JP6959149B2 - 凍結乾燥味噌汁の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明で使用する味噌含有調味液は、一般的な凍結乾燥味噌汁用のスープベースとして調製されたものであれば特に限定されない。原材料も通常用いられるもの、具体的には味噌、だし類、食塩、調味料等を使用することができる。味噌の種類も特に問わない。複数種類の味噌を混合して使用してもよい。これらの原材料に水を加えて加熱混合し、一般的な凍結乾燥味噌汁用のスープベースを調製する。
具材についても、凍結乾燥味噌汁に一般的に使用されるものを使用することができる。一例を挙げれば、豆腐、わかめ、ねぎ、茄子等である。これらの具材は、予め必要な下処理をした後、所望の大きさにカットして使用される。
上記のようにして調製した味噌含有調味液をフリージングして氷結率が7〜24%となるようにする。
氷結率(%)=(水分の凍結量/食品全体の水分量)×100
まず、試料をアルミニウム製パンに約5mgを分取し精秤してシールドする。次いで、電気冷凍機で−80℃まで冷却した後、昇温速度10℃/minで30℃まで昇温し、示差走査熱量計(例えば、ティー・エイ・インスツルメント製 DSC Q2000)により解析する。
−80℃から0℃の範囲で熱量変化が見られ、これは当該食品中の氷の融解に伴う熱量変化と考えられる。そこで、当該食品の各氷結温度から0℃までの昇温に伴う融解熱量(Q)から氷結率(%)を以下の式に基づいて算出する。
Wo:乾燥重量(g)
Lice:純水の融解熱(334J/g)
とすると、
氷結率(%)=〔Q/{Lice(Wu−Wo)/Wu}〕×100
以上のようにして得られた微細な氷結晶を含んだシャーベット状の味噌含有調味液をトレーに充填する。また、具材についてもこの段階で味噌含有調味液に投入する(前述のとおり、特許請求の範囲に記載された具材とはこの段階で投入される具材のことである)。具材の投入に当たっては、予めトレーに具材を投入し、そこに味噌含有調味液を充填してもよいし、先に味噌含有調味液をトレーに充填してからそこに具材を投入してもよい。トレーへの味噌含有調味液の充填と味噌含有調味液への具材の投入の順序は問わない。重要な点は、氷結晶を含んだ味噌含有調味液を融解させることなく速やかにトレーに充填して、次の予備凍結工程に移ることである。なお、味噌含有調味液がシャーベット状になっているため、充填後に表面を均すことが好ましい。
上記のようにして味噌含有調味液及び具材が投入されたトレーを冷凍庫に入れ、予備凍結する。予備凍結に当たっては、氷結晶を融解させないために急速凍結を行うことが好ましい。この予備凍結工程により、残りの水分を凍結させる。
上記のようにして予備凍結させた具材入り味噌含有調味液を常法によって凍結乾燥させる。凍結乾燥の条件は通常の凍結乾燥味噌汁の場合と同様である。この凍結乾燥工程により減圧(真空)下で水分(氷)を昇華させて凍結乾燥味噌汁を得る。
〔1〕試験例1−1〜1−12の製造
表1の「試験1(合わせ味噌)」に記載した原材料及び配合量に従って凍結乾燥味噌汁を製造し、フリージング時の味噌含有調味液(以下では「原液」ともいう)の品温及び氷結率を表2に記載のように変えて試験例1−1〜1−12を製造した。
具体的な製造工程は以下のとおりである。
なお、表1中、「原液Brix」欄に記載の数値は、フリージング前の味噌含有調味液の可溶性固形分濃度(%)を表しており、試験1〜3では、一般的に凍結乾燥に用いられる味噌含有調味液の可溶性固形分濃度である19.0〜25.0%の範囲について調べている。
なお、試験例1−1(原液温度40℃、氷結率0%)は全く冷却しなかったもの(したがってフリージング工程を行わなかったもの)、試験例1−2〜1−4は冷却したものの氷結率は0%であったものである。
以上のようにして得られた試験例1−1〜1−12について、「官能評価」、「製造適性」、「塩分値(%)」を調べた(表2参照)。
「官能評価」は、豆腐(具材)の塩辛さに対する官能評価であり、1〜5の5段階評価で、塩辛いものほど評点が低くなるようにした。そして、6名のパネリストの平均値をとり、評点の平均値が3以上を良好と判断した。
「製造適性」は、トレーへの味噌含有調味液の充填のしやすさ(充填適性)を表し、1〜5の5段階評価で、最も充填しにくい場合を1、最も充填し易い場合を5とし、3以上を良好と判断した。
まず、各試験例について3食分のブロックを480mlの熱湯で復元し、1分後(喫食できる状態になった後)に豆腐のみを取り出した。この豆腐に対して重量比で2倍の量の水を加え、1分間ミキサーで撹拌し粉砕した。次いで、この液状になった豆腐を遠心分離機にかけて固液分離した。遠心分離の条件は4000rpmで5分である。そして、上澄み液を採取し、その塩分濃度を測定して、その値を各試験例における具材(豆腐)の塩分値とした。
まず、氷結率が0%の試験例1−1〜1−4については、豆腐の塩分値が高く、官能評価も低かった(つまり塩辛かった)。
また、具材投入前にフリージングした場合であっても、氷結率が4.6%の試験例1−5では、氷結率が0%の試験例1−3〜1−4と「塩分値」「官能評価」ともにさほど変わらず、依然、具材への塩分の移行が認められた。
特に、氷結率が7%付近を超えると塩分値が比較的大きく低下することが分かった。
〔1〕試験例2−1〜2−12の製造
表1の「試験2(合わせ味噌)」に記載した原材料及び配合量に従って凍結乾燥味噌汁を製造し、フリージング時の味噌含有調味液の品温及び氷結率を表3に記載のように変えて試験例2−1〜2−12を製造した。
試験2では、使用する原材料の種類は試験1と同様であるが、その配合量を変えた点で試験1と相違する(したがって、原液Brixも相違する)。
試験2の製造の手順は試験1の場合とほぼ同様である。
試験例2−1〜2−12の評価は表3のとおりである。
試験1の場合と原液Brixは異なるものの、試験2の場合も、氷結率が7〜24%の範囲にある試験例2−6〜2−10では「塩分値」「官能評価」「製造適性」のいずれもが良好で、具材への塩分の移行を抑制できるとともに、作業性にも優れていた。
また、氷結率が7%付近を超えると塩分値が比較的大きく低下することも試験1の場合と同様であった。
〔1〕試験例3−1〜3−12の製造
表1の「試験3(赤だし味噌)」に記載した原材料及び配合量に従って凍結乾燥味噌汁を製造し、フリージング時の味噌含有調味液の品温及び氷結率を表4に記載のように変えて試験例3−1〜3−12を製造した。
試験3では、使用する味噌の種類を赤味噌に変えたほか、原材料の種類・配合量とも異ならせて赤だし味噌汁を製造し、それについて試験したものである。
試験3の製造の手順は試験1・2の場合とほぼ同様である。
試験例3−1〜3−12の評価は表4のとおりである。
試験1・2の場合と原液Brixは異なるものの、試験3の場合も、氷結率が7〜24%の範囲にある試験例3−7〜3−11では「塩分値」「官能評価」「製造適性」のいずれもが良好で、具材への塩分の移行を抑制できるとともに、充填適性も優れていた。
また、氷結率が7%付近を超えると塩分値が比較的大きく低下することも試験1・2の場合と同様であった。
Claims (1)
- 味噌を含有する調味液と具材とを合わせて予備凍結し、次いで凍結乾燥させることにより製造する凍結乾燥味噌汁の製造方法であって、
前記味噌含有調味液を氷結率が7〜24%となるようにフリージングし、次いで具材を投入した後、予備凍結し、凍結乾燥させることを特徴とする凍結乾燥味噌汁の製造方法。
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JP2018001680A JP6959149B2 (ja) | 2018-01-10 | 2018-01-10 | 凍結乾燥味噌汁の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2018001680A JP6959149B2 (ja) | 2018-01-10 | 2018-01-10 | 凍結乾燥味噌汁の製造方法 |
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