実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの構成の一例を示す概略図である。なお、図1は、ある1地点から設置空間403の垂直面を眺めた様子の例示であるが、説明の便宜上、各構成の配置、向き、及び大きさなどを調整している。空気調和システム100は、オフィスビルなどに設置され、冷房又は暖房などの空調運転により、室内空気の温度調整などを行うシステムである。
図1に示すように、空気調和システム100は、コントロール装置101と、空調機301Aと、情報機器401Aaと、により構成されている。空調機301Aと情報機器401Aaとは、執務室などの設置空間403における空調エリア403A内に設置されている。
情報機器401Aaは、デスクトップ型のパーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)などであり、個人402Aaに割り当てられている。したがって、情報機器401Aaは、通常、個人402Aaの座席404Aaの上部などに設置されている。
情報機器401Aaは、スケジューラーソフトがインストールされている。スケジューラーソフトは、情報機器401Aaを、個人の在席状態を入出力して管理するスケジュール管理手段として機能させるためのアプリケーションソフトウェアである。すなわち、個人402Aaなどが、情報機器401Aaにスケジューラーソフトをインストールさせると、個人402Aaは、座席404Aaにおいて、情報機器401Aaに自分の予定を入力することができる。
また、情報機器401Aaは、例えば液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)からなり、各種の情報を表示する表示装置41を有している。さらに、情報機器401Aaには、座席位置検出手段202Aaが実装されている。本実施の形態1において、座席位置検出手段202Aaは、情報機器401Aaが配置された座席の識別情報である座席識別情報を記憶しているIDタグであり、コントロール装置101からの要求に応じて座席識別情報を返送する。ここで、座席位置検出手段202Aaは、情報機器401Aa以外の座席404Aaの付属物、又は座席404Aaに設けられてもよい。後述する座席位置検出手段202Aa〜Ad及び202Ba〜202Bdについても同様である。
個人402Aaは、座席404Aaに着席等することにより、空調エリア403A内に存在する在席状態となる。一方、個人402Aaは、会議又は打ち合わせなどで、会議室などに行っている場合、座席404Aaから離れ、空調エリア403Aの外に存在する不在状態となる。
空調機301Aは、熱源から供給される冷熱又は温熱をもとに温調空気を生成する。温調空気には、空気を冷やすための冷房空気、及び空気を暖めるための暖房空気が含まれる。そして、空調機301Aは、生成した温調空気を設置空間403へ供給することにより、特に空調エリア403Aを空調する。
ここで、熱源は、何れも図示しないが、圧縮機、四方弁、及び熱源側熱交換器などを備えた熱源機であり、空調機301Aは、減圧装置及び負荷側熱交換器などを備えている。圧縮機は、インバータなどによって駆動される圧縮機モータを有しており、冷媒を圧縮する。熱源側熱交換器は、フィンアンドチューブ型熱交換器などからなり、冷媒と外気との間で熱交換させる。減圧装置は、電子膨張弁などからなり、冷媒を膨張させて減圧する。負荷側熱交換器は、フィンアンドチューブ型熱交換器などからなり、冷媒と空調エリア403Aの空気との間で熱交換させる。すなわち、熱源と空調機301Aとは、圧縮機と室外熱交換器と減圧装置と室内熱交換器とが冷媒配管を介して接続され、冷媒が循環する冷媒回路を形成している。なお、減圧装置は、熱源機に設けられてもよい。
また、熱源は、チラーなどの熱源機であってもよい。すなわち、熱源は、圧縮機、四方弁、熱源側熱交換器、減圧装置、及び回路間熱交換器などが冷媒配管を介して接続され、冷媒が循環する冷媒回路が形成された熱源機であってもよい。そして、空調機301Aは、熱媒体と空調エリア403Aの空気との間で熱交換させる負荷側熱交換器と、負荷側熱交換器に流入させる熱媒体の量を調整する負荷側絞り装置と、を有していてもよい。すなわち、熱源機と空調機301Aとの間には、回路間熱交換器と負荷側絞り装置と負荷側熱交換器とが熱媒体配管を介して接続され、水又はブラインなどの熱媒体が循環する熱媒体回路が形成されてもよい。この場合、回路間熱交換器は、冷媒回路と熱媒体回路との間に接続され、冷媒回路を循環する冷媒と、熱媒体回路を循環する熱媒体との間で熱交換させる熱交換器である。
空気調和システム100は、空調エリア403A内の人を検出する個人位置検出手段201Aを有している。図1において、個人位置検出手段201Aは、赤外線センサなどの人感センサからなり、空調機301Aに設けられた人感センサを例示している。個人位置検出手段201Aは、空調エリア403Aに個人402Aaが存在するか否かを検出し、検出した情報をコントロール装置101へ送信する。
また、空調機301Aは、自身の識別情報である空調識別情報を含む空調機位置検出手段203Aを備えている。本実施の形態1において、空調機位置検出手段203Aは、空調機301Aの空調識別情報を記憶しているIDタグであり、コントロール装置101からの要求に応じて空調識別情報を返送する。
コントロール装置101は、例えば集中コントローラからなり、空気調和システム100の制御全体を統括する。すなわち、コントロール装置101は、空調機301Aの動作と、情報機器401Aaの動作とを管理する。コントロール装置101は、空調機位置検出手段203Aから取得する空調識別情報と、座席位置検出手段202Aaから取得する座席識別情報とをもとに、空調機301Aと座席404Aaとが空調エリア403Aに位置していることを判定する。
ところで、図1では、情報機器と座席と座席に対応する個人との組みが、空調エリア403A内に一組だけ示されているが、これに限らず、情報機器と座席と座席に対応する個人との組みは、空調エリア403A内に二組以上であってもよい。
図2は、本発明の実施の形態1に係る空気調和システムの他の構成例を示す概略図である。図2は、天井側から設置空間403の水平面を眺めた様子の例示である。図2の例において、空調エリア403A内では、情報機器と座席と座席に対応する個人との組みが四組となっており、空調エリア403B内では、情報機器と座席と座席に対応する個人との組みが四組となっている。なお、空調エリアの分割は、空調機用のIDタグに対して、どの座席用のIDタグが組みとなっているかにより決定される。すなわち、空調機位置検出手段203A又は203Bと同じ空調エリアに、座席位置検出手段202Aa〜Ad及び202Ba〜202Bdのうちのどれが位置すると区別されているかにより決定される。図1の空気調和システム100と同等の構成には同一の符号を付して説明は省略する。
情報機器401Ab〜401Adは、それぞれ、情報機器401Aaと同様に構成され、個人402Ab〜402Adに割り当てられている。情報機器401Ab〜401Adは、それぞれ、座席404Ab〜404Adの上部などに配置されている。情報機器401Ab〜401Adのそれぞれには、スケジューラーソフトがインストールされている。情報機器401Ab〜情報機器401Adには、それぞれ、座席位置検出手段202Aaと同様に構成された座席位置検出手段202Ab〜202Adが実装されている。
空調機301Bは、空調機301Aと同様に構成され、熱源から供給された冷熱又は温熱をもとに温調空気を生成する。そして、空調機301Bは、生成した温調空気を設置空間403に供給することにより、特に空調エリア403Bを空調する。情報機器401Ba〜401Bdは、それぞれ、情報機器401Aaと同様に構成され、個人402Ba〜402Bdに割り当てられている。情報機器401Ba〜401Bdは、それぞれ、座席404Ba〜404Bdの上部などに配置されている。情報機器401Ba〜401Bdのそれぞれには、スケジューラーソフトがインストールされている。情報機器401Ba〜情報機器401Bdには、それぞれ、座席位置検出手段202Aaと同様に構成された座席位置検出手段202Ba〜座席位置検出手段202Bdが実装されている。
個人位置検出手段201Aは、個人402Aa〜402Adのそれぞれが空調エリア403Aに存在するか否かを検知する。個人位置検出手段201Bは、個人位置検出手段201Aと同様に構成された人感センサであり、個人402Ba〜402Bdのそれぞれが空調エリア403Bに存在するか否かを検知する。コントロール装置101は、空調機301A及び301Bのそれぞれの動作と、情報機器401Aa〜401Ad及び401Ba〜401Bdのそれぞれの動作とを管理する。
図3は、図1の空気調和システムにおける制御システムのブロック図である。図4は、図1の空気調和システムにおけるエリア特定情報を例示した説明図である。図5は、図2の空気調和システムにおけるエリア特定情報を例示した説明図である。図3〜図5に基づき、情報機器401Aa、コントロール装置101、及び空調機301Aのそれぞれの機能的構成について説明する。
情報機器401Aaは、表示装置41と、機器制御装置121Aaと、入力装置42と、記憶装置43と、を有している。入力装置42は、マウス又はキーボードなどのポインティングデバイスからなり、受け付けた入力操作の内容に応じた操作信号を機器制御装置121Aaへ出力する。記憶装置43は、種々のデータと、スケジューラーソフトなどの機器制御装置121Aaの動作プログラムとを記憶する。
機器制御装置121Aaは、情報機器401Aaの動作を制御するものである。機器制御装置121Aaは、表示処理手段122と、在不在情報検出手段123と、機器通信手段124と、入力情報処理手段125と、座席位置検出手段202Aaと、を有している。
表示処理手段122は、表示装置41の表示状態を制御するものである。表示処理手段122は、入力装置42からの操作信号に応じて、個人402Aaの予定を示すスケジューラー画面などを表示装置41に表示させるものである。表示処理手段122は、入力情報処理手段125による設定内容を反映させて、入力装置42にスケジューラー画面を表示させる。
在不在情報検出手段123は、機器通信手段124を介してコントロール装置101から送信される検出信号を取得するものである。そして、在不在情報検出手段123は、コントロール装置101からの検出信号に対応する時刻の在不在情報を記憶装置43から読み出し、読み出した在不在情報を、機器通信手段124を介してコントロール装置101へ返送するものである。ここで、在不在情報は、空調エリア内に席をもつ人の在室又は不在を示す情報である。より具体的に、在不在情報には、個人402Aaが在席している状態に対応する「在室相当」と、個人402Aaが座席404Aaから離れている状態に対応する「不在相当」とがある。
機器通信手段124は、通信線又は無線などの通信手段を介して、コントロール装置101との間で通信データの送受信を行うものである。機器通信手段124は、コントロール装置101から、在不在情報の検出を要求する検出信号などを受信するものである。また、機器通信手段124は、機器通信手段124が読み出した在不在情報などをコントロール装置101へ送信するものである。
入力情報処理手段125は、座席404Aaで業務を行う個人402Aaが、入力装置42を介して入力する予定に基づいて、個人402Aaの日々の予定を示すスケジュール情報を作成し更新するものである。入力情報処理手段125は、予定項目処理手段125xと、在不在情報処理手段125yと、を有している。個人402Aaなどは、入力装置42を介して、会議又は打ち合わせなどといった予定項目を時刻に関連づけて入力することができる。予定項目処理手段125xは、時刻に関連づけて入力された予定項目の情報を記憶装置43に記憶させるものである。
在不在情報処理手段125yは、予定項目処理手段125xが記憶させた予定項目の情報に対応する時刻の在不在情報を「不在相当」に設定するものである。一方、在不在情報処理手段125yは、予定項目の情報が入力されていない時刻の在不在情報を「在室相当」に設定するものである。個人402Aaが予定を入力していない時間帯は、個人402Aaが自席にて業務を行っていると考えられるためである。
すなわち、スケジュール情報は、時刻の情報と、予定項目の情報と、在不在情報とを関連づけた情報である。よって、在不在情報検出手段123は、個人402Aaが入力した予定に基づくスケジュール情報から、個人402Aaの在不在状態に対応する在不在情報を読み出して出力する。ここで、機器制御装置121Aaは、マイクロコンピュータなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各機能を実現させるスケジューラーソフトを含む動作プログラムによって構成することができる。なお、図2に示す情報機器401Ab〜401Ad及び401Ba〜401Bdは、それぞれ、情報機器401Aaと同様に、表示装置41と、入力装置42と、記憶装置43と、を有している。また、情報機器401Ab〜401Ad及び401Ba〜401Bdは、それぞれ、機器制御装置121Aaと同様に構成された機器制御装置を有している。
空調機301Aは、空調機301Aの動作を制御する空調機制御装置141Aを有している。空調機制御装置141Aは、個人位置検出手段201Aと、空調機位置検出手段203Aと、空調機通信手段143Aと、空調制御手段144Aと、を有している。
空調機通信手段143Aは、空調機301Aの運転状態を示す運転データなどを含む通信データを、通信線又は無線などの通信手段を介してコントロール装置101へ出力するものである。空調制御手段144Aは、制御手段103から出力される指令信号を、空調機通信手段143Aを介して取得するものである。そして、空調制御手段144Aは、制御手段103からの指令信号に従い、圧縮機などの動作を制御して、空調機301Aの空調運転を制御するものである。ここで、空調機制御装置141Aは、上記の各機能を実現する回路デバイスのようなハードウェア、もしくは、マイクロコンピュータなどの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各機能を実現させるソフトウェアとによって構成することができる。なお、図2に示す空調機301Bは、空調機制御装置141Aと同様に構成された空調機制御装置を有している。
コントロール装置101は、演算手段102と、制御手段103と、記憶手段104と、通信手段105と、を有している。記憶手段104は、半導体メモリなどによって構成され、種々の演算アルゴリズムを記憶する。
また、記憶手段104にはエリア特定情報が記憶されている。エリア特定情報は、図4及び図5に示すように、空調エリアと、空調機と、情報機器とを関連づけた情報である。図4では、空調エリア403Aと、空調機301Aと、情報機器401Aaとが関連づけられている。図5では、空調エリア403Aと、空調機301Aと、情報機器401Aa〜401Adとが関連づけられている。また、図5では、空調エリア403Bと、空調機301Bと、情報機器401Ba〜401Bdとが関連づけられている。加えて、エリア特定情報では、情報機器と座席とが対応づけられている。図4では、情報機器401Aaと座席404Aaとが対応づけられている。図5では、情報機器401Aa〜401Adと、座席404Aa〜404Adとが、それぞれ一対一で対応づけられている。
演算手段102は、記憶手段104に記憶されている種々の演算アルゴリズムに従い、機器制御装置121Aa及び空調機制御装置141Aから取得した制御パラメータを用いて、空調機301Aの空調運転の判定に関わる演算を行うものである。演算手段102は、エリア特定手段102xと、存否判定手段102yと、在不在判定手段102zと、を有している。
エリア特定手段102xは、座席位置検出手段202Aaに対して座席識別情報の返送を要求するものである。また、エリア特定手段102xは、空調機位置検出手段203Aに対して空調識別情報の返送を要求するものである。エリア特定手段102xは、座席位置検出手段202Aaから取得した座席識別情報をエリア特定情報に照らすことで、情報機器401Aaが配置されている空調エリアを検出することができる。また、エリア特定手段102xは、空調機位置検出手段203Aから取得した空調識別情報をエリア特定情報に照らすことで、空調機301Aが配置されている空調エリアを検出することができる。すなわち、エリア特定手段102xは、座席識別情報と空調識別情報とを用いることで、空調機301Aと座席404Aaとが同じ空調エリア403Aに配置されていることを検出することができる。
存否判定手段102yは、個人位置検出手段201Aにおいて検出された情報をもとに、空調エリア403A内に人が存在するか否かを判定するものである。存否判定手段102yは、通信手段105を介して、個人位置検出手段201Aが検出した情報を経時的に取得する。
在不在判定手段102zは、存否判定手段102yにおいて人が存在しないと判定されたとき、空調エリア403A内に席をもつ人の在不在情報が在室を示すか不在を示すかを判定するものである。在不在判定手段102zは、在不在情報が「在室相当」となっていれば在室を示すと判定し、在不在情報が「不在相当」となっていれば不在を示すと判定する。
より具体的に、在不在判定手段102zは、存否判定手段102yにおいて個人402Aaが存在しないと判定されたとき、在不在情報の検出を要求する検出信号を、通信手段105を介して在不在情報検出手段123へ送信するものである。そして、在不在判定手段102zは、在不在情報検出手段123から返送される在不在情報が「在室相当」であるか「不在相当」であるかにより、在不在情報が在室を示すか不在を示すかを判定するものである。
制御手段103は、演算手段102による演算の結果に基づき、空調機301Aの制御内容の情報を含む指令信号を生成するものである。そして、制御手段103は、生成した指令信号を、通信手段105を介して空調機制御装置141Aへ出力することにより、空調機301Aを制御するものである。
より具体的に、制御手段103は、在不在判定手段102zによる判定の結果に応じて、空調機301Aの動作を制御するものである。制御手段103は、在不在判定手段102zにおいて在不在情報が不在を示すと判定された場合、空調機301Aの空調運転を、空調エリア403A内に人が存在する場合よりも消費電力を低下させる不在用運転とするものである。一方、制御手段103は、在不在判定手段102zにおいて在不在情報が在室を示すと判定された場合、空調機301Aの運転を継続させるものである。すなわち、制御手段103は、空調機の運転中に、個人位置検出手段201Aにおいて空調エリア403A内に人が検出されず、かつ、空調エリア403A内に席をもつ人のうちの少なくとも一人の在不在情報が在室を示すとき、空調機301Aの運転を継続させる。図1の場合、空調エリア403A内に席をもつ全ての人は、個人402Aaである。
制御手段103は、空調機301Aの不在用運転として、空調機301Aの運転を停止させる制御を行うことができる。また、制御手段103は、空調機301Aの不在用運転として、空調機301Aを送風運転に切り替える制御を行うことができる。すなわち、制御手段103は、空調機301Aの温度調整を行う機能を停止させて、空調機301Aに送風を継続させる運転を継続させる制御を行うことができる。さらに、制御手段103は、空調機301Aの不在用運転として、空調機301Aの設定温度を所定温度だけ緩和させる制御を行うことができる。空調機301Aの設定温度を緩和させる制御としては、例えば、冷房運転モードのときに設定温度を所定温度だけ高くし、暖房運転モードのときに設定温度を所定温度だけ低くする制御を採用することができる。これにより、制御手段103は、例えば冷房運転モードの場合、不在用運転への切り替えにより、設定温度を26℃から28℃に変更するといった制御を実現することができる。制御手段103による不在用運転の制御内容は、空気調和システム100の設置環境などに応じて設定し、季節の変化などに応じて適宜変更してもよい。
通信手段105は、通信線又は無線などの通信手段を介して、機器制御装置121Aa及び空調機制御装置141Aから通信データを入力する。また、通信手段105は、制御手段103が生成した指令信号などの情報を、空調機制御装置141Aへ出力する。
ここで、図2の構成例を参照して、コントロール装置101が、複数の空調機のそれぞれの動作と、複数の情報機器のそれぞれの動作を管理する場合について補足する。図2の構成の場合、エリア特定手段102xは、座席位置検出手段202Aa〜202Ad及び202Ba〜202Bdの各々から座席識別情報を取得する。また、エリア特定手段102xは、空調機位置検出手段203A及び203Bの各々から空調識別情報を取得する。そして、エリア特定手段102xは、各座席識別情報と各空調識別情報とをエリア特定情報に照らすことで、各空調エリアと、各空調機と、各情報機器との対応関係を検出する。
存否判定手段102yは、エリア特定手段102xにおいて検出された情報をもとに、個人位置検出手段201Aにおいて検出された情報を分析して、空調エリア403A内に、個人402Aa〜402Adのそれぞれが存在するか否かを判定する。存否判定手段102yは、同様に、個人位置検出手段201Bにおいて検出された情報を分析して、空調エリア403B内に、個人402Ba〜402Bdのそれぞれが存在するか否かを判定する。
在不在判定手段102zは、存否判定手段102yにおいて人が存在しないと判定されたとき、エリア特定手段102xにおいて検出された情報をもとに、空調エリア403A内に席をもつ全ての人の在不在情報が在室を示すか不在を示すかを判定する。また、在不在判定手段102zは、同様に、空調エリア403B内に席をもつ全ての人の在不在情報が在室を示すか不在を示すかを判定する。
制御手段103は、在不在判定手段102zにおいて、空調エリア403A内に席をもつ全ての人の在不在情報が不在を示すと判定された場合、空調機301Aに不在用運転を実行させる。図2の場合、空調エリア403A内に席をもつ全ての人は、個人402Aa〜402Adである。また、制御手段103は、在不在判定手段102zにおいて、空調エリア403B内に席をもつ全ての人の在不在情報が不在を示すと判定された場合、空調機301Aに不在用運転を実行させる。図2の場合、空調エリア403B内に席をもつ全ての人は、個人402Ba〜402Bdである。
制御手段103は、在不在判定手段102zにおいて、空調エリア403A内に席をもつ人のうちの少なくとも一人の在不在情報が在室を示すと判定された場合、空調機301Aの運転を継続させる。つまり、制御手段103は、空調機の運転中に、個人位置検出手段201Aにおいて空調エリア403A内に人が検出されず、かつ、空調エリア403A内に席をもつ人のうちの少なくとも一人の在不在情報が在室を示すとき、空調機301Aの運転を継続させる。
また、制御手段103は、在不在判定手段102zにおいて、空調エリア403B内に席をもつ人のうちの少なくとも一人の在不在情報が在室を示すと判定された場合、空調機301Bの運転を継続させる。つまり、制御手段103は、空調機の運転中に、個人位置検出手段201Bにおいて空調エリア403B内に人が検出されず、かつ、空調エリア403B内に席をもつ人のうちの少なくとも一人の在不在情報が在室を示すとき、空調機301Bの運転を継続させる。
(システムの運転モード)
空気調和システム100は、空調機301Aの運転モードとして、冷房運転モードと暖房運転モードとを有している。空調機301Aは、主に、室内設定温度が外気温度よりも低い場合に、冷房運転モードによって室内に冷風を供給し、室内設定温度が外気温度よりも高い場合に、暖房運転モードによって室内に温風を供給することで、空調エリア403Aの温度調整を行う。図2の場合の空調機301Bについても同様である。
(スケジューラー画面)
図6は、図1の情報機器の表示部に表示されるスケジューラー画面の一例を示す説明図である。図6には、個人402Aaによる在席スケジュールの入力例を示している。表示装置41は、情報機器401Aaにインストールされているスケジューラーソフトの起動により、図3に例示するようなスケジューラー画面を表示することができる。表示装置41へのスケジューラー画面の表示は、入力装置42への入力操作に応じて表示処理手段122が行う。
スケジューラー画面において、「時刻」の欄には、表示範囲内の時刻が一定時間の間隔で表示される。図6では、8:00〜21:00の範囲が表示範囲として設定されている場合を例示している。また、図6では、表示範囲内の時刻が1時間の間隔で表示されている。
スケジューラー画面において、「予定項目」の欄には、入力装置42を介して入力された予定の内容が、「時刻」の欄に対応づけて表示されている。図6では、9:00〜11:00の時間帯、及び15:00〜17:00の時間帯に「会議」と表示され、14:00〜14:30の時間帯に「打ち合わせ」と表示されている。つまり、表示処理手段122は、スケジューラー画面に、予定項目処理手段125xによる設定内容を反映させる。
スケジューラー画面において、「在不在状態」の欄には、在不在情報に対応する情報が表示されている。すなわち、表示処理手段122は、在不在情報処理手段127が在不在情報を「不在相当」に設定している時間帯に「不在」と表示させ、在不在情報処理手段127が在不在情報を「在室相当」に設定している時間帯に「在室」と表示させる。図6では、予定項目の情報が入力されている9:00〜11:00の時間帯、14:00〜14:30の時間帯、及び15:00〜17:00の時間帯に「不在」と表示されている。一方、予定項目の情報が入力されていない時間帯には、「在室」と表示されている。つまり、表示処理手段122は、スケジューラー画面に、在不在情報処理手段125yによる設定内容を反映させる。
ここで、個人402Aaなどは、表示装置41にスケジューラー画面を表示させた状態で、入力装置42を介して予定を入力することができる。例えば、個人402Aaが9時から11時まで会議であることを示す情報を入力すると、在不在情報処理手段125yは、9:00〜11:00の時間帯が不在状態であると判定して、該時間帯の在不在情報を「不在相当」に設定する。よって、表示処理手段122は、スケジューラー画面における9:00〜11:00の時間帯に「不在」と表示させる。つまり、スケジューラー画面の在不在状態の欄の情報は、ソフトウェア上において自動で更新される。
上記のとおり、スケジューラー画面は、時刻の情報と、時刻の情報に対応づけられた予定項目の情報と、在不在情報に対応する情報と、を含んで構成されている。ここで、スケジューラー画面は、在不在情報に対応する情報を含まずに構成してもよい。ただし、表示装置41の画面上に、在不在情報に対応する情報を表示させると、予定を入力した個人などに在不在状態の判定状況を認識させることができる。すなわち、スケジューラー画面に在不在情報に対応する情報を含めるようにすれば、意図しない空調機の動作制御を回避することができるため、省エネルギー性及び快適性の向上を図ることができる。
図7は、図1の空気調和システムの動作を示すフローチャートである。図7に基づき、空気調和システム100による在不在情報を考慮した空調運転制御方法について説明する。図7に示す処理は、コントロール装置101の演算手段102が実行する。ここでは、図2の構成を前提とした空調エリア403Aについての処理について説明する。
まず、演算手段102は、個人位置検出手段201Aによる検出情報を取得する(ステップS101)。そして、演算手段102は、取得した検出情報をもとに、空調エリア403A内に人が存在するか否かを判定する(ステップS102)。
演算手段102は、空調エリア403A内に人が存在する場合(ステップS102/Yes)、制御手段103を介して空調機301Aを運転状態にする。つまり、演算手段102は、空調機301Aが停止している場合に、制御手段103を通じて空調機301Aの空調運転を開始し、空調機301Aが運転中であれば、制御手段103を通じて空調機301Aの運転を継続させる(ステップS103)。
一方、演算手段102は、空調エリア403A内に人が存在しない場合(ステップS102/No)、現時刻の同じ空調エリア403Aに席をもつ全ての個人402Aa〜402Adの在不在情報が不在を示すか否かを判定する(ステップS104)。演算手段102は、個人402Aa〜402Adの在不在情報が何れも不在を示す場合、空調機301Aに不在用運転を実行させる(ステップS105)。演算手段102は、個人402Aa〜402Adの在不在情報のうちの少なくとも1つが在室を示す場合、ステップS103の処理へ移行する。
演算手段102は、ステップS101〜S105の一連の処理を経時的に繰り返し実行する。また、コントロール装置101が、複数の空調エリアの空調機を管理する場合、演算手段102は、複数の空調エリアのそれぞれについて、ステップS101〜S105の一連の処理を上記同様に実行する。すなわち、図2の構成の場合、空調エリア403Bについても、上記同様の処理を実行する。
以上のように、空気調和システム100は、空調エリア内に人が存在しなくても、空調エリア内に席をもつ人のうちの少なくとも一人の在不在情報が在室を示していれば、空調機の運転を継続させる。そのため、人の存否に関する判定精度を高め、消費電力量の削減を図ることができる。すなわち、空気調和システム100によれば、在不在を示すセンシングデータと共に、個人が入力したスケジュール情報を用いて空調機を制御することにより、過去のデータに基づいた予測による不在判定よりも、不在判定の精度を向上させることができる。
ところで、空気調和システム100においては、個人が予定を入力する必要があるが、個人の業務の中で、スケジューラーを用いて予定を入力し管理することは、一般的なことである。つまり、空気調和システム100での個人による予定入力は、通常の業務で行われていることをそのまま流用したものであるため、特別な業務負荷とはならない。そして、スケジュール情報は、個人が入力し、必要な時に更新する予定に基づくものであり、個人によって日々管理されていることから、信頼性の高い情報になっている。
したがって、空気調和システム100は、人が不在となる時間帯を精度よく検知することができるため、空調機が空調運転と停止運転を頻繁に繰り返すことがなくなり、消費電力量を削減することできる。つまり、空気調和システム100は、スケジュール情報も活用して空調運転のON/OFFを制御するため、トイレに行くなどの短時間での離席に対して空調機を停止することがない。そのため、動作が安定し、かつ、空調機を停止から空調運転にしたことによる起動ロスをなくすことができることから、消費電力量を削減することができる。また、空気調和システム100は、個人が入力した当日の予定から、直接在不在の判定を行うため、過去のデータ蓄積が不要となる。よって、メモリ容量を削減することができると共に、制御アルゴリズムの簡素化を図ることができるため、開発コストの削減を図ることができる。
ここで、会議などの長時間離席するような業務は、周期性が高くなく、度々過去と異なる行動をしていることが多い。ここでの周期性は、毎週同じ曜日の同じ時間に発生する性質のことをいう。そのため、特許文献1の空気調和システムでは、人の存否に関する誤判定が生じ、消費電力量が増加する。これに対し、空気調和システム100は、現在の時刻の入力情報に依存した空調機運転制御を行っているため、高精度に長期間の不在を判定することができ、適切なタイミングで空調機を停止することができる。
<変形例>
図8は、本発明の実施の形態1の変形例に係る空気調和システムの制御システムのブロック図である。本変形例の空気調和システムの全体的な構成は、前述した空気調和システム100と同様であるため、同等の構成部材については同一の符号を用いて説明は省略する。
本変形例の空気調和システム200は、情報機器401Aaの機器制御装置121Aaが、入力情報処理手段125の内部構成として、在不在情報調整手段125zを有している。空気調和システム200の他の構成は、図8に示すように、空気調和システム100と同様である。在不在情報調整手段125zは、予定項目処理手段125xが設定した予定項目の時間帯の長さに応じて、在不在情報処理手段125yが設定した在不在情報を調整するものである。ここで、各個人は、上述したように、入力装置42を介して予定項目を入力することができる。したがって、予定項目の時間帯の長さは、本発明の「空調エリア内に席をもつ人が入力した離席時間」に相当する。
より具体的に、在不在情報調整手段125zは、予定項目の時間帯の長さが在室設定時間より長ければ、在不在情報を「不在相当」のまま維持するものである。一方、在不在情報調整手段125zは、予定項目の時間帯の長さが在室設定時間以下であれば、在不在情報を「不在相当」から「在室相当」に補正するものである。したがって、本変形例の表示処理手段122は、在不在情報調整手段125zによって調整された後の在不在情報に基づいて、表示装置41にスケジューラー画面を表示させる。ここで、在室設定時間は、例えば30分に設定され、適宜変更することができる。
(スケジューラー画面)
図9は、図8の情報機器の表示部に表示されるスケジューラー画面の一例を示す説明図である。スケジューラー画面は、図6の例と同様に構成されているため、ここでは図6とは異なる点について説明する。図9では、在室設定時間が30分に設定されている場合を想定している。
図9の場合、14:00〜14:30の時間帯の長さは30分であり、在室設定時間以下であるため、在不在情報調整手段125zは、14:00〜14:30の時間帯に対応する在不在情報を「不在相当」から「在室相当」に補正する。よって、表示処理手段122は、14:00〜14:30の時間帯に対応する在不在情報が「在室相当」になっていることから、スケジューラー画面の14:00〜14:30の時間帯に対応する在不在状態の欄に「在室」と表示させる。したがって、図6の場合とは異なり、図9のスケジューラー画面の在不在状態の欄には、14:00〜14:30の時間帯を含む11:00〜15:00の時間帯全体に「在室」と表示されている。
ここで、空気調和システム200が、図2の空気調和システム100と同様の構成を採る場合、情報機器401Ab〜401Ad及び401Ba〜401Bdは、それぞれ、図8に示す情報機器401Aaと同様に構成される。
図10は、図8の情報機器の動作を示すフローチャートである。図10に基づき、機器制御装置121Aaが行う予定の時間帯に対する在不在情報の判定方法について説明する。情報機器401Aa〜401Ad及び401Ba〜401Bdの処理内容は何れも同様であるため、ここでは、個人402Aaが、表示装置41にスケジューラー画面を表示させた状態で情報機器401Aaに予定を入力した場合の処理について説明する。
まず、個人402Aaが、時刻に対応づけて予定項目を入力する(ステップS201)。すると、入力情報処理手段125は、予定項目及び在不在情報を設定する。すなわち、入力情報処理手段125は、記憶装置43に予定項目の情報を記憶させると共に、予定項目が入力された時刻に対応する在不在情報を「不在相当」に設定する(ステップS202)。
次いで、入力情報処理手段125は、予定項目の時間帯の長さが在室設定時間よりも長いか否かを判定する(ステップS203)。入力情報処理手段125は、予定項目の時間帯の長さが在室設定時間よりも長い場合(ステップS203/Yes)、入力された予定項目に対応する在不在情報を「不在相当」に補正する(ステップS204)。そして、表示処理手段122は、スケジューラー画面について、入力された予定項目に対応する在不在状態を「不在」とする(ステップS205)。
一方、入力情報処理手段125は、予定項目の時間帯の長さが在室設定時間以下である場合(ステップS203/No)、入力された予定項目に対応する在不在情報を「在室相当」のままとする(ステップS206)。そして、表示処理手段122は、スケジューラー画面について、入力された予定項目に対応する在不在状態を「在室」とする(ステップS207)。
本変形例の空気調和システム200は、予定項目の時間帯の長さが在室設定時間以下の場合、入力された予定項目に対応する在不在情報を「在室相当」のままとする。そのため、コントロール装置101の演算手段102は、情報機器側で調整された在不在情報をもとに空調機の動作を制御することができる。よって、例えば、ちょっとした内部の打ち合わせなど、離席はするが離席時間が比較的短い予定が多くなされていた場合に、それらの予定の在不在状態を「在室相当」に保つことができる。したがって、空調機の空調のON/OFFが頻発するのを抑制することができるため、不安定な運転による消費電力量の増加を抑制することができる。また、比較的短い離席の場合に、室内温度を維持することができるため、個人の快適性を高めることができる。
ところで、本変形例では、入力情報処理手段125が、在不在情報処理手段125yにより在不在情報を一旦設定した上で、在不在情報調整手段125zにより在不在情報を調整する構成を例示したが、これに限定されない。入力情報処理手段125は、予定項目の設定を行った後、予定項目の時間帯の長さに応じて在不在情報の設定を行うようにしてもよい。すなわち、図10のフローチャートを参照すると、入力情報処理手段125は、ステップS202において予定項目だけを設定してもよい。そして、入力情報処理手段125は、ステップS203でYesの場合に、ステップS204において在不在情報を「不在相当」に設定してもよい。また、入力情報処理手段125は、ステップS203でNoの場合に、ステップS206において在不在情報を「在室相当」に設定してもよい。
実施の形態2.
図11は、本発明の実施の形態2に係る空気調和システムの構成の一例を示す概略図である。図11は、天井側から設置空間403の水平面を眺めた様子の例示である。図11では、設置空間403における情報機器と座席と座席に対応する個人との組みが七組となっており、設置空間403の領域は、空調エリア403Aと空調エリア403Bとに分けられている。空調エリアの分割は、図2の場合と同様に決定される。つまり、空気調和システム300は、情報機器と座席と座席に対応する個人との組みが、空調エリア403A内に四組となっており、空調エリア403B内に三組となっている。上述した実施の形態1と同等の構成には同一の符号を付し、実施の形態1と異なる部分について説明する。
空気調和システム300は、コントロール装置111と、空調機301A及び301Bと、情報機器411Aa〜411Ad及び411Ba〜411Bcと、各個人が携行する個人カード161Aa〜161Ad及び161Ba〜161Bcと、を有する。すなわち、各個人402Aa〜402Ad及び402Ba〜402Bcは、それぞれ、個人カード161Aa〜161Ad及び161Ba〜161Bcを持っており、各々の個人カードの情報をコントロール装置101に入力している。
情報機器411Aa〜411Ad及び411Ba〜411Bcは、それぞれ、実施の形態1の情報機器401Aaと同様に構成され、個人402Aa〜402Ad及び個人402Ba〜402Bcに割り当てられている。情報機器411Aa〜411Ad及び411Ba〜411Bcのそれぞれには、スケジューラーソフトがインストールされている。情報機器411Aaには、座席位置検出手段202Aaが実装されている。情報機器411Ab〜411Ad及び411Ba〜411Bcには、それぞれ、座席位置検出手段202Aaと同様に構成された座席位置検出手段202Ab〜202Ad及び202Ba〜202Bcが実装されている。
空調エリア403Aに位置している空調機301Aは、空調機用のIDタグである空調機位置検出手段203Aを有しており、同じ空調エリア403Aにある座席用のIDタグは、座席位置検出手段202Aa〜202Adである。また、空調エリア403Bに位置している空調機301Bは、空調機用のIDタグである空調機位置検出手段203Aを有しており、同じ空調エリア403Aにある座席用のIDタグは、座席位置検出手段202Ba〜202Bcである。
図12は、図11の空気調和システムにおける制御システムのブロック図である。図12に基づき、情報機器411Aa、コントロール装置111、空調機301A、及び個人カード161Aaのそれぞれの機能的構成について説明する。ここで、図12に示す情報機器411Ab〜411Ad及び411Ba〜411Bcは、それぞれ、情報機器411Aaと同様に構成されているため説明は省略する。また、個人カード161Ab〜161Ad及び161Ba〜161Bcは、それぞれ、個人カード161Aaと同様に構成されているため説明は省略する。
個人カード161Aaには、個人識別手段162Aaと入退場通知手段163Aaとが実装されている。個人識別手段162Aaは、個人カード161Aaの識別情報である個人識別情報を記憶しているIDタグであり、座席用のIDタグである座席位置検出手段202Aaの座席識別情報と組みになる番号などが付与されている。個人識別手段162Aaは、コントロール装置111からの要求に応じて個人識別情報を返送する。よって、コントロール装置111は、予定を入力した個人が誰であるかを特定することができる。
入退場通知手段163Aaは、空調エリアを有する建物もしくはその建物が建てられている地域に個人が入場していること又は退場していることをコントロール装置111などに通知するものである。例えば、建物に入っている入場ゲートに個人カード161Aaをかざすと、入退場通知手段163Aaは、個人カード161Aaの個人識別情報をもつ個人の入退場を、入場ゲートを介してコントロール装置111へ通知する。会社が含まれる建物の入場ゲートに、会社員である個人402Aaが個人カード161Aaをかざした場合、個人カード161Aaは、個人402Aaの出社又は退社をコントロール装置111へ通知する。個人カード161Aaは、上記の各機能を備えた専用のカードでもよいし、上記の各機能が付与された社員証などでもよい。
また、本実施の形態2の機器制御装置121Aaは、入力者識別手段125Aaを有している。入力者識別手段125Aaは、予定を入力した個人の役職を識別するための役職識別情報を含むIDタグである。役職識別情報は、座席位置検出手段202Aaの座席識別情報に関連づけられている。コントロール装置111は、入力者識別手段125Aaの役職識別情報をもとに、予定を入力した個人が管理職などの管理者であるか、一般社員などである担当者であるかを識別することができる。つまり、コントロール装置111は、予定を入力した個人の座席が管理者ものであるか否かを識別することができる。ここで、役職識別情報は、空調エリア内に席をもつ人が管理者であるか否かを示す本発明の「管理者識別情報」に相当する。
さらに、本実施の形態2の演算手段102は、役職識別情報から空調エリア内に管理者の座席があるか否かを判定する管理者判定手段102mを有している。管理者判定手段102mは、情報機器411Aa〜411Ad及び411Ba〜411Bcのそれぞれの役職識別情報を分析することにより、空調エリア403A及び403Bのそれぞれに管理者の座席があるか否かを判定するものである。
また、管理者判定手段102mは、個人カード161Aa〜161Ad及び161Ba〜161Bcのそれぞれの個人識別情報を取得するものである。そして、管理者判定手段102mは、取得した個人識別情報をもとに、管理者の座席がある空調エリア内に管理者が存在するか否かを判定するものである。
ここで、本実施の形態2の制御手段103は、管理者判定手段102mにおいて空調エリア内に管理者の座席があると判定された場合、個人位置検出手段において空調エリア内に管理者が検出されず、かつ、管理者の在不在情報が不在を示していれば、当該空調エリア内の空調機の空調運転を不在用運転とするものである。
加えて、本実施の形態2の演算手段102は、個人の入退場の状況を在不在情報に反映させる入退場反映手段125mを有している。入退場反映手段125mは、入場ゲートなどに個人カード161Aaがかざされたとき、コントロール装置111を介して各個人の入場又は退場を示す入退場情報を取得するものである。そして、入退場反映手段125mは、取得した入退場情報をもとに、在不在情報を補正するものである。
より具体的に、入退場反映手段125mは、各個人のそれぞれの「退場」を示す入退場情報を取得したとき、取得した時刻以降の当日の在不在情報に「在室相当」が含まれていても、該時刻以降の当日の在不在情報を「不在相当」に補正するものである。入退場反映手段125mは、各個人のそれぞれの入場を示す入退場情報を内部メモリなどに記憶しておき、定時の出勤時間になったタイミングで、各個人のそれぞれが入場中であるか否かを判定するようにしてもよい。そして、入場中ではない個人がいれば、当日の該個人の在不在情報を常時「不在相当」にするとよい。そして、遅刻などの理由で、当日中に、該個人の入場を示す入退場情報を取得したときは、その時点で、在不在情報をもとの状態に戻すようにするとよい。
ここで、本実施の形態2の空気調和システム300は、実施の形態1の変形例に係る構成を適用することができる。つまり、入力情報処理手段125は、在不在情報調整手段125zを有していてもよい。そして、空気調和システム300によっても、実施の形態1の空気調和システム100と同様、人の存否に関する判定精度を高め、消費電力量の削減を図ることができる。
(役職を考慮した空調機の運転制御)
空気調和システム300は、上記のような構成を採っているため、役職を考慮した空調機の運転制御を実施することができる。ここで、図11の構成例に基づき、執務室などの設置空間403に1つの組織の座席が配置されている状況を想定する。このような状況では、担当者がグループで固まり、管理者が1つ通路を挟んで離れて配置されることがしばしばある。本実施の形態2では、具体的に、個人402Aa〜402Ad及び402Ba〜402Bbが担当者であり、個人402Bcが管理者であるものとする。
ところで、実施の形態1では、空調エリア内の全ての人が不在とならない限り、空調機は停止状態にならない。つまり、例えば、図11の空調エリア403Bに実施の形態1の構成を適用すると、少なくとも担当者である個人402Ba〜402Bb及び管理者である個人402Bcの全員が不在とならない限り、空調機301Bは停止状態にならない。この点、業務時間終了後であれば、残務処理の程度の差はあるものの、退社する個人が多くなるため、実施の形態1の構成であっても、空調機を停止する機会が訪れる。しかしながら、業務時間内においては、空調エリア内に席をもつ全ての個人が不在になるケースは、グループ全員による会議であるグループミーティングといった限定的な場合に限られる。このようなケースは、週にせいぜい1回〜2回が限度であり、執務室で業務時間内に空調機を停止するタイミングというのは実はそんなに多く発生しない。
一方で、管理者は、グループ内の担当者の業務進捗度合いの個別確認を行う必要があり、別グループの管理者との会議もしばしば発生するため、一般的に離席時間が担当者よりも長い傾向にある。加えて、管理者の座席は、ペリメータ側エリアに配置されることが多く、インテリア側エリアに配置される担当者の座席に対して、空調機の空調空間のほとんどが管理者の座席用となっていることがしばしばある。ここで、ペリメータ側エリアとは、外界条件の変化の影響を相対的に受けやすい建物の外周側のエリアのことを指し、図11における空調エリア403Bがペリメータ側エリアに相当する。インテリア側エリアとは、外界条件の変化の影響を相対的に受けにくい建物の内部のエリアのことを指し、図11における空調エリア403Aがインテリア側エリアに相当する。つまり、インテリア側エリアの空調機を動作させることにより、担当者の座席の空調を十分カバーできることがある。具体的には、図11の構成の場合、空調エリア403Aの空調機301Aを動作させることにより、座席404Ba及び404Bbを含む担当者の6つの座席の空調を十分カバーできることがある。上記の内容を踏まえて、以下、コントロール装置111による役職を考慮した空調運転制御の方法について説明する。
図13は、図11の空気調和システムのコントロール装置による動作を示すフローチャートである。図13に基づき、管理者の区別がある場合の空調運転制御方法について説明する。図7と同様の工程については同一の符号を用いて説明は省略する。ところで、図11では、1つの空調エリアに一人の管理者の座席が配置されている場合を例示しているが、1つの空調エリアに複数の管理者のそれぞれの座席が配置されてもよいため、以下では、後者の場合も想定して説明する。
演算手段102は、管理者判定手段102mにより、各空調エリアのそれぞれに管理者の座席があるか否かを判定する(ステップS301)。演算手段102は、管理者の座席がないと判定した場合(ステップS301/No)、図7のステップS101の処理へ移行する。図11の構成では、空調エリア403Aには管理者の座席がないため、図7のステップS101の処理へ移行することになる。
一方、演算手段102は、管理者の座席があると判定した場合(ステップS301/Yes)、管理者判定手段102mにより、管理者の座席がある空調エリア内に管理者が存在するか否かを判定する(ステップS302)。演算手段102は、管理者が存在する判定すると(ステップS302/Yes)、制御手段103を介して空調機301Aを運転状態にする(ステップS103)。
一方、演算手段102は、空調エリアに管理者が存在しないと判定すると(ステップS302/No)、在不在判定手段102zにより、現時刻の同じ空調エリアに席をもつ全ての管理者の在不在情報が「不在」を示すか否かを判定する(ステップS303)。演算手段102は、全ての管理者の在不在情報が何れも「不在」を示す場合、空調機301Aに不在用運転を実行させる(ステップS105)。演算手段102は、全ての管理者の在不在情報のうちの少なくとも1つが「在室」を示す場合、ステップS103の処理へ移行する。
上記のとおり、空気調和システム300は、管理者と担当者とを区別して空調運転制御を実施するようになっている。そのため、空調機の運転を有意に停止させる機会が増えるため、業務時間内での消費電力量の削減を図ることができる。なお、入力者識別手段125Aaは、管理者の機器制御装置にだけ実装するようにしてもよい。
(個人の入退場を考慮した空調機の運転制御)
また、空気調和システム300は、上記のような構成を採っているため、個人の入退場を考慮した空調機の運転制御を実現することができる。例えば、ある個人が急に出張となった場合又は体調不良で休暇となった場合、その個人は入力された情報によらず不在なる。しかしながら、図7又は図13のフローチャートに示す一連の工程に従うと、在不在状態が在室を示している場合は、空調機の空調運転を停止にすることができない。そこで、空気調和システム300は、各個人の入退場を示す入退場情報をもとに、在不在情報を補正するように構成されている。
図14は、図11の空気調和システムの機器制御装置による動作を示すフローチャートである。図14に基づき、機器制御装置121Aaによる個人の入退場を考慮した在不在状態の判定方法について説明する。機器制御装置121Aaの入退場反映手段125mは、各個人のそれぞれに対して下記の一連の処理を実行する。
入退場反映手段125mは、個人が入場中であるか否かを判定する(ステップS401)。入退場反映手段125mは、個人が入場中であれば(ステップS401/Yes)、個人が入力した予定に対応する在不在情報とする。すなわち、入退場反映手段125mは、在不在情報処理手段125yが設定した在不在情報、又は在不在情報調整手段125zが調整した在不在情報を維持する(ステップS402)。一方、入退場反映手段125mは、個人が退場していれば(ステップS401/No)、個人が入力した予定によらず、判定した時刻以降の当日の在不在情報を「不在相当」とする(ステップS403)。
ステップS401〜S403の一連の処理は、ステップS402又はS403を経由してステップS401へ戻るようになっている。そのため、個人が入場中でないことから、在不在情報が常時「不在相当」になっている場合でも、個人が入場したときに、個人が入力した予定に対応する在不在情報に戻すことができる。また、入場中の個人が業務時間内に退場した場合は、退場した時刻以降の当日の在不在情報を「不在相当」に補正することができる。
上記のとおり、空気調和システム300は、各個人の入退場の状況に応じて在不在状態を変更するようになっている。そのため、演算手段102の在不在判定手段102zは、より現状に合致した在不在情報を用いた判定処理を行うことができる。よって、個人が予定外に会社から離れる状況を反映させて、空調機の空調運転を停止させる機会を増やすことができるため、消費電力量の削減を図ることができる。
実施の形態3.
図15は、本発明の実施の形態3に係る空気調和システムの構成の一例を示す概略図である。図15は、ある地点から設置空間403の垂直面を眺めた様子の例示である。本実施の形態3の空気調和システム400は、各座席のそれぞれに空調機が設置されている。図15では、設置空間403における情報機器と座席と座席に対応する個人との組みが二組となっており、設置空間403の領域は、空調エリア403Aと空調エリア403Bとに分けられている。空調エリアの分割は、図2の場合と同様に決定される。上述した実施の形態1及び2と同等の構成には同一の符号を付し、実施の形態1及び2と異なる部分について説明する。
空調機301Aは座席404Aaに設置され、空調機301Bは座席404Baに設置されている。設置空間403には、空間全体の空調を行うアンビエント空調機405が設置されている。すなわち、空気調和システム400は、アンビエント空調機405により、設置空間403の全体的な空調を行い、空調機301A及び301Bによって局所的な空調を行うように構成されている。
例えば、実施の形態1の図2、又は実施の形態2の図11のような状況で、個人402Aaが暑がりで、個人402Abが寒がりであった場合、空調機301Aは一つの設定温度しかもてないため、何れかの一方の個人は不快な温度設定となる。
そこで、空気調和システム400は、上記のような構成を採ることで、在不在情報又はスケジュール入力によらず、アンビエント空調機405を常に空調運転させるようになっている。つまり、演算手段102は、制御手段103を介して、アンビエント空調機405の動作を制御する。また、アンビエント空調機405の空調制御だけでは不快に感じる個人には、上述した各実施の形態と同様、個人位置検出手段による検出情報を用いた判定と、個人が入力した予定に基づく在不在情報を用いた判定とにより、付加的な空調を行うようになっている。より具体的に、空気調和システム400は、図7及び図13に示すような動作を実行して、空調機301A及び301Bをタスク空調運転させる。
ここで、アンビエント空調機405の空調設定温度は、冷房運転時には空調機301A及び301Bの設定温度よりも高くし、暖房運転時には空調機301A及び301Bの設定温度よりも低くするとよい。例えば、空調機の不在用運転として、設定温度を緩和させる制御を採用している場合、アンビエント空調機405の空調設定温度は、不在用運転時の設定温度にしておくとよい。このようにすれば、図15の構成では、空調機301A及び301Bの設定温度が26℃の場合に、アンビエント空調機405の設定温度は28℃にするといった調整が可能となる。なお、図15では、座席が2つの場合を例示したが、座席の数が異なる場合は、座席の数に応じて空調機の数を調整する。つまり、座席が7つある場合は、各座席に対応づけて7つの空調機を設置する。
本実施の形態3の空気調和システム400は、アンビエント空調機を有すると共に、個別制御可能な空調機を座席ごとに配置しているため、各個人のそれぞれに対し、快適な空間を提供することができる。したがって、図15の構成の場合は、個人402Aaと個人402Baとの双方の快適性を高めることができる。ところで、本実施の形態3では、空調機が座席の近傍に配置されるため、空調機の気流により個人のドラフト感の発生が懸念される。そのため、機器制御装置に、座席の位置に対する空調機の風向又は風量を調整する風向風量調整手段を設け、空調機の風向調整あるいは風量調整を、個人が座席に座ったまま行えるようにするとよい。つまり、機器制御装置に風向風量調整手段を組み込むことにより、座席の位置に対する空調機の風向又は風量を、各個人が入力装置42を介して調整することができるようにするとよい。そうすることで、各個人の好みに応じた気流制御を実施できるため、ドラフト感を緩和することができる。ここで、本実施の形態3の空気調和システム400は、実施の形態1の変形例に係る構成を適用することができる。そして、空気調和システム300によっても、実施の形態1の空気調和システム100と同様、人の存否に関する判定精度を高め、消費電力量の削減を図ることができる。
上述した各実施の形態は、空気調和システムにおける好適な具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、上記の各実施の形態では、個人位置検出手段として、空調機に設けた人感センサを例示したが、これに限定されない。個人位置検出手段として、各個人のそれぞれに個人IDタグを設け、コントロール装置が個人の位置を直接検知するようにしてもよい。そうすることで、人感センサの検知精度を気にすることなく、空調機と同じ空調エリアに個人がいるか否かを特定することができる。
上記の各図では、情報機器として、デスクトップ型のパーソナルコンピュータを例示したが、これに限らず、情報機器は、ノートPC、タブレットPCなどであってもよい。そして、情報機器が、ユーザが携行できるノートPCなどの場合、空調機位置検出手段と情報機器に実装されている座席位置検出手段とを、エリア番号などで予め関連づけしておくとよい。このようにすれば、会議時などに、IDタグを実装した情報機器を個人が自席エリアから持出されたとしても、空調エリアからの不在判定精度に影響を与えない。加えて、上記各実施の形態では、コントロール装置101が集中コントローラである場合を例示したが、これに限らず、コントロール装置101は、設置空間の壁などに設けられたリモートコントローラであってもよい。
図6及び図9では、スケジューラー画面の表示範囲として、8:00〜21:00の範囲が設定されている場合を例示したが、これに限らず、表示範囲は、任意の範囲に設定し変更することができる。また、図6及び図9では、一定時間が1時間に設定されている場合を例示したが、これに限らず、一定時間は、15分又は30分といった具合に、分刻みで任意の時間に設定し変更することができる。