JP6970252B1 - ブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】ブローバイガスに含まれるオイルが滞留することを抑制して、低温時においてオイルに含まれる水分が凍結することを抑制することができるブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンを提供すること。【解決手段】ブローバイガス処理装置100は、ブローバイガス取り入れ部から取り入れられたブローバイガスBGをオイルとガスとに分離する分離部330と、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルを案内するオイル案内部151、152と、を備える。分離部330は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルをオイル案内部151、152へ導く方向に傾斜して設けられている。【選択図】図4

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等の内燃機関に搭載されて、ブローバイガスをオイルとガスとに分離して処理をするブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンに関する。
例えばディーゼルエンジンのヘッドカバーには、ブローバイガスフィルタが内蔵されている。ブローバイガスフィルタは、ブローバイガスをオイルと未燃焼ガス等のガスとに分離する。
特許文献1には、ガス流路内に流入した飛散オイルを、ガス導入口の真下から離れた位置でカム室側に排出してオイル分離効率を向上できるオイルミストセパレータが開示されている。特許文献1に記載されたオイルミストセパレータは、ガス流路内に流れるブローバイガスからオイルを分離するものである。
シリンダヘッドカバーとバッフルプレートとの間には、ガス導入口を含むガス流路に対して、仕切られた部屋と、第1ガイド壁と、が設けられている。第1ガイド壁は、ガス導入口と部屋との上方において、ガス導入口と部屋とに向かって、下方に傾斜して延びている。バッフルプレートには、部屋内のオイルを排出するためのドレン孔が部屋の水平な内底部に形成されている。
これにより、カムシャフトの回転により跳ね上げられる飛散オイルの内のガス流路内に流入した飛散オイルは、傾斜した第1ガイド壁に衝突して、第1ガイド壁を伝って部屋内に導かれる。そして、部屋内の飛散オイルは、部屋のドレン孔を通じて、ガス導入口の直下から離れた位置でカム室側に排出されることで、オイル分離効率を向上させている。
特開2018−119474号公報
ところが、特許文献1に記載されたオイルミストセパレータでは、ドレン孔が部屋の水平な内底部に形成されている。そのため、ドレン孔があっても、部屋の内底部は、エンジンの搭載された車両が置かれた設置面(例えば水平面)に対して平行である。このため、ドレン孔が水平な内底面に形成されていても、部屋の水平な内底部には、飛散オイルが滞留してしまうおそれがある。
飛散オイルは、水分(水蒸気)を含んでいる。そのため、滞留した飛散オイルに含まれる水分が、低温時には部屋の水平な内底部において凍結することがある。滞留した飛散オイルに含まれる水分が凍結すると、部屋の水平な内底面やドレン孔を塞いでしまうことがある。そうすると、部屋内の飛散オイルは、水平な内底部に形成されたドレン孔を通過できず、ガス導入口の直下から離れた位置でカム室側に排出されなくなる。この点において、特許文献1に記載されたオイルミストセパレータには、改善の余地がある。
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、ブローバイガスに含まれるオイルが滞留することを抑制して、低温時においてオイルに含まれる水分が凍結することを抑制することができるブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンを提供することを目的とする。
前記課題は、エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置であって、前記ブローバイガスの流速を鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って上昇させる流速上昇操作部と、前記流速上昇操作部により流速の上がった前記ブローバイガスを衝突させてオイルとガスとに分離する衝突板と、前記ブローバイガスから分離された前記オイルを前記エンジンの内部へ向かって案内するオイル案内部と、前記衝突板と対向する前記流速上昇操作部の表面と前記オイル案内部とに接続されるとともに前記表面から前記オイル案内部へ向かって下方に傾斜し、前記表面に沿って流れた前記オイルを前記オイル案内部へ導くオイル出口傾斜案内部と、を備え、前記表面は、前記オイル案内部に向かって下方に傾斜し、前記オイル出口傾斜案内部の水平面に対する傾斜角度は、前記表面の水平面に対する傾斜角度よりも大きいことを特徴とする本発明に係るブローバイガス処理装置により解決される。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、流速上昇操作部は、ブローバイガスの流速を鉛直方向(上下方向)に対して傾斜した方向に沿って上昇させながら衝突板にブローバイガスを衝突させる。これにより、ブローバイガスは、オイルとガスとに確実に分離される。そして、衝突板においてブローバイガスから分離されたオイルは、衝突板と対向する流速上昇操作部の表面に落下する。ここで、流速上昇操作部の表面は、オイル案内部に向かって下方に傾斜している。そのため、流速上昇操作部の表面に落下したオイルは、流速上昇操作部の表面を自重で流れてオイル案内部に導かれる。これにより、本発明に係るブローバイガス処理装置は、ブローバイガスに含まれるオイルが滞留することを抑制して、低温時においてオイルに含まれる水分が凍結することを抑制ことができる。これにより、ブローバイガスをオイルとガスとに分離する動作がより確実に実行される。
また、オイル出口傾斜案内部は、流速上昇操作部の表面とオイル案内部とに接続され、流速上昇操作部の表面からオイル案内部へ向かって下方に傾斜している。そして、オイル出口傾斜案内部は、流速上昇操作部の表面に沿って流れたオイルをオイル案内部へ導く。ここで、オイル出口傾斜案内部の水平面に対する傾斜角度は、流速上昇操作部の表面の水平面に対する傾斜角度よりも大きい。これにより、オイル出口傾斜案内部は、ブローバイガスから分離され流速上昇操作部の表面に沿って流れたオイルをオイル案内部へと速やかに導くことができる。また、オイルが流速上昇操作部の表面の近傍で滞留することを抑え、ブローバイガスから分離されたオイルが再びブローバイガス中に混入することを抑えることができる。
本発明に係るブローバイガス処理装置は、好ましくは、前記流速上昇操作部と前記衝突板との間に設けられ、前記ブローバイガスを通すフィルタをさらに備えたことを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置ブローバイガスを通すフィルタをさらに備える。フィルタは、流速上昇操作部と衝突板との間に設けられている。これにより、衝突板においてブローバイガスから分離されたオイルは、フィルタを通って、衝突板と対向する流速上昇操作部の表面に落下する。そのため、ブローバイガスは、オイルとガスとに確実に分離される。
本発明に係るブローバイガス処理装置は、好ましくは、前記フィルタおよび前記衝突板が載置され、前記フィルタおよび前記衝突板を前記オイル案内部に向かって下方に傾斜させるための設定部をさらに備えことを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、フィルタおよび衝突板が載置された設定部が、さらに設けられている。設定部は、フィルタおよび衝突板をオイル案内部に向かって下方に傾斜させている。これにより、衝突板においてブローバイガスから分離されたオイルは、フィルタを通って流速上昇操作部の表面に落下し、オイル案内部により確実に導かれる。
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記設定部は、前記表面から外側に向かって突出し、前記表面と前記フィルタとの間の空間としてオイル案内隙間領域を形成し、前記ブローバイガスから分離された前記オイルは、前記オイル案内隙間領域における前記表面に沿って流れることを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、フィルタを載置させる設定部は、流速上昇操作部の表面から外側に向かって突出し、流速上昇操作部の表面とフィルタとの間の空間としてオイル案内隙間領域を形成する。そして、ブローバイガスから分離されたオイルは、オイル案内隙間領域における流速上昇操作部の表面に沿って流れる。これにより、ブローバイガスから分離されたオイルが流速上昇操作部の表面に滞留することをより確実に抑え、ブローバイガスから分離されたオイルは、流速上昇操作部の表面とフィルタとの間に形成されたオイル案内隙間領域からオイル案内部に向かってより確実に導かれる。
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記流速上昇操作部は、前記ブローバイガスを通過させて前記衝突板へ供給する絞り孔を有し、前記絞り孔の軸は、前記鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って延び、前記衝突板の内面に対して直交していることを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、流速上昇操作部は、ブローバイガスを通過させてフィルタへ供給する絞り孔を有する。そして、絞り孔の軸は、衝突板の内面に対して直交している。そのため、流速上昇操作部の絞り孔を通過し流速が上昇したブローバイガスは、衝突板の内面に対して垂直に衝突する。これにより、ブローバイガスは、衝突板からより強い衝撃力を受け、オイルとガスとにより確実に分離される。そして、絞り孔の軸が鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って延びているため、衝突板においてブローバイガスから分離されたオイルは、衝突板の内面に衝突するブローバイガスの流れの方向とは異なる方向(すなわち鉛直方向)に向かって流速上昇操作部の表面に落下する。そのため、衝突板においてブローバイガスから分離されたオイルが、絞り孔に入ることを抑え、絞り孔を塞ぐことを抑えることができる。これにより、ブローバイガスを衝突板に衝突させてオイルとガスとに分離する動作がより確実に実行される。
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記流速上昇操作部は、複数の前記絞り孔を有し、前記複数の絞り孔は、前記表面の傾斜方向に対して交差する方向に互いにずれた位置に配置されたことを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、流速上昇操作部の表面の傾斜方向に沿ってオイル案内部に導かれるオイルが、例えば複数の絞り孔のうち下流側に配置された絞り孔に入ることを抑え、下流側の絞り孔を塞ぐことを抑えることができる。これにより、ブローバイガスを衝突板に衝突させてオイルとガスとに分離する動作がより確実に実行される。
本発明に係るブローバイガス処理装置は、好ましくは、前記オイル案内部からみて前記オイル出口傾斜案内部とは反対側に設けられ、前記オイル出口傾斜案内部の最も下部から前記オイル出口傾斜案内部の勾配とは逆勾配を有するように傾斜して形成されたオイル傾斜案内戻し部をさらに備えたことを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、オイル傾斜案内戻し部がさらに設けられている。オイル傾斜案内戻し部は、オイル案内部からみてオイル出口傾斜案内部とは反対側に設けられている。また、オイル傾斜案内戻し部は、オイル出口傾斜案内部の最も下部からオイル出口傾斜案内部の勾配とは逆勾配を有するように傾斜して形成されている。そのため、オイル傾斜案内戻し部は、ブローバイガスから分離されたオイルが流速上昇操作部の表面からオイル出口傾斜案内部を経て流れてきたときに、オイルが流れてくる際の勢いによりオイル出口傾斜案内部およびオイル案内部から流出することを抑え、オイルを一時的に貯留することができる。そして、オイル傾斜案内戻し部は、オイルをオイル案内部に案内して戻すことができる。
本発明に係るブローバイガス処理装置において、好ましくは、前記オイル案内部が延びた方向において、前記オイル傾斜案内戻し部の長さは、前記オイル出口傾斜案内部の長さよりも長いことを特徴とする。
本発明に係るブローバイガス処理装置によれば、ブローバイガスから分離されたオイルが、流速上昇操作部の表面からオイル出口傾斜案内部を経て流れてきても、オイル傾斜案内戻し部は、流れてきたオイルがあふれ出ることを抑えつつ、オイルを余裕をもって収容したあとに、オイル案内部へ流して戻すことができる。
また、前記課題は、エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置を備えるエンジンであって、前記ブローバイガス処理装置は、前記ブローバイガスの流速を鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って上昇させる流速上昇操作部と、前記流速上昇操作部により流速の上がった前記ブローバイガスを衝突させてオイルとガスとに分離する衝突板と、前記ブローバイガスから分離された前記オイルを前記エンジンの内部へ向かって案内するオイル案内部と、前記衝突板と対向する前記流速上昇操作部の表面と前記オイル案内部とに接続されるとともに前記表面から前記オイル案内部へ向かって下方に傾斜し、前記表面に沿って流れた前記オイルを前記オイル案内部へ導くオイル出口傾斜案内部と、を有し、前記表面は、前記オイル案内部に向かって下方に傾斜し、前記オイル出口傾斜案内部の水平面に対する傾斜角度は、前記表面の水平面に対する傾斜角度よりも大きいことを特徴とする本発明に係るエンジンにより解決される。
本発明に係るエンジンによれば、ブローバイガス処理装置の流速上昇操作部は、ブローバイガスの流速を鉛直方向(上下方向)に対して傾斜した方向に沿って上昇させながら衝突板にブローバイガスを衝突させる。これにより、ブローバイガスは、オイルとガスとに確実に分離される。そして、衝突板においてブローバイガスから分離されたオイルは、衝突板と対向する流速上昇操作部の表面に落下する。ここで、流速上昇操作部の表面は、オイル案内部に向かって下方に傾斜している。そのため、流速上昇操作部の表面に落下したオイルは、流速上昇操作部の表面を自重で流れてオイル案内部に導かれる。これにより、本発明に係るエンジンは、ブローバイガスに含まれるオイルが滞留することを抑制して、低温時においてオイルに含まれる水分が凍結することを抑制ことができる。これにより、ブローバイガスをオイルとガスとに分離する動作がより確実に実行される。
また、ブローバイガス処理装置のオイル出口傾斜案内部は、流速上昇操作部の表面とオイル案内部とに接続され、流速上昇操作部の表面からオイル案内部へ向かって下方に傾斜している。そして、オイル出口傾斜案内部は、流速上昇操作部の表面に沿って流れたオイルをオイル案内部へ導く。ここで、オイル出口傾斜案内部の水平面に対する傾斜角度は、流速上昇操作部の表面の水平面に対する傾斜角度よりも大きい。これにより、オイル出口傾斜案内部は、ブローバイガスから分離され流速上昇操作部の表面に沿って流れたオイルをオイル案内部へと速やかに導くことができる。また、オイルが流速上昇操作部の表面の近傍で滞留することを抑え、ブローバイガスから分離されたオイルが再びブローバイガス中に混入することを抑えることができる。

本発明によれば、ブローバイガスを、オイルとガスとに分離する際に、オイルが滞留するのを抑制して、低温時においてオイルが凍結するのを防ぐことができるブローバイガス処理装置およびブローバイガス処理装置を備えるエンジンを提供することができる。
本発明の実施形態に係るブローバイガス処理装置を備えるエンジンを示す断面図である。 本実施形態に係るブローバイガス処理装置の構造例を示すX−Z平面における断面図である。 本実施形態に係るブローバイガス処理装置の分離部とその周辺領域の構造例を示す斜視図である。 図3に示す本実施形態に係るブローバイガス処理装置の分離部とその周辺領域のY方向に沿ったD−D線における断面図である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に説明する実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。また、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(エンジン1の概要)
図1は、本発明の実施形態に係るブローバイガス処理装置を備えるエンジンを示す断面図である。
図1に示すエンジン1は、内燃機関であって、例えば産業用ディーゼルエンジンである。エンジン1は、例えばターボチャージャ付きの過給式の高出力な3気筒エンジンや4気筒エンジン等の多気筒エンジンである。エンジン1は、例えば建設機械、農業機械、芝刈り機のような車両等に搭載される。
(エンジン1の構造例)
エンジン1は、シリンダブロック2と、シリンダヘッド3と、ヘッドカバー4と、オイルパン7と、ブローバイガス処理装置100と、を備える。シリンダヘッド3は、シリンダブロック2の上に組付けられている。ヘッドカバー4は、シリンダヘッド3の上に組付けられている。シリンダブロック2は、上部のシリンダ5と、下部のクランクケース6と、を有する。オイルパン7は、クランクケース6の下部に配置されている。ピストン8は、シリンダ5内に配置されている。クランク軸9は、クランクケース6内に配置されている。ピストン8は、コンロッド10を介してクランク軸9に連結されている。
図1に示すように、シリンダ5は、動弁カム室11を有する。動弁カム室11には、動弁カム軸12が収容されている。タペット13がタペットガイド孔14に沿って上下動可能になっている。タペット13の下部は、動弁カム軸12に載っている。プッシュロッド15は、挿通孔16に通っている。ロッカーアーム17は、ヘッドカバー4内に配置されている。プッシュロッド15の上端部は、ロッカーアーム17に当接している。
ロッカーアーム17は、スプリング18によりプッシュロッド15の上端部側に付勢されている。吸気弁19および排気弁20は、動弁カム軸12が回転することで、プッシュロッド15とロッカーアーム17とを介して伝えられた動力により上下動し、吸気口と排気口とをそれぞれ開閉する。
図1に示すように、例えばオイル流出孔21が、タペット13に設けられている。オイル落下孔22が、動弁カム室11からクランクケース6まで設けられている。これにより、挿通孔16と、タペット13の内部と、オイル流出孔21と、動弁カム室11と、オイル落下孔22は、オイル戻し経路99を構成している。オイル戻し経路99は、ヘッドカバー4内のオイルを、クランクケース6内を通ってオイルパン7に戻すことができる。シリンダヘッド3の各気筒は、吸気通路30と、排気通路31と、に接続されている。
図1に示すように、エンジン1の圧縮行程および燃焼行程の少なくともいずれかにおいて、ブローバイガスBGが発生することがある。ブローバイガスBGは、図1に示すピストン8とシリンダ5との隙間を通ってクランクケース6内に流入するガスであり、未燃焼の燃料成分や燃焼済みのガス成分やオイル等のミストを含んでいる。シリンダ5とピストン8との隙間からクランクケース6に漏れ出したブローバイガスBGは、例えば上述したオイル戻し経路99を通じて、ヘッドカバー4内へ上昇する。すなわち、ブローバイガスBGは、シリンダ5とピストン8との隙間からクランクケース6に漏れ出すと、例えばブローバイガス通過経路としてのオイル戻し経路99のオイル落下孔22と、動弁カム室11と、タペット13のオイル流出孔21と、挿通孔16と、を通じて、ヘッドカバー4内に侵入する。なお、上述したオイル戻し経路99は、ブローバイガス通過経路の一例である。ブローバイガス通過経路は、上述したオイル戻し経路99だけに限定されるわけではない。
図1に示すように、ブローバイガス処理装置100が、ヘッドカバー4内に設けられている。ブローバイガス処理装置100は、ブローバイガスBGを、オイルOL(図2参照)と、オイルOLのミストを分離したガス(処理後のガス)G(図2参照)と、に分離する役割を有する。例えばブローバイガスBGに含まれるガスGは、ブローバイガス処理装置100を介して、ヘッドカバー4の外部の吸気系に接続された配管41に送られる。ブローバイガスBGに含まれるガスGは、ブローバイガスBGからオイルOLとオイルOLのミストとを除いた例えば未燃焼ガス成分や燃焼ガス成分である。なお、オイル(潤滑剤成分)OLは、例えばヘッドカバー4とシリンダヘッド3内とオイル戻し経路99とを通じて、オイルパン7に回収される。
図1に示す吸気配管50の接続管50Tと配管41とは、ブローバイガス混合継手70により互いに接続されている。新規な吸気ARは、吸気配管50に吸入されると、エアクリーナ52と接続管50Tとを通過して、ブローバイガス混合継手70の主配管71に入る。一方、ブローバイガス処理装置100によりオイルOLがブローバイガスBGから分離された後のガスGは、ブローバイガス処理装置100の出口部40から配管41を通じてブローバイガス混合継手70の副配管72に入る。これにより、新規な吸気ARとガスGとが、ブローバイガス混合継手70において混合されて、吸入空気Bとなる。
一方、排気通路31からの排気は、ターボチャージャ60のタービン62に供給されることで、タービン62とブロア61とを高速回転させる。混合された吸入空気Bは、ターボチャージャ60のブロア61へ供給されて圧縮される。圧縮された吸入空気Cは、吸気系の吸気通路30へ過給される。
(ブローバイガス処理装置100)
次に、図1に示すブローバイガス処理装置100の好ましい構造例を、図2から図4を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るブローバイガス処理装置の構造例を示すX−Z平面における断面図である。
図3は、本実施形態に係るブローバイガス処理装置の分離部とその周辺領域の構造例を示す斜視図である。
図4は、図3に示す本実施形態に係るブローバイガス処理装置の分離部とその周辺領域のY方向に沿ったD−D線における断面図である。
ここで、図1〜図4に示すX方向は、図1に示すエンジン1の前後方向、すなわちクランク軸9の軸方向である。Y方向は、エンジン1の左右方向である。Z方向は、エンジン1の上下方向である。X、Y、Z方向は、互いに直交している。
図1および図2に示すように、ブローバイガス処理装置100は、ブリーザ装置あるいはブレザともいい、ヘッドカバー4内に配置されている。図2に示すように、ブローバイガス処理装置100は、ブローバイガスBGを、オイルOLと、ガスGと、に分離して、オイルOLおよびガスGを別々の経路で案内できる。
図2に示すブローバイガス処理装置100は、主要構造部101と、出口部40と、を有する。主要構造部101は、ヘッドカバー4内に設けられている。出口部40は、ヘッドカバー4の上方に突出して設けられている。しかも、図2に示すように、出口部40は、主要構造部101のX方向である前後方向に関して、例えば略中央の位置CPに配置されている。出口部40は、エンジン1の例えば略中央の位置CPにおいて、エンジン1の吸気系に対して供給しようとするガスGの圧力を調整して、主要構造部101から導かれたガスGだけをエンジン1の吸気系の配管41へ送る。出口部40には、例えば調圧弁(ダイヤフラム)が設けられている。出口部40に設けられた調圧弁は、新規な吸気ARが図1に示すブローバイガス混合継手70および吸気系の配管41を介してエンジン1内に流入することを抑える。
<ブローバイガス処理装置100の主要構造部101>
まず、ブローバイガス処理装置100の主要構造部101の好ましい構造例を、図1および図2を参照して説明する。
図1および図2に示すように、主要構造部101は、ヘッドカバー4内に収容されている。具体的には、ヘッドカバー4は、上面部4Aと、前面部4Bと、後面部4Cと、左右面部4Dと、を有している。主要構造部101は、上面部4Aと、前面部4Bと、後面部4Cと、左右面部4Dと、で囲まれた空間に配置されている。図2に示すように、主要構造部101は、ブローバイガスBGを取り入れて案内し、ブローバイガスBGから、ブローバイガスBGに含まれるオイルOLと、ガスGと、を分離する。そして、主要構造部101は、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLおよびガスGがエンジン1の外部に漏れないように、オイルOLおよびガスGを別々の経路で案内する。そのために、ヘッドカバー4は、ヘッドカバー4の内部がヘッドカバー4の外部に対して気密性を保った状態でシリンダヘッド3に保持されている。これにより、ブローバイガスBGと、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLおよびガスGと、がエンジン1の外部に漏れることが抑えられている。
図2に示すように、主要構造部101は、概略的には、第1ブローバイガス取り入れ部111と、第2ブローバイガス取り入れ部112と、分離部330と、第1オイル案内溝部151と、第2オイル案内溝部152と、第1オイルドレン161と、第2オイルドレン162と、を有する。第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152のそれぞれは、本発明の「オイル案内部」の一例である。
図2に示すように、主要構造部101は、上述した構成要素を構成するために、仕切り壁部200と、案内壁部203と、案内板295と、を有する。仕切り壁部200は、ヘッドカバー4内においてX−Y平面に、すなわち水平に配置されており、ヘッドカバー4の下部領域4Pと、上部領域4Q、4Rと、を仕切っている。従って、下部領域4Pと、上部領域4Q、4Rと、は、互いに独立した空間になっている。
図2に示すように、案内壁部203は、処理後のガスG、すなわちブローバイガスBGからオイルOLのミストを分離した後のガスGだけを出口部40へ確実に案内する。案内壁部203は、仕切り壁部200と、ヘッドカバー4の上面部4Aと、の間に配置されており、上部領域4Qと、上部領域4Rと、を仕切っている。従って、上部領域4Qと、上部領域4Rと、は、互いに独立した空間である。
<第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112>
次に、第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112について、図2を参照して説明する。
第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112とは、仕切り壁部200と案内板295とにより形成された孔であり、ブローバイガスBGを取り入れる。仕切り壁部200は、分離部330を中心にして、第1案内下面部231側と第2案内下面部232側とに分かれている。第1ブローバイガス取り入れ部111は、前面部4B寄りの位置(すなわちエンジン1の前側)に設けられて前側からブローバイガスBGを取り入れる。また、第2ブローバイガス取り入れ部112は、後面部4C寄りの位置(すなわちエンジン1の後側)に設けられて後側からブローバイガスBGを取り入れる。
図2に示す案内板295は、第1案内下面部231と第2案内下面部232とに対面するようにして仕切り壁部200から離れた部分を有し、X−Y平面に沿って配置されている。
図1に示すように、クランクケース6内を上昇してきたブローバイガスBGは、図2に示すヘッドカバー4の下部領域4Pに達すると、第1ブローバイガス取り入れ部111を通って仕切り壁部200の第1案内下面部231と案内板295との間に取り入れられ、分離部330に向かって案内される。あるいは、ブローバイガスBGは、第2ブローバイガス取り入れ部112を通って第2案内下面部232と案内板295との間に取り入れられ、分離部330に向かって案内される。そして、ブローバイガスBGは、図2に表した矢印のように、前後方向であるX方向に関して中央位置RPにある分離部330のインパクタ120に達する。
<分離部330>
次に、分離部330の好ましい構造例を、図2から図4を参照して、説明する。
図2に示す分離部330は、インパクタ式セパレータとも言い、インパクタ120と、フィルタ130と、衝突板133と、を有し、エンジン1の前後方向において第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112との間に設けられている。より具体的には、分離部330は、エンジン1の前後方向において第1オイルドレン161と第2オイルドレン162との間の中央部すなわち中央位置RPに設けられている。
図3および図4に表したように、分離部330は、ヘッドカバー4の仕切り壁部200において、X−Y平面に沿った水平面に対して所定の傾斜角度θだけ傾いて設けられている。具体的には、分離部330は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLを第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ導く方向に傾斜して設けられている。さらに具体的には、インパクタ120の上面122が、X−Y平面に沿った水平面に対して所定の傾斜角度θだけ傾いている。上面122は、衝突板133の内面(すなわち下面)に対向したインパクタ120の表面であり、本発明の「表面」の一例である。インパクタ120の上面122は、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に向かって下方に傾斜している。フィルタ130および衝突板133は、インパクタ120の上面122に設けられた設定部400,400の上に載置され、水平面に対して所定の傾斜角度θで傾斜され、しかも着脱可能に固定されている。分離部330は、第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152側に向けて下がるように傾斜して設けられている。傾斜角度θは、例えば5度以上、45度以下程度である。傾斜角度θが5度よりも小さいと、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLをオイル出口傾斜案内部500を介して第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ速やかに誘導しにくくなる。また、傾斜角度θが45度よりも大きいと、分離されたオイルOLをオイル出口傾斜案内部500を介して第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ速やかに誘導できる一方で、インパクタ120の絞り孔121の入口部分の有効開口面積が狭くなってブローバイガスBGをインパクタ120へ誘導しにくくなる。特に、傾斜角度θが例えば60度以上になると、インパクタ120の絞り孔121の入口部分の有効開口面積が特に狭くなる。そして、ブローバイガスBGがインパクタ120の絞り孔121の入口部分に滞留して、ブローバイガスBG中の水分が凍結するリスクが増える。
次に、分離部330の各構成要素を、図2から図4を参照しながら、順番に説明する。
<分離部330のインパクタ120>
図2に表すインパクタ120は、ノズルあるいはオリフィスの機能を有している。図4に表すように、インパクタ120は、好ましくは少なくとも2つの絞り孔121を有している。絞り孔121は、インパクタ120を貫通する孔である。絞り孔121の軸121Cの方向は、Z方向である鉛直方向あるいは上下方向に沿っているのではなく、上述した傾斜角度θだけ、Z方向に対して傾斜している。つまり、絞り孔121の軸121Cは、衝突板133の内面に対して直交している。
2つの絞り孔121,121は、例えば断面円形状の貫通孔であり、図3および図4に示す例では、図4(A)に例示するように、Y方向に沿って直列に配置されている。別の例としては、図4(B)に例示するように、2つの絞り孔121,121は、Y方向に関して千鳥状に配置されていてもよい。言い換えれば、2つの絞り孔121,121は、Y方向に沿ってみたときにX方向に互いにずれた位置に配置されていてもよい。2つの絞り孔121,121の配置の詳細については、後述する。なお、絞り孔121の設定数は、2つに限らず、1つあるいは3つ以上であっても良い。また、絞り孔121の断面形状は、円形状に限らず、三角形、四角形等であっても良い。
インパクタ120は、ブローバイガスBGを絞り孔121に沿って斜め上方に向けて通すことで、ブローバイガスBGの流速を上昇させることができる流速上昇操作部である。インパクタ120は、仕切り壁部200のX方向に関して中央位置RPに配置されている。これにより、第1ブローバイガス取り入れ部111により取り入れられるブローバイガスBGと、第2ブローバイガス取り入れ部112により取り入れられるブローバイガスBGと、は、均等にインパクタ120へと案内される。インパクタ120は、絞り孔121に流入するブローバイガスBGの流速を高めた上で、ブローバイガスBGをフィルタ130へ導く。
<分離部330のフィルタ130>
図2および図3に示すように、フィルタ130は、仕切り壁部200の上、すなわち設定部400,400の上に交換可能に取り付けられている。フィルタ130は、例えばグラスウール等の材質により作られている。但し、フィルタ130の材質は、特に限定されるわけではない。フィルタ130は、衝突板133と、インパクタ120の設定部400,400と、の間に挟まれるようにして、取付用のネジ139,139により固定されている。つまり、フィルタ130の下面には、流速上昇操作部としてのインパクタ120が配置されている。フィルタ130の上面には、衝突板133が配置されている。衝突板133は、例えば金属板であり、インパクタ120の上面122に対して平行方向に延びている。衝突板133は、例えば2つの取付用のネジ139,139を通すためのネジ孔138,138を有する。
図3および図4に表したように、インパクタ120の上面122には、インパクタ120の上面122から外側に向かって突出した凸部状の設定部400,400が設けられている。設定部400,400は、フィルタ130および衝突板133を第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に向かって下方に傾斜させるための部分であり、具体的には、フィルタ130および衝突板133を上述した傾斜角度θで傾斜させた状態で、着脱可能に固定するための部分である。設定部400,400は、インパクタ120の上面122において円形状に盛り上がるように形成されている。各設定部400,400の位置は、衝突板133のネジ孔138,138の位置にそれぞれ対応している。各設定部400,400は、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLを、オイル案内部としての第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ導く方向に傾斜して設けられている。
図3に示すように、2つの設定部400,400の間にはオイル案内隙間領域401が形成されている。オイル案内隙間領域401は、インパクタ120とフィルタ130との間に形成された空間である。つまり、設定部400,400は、インパクタ120とフィルタ130との間の空間としてオイル案内隙間領域401を形成する。図3に表したように、2つの絞り孔121,121は、オイル案内隙間領域401におけるインパクタ120の部分を貫通するように設けられている。インパクタ120の2つの絞り孔121,121は、ブローバイガスBGの流速を斜め上方向に沿って上昇させながらフィルタ130へ供給する。設定部400,400には、それぞれメネジ部402が設けられている。各取付用のネジ139は、衝突板133のネジ孔138およびフィルタ130を通り、設定部400のメネジ部402に締結される。これにより、フィルタ130は、衝突板133と設定部400との間に、着脱可能に固定されている。
図4に例示するように、ブローバイガスBGは、インパクタ120の絞り孔121に流入して矢印G1方向に向けてY−Z平面において斜めに上昇することで、流速が上がる。流速の上がったブローバイガスBGは、フィルタ130を通って異物を除去され、衝突板133の下面に衝突することで、オイルOLと、ガスGと、に分離される。
分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGは、フィルタ130から放出される。前述したように、案内壁部203は、仕切り壁部200と、ヘッドカバー4の上面部4Aと、の間に設けられている。そのため、フィルタ130から放出されたオイルOLのミストを含まないガスGは、案内壁部203により案内され上部領域4Qの通路135を通って、出口部40へ導かれる。
一方で、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、図4において矢印G2で示すようにフィルタ130を通って落ちていき、オイル案内隙間領域401におけるインパクタ120の上面122に落下する。インパクタ120の上面122に落下したオイルOLは、オイル案内隙間領域401におけるインパクタ120の上面122に沿って流れ、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に向かって流れていく。
上述した構造を有する分離部330は、図2に示すX方向の中央位置RPに位置しており、ブローバイガスBGを、エンジン1の前側および後側からX方向の中央部に向かって集合させることができる集合部としての役割を果たす。このように、分離部330は、ヘッドカバー4のX方向に関して中央位置RPにあるので、ヘッドカバー4内において、X方向に関して前側および後側からブローバイガスBGを中央部に集めて、オイルOLと、オイルOLのミストを含まないガスGと、に分離することができる。
<オイル出口傾斜案内部500とオイル傾斜案内戻し部600>
次に、オイル出口傾斜案内部500とオイル傾斜案内戻し部600とを、図3および図4を参照して、説明する。
図3および図4に表したように、オイル出口傾斜案内部500が、オイル案内隙間領域401と、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152と、の間に設けられている。オイル出口傾斜案内部500は、オイル案内隙間領域401におけるインパクタ120の上面122と、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152と、に接続され、インパクタ120の上面122から第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ向かって下がる方向に傾斜して形成されている。すなわち、オイル出口傾斜案内部500は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されインパクタ120の上面122に沿って流れたオイルOLを、オイル案内部としての第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ導くために、インパクタ120の上面122から第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152へ向かって下がる方向に傾斜して形成されている。
オイル出口傾斜案内部500が水平面(X−Y平面)に対して傾斜している傾斜角度θ1は、インパクタ120の上面122の水平面に対する傾斜角度θよりも大きいことが望ましい。傾斜角度θ1が傾斜角度θよりも大きい場合には、分離部330によりブローバイガスBGから分離されインパクタ120の上面122に沿って流れ落ちてきたオイルOLがオイル出口傾斜案内部500を下る際に、オイルOLがインパクタ120の上面122を流れる際と比較してオイルOLの流速が速くなる。このため、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLをインパクタ120の上面122から第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へと速やかに導くことができる。また、オイルOLがインパクタ120の上面122に滞留しにくくなるので、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLが再びブローバイガスBG中に混入することを抑えることができる。
また、図3および図4に表したように、オイル傾斜案内戻し部600が、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152からみてオイル出口傾斜案内部500とは反対側に設けられている。つまり、オイル出口傾斜案内部500が第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152の一方の側(分離部330が設けられた側)に設けられ、オイル傾斜案内戻し部600が第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152の他方の側に設けられている。オイル傾斜案内戻し部600は、オイル出口傾斜案内部500の最も下部の位置から、オイル出口傾斜案内部500の勾配とは逆勾配を有するように傾斜して形成されている。すなわち、図4に例示するように、オイル出口傾斜案内部500とオイル傾斜案内戻し部600とは、断面で見てほぼV字型に形成されている。オイル傾斜案内戻し部600の傾斜角度θ2は、特に限定されるわけではなく、例えば傾斜角度θ1と同程度か、あるいは傾斜角度θ1よも小さい角度に設定されている。オイル傾斜案内戻し部600の傾斜角度θ2は、例えば5度以上、10度以下程度である。オイル傾斜案内戻し部600の傾斜角度θ2が5度よりも小さいと、オイル傾斜案内戻し部600に一時的に貯留もしくはプールされたオイルOLを、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ速やかに誘導しにくくなる。また、オイル傾斜案内戻し部600の傾斜角度θ2が10度よりも大きいと、オイル傾斜案内戻し部600に一時的に貯留もしくはプールされたオイルOLを、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ誘導する速度が速すぎてしまい、オイルOLが反対側のオイル出口傾斜案内部500へ戻ってしまうおそれがある。
オイル傾斜案内戻し部600は、分離部330でブローバイガスBGから分離されたオイルOLがインパクタ120の上面122からオイル出口傾斜案内部500を経て流れてきたときに、オイルOLが流れてくる際の勢いによりオイル出口傾斜案内部500、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152から流出するのを防ぐために、オイルOLを一時的に貯留もしくはプールする。そして、オイル傾斜案内戻し部600は、オイルOLを第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に案内して戻す。このように、オイル傾斜案内戻し部600は、分離部330でブローバイガスBGから分離されたオイルOLを一時的に貯留し、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に案内して戻すための一時的なオイルのバッファ機能あるいはプール機能を有する。図4に表したように、オイル傾斜案内戻し部600は、オイルOLがオイル出口傾斜案内部500、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152から流れ出ることをより確実に抑制するために、段差601を有している。
図3および図4に示すように、オイル出口傾斜案内部500の最も下の部分と、オイル傾斜案内戻し部600の最も下の部分は、交差接続位置Sで接続されている。交差接続位置Sは、X方向に沿って延びており、第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152との間に位置している。
また、図3に示すように、オイル傾斜案内戻し部600のX方向の幅W2は、オイル出口傾斜案内部500のX方向の幅W1に比べて、大きく設定されている。X方向の幅W1およびX方向の幅W2は、本発明の「オイル案内部が延びた方向」における「長さ」の一例である。これにより、分離部330でブローバイガスBGから分離されたオイルOLが、インパクタ120の上面122からオイル出口傾斜案内部500を経て流れてきても、オイル傾斜案内戻し部600は、流れてきたオイルOLがあふれ出ることを抑えつつ、オイルOLを余裕をもって収容したあとに、第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152とへ流して戻すことができる。
<第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152>
図2に示す第1オイル案内溝部151は、溝形状を呈し、ヘッドカバー4の前面部4Bからフィルタ130の近傍にまで設けられ、フィルタ130からヘッドカバー4の前面部4Bへ向かって下方に傾斜している。同様にして、第2オイル案内溝部152は、溝形状を呈し、ヘッドカバー4の後面部4Cからフィルタ130の近傍にまで設けられ、フィルタ130からヘッドカバー4の後面部4Cへ向かって下方に傾斜している。第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLを案内する。第1オイル案内溝部151は、本発明の「第1オイル案内部」の具体的な構造例であり、フィルタ130から放出されるオイルOLを、図1のエンジン1が前側に傾斜した時にはX1方向で示す前方へ案内して前側の第1オイルドレン161に導くことができる。同様にして、第2オイル案内溝部152は、本発明の「第2オイル案内部」の具体的な構造例であり、フィルタ130から放出されるオイルOLを、図1のエンジン1が後側に傾斜した時にはX2方向で示す後方へ案内して後側の第2オイルドレン162に導くことができる。
第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152とは、上述したオイル出口傾斜案内部500とオイル傾斜案内戻し部600とを介して互いに繋がっている。
<第1オイルドレン161と第2オイルドレン162>
第1オイルドレン161は、エンジン1の前側に設けられ、例えば筒状を呈する。第1オイルドレン161は、仕切り壁部200の第1案内下面部231の前方位置において、ヘッドカバー4内においてZ1方向である下向きに設けられている。第1オイルドレン161は、逆止弁を有し、第1オイル案内溝部151により案内されたオイルOLを一時的に貯留するとともにエンジン1内に排出する。同様にして、第2オイルドレン162は、エンジン1の後側に設けられ、例えば筒状を呈する。第2オイルドレン162は、仕切り壁部200の第2案内下面部232の後方位置において、ヘッドカバー4内においてZ1方向である下向きに設けられている。第2オイルドレン162は、逆止弁を有し、第2オイル案内溝部152により案内されたオイルOLを一時的に貯留するとともにエンジン1内に排出する。
これにより、エンジン1が前側に傾くと、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、第1オイル案内溝部151によりX1方向に案内され、第1オイルドレン161に一時的に貯留された後、第1オイルドレン161を通じてZ1方向に排出される。同様にして、エンジン1が後側に傾くと、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、第2オイル案内溝部152によりX2方向に案内され、第2オイルドレン162に一時的に貯留された後、第2オイルドレン162を通じてZ1方向に排出される。ヘッドカバー4内において、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162から排出されたオイルOLは、例えば図1に示すヘッドカバー4から上述したオイル戻し経路99を通じて、オイルパン7に回収される。あるいは、排出されたオイルOLは、例えば図示しないオイル容器に回収することも可能である。これにより、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162から排出されるオイルOLは、エンジン1内に排出され、エンジン1の外部に漏れることがない。
(ブローバイガス処理装置100の作用例)
次に、上述したエンジン1におけるブローバイガス処理装置100の作用例を、図1から図3を参照しながら説明する。
図1に示すピストン8とシリンダ5との間から漏れたブローバイガスBGは、図2に示すヘッドカバー4の下部領域4Pに達する。ブローバイガスBGは、第1ブローバイガス取り入れ部111と第2ブローバイガス取り入れ部112とを通って、第1案内下面部231と案内板295との間、および第2案内下面部232と案内板295との間に取り入れられ、分離部330に向かって案内される。そして、分離部330に向かって案内されたブローバイガスBGは、中央位置RPにある分離部330のインパクタ120に達する。
図2と図4に示すインパクタ120は、絞り孔121に流入するブローバイガスBGの流速を高めた上で、傾斜角度θで傾斜された絞り孔121の軸121Cの方向に沿って、すなわち図4に示す矢印G1方向に沿って、ブローバイガスBGをフィルタ130へ導く。流速が高められたブローバイガスBGは、フィルタ130を通って衝突板133の内面(すなわち下面)に衝突する。このとき、絞り孔121の軸121Cは、衝突板133の内面に対して直交している。そのため、絞り孔121を通過し流速が上昇したブローバイガスBGは、衝突板133の内面に対して垂直に衝突する。これにより、ブローバイガスBGは、衝突板133からより強い衝撃力を受け、オイルOLと、オイルOLのミストを含まないガスGと、により確実に分離される。
図2に示すように、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGは、フィルタ130から放出され、上昇して上部領域4Qの通路135を通って、出口部40へ送られる。
一方で、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、図4に示す矢印G2に沿ってフィルタ130内を通過しながら落下して、オイル案内隙間領域401におけるインパクタ120の上面122に落下する。このように、衝突板133においてブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、衝突板133の内面に衝突するブローバイガスBGの流れの方向(図4に表した矢印G1の方向)とは異なる方向(図4に表した矢印G2の方向すなわち鉛直方向)に向かってインパクタ120の上面122に落下する。そのため、衝突板133においてブローバイガスBGから分離されたオイルOLが、絞り孔121に入ることを抑え、絞り孔121を塞ぐことを抑えることができる。
ここで、ブローバイガスBGをオイルOLとガスGとに分離する衝突板133に対向したインパクタの表面が水平面に対して平行である場合には、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLが、インパクタの表面に滞留するおそれがある。ブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、水分(水蒸気)を含んでいる。そのため、気温が比較的低いときに、インパクタの表面に滞留したオイルOLに含まれる水分が、インパクタの表面において凍結することがある。そうすると、インパクタに形成されブローバイガスBGを通過させる貫通孔が塞がれることがある。インパクタの貫通孔が塞がれると、ブローバイガスBGをオイルOLとガスGとに分離できなくなるという不具合が生ずる。
これに対して、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100では、分離部330は、ヘッドカバー4の仕切り壁部200において、X−Y平面に沿った水平面に対して所定の傾斜角度θだけ傾いて設けられている。具体的には、分離部330は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLを第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ導く方向に傾斜して設けられている。さらに具体的には、インパクタ120の上面122が、X−Y平面に沿った水平面に対して所定の傾斜角度θだけ傾いている。そのため、インパクタ120の上面122に落下したオイルOLは、傾斜角度θで傾斜しているインパクタ120の上面122を自重で流れて、より大きい傾斜角度θ1になっているオイル出口傾斜案内部500に流れ込む。
これにより、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、インパクタ120の上面122からオイル出口傾斜案内部500に確実に導かれる。そして、オイルOLは、勢いよくオイル出口傾斜案内部500に沿って流れ込んできても、逆勾配となっているオイル傾斜案内戻し部600に一時的に貯留される。このため、オイルOLは、オイル出口傾斜案内部500とオイル傾斜案内戻し部600とから、オイル出口傾斜案内部500およびオイル傾斜案内戻し部600以外の領域にこぼれ出ることが無く、オイル出口傾斜案内部500およびオイル傾斜案内戻し部600から第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152の少なくともいずれかに流れることができる。
しかも、オイル傾斜案内戻し部600のX方向の幅W2は、オイル出口傾斜案内部500のX方向の幅W1に比べて、大きく設定されている。これにより、分離部330でブローバイガスBGから分離されたオイルOLが、インパクタ120の上面122からオイル出口傾斜案内部500を経て流れてきても、オイル傾斜案内戻し部600は、流れてきたオイルOLがあふれ出ることを抑えつつ、オイルOLを余裕をもって収容したあとに、第1オイル案内溝部151と第2オイル案内溝部152とへ戻すようにして流すことができる。
なお、図4(B)に関して前述したように、2つの絞り孔121,121は、Y方向に沿ってみたときにX方向に互いにずれた位置に配置されていてもよい。言い換えれば、インパクタ120の上面122の傾斜方向、すなわちインパクタ120の上面122を流れるオイルOLの流れ方向に対して交差する方向(本実施形態ではX方向)に互いにずれた位置に配置されていてもよい。これによれば、インパクタ120の上面122からオイル出口傾斜案内部500に向かって流れるオイルOLが、2つの絞り孔121,121のうち下流側に配置された絞り孔121に入り下流側の絞り孔121を塞ぐことを抑えることができる。これにより、ブローバイガスBGを衝突板133に衝突させてオイルOLとガスGとに分離する動作がより確実に実行される。
図2において、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、エンジン1が前側に傾斜した場合には、フィルタ130から放出され、第1オイル案内溝部151によりX1方向で示す前方へ案内されて前側の第1オイルドレン161に導かれる。同様にして、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、エンジン1が後側に傾斜した場合には、フィルタ130から放出され、第2オイル案内溝部152によりX2方向で示す後方へ案内されて後側の第2オイルドレン162に導かれる。
第1オイル案内溝部151により第1オイルドレン161に案内されたオイルOLは、第1オイルドレン161に一時的に貯留された後、第1オイルドレン161に設けられた逆止弁を通じてエンジン1内に排出される。同様にして、第2オイル案内溝部152により第2オイルドレン162に案内されたオイルOLは、第2オイルドレン162に一時的に貯留された後、第2オイルドレン162に設けられた逆止弁を通じてエンジン1内に排出される。第1オイルドレン161および第2オイルドレン162から排出されたオイルOLは、例えばヘッドカバー4内からオイル戻し経路99を通じて、オイルパン7に回収される。
本実施形態に係るブローバイガス処理装置100およびエンジン1によれば、分離部330は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLを第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ導く方向に傾斜して設けられている。そのため、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、分離部330において滞留することがなく、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へ導かれる。これにより、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100は、ブローバイガスBGに含まれるオイルOLが滞留することを抑制して、低温時においてオイルOLに含まれる水分が凍結することを抑制ことができる。これにより、分離部330によりブローバイガスBGをオイルOLとガスGとに分離する動作がより確実に実行される。
また、インパクタ120は、ブローバイガスBGの流速を鉛直方向(上下方向)に対して傾斜した方向に沿って上昇させながら衝突板133にブローバイガスBGを衝突させる。これにより、ブローバイガスBGは、オイルOLとガスGとに確実に分離される。そして、衝突板133においてブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、フィルタ130を通って、衝突板133と対向するインパクタ120の上面122に落下する。ここで、インパクタ120の上面122は、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に向かって下方に傾斜している。そのため、インパクタ120の上面122に落下したオイルOLは、インパクタ120の上面122を自重で流れて第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に導かれる。これにより、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100は、ブローバイガスBGに含まれるオイルOLが滞留することをより確実に抑制して、低温時においてオイルOLに含まれる水分が凍結することをより確実に抑制ことができる。
また、フィルタ130を載置させる設定部400は、インパクタ120の上面122から外側に向かって突出し、インパクタ120とフィルタ130との間の空間としてオイル案内隙間領域401を形成する。そして、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、オイル案内隙間領域401におけるインパクタ120の上面122に沿って流れる。これにより、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLがインパクタ120の上面122に滞留することをより確実に抑え、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、インパクタ120とフィルタ130との間に形成されたオイル案内隙間領域401から第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152に向かってより確実に導かれる。
また、オイル出口傾斜案内部500の水平面に対する傾斜角度θ1は、インパクタ120の上面122の水平面に対する傾斜角度θよりも大きい。これにより、オイル出口傾斜案内部500は、分離部330によりブローバイガスBGから分離されインパクタ120の上面122に沿って流れたオイルOLを第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152へと速やかに導くことができる。また、オイルOLがインパクタ120の上面122の近傍で滞留することを抑え、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLが再びブローバイガスBG中に混入することを抑えることができる。
さらに、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100およびブローバイガス処理装置100を備えるエンジン1によれば、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、第1オイル案内溝部151によりエンジン1の前側に案内され、第1オイルドレン161に一時的に貯留された後、エンジン1内に排出される。また、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLは、第2オイル案内溝部152によりエンジン1の後側に案内され、第2オイルドレン162に一時的に貯留された後、エンジン1内に排出される。そのため、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100では、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLの排出経路が明確である。また、オイルOLがブローバイガスBGから分離された後のガスGは、主要構造部101によりブローバイガス処理装置100の出口部40に導かれる。そして、ブローバイガス処理装置100の出口部40は、主要構造部101により導かれたガスGをエンジン1の吸気系に供給する。このように、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100では、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLの排出経路と、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGの排出経路と、が明確に区別されている。これにより、エンジン1が前後方向に傾斜しても、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLが出口部40から放出されることを抑えることができる。また、オイルOLのミストが吸気系に流れることを抑えることができるため、オイルOLのミストが燃えることを抑えることができ、排ガスの清浄化を図ることができる。
また、ブローバイガスBGをオイルOLとガスGとに分離する分離部330が、第1オイル案内溝部151により案内されたオイルOLを一時的に貯留するとともにエンジン1内に排出する第1オイルドレン161と、第2オイル案内溝部152により案内されたオイルOLを一時的に貯留するとともにエンジン1内に排出する第2オイルドレン162と、の中央部すなわち中央位置RPに設けられている。このように、分離部330は、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162から比較的遠い位置に設けられている。そのため、エンジン1が前後方向に傾斜しても、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162に一時的に貯留されたオイルOLや、第1オイルドレン161および第2オイルドレン162の上方に存在するオイルOLやオイルOLのミストが、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGに巻き込まれたり、再度混じったりすることを抑えることができる。これにより、エンジン1が前後方向に傾斜しても、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLが出口部40から放出されることをより一層抑えることができる。
また、オイルOLやオイルOLのミストが、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたガスGに巻き込まれたり、再度混じったりすることを抑えることができるため、出口部40の位置に依らず、ブローバイガスBGから分離されたオイルOLが出口部40から放出されることを抑えることができる。これにより、出口部40の設置位置や設置方向の選択の自由度を高めることができる。
第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152は、溝形状を呈することで、簡単な構造でありながら、エンジン1が前後方向に傾斜しても、分離部330によりブローバイガスBGから分離されたオイルOLを確実にエンジン1の前側および後側に案内できる。
また、本実施形態に係るブローバイガス処理装置100によれば、ブローバイガスBGを取り入れる第1ブローバイガス取り入れ部111および第2ブローバイガス取り入れ部112と、オイルOLを案内する第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152と、が共通の仕切り壁部200を介して、上面側と下面側との両側の位置に分かれて設けられている。従って、第1ブローバイガス取り入れ部111および第2ブローバイガス取り入れ部112と、第1オイル案内溝部151および第2オイル案内溝部152と、を1つの部材としての仕切り壁部200に設けることができる。このため、ブローバイガス処理装置100の上下方向の寸法V(図2参照)を抑えることができる。そのため、ブローバイガス処理装置100が配置されているヘッドカバー4の高さ寸法を抑えることができるとともに、ブローバイガス処理装置100をヘッドカバー4に備えるエンジン1の高さ寸法を抑えることができる。
また、ブローバイガスBGは、インパクタ120により流速を上げた後に、フィルタ130を通過し衝突板133に衝突する。そのため、ブローバイガスBGは、オイルOLと、オイルOLのミストを除くガスGと、により確実に分離される。また、インパクタ120は、エンジン1の前後方向の中央位置RPにおいて、ブローバイガスBGの流速を鉛直方向(上下方向)に対して傾斜した方向に沿って上昇させる。また、衝突板133は、略水平方向に延び、フィルタ130を通ったブローバイガスBGを衝突させる。そのため、インパクタがブローバイガスの流速を水平方向に沿って上昇させて鉛直方向に延びた衝突板にブローバイガスを衝突させる場合と比較して、ブローバイガス処理装置100の上下方向の寸法Vを抑えることができる。
以上、本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。上記実施形態の構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わせたりすることができる。
例えば、本発明のエンジンの例として、本実施形態に係るエンジン1を例示している。エンジン1は、ターボチャージャ付きの過給式のディーゼルエンジンである。しかし、これに限らず、本発明のエンジンは、自然吸気式のディーゼルエンジン、ターボチャージャ付きの過給式のガソリンエンジン、自然吸気式のガソリンエンジン等であってもよい。また、図示したエンジン1の種類は、例えばターボチャージャ付きの過給式の高出力な3気筒エンジンや4気筒エンジン等の多気筒エンジンである。但し、エンジン1の種類は、これだけに限定されるわけではない。エンジン1は、例えば建設機械、農業機械、芝刈り機のような車両以外の種類の車両に搭載できる。また、本実施形態の説明では、第1オイル案内部として第1オイル案内溝部151を例示し、第2オイル案内部として第2オイル案内溝部152を例示した。しかし、第1オイル案内部および第2オイル案内部は、これだけに限定されず、例えばパイプ状の部材であってもよい。
1:エンジン、 2:シリンダブロック、 3:シリンダヘッド、 4:ヘッドカバー、 4A:上面部、 4B:前面部、 4C:後面部、 4D:左右面部、 4P:下部領域、 4Q、4R:上部領域、 5:シリンダ、 6:クランクケース、 7:オイルパン、 8:ピストン、 9:クランク軸、 10:コンロッド、 11:動弁カム室、 12:動弁カム軸、 13:タペット、 14:タペットガイド孔、 15:プッシュロッド、 16:挿通孔、 17:ロッカーアーム、 18:スプリング、 19:吸気弁、 20:排気弁、 21:オイル流出孔、 22:オイル落下孔、 30:吸気通路、 31:排気通路、 40:出口部、 41:配管、 50:吸気配管、 50T:接続管、 52:エアクリーナ、 60:ターボチャージャ、 61:ブロア、 62:タービン、 70:ブローバイガス混合継手、 71:主配管、 72:副配管、 99:オイル戻し経路、 100:ブローバイガス処理装置、 101:主要構造部、 111:第1ブローバイガス取り入れ部、 112:第2ブローバイガス取り入れ部、 120:インパクタ、 121:絞り孔、 121C:軸、 122:上面、 130:フィルタ、 133:衝突板、 135:通路、 138:ネジ孔、 139:ネジ、 151:第1オイル案内溝部、 152:第2オイル案内溝部、 161:第1オイルドレン、 162:第2オイルドレン、 200:仕切り壁部、 203:案内壁部、 231:第1案内下面部、 232:第2案内下面部、 295:案内板、 330:分離部、 400:設定部、 401:オイル案内隙間領域、 402:メネジ部、 500:オイル出口傾斜案内部、 600:オイル傾斜案内戻し部、 601:段差、 AR:吸気、 B:吸入空気、 BG:ブローバイガス、 C:吸入空気、 G:ガス、 OL:オイル、 RP:中央位置、 S:交差接続位置、 θ、θ1、θ2:傾斜角度、

Claims (9)

  1. エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置であって、
    前記ブローバイガスの流速を鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って上昇させる流速上昇操作部と、
    前記流速上昇操作部により流速の上がった前記ブローバイガスを衝突させてオイルとガスとに分離する衝突板と、
    記ブローバイガスから分離された前記オイルを前記エンジンの内部へ向かって案内するオイル案内部と、
    前記衝突板と対向する前記流速上昇操作部の表面と前記オイル案内部とに接続されるとともに前記表面から前記オイル案内部へ向かって下方に傾斜し、前記表面に沿って流れた前記オイルを前記オイル案内部へ導くオイル出口傾斜案内部と、
    を備え、
    前記表面は、前記オイル案内部に向かって下方に傾斜し、
    前記オイル出口傾斜案内部の水平面に対する傾斜角度は、前記表面の水平面に対する傾斜角度よりも大きいことを特徴とするブローバイガス処理装置。
  2. 前記流速上昇操作部と前記衝突板との間に設けられ、前記ブローバイガスを通すフィルタをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のブローバイガス処理装置。
  3. 前記フィルタおよび前記衝突板が載置され、前記フィルタおよび前記衝突板を前記オイル案内部に向かって下方に傾斜させるための設定部をさらに備えことを特徴とする請求項2に記載のブローバイガス処理装置。
  4. 前記設定部は、前記表面から外側に向かって突出し、前記表面と前記フィルタとの間の空間としてオイル案内隙間領域を形成し、
    記ブローバイガスから分離された前記オイルは、前記オイル案内隙間領域における前記表面に沿って流れることを特徴とする請求項3に記載のブローバイガス処理装置。
  5. 記流速上昇操作部は、前記ブローバイガスを通過させて前記衝突板へ供給する絞り孔を有し、
    前記絞り孔の軸は、前記鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って延び、前記衝突板の内面に対して直交していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のブローバイガス処理装置。
  6. 前記流速上昇操作部は、複数の前記絞り孔を有し、
    前記複数の絞り孔は前記表面の傾斜方向に対して交差する方向に互いにずれた位置に配置されたことを特徴とする請求項に記載のブローバイガス処理装置。
  7. 前記オイル案内部からみて前記オイル出口傾斜案内部とは反対側に設けられ、前記オイル出口傾斜案内部の最も下部から前記オイル出口傾斜案内部の勾配とは逆勾配を有するように傾斜して形成されたオイル傾斜案内戻し部をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のブローバイガス処理装置。
  8. 前記オイル案内部が延びた方向において、前記オイル傾斜案内戻し部の長さは、前記オイル出口傾斜案内部の長さよりも長いことを特徴とする請求項7に記載のブローバイガス処理装置。
  9. エンジンに生じるブローバイガスを処理するブローバイガス処理装置を備えるエンジンであって、
    前記ブローバイガス処理装置は、
    前記ブローバイガスの流速を鉛直方向に対して傾斜した方向に沿って上昇させる流速上昇操作部と、
    前記流速上昇操作部により流速の上がった前記ブローバイガスを衝突させてオイルとガスとに分離する衝突板と、
    前記ブローバイガスから分離された前記オイルを前記エンジンの内部へ向かって案内するオイル案内部と、
    前記衝突板と対向する前記流速上昇操作部の表面と前記オイル案内部とに接続されるとともに前記表面から前記オイル案内部へ向かって下方に傾斜し、前記表面に沿って流れた前記オイルを前記オイル案内部へ導くオイル出口傾斜案内部と、
    を有し、
    前記表面は、前記オイル案内部に向かって下方に傾斜し、
    前記オイル出口傾斜案内部の水平面に対する傾斜角度は、前記表面の水平面に対する傾斜角度よりも大きいことを特徴とするエンジン。
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