JP6949543B2 - 防錆塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、金属の表面に対して用いられる防錆塗料組成物に関する。
近来、社会インフラの老朽化対策として橋梁、鉄塔などの鋼構造物の塗装メンテナンスが重要視されている。屋外構造物は長期間の暴露により塗膜表面に油、埃、ごみ、ヤニ、その他の各種汚れが付着することに加え、塗膜の劣化腐食により鋼製の基材から生じる錆(赤錆)の発生があり、これらをケレンにより取り除く塗替え塗装が行われている。特に鋼構造物は適切に錆(赤錆)を除去することが重要であるが、ボルト等の接合部や鋼材が組み合わさった角部、あるいは、中空部分は、電動工具が使えずブラシやサンドペーパーなどを用いて手動で錆(赤錆)を除去しなければならないので、作業が非効率になる。そこで、ケレンをせず、塗布するだけで鋼材の表面の赤錆を黒錆に転換させ、鋼構造物改修の省工程に寄与できる水溶性の防錆塗料組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された防錆塗料組成物に含まれるタンニン酸は、その水溶液において還元性リン酸系鉱酸により還元された赤錆とキレート反応し、最終的に黒錆を形成する。黒錆は赤錆と比較して粒子が小さく安定である。これにより、鋼材の表面に防錆皮膜を形成できる。
また、ジンクリッチペイントの鉄に対する防食効果は古くから知られており、亜鉛を高濃度で含む防食塗料組成物が使用されている(例えば特許文献2参照)。特許文献2に記載された防食塗料組成物に含まれる還元剤は、ジンクリッチペイント塗装後の鋼材表面に生じた赤錆を還元し、亜鉛粉末と鋼材との間に通電性を付与する。これにより、防食性を長時間発揮できる防食皮膜を形成できる。
一方で、寒冷地から高温地までの屋外環境に広く対応できる溶剤系塗料組成物は、VOC規制や作業環境に対する観点から、環境配慮志向に対応した弱溶剤に可溶な塗料組成物への需要が高まっている。
特開2011−168757号公報 特開2014−169406号公報
しかしながら、タンニン酸は、例えばキシレン等の強溶剤に加えターペン等の弱溶剤などに対しても十分に分散しない。そのため、タンニン酸を含んだ防錆塗料組成物は、塗料の安定性が劣り、防錆皮膜を形成できない場合がある。
一方で、特許文献2に記載された技術では、酸化物で鋼材の表面を覆ってしまうと通電性が小さく又はなくなり、ジンクリッチとしての効果(犠牲防食効果)がなくなる。そのため、特許文献2に記載された技術は、鋼材表面に防錆皮膜を形成する技術とは抜本的に思想が異なる。
本発明は、溶剤に対しての安定性が優れ、防錆皮膜を形成できる防錆塗料組成物を提供することを目的とする。
本発明は、金属の表面に対して用いられる防錆塗料組成物であって、エポキシ樹脂(a)と、キレート化剤(c)とを含み、前記キレート化剤(c)は、キレート金属塩、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、前記キレート化剤(c)の合計含有量は、前記エポキシ樹脂(a)の固形分に対し、0.1〜20質量%である防錆塗料組成物に関する。
また、ポリアミン(b)を更に含むことが好ましい。
また、弱溶剤を更に含むことが好ましい。
また、前記キレート化剤(c)は、アミノカルボン酸系キレート剤であることが好ましい。
本発明によれば、溶剤に対しての安定性が優れ、防錆皮膜を形成できる防錆塗料組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されない。
本実施形態に係る防錆塗料組成物は、金属の表面に対して用いられる。なお、上記防錆塗料組成物は、鋼材に限定されず様々な金属の表面の錆を安定化するために用いることができるが、以下の説明においては、上記防錆塗料組成物が鋼材の表面に対して用いられる例について説明する。
上記防錆塗料組成物は、鋼材の表面に防錆皮膜を形成するために用いられる。なお、本明細書において防錆とは、鋼材の表面に析出している錆(例えば、赤錆)を安定化すること、錆(例えば、赤錆)の析出を予防することの両方の意味を含む。
上記防錆塗料組成物は、金属の表面に対して用いられ、主剤(I)からなる一液型、又は主剤(I)及び硬化剤(II)からなる二液型の塗料組成物である。また、防錆塗料組成物は、キレート化剤(c)を含む。
主剤(I)は、エポキシ樹脂(a)を含み、硬化剤(II)は、ポリアミン(b)を含む。主剤(I)は、更に顔料やシランカップリング剤を含むことが好ましい。また、溶剤としては、ミネラルスピリット等の弱溶剤が用いられることが好ましい。
<エポキシ樹脂(a)>
本実施形態に係る防錆塗料組成物は、エポキシ樹脂(a)を含む。そのため、ミネラルスピリット等の弱溶剤にも溶解しやすく安定した防錆塗料組成物が得られる。また、ブラスト鋼板、ショップ塗装鋼板、有機ジンク塗装鋼板等の基材に対する付着性を改善することもできる。
上記エポキシ樹脂(a)としては、例えば、いわゆる純エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、又はこれらの混合物等が挙げられる。
純エポキシ樹脂としては、例えば、D.E.R.671−X75(ダウケミカル日本株式会社製)が挙げられる。変性エポキシ樹脂としては、アラキード9201N(荒川化学工業株式会社製)、ターペン可溶変性エポキシ樹脂であるエピクロン 5920−70MS(DIC社製)が挙げられる。
<ポリアミン(b)>
ポリアミン(b)は、上記防錆塗料組成物が二液型の塗料組成物である場合の硬化剤(II)の主成分である。ポリアミン(b)は、特に限定されないが、例えば、脂環式ポリアミン(b−1)、脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)、アルキルフェノール(b−3)を含んでもよい。また、ポリアミンは(b)はミネラルスピリット等の弱溶剤に可溶な構造に変性されてもよい。
脂環式ポリアミン(b−1)としては、例えば、1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルアミン、4,4’−イソプロピリデンビスシクロヘキシルアミン、ノルボルナジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン(MDA)等が挙げられる。
脂環式ポリアミンを含まないポリアミン(b−2)としては、例えば、脂肪族系アミン、芳香族系アミン、複素環系アミン等が挙げられる。
脂肪族系アミンとしては、例えば、アルキレンポリアミン、ポリアルキレンポリアミン、その他の脂肪族系アミン等が挙げられる。
アルキレンポリアミンとしては、例えば、HN−R−NH(式中、Rは、1個以上の炭素数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい炭素数1〜12の二価の炭化水素基である。)で表されるポリアミン化合物が挙げられる。より具体的には、メチレンジアミン、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等が挙げられる。
ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサメチレンテトラミン等が挙げられる。
その他の脂肪族系アミンとしては、例えば、テトラ(アミノメチル)メタン、テトラキス(2−アミノエチルアミノメチル)メタン、1,3−ビス(2’−アミノエチルアミノ)プロパン、トリエチレン−ビス(トリメチレン)ヘキサミン、ビス(3−アミノエチル)アミン、ビスヘキサメチレントリアミン[HN(CH)6NH(CH)6NH]等が挙げられる。
芳香族系アミンとしては、例えば、ビス(アミノアルキル)ベンゼン、ビス(アミノアルキル)ナフタレン、ベンゼン環に結合した2個以上の1級アミノ基を有する芳香族ポリアミン化合物、及びその他の芳香族系ポリアミン化合物等が挙げられる。芳香族系アミンは特に限定されるものではないが、より具体的には、ビス(シアノエチル)ジエチレントリアミン、o−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン(MXDA)、p−キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、ナフチレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジエチルフェニルメタン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノビフェニル、2,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、ビス(アミノメチル)ナフタレン、ビス(アミノエチル)ナフタレン等が挙げられる。
複素環系アミンとしては、例えば、N−メチルピペラジン[CH−N(CHCH)2NH]、モルホリン[HN(CHCH)2O]、1,4−ビス−(8−アミノプロピル)−ピペラジン、ピペラジン−1,4−ジアザシクロヘプタン、1−(2’−アミノエチルピペラジン)、1−[2’−(2’’−アミノエチルアミノ)エチル]ピペラジン、1,11−ジアザシクロエイコサン、1,15−ジアザシクロオクタコサン等が挙げられる。
アルキルフェノール(b−3)としては、例えば、メチルフェノール(o,m,p−クレゾール)、エチルフェノール、ブチルフェノール、ターシャリブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、ジノニルフェノール等の1価フェノールが挙げられる。
アルキルフェノール(b−3)のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、1〜5であることがより好ましい。
<キレート化剤(c)>
本実施形態に係るキレート化剤(c)は、鋼材表面の赤錆に含まれる3価の鉄イオン(Fe3+)とキレート反応し、黒錆(Fe)を形成する。これにより、防錆効果が高い(特に、鋼材の表面に析出している錆(赤錆)を安定化する効果が高い)皮膜を形成できる。なお、本明細書において、上記キレート化剤(c)は、タンニン酸やその金属塩を含まないものとして説明する。
上記キレート化剤(c)の合計含有量は、上記エポキシ樹脂(a)の固形分に対し0.1〜20質量%であり、より好ましくは、1〜15質量%である。20質量%を超えると、塗料の安定性が劣る場合がある。また、0.1質量%未満であると、キレート化剤(c)が錆の安定化に十分に寄与しない場合がある。
上記キレート化剤(c)は、キレート金属塩、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤からなる群より選ばれる少なくとも一種である。この中でもアミノカルボン酸系キレート剤であることが特に好ましい。
キレート金属塩としては、例えば、EDTA金属塩、DTPA金属塩、その他の金属塩(例えば、PDTA金属塩)が挙げられる。
アミノカルボン酸系キレート剤としては、例えば、EDTA、NTA、DTPA、HEDTA、TTHA、PDTA、DPTA−OH、HIDA、DHEG、GEDTA、CMGA、EDDS等が挙げられる。
ホスホン酸系キレート剤としては、例えば、HEDP、NTMP、PBTC、EDTMP等が挙げられる。
<添加剤>
本実施形態に係る防錆塗料組成物の主剤(I)には、顔料、シランカップリング剤、その他の添加剤が含有されてもよい。
顔料としては、体質顔料、着色顔料、防錆顔料のうちの1種のみが用いられてもよく、2種以上を用いてもよい。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、石膏、雲母状酸化鉄(MIO)、ガラスフレーク、スゾライト・マイカ、クラライト・マイカ等が挙げられる。石膏を用いる場合には、焼石膏(CaSO・1/2HO)を含有させることで、防錆塗膜の耐水性、防食性をより向上させることができる。具体的には、商品名で「PH00」(焼石膏、丸石石膏社製)等を用いることができる。焼石膏を用いる場合、その添加量は、防錆塗料組成物の固形分中、2〜30質量%とすることが好ましい。2質量%未満であると、効果が認められず、30質量%を超えると、防錆塗膜の表面への析出、白化現象が生じ、防錆塗膜の外観異常をきたす。
着色顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック、鉛白、黒鉛、硫化亜鉛、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、キナクリドン類、アゾ系赤・黄色顔料等が挙げられる。
防錆顔料としては、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、亜鉛末(Zn)、リン酸亜鉛、アルミ粉(Al)等が挙げられる。
防錆顔料により、防錆効果が高い(特に、鋼材の表面に錆(赤錆)の析出を予防する効果が高い)皮膜を形成できる。
シランカップリング剤は、有機ポリマー(硬化樹脂等)に対して反応性及び/又は親和性を示す有機官能基と、無機系材料(防錆塗料組成物に含有される顔料等)に対して反応性及び/又は親和性を示す有機官能基とを併せ持つ化合物である。シランカップリング剤を用いることにより、有機ポリマーと無機系材料とが接する界面の接着性等を向上させることが可能となる。また、例えば、リメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基を有する化合物を用いることにより、防錆塗膜の防食性や基材との付着性を向上させることができる。
本発明においては、シランカップリング剤として、1種又は2種以上のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤は、主剤(I)の総質量に対して、0.5〜5質量%の割合で用いられることが好ましい。この割合でシランカップリング剤を用いることにより、防錆塗料組成物から形成される防錆塗膜と基材との付着性や防錆塗膜の耐膨れ性をより優れたものとすることができる。
その他の主剤(I)に対する添加剤としては例えば、併用樹脂、タレ止め・沈降防止剤、色分れ防止剤、消泡・ワキ防止剤、レベリング剤、ツヤ消し剤等が挙げられる。
併用樹脂としては、例えば、石油系樹脂(キシレン樹脂等)、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。これらの併用樹脂を用いることにより、防錆塗膜の物性を改善することができる。
タレ止め・沈降防止剤としては、当該分野において通常用いられるものを用いることができ、例えば、商品名で「ディスパロン 6700」(脂肪族ビスアマイド揺変剤、楠本化成社製)等を好ましく用いることができる。色分れ防止剤としては、例えば、商品名で「ディスパロン 2100」(シリコン添加脂肪族系多価カルボン酸、楠本化成社製)等を好ましく用いることができる。消泡・ワキ防止剤としては、例えば、商品名で「ディスパロン 1950」(特殊ビニル系重合物、楠本化成社製)等を好ましく用いることができる。
その他の主剤(I)に対する添加剤として、塗料の安定性に影響のない範囲でタンニン酸ナトリウムを用いることもできる。タンニン酸ナトリウムにより、防錆効果が高い(特に、鋼材の表面に析出している錆(赤錆)を安定化する効果が高い)皮膜を形成できる。
<溶剤>
本実施形態に係る防錆塗料組成物は、溶剤として弱溶剤を含むことが好ましい。防錆塗料組成物が二液型の防錆塗料組成物の場合、主剤(I)又は硬化剤(II)の少なくともいずれか一方の溶剤として弱溶剤が用いられることが好ましく、主剤(I)及び硬化剤(II)の溶剤として弱溶剤が用いられてもよい。
弱溶剤とは、脂肪族炭化水素系溶剤であり、ミネラルスピリットやターペン等に代表されるような高引火点、高沸点、低有害性であるものをいう。より具体的な弱溶剤としては、ミネラルスピリット、ホワイトスピリット、ミネラルターペン、イソパラフィン、ソルベント灯油、VM&Pナフサ、ソルベントナフサ等が挙げられる。
弱溶剤の市販品としては、いずれも商品名で「ソルベッソ100」、「ソルベッソ150」、「ソルベッソ200」(いずれもエッソ石油社製)や、いずれも商品名で「スワゾール310」、「スワゾール1000」、「スワゾール1500」(いずれもコスモ石油社製)等が挙げられる。この他、単成分溶剤としてはn−ブタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソノナン、n−デカン、n−ドデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロブタン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
主剤(I)の溶剤としての弱溶剤は、主剤(I)の総質量に対して、5〜50質量%含まれることが好ましい。弱溶剤が5〜50質量%含まれることにより、塗り重ね性を向上させる効果、臭気を低減させる効果、外観異常(ちぢみ)を抑制させる効果を十分に得ることができる。
上記防錆塗料組成物が主剤(I)及び硬化剤(II)からなる二液型の塗料組成物である場合、主剤(I)及び硬化剤(II)の調製方法としては、特別の方法を必要とせず、当業者において通常用いられる方法を使用することができる。上記調製方法としては特に限定されず、例えば主剤(I)の調製方法としては、エポキシ樹脂(a)と、キレート化剤(c)、更に必要に応じて上述した顔料、シランカップリング剤、その他の添加剤等のその他の成分を混入し、ディスパー、ボールミル、S.G.ミル、ロールミル等の分散機で混合・分散することにより調製する方法を挙げることができる。
<塗装方法>
本実施形態に係る防錆塗料組成物の塗装は、刷毛、ローラー、スプレー等の一般的な方法により行なうことができる。防錆塗料組成物が二液型の防錆塗料組成物である場合、使用する直前に、主剤(I)と硬化剤(II)とを混合することにより得られる塗料を、上記方法を用いて塗布する。かかる主剤(I)と硬化剤(II)とを混合することにより得られる塗料の塗装は、主剤(I)と硬化剤(II)との混合後、可使時間内に行なう。本実施形態に係る防錆塗料組成物は、典型的には、30分〜8時間程度の可使時間を示す。溶剤の量によっては、2〜8時間程度を示す。塗装を行なった後は、エポキシ基−アミノ基間の硬化反応やシランカップリング剤によるカップリング反応等が進行することによって硬化反応が進行するため、低温硬化性が優れた防錆塗料組成物を得ることができる。
<被塗物>
被塗物(本実施形態に係る防錆塗料組成物が塗装される対象物)としては、防錆を必要とする鋼材(金属)であれば特に限定されるものではないが、例えば、船舶、車両(例えば、鉄道車両、大型車両)、航空機、橋梁、海上構築物、プラント、タンク(例えば、石油タンク)、パイプ、鋼管、鋳鉄管等、又は鋼製構造物、建築物等の鋼材(金属)が挙げられる。また、旧塗膜の残る被塗物に対して適用された場合にも、防錆塗料組成物は良好な防錆皮膜を形成できる。
被塗物の表面は、予めブラスト処理されたものであってもよく、さび止め塗装、ショップ塗装、有機又は無機ジンクプライマー塗装が施されたものであってもよい。
以上説明したように、本実施形態における防錆塗料組成物は、金属の表面に対して用いられる防錆塗料組成物であって、エポキシ樹脂(a)と、キレート化剤(c)とを含み、キレート化剤(c)は、キレート金属塩、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、キレート化剤(c)の合計含有量は、エポキシ樹脂(a)の固形分に対し、0.1〜20質量%である。これにより、溶剤に対しての安定性が優れ、防錆性が高い皮膜(防錆皮膜)を形成できる。
また、防錆塗料組成物は、ポリアミン(b)を更に含む。これにより、防錆塗料組成物を二液型の塗料組成物として用いることができる。
また、防錆塗料組成物は、弱溶剤を更に含む。これにより、環境への負荷を低減できる。
また、キレート化剤(c)は、アミノカルボン酸系キレート剤である。そのため、キレート化剤(c)は、鋼材表面の赤錆に含まれる3価の鉄イオン(Fe3+)と十分にキレート反応し、黒錆(Fe)を形成する。これにより、より防錆効果が高い皮膜(防錆皮膜)を形成できる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
例えば、上記防錆塗料組成物は、上記キレート化剤(c)として、タンニン酸やその金属塩を含まない例について説明をしたが、添加剤等としてタンニン酸やその金属塩をとして含んでもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
<実施例1>
エポキシ樹脂(a)としての変性エポキシ樹脂100質量%と、キレート化剤(c)2.5質量%と、防錆顔料40質量%と、体質顔料40質量%と、溶剤200質量%とを混合・分散することにより、実施例1の防錆塗料組成物を得た。
<実施例2〜13>
硬化剤(II)として変性ポリアミドアミンを更に加えたことを除いて実施例1と同様に、表1に示した配合を用いて、実施例2〜13の防錆塗料組成物を得た。
<比較例1、2>
キレート化剤としてタンニン酸ナトリウムを用いたことを除いて実施例1と同様に、表1に示した配合を用いて、比較例1、2の防錆塗料組成物を得た。
<比較例3、4>
キレート化剤(c)を25質量%含むことを除いて実施例1と同様に、表1に示した配合を用いて、比較例1、2の防錆塗料組成物を得た。
なお、表1中の数値は、化成処理剤の各成分の含有量(質量%)を示し、表1中の各成分として以下の材料を用いた。
<エポキシ樹脂>
純エポキシ: D.E.R.671−X75(ダウケミカル日本社製)
ターペン可溶変性エポキシ :エピクロン 5920−70MS(DIC社製)
変性エポキシ:アラキード9201N(荒川化学工業社製)
<硬化剤>
ポリアミンA:バーサミド100XB−65(BASF社製)
ポリアミンB:ラッカマイドB−2300−90MS(DIC社製)
<キレート化剤>
EDTA4Na:Trilon B powder(BASF社製)
HEDP・4Na:キレストPH−214(キレスト株式会社製)
<タンニン酸>
タンニン酸:タンニン酸ナトリウム(富士化学工業製)
<添加剤>
防錆顔料 :CLF−102(トリポリ燐酸アルミニウム亜鉛)(Guangsi Xinjing Sciance&Technology Co.,LTD.)
体質顔料:SP−42(タルク)(富士タルク工業社製)
<溶剤>
強溶剤:キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びイソプロピルアルコールの混合物
弱溶剤:トクソル
<塗料安定性>
各実施例、比較例の防錆塗料組成物を50℃で1か月保管した。塗料の状態を確認し、以下の評価基準で塗料安定性を評価した。結果を表1に示した。
(評価基準)
3:貯蔵時の粘度変化なし
2:粘度変化は有るが実使用可
1:実使用不可(高粘度化、硬沈降)
<塗膜評価>
SS400鋼板(板厚1.6mm)表面をサンドブラスト研磨し、海岸地域にて3か月間曝露した板を錆板として使用した。錆板をマジックロン(登録商標,三共理化学社製)等の手工具を用いて3種ケレンし、試験用の基材とした。当該基材上に、各実施例の防錆塗料組成物の塗布量を算出し、膜厚30μmとなるように刷毛塗り塗装を行った。塗装後の鋼材を23℃にて7日間養生した。これにより、塗膜評価用の各実施例の試験体を得た。なお、塗膜評価用の各比較例の試験体は、各比較例の防錆塗料組成物が実使用不可であったため、得られなかった。
各実施例の試験体を用いて、JIS K5600−7−9のサイクルDに準じて、600サイクルまで複合サイクル試験を実施した。試験体に生じた一般部(試験体の塗膜中で、流れ錆を確認するためにつけた切り込み傷以外の部分)の錆の状態を確認し、JIS K5600−8−3(さびの等級参照)に準じた以下の評価基準で防錆性を評価した。結果を表1に示した。
(評価基準)
3:Ri(degree OF rusting)0
2:Ri1または2
1:Ri3以上
防錆性と同様の試験後、試験体に生じた流れ錆を確認し、以下の評価基準で錆の安定化を評価した。結果を表1に示した。
(評価基準)
3:流れ錆なし(カット部周囲に滞留なし)
2:カット部周囲に滞留あり
1:流れ錆あり
各実施例の試験体を用いて、JIS K5600−7−2に準じた耐湿性試験機により50℃で試験を実施した。2週間後に各実施例の試験体を引き上げ、塗膜の膨れ状態を確認し、JIS K5600−8−2(膨れの等級参照)に準じた以下の評価基準で塗膜の耐水性を評価した。結果を表1に示した。
(評価基準)
3:Ri(degree OF rusting)0
2:Ri1または2
1:Ri3以上
Figure 0006949543
表1に示した塗料安定性の評価から、実施例1〜15と、比較例1〜4とを比較することで、上記キレート化剤(c)の合計含有量がエポキシ樹脂(a)の固形分に対し、0.1〜20質量%であることにより、上記防錆塗料組成物は溶剤に対しての安定性が優れることが確認された。また、表1に示した防錆性の評価から、上記キレート化剤(c)の合計含有量がエポキシ樹脂(a)の固形分に対し、0.1〜20質量%であることにより、上記防錆塗料組成物は、防錆性が高い皮膜(防錆皮膜)を形成できることが確認された。
また、表1に示した錆の安定化の評価結果及び塗膜の耐水性の評価結果から、実施例1、3〜6、8、10〜13、15と、実施例2、7、9、14とを比較することで、上記キレート化剤(c)の合計含有量がエポキシ樹脂(a)の固形分に対し、1〜15質量%であることにより、上記防錆塗料組成物は、十分に金属の表面の錆を安定化することができ、耐水性の良好な防錆皮膜を形成できることが確認された。

Claims (3)

  1. 金属の表面に対して用いられる防錆塗料組成物であって、
    エポキシ樹脂(a)と、ポリアミン(b)と、キレート化剤(c)と、溶剤とを含み、
    前記キレート化剤(c)は、アミノカルボン酸系キレート剤の金属塩、ホスホン酸系キレート剤の金属塩、アミノカルボン酸系キレート剤及びホスホン酸系キレート剤からなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
    前記溶剤は、強溶剤または弱溶剤であり、
    前記強溶剤は、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びイソプロピルアルコールからなる群より選ばれる少なくとも一種であり、
    前記弱溶剤は、脂肪族炭化水素系溶剤であり、
    前記キレート化剤(c)の合計含有量は、前記エポキシ樹脂(a)の固形分に対し、0.1〜20質量%である防錆塗料組成物。
  2. 前記溶剤は、前記弱溶剤である請求項1に記載の防錆塗料組成物。
  3. 前記キレート化剤(c)は、前記アミノカルボン酸系キレート剤の金属塩である請求項1又は2に記載の防錆塗料組成物。
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