JP6953698B2 - 被成膜物の搬送方法および乾式成膜装置ならびに該搬送方法を用いた被成膜物の成膜方法 - Google Patents

被成膜物の搬送方法および乾式成膜装置ならびに該搬送方法を用いた被成膜物の成膜方法 Download PDF

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本発明は、乾式めっき法による被成膜物の成膜方法および成膜装置、ならびに該成膜方法を用いて被成膜物としての長尺樹脂フィルムに真空中で金属膜を成膜した後、湿式めっき法で金属膜を厚膜化する金属化樹脂フィルムの製造方法に関する。
液晶パネル、ノートパソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の電子機器には、樹脂フィルム上に配線回路が形成されたフレキシブル配線基板が用いられている。このフレキシブル配線基板は、樹脂フィルムの片面若しくは両面に金属膜を成膜した金属化樹脂フィルムにパターニング処理を施すことによって作製することができる。近年、電子機器の高性能化により配線回路の回路パターンはますます微細化、高密度化する傾向にあり、これに伴って金属化樹脂フィルムには局所的な凹部やシワ等のない平滑なものが求められている。
この種の金属化樹脂フィルムの製造方法として、従来、金属箔を接着剤により樹脂フィルムに貼り付けて製造する方法(3層基板の製造方法)、金属箔に耐熱性樹脂溶液をコーティングした後、乾燥させて製造する方法(キャスティング法)、樹脂フィルムに真空成膜法単独で、または真空成膜法と湿式めっき法との併用で金属膜を成膜して製造する方法(メタライジング法)等が知られている。また、メタライジング法に用いる真空成膜法としては、減圧雰囲気下で行う真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームスパッタリング法等がある。
メタライジング法について、特許文献1には、ポリイミド絶縁層上にクロム層をスパッタリングした後、銅をスパッタリングして導体層を形成する方法が記載されている。このうち、クロムは酸などに対して耐食性を有する金属として知られている。また、特許文献2には、スパッタリングウェブコータの一例である巻出巻取式(ロールツーロール方式)の真空スパッタリング装置が開示されている。この巻出巻取式の真空スパッタリング装置には、搬送中の長尺フィルムを外周面に巻きつけて冷却するキャンロール(クーリングロール)が具備されており、長尺フィルムに対して熱負荷のかかるメタライジング法により連続的に成膜処理を施す場合であっても、該長尺フィルムに不具合を生じさせることなく金属化樹脂フィルムを製造することができると記載されている。
スパッタリング法では異なる種類の金属層からなる積層膜を形成することができるが、スパッタリング法は金属膜の成膜速度が遅いことが問題になることがあった。そこで、特許文献3には、スパッタリング法と湿式めっき法とを併用する技術が提案されている。即ち、先ずスパッタリング法で薄膜の金属膜を成膜して金属薄膜付樹脂フィルムを作製した後、湿式めっき法で該金属薄膜の表面に更に金属膜を成膜することで、導電膜の役割を担う銅層を効率よく厚膜化する技術が開示されている。
特開平2−98994号公報 特開昭62−247073号公報 特開2009−26990号公報
しかしながら、上記のようにスパッタリング法と湿式めっき法とを併用したメタライジング法により製造される金属化樹脂フィルムは、その表面に品質上の問題となる局所的な凹部が形成されることがあった。本発明はかかる従来のメタライジング法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、品質上の問題となる局所的な凹部の形成を抑制することが可能な成膜方法および成膜装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明に係る被成膜物の搬送方法は、乾式成膜装置内においてロールツーロールで搬送される長尺の被成膜物にスパッタリング法で金属膜の成膜を行なった後、該金属膜が成膜された被成膜物を該乾式成膜装置内において巻取ロールで巻き取るまでに少なくとも3個のロールに該金属膜の成膜側とその反対側とを交互に接触させて搬送する被成膜物の搬送方法であって前記少なくとも3個のロールのうち前記金属膜の成膜側が接触するロールのみにそのロール部の回転中心軸とその軸受との間に電気絶縁体が介在する電気絶縁構造を有するものを用いることで、該金属膜の表面が該ロールの金属製外周面に接する際に生じる放電現象を防ぐことを特徴としている。
また、本発明に係る被成膜物の成膜装置は、ロールツーロールで搬送される長尺の被成膜物にスパッタリング法で金属膜の成膜を行う乾式成膜装置であって、巻出ロールから巻取ロールに至るロールツーロールの搬送経路を画定するロール群のうち金属膜が成膜された被成膜物を該巻取ロールで巻き取るまでの搬送経路に該金属膜の成膜側とその反対側とが交互に接触する少なくとも3個のロールが設けられており、これら少なくとも3個のロールのうち該金属膜の成膜側が接するロールのみに、ロール部の回転中心軸とその軸受との間に電気絶縁体が介在する電気絶縁構造を有するものを用いることを特徴としている。
本発明によれば、品質上の問題になり得る局所的な凹部がほとんどない金属化樹脂フィルムを作製することができる。
本発明の乾式成膜装置の一具体例であるスパッタリングウェブコータの模式的な正面図である。 本発明の金属化樹脂フィルムの製造方法に好適に使用される連続電気めっき装置の一具体例を示す模式的な正面図である。
先ず、図1を参照しながら本発明の乾式成膜装置の一具体例について説明する。この図1に示す乾式成膜装置10はスパッタリングウェブコータとも称される装置であり、減圧容器からなる真空チャンバー11内において、ロールツーロール方式で連続的に搬送される被成膜物としての長尺樹脂フィルムFに対して、内部に冷却手段を有するキャンロール16の外周面に巻き付けた状態で熱負荷のかかる成膜手段によって成膜を行うものである。
より具体的に説明すると、真空チャンバー11は、図示しないドライポンプ、ターボ分子ポンプ、クライオコイル等の種々の真空装置を具備しており、これら真空装置によって真空チャンバー11内を到達圧力の10−4Pa程度まで減圧した後、スパッタリングガスを導入して0.1〜10Pa程度に圧力調整できるようになっている。スパッタリングガスにはアルゴンなど公知の不活性ガスが使用され、目的に応じて更に酸素などのガスが添加される。真空チャンバー11の形状や材質については、かかる減圧状態に耐え得るものであれば特に限定はない。
この真空チャンバー11内に、長尺樹脂フィルムFのロールツーロールの搬送経路を画定する各種のロール群が設けられている。これらロール群のうち、該長尺樹脂フィルムFが巻き出される巻出ロール12からキャンロール16までの搬送経路には、長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール13、長尺樹脂フィルムFの張力の測定を行う張力センサロール14、および張力センサロール14から送り出される長尺樹脂フィルムFをキャンロール16に導入するモータ駆動のフィードロール15がこの順に配置されている。キャンロール16から長尺樹脂フィルムFを巻き取る巻取ロール24までの搬送経路にも、上記と同様に、モータ駆動のフィードロール21、長尺樹脂フィルムFの張力測定を行う張力センサロール22、および長尺樹脂フィルムFを案内するフリーロール23がこの順に配置されている。
巻出ロール12ではパウダークラッチ等によるトルク制御が行われており、また、キャンロール16のすぐ上流側および下流側にそれぞれ位置するフィードロール15、21では、それらの周速度がモータ駆動のキャンロール16の周速度に対して調整できるようになっている。これにより、張力調整されながら巻出ロール12から巻き出された長尺樹脂フィルムFは、キャンロール16の外周面に密着状態で巻き付けられるので、後述する成膜手段による乾式めっき処理時に長尺樹脂フィルムFに熱負荷がかかっても効率のよい冷却が行われる。このようにキャンロール16の外周面上で成膜された長尺樹脂フィルムFは、上記のフィードロール21、張力センサロール22、およびフリーロール23を経た後、金属薄膜付き樹脂フィルムとしてモータ駆動の巻取ロール24で巻き取られる。
キャンロール16の外周面に対向する位置には、長尺樹脂フィルムFの搬送経路に沿って、乾式めっき法による成膜手段である板状のマグネトロンスパッタリングカソード17、18、19、20がこの順に設けられている。これらカソード17〜20から放出されるスパッタ粒子が長尺樹脂フィルムFの表面に堆積することでスパッタ成膜が行われる。この熱負荷のかかるスパッタ成膜の際、上記したように長尺樹脂フィルムFは裏面側からキャンロール16によって冷却されるので、熱的なダメージによってシワや変形等の問題が生じることはない。
なお、本発明の一具体例の乾式成膜装置は上記したようにスパッタ成膜により乾式めっき処理を行うものであるが、乾式めっき処理はこれに限定されるものではなく、CVD(化学蒸着)、イオンプレーティング、真空蒸着などの真空成膜処理でもよいし、これらのいずれかとスパッタ成膜処理との併用であってもよい。これら他の乾式めっきの場合は、上記のマグネトロンスパッタリングカソード57〜60に代えて所定の真空成膜手段が設けられることになる。
上記した乾式成膜装置10により、長尺樹脂フィルムFの少なくとも一方の面に、Cu、Ni、Cr、Fe、Al、Ag等の金属膜若しくはこれらのいずれかの金属元素を主成分とする合金膜、またはその酸化物、窒化物等の金属化合物膜などを成膜することができる。特に金属化合物膜を成膜する場合には、スパッタリングガスとしてアルゴンなどの不活性ガスに酸素、窒素等を適宜含有させることで、成膜の際の膜質を調整することができる。
金属化樹脂フィルムを作製する場合は、薄膜のシード層を成膜した後、その上に厚膜の導電層を成膜することが一般的に行われる。このシード層は、Niまたはその合金である、Ni−Cr合金、インコネル、コンスタンタン、モネル等によって作製することができ、その組成はフレキシブル配線基板において必要とされる電気絶縁性や耐マイグレーション性等の特性に応じて適宜定められる。
スパッタリング成膜で得られるシード層の膜厚は、3〜50nmとするのが好ましい。このシード層の膜厚が3nm未満では、後工程のパターニング処理の際のエッチングによって浸食されやすくなり、シード層と樹脂フィルム間にエッチング液が染み込んで配線が浮いてしまうおそれがある。一方、シード層の膜厚が50nmを超えると、パターニングのエッチングでシード層を完全に除去するのが困難になり、残渣として配線間に残り絶縁不良を発生させるおそれがある。
上記シード層の表面に成膜する銅層は、シード層の成膜を行った真空チャンバー内において引き続き成膜することが好ましく、例えば図1の乾式成膜装置10では、マグネトロンスパッタリングカソード17のターゲットをNi系合金等にし、マグネトロンスパッタリングカソード18〜20のターゲットを銅にすることでNi系合金等からなるシード層とその上の銅層とを連続的に作製することができる。この場合の銅層の膜厚は、10〜300nmであることが好ましい。銅層の膜厚が10nm未満では導電性が低く、後工程の電気めっき処理時に十分な給電量が確保されにくくなるので好ましくない。一方、銅層の膜厚が300nmを超えると、スパッタ成膜時の生産性が低下するので好ましくない。
長尺樹脂フィルムFの材質は、上記の乾式めっき時にかかる熱負荷に耐えられるものであれば特に限定はなく、例えばポリイミド系フィルム、ポリアミド系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリテトラフルオロエチレン系フィルム、ポリフェニレンサルファイド系フィルム、ポリエチレンナフタレート系フィルム、液晶ポリマー系フィルム等の樹脂フィルムを使用することができる。これら樹脂フィルムであれば、フレキシブル配線基板としての柔軟性、実用上必要な強度および耐熱性、配線材料として好適な電気絶縁性を有しているが、これらの中ではポリイミド系フィルムが好ましい。なお、樹脂フィルムの厚さは、8〜75μm程度が好適である。
本発明の一具体例の成膜装置では、金属膜が成膜された長尺樹脂フィルムFの当該金属膜の表面が接触するロールは、電気絶縁構造になっている。具体的には、上記した乾式成膜装置10では長尺樹脂フィルムFの片面にのみ成膜が行われるので、キャンロール16の外周面上で金属膜の成膜が行われた長尺樹脂フィルムFの当該金属膜の表面が接触するロールは、キャンロール16の下流側に位置するフィードロール21およびフリーロール23のみである。よって、これら2つのロールが電気絶縁構造になっている。張力センサロール22はキャンロール16の下流側に位置しているが、成膜された金属膜を有する長尺樹脂フィルムFの該金属膜表面が接することはなく、樹脂フィルム側のみが接するので電気絶縁構造にする必要はない。
上記のフィードロール21およびフリーロール23の電気絶縁構造としては、フィードロール21およびフリーロール23の各々において、例えばロール部全体を石英等の電気絶縁体で形成したり、ロールの外周面を緻密性セラミック等の電気絶縁体で被覆したり、ロール部の回転中心軸とその軸受との間に電気絶縁体を介在させたりする構造を挙げることができる。これらの場合の電気絶縁体の絶縁抵抗値は、一般的なテスターを用いて測定した場合に∞Ω以上と表示される程度の電気絶縁性を有しているのが望ましい。
上記したように、巻出ロール12から巻取ロール24まで長尺樹脂フィルムFを一方向に搬送してその片面にのみ金属膜を成膜する場合は、キャンロール16の上流側に位置するロール群には成膜された金属膜の表面が接することはないので、フリーロール13、張力センサロール14、およびフィードロール15を電気絶縁構造にする必要はない。しかし、乾式成膜装置10において長尺樹脂フィルムFを往復搬送する場合は、上記のフィードロール21およびフリーロール23に加えて、フリーロール13およびフィードロール15にも成膜後の金属膜の表面が接することになるので、これらも電気絶縁構造にするのが好ましい。
また、乾式成膜装置10において、片面への金属膜の成膜を終えて巻取ロール24に全て巻き取られている長尺樹脂フィルムFのロールを、巻取ロール24から外して巻出ロール12に取り付け、巻出ロール12を白矢印で示す時計回りに回して点線の経路でフリーロール13に向けて引き出し、以降は上記と同様の搬送経路で搬送させて両面に成膜を行う場合は、上記のフィードロール21およびフリーロール23に加えて、キャンロール16、張力センサロール14、22にも金属膜表面が接することになるので、これらロールも電気絶縁構造にするのが好ましい。
上記のように金属膜の表面が接するロールを電気絶縁構造にすることで、スパッタ成膜された金属膜の表面がロールの金属製外周面に接する際に生じやすい放電現象を防ぐことができる。これにより、放電に起因する局所的な凹部が金属薄膜付き樹脂フィルムの表面に形成されるのを防ぐことができる。この局所的な凹部は、スパッタ成膜後に湿式めっき法で金属膜を膜厚化して金属化樹脂フィルムを作製した時にその表面により顕著な凹みとなって現れるので、該金属化樹脂フィルムにパターニング処理を施して作製されるフレキシブル配線基板の品質や歩留まりに悪影響を及ぼす。
上記のスパッタ成膜等の乾式めっき法で成膜した金属膜の膜厚化を行う湿式めっき法については特に限定はなく、電気めっき処理のみで金属膜を形成してもよいし、一次めっきとしての無電解めっき処理および二次めっきとしての電解めっき処理等のように湿式めっき法を組み合わせて行ってもよい。いずれの場合においても、一般的な湿式めっき処理法を採用することができる。例えば電気めっき処理の場合は、図2に示すような連続電気めっき装置30を用いることができる。
この連続電気めっき装置30は、上記の乾式成膜装置10での成膜により得られた金属薄膜付樹脂フィルムF1を、その幅方向を水平に維持してロールツーロール方式で連続的に搬送しながら、めっき液槽31内に貯められているめっき液に複数回に亘って浸漬させることで湿式めっき処理を行うものである。具体的に説明すると、金属薄膜付樹脂フィルムF1を巻出す巻出ロール32と、巻き出された金属薄膜付樹脂フィルムF1にその金属薄膜を介して電力を給電すると共に、該金属薄膜付樹脂フィルムF1をめっき液内に導いたりめっき液内から引き上げたりする給電ロール群33a〜33eと、めっき液内での金属薄膜付樹脂フィルムF1の走行方向を上下反転させる浸漬ロール群34a〜34dと、該浸漬ロール群の各々のすぐ上流側及び下流側を走行する金属薄膜付樹脂フィルムF1に対向するように配されたアノード(陽極)群35a〜35hと、金属薄膜付樹脂フィルムF1に電気めっきを施すことで得た金属化樹脂フィルムF2の巻取りを行う巻取ロール36とを備えている。
各給電ロールとそのすぐ上流側および/または下流側に位置するアノードとは電気回路を構成しており、各電気回路には図示しない電源から給電されている。具体的には、給電ロール33aとアノード35a、給電ロール33bとアノード35bおよび35c、給電ロール33cとアノード35dおよび35e、給電ロール33dとアノード35fおよび35g、ならびに給電ロール33eとアノード35hがそれぞれ電気回路を構成しており、これらは電流制御によって各々の電位差の最大値が制御されている。
アノード(陽極)群35a〜35hは、電気めっきの銅源として溶解する銅アノードでもよいし、銅源を別に用意する不溶性アノードでもよい。めっき液槽31に貯めるめっき液には、例えば硫酸銅、硫酸、微量の塩素イオンおよび公知の添加剤等からなる硫酸銅めっき浴(光沢浴)などの公知の銅めっき液を用いることができる。めっき液の組成は目的に応じて適宜定めることができる。
これにより、めっき液中の銅イオンを還元させて金属薄膜付樹脂フィルムF1の金属薄膜を所望の厚みにまで膜厚化することができる。この膜厚化により得られる銅層の厚みは、フレキシブル配線基板において必要とされる電気的特性や後工程で採用するパターニング法に応じて適宜定められる。例えばサブトラクティブ法でパターニングする場合はその厚さを数μm〜12μmとし、セミアディティブ法でパターニングする場合はその厚さを0.5〜4μmとするのが一般的である。また、銅層の厚さが35μmを超えると、ヘヤークラックや反りなどを生じて密着強度が低下する場合があるので好ましくない。
なお、上記のように一般的に銅層が数μm〜12μmと比較的厚い金属化樹脂フィルムに対して行うサブトラクティブ法は、(1)金属化樹脂フィルムの銅層表面のうち配線を形成したい箇所にレジスト層を設け、(2)露出している不要な銅層とシード層とをエッチングなどで除去し、(3)レジスト層を除去することで配線基板を完成させるものである。
一方、一般的に銅層が0.5〜4μmと比較的薄い金属化樹脂フィルムに対して行うセミアディティブ法は、(1)金属化樹脂フィルムの銅層表面にレジスト層を形成し、銅層上のうち配線を形成したい箇所にレジスト層の開口部を設け、(2)開口部で露出している銅層を陰極として電気銅めっきして所望の膜厚の配線部を形成し、(3)レジスト層を除去し、(4)フラッシュエッチングなどで配線部以外の前記金属化樹脂フィルム表面の金属膜を除去して配線基板を完成させるものである。
上記のように、金属化樹脂フィルムに対してサブトラクティブ法あるいはセミアディティブ法でパターニングすることでフレキシブル配線基板を製造することができる。作製したフレキシブル配線基板は更に複数積層してもよく、これにより多層フレキシブル配線基板として用いることもできる。
[実施例]
長尺樹脂フィルムFとして宇部興産株式会社製のポリイミドフィルムであるユーピレックス35SGAV1(厚さ35μm、幅50cm)を使用し、その一方の面に図1に示すような乾式成膜装置10を用いてスパッタ成膜を行った。その際、乾式成膜装置10のフィードロール21とフリーロール23は金属薄膜付樹脂フィルムの金属薄膜の表面と接触するので電気絶縁構造にした。具体的には、ロール部の回転中心軸とその軸受との間に樹脂製のスリーブを介在させた。この樹脂製スリーブの絶縁抵抗値を一般的なテスターで測定したところ、∞Ωを表示した。
上記スパッタ成膜により、膜厚25nmのNi−20質量%Cr合金のシード層を成膜し、更にこのシード層の表面に銅層を成膜して合計膜厚110nmの金属薄膜を積層した。このようにして、全長3,000mの金属薄膜付樹脂(ポリイミド)フィルムを作製した。得られた金属薄膜付樹脂フィルムに対して、この乾式めっきの時点で局所的な凹みが生じているか否か目視にて検査したところ、凹みの発生は認められなかった。
次に、得られた全長3,000mの金属薄膜付樹脂フィルムを、図2に示すような連続電気めっき装置30で、pH1以下の硫酸酸性の銅水溶液をめっき液槽31に満たして銅めっき層の厚みが8μmとなるように銅電気めっきを行い、金属化樹脂フィルムを作製した。得られた金属化樹脂フィルムをCCDカメラで観察して局所的な凹みの有無を確認したところ、凹みの発生は認められなかった。
[比較例]
比較のため、乾式成膜装置10のフィードロール21とフリーロール23を電気絶縁構造にしなかった以外は上記実施例と同様にしてスパッタリング成膜処理を行い、全長3,000mの金属薄膜付樹脂(ポリイミド)フィルムを作製した。得られた金属薄膜付樹脂フィルムに対して、この乾式めっきの時点で局所的な凹みが生じているか否か目視にて検査したところ、凹みの発生は認められなかった。
次に、上記実施例と同様に銅電気めっきを行って金属化樹脂フィルムを作製した。得られた金属化樹脂フィルムをCCDカメラで観察して局所的な凹みの有無を確認したところ、金属化樹脂フィルムのほぼ全長に亘ってフィードロール21およびフリーロール23の外周面の回転周期とほぼ一致する頻度で、即ちこれらロールの円周に等しい間隔おきに、径約6μm、深さ約0.3μmの凹みが発生していた。湿式めっきで使用した電気めっき装置30には上記フィードロール21やフリーロール23と同じ外径のロールは存在していないので、上記の凹みの発生周期から、フィードロール21およびフリーロール23での放電に起因する凹みと考えられる。
10 乾式成膜装置
11 真空チャンバー
12 巻出ロール
13、23 フリーロール
14、22 張力センサロール
15、21 フィードロール
16 キャンロール
17、18、19、20 マグネトロンスパッタリングカソード
24 巻取ロール
30 めっき装置
31 めっき液槽
32 巻出ロール
33a、33b、33c、33d、33e 給電ロール
34a、34b、34c、34d 浸漬ロール
35a、35b、35c、35d、35e、35f、35g、35h アノード(陽極)
36 巻取ロール
F 樹脂フィルム
F1 金属膜付樹脂フィルム
F2 金属化樹脂フィルム


Claims (5)

  1. 乾式成膜装置内においてロールツーロールで搬送される長尺の被成膜物にスパッタリング法で金属膜の成膜を行なった後、該金属膜が成膜された被成膜物を該乾式成膜装置内において巻取ロールで巻き取るまでに少なくとも3個のロールに該金属膜の成膜側とその反対側とを交互に接触させて搬送する被成膜物の搬送方法であって前記少なくとも3個のロールのうち前記金属膜の成膜側が接触するロールのみにそのロール部の回転中心軸とその軸受との間に電気絶縁体が介在する電気絶縁構造を有するものを用いることで、該金属膜の表面が該ロールの金属製外周面に接する際に生じる放電現象を防ぐことを特徴とする被成膜物の搬送方法。
  2. 前記電気絶縁体樹脂製のスリーブであることを特徴とする、請求項1に記載の被成膜物の搬送方法。
  3. 請求項1または2に記載の搬送方法を用いて成膜した後、湿式めっき法で更に金属膜を膜厚化することを特徴とする被成膜物の成膜方法。
  4. 請求項に記載の成膜方法を用いることを特徴とする金属化樹脂フィルムの製造方法。
  5. ロールツーロールで搬送される長尺の被成膜物にスパッタリング法で金属膜の成膜を行う乾式成膜装置であって、巻出ロールから巻取ロールに至るロールツーロールの搬送経路を画定するロール群のうち金属膜が成膜された被成膜物を該巻取ロールで巻き取るまでの搬送経路に該金属膜の成膜側とその反対側とが交互に接触する少なくとも3個のロールが設けられており、これら少なくとも3個のロールのうち該金属膜の成膜側が接するロールのみに、ロール部の回転中心軸とその軸受との間に電気絶縁体が介在する電気絶縁構造を有するものを用いることを特徴とする被成膜物の乾式成膜装置。
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