JP6969471B2 - 絶縁回路基板 - Google Patents
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Description
風力発電、電気自動車、ハイブリッド自動車等を制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子においては、発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えば窒化アルミニウム(AlN)、アルミナ(Al2O3)などからなるセラミックス基板と、このセラミックス基板の一方の面に導電性の優れた金属板を接合して形成した回路層と、を備えた絶縁回路基板が、従来から広く用いられている。なお、パワージュール用基板としては、セラミックス基板の他方の面に金属層を形成したものも提供されている。
そして、絶縁回路基板の金属層側には、ヒートシンクが接合されており、半導体素子から絶縁回路基板側に伝達された熱を、ヒートシンクを介して外部へ放散する構成とされている。
ここで、特許文献2に記載されたように、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム層と銅又は銅合金からなる銅層とを固相拡散接合されてなる回路層においては、超音波接合時に、銅層が変形してしまい、アルミニウム層と銅層との接合界面で剥離が生じることがあった。
一方、超音波接合時における銅層の変形を抑制するために、銅層の厚さを厚く形成した場合には、半導体素子との熱膨張係数の差が大きくなり、半導体素子との接合性が低下するおそれがあった。
この場合、前記素子搭載領域における前記銅層の厚さt1と、前記超音波接合領域における前記銅層の厚さt2とを、互いに異なるように構成することにより、前記素子搭載領域における前記銅層の厚さt1と硬さH1の積t1×H1と、前記超音波接合領域における前記銅層の厚さt2と硬さH2の積t2×H2とを、互いに異なるように構成することが可能となる。
この場合、前記素子搭載領域における前記銅層の硬さH1と、前記超音波接合領域における前記銅層の硬さH2とを、互いに異なるように構成することにより、前記素子搭載領域における前記銅層の厚さt1と硬さH1の積t1×H1と、前記超音波接合領域における前記銅層の厚さt2と硬さH2の積t2×H2とを、互いに異なるように構成することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。
図1に、本発明の第一実施形態である絶縁回路基板10、及び、この絶縁回路基板10を用いたパワーモジュール1を示す。
なお、回路層20におけるアルミニウム層21の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.4mmに設定されている。
アルミニウム層21は、図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、アルミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム板41が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、アルミニウム層21となるアルミニウム板41は、純度が99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)または純度が99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成されている。
そして、回路層20の銅層22は、上述の半導体素子搭載領域20Aに対応する第1銅層22Aと、超音波接合領域20Bに対応する第2銅層22Bと、で構成が異なるものとされている。
本実施形態においては、超音波接合領域20Bにおける第2銅層22Bの厚さt2と硬さH2の積t2×H2が、素子搭載領域20Aにおける第1銅層22Aの厚さt1と硬さH1の積t1×H1よりも大きくなるように、構成されている。
そして、本実施形態においては、超音波接合領域20Bにおける第2銅層22Bの厚さt2と硬さH2の積t2×H2が10以上110以下の範囲内とされている。
具体的には、銅層22の厚さ(第1銅層22Aの厚さt1及び第2銅層22Bの厚さt2)は、0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.4mmに設定されている。
そして、第2銅層22Bのビッカース硬さH2が50Hv以上200Hv以下の範囲内とされ、第1銅層22Aのビッカース硬さH1が20Hv以上50Hv以下の範囲内とされている。
ここで、本実施形態においては、超音波接合領域20Bにおける第2銅層22Bを構成する第2銅板42Bのビッカース硬さが、素子搭載領域20Aにおける第1銅層22Aを構成する第1銅板42Aのビッカース硬さよりも、硬いものとされている。
なお、アルミニウム層21と銅層22(第1銅層22A及び第2銅層22B)の接合界面においては、CuとAlの金属間化合物からなる金属間化合物層が形成されており、この金属間化合物層は、複数の相の金属間化合物が積層した構成とされている。
なお、金属層30におけるアルミニウム層31の厚さは、0.1mm以上3.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
また、金属層30における銅層32の厚さは、0.1mm以上6.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.4mmに設定されている。
本実施形態においては、金属層30におけるアルミニウム層31となるアルミニウム板51は、純度が99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)または純度が99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成されている。
本実施形態においては、金属層30における銅層32を構成する銅板52は、無酸素銅の圧延板とされている。
なお、アルミニウム層31と銅層32の接合界面においては、CuとAlの金属間化合物からなる金属間化合物層が形成されており、この金属間化合物層は、複数の相の金属間化合物が積層した構成とされている。
図3に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、アルミニウム層21となるアルミニウム板41を、Al−Si系のろう材箔46を介して積層するとともに、セラミックス基板11の他方の面に、アルミニウム層31となるアルミニウム板51を、Al−Si系のろう材箔56を介して積層する。なお、本実施形態では、Al−Si系のろう材箔46、56として、厚さ10μmのAl−8mass%Si合金箔を用いた。
ここで、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は600℃以上650℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間は15分以上180分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
次に、アルミニウム層21の一方の面側(図3において上側)に、第1銅層22Aとなる第1銅板42A及び第2銅層22Bとなる第2銅板42Bとを、並列するように積層する。
また、アルミニウム層31の他方の面側(図3において下側)に、銅層32となる銅板52を積層し、積層体を形成する。
ここで、上述のように、第1銅板42Aは、無酸素銅からなる圧延板とされ、第2銅板42Bは、Zrの含有量が0.01mass%以上0.1mass%以下の範囲で含有するZr入り銅の圧延板とされている。
なお、アルミニウム層21,31、第1銅板42A、第2銅板42B、銅板52の、それぞれの接合面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされている。
次に、上述の積層体を、積層方向に加圧(圧力3〜35kgf/cm2(0.1〜3.5MPa))するとともに加熱して、アルミニウム層21と第1銅板42A及び第2銅板42B、アルミニウム層31と銅板52とを、それぞれ固相拡散接合する。
ここで、固相拡散接合工程S03においては、加熱温度は400℃以上548℃未満の範囲内、加熱温度での保持時間は5分以上240分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
次に、金属層30の銅層32とヒートシンク61とをはんだ材を介して積層し、還元炉内においてはんだ接合する。
次に、回路層20の超音波接合領域20B(第2銅層22B)に、端子材5を超音波接合する。
次いで、回路層20の素子搭載領域20A(第1銅層22A)に、はんだ材を介して半導体素子3を積層し、還元炉内においてはんだ接合する。
上記のようにして、本実施形態であるパワーモジュール1が製造される。
次に、本発明の第二実施形態である絶縁回路基板110について、図4から図6を参照して説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図4に、本発明の第二実施形態である絶縁回路基板110、及び、この絶縁回路基板110を用いたパワーモジュール101を示す。
なお、回路層120におけるアルミニウム層121の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.4mmに設定されている。
アルミニウム層121は、図6に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、アルミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム板141が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、アルミニウム層121となるアルミニウム板141は、純度が99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)または純度が99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成されている。
そして、回路層120の銅層122は、上述の半導体素子搭載領域120Aに対応する第1銅層122Aと、超音波接合領域120Bに対応する第2銅層122Bと、で構成が異なるものとされている。
本実施形態においては、超音波接合領域120Bにおける第2銅層122Bの厚さt2と硬さH2の積t2×H2が、素子搭載領域120Aにおける第1銅層122Aの厚さt1と硬さH1の積t1×H1よりも大きくなるように、構成されている。
そして、本実施形態においては、超音波接合領域120Bにおける第2銅層122Bの厚さt2と硬さH2の積t2×H2が10以上110以下の範囲内とされている。
具体的には、銅層122のビッカース硬さ(第1銅層122Aのビッカース硬さH1及び第2銅層122Bのビッカース硬さH2)は、20Hv以上50Hv以下の範囲内とされ、本実施形態では40Hvに設定されている。
そして、素子搭載領域120Aに対応する第1銅層122Aの厚さt1が0.1mm以上0.6mm以下の範囲内とされ、超音波接合領域120Bに対応する第2銅層122Bの厚さt2が0.3mm以上1.5mm以下の範囲内とされている。
なお、アルミニウム層121と銅層122の接合界面においては、CuとAlの金属間化合物からなる金属間化合物層が形成されており、この金属間化合物層は、複数の相の金属間化合物が積層した構成とされている。
なお、金属層130におけるアルミニウム層131の厚さは、0.1mm以上3.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
また、金属層130における銅層132の厚さは、0.1mm以上6.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
本実施形態においては、金属層130におけるアルミニウム層131となるアルミニウム板151は、純度が99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)または純度が99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成されている。
本実施形態においては、金属層130における銅層132を構成する銅板152は、無酸素銅の圧延板とされている。
なお、アルミニウム層131と銅層132の接合界面においては、CuとAlの金属間化合物からなる金属間化合物層が形成されており、この金属間化合物層は、複数の相の金属間化合物が積層した構成とされている。
図6に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、アルミニウム層121となるアルミニウム板141を、Al−Si系のろう材箔146を介して積層するとともに、セラミックス基板11の他方の面に、アルミニウム層131となるアルミニウム板151を、Al−Si系のろう材箔156を介して積層する。なお、本実施形態では、Al−Si系のろう材箔146、156として、厚さ10μmのAl−8mass%Si合金箔を用いた。
ここで、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は600℃以上650℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間は15分以上180分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
次に、アルミニウム層121の一方の面側(図6において上側)に、銅層122となる銅板142を積層する。ここで、銅板142は、図6に示すように、局所的に厚さが異なる異形銅板とされている。ここで、銅板142は、局所的に厚さが異なることから、スペーサ148を配置することで、高さを一致させている。
また、アルミニウム層131の他方の面側(図6において下側)に、銅層132となる銅板152を積層し、積層体を形成する。
なお、アルミニウム層121,131、銅板142、152の、それぞれの接合面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされている。
次に、上述の積層体を、積層方向に加圧(圧力3〜35kgf/cm2(0.1〜3.5MPa))するとともに加熱して、アルミニウム層121と銅板142、アルミニウム層131と銅板152とを、それぞれ固相拡散接合する。このとき、銅板142は、局所的に厚さが異なることから、スペーサ148を配置して、銅板142の全体をアルミニウム層121側に押圧するように構成している。
ここで、固相拡散接合工程S103においては、加熱温度は400℃以上548℃未満の範囲内、加熱温度での保持時間は5分以上240分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
次に、金属層130の銅層132とヒートシンク61とをはんだ材を介して積層し、還元炉内においてはんだ接合する。
次に、回路層120の超音波接合領域120B(第2銅層122B)に、端子材5を超音波接合する。
次いで、回路層120の素子搭載領域120A(第1銅層122A)に、はんだ材を介して半導体素子3を積層し、還元炉内においてはんだ接合する。
上記のようにして、本実施形態であるパワーモジュール101が製造される。
次に、本発明の第三実施形態である絶縁回路基板210について、添付した図面を参照して説明する。なお、第一実施形態及び第二実施形態と同一の部材には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
図7に、本発明の第二実施形態である絶縁回路基板210、及び、この絶縁回路基板210を用いたパワーモジュール201を示す。
なお、回路層220におけるアルミニウム層221の厚さは、0.1mm以上1.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.4mmに設定されている。
アルミニウム層221は、図9に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、アルミニウム及びアルミニウム合金からなるアルミニウム板241が接合されることにより形成されている。
本実施形態においては、アルミニウム層221となるアルミニウム板241は、純度が99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)または純度が99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成されている。
そして、回路層220の銅層222は、上述の半導体素子搭載領域220Aに対応する第1銅層222Aと、超音波接合領域220Bに対応する第2銅層222Bと、で構成が異なるものとされている。
本実施形態においては、超音波接合領域220Bにおける第2銅層222Bの厚さt2と硬さH2の積t2×H2が、素子搭載領域220Aにおける第1銅層222Aの厚さt1と硬さH1の積t1×H1よりも大きくなるように、構成されている。
そして、本実施形態においては、超音波接合領域220Bにおける第2銅層222Bの厚さt2と硬さH2の積t2×H2が10以上110以下の範囲内とされている。
具体的には、素子搭載領域220Aに対応する第1銅層222Aの厚さt1が0.1mm以上0.6mm以下の範囲内とされ、超音波接合領域220Bに対応する第2銅層222Bの厚さt2が0.3mm以上1.5mm以下の範囲内とされている。
また、第2銅層222Bのビッカース硬さH2が50Hv以上200Hv以下の範囲内とされ、第1銅層222Aのビッカース硬さH1が20Hv以上50Hv以下の範囲内とされている。
なお、アルミニウム層221と銅層222の接合界面においては、CuとAlの金属間化合物からなる金属間化合物層が形成されており、この金属間化合物層は、複数の相の金属間化合物が積層した構成とされている。
なお、金属層230におけるアルミニウム層231の厚さは、0.1mm以上3.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では0.6mmに設定されている。
また、金属層230における銅層232の厚さは、0.1mm以上6.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
本実施形態においては、金属層230におけるアルミニウム231となるアルミニウム板251は、純度が99mass%以上のアルミニウム(2Nアルミニウム)または純度が99.99mass%以上のアルミニウム(4Nアルミニウム)で構成されている。
本実施形態においては、金属層230における銅層232を構成する銅板252は、無酸素銅の圧延板とされている。
なお、アルミニウム層231と銅層232の接合界面においては、CuとAlの金属間化合物からなる金属間化合物層が形成されており、この金属間化合物層は、複数の相の金属間化合物が積層した構成とされている。
図9に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、アルミニウム層221となるアルミニウム板241を、Al−Si系のろう材箔246を介して積層するとともに、セラミックス基板11の他方の面に、アルミニウム層231となるアルミニウム板251を、Al−Si系のろう材箔256を介して積層する。なお、本実施形態では、Al−Si系のろう材箔246、256として、厚さ10μmのAl−8mass%Si合金箔を用いた。
ここで、真空加熱炉内の圧力は10−6Pa以上10−3Pa以下の範囲内、加熱温度は600℃以上650℃以下の範囲内、加熱温度での保持時間は15分以上180分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
次に、アルミニウム層221の一方の面側(図9において上側)に、第1銅層222A及び第2銅層222Bの下層となる第1銅板242Aと、第2銅層222Bの上層となる第2銅板242Bを積層する。このとき、第1銅板242Aのみが積層された領域と、第1銅板242Aと第2銅板242Bとが積層された領域とでは、互いに厚さが異なることから、スペーサ248を配置して、高さを一致させている。
ここで、第1銅板242Aは、無酸素銅からなる圧延板とされ、第2銅板242Bは、Zrの含有量が0.01mass%以上0.1mass%以下の範囲で含有するZr入り銅の圧延板とされている。
なお、アルミニウム層221,231、第1銅板242A、第2銅板242B、銅板252の、それぞれの接合面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされている。
次に、上述の積層体を、積層方向に加圧(圧力3〜35kgf/cm2(0.1〜3.5MPa))するとともに加熱して、アルミニウム層221と第1銅板242A、第1銅板242Aと第2銅板242B、アルミニウム層231と銅板252とを、それぞれ固相拡散接合する。このとき、第1銅板242Aのみが積層された領域と、第1銅板242Aと第2銅板242Bとが積層された領域とでは、互いに厚さが異なることから、スペーサ248を配置して、第1銅板242Aの全体をアルミニウム層221側に押圧するように構成している。
ここで、固相拡散接合工程S203においては、加熱温度は400℃以上548℃未満の範囲内、加熱温度での保持時間は5分以上240分以下の範囲内に設定されることが好ましい。
次に、金属層230の銅層232とヒートシンク61とをはんだ材を介して積層し、還元炉内においてはんだ接合する。
次に、回路層220の超音波接合領域220B(第2銅層222B)に、端子材5を超音波接合する。
回路層220の素子搭載領域220A(第1銅層222A)に、はんだ材を介して半導体素子3を積層し、還元炉内においてはんだ接合する。
上記のようにして、本実施形態であるパワーモジュール201が製造される。
例えば、本実施形態では、アルミニウム層及び銅層を有する金属層を形成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、金属層は、必ずしも形成されていなくてもよいし、金属層を、アルミニウム又はアルミニウム合金、銅又は銅合金等の放熱性に優れた金属の単層で構成したものであってもよい。
さらに、銅層等を構成する銅板として、無酸素銅の圧延板、及び、Zr入り銅合金の圧延板、を例に挙げて説明したが、これに限定されることはなく、他の銅又は銅合金で構成したものであってもよい。
さらに、本実施形態では、絶縁層をセラミックス基板で構成したもので説明したが、これに限定されることはなく、絶縁層を樹脂等で構成したものであってもよい。
アルミニウム層形成工程における接合条件は、積層方向の加圧荷重を5kgf/cm2(0.5MPa)、加熱温度を650℃、加熱温度での保持時間を30分とした。
なお、構造の「1」は、第一実施形態に対応した構造のものであり、アルミニウム層の上に第1銅層と第2銅層を並列して形成したものである。
構造の「2」は、第二実施形態に対応した構造のものであり、局所的に厚さが異なる異形銅板を用いて第1銅層及び第2銅層を形成したものである。
構造の「3」は、第三実施形態に対応した構造のものであり、第1銅層は単層構造とし、第2銅層は2層構造としたものである。
なお、固相拡散接合工程における接合条件は、積層方向の加圧荷重を12kgf/cm2(1.2MPa)、加熱温度を535℃、加熱温度での保持時間を120分とした。
以上のようにして、本発明例及び比較例の絶縁回路基板を作製した。
プッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング社製、デジタルプッシュプルゲージRXシリーズ)を用い、リードフレームが回路層から剥離するまでの最大強度を測定した。測定は15回行い、その平均値を接合強度とした。そして、比較例1の接合強度を基準とし、接合強度が比較例1の1.4倍以上を「◎」、1.2倍以上1.4倍未満を「〇」、1.0倍超え1.2倍未満を「△」、1.0倍以下を「×」と評価した。
気槽式にして低温側−45℃×30分、高温側175℃×30分の冷熱サイクルを負荷し、1000サイクル後の接合率を測定した。
回路層(素子搭載領域)と半導体素子との接合率は、超音波探傷装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT200)を用いて以下の式を用いて求めた。ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち半導体素子の接合面の面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。
(接合率)={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)
11 セラミックス基板
Claims (3)
- 絶縁層と、前記絶縁層の一方の面に形成された回路層を備えた絶縁回路基板であって、
前記回路層は、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム層と、このアルミニウム層に接合された銅又は銅合金からなる銅層と、を有しており、
前記回路層の前記絶縁層とは反対側を向く面には、半導体素子が搭載される素子搭載領域と、他の部材が超音波接合される超音波接合領域と、が形成されており、
前記素子搭載領域における前記銅層の厚さt1と硬さH1の積t1×H1と、前記超音波接合領域における前記銅層の厚さt2と硬さH2の積t2×H2が、互いに異なり、
H1≦H2、
t2×H2>t1×H1、
10≦t2×H2≦110、
を満足することを特徴とする絶縁回路基板。 - 前記素子搭載領域における前記銅層の厚さt1と、前記超音波接合領域における前記銅層の厚さt2とが、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の絶縁回路基板。
- 前記素子搭載領域における前記銅層の硬さH1と、前記超音波接合領域における前記銅層の硬さH2とが、互いに異なることを特徴とする請求項1に記載の絶縁回路基板。
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