成されることが好ましい。
一方、図4(f)に示すように、リングガイドの下端側の形状として、リングガイド20bのように、3つの突出部200bを有する形状では、底面視で、Oリング5は、略三角形の形状となる。その結果、リングガイド20bからOリング5をホルダーテーパ部23に乗り移らせる際に、Oリング5が、2つの突出部200bの間のホルダーテーパ部(符号省略)に引っ掛かりやすくなり、安定してOリング5を移動させにくくなるため、リングガイドの下端側の形状では、3つの突出部200bを有する形状は好ましくない。
図1(a)及び図1(b)に示すように、挿入ヘッドユニット2は、挿入爪25を有している。挿入爪25は、ヘッド本体24の下部側に取り付けられ、ヘッド本体24と一緒に下降し、ホルダー21で保持されたOリング5に当接して、ワーク4の環状溝40に向けて搬送する部材である(図7(a)及び図7(b)参照)。
また、図9(a)〜図9(c)の各図の上段の図に示すように、挿入ヘッドユニット2は、4つの挿入爪25を有している。各挿入爪25は、円周方向で、略90度ずつ異なる位置に配置され、Oリング5に上部から当接可能に構成されている。
また、4つのリフター爪110は、回転軸251を介して、拡縮可能に構成されている(図1(a)、図1(b)及び図3(b)参照)。
また、4つのリフター爪110は、挿入爪ばね250に接続され、平面視した状態で、拡縮する方向において、内側に向けて閉じる方向に、挿入爪ばね250で付勢されている。なお、図3(b)では、ホルダー21を正面視した状態での挿入爪ばね250の拡縮の動き(図3(b)中の符号Xで示す矢印)を示している。
即ち、4つの挿入爪ばね250が、回転軸251を中心に拡縮可能であり、挿入爪ばね250で、拡縮する方向において内側に向けて閉じる方向に付勢されたことで、リングガイド20、ホルダー21及びワーク4の外周面を移動する際に、各部材の外径に沿って、挿入爪ばね250が広がり、Oリング5をスムーズに、環状溝40に向けて搬送することができる。
ここで、必ずしも、挿入爪25と挿入爪ばね250により、拡縮する挿入爪25が、平面視で内側に向けて付勢された構造となる必要はない。例えば、挿入爪そのものを板ばねで形成して、その板ばねの付勢力で、挿入爪が、拡縮する方向において内側に向かうように構成されてもよい。また、このような構造は、適宜適宜設計することができる。
[下受け部]
下受け部3は、挿入ヘッドユニット2の下部に配置したワーク4の下端を受け止め、ワーク4の位置を規定する部材である(図1(b)参照)。
また、下受け部3は、本体30と、本体30の上部に設けられた下受け凹部31で構成されている(図1(b)参照)。この下受け凹部31は、ワーク4のワーク基部42の下端のサイズに合わせて形成されている。
ワーク4は、Oリング5の組付け対象である。ワーク4は、ワーク基部42の上方の外周面に、Oリング5が嵌め込まれる環状溝40が形成されている(図1(b)参照)。
また、ワーク4の上端部側には、テーパ部41が形成されている(図1(b)参照)。このテーパ部41により、挿入爪25で下方に移動してくるOリング5が、環状溝40に案内される。
なお、ワーク4の構造は一例であり、本発明を適用したOリング組付け機構Aは、ワーク4以外の構造体を、Oリングの組付け対象とすることができる。
以上で説明した構造が、本発明を適用したOリング組付け機構の一例であるOリング組付け機構Aの構造である。なお、本発明におけるOリング組付け機構は、各構成部材を備える専用の装置に適用することができる。即ち、Oリングの組付け作業を行う独立した装置にすることができる。
また、本発明を適用したOリング組付け機構は、専用の装置とするだけでなく、ワークを含む装置機器等の製造ラインにおいて、製造ラインの一部に組み込むことができる。即ち、製造ラインでワーク、または、ワークを一部に有する装置等を処理するラインにおいて、ライン上で稼働する処理機器の一部として、Oリング組付け機構を構成する各部材等を用いることができる。
これにより、ワークを含む装置機器等の製造ラインにおいて、本発明を適用したOリング組付け機構を用いることで、Oリングの供給ユニットへの供給から、Oリングの搬送、ワークの環状溝へのOリングの組付けまでの全工程を自動化して、製造ラインの一部を構築することもできる。
続いて、Oリング組付け機構Aを自動生産ラインに適用した場合における、各ユニット、Oリング、ワーク、及び、下受け部に関する搬送機構、または、駆動機構の一例について、図10及び図11を参照しながら説明する。
図10に示すように、供給ユニット1の近傍には、Oリングパーツフィーダ機器7と、Oリング移載装置8と、供給ユニット位置移動機構9と、リフターシリンダ130が設けられている。
また、Oリングパーツフィーダ機器7は、Oリング5の供給源となるボールフィーダ(図示省略)と、ボールフィーダと接続され、供給ユニット1の本体10の上端面の近傍まで延びた直進フィーダ70を有している。ボールフィーダと直進フィーダ70は、振動しながらOリング5を直進フィーダ70の先端位置まで搬送する部材である。
また、直進フィーダ70には、Oリング5のサイズに応じて、搬送経路を構成する幅調整用プレート71が着脱自在に取り付けられている。即ち、Oリングのサイズに適した板幅の幅調整用プレート71が選択され、直進フィーダ70に取り付けられ、直進フィーダ70の搬送経路をOリングのサイズに合わせている。
また、直進フィーダ70の先端位置側には、同先端位置に向けて搬送されてきたOリング5を止めるOリングストッパ72が設けられている。このOリングストッパ72はストッパ用シリンダ73に接続され、直進用フィーダ70と供給ユニット1との間で、上下動可能に構成されている。
なお、図10においては、構造を明確にするため、Oリングストッパ72及びストッパ用シリンダ73の位置を、本来の位置からずらして明記し、図中の点線で、Oリングストッパ72が上下動する位置を示している。
また、Oリング移載装置8は、移載シリンダ80と移載用ピン81を有している。移載シリンダ80は、上下方向に移動可能であり、かつ、直進フィーダ70の先端位置と、供給ユニット1における本体10の上面の略中心位置を繋ぐ方向に移動可能に構成されている。
また、移載シリンダ80の移動に伴い、移載用ピン81は、直進フィーダ70の先端位置まで搬送され、Oリングストッパ72で止められたOリング5の内側に、その先端が挿入可能に構成されている(上下方向の移動)。
また、移載用ピン81は、その先端をOリング5の内側に入れた状態で、Oリング5を供給ユニット1における本体10の上面の略中心の位置、即ち、4つのリフター110の上部にOリング5を配置できる位置まで搬送可能に構成されている。
また、供給ユニット位置移動機構9は、供給ユニット1に接続され、直進フィーダ70に対する供給ユニット1の位置を補正するための位置移動機構である。供給ユニット1の位置は、対象となるOリングのサイズにより位置が補正される。
また、供給ユニット1のリフター軸13の下部には、リフター軸13を上下動させるリフターシリンダ130が設けられている。
このように、Oリングパーツフィーダ機器7、Oリング移載装置8、供給ユニット位置移動機構9、リフターシリンダ130を介して、供給ユニット1における、4つのリフター110の上部にOリング5を配置できる位置にOリング5が搬送されるものとなる。
次に、挿入ヘッドユニット2を移動させる搬送ユニットについて詳細を説明する。この搬送ユニットは、図10または図11(a)に示すように、ヘッドユニット搬送用電動シリンダ280と、ヘッドユニット上下用シリンダ281と、挿入ヘッド用電動シリンダ282を有している。
ここで、ヘッドユニット搬送用電動シリンダ280は、挿入ヘッドユニット2を水平方向に移動させる機構であり、挿入ヘッドユニット2を、供給ユニット1の上方と、後述する下受け用シリンダ33の上方との間で移動させる部材である。
また、ヘッドユニット上下用シリンダ281は、挿入ヘッドユニット2を上下方向に移動させる機構であり、挿入ヘッドユニット2を、供給ユニット1に対して進退動させ、かつ、下受け用シリンダの上方に配置される、ワーク6に対して進退動させる部材である。
また、挿入ヘッドユニット2におけるヘッド本体24が、ヘッドホルダ283を介して、ヘッドユニット上下用シリンダ281に固定されている(図11(a)及び図11(b)参照)。このヘッドホルダ283の固定により、挿入ヘッドユニット2が、ヘッドユニット搬送用電動シリンダ280及びヘッドユニット上下用シリンダ281を介して移動可能となる。
なお、図11(b)には、ヘッドホルダ283の形状を明らかにするため、ヘッドホルダ283と、挿入ヘッドユニット2の主要な部材の分解構造図を示している。
また、挿入ヘッド用電動シリンダ282は、ヘッド本体24を下方に押して下向きに移動させる機構である。ヘッド本体24の下降に伴い、挿入爪25、ホルダー21及びリングガイド20も下降するものとなる。
即ち、挿入ヘッド用電動シリンダ282は、ガイドばね22や、ホルダーばね26の付勢力に抗して、ホルダー21やヘッド本体24を下方に移動させることできる部材である。また、挿入ヘッド用電動シリンダ282は、過負荷を検知する検知機能を有している。
また、供給ユニット1の上方に挿入ヘッドユニット2が位置した状態では、挿入ヘッドユニット2のさらに上方に、ホルダー抑え用シリンダ284が設けられている(図10及び図11(a)参照)。
このホルダー抑え用シリンダ284は、供給ユニット1のリフター11で、挿入ヘッドユニット2の方に向けてOリング5を移動させる際に、挿入ヘッドユニット2のホルダー21の浮き上がりを抑えるための部材である。
また、図11(a)に示すように、下受け部3は、下受け用シリンダ33の上部に配置され、下受け用シリンダ33を介して上下動可能に構成されている。
また、図11(a)に示すように、ワーク4は、孔部(図示省略)が形成された搬送プレート43にセットされ、この搬送プレート43が、回転機構に接続されたロータリーテーブル44に取り付けられている。
また、ロータリーテーブル44は、ワーク4をセットした搬送プレート43を搬送し、下受け用シリンダ33の上方にワーク4が位置するように移動させる部材である。
なお、図11(a)においては、ワーク4及び下受け部3の鉛直方向の位置関係が分かりやすい構図としており、ワーク4と下受け部3を分離して記載している。実際の装置構成では、下受け用シリンダ33の上部に下受け部3が配置され、搬送プレート43にセットされたワーク4の上方に挿入ヘッドユニット2が位置するものとなる。
以上のような構成から、下受け用シリンダ33の上方に、直線状に、下受け部3及びワーク4が搬送され、下受け用シリンダ33が上昇することで、下受け部3及びワーク4を一体化させることができる。
続いて、本発明を適用したOリング組付け方法の一例として、上述したOリング組付け機構Aを用いた具体的なOリングの組付けの流れを説明する。なお、以下で説明する内容は、Oリング組付け機構Aを自動生産ラインに適用した場合での流れの一例である。下記の内容はあくまで一例であり、本発明を適用したOリング組付け方法は、適宜変更することが可能である。
また、以下の説明では、図8及び図9の中段及び下段の図が、ホルダー21を正面視した状態での構図であり、図8及び図9(a)〜(c)の上段の図は、リフター11または挿入爪25を平面視した図である。また、図9(d)の上段の図は、Oリング5を組み付けたワーク4を平面視した図である。
まず、供給ユニット1から挿入ヘッドユニット2に向けてOリング5を搬送する供給保持工程を説明する。供給保持工程では、まず、ボールフィーダと直進フィーダ70で構成されるOリングパーツフィーダ機器7により、直進フィーダ70の先端位置に向けて、Oリング5が搬送される(図10参照)。
また、直進用フィーダ70の先端位置と、供給ユニット1の間から、Oリングストッパ72がストッパ用シリンダ73を介して上昇し、Oリング5が、直進用フィーダ70の先端位置で止められる(図10参照)。
次に、Oリングストッパ72が下降して、移載シリンダ80と移載用ピン81が、直進用フィーダ70の先端位置にあるOリング5の位置に移動して、移載用ピン81が下降し、移載用ピン81の先端がOリング5の内側に挿入される。
そして、Oリング5の内側に移載用ピン81の先端が挿入された状態で、移載シリンダ80と移載用ピン81が、直進用フィーダ70の先端位置の隣に配置された供給ユニット1の本体10の上面側に向かって移動する。
ここでは、移載用ピン81の先端がOリング5を引っ掛けた状態で、Oリング5が、供給ユニット1の本体10の上端面の中央に向かって移動していく。この移載シリンダ80と移載用ピン81により、1つずつ供給されるOリング5が、供給ユニット1の本体10の上に定置される(図8(a)参照)。
また、供給保持工程では、挿入ヘッドユニット2が、供給ユニット2の上部に位置するように、ヘッドユニット搬送用電動シリンダ280(図10参照)が挿入ヘッドユニット2を移動させている。
次に、ヘッドユニット上下用シリンダ281(図10参照)を介して、挿入ヘッドユニット2を降下させ(図8(b)に示す符号Yの矢印の方向)、リフター11の上端と、リングガイド20の下端面203を当接させる(図8(b)参照)。この状態となることで、Oリング5の内側に、リングガイド20の下端面203が入ったものとなる。
この下端面203の外径は、上述したように、Oリング5が、Oリングパーツフィーダ機器7及びOリング移載装置8(図10参照)で供給された際の位置ばらつきの範囲を許容できる程度に、Oリング5の内径より小さくなっているため、Oリング5が供給ユニット1に供給された際に、その位置にばらつきがあっても、この後の工程において、不具合が発生しなくなる。
続いて、リフターシリンダ130を介して(図10参照)、供給ユニット1のリフター軸13を上昇させて(図8(c)及び図9(c)に示す符号Yの矢印の方向)、リフター11(4つのリフター爪110)を上方に移動させ、リングガイド20の外周(テーパ部201)に沿って、Oリング5を上方に搬送する(図8(c)参照)。
また、上方に搬送されるOリング5は、図8(c)に点線で示すように、リングガイド20に沿って移動し、ホルダーテーパ部23の下端付近で、Oリング5は、その内径が大きくなるように、外向きに伸張され(図8(c)の上段の図参照)、Oリング5の保持姿勢を安定させながら、上方に案内される。
また、Oリング5が、ホルダーテーパ部23の上端を通過する際に、Oリング5は、さらに、最も内径が大きくなるように、外向きに伸張され、Oリング5の保持姿勢を安定させながら、ホルダー21の所定の保持位置まで安定して搬送され、保持される。
また、リフター11は、上方にOリング5を移動させる際に、リングガイド20、ホルダーテーパ部23及びホルダー21の外径に沿って、拡縮する方向において、各リフター爪110が広がり、Oリング5をスムーズに上方へ搬送することができる(図3(a)参照)。
また、この際、挿入ヘッドユニット2上方に配置されたホルダー抑え用シリンダ284(図10参照)が、供給ユニット1のリフター11で、挿入ヘッドユニット2の方に向けてOリング5を移動させる際に、挿入ヘッドユニット2のホルダー21の浮き上がりを抑えている。
ここまでの流れで、供給ユニット1から挿入ヘッドユニット2に向けてOリング5を搬送して、挿入ヘッドユニット2に、安定した保持姿勢で、Oリング5を保持させることができる。
次に、挿入ヘッドユニット2からワーク4に向けてOリング5を搬送し、ワーク4の環状溝40にOリング5を組み付ける組付け工程を説明する。組付け工程では、ヘッドユニット搬送用電動シリンダ280を介して、挿入ヘッドユニット2を移動させ、挿入ヘッドユニット2を、下受けシリンダ33の上方に位置させる(図11(a)参照)。
また、搬送プレート43にセットされたワーク4が、ロータリーテーブル44を介して、下受けシリンダ33の上方に搬送される(図11(a)参照)。
また、挿入ヘッドユニット2は、上下方向に沿って、ワーク4及び下受け部3に対して、直線状に配置された状態となる(図9(a)参照)。
また、下受けシリンダ33の上部に配置された下受け部3が、下受けシリンダ33により上昇して、その下受け凹部31が、ワーク4のワーク基部42の下端と当接して、ワー下受け部3とワーク4が一体化する。
そして、ヘッドユニット上下用シリンダ281を介して(図11(a)参照)、挿入ヘッドユニット2を下降させ、挿入ヘッドユニット2をワーク4の上部に設置し、さらに、挿入ヘッド用電動シリンダ282を介して(図11(a)参照)、ヘッド本体24を下降させ(図9(a)に示す符号Yの矢印の方向)、リングガイド20の下端面203を、ワーク4の上端面に当接させる(図9(a)参照)。
続いて、挿入ヘッド用電動シリンダ282を介して、さらにヘッド本体24を下降させる(図9(b)に示す符号Yの矢印の方向)。これにより、リングガイド20の下端面203がワークの上端面に当接した状態で、ヘッド本体24の下降に伴い、ガイドばね22が縮んで、ヘッド本体24とホルダー21が下降していく。
また、この際、ホルダー凹部212の空間が、リングガイド20のガイド基部205で埋まっていき、かつ、ガイド溝部211に沿って突出部200(リングガイド20の下部)が、ホルダー21及びホルダーテーパ部23の内部に収容されていく。また、リングガイド20の下端面203が、ホルダーテーパ部23の下端と同じ高さ位置となり、リングガイド20の収容状態となる(図5の各段の右図及び図9(b)参照)。
このリングガイド20の収容状態となると、ホルダー21に保持されたOリング5を、ワーク4の環状溝40に向かわせる搬送経路が、ホルダー21及びホルダーガイド部23の外周面で構成される(図9(b)参照)。
また、この場合、上述したように、リングガイド20を収容した、ホルダーテーパ部23の外径寸法は、このホルダーテーパ23の下端と接する、ワーク4の上端部の外径寸法と同等、若しくは若干大きい寸法で形成されている。その大きさの程度は、ホルダーテーパ部23とワーク4とが接する際の搬送精度を許容できる程度である。
それにより、万が一、ワーク4の上端と、ホルダーテーパ部23の下端に、搬送によるずれが生じた場合でも、そのずれを吸収し、不具合を防止することができる。
そして、この状態から、さらに、挿入ヘッド用電動シリンダ282を介して、ヘッド本体24を下降させると(図9(b)及び図9(c)に示す符号Yの矢印の方向)、凹部240の内側に配置されたホルダーばね26が、ヘッド本体24の中底部241により下方に押され、ホルダーばね26が縮んでいく(図9(b)及び図9(c)参照)。
また、この状態では、ガイドばね22は、それ以上縮まず、リングガイド20の高さ位置は変わらず、ヘッド本体24と挿入爪25が下降していく(図9(b)参照)。
これにより、挿入爪25の下端が、ホルダー21に保持されたOリング5に当接して、Oリング5を下方に移動させていく。また、挿入爪25は、ホルダー21の外周面、ホルダーガイド部23の外周面、及び、ワーク4の外周面に沿って、その外径に追従しながら拡縮しながら、スムーズにOリング5を搬送することができる。
また、挿入ヘッドユニット2の下端は、ホルダーテーパ部23の下端で構成されるため、挿入ヘッドユニット2からワーク4の上部に、Oリング5を乗り移らせる際にも、Oリング5は、ホルダーテーパ部23の下端で、Oリング5は、内径が大きくなるように、外向きに伸張された形状となる。
これにより、Oリング5の保持姿勢を安定させながら、かつ、ホルダーテーパ部23からOリング5が脱落することなく、ワーク4の外周面に乗り移らせることが可能となる。
また、ワーク4の上部側の外周面に移動したOリング5は、そのテーパ部40に沿って下方に案内され、挿入爪25を介して、環状溝40に向けて押し込まれていく(図9(b)及び図9(c)参照)。挿入爪25が環状溝40の上部近傍まで到達すると、Oリング5が環状溝40に挿入され、Oリング5の組付けが完了する。
また、Oリング5の環状溝40への組付けが完了すると、ワーク4から挿入ヘッドユニット2及び下受け部3が離れ、一連の作業が完了となる。
以上の流れで、本発明を適用したOリング組付け方法により、ワーク4の環状溝40にOリング5を組み付けることができる。なお、本発明におけるOリング組付け方法は、上述したOリング組付け機構の各構成部材を備える専用の装置を用いた、ワークへのOリングの組付けの作業に適用することができる。
また、本発明を適用したOリング組付け方法は、専用の装置を用いるだけでなく、ワークを含む装置機器等の製造ラインにおいて、ワーク、または、ワークを一部に有する装置等を処理するラインの工程の一部に組み込むことができる。
これにより、ワークを含む装置機器等の製造ラインにおいて、本発明を適用したOリング組付け方法を用いることで、Oリングの供給ユニットへの供給から、Oリングの搬送、ワークの環状溝へのOリングの組付けまでの全工程を自動化して、製造ラインの一部の工程を担うこともできる。
以上のように、本発明を適用したOリング組付け機構、または、Oリング組付け方法では、供給ユニットから挿入ヘッドユニットにOリングを供給する際に、Oリングの内径よりも小さな先端径のリングガイドを用いることで、スムーズに、Oリングをピックアップすることができる。また、Oリングの供給ユニット上での位置ずれや、Oリングの寸法のばらつきにも対応して、Oリングをピックアップすることができる。
また、リングガイドからホルダーテーパ部を経由して、ホルダーの所定の保持位置までOリングを搬送する際には、ホルダーテーパ部で、Oリングの内径が大きくなるように、外向きに伸張させ、Oリングの保持姿勢を安定させながら、ホルダーの所定の位置に移動させることができる。
また、ホルダーの所定の位置では、Oリングの内径を充分に大ききして、外向きに伸張させることで、Oリングを安定して保持することができる。
また、リフターを構成する4つのリフター爪が拡縮可能で、かつ、リフターばねで内側に向けて付勢されたことで、リングガイドやホルダーテーパ部、及び、ホルダーでの外径の拡大に追従して、Oリングをスムーズに搬送することができる。
また、ホルダーからワークの環状溝にOリングを搬送する際に、リングガイドが収容状態となった後、ホルダー及びホルダーテーパ部の外周面に沿って、ワークの上部に向けてOリングを搬送できることから、Oリングの内径が大きくなるように、外向きに伸張させ、Oリングの保持姿勢を安定させながら、Oリングを下降させることができる。
また、リングガイド、ホルダーテーパ部、及び、ホルダーが一体化した構造となり、Oリングの搬送経路を構築するため、Oリングを移動させる際の精度が担保しやすく、Oリングの脱落も抑止できる。
このように、Oリングの供給、保持、ワークへの挿入の各作業で、繰り返し精度が高く、高い信頼性能を持つOリング組付け機構を構築することができる。
また、Oリングの供給、保持、ワークへの挿入は、作業完了までの工数が少なく、生産性に優れたワークへのOリングの組付け処理を実現することができる。
また、処理に関与する構成部材は、簡易な構造で、かつ、部材の数も少ないため、低コストで、専用の装置または製造ラインの工程を構築することができる。
さらに、Oリングの供給、保持、ワークへの挿入までの全工程を連続的に行うことができ、一連の作業を自動化することができる。
以上のように、本発明に係るOリング組付け機構は、Oリングを対象物に組み付ける際に、Oリングの寸法ばらつきや、供給位置のばらつきに影響されにくく、簡易な構造であると共に、Oリングを安定して保持でき、かつ、対象物の方に安定して移動させて、精度高く組み付けることが可能なものとなっている。
また、本発明に係るOリング組付け方法は、Oリングを対象物に組み付ける際に、Oリングの寸法ばらつきや、供給位置のばらつきに影響されにくく、簡易な構造であると共に、Oリングを安定して保持でき、かつ、対象物の方に安定して移動させて、精度高く組み付けることが可能な方法となっている。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。