JP6950281B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6950281B2 JP6950281B2 JP2017104602A JP2017104602A JP6950281B2 JP 6950281 B2 JP6950281 B2 JP 6950281B2 JP 2017104602 A JP2017104602 A JP 2017104602A JP 2017104602 A JP2017104602 A JP 2017104602A JP 6950281 B2 JP6950281 B2 JP 6950281B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyarylene sulfide
- sulfide resin
- resin composition
- metal
- range
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とする金属/樹脂複合構造体、に関する。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、に関する。
(1)金属部材表面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形することにより接合する工程、または、(2)金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とを接合する工程、を有すること、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とする金属/樹脂複合構造体の製造方法、に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として溶融混練する工程を有すること、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法、に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を金型内で成型する工程を有すること、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とする成形品の製造方法、に関する。
本発明の金属/樹脂複合構造体は、金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とが接合してなる。
本発明において該成形品と金属部材との接合は、機械的結合の寄与もあるが、主として物理的結合や化学的結合に基づくと考えられる。このため、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物ないしその成形品が流動性をもって金属部材表面と接合することが可能な公知の接合方法を用いることができる。以下、(1)金属部材表面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形することにより接合する工程(接合方法1という)、および、(2)金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とを接合する工程(接合方法2という)とにわけて説明する。
前記金属部材を構成する金属の種類としては、アルミニウム、銅、マグネシウム、鉄、チタンまたはそれらを含有する合金が挙げられる。より具体的には、鉄や、例えば、ステンレス、鋼材など、鉄を主成分、すなわち20質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは80質量%の割合として、他に炭素、ケイ素、マンガン、クロム、タングステン、モリブデン、ホスホル、チタン、バナジウム、ニッケル、ジルコニウム、ボロン等を含む合金(以下、鉄合金)や、アルミニウムや、アルミニウムを主成分として、他に銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルを含む合金(以下、アルミニウム合金)や、マグネシウムや、マグネシウムを主成分として、他に亜鉛、アルミニウム、ジルコニウムなどを含む合金(以下、マグネシウム合金)や、銅や、銅を主成分として、他に亜鉛、スズ、リン、ニッケル、マグネシウム、ケイ素、クロムを含む合金(以下、銅合金)や、チタンや、チタンを主成分として、他に銅、マンガン、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、ニッケルを含む合金(以下、チタン合金)が挙げられる。これらのうち、より好ましくは鉄、鉄合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金、銅合金、チタン合金が挙げられ、さらに好ましくは鉄合金、アルミニウム合金、マグネシウム合金が挙げられる。
(1)侵食性水溶液または侵食性懸濁液による浸漬法。金属表面に微細凹凸面が形成された形状とすることが好ましく、さらに、金属表面を多数の凹部が形成された形状とし、かつ、その凹部を数平均内径3μm以下の範囲とすることがより好ましく、同様にその凹部を数平均内径10nm〜3μmの範囲とすることがさらに好ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.01〜100質量部の範囲であることを特徴とする。
前記樹脂(A)の融点(Tm)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、270℃以上の範囲であることが好ましく、さらに270〜300℃の範囲であることがより好ましい。また、前記樹脂(A)の再結晶化温度(Tc2)は、耐熱性や機械的強度に優れるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物となることから、200〜260℃の範囲であることが好ましい。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂は、300℃で測定した溶融粘度(V6)が2〜1000〔Pa・s〕の範囲であることが好ましく、さらに流動性および機械的強度のバランスが良好となることから10〜500〔Pa・s〕の範囲がより好ましく、特に60〜200〔Pa・s〕の範囲であることが特に好ましい。但し、本発明において、溶融粘度(V6)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Dを用い、300℃、荷重:1.96×106Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に溶融粘度を測定した値とする。
本発明に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の非ニュートン指数は、本発明の効果を損ねない限り特に限定されないが、0.90〜2.00の範囲であることが好ましい。リニア型ポリアリーレンスルフィド樹脂を用いる場合には、非ニュートン指数が0.90〜1.50の範囲であることが好ましく、さらに0.95〜1.20の範囲であることがより好ましい。このようなポリアリーレンスルフィド樹脂は機械的物性、流動性、耐磨耗性に優れる。ただし、非ニュートン指数(N値)は、キャピログラフを用いて300℃、オリフィス長(L)とオリフィス径(D)の比、L/D=40の条件下で、剪断速度及び剪断応力を測定し、下記式を用いて算出した値である。
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば1)硫黄と炭酸ソーダの存在下でジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、2)極性溶媒中でスルフィド化剤等の存在下にジハロゲノ芳香族化合物を、必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加えて、重合させる方法、3)p−クロルチオフェノールを、必要ならばその他の共重合成分を加えて、自己縮合させる方法、等が挙げられる。これらの方法のなかでも、2)の方法が汎用的であり好ましい。反応の際に、重合度を調節するためにカルボン酸やスルホン酸のアルカリ金属塩や、水酸化アルカリを添加しても良い。上記2)方法のなかでも、加熱した有機極性溶媒とジハロゲノ芳香族化合物とを含む混合物に含水スルフィド化剤を水が反応混合物から除去され得る速度で導入し、有機極性溶媒中でジハロゲノ芳香族化合物とスルフィド化剤とを、必要に応じてポリハロゲノ芳香族化合物と加え、反応させること、及び反応系内の水分量を該有機極性溶媒1モルに対して0.02〜0.5モルの範囲にコントロールすることによりポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する方法(特開平07−228699号公報参照。)や、固形のアルカリ金属硫化物及び非プロトン性極性有機溶媒の存在下でジハロゲノ芳香族化合物と必要ならばポリハロゲノ芳香族化合物ないしその他の共重合成分を加え、アルカリ金属水硫化物及び有機酸アルカリ金属塩を、硫黄源1モルに対して0.01〜0.9モルの範囲の有機酸アルカリ金属塩および反応系内の水分量を非プロトン性極性有機溶媒1モルに対して0.02モル以下の範囲にコントロールしながら反応させる方法(WO2010/058713号パンフレット参照。)で得られるものが特に好ましい。ジハロゲノ芳香族化合物の具体的な例としては、p−ジハロベンゼン、m−ジハロベンゼン、o−ジハロベンゼン、2,5−ジハロトルエン、1,4−ジハロナフタレン、1−メトキシ−2,5−ジハロベンゼン、4,4’−ジハロビフェニル、3,5−ジハロ安息香酸、2,4−ジハロ安息香酸、2,5−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロニトロベンゼン、2,4−ジハロアニソール、p,p’−ジハロジフェニルエーテル、4,4’−ジハロベンゾフェノン、4,4’−ジハロジフェニルスルホン、4,4’−ジハロジフェニルスルホキシド、4,4’−ジハロジフェニルスルフィド、及び、上記各化合物の芳香環に炭素原子数1〜18の範囲のアルキル基を有する化合物が挙げられ、ポリハロゲノ芳香族化合物としては1,2,3−トリハロベンゼン、1,2,4−トリハロベンゼン、1,3,5−トリハロベンゼン、1,2,3,5−テトラハロベンゼン、1,2,4,5−テトラハロベンゼン、1,4,6−トリハロナフタレンなどが挙げられる。また、上記各化合物中に含まれるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子であることが望ましい。
本発明のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、ポリビニルピロリドン(B)を必須成分として配合してなる。該ポリビニルピロリドンの平均分子量は特に限定されないが、好ましくは質量平均分子量が3,000〜2,000,000の範囲であり、より好ましくは500,000〜1,500,000の範囲であり、さらに好ましくは1,000,000〜1,200,000の範囲である。重合度nは質量平均分子量が上記範囲となる値であれば特に限定されないが、好ましくはnが30〜18,000の範囲であることが好ましく、4,500〜13,500の範囲であることが好ましく、さらに9,000〜108,000の範囲であることが特に好ましい。なお、質量平均分子量はポリビニルピロリドンのテトラヒドロフラン溶液(0.1wt%)を調製し、TSKGelGHxlシリーズ5000、3000、2000、1000カラムおよび示差屈折計(RI)検出器を備えたGPC装置(東ソー株式会社製HLC−8220GPC)を用い、試料溶液注入量50μl、テトラヒドロフランを移動相(1ml/分)とし、40℃で測定した。質量平均分子量は、標準スチレンからなる検量線から算出した。ただし、質量平均分子量の測定値に実質的な影響を及ぼさない範囲で、測定条件を適宜変更することは可能である。
本発明の金属/樹脂複合構造体の主な用途例としては、各種家電製品、携帯電話、及びPC(Personal Computer)等の電子機器の筐体、箱型の電気・電子部品集積モジュール用保護・支持部材・複数の個別半導体またはモジュール、センサ、LEDランプ、コネクタ、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサ、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント基板、チューナ、スピーカ、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モータ、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、端子台、半導体、液晶、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、モーターブラッシュホルダ、パラボラアンテナ、コンピュータ関連部品等に代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤ、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザディスク・コンパクトディスク・DVDディスク・ブルーレイディスク等の音声・映像機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライタ部品、ワードプロセッサ部品、あるいは給湯機や風呂の湯量、温度センサなどの水回り機器部品等に代表される家庭、事務電気製品部品;オフィスコンピュータ関連部品、電話器関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、モーター部品、ライタ、タイプライタなどに代表される機械関連部品:顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計等に代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクタ、ブラシホルダー、スリップリング、ICレギュレータ、ライトディヤ用ポテンシオメーターベース、リレーブロック、インヒビタースイッチ、排気ガスバルブ等の各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディ、キャブレタースペーサ、排気ガスセンサ、冷却水センサ、油温センサ、ブレーキパットウェアーセンサ、スロットルポジションセンサ、クランクシャフトポジションセンサ、エアーフローメータ、ブレーキパッド摩耗センサ、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダ、ウォーターポンプインペラ、タービンベイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュータ、スタータースイッチ、イグニッションコイルおよびそのボビン、モーターインシュレータ、モーターロータ、モーターコア、スターターリレ、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウォッシャーノズル、エアコンパネルスイッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクタ、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターロータ、ランプソケット、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルタ、点火装置ケース等の自動車・車両関連部品、その他各種用途にも適用可能である。
参考例で製造したポリフェニレンスルフィド樹脂を島津製作所製フローテスター、CFT−500Dを用い、300℃、荷重:1.96×106Pa、L/D=10(mm)/1(mm)にて、6分間保持した後に測定した。
参考例、比較参考例で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂及び実施例、比較例で得られたポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に係る融点(Tm)、再結晶化温度(Tc2)、は、樹脂又は樹脂組成物を350℃にて溶融させた後、急冷させて非晶性フィルムを作製し、このフィルムからおよそ4mgはかりとり、示差走査熱量計(Perkin Elmer社製『DSC8500』)を用いて測定した。
圧力計、温度計、コンデンサ、デカンター、精留塔を連結した撹拌翼付き150リットルオートクレーブにp−ジクロロベンゼン(以下、「p−DCB」と略記する。)33.222kg(226モル)、NMP2.280kg(23モル)、47.23質量%NaSH水溶液27.300kg(NaSHとして230モル)、及び49.21質量%NaOH水溶液18.533g(NaOHとして228モル)を仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で173℃まで5時間掛けて昇温して、水27.300kgを留出させた後、オートクレーブを密閉した。脱水時に共沸により留出したp−DCBはデカンターで分離して、随時オートクレーブ内に戻した。脱水終了後のオートクレーブ内は微粒子状の無水硫化ナトリウム組成物がp−DCB中に分散した状態であった。この組成物中のNMP含有量は0.069kg(0.7モル)であったことから、仕込んだNMPの97モル%(22.3モル)がNMPの開環体(4−(メチルアミノ)酪酸)のナトリウム塩(以下、「SMAB」と略記する。)に加水分解されていることが示された。オートクレーブ内のSMAB量は、オートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.097モルであった。仕込んだNaSHとNaOHが全量、無水Na2Sに変わる場合の理論脱水量は27.921gであることから、オートクレーブ内の残水量621g(34.5モル)の内、401g(22.3モル)はNMPとNaOHとの加水分解反応に消費されて、水としてオートクレーブ内に存在せず、残りの220g(12.2モル)は水、あるいは結晶水の形でオートクレーブ内に残留していることを示していた。オートクレーブ内の水分量はオートクレーブ中に存在する硫黄原子1モル当たり0.053モルであった。
圧力計、温度計、コンデンサを連結した撹拌翼および底弁付き150リットルオートクレーブに、45%水硫化ソーダ(47.55質量%NaSH)14.148kg、48%苛性ソーダ(48.7質量%NaOH)9.474kgと、N−メチル−2−ピロリドン38.0kgを仕込んだ。窒素気流下攪拌しながら209℃まで昇温して、水12.150kgを留出させた(残存する水分量はNaSH1モル当り1.13モル)。その後、オートクレーブを密閉して180℃まで冷却し、パラジクロロベンゼン17.129kg及びN−メチル−2−ピロリドン16.0kgを仕込んだ。液温150℃で窒素ガスを用いてゲージ圧で0.1MPaに加圧して昇温を開始した。液温220℃で4時間撹拌したのち、昇温して260℃になった時点でオートクレーブ上部を散水することで冷却しながら、260℃で3時間反応した。オートクレーブ上部を冷却中、液温が下がらないように一定に保持した。次に降温させると共にオートクレーブ上部の冷却を止めた。反応中の最高圧力は、0.87MPaであった。反応後、冷却し、100℃で底弁を開き、反応スラリーを150リットル平板ろ過機に移送し120℃で加圧ろ過した。得られたケーキに70℃温水50kgを加え撹拌したのち、濾過し、さらに温水25kgを加え濾過した。次に温水25kgを加え、酢酸でpHを4.5に調整し、1時間撹拌し、濾過したのち、温水25kgを加え、濾過した。さらに、温水25kgを加え1時間撹拌し、濾過したのち、温水25kgを加えろ過する操作を2回繰り返した。得られたケーキを熱風循環乾燥機を用いて120℃で15時間乾燥し、PPS−2を得た。得られたポリマーの溶融粘度108Pa・sであった。また、融点(Tm)は278℃、再結晶化温度(Tc2)は240℃であった。
「次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で1時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。」ところを、「次いで、内温200℃から230℃まで3時間掛けて昇温し、230℃で3時間撹拌した後、250℃まで昇温し、1時間撹拌した。」としたこと、「次に、得られたケーキに30リットルの水を加え、酢酸でpHを4.5に調整し、常温で1時間撹拌したのち、濾過した。」ところを「次に、得られたケーキに30リットルの水を加え、炭酸水でpHを6.0に調整し、常温で1時間撹拌したのち、濾過した。」としたことの2点以外は参考例1と同様に行い、PPS−3を得た。得られたポリマーの溶融粘度は171Pa・sであった。また、融点(Tm)は280℃、再結晶化温度(Tc2)は211℃であった。
パラジクロロベンゼンと同時に1,3,5−トリクロロベンゼン65.3g(NaSH1モルに対して0.3mol%)を添加した以外は参考例2と同様に行い、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−4)を得た。得られたポリマーは溶融粘度2840Pa・sであった。また、融点(Tm)は284℃、再結晶化温度(Tc2)は230℃であった。
パラジクロロベンゼン17.129kgの変わりに、パラジクロロベンゼンを14.559kg、メタジクロロベンゼンを2.569kg加えた以外は参考例2と同様に行い、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS−C1)を得た。得られたポリマーは溶融粘度10Pa・sであった。また、融点(Tm)は242℃、再結晶化温度(Tc2)は146℃であった。
表1〜3に記載する組成成分および配合量(全て質量部)にしたがい、各材料をタンブラーで均一に混合した。その後、株式会社日本製鋼所ベント付き2軸押出機「TEX30α」に前記配合材料を投入し、樹脂成分吐出量25kg/hr、スクリュー回転数250rpm、設定樹脂温度を330℃に設定して溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。ペレットの融点(Tm)および再結晶化温度(Tc2)を求め、表1〜3に示した。
得られた試験片をクロスカット法(JIS K5400:1990)に準拠した方法で試験した。即ち、実施例、比較例で得られた試験片の金属箔表面に、縦横それぞれ1mm間隔で10等分する切り込みを入れて合計100個の領域を形成した後、これら領域を形成した表面に粘着テープ(ニチバン社製「セロテープ」(登録商標))を用いて密着試験を行った。測定は、粘着テープの引き剥がしが一定となるよう、2kgのローラーで1往復加圧貼付し1時間放置後、テンシロン万能引張試験機(オリエンテック製、RTA100)を用い、同一の温度湿度条件下、300mm/minの速度で180°方向に引っ張った。密着力試験後の剥離マス数と残存マス数をカウントし、残存したマスを表1〜3に示した。
※1 ΔTc2は、各実施例で得られた試験片(PPS樹脂成形品)のTc2(℃)から、各実施例で原料の用いたPPS樹脂のTc2(℃)を差し引いた値。
また、表中の各原料は以下の通り。
PVP−1 ポリビニルピロリドン樹脂 株式会社日本触媒製「K−90」(質量平均分子量:1050000〜1200000)
PVP−2 ポリビニルピロリドン樹脂 株式会社日本触媒製「K−85」(質量平均分子量:900000〜1050000)
PVP−3 ポリビニルピロリドン樹脂 株式会社日本触媒製「K−30」(質量平均分子量:80000〜120000)
PVP−4 ポリビニルピロリドン樹脂 第一工業製薬株式会社製「ピッツコールK−17L」(質量平均分子量:9000〜120000)
Claims (15)
- 金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とが接合してなる金属/樹脂複合構造体であって、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.1〜50質量部の範囲であることを特徴とする金属/樹脂複合構造体。 - 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、融点(Tm)が270℃以上であり、かつ、再結晶化温度(Tc2)が250℃以下である請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、さらに周期表第2族または第12族に属する金属を含むリン酸塩(C)、および、シランカップリング剤(D)からなる群から選ばれる少なくとも1つを配合してなり、
前記リン酸塩(C)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.001〜50質量部の範囲であり、シランカップリング剤(D)は、ポリアリーレンスルフィド樹脂100質量部に対して0.01〜30質量部の範囲である請求項1に記載の金属/樹脂複合構造体。 - 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物は、融点(Tm)と再結晶化温度(Tc2)との差ΔTが90℃以上である請求項3に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 樹脂部材がフィルム状である請求項1〜5のいずれか一項記載の金属/樹脂複合構造体。
- 金属部材がフィルム状である請求項1〜6のいずれか一項記載の金属/樹脂複合構造体。
- 金属/樹脂複合構造体が成形回路部品である請求項1〜7のいずれか一項記載の金属/樹脂複合構造体。
- 前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が溶融混練物である請求項1〜8のいずれか一項に記載の金属/樹脂複合構造体。
- 金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とが接合してなる金属/樹脂複合構造体に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.1〜50質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。 - 請求項10に記載のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を成形してなる成形品。
- 金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とが接合してなる金属/樹脂複合構造体の製造方法であって、
(1)金属部材表面に、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を溶融成形することにより接合する工程、または、(2)金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とを接合する工程、を有すること、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.1〜50質量部の範囲であることを特徴とする金属/樹脂複合構造体の製造方法。 - 金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とが接合してなる金属/樹脂複合構造体に用いるポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)とポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として溶融混練する工程を有すること、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.1〜50質量部の範囲であることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の製造方法。 - 金属部材と、ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物の成形品とが接合してなる金属/樹脂複合構造体に用いる前記成形品の製造方法であって、
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を金型内で成型する工程を有すること、
前記ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)と、ポリビニルピロリドン(B)とを必須成分として配合してなり、ポリアリーレンスルフィド樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリビニルピロリドン(B)が0.1〜50質量部の範囲であることを特徴とする成形品の製造方法。 - 金型温度が40〜180℃の範囲である請求項14記載の成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017104602A JP6950281B2 (ja) | 2017-05-26 | 2017-05-26 | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017104602A JP6950281B2 (ja) | 2017-05-26 | 2017-05-26 | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018199250A JP2018199250A (ja) | 2018-12-20 |
JP6950281B2 true JP6950281B2 (ja) | 2021-10-13 |
Family
ID=64667702
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017104602A Active JP6950281B2 (ja) | 2017-05-26 | 2017-05-26 | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6950281B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020218277A1 (ja) * | 2019-04-22 | 2020-10-29 | 三井化学株式会社 | 電子機器筐体、その製造方法および金属樹脂複合体 |
JP7028368B2 (ja) * | 2019-06-04 | 2022-03-02 | Dic株式会社 | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、これを成形してなる成形品、積層体、およびそれらの製造方法 |
CN114901458B (zh) * | 2019-12-27 | 2024-06-14 | Dic株式会社 | 复合结构体及其制造方法 |
CN113980466B (zh) * | 2021-10-29 | 2023-06-13 | 金发科技股份有限公司 | 一种聚苯硫醚组合物及其制备方法和应用 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH07309957A (ja) * | 1994-05-16 | 1995-11-28 | Polyplastics Co | 表面特性に優れたポリアリーレンサルファイド樹脂成形品 |
JP3487378B2 (ja) * | 1995-03-09 | 2004-01-19 | 大日本インキ化学工業株式会社 | ポリアリーレンスルフィド樹脂成形品の製造方法 |
JP4744911B2 (ja) * | 2005-03-31 | 2011-08-10 | ポリプラスチックス株式会社 | 高熱伝導性樹脂組成物 |
JP2011189631A (ja) * | 2010-03-15 | 2011-09-29 | Tohno Seimitsu Co Ltd | インサート成形品及びインサート成形品の製造方法 |
JP2012236906A (ja) * | 2011-05-11 | 2012-12-06 | Nissan Motor Co Ltd | 樹脂組成物 |
JP6828414B2 (ja) * | 2016-12-21 | 2021-02-10 | Dic株式会社 | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 |
JP7047248B2 (ja) * | 2016-12-21 | 2022-04-05 | Dic株式会社 | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 |
-
2017
- 2017-05-26 JP JP2017104602A patent/JP6950281B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2018199250A (ja) | 2018-12-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6950281B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 | |
KR102647580B1 (ko) | 금속 수지 복합체 및 그 제조 방법 | |
JP6819798B2 (ja) | 複合構造体およびその製造方法 | |
JP6984401B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、複合構造体及び製造方法 | |
JP6809083B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 | |
WO2018066637A1 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 | |
JP6725889B2 (ja) | 金属/樹脂複合構造体およびその製造方法 | |
JP7047248B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 | |
JP6797360B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 | |
JP7070804B2 (ja) | 複合構造体およびその製造方法 | |
JP6828414B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品及び製造方法 | |
JP6823841B2 (ja) | 金属樹脂複合体及びその製造方法 | |
JP6886586B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品、金属/樹脂複合構造体及び製造方法 | |
JP6876261B2 (ja) | 樹脂組成物およびその成形体 | |
JP7136372B2 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 | |
WO2023218850A1 (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物、成形品およびそれらの製造方法 | |
WO2024116565A1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物、成形品及び複合構造体並びにそれらの製造方法 | |
JP2017088877A (ja) | ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物および成形品 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20180220 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20190624 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20200402 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20210125 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20210706 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20210720 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20210824 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20210906 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6950281 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |