JP6968050B2 - 切り替え可能なプランジャー、および医療用筒内でのその組み立て方法 - Google Patents

切り替え可能なプランジャー、および医療用筒内でのその組み立て方法 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2015年7月14日出願の米国仮特許出願第62/192,192号明細書、2015年12月18日出願の同第62/269,600号明細書、および2016年5月31日出願の同第62/343,536号明細書の優先権を主張し、それら全体を参照することにより本書において援用する。
本発明は、概してプランジャーに関し、および薬物送出装置、例えば(プレフィルドのすなわち充填済みの、使用前に充填される、または空の)シリンジ、カートリッジまたはオートインジェクターすなわち自動注入器におけるプランジャーの使用に関する。より詳細には、本発明は、切り替え可能な(convertible)プランジャーであって、貯蔵モード(例えば、プレフィルドシリンジの保存期間中)において容器クロージャーの完全性および気密シールをもたらして維持し、かつその後、投薬モードへ切り替え可能である、切り替え可能なプランジャーに関する。投薬モードは、シリンジの内容物を投薬するときのプランジャー力を比較的弱くし、かつ均す/バラつきのないものにすることを容易にする。
本開示は、主に、プレフィルドシリンジと関連して、本発明による切り替え可能なプランジャーの使用について説明する。しかしながら、当業者であれば、本発明は、プレフィルドシリンジに限定されず、他の薬物送出装置、例えば(プレフィルドの、使用前に充填される、または空の)シリンジ、カートリッジおよびオートインジェクター、ならびに診断的適用に使用されるプレフィルドシリンジまたは他の筒も含み得ることを容易に認識する。
プレフィルドの非経口容器、例えばシリンジまたはカートリッジは、一般に、患者または介護者が使用前にシリンジを充填する必要がないように準備されて販売されている。シリンジ、より具体的にはシリンジの筒は、例えば、いくつかあるアイテムの中でも特に、食塩溶液、注入用色素、または医薬的有効製剤を含む、様々な異なる注射剤(injection product)がプレフィルドされ得る。
プレフィルドの非経口容器は、一般に、ゴムプランジャーで密封されており、容器の内容物の保存期間にわたってクロージャーの完全性をもたらしている。プレフィルドシリンジを使用するために、パッケージングおよびキャップを取り外し、任意選択的に皮下注射針または別の送出導管を筒の遠位端部に取り付け、送出導管またはシリンジを使用位置まで動かし(例えば患者の組織へ、またはシリンジの内容物ですすぎ流されるべき器具へ挿入することによって)、およびプランジャーを、筒の内容物を注入するために、筒内で適用点まで前進させる。
ゴムプランジャーによって筒にもたらされたシールすなわち密封は、一般に、プランジャーのゴムを筒に押し付けることを含む。一般に、ゴムプランジャーの直径は、筒の内径よりも小さい。それゆえ、注射剤をシリンジから投薬するときにゴムプランジャーを変位させるためには、ゴムプランジャーのこの押圧に打ち勝つ必要がある。さらに、プランジャーを最初に動かすときに、ゴムシールによってもたらされたこの押圧に一般に打ち勝つ必要があるだけでなく、注射剤を投薬する間、ゴムプランジャーが筒に沿って変位されるので、この押圧に打ち勝ち続ける必要もある。シリンジ内でプランジャーを前進させるために比較的強い力が必要であることは、使用者がシリンジから注射剤を投与する際の難しさを増大させてしまう。このことは、特に、シリンジが自動注入装置に配置されかつプランジャーが固定バネによって前進される自動注入システムにとって、問題となる。従って、プレフィルドの非経口容器におけるプランジャーの使用に関する主な検討事項は:(1)容器クロージャーの完全性(「CCI」、下記で定義する)および気密性;および(2)シリンジの内容物を投薬するために必要とされるプランジャー力(下記で定義する)を含む。
実際には、CCI/気密性を維持することおよび所望のプランジャー力を提供することは、矛盾する検討事項となる傾向を有する。換言すると、他の要因がない場合、適切なCCI/気密性を維持するためのプランジャーと容器の内部表面との間の嵌合がきついほど、使用時にプランジャーを前進させるために必要な力は大きくなる。医療用シリンジの分野では、プランジャーが、筒で前進させるときに、実質的に一定の速度でおよび実質的に一定の比較的弱い力によって動くことができることを保証することが重要である。さらに、プランジャーの動きを開始させ、かつその後、プランジャーを前進させ続けるために必要な力は、使用者によって快適に投与できるようにしかつ患者の苦痛の原因となり得る振動や不必要に高い押圧を防止するために、十分に弱い必要がある。
プランジャー力は、本質的に、接触している面のそれぞれ(すなわち、プランジャーの表面およびシリンジの内壁面)の摩擦係数と、シリンジの内壁に対してプランジャーによって加えられる法線力との関数である。それぞれの摩擦係数が大きいほど、および法線力が大きいほど、プランジャーを前進させるために必要な力は大きくなる。従って、プランジャー力を改善するための努力は、摩擦を低減させ、かつ接触している面と面との間の法線力を弱くするように向けられるべきである。しかしながら、そのような努力は、好ましくは上述のように、適切なCCIおよび気密性を維持する必要があることによって、加減される。
摩擦を低減させ、それゆえプランジャー力を改善するために、伝統的に、プランジャーの筒に接触する係合面、筒の内部表面、またはそれら双方が潤滑にされ得る。液体またはゲルのような流動性の潤滑剤、例えば遊離シリコーンオイル(例えば、ポリジメチルシロキサンまたは「PDMS」)が、プランジャーと筒との間に所望レベルの潤滑性をもたらして、プランジャー力を最適にし得る。実際、PDMSは、この業界で使用される標準的な流動性潤滑剤である。しかしながら、本発明の好ましい実施形態に関し、プランジャーと筒との間での流動性潤滑剤の使用は望ましくない。その理由の1つには、流動性潤滑剤は、シリンジ内の薬物製品(drug product)と混ざりかつそれと相互作用し、薬物を劣化させるかまたはそうでなければその有効性および/または安全性に影響を及ぼす可能性があり得ることがある。劣化は、タンパク質組成物およびポリペプチド組成物の場合には、特に問題であり、これら組成物は、大きな成長の可能性を秘めて市場を占めている。さらに、そのような潤滑剤は、場合によっては、薬物製品と一緒に患者に注入される場合に、問題となり得る。さらに、流動性潤滑剤は、プレフィルドシリンジと一緒に使用されると、時間と共にプランジャーから移動することがあり、プランジャーと容器の内部表面との間に、潤滑性がほとんどないまたは全くないスポットを生じ得る。これは、プランジャーと筒との間の接着性に関する業界用語である「スティックション(sticktion)」として公知の現象を生じることがあり、このスティックションに対しては、プランジャーが離脱して(break out)動き始めることができるようにするために、打ち勝つ必要がある。これらの理由によって、「オイルフリー」の解決策、すなわち、プランジャーと筒との間に流動性潤滑剤が完全にまたは少なくとも実質的にないプランジャー、およびそのような流動性潤滑剤が薬物製品の流れにないことに対する業界ニーズがある。
流動性潤滑剤の代替例として(またはそれに加えて)、プランジャーは、潤滑性を有する材料から作製され得るか、またはそれらの外表面に減摩コーティングまたはフィルムラミネートを含み得る。そのようなプランジャーの例は、例えば:カナダ特許第1,324,545号明細書(その全体を参照することにより本書に援用する)に開示されているTERUMOによるi−COATING;ゴムプランジャー上のW.L.Gore延伸ETFEフィルム;およびWESTによるCZプランジャーを含む。しかしながら、フィルムコーテッドプランジャー単独では、CCIまたは気体遮断性が不適切であると考えられている。例えば、プランジャー上のフルオロポリマーフィルムは、優れた潤滑特性を提供するが、それらは、ガスバリアすなわち気体遮断性が乏しいことが知られている。従って、従来のフルオロポリマーフィルムがラミネートされたプランジャー単独では、数種類の気体に敏感である製品すなわち注射剤を収納するプレフィルドシリンジに対する実行可能な解決策ではないかもしれない。
それゆえ、適切なCCIを維持した状態の、非経口容器における所望のプランジャー力と、(場合によっては)薬物の漏れを防止し、薬物製品を保護し、かつ十分な製品すなわち注射剤保存期間を達成するための気密シールとを釣り合わせるプランジャーに対するニーズがある。さらに、所望のプランジャー力を達成するために適切な潤滑性をもたらす一方で、流動性潤滑剤によって生成された粒子の悪影響、および容器に保持される薬物製品との相互作用を防止することに対するニーズがある。さらに、これらの要因を最適にする一方で、製造コストを削減しかつ製造の複雑さを低減させることに対するニーズがある。この発明は、好ましくは、それらのニーズおよび他のニーズに取り組んでいる。
本発明の一態様は、切り替え可能なプランジャーである。切り替え可能なプランジャーは、内部部分と、内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面とを有する。全体的にシリンダー状の外表面は、内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力(outward radial pressure)によって拡張状態に維持されている圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングすなわち密封セクションを含む。内部部分は、貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性である。拡張状態は、半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすためにプランジャーの内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小できる。貯蔵部シーリングセクションは、収縮状態では、拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションよりも最大直径または横断面幅が小さくされる、および/または拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションと比較して、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗が小さくされる。貯蔵部シーリングセクションは、任意選択的に、切り替え可能なプランジャーが医療用筒内に配置されるときに、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に設定する力すなわち設定力を加えることによって、拡張状態に設定されるように構成される。動作は、任意選択的に、切り替え可能なプランジャーが医療用筒内に配置されるときに、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に作動力を加えることである。
本発明の別の態様は、いずれかの実施形態による切り替え可能なプランジャーが配置されたプレフィルドシリンジである。任意選択的な実施形態によれば、プレフィルドシリンジは、内壁と、医療用筒の注射剤収容領域内に配置された、任意選択的に液体組成物である注入可能な薬物製品とを有する医療用筒を含む。医療用筒は、注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有する。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態では、切り替え可能なプランジャーは、医療用筒の内壁と切り替え可能なプランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、15N未満、任意選択的に10N未満、任意選択的に9N未満、任意選択的に8N未満、任意選択的に7N未満、任意選択的に6N未満、任意選択的に2.5N〜5.5Nの解放力(break loose force)および滑走力(glide force)をもたらす。
任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態では、プランジャーヘッドは、切り替え可能なプランジャーの遠位端部に設けられる。プランジャーヘッドは、医療用筒の内壁に対して液密シールおよび任意選択的にCCIシールをもたらすように構成された液封セクションを含む。プランジャーヘッドは第1の構成要素を含む。貯蔵部シーリングセクションは、第2の構成要素の周囲に装着されかつ軸方向に可動であるか、または第2の構成要素と一体的である。第1の構成要素および第2の構成要素は、切り替え可能なプランジャーを形成するように組み立てられる、別々の構成要素である。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態では、医療用筒の注射剤収容領域に配置された、任意選択的に液体組成物である注入可能な薬物製品は、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を含む。この任意選択的な実施形態では、所望のプランジャー力が、医療用筒の内壁と切り替え可能なプランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、達成される。さらに、薬物製品には、流動性潤滑剤によって生成された粒子がない。
任意選択的な態様では、本発明は、医療用筒内に切り替え可能なプランジャーを組み立ててシリンジを形成する方法であり、そのような方法は、医療用筒を提供するステップと、筒の開放近位端部を通して切り替え可能なプランジャーを挿入するステップと、注射剤収容領域の近位にある医療用筒内にプランジャーを配置するステップとを含む。方法は、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に設定力を加えて、貯蔵部シーリングセクションを拡張状態に設定し、それにより、切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードに配置するステップを含む。この方法で使用され得るように、切り替え可能なプランジャーは、内部部分と、内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面とを含み得る。全体的にシリンダー状の外表面は、内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持され、それにより、切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードにする圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングセクションを有する。内部部分は、貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性である。拡張状態は、半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすためにプランジャーの内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小でき、切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードから投薬モードへ移行させる。収縮状態にある貯蔵部シーリングセクションは、拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションよりも最大直径または横断面幅が小さくされる、および/または拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションと比較して、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗が小さくされる。任意選択的に、この方法によれば、貯蔵モードにある切り替え可能なプランジャーは、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に作動力をもたらすと、投薬モードに移行するように構成されている。任意選択的に、この方法によれば、シリンジは、製造充填プロセスにおいて、注射剤収容領域に薬物製品がプレフィルドされている。任意選択的に、この方法によれば、注射剤収容領域には流動性潤滑剤がない。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態によれば、筒は、射出成形可能な熱可塑性樹脂、任意選択的にCOPまたはCOCから作製される。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態によれば、筒は、筒の内壁上にオルガノ−シロキサンのコーティングまたは層を有し、任意選択的に、オルガノシロキサンのコーティングまたは層は、任意選択的に3層コーティングセットの最上層としてのpH保護コーティングである。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションは、筒の内壁と液密、CCIおよび気密境界面を形成し、任意選択的に、気密境界面は、実質的に酸素、窒素、水蒸気および/またはエチレンオキシドに対して不透過性である。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションは、6カ月、1年、任意選択的に18カ月、任意選択的に24カ月、任意選択的に3年の注射剤保存期間にわたって、CCIおよび気密シールを形成する。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、プランジャーは、筒とプランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、任意選択的に20%未満、任意選択的に15%未満、任意選択的に12%未満、任意選択的に10%未満、任意選択的に8%未満、任意選択的に2.5%〜6%の解放力と滑走力との差をもたらす。
任意選択的に、いずれかの実施形態によれば、切り替え可能なプランジャーはプランジャーロッドに固定されて、プランジャーアセンブリを形成し、プランジャーロッドは遠位方向に押圧されて、プランジャーを作動させ、かつ薬物製品を投薬するように構成されている。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、薬物製品は:小分子医薬用薬物製品(small molecule pharmaceutical drug product)、生物学的製剤、ワクチン、ペプチドベースの薬物、タンパク質ベースの薬物、注入用の無菌水または食塩溶液、および診断媒体からなる群から選択される注入可能な液体である。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、薬物製品は:診断用薬剤(例えば、染料または造影剤)、ワクチン、研究目的用の注射剤(injections)(例えば、偽薬)、化学療法剤、造影剤、免疫原、抗原、インターフェロン、ポリクローナル抗体製剤、モノクローナル抗体、麻酔薬、干渉RNA、遺伝子ベクター、インシュリン、キャリアー、賦形剤、希釈液、および上述の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、シリンジ内に配置される薬物製品は、BIOPHARMA:Biopharmaceutical Products in the U.S.and European Markets−Recent U.S.Approvals,July 13,2016,pp.1−20,http://www.biopharma.com/approvals.htmI(その全体を参照することにより本書において援用する)に記載の生物医薬製品(biopharmaceutical product)からなる群から選択される。これらの生物医薬製品のうちの少なくともいくつかは、流動性潤滑剤から生成された粒子との相互作用からの悪影響の1つ以上を受けることが考えられる。そのような悪影響は:組成物中のタンパク質の変性、組成物中のタンパク質の凝塊形成、組成物中のタンパク質の劣化、薬物製品を投与されている患者の望ましくない免疫反応のトリガー、および薬物製品の有効性の低下を含み得る。本発明の任意選択的な実施形態では、薬物製品が、流動性潤滑剤によって生成された粒子からの上述の悪影響の1つ以上を受けないようにするために、生物医薬用薬物製品(biopharmaceutical drug product)には、流動性潤滑剤によって生成された粒子がない。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態によれば、医療用筒はガラス製である。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態によれば、切り替え可能なプランジャーは、貯蔵部シーリングセクションの遠位に配置される液封セクションを含む。液封セクションは、フィルムコーティングを含み、その摩擦係数は、フィルムコーティングが適用される基材よりも低い。フィルムコーティングは、任意選択的にフルオロポリマーフィルムである。液封セクションは、好ましくは、筒の内壁に対して液密シールをもたらす。
任意選択的に、本発明によるプランジャーまたはプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態によれば、貯蔵部シーリングセクションは、環状の窪みによって分離された少なくとも2つの環状リブを含む。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態は、オートインジェクターの構成要素とし得る。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態は、0.5mLシリンジである。任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態は、内径が2.5mm〜4.6mmの筒を含む。出願人らは、0.5mLシリンジ内で機能的な切り替え可能なプランジャーを首尾よく実行に移した。協働する小さな別々の構成要素を備える切り替え可能なプランジャーが、そのような小さいシリンジ寸法で使えることは、優れた成果である。
任意選択的に、本発明によるシリンジのいずれかの実施形態に関し、貯蔵部シーリングセクションは、切り替え可能なプランジャーの周囲に配置された外側貯蔵部リング上にある。切り替え可能なプランジャーは、貯蔵モードから投薬モードへの移行時に、貯蔵部リングに対して遠位に、軸方向に平行移動するように構成される。
任意選択的に、本発明によるプレフィルドシリンジのいずれかの実施形態に関し、注入可能な薬物は、流動性潤滑剤から生成された粒子との相互作用からの1つ以上の悪影響を受ける、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を含む。そのような悪影響は:組成物中のタンパク質の変性、組成物中のタンパク質の凝塊形成、組成物中のタンパク質の劣化、薬物製品が投与される患者の望ましくない免疫反応のトリガー、および薬物製品の有効性の低下を含み得る。
一態様では、本発明は、任意選択的に、本明細書で開示するいずれかのシリンジの実施形態を、眼科用途に使用する方法に関する。そのような用途のシリンジは、注射剤収容スペースに、5〜50マイクロリットル、任意選択的に10〜30マイクロリットル、任意選択的に10〜20マイクロリットルの眼薬を入れる。筒の内径は、2.5mm〜4.6mmである。方法は、患者の眼組織に針を挿入するステップであって、針は、注射剤収容領域から筒の投薬端部を通る流体連通をもたらすステップと、貯蔵モードから投薬モードへ移行するために切り替え可能なプランジャーを作動させるステップとを含む。「挿入」ステップは、「作動」ステップに先行してもまたはその逆も同様であってもよい。さらに、方法は、患者の眼組織に眼薬を注入するステップを含む。
別の任意選択的な実施形態では、本発明は、医療用容器の筒内に配置するための切り替え可能なプランジャーである。筒は、注入可能な製品を収容するように構成され、かつ中心軸と、軸を取り囲む内壁とを有する。プランジャーは、筒内で軸に沿って貯蔵モードから投薬モードへ動かされるように構成される。プランジャーは、圧縮性および弾力性の貯蔵部リングが配置されたリングキャリアを含む。リングは、任意選択的に摺動によって、リングキャリアに沿って係合位置から解放位置へ軸方向に変位するように構成される。係合位置では、貯蔵部リングは、リングキャリアの貯蔵部プラットフォームの周囲に配置される。解放位置では、貯蔵部リングは、貯蔵部プラットフォームよりも最大横断面幅または直径が小さい投薬部プラットフォームの周囲に配置される。貯蔵部プラットフォームは、任意選択的に、貯蔵部リングよりも比較的剛性である。貯蔵部リングは、貯蔵部シーリングセクションが係合位置にあるとき、内壁に半径方向外向きの圧力を加えるように構成された貯蔵部シーリングセクションを含む。貯蔵部シーリングセクションは、解放位置において、内壁に対する半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすように構成される。プランジャーは、さらに、プランジャーの遠位端部に装着されたプランジャーヘッドを含み、プランジャーヘッドは、内壁と接触しかつそれに対してシールをもたらすように構成された液封セクションを有する。プランジャーヘッドは、切り替え可能なプランジャーを形成するために、リングキャリアと直接または間接的に組み立てられた、別々の構成要素である。
別の任意選択的な実施形態では、本発明は、切り替え可能なプランジャーである。プランジャーは、互いに固定された第1のサブアセンブリおよび第2のサブアセンブリを含む。第1のサブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有する、任意選択的にポリマーのおよび任意選択的に全体的にシリンダー状のコネクタ本体を含む。第1のサブアセンブリは、さらに、コネクタ本体の遠位端部に組み立てられる別々の構成要素であるプランジャーヘッドを含む。プランジャーヘッドは、医療用筒に配置されるときに、医療用筒の内壁と接触しかつそれに対してシールをもたらすように構成された液封セクションを有する。第2のサブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有する、任意選択的にポリマーの、細長いリングキャリアを含む。リングキャリアの遠位端部は、第1のサブアセンブリの近位端部に固定される。リングキャリアの近位端部は、プランジャーロッドに固定されるように構成される。リングキャリアは、その近位端部から、環状投薬部プラットフォームと、投薬部プラットフォームの遠位にある環状貯蔵部プラットフォームとを含む。環状貯蔵部プラットフォームは、投薬部プラットフォームよりも大きい最大直径または横断面幅を有する。第2のサブアセンブリは、さらに、任意選択的にエラストマーの圧縮性および弾力性の貯蔵部リングを含み、この貯蔵部リングは、リングキャリアの周囲に配置され、かつそこで軸方向に変位し、任意選択的にそこで軸方向に摺動するように構成される。貯蔵部プラットフォームは、任意選択的に、貯蔵部リングよりも比較的剛性である。任意選択的に、コネクタ本体の近位端部は、凹部または軸方向チャンネルを含み、リングキャリアは、さらに環状貯蔵部プラットフォームの遠位にある環状挿入部プラットフォームを含む。環状挿入部プラットフォームは、貯蔵部プラットフォームよりも小さい最大直径または横断面幅を有する。挿入部プラットフォームは、凹部または軸方向チャンネル内に配置されて、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリにしっかりと固定する。
任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態によれば、液封セクションの周りにフルオロポリマーフィルムが巻かれている。
任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態によれば、貯蔵部リングは、環状の窪みによって分離された少なくとも2つの環状リブを含む。任意選択的に、貯蔵部リングは、正確に3つの環状リブを含み、それらのリブを、正確に2つの環状の窪みがそれぞれ分離している。
任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態によれば、非圧縮状態の貯蔵部リングは、貯蔵部リングの内側面にリブを、および貯蔵部シーリングセクションの外面に、対向するリブを含む。対向するリブは、好ましくは同じラジアル平面に沿って位置合わせされたピークを有する。
任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態によれば、貯蔵部リングは、リングキャリアから全体的に半径方向外側に向く外面を含む。貯蔵部リングが非圧縮状態にあるとき、外面は、近位端部、遠位端部、および任意選択的に近位端部および遠位端部から等距離の、近位端部と遠位端部との間の半径方向対称面を含み、外面は、半径方向対称面の両側で対称である。
任意選択的に、いずれかの実施形態によれば、切り替え可能なプランジャーは、プレフィルドシリンジ内に配置され得る。貯蔵部リングが貯蔵部プラットフォームの周囲に配置されるとき、貯蔵部シーリングセクションは、貯蔵部プラットフォームによってもたらされた半径方向外向きの圧力によって、拡張状態に維持され、貯蔵部シーリングセクションと筒の内壁との間に圧縮を生じる。これにより、切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードにする。拡張状態は、貯蔵部リングが投薬部プラットフォームの周囲に配置されるように移行されると、収縮状態まで縮小でき、するとすぐ、貯蔵部シーリングセクションと筒の内壁との間の圧縮は低下されるかまたはなくされ、それにより、切り替え可能なプランジャーを投薬モードにする。任意選択的に、プランジャーが貯蔵モードにあるとき、貯蔵部リング全体が貯蔵部プラットフォームの周囲に配置される。任意選択的に、プランジャーが投薬モードにあるとき、貯蔵部リング全体が投薬部プラットフォームの周囲に配置される。任意選択的に、貯蔵部シーリングセクションは、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に設定力を加えることによって、拡張状態に設定されるように構成される。任意選択的に、貯蔵モードにある切り替え可能なプランジャーは、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に作動力をもたらすと、投薬モードに移行するように構成されている。
任意選択的な実施形態では、本発明は、圧縮性および弾力性の材料、任意選択的にエラストマーまたは熱可塑性エラストマーを有するプランジャーヘッドを含むアセンブリである。プランジャーヘッドは、医療用筒内に配置されるときにシール、任意選択的に液密シールをもたらすように構成される。プランジャーは、注射剤に対面する遠位面と、近位端部と、医療用筒内に配置されるときに医療用筒の内壁に接触してシールを形成するように構成された、それらの間の側壁とを含む。アセンブリは、さらに、剛性の構成要素または剛性のサブアセンブリ、任意選択的にリングキャリア、中心コアおよび/またはコネクタ本体を含み、剛性の構成要素または剛性のサブアセンブリの遠位端部において、プランジャーヘッドの近位端部にしっかりと固定される。フルオロポリマーフィルム片がプランジャーヘッドの周囲に巻かれて、注射剤に対面する面および側壁を全体的に覆う。フルオロポリマーフィルム片は、その周囲に縁を有し、縁は、アセンブリ上に露出していない。例えば、縁は、プランジャーヘッドと剛性の構成要素または剛性のサブアセンブリとの間に挟まれ得る。
任意選択的な実施形態では、本発明は、本明細書で開示する様々なプロセスステップによる任意選択的に切り替え可能なプランジャーの構成要素としての、プランジャー用のフルオロポリマーフィルムコーテッド液封セクションの作製方法である。任意選択的に、プランジャーヘッドは、ポリマー製支持体の上側を覆って配置されたエラストマーを含む。プランジャーヘッドは、任意選択的に、二段階射出成形によって作製される。任意選択的に、プランジャーヘッドのエラストマーは、ポリオレフィンベースの熱可塑性エラストマーを含み、およびポリマー製支持体は、ポリオレフィン、任意選択的にポリプロピレン、環状オレフィンポリマーまたは環状オレフィンコポリマーを含む。
任意選択的な実施形態では、本発明は、アセンブリの作製方法である。方法は、圧縮性および弾力性の材料、任意選択的に、比較的より剛性のポリマー製支持体の上側に配置されるエラストマーを含むプランジャーヘッドを提供するステップを含む。プランジャーヘッドは、注射剤に対面する遠位面と、近位端部と、医療用筒内に配置されるときに医療用筒の内壁に接触し、シール、任意選択的に液密シールを形成するように構成された、それらの間の側壁とを含む。任意選択的に、フルオロポリマーフィルムは、プランジャーヘッドの周囲に巻かれて、注射剤に対面する面および側壁を全体的に覆う。方法は、さらに、遠位端部および近位端部を有する、ポリマーのおよび任意選択的に全体的にシリンダー状のコネクタ本体を提供するステップであって、プランジャーヘッドの近位端部は、コネクタ本体の遠位端部に組み立てられ、および任意選択的に、プランジャーヘッドの剛性の支持体をコネクタ本体の遠位端部に接合する、任意選択的に溶接(例えば、超音波溶接)することによって、それに固定されているステップを含む。剛性の支持体およびコネクタ本体のそれぞれの材料は、超音波溶接のために互いに適合するように構成される。方法は、さらに、遠位端部および近位端部を有する、細長いポリマー製リングキャリアを提供するステップを含む。リングキャリアの遠位端部は、コネクタ本体の近位端部に組み立てられる。リングキャリアは、コネクタ本体よりも気体透過性が低い、任意選択的に酸素透過性、窒素透過性、水蒸気透過性および/またはエチレンオキシド透過性が低い材料を含む。任意選択的に、方法の一部として、エラストマー製貯蔵部リングは、リングキャリアの周囲に配置される。リングキャリアは、貯蔵部リングに対して軸方向に変位するように構成される。しかしながら、広範に、この実施形態は、切り替え可能なプランジャーに限定されず、および貯蔵部リングは、適切な場合、例えば、非プレフィルドシリンジの適用例では省略されてもよい。
任意選択的に、いずれかの実施形態では、貯蔵部リングはエラストマーである。
任意選択的に、一実施形態では、本発明は、プレフィルドシリンジ内に切り替え可能なプランジャーを組み立てる方法である。方法は、中心軸と、軸を取り囲む内壁とを有する注射筒を提供するステップであって、筒は、投薬端部、開放上部、およびそれらの間の注射剤収容領域を含むステップを含む。注射剤収容領域は、注入可能な薬物製品、任意選択的に液体組成物を所望量までプレフィルドされている。第1のサブアセンブリが設けられ、かつ第1のサブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有する、剛性のおよび全体的にシリンダー状のコネクタ本体を含む。近位端部は、凹部または軸方向チャンネルを有する。第1のサブアセンブリは、さらに、コネクタ本体の遠位端部に組み立てられる別々の構成要素であるプランジャーヘッドを含む。プランジャーヘッドは、筒に配置されると、筒の内壁に接触しかつそれに対してシールをもたらすように構成された液封セクションを有する。第2のサブアセンブリが設けられる。第2のサブアセンブリは、遠位端部および近位端部を有する、剛性の細長いリングキャリアを有する。遠位端部は、第1のサブアセンブリに固定されるように構成される。近位端部は、プランジャーロッドに固定されるように構成される。リングキャリアは、その近位端部から、環状投薬部プラットフォームと、投薬部プラットフォームの遠位にある環状貯蔵部プラットフォームとを含む。環状貯蔵部プラットフォームは、投薬部プラットフォームよりも大きい最大直径または横断面幅を有する。環状貯蔵部プラットフォームの遠位には環状挿入部プラットフォームがあり、環状挿入部プラットフォームは、貯蔵部プラットフォームよりも小さい最大直径または横断面幅を有する。第2のサブアセンブリは、さらに、任意選択的にエラストマーの圧縮性および弾力性の貯蔵部リングを含み、この貯蔵部リングは、リングキャリアの周囲に配置され、かつそこで軸方向に変位し、任意選択的にそこで軸方向に摺動するように構成される。第1のサブアセンブリは、プランジャーヘッドを筒内でコネクタ本体に対して遠位に配置し他状態で、注射筒に装填され、装填ステップは、任意選択的に、通気管、真空または真空補助装填法によって達成される。方法は、さらに、挿入部プラットフォームの周囲に貯蔵部リングを位置決めし、かつコネクタ本体の凹部または軸方向チャンネルと第2のサブアセンブリを軸方向に位置合わせするステップを含み、リングキャリアの遠位端部は、凹部または軸方向チャンネルに対面している。位置決めおよび位置合わせ後、方法は、第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリの方へ動かすおよび/またはその逆も同様であり、第2のサブアセンブリを注射筒内に配置し、するとすぐ、貯蔵部リングがコネクタ本体の近位端部に接触している間に、挿入部プラットフォームが凹部または軸方向チャンネル内に挿入されるステップを含む。挿入部プラットフォームが貯蔵部リング内にさらに挿入されると、貯蔵部リングは、挿入部プラットフォームから押されて、貯蔵部プラットフォームの周囲に配置され、貯蔵部リングと筒の内壁との間に圧縮シールを生じ、および第1のサブアセンブリを第2のサブアセンブリにしっかりと固定する。このようにして、切り替え可能なプランジャーは、任意選択的に組み立てられ得る。任意選択的に、この方法によって、貯蔵部リングと第1のサブアセンブリまたはプランジャーヘッドとの間には圧力ゾーンが生じない。任意選択的に、貯蔵モードにある切り替え可能なプランジャーは、切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に作動力をもたらすと、投薬モードに移行するように構成されている。
任意選択的な実施形態では、本発明は、注射筒内に配置されかつ投薬方向に前進させられて注射筒の内容物を投薬するように構成された、切り替え可能なプランジャーアセンブリである。プランジャーアセンブリは、軸方向キャビティと、軸方向に離間した少なくとも2つの全体的に環状のリブとを有するプランジャーを含む。各リブは、内径および外径を有し、減少された外径の中間スリーブ部分によって接合される。プランジャーアセンブリは、さらに、軸方向キャビティに収容されかつその軸に沿って変位可能な摺動シャフトを含む。摺動シャフトは、少なくとも1つの環状のシリンダー状リングと、リングから軸方向に変位された少なくとも1つの直径減少部分とを含む。
プランジャーアセンブリを作製しかつそれらをプレフィルドシリンジ内に挿入する追加的な方法が開示されている。
本発明について、以下の図面と併せて説明し、図面では、同様の参照符号は、同様の要素を指定する。
本発明に従って構成された例示的な1つのシリンジの軸方向断面図である。 3層コーティングセットが配置されている、図1のシリンジの内面の第1の代替的な実施形態の拡大断面図である。 オルガノ−シロキサンコーティングが配置されている、図1のシリンジの内面の第2の代替的な実施形態の拡大断面図である。 図1に示すシリンジの一部分を形成する切り替え可能なプランジャーの一部分の軸方向拡大断面図であり、プランジャーは、シリンジ内のその係合位置で示され、その貯蔵部シーリングセクションは、シリンジの内壁と液密および気密境界面を形成し、およびその液封セクションは、シリンジの内壁と液密境界面および好ましくはCCIシールを形成する。 図2Aと同様の拡大断面図であるが、その係合位置から解放位置へ動かされたときの切り替え可能なプランジャーを示し、その貯蔵部シーリングセクションは、もはや、シリンジの内壁と液密および気密境界面を形成していないが、その液封セクションは、依然として、シリンジの内壁と液密境界面および好ましくはCCIシールを形成している。 図2Aおよび図2Bと同様の拡大断面図であるが、切り替え可能なプランジャーがその最も完全に解放された位置にある。 組み立て中のプロセスの、図1の切り替え可能なプランジャーの例示的な実施形態の軸方向拡大分解断面図である。 図3Aの切り替え可能なプランジャーの例示的な実施形態の軸方向拡大断面図であるが、組み立て後を示している。 本発明に従って構成された、切り替え可能なプランジャーの別の例示的な実施形態の軸方向拡大断面図であり、および切り替え可能なプランジャーは、図1に示す切り替え可能なプランジャーが使用され得るいずれの適用例でも使用され得る。 図4Aの線4B−4Bに沿って取った断面図である。 プランジャーの組み立て中のプロセスを示す、本発明に従って構成された切り替え可能なプランジャーのさらに別の例示的な実施形態の軸方向拡大断面図である。 図5Aと同様の軸方向拡大断面図であるが、組み立て後の、図1に示す切り替え可能なプランジャーが使用され得るいずれの適用例でも使用され得るプランジャーを示す。 その切り替え可能なプランジャーの組み立ての最中の、図1に示すシリンジの一部分の一連の拡大等角図を構成する。 フィルムを適用するための任意選択的な構成を示す、本発明に従って構成された例示的なプランジャーの軸方向断面図である。 フィルムを適用するための別の任意選択的な構成を示す、本発明に従って構成された例示的なプランジャーの軸方向分解断面図である。 フィルムを適用するためのさらに別の任意選択的な構成を示す、本発明に従って構成された例示的なプランジャーの軸方向分解断面図である。 3つのリブ付き貯蔵部シーリングセクションを示す、本発明に従って構成された例示的な切り替え可能なプランジャーの斜視図である。 図10の切り替え可能なプランジャーの側面図である。 図10の切り替え可能なプランジャーの軸方向断面図である。 任意選択的な実施形態による液封セクションのプランジャーヘッドの代替的な幾何学的形状および寸法の軸方向断面図である。 図10のプランジャーを医療用筒内に挿入するためのプランジャー挿入装置の実施形態の概略図である。 図10のプランジャーを医療用筒内に挿入するための、本発明の態様によるプランジャー挿入装置の代替的な実施形態の部分的な概略図であり、貯蔵部リングは、プレ貯蔵密封モードにある。 貯蔵部リングが貯蔵密封モードに設定されていることを除いて、図14Aと同じ部分的な概略図である。 プランジャー挿入装置の追加的な構成要素を示す、図14Aのより完全な概略図である。 図10のプランジャーを医療用筒内に挿入するための、本発明の態様によるプランジャー挿入装置の代替的な実施形態の部分的な概略図であり、貯蔵部リングは、貯蔵密封モードに設定されている。 プランジャー挿入装置の追加的な構成要素を示す、図15Aのより完全な概略図であり、貯蔵部リングは、プレ貯蔵密封モードにある。 インサートおよびスリーブ型切り替え可能なプランジャーの例示的な実施形態に関する、本発明の態様によるプランジャー挿入装置の概略的な断面図である。 図16Aに示す図から90度の向きにされた、図16Aのプランジャー挿入装置の部分的な概略図である。 インサートおよびスリーブ型切り替え可能なプランジャーの別の例示的な実施形態に関する、本発明の態様による代替的なプランジャー挿入装置の部分的な断面図である。 図17Aのプランジャー挿入装置およびプランジャーの斜視図である。 医療用筒内にプランジャーを組み立てる任意選択的なプランジャー挿入装置を備える、本発明の態様による切り替え可能なプランジャーの代替的な実施形態の断面図である。 本明細書の実施例1で説明するような、本発明の実施形態によるプランジャーの平均的なプランジャー力プロファイルの詳細を示す図表である。 本明細書の実施例1で説明するような、試験された18個のプランジャーのプランジャー力に関する生データの図表である。 実施例1でも説明した、図19Aおよび図19Bに関して試験されかつ説明されるものと同様に構成された別の組のプランジャーおよびシリンジに関するプランジャー力の図表である。 遠位端部において液封セクションに固定され、および近位端部において中心コアに固定されるコネクタを含む、代替的な切り替え可能なプランジャーの実施形態の軸方向断面図である。 図21の切り替え可能リングが組み立てられ得る方法を示す概略図である。 図21の切り替え可能なプランジャーの構成要素が注射筒に装填されかつ注射筒内で組み立てられ得る方法を示す概略図である。 図24の貯蔵部リングの断面が、図21の断面と比較して代替的な幾何学的形状であることを除いて、図21のプランジャーと同一の代替的な切り替え可能なプランジャーの軸方向断面図である。 貯蔵部リングの断面の代替的な幾何学的形状を強調する、図24のプランジャーの部分拡大図である。
本発明を、以下、いくつかの実施形態を示す添付図面を参照して、さらに十分に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で供されてもよく、およびここで説明する実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、特許請求の範囲の言語によって示される全範囲を有する本発明の例である。同様の符号は、全体にわたって同様の要素を指す。
定義
本発明において、「有機ケイ素前駆体」は、結合:
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の少なくとも一方を有する化合物であり、酸素原子または窒素原子と有機炭素原子(有機炭素原子は、少なくとも1つの水素原子に結合された炭素原子である)とに接続された四価ケイ素原子である。プラズマ促進化学蒸着(PECVD)器具において蒸気として供給され得るような前駆体と定義される揮発性有機ケイ素前駆体は、任意選択的な有機ケイ素前駆体である。任意選択的に、有機ケイ素前駆体は、直鎖シロキサン、単環シロキサン、多環シロキサン、ポリシルセスキオキサン(polysilsesquioxane)、アルキルトリメトキシシラン(alkyl trimethoxysilane)、直鎖シラザン、単環シラザン、多環シラザン、ポリシルセスキアザン(polysilsesquiazane)、およびこれらの前駆体のいずれか2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
w、x、y、およびzの値は、本明細書を通して、実験的組成(empirical composition)Siwxyzに適用可能である。本明細書を通して使用されるw、x、y、およびzの値は、分子中の原子の数またはタイプの限定ではなく、比率または実験式(例えばコーティングまたは層に対する)であると理解される。例えば、分子組成Si44824を有するオクタメチルシクロテトラシロキサンは、以下の実験式によって説明され、分子式のw、x、y、およびzのそれぞれを4で割ることによって、最大共通因子:Si1126を達成することができる。w、x、y、およびzの値はまた、整数に限定されない。例えば、(非環式)オクタメチルトリシロキサン、分子組成Si32824は、Si10.672.678に小さくできる。また、SiOxyzは、SiOxyと同等であると説明されるが、SiOxyの存在を示すために、どの比率においても水素の存在を示す必要はない。
用語「筒」は、例えば、液体製品すなわち液体注射剤を入れておりかつそれを投薬するための、シリンジなどの医療機器の一部として使用され得るような医療用筒を指す。
用語「プランジャー」または「プランジャーアセンブリ」は、本発明のいずれかの実施形態を参照して使用されるとき(当業界における従来のプランジャーを参照するのとは対照的に)、本発明による切り替え可能なプランジャーを指す。
「摩擦抵抗」は、静止摩擦抵抗および/または動摩擦抵抗とし得る。
本発明に関連して、「プランジャー滑り力(sliding force)」(この説明で同様に使用される「滑走力(glide force)」、「維持力(maintenance force)」、またはFmと同義語である)は、例えば吸引または投薬の最中に、注射筒のプランジャーチップの動きを維持するために必要な力である。当該技術分野で公知のISO7886−1:1993の試験を使用して決定されることが好都合であるとし得る。当該技術分野で使用されることが多い「プランジャー滑り力」の同義語は、「プランジャー力」または「押す力」である。
本発明に関連して、「プランジャーブレークアウト力」(同様にこの説明で使用される「ブレークアウト力」、「解放力(break loose force)」、「開始力」、Fiと同義語)は、シリンジ、例えばプレフィルドシリンジ内でプランジャーチップの動作を開始するために必要な力である。
「プランジャー滑り力」および「プランジャーブレークアウト力」の双方、およびそれらの測定方法について、この説明の以下の部分においてより詳細に説明する。これら2つの力は、N、lbsまたはkgで表わすことができ、および本明細書では、これら3つの単位を全て使用する。これらの単位は、以下の通り相関する:1N=0.102kg=0.2248lbs(ポンド)。
「摺動式に」は、プランジャーチップ、クロージャー、貯蔵部リング、切り替え可能なプランジャー、または他の取り外し可能な部分が、例えば医療用筒内で軸方向に摺動できるようにされていることを意味する。
「容器クロージャーの完全性」または「CCI」は、容器クロージャーシステム、例えば、プレフィルド注射筒に配置されたプランジャーが、容器に入れられた無菌注射剤(sterile product)の保存期間にわたって、有効性および無菌性を保護および維持できる能力を指す。
用語「半径方向外向きの圧力」は、本発明によるプランジャーまたはその要素に対して使用されるとき、プランジャーの中心軸から外向きの(またはそれから離れるような)方向にかけられるまたは加えられる圧力を指す。
用語「シリンジ」は、機能的シリンジを提供するために、1つ以上の他の構成要素と組み立てられるように適合されたカートリッジ、「ペン」型注入器、および他のタイプの筒またはリザバーを含むと広く定義される。「シリンジ」はまた、内容物を投薬する機構を提供するオートインジェクターなどの関連の物品を含むと広く定義される。任意選択的に、「シリンジ」はプレフィルドシリンジを含み得る。本明細書では、「シリンジ」はまた、ワクチンを入れる製品空間を含むワクチン投薬シリンジに適用され得る。本明細書では、「シリンジ」はまた、診断に、例えば、診断用薬剤(例えば、造影剤)などがプレフィルドされた医療用筒を含むサンプリング機器に、適用され得る。
サンプル管またはバイアルの開口部(1つの開口部)または注射筒の開口部(2つの開口部)のような、1つまたは2つの開口部が好ましい。ベッセルが2つ以上の開口部を有する場合、それら開口部は同じまたは異なるサイズとし得る。
本発明は、必ずしも特定の容量のシリンジに限定されないが、ルーメンの空隙容量が、例えば、0.5〜50mL、任意選択的に1〜10mL、任意選択的に0.5〜5mL、任意選択的に1〜3mLであるシリンジが考慮される。
「PECVD」は、プラズマ促進化学蒸着を指す。
「潤滑剤」は、相互に接触している表面間の摩擦を減らすために導入される材料または物質である。「流動性潤滑剤」は、流体(液体または蒸気)として表面に堆積される潤滑剤である。この定義は、堆積するとまたは堆積後に処理または変性されないような潤滑剤、例えば、表面に適用される液体形態のPDMSまたはシリコーンオイルを含む。この定義はまた、堆積するとまたは堆積に続いて、凝縮された、架橋された、プラズマ処理された、反応された、加熱された、照射された、または他の方法で処理または変性された、液体または蒸気で適用される潤滑剤を含む。流動性潤滑剤の共通の特徴は、例えば、液滴またはミセルの形態の粒子を生成する傾向があることである。
「医薬用薬剤(pharmaceutical agent)」、「医薬的有効物質(pharmaceutically active)」、「医薬品(pharmaceutical)」、「薬物」、「薬(medicament)」、「有効薬剤」、「有効薬物」、「薬物製品」などへの言及は、一般的な意味で、例えば、薬物、生物学的製剤、診断用薬剤(例えば、染料または造影剤)を含む、シリンジを経由して送出するのに好適であるような、医療分野および科学分野において有用な物質、または治療、診断、または予防(例えば、ワクチン)に、または研究目的に使用される他の物質を指す。例示的な医薬用薬剤または薬物製品は、生物学的製剤、ワクチン、化学療法剤、造影剤、小分子、免疫原、抗原、インターフェロン、ポリクローナル抗体製剤、モノクローナル抗体、麻酔薬、干渉RNA、遺伝子ベクター、インシュリン、またはこれらのいずれかの組み合わせを含む。「非有効(inactive)」物質は、当業界でよく知られているキャリアー、賦形剤、希釈液などを指すが、そのような物質は、混合注入可能な、例えば、補助剤、等張剤または緩衝剤などにおいて有益な機能を有し得る。これらの有効または非有効の物質はまた、即効特性、遅延放出特性または徐放特性を有する物質を含み得る。「薬物製品」は、シリンジによる貯蔵および注入用に構成された、有効および非有効の物質を広範に含み得ることが考えられる。
注射筒の材料
任意選択的に、本発明のいずれかの実施形態によるシリンジは、限定されるものではないが:オレフィンポリマー;ポリプロピレン(PP);ポリエチレン(PE);環状オレフィンコポリマー(COC);環状オレフィンポリマー(COP);ポリメチルペンテン;ポリエステル;ポリエチレンテレフタレート;ポリエチレンナフタレート;ポリブチレンテレフタレート(PBT);PVdC(ポリ塩化ビニリデン);ポリ塩化ビニル(PVC);ポリカーボネート;ポリメチルメタクリレート;ポリ乳酸;ポリ乳酸;ポリスチレン;水素化ポリスチレン;ポリ(シクロヘキシルエチレン)(PCHE);ナイロン;ポリウレタン・ポリアクリロニトリル;ポリアクリロニトリル(PAN);アイオノマー樹脂;Surlyn(登録商標)アイオノマー樹脂を含む、1種以上の射出成形可能な熱可塑性材料から作製され得る。透明でガラスのようなポリマーが望まれる用途(例えば、シリンジおよびバイアル用)では、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)、またはポリカーボネートが好ましいかもしれない。そのような材料は、例えば、射出成形または射出延伸ブロー成形によって、非常に厳しいおよび精密な許容誤差(一般的に、ガラスで達成可能なものよりも遥かに厳しい)で製造され得る。あるいは、本発明の実施形態によるシリンジは、ガラスから作製され得る。
シリンジおよび切り替え可能なプランジャーの実施形態
図1には、本発明の一態様に従って構成されたプランジャーアセンブリ20を含むシリンジ10の例示的な一実施形態が示されている。簡潔な余談として、用語「遠位」および「近位」が、本明細書を通して使用される。用語「遠位」および「近位」は、一般的に、所与の基準点に対する空間的または位置的な関係を指し、「近位」は、その基準点にあるかまたはそれに比較的近い箇所にあり、および「遠位」は、その基準点から遠い箇所にある。本明細書で注射筒に適用されるように、例えば、関連の基準点は、プランジャーロッド22と切り替え可能なプランジャー24とが接合される場所の近くの筒の後端部(例えば、図1に示すような筒12の頂部にあるフランジ)にある。遠位端部は、針18が装着される筒12の底部または投薬端部にある。「近位」および「遠位」はまた、力を加える方向を指すために使用され得る。例えば、シリンジの内容物を投薬するための押す力は、「遠位方向」にまたは「遠位に」加えられる、すなわち、図1では下方にプランジャーヘッド30を押す力によって、液封セクション36をシリンジの投薬端部または遠位端部の方へ下方に前進させる。
シリンジ10は、一般的に従来の構成のものであり、および中心縦軸Aを有する中空の筒12を含む。筒は、内面14を有し、かつ注入可能な液体16を内部に保持するように構成されている。針18は、筒の遠位端部に配置されており、かつそれと流体連通している。プランジャーアセンブリ20は、その遠位部分が、図1に示すように、筒の近位にある部分に位置づけられるように、配置され、するとすぐ、シリンジ10は使える状態になる。それを達成するために、プランジャーアセンブリ20が作動される、例えば、遠位方向に押されるとき、筒内の注入可能な液体を、針18を通して押し出す。
プランジャーアセンブリ20は、基本的に、プランジャーロッド22および切り替え可能なプランジャー24を含む。切り替え可能なプランジャー24は、プレフィルドシリンジまたはカートリッジの筒の側壁の内面に対して十分な圧縮力をもたらして、貯蔵中に筒の内容物を効果的に密封しかつその保存期間を保つように構成された構成要素のサブアセンブリを構成する。この発明のものなどの切り替え可能なプランジャーが、貯蔵中に筒を効果的に密封しかつ筒の内容物の保存期間を保つのに適切な容器クロージャーの完全性(CCI)および気密シールを提供する(例えば、酸素、湿分および/または任意選択的に追加的な気体に対する遮断性を提供する)とき、切り替え可能なプランジャー(またはその外表面の少なくとも一部分)は、その代わりに、「拡張状態」または「貯蔵モード」にあると特徴付けられ得る。拡張状態または貯蔵モードは、例えば、プランジャーの注射筒接触面の少なくとも一部分の広げられた外径またはプロファイルおよび/またはプランジャーが配置される注射筒の内壁にプランジャーが加える法線力の積とし得る。切り替え可能なプランジャー(またはその外表面の少なくとも一部分)は、代替的に「収縮状態」または「投薬モード」と特徴付けられ得る程度まで縮小でき、ここでは、筒の側壁に対する圧縮力が削減されるかまたは一部にはなくされ、使用者が、より簡単に筒内でプランジャーを前進させ、それゆえシリンジまたはカートリッジの内容物を投薬することができるようにする。収縮状態または投薬モードは、例えば、プランジャーの注射筒接触面の少なくとも一部分の減少された外径または横断面幅(拡張状態のものと比較して)および/またはプランジャーによって加えられる注射筒の内壁に対する削減された法線力および/または半径方向内向きの圧縮に対して低下された抵抗の積とし得る。
本明細書では、用語「切り替え可能なプランジャー」は、広範に、医療用筒において使用されるように構成されたプランジャーを含み、概して上述したように、プランジャーは、貯蔵モードから投薬モードへ切り替え可能である。本明細書は、主に(限定ではないが)、プランジャーが貯蔵モードから投薬モードへ移行するときに、別々の貯蔵部シーリングセクションの構成要素とは無関係に、医療用筒内で軸方向に平行移動する液封セクションを有する切り替え可能なプランジャー(略して、「独立型貯蔵部シーリングセクション型プランジャー」)の実施形態に注目している。本出願と同じ譲受人に委譲された出願の主題である、切り替え可能なプランジャーの代替的なタイプは、任意選択的に、プランジャースリーブのキャビティ内に位置決めされたインサートすなわち挿入体を有して、医療用筒壁に対して、隣接する貯蔵部シーリングセクションの半径方向外向きの圧力をもたらす(貯蔵モードをもたらすために)と説明される。そのため、好ましくはプランジャースリーブよりも剛性のインサートは、プランジャースリーブ内の異なるキャビティ(例えば、貯蔵キャビティの遠位にあるキャビティ)まで動くことができ、そのような半径方向圧縮を解放し、それゆえ、プランジャーを投薬モードへ移行させる。そのような「インサートおよびスリーブ」型プランジャーは、PCT公報国際公開第2015/054282号パンフレットに説明されており、その全体を参照することにより本書に援用する。インサートおよびスリーブ型プランジャーは、本出願の第一焦点ではないが、いくつかの実施形態が、本発明の態様に従って、そのようなプランジャーを医療用筒内に組み立てるための方法および装置を特に説明するために本書で説明される。さらに、本発明は、一態様において、切り替え可能なプランジャーの独立型貯蔵部シーリングセクション型およびインサートおよびスリーブ型の少なくとも双方を網羅し得ることを理解されたい。
プランジャーの独立型貯蔵部シーリングセクション型およびプランジャーのインサートおよびスリーブ型の双方に共通の特徴は、以下の通りである。一般的に言えば、それらは、双方とも、内部部分と、内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面とを含む。全体的にシリンダー状の外表面は、内部部分によってもたらされる半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持される、圧縮性および弾力性のある貯蔵部シーリングセクション(任意選択的にエラストマー)を含む。内部部分は、貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性である。拡張状態は、半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすためにプランジャーの内部部分に適用される動作によって、収縮状態まで縮小できる。貯蔵部シーリングセクションは、収縮状態において、拡張状態にある貯蔵部シーリングセクションよりも最大直径または横断面幅が減少される、および/または拡張状態にある貯蔵部シーリングセクション比べて、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗が小さい。インサートおよびスリーブ型プランジャーでは、内部部分はインサートを含み、および貯蔵部シーリングセクションは、インサートを取り囲みかつそれに隣接するスリーブの部分である。独立型貯蔵部シーリングセクションのプランジャータイプでは、内部部分はリングキャリアであり、および貯蔵部シーリングセクションは、貯蔵部リング上にある。どちらの場合も、プランジャーは、好ましくは、プランジャーに対して遠位方向に力を加えることによって、作動される。そのような作動力によって、プランジャーの内部部分に上述の動作を適用し得る。インサートおよびスリーブ型プランジャーの場合には、動作によって、インサートを、スリーブ内で近位キャビティから遠位キャビティへ変位させ得る。独立型貯蔵部シーリングセクションのプランジャータイプの場合には、動作は、貯蔵モードから投薬モードへ移行するときの、貯蔵部リングに対するリングキャリアの軸方向変位を含む。
従って、一態様では、図1および図2A〜3Bに示すように、本発明は、筒12の中心軸Aと同軸である縦軸を有する中心コア32と、貯蔵部シーリングセクション34と、液封セクション36とを含む、切り替え可能なプランジャー24である。中心コア32は、好ましくは剛性で、任意選択的にポリマー材料から作製される。貯蔵部シーリングセクション34および液封セクション36はそれぞれ、全体的にシリンダー状の外表面を有する。本明細書では、「全体的にシリンダー状」の外表面は、幾何学的形状に重要でない障害物または変化を含んでもよく(例えば、リブ、窪みなどによる)、その他の点では、所与の構成要素、例えば、液封セクションの外表面はシリンダー形状である。後で詳細に説明するように、貯蔵部シーリングセクションの全体的にシリンダー状の外表面は、貯蔵部シーリングセクションがその拡張状態にあるときに注射筒の内壁と係合するための、1つ以上の環状リブまたは外向きに突出する面を含む。拡張状態は、液封セクションに対する、縦軸Aに沿った貯蔵部シーリングセクションの相対的な動きによって、収縮状態まで縮小できるか、またはその逆も同様である。本明細書では、「拡張状態」および「収縮状態」は、比較寸法測定(例えば、拡張状態は収縮状態よりも幅広である)および/またはプランジャーの内向きの圧縮に対する比較抵抗力(「拡張状態」は、内向きの圧縮に対する抵抗力が大きく、および「収縮状態」は、内向きの圧縮に対する抵抗力が小さい)および/またはプランジャーの外表面の少なくとも一部分によって加えられる比較半径方向外向きの圧力(「拡張状態」にあるプランジャーの外表面は、より大きな半径方向外向きの圧力を加え、および「収縮状態」にあるときには、より小さな半径方向外向きの圧力を加える)を指す。
好ましくは中心コア32の近位端部において、切り替え可能なプランジャー24は、プランジャーロッド22の遠位端部に装着される。プランジャーロッド22は、シリンジの筒の中心軸Aと同軸に延在する中心縦軸を有する細長い部材である。プランジャーロッドの遠位端部は、任意選択的に、ロッド22の遠位端部から遠位に延在しかつ軸A上に中心があるネジ突起26(図2A)の形態にある。ネジ突起26は、切り替え可能なプランジャー24の近位端部にある、対となるネジ穴(threaded boreまたはhole)28内にネジ式に受け入れられて、プランジャーロッド22の遠位端部に切り替え可能なプランジャーを装着するように構成される。あるいは、プランジャー24は、スナップ嵌めまたは圧入などによる他の手段によって、プランジャーロッド22の遠位端部に装着され得る。プランジャーロッド22の近位端部は、シリンジから液体18を出すために使用者によって押されるように構成されている拡大フランジ付きヘッド30(図1)の形態にある。
切り替え可能なプランジャー24は、2つのモードで動作するように構成されている。一方のモードは、図1および図2Aに示すような、プランジャーの貯蔵部シーリングセクション34が、その「係合」位置にあり、プランジャーの中心コアの第1の部分とシリンジの筒の内部壁との間で圧縮されて、それらの間に気密、液密およびCCIレベルの境界面を形成する、密封すなわちシーリングモードである。他方のモードは、プランジャーアセンブリが筒内へと摺動されるときに、貯蔵部シーリングセクションが中心コア上の異なる部分、例えば、「解放」位置までシフトされて、貯蔵部シーリングセクションがもはや筒の内部壁と係合しない(または弱められた係合状態にある)ようにする、滑走モード(gliding mode)である。しかしながら、滑走モードでは、プランジャーの液封セクションは、筒の内部壁と摺動式に係合し、それらの間に液密境界面を形成する。さらに、液封セクションの固有の潤滑性に起因して、液体または他の流動性潤滑剤(例えば、シリコーンオイル)は、必ずしも、筒内でのプランジャーの摺動を容易にするために、プランジャーと筒との間に使用されるわけではない。この特徴は、従来技術よりもかなりの優位性を構成する。なぜなら、プランジャーの摺動を容易にするためのプランジャーと筒との間での流動性潤滑剤の使用は、潤滑剤がシリンジまたはプランジャーから分離して注入可能な液体内に入る場合に、その液体を汚染する効果があり得るためである。液封セクション自体は、液密シールを提供することに加えて、好ましくはCCIレベルのシールも提供して、産業界で一般的な関心事に適合し、かつ貯蔵部シーリングセクションでのCCI冗長性を提供する。
図2A〜2Cに最もよく示すように、液封セクション36は、プランジャーの中心コア32の遠位端部に装着される一方で、貯蔵部シーリングセクション34は、液封セクションの近位に配置される。貯蔵部シーリングセクション34は、中心コアの一部分の周囲に装着された少なくとも1つのリングの形態にあり、かつプランジャーアセンブリが図1および図2Aに示すような係合位置にあるとき、貯蔵部シーリングセクション34の少なくとも1つのリングがシリンジの筒12の内壁14と前述の液密および気密境界面を形成するように、構成される。それゆえ、プランジャーアセンブリがその位置にあるとき、貯蔵部シーリングセクションは、シリンジにCCIおよび気密シールを提供する。図1に示す例示的な実施形態では、貯蔵部シーリングセクションは、円形断面の単一の「Oリング」38の形態にある。様々な断面形状の他の単一のリングが、貯蔵部シーリングセクションを形成するために提供されてもよい。実際、様々な断面形状の複数のリングが、貯蔵部シーリングセクションを形成するために提供され得る。例えば、任意選択的に、Oリングは、2つ以上のリブまたはローブ(lobe)を有する;例えば、2つのリブ付きまたは3つのリブ付きのOリングが考えられる。貯蔵部シーリングセクションに関するそれらの代替的な実施形態のいくつかを、下記で説明する。
切り替え可能なプランジャー24の中心コア32は、細長い剛性部材であり、任意選択的に、その遠位端部にシリンダー形状の装着用突起40を有する。突起40は、任意の好適な形状のものとし得る。図示の例示的な実施形態では、突起は半球形である。突起40は、中心コア32の遠位端部に液封セクション36を装着するための手段としての機能を果たす。フランジ42が、中心コアから突起40のすぐ近位に半径方向外向きに突出する。中心コア32上のフランジ42のすぐ近位に環状貯蔵部プラットフォーム44が設けられる。プランジャーアセンブリ24が貯蔵モード、すなわち、図1に示す状態にあるとき、貯蔵部プラットフォーム44は、少なくとも1つのリング38を受け入れ、かつそこに「保持」位置で保持するように構成されている。
リング38は、限定されるものではないが、熱硬化性ゴム(例えば、ブチルゴム)、熱可塑性エラストマー(TPE)、液体シリコーンゴムおよび液体フルオロシリコーンゴムを含む、1つの弾力性材料または1つ以上の弾力性材料で形成される。貯蔵部プラットフォーム44の箇所での中心コア32の直径は、リング38の標準内径よりも大きい。それゆえ、リング38が貯蔵部プラットフォーム44の周囲に配置されると、その標準外径(すなわち、その「収縮」状態)からその「拡張」状態まで伸張される。その拡張状態では、リングの周辺の最外部分は、筒の内面14と密接に係合し、それにより、それらの間に、前述の気密、CCI緊密性および液密境界面を形成する。当業者には認識されているように、リング38が筒の内面とそのように係合しているとき、「スティックション」が生じ得る。それゆえ、本発明の切り替え可能なプランジャーは、中心コア32がリング38(これは、初めは、スティックションによって筒に接着している)に対して動くことができるようにして、プランジャーアセンブリ24が、前述の滑走モードで動作するときに、解放位置まで動かされることができるようにするように、構成される。そのモードにあるとき、リング38は収縮状態にあり、ここでは、リングの外径は、任意選択的に、筒の壁12の内部表面14の内径よりも小さいため、リングは内部表面と係合せず、それゆえ、プランジャーアセンブリが筒内へと摺動する動きに干渉しない。
Oリング38がその係合位置(貯蔵部プラットフォーム44の周りに保たれる)から解放位置(貯蔵部プラットフォーム44から移行される)まで動くことができるようにするために、中心コア32は、貯蔵部プラットフォーム44にすぐ隣接して配置された円錐形テーパリングセクション46を含む。円錐形テーパリングセクション46の近位端部は、シリンダー状セクション48で終端し、その外径は、貯蔵部プラットフォーム44の外径よりも小さい。それゆえ、プランジャーアセンブリ20が押されて、プランジャーアセンブリを、筒12内で図2Aに矢印で示す遠位方向に動かす(すなわち、プランジャーに対する遠位方向への作動力の適用を含む、プランジャーの内部部分に動作を加える)とき、中心コア32が遠位に動く間、Oリングと筒の内壁との間の摩擦係合によってOリングを筒内のその縦方向位置に保持する傾向がある。換言すると、Oリング38は、中心コア32の外面よりも、筒の内面14に優先的に接着する。それゆえ、Oリング38と中心コア32との間には軸方向の相対的な動きがある。その相対的な軸方向の動きによって、Oリング38を貯蔵部プラットフォーム44の周囲のその保持位置から動かすため、Oリングは、中心コア32に対して、図2Aの矢印50の方向に近位方向に摺動し、するとすぐ、Oリングの半径方向最外面は、もはや、筒の内面14と係合しなくなる(または任意選択的に係合を弱めるか、または低下した半径方向外向きの圧力を加える)。そのようなものとして、プランジャーアセンブリ20は、最小限の力で、筒の下方へ滑らかに摺動され得る。プランジャーアセンブリを遠位に押し続けることによって、最終的には、図2Cに示すように、Oリングを、中心コア32の近位端部を形成する突出フランジ52の下面と係合させる。
上述の通り、プランジャーアセンブリ20が滑走モードにあるとき、液封セクション36は筒の内面14と摺動式に係合し、それらの間に良好な液密境界面を生じる。それを達成するために、液封セクション36は、基本的には、内壁14の潤滑性よりも優れた潤滑性を有する外表面部分を有する、エラストマー製本体またはヘッド54を含む。第1の表面部分は、ヘッド54の全外表面の周囲に延在するフィルム56の形態にあるとし得る。いずれかの実施形態では、フィルムは、約100マイクロメートル(μm)未満、任意選択的に25〜50μmの任意選択的な厚さを有し得る。フィルムには、いくつかあるコーティングの中で特に、例えば、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、エチレンペルフルオロエチレンプロピレン(EFEP)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリクロロトリフルオロエテン(Polychlorotrifluoroethene)(PCTFE)、ペルフルオロアルコキシ(PFA)を含む非活動(inert)フルオロポリマーなどの、様々な異なる材料が用いられ得る。任意選択的に、CPTフルオロポリマーが使用され得る。CPTは、Daikin America,Inc.から市販されている変性ペルフルオロアルコキシ(PFA)であり、かつ一般的に、重合中にPFA主鎖にPCTFE側鎖が追加され、それにより、標準的なPFAの気体および/または液体に対するバリア性すなわち遮断性を高める。任意選択的に、ヘッド54の外表面は、Daikin America,Inc.から市販されているDEMNUMなどのペルフルオロポリエーテル油で形成された剛性キャップ(図示せず)の形態にあるとし得、このペルフルオロポリエーテル油は、樹脂と混合され、かつフィルム、金型またはキャップに押出され得る。さらに、いくつかの実施形態によれば、フィルムコーティングに使用される材料は、延伸フルオロポリマーでなくてもよい。さらに、いくつかの実施形態によれば、添加剤、例えば液封セクションを構成するプランジャーの下層の部分へのフィルムまたはキャップの接着性を高め得るおよび/またはそのセクションと筒の側壁との間の摩擦を低下させ得る添加剤を、フィルムまたはキャップ用の材料に添加し得る。さらに、いくつかの実施形態によれば、例えば、コロナ処理などの、接着性を高めるコーティングまたはプロセスを用い得る。いくつかの適用例に関し、フィルムを形成するために、異なる材料を共押出することが望ましいとし得る。例えば、共押出フィルムの組み合わせは、いくつかある組み合わせの中で特に、環状オレフィンコポリマー(COC)とAclar、ポリエチレン(PE)とAclar、およびFEPとPEを含み得る。
任意選択的に、フィルム材料が金型に挿入された後、プランジャー材料が金型に射出される。それゆえ、最終製品では、プランジャーの液封セクションは、プランジャーコアと、プランジャーコアのチップに配置されたポリマー製ヘッドと、ヘッドを覆うフィルムとを含み得る。あるいは、高デュロメータの滑らかなTPE材料を液封セクションとして使用し、かつそこにフィルムを全く配置しなくてもよい。
フィルム56が液封セクションの滑らかな外面を提供するために使用される場合、フィルムは、ヘッド54に様々な方法で固定され得る。例えば、図3Aに示すように、フィルム56のシートが、ヘッド54の周囲に巻かれて、そのフィルムのシートの、その縁と隣接する部分58は、図2A〜2Cおよび図3Aに示すようなヘッド54にある凹部60内に配置され得る。凹部60は、突起40の形状と対となる形状である。それゆえ、突起40が凹部に挿入されて、中心コア32の遠位端部にヘッド54を装着すると、フィルム56の縁部分58は、そこに閉じ込められる。中心コア32へのヘッド54の固定は、圧入、圧縮リブ、または中心コアにヘッドをしっかりと固定するための任意の他の好適な手段によって、達成され得、フィルムの縁部分はそれらの間に閉じ込められる。
図4Aおよび図4Bは、本発明に従って構成された別の切り替え可能なプランジャー124を示す。プランジャー124は、基本的には、ヘッド154がしっかりと固定されている遠位端部135を有するシリンダー状中心コア132を含む。ヘッド154は、ヘッド54と同様であり、およびこの実施形態の液封セクション136の一部分を形成する働きをする。上述のフィルム56と同様のフィルム156のシートが、ヘッド154に巻かれ、その縁部にあるフィルムの複数の部分が、コア132とシリンダー状スリーブ160との間に閉じ込められる。スリーブ160は、細長く剛性のチューブ状部材であり、その内径は、中心コア132の外径よりもほんのわずか大きい。スリーブの内面は、その遠位端部において、環状の内側凹部162を含む。スリーブの外面は、その遠位端部において、環状貯蔵部プラットフォーム144を含む。内側凹部162は、フィルム156の縁部分を受け入れて閉じ込めるように構成されている。貯蔵部プラットフォーム144は、貯蔵部プラットフォーム44と機能が同様である、すなわち、プランジャー124が貯蔵モードにあるときに、切り替え可能なプランジャー124の貯蔵部シーリングセクション134を受け入れて保持するように配置されている。その貯蔵部シーリングセクション134は、Oリング38と同様の材料で形成されたリング138を含むが、リング138は、わずかに凹面形の外面140を備えて、ほぼ矩形の断面を有する。リング138の外面140の上縁および底縁は一対の環状リブ142の形態にあり、それらそれぞれが、切り替え可能なプランジャー124で構成されたプランジャーアセンブリが係合位置においてシリンジの筒12内に配置されるときに、筒の内面を緊密に係合する係合面を形成する。その係合によって、リング138と筒の内面との間に良好な気密および液密境界面が生じる。
Oリング38のようなリング138は、係合位置から解放位置へ動かされ、するとすぐ、もはや筒の内面と係合しなくなるように配置される。それを達成するために、スリーブ160は、貯蔵部プラットフォーム144にすぐ近接して配置された円錐形テーパリングセクション146を含む。円錐形テーパリングセクション146の近位端部は、シリンダー状セクション148内で終端し、その外径は、凹部144の外径よりも小さい。それゆえ、切り替え可能なプランジャー124を含むプランジャーアセンブリが押されて、シリンジの筒12内で遠位方向に動かされると、Oリング138が、貯蔵部プラットフォーム144から動き、かつ中心コアに対して近位方向に摺動し、するとすぐ、リング138のリブ142は、もはや、筒の内面14と係合しなくなる(または少なくともそれとの係合を弱める)。そのようなものとして、プランジャーアセンブリは、最小限の力で、筒を下方に滑らかに摺動させられ得る。切り替え可能なプランジャー124の液封セクションは、切り替え可能なプランジャー24を参照して説明したものと同様の方法で動作し、それゆえ、簡略にするため、繰り返さない。
切り替え可能なプランジャー124を構成する構成要素の組み立てを容易にするために、中心コア132は、それに沿って縦方向に延在しかつ中心コアの周辺に等距離で離間した複数の細長い通気用溝またはチャンネル170を含む。溝またはチャンネル170は、スリーブが中心コアに装着されたときに、スリーブ160と中心コア132との間に閉じ込められたいずれの空気も、スリーブの底から出るまたは通気させることができるようにする。あるいは、通気用スロットまたはチャンネルが、中心コア132の外面にではなく、スリーブ160の内面に設けられてもよい。実際、通気用スロットは、スリーブの内面および中心コアの外面の双方に設けられてもよい。いずれの場合も、スリーブと中心コアとの間のいずれの空気も通気させることによって、フィルム156の縁部分を環状の内側凹部162内でスリーブと中心コアとの間に、迅速におよびきれいに閉じ込めることができる。
切り替え可能なプランジャーのさらに別の実施形態を、図5Aおよび図5Bに示し、およびここで説明する。その切り替え可能なプランジャーは、参照符号224を付され、および構成が、フィルム56の縁部分が露出されないように中心コアに対して閉じ込められる方法を除いて、上述のプランジャー24と同様である。簡略にするため、切り替え可能なプランジャー24と共通の切り替え可能なプランジャー224の特徴には、同じ参照符号が付され、およびそれらの構成および動作の詳細は繰り返さない。それゆえ、図に示すように、切り替え可能なプランジャー224は、中心コア32を含み、そこに、貯蔵部シーリングセクション34および液封セクション36が装着される。しかしながら、縁に隣接するフィルム56の部分は、ヘッド54内で、突起40と凹部60との間に閉じ込められない。その代わりに、それらの縁部分は、リテーナリング162とフランジ42との間に閉じ込められる。リテーナリングは、フィルム56のシートの縁部分の周囲に成形することによって、形成される。それを達成するために、断面が全体的にL字形状の環状キャビティ172を有する成形部材170が、フランジ42の箇所において中心コア32の部分の周囲に配置され、フィルム56のシートの縁部分がキャビティ172内に配置される。その後、任意の好適なプラスチック材料がキャビティ172内に射出されて、保持リング162を形成する。ひとたびそれが成し遂げられたら、成形部材170は除去され、フィルムの縁部分が保持リングの下側に閉じ込められたままにし、それゆえ、露出されないようにする。
図7〜9は、本発明のいずれかの実施形態によるプランジャーにフィルムを適用するための、3つの代替的な構成を示す。これらの構成では、フィルムは、本明細書で開示する他の構成で適用されたフィルムと同じように機能する;本明細書の他の箇所での本開示の大半が、図7〜9の実施形態の説明として十分であり、簡潔にするために繰り返さない。しかしながら、ここでは違いを述べる。フィルム56をヘッド54に巻くときに、フィルムにしわが寄る可能性を最小限にするために、フィルムは、ヘッド54内の凹部60にきれいに折り畳むことができるようなパターンに切断され得る。任意選択的に、凹部60内に剛性のポリマー製支持体61が配置されて、フィルム56の複数の部分との合わせ面をもたらす。図7に示すように、フィルム56の複数の部分は、剛性のポリマー製支持体61内へと曲がり、およびコア32と剛性のポリマー製支持体61との間に挟まれる。任意選択的に、いずれかの実施形態では、フィルムは、超音波溶接または接着剤によって剛性のポリマー製支持体61とかみ合う。
図8および図9に示すプランジャーの実施形態では、剛性のポリマー製支持体61は、ヘッド54の外径の方へ外向きに延在する環状リム61aを有する。コア32も、半径方向に延在する環状リム32aを含む。リム32aおよび61aは、互いにかみ合うように構成される。図8に示すように、コア32上のリム32aは、リム61aを覆うフィルム56セクションに突き刺さりかつリム61aに打ち込まれるように適合された、半径方向に離間した複数のマイクロニードル63を含む。それゆえ、組み立てられると、フィルム56は、リム32aと61aとの間に挟まれて、ヘッド54に固定される。図9の構成は、図8の構成と同様であるが、コア32上のリム32aが、半径方向に離間した複数の突起63を含み、これら突起が、フランジ61a上の半径方向に離間した複数の受口65とかみ合うように適合され、それにより、フィルム56をヘッド54に固定することを除く。他の実施形態に関して本明細書の他の箇所で説明したように、リブまたは溝は、コアまたは剛性のポリマー製支持体上に組み込まれて、コアを保持するための摩擦および通気をもたらし得る。剛性のポリマー製支持体61を含むことの任意選択的な利点は、超音波溶接または構成要素の打ち込みのオプションを可能にすることである。
ここで図10〜12を参照すると、本発明の態様による切り替え可能なプランジャー324の代替的な実施形態が示されている。切り替え可能なプランジャー324は、図1および図2A〜3Bのプランジャー24と、ある程度、構造的および機能的に同様であるが、重要な相違点がある。図1および図2A〜3Bのその対応物のように、切り替え可能なプランジャー324は、実質的に上述した通り、密封モード(貯蔵部シーリングセクションが係合位置にある)および滑走モード(貯蔵部シーリングセクションが解放位置にシフトされている)で動作するように構成されている。また、切り替え可能なプランジャー324は、図1および図2A〜3Bのプランジャー24のように、独立型貯蔵部シーリングセクションのプランジャータイプである。さらに、例えば、図1に示すアセンブリ20の実施形態によく似て、プランジャー324はプランジャーロッドに固定されて、プランジャーアセンブリを形成し得る。簡潔にするために、2つの実施形態間での同様の特徴(例えば、貯蔵部リングの材料、プランジャーがプランジャーロッドに固定される方法、プランジャーの基本的な機能など)は、ここでは詳細に説明しない。しかしながら、相違点に留意されたい。
切り替え可能なプランジャー324は、剛性中心コア332を含み、このコアは、シリンジに組み立てられると、注射筒(例えば、図1の注射筒12)の中心軸と同軸である。中心コア332は、好ましくは、射出成形可能な剛性の熱可塑性ポリマー、一層好ましくはポリオレフィン、例えばポリプロピレン(PP)、環状オレフィンコポリマー(COC)または環状オレフィンポリマー(COP)から作製され得る。液封セクション336は、プランジャーの中心コア332の遠位端部に装着される一方、貯蔵部シーリングセクション334は、液封セクション336の近位に配置される。貯蔵部シーリングセクション334は、中心コア332の一部分に装着されたユニタリーの貯蔵部リング338の形態で設けられる。この実施形態(および本明細書で開示する他の実施形態)では、中心コア332は、剛性リングキャリアの役目を果たし、これは、好ましくはリング338よりも剛性である。貯蔵部リング338は、中心コア332に向かって全体的に半径方向内側に向く内面339と、中心コア332から離れて全体的に半径方向外側に向く外面341とを含む。好ましくは、貯蔵部リング338が非圧縮状態にあるとき、内面339は、貯蔵部リング338の幅W338(近位端部と遠位端部との間)にわたる対称面の周りで対称である。また、貯蔵部リング338が非圧縮状態にあるとき、外面341は、好ましくは、貯蔵部リング338の幅W338にわたる対称面の周りで対称である。この対称の構成によって、切り替え可能なプランジャー324が貯蔵モードにあるとき、およびプランジャー324が投薬モードに移行するときに、貯蔵部リング338に安定性をもたらす。非対称の構成は、軸方向にリングの傾きまたはぐらつきを生じ得、リングのシーリング機能、および貯蔵モードから投薬モードへプランジャーが滑らかに移行するのを容易にするその能力を、損なう可能性がある。本質的には、切り替え可能なプランジャー24のOリング38と同じ目的を果たすが、切り替え可能なプランジャー324の貯蔵部リング338は、断面が丸くなく、それゆえ、具体的にOリング(図1および図2A〜3Bに示すような、全体的に丸い断面構造を有する貯蔵部リングを指す)ではなく、より適切に、貯蔵部リング(その基本的な機能および構造を示す)と呼ばれる。Oリングは、単に、貯蔵部リングの1つのタイプまたは形状である。
図示の実施形態(図10〜12)では、貯蔵部リング338の外面341は、3つの***(hill)またはリブ338aを含み、中央リブは、隣接するリブ338aから、中央リブの両側にある窪み338bによって分離されている。複数のリブ338aが、貯蔵部シーリングに冗長性を提供するように構成される。追加的な検討事項は、シリンジ内の圧力の変化(例えば、高高度での輸送中)によって、シリンジの液体内容物に気泡が生じて圧縮または膨張し、プランジャーをわずかに動かす可能性があることである。貯蔵部リング338上の複数のリブ338aは、プランジャー324がシリンジの非無菌領域内に動くリスクを低減するのを助ける。任意選択的に、内面339の輪郭は、貯蔵部リングの外面341の輪郭の鏡像である。例えば、外面341上のリブ338aは、リブ338aから180°に配置された内面339上の対応するリブ338cの真向かいで対向している。
特に、貯蔵部リング338は、係合位置にあるとき:(1)貯蔵部リング338と注射筒との間;および(2)貯蔵部リング338の内面と中心コア332との間の双方に、気密シールを提供するように構成される(同じことが、図1および図2A〜3BのOリング38および注射筒12および中心コア32に当てはまる)。貯蔵部リング338は、シーリングおよびシールの解放を最適にし、かつシリンジの内容物を投薬している最中にプランジャーが筒を下方に移動するときの、注射筒の内面との意図的でない接触を最小限にするかまたは好ましくは防止するように構成される。貯蔵部リング338のゴムのデュロメータを、そのような最適化に対する要因としており込み得る。
さらに、貯蔵部リング338は、中心コア332またはリングキャリアよりも、優先的に注射筒に接着することが好ましい。これは、貯蔵部リング338と中心コア332との間のシールが確実に最初に解放され(貯蔵部リング338は、最初は、筒に接着し続けるが)、貯蔵部リング338を非密封位置まで動かして、切り替え可能なプランジャー324が滑走モードに滑らかに移行できるようにするためである。注射筒への貯蔵部リング338の優先的な接着はまた、好都合にも、シリンジの近位の(かつおそらくは非無菌の)端部に向かうプランジャー324の動きに抵抗する。注射筒への貯蔵部リング328の優先的な接着は、例えば、中心コア332への流動性潤滑剤のコーティングによって、任意選択的に達成され得る。そのような潤滑剤は、例えば、遊離シリコーンオイル、架橋シリコーンオイル(例えば、プラズマ架橋による)、またはシリコーン上での焼成(baked on silicone)の形態のPDMSを含み得る。あるいは、中心コア332は、フッ素化潤滑剤、例えば、テフロン(登録商標)(Teflon)、パリレン、またはプランジャーフィルムまたはキャップ材料として使用するために本明細書で開示される任意のフッ素化ポリマーで被覆され得るかまたはそれに埋め込まれ得る。あるいは、中心コア332は、任意選択的に前駆体としてオクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を使用して、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)によって適用された潤滑性コーティングを備え得る。そのようなコーティングは、米国特許第7,985,188号明細書(この全体を本願明細書に援用する)に説明されているように、pH保護コーティングまたは潤滑性コーティングの化学的性質を有し得る。上述の潤滑手段のいずれかが、貯蔵部リングとリングキャリアとの間に設けられて、リングキャリアに沿った貯蔵部リングの軸方向の摺動を容易にし得る一方で、リングは、優先的に医療用筒の内壁に接着する。しかしながら、特に、プランジャー324の医療用筒接触面(貯蔵部シーリングセクション334および液封セクション336)も医療用筒の内面も、遊離シリコーンオイルなどの流動性潤滑剤に被覆されないことが非常に好ましい。本発明のこの好ましい態様では、切り替え可能なプランジャー324は、プレフィルドシリンジの適用例に「オイルフリー」の解決法を提供し、これは、上述の理由で好都合である。
中心コア332は、その遠位端部から、中心コア332から半径方向外向きに突出するフランジ342を含む、細長い剛性部材である。フランジ342の近位には、環状貯蔵部プラットフォーム344があり、これが、プランジャー324が貯蔵密封モードにあるときに、貯蔵部リング338を支持する。貯蔵部プラットフォーム344の近位には、円錐形テーパリングセクションまたは漸進的な移行領域346があり、これは、シリンダー状セクションまたは投薬部プラットフォーム348で終端し、その外径は、貯蔵部プラットフォーム344よりも小さい。投薬部プラットフォーム348はフランジ352で終端する。
切り替え可能なプランジャー324は、大部分は、図1および図2A〜3Bのその対応物と同じ方法で動作して、貯蔵密封モードから投薬モードへ移行する。これらの詳細は、ここでは、図10〜12のプランジャー324に照らして要約される。図10〜12に示すように、貯蔵部リング338は、貯蔵部プラットフォーム344上に配置される。この位置では、貯蔵部リング338は、それが配置される医療用筒に対する十分な圧縮をもたらすように構成されるため、気密および液密シールを提供し、それゆえ、CCIをもたらし、かつ所望の保存期間にわたって筒の内容物の無菌性を保護する。プランジャー324が医療用筒の遠位方向に前進し始めるときの、作動/使用時に、中心コア332は、貯蔵部リング338に対して遠位に摺動し、リング338を円錐形テーパリングセクションまたは漸進的な移行領域346へと、その後、最終的には投薬部プラットフォーム348にある端部へと移行させる。漸進的な移行領域346は円錐形状で示されるが、他の構成であっても、例えば、湾曲していてもよい。
貯蔵部リング338は、投薬部プラットフォーム348上に配置されると、医療用筒に対する圧縮を低下させるか、または全く圧縮しないため、プランジャー324を投薬モードにする。フランジ352は貯蔵部リング338を受け止め、それ自体を中心コア332の近位端部から切り離すのを防止する。これはまた、貯蔵部リングが筒からの解放に失敗する場合に、プランジャーの近位方向の動きを阻止するため、貯蔵部リング338が、注射筒内にある非無菌領域に接触するリスクを低減させる。
上述の通り、液封セクション336は、プランジャー324上の、フランジ342および貯蔵部シーリングセクションの遠位に配置される。液封セクション336は、筒の側壁との液密シールを提供し、かつまた、好ましくは筒の内容物に対するCCIを提供する。液封セクション336は、任意選択的に、他の実施形態に対して実質的に上述したように、フィルム356が巻かれたヘッド354を含む。図12に示すように、ヘッド354は、剛性の支持体361、好ましくはポリマー製支持体の上側を覆って配置されるエラストマー355などの弾力性材料を含む。剛性の支持体361は、好都合にも、剛性の表面を提供して、液封セクション336を中心コア332に固定または結合する。剛性の支持体361は、例えば、超音波溶接、接着剤、圧入、スナップ嵌めによって、または螺合によって、中心コア332の対となる中心凹部360内に固定されるステム363を含み得る。特に、超音波溶接が使用される場合、剛性の支持体361は、好ましくは、中心コア332と同じ材料(例えば、所望のポリオレフィン)である。任意選択的に、フィルム356の縁は、中心コア332の対となる中心凹部360内で終端し、かつその内部で固定され、フィルムの縁を組み立て後には露出させないようにするため、フィルム356とヘッド354との間の結合を強化する。
任意選択的に、ヘッド354は、二段階射出成形によって作製されてもよく、第一段階は、は、金型内への剛性の支持体361の射出であり、および第二段階は、金型内へのエラストマー355の射出であるか、またはその逆も同様である。そのような方法は、好都合にも、別々の構成要素を組み立ててヘッド354を作製する必要がない。二段階成形プロセスが使用される場合、材料は、エラストマー355および剛性のポリマー製支持体が一緒に結合するため、ユニタリー構造を形成できるようにするのに適合する必要がある。例えば、エラストマー355が、ポリオレフィンベースの熱可塑性エラストマーである場合、剛性の支持体361は、好ましくはポリオレフィン、他例えばPP、COPまたはCOCである。
このプランジャー構成は、いくつかの利点をもたらす。例えば、フィルム356は、剛性の内部構造に起因して、フィルムまたはヘッドの形状を歪めることなく、ヘッド354の上側を覆ってしっかりと巻かれ得る。さらに、剛性中心コア332は自動化を促しながらも、依然として、適切な液封をもたらすのに十分な弾力性のあるエラストマー355を提供する。さらに、この構成は、圧縮永久ひずみを受け得るエラストマー材料の量を最小限にする。
任意選択的に、フィルムは、以下のプロセスに従ってプランジャーヘッドの周りに巻かれ得る。そのプロセスは、以下のステップの1つ以上の任意の組み合わせを含む:(a)任意選択的に、ローラ上にフィルムを取り付けるステップ;(b)任意選択的に、成形用具にプランジャーヘッドを装填するステップ;(c)任意選択的に、フィルムをプレフォームに形成可能にするように設定された時間の長さ、ある温度までフィルムを加熱するステップであって、コントローラが、任意選択的に、非常に高温までフィルムを加熱するように設定される(例えば、コントローラの設定点は、少なくとも1000℃、好ましくは1200℃超、任意選択的に約1275℃である)ステップ;(d)任意選択的に、フィルムをプレフォーム成形用具内に引き入れるために真空を適用するステップであって、プレフォームは、プランジャーヘッドよりも小さいステップ;(e)任意選択的に、プレフォームを用いて、フィルムディスクをカットし、かつディスクをフォーミングステーションに移すステップ;(f)任意選択的に、カットディスクをプレフォームに周囲で固くクランプし、真空を使用してプレフォームを逆転させ、かつ逆転させたプレフォームを通してプランジャーヘッドを押し上げて、プレフォームを、プランジャーヘッドに一致するまで伸張させるステップ;(g)任意選択的に、プランジャーヘッドおよびプレフォームを、開口部に押し通して、プランジャーヘッドの後ろ側にある余分なフィルムを集め、第1のグリッパーによって円周上にフィルムおよびプランジャーヘッドを保持し、かつ第2のグリッパーを用いて、プランジャーヘッドの後ろ側にある余分なフィルムをクランプし、かつ第1のグリッパーを少なくとも180°、任意選択的に少なくとも270°、任意選択的に約720°の回転まで回転させるステップであって、そのような回転によって、プランジャーヘッドの周りでフィルムを締め付けるステップ;(h)任意選択的に、余分なフィルムをトリミングし、かつプランジャーヘッドを回転させて、プランジャーをフィルムから解放するステップ;および(i)任意選択的に、プランジャーヘッドの背面に対して縁をタンピングして切断する加熱タンピングダイを使用することによって、フィルムの縁に仕上げ加工を施すステップ。このプロセスは、成形プロセスの最中にフィルムをラミネートする伝統的な方法の代替例である。
プランジャーの寸法は、特定のニーズ、適用例および注射筒の直径に応じて変化し得る。出願人らは、ある特定の寸法が好都合とし得ることを見出した。プランジャーヘッド354は、液密シールを提供して、シリンジの液体内容物がプランジャーヘッド54を越えて漏れるのを防止する必要があり、これは、出願人らが「逆流」と呼ぶ現象である。試験を受けた6.48mmのシリンジにおいて液封セクション336のシーリング高さH336が3.0mmおよび直径が6.50mmの実施形態について、下記において実施例2で説明した。その実施形態は、全く漏れがなく、40Nの荷重をブロックすることに成功しており、その荷重は、遠位に、すなわち、液体内容物の投薬方向に加えられた(針は、液体がシリンジから出るのを防止するように、塞がれていた)。また、出願人らは、プランジャーヘッド354のエラストマー355の壁の厚さT355が滑走力に影響を及ぼすことを見出した。例えば1.00mmのT355は、1.45mmのT355よりも高い滑走力を有する。また、出願人らは、剛性支持体の幅W361が3.7mmであることが、いくつかの適用例に有益であることを見出した。
任意選択的に、図12Aに、液封セクションと注射筒との間の干渉領域を減少させることを目指す代替的な幾何学的形状を示す。図12Aは、最大直径における高さが0.75mmであることを示す。
好ましくは、液封セクションは、本発明の態様に従って、ガス(例えば、酸素)シーリングではなく、CCIレベルのシーリングをもたらすように構成され得る。
本明細書で説明するように、用語「中心コア」(例えば、32または332)または「スリーブ」(図4Aおよび図4Bに示す実施形態のスリーブ160の場合)は、そこに直接配置された貯蔵部リングまたはOリングを含む。リングまたは貯蔵部シーリングセクションが配置される中心コア、スリーブまたは任意の他の要素は、本明細書では、一般的に「リングキャリア」と呼ばれ得る。リングキャリアは、どんな形態をとっていても、剛性である必要がある。剛性リングキャリアは、貯蔵部リングに必要な支持および寸法公差をもたらし、プランジャーが貯蔵モードにあるときには、所望のおよび正確なレベルの圧縮に達し、かつプランジャーが投薬モードに移行するときには、滑らかに解放する(使用者によって知覚されることがほとんどまたは全くない)。貯蔵部リングおよびプランジャーは、概して、一般にとても小さいことを心に留める必要がある。プランジャー構成要素は、一般に小径の注射筒において滑らかに動作する必要があるため、厳しい寸法公差が必要とされる。剛性リングキャリアは、そこに配置された貯蔵部リングが圧縮するときに、圧縮しない。このようにして、貯蔵部リングは、一方では、プランジャーが貯蔵モードにあるときには適切なシールを、および他方では、プランジャーが投薬モードに移行されるときには滑らかな移行およびプランジャー力をもたらすように構成されるリングの設計において、考慮する必要がある唯一の変数である。この構成は、圧縮性リングキャリアに遥かに好ましい。なぜなら、それにより、適切なシールおよび所望のプランジャー力を達成するために、複雑さおよび難しさのレベル(すなわち、別の変数)を追加するためである。
任意選択的に、いずれかの実施形態では、液封セクションは、別々の構成要素であり、およびリングキャリアとは異なる組成物で作製される。例えば、リングキャリアは、ポリオレフィンから作製され得るが、液封セクションは、硬質ポリマー骨格上の、フルオロポリマーで覆われた射出成形TPEとし得る。そのような場合には、液封セクションは、剛性リングキャリアと比較して、より柔軟性(および弾力性)がある。本発明によるプランジャーのいずれかの実施形態では、液封セクションは、剛性リングキャリアよりも柔軟性および弾力性があるとし得る。
本発明人らは、貯蔵部リングの注射筒への挿入は派生的であることに気付いた。例えば、ひとたびプランジャーヘッドが注射筒内に挿入されたら、貯蔵部プラットフォーム上での貯蔵部リングの摺動(例えば、シャフト/スリーブを使用して)は、貯蔵部リングのねじれによるおよび周方向の歪みを引き起こし得る、および/または貯蔵部リングと液封セクションとの間に望ましくない「圧力ゾーン」を生じ得ることを発見した。2つのシーリングセクション間に加圧空気を閉じ込めるそのような圧力ゾーンは、時間と共に貯蔵部リングを押し戻す傾向を有することがあり、かつプレフィルドシリンジの液体内容物に対して望ましくない圧力を生じ得る。
これらの問題に対処するために、本発明人らは、図21〜23Cに示す切り替え可能なプランジャー724の代替的な実施形態を開発した。プランジャー724は、図10〜12のプランジャー324と、ある程度、構造的および機能的に同様であるが、プランジャー724の構成および組み立てには重要な相違点がある。図10〜12のその対応物のように、切り替え可能なプランジャー724は、実質的に上述したように、密封モード(貯蔵部シーリングセクションは係合位置にある)および滑走モード(貯蔵部シーリングセクションは解放位置にシフトされている)で動作するように構成されている。また、切り替え可能なプランジャー724は、独立型貯蔵部シーリングセクションのプランジャータイプのものである。簡潔にするために、2つの実施形態間で同様の特徴(例えば、貯蔵部リングの材料および構成、プランジャーがプランジャーロッドに固定される方法、プランジャーの基本的な機能など)については、ここでは詳細に説明しない。しかしながら、相違点について述べ得る。切り替え可能なプランジャーは、シリンジ(例えば、図1の注射筒12)内へ組み立てられるときに注射筒の中心軸と同軸の剛性中心コア732の形態のリングキャリアを含む。貯蔵部リング738の形態の貯蔵部シーリングセクション734は、中心コア732の一部分に装着される。中心コア732は、細長い剛性部材であり、その近位端部から、環状投薬部プラットフォーム748に隣接しているフランジ752(例えば、螺合またはスナップ嵌めによってプランジャーロッドに固定され得る)を含む。投薬部プラットフォーム748の遠位には、環状貯蔵部プラットフォーム744に至る急勾配の環状の移行領域746がある。移行領域がより急勾配であるかまたは険しいほど、貯蔵モードから投薬モードへのプランジャーの移行はより滑らかになることが分かった。中心コア732の外径は、貯蔵部プラットフォーム744の遠位で狭まって、環状挿入部プラットフォーム770の2つの弾力性プロング772を形成し、その機能について下記で説明する。
図10〜12の実施形態とは違って、中心コア732は、コネクタ本体780の近位端部に装着される(貯蔵部シーリングセクション336の近位端部とは対照的に)。コネクタ本体780は、好ましくは剛性(例えば、ポリマー)、かつ全体的にシリンダー状の部材であり、その近位端部は、中心コア732の弾力性プロング772を収容してそれに接続する。液封セクション736は、図10〜12の液封セクション336が中心コア332に装着されるのと本質的に同じ方法で、コネクタ本体780の遠位端部に装着される。液封セクション336に関する上記の説明は、図21〜23Cのプランジャー724に関する同じ説明で十分である。液封セクション736は、任意選択的に、フィルム756が巻かれたヘッド754を含むことが簡単に述べられるだけである。特に、フィルム756は、ヘッド754の周りに全体に巻かれ、かつヘッド754の下面に沿って続いて、ここではフィルム756は、ヘッド754とコネクタ本体780との間に挟まれる。ヘッド754は、例えば、超音波溶接、接着剤、圧入、スナップ嵌めによって、または螺合によって、コネクタ本体780の対となる中心凹部760内に組み立てられかつそれに固定されるステム763を含む。
コネクタ本体780は、幅広の開口部776に至る軸方向チャンネル784を含み、この開口部は、任意選択的に、コネクタ本体780の中心部分全体に、軸方向チャンネル784の中心軸に対して垂直な方向に孔をあける。この構成は、コネクタ本体780の射出成形を単純にする。開口部776は、軸方向チャンネル784が開口部776と交わる個所に隣接して、リッジセクション782を含む。プロング772は、それらの遠位端部において、半径方向外向きに突出する当接部774を含む。当接部774は、リッジセクション782の下部に保持されて、中心コア732をコネクタ本体780に固定する。
中心コア732をコネクタ本体780に組み立てるために、2つの構成要素を整列させて、軸方向に中心合わせする必要がある。その後、中心コア732のプロング772がコネクタ本体780の軸方向チャンネル784に挿入される。軸方向チャンネル784は、例えば、軸方向チャンネル784の近位端部にある環状面取り部786によって、プロング772の挿入を容易にするように構成されている。プロング772が面取り部786に接触すると、プロング772は、半径方向内向きに弾力的に曲がるかまたは圧縮するように促されるため、プロング772および当接部774は、プロング772が軸方向チャンネル784内で遠位に動かされるときに、軸方向チャンネル784内に全体的に嵌る。ひとたび当接部774が幅広の開口部776に完全に到達すると、プロング772は、それらの圧縮状態から解放され、および当接部774は、リッジセクション782の下部に保持され、中心コア732がコネクタ本体780から分離されるのを防止する。要するに、プロング772は、スナップ嵌め構成で中心コア732をコネクタ本体780に固定する。これは、ここで説明するように、注射筒内へプランジャー724を組み立てる最中に、利点をもたらす。
図22Aおよび図22Bは、貯蔵部リング738が、中心コア732を経由して、コネクタ本体780および液封セクション736のサブアセンブリ上に組み立てられ、それゆえ、切り替え可能なプランジャー724の完成品を形成する方法を示す概略図である。図22Aは、プランジャー724を形成するために完全に組み立てる直前の構成要素を示す。図示の通り、中心コア732の遠位端部は、コネクタ本体780の軸方向チャンネル784内にわずかに突出しているだけであるため、まだそれに固定されていない。特に、この位置では、貯蔵部リング738は、中心コア732またはリングキャリアの環状挿入部プラットフォーム770に配置されている。環状挿入部プラットフォーム770は、環状貯蔵部プラットフォーム744よりも小さい外径を有する。そのようなものとして、貯蔵部リング738の外径は、図22Bに示すように貯蔵部プラットフォーム744に配置されるときのリング738の外径よりも、対応して小さくなる。貯蔵部リング738の比較的小さい外径は、挿入部プラットフォーム770の周りに配置されるとき、リング738が筒壁に接触しないかまたはそれと最小限にしか接触しないようにして、注射筒内へのリング738の挿入を容易にするように構成される。挿入部プラットフォーム770上にあるとき、密封リング738は、リング738が注射筒の近位端部へと簡単に摺動する「載荷位置」にある。プロング772が、コネクタ本体780の軸方向チャンネル784内へと下方へ促されて、最終的にそれに中心コア732を固定するため(図22Bに示すように)、貯蔵部リング738は挿入部プラットフォーム770上の載荷位置から係合位置へと移行し、ここでは、リングは貯蔵部プラットフォーム744の周囲に配置される。任意選択的に、図22Bに示すように、プランジャーが貯蔵モードにあるとき、リング全体738が貯蔵部プラットフォーム744の周囲に配置される。換言すると、貯蔵モードにあるときにはリング738のどの部分も投薬部プラットフォームに接触しない。これにより、貯蔵部リング738の安定性を促すのを支援する。同様に、図21に示すように、プランジャー724が投薬モードにあるときには、リング全体738は、任意選択的に、投薬部プラットフォーム748の周囲に配置され、これにより、投薬中の安定性を促す。
特に、上述のプロセスでは、リング738は、リング738を係合モードに設定するために、機器と別々に駆り立てられたりまたは押し込まれたりしない。むしろ、リング738は、中心コア732をコネクタ本体780に装着する前、リングを中心コア732上の載荷位置に配置することによって、筒の側壁の抵抗がほとんどまたは全くない状態で、注射筒内へ挿入される。図22Aおよび図22Bの双方から分かるように、リング738は、リングが載荷位置および係合位置にあるとき、コネクタ本体の近位端部にぴったりとくっついている。換言すると、リング738は、載荷する最中は定位置に留まるが、中心コア732はリングに対して動く。リング738が筒の側壁に対して圧縮する前および後の双方とも、リング738とコネクタ本体728との間に空間はなく、貯蔵部リング738と液封セクション736との間に「圧力ゾーン」はない。それゆえ、この設計は、貯蔵部リングを歪ませずにまたは望ましくない圧力ゾーンを生じることなく載荷するという、上記で特定された問題に対処している。
図23A〜23Cの概略図は、切り替え可能なプランジャー724の構成要素がプレフィルドシリンジ内に装填されて組み立てられ得る方法を、より完全に示す。図23Aに示すように、液封セクション736およびコネクタ本体780のサブアセンブリが、伝統的なプランジャー装填方法で、プランジャーに装填される。これら方法は、通気管、真空装填および真空補助を含み、これら全てを下記で説明する。次に、貯蔵部リング738および中心コア732のサブアセンブリが、リング738を中心コア732のプロング772上の載荷位置738に配置することによって、作り出される。図23Cに示すように、貯蔵部リング738および中心コア732のサブアセンブリが、例えばプッシュロッドによって、またはそれに組み立てられたプランジャーロッドによって、コネクタ本体780とのスナップ嵌めが確立されるまで、挿入されて、係合モードで装填された、完全に組み立てられた切り替え可能なプランジャーを形成する。筒にプレフィルドされた液体が、中心コア732をコネクタ本体780に組み立てるときに加えられる下向きの力に対抗するのに必要な抵抗をもたらすことが考えられる。その後、他の実施形態で説明した通りに、プランジャー724を係合位置(図23Cに示す)から解放位置(図21に示す)へ切り替えさせるために、プランジャー724が使用され得る。プランジャー724の拡張状態は、比較的剛性の内部部分、この場合はリングキャリア732の貯蔵部プラットフォーム744によってもたらされた半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすためにプランジャーの内部部分に適用される動作によって、収縮状態まで縮小できることに留意されたい。リング738は、切り替え可能なプランジャー724に対して遠位方向に設定力を加えることによって、拡張状態に設定される。プランジャーを収縮状態まで縮小させる動作は、切り替え可能なプランジャー724に対して遠位方向に作動力を加えることを含む。そのような好ましい実施形態では、プランジャー724は、投薬モードに移行する前に、引き戻されたり、またはそれを設定するために準備されたり、またはそれを係合モードから取り外されたりする必要はなく、その後、注射剤を投薬する。
図24は、図24の貯蔵部リングの断面が図21の断面と比べて代替的な幾何学的形状であることを除いて、図21のプランジャーと同一の代替的な切り替え可能なプランジャーの軸方向断面図である。図24Aは、貯蔵部リングの断面の代替的な幾何学的形状を強調する図24のプランジャーの部分拡大図である。図示の通り、代替的な貯蔵部リング738iは、リングキャリアから全体的に半径方向外側に向く外面を含む。その非圧縮状態では、リング738iは、近位端部738p、遠位端部738d、および近位端部738pと遠位端部738dとの間の半径方向対称面PSを含む。任意選択的に、半径方向対称面PSは、近位端部738pおよび遠位端部738dから等距離にある。リング738iの外面は、半径方向対称面PSの両側で対称である。任意選択的に、リング738iは、その非圧縮状態では、内側面の所与のリブが貯蔵部シーリングセクション734iの外側面のリブと対向するように、構成されている。これらの特徴は、リング738iの安定した載置および平行移動を容易にするのを支援し得る。さらに、リング738bの遠位端部は、環状面取り部786に配置されるかまたはそれに対して押圧されることなく、コネクタ本体780の近位端部785に接触する。
注射筒内へ切り替え可能なプランジャーを組み立てるための追加的な方法および装置
本明細書で説明する例示的な実施形態によって示されるような切り替え可能なプランジャーの新規の構成を考慮すると、充填動作後にプレフィルド注射筒内へ従来のプランジャーを組み立てるための伝統的な方法は、単独では、注射筒内へ切り替え可能なプランジャーを組み立てるのに十分ではない。しかしながら、伝統的な方法は、注射筒内へ切り替え可能なプランジャーを組み立てるための新規の方法の態様に組み込まれ得る。
プレフィルドシリンジ内に従来のプランジャーを組み立てるための伝統的な方法は3つある。第1の方法は、通気管を使用することであり、ここでは、プランジャーは、シリンジ内に配置される管を通して押され、および管の底部から、注射筒内でのその最終位置へと出る。第2の方法は、シリンジ内に生み出される真空を使用し、およびプランジャーがシリンジの開口部に導入されることである。差圧によって、プランジャーを筒内で下方へ最終位置まで押し進める。真空補助として公知の第3の方法は、真空を生み出し、およびさらに、プランジャーをその最終位置にするのを補助する機械的な要素を含む。ここでも、これらの伝統的な方法は、ある程度、注射筒内への切り替え可能なプランジャーの組み立てを達成するために使用され得る。しかしながら、切り替え可能なプランジャーはプランジャーヘッドを注射筒内に配置することだけでなく(これは、例えば、上記で引用した伝統的な方法のうちの1つによって行われ得る)、貯蔵部シーリングセクションを係合位置に設定することも必要とするため、伝統的な方法/装置は、切り替え可能なプランジャーを医療用筒、例えばシリンジ内に適切に組み立てるのに必要なものが整っていない。本明細書のこのセクションは、切り替え可能なプランジャーを注射筒内へ組み立てるための様々な方法および装置について説明している。図6A〜6E、図13〜16Bおよび図18は、独立型貯蔵部シーリングセクションのプランジャータイプの実施形態を注射筒内に組み立てる装置を示す。図16A〜17Bは、インサートおよびスリーブ型のプランジャータイプの実施形態を注射筒内に組み立てる装置を示す。
独立型貯蔵部シーリングセクションプランジャーの実施形態は、貯蔵部リングが、最初に係合モードに(すなわち、その最大直径に)位置決めされている場合、注射筒内へのプランジャーの自動挿入を達成することを困難または不可能にし得るという問題を提起する。それゆえ、出願人らは、そのような実施形態は、初めに、貯蔵部リングが(拡張)係合位置にある状態でシリンジ内に挿入されるのではなく、代わりに(収縮)解放位置にある状態で挿入されることが好ましいと決定した。ひとたびプランジャーが、最初に、例えば伝統的な方法によって、筒内に挿入されたら、貯蔵部リングは解放位置から変位され、かつ商業的利用の係合位置に設定され得る。
ここで図6A〜6Eを参照して、シリンジの筒12内のプランジャーアセンブリ20を構成する構成要素の組み立ての詳細を説明する。それを達成するために、切り替え可能なプランジャー24は、そのOリング38がフランジ52のすぐ下に配置されている状態で提供される。それゆえ、Oリングはその収縮状態になるため、筒に導入されるときに筒の内部表面に係合しない。切り替え可能なプランジャー24がその状態にある状態で、筒12の近位開放端部に導入され、かつ図6Aに示すようなプランジャーアセンブリがその係合位置にあるときにそれがあるだろう縦方向位置まで、自由に摺動する。その後、図6Bに示すように、中心コア32のフランジ52の外径よりもわずかに大きい内径のチューブ状ツール180が、中心コアのその部分にわたって摺動されて、その下側に配置されたOリング38の一部分と係合する。その後、ツール180は下方に押されて、Oリングを中心コアに沿って遠位方向に摺動させ、するとすぐ、図6Cに示すように、円錐状セクション46に乗り上がり、それゆえ半径方向外側に伸張される。ツールを押圧し続けると、最終的には、図6Dに示すようにOリングを環状凹部44内へと摺動させ、するとすぐ、保持位置にぴったりと嵌る。ひとたびそれが成し遂げられたら、ツール170を取り除き、およびその後、プランジャーロッド22が切り替え可能なプランジャー24に接続され得る。それを達成するために、プランジャーロッド22の遠位端部にあるネジ突起26が中心コア内のネジ穴28にねじ込まれることができ、それにより、シリンジの筒内でのプランジャーアセンブリの組み立てを完了する。
図13を参照すると、例えば、図10〜12の切り替え可能なプランジャー324を注射筒内に設定するために使用されるプランジャー挿入装置1000の任意選択的な実施形態が示されている。組み立て方法の第1のステップとして、上述の通り、伝統的な方法(例えば、通気管、真空または真空補助)のうちの1つが、最初にプランジャー324を注射筒内に配置するために用いられ得る。装置1000は、第2のステップにおいて、リング338を、投薬部プラットフォーム348上の初期位置から中心コア332の貯蔵部プラットフォーム344上の位置まで変位させることによって、係合モードに設定するために使用される。
装置1000はマウント1010を含み、このマウントは、最初に、プランジャー位置決めロッド1004を使用して、プランジャーの動きが止まる点である停止部1012によって位置決めロッド1004のフランジ付き端部1006が阻止されるまで、プランジャー324全体を、遠位に、Dで示す方向に駆動する。連続的な下向きの動きによって、プランジャー位置決めロッド1004の近位端部に取り付けられたバネ1008は潰れ、それにより、マウント1010によって方向Dに軸方向に遠位に駆動される挿入管1002を遠位に動かし続け、貯蔵部リング338を係合位置または貯蔵密封モードに変位させる。
図14A〜Cを参照すると、例えば、図10〜12の切り替え可能なプランジャー324を注射筒内に設定するために使用されるプランジャー挿入装置1020の代替的な任意選択的な実施形態が示されている。組み立て方法の第1のステップとして、上述の通り、伝統的な方法(例えば、通気管、真空または真空補助)のうちの1つが、最初にプランジャー324を注射筒内に配置するために用いられ得る。装置1020は、第2のステップにおいて、リング338を、投薬部プラットフォーム348上の初期位置から中心コア332の貯蔵部プラットフォーム344上の位置まで変位させることによって、係合モードに設定するために使用され得る。
装置1020は、内側および外側構成要素を含むチューブ状構造(通気管と同様)を作動させるマウント1030を含む。すなわち、挿入管1022は、貯蔵部リング338を方向Dに、遠位に、駆動する一方で、外側収縮管1023が最初はリング338の外径を取り囲んで拘束するように、構成される。ひとたびリング338が中心コア332の貯蔵部プラットフォーム344の周囲に配置されたら、管構造が引っ込んで(図14B)、収縮管1023がリング338を解放して、リング338が係合位置において筒壁と接触できるようにする。装置1020は、さらに、バネ1028、停止部1032およびプランジャー位置決めロッド1024を含み、これらは、実質的に、図13の装置1000の同様の構成要素に関して上述したように機能する。マウント1030は、最初に、挿入管1022の近位端部にあるリム1026が、プランジャーの動きが止まる点である停止部1032によって阻止されるまで、プランジャー位置決めロッド1024を使用してプランジャー全体324を遠位に、方向Dに駆動する。しかしながら、バネ1028は、その点を越えて収縮管1023が進み続けるようにする。収縮管1023は、最初に、リング338の外径を捕捉し、その後、最終位置まで動く。挿入管1022はマウント1030とは無関係に動き、挿入管1022が貯蔵部リング338に係合して、収縮管1023が密封リング338を捕捉するフェーズの最中にそれを支持することができるようにする。挿入管1022は適所に留まって、密封リング338を係合位置に保持する一方で、収縮管1023を引っ込める。
図15Aおよび図15Bを参照すると、例えば、図10〜12の切り替え可能なプランジャー324を注射筒内に設定するために使用されるプランジャー挿入装置1040の代替的な任意選択的な実施形態が示されている。組み立て方法の第1のステップとして、上述の通り、伝統的な方法(例えば、通気管、真空または真空補助)のうちの1つが、最初にプランジャー324を注射筒内に配置するために用いられ得る。装置1040は、第2のステップにおいて、リング338を、投薬部プラットフォーム348上の初期位置から中心コア332の貯蔵部プラットフォーム344上の位置まで変位させることによって、係合モードに設定するために使用され得る。
貯蔵部リング338の外径は、最初は、取り外し可能なチューブ状構成要素1042の収縮作用部分1043によって拘束される。構成要素1042は、シリンジに挿入される前のプランジャー324の製造時または使用時には、適所に配置され得る。プランジャーの製造時に取り外し可能なチューブ状構成要素1042が適所に配置される場合、構成要素1042は、使い捨てとし得る。取り外し可能なチューブ状構成要素1042が使用時に適所に配置される場合、構成要素1042は再使用可能とし得る。ひとたび貯蔵部リング338が貯蔵部プラットフォーム344上に配置されたら、取り外し可能なチューブ状構成要素1042は引っ込み、および貯蔵部リング338は係合位置へと拡張する。
上述の他の実施形態のように、装置1040は、マウント1050、バネ1048およびプランジャー位置決めロッド1044を含む。任意選択的に、ロッド1044は、プランジャー324に入れ子式にはまり込んでこれを位置決めし、かつ取り外し可能なチューブ状構成要素1042に係合してそれを除去する。さらに、取り外し可能なチューブ状構成要素1042を通過して貯蔵部リング338に係合する外枠1045がある。取り外し可能なチューブ状構成要素1042が引っ込められる間、独立した動きによって、密封リングを所望の位置に保持する。
ここで図18を参照すると、切り替え可能なプランジャー624の代替的な実施形態が示されている。図10〜12の実施形態のように、プランジャー624は、剛性の内部支持体661に固定されるプランジャーヘッド654上にフィルム656を含む。プランジャー624はまた、中心コア632を含むが、本明細書で開示する他の実施形態とは異なり、中心コア632は、周囲条件、例えば湿分、酸素または非無菌条件に曝されない。この実施形態では、貯蔵部リング638は中心コア632の近位端部を覆い、かつまた、気密シールをもたらして、周囲環境からシリンジの内容物を保護する。リング638は、3つのリブ638aを含み、窪み638bが中央リブ638aの両側にある。そのような複数のリブ付き構成は、上述した理由で好都合である。内部シールアクチュエータ655が中心コア632の近位部分の周囲に位置決めされ、かつ一部は貯蔵部リング638によって取り囲まれる。シールアクチュエータ655は、中心コア632上で摺動するように構成されている。アクチュエータ655の外側の輪郭は、2つの傾斜セクション(a、c)と、それらの間の平坦セクション(b)とを含む。
内部アクチュエータ655は、中心コア632上に組み立てられ、および中心コア632の材料は、アクチュエータ655を保持するために、その上側で変位され得る(例えば、ピーニング、超音波エネルギー、溶融などによって)。その点において、貯蔵部リング338は、中心コア632上に組み立てられ得る。傾斜部(a)は貯蔵部リング338を保持し得る。
プランジャー624は、最初は真空または真空補助によって、筒内に挿入され得る。リング638を係合位置に設定するために、リング638は遠位に変位され、それにより、次に、内部シールアクチュエータ655を遠位に動かすため、平坦セクション(b)がリブ638aを筒壁に対して圧縮する。真空補助が、プランジャーの組み立ての方法ステップとして使用される場合、図16A(上述)に示すようなテレスコーピングすなわち伸縮要素を使用して、中心にあるリング338を最初に変位させてプランジャー624を位置決めし、その後、アクチュエータ655を適所に動かすために、より大きな直径の管を変位させ得る。
使用中、切り替え可能なプランジャー624は、単に遠位に押すことによって作動され、シリンジの内容物を投薬し得る。初期の動きによって、アクチュエータ655をさらに変位させて、貯蔵部リング638を係合位置から解放し、かつ投薬位置へ移行させる。引き続き動くことによって、筒の下方へプランジャー624を遠位に変位させる。
上述の通り、インサートおよびスリーブ型のプランジャータイプの実施形態を注射筒内へ組み立てる方法および装置についても、本明細書で詳細に説明する。そのような1つの装置が、図16Aおよび図16Bに示されている。インサートおよびスリーブ型切り替え可能なプランジャー424は、好ましくは、貯蔵部シーリングセクション434および液封セクション436を有するエラストマー製プランジャースリーブ423を含む。プランジャースリーブ423は、さらに、内部キャビティ447、448、450を含み、これらは、互いに連通し、かつインサート442の可動挿入を受け入れるように構成されている。キャビティ448は、貯蔵部シーリングセクション434に隣接している。プランジャー424が係合位置にあるとき、インサート442はキャビティ448内に配置されて、貯蔵部シーリングセクション434を注射筒壁に対して圧縮する。投薬モードに移行するために、インサート442は、キャビティ448からキャビティ450へ前進させられる。
最近位キャビティまたは前部装填(pre−load)キャビティ447は、プランジャー424を注射筒内に組み立てるときにインサート442の初期の箇所にある。この位置では、プランジャーは、注射筒に対して気密圧縮をもたらさず、プランジャー424を遠位にシリンジ内の所望の点まで前進できるようにする。そのような挿入は、プランジャー挿入装置1060によって達成され得る。装置は、マウント1070、バネ1068、中心ロッド1064、外側スリーブ1062、中心ロッド1064のフランジ付き端部1066、および停止部1072を含む。ロッド1064は、シリンジによってプランジャー424を適切な個所に配置する。プランジャーが位置決めされた後も、圧潰スリーブ1062は遠位に動き続ける。継続的な動きによって、インサート442をキャビティ448内へと動かし、そこで、貯蔵部シーリングセクション434は、商品流通用の係合位置に設定されることになる。
図17Aおよび図17Bを参照すると、インサートおよびスリーブ型切り替え可能なプランジャー524用のプランジャー挿入装置1080が示されている。プランジャー524は、好ましくは、貯蔵部シーリングセクション534および液封セクション536を有するエラストマー製プランジャースリーブ523を含む。プランジャースリーブ523は、さらに、内部キャビティ547、548および550を含み、これらは、互いに連通し、かつインサート542の可動挿入を受け入れるように構成されている。キャビティ548は貯蔵部シーリングセクション534に隣接している。プランジャー524が係合位置にあるとき、インサート542はキャビティ548内に配置されて、貯蔵部シーリングセクション534を注射筒壁に対して押し付けられて圧縮する。投薬モードに移行するために、インサート542は、キャビティ548からキャビティ550へ前進させられる。
プランジャー524を最初に注射筒内に配置するとき、インサート542は、初めは、最遠位キャビティ550内に位置決めされる。この位置では、インサートは、装置のスリーブ1082と一緒に配置されるプランジャー位置決めロッド1084によって筒内を前進させられ得る。その後、グリッパー1083を使用してインサートの近位端部を把持し、かつインサートを引っ込めてキャビティ548内に位置決めされるようにし、それゆえ、注射筒に対する貯蔵部シーリングセクション534の圧縮を生成して、プランジャー524を係合位置にする。
任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態では、プランジャーは、筒とプランジャーの筒接触面との間に実質的にまたは完全に流動性潤滑剤が存在せずに、15N未満、任意選択的に10N未満、任意選択的に9N未満、任意選択的に8N未満、任意選択的に、7N未満、任意選択的に6N未満、任意選択的に約2.5N〜約5.5Nの解放力および滑走力をもたらす。任意選択的に、本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態では、プランジャーは、任意選択的に2N未満、任意選択的に1.5N未満、任意選択的に1.0N未満、任意選択的に0.5N未満任意選択的に0.4N未満、任意選択的に0.25N未満の解放力と滑走力との差をもたらす。任意選択的に本発明による切り替え可能なプランジャーのいずれかの実施形態では、プランジャーは、任意選択的に20%未満、任意選択的に15%未満、任意選択的に12%未満、任意選択的に10%未満、任意選択的に8%未満、任意選択的に2.5%未満〜6%の解放力と滑走力との差をもたらす。これらの解放力と滑走力との差は、筒とプランジャーの筒接触面との間に実質的にまたは完全に流動性潤滑剤が存在せずに、もたらされる。
いずれかの実施形態では、液封セクションは(プランジャーヘッドを介して)、液密シールおよび任意選択的に(好ましくはであるが)CCIを提供する。液封セクションにCCIレベルのシールがもたらされる場合、液封セクションによってもたらされた無菌バリアが、以下の2つの試験の双方を使用することによって、立証され得る:(1)液浸技術を使用する微生物侵入試験;および(2)染料浸透試験。液浸技術を使用する微生物侵入試験は、液体中に与えられた攻撃菌(challenge organism)を提供し、サンプル容器を液体中に沈ませる一方で、容器の内容物セクションに真空を適用し、指定した時間後に、攻撃菌が液封セクションを越えて移動したかどうかを見る試験を行うことを含む。染料浸透試験は、内部にプランジャーヘッドが配置されているサンプル容器を染浴中に配置し、635mmHg未満のマノメータ示度を2分間獲得するように真空を適用し、かつ視覚的にまたは紫外線示度技術を使用して、染料の一部が液封セクションを通過したかどうかを決定することを含む。最終的には、液封セクションによってもたらされるCCIを立証するためには、両試験とも合格する必要がある。
注入可能な薬物製品における流動性潤滑剤の欠如
タンパク質ベースの薬物は、変性または他の方法で劣化し得ることが観察されている。薬物が変性する主な方法は、アンフォールド(unfold)し、その後、薬物製品内で凝集物を形成することである。主な容器は、タンパク質を変性させる原因となり得る。そのような変性現象を引き起こし得る1つの要因は、シリコーンオイル潤滑剤(流動性潤滑剤の1つのタイプ)が存在することである。シリコーンオイルの液滴は、容器の壁から分離して、薬物と相互作用し得る。これらの液滴は、液体中のタンパク質をアンフォールドさせる原因となり得る。
生物学的薬物の大きな問題は、患者による免疫反応の可能性である。免疫反応は、患者に注入される薬物中の凝集物(粒子)によって引き起こされ得る。これらの凝集物は、患者に抗体を作り出す原因となり得、これにより:(1)薬物を無効にする、または(2)激しい自己免疫反応を引き起こす。少量の粒子が免疫反応を引き起こし得る。薬物中で凝集したタンパク質の%は、非常に少ないかもしれないが、免疫反応を引き起こし得る。例えば、MSおよびクローン病の患者が摂取した薬物は、2年以内に免疫反応を進行させる。これにより、患者は薬物の摂取を停止するおよび/または薬物を切り替える必要がある。
タンパク質ベースの薬物の数は、この5年間で著しく増加しており、およびこの傾向は今後も続く。薬物療法は、より慢性的な適応症を治療するために使用されている。これは、患者は薬物をより長期間摂取し、および薬物が原因の副作用を起こしやすいことを意味する。これまでは、タンパク質薬物は急性の適応症に摂取されており、副作用は制限されていた。
薬物中の汚染物質の量は、保存期間にわたって増加し得る。汚染物質を測定するための閾値は、器具類の検出限界である−そのため、濃度はどんどん低くなっている。これらの粒子の濃度は低ppb/mlであるが、これは、依然として、免疫反応を引き起こすのには十分である。従って、流動性潤滑剤の使用を回避する必要性は、生物学的薬物、すなわち、プレフィルドシリンジ内に提供されるポリペプチド組成物またはタンパク質組成物では、特に急を要する。
本発明の任意選択的な態様では、注射筒壁とプランジャーの筒接触面との間で流動性潤滑剤を使用する必要のない、本明細書で開示されるいずれかの実施形態による切り替え可能なプランジャーは、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を入れるプレフィルドシリンジに特に有益である。このようにして、流動性潤滑剤、例えば、シリコーンオイルは、薬物(および最終的に患者)に移動せず、それゆえ、薬物組成物の生物学的成分を変性させない。そのようなものとして、生物学的薬物の保存期間は最適にされ得る。さらに、このようにして、そうでなければ薬物中に凝集物を生じるシリコーンオイルによって引き起こされる、患者の望ましくない免疫反応は、回避され得る。それゆえ、生物学的製剤には、「オイルフリーの解決法」が特に望ましい。
従って、任意選択的な実施形態では、本発明は、プレフィルドシリンジ内に配置される、本明細書で開示されるいずれかの実施形態による切り替え可能なプランジャーの使用に関する。シリンジは、内壁と、医療用筒の注射剤収容領域に配置された、任意選択的に液体組成物である注入可能な薬物製品とを有する医療用筒を含み、注入可能な薬物製品は、流動性潤滑剤から生成された粒子との相互作用から変性しやすい、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を含む。医療用筒は、注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有する。本発明の任意選択的な実施形態によれば、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物は、流動性潤滑剤から生成された粒子との相互作用からの、以下の悪影響のうちの1つ以上を受けやすい:組成物中のタンパク質の変性;組成物中のタンパク質の凝塊形成;組成物中のタンパク質の劣化;患者の望ましくない免疫反応のトリガー;および薬物製品の有効性の低下。薬物製品には、流動性潤滑剤によって生成された粒子がないようにして、薬物製品が、そうでなければ流動性潤滑剤によって生成された粒子との相互作用から生じ得る上述の悪影響のいずれにもさらされないようにする。
本実施形態は、注入用の凍結乾燥薬物または散剤として現在市販されているものなどの、小分子および生物学的製剤を含む凍結乾燥医薬品(lyophilized pharmaceuticals)の投与に特に有用である。これらは、非限定的な例として、ActHIB(登録商標)ワクチン、アルデスロイキン(Aldesleukin)、アンピシリン、アスパラギナーゼ、アムホテリシンB(Amphotec、Amphocin他)、ATryn抗トロンビン、ベンダムスチン(Bendamustine)、ブレオマイシン(Bleomycin)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、カルボプラチン(Carboplatin)、カルムスチン(Carmustine)、カバージェクトパウダー(Caverject Powder)(アルプロスタジル(Alprostadil))、セルトリズマブ(Certolizumab)(CIMZIA(登録商標))、セファゾリン、セフォニシド、セフタジジム、セフトリアキソンナトリウム、シスプラチン(Cisplatin)、シタラビン(Cytarabine)、シトキサン(Cytoxan)(シクロホスファミド(cyclophosphamide))、ダカルバジン(Dacarbazine)、ダウノルビシン(Daunorubicin)、デガレリクス(Degarelix)、メシル酸デスフェリオキサミン(Desferrioxamine Mesilate)、ドキソルビシン(Doxorubicin)(アドリアマイシン(Adriamycin))、エピルビシン(Epirubicin)、ラクトビオン酸エリスロシン(Erythrocin lactobionate)、エストロゲン、ゲムシタビン(Gemcitabine)、グルカゴン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、ヒト成長ホルモン、ヒト閉経期尿性ゴナドトロピン(HMG、メノトロピン(menotrpin))、ヒト血漿、HcG 5000IU−5ml、免疫グロブリン(Carimune、Gammagard(登録商標))、インターフェロンβ1a(アボネックス(Avonex))、イントロン(Intron)A(インターフェロンα−2b)、コージネイト(Kogenate)FS(組み換え因子VII)ロイコボリンカルシウム、リュープロレリン(leuproreline)、メチルプレドニゾロン、リューカイン(Leukine)(サルグラモスチム(sargramostim))、Menomune(登録商標)ワクチン、MMRおよびMMRVワクチン、ペグインターフェロン(Peginterferon)α−2b(ペグイントロン(PegIntron))、レミケード(Remicade)(登録商標)インフリキシマブ、Sermorelin/GHRH6−5ml、ソマトロピン(ジェノトロピン(Genotropin)、Saizen(登録商標))、シンカリド(Kinevac)、チオテパ、臭化ベクロニウム、Vfend(ボリコナゾール)、ビンクリスチン(Vincristine)、水痘ワクチン、およびZostavaxを含む。
いくつかの賦形剤が、可溶化剤または緩衝剤などの粉状または凍結乾燥製品に含まれ、機能性賦形剤であると考えられ得る。様々な凍結乾燥調合物(formulations)において使用される賦形剤は、増量剤、緩衝剤、浸透圧修飾剤(tonicity modifier)、抗菌剤、界面活性剤および共溶媒を含み、および当業界で周知である。例えば、Baheti et al.,Excipients Used in Lyophilization of Small Molecules,1 J Excipients & Food Chem.41(2010)参照。同様に、注入用の水などの希釈液が当業界で周知であり、および賦形剤、例えば、食塩水またはリンガー溶液を含むことが多い。
プランジャーの態様を試験するための工業規格
プランジャーアセンブリの圧縮永久ひずみ性の試験は、当該技術分野で公知の方法、例えば、ASTM D395を使用して実施される。
フィルムとプランジャーとの間の接着性または結合強度の試験は、当該技術分野で公知の方法を使用して、例えば、ASTM D1995−92(2011)またはD1876−08に従って、実施される。
プランジャー滑り力は、例えば吸引または投薬の最中に、シリンジまたはカートリッジ筒内におけるプランジャーの動きを維持するために必要な力である。例えば、当該技術分野で公知のISO7886−1:1993試験、またはISO11040−4に組み込まれる予定の、現在審理中の公開されている試験方法を使用して判断されることが好都合とし得る。プランジャー滑り力の試験と同じ方法を使用して試験され得るプランジャーブレークアウト力は、シリンジまたはカートリッジ筒内でプランジャーの定常の動きを開始するために必要な力である。プランジャーの滑り力およびブレークアウト力の試験において有用な機械は、例えば、50Nのトランスデューサを使用するInstron機である。
抽出物、すなわち、プランジャーからシリンジまたはカートリッジ内の液体へ移動する材料の量の試験は、例えば、Ph.Eur.2.9.17 Test for Extractable Volume of Parenteral Preparationsに記載される方法を使用して実施され得る。
容器クロージャーの完全性(CCI)の試験は、真空崩壊漏出検出方法を使用して行われ、ここでは、真空は、試験体積内に維持され、および圧力上昇が経時的に測定され得る。十分に大きい圧力上昇は、システムへの流入があることの表示であり、これは、漏出すなわちリークの証拠である。任意選択的に、真空崩壊試験は、2つの別々のサイクルにわたって実施される。第1のサイクルは、非常に短期間にわたる、大量の漏出を検出することに専念する。第1のサイクルに関しては、比較的弱い真空が引かれる。なぜなら、グロスリークが検出される場合、大きな圧力上昇を検出するためには、圧力差は大きい必要がないためである。説明したような第1のサイクルの使用は、グロスリークが存在する場合に、総試験時間を短くするのを助ける。第1のサイクルにおいて漏出が検出されない場合、ASTM F2338−09 Standard Test Method for Nondestructive Detection of Leaks in Packages by Vacuum Decay Methodに従う第2のサイクルが実行される。第2のサイクルは、圧力上昇測定における信号対雑音比を下げるために、システム評価から始める。第2のサイクルでは、長期間、比較的強い真空が引かれて、システムにおける圧力上昇を検出する機会を増やす。
吸引中にシリンジピストンを越える空気の漏れの試験が、当業界で公知の方法、例えば、ISO7886−1:1993を使用して実施され得る。
圧縮下でのシリンジピストンにおける液体の漏れの試験が、当業界で公知の方法、例えば、ISO7886−1:1993を使用して実施され得る。
PECVDがコーティングされた注射筒で使用される切り替え可能なプランジャー
別の態様では、本発明は、PECVDコーティングまたはPECVDコーティングセットを有するシリンジにおいて、本発明によるプランジャーのいずれかの実施形態(または実施形態の組み合わせ)を使用することを含む。シリンジは、例えば、ガラスまたはプラスチックから作製され得る。任意選択的に、任意の実施形態による注射筒は、最終的な形態において透明かつガラスのように見える射出成形可能な熱可塑性材料、例えば、環状オレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)またはポリカーボネートから作製され得る。そのような材料は、例えば、射出成形によって、非常に厳しくかつ正確な公差(一般的にガラスで達成できるよりも遥かに厳しい)に製造され得る。これは、プランジャー設計におけるシール緊密性およびプランジャー力が低いことの、矛盾する検討事項を釣り合わせようとするときに、利点である。
本開示のこのセクションは、主に、本発明の任意選択的な態様の好ましい実装例として、プレフィルドシリンジに注目する。しかしながら、ここでも、本発明は、プランジャーを利用する任意の非経口容器、例えばシリンジ、カートリッジ、オートインジェクター、プレフィルドシリンジ、プレフィルドのカートリッジまたはバイアルを含み得ることを理解されたい。
いくつかの適用例に関し、非経口容器の内壁に1つ以上のコーティングまたは層を提供し、その容器の特性を修正することが望ましいとし得る。例えば、1つ以上のコーティングまたは層は、非経口容器に追加されて、例えば、容器のバリア性すなわち遮断性を高め、かつ容器壁(または下層のコーティング)と容器内に保持される薬物製品との間の相互作用を防止し得る。そのようなコーティングまたは層は、2014年3月11日出願の同時係属のPCT出願PCT/US2014/023813号明細書の教示に従って構成され得、その全体を参照することにより本書に援用する。
例えば、図1のシリンジ10の筒12の拡大断面図の代替的な第1の実施形態である図1Aに示すように、筒12の内面14は、1つ以上のコーティングまたは層を含むコーティングセット400を含み得る。筒12は、少なくとも1つの結合コーティング(tie coating)または層402、少なくとも1つのバリアコーティングまたは層404、および少なくとも1つのオルガノ−シロキサンコーティングまたは層406を含み得る。オルガノ−シロキサンコーティングまたは層406は、好ましくは、pH保護特性を有する。本明細書では、コーティングセット400のこの実施形態を、「3層コーティングセット」と称し、ここでは、SiOxのバリアコーティングまたは層404が、pH保護オルガノ−シロキサンコーティングまたは層406と結合コーティングまたは層402との間に挟まれることによって内容物から保護され、そうでなければ、その内容物は、バリアコーティングが除去され得るほど十分に高いpHを有する。考慮されるそれぞれの層の厚さ(ナノメートル)(丸括弧内は好ましい範囲)は、以下の3層の厚さの表で与えられている:
Figure 0006968050
3層コーティングセットを構成するコーティングのそれぞれの特性および組成について、以下説明する。
結合コーティングまたは層402は、少なくとも2つの機能を有する。結合コーティングまたは層402の1つの機能は、基材(例えば、筒12の内面14)、特に熱可塑性基材へのバリアコーティングまたは層404の接着性を高めることであるが、結合層は、ガラス基材または別のコーティングまたは層への接着性を高めるために使用され得る。例えば、接着層またはコーティングとも称する結合コーティングまたは層は基材に適用され、およびバリア層は、基材へのバリア層またはコーティングの接着性を高めるために接着層に適用され得る。
結合コーティングまたは層402の別の機能が発見されている:バリアコーティングまたは層404の下側に適用された結合コーティングまたは層402は、バリアコーティングまたは層404の上側に適用されたpH保護オルガノ−シロキサンコーティングまたは層406の機能を高め得る。
結合コーティングまたは層402は、SiOxy(式中、xは0.5〜2.4およびyは0.6〜3である)で構成され得る、それを含み得る、または本質的にそれからなり得る。あるいは、原子比が式Siwxyとして表わされ得る。結合コーティングまたは層402におけるSi、O、およびCの原子比は、いくつかのオプションとして:
Si 100:O 50〜150:C 90〜200(すなわちw=1、x=0.5〜1.5、y=0.9〜2);
Si 100:O 70〜130:C 90〜200(すなわちw=1、x=0.7〜1.3、y=0.9〜2)
Si 100:O 80〜120:C 90〜150(すなわちw=1、x=0.8〜1.2、y=0.9〜1.5)
Si 100:O 90〜120:C 90〜140(すなわちw=1、x=0.9〜1.2、y=0.9〜1.4)、または
Si 100:O 92〜107:C 116〜133(すなわちw=1、x=0.92〜1.07、y=1.16〜1.33)
である。
原子比は、XPSによって決定され得る。それゆえ、XPSによって測定されないH原子を考慮すると、結合コーティングまたは層402は、一態様においては、式Siwxyz(またはその等価物SiOxy)を有し、例えば、ここでは、wは1であり、xは約0.5〜約2.4であり、yは、約0.6〜約3であり、およびzは、約2〜約9である。従って、一般に、結合コーティングまたは層402は、炭素と酸素とケイ素の元素の総原子数を100%として標準化された、36%〜41%の炭素を含む。
本明細書で定義された任意の実施形態に対するバリアコーティングまたは層404は(特定の場合において他に特に規定がなければ)、任意選択的に、米国特許第7,985,188号明細書に示されているようなPECVDによって適用されるコーティングまたは層である。バリアコーティングは、好ましくは、「SiOx」コーティングとして特徴付けられ、およびケイ素、酸素、および任意選択的に他の要素を含み得る(式中、酸素対ケイ素原子の比であるxは、約1.5〜約2.9である)。SiOxまたは他のバリアコーティングまたは層の厚さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)によって測定され、およびその組成は、X線光電子分光法(XPS)によって測定され得る。バリア層は、酸素、二酸化炭素、または他の気体が容器に入らないようにするおよび/または医薬材料が容器壁へまたはそれを通して浸出しないようにするのに効果的である。
筒12の内面14にバリア404層および結合層402を適用する好ましい方法は、例えば、米国特許出願公開第20130291632号明細書(その全体を参照することにより本書に援用する)に説明されているような、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)による方法である。
本出願人は、SiOxのバリア層またはコーティングは、例えばpHが約5を上回る水性組成物などの、いくつかの流体によって、腐食または溶解されることを見出した。化学蒸着によって適用されるコーティングは、非常に薄い−厚さ数十〜数百ナノメートル−とし得るため、腐食速度が比較的遅くても、バリア層の有効性を取り除き得るかまたは製品パッケージの所望の保存期間よりも短い時間にバリア層の有効性を低下させ得る。これは、特に、液体医薬組成物に関し問題である。なぜなら、それらの多くのpHが約7であり、またはより広範には、血液および他のヒトまたは動物の体液のpHと同様の5〜9の範囲であるためである。医薬品のpHが高いほど、SiOxコーティングをより迅速に腐食または溶解させる。任意選択的に、この問題は、バリアコーティングまたは層、または他のpHの影響を受けやすい材料を、pH保護オルガノ−シロキサンコーティングまたは層によって保護することによって、対処され得る。
任意選択的に、pH保護オルガノ−シロキサンコーティングまたは層406は、Siwxyz(またはその等価のSiOxy)またはSiwxyz(またはその等価のSiNxy)で構成され得る、それを含み得るまたは本質的にそれからなり得る。Si:O:CまたはSi:N:Cの原子比は、XPS(X線光電子分光法)によって決定され得る。それゆえ、H原子を考慮すると、一態様において、pH保護コーティングまたは層は、式Siwxyz、またはその等価のSiOxy(例えば式中、wは1であり、xは約0.5〜約2.4であり、yは約0.6〜約3であり、およびzは約2〜約9である)を有し得る。
一般に、式Siwxyとして表わされるように、Si、O、およびCの原子比は、いくつかのオプションとして:
Si 100:O 50〜150:C 90〜200(すなわちw=1、x=0.5〜1.5、y=0.9〜2);
Si 100:O 70〜130:C 90〜200(すなわちw=1、x=0.7〜1.3、y=0.9〜2)
Si 100:O 80〜120:C 90〜150(すなわちw=1、x=0.8〜1.2、y=0.9〜1.5)
Si 100:O 90〜120:C 90〜140(すなわちw=1、x=0.9〜1.2、y=0.9〜1.4)
Si 100:O 92〜107:C 116〜133(すなわちw=1、x=0.92〜1.07、y=1.16〜1.33)、または
Si 100:O 80〜130:C 90〜150
である。
あるいは、オルガノ−シロキサンコーティングまたは層は、炭素、酸素、およびケイ素の元素の総原子数を100%として標準化され、X線光電子分光法(XPS)によって決定されたように、50%未満の炭素および25%超のケイ素の、原子濃度を有し得る。あるいは、原子濃度は、25〜45%の炭素、25〜65%のケイ素、および10〜35%の酸素である。あるいは、原子濃度は、30〜40%の炭素、32〜52%のケイ素、および20〜27%の酸素である。あるいは、原子濃度は、33〜37%の炭素、37〜47%のケイ素、および22〜26%の酸素である。
任意選択的に、X線光電子分光法(XPS)によって決定されたように、炭素、酸素、およびケイ素の元素の総原子数を100%として標準化された、pH保護コーティングまたは層406における炭素の原子濃度は、有機ケイ素前駆体の原子式における炭素の原子濃度を上回り得る。例えば、炭素の原子濃度が1〜80原子百分率だけ、あるいは10〜70原子百分率だけ、あるいは20〜60原子百分率だけ、あるいは30〜50原子百分率だけ、あるいは35〜45原子百分率だけ、あるいは37〜41原子百分率だけ上昇する実施形態が考慮される。
任意選択的に、pH保護コーティングまたは層406における炭素対酸素の原子比は、有機ケイ素前駆体と比較して高くなり、および/または酸素対ケイ素の原子比は、有機ケイ素前駆体と比較して低くなり得る。
本発明によるpH保護コーティングの例示的な実験的組成は、SiO1.30.83.6である。
任意選択的に、いずれかの実施形態において、pH保護コーティングまたは層406は、PECVDで適用された炭化ケイ素を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。
任意選択的に、いずれかの実施形態において、シランを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる前駆体を用いることによって、pH保護コーティングまたは層406は適用される。任意選択的に、いずれかの実施形態において、シラン前駆体は、非環状または環状シランのいずれか1つ以上を含み、本質的にそれからなり、またはそれからなり、任意選択的に、シラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、Si2−Si4シラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、テトラプロピルシラン、テトラブチルシラン、またはオクタメチルシクロテトラシラン、またはテトラメチルシクロテトラシランのいずれか1つ以上を含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる。
任意選択的に、いずれかの実施形態において、pH保護コーティングまたは層406は、PECVDで適用された非晶質またはダイヤモンドのような炭素を含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。任意選択的に、いずれかの実施形態において、非晶質またはダイヤモンドのような炭素は、炭化水素前駆体を使用して適用される。任意選択的に、いずれかの実施形態において、炭化水素前駆体は、飽和または不飽和である直鎖、分岐鎖、または環状アルカン、アルケン、アルカジエン、またはアルキン、例えばアセチレン、メタン、エタン、エチレン、プロパン、プロピレン、n−ブタン、i−ブタン、ブタン、プロピン、ブチン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロペンタジエン、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる。任意選択的に、いずれかの実施形態において、非晶質またはダイヤモンドのような炭素コーティングの水素原子百分率は、0.1%〜40%、あるいは0.5%〜10%、あるいは1%〜2%、あるいは1.1〜1.8%である。
任意選択的に、いずれかの実施形態において、pH保護コーティングまたは層406は、PECVDで適用されたSiNbを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。任意選択的に、いずれかの実施形態において、PECVDで適用されたSiNbは、シランおよび窒素含有化合物を前駆体として使用して適用される。任意選択的に、いずれかの実施形態において、シランは、非環状または環状シランであり、任意選択的に、シラン、トリメチルシラン、テトラメチルシラン、Si2−Si4シラン、トリエチルシラン、テトラエチルシラン、テトラプロピルシラン、テトラブチルシラン、オクタメチルシクロテトラシラン、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる。任意選択的に、いずれかの実施形態において、窒素含有化合物は、窒素ガス、亜酸化窒素、アンモニアまたはシラザンのうちのいずれか1つ以上を含む、本質的にそれらからなる、またはそれらからなる。任意選択的に、いずれかの実施形態において、シラザンは、直鎖シラザン、例えばヘキサメチレンジシラザン(HMDZ)、単環シラザン、多環シラザン、ポリシルセスキアザン(polysilsesquiazane)、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、本質的にそれからなる、またはそれからなる。
任意選択的に、いずれかの実施形態において、pH保護コーティングまたは層406用のPECVDは、酸化気体が実質的に存在しないまたは完全に存在しない状態で実施される。任意選択的に、いずれかの実施形態において、pH保護コーティングまたは層406用のPECVDは、キャリアガスが実質的に存在しないまたは完全に存在しない状態で実施される。
任意選択的に、pH保護コーティングまたは層406、SiOxCyHzのFTIR吸光度スペクトルは、約1000〜1040cm−1の間に通常あるSi−O−Si対称伸縮ピーク(symmetrical stretch peak)の最大振幅と、約1060〜約1100cm−1の間に通常あるSi−O−Si非対称伸縮ピーク(asymmetric stretch peak)の最大振幅との比が、0.75を上回る。あるいは、いずれかの実施形態において、この比は、少なくとも0.8、または少なくとも0.9、または少なくとも1.0、または少なくとも1.1、または少なくとも1.2とし得る。あるいは、いずれかの実施形態において、この比は、多くても1.7、または多くても1.6、または多くても1.5、または多くても1.4、または多くても1.3とし得る。代替的な実施形態として、ここで述べたいずれかの最小比を、ここで述べたいずれかの最大比と組み合わせることができる。
任意選択的に、いずれかの実施形態において、pH保護コーティングまたは層406は、薬が存在しない状態で、油分を含んでいない外見を有する。この外見は、ある場合には、有効pH保護コーティングまたは層406を、場合よっては油分の多い(すなわち光沢のある)外見を有するように観察された潤滑性層(例えば、米国特許第7,985,188号明細書に説明されているような)から区別するために観察された。
pH保護コーティングまたは層は、任意選択的に、非環状シロキサン、単環シロキサン、多環シロキサン、ポリシルセスキオキサン、単環シラザン、多環シラザン、ポリシルセスキアザン、シラトラン(silatrane)、シルクアシラトラン(silquasilatrane)、シルプロアトラン(silproatrane)、アザシラトラン(azasilatrane)、アザシルクアシアトラン(azasilquasiatrane)、アザシルプロアトラン(azasilproatrane)、またはこれら前駆体のいずれか2つ以上の組み合わせを含む前駆体供給物のプラズマ促進化学蒸着(PECVD)によって適用され得る。そのような使用に考えられるいくつかの特定の非限定的な前駆体は、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)を含む。
任意選択的に、組成物SiOxCyHzのpH保護コーティングまたは層406のFTIR吸光度スペクトルは、約1000〜1040cm−1のSi−O−Si対称伸縮ピークの最大振幅と、約1060〜約1100cm−1のSi−O−Si非対称伸縮ピークの最大振幅との比が、0.75を上回る。
他の前駆体および方法を使用して、pH保護コーティングまたは層406または不動態化処理を適用できる。例えば、ヘキサメチレンジシラザン(HMDZ)を前駆体として使用できる。HMDZは、その分子構造に酸素を含有しないという利点を有する。この不動態化処理は、HMDZによるSiOxバリア層の表面処理であると考慮される。シラノール結合部位における二酸化ケイ素コーティングの分解の速度を落とすおよび/または分解を中止にするために、コーティングは不動態化される必要がある。HMDZによる表面の不動態化(および任意選択的に、HMDZ由来のコーティングのいくつかの単層の適用)は、溶解に対して表面を強化させ、分解を減少させることが考慮される。HMDZは、二酸化ケイ素コーティングに存在する−OH部位と反応し、NH3を発生させ、かつS−(CH3)3をケイ素に結合させることが考慮される(水素原子が発生され、およびHMDZからの窒素と結合して、NH3を生じることが考慮される)。
pH保護コーティングまたは層を適用する別の方法は、pH保護コーティングまたは層として、非晶質炭素またはフルオロカーボンコーティング、またはこれら2つの組み合わせを適用することを含む。
非晶質炭素コーティングは、プラズマ重合のために、飽和炭化水素(例えばメタンまたはプロパン)または不飽和炭化水素(例えばエチレン、アセチレン)を前駆体として使用するPECVDによって形成され得る。フルオロカーボンコーティングは、フルオロカーボン(例えば、ヘキサフルオロエチレンまたはテトラフルオロエチレン)から生じ得る。いずれのタイプのコーティング、またはそれらの組み合わせも、真空PECVDまたは大気圧PECVDによって堆積され得る。非晶質炭素および/またはフルオロカーボンコーティングは、シラノール結合を含まないため、非晶質炭素および/またはフルオロカーボンコーティングは、シロキサンコーティングよりも良好なSiOxバリア層の不動態化をもたらすことが考慮される。
さらに、フルオロシリコン前駆体を使用して、SiOxバリア層の上側を覆ってpH保護コーティングまたは層を提供することが考慮される。これは、前駆体としてフッ素化シラン前駆体、例えばヘキサフルオロシランを使用し、かつPECVDプロセスを使用することによって、実施され得る。その結果生じるコーティングはまた、非湿潤性コーティングであると期待される。
SiOxバリア層を保護または不動態化するために考えられるさらに別のコーティングモダリティは、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂によってバリア層を被覆することである。例えば、バリア被覆部分は、流動ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂の溶融物、溶液または分散物において浸漬被覆され、および60〜100℃の温度でオートクレーブまたは他の加熱によって硬化され得る。ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂のコーティングは、pH5〜8の水性の環境において優先的に使用され得ることが考慮され、これは、そのような樹脂は、そのpH範囲において、紙において高い湿潤強度をもたらすことが知られているためである。湿潤強度は、長期間、完全に水浸しにされる紙の機械的強度を維持する能力であるため、SiOxバリア層上のポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂のコーティングは、水媒質での溶解に同様に抵抗することが考慮される。また、ポリアミドアミンエピクロロヒドリン樹脂は、紙の潤滑性を向上させるため、同様に、例えば、COCまたはCOPで作製された熱可塑性面にコーティングの形態の潤滑性をもたらすことが考慮される。
SiOx層を保護するためのさらに別の手法は、pH保護コーティングまたは層として、ポリフルオロアルキルエーテルの液体適用コーティングを塗布し、それに続いてpH保護コーティングまたは層を大気プラズマ硬化することである。例えば、商標TriboGlide(登録商標)下で実施されるプロセスを使用して、同様に潤滑性をもたらすpH保護コーティングまたは層406を提供し得ることが考慮される。
それゆえ、本発明の態様による熱可塑性シリンジ壁用のpH保護コーティングは、以下:式SiOxCyHz(式中、xは、X線光電子分光法(XPS)によって測定されるように、0〜0.5、あるいは0〜0.49、あるいは0〜0.25であり、yは、XPSによって測定されるように、約0.5〜約1.5、あるいは約0.8〜約1.2、あるいは約1であり、およびzは、Rutherford Backscattering Spectrometry(RBS)によって、あるいはHydrogen Forward Scattering Spectrometry(HFS)によって測定されるように、0〜2である)を有する、プラズマ促進化学蒸着(PECVD)で適用された炭化ケイ素;またはPECVDで適用された非晶質またはダイヤモンドのような炭素、CHz(式中、zは0〜0.7、あるいは0.005〜0.1、あるいは0.01〜0.02である);またはPECVDで適用されたSiNb(式中、bは、XPSによって測定されるように、約0.5〜約2.1、あるいは約0.9〜約1.6、あるいは約1.2〜約1.4である)のうちのいずれか1つを含み得る、本質的にそれからなり得る、またはそれからなり得る。
結合コーティングまたは層、バリアコーティングまたは層またはオルガノ−シロキサンコーティングまたは層を含む、本明細書において説明されるPECVDコーティングまたは層のいずれかを適用するのに好適なPECVD器具が、米国特許第7,985,188号明細書および米国特許出願公開第20130291632号明細書において示され、かつ説明されている。この器具は、任意選択的に、ベッセルホルダー、内側電極、外側電極、および電源装置を含む。ベッセルホルダーに載置されたベッセルは、プラズマ反応チャンバーを画成し、任意選択的にそれ自体の真空チャンバーの機能を果たす。任意選択的に、真空源、反応ガス源、ガス供給物またはこれらの2つ以上の組み合わせが供給され得る。任意選択的に、真空源を必ずしも含まないガスドレーンが設けられて、閉鎖チャンバーを画成するようにポートに載置されたベッセルの内部へまたはそこからガスを送る。
潤滑性を有するpH保護オルガノ−シロキサンコーティング
別々の個別の潤滑性コーティングのない、または流動性潤滑剤が実質的に存在しない、オルガノ−シロキサンコーティングを含むプランジャー接触内面を有するシリンジは、依然として、プランジャーの前進に適切な潤滑性をもたらし得ることが考慮される。本明細書では、「流動性潤滑剤が実質的に存在しない」は、プランジャー−シリンジシステムの潤滑性に寄与する量で流動性潤滑剤(例えば、PDMS)が注射筒に提供されていないことを意味する。シリンジに組み立てる前に、プランジャーを取り扱うときに流動性潤滑剤を使用することは習慣であることもあるため、「流動性潤滑剤が実質的に存在しない」は、場合によっては、そのような取扱いの習慣の結果、そのような潤滑剤が微量で存在することを考慮し得る。
従って、一態様では、本発明は、許容範囲のプランジャーの動作につながる潤滑性をもたらす非経口容器の内面上のオルガノ−シロキサンコーティングに関する。オルガノ−シロキサンコーティングは、例えば、上述のpH保護コーティングの任意の実施形態とし得る。オルガノ−シロキサンコーティングは、容器の内壁に直接、または多層コーティングセット、例えば、上述の3層コーティングセット上の最上層として、適用され得る。好ましくは、この実施形態は、例えば、米国特許第7,985,188号明細書に説明されているような個別の潤滑性コーティング、または流動性潤滑剤、例えば、シリコーン油の必要性をなくす。
オルガノ−シロキサンコーティングは、任意選択的に複数の機能:(1)pH4〜10、任意選択的に5〜9の薬物製品から、下位層または下位ポリマー基材を保護するpH耐性層;(2)凝集、抽出および浸出を最小限にする薬物接触面;(3)タンパク質をベースにした薬物の場合には、容器表面上でのタンパク質結合の低減;および(4)例えば、シリンジ内の内容物を投薬するときにプランジャーの前進を促す潤滑層をもたらし得る。
プランジャー用の接触面としての、ポリマーベースの容器上でのオルガノ−シロキサンコーティングの使用は、明白な利点をもたらす。プラスチックシリンジおよびカートリッジは、それらのガラスの相手方部品よりも厳しい公差に射出成形され得る。射出成形によって達成可能な寸法精度は、シリンジの内径の最適化を可能にして、一方では、プランジャーにCCIおよび気密性のための十分な圧縮をもたらすが、薬物製品の投与の際に所望のプランジャー力をもたらすために、プランジャーを圧縮しすぎないことが考慮される。これによって、シリンジまたはカートリッジを流動性潤滑剤または個別の潤滑性コーティングによって潤滑にする必要性をなくすかまたは劇的に減らし、それゆえ、製造の複雑さを減少させ、かつシリコーン油に関連する問題を回避することが最適である。
本発明の様々な態様を、以下の実施例を参照して、より詳細に説明するが、本発明がそれらに限定されるとはみなされないことを理解されたい。
実施例1:低くかつ一貫したFiおよびFm
この実施例では、本発明の態様による切り替え可能なプランジャーが、並外れて低くかつ一貫したブレークアウト力Fiおよび維持力(maintenance force)Fmを、平均的なFi対Fmの差を非常にわずかにして、どう達成したかを実証する。中でも注目すべきは、これらの力は、注射筒とプランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が存在せずに、達成されたことである。これらの結果は特に驚きである。なぜなら、プランジャーは、プレフィルドシリンジの典型的な保存期間にわたって、シリンジ内の内容物の無菌性および品質を保護するように構成されたしっかりとした(robust)CCIおよび気密シールを提供するためである(下記の実施例2参照)。
図10〜12の切り替え可能なプランジャー324の構成を有する18個の一群のプランジャーが組み立てられ、かつ3層コーティングセット400(図1A)が内面に堆積されたプラスチックシリンジ内で貯蔵密封モードに設定された。シリンジは、注入用の水で満たされた。プランジャーのそれぞれは、貯蔵密封モードから投薬モードへ移行するように作動され、その後、各注射筒を下方へ遠位に前進させられ、水を出した。
図19Aおよび図19Bは、これらの試験のプランジャー力の結果をグラフで示している。図19Bは、Fi(左)とFm(右)を比較する生データ点を提供している。その図表が示すように、Fi対Fmの力は実質的に同様であり、および非常に低かった。双方の最大の力の示度でも7N未満であり、および平均的な力は約5Nであった。さらに、FiとFmとの間の平均的な差は約0.5Nにすぎなかった。実際の問題として、FiとFmとの間のそのような差は、シリンジの取扱者またはそこからの注入を受ける患者には実質的に知覚できない。図19Aは、注射筒内での30mmの移動距離に沿った平均的なプランジャー力のプロファイルを示し、ここでも、約5Nの平均的な力を示し、これは、開始時と筒の長さにわたる滑走との間で非常に一貫していた。
百分率の点では、平均ブレークアウト力は約5.5Nであり、平均滑走力は約5.0Nであり、これは、平均的なFiとFmとの差が10%未満であるのと同等であるとみなす。
シリンジに液体がない(すなわち、乾燥している)ことを除いて、図19Aおよび図19Bに関して説明した対応物と本質的に同じ構成を有する8個のプランジャーおよびシリンジの別々の群も、同じプランジャー力の試験を受けた。この別々のプランジャー群は、図20に示すように、空のまたは乾燥したシリンジではプランジャー力が全体的に4.3N〜7.5Nであることを実証した。
上述の結果は、本発明が、あまり圧力を加えすぎずに、およびプランジャーの初期の作動から送出の完了を通して必要な力の量を劇的に変化させることなく、注入可能な薬物を患者に送達するために使用され得ることを実証する。さらに、これは、プランジャーとシリンジ壁との間に流動性潤滑剤がない状態で、達成され得る。これは、注目に値する成果である。
実施例2:真空崩壊を使用するCCI試験
上述の実施例は、本発明の態様によるプランジャーが提供することができる、驚くほどに低くかつ一貫したプランジャー力を実証した。本実施例は、CCIの「矛盾する検討事項」(上記の背景セクションで説明したようなプランジャー力に関して「矛盾する」)を試験した。CCIは、サブセクションの見出し「プランジャーの態様を試験するための工業規格」の下で上述した通り、真空崩壊法を使用して試験した。
この試験を受けたプランジャーは、図10〜12の切り替え可能なプランジャー324の構成を有し、および3層コーティングセット400(図1A)が内面に堆積されたプラスチックシリンジ内に組み立てられかつ貯蔵密封モードに設定された。この試験での特定の焦点は−一般的にプランジャーCCIの試験とは別に−プランジャーシャフトの直径とCCIとのなんらかの相関を決定することであった。プランジャーシャフトの直径は、係合位置にある貯蔵部リング338を支持する、中心コア332の環状貯蔵部プラットフォーム344の直径を指す(図12参照)。
それぞれ3.25mm、3.29mm、3.43mm、3.51mm、3.56mm、3.61mm、3.68mmおよび3.71mmのシャフト直径を有する5組のプランジャーが、真空崩壊法を使用して、標準的な6.48mmの注射筒内で試験された。結果は、3.25mmのシャフト直径を有する4つのうちの1つのプランジャーを除いて、全てのプランジャーが合格したことを実証した。より大きなシャフト直径は、CCIを提供する可能性を増し得るが、同時に、それによって、プランジャー力に影響を及ぼし得る。それゆえ、これらの矛盾する検討事項をうまく処理するために、バランスを取る必要がある。
実施例3:切り替え可能なプランジャーの高高度試験
プレフィルドシリンジが液体内容物で満たされると、一般に気泡が内部に形成される。プレフィルドシリンジに関する1つの懸念は、それらの輸送において、(例えば高度の変化からの)温度および圧力の変化が、潜在的にプランジャーを近位に望ましくなく変位させ、シリンジの非無菌部分に潜在的に接触させるリスクを与える可能性があることである。例えば、高高度での減圧(例えば、製品が飛行機または山岳路を通り抜けるトラック内にあるとき)は、プランジャーの動きを引き起こし、かつ減圧が除去されたときにはプランジャーがその元の位置に戻るため、微生物侵入の経路を提供する可能性がある。
高度が高くなりかつ圧力が低下するとき、このプランジャーの動きおよび結果として生じる汚染のリスクが増加し得る。民間航空機のキャビンは、一般に、8,000フィートの高度での圧力を再現するように加圧されている。山岳路を通り抜けるトラックは、12,000フィートもの高度に曝され得る。フィーダー航空機(feeder aircraft)内などの非加圧貨物室内にある包装済み製品は、16,000〜19,000フィートもの高度に曝され得る。
この実施例では、プランジャーのシールの動きが真空圧力を使用して評価された。プランジャーはシリンジ内に配置され、貯蔵部リングは係合位置に設定され、その後、試験用取り付け具上に配置された。真空は、シリンジのフランジ端部に生成されて、空輸を再現した。試験は、20,000フィートの高度条件を期間は16時間で再現した。これらは、輸送での並外れて厳しい条件とみなされた。驚いたことに、そのような条件下で、プランジャーまたは貯蔵部リングの動きは全く観察されなかった。この試験は、14,000〜16,000フィートで期間は1時間で良好な結果を求めるASTM Standard D6653/D6653M−13 Standard Test method for Determining the Effects of High Altitude on Package System by Vacuum Methodを実質的に上回る結果をもたらした。
本発明を詳細にかつ特定の実施例を参照して説明したが、当業者には、その趣旨および範囲から逸脱せずに、様々な変更および修正をなし得ることが明らかである。

Claims (46)

  1. a. 内部部分、および前記内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面
    を含む、切り替え可能なプランジャーであって、
    b. 前記全体的にシリンダー状の外表面は、前記内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持される圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングセクションを含み;
    c. 前記内部部分は、前記貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性であり;
    d. 前記拡張状態は、前記半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすために前記プランジャーの前記内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小でき;
    e. 前記収縮状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは、
    i. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションよりも減少された最大直径または横断面幅を有し;および/または
    ii. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションと比較して、より小さい、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗を有し;
    f. 前記貯蔵部シーリングセクションは、最初はその全体が医療用筒内において載荷位置に配置されるように構成され、前記載荷位置では、前記貯蔵部シーリングセクションは、前記貯蔵部シーリングセクションが拡張状態にあるときと比較して、前記医療用筒に接触しないように、または前記医療用筒に対する圧縮が減少されるように構成され;前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーが前記医療用筒内に配置されるときに、前記内部部分に対して遠位方向に設定力を加えることによって、前記載荷位置から前記拡張状態に設定されるように構成され;
    g. 前記動作は、前記切り替え可能なプランジャーが医療用筒内に配置されるときに、前記切り替え可能なプランジャーに対して前記遠位方向に作動力を加えるように構成され;
    h. 前記切り替え可能なプランジャーは、さらに、前記切り替え可能なプランジャーの遠位端部上に液封セクションを含み、前記液封セクションは、前記切り替え可能なプランジャーが医療用筒に配置されるとき、医療用筒の内壁に対してシールをもたらすように構成された全体的にシリンダー状の外表面を有し、前記液封セクションは、前記液封セクションの注射剤に対面する面および側壁を覆うフィルムまたはキャップを有する、
    切り替え可能なプランジャー。
  2. 前記フィルムまたはキャップはフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の切り替え可能なプランジャー。
  3. 切り替え可能なプランジャーであって、
    a. 内部部分、および前記内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面であって;
    b. 前記全体的にシリンダー状の外表面は、前記内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持される圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングセクションを含み;
    c. 前記内部部分は、前記貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性であり;
    d. 前記貯蔵部シーリングセクションは、最初はその全体が医療用筒内において載荷位置に配置されるように構成され、前記載荷位置では、前記貯蔵部シーリングセクションは、前記貯蔵部シーリングセクションが拡張状態にあるときと比較して、前記医療用筒に接触しないように、または前記医療用筒に対する圧縮が減少されるように構成され;前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーが前記医療用筒内に配置されるときに、前記内部部分に対して遠位方向に設定力を加えることによって、前記載荷位置から前記拡張状態に設定されるように構成され;前記拡張状態は、前記半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすために前記プランジャーの前記内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小でき;
    e. 前記収縮状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは:
    i. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションよりも減少された最大直径または横断面幅を有し;および/または
    ii. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションと比較して、より小さい、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗を有している、
    内部部分、および全体的にシリンダー状の外表面と;
    f. 前記切り替え可能なプランジャーの遠位端部に設けられたプランジャーヘッドであって、前記プランジャーヘッドは、医療用筒の内壁に対して液密シールをもたらすように構成された液封セクションを含み、前記プランジャーヘッドは第1の構成要素を含む、プランジャーヘッドと
    を含み;
    g. 前記貯蔵部シーリングセクションは、第2の構成要素に装着されかつその周りで軸方向に可動であるか、または前記第2の構成要素と一体的であり;
    h. 前記第1の構成要素および第2の構成要素は別々の構成要素であり、それらを組み立てて前記切り替え可能なプランジャーを形成する、切り替え可能なプランジャー。
  4. a. 内壁と、注入可能な薬物製品とを有する医療用筒であって、その注入可能な薬物製品は、前記医療用筒の注射剤収容領域内に配置され、前記医療用筒は、前記注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有する、医療用筒と;
    b. 前記医療用筒内に配置された、請求項1または2に記載の切り替え可能なプランジャーであって、前記貯蔵部シーリングセクションが、前記医療用筒の内壁との間に圧縮シールを提供するように拡張状態にある、切り替え可能なプランジャーと
    を含む、プレフィルドシリンジ。
  5. a. 内壁と、注入可能な薬物製品とを有する医療用筒であって、その注入可能な薬物製品は、前記医療用筒の注射剤収容領域内に配置され、前記医療用筒は、前記注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有する、医療用筒と;
    b. 前記医療用筒内で前記注入可能な薬物製品の近位に配置される、切り替え可能なプランジャーであって、前記切り替え可能なプランジャーは:
    i. 内部部分、および前記内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面
    を含み;
    ii. 前記全体的にシリンダー状の外表面は、前記内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持され、それにより、前記切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードにする圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングセクションを含み;
    iii. 前記内部部分は、前記貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性であり;
    iv. 前記貯蔵部シーリングセクションは、最初はその全体が医療用筒内において載荷位置に配置されるように構成され、前記載荷位置では、前記貯蔵部シーリングセクションは、前記貯蔵部シーリングセクションが拡張状態にあるときと比較して、前記医療用筒に接触しないように、または前記医療用筒に対する圧縮が減少されるように構成され;前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーが前記医療用筒内に配置されるときに、前記内部部分に対して遠位方向に設定力を加えることによって、前記載荷位置から前記拡張状態に設定されるように構成され;前記拡張状態は、前記半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすために前記プランジャーの前記内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小でき、前記切り替え可能なプランジャーを前記貯蔵モードから投薬モードへ移行させ;
    v. 前記収縮状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは:
    1. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションよりも減少された最大直径または横断面幅を有し;および/または
    2. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションと比較して、より小さい、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗を有している、
    切り替え可能なプランジャーと
    を含む、プレフィルドシリンジであって;
    c. 前記切り替え可能なプランジャーは、前記医療用筒の前記内壁と前記切り替え可能なプランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、10N未満の解放力および滑走力をもたらす、プレフィルドシリンジ。
  6. a. 内壁と、注入可能な薬物製品とを有する医療用筒であって、その注入可能な薬物製品は、前記医療用筒の注射剤収容領域内に配置され、前記医療用筒は、前記注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有する、医療用筒と;
    b. 前記医療用筒内に配置された、請求項3に記載の切り替え可能なプランジャーであって、前記貯蔵部シーリングセクションが、前記医療用筒の内壁との間に圧縮シールを提供するように拡張状態にある、切り替え可能なプランジャーと
    を含む、プレフィルドシリンジ。
  7. a. 内壁と、注入可能な薬物製品とを有する医療用筒であって、その注入可能な薬物製品は、前記医療用筒の注射剤収容領域内に配置され、前記注入可能な薬物製品は、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を含み、前記医療用筒は、前記注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有する、医療用筒と;
    b. 前記医療用筒内で、前記注入可能な薬物製品の近位に配置される、切り替え可能なプランジャーであって、前記切り替え可能なプランジャーは:
    i. 内部部分、および前記内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面
    を含み;
    ii. 前記全体的にシリンダー状の外表面は、前記内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持され、それにより、前記切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードにする圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングセクションを含み;
    iii. 前記内部部分は、前記貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性であり;
    iv. 前記貯蔵部シーリングセクションは、最初はその全体が医療用筒内において載荷位置に配置されるように構成され、前記載荷位置では、前記貯蔵部シーリングセクションは、前記貯蔵部シーリングセクションが拡張状態にあるときと比較して、前記医療用筒に接触しないように、または前記医療用筒に対する圧縮が減少されるように構成され;前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーが前記医療用筒内に配置されるときに、前記内部部分に対して遠位方向に設定力を加えることによって、前記載荷位置から前記拡張状態に設定されるように構成され;前記拡張状態は、前記半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすために前記プランジャーの前記内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小でき、前記切り替え可能なプランジャーを前記貯蔵モードから投薬モードへ移行させ;
    v. 前記収縮状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは:
    1. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションよりも減少された最大直径または横断面幅を有し;および/または
    2. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションと比較して、より小さい、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗を有している、
    切り替え可能なプランジャーと
    を含む、プレフィルドシリンジであって;
    c. 前記切り替え可能なプランジャーは、前記医療用筒の前記内壁と前記切り替え可能なプランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、10N未満の解放力および滑走力をもたらし;
    d. 流動性潤滑剤によって生成された粒子が前記薬物製品にはない、プレフィルドシリンジ。
  8. 前記注射剤収容領域には流動性潤滑剤がない、請求項4〜7のいずれか1項に記載のシリンジ。
  9. 前記医療用筒が、射出成形可能な熱可塑性樹脂から作製される、請求項4〜8のいずれか1項に記載のシリンジ。
  10. 前記医療用筒が、前記医療用筒の前記内壁にオルガノ−シロキサンのコーティングまたは層を有する、請求項4〜9のいずれか1項に記載のシリンジ。
  11. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションが、前記医療用筒の前記内壁と液密、CCIおよび気密境界面を形成し、前記気密境界面は、酸素、窒素、水蒸気および/またはエチレンオキシドに対して不透過性である、請求項4〜10のいずれか1項に記載のシリンジ。
  12. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは、24カ月の注射剤保存期間にわたってCCIおよび気密シールを形成する、請求項4〜11のいずれか1項に記載のシリンジ。
  13. 前記プランジャーは、前記医療用筒と前記プランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、10N未満の解放力および滑走力をもたらす、請求項4〜12のいずれか1項に記載のシリンジ。
  14. 前記プランジャーは、前記医療用筒と前記プランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、1.0N未満の解放力と滑走力との差をもたらす、請求項4〜13のいずれか1項に記載のシリンジ。
  15. 前記プランジャーは、前記医療用筒と前記プランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、10%未満の解放力と滑走力との差をもたらす、請求項4〜14のいずれか1項に記載のシリンジ。
  16. 前記切り替え可能なプランジャーはプランジャーロッドに固定されてプランジャーアセンブリを形成し、前記プランジャーロッドは、遠位方向に押されて前記プランジャーを作動させ、かつ前記薬物製品を投薬するように構成されている、請求項4〜15のいずれか1項に記載のシリンジ。
  17. 前記貯蔵部シーリングセクションは、環状の窪みによって分離された少なくとも2つの環状リブを含む、請求項4〜16のいずれか1項に記載のシリンジ。
  18. 前記薬物製品は:小分子医薬用薬物製品、生物学的製剤、ワクチン、ペプチドベースの薬物、タンパク質ベースの薬物、注入用の無菌水または食塩溶液、および診断媒体からなる群から選択される注入可能な液体である、請求項4〜17のいずれか1項に記載のシリンジ。
  19. 前記医療用筒がガラス製である、請求項4〜8、10〜18のいずれか1項に記載のシリンジ。
  20. 前記切り替え可能なプランジャーが、さらに、前記貯蔵部シーリングセクションの遠位に配置される液封セクションを含み、前記液封セクションはフィルムコーティングを含み、このフィルムコーティングは、前記フィルムコーティングが適用される基材よりも摩擦係数が低く、前記フィルムコーティングは、フルオロポリマーフィルムであり、前記液封セクションは、前記医療用筒の前記内壁に対して液密シールをもたらす、請求項4〜19のいずれか1項に記載のシリンジ。
  21. 前記シリンジがオートインジェクターの構成要素である、請求項4〜20のいずれか1項に記載のシリンジ。
  22. 前記シリンジが0.5mLシリンジである、請求項4〜21のいずれか1項に記載のシリンジ。
  23. 前記医療用筒の内径が2.5mm〜4.6mmである、請求項4〜22のいずれか1項に記載のシリンジ。
  24. 前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーの周囲に配置された外側貯蔵部リング上にあり、前記切り替え可能なプランジャーは、貯蔵モードから投薬モードへの移行時に、前記貯蔵部リングに対して遠位に軸方向に平行移動するように構成されている、請求項4〜23のいずれか1項に記載のシリンジ。
  25. a. 前記注入可能な薬物製品が、流動性潤滑剤から生成された粒子との相互作用からの以下の悪影響のうちの1つ以上を受ける、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を含み:
    i. 前記組成物中のタンパク質の変性;
    ii. 前記組成物中のタンパク質の凝塊形成;
    iii. 前記組成物中のタンパク質の劣化;
    iv. 患者の望ましくない免疫反応のトリガー;および
    v. 前記薬物製品の有効性の低下;
    b. 前記薬物製品が、流動性潤滑剤によって生成された粒子からの前記悪影響のうちの前記1つ以上を受けないように、流動性潤滑剤によって生成された粒子が前記薬物製品にはない、請求項4〜24のいずれか1項に記載のシリンジ。
  26. シリンジを形成するために、切り替え可能なプランジャーを医療用筒内に組み立てる方法であって、前記方法は:
    a. 内壁と注射剤収容領域とを有する医療用筒を提供するステップであって、前記注射剤収容領域は、注入可能な薬物製品を入れるように構成されており、前記医療用筒は、注入可能な薬物製品を投薬するための遠位投薬端部と、切り替え可能なプランジャーを受け入れるように構成された開放近位端部とを有するステップと;
    b. 前記医療用筒の前記開放近位端部を通して切り替え可能なプランジャーを挿入し、かつ前記医療用筒内で、前記注射剤収容領域の近位に前記切り替え可能なプランジャーを配置するステップであって、前記切り替え可能なプランジャーは:
    i. 内部部分、および前記内部部分の少なくとも一部を取り囲む全体的にシリンダー状の外表面
    を含み;
    ii. 前記全体的にシリンダー状の外表面は、前記内部部分によってもたらされた半径方向外向きの圧力によって拡張状態に維持され、それにより、前記切り替え可能なプランジャーを貯蔵モードにする圧縮性および弾力性の貯蔵部シーリングセクションを含み;
    iii. 前記内部部分は、前記貯蔵部シーリングセクションよりも比較的剛性であり;
    iv. 前記貯蔵部シーリングセクションは、最初はその全体が医療用筒内において載荷位置に配置されるように構成され、前記載荷位置では、前記貯蔵部シーリングセクションは、前記貯蔵部シーリングセクションが拡張状態にあるときと比較して、前記医療用筒に接触しないように、または前記医療用筒に対する圧縮が減少されるように構成され;前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーが前記医療用筒内に配置されるときに、前記内部部分に対して遠位方向に設定力を加えることによって、前記載荷位置から前記拡張状態に設定されるように構成され;前記拡張状態は、前記半径方向外向きの圧力を低下させるかまたはなくすために前記プランジャーの前記内部部分に加えられる動作によって、収縮状態まで縮小でき、前記切り替え可能なプランジャーを前記貯蔵モードから投薬モードへ移行させ;
    v. 前記収縮状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは:
    1. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションよりも減少された最大直径または横断面幅を有し;および/または
    2. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションと比較して、より小さい、半径方向内向きの圧縮に対する抵抗を有するステップと;
    c. 前記貯蔵部シーリングセクションが前記載荷位置にあるとき、前記切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に設定力を加えて前記貯蔵部シーリングセクションを前記拡張状態に設定し、それにより、前記切り替え可能なプランジャーを前記貯蔵モードに配置するステップと
    を含む、方法。
  27. 前記貯蔵モードにある前記切り替え可能なプランジャーは、前記切り替え可能なプランジャーに対して遠位方向に作動力をもたらすと、前記投薬モードに移行するように構成されている、請求項26に記載の方法。
  28. 前記シリンジは、製造充填プロセスにおいて前記注射剤収容領域に薬物製品がプレフィルドされる、請求項26または27に記載の方法。
  29. 前記注射剤収容領域には流動性潤滑剤がない、請求項26〜28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記医療用筒が、射出成形可能な熱可塑性樹脂から作製される、請求項26〜29のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記医療用筒が、前記医療用筒の前記内壁にオルガノ−シロキサンのコーティングまたは層を有する、請求項26〜30のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションが、前記医療用筒の前記内壁と液密、CCIおよび気密境界面を形成し、前記気密境界面は、酸素、窒素、水蒸気および/またはエチレンオキシドに対して不透過性である、請求項26〜31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記拡張状態にある前記貯蔵部シーリングセクションは、24カ月の注射剤保存期間にわたってCCIおよび気密シールを形成する、請求項26〜32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記プランジャーは、前記医療用筒と前記プランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、10N未満の解放力および滑走力をもたらす、請求項26〜33のいずれか1項に記載の方法。
  35. 前記プランジャーは、前記医療用筒と前記プランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、1.0N未満の解放力と滑走力との差をもたらす、請求項26〜34のいずれか1項に記載の方法。
  36. 前記プランジャーは、前記医療用筒と前記プランジャーの筒接触面との間に流動性潤滑剤が全く存在しない状態で、10%未満の解放力と滑走力との差をもたらす、請求項26〜35のいずれか1項に記載の方法。
  37. 前記切り替え可能なプランジャーはプランジャーロッドに固定されてプランジャーアセンブリを形成し、前記プランジャーロッドは、遠位方向に押されて前記プランジャーを作動させ、かつ前記薬物製品を投薬するように構成されている、請求項26〜36のいずれか1項に記載の方法。
  38. 前記貯蔵部シーリングセクションは、環状の窪みによって分離された少なくとも2つの環状リブを含む、請求項26〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記薬物製品は:小分子医薬用薬物製品、生物学的製剤、ワクチン、ペプチドベースの薬物、タンパク質ベースの薬物、注入用の無菌水または食塩溶液、および診断媒体からなる群から選択される注入可能な液体である、請求項26〜38のいずれか1項に記載の方法。
  40. 前記医療用筒がガラス製である、請求項26〜29、31〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記切り替え可能なプランジャーが、さらに、前記貯蔵部シーリングセクションの遠位に配置される液封セクションを含み、前記液封セクションはフィルムコーティングを含み、このフィルムコーティングは、前記フィルムコーティングが適用される基材よりも摩擦係数が低く、前記フィルムコーティングは、フルオロポリマーフィルムであり、前記液封セクションは、前記医療用筒の前記内壁に対して液密シールをもたらす、請求項26〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記シリンジがオートインジェクターの構成要素である、請求項26〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. 前記シリンジが0.5mLシリンジである、請求項26〜42のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記医療用筒の内径が2.5mm〜4.6mmである、請求項26〜43のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記貯蔵部シーリングセクションは、前記切り替え可能なプランジャーの周囲に配置された外側貯蔵部リング上にあり、前記切り替え可能なプランジャーは、貯蔵モードから投薬モードへの移行時に、前記貯蔵部リングに対して遠位に軸方向に平行移動するように構成されている、請求項26〜44のいずれか1項に記載の方法。
  46. a. 前記注入可能な薬物製品が、流動性潤滑剤から生成された粒子との相互作用からの以下の悪影響のうちの1つ以上を受ける、ポリペプチド組成物またはタンパク質組成物を含み:
    i. 前記組成物中のタンパク質の変性;
    ii. 前記組成物中のタンパク質の凝塊形成;
    iii. 前記組成物中のタンパク質の劣化;
    iv. 患者の望ましくない免疫反応のトリガー;および
    v. 前記薬物製品の有効性の低下;
    b. 前記薬物製品が、流動性潤滑剤によって生成された粒子からの前記悪影響のうちの前記1つ以上を受けないように、流動性潤滑剤によって生成された粒子が前記薬物製品にはない、請求項26〜45のいずれか1項に記載の方法。
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