JP6973158B2 - ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents

ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6973158B2
JP6973158B2 JP2018026683A JP2018026683A JP6973158B2 JP 6973158 B2 JP6973158 B2 JP 6973158B2 JP 2018026683 A JP2018026683 A JP 2018026683A JP 2018026683 A JP2018026683 A JP 2018026683A JP 6973158 B2 JP6973158 B2 JP 6973158B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
heat sink
power module
substrate
layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018026683A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019145604A (ja
Inventor
遼平 湯本
義幸 長友
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP2018026683A priority Critical patent/JP6973158B2/ja
Publication of JP2019145604A publication Critical patent/JP2019145604A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6973158B2 publication Critical patent/JP6973158B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cooling Or The Like Of Semiconductors Or Solid State Devices (AREA)

Description

本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法に関する。
パワーモジュール用基板として、窒化アルミニウムを始めとするセラミックス基板からなる絶縁層の一方の面に回路層が接合されるとともに、他方の面にアルミニウム板を介してアルミニウム系のヒートシンクが接合されたヒートシンク付パワーモジュール用基板が知られている。
例えば特許文献1に開示されているヒートシンク付パワーモジュール用基板は、セラミックス基板からなる絶縁層の一方の面に純アルミニウム板、アルミニウム合金板、純銅板、銅合金板等からなる回路層が接合され、絶縁層の他方の面に純アルミニウム又はアルミニウム合金の金属板からなる金属層が接合され、この金属層に、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたヒートシンクが銅層を介して接合されている。この場合、絶縁層と金属層とはろう材を用いて接合され、金属層とヒートシンクとは、その間に介在した銅層との間で固相拡散接合されている。
このようなヒートシンク付パワーモジュール用基板において、セラミックス基板とアルミニウム板のような熱膨張係数の異なる部材の接合による反りを防止するため、ヒートシンクの材料として、特許文献2に開示される多孔質炭化珪素成形体にアルミニウムを主成分とする金属を含浸させてなる低膨張係数の複合体(アルミニウム炭化珪素複合体とする)を用いることが提案されている。
特開2014−60215号公報 特開2000−281465号公報
ところで、パワーモジュール用基板の金属層は、熱伸縮に伴う応力緩和のために比較的純度の高いアルミニウム(特に純度99.99質量%以上の高純度アルミニウム)により構成するのが好ましい。一方、特許文献2記載のアルミニウム炭化珪素複合体では高温鋳造法等で緻密で高強度の複合体を得るためにシリコンやマグネシウム等を含有する比較的純度の低いアルミニウム合金が用いられることから、このアルミニウム炭化珪素複合体と銅との固相拡散に要する温度は例えば500℃程度が適切である。
しかしながら、これらパワーモジュール用基板の金属層とアルミニウム炭化珪素複合体とを銅層を介して500℃程度の温度で同時に接合しようとすると、金属層と銅層との接合には不十分であり、金属層と銅層との間に金属間化合物(CuAl、CuAl等)が十分に成長せずに接合不良を生じ易い。これを解決するため、接合温度を高めようとすると、アルミニウム炭化珪素複合体の一部が溶融するおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、パワーモジュール用基板とアルミニウム炭化珪素複合体からなるヒートシンクとを500℃以下の温度で確実に接合することを目的とする。
本発明のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法は、セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属層が接合されてなるパワーモジュール用基板における前記金属層と、炭化珪素の多孔体にアルミニウム合金を含浸して形成されたアルミニウム炭化珪素複合体からなるヒートシンクとを銅層を介して拡散接合することにより、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとを接合するヒートシンク接合工程を有し、
前記ヒートシンク接合工程は、前記パワーモジュール用基板の前記金属層と前記銅層との間に、アルミニウムとアルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属との共蒸着膜を介在した状態で、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとを接合しており、前記アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属はマグネシウムであり、前記共蒸着膜は、マグネシウムの混合比率が20at%以上50at%以下である
この場合、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属としては、マグネシウム、ナトリウム、カルシウム、カリウムを用いることができるが、マグネシウムが好適である。このマグネシウムを用いる場合、前記共蒸着膜は、マグネシウムの混合比率が0.1at%以上50at%以下であり、膜厚が0.1μm以上5.0μm以下である。マグネシウムの混合比率は20at%以上がよい。
一般に、パワーモジュール用基板における金属層の表面にはアルミニウム酸化膜が形成されており、これがアルミニウムと銅との金属間化合物の生成を妨げることにより、接合不良の原因となっている。
この製造方法によれば、アルミニウムとこれよりイオン化傾向の大きい金属との共蒸着膜をパワーモジュール用基板の金属層と銅層との間に介在したことにより、その金属元素が拡散して金属層やヒートシンク表面の酸化膜と反応してアルミニウム酸化膜を破壊し、アルミニウムと銅との金属間化合物の生成が、酸化膜により阻害されることが抑制される。
アルミニウムよりイオン化傾向の大きい金属としてマグネシウムを用いた場合によりさらに具体的に説明すると、アルミニウムとマグネシウムとの共蒸着膜をパワーモジュール用基板の金属層と銅層との間に介在したことにより、マグネシウムが拡散して金属層やヒートシンク表面の酸化膜と反応してアルミニウム酸化膜を破壊し、マグネシウム酸化物(MgAlやMgO)として分散する。この場合、マグネシウムとアルミニウムとの共蒸着膜は、マグネシウムとアルミニウムとが原子レベルで混在した状態で蒸着膜の面方向に分散していたものであるから、アルミニウム表面のアルミニウム酸化膜を破壊して生成されるマグネシウム酸化物は、アルミニウムと銅との界面に微細な粒子として分散した状態となる。したがって、このマグネシウム酸化物がアルミニウムと銅との金属間化合物の生成を阻害することが抑制され、その結果、アルミニウムと銅との金属間化合物の成長が促進され、低温(例えば500℃以下)でもパワーモジュール用基板とヒートシンクとを強固に接合することができる。
この場合、共蒸着膜におけるマグネシウム混合比率が0.1at%未満ではマグネシウム酸化物が十分に形成されず、接合不良を生じるおそれがある。20at%以上とするとよい。一方、共蒸着膜に混在するアルミニウムはマグネシウムの拡散を抑える元素として機能するものであり、マグネシウム混合比率が50at%を超えると、そのマグネシウムに対するアルミニウムの比率が小さくなるので、マグネシウムの拡散を抑える効果が少なくなり、マグネシウムの拡散を制御しきれずにカーケンダルボイドを発生するおそれがある。
本発明の好ましい態様としては、前記ヒートシンク接合工程において、前記共蒸着膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材箔の少なくとも一方の面に形成されているとよい。共蒸着膜を箔の形態で取り扱うことができるので、作業性がよい。
また、本発明の別の態様としては、前記共蒸着膜は、前記金属層の前記セラミックス基板とは反対側の表面に形成されていてもよい。
本発明によれば、アルミニウムとの共蒸着膜を構成するマグネシウム等の金属元素が、金属層やアルミニウム炭化珪素複合体の表面のアルミニウム酸化膜を破壊して微細なマグネシウム酸化物として分散するので、アルミニウムと銅との金属間化合物の成長が促進され、パワーモジュール用基板とヒートシンクとを強固に接合することができる。
本発明の第1実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の全体構造を示す断面図である。 図1のパワーモジュール用基板について接合前の状態を示す断面図である。 第1実施形態の製造方法におけるパワーモジュール用基板にヒートシンクを接合する前の状態を示す断面図である。 第2実施形態の製造方法におけるパワーモジュール用基板にヒートシンクを接合する前の状態を示す断面図である。 第3実施形態の製造方法におけるパワーモジュール用基板にヒートシンクを接合する前の状態を示す断面図である。 本発明例における接合部の断面顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に、第1実施形態の製造方法により製造されたヒートシンク付パワーモジュール用基板1を示す。このヒートシンク付パワーモジュール用基板1は、パワーモジュール用基板10とヒートシンク20とが銅層30を介して積層状態で接合されている。
パワーモジュール用基板10は、セラミックス基板11と、セラミックス基板11の一方の面(表面)11aに接合された回路層12と、セラミックス基板11の他方の面(裏面)11bに接合された金属層13とを有する。
セラミックス基板11は、回路層12と金属層13の間の電気的接続を防止する絶縁材であって、例えばAlN(窒化アルミ)、窒化珪素Si等により形成され、その板厚は0.2mm〜1.5mmである。
回路層12及び金属層13は、アルミニウム又はアルミニウム合金のいずれも適用可能であるが、金属層13については純度99.00質量%以上又は純度99.99質量%以上の純アルミニウムが応力緩和のために特に好ましい。いわゆる2N-Al、3N-Al、4N-Alが金属層13として好適に用いることができる。これら純アルミニウムは溶融開始温度がいずれも650℃以上である。
また、これら回路層12及び金属層13の板厚は0.1mm〜1.0mmが好適である。これら回路層12及び金属層13は、セラミックス基板11の両面にアルミニウム板を、例えばAl−Si系のろう材を介して積層し、これらを積層方向に加圧して加熱することにより接合される。
ヒートシンク20は、炭化珪素多孔体にアルミニウム合金を含浸して形成されたアルミニウム炭化珪素複合体により形成される。炭化珪素多孔体は、炭化珪素粉末と結合剤とを混合して板状に成形して焼結したものである。この炭化珪素多孔体にマグネシウムやシリコンを含有するアルミニウム合金の溶融物を高圧で含浸させることにより、アルミニウム炭化珪素複合体が製造される。アルミニウムと炭化珪素との両方の特性を兼ね備えており、ヒートシンクとして良好な熱伝導性を有するとともに、熱膨張係数が低く、パワーモジュール用基板10に接合されることにより、熱伸縮がパワーモジュール用基板10のセラミックス基板11と均衡して反り等の発生を抑制することができる。
ヒートシンク20としては、平板が好適に用いられ、その厚さは0.4mm〜6.0mmとするとよい。
なお、ヒートシンク20の表面には、含侵されたアルミニウム合金からなるスキン層(図示なし)が形成されており、このスキン層と銅層30が接合されている。
また、含浸されるアルミニウム合金としては、例えば、ASTM規格のA356や、JIS規格のADC12、6063、3003等を用いることができる。これらアルミニウム合金はいずれも溶融開始温度が645℃以下である。
銅層30は、特に限定されないが、熱伝導性の面で純銅からなるものが好ましい。例えば、無酸素銅の圧延板によって形成されており、0.05mm以上3.0mm以下の厚さに形成される。
次に、この第1実施形態のヒートシンク付パワーモジュール用基板1の製造方法について説明する。
その製造方法は、セラミックス基板11に回路層12及び金属層13を接合してパワーモジュール用基板10を形成するパワーモジュール用基板形成工程と、パワーモジュール用基板10にヒートシンク20を接合するヒートシンク接合工程とからなる。以下、この工程順に説明する。
(パワーモジュール用基板形成工程)
図2に示すように、セラミックス基板11の一方の面11aに回路層12となるアルミニウム板12A、他方の面11bに金属層13となるアルミニウム板13Aを、それぞれAl−Si系ろう材箔15を介して積層し、その積層体を積層方向に加圧した状態で加熱した後、冷却することにより、セラミックス基板11の一方の面11aに回路層12、他方の面11bに金属層13が接合されたパワーモジュール用基板10を形成する。ろう材箔15は加熱により溶融し、回路層12や金属層13中に拡散して、これらをセラミックス基板11と強固に接合する。
このときの接合条件は、必ずしも限定されるものではないが、真空雰囲気中で、積層方向の加圧力が0.3MPa〜1.0MPaで、640℃以上650℃以下の加熱温度に1分以上60分以下保持するのが好適である。
(ヒートシンク接合工程)
図3に示すように、パワーモジュール用基板10の金属層13に銅層30を介してヒートシンク20を接合する。この接合は、金属層13及びヒートシンク20のアルミニウムと銅層30の銅との固相拡散接合である。
また、この接合に際しては、アルミニウムとマグネシウムとの共蒸着膜41を形成した金属箔40を金属層13と銅層30との間に挿入しておく。この金属箔40は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材箔42の一方の面又は両面にアルミニウムとマグネシウムとの共蒸着膜41を形成したものである。図示例では、基材箔42の一方の面に共蒸着膜41が形成されており、その共蒸着膜41が銅層30に向けた状態で介在しているが、金属層13側に向けて介在させてもよい。
この金属箔40を金属層13と銅層30との間に介在させ、積層方向に加圧した状態で加熱することにより、金属層13とヒートシンク20とをアルミニウムと銅との拡散接合によって接合する。このときの接合条件としては、必ずしも限定されないが、真空雰囲気で、積層方向の加圧力が0.3MPa以上3.5MPa以下で、400℃以上500℃以下の加熱温度に5分以上240分以下保持するのが好適である。
前述したように、金属層13の表面にはアルミニウム酸化膜が存在しており、これが銅層30との固相拡散接合の妨げとなっている。この接合工程においては、金属箔40に形成した共蒸着膜41にアルミニウムとマグネシウムとが原子レベルで混在しているため、そのマグネシウム原子が、金属層13の表面のアルミニウム酸化膜を破壊し、スピネル(MgAl)等のマグネシウム酸化物を生成する。このため、アルミニウム酸化膜が除去された金属層13及びアルミニウム炭化珪素アルミニウムの表面と銅層30の表面とが接触して拡散接合する。
また、このとき生成されるマグネシウム酸化物はマグネシウム原子の拡散によって形成されたものであるため、微細な粒子であり、金属層13と銅層30との界面に沿って面方向に分散して形成される。このため、金属層13のアルミニウムと銅層30の銅との拡散接合を阻害することが少なく、アルミニウムと銅との拡散接合が促進され、金属層13とヒートシンク20とが強固に接合される。
なお、この第1実施形態の場合、共蒸着膜41は銅層30に向けて介在させており、したがって、共蒸着膜41が銅層30の表面に接触した状態となる。このため、金属層13には、基材箔42を経由して金属層13の表面に共蒸着膜41のマグネシウムが到達する。
この共蒸着膜41における基材箔42はアルミニウム又はアルミニウム合金からなる圧延箔であり、その厚さは3μm以上50μm以下が好ましい。基材箔42はアルミニウム又はアルミニウム合金からなるものであれば、特に限定されないが、Al−Si系材料が好適である。この基材箔42の厚さは3μm未満とするのは圧延困難であり、50μmを超える厚さでは、共蒸着膜41を基材箔42の片面にのみ形成する場合は、基材箔42を貫通する方向のマグネシウムの拡散を阻害し、共蒸着膜41が形成されていない側の面での拡散接合が不十分になるおそれがある。ただし基材箔42の両面に共蒸着膜を付与した場合は厚みの制約はないが、厚くなりすぎるとモジュール全体の熱抵抗につながる恐れがある。
共蒸着膜41においてアルミニウムとマグネシウムとの混合比率は、マグネシウムが0.1at%以上50at%以下となる比率に設定される。シリコン等の他の成分は12at%以下であれば含まれていてもよい。
マグネシウムの混合比率が0.1at%未満ではアルミニウムと銅との界面にマグネシウム酸化物が十分に形成されない結果、アルミニウム酸化膜が残存してアルミニウムと銅との拡散接合が阻害され、接合不良を生じるおそれがある。
マグネシウムの混合比率が増えると、相対的にアルミニウムの混合比率が減少する。このアルミニウムはマグネシウムと原子レベルで混在していることにより、拡散速度の大きいマグネシウムの拡散を制御する機能があるが、マグネシウムの混合比率が50at%を超え、アルミニウムの混合比率がその分小さくなると、マグネシウムの拡散を抑える効果が少なくなり、マグネシウムの拡散を制御しきれずにカーケンダルボイドが発生するおそれがある。したがって、マグネシウム単体の膜ではボイドが発生して良好な接合が得られない。
また、共蒸着膜41の厚さは0.05μm以上3.0μm以下が好ましい。この共蒸着膜41の厚さが0.05μm未満ではアルミニウムの酸化被膜を除去するに足るマグネシウムが不足したり、局所的な蒸着不良による接合不良が起きたりする恐れがある。一方、3.0μmを超えるとマグネシウムの拡散によるカーケンダルボイドが発生しやすくなる。この共蒸着膜41は、基材箔42の両面に形成されていてもよいが、基材箔42の一方の面のみに形成されていてもよい。図示例では、基材箔42の一方の面のみに共蒸着膜41が形成されている。なお、基材箔42の両面に共蒸着膜41を形成する場合、共蒸着膜41の厚さの0.05μm以上3.0μm以下は、基材箔42の両面の共蒸着膜41それぞれの面に対する膜厚である。
なお、ヒートシンク20と銅層30との間の接合もアルミニウムと銅との固相拡散接合であるが、ヒートシンク20のアルミニウム純度が低いため、金属層13と銅層30との間におけるようなマグネシウムの作用がなくても、500℃以下で十分な接合強度を得ることができる。
このようにしてパワーモジュール用基板10の金属層13とヒートシンク20とが銅層30を介して固相拡散接合されることにより、これらが一体になったヒートシンク付パワーモジュール用基板1が製造される。
このヒートシンク付パワーモジュール用基板1では、金属層13と銅層30との間及び銅層30とヒートシンク20との間に、図6に示すように、それぞれアルミニウムと銅との金属間化合物が成長した接合層50が形成され、これらが強固に接合される。
この接合層50は、主としてアルミニウムと銅との拡散層であり、アルミニウムから銅に向かうにしたがって漸次アルミニウム原子の濃度が低くなり、銅原子の濃度が高くなる濃度勾配を有する。また、この接合層50を構成するアルミニウムと銅との金属間化合物は、金属層13と銅層30との界面及び銅層30とヒートシンク20との界面に複数種(例えば、アルミニウム側から銅側に向けて順にθ相、η2相、ζ2相の3種)の金属間化合物が積層される。なお、金属層13と銅層30との間に金属箔40を介して接合する場合、金属層13と金属箔40との接合、及び金属箔40と銅層30との接合が同時になされることになるが、金属箔40の基材箔42の厚みが大きくなると、基材箔42内のマグネシウム拡散の方が銅の拡散より速いので、マグネシウムによる金属層13と金属箔40とが接合されても、アルミニウムと銅との金属間化合物が金属層13と金属箔40との界面まで達するとは限らない。
また、接合層50において、金属層13との界面部、及びヒートシンク20との界面部には、その界面に沿ってマグネシウム酸化物が層状に偏析してなるマグネシウム偏析層が薄く形成されている。この実施形態の場合、金属箔40の基材箔42としてAl−Si系合金を用いたことにより、金属層13との界面部、及びヒートシンク20との界面部に、マグネシウム酸化物とともにSi及び珪化マグネシウム(MgSi)もわずかに存在する。このSi及び珪化マグネシウム(MgSi)は、その界面を超えて金属層13及びヒートシンク20のアルミニウム内にも析出が認められる。
この接合層50は、金属層13と銅層30との接合部及び銅層30とヒートシンク20との接合部の断面をEPMA(電子線マイクロアナライザ)によってライン分析することにより確認することができ、銅とアルミニウムの金属間化合物形成領域(図6にCu−Al IMCsと示した範囲)を含み、酸化マグネシウムが偏析されている層までの領域をいう。
この製造方法によれば、アルミニウムとマグネシウムとの共蒸着膜41を介在させたことにより、パワーモジュール用基板10の金属層13とアルミニウム炭化珪素複合体からなるヒートシンク20とを銅層30を介して500℃以下の低温で固相拡散接合することが可能になり、金属層13、アルミニウム炭化珪素複合体からなるヒートシンク20のいずれもを強固に接合することができる。
なお、実施形態では、ヒートシンク接合工程において、基材箔42の一方の表面に共蒸着膜41を形成した金属箔40を用い、その共蒸着膜41を銅層20に向けて介在させたが、図4に示す第2実施形態のように、共蒸着膜41を金属層13に向けて介在させてもよい。
また、金属箔40を用いずに、図5に示す第3実施形態のように、パワーモジュール用基板10の金属層13上に共蒸着膜41を直接形成してもよい。この場合、金属層13の表面を残してパワーモジュール用基板10をマスクにより覆って共蒸着膜41を形成する必要がある。
さらに、金属箔40を用いる場合、基材箔42の材料をAl−Si合金としたが、純アルミニウムや他のアルミニウム合金を用いてもよい。
この共蒸着膜41は、金属を熱して蒸発させて形成した膜に限らず、スパッタリングやイオンプレーティングにより形成した膜も含む。
なお、共蒸着膜41を銅層30の表面に形成するのは好ましくない。共蒸着膜41を銅層30の表面に形成したのでは、銅層30の表面に結合しているマグネシウムが拡散する際の挙動が安定せず、銅層30との界面にボイドが発生する。実施形態の場合には、共蒸着膜41が銅層30の表面に接触するだけであるので、マグネシウムと銅層30との結合力は弱く、このため、マグネシウムが速やかに拡散すると考えられる。
その他、細部構成は実施形態の構成のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
また、本実施形態では、ヒートシンク20は平板としたが、形状は特に限定されず、例えば、内部に水路を有する液冷式の冷却器であっても良い。
さらに、アルミニウムとともに共蒸着膜を形成する金属元素としてマグネシウムを例示したが、マグネシウム以外にも、アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属であれば適用することができ、例えば、ナトリウム、カルシウム、カリウムを用いることができる。
パワーモジュール用基板として、窒化アルミニウム板からなるセラミックス基板の両面に、純アルミニウム板(4N−Al、3N−Al、A1050)からなる回路層及び金属層を接合したものを用い、その金属層に銅層を接合した。パワーモジュール用基板の接合には、厚さ12μmのAl−7.5質量%Siろう材箔を用い、加圧力0.6MPaで、640℃〜660℃の温度に30分保持した。
このパワーモジュール用基板の金属層と銅層との接合の際に形成した共蒸着膜としては、厚さ10μm又は50μmの基材箔(表1に「Al箔」と示す)に形成したもの、基材箔を用いずに金属層に直接形成したもの(表1のNo.6)、基材箔を用いずに銅層に形成したもの(表1のNo.14)の3通りの形態で用いた。共蒸着膜を基材箔に形成したものは、基材箔の一方の表面のみに形成し、接合の際に銅層又は金属層のいずれの側に配置したかを成膜箇所の欄に「Cu側」「金属層側」として示した。また、基材箔としてSiを含有するアルミニウム箔、Siを含有しないアルミニウム箔の両方を用い、表1にSi含有の有無を記載した。No.12は共蒸着膜を用いない従来技術である。
共蒸着膜におけるアルミニウムとマグネシウムとの混合比率(Al:Mg)及び膜厚は表1の通りである。表1の「Al:Mg」の欄における混合比率の数値は原子量比率(at比率)である。
このパワーモジュール用基板の金属層と銅層との接合においては、加圧力2.1MPaで490℃の温度に150分保持した。
得られた試料について、金属層と銅層との接合率(DBA/Cu接合率)、断面のボイド判定を評価した。
接合率は、接合面の超音波探傷像を二値化処理して、剥離部分を除く接合された面積を求め、これを接合すべき界面の面積で割った比率とした。その接合率が95%以上を「優」、90%以上95%未満を「良」、90%未満を「不良」とする。
断面のボイド判定は、レーザー顕微鏡で接合部の断面を観察し、空隙(ボイド)が認められなかったか、空隙が認められた場合でも接合界面に沿って3μm以下の空隙であったものを「〇」、3μmを超える空隙が認められたものを「×」と判定した。試料12、15は接合率が悪すぎたため、ボイド判定は行わなかった。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0006973158
表1から明らかなように、基材箔に共蒸着膜を形成したもの、あるいは金属層に共蒸着膜を形成したもので、マグネシウムの混合比率が0.1at%以上50at%以下、膜厚が0.05μm以上3.0μm以下のものは、十分な接合率であり、断面のボイドも発生していないか、わずかであり、500℃以下の温度でも実用上問題ない接合を得ることができた。本発明においては、マグネシウムの混合比率を20at%以上とする。
図6は、本発明例の接合部における顕微鏡写真であり、銅とアルミニウムとの間の接合層50に、複数種の金属間化合物が層状に積層されている。また、その接合層50とアルミニウムとの界面に沿ってマグネシウム酸化物(MgO、MgAl)や珪化マグネシウム(MgSi)、Siの偏析層が認められる。
1 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
10 パワーモジュール用基板
11 セラミックス基板
12 回路層
13 金属層
20 ヒートシンク
30 銅層
40 金属箔
41 共蒸着膜
42 基材箔
50 接合層

Claims (4)

  1. セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面にアルミニウム又はアルミニウム合金からなる金属層が接合されてなるパワーモジュール用基板における前記金属層と、炭化珪素の多孔体にアルミニウム合金を含浸して形成されたアルミニウム炭化珪素複合体からなるヒートシンクとを銅層を介して拡散接合することにより、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとを接合するヒートシンク接合工程を有し、
    前記ヒートシンク接合工程は、前記パワーモジュール用基板の前記金属層と前記銅層との間に、アルミニウムとアルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属との共蒸着膜を介在した状態で、前記パワーモジュール用基板と前記ヒートシンクとを接合しており、
    前記アルミニウムよりもイオン化傾向の大きい金属はマグネシウムであり、前記共蒸着膜は、マグネシウムの混合比率が20at%以上50at%以下であることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
  2. 前記共蒸着膜は、膜厚が0.05μm以上3.0μm以下であることを特徴とする請求項1記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
  3. 前記ヒートシンク接合工程において、前記共蒸着膜は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる基材箔の少なくとも一方の面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
  4. 前記ヒートシンク接合工程において、前記共蒸着膜は、前記金属層の前記セラミックス基板とは反対側の表面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
JP2018026683A 2018-02-19 2018-02-19 ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 Active JP6973158B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018026683A JP6973158B2 (ja) 2018-02-19 2018-02-19 ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018026683A JP6973158B2 (ja) 2018-02-19 2018-02-19 ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019145604A JP2019145604A (ja) 2019-08-29
JP6973158B2 true JP6973158B2 (ja) 2021-11-24

Family

ID=67771294

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018026683A Active JP6973158B2 (ja) 2018-02-19 2018-02-19 ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6973158B2 (ja)

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6033787A (en) * 1996-08-22 2000-03-07 Mitsubishi Materials Corporation Ceramic circuit board with heat sink
JP3171234B2 (ja) * 1997-03-26 2001-05-28 三菱マテリアル株式会社 ヒートシンク付セラミック回路基板
JP4104253B2 (ja) * 1999-07-27 2008-06-18 電気化学工業株式会社 基板一体型構造体
JP6024477B2 (ja) * 2013-01-25 2016-11-16 三菱マテリアル株式会社 ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
JP6696215B2 (ja) * 2015-04-16 2020-05-20 三菱マテリアル株式会社 接合体、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク、及び、接合体の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、ヒートシンクの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019145604A (ja) 2019-08-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102422607B1 (ko) 접합체, 히트 싱크가 부착된 파워 모듈용 기판, 히트 싱크, 및 접합체의 제조 방법, 히트 싱크가 부착된 파워 모듈용 기판의 제조 방법, 히트 싱크의 제조 방법
TWI695778B (zh) 接合體、附散熱器之電力模組用基板、散熱器、接合體之製造方法、附散熱器之電力模組用基板之製造方法、及散熱器之製造方法
JP6822247B2 (ja) ヒートシンク付絶縁回路基板の製造方法
TWI661516B (zh) 接合體,附散熱器電源模組用基板,散熱器,接合體的製造方法,附散熱器電源模組用基板的製造方法及散熱器的製造方法
JP6658400B2 (ja) セラミックス/Al−SiC複合材料接合体の製造方法、及びヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
WO2009139472A1 (ja) パワーモジュール用基板、パワーモジュール、及びパワーモジュール用基板の製造方法
US10420223B2 (en) Method for manufacturing substrate for power module with heat sink
JP7081686B2 (ja) 接合体、ヒートシンク付絶縁回路基板、及び、ヒートシンク
JP2022023954A (ja) セラミックス/アルミニウム接合体、絶縁回路基板、ledモジュール、セラミックス部材
JP7052374B2 (ja) セラミックス/アルミニウム接合体の製造方法、絶縁回路基板の製造方法
JP6973158B2 (ja) ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
JP2022048812A (ja) 放熱部材およびその製造方法
JP6561886B2 (ja) ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
JP6973218B2 (ja) ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
TWI780113B (zh) 陶瓷/鋁-碳化矽複合材料接合體之製造方法、及附散熱塊之功率模組用基板之製造方法
WO2016167217A1 (ja) 接合体、ヒートシンク付パワーモジュール用基板、ヒートシンク、及び、接合体の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、ヒートシンクの製造方法
WO2019159257A1 (ja) セラミックス/Al-SiC複合材料接合体の製造方法、及びヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
JP6756189B2 (ja) ヒートシンク付パワーモジュール用基板、及びヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
JP6769169B2 (ja) セラミックス基板とアルミニウム含浸炭化珪素多孔質体との接合体の製造方法
JP2011119653A (ja) ヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法、ヒートシンク付パワーモジュール用基板及びパワーモジュール
JP2009277991A (ja) パワーモジュール用基板、パワーモジュール及びパワーモジュール用基板の製造方法
JP6680144B2 (ja) セラミックス/Al−SiC複合材料接合体の製造方法、及びヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法
JP2005247662A (ja) 接合体とこれを用いたウェハ保持部材及びその製造方法
JP7135716B2 (ja) 接合体、ヒートシンク付絶縁回路基板、及び、ヒートシンク
WO2022224949A1 (ja) 銅/セラミックス接合体、および、絶縁回路基板

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200929

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210720

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210721

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210915

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20211005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20211018

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6973158

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150