[実施例1]
以下、図面を用いて、本発明を画像形成装置にて実施した形態について説明する。
[電子写真方式の画像形成装置の説明]
図1は電子写真プロセス方式を用いた画像形成装置の概略構成を示す断面図であり、図2は画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。なお、本実施例では画像形成装置の一例としてレーザービームプリンタの場合で説明するが、それに限らず、複写機、ファクシミリ、或いはこれらの複合機等の装置であっても構わない。
図1に示すレーザービームプリンタ本体101(以下本体101という)は、画像が記録される記録媒体である記録材Sを収納する給紙カセット104を有する。そして、給紙カセット104から記録材Sを送り出す給紙ローラ141、搬送ローラ対142、そして搬送方向の下流に記録材Sの先端を検出するトップセンサ143と記録材Sを搬送するレジストローラ対144を有する。そして本体101は、更に搬送方向の下流にレーザースキャナー106から出射されるレーザー光に基づいて、記録材S上にトナー像を形成するためのカートリッジユニット105を有する。カートリッジユニット105は、像担持体としての感光ドラム148、一次帯電ローラ147、現像ローラ146を有し、転写ローラ145と共に記録材S上にトナー像を転写する。そして本体101は、その下流に、記録材S上に形成されたトナー像を定着するための定着器103を有する。定着器103は、定着フィルム149と加圧ローラ150を有する。定着フィルム149内部にはヒータ102と、定着フィルム149内でヒータ102の温度を検出するためにヒータ102近傍に配置された温度検出手段であるサーミスタ109を有する。そして本体101は、更に、搬送方向の下流に排紙ローラ対151を有し、トナー像を形成した後にトナー像を定着させた記録材Sを排紙する。
図1、図2に示す123は本体101のエンジンコントローラ(以後、制御部123と称する)であり、モータやクラッチ等の駆動ユニット206を制御する(コントロールする)ことにより各ローラを動作させて記録材Sの搬送を制御する。さらに、レーザースキャナー106、カートリッジユニット105、定着器103を制御して画像形成(以後プリントと称する)制御を行う。また、131は画像コントローラであり、制御部123とエンジンインターフェース133で接続させると共に、パーソナルコンピュータ等の外部装置132と汎用の外部インターフェース134(USB等)で接続している。
図1、図2に示す120は電源ユニット(直流電圧の生成手段)である。電源ユニット120内は制御電源部121を有している。制御電源部121は、制御部123や画像コントローラ131、レーザースキャナー106のレーザー発光部(不図示)、不揮発性メモリ202、トップセンサ143、207の制御系の回路に3.3Vの電圧を供給する。そして、同じく電源ユニット120内にある駆動電源部122は、駆動ユニット206、カートリッジユニット105に高電圧を供給する高圧電源205、レーザースキャナー106のポリゴンミラー駆動部(不図示)等に24Vの電圧を供給している。また、電源ユニット120は、ゼロクロス検知信号(詳細は後述する)を制御部123に送信している。
そして、制御部123は、商用交流電源201からの電力を、交流電圧のゼロクロス点を検知したタイミングに同期して所望の位相角、又波数のデューティー比となる様にヒータのスイッチング手段(不図示)を制御し、ヒータが所定温度となる様にする。制御部123は、カートリッジユニット105や定着器103等の消耗品の使用履歴や本体101の各種設定等、様々のデータを不揮発性メモリ202に記憶する。そして、通常動作時はそれらのデータを、制御部123内の不図示のレジスタ等、揮発性メモリに読み出して使用している。
画像コントローラ131は、外部インターフェース134からプリント情報(プリント枚数、各種設定情報等)及び印刷用データを受け取る。そして、画像コントローラ131は、内部に画像制御部203を有し、同じく内部にあるHDD204(不揮発性メモリ)やRAM等、揮発性メモリ(不図示)を記憶装置として使用して、印刷用データをプリントが可能な画像データに展開する。そして、制御部123は、画像コントローラ131からエンジンインターフェース133を介して受け取った画像データをレーザースキャナー106に送る。
[電源ユニットの回路構成]
次に、図3を用いて電源ユニット120について詳しく説明する。図3は本実施例における、電源ユニット120の回路図である。201は商用交流電源であり、交流電圧VacをLiveライン/Neutralラインの2ラインに出力し、電源ユニット120に供給する。入力された交流電圧Vacは、ブリッジダイオード303で整流されてDCHとDCLの2つのラインに出力され、コンデンサ304によって平滑化される。平滑化された電圧は、DCLを基準とした電圧Vdcとなる。電圧Vdc(DCH/DCLライン間)は、2次側に3.3Vを出力する制御電源部121、及び2次側に24Vを出力する駆動電源部122に入力される。
制御電源部121は、1次側にある不図示の電源ICを動作させる電源として、DCLを基準に比較的低圧な定電圧Vccを生成し、その電圧は制御電源部121内だけでなく、駆動電源部122やその他1次側にある制御回路に供給される。また、駆動電源部122は、制御部123からの駆動電源のON/OFF信号(駆動電圧を供給/停止する手段)により、起動または停止する。
制御電源部121、駆動電源部122は、各々起動電圧と停止電圧にヒステリシスを有している。ここで、制御電源部121が起動するのに必要な電圧Vdcを電圧Vdc(Son)、制御電源部121が動作を停止する電圧Vdcを電圧Vdc(Soff)とする。同様に、駆動電源部122が起動するのに必要な電圧Vdcを電圧Vdc(Pon)、駆動電源部122が動作を停止する電圧Vdcを電圧Vdc(Poff)とする。また、大電力を必要とする駆動電源部122よりも、比較的小電力な制御電源部121の方が、低い電圧Vdcまで動作を継続する事が可能である。よって、電圧Vdcには、以下の式(1)〜(4)の様な関係がある。
Vdc(Pon)≧Vdc(Poff) ‥‥(1)
Vdc(Son)≧Vdc(Soff) ‥‥(2)
Vdc(Pon)≧Vdc(Son) ‥‥(3)
Vdc(Poff)≧Vdc(Soff)‥‥(4)
電圧Vdcが上昇して電圧Vdc(Son)を越えた時、制御電源部121は動作を開始し、2次側に3.3Vを出力する。そして、制御部123に3.3Vを供給する。なお、制御電源部121は、起動後、電圧Vdcが電圧Vdc(Soff)を下回るまで動作を継続する。また、駆動電源部122は、電圧Vdcが上昇して電圧Vdc(Pon)を越え、かつエンジンコントローラ123からの駆動電源ON/OFF信号がONされた時に動作を開始し、2次側に24Vを出力する。そして、駆動ユニット206や高圧電源205等に24Vを供給する。なお、駆動電源部122は、起動後、電圧Vdcが電圧Vdc(Poff)を下回るか、制御部123からの駆動電源ON/OFF信号がOFFされるまで動作を継続する。
式(3)から、制御電源部121、駆動電源部122が共に起動する為の最低電圧Vdcは、電圧Vdc(Pon)以上の電圧である必要がある。同様に式(4)から、両電源部が動作を継続する為に必要な最低電圧Vdcは、電圧Vdc(Poff)以上の電圧である必要がある。
コンパレータ309(電圧検知手段)は、電圧Vdcが、後述のゼロクロス検知回路316(ゼロクロス検知手段)を動作開始する電圧に達したか、また、動作を停止させる電圧まで低下したか、を判断する。ここで、ゼロクロス検知回路316の動作を開始させる電圧Vdcを電圧Vdc(Zon)、ゼロクロス検知回路316の動作を停止させる電圧Vdcを電圧Vdc(Zoff)とする。電圧Vdc(Zon)と電圧Vdc(Zoff)はヒステリシスを有している。電圧Vdc(Zon)は、駆動電源部122が起動する電圧Vdc(Pon)以上の高い電圧に設定し、電圧Vdc(Zoff)は、駆動電源部122が動作を停止する電圧Vdc(Poff)以上の高い電圧Vdc(Zoff)に設定する。よって、各電圧Vdcは、以下式(5)〜(7)の関係にある。
Vdc(Zon)≧Vdc(Zoff) ‥‥(5)
Vdc(Zon)≧Vdc(Pon) ‥‥(6)
Vdc(Zoff)≧Vdc(Poff)‥‥(7)
コンパレータ309の反転入力端子には、電圧Vdcを抵抗307、抵抗308で分圧した電圧Vbが入力される。そしてコンパレータ309の非反転入力端子には、抵抗312を介したコンパレータ309出力からのフィードバック電圧と、定電圧Vccが抵抗310、抵抗311で分圧された電圧との合成電圧Vaが印加される。そして、この電圧Vaを基準として反転入力電圧、すなわち電圧Vbが比較される。基準電圧Vaは、コンパレータ309出力からのフィードバック(抵抗312)によってヒステリシスを有しており、コンパレータ309の出力レベルに応じて基準電圧Vaが変化する。すなわちコンパレータ309の出力がHighレベルの時、基準電圧Vaは高くなり(基準電圧Va+とする)、コンパレータ309の出力がLowレベルの時、基準電圧Vaは低くなる(基準電圧Va−とする)。なお、コンパレータの出力がHighレベルの状態とは、コンパレータ309の出力がハイ・インピーダンス状態で、抵抗313、抵抗314によって定電圧Vccにプルアップされた状態を意味する。そして、ゼロクロス検知回路316が起動する電圧Vdc(Zon)まで上昇した時に電圧Vbが到達する電圧が基準電圧Va+となる様に調整されており、この時コンパレータ309の出力が反転し、HighレベルからLowレベルに変化する。また、ゼロクロス検知回路316が動作を停止する電圧Vdc(Zoff)まで低下した時に電圧Vbが低下する電圧が、基準電圧Va−となる様に調整されており、この時コンパレータ309の出力が反転し、LowレベルからHighレベルに変化する。
コンパレータ309の後段にあるトランジスタ315は、ベース端子が抵抗314を介して定電圧Vccにプルアップされると共に抵抗313を介してコンパレータ309の出力に接続されている。そして、コンパレータ309の出力レベルがHighの場合にはOFF、Lowの場合にはONとなる。また、トランジスタ315がONの時は定電圧Vccを後述のゼロクロス検知回路316に供給し、OFFの時はゼロクロス検知回路316への定電圧Vccの供給をOFFする。すなわち、トランジスタ315はゼロクロス検知回路316への電力停止手段(電力供給手段)として機能する。
[電源ユニットの回路動作]
図4に、商用交流電源201の交流電圧Vacが正常、すなわち定格電圧内の時の各部の電圧波形を示す。図4(a)は、商用交流電源201のNeutralラインを基準とした交流電圧Vacの波形を示しており、交流電圧Vac×√2をピークとする正弦波となる。図4(b)は電圧Vdcを示し、交流電圧Vacによりコンデンサ304が充電されるため、そのピークはほぼ交流電圧Vac×√2と等しくなる。その一方で、制御電源部121、駆動電源部122により電力消費がされる為、電圧Vdcは低下する。よって図4(b)に示す様に、正弦波に同期して上下動を繰り返す波形となる。図4(b)に、併せて電圧Vdc(Zon)、電圧Vdc(Zoff)、電圧Vdc(Poff)、電圧Vdc(Soff)を示す。本実施例では、以下の式(8)の様な大小関係であるものとする。通常動作時、電圧Vdcの波形は、電圧Vdc(Zon)、及び電圧Vdc(Zoff)よりも高い(大きい)値になっている。
Vdc(Zon)>Vdc(Zoff)>Vdc(Poff)>Vdc(Soff)
‥‥(8)
ゼロクロス検知回路316は、商用交流電源201の交流電圧Vacがほぼゼロとなるゼロクロスのタイミングで、2次側ゼロクロス検知信号をHighレベル/Lowレベルに切り替え、2次側の制御部123にゼロクロスのタイミングを報知する。抵抗320、抵抗321は、NeutralラインとDCLラインの間に直列に接続されており、DCLラインを基準としてNeutralラインの電圧を分圧する回路である。分圧された電圧Veは、コンデンサ322で不要なノイズを除去された後、トランジスタ319のベースに入力される。この時の電圧Veは、トランジスタ319のベース−エミッタ間の電圧によりクランプされ、図4(c)に示す波形になる。トランジスタ319のコレクタ、及びフォトカプラ318の1次側のLEDには、トランジスタ315のコレクタから抵抗317を介して定電圧Vccが供給/遮断される。交流電圧Vacが定格内で正常な場合は電圧Vdcが電圧Vdc(Zon)を上回っている為、トランジスタ315がONされ、定電圧Vccが供給される。
ゼロクロス検知回路316に定電圧Vccが供給されている時、電圧Veがトランジスタ319の閾値電圧を越えると、トランジスタ319はONし、フォトカプラ318の1次側LEDを消灯させる。するとフォトカプラ318の2次側フォトトランジスタがOFFし、抵抗323によって3.3Vでプルアップされたゼロクロス検知信号はHighレベルとなる(図4(d))。また、電圧Veがトランジスタ319の閾値電圧より低下すると、トランジスタ319がOFFし、フォトカプラ318の1次側LEDを点灯させる。するとフォトカプラ318の2次側フォトトランジスタがONし、ゼロクロス検知信号はLowレベルとなる(図4(d))。この様に、ゼロクロス検知信号は、交流電圧VacのゼロクロスのタイミングでHighレベルとLowレベルを交互に繰り返す信号となる(図4(d))。
もし交流電圧Vacが定格値より低下し、更に電圧Vdcが電圧Vdc(Zoff)より低下すると、トランジスタ315がOFFとなり(Vdc<Vdc(Zoff))、ゼロクロス検知回路316に電圧が供給されない。従って、フォトカプラ318の1次側LEDがONすることは無く、2次側フォトトランジスタは常にOFF状態になる。よって3.3Vで抵抗323によってプルアップされたゼロクロス検知信号は常にHighレベルとなる。ただし、交流電圧Vacが更に低下し、制御電源部121が動作を停止した場合(Vdc<Vdc(Soff))は3.3Vがゼロとなり、ゼロクロス検知信号はLowレベルとなる。
制御部123は、ゼロクロス検知信号を監視しており、ゼロクロス検知信号がHighレベルとLowレベルの信号を周期的に出力しているかを監視している。周期的な信号が商用交流電源201の周波数に対応する様に動作していれば、交流電圧Vacが正常状態であると判断する。一方、商用交流電源201の周波数に対して異なるタイミングでHighレベル/Lowレベルに変化した場合や、ゼロクロス検知信号がHighレベルを維持したまま変化しない場合は、交流電圧Vacが低電圧等の異常状態であると判断する。
次に商用交流電源201に異常が生じた場合の動作について説明する。図5は、異常状態として交流電圧Vacが徐々に低下して行く場合(図5(a))の各部の電圧波形を示している。この図5(a)の様に交流電圧Vacが徐々に低下する現象はブラウンアウトと呼ばれる。この場合、電圧Vdcは、図5(b)の様に、交流電圧Vacに同期して上下動を繰り返しながら低下して行く。そして電圧Vdcは、タイミング501でVdc(Zoff)より低下し、その後Vdc(Zon)を超えること無く低下する。しかしながら、電圧Veは、図5(c)に示す通り波形に大きな変化は無く、交流電圧Vacのゼロクロスのタイミングに応じてHighレベルとLowレベルを交互に繰り返している。一方、ゼロクロス検知回路316は、電圧Vdcが電圧Vdc(Zoff)を下回るタイミング501でトランジスタ315がOFFになって定電圧Vccが遮断される。従って、501のタイミング以降、ゼロクロス検知信号はHighレベルを維持した状態となる。
制御部123はゼロクロス検知信号の周波数(周期)がタイミング501で変化したことを検知し、ブラウンアウト等による電圧低下の異常が生じたと判断し、直ちに駆動ユニット206や高圧電源205等の動作を停止する。更に制御部123は、駆動電源ON/OFF信号をOFF状態にすることで駆動電源部122の動作を停止する。駆動電源部122の動作を停止すると、コンデンサ304からの電力消費が制御電源部121のみになり、501のタイミング以降は、電圧Vdcの低下を最小限に抑える事が出来る。そして、制御部123は、画像コントローラ131に商用交流電源201に異常が発生したことを報知し、制御部123のレジスタ等に保持されている処理中のデータを不揮発性メモリ202に退避する。一方画像コントローラ131における画像制御部203は、HDD204やRAM等に展開中の画像データやプリント動作途中の画像データ、その他のデータをHDD204に退避する。そして、画像制御部203は、HDD204へのデータアクセスを終了すると共にHDD204内のヘッド(不図示)を退避する。そして、制御部123及び画像制御部203は、電圧VdcがVdc(Soff)まで低下する前にデータ及びHDD204内のヘッドの退避動作を終了し、データ及びHDD204を保護する。以上、画像制御部123及び画像コントローラ131が行うデータやHDD204の保護動作を、以後、一連のデータの退避動作と称する。ここで、制御部123は、タイミング501で商用交流電源201が異常であることを検知した後、交流電圧の異常と判断する迄、所定時間はゼロクロス検知信号の監視を継続しても良い。そして、最初に交流電圧異常を検知してから、所定時間経過した後も、継続してゼロクロス周期に異常がある場合、商用交流電源201の異常と判断し、上記と同様一連の退避動作を行う。この様に制御することによりノイズ等の瞬時的な波形変化に対して過敏に反応することが無くなる。この場合、一連の退避動作に必要な時間、制御電源部121の動作を継続する事が必要になる。また、交流電圧Vacが停電になった場合は、電圧Veが直ちにLowレベルとなり、電圧Vdcが電圧Vdc(Zoff)を下回るまでゼロクロス検知信号がLowレベルとなる為、制御部123は直ちに停電を検知することが出来る。
次に、図6を用いて、交流電圧Vacが少し低下した後、停電した場合について説明する。交流電圧Vacは、図6(a)の様に、わずかに低下した後、タイミング601で電圧がゼロになっており停電した状態である。電圧Vdcは、図6(b)の様に、タイミング601まで、交流電圧Vacに従って上下動を繰り返す。そしてタイミング601で交流電圧Vacがゼロになると、交流電圧Vacによるコンデンサ304への充電をしなくなる。そのため、電圧Vdcはタイミング601以降(その直前位相のピーク以降)、低下し続ける。電圧Veは、図6(c)の様に、タイミング601まで交流電圧Vacに従ってHighレベルとLowレベルを繰り返し、タイミング601以降はLowレベルが維持されることになる。図6(d)のゼロクロス検知信号は、タイミング601までは交流電圧Vacに従ってHighレベルとLowレベルを繰り返す。そして、タイミング601で交流電圧Vacはゼロになるものの、電圧VeはLowレベルの位相にあるので、ゼロクロス検知信号はそのままLowレベルを継続する。その後、電圧Vdcが低下し、タイミング602で電圧Vdc(Zoff)を下回り、ゼロクロス検知信号はHighレベルとなる。そして、その後電圧Vdcが電圧Vdc(Soff)に低下するまでHighレベルを継続する。そして、電圧Vdcが電圧Vdc(Soff)よりも低下するタイミング604で制御電源部121が動作を停止し、ゼロクロス検知信号もLowレベルになる。
制御部123は、交流電圧Vacがゼロになるタイミング601では、ゼロクロス検知信号が変化しないので、異常を検知出来ない。その後、タイミング602でゼロクロス検知信号がHighレベルに変化することを検知する。そして、基準の周期であるタイミング603よりもHighレベルになるタイミングが早いため、交流電圧Vacに異常が生じたと判断し、直ちにプリント等の動作を停止する。そして動作を停止すると共に駆動電源ON/OFF信号をOFF状態にして、駆動電源部122の動作を停止する。駆動電源部122の動作を停止することにより、図6(b)に示す様に、タイミング602以降、電圧Vdcの低下スピードは緩やかになる。そして制御電源部121が動作を継続している間に制御部123及び画像コントローラ131は一連の退避動作を行う。その後604のタイミングで電圧VdcはVdc(Soff)を下回るので、制御電源部121が動作出来なくなり、出力を停止する。よってゼロクロス検知信号もLowレベルになる。
なお、本実施例では、直ちにプリント等の動作を停止しているが、電圧Vdc(Zoff)と電圧Vdc(Poff)の間に電圧差がある事を利用して、後続のプリント開始動作を停止し、プリント中の動作を終えてから動作を停止する様にしても良い。また、実施例では、プリント等の動作を停止した後、駆動電源部122をOFFしているが、プリント等の動作を停止するだけでも良い。更に上記では、プリント等の動作を停止した後に駆動電源部122をOFFしているが、プリント等の動作停止前に駆動電源部122をOFFしても良いし、プリント等の動作停止を行わないで駆動電源部122をOFFするだけでも良い。
次に図7を用いて、交流電圧Vacが低い状態、すなわち電圧Vdcが電圧Vdc(Son)、電圧Vdc(Soff)よりも低く、本体101及び電源ユニット120が停止した状態から交流電圧Vacが徐々に上昇する場合の動作について説明する。図7(a)の様に、交流電圧Vacが徐々に上昇した場合、図7(b)の様に電圧Vdcも上下動を繰り返しながら上昇する。電圧Veは、図7(c)の通り、交流電圧Vacのゼロクロス周期に従ってHighレベルとLowレベルを繰り返す。そして、タイミング701で電圧Vdcは電圧Vdc(Son)を上回り(Vdc>Vdc(Son))、制御電源部121が動作を開始するため、図7(d)の様にゼロクロス検知信号がLowレベルからHighレベルに変化する。タイミング701以降は電圧Vdcが電圧Vdc(Soff)より低くなることは無い、そして、タイミング702で電圧Vdcが電圧Vdc(Zon)より高くなる(Vdc>Vdc(Zon))まで、ゼロクロス検知信号はHighレベルを維持する。そして、タイミング702で電圧Vdcは電圧Vdc(Zon)より高くなり(Vdc>Vdc(Zon))、トランジスタ315がONになって定電圧Vccが供給される為、ゼロクロス検知信号は動作を開始する。タイミング702では電圧VeがLowレベルなので、ゼロクロス検知信号もLowレベルとなり、図7(d)の様になる。そしてタイミング702より後ではゼロクロス検知信号が正しい周波数(周期)で動作する。ただし、タイミング703まではゼロクロス検知信号の周波数(周期)は正しく検知されない。従って、制御部123はタイミング703以降でゼロクロス周期が正常と判断し、立上げ動作を開始する。
図8に、本体101の電源ON時のフローチャートを示す。本体101の不図示の電源スイッチがONされると(S101)、制御部123が起動する(S102)。その後、制御部123は、ゼロクロス検知信号を監視し、ゼロクロス検知信号の周期が正常か否かを判断する(S103)。もし、ゼロクロス検知信号の周期が正常範囲でない場合、商用交流電源201の交流電圧Vacに異常があると判断し、そのままゼロクロス検知信号の周期の監視を継続する(S103)。周期が正常であった場合(S103)、制御部123は、駆動電源ON/OFF信号をON状態にして駆動電源部122を起動する(S104)。そして制御部123は不揮発性メモリ202へのアクセスを開始すると共に、画像コントローラ131の起動を許可し、画像コントローラ131はHDD204へのアクセスを開始する(S105)。その後、本体101の所定のイニシャル動作を行う(S106)。すなわち、搬送モータの回転動作、作像系の高圧電圧の印加動作、定着器の温調動作等の所定のウォームアップ動作を行って、プリント動作のための準備を行い(S106)、スタンバイ状態に移行する(S107)。
図9に、本体101の動作時のフローチャートを示す。動作時とは印刷動作が可能なスタンバイ動作、また、印刷動作を実行中のプリント動作のいずれかの動作状態である。エンジンコントローラ123は、本体101のスタンバイ動作又はプリント動作の制御を行いながら(S202)、常にゼロクロス検知信号を監視して、ゼロクロス信号の周期が正常か否かを判断する(S203)。ここで、周期が正常範囲を外れて異常と判断された場合(S203)、制御部123は、本体101の駆動ユニット206や高圧電源205等の動作を停止する(S204)。そして、駆動電源ON/OFF信号をOFF状態にして駆動電源部122の動作も停止する(S205)。そして駆動電源部122の停止と共に、画像コントローラ131に商用交流電源201の異常を報知する。その後、制御部123及び画像コントローラ131は一連のデータの退避動作を行う(S206)。そして、制御部123は引続きゼロクロス信号の周期を監視し(S207)、周期が異常の状態を継続していたら(S207)、不図示のオペレーションパネル等に異常を報知し(S209)、周期の監視を継続する(S207〜S209)。その後、周期が正常と判断することが出来れば(S207)、再び本体101の起動を開始するため(S208)、図8のS101へ移行する。
以上の様に、本実施例によれば、商用交流電源の異常として停電、及び、ブラウンアウトの様な、画像形成装置が正常動作を継続できない低電圧であっても、簡易な構成で制御部123が正しく商用交流電源の異常を検知することができる。そして、異常を検知した場合には必要なデータを記憶装置に退避すると共に記憶装置(例えばHDD内のヘッドを退避することで)の破損を防ぐことが可能となる。
また、本実施例では、交流電圧Vacを検知する代わりに、整流後の電圧Vdcを検知している。この様に構成すれば、制御電源部121及び駆動電源部122が動作を継続するのに必要な電圧Vdcか否かを直接検知することができるため、より正確に、各電源部の停止に備えることが可能となる。
ただし、整流前の交流電圧Vacを検知しても良い。また、電源で使用しているトランスや、電圧検知のための専用のトランス等の2次側にフォワード巻線を構成して、その巻線に誘起する電圧を検知しても良い。又は、その他間接的に電圧Vdcを予測できる手段により検知しても良い。
また、本実施例では、式(1)〜式(8)を満たす場合について説明した。しかしながら、これらは一例であり、少なくとも下記の式(9)を満足していれば良く、その他の電圧Vdcの大小関係が逆転していても良い。すなわち、制御電源部121が動作を停止する電圧Vdc(Soff)よりも高い電圧Vdc(Zoff)でゼロクロス検知信号を停止させればよく、一連のデータの退避動作のための時間を確保することができれば良い。
Vdc(Zoff)>Vdc(Soff) ‥‥(9)
[実施例2]
次に、図10を用いて、実施例2について説明する。主な構成及び動作は、実施例1にて説明しているため、説明を省略する。実施例1では、制御電源部121、駆動電源部122を各々独立した電源部として構成した。本実施例は、主な電源部を駆動電源部1018のみとして2次側に24Vを出力させ、制御電源部1019を2次側に設けて24Vを3.3Vに変換するDC−DCコンバータとして配置する構成である。また、駆動電源部1018をデジタル制御により動作するデジタル電源とする。また、電圧Vdcのレベルを判断するに当たり、電圧Vdcでは無く、トランス1001の補助巻線1003に現れる電圧Vfを監視する。以下、詳しく説明する。
図10の駆動電源部1018は、デジタル電源制御部1005によって2次側に24Vを出力する様制御される。デジタル電源制御部1005は、抵抗1010を介してトランジスタ1009をON/OFF制御することにより、トランス1001のメイン巻線1002への電流を制御する。トランス1001の2次側の巻線1004に出力された電圧は、ダイオード1015、コンデンサ1016によって平滑化され、24Vとして、FET1017を介して本体101の駆動ユニット206や、高圧電源205等に出力される。なお、FET1017は、例えば制御部123からの指示に応じてON/OFFすることができる、FET1017をオフすれば、駆動ユニット206な高圧電源205への電力供給を停止することができ、消費電力を低減することができる。
補助巻線1003は、メイン巻線1002に対してフォワード巻に巻かれており、メイン巻線1002に印加される電圧が、メイン巻線1002と補助巻線1003の巻数比に応じた電圧として出力される。そして、補助巻線1003から出力された電圧は、ダイオード1012、コンデンサ1013によって平滑化された結果、電圧Vfとしてデジタル電源制御部1005やゼロクロス検知回路316等の回路にて使用される。また、電圧Vfを、電圧Vdcの代わりに監視する事により、間接的に電圧Vdcを検知することが可能である。すなわち、電圧Vfを抵抗1006、抵抗1007で分圧し、デジタル電源制御部1005のアナログ−デジタル変換入力端子(A/D入力端子ともいう)に入力して、分圧した電圧をA/D変換してデジタル値として検知する。そして実施例1と同様、検知した結果に元付いてゼロクロス検知回路316の動作開始の電圧に達したか、また、動作停止の電圧まで低下したか、を判断する。なお、抵抗1008はデジタル電源制御部1005を起動させるための起動抵抗であり、抵抗1011は、トランジスタ1009がONの時にメイン巻線1002に流れる電流を検知するための電流検出抵抗である。また、DC−DCコンバータである制御電源部1019には、常時24Vが供給される一方で、駆動ユニット206や、高圧電源205等へはFET1017を介して24Vが供給され、制御部123によってFET1017がON/OFFされる。なお、DC−DCコンバータである制御電源部1019は、入力電圧が24Vから低下し、約3.3Vになるまで、出力3.3Vを継続することが可能である。
デジタル電源制御部1005のA/D入力端子には、電圧Vdcに対応した電圧が入力され、デジタル電源制御部1005によって次の4つの電圧と比較判断される。1.駆動電源部1018が起動するのに必要な電圧Vdc(Pon)。2.動作を停止する電圧Vdc(Poff)。3.ゼロクロス検知回路316の動作を開始させる電圧Vdc(Zon)。4.ゼロクロス検知回路316の動作を停止させる電圧Vdc(Zoff)・ここでは、実施例1で記載した、式(6)、式(7)の関係にある。
図11に、交流電圧Vacが徐々に低下した場合、また、少し低下した後、停電に至る場合の各部の電圧波形を示す。各波形、図11(a)〜(f)の破線波形(1101、1103、1105、1107、1109、1111)は交流電圧Vacが徐々に低下した場合を示している。実線波形(1102、1104、1106、1108、1110、1112)は交流電圧Vacが徐々に低下した後、タイミング1114で交流電圧Vacがゼロになった場合を示している。
まず、実線波形について説明する。図11(b)の電圧Vdcは、タイミング1115で電圧Vdc(Zoff)より低下するが、図11(d)の通り、ゼロクロス検知信号はHighレベルのままとなる。そしてタイミング1116で制御部123がゼロクロス検知信号の異常を検知してFET1017をOFFにする。よってタイミング1116から電圧Vdcの下降は緩やかになる。そしてタイミング1117で電圧Vdc(Poff)よりも低下し、駆動電源部1018の出力電圧は、図11(e)の実線波形1110の様に電圧24Vから低下を始める。そしてタイミング1118で電圧は3.3Vよりも低下し、図11(f)のDC−DCコンバータである制御電源部1019の出力電圧(実線波形1112)も低下を始める。更に図11(d)のゼロクロス検知信号(実線波形1108)も同様に低下する。ここで、電圧Vdcが電圧Vdc(Zoff)を下回るタイミング1115から、DC−DCコンバータである制御電源部1019の出力電圧が3.3Vを下回るタイミング1118までの時間を時間Taとする。
破線波形の場合は、コンデンサ304への充電が継続し、電圧Vdcが電圧Vdc(Poff)を下回るタイミングが1117から1119に遅延する。その後の動きは、上記実線波形の場合と同様である。ここで、時間Ta同様、電圧Vdcが電圧Vdc(Zoff)を下回るタイミング1115から、DC−DCコンバータである制御電源部1019の出力電圧が3.3Vを下回るタイミング1119までの時間を時間Tbとする。図11の様に、駆動電源部1018が出力を停止しても、DC−DCコンバータである制御電源部1019の出力電圧は、しばらく電圧3.3Vを保持出来る。例えば、コンデンサ1016の容量を増やす事により、電圧3.3Vの保持時間を延長することが出来る。
この様に、ゼロクロス検知信号が停止してからDC−DCコンバータである制御電源部1019の出力が3.3Vよりも低下するまでの時間Ta及び時間Tbは、交流電圧Vacの低下の仕方や停電のタイミング、本体101の負荷条件等により変化する。ここでは上記Taがこれら条件の中で最も短い時間であるものとする。一連のデータ退避動作を行うのに要する時間をTsとすると、時間Ta及び時間Tsには以下の式(10)を満たす必要がある。
Ta≧Ts ‥‥(10)
よって、上記式(10)を満たす事ができる電圧Vdcを、電圧Vdc(Zoff)として設定する必要がある。
図12に、駆動電源部1018の起動時のフローチャートを示す。なお、本体101の制御部123におけるフローチャートは、図8、図9と同様である。本体101の不図示の電源スイッチがONされると(S101、S301)、電圧Vdcが上昇して抵抗1008を介してデジタル電源制御部1005に電圧が供給されてデジタル電源制御部1005が起動する(S302)。デジタル電源制御部1005は、定期的にトランジスタ1009をON/OFFし、A/D入力端子へ入力される電圧によって電圧Vdcを監視する(S303)。そして電圧Vdcが電圧Vdc(Pon)を越えた事を確認すると(S303)、駆動電源部1018を起動する(S304)。するとDC−DCコンバータである制御電源部1019に24Vが供給され、制御部123に3.3Vが供給されて制御部123が起動する(S102)。その後、デジタル電源制御部1005は、電圧Vdcが電圧Vdc(Poff)を上回っている事を確認し(S305)、もしここで再び電圧Vdc(Poff)を下回った場合は、駆動電源部1018を停止し(S310)、再びS303に戻る。そして、電圧Vdc(Poff)を上回っている場合は(S305)、電圧Vdcが、電圧Vdc(Zon)を越えたか確認する(S306)。もし電圧Vdc(Zon)を越えていない場合は(S306)、再びS305に戻る。電圧Vdc(Zon)を越えた場合は(S306)、トランジスタ315をONし(S307)、ゼロクロス検知回路316を起動させる。すると制御部123はゼロクロス周期が正常であるか否かを判断し(S103)、FET1017をONして(S104)駆動ユニット206や、高圧電源205等へ24Vを供給する。その後制御部123は、イニシャル動作を行い(S105)、スタンバイ状態へ移行する(S106)。その間、デジタル電源制御部1005は、電圧Vdcを監視し、電圧Vdc(Zoff)を上回っているかを判断する(S308)。もし電圧Vdcが電圧Vdc(Zoff)よりも低下した場合(S308)、デジタル電源制御部1005はトランジスタ315をOFFし(S309)、ゼロクロス検知回路316の動作を停止させる。そして再びS305に戻り、電圧Vdcの監視を続ける。一方、制御部123は、図9と同様、本体101の制御を継続し(S202)、ゼロクロス検知信号の周期を監視して(S203)、商用交流電源201の異常を検知することができる。ここで、正常に動作している間にデジタル電源制御部1005が、電圧Vdc(Zoff)よりも低下したと判断すると(S308)、抵抗1014を介してトランジスタ315をOFFする(S309)。これにより、ゼロクロス検知回路316への電圧供給を停止し、ゼロクロス検知信号を常時Highレベルにする。すると制御部123は、ゼロクロス検知信号がHighレベルを維持したままであることを検知し(S203)、交流電圧Vacに異常が生じたと判断し、直ちにプリント等の動作を停止する(S204)。そして、動作の停止と共に、画像コントローラ131に商用交流電源201の異常を報知する。そして制御部123は、FET1017をOFFして(S205)、本体101の駆動ユニット206や、高圧電源205等への24Vの供給を停止する。駆動ユニット206や、高圧電源205等への24Vの供給を停止するころにより、電圧Vdcの低下スピードは緩やかになる。そしてDC−DCコンバータである制御電源部1019が動作を継続している間に、制御部123及び画像コントローラ131は一連のデータの退避動作を行う(S206)。
以上の通り、本実施例によれば、商用交流電源の異常として停電、及び、ブラウンアウトの様な、画像形成装置が正常動作を継続できない低電圧であっても、簡易な構成で制御部123が正しく商用交流電源の異常を検知することができる。そして、異常を検知した場合には必要なデータを記憶装置に退避すると共に記憶装置(例えばHDD内のヘッドを退避することで)の破損を防ぐことが可能となる。