JP6959996B2 - 防音構造、防音囲構造、及び防音箱 - Google Patents

防音構造、防音囲構造、及び防音箱 Download PDF

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Description

本発明は、防音構造、防音囲構造、及び防音箱に係り、詳しくはハニカムコアを挟む2つの表面板の一方の貫通孔を開けた表面板のハニカムコア側に位置する一表面に吸音体を配置した防音構造、これを用いた防音囲構造、及び防音箱に関する。
ハニカムからなるボードを壁材として使用した箱は、軽量、かつ剛性が高いため、簡易に設置可能な防音箱として利用されている。但し、箱内部に吸音材を配置しない場合、箱内の残響が大きくなる問題と内部で反射した音が箱の外に漏れ出てしまう問題とがあるため、箱の防音性能が低下してしまう。
一方、箱の壁に吸音材を配置する場合、吸音効果を高めるため厚い吸音体を配置する必要がある。そのため、防音箱の防音性は高まるが、箱内部の容積が小さくなってしまう。
このため、このような箱の壁をハニカム構造体で構成し、そのハニカムコアの両側を覆う表面板の一方の表面板を、多孔質材とすること(特許文献1参照)により、又は複数の貫通孔を備える有孔表面板とし、この有孔表面板の上に吸音材及び/又は遮音材を設けること(特許文献2、3、4,5参照)により、従来よりも軽量化を図りながら、かつ吸音率等の防音性能の向上を図っている。
例えば、特許文献1では、ハニカムのヘルムホルツ共鳴を利用したハニカム上に所定の気孔率を有する紙材からなる多孔質材を配置した吸音体を提案している。
特許文献2では、ハニカム上に接着されている表面板にハニカムセルに対応する微細な貫通孔を開けてヘルムホルツ吸音構造を構成し、更にその上面に不織布を接合することを提案している。この構造であれば、高い剛性を保ったまま吸音効果を付加できるし、不織布により吸音周波数帯域を広げることもできる。
特許文献3、4、及び5でも、ハニカム上に接着されている表面板にハニカムセルに対応する微細な貫通孔を開けて吸音構造を構成し、更にその上面に吸音材及び/又は遮音材を設けることを提案している。この構造であれば、高い剛性を保ったまま遮音効果を高めることができ、吸音材及び/又は遮音材により更に遮音効果を高めることができる。
特開平09−228506号公報 特開2017−065026号公報 特開平09−221849号公報 特開2017−151256号公報 特開2012−241435号公報
ところで、特許文献1に開示の吸音構造では、ハニカムの直上に紙材からなる多孔質材を配置してしまうとボードの剛性が低下してしまうという問題があった。
また、特許文献1、及び2に開示の吸音構造では、ヘルムホルツ共鳴を利用しているため防音できる周波数帯域が狭いという問題があった。特許文献2に開示の防音構造では、不織布により、吸音周波数帯域を広げているが限界があるという問題があった。
また、特許文献3、4、及び5に開示の吸音構造でも、共鳴を利用しているため防音できる周波数帯域が狭く、吸音材及び/又は遮音材により更に遮音効果を向上させ、吸音周波数帯域を広げているが限界があるという問題があった。
即ち、特許文献1〜5に開示の吸音構造では、軽量、かつ高い剛性と広帯域の防音とを共に実現することができないという問題があった。
また、特許文献2〜5に開示の吸音構造では、吸音材及び/又は遮音材が表面にあるため、外部の物体が吸音材及び/又は遮音材に直接接触可能であり、吸音材及び/又は遮音材が損傷するという問題があった。
また、特許文献2〜5に開示の吸音構造では、吸音材及び/又は遮音材が視認されるため、美観性等の外観上の問題を克服することができないという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、ハニカムコアの両側の表面板の一方の表面板に複数の貫通孔を穿孔し、貫通孔の空いた表面板とハニカムコアとの間に吸音体を配置することにより、軽量、かつ高い剛性と広帯域の防音とを共に実現することができる防音構造を提供することにある。
本発明の他の目的は、上記効果を有する防音構造を用いることにより、頑丈、かつ軽量であり、広帯域な吸音が可能であり、吸音性能が向上した防音囲構造、及び防音箱を提供することにある。
ここで、本発明において、「防音」とは、音響特性として、「遮音」と「吸音」の両方の意味を含むが、特に、「遮音」を言う。また、「遮音」は、「音を遮蔽する」ことを言う。即ち、「遮音」とは、「音を透過させない」ことを言う。したがって、「遮音」とは、音を「反射」すること(音響の反射)、及び音を「吸収」すること(音響の吸収)を含めて言う(三省堂 大辞林(第三版)、及び日本音響材料学会のウェブページのhttp://www.onzai.or.jp/question/soundproof.html、並びにhttp://www.onzai.or.jp/pdf/new/gijutsu201312_3.pdf参照)。
以下では、基本的に、「反射」と「吸収」とを区別せずに、両者を含めて「遮音」及び「遮蔽」と言い、両者を区別する時に、「反射」及び「吸収」と言う。
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様の防音構造は、ハニカムコアと、ハニカムコアを挟む第1表面板、及び第2表面板と、第1表面板に穿孔された貫通孔と、第1表面板のハニカムコア側に位置する一表面に配置された吸音体と、を有し、第1表面板における貫通孔の開口率は、1.0%以上である。
本発明では、貫通孔の開口率は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上が特に好ましい。
ここで、貫通孔の直径は、1.0mm以上であることが好ましい。
また、第1表面板の貫通孔の開口面積は、ハニカムコアの開口面積より小さいことが好ましい。
また、第1表面板の貫通孔の開口面積は、100cmより小さいことがより好ましい。
また、第1表面板と第2表面板とによって挟まれたハニカムコアのハニカムセルは中空であることが好ましい。
また、第1表面板と第2表面板とによって挟まれたハニカムコアのハニカムセルは中空であり、ハニカムコアの厚みをl、第1表面板の厚みをh、開口率をarとする時、下記不等式(1)の条件を満たすことが好ましい。
(l,h)×ln(ar)+f(l,h)≧1 …(1)
ここで、f(l,h)=A(h)×l+A(h)×l+0.24915
(l,h)=A(h)×l+A(h)×l+1.2804
(h)=19.466×ln(h)−0.3038
(h)=−1.611×ln(h)+4.0162
(h)=119.22×ln(h)+78.249
(h)=−5689.7×h+94.861
また、ハニカムコアの厚みl、第1表面板の厚みh、及び開口率arは、下記不等式(1a)の条件を満たすことがさらに好ましく、下記不等式(1b)の条件を満たすことが最も好ましい。
(l,h)×ln(ar)+f(l,h)≧2 …(1a)
(l,h)×ln(ar)+f(l,h)≧3 …(1b)
また、ハニカムコアは、紙、金属、又は樹脂から構成されていることが好ましい。
また、第2表面板は、紙、金属、又は樹脂から構成されていることが好ましい。
また、第1表面板は、紙、金属、又は樹脂から構成されていることが好ましい。
また、吸音体は、微細貫通孔板、織り布、編み物、又は不織布からなることが好ましい。
また、吸音体は、厚み方向に貫通し、直径1.0μm〜250μmの複数の微細貫通孔を有することが好ましい。
また、吸音体は、厚み方向に貫通する複数の微細貫通孔を有し、微細貫通孔の平均直径が0.1μm以上100μm未満であり、微細貫通孔の平均直径をphi(μm)、吸音体の厚みをt(μm)としたときに、微細貫通孔の平均開口率rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にあることが好ましい。
また、吸音体の材料は、難燃材であることが好ましい。
また、難燃材は、金属であることが好ましい。
また、金属は、アルミニウム、又はアルミニウム合金であることが好ましい。
また、吸音体の厚みは、50mm以下であることが好ましい。
また、吸音体の厚みは、10mm以下が更に好ましく、5mm以下が更により好ましく、1mm以下が最も好ましい。
また、吸音体の通気流れ抵抗が、10〜50000Raylであることが好ましい。
また、第1表面板の貫通孔の部分の通気流れ抵抗R1と吸音体の通気流れ抵抗R2の合計の通気流れ抵抗が、12Rayl以上であり、16700Rayl以下であることが好ましい。
また、上記合計の通気流れ抵抗は、75Rayl以上であり、2570Rayl以下であることがさらに好ましく、170Rayl以上であり、1150Rayl以下であることが最も好ましい。
また、更に、第1表面板における吸音体と反対側の面に配置されるカバー層を有し、第1表面板の貫通孔の部分の通気流れ抵抗R1と吸音体の通気流れ抵抗R2とカバー層の通気流れ抵抗R3の合計の流れ抵抗が、12Rayl以上であり、16700Rayl以下であることが好ましい。
また、上記合計の通気流れ抵抗は、75Rayl以上であり、2570Rayl以下であることがさらに好ましく、170Rayl以上であり、1150Rayl以下であることが最も好ましい。
また、吸音体の通気流れ抵抗R2が、カバー層の通気流れ抵抗R3より大きいことが好ましい。
また、カバー層は、微細貫通孔板、織り布、又は不織布からなることが好ましい。
また、第1表面板に2つ以上の異なる孔径の貫通孔が開けられていることが好ましい。
また、第1表面板は、更に、貫通孔の孔径より小さい孔径を持ち、開口率が1.0%未満である小貫通孔を有することが好ましい。
また、吸音体は、消臭機能を有することが好ましい。
また、更に、第1表面板の前記ハニカムコア側と反対側に位置する一表面に配置された通気性のカバー層を有することが好ましい。
また、本発明の第2の態様の防音囲構造は、上記第1の態様の防音構造を2つ以上用いたものである。
また、本発明の第3の態様の防音箱は、上記第2の態様の防音囲構造を有する。
また、本発明の第3の態様の防音箱は、上記第1の態様の防音構造からなる。
ここで、吸排気用の換気口が配置されていることが好ましい。
本発明によれば、軽量、かつ高い剛性と広帯域の防音とを共に実現することができる防音構造を提供することができる。
また、本発明によれば、頑丈かつ軽量であり、広帯域な吸音が可能であり、吸音性能が向上した防音囲構造、及び防音箱を実現することができる。
また、本発明によれば、吸音体の損傷を防ぐことができ、外観上の美観性等を向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す部分断面図である。 図1に示す防音構造を部分的に破断して模式的に示す上面図である。 本発明に用いられるヘルムホルツ共鳴構造の一例を模式的に示す断面図である。 図3に示すヘルムホルツ共鳴構造の垂直入射吸音率の開口率依存性を表すグラフである。 図3に示すヘルムホルツ共鳴構造の音圧のスペクトルを表すグラフである。 図3に示すヘルムホルツ共鳴構造の開口率に対する騒音レベルを表すグラフである。 ピンクノイズの総騒音量(騒音レベル)から防音構造における騒音レベルを引いた減少量(騒音レベル)の一例を表すグラフである。 ピンクノイズの総騒音量(騒音レベル)から防音構造における騒音レベルを引いた減少量(騒音レベル)の他の一例を表すグラフである。 ピンクノイズの総騒音量(騒音レベル)から防音構造における騒音レベルを引いた減少量(騒音レベル)の他の一例を表すグラフである。 本発明の一実施形態に係る防音箱の一例を模式的に示す断面図である。 図7に示す防音箱を模式的に示す斜視図である。 比較例1の防音構造を模式的に示す断面図である。 比較例2の防音構造を模式的に示す断面図である。 比較例3の防音構造を模式的に示す断面図である。 本発明の実施例1及び比較例1〜3の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明の実施例11及び比較例11〜13の防音箱の音響測定系の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施例11及び比較例11〜13の防音箱の内部の騒音レベルを示すグラフである。 比較例11に対する本発明の実施例11及び比較例12〜13の防音箱の内部のマイク音圧レベルの差を示すグラフである。 本発明の実施例11及び比較例11〜13の防音箱の外部の騒音レベルを示すグラフである。 比較例11に対する本発明の実施例11及び比較例12〜13の防音箱の外部のマイク音圧レベルの差を示すグラフである。 本発明の実施例21〜23及び比較例21〜22の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明の実施例21〜23及び比較例21の防音構造の騒音レベルと開口率との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す部分断面図である。 本発明の実施例1の防音構造、及び図20に示す防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 図1及び図20に示す防音構造のハニカムコアに対する測定領域を模式的に示す上面図である。 図1及び図20に示す防音構造のハニカムコアの測定領域内の構成を模式的に示す上面図である。 本発明の他の実施形態に係る防音構造の一例(実施例31)を模式的に示す上面図である。 図24に示す防音構造(実施例31)を模式的に示す側面図である。 図1に示す防音構造の構造を持つ実施例32の防音構造を模式的に示す上面図である。 図26に示す実施例32の防音構造を模式的に示す側面図である。 比較例3の防音構造を模式的に示す上面図である。 図28に示す比較例3の防音構造を模式的に示す側面図である。 本発明の実施例31〜32、及び比較例31の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明の他の実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す上面図である。 図31に示す防音構造を模式的に示す側面図である。 本発明の実施例41の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明の実施例42の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。 本発明に用いられる第1表面板の貫通孔の形状の一例を模式的に示す部分断面図である。 本発明に用いられる第1表面板の貫通孔の形状の他の一例を模式的に示す部分断面図である。 本発明の実施例51〜52の防音構造の垂直入射吸音率と周波数との関係を示すグラフである。
以下に、本発明に係る防音構造、これを用いた防音囲構造、及び防音箱について、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値、及び上限値として含む範囲を意味する。
[防音構造]
本発明の第1実施形態の防音構造は、ハニカムコアと、ハニカムコアを挟む第1表面板、及び第2表面板と、第1表面板に穿孔された貫通孔と、第1表面板のハニカムコア側に位置する一表面に配置された吸音体と、を有し、第1表面板における貫通孔の開口率は、1.0%以上である防音構造である。
本発明の防音構造は、軽量、かつ高い剛性と広帯域の防音とを実現することができる。
本発明の防音構造は、頑丈、かつ軽量であり、広帯域な吸音が可能であり、吸音性能が向上した防音囲構造、及び防音箱を実現することができる。
本発明の防音構造は、防音箱内部の残響を減らすだけでなく、外に漏れ出る音量を低減させることができる。
本発明の防音構造は、壁の吸音性能を高めることでシンプルな箱の構成で防音箱を構成できる。
本発明の防音構造は、例えば建物、その他の構造物の内部、又は外部(例えば、住宅、ホール、エレベーター、音楽教室、及び会議室等の壁、及び天井用のパネル材)、動物の小屋等の建築用途、及び自動車の内装等の輸送用途、箱材、及び梱包材等の物流用途に用いることができる。
また、本発明の防音構造は、この他、複写機、送風機、空調機器、換気扇、ポンプ類、発電機、及びダクト等に用いることができる。
また、本発明の防音構造は、更に、その他にも、工場等の塗布機、及び回転機、搬送機など音を発する様々な種類の製造機器等の産業用機器、自動車、電車等の車輌、及び冷蔵庫、洗濯機、乾燥機、テレビジョン、コピー機、電子レンジ、ゲーム機、エアコン、扇風機、PC(パーソナルコンピュータ)、掃除機、空気清浄機、及び換気扇等の一般家庭用機器等に用いることができる。
なお、本発明の防音構造は、これらの各種機器において騒音源から発生する音が通過する位置に適宜配置される。
本発明に係る防音構造について、図1、及び図2を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る防音構造の一例を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示す防音構造を部分的に破断して模式的に示す上面図である。
図1、及び図2に示すように、本発明の防音構造10は、複数の開口14を有するハニカムコア12と、複数の貫通孔18を有する板状の第1表面板16と、第2表面板20と、吸音体22と、を有する。
ここで、第1表面板16、及び第2表面板20は、互いに間隔を開けて、それぞれハニカムコア12を挟むように配置される。第1表面板16は、ハニカムコア12の一方の表面に吸音体22を介して接合される。第2表面板20は、ハニカムコア12の他方の表面に接合される。即ち、吸音体22は、第1表面板16とハニカムコア12との間(即ち、第1表面板のハニカムコア側に位置する一表面)に配置される。吸音体22は、図示例では、複数の微細貫通孔24を有する微細貫通孔板26からなる。
なお、図2においては、防音構造10の構造を理解し易くするために、第1表面板16、及び吸音体22(微細貫通孔板26)を破断した部分を図2の左側に、第1表面板16のみを破断した部分を図2の中程に示す。
[ハニカムコア]
ハニカムコア12は、第1表面板16と第2表面板20との間に配置されるものであり、複数のハニカムセル(枠)を有する枠体であり、厚み方向に貫通する複数の開口14を有する。即ち、各ハニカムセル(枠)は、それぞれ開口14を有する。
ハニカムコア12の複数の開口14は、両側に配置される第1表面板16、及び吸音体22と、第2表面板20とによって閉じられる。第1表面板16の貫通孔18、及び吸音体22である微細貫通孔板26の微細貫通孔24の背後において、ハニカムコア12の開口14は、閉空間とされ、背後空気層が形成される。
ここで、第1表面板16と第2表面板20とによって挟まれたハニカムコア12のハニカムセルの開口14は、中空であることが好ましく、開口14内には何も充填されていないことが好ましい。この理由は、ハニカムコア12の開口14内に多孔質材であるとしても吸音体を配置すると重くなるからである。ハニカムコア12の開口14内が、中空であることにより、重さの利点を得ることができる。
ここで、ハニカムコア12の1つの開口14に対応して、第1表面板16の1つの貫通孔18が対応するように、第1表面板16に対して複数の貫通孔18を配置することが好ましい。したがって、第1表面板16の複数の貫通孔18は、それぞれハニカムコア12の複数の開口14に対応して配置されることが好ましい。ハニカムコア12の複数の開口14が規則的に配置されている場合には、複数の貫通孔18も、第1表面板16に、複数の開口14規則的な配置に応じて規則的に配置されることは勿論である。
なお、ハニカムコア12の複数の開口14の配置、及び第1表面板16の複数の貫通孔18の配置は、上記のものに限定されない。ハニカムコア12の開口14に対して第1表面板16の2つ以上の貫通孔18が対応するように配置してもよい。また、複数の開口14は、ハニカムコア12に規則的に配置されていなくても良い。
また、ハニカムコア12は、ハニカム構造を有することが好ましい。即ち、開口14の形状は、平面形状においてハニカム(正六角形)形状であることが好ましいが、本発明においては、特に制限的ではない。例えば、開口14の形状は、円形、楕円形、正方形(正四角形)、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正八角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、開口14の直径(孔径、又はサイズ)は、開口14の形状が円形、又は正方形のような正多角形の場合には、その中心を通る対向する辺間の距離、又は円相当直径と定義することができ、多角形、楕円、又は不定形の場合には、円相当直径と定義することができる。本発明において、円相当直径、及び半径とは、それぞれ面積の等しい円に換算した時の直径、及び半径である。
ここで、図1に示すように、ハニカムコア12の開口14の直径(サイズ)は、第1表面板16の貫通孔18の直径よりも大きい。なお、開口14の直径は、ハニカムコア12のハニカムセルのサイズ(例えば、幅、又は長さ)ということができる。
開口14の直径は、1.0mm〜500mmであることが好ましく、5mm〜250mmであることがより好ましく、10mm〜100mmであることが特に好ましい。
ここで、開口14の直径が1.0mm〜500mmであることが好ましい理由は、1.0mmよりも小さくなると、筒状のハニカムコア12の側壁における空気粘性抵抗が高くなり、吸音効果が低下するし、また、製造が困難となるからである。また、500mmより大きなサイズになると、剛性が低下するからである。
また、ハニカムコア12の開口14の開口率は、第1表面板16の貫通孔18の開口率よりも大きいことが好ましい。
なお、開口14(又は、ハニカムセル)の形状、及び/又は直径は、全ての開口14(又は、ハニカムセル)において、同一で一定であっても良いが、異なっていても良く、異なるサイズ(形状が異なる場合も含む)の開口(ハニカムセル)が含まれていても良い。
また、ハニカムコア12の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、第1表面板16、又は第2表面板20の平面形状、及びサイズ等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
ハニカムコア12の厚みは、吸音体22と第2表面板20との間の間隔(離間距離)に等しいが、吸音体22の厚みは薄いので、第1表面板16と第2表面板20との間の間隔(離間距離)に略等しいということができる。ハニカムコア12の厚みは、特に制限的ではなく、本発明の防音構造10が使用される場所、及び環境に応じて決定されれば良いし、選択されればよい。ハニカムコア12の厚みは、例えば、1.0mm〜200mmであることが好ましく、5mm〜100mmであることがより好ましく、10mm〜50mmであることが特に好ましい。
ここで、ハニカムコア12の厚みが1.0mm〜200mmであることが好ましい理由は、1.0mm未満になると剛性が大きく低下するからであり、200mm超であると防音構造が厚くなり、各応用に対し配置スペースがなくなってしまうからである。
また、ハニカムコア12の材料としては、軽量、かつ高い剛性を有し、ハニカムコア12が、第1表面板16、及び吸音体22を支持でき、吸音体22と第2表面板20との間の間隔を一定に維持でき、第2表面板20と共に、気柱共鳴構造を構成できれば、特に制限的ではない。ハニカムコア12の材料としては、例えば可燃性材料であっても、難燃材であっても良い。
本発明において可燃性材料とは、下記の難燃材以外の材料を指し、例えば、紙、木材、及び合成樹脂などの樹脂材料等も挙げることができる。紙としては、例えば、段ボール、ボード等を挙げることができる。樹脂材料としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート、ポリアミドイド、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルフォン、ポリブチレンテレフタラート、ポリイミド、及びトリアセチルセルロース等を挙げることができる。
本発明において、難燃材とは、上記可燃性材料以外の材料を指すが、建築物の材料の場合、建築基準法第2条第9号で定める不燃材料、建築基準法施行令第1条第5号で定める準不燃材料、及び同第1条第6号で定める難燃材料を指す。これらの材料は、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間以上は燃焼しないこと、防火上有害な変形、溶融、亀裂、及びその他の損傷を生じないこと、避難上有害な煙、又はガスを発生しないことの3点を満たす必要がある。
難燃材としては、例えば、金属材料、無機材料、難燃合板、難燃繊維板、及び難燃プラスチック板等の材料を挙げることができる。金属材料としては、例えば、アルミニウム、スチール、チタン、マグネシウム、タングステン、鉄、スチール、クロム、クロムモリブデン、ニクロムモリブデン、及びこれらの合金等を挙げることができる。無機材料としては、例えば、ガラス、コンクリート、石膏ボード、サファイア、及びセラミックス等を挙げることができる。
また、可燃性材料をアラミド樹脂などでコーティングすることで難燃材として使用できる。
また、これら以外のハニカムコア12の材料として、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)、カーボンファイバ、及びガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等の炭素繊維を含む材料を挙げることもできる。
なお、これらのハニカムコア12の材料の複数種を組み合わせて用いてもよい。
ハニカムコア12の材料としては、アルミニウムなどの金属を用いることで高い耐火性を得られるため好ましい。一方で、ハニカムコア12の材料として、紙を用いることで、簡易に焼却でき、かつより軽量なものができるため好ましい。
また、紙をアラミド樹脂でコーティングしたものを用いることで、軽量、かつ耐火性を得ることができるため好ましい。
以上から、ハニカムコア12は、紙、金属、又は樹脂から構成されていることが好ましい。
ここで、ハニカムコア12の材料の厚みは、ハニカムコア12が、軽量、かつ高い剛性を有し、第1表面板16、及び吸音体22を支持できる剛性を有し、吸音体22と第2表面板20との間の間隔を一定に維持でき、ハニカムコア12が、第2表面板20と共に、気柱共鳴構造を構成できれば、特に制限的ではない。ハニカムコア12の材料の厚みは、例えば、0.001mm(1μm)〜5mmであることが好ましく、0.01mm(10μm)〜2mmであることがより好ましく、0.1mm(100μm)〜1.0mmであることが特に好ましい。
ここで、ハニカムコア12の材料の厚みが0.001mm(1μm)〜5mmであることが好ましい理由は、0.001mm(1μm)未満になると剛性が低下する。5mm超になると重量が重くなりハニカムコア12の軽量メリットがなくなるからである。
なお、ハニカムコア12の開口(ハニカムセル)14内の一部に、織り布、編み物、不織布、又はフェルト等の繊維からなる吸音材、もしくはウレタン等の多孔質材等の吸音材が配置されていても良い。
吸音体22とハニカムコア12、及びハニカムコア12と第2表面板20とは、隙間なく固定されていることが好ましい。吸音体22とハニカムコア12との固定方法、及びハニカムコア12と第2表面板20との固定方法は、ハニカムコア12と吸音体22、及び第2表面板20とを固定できればどのようなものでも良く、特に制限的ではない。固定方法は、例えば、接着剤用いる方法、又は物理的な固定具を用いる方法などを挙げることができる。
接着剤を用いる方法は、接着剤をハニカムコア12の開口14を囲む(ハニカムセルの)両側の表面上に接着剤を塗布し、その上にそれぞれ吸音体22、及び第2表面板20を載置し、ハニカムコア12に固定する。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、及びアクリル系接着剤等を挙げることができる。
物理的な固定具を用いる方法としては、ハニカムコア12の開口14を覆って挟むように配置された吸音体22、又は第1表面板16、及び吸音体22、並びに第2表面板20とをハニカムコア12と棒等の固定部材との間に挟み、固定部材をネジやビス等の固定具を用いてハニカムコア12に固定する方法等を挙げることができる。
[第1表面板]
第1表面板16は、板状を成し、厚み方向に貫通する複数の貫通孔18を有するものである。第1表面板16は、吸音体22の保護層として機能し、吸音体22が外部の物体と直接接触することを防止し、吸音体22の機械的な損傷を抑制することができる。また、複数の貫通孔18を有する第1表面板16が、吸音体22を覆っているので、意匠上、第1表面板16で吸音体22の見た目を良くすることができる。
第1表面板16の貫通孔18は、ハニカムコア12の開口14に対応する。
第1表面板16の貫通孔18、及び吸音体22(微細貫通孔板26)の微細貫通孔24の背後には、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって閉空間内の背後空気層が形成される。この貫通孔18とその背後の背後空気層とを形成するハニカムコア12、及び第2表面板20は、気柱共鳴構造を構成する。即ち、1つの開口14を有するハニカムコア12の部分と、1つの開口14に対応する第2表面板20の部分とは、気柱共鳴構造を構成する。ここで、第1表面板16の貫通孔18は、気柱共鳴を妨害しない(ヘルムホルツ共鳴を誘起しない)大きな孔である。また、吸音体22は、気柱共鳴自体を構成するものではないが、気柱共鳴構造に抵抗を付加し、吸音帯域を広げるためのものである。
ここで、複数の貫通孔18は、第1表面板16にどのように配置されていても良いが、ハニカムコア12の複数の開口14に応じて、一定程度規則的に配置されていることが好ましい。なお、貫通孔18は、第1表面板16に1つ設けられていても良い。
本発明において、第1表面板16の厚みは、吸音体22を保護できるものであれば、特に制限的ではない。第1表面板16の厚みは、例えば、0.01mm〜50mmであることが好ましく、0.1mm〜30mmであることがより好ましく、1.0mm〜10mmであることが特に好ましい。
なお、第1表面板16の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、第1表面板16を用いる防音構造10の使用される場所、及び環境等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
本発明においては、第1表面板16の複数の貫通孔18は、それぞれハニカムコア12の複数の開口14に対応するように配置されることが好ましい。特に、第1表面板16の1つの貫通孔18と、ハニカムコア12の1つの開口14とが、1対1で対応するように配置されることが好ましい。しかしながら、本発明は、これに限定されず、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって構成される気柱共鳴を妨害しない(ヘルムホルツ共鳴を誘起しない)のであれば、ハニカムコア12の1つの開口14に対して2以上の貫通孔18が設けられていても良い。なお、本発明においては、第1表面板16の複数の貫通孔18は、規則的に配列されていることが好ましいが、ランダム(不規則)に配置されていても良い。
貫通孔18の形状は、平面形状で、円形であることが好ましいが、本発明においては、特に制限的ではない。例えば、貫通孔18の形状は、正方形(正四角形)、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。なお、貫通孔18の直径は、開口14の直径(サイズ)と同様に定義することができる。
第1表面板16の貫通孔18の直径は、1.0mm以上であることが好ましく、5mm以上であることがより好ましく、10mm以上であることが更に好ましい。また、貫通孔18の直径は、100mm以下であることが好ましく、50mm以下であることがより好ましく、25mm以下であることが特に好ましい。
ここで、貫通孔18の直径の好ましい範囲を1.0mm以上に限定する理由は、貫通孔18の直径が1.0mmより小さくなると、貫通孔18の孔側壁における粘性抵抗が大きくなり、吸音体22を第1表面板16の下に配置すると音響抵抗が大きくなりすぎ、吸音特性が低下してしまうためである。
また、貫通孔18の直径の好ましい範囲を100mm以下に限定する理由は、100mmより大きくなると防音構造の剛性が低下してしまうためである。
貫通孔18の形状,及び/又は直径は、全ての貫通孔18において、一定であっても良いが、異なるサイズ(形状が異なる場合も含む)が含まれていても良い。
即ち、第1表面板16には、2つ以上の異なる孔径の貫通孔18が開けられて(穿孔されて)いても良い。
更に、第1表面板16は、貫通孔18に加え、貫通孔18の孔径より小さい孔径を持ち、開口率が1.0%未満である小貫通孔を有していても良い。
なお、本発明においては、第1表面板16の貫通孔18の直径は、吸音体22である微細貫通孔板26の微細貫通孔24の直径よりも大きく、また、第1表面板16の貫通孔18の開口率は、吸音体22の微細貫通孔24の開口率よりも大きい。
また、第1表面板16の貫通孔18の開口面積は、ハニカムコア12の開口14の開口面積より小さいことが好ましく、100cmより小さいことがより好ましい。
この理由は、このように開口面積が大きいと有孔板である第1表面板16の強度が低下し、結果として吸音構造の強度も低下するからである。
第1表面板16の貫通孔18の開口率は、上述した閉空間(背後空気層)の面積に対する貫通孔18の面積の比、即ちハニカムコア12のハニカムセルの断面積(開口14の面積)に対する第1表面板16の貫通孔18の孔面積の比として定義できる。なお、ハニカムコア12の開口14が一定でない場合、又は貫通孔18が一定でない場合には、貫通孔18の開口率は、貫通孔18の平均開口率として定義することができる。貫通孔18の平均開口率は、ハニカムコア12の全開口14の面積に対する全貫通孔18の合計面積率(全ての貫通孔18の合計面積の割合)として求めることができる。なお、ハニカムコア12の全開口14の面積は、ハニカムコア12の所定範囲内の全開口14の平均直径、及び個数を求め、平均直径と個数との積から求めれば良い。また、第1表面板16の全貫通孔18の面積は、第1表面板16の所定範囲内の全貫通孔18の平均直径、及び個数を求め、平均直径と個数との積から求めれば良い。
ここで、本発明では、貫通孔18の開口率は、1.0%以上である必要がある。また、貫通孔18の開口率は、5%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、20%以上が特に好ましい。ここで、開口率が1.0%以上である理由は、第1表面板16の貫通孔18の開口率が1.0%以上の場合、貫通孔18の空気錘と、ハニカムコア12による空気バネからなるヘルムホルツ共鳴が起こりにくくなり、ハニカムコアの気柱の長さで決まる気柱共鳴が生じ、広い帯域での吸音が可能となるからである。なお、より広帯域の吸音を実現するには、5%以上の開口率が好ましい。
また、開口率は、剛性の観点から、90%以下が好ましく、80%以下がより好ましく、70%以下が更に好ましく、50%以下が特に好ましい。
貫通孔18の開口率は、5%以上がより好ましい理由は、以下のように考えることができる。
図3に示すようなヘルムホルツ共鳴構造の垂直入射吸音率の開口率(閉空間の面積に対する貫通孔の面積の比)依存性を計算により求め、更に、それらの吸音スペクトルにおいて、ピンクノイズに対して騒音レベルがどれだけ下がるか計算した。
なお、図3に示すヘルムホルツ共鳴構造28は、図1に示す本発明の防音構造10の1つのセルにおいて、吸音体22を除いたものであるということもできる。ヘルムホルツ共鳴構造28は、開口14を有するハニカムコア12、貫通孔18を有する第1表面板16、及び第2表面板20を有する。図3において、aは貫通孔18の半径、wは開口14の直径、hは第1表面板16の厚さ、lはハニカムコア12の厚さを示す。
図4に、このようなヘルムホルツ共鳴構造28の開口率ar(=4a/w)を変化させた時の垂直入射吸音率の計算結果を示す。図4は、貫通孔18の半径aが、0.0005m(0.5mm)、ハニカムコア12の厚さlが、0.03m(30mm)、第1表面板16の厚さhが、0.001m(1mm)である場合である。
開口率arが大きくなるに従い、垂直入射吸音率のピークの周波数が高周波数側にシフトし、帯域が広がっていくことが分かる。これは、開口率arが小さい時は貫通孔18によるインダクタンス成分が大きくヘルムホルツ共鳴を誘起しているのに対し、開口率arが大きくなると、このインダクタンス成分が小さくなり気柱共鳴が主に誘起されているためである。
この吸音スペクトルにおける消音効果をピンクノイズ(ar=0)に掛け合わせると図5のような音圧レベルのスペクトルになる。
この音圧レベルを、高周波は可聴域の限界20000Hz、低周波は聴感が大きく低下する低周波領域となる100Hzとして、100〜20000Hzの範囲で積算し、開口率ar、及び貫通孔18の半径aの実用以上の範囲(ar=1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、a=0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm)の時の騒音レベルを、第1表面板16の厚さh、及びハニカムコア12の厚さlを実用上の範囲(h=0.5mm、1mm、2mm、5mm、l=10mm、20mm、30mm、40mm)で振って算出し、開口率arに対する騒音レベルを表わす16種類のグラフを得た。
その結果の1つを代表として図6Aに示す。
図6Aに示すグラフから、5%の開口率になると、急激に騒音レベルが減少していることがわかる。また、10%になると減少量は減るものの、更に騒音レベルは下がることが分かる。更に、20%になると、減少量の底をつくようになることが分かる。残りのグラフも同様の結果を示していた。
一方、開口率の上限は、開口率が高いほど消音効果には良いが、大きくなりすぎると、第1表面板の剛性が低下してしまうため、90%以下が好ましく、70%以下が更に好ましく、消音効果が飽和する50%以下が最も好ましい。
計算方法は、以下の通りである。
ヘルムホルツ共鳴構造28の音響インピーダンスをZhとすると下記式(2)で表わすことができる。
Figure 0006959996

Rは、貫通孔18における音響抵抗であり、共鳴(虚部が0)の時に吸音率が99.9%になるように設定した。
arは、開口率であり、閉空間の面積に対する貫通孔18の面積の比(ar=4a/w)で表わされる。h’は貫通孔18の開口端補正を含めた第1表面板16の厚みである。また、ρは空気密度、cは音速、lは背面空間の長さ、ωは角周波数である。
虚部の1項が貫通孔18のインダクタンスを示しており、2項が閉空間のキャパシタンスを示している。開口率arが大きくなるとインダクタンス成分が小さくなり、キャパシタンス成分で共鳴を起こす、気柱共鳴の特性が強くなる。
このヘルムホルツ共鳴構造28の音響インピーダンスを用いて、下記式(3)より垂直入射吸音率αを算出した。
Figure 0006959996

air=ρc、ρ:空気の密度、c:音速
また、ピンクノイズの音圧レベルpをp=−10log(f/fo)とし(fo=1000Hzに設定)、上記音圧レベルを線形値に変化し、上記吸音効果をかけ合わせたものの騒音レベルを算出した。
また、本発明者らは、図6Bを含む16種類のグラフの計算結果から、貫通孔18の開口率とハニカムコア12の厚みと第1表面板16の厚みとの下記不等式(1)に示す好ましい関係式を見出した。
第1表面板16と第2表面板20とによって挟まれたハニカムコア12のハニカムセルは中空である時、ハニカムコア12の厚みをl、第1表面板16の厚みをh、貫通孔18の開口率をarとするとき、下記不等式(1)の条件を満たすことが好ましい。
(l,h)×ln(ar)+f(l,h)≧1 …(1)
ここで、f(l,h)=A(h)×l+A(h)×l+0.24915
(l,h)=A(h)×l+A(h)×l+1.2804
(h)=19.466×ln(h)−0.3038
(h)=−1.611×ln(h)+4.0162
(h)=119.22×ln(h)+78.249
(h)=−5689.7×h+94.861
また、ハニカムコアの厚みl、第1表面板の厚みh、及び開口率arは、下記不等式(1a)の条件を満たすことがさらに好ましく、下記不等式(1b)の条件を満たすことが最も好ましい。
(l,h)×ln(ar)+f(l,h)≧2 …(1a)
(l,h)×ln(ar)+f(l,h)≧3 …(1b)
図6Aを含む上記で求めた16種類の各グラフに対して、ピンクノイズの総騒音量(騒音レベル)から防音構造における騒音レベルを引いて、減少量を表す16種類の各グラフを求め、その中の3つを図6B、図6C,及び図6Dに示す。図6B、図6C,及び図6Dにおいては、ハニカムコア12の厚さlが、0.03m(30mm)、0.05m(50mm)、及び0.01m(10mm)であり、第1表面板16の厚さhが、0.001m(1mm)、0.0005m(0.5mm)、及び0.005m(5mm)である。
図6B、図6C、及び図6Dの各グラフから、騒音レベルが、ハニカムコア12の厚みlと第1表面板16の厚みhに大きく依存することが分かる。
なお、上記不等式(1)の左辺の式が、図6Bの計算のラインとなる。
上記不等式(1)は、1dB以上の消音効果が得られる条件を規定していることが分かる。ここで、1dB以上が好ましく、1.5dB以上がより好ましく、2dB以上がさらに好ましい。なお、1dBは、dBの最小単位であり、騒音の総エネルギが1割低減していることを表わし、また、1.5dBは、騒音の総エネルギが1.4割低減していることを表わし、また、2dBは、騒音の総エネルギが1.6割低減していることを表わし、3dBは、騒音の総エネルギが半分に低減していることを表わす。ここで、上記不等式(1)は、1.5dB以上であることがより好ましい理由は、聴感で騒音低減を感じとれる大きさであるからである。
また、第1表面板16の材料としては、吸音体22を保護でき、ハニカムコア12の一方の表面上に吸音体22が支持されるようにハニカムコア12と第1表面板16と間に吸音体22を挟持でき、第2表面板20との間の間隔を一定に維持できれば、特に制限的ではなく、ハニカムコア12と同様な材料を用いることができる。
なお、第1表面板16の材料は、第1表面板16が、吸音体22を保護し、第1表面板16の貫通孔18の背後に、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって気柱共鳴構造を構成できれば良い。
また、第1表面板16は、紙、金属、又は樹脂から構成されていることが好ましい。
[第2表面板]
次に、第2表面板20は、ハニカムコア12の他方の表面(図1中下面;即ち、吸音体22が設けられる側と反対側の面)に第1表面板16と間隔を開けて配置される。
第2表面板20は、ハニカムコア12の複数の開口14の他方の側(図1中下側)を密閉するためのものであり、第1表面板16との間に、吸音体22、及びハニカムコア12を挟持するためのものである。
第2表面板20の厚みは、第1表面板16との間において、吸音体22、及びハニカムコア12を支持できれば特に制限的ではないが、例えば、0.01mm〜50mmであることが好ましく、0.1mm〜30mmであることがより好ましく、1mm〜10mmであることが特に好ましい。
また、第2表面板20の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、第1表面板16、又は吸音体22、及びハニカムコア12の平面形状、及びサイズ等に応じて適宜決定すれば良いし、選択すればよい。
また、第2表面板20の材料としては、第1表面板16との間において、吸音体22、及びハニカムコア12を挟持できれば特に制限的ではなく、第1表面板16と同様な材料を用いることができる。例えば、第2表面板20の材料として、紙、アルミニウム、及び鉄等の各種金属、並びにポリエチレンテレフタレート(PET)等の各種樹脂材料を用いることができる。
また、第2表面板20は、紙、金属、又は樹脂から構成されていることが好ましい。
また、第2表面板20は、第1表面板16との間に、吸音体22、及びハニカムコア12を挟持できれば、防音構造を設置する各種機器の構成部材、あるいは、壁等であってもよい。すなわち、例えば、第1表面板16と吸音体22とハニカムコア12とからなる防音構造を壁に設置する際に、ハニカムコア12の第1表面板16が配置される面とは反対側の面を壁に接するように配置することで、壁を第2表面板20として利用する構成としてもよい。
なお、上述した例においては、第1表面板16とハニカムコア12と第2表面板20とは別の部材としたが、ハニカムコア12と第2表面板20とが一体化されていても良い。あるいは更に、吸音体22とハニカムコア12と第2表面板20とが一体化された構成であってもよい。
ハニカムコア12と第2表面板20とが一体化した部材等は、例えば、3Dプリンターで作製することができる。また、吸音体22とハニカムコア12と第2表面板20とが一体化した部材は、例えば、吸音体22を形成する部材とハニカムコア12と第2表面板20とを3Dプリンターで一体成型した後に、後述するように、レーザーで吸音体22を形成する部材に微細貫通孔24を形成することによって作製できる。
[吸音体]
次に、吸音体22は、ハニカムコア12の一方の表面(図1中上面)、及び第1表面板16の他方の主面(図1中下面)に接して配置されるものであり、第1表面板16とハニカムコア12との間に挟持されるものである。吸音体22は、ハニカムコア12と、第2表面板20とによって形成される吸音体22の複数の微細貫通孔の背後の閉空間を気柱共鳴構造として機能させるものである。
吸音体22としては、複数の微細貫通孔を有する微細貫通孔板、又は膜であることが好ましい。また、吸音体22としては、織り布、編み物、不織布、又はフェルト等の繊維からなる吸音体、ウレタン等の多孔質材等を挙げることができる。
図1に示す例では、吸音体22は、第1表面板16とハニカムコア12との間に配置され、第1表面板16のハニカムコア12側に位置する一表面(図1中下面)のみに配置されている。
吸音体22は、図1に示す例では、厚み方向に貫通する複数の微細貫通孔24を有する微細貫通孔板26によって構成される。
微細貫通孔板26の複数の微細貫通孔24は、平均直径が1.0μm〜250μmであることが好ましい。微細貫通孔24は、微細貫通孔板26に、形状、サイズ(直径)、及び配置において、規則的に、又はランダムに穿孔されていても良い。なお、微細貫通孔24の直径は、貫通孔18の直径と同様に定義することができる。
微細貫通孔24の平均直径が1.0μm〜250μmであることが好ましい理由は、平均直径が1.0μm未満では、音響抵抗が大きくなりすぎるために吸音特性が低下するからであり、平均直径が250μm超では、微細貫通孔24によるインダクタンスが大きくなり、帯域が狭くなるからであるからである。
なお、吸音体22は、厚み方向に貫通する複数の微細貫通孔24を有していれば、膜状(フィルム状)の微細貫通孔板26であっても、繊維状の微細貫通孔板26であっても良い。繊維状の微細貫通孔板26の場合には、繊維間の空間を微細貫通孔24と見なすことができる。微細貫通孔板26は、微細貫通孔24に規則性があっても、ランダム性があっても良いので、繊維自体であれば良く、様々な織り目を持つ織り布、又は不織布であって良い。
微細貫通孔板26からなる吸音体22は、薄い状態でも高い吸音効果が得られるためより好ましい。
また、微細貫通孔24の形状は、平面形状で円形であることが好ましいが、本発明においては、特に制限的ではない。例えば、微細貫通孔24の形状は、長方形、ひし形、又は平行四辺形等の他の四角形、正三角形、2等辺三角形、又は直角三角形等の三角形、正五角形、又は正六角形等の正多角形を含む多角形、若しくは楕円形等であっても良いし、不定形であっても良い。
本発明の防音構造10は、貫通孔18を有する第1表面板16、及び微細貫通孔板26からなる吸音体22の背後に、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって形成される気柱共鳴構造によって吸音性能を向上させるとともに、吸音周波数の広帯域化する効果を奏するものである。
なお、本発明の防音構造10においては、微細貫通孔板26に形成される複数の微細貫通孔24の平均直径が0.1μm以上100μm未満であり、微細貫通孔24の平均開口率が以下の範囲である場合には、微細貫通孔板26単体が、貫通孔18を有する第1表面板16、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって形成される共鳴構造が無くても独立して、高い吸音効果を生じる防音構造として機能させることができる。
微細貫通孔板26の複数の微細貫通孔24の平均直径をphi(μm)とし、微細貫通孔板26の厚みをt(μm)としたときに、微細貫通孔24の平均開口率rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲にある。
本発明の微細貫通孔板26は、平均直径が0.1μm以上100μm未満の微細貫通孔24を上記範囲の平均開口率で有することによって、微細貫通孔24を音が通る際の、微細貫通孔24の内壁面と空気との摩擦により吸音するものである。すなわち、微細貫通孔板26は、貫通孔18を有する第1表面板16、及び微細貫通孔板26自身の背後の、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって形成される共鳴構造の背後空気層の閉空間との共鳴による吸音と、共鳴ではないメカニズムでの微細貫通孔板26自身の吸音とを合わせて行うことができるものである。このように、微細貫通孔板26における吸音は、閉空間内の空気層における気柱共鳴による吸音効果と、微細貫通孔24を音が通る際の微細貫通孔24の内壁面と空気との摩擦により吸音効果とを合わせて用いるものである。
この微細貫通孔板26からなる吸音体22自体の吸音のメカニズムは、微細貫通孔24を音が通る際の、微細貫通孔24の内壁面と空気との摩擦による、音のエネルギの熱エネルギへの変化であると推定した。このメカニズムは微細貫通孔24のサイズが微細なことによって生じるため、共振によるメカニズムとは異なる。微細貫通孔24によって空気中の音として直接通過するパスは、いったん膜振動に変換されてから再び音として放射されるパスに比べて、音響インピーダンスが遥かに小さい。したがって、膜振動よりも微細貫通孔24のパスを音は通りやすい。その微細貫通孔部分を通過する際に、微細貫通孔板26上の全体の広い面積から微細貫通孔24の狭い面積へと音が集約されて通過する。微細貫通孔24の中で音が集まることによって局所速度が極めて大きくなる。摩擦は速度と相関するために、微細貫通孔24内で摩擦が大きくなり熱に変換される。
微細貫通孔24の平均直径が小さい場合は、開口面積に対する微細貫通孔24の縁長さの比率が大きくなるため、微細貫通孔24の縁部、及び/又は内壁面で生じる摩擦を大きくすることができると考えられる。微細貫通孔24を通る際の摩擦を大きくすることによって、音のエネルギを熱エネルギへと変換して、吸音することができる。
また、微細貫通孔24の平均開口率に最適な割合が存在し、特に平均直径が50μm程度以上と比較的大きいときには平均開口率が小さいほど吸収率が高くなる。平均開口率が大きい場合には、多くの微細貫通孔24のそれぞれを音が通過するのに対して、平均開口率が小さい場合には、微細貫通孔24の数が少なくなるため、1つの微細貫通孔24を通過する音が多くなり、微細貫通孔24を通過する際の空気の局所速度がより増大して、微細貫通孔24の縁部や内壁面で生じる摩擦をより大きくすることができる。
このように、微細貫通孔24自体による吸音は、微細貫通孔板26単体で機能するのでサイズを自由に設定することができる。
また、上述のように、微細貫通孔24による吸音は、音が微細貫通孔24を通過する際の摩擦で吸音するので、音の周波数帯によらず吸音することができ、広帯域で吸音することができる。
また、微細貫通孔板26に微細貫通孔24を形成することによって機能するので、微細貫通孔板26の素材選択の自由度が高く、周辺環境の汚染や、耐環境性能の問題もその環境に合わせて素材を選択できるために問題を少なくすることができる。
また、微細貫通孔板26は、微細貫通孔24を有するので、微細貫通孔板26に水等の液体が付着した場合であっても、表面張力により水が微細貫通孔24の部分を避けて微細貫通孔24を塞がないため、吸音性能が低下しにくい。
また、微細貫通孔板26は、薄い層状の膜であるため、配置する場所に合わせて湾曲させることができる。
ここで、吸音性能等の観点から、微細貫通孔24の平均直径の上限値は、100μm未満であり、80μm以下が好ましく、70μm以下がより好ましく、50μm以下が更に好ましく、30μm以下が最も好ましい。これは、微細貫通孔24の平均直径が小さくなるほど、微細貫通孔24の開口面積に対する微細貫通孔24の中で摩擦に寄与する微細貫通孔24の縁の長さの比率が大きくなり、摩擦が生じやすくなることによる。
また、平均直径の下限値は、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、2.0μm以上が更に好ましい。平均直径が小さすぎると微細貫通孔24を通過する際の粘性抵抗が高すぎて十分に音が通らないため開口率を高くしても吸音効果が十分に得られない。
また、微細貫通孔24の平均開口率rhoは、前述のとおり、平均直径をphi(μm)、微細貫通孔板26の厚みをt(μm)としたときに、微細貫通孔24の平均開口率rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi-1.6を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30)-2)を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30)-2)を上限とする範囲に入るものである。
また、平均開口率rhoは、rho_center-0.050×(phi/30)-2以上、rho_center+0.505×(phi/30)-2以下の範囲が好ましく、rho_center-0.048×(phi/30)-2以上、rho_center+0.345×(phi/30)-2以下の範囲がより好ましく、rho_center-0.085×(phi/20)-2以上、rho_center+0.35×(phi/20)-2以下の範囲が更に好ましく、(rho_center-0.24×(phi/10)-2)以上、(rho_center+0.57×(phi/10)-2)以下の範囲が特に好ましく、(rho_center-0.185×(phi/10)-2)以上、(rho_center+0.34×(phi/10)-2)以下の範囲が最も好ましい。
このように、本発明の防音構造10において、吸音体22である微細貫通孔板26に形成される複数の微細貫通孔24の平均直径が0.1μm以上100μm未満である時、微細貫通孔24の平均開口率rhoを上記範囲とすることは、本発明の吸音体22単体の吸音率(吸音体22を音が通過する時の吸収率)を最適化することである。このように、吸音体22単体の吸音率(吸音体22を音が通過する時の吸収率)を最適化することは、吸音体22において高い音響抵抗を得ることになる。したがって、本発明の防音構造10のように、平均開口率rhoが上記範囲を満たす微細貫通孔24を有する微細貫通孔板26を吸音体22として、貫通孔18を有する第1表面板16と、ハニカムコア12との間に用いることにより、微細貫通孔24自体の吸音と、ハニカムコア12、及び第2表面板20によって形成される気柱共鳴構造における共鳴により、広帯域特性を得るのに最適な大きな音響抵抗値を付加することができる。
なお、微細貫通孔24の平均直径は、吸音体22の表面側から、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて吸音体22の表面を倍率200倍で撮影し、得られたSEM写真において、周囲が環状に連なっている微細貫通孔24を20個抽出し、その直径を読み取って、これらの平均値を平均直径として算出する。もし、1枚のSEM写真内に微細貫通孔24が20個未満の場合は、周辺の別の位置でSEM写真を撮影し、合計個数が20個になるまでカウントする。
なお、直径は、微細貫通孔24の部分の面積をそれぞれ計測し、同一の面積となる円に置き換えたときの直径(円相当直径)を用いて評価した。すなわち、微細貫通孔24の開口部の形状は略円形状に限定はされないので、開口部の形状が非円形状の場合には、同一面積となる円の直径で評価した。従って、例えば、2以上の微細貫通孔が一体化したような形状の微細貫通孔の場合にも、これを1つの微細貫通孔24とみなし、微細貫通孔24の円相当直径を直径とする。
これらの作業は、例えば「Image J」(https://imagej.nih.gov/ij/)を用いて、Analyze Particlesにより円相当直径、開口率などを全て計算することができる。
また、平均開口率は、高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて吸音体22の表面を真上から倍率200倍で撮影し、得られたSEM写真の30mm×30mmの視野(5箇所)について、画像解析ソフト等で2値化して微細貫通孔24の部分と非微細貫通孔部分を観察し、微細貫通孔24の開口面積の合計と視野の面積(幾何学的面積)とから、比率(開口面積/幾何学的面積)から算出し、各視野(5箇所)における平均値を平均開口率として算出する。
また、複数の微細貫通孔24は、平均直径が1.0μm〜250μmであれば、1種類の直径の微細貫通孔24からなるものであってもよく、2種以上の直径の微細貫通孔24からなるものであってもよい。生産性の観点、耐久性の観点等から、2種以上の直径の微細貫通孔24からなるのが好ましい。
生産性としては、大量にエッチング処理を行う観点から直径にばらつきを許容した方が生産性が向上する。また、耐久性の観点としては、環境によってほこりやごみのサイズが異なるため、もし1種類の直径の微細貫通孔とすると主要なゴミのサイズが微細貫通孔とほぼ合致するときに全ての微細貫通孔に影響を与えることとなる。複数種類の直径の微細貫通孔を設けておくことによって、様々な環境において適用できるデバイスとなる。
また、国際公開WO2016/060037号に記載の製造方法等によって、微細貫通孔内部で直径が膨らんでいる、内部で最大径となる微細貫通孔を形成することができる。この形状によって、微細貫通孔サイズ程度のゴミ(埃、トナー、不織布や発泡体のバラけたものなど)が内部に詰まりにくくなり、微細貫通孔を有する微細貫通孔板の耐久性が向上する。
微細貫通孔の最表面の直径より大きなゴミは微細貫通孔内に侵入せず、一方、直径より小さなゴミは内部直径が大きくなっていることよりそのまま微細貫通孔内を通過できる。
これは、逆の形状で内部がすぼまっている形状を考えると、微細貫通孔の最表面を通ったゴミが内部の直径が小さい部分に引っかかり、ゴミがそのまま残りやすいことと比較すると、内部で最大径となる形状がゴミの詰まり抑制では有利に機能することがわかる。
また、いわゆるテーパ形状のように、膜のどちらか一方の表面が最大径となり、内部直径が略単調減少する形状においては、最大径となる方から「最大径>ゴミのサイズ>もう一方の表面の直径」の関係を満たすゴミが入った場合に、内部形状がスロープのように機能して途中で詰まる可能性が更に大きくなる。
また、音が微細貫通孔内を通過する際の摩擦をより大きくする観点から、微細貫通孔の内壁面は、粗面化されているのが好ましい。具体的には、微細貫通孔の内壁面の表面粗さRaは、0.1μm以上であるのが好ましく、0.1μm〜10.0μmであるのがより好ましく、0.2μm以上1.0μm以下であるのがより好ましい。
ここで、表面粗さRaは微細貫通孔内をAFM(Atomic Force Microscope)で計測することによって測定を行うことができる。AFMとしては、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンス社製 SPA300を用いることができる。カンチレバーはOMCL−AC200TSを用い、DFM(Dynamic Force Mode)モードで測定することができる。微細貫通孔の内壁面の表面粗さは、数ミクロン程度であるため、数ミクロンの測定範囲及び精度を有する点から、AFMを用いることが好ましい。
また、微細貫通孔内のSEM画像から微細貫通孔内の凹凸の凸部の一つ一つを粒子とみなして、凸部の平均粒径を算出することができる。
具体的には、2000倍の倍率で撮ったSEM画像(1mm×1mm程度の視野)をImage Jに取り込み、凸部が白となるように白黒に二値化し、その各凸部の面積をAnalyze Particlesにて求める。その各面積と同一面積となる円を想定した円相当径を各凸部について求めて、その平均値を平均粒径として算出する。
この凸部の平均粒径は0.1μm以上10.0μm以下であることが好ましく、0.15μm以上5.0μm以下であることがより好ましい。
ここで、吸音体22(例えば、微細貫通孔24を持つ微細貫通孔板26)の通気流れ抵抗が10〜50000Raylであることが好ましく、50〜10000Raylであることがより好ましく、100〜2000Raylであることが最も好ましい。10Rayl以上では貫通孔18の直径が小さくその開口率が小さい第1表面板16に対し最適な吸音率(粘性抵抗)を得られるが、これ以上小さいと抵抗がほとんどないからである。一方で、50000Rayl超になると抵抗が大きすぎ反射が主に生じ吸音効果が減る。
また、第1表面板16の貫通孔18の部分の通気流れ抵抗R1と吸音体22の通気流れ抵抗R2の合計の通気流れ抵抗は、12Rayl以上であり、16700Rayl以下であることが好ましい。このような合計の通気流れ抵抗にすることで共鳴周波数において10%以上の吸音効果が得られる。
また、上記の合計の通気流れ抵抗は、75Rayl以上であり、2570Rayl以下であることがより好ましく、170Rayl以上であり、1150Rayl以下であることが最も好ましい。上記の合計の通気流れ抵抗のより好ましい範囲は、共鳴周波数において50%以上の吸音効果が得られる値であり、上記の合計の通気流れ抵抗の最も好ましい後範囲は、共鳴周波数において80%以上の吸音効果が得られる条件である。
また、第1表面板16の貫通孔18の部分の通気流れ抵抗R1は、下記式(4)で表わされる。
Figure 0006959996

ρ:空気密度、c:音速、ν:空気の粘性抵抗、ω:角周波数、t:表面板の厚み、a:孔の半径
この式により、第1表面板16の貫通孔18の孔形状に対して必要となる吸音体22の流れ抵抗を限定することができる。
また、吸音体22である微細貫通孔板26の厚みには限定はないが、厚みが厚いほど音が微細貫通孔24を通過する際に受ける摩擦エネルギが大きくなるため、吸音性能がより向上すると考えられる。また、極端に薄い場合には取り扱いが難しく破けやすいため、保持できる程度に厚い方が望ましい。一方で、小型化、通気性及び光の透過性は厚みが薄いのが好ましい。また、微細貫通孔24の形成方法にエッチングなどを用いる場合は、厚みが厚いほど作製に時間がかかるため生産性の観点からは薄い方が望ましい。
吸音体22の厚みが厚くなると、ハニカムコア12と貫通孔18を有する第1表面板16との剛性が低くなるため薄い方が好ましい。したがって、吸音体22の厚みは、50mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、10mm以下が更に好ましく、5mm以下が更により好ましく、1mm以下が最も好ましい。
一方、吸音体22の厚みが薄くなり過ぎると、吸音体22が機械的な損傷を受けやすくなるので、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることが更に好ましい。
なお、吸音体が厚い場合(例えば、1.0mm以上の場合)、第1表面板16と第2表面板20と間の距離が吸音体22の厚み分長くなるので、低周波で広帯域に吸音することができる。但し、この場合は、吸音構造の厚みが増してしまう。
なお、吸音体22の平面形状、及びサイズ(平面サイズ)は、特に制限的ではなく、第1表面板16の平面形状、及びサイズ等に応じて適宜決定すれば良いし、適宜選択すれば良い。
以下、吸音体22が複数の微細貫通孔24を有する膜状(フィルム状)の微細貫通孔板26である場合について説明する。
このような微細貫通孔板26の材料には、特に限定はなく、ハニカムコア12の材料と同様な材料を用いることができる。吸音体22の材料としては、例えばアルミニウム、チタン、ニッケル、パーマロイ、42アロイ、コバール、ニクロム、銅、ベリリウム、リン青銅、黄銅、洋白、錫、亜鉛、鉄、タンタル、ニオブ、モリブデン、ジルコニウム、金、銀、白金、パラジウム、鋼鉄、タングステン、鉛、ステンレス、及び、イリジウム等の各種金属;それら金属による合金材料;PET(ポリエチレンテレフタレート)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリ塩化ビニルデン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルベンテン、COP(シクロオレフィンポリマー)、ポリカーボネート、ゼオノア、PEN(ポリエチレンナフタレート)、ポリプロピレン、及び、ポリイミド、ABS樹脂(アクリロニトリル (Acrylonitrile)、ブタジエン (Butadiene)、スチレン (Styrene)共重合合成樹脂)、PLA樹脂等の樹脂材料等が利用可能である。更に、薄膜ガラスなどのガラス材料;CFRP(炭素繊維強化プラスチック:Carbon Fiber Reinforced Plastics)、及び、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック:Glass Fiber Reinforced Plastics)のような繊維強化プラスチック材料を用いることもできる。
吸音体22の材料としては、特に、第1表面板16、第2表面板20、及びハニカムコア12が紙等の可燃性材料からなる場合には、難燃材であることが好ましい。難燃材としては、金属材料であることがより好ましい。
即ち、難燃性が高く、かつヤング率が高く、厚みが薄くても振動が起きにくく、微細貫通孔での摩擦による吸音の効果が得られやすい等の観点から、金属材料を用いるのがより好ましい。なかでも、コスト及び入手容易性の観点から、銅、ニッケル、ステンレス、チタン及びアルミニウムが更に好ましい。特に、軽量である、エッチング等により微小な貫通孔を形成しやすい、入手性やコスト等の観点からアルミニウム及びアルミニウム合金を用いるのが最も好ましい。
また、金属材料を用いる場合には、錆びの抑制等の観点から、表面に金属めっきを施してもよい。
更に、少なくとも微細貫通孔の内表面に金属めっきを施すことによって、微細貫通孔の平均直径をより小さい範囲に調整してもよい。
また、吸音体22の材料として、金属材料のように導電性を持ち帯電しない材料を用いることによって、微小な埃及びゴミ等が静電気で膜に引き寄せられることがなく、微細貫通孔板26の微細貫通孔24に埃及びゴミ等が詰まって吸音性能が低下することを抑制できる。
また、微細貫通孔板の材料として、金属材料を用いることによって、耐熱性を高くできる。また、耐オゾン性を高くすることができる。
また、微細貫通孔板の材料として、金属材料を用いる場合には、電波を遮蔽することができる。
また、金属材料は、遠赤外線による輻射熱に対する反射率が大きいため、微細貫通孔板の材料として金属材料(導電性材料)を用いることで、輻射熱による伝熱を防ぐ断熱材としても機能する。その際、微細貫通孔板には複数の微細貫通孔が形成されているが、微細貫通孔の直径が小さいため微細貫通孔板は反射膜として機能する。
金属に複数の微細貫通孔が開いた構造は、周波数のハイパスフィルタとして機能することが知られている。例えば、電子レンジの金属の網目がついた窓は、高周波である可視光は通しながら、電子レンジに用いられるマイクロ波に対しては遮蔽する性質を持つ。この場合、微細貫通孔の直径をΦ、電磁波の波長をλとしたときに、Φ<λの関係の長波長成分は通さず、Φ>λである短波長成分は透過するフィルタとして機能する。
ここで、輻射熱に対する応答を考える。輻射熱とは、物体から物体温度に応じて遠赤外線が放射され、それが他の物体に伝えられる伝熱機構である。ヴィーンの放射法則(Wien's radiation law)から、室温程度の環境における輻射熱はλ=10μmを中心として分布し、長波長側にはその3倍程度の波長まで(30μmまで)は実効的に熱を輻射で伝えることに寄与していることが知られている。上記ハイパスフィルタの直径Φと波長λの関係を考えると、Φ=20μmの場合はλ>20μmの成分を強く遮蔽する一方で、Φ=50μmの場合はΦ>λの関係となり輻射熱が微細貫通孔を通って伝搬してしまう。すなわち、直径Φが数10μmであるために直径Φの違いによって輻射熱の伝搬性能が大きく変わり、直径Φ、すなわち、平均直径が小さいほど輻射熱カットフィルタとして機能することが分かる。従って、輻射熱による伝熱を防ぐ断熱材としての観点からは、微細貫通孔板に形成される微細貫通孔の平均直径は20μm以下が好ましい。
一方で、防音構造全体に透明性が必要な場合には、透明にできる樹脂材料やガラス材料を用いることができる。例えば、PETフィルムは、樹脂材料の中ではヤング率も比較的高く、入手も容易で透明性も高いため、微細貫通孔を形成し好適な防音構造とすることができる。
また、微細貫通孔板は、その素材に応じて、適宜、表面処理(メッキ処理、酸化皮膜処理、表面コーティング(フッ素、セラミック)等)を行うことで、微細貫通孔板の耐久性を向上することができる。例えば、微細貫通孔板の材料としてアルミニウムを用いる場合には、アルマイト処理(陽極酸化処理)あるいはベーマイト処理を行なって表面に酸化皮膜を形成することができる。表面に酸化皮膜を形成することで、耐腐食性、耐摩耗性及び耐擦傷性等を向上することができる。また、処理時間を調整して酸化皮膜の厚みを調整することで光学干渉による色味の調整を行なうことができる。
また、微細貫通孔板に対して、色付け、加飾、装飾、及びデザイン等を施すことができる。これらを施す方法としては、微細貫通孔板の材質や表面処理の状態により適宜方法を選択すればよい。例えば、インクジェット法を用いた印刷などを用いることができる。また、微細貫通孔板の材料としてアルミニウムを用いる場合には、カラーアルマイト処理を行うことで耐久性の高い色付けを行なうことができる。カラーアルマイト処理とは表面にアルマイト処理を行った後に、染料を浸透させ、その後に表面を封孔処理する処理のことである。これによって、金属光沢の有無や色など、デザイン性の高い微細貫通孔板とすることができる。また、微細貫通孔を形成したのちにアルマイト処理を行うことで、アルミニウム部分のみに陽極酸化被膜が形成されるために、染料が微細貫通孔を覆ってしまい吸音特性を低減するということなく加飾を行うことができる。
上記アルマイト処理と合わせることで、さまざまな色みやデザインをつけることができる。
次に、微細貫通孔板が、繊維状の膜である場合について説明する。
前述のとおり、微細貫通孔板は、織り布、又は編み物などの繊維自体、又は不織布などの繊維状の膜であってもよい。繊維状の膜の場合には、繊維間の空間を貫通孔と見なすことができる。
また、繊維自体を膜状にした場合には、繊維が不規則に重なるために、また、不織布の場合には、繊維は不規則に織られるため、繊維同士は平行または直交ではないが、繊維に囲まれた空間に貫通孔が形成される。従って、繊維径と密度とによって微細貫通孔の平均直径と平均開口率とが決まる。
微細貫通孔板が、繊維状の膜である場合の厚みは、250μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましい。
繊維状の膜の繊維径は、通常数10μm程度である。従って、厚みを100μm以下とすることで、多くの糸が積層されない。そのため、繊維に囲まれた空間をほぼ貫通孔のようにみなすことができる。このことにより、繊維状の部材であっても貫通孔を有する板状の部材と同様にして吸音特性を取り扱うことができる。
繊維状の膜の材料としては、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、低密度ポリエチレン樹脂繊維、エチレン酢酸ビニル樹脂繊維、合成ゴム繊維、共重合ポリアミド樹脂繊維、共重合ポリエステル樹脂繊維、等の樹脂材料からなる繊維;紙(ティッシュペーパー、和紙など);SUS繊維(株式会社巴川製紙所製ステンレス繊維シート「トミーファイレックSS」など)等の金属材料からなる繊維;カーボン材料の繊維、カーボン含有材料の繊維などを挙げることができる。
本発明における吸収の特性は微細貫通孔を音が通過することで生じるため、繊維状の部材の材質が変化しても音響特性にはほとんど変化はない。よって、素材は自由に選択することができる。また、音響特性以外の特性に合わせて選択することもできる。例えば、耐熱性が必要な場合には金属材料を選択することができ、軽量化が必要な場合にはプラスチック材料を選択することができる。
また、吸音体22と第1表面板16とは接して配置されていればよいが、接着固定されるのが好ましい。
吸音体22と第1表面板16とを接着固定することによって、吸音体22の剛性をより高くすることができ、共鳴振動周波数をより高くすることができる。
吸音体22と第1表面板16とを接着固定する場合に用いる接着剤は、吸音体22の材質及び第1表面板16の材質等に応じて選択すればよい。接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤(アラルダイト(登録商標)(ニチバン株式会社製)等)、シアノアクリレート系接着剤(アロンアルフア(登録商標)(東亜合成株式会社製)など)、及び、アクリル系接着剤等を挙げることができる。
また、吸音体22は、消臭機能を有することが好ましい。
吸音体22に消臭機能を付与する際には、吸音体22が繊維状の膜、微細貫通孔板、多孔質材である場合には、それぞれに消臭剤を繊維に含浸させれば良い。
消臭剤としては、公知の消臭剤を用いることができる。消臭剤としては、例えば、小林製薬社製の無香空間 空気と布の消臭ミスト、 オーブス社製のリバージュ ナチュラルユーカリブラッシュアップスプレー(CR―TN012)、グッドウィル社製のバイオウィルクリアスプレー(E483184H)等を挙げることができる。
本発明の防音構造は、上記以外にも、以下のような防音部材として使用することができる。
例えば、本発明の防音構造を持つ防音部材としては、
建材用防音部材:建材用として使用する防音部材、
空気調和設備用防音部材:換気口、及び、空調用ダクトなどに設置し、外部からの騒音を防ぐ防音部材、
外部開口部用防音部材:部屋の窓に設置し、室内又は室外からの騒音を防ぐ防音部材、
天井用防音部材:室内の天井に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
床用防音部材:床に設置され、室内の音響を制御する防音部材、
内部開口部用防音部材:室内のドア、あるいは、ふすまの部分に設置され、各部屋からの騒音を防ぐ防音部材、
トイレ用防音部材:トイレ内またはドア(室内外)部に設置、トイレからの騒音を防ぐ防音部材、
バルコニー用防音部材:バルコニーに設置し、自分のバルコニーまたは隣のバルコニーからの騒音を防ぐ防音部材、
室内調音用部材:部屋の音響を制御するための防音部材、
簡易防音室部材:簡易に組み立て可能で、移動も簡易な防音部材、
ペット用防音室部材:ペットの部屋を囲い、騒音を防ぐ防音部材、
アミューズメント施設:ゲームセンター、スポーツセンター、コンサートホール、及び、映画館等に設置される防音部材、
工事現場用仮囲い用の防音部材:工事現場を覆い周囲に騒音の漏れを防ぐ防音部材、
トンネル用の防音部材:トンネル内に設置し、トンネル内部及び外部に漏れる騒音を防ぐ防音部材、等を挙げることができる。
本発明の第1実施形態の防音構造は、基本的に以上のように構成される。
[防音箱]
本発明の第1実施形態の防音構造は、そのまま、例えば建物、その他の構造物の内部、又は外部等の建築用途、輸送用途、及び物流用途に用いることができるが、本発明はこれに限定されず、2つ以上の防音構造を用いた防音囲構造としても良いし、防音構造を用いた防音箱としても良いし、防音囲構造を用いた防音箱としても良い。
図7、及び図8に本発明の第2実施形態に係る防音箱の一例を模式的に示す断面図、及び斜視図である。
図7、及び図8に示す防音箱30は、図1及び2に示す防音構造10を5つ用い、それぞれの防音構造10の第2表面板20が表側(外側)に、したがって、第1表面板16が裏側(内側)になるように接合して直方体形状に構成したものである。
本発明の第2実施形態の防音箱30は、本発明の実施形態1の防音構造10により囲われた防音箱になっているので、ハニカムコア12を一方は吸音体22を介して2枚の第1、及び第2表面板16、及び20で挟み込むことにより、高い剛性と、貫通孔18の開いた第1表面板16を防音箱30の内部に配置することで高い吸音効果を吸音体22によって得ることができる。
5つの防音構造10から図8に示す防音箱30を構成するには、まず、図7に示すように、2つの防音構造10の第1表面板16の両端を、残りの2つの防音構造10の側面(第1表面板16、吸音体22、ハニカムコア12、及び第2表面板20の各側端部)に接着して固定し、直方体の側面の4面の壁を構成する。次に、残りの1つの防音構造10の第1表面板16の4つの端部を、図7に示す直方体の4面を構成している4つの防音構造10の側面(第1表面板16、吸音体22、ハニカムコア12、及び第2表面板20の各側端部)に接着して固定することにより、例えば天井部分を構成して、直方体の側面の5面の壁を構成する防音箱30を構成することができる。
なお、防音構造10同士の固定は、ハニカムコア12と第2表面板20との固定等と同様に、接着剤を用いて行うことが好ましいが、物理的な固定具を用いる方法であっても良く、どのような固定方法を用いても良い。
このように、直方体の5面の壁からなる防音箱30は、騒音源を覆うように配置することにより、高い防音効果を上げることができる。例えば、防音箱30は、犬小屋等のペット用の防音小屋、又は、騒音源となる装置(発電機、PC)カバー用の防音箱、又は、人用防音室として用いることもできる。なお、騒音源に吸排気が場合には、防音箱30のいずれかの面の防音構造10に、図示しないが、吸気用の開口、及び排気用の開口を設けても良い。即ち、防音箱には、吸排気用の換気口が配置されていることが好ましい。その理由は、吸音構造の防音箱を用いることで、換気口から漏れ出る音が減り、換気口付防音箱としての機能が高まる効果があるからである。
なお、上述した防音箱30は、本発明の防音構造10を直方体の5面の壁に用いたものであるが、本発明はこれに限定されず、防音構造10を直方体の6面の壁に用い、1面の壁に防音構造10に出入口として1以上の開口(図示せず)を設けても良い。また、この場合にも、出入口の他に、吸気及び排気用の開口(図示せず)を有する構成であっても良い。
また、防音構造10の吸音体22が消臭効果の有するものでできている場合、防音箱30をペット小屋などに用いることが可能であるので好ましい。また、防音箱30に取っ手(図示せず)を配置することにより、持ち運び可能な防音箱、例えばペットゲージ等として機能するので好ましい。
上述した防音箱30は、直方体形状であるが、本発明はこれに限定されず、箱の形状をしていれば、立方体形状であっても良いし、その他の6面体形状であっても良いし、この他、4面体形状、5面体形状、8面体形状等の多面体形状であっても良い。
また、上述した例は、本発明の第2の実施形態の防音箱の全面の壁、又は1面の除く残りの全面の壁に本発明の第1実施形態の防音構造を用いて構成するものであるが、本発明はこれに限定されず、本発明の防音構造を少なくとも1面の壁に用いていれば、残りの面の壁は、いかなる構造、例えば、後述する比較例の防音構造を用いても良い。
また、箱にように全面が覆われた状態だけでなく、一面が開放になっていても良く、1枚または2枚からなるパーティッションのような状態であってもよい。
[防音囲構造]
また、本発明は、第1実施形態の防音構造を用いて第2の実施形態の防音箱を形成するものに限定されず、2つ以上の第1実施形態の防音構造を用いて、防音囲構造を構成しても良い。
本発明の防音囲構造は、4つの防音構造10を用いる場合、断面が図7に示す防音箱30の断面と同じであり、防音箱30の天井部分の防音構造10を外した構造で、4面の壁からなる構造である。なお、5つ以上の防音構造10を用いて、閉じた防音囲構造としても良い。
また、2つの防音構造10を用いた防音囲構造、及び3つ以上の防音構造10を用いた防音囲構造を、第1表面板16側を騒音源に向けて、騒音源を囲む仕切りとして用いることもできる。
このような防音囲構造は、騒音源を囲むように配置することにより、高い防音効果を上げることができる。
本発明の第2実施形態の防音箱、及び防音囲構造は基本的に以上のように構成される。
以下に実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
図1に示す防音構造10を用いた。用いた防音構造10においては、厚み30mm、ハニカムセルの幅が12mmのダンボールからなるハニカムコア12(コアパックニシカワ製)の片面には、貫通孔の開いていない厚み1mmの紙製の第2表面板20(コアパックニシカワ製)が接着固定されていた。また、もう一方の片面には、吸音体22である微細貫通孔24の開いたアルミニウム製微細貫通孔板26が接着固定されており、その上に更に貫通孔18の開いた厚み1.0mmの紙製の第1表面板16が接着固定されている。微細貫通孔24の直径は25μmであり、微細貫通孔24の開口率は5%、微細貫通孔板26の厚みは20μmとなっていた。接着固定に用いられた接着剤は、スプレーのり77(3M社製)であった。
貫通孔18の開いた第1表面板16においては、直径2mmの貫通孔18が、孔中心間距離4mmで開けられていた。貫通孔18の開口率23%であった。ここで、ハニカムコア12の開口14のハニカム断面積(125mm)上の貫通孔18の孔面積は、約28mmである。なお、この孔面積が約28mmとなるのは、ハニカムコア12の開口14上に複数の貫通孔18が分布しており、それらの相対的な位置が場所によってずれるためである。
(比較例1〜3)
図9〜図11に比較例1〜3の防音構造を示した。
比較例1の防音構造32は、図9に示すように、上述のダンボールからなるハニカムコア12を両側から貫通孔の空いていない紙製の第2表面板20で挟み込んだものであった。
比較例2の防音構造34は、図10に示すように、比較例1の防音構造32の片面の第2表面板20上に、吸音体として厚み15mmの吸音ウレタン27を配置したものであった。
比較例3の防音構造36は、図11に示すように、比較例1の防音構造32の片面の第2表面板20に、レーザー加工機(GCC LaserPro C1802)で直径1mmの貫通孔18を12mmの間隔で千鳥に開けて、貫通孔18の開いた紙製の第1表面板16としたものであった。貫通孔18の開口率は、0.6%であった。
図12に、自作の音響管を用いた測定による、各防音構造の垂直入射吸音率を示す。
自作の音響管を用いた音響特性の測定は、自作のアクリル製音響管に4本のマイクを用いて伝達関数法による測定であった。この手法は、「ASTM E2611-09: Standard Test Method for Measurement of Normal Incidence Sound Transmission of Acoustical Materials Based on the Transfer Matrix Method」に従うものである。音響管としては、例えば日東紡音響エンジニアリング株式会社製のWinZacと同一の測定原理であるものを用いた。この方法で広いスペクトル帯域において音響透過損失を測定することができる。本実施形態の防音構造10を音響管の測定部位に配置し、100Hz〜4000Hzの範囲で各防音構造の垂直入射吸音率の測定を行った。音響管の内径は40mmであり、4000Hz以上までは十分に測定することができる。
比較例1では、吸音構造がないため、吸音率が測定周波数範囲において非常に低い。一方で、その上に吸音ウレタン27を配置した比較例2は、高周波領域において高い吸音効果を示している。比較例3では、逆に低周波側に吸音ピークが存在しており、その吸音帯域は狭い。比較例3では、開口率が小さいために、表面紙の孔とハニカムコア部の閉空間におけるヘルムホルツ共鳴が強く生じているために、低周波狭帯域の吸音特性を示している。
これに対し、実施例1の形態においては、低い周波数から高い周波数まで広く高い吸音効果を示していることがわかる。
(実施例11、比較例11〜13)
実施例1の防音構造10、及び比較例1〜3の防音構造32〜36を用いて、それぞれ5面の壁からなる実施例11の防音箱30、及び比較例11〜13の防音箱を作製した。
即ち、それぞれ50cm×50cmの5つの各防音構造からなる壁5面を接着剤により固定し、各防音箱を作製した。
実施例11、及び比較例11〜13と、実施例1、及び比較例1〜3との関係、及びそれらの吸音構造について、表1に示す。
Figure 0006959996
こうして作製した実施例11の防音箱30、及び比較例11〜13の防音箱のそれぞれの防音効果を測定した。図13に測定系40を示す。
測定対象の防音箱42の内部に音源を発するためのスピーカー44を配置した。防音箱42の防音壁内部に3つのマイクロフォン46と防音箱42の外に、防音箱42から50cm、高さ70mの位置にマイクロフォン48を配置し、スピーカー44からの箱内外の音を測定した。
スピーカー44からピンクノイズを鳴らした時の各防音箱42の内部の3つのマイクロフォン46の騒音レベル(平均騒音量)を図14に示す。
比較例11の吸音体が全くない場合が最も箱内部の騒音量が大きく、本実施例11の吸音構造を用いた場合が最も騒音量が小さくなっていることがわかる。
図15に3つマイクロフォン46の音圧レベルを平均化した時の比較例11の防音箱に対する各吸音構造を配置した実施例11の防音箱30、及び比較例12〜13の防音箱の場合のマイクロフォン音圧の差を示す。
比較例12では比較例2の吸音構造を用いているため、高周波において、比較例13、実施例11よりも高い消音効果を示している。
比較例13では、比較例3の吸音構造を用いているため、低周波の315Hzにおいて比較例12、実施例11よりも高い消音効果を示している。
一方で、実施例11は、中周波帯域において広く高い消音効果を示しているため、最も低い騒音量が得られたものと考えられる。
実施例1の防音構造10を用いて、防音箱30を形成することにより、内部の騒音量を大きく低下させることができる。実施例11では、実施例1の防音構造10により防音箱30を形成しているが、部屋の壁に実施例1の防音構造10を配置しても同様な効果が得られる。
図16に防音箱42の外のマイクロフォン48で測定した騒音レベルを示す。
防音箱42の外でも同様に実施例1の防音構造10を用いた実施例11の防音箱が最も低い騒音レベルを示している。
図17に、比較例11の防音箱に対する各防音構造を配置した実施例11の防音箱30、及び比較例12〜13の防音箱の場合のマイクロフォン音圧の差を示す。
実施例11が、中周波数帯域において広い消音効果があるために、外に漏れ出す騒音の抑制効果が最も高いと考えられる。
(実施例21〜23、比較例21〜22)
実施例21〜23の防音構造においては、図1に示すように、厚み1mmの紙製の第2表面板20(コアパックニシカワ製)の上に1ハニカムセルの幅が12mm、厚さ30mmの紙製のハニカムコア12(コアパックニシカワ製)が接着固定されていた。このハニカムコア12上に、第1表面板16として厚み1mmのアクリル板が、表2に示すような直径、及び開口率の貫通孔18が空いた状態で配置されていた。この貫通孔18を有するアクリル板(第1表面板16)とハニカムコア12の間に吸音体22として、厚み20μmのアルミニウムホイルに直径25μmの微細貫通孔24が開口率6.2%で開けられた膜状の微細貫通孔板26を用いていた。
アクリル板(第1表面板16)とアルミニウムホイル(微細貫通孔板26)との間、及びアルミニウムホイル(微細貫通孔板26)とハニカムコア12との間は接着固定されていた。接着固定に用いられた接着剤は、実施例1と同様のものを用いた。
比較例21として、実施例21から吸音体22を除いた、図11に示すような防音構造36で、表2に示すような直径、及び開口率の貫通孔18が空いた状態の防音構造を作製した。
比較例22として、実施例21と同じ防音構造で、表2に示すような直径、及び開口率の貫通孔18が空いた状態の防音構造を作製した。
Figure 0006959996
図18に、上述の実施例1と同様にして、実施例21〜23、及び比較例21〜22を、音響管で測定した垂直入射吸音率を示す。
まず、比較例21においては、開口率1%未満、1.0mmの小さい貫通孔18(図11参照)の側壁における高い空気摩擦抵抗により、吸音体を配置していないが高い吸音率を690Hzの共鳴周波数において示している。但し、高い吸音率示す帯域は狭い。
この構成において、吸音体を配置した比較例22では、共鳴周波数における吸音ピークの吸音率が低下している。これは、開口率1%未満、1.0mmの小さい貫通孔18の空気抵抗に更に吸音体の抵抗が加わったためである。そのため、本発明の防音構造の第1表面板16の構成においては、貫通孔18の開口率は1.0%以上である必要があり、直径は1.0mm以上であることが好ましい。
また、図18の実施例21〜23の結果から、貫通孔18の直径を大きくし、貫通孔18の開口率を高めるに従い、吸音中心周波数は高周波化し、その帯域は広がっていくことが分かる。
図19に、ピンクノイズに、図18に示す垂直入射吸音率から求めた透過率(1−吸音率)を掛け合わせ、200〜4000Hzを足し合わせた騒音レベルの結果を示す。この結果から、図6Aに示す計算結果と同様に開口率が大きくなるに従い騒音レベルが小さくなることが分かる。また、開口率5%で急激に騒音レベルが低下し、10%で更に低下し、20%以上でその傾きが減少していくことがわかる。
本実施例21〜23では、膜状の微細貫通孔板を使用しているが、同じように微細な孔を形成する構成であれば、網のような構造でも、不織布からなる構造でもよい。
また、それら吸音体が、金属からなる場合、不燃性が高まるため好ましい。
また、このような微細貫通孔の開いた吸音体は、薄い状態でも高い吸音効果を得ることができるため、防音構造の厚みを大きく増すことなく高い吸音性能が得られるため好ましい。
特に、この防音構造を用いた防音箱を構成する場合、内部の容積の減少を抑制することができるため好ましい。
本実施例の21〜23の防音構造では、気柱共鳴周波数より高周波において吸音率が低下していくが、気柱内部に吸音材を配置することで、この吸音率低下を抑制することができる。この吸音材は、上述したように、織り布、編み物、不織布、又はウレタンのような多孔質材料であってもよいし、膜状の微細貫通孔板であってもよい。
本発明の防音構造は、他の種々の吸音構造と比較しても広帯域で高い吸音効果がある。
以上の結果から、本発明の効果は明らかである。
[カバー層]
ところで、図1に示す防音構造10においては、第1表面板16の外側(図1中上側)には、何も被せられていないが、本発明はこれに限定されない。本発明においては、図20に示す防音構造11のように、第1表面板16の外側(図20中上側)にカバー層23を配置しても良い。
図20に示す防音構造11は、図1に示す防音構造10と同様に、複数の開口14を有するハニカムコア12と、複数の貫通孔18を有する板状の第1表面板16と、第2表面板20と、吸音体22と、を有する図1に示す防音構造10の構成に加え、更に、第1表面板16の外側(図12中上側)に配置されたカバー層23を有するものである。
カバー層23としては、吸音体22の保護用、及び第1表面板16の貫通孔18を覆う意匠用の通気性の層であることが好ましく、例えば、微細貫通孔板、織り布、編み物、不織布、又はポリエステルダブルメッシュ等のメッシュ状のものを用いることができる。
なお、カバー層23は、本発明の防音構造の吸音特性を変えないものであることが好ましい。
但し、音響抵抗が高いと吸音効果が低下するため、カバー層23と第1表面板16と吸音体22の全体の音響抵抗は、10〜50000Raylが好ましく、 50〜10000Raylがより好ましく、 100〜2000Raylが更に好ましい。
また、この音響抵抗を得るために、カバー層23の音響抵抗は、1〜10000Raylが好ましく、5〜5000Raylがより好ましく、10〜1000Raylがさらに好ましい。
また、第1表面板16の貫通孔18の部分の通気流れ抵抗R1と吸音体22の通気流れ抵抗R2とカバー層23の通気流れ抵抗R3の合計の流れ抵抗が、12Rayl以上であり、16700Rayl以下であることが好ましい。その理由は、このような合計の通気流れ抵抗にすることで共鳴周波数において10%以上の吸音効果が得られるからである。また、上記の合計の通気流れ抵抗は、75Rayl以上であり、2570Rayl以下であることがより好ましく、170Rayl以上であり、1150Rayl以下であることが最も好ましい。上記の合計の通気流れ抵抗のより好ましい範囲は、共鳴周波数において50%以上の吸音効果が得られる値であり、上記の合計の通気流れ抵抗の最も好ましい後範囲は、共鳴周波数において80%以上の吸音効果が得られる条件である。
また、吸音体22の通気流れ抵抗R2がカバー層23の通気流れ抵抗R3より大きいことが好ましい。その理由は、カバー層23は物体と接触する可能性が高く、通気流れ抵抗値が変化し易い、そこでカバー層23に吸音制御機能を持たせずに接触の可能性が低い吸音体で吸音を制御する方が、吸音効果が安定するためである。
防音構造11のように、布製のカバー層23を第1表面板16上に配置することにより、第1表面板16の複数の貫通孔18を隠すことができる。また、第1表面板16の複数の貫通孔18においては、吸音体22は、直接外部に晒されているので、カバー層23を第1表面板16上に配置することにより、貫通孔18から吸音体22への接触を防ぐことができる。
上述した実施例1の構成の防音構造10(図1参照)、及び実施例1の防音構造10の第1表面板16上にカバー層23としてポリエステルダブルメッシュを配置した図20に示す防音構造11の垂直入射吸音率を自作の音響管を用いて測定した。その結果を図21に示す。
図21に示すように、布のカバー層23の有無では、ほとんど吸音特性がかわらないことが分かる。
なお、実施例1の構成の防音構造10及び11の垂直入射吸音率の測定においては、各防音構造10及び11のハニカムコア12が図22に示す構造をしている時、図22において点線内の領域が垂直入射吸音率の測定領域50である時、図23に示すように、測定領域50から外れるハニカムコア12のハニカムセルを粘土で埋めて測定した。
その結果、図12に示す実施例1の防音構造10の垂直入射吸音率と、図21に示す実施例1の構成の防音構造10の垂直入射吸音率とにおいては、吸音スペクトルに差が出ていることが分かる。
また、本発明においては、図24、及び図25に示す防音構造10Aのように、第1表面板16は、貫通孔18の他に、貫通孔18の孔径より小さい孔径を持ち、開口率が1.0%未満である小サイズの小貫通孔19を有していても良い。なお、図24、及び図25に示すように、1つの貫通孔18に対応するハニカムコア12の1つのハニカムセルと貫通孔18が設けられている第1表面板16との間には、微細貫通孔板26(吸音体22)が配置されている。しかしながら、1つの小貫通孔19がハニカムコア12の1つのハニカムセルに対応して設けられている場合には、微細貫通孔板26(吸音体22)が配置されておらず、小貫通孔19に対応するハニカムセルは、小貫通孔19の背面空間として閉空間を構成している。
ここで、第1表面板16の貫通孔18は、上述したように、気柱共鳴を妨害しない、即ち、気柱共鳴を誘起して、ヘルムホルツ共鳴を誘起しない、開口率1%以上の大きな孔である。これに対し、小貫通孔19は、ヘルムホルツ共鳴を誘起して、気柱共鳴を誘起しない、開口率が1.0%未満の、貫通孔18の孔径より小さい孔である。したがって、防音構造10Aにおいては、ハニカムコア12の7つのハニカムセルの内の5つのハニカムセルに対応する第1表面板16の部分には小貫通孔19が設けられており、2つのハニカムセルに対応する第1表面板16の部分には貫通孔18が設けられている。
図24、及び図25に示す本発明の防音構造10Aは、有孔板である第1表面板16の孔として、孔径を大きくして気柱共鳴を誘起する貫通孔18と、孔径が小さくヘルムホルツ共鳴を誘起する小貫通孔19とを併用した構造であるが、ヘルムホルツ共鳴を誘起する小貫通孔19を有しているため、消音できる帯域は狭くなるもの、低周波帯域を広帯域に消音できるという効果を有する。
(実施例31〜32、比較例31)
ここで、実施例31として、図24、及び図25に示す防音構造10A、次に、実施例32として、図26、及び図27に示す防音構造10B、比較例31として、図28、及び図29に示す防音構造36Aを用いた。
実施例31〜32の防音構造10A〜10B、及び比較例31の防音構造36Aにおいては、図24〜図29に示すように、厚み10mmのアルミニウム製の第2表面板20となる剛体壁の上に1ハニカムセルの対角線幅が14mm、厚さ30mmのアクリル製のハニカムコア12が接着固定されていた。
実施例31の防音構造10Aにおいては、図24、及び図25に示すように、ハニカムコア12上に、第1表面板16として厚み2mmのアクリル板が、図24中上下の2つのハニカムセルに対応してその中央に直径10mm、及び開口率53%の貫通孔18が空いた状態、かつ残りの5つのハニカムセルに対応してその中央に直径1mm、及び開口率0.4%の小貫通孔19が空いた状態で配置されていた。この貫通孔18、及び小貫通孔19を有するアクリル板(第1表面板16)とハニカムコア12の間に吸音体22として、厚み20μmのアルミニウムホイルに直径25μmの微細貫通孔24が開口率6.2%で開けられた膜状の微細貫通孔板26Aを用いた。この微細貫通孔板26Aには、小貫通孔19が開けられた5つのハニカムセルに対応して開口25が空けられていた。図24に、細貫通孔板26Aが存在する部分を網掛けで示す。
実施例32の防音構造10Bにおいては、実施例1と同様に、図26、及び図27に示すように、ハニカムコア12上に、第1表面板16として厚み2mmのアクリル板が、図26中全ての7つのハニカムセルに対応してその中央に直径10mm、及び開口率53%の貫通孔18が空いた状態で配置されていた。この貫通孔18を有するアクリル板(第1表面板16)とハニカムコア12の間に吸音体22として、厚み20μmのアルミニウムホイルに直径25μmの微細貫通孔24が開口率6.2%で開けられた膜状の微細貫通孔板26を全面に用いた。図26に、細貫通孔板26が存在する部分を網掛けで示す。
アクリル板(第1表面板16)とアルミニウムホイル(微細貫通孔板26、又は26A)との間、及びアルミニウムホイル(微細貫通孔板26、又は26A)とハニカムコア12との間は接着固定されていた。接着固定に用いられた接着剤は、実施例1と同様のものを用いた。
比較例31の防音構造36Aにおいては、比較例21と同様に、図28、及び図29に示すように、ハニカムコア12上に、第1表面板16として厚み2mmのアクリル板が、図26中全ての7つのハニカムセルに対応してその中央に直径1mm、及び開口率0.4%の貫通孔18が空いた状態で接着固定されていた。接着固定に用いられた接着剤は、実施例1と同様のものを用いた。
図30に、上述の実施例1と同様にして、実施例31〜32、及び比較例31を、音響管で測定した垂直入射吸音率を示す。
まず、比較例31においては、開口率0.4%、1.0mmの小貫通孔19(図28、及び図29参照)の側壁における高い空気摩擦抵抗により、吸音体を配置していないが、低周波において高い吸音率を示している。但し、高い吸音率示す帯域は極めて狭いことが分かる。
これに対し、実施例31においては、直径の大きい貫通孔18と、直径の小さい小貫通孔19とが第1表面板16に混在しているので、直径の大きい貫通孔18のみが第1表面板16に穿孔されている実施例32に比べて、吸音帯域は狭くなるもの、低周波帯域を広帯域に消音できるという効果を有することが分かる。
実施例32においては、実施例1と同様に、貫通孔18の直径を大きく、貫通孔18の開口率を高めているため、吸音中心周波数は高周波化し、その帯域は広がっていることが分かる。
(実施例41〜42)
実施例41〜42においては、図31、及び図32に示す防音構造10Cのように、厚み1mmの紙製の第2表面板20(コアパックニシカワ製)の上に1ハニカムセルの幅が12mm、厚さ30mmの紙製のハニカムコア12(コアパックニシカワ製)が接着固定されていた。このハニカムコア12上に、第1表面板16として厚み1mmのクラフト紙が、孔パターン:角千鳥、直径1mm、孔中心間距離5.5mm及び開口率23%の貫通孔18が空いた状態で配置されていた。この貫通孔18を有するクラフト紙からなる有孔紙(第1表面板16)とハニカムコア12の間に吸音体22として、不織布(実施例41)、及び織り布(実施例42)を用いた。
実施例41では不織布として、ミクロマット(製品名、ソフトプレン工業株式会社製)の表皮を剥がして厚み1mm以下の状態で使用した。
実施例42では、織り布として、1mm以下のカラーブロードを使用した。
クラフト紙(第1表面板16)と吸音材22(不織布、織り布)との間、及び吸音材22(不織布、織り布)とハニカムコア12との間は接着固定されていた。接着固定に用いられた接着剤は、実施例1と同様のものを用いた。
図33、及び図34に、上述の実施例1と同様にして、それぞれ実施例41、及び42を、音響管で測定した垂直入射吸音率を示す。
図33、及び図34に示すように、実施例41の不織布、及び実施例42の織り布を吸音体22として用いても、吸音中心周波数は高周波化し、その帯域は広がっていることが分かる。
(実施例51〜52)
実施例51〜52は、図31、及び図32に示す防音構造10Cである実施例41、及び42と同様の構成を有し、吸音体22として、不織布、及び織り布の代わりに、厚み20μmのアルミニウムホイルに直径25μmの微細貫通孔24が開口率6.2%で開けられた膜状の微細貫通孔板26を用いている点のみで異なっていた。ここで、第1表面板16であるクラフト紙(有孔紙)にパンチングで貫通孔18を穿孔すると、完全にストレートな孔にならず、図35、又は図36に示すように、ハニカムコア12側(微細貫通孔板26A側)の孔直径が、反対側(空気に触れる面)の孔直径よりと異なる形状となる。
実施例51は、第1表面板16であるクラフト紙の貫通孔18A(18)の孔形状が、図35に示すように、ハニカムコア12側の孔直径が、反対側の孔直径よりも小さい形状、即ち下に凸の形状であった。
これに対し、実施例52は、実施例51とは逆に、第1表面板16であるクラフト紙の貫通孔18B(18)の孔形状が、図36に示すように、ハニカムコア12側の孔直径が、反対側の孔直径よりも大きい形状、即ち、上に凸の形状であった。
図37に、上述の実施例1と同様にして、それぞれ実施例51、及び52を、音響管で測定した垂直入射吸音率を示す。
図37に示すように、下に凸の孔形状を有する貫通孔18Aを有する実施例51の方が、下に凸の孔形状を有する貫通孔18Bを有する実施例52より高い吸音率を示し、吸音特性が良いことが分かる。
ところで、第1表面板16にパンチングで貫通孔18を穿孔すると、孔直径の小さい側の孔の縁にバリが生じる。このバリがある第1表面板16の面に吸音体22を貼りつけるとバリがあるためうまくくっつかない。したがって、第1表面板16と吸音体22を貼り付ける場合には、吸音体22の反対側の面(空気に触れる面)において、孔の縁に、バリ等の孔の周囲が盛り上がっている突起がある方が好ましい。すなわち、図36に示すように、貫通孔18Bの孔直径が大きい第1表面板16の面に吸音体22を貼り付ける方が、逆の場合に比べて、図37に示す吸音特性は悪いが、吸音体22の反対側の第1表面板16の面(空気に触れる面)にバリがある場合には、製造適性に優れている。したがって、製造特性を優先させる場合には、図36に示す構造を採用しても良い。
以上、本発明に係る防音構造、防音囲構造、及び防音箱についての種々の実施形態及び実施例を挙げて詳細に説明したが、本発明は、これらの実施形態及び実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良、又は変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明に係る防音構造は、例えば建物、その他の構造物の内部、又は外部(例えば、住宅、ホール、エレベーター、音楽教室、及び会議室等の壁、及び天井用のパネル材)、動物(例えば、ペット)の小屋等の建築用途、及び自動車の内装等の輸送用途、箱材、及び梱包材等の物流用途に用いることができる。
10、10A、10B、10C、11、32、34、36、36A、38 防音構造
12 ハニカムコア
14、25 開口
16 第1表面板
18、18A,18B 貫通孔
19 小貫通孔
20 第2表面板
22 吸音体
23 カバー層
24 微細貫通孔
26、26A 微細貫通孔板
27 吸音ウレタン
28 ヘルムホルツ共鳴構造
30、42 防音箱
40 測定系
44 スピーカー
46、48 マイクロフォン
50 測定領域

Claims (26)

  1. ハニカムコアと、
    該ハニカムコアを挟む第1表面板、及び第2表面板と、
    前記第1表面板に穿孔された貫通孔と、
    前記第1表面板の前記ハニカムコア側に位置する一表面に配置された吸音体と、を有し、
    前記第1表面板における前記貫通孔の開口率は、1.0%以上であり、
    前記第1表面板の貫通孔の部分の通気流れ抵抗R1と前記吸音体の通気流れ抵抗R2の合計の通気流れ抵抗が、12Rayl以上であり、16700Rayl以下であり、
    前記ハニカムコアの厚みをl、前記第1表面板の厚みをh、前記開口率をarとする時、下記不等式(1b)の条件を満たす防音構造。
    (l,h)×ln(ar)+f (l,h)≧3 …(1b)
    ここで、f (l,h)=A (h)×l +A (h)×l+0.24915
    (l,h)=A (h)×l +A (h)×l+1.2804
    (h)=19.466×ln(h)−0.3038
    (h)=−1.611×ln(h)+4.0162
    (h)=119.22×ln(h)+78.249
    (h)=−5689.7×h+94.861
  2. 前記貫通孔の直径は、1.0mm以上であり、
    前記第1表面板の前記貫通孔の開口面積は、前記ハニカムコアの開口面積より小さい請求項1に記載の防音構造。
  3. 前記第1表面板と前記第2表面板とによって挟まれた前記ハニカムコアのハニカムセルは中空であり、
    前記貫通孔の直径は、10mm以上である請求項1、又は2記載の防音構造。
  4. 前記ハニカムコアは、紙、金属、又は樹脂から構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の防音構造。
  5. 前記第1表面板は、紙、金属、又は樹脂から構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の防音構造。
  6. 前記第2表面板は、紙、金属、又は樹脂から構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の防音構造。
  7. 前記吸音体は、微細貫通孔板、織り布、編み物、又は不織布からなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の防音構造。
  8. 前記吸音体は、厚み方向に貫通し、直径1μm〜250μmの複数の微細貫通孔を有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の防音構造。
  9. 前記吸音体は、厚み方向に貫通する複数の微細貫通孔を有し、
    前記微細貫通孔の平均直径が0.1μm以上100μm未満であり、
    前記微細貫通孔の平均直径をphi(μm)、前記吸音体の厚みをt(μm)としたときに、前記微細貫通孔の平均開口率rhoは、0より大きく1より小さい範囲であって、rho_center=(2+0.25×t)×phi -1.6 を中心として、rho_center-(0.052×(phi/30) -2 )を下限として、rho_center+(0.795×(phi/30) -2 )を上限とする範囲にある請求項1〜8のいずれか1項に記載の防音構造。
  10. 前記吸音体の材料は、難燃材である請求項1〜9のいずれか1項に記載の防音構造。
  11. 前記難燃材は、金属である請求項10に記載の防音構造。
  12. 前記金属は、アルミニウム、又はアルミニウム合金である請求項11に記載の防音構造。
  13. 前記吸音体の厚みは、50mm以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載の防音構造。
  14. 前記吸音体の通気流れ抵抗が、10〜50000Raylである請求項1〜13のいずれか1項に記載の防音構造。
  15. 前記第1表面板の貫通孔の部分の通気流れ抵抗R1と前記吸音体の通気流れ抵抗R2の合計の通気流れ抵抗が、75Rayl以上であり、2570Rayl以下である請求項1〜14のいずれか1項に記載の防音構造。
  16. 更に、前記第1表面板における前記吸音体と反対側の面に配置されるカバー層を有し、
    前記第1表面板の貫通孔の部分の通気流れ抵抗R1と前記吸音体の通気流れ抵抗R2と前記カバー層の通気流れ抵抗R3の合計の流れ抵抗が、12Rayl以上であり、16700Rayl以下である請求項1〜14のいずれか1項に記載の防音構造。
  17. 前記吸音体の通気流れ抵抗R2が、前記カバー層の通気流れ抵抗R3より大きい請求項16に記載の防音構造。
  18. 前記カバー層は、微細貫通孔板、織り布、又は不織布からなる請求項16、又は17に記載の防音構造。
  19. 前記第1表面板に2つ以上の異なる孔径の前記貫通孔が開けられている請求項1〜18のいずれか1項に記載の防音構造。
  20. 前記第1表面板は、更に、前記貫通孔の孔径より小さい孔径を持ち、開口率が1.0%未満である小貫通孔を有する請求項1〜19のいずれか1項に記載の防音構造。
  21. 前記吸音体は、消臭機能を有する請求項1〜20のいずれか1項に記載の防音構造。
  22. 更に、前記第1表面板の前記ハニカムコア側と反対側に位置する一表面に配置された通気性のカバー層を有する請求項1〜21のいずれか1項に記載の防音構造。
  23. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の防音構造を2つ以上用いた防音囲構造。
  24. 請求項23に記載の防音囲構造を有する防音箱。
  25. 請求項1〜22のいずれか1項に記載の防音構造からなる防音箱。
  26. 吸排気用の換気口が配置されている請求項24、又は25に記載の防音箱。
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