JP2016200695A - 吸音パネルおよびそれを用いた吸音方法 - Google Patents

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和弘 村木
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長 小池
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Abstract

【課題】簡単な構成で、かつ厚みが小さいにもかかわらず低音部から高音部にわたって良好な吸音率を実現することのできる吸音パネル、ならびに当該吸音パネルを用いた吸音方法を提供する。薄いにも関わらず、会話明瞭度に必要なおよそ0.8〜1.6kHz域の吸音率が高い吸音パネルを実現する。【解決手段】吸音体と、吸音体の一面を覆う多孔の反射体とを備える吸音パネルであって、多孔の反射体には平均開口面積が3〜314mm2の貫通孔が開口率3〜20%で多数個形成されており、孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5以上であることを特徴とする吸音パネル、ならびに、当該吸音体の、多孔の反射体で覆われた面とは反対側に空気層を形成する吸音方法。【選択図】図1

Description

本発明は、厚みが小さく、簡単な構成で低音部から高音部にわたる吸音率が高い吸音パネル、ならびにそれを用いた吸音方法に関する。
従来より、優れた吸音特性を有する防音材(吸音材)として、たとえば特開2005−121994号公報(特許文献1)に記載されたような多孔の共振層と吸音層からなる防音材が知られている。特許文献1には、このような防音材において、共振層は目付量200g/m以下、1〜20mm径の孔を開口率1〜10%で多数個形成する非通気性材質からなると記載されている(特許文献1の請求項1)。
しかしながら、多孔の共振層と吸音層からなる防音材においては、吸音層が非異密度の場合には、防音材全体の共振により400Hz付近、共振層の共振により1250Hz付近と2箇所に共振周波数があり、800Hz付近の吸音率低下が見られる。このような吸音率の低下を防ぐためには吸音層を高密度吸音層と低密度吸音層との複層体に形成する必要があるとされている(たとえば特開2005−335684号公報(特許文献2)の図14を参照)。
また、特開2002−215172号公報(特許文献3)には、開口率が30%以下の孔明き板(穴開き板)の背後に多孔質材を配設した吸音材が記載されている。この技術においては、孔明き板の効果は主に耐久性や強度を増すためのものとなっており、代表的な実施例の吸音特性を示すグラフ(特許文献3の図4参照)でも明らかなように、孔明き板により吸音特性が大きく変化することはない。
さらに、特開2013−181381号公報(特許文献4)には、繊維系吸音層の一方に1以上の開口部を有する板材が積層された吸音パネルが記載されている。この技術はいわゆる穴開き板の吸音効果とは異なるメカニズムを利用したものであり、良好な吸音効果を得るために繊維系吸音層の他方には板状ハニカム構造体を積層している。そのため、良好な吸音効果を得るためには吸音パネルの厚みを大きくする必要がある。
特開2005−121994号公報 特開2005−335684号公報 特開2002−215172号公報 特開2013−181381号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、簡単な構成で、かつ厚みが小さいにもかかわらず低音部から高音部にわたって良好な吸音率を実現することのできる吸音パネル、ならびに当該吸音パネルを用いた吸音方法を提供することにある。
また本発明は、共鳴器(孔明き板−多孔の反射体)による吸音機構と多孔質材(吸音体)による吸音機構の効果を併せ持つ吸音パネルを提供することも目的とするものである。つまり、共鳴器では孔の大きさなどにより特定の周波数の音の吸音率だけが大きいという特徴があり、吸音効果は狭い周波数帯だけで得られる傾向にある。それに反して、多孔質材では広い範囲で高い吸音率を得ることができるが、厚さを大きくしないと低音部の吸音率が低いという特徴がある。しかし、多孔質材の厚さを大きくすると室内空間を小さくすることになり、特に、住宅や教室、商業施設などの一般的な建物では吸音材の厚さを薄くすることが建設費が高くなることを抑制するためにも重要なことである。このように、本発明は薄いにも関わらず、会話明瞭度に必要な周波数域として1/3オクターブバンド周波数域の中心周波数で、およそ0.8〜1.6kHz域の吸音率が高い吸音パネルを実現することも目的としている。
本発明の吸音パネルは、吸音体と、吸音体の一面を覆う多孔の反射体とを備える吸音パネルであって、多孔の反射体には平均開口面積が3〜314mmの貫通孔が開口率3〜20%で多数個形成されており、孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5以上であることを特徴とする。
本発明の吸音パネルは、前記反射体の厚みが0.2〜21mmであることが好ましい。
本発明の吸音パネルにおける吸音体は、多孔質体を含むことが好ましく、多孔質体は、板状の不織繊維構造体を含むことがより好ましい。この場合、不織繊維構造体は、湿熱接着性繊維を含むことが好ましい。
本発明の吸音パネルは、吸音体の多孔の反射体で覆われていない部分において、吸音体の断面が露出していることが好ましい。
本発明の吸音パネルは、吸音体の多孔の反射体に覆われていない面を覆う反射体をさらに備えることが好ましい。
本発明は、上述した本発明の吸音パネルを用いた吸音方法であって、前記吸音体の、多孔の反射体で覆われた面とは反対側に空気層を形成する吸音方法についても提供する。
本発明によれば、従来品と比較して厚みが小さいにもかかわらず、低音部から高音部にわたる吸音性を向上できる吸音パネルを提供できる。特に、吸音体を後述する湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された板状の不織繊維構造体で形成した場合には、吸音体と多孔の反射体とを強固に接着することができ、軽量でありながら強靭性を兼ね備えた吸音パネルを提供できる。さらに、本発明は、本発明の吸音パネルを用いた、さらに吸音効果の大きい吸音方法も提供することができる。
本発明の好ましい一例の吸音パネル1を模式的に示す図である。 本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図2(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の真円形状である場合、図2(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の楕円形状である場合である。 本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図3(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の正方形状である場合、図3(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の長方形状である場合である。 本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図4(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の正三角形状である(いずれも同じ方向に配列)場合、図4(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の正三角形状である(貫通孔4A,4Cと貫通孔4B,4Dとで逆の方向に配列)場合である。 本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図5(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の二等辺三角形(2つの等辺よりも残りの1つの辺が大きい)である場合、図5(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の二等辺三角形(2つの等辺よりも残りの1つの辺が小さい)である場合である。 本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、貫通孔4A,4B,4C,4Dの形状、大きさがいずれも異なる場合である。 本発明の好ましい他の例の吸音パネル11を模式的に示す図である。 本発明の好ましいさらに他の例の吸音パネル21を模式的に示す図である。
図1は、本発明の好ましい一例の吸音パネル1を模式的に示す断面図である。本発明の吸音パネル1は、吸音体2と、吸音体2の一面を覆う多孔の反射体3とを基本的に備える。本発明における多孔の反射体3は、平均開口面積3〜314mmの貫通孔4が開口率3〜20%で多数個形成されており、孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5以上であることを特徴とする。このような本発明の吸音パネルでは、音波を通過させて吸音体にまで入射させるための複数の貫通孔(開口部)と、音波を反射させるための非開口部とを備え、開口部から吸音体2にまで入射した音波が、音波が入射した側とは反対側の剛壁などにより反射して吸音体2から漏洩するのを非開口部により効率的に封じ込める(隠蔽作用によって抑制できる)ことが可能となる。また、多孔の反射体(好ましくは穴開き板)による共鳴吸音の効果も加味されるものと考えられる。このような本発明の吸音パネル1によれば、厚みが小さいにもかかわらず低音部から高音部にわたる音波の吸音性を向上できるだけでなく、従来の繊維系吸音層を備えた吸音パネルでは吸音が困難な、会話明瞭度に重要な低周波域の音波に対する吸音性を向上できる。具体的には、1/3オクターブバンド中央周波数で0.8〜1.6kHzの吸音率が0.6以上という有効な会話明瞭度が示される吸音性能を有する吸音パネルを実現できる。
本発明における反射体3の開口率は、反射体3の吸音体2を覆う側とは反対側の面における貫通孔4による開口の面積の総計を、当該面全体の面積で除することによって算出することができる。反射体3の開口率が3%未満である場合には、音波が貫通孔を通過することが困難となり、本発明の吸音パネルによる吸音率の低下の効果を十分に発揮できないためであり、また、反射体3の開口率が20%を超える場合には、貫通孔を通過して吸音体2に入射した音波が漏洩することを非開口部により封じ込める効果が低減し、この場合も本発明の吸音パネルによる吸音率の低下の効果を十分に発揮できない。反射体3の開口率(貫通孔による開口の面積割合)が大きくなると、多孔質材(吸音体)を覆う多孔の反射体としての効果が小さくなり、多孔質材の特性が支配的になる傾向にあり、また、反射体3の開口率が小さくなると、共鳴器の効果が大きくなり、狭い周波数帯でしか高い吸音率が得られなくなる傾向にあることから、反射体3の開口率は7〜15%の範囲内であることが好ましく、10〜15%の範囲内であることがより好ましい。
本発明における反射体3における個々の貫通孔4の開口面積は、平均で(平均開口面積)3〜314mmの範囲内であることが好ましく、30〜250mmの範囲内であることがより好ましい。ここで、反射体3の平均開口面積は、反射体3の吸音体2を覆う側とは反対側の面における貫通孔4による開口の面積の平均値を指す。貫通孔4の平均開口面積が3mm(貫通孔4の開口形状が真円形状である場合には直径(孔サイズ)は約2mm)未満である場合には、貫通孔を形成するための加工の効率が悪くなる、吸音体との接着の際に貫通孔の開口を塞がずに接着することが困難となる、また、吸音率に与える影響として、貫通孔の開口が極端に小さい場合には、2層目の吸音体を活かすことができ難くなり、単なる共鳴器の吸音機構しか利用できなくなるためである(狭い周波数域での吸音性)。また、貫通孔4の平均開口面積が314mm(貫通孔4の開口形状が真円形状である場合には直径(孔サイズ)は約20mm)を超える場合には、やはり貫通孔を形成するための加工の効率が悪く、また、反射体の強度が弱くなってしまい、さらには、吸音率に与える影響として、貫通孔の開口が極端に大きくなると、開口率および開口部からなる平均面積の調整が困難となり、吸音パネルの面積によっては効果が出難くなってしまう。特に、小さな面積の吸音パネルの場合、開口の数が非常に少なくなり、開口の配置が困難となるためである。開口部の大きさは、音波を透過させ、かつ、非開口部からの漏洩を抑制するために、用途や開口部の形状などに応じて、上述の開口率との兼ね合いを考慮して適宜調整するべきである。
なお、反射体3の貫通孔4の開口面積の最小値(開口面最小積)は3〜150mmの範囲内であることが好ましく、5〜60mmの範囲内であることがより好ましい。反射体3の貫通孔4の最小開口面積が3mm未満である場合には、孔が小さすぎ、孔を通じて吸音体への音の到達が悪くなる。また有効な吸音性を得るために開口率とのバランスを考慮した場合も、大きな開口面積を持つ孔とのバランスがとりにくくなる。また、孔配置の多様性が広くはなるが、加工に手間を有する等の不具合がある。また、最小開口面積が150mmを超える場合には、大きな開口面積を持つ孔と吸音性に及ぼす効果の差異が小さくなり、わざわざ開口面積の異なる孔を空ける価値がなくなる。また、反射体3の貫通孔4の開口面積の最大値(最大開口面積)が150〜400mmの範囲内であることが好ましく、150〜350mmの範囲内であることがより好ましい。反射体3の貫通孔4の最大開口面積が150mm未満である場合には、小さな開口面積を持つ孔と吸音性に及ぼす効果の差異が小さくなり、わざわざ開口面積の異なる孔を空ける価値がなくなる。また、最大開口面積が400mmを超える場合には、反射体の反射効果が得られ難くなる。また、孔配置の多様性が小さくなり、デザイン性面での制約が大きくなってしまうので良くない。
本発明の吸音パネルでは、孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5以上である。この孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5未満である場合には、音波の入射および非開口部による吸音体からの音波の漏洩の効果が不十分な程度に貫通孔の分散性が悪くなってしまう。すなわち、この孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比は、貫通孔の分散性の程度の指標となっており、貫通孔が好ましい大きさの開口面積の貫通孔(開口部)と、音波を閉じ込めるのに好ましい大きさの領域を有する非開口部が、上述した効率的な吸音という本発明により奏される効果を発揮できることを規定するものである。孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5以上であるならば、貫通孔の形成のされ方に特に制限はないが、ほぼ均一に分布するように形成されていることが好ましい。同一な孔サイズに対し、孔のピッチが大きくなり過ぎると、両者の比が大きくなり、共鳴器による吸音機構が支配的になり吸音範囲が変化するという理由からは、孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比は1.5〜7.0の範囲内であることが好ましく、2.0〜5.0の範囲内であることがより好ましい。
なお、当該規定は、孔サイズの平均値と、孔ピッチの平均値との関係を示しているものであり、孔サイズと孔ピッチの比が1.5未満であるような貫通孔を有していても勿論よい。しかしながら、貫通孔を均一に分散させるという観点からは、孔サイズに対する孔ピッチの比が全て1.5以上であることが好ましい。
貫通孔の開口形状は、特に制限されないが、円形状(真円形状、楕円形状)、三角形状(正三角形状、二等辺三角形状)、四角形状(正方形状、長方形状)、五角形以上の多角形状、その他不定形状などであってよい。また、貫通孔は、その貫通方向は、反射体3の厚み方向に沿った方向であっても、貫通孔の開口の大きさによっては反射体の厚み方向に対し鋭角を成す方向であってもよいが、音波の入射の観点からは、貫通孔の貫通方向は反射体3の厚み方向に沿った方向であることが好ましい。また、貫通孔は、反射体の厚み方向に関し、開口と同じ大きさでなくともよい(たとえば、吸音体側において吸音体とは反対側の開口の大きさ貫通孔が狭くなっていたり、反射体の厚み方向に関し、中途の部分のみ貫通孔が広く膨らんでいてもよい)。また、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、貫通孔以外に、反射体を厚み方向に貫通しない穴が反射体の表面側(吸音体とは反対側)に形成されていても勿論よい。
ここで、本発明において「孔ピッチ」aは、1つの貫通孔を基準として、隣り合う1または複数の貫通孔との間の直線距離のうち、最短の直線距離を指す。また本発明において「孔サイズ」bは、基準となる貫通孔の中心を通る最短の直線距離(円形状、不定形状などの場合)または最短の辺の長さ(四角形状、三角形状などの場合)を指す。
まず、図2は、本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図2(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の真円形状である場合、図2(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の楕円形状である場合である。図2(a)に示す場合、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図2(a)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の真円形状であるため、貫通孔4Aの開口の直径がそのまま孔サイズbとなる。また図2(b)に示す場合も、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図2(b)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の楕円形状であり、中心を通る最短の直線距離である短径b1と、中心を通る最長の直線距離である長径b2のうち、短径b1が孔サイズbとなる。
図3は、本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図3(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の正方形状である場合、図3(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の長方形状である場合である。図3(a)に示す場合、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図3(a)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の正方形状であるため、貫通孔4Aの辺の長さがそのまま孔サイズbとなる。また図3(b)に示す場合も、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図3(b)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の長方形状であり、短辺b1と、長辺b2のうち、短辺b1が孔サイズbとなる。
図4は、本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図4(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の正三角形状である(いずれも同じ方向に配列)場合、図4(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の正三角形状である(貫通孔4A,4Cと貫通孔4B,4Dとで逆の方向に配列)場合である。図4(a),(b)に示す場合、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図4(a),(b)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の正三角状であるため、貫通孔4Aの辺の長さがそのまま孔サイズbとなる。
図5は、本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、図5(a)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の二等辺三角形(2つの等辺よりも残りの1つの辺が大きい)である場合、図5(b)は規則的に配列された貫通孔4A,4B,4C,4Dがいずれも同じ開口面積の二等辺三角形(2つの等辺よりも残りの1つの辺が小さい)である場合である。図5(a)に示す場合、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図5(a)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の二等辺三角形であり、2つの等辺の長さb1と当該等辺よりも長い残りの1つの辺の長さb2とのうち、2つの等辺の長さb1が孔ピッチbとなる。また図5(b)に示す場合も、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図5(b)に示す例の場合、貫通孔4A,4B,4C,4Dはいずれも同じ開口面積の二等辺三角形であり、2つの等辺の長さb1と当該等辺よりも短い残りの1つの辺の長さb2とのうち、残りの1つの辺の長さb2が孔ピッチbとなる。
図6は、本発明における反射体3の貫通孔4Aの孔ピッチaおよび孔サイズbの定義の仕方について説明するための模式図であり、貫通孔4A,4B,4C,4Dの形状、大きさがいずれも異なる場合である。図6に示す例では、貫通孔4A,4Bは共に真円形状であるが、貫通孔4Aの直径bは貫通孔4Bの直径bよりも大きい。また図6に示す例では、貫通孔4Cは正方形状、貫通孔4Dは直方形状である。このように、本発明において、反射体3に形成された貫通孔の開口の形状は、互いに同じ大きさ、形状であってもよいし、互いに大きさ、形状が異なっていても勿論よい。図6に示す例の場合、貫通孔4Aを基準とし、貫通孔4Bとの間の直線距離a1と、貫通孔4Cとの間の直線距離a2と、貫通孔4Dとの間の直線距離a3が存在するとする場合、直線距離a1<直線距離a2<直線距離a3の関係にあるとすると、孔間の最短の直線距離である直線距離a1が孔ピッチaとなる。また図6に示す例の場合、真円形状である貫通孔4Aについては直径が孔サイズbとなり、真円形状である貫通孔4Bについては直径が孔サイズbとなり、正方形状である貫通孔4Cについては辺の長さが孔サイズbとなり、長方形状である貫通孔4Dについては短辺b1と、長辺b2のうち、短辺b1が孔サイズbとなる。
孔ピッチaは、ある程度以上孔間隔が離れている必要があり、特に大きな孔や複雑な形状をした孔の場合、孔ピッチが小さすぎると孔が密集してしまい、吸音性に影響が出るという理由からは、10mm以上であることが好ましく、18mm以上であることがより好ましい。また、孔ピッチが大きすぎても孔の配置が必要以上に偏る原因となってしまうという理由からは、孔ピッチaは、40mm以下であることが好ましく、35mm以下であることがより好ましい。
また孔サイズbは、小さすぎると音が孔を通過して吸音体に到達し難くなり、また加工面においても手間が非常にかかってしまうという理由からは、2mm以上であることが好ましく、8mm以上であることがより好ましい。また、あまり大きすぎると吸音体への音の到達はよくなるが、有効な吸音性を示す吸音周波数域が高周波域にずれてしまうという理由からは、孔サイズbは、25mm以下であることが好ましく、20mm以下であることがより好ましい。
多孔の反射体3は、貫通孔が形成され、開口を有する1つの面を有しているのであれば、その形状については特に制限はなく、板状、箱状、柱状(角柱状(三角柱状、四角駐状など)、円柱状など)、錘状(三角錐状、四角錐状、円錐状など)などが挙げられるが、加工のしやすさ、室内空間を広く利用することができるとの理由からは、板状であることが好ましい。また、反射体3は、音波を反射し得るものであれば、その形成材料についても特に制限されないが、たとえば合板、MDF(medium density fiberboard:中密度繊維板)などの木質材、紙を主成分とするシート、合成樹脂シート、アルミニウムなどの金属板、軽カルシウム板(ケイ酸カルシウム板)などの無機質板などで形成することができる。吸音パネルの強度を保つのに必要な厚みの反射板を選択することができ、アルミニウムなどの金属板であれば特に薄くすることができる。
本発明の吸音パネルにおいて、多孔の反射体3は、その厚みについては特に制限されるものではないが、0.2〜21mmの範囲内であることが好ましい。多孔の反射体3の厚みが0.2mm未満である場合には、多孔の反射体3として金属板を用いても曲げ強度が弱くなってしまう傾向にあるためであり、また、多孔の反射体3の厚みが21mmを超える場合には、吸音パネルの厚みが大きくなり過ぎ、また重くなるために取扱性や設置性が悪くなる傾向にあるためである。多孔の反射体の厚みと吸音パネル全体の厚みとのバランスをとるという理由から、多孔の反射体3の厚みは0.5〜9mmの範囲内であることがより好ましく、0.5〜3mmの範囲内であることが特に好ましい。
本発明の吸音パネル1における吸音体2は、前記多孔の反射体3で覆うことができる面を少なくとも1つ有し、音波を吸収し得るものであれば、従来公知の適宜のものを特に制限なく用いることができる。
本発明における吸音体2は、その厚みについては特に制限されないが、5〜30mmの範囲内であることが好ましい。吸音体2の厚みが5mm未満である場合には、吸音率が低くなる傾向にあり、また、吸音体2の厚みが30mmを超える場合には、吸音体単体で高い吸音率を得ることができるももの、嵩張るため、室内空間の有効利用を図るのが困難となる傾向にあるためである。吸音性、剛性、嵩性のバランスの取れた厚みであること好ましく、これらのバランスにより、吸音体2の厚みは5〜20mmの範囲内であることがより好ましく、8〜15mmの範囲内であることが特に好ましい。
本発明における吸音体2は、その密度(吸音体が後述する不織繊維構造体などの繊維系吸音体で形成されたものである場合には見掛け密度)は、吸音性を確保できれば特に限定されず、たとえば、0.03〜0.20g/cmの範囲から選択でき、吸音性および剛性を向上できる点からは大きい方が好ましいが、軽量性とのバランスに優れる点から、好ましくは0.05〜0.18g/cm、さらに好ましくは0.08〜0.16g/cmである。吸音体の密度(吸音体が不織繊維構造体である場合には見掛け密度)が低すぎると、吸音性が低下するとともに、剛性も低下し、逆に高すぎると、軽量性が低下する。
本発明における吸音体2は、広い範囲(特に高音部)の吸音率が高いという理由からは、前記反射体3の貫通孔などと比較して格段に微細な、互いに連通した孔(微細連通孔)を多数有するもの(微細連通多孔体)であればよく、このような微細連通多孔体としては、繊維系吸音体(織物、編み物、不織繊維構造体を含む)、グラスウール、ロックウール、連続気泡の樹脂発泡体、金属、樹脂などの粒子の集合体などを単独または複数組み合わせて用いることができる。
吸音体2が織物、編み物、不織繊維構造体などの繊維系吸音体である場合、その目付は、特に制限されないが、たとえば50〜10000g/m、好ましくは100〜8000g/m、さらに好ましくは200〜6000g/mであってもよい。
吸音性と軽量性と形態保持性とを兼ね備えることができる観点からは、上述した中でも、板状の不織繊維構造体を吸音体2として用いることが好ましい。湿熱接着性繊維の融着により繊維が固定された不織繊維構造体は、繊維構造体としては曲げ強度が大きく、反射体3との接着強度が大きく吸音率を向上することができるため、不織繊維構造体は湿熱接着性繊維を含むことが好ましい。たとえば、この湿熱接着性繊維を含むウェブに高温(過熱または加熱)水蒸気を作用させて、湿熱接着性繊維の接着作用を発現させ、繊維同士を部分的に接着させることにより不織繊維構造体を得ることもできる。不織繊維構造を構成する繊維の配列と、この繊維同士の接着状態を調整することにより、通常の不織布では得にくい曲げ挙動を有し、さらに折れ難く、形態保持性も確保することができる。
湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂で構成されている。湿熱接着性樹脂は、高温水蒸気によって容易に実現可能な温度において、流動または容易に変形して接着機能を発現可能であればよい。具体的には、熱水(たとえば、80〜120℃、特に95〜100℃程度)で軟化して自己接着または他の繊維に接着可能な熱可塑性樹脂、たとえば、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系重合体、ポリ乳酸などのポリ乳酸系樹脂、(メタ)アクリルアミド単位を含む(メタ)アクリル系共重合体などが挙げられる。さらに、高温水蒸気により容易に流動または変形して接着可能なエラストマー(たとえば、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、スチレン系エラストマーなど)などであってもよい。これらの湿熱接着性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、特に、エチレンやプロピレンなどのα−C2−10オレフィン単位を含むビニルアルコール系重合体、特に、エチレン−ビニルアルコール系共重合体が好ましい。
エチレン−ビニルアルコール系共重合体において、エチレン単位の含有量(共重合割合)は、特に制限されないが、たとえば5〜65モル%、好ましくは10〜65モル%、より好ましくは20〜55モル%、さらに好ましくは30〜50モル%程度である。ビニルアルコール単位のケン化度は、特に制限されないが、たとえば90〜99.99モル%であり、好ましくは95〜99.98モル%、さらに好ましくは96〜99.97モル%である。粘度平均重合度は、必要に応じて選択できるが、たとえば200〜2500、好ましくは300〜2000、さらに好ましくは400〜1500である。
湿熱接着性繊維の断面形状(繊維の長手方向に垂直な断面形状)は、一般的な中実断面形状である丸型断面や異型断面(偏平状、楕円状、多角形状など)に限定されず、中空断面状などであってもよい。湿熱接着性繊維は、少なくとも湿熱接着性樹脂を含む複数の樹脂で形成された複合繊維であってもよい。複合繊維は、湿熱接着性樹脂を少なくとも繊維表面の一部に有していればよいが、接着性の点から、繊維表面において長手方向に連続する湿熱接着性樹脂を有するのが好ましい。湿熱接着性樹脂の被覆率は、特に制限されないが、たとえば50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
湿熱接着性樹脂が表面を占める複合繊維の横断面構造としては、たとえば、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型または多層貼合型、放射状貼合型、ランダム複合型などが挙げられる。これらの横断面構造のうち、湿熱接着性樹脂が繊維の全表面を被覆する構造である芯鞘型構造(すなわち、鞘部が湿熱接着性樹脂で構成された芯鞘型構造)が好ましい。芯鞘型構造は、他の繊維形成性重合体で構成された繊維の表面に湿熱接着性樹脂をコーティングした繊維であってもよい。
複合繊維の場合、湿熱接着性樹脂同士を組み合わせてもよいが、非湿熱接着性樹脂と組み合わせてもよい。非湿熱接着性樹脂としては、非水溶性または疎水性樹脂、たとえば、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。これらの非湿熱接着性樹脂は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの非湿熱接着性樹脂のうち、耐熱性および寸法安定性の点から、融点が湿熱接着性樹脂(特にエチレン−ビニルアルコール系共重合体)よりも高い樹脂、たとえば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、特に、耐熱性や繊維形成性などのバランスに優れる点から、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂としては、特開2010−163778号公報、特開2010−229809号公報などに記載の樹脂が好適に利用できる。
湿熱接着性樹脂と非湿熱接着性樹脂(繊維形成性重合体)とで構成された複合繊維の場合、両者の割合(質量比)は、構造(たとえば、芯鞘型構造)に応じて選択でき、特に制限されないが、たとえば湿熱接着性樹脂/非湿熱接着性樹脂=90/10〜10/90、好ましくは80/20〜15/85、さらに好ましくは60/40〜20/80である。
湿熱接着性繊維の平均繊度は、特に制限されないが、たとえば0.01〜100dtexの範囲から選択でき、好ましくは0.1〜50dtex、さらに好ましくは0.5〜30dtex、特に好ましくは1〜10dtexである。平均繊維長についても特に制限されないが、たとえば10〜100mmの範囲から選択でき、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは25〜75mmである。
湿熱接着性繊維の捲縮率は、特に制限されないが、たとえば1〜50%、好ましくは3〜40%、さらに好ましくは5〜30%である。また、捲縮数についても特に制限されないが、たとえば1〜100個/25mm、好ましくは5〜50個/25mm、さらに好ましくは10〜30個/25mmである。
不織繊維構造体は、前記湿熱接着性繊維に加えて、さらに非湿熱接着性繊維を含んでいてもよい。非湿熱接着性繊維としては、前記複合繊維を構成する非湿熱接着性樹脂で構成された繊維の他、セルロース系繊維(たとえば、レーヨン繊維、テンセル繊維、アセテート繊維など)、無機繊維(たとえば、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維など)などが挙げられる。これらの非湿熱接着性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの非湿熱接着性繊維は、目的の特性に応じて選択でき、レーヨンなどの半合成繊維と組み合わせると、相対的に高密度で機械的特性の高い繊維構造体が得られる一方、ポリエステル系繊維やポリアミド系繊維などの疎水性繊維と組み合わせると、繊維間の空隙が増大し、かつ融着せずに自由に振動可能な繊維が増加するため、吸音性を向上できる。さらに、非湿熱接着性繊維は、熱収縮率(または熱膨張率)の異なる複数の樹脂で相構造が形成された複合繊維(潜在捲縮性複合繊維)、たとえば、特開2010−84284号公報に記載の捲縮繊維などであってもよい。これらの非湿熱接着性繊維の平均繊度及び平均繊維長は、湿熱接着性繊維と同様である。
湿熱接着性繊維と非湿熱接着性繊維との割合(質量比)は、特に制限されないが、湿熱接着性繊維/非湿熱接着性繊維=100/0〜0/100、好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0〜70/30である。
不織繊維構造体(または繊維)は、さらに、慣用の添加剤、たとえば、特開2010−163778号公報などに記載の添加剤(たとえば、難燃剤など)が、構造体表面に担持されていてもよく、繊維中に含まれていてもよい。
不織繊維構造体はまた、繊維が概ね繊維ウェブ面に対し平行に配列し、局部的に多数の繊維が厚み方向に沿って配列している部分が繰り返し存在するようなことがない状態が好ましい。より具体的には、構造体の繊維ウェブにおける任意の断面を顕微鏡観察した際に、繊維ウェブでの厚みの30%以上に亘り、厚み方向に連続して延びる繊維の存在割合(本数割合)が、その断面における全繊維に対して10%以下(特に5%以下)であってもよい。
さらに、不織繊維構造体を構成する繊維において、前記湿熱接着性繊維の融着による繊維接着率は、特に制限されないが、たとえば1〜85%、好ましくは2〜50%、さらに好ましくは5〜35%である。この繊維接着率は、不織繊維構造体の断面における全繊維の断面数に対して、2本以上接着した繊維の断面数の割合を示す。したがって、繊維接着率が低いことは、複数の繊維同士が融着する割合(集束して融着した繊維の割合)が少ないことを意味する。
本発明における不織繊維構造体は、厚み方向で均一に繊維が接着しているのが好ましく、たとえば、板状不織繊維構造体の厚み方向の断面において、厚み方向に三等分した各々の領域における繊維接着率がいずれも前記範囲にあるのが好ましい。さらに、各領域における繊維接着率の最大値に対する最小値の割合(最小値/最大値)(繊維接着率が最大の領域に対する最小の領域の比率)が、たとえば50%以上、好ましくは55〜99%、さらに好ましくは60〜98%である。繊維接着率が、厚み方向において、このような均一性を有していることで、繊維の接着率が低いにも拘わらず、硬さや曲げ強度、耐折性や靱性も優れた不織繊維構造体が得られる。さらに、厚み方向の繊維の接着率が均一であるため、繊維にあたった音波の振動が不織繊維構造体内の接着点を介して均一に伝播しやすく、優れた吸音性を有していると思われる。
繊維接着率は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、不織繊維構造体の断面を拡大した写真を撮影し、所定の領域において、接着した繊維断面の数に基づいて簡便に測定できる。しかし、束状に繊維が融着している場合には、各繊維が束状に又は交点で融着しているため、特に密度が高い場合には、繊維単体として観察することが困難になり易い。この場合、たとえば、繊維構造体が湿熱接着性繊維で構成された鞘部と繊維形成性重合体で構成された芯部とで形成された芯鞘型複合繊維で接着されている場合には、融解や洗浄除去などの手段で接着部の融着を解除し、解除前の切断面と比較することにより繊維接着率を測定できる。
上述のような好適な不織繊維構造体は、出願人が「フレクスター」として製品化しているものを用いても勿論よい。具体的には、上述したような仕様(目付、厚み、見掛け密度、繊維接着状態など)のフレクスターの構造体を作成して、本発明における吸音体2として好適に用いることができる。
また上述の不織繊維構造体以外の繊維系吸音体として、たとえば合成繊維(ポリオレフィン系繊維、アクリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、塩化ビニル系繊維、スチレン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリカーボネート系繊維、ポリウレタン系繊維、またはこれらの繊維を含む複合繊維など)で形成された繊維状吸音体(織編物、不織布などで形成された繊維状構造体)、無機繊維(ガラス繊維や炭素繊維など)で形成された繊維状吸音体などであってもよい。
本発明の吸音パネル1は、吸音体2の多孔の反射体3で覆われていない部分において、吸音体2の断面が露出していることが好ましい。図1には、板状の吸音体2と板状の多孔の反射体3とが積層され、吸音体2の多孔の反射体3で覆われていない側部において吸音体2が露出している例を示している。このように、吸音体2の多孔の反射体3で覆われていない部分において吸音体2を露出させることで、反射体3の貫通孔より入射せず、反射した音波の一部を吸音体の露出された側部から入射させ、より本発明の目的に応じた吸音性を高めることが可能となる。
本発明の吸音パネル1は、取扱いが容易となる観点から、吸音体2と多孔の反射体3とが固定され、一体化されていることが好ましい。吸音体2と多孔の反射体3とを一体化する方法としては、特に制限なく、従来公知の適宜の手法を用いることができるが、吸音体2と多孔の反射体3とを接着することで、強度の高いものとすることができ、好ましい。接着剤としては、特に制限されないが、吸音体は湿熱接着性を有する繊維を用いて製造されることが構造的な特性(吸音性、剛性、軽量性など)に有効に活かせるため、これらとの接着性が良好であることから、また、建築内装木工事や建具製作に多く用いられ、使用性、性能の安定性も高いという理由からは、酢酸ビニル系接着剤を特に好適に用いることができる。吸音体2と多孔の反射体3とを接着する場合、多孔の反射体の貫通孔の開口を接着剤で塞がないようにすることが好ましい。開口が接着剤で塞がれてしまうと、吸音パネルの吸音性能が低下してしまうためである。
図7は、本発明の好ましい他の例の吸音パネル11を模式的に示す図である。図7に示す例のように、本発明の吸音パネル11は、吸音体2の多孔の反射体3に覆われていない面を覆う反射体12をさらに備えていてもよい。反射体12としては、多孔の反射体3と同様の材料で形成されたものを用いることが好ましく、温度や湿度の変化に対する寸法変化を同じにすることができるという理由からは、多孔の反射体3と同程度の厚みであることが好ましい。このような反射体12をさらに備えることで、温度変化や湿度変化に対して吸音パネルの反りを防止することができる。また、反射体12をさらに備えることで、吸音パネルの曲げ強度を強くすることができる。
また、反射体12も多孔の反射体としてもよい。この場合、反射体12の貫通孔は、多孔の反射体3の貫通孔と同様であってもよいし、孔の形状、大きさを変えるようにしてもよい。また、多孔の反射体3と反射体12とで開口率が異なるようにしてもよく、このようにすることにより吸音パネルの曲げ強度を強くすることができることに加え、吸音パネルの一方側の面と他方側の面とで吸音率や音の反射率を変えることができる。
図8は、本発明の好ましいさらに他の例の吸音パネル21を模式的に示す図である。本発明の吸音パネル21は、図8に示す例のように、吸音体2の多孔の反射体3で覆われた面とは反対側に空気層(背後空気層)22を備えていてもよい。背後空気層22は、壁などに取り付けられた木桟23に吸音体2と多孔の反射体3との積層体を吸音体2側から設置したり、吸音体2と多孔の反射体3との積層体の側面全体を覆うように四周に木桟を固定することによって設けることができる。吸音パネルの側面は、塞がずに吸音パネルの下に桟や脚を設置しても良い(図8の例)。また、吸音体2と多孔の反射体3との積層体の吸音体2側にハニカム構造体を積層することによって背後空気層を形成するようにしてもよい。
背後空気層を設ける場合、その厚みは特に制限されるものではないが、60mm以下であることが好ましく、10〜50mmの範囲内であることがより好ましい。60mmを超える背後空気層を設けると、吸音パネルを設置する室内空間が狭くなってしまう虞がある。
本発明はまた、上述した本発明の吸音パネルを用いた吸音方法であって、前記吸音体の、多孔の反射体が設けられたのとは反対側に空気層を形成する吸音方法についても提供する。
〔吸音性評価〕
吸音率の測定は床面積11.0m、実験室容積38.9m、表面積68.3mであり、不整形7面体の残響室において、残響室法吸音率を測定した。この残響室の中央部に吸音パネルを設置し、音響計測システム(ブリュエル・ケアー社製「BK2133」を用いて残響室法吸音率を測定した。なお、この残響室の残響時間は、1kHzに対して約2.24秒であった(福井県工業技術センターの残響室法吸音率の測定方法)。帯域幅は1/3オクターブで0.1〜8kHzである。以下の実施例、比較例で評価に用いる周波数は各1/3オクターブバンド周波数域の中心周波数で表している。ここで、会話明瞭度には1/3オクターブバンド中央周波数で0.8〜1.6kHzの吸音率が重要だとされているので、この周波数帯の吸音率で吸音パネルの評価を行なった。一般的には吸音率0.6以上であれば有効とされていることから、吸音率0.6以上の周波数帯を指標とした。また、参考に吸音率0.8以上の周波数帯も評価対象とした。また、吸音率の測定は特記のない限り吸音パネルの厚みと同じ木桟で側面を塞いで行なった。
(吸音体の準備)
芯成分がポリエチレンテレフタレート、鞘成分がエチレン−ビニルアルコール共重合体(エチレン含有量:44モル%、ケン化度:98.4モル%)である湿熱接着性芯鞘型複合ステープル繊維((株)クラレ製、「ソフィスタ」、繊度:3dtex、繊維長:51mm、芯鞘質量比=50/50、捲縮数:21個/25mm、捲縮率:13.5%)を準備した。
この芯鞘型複合ステープル繊維を用いて、カード法により目付約125g/mのカードウェブを作製し、目的の目付に合わせて、このウェブを積層し、合計目付約1000g/mのカードウェブとした。
このカードウェブを、上下に50メッシュのステンレス製エンドレス金網を装備したベルトコンベアに移送した。なお、これら両金網の間隔を任意に調整可能なベルトコンベアである。
またこのベルトコンベアの両金網の上下には水蒸気噴射装置が備えられておりカードウェブへこの装置から0.4MPaの高温水蒸気をカードウェブの厚み方向に向けて通過するように(垂直に)噴出して水蒸気処理を施した後、120℃の熱風により乾燥し、不織繊維構造を有する成形体を得た。この水蒸気噴射装置の反対側にはコンベアネットを介し蒸気のサクション装置が設置されていた。上下の水蒸気噴射装置によりウェブの表裏両面に対して蒸気処理を施した。
なお、水蒸気噴射ノズルの孔径は0.3mmであり、ノズルがコンベアの幅方向に沿って1mmピッチで1列に並べられた蒸気噴射装置を使用した。加工速度は3m/分であり、ノズル側とサクション側の上下コンベアベルト間の間隔(距離)を、厚み10mmの構造体が得られるように調整した。ノズルはコンベアベルトの裏側にベルトとほぼ接するように配置した。
得られたボード状不織繊維構造体(フレクスター)は、ボード状の形態を有し、一般的な不織布に比べて硬質であった。形態保持性試験を行っても形状の変化はなかった。この不織繊維構造体を、900mm×900mmに切断加工し、吸音体を準備した。
<比較例1>
上述のように作成した吸音体(厚み10mmのボード状のフレクスター(株式会社クラレ製)(見掛け密度:0.1g/cm、平均繊度:3.3dtex、捲縮率:13.3%、目付:1000g/m)をそのまま用いた(すなわち、開口率100%)。吸音率(吸音体そのものの吸音率)が0.6以上になるのは周波数1.25〜8.0kHz、0.8以上になるのは1.6〜8.0kHzであった。
<実施例1>
厚み5.5mmの900mm×900mm(面積:0.81m)のMDFに、一辺5mmの正方形の貫通孔が孔と孔とのピッチ25mmで形成された多孔の反射体(開口率:4.0%、孔ピッチaの平均値:25mm、孔サイズbの平均値:5mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=5、平均開口面積:25mm、最小開口面積:25mm、最大開口面積:25mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)にボンドCH18(コニシ(株)社製)(酢酸ビニル系接着剤)を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例1の吸音パネルを得た。
得られた実施例1の吸音パネルについて上述のようにして吸音性を評価したところ、一般的に有効とされている吸音率0.6以上の周波数域は0.63〜1.6kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6以上となっていた。また吸音率0.8以上を示す周波数域はみられなかった。
<実施例2>
厚み12mmの900mm×900mm(面積:0.81m)の合板に、直径8mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ30mmで形成された多孔の反射体(開口率:5.6%、孔ピッチaの平均値:30mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=3.75、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例2の吸音パネルを得た。
得られた実施例2の吸音パネルについて上述のようにして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜1.6kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。また周波数1.0kHzでは0.8以上の吸音率(0.85)が測定された。
<実施例3>
厚み5.5mmの900mm×900mm(面積:0.81m)のMDFに、直径8mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ25mmで形成された多孔の反射体(開口率:8%、孔ピッチaの平均値:25mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=3.12、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例3の吸音パネルを得た。
得られた実施例3の吸音パネルについて上述のようにして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜2.5kHz、0.8以上になるのは0.8〜1.6kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、会話明瞭度に重要な周波数域0.8〜1.6kHzで0.8以上の吸音率が測定された。
<実施例4>
厚み5.5mmの900mm×900mm(面積:0.81m)のMDFに、一辺8mmの正方形の貫通孔が孔と孔とのピッチ25mmで形成された多孔の反射体(開口率:10.2%、孔ピッチaの平均値:25mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=3.12、平均開口面積:64mm、最小開口面積:64mm、最大開口面積:64mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例4の吸音パネルを得た。
得られた実施例4の吸音パネルについて上述のようにして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜2.5kHz、0.8以上になるのは0.8〜2.0kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。
<実施例5>
厚み5.5mmの900mm×900mm(面積:0.81m)のMDFに、8mm×20mmの長方形の貫通孔が孔と孔とのピッチ35mmで形成された多孔の反射体(開口率:11.9%、孔ピッチaの平均値:35mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=4.375、平均開口面積:160mm、最小開口面積:160mm、最大開口面積:160mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例5の吸音パネルを得た。
得られた実施例5の吸音パネルについて上述のようにして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜3.15kHz、0.8以上になるのは0.8〜2.0kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。
<実施例6>
厚み12mmの900mm×900mm(面積:0.81m)の合板に、直径8mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ20mmで形成された多孔の反射体(開口率:12.6%、孔ピッチaの平均値:20mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=2.5、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例6の吸音パネルを得た。
得られた実施例6の吸音パネルについて吸音パネルの端部を木桟で塞いだこと以外は上述のようにして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜8.0kHz、0.8以上になるのは0.8〜2.0kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。
<実施例7>
厚み12mmの900mm×900mm(面積:0.81m)の合板に、直径8mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ20mmで形成された多孔の反射体(開口率:12.6%、孔ピッチaの平均値:20mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=2.5、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例7の吸音パネルを得た。
得られた実施例7の吸音パネルについては、側部を開放(側部においてフレクスターが露出)したこと以外は上述と同様にして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜8.0kHz、0.8以上になるのは0.8〜2.50kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。また、吸音パネルの端部を木桟で塞いで吸音率を測定した実施例6と比較すると、高音域の吸音率が若干向上していた。
<実施例8>
厚み12mmの900mm×900mm(面積:0.81m)の合板に、直径8mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ18mmで形成された多孔の反射体(開口率:15.5%、孔ピッチaの平均値:18mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=2.25、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例8の吸音パネルを得た。
得られた実施例8の吸音パネルについては、側部を開放(側部においてフレクスターが露出)したこと以外は上述と同様にして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.8〜4.0kHz、0.8以上になるのは1.0〜3.15kHzであり、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。
<実施例9〜11>
実施例9〜11では、背後空気層の吸音率に及ぼす影響を検討した。吸音パネルとして、厚み9mmの910mm×1820mm(面積:1.66m)の合板に、直径8mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ20mmで形成された多孔の反射体(開口率:12.6%、孔ピッチaの平均値:20mm、孔サイズbの平均値:8mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=2.5、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、実施例9の吸音パネルを得た。実施例9の吸音パネルは図1に示した例のように背後空気層がない場合(空気層:0mm)とし、実施例10、11の吸音パネルについては、図8に示した例のように吸音パネルの下に、背後空気層の厚みに相当する木桟で四周を囲み、背後空気層を形成した(実施例10の背後空気層の厚み:30mm、実施例11の背後空気層の厚み:60mm)。なお、各吸音パネルは、フレクスター(吸音体)側部を開放(側部においてフレクスターが露出)して吸音性を評価した(図8を参照)。
吸音率の測定は床面積33.5m、実験室容積251.3m、表面積237.4mであり、不整形7面体の残響室において、残響室法吸音率を測定した。この残響室の中央部に上述の吸音パネルを設置し、音響計測システム(ブリュエル・ケアー社製「PULSE3560」を用いて残響室法吸音率を測定した。なお、この残響室の残響時間は、1kHzに対して約8秒であった。帯域幅は1/3オクターブで0.1〜4kHzである。以下の実施例、比較例で評価に用いる周波数は各1/3オクターブバンド周波数域の中心周波数で表している。
実施例9の吸音パネル(背後空気層の厚み:0mm)では、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.5〜4kHz、また0.63〜4kHzでは0.8以上の吸音率が得られ、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、実施例9の吸音パネルでは、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。
実施例10の吸音パネル(背後空気層の厚み:30mm)では、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.4〜4kHz、また0.5〜2kHzでは0.8以上の吸音率が得られ、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6が以上となっていた。さらに、実施例10の吸音パネルでは、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。
実施例11の吸音パネル(背後空気層の厚み:60mm)では、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.4〜2.0kHz、また0.5〜2kHzで0.8以上の吸音率が得られ、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で吸音率0.6以上となっていた。さらに、実施例11の吸音パネルでは、会話明瞭度に重要とされる周波数で0.8〜1.6kHzより広い範囲で0.8以上の吸音率が測定された。
<比較例2>
厚み5.5mmの900mm×900mm(面積:0.81m)のMDFに、直径5mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ25mmで形成された多孔の反射体(開口率:3.1%、孔ピッチaの平均値:25mm、孔サイズbの平均値:5mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=5、平均開口面積:2mm、最小開口面積:2mm、最大開口面積:2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、比較例2の吸音パネルを得た。
得られた比較例2の吸音パネルについて上述のようにして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数0.63〜1.00kHzであったが、0.8以上の吸音率は測定されなかった。
<比較例3>
厚み12mmの900mm×900mm(面積:0.81m)の合板に、直径15mmの真円形の貫通孔が孔と孔とのピッチ20mmで形成された多孔の反射体(開口率:51.04%、孔ピッチaの平均値:20mm、孔サイズbの平均値:15mm、孔ピッチaの平均値/孔サイズbの平均値=1.33、平均開口面積:50.2mm、最小開口面積:50.2mm、最大開口面積:50.2mm)を比較例1で用いたフレクスター(吸音体)に、実施例1と同じ接着剤を用いて開口部を塞がないように接着し、比較例3の吸音パネルを得た。
得られた比較例3の吸音パネルについては、側部を開放(側部おいてフレクスターが露出)したこと以外は上述と同様にして吸音性を評価したところ、吸音率が0.6以上になるのは周波数1.0〜5.0kHz、0.8以上になるのは1.25〜4.0kHzであった。
Figure 2016200695
本発明の吸音パネルと吸音方法は、会話明瞭度に重要とされる1/3オクターブバンド中央周波数で0.8〜1.6kHzの帯域で優れた吸音率を有している。しかも、非常に薄いパネルで上記吸音率を有している。そのため、会話明瞭度を特に必要とされる、教室、会議室、住宅のリビング、病院などの待合室や診察しつ、公共施設の窓口や待合室などに適している。特に、吸音パネルが薄いことから、上記場所に設置しても空間を狭めることがないという特徴を有している。
1 吸音パネル、2 吸音体、3 多孔の反射体、4,4A,4B,4C,4D 孔、a 孔ピッチ、b 孔サイズ、11 吸音パネル、12 反射体、21 吸音パネル、22 背後空気層、23 木桟。

Claims (8)

  1. 吸音体と、吸音体の一面を覆う多孔の反射体とを備える吸音パネルであって、多孔の反射体には平均開口面積が3〜314mmの貫通孔が開口率3〜20%で多数個形成されており、孔サイズの平均値に対する孔ピッチの平均値の比が1.5以上であることを特徴とする吸音パネル。
  2. 前記反射体の厚みが0.2〜21mmであることを特徴とする請求項1に記載の吸音パネル。
  3. 前記吸音体が多孔質体を含む、請求項1または2に記載の吸音パネル。
  4. 前記多孔質体が板状の不織繊維構造体を含む、請求項3に記載の吸音パネル。
  5. 前記不織繊維構造体が湿熱接着性繊維を含む、請求項4に記載の吸音パネル。
  6. 吸音体の多孔の反射体で覆われていない部分において、吸音体の断面が露出している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸音パネル。
  7. 吸音体の多孔の反射体により覆われていない面を覆う反射体をさらに備える、請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸音パネル。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸音パネルを用いた吸音方法であって、前記吸音体の、多孔の反射体で覆われた面とは反対側に空気層を形成する、吸音方法。
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