JP6948081B2 - エクソソーム回収方法 - Google Patents

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Description

本発明は、間葉系幹細胞からのエクソソームの回収方法に関する。
間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell: MSC)は、間葉組織即ち中胚葉由来の結合組織に存在する、多分化能をもつ幹細胞である。間葉系幹細胞は未分化状態で炎症抑制効果、細胞増殖促進効果、血管新生促進効果等を持つサイトカイン・増殖因子を分泌し、パラクラインを介して組織修復を支持することも明らかにされている(非特許文献1)。未分化間葉系幹細胞の分泌する分子群は特定の限られた疾患に限らず、さまざまな疾患に対して治療効果を持つ。間葉系幹細胞を修復したい組織の細胞へと分化誘導することなく、しかも細胞に対して遺伝子組み換え等の人為的な操作を一切加えることなく、ナイーブな間葉系幹細胞を用いることで組織再生が可能となる。
エクソソームは、タンパク質、脂質及びRNAを細胞間で移動させることにより細胞間の情報伝達を媒介することができる(非特許文献2、3)。エクソソームに包含されるタンパク質、microRNA、mRNA等の分子は、由来する細胞と類似の機能が備わっていることが判明している。そのため、幅広い疾患に対する細胞治療のソースとして注目されている間葉系幹細胞が分泌するエクソソームには、MSCと同様の治療効果が備わっていると期待される(非特許文献4)。
特許文献1には、培養された神経幹細胞株(NSCL)から単離されたエクソソームが記載されている。このエクソソームは、線維芽細胞の移動、ヒト臍帯静脈内皮細胞の分岐、及び、神経突起の伸長を促進し得る。
エクソソームは幹細胞に比べて動物血清を相対的に少なく含有しており、動物血清感染による症状の危険性も排除できる。そのためエクソソームを利用した細胞治療法は既存の幹細胞治療法の限界を克服し得る。
エクソソームの回収法としては超遠心法や沈殿法等の方法があるが、これらの方法では治療に必要なエクソソーム量を大量回収することは困難である。そこで特許文献2には、スフィンゴイド塩基を使用するエクソソーム回収方法が開示されている。しかしながら特許文献2に記載されているエクソソーム回収方法は、アルツハイマー病を治癒するために神経細胞におけるエクソソームの回収に限定されている。
非特許文献5には、抗CD63抗体を固定化したデバイスを作製し、数百μlの血清サンプルからベシクルの単離及び回収を行うマイクロ流体システムを使用する手法が開示されている。しかしながら非特許文献5に記載されているエクソソーム回収方法は、抗体による捕捉であるため依然として収量が十分ではなく、大量に回収する技術の構築が必要である。
国際公開第2013/150303号 特開2019-156786号公報
Chamberlain G, Fox J, Ashton B, Middleton J, Concise review: mesenchymal stem cells: their phenotype, differentiation capacity, immunological features, and potential for homing. Stem Cells. 25 (2007) 2739-2749 Simons and Raposo、Curropin Cell Biology 2009;21:575-581 Skog et al.,Nat Cell Biology 2008;10:1470〜1476; Valadi et al. ,Nat Cell Biology 2007;9:654〜659 Katsuda T, Kosaka N, Takeshita F, Ochiya T. The therapeutic potential of mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles. Proteomics. 13 (2013) 1637-1653. Chen, C., Skog, J., Hsu, C., Lessard, R. T., Balaj, L., Wurdinger, T., Carter, B. S., Breakefield, X. O., Toner, M., Irimia, D. Microfluidic isolation and transcriptome analysis of serum microvesicles. Lab Chip. 10, 505-511(2010)
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、間葉系幹細胞からのエクソソームを大量に回収するエクソソーム回収方法を提供することを目的とする。
本発明にかかるエクソソーム回収方法は、間葉系幹細胞からのエクソソームの回収方法であって、前記間葉系幹細胞に代謝される培地中の物質量を計測しながら、不織布を足場として前記培地中で間葉系幹細胞を三次元培養する、三次元培養工程と、前記培地中の前記物質量がプラトーになった後に更に一定時間培養する、プラトー状態後培養工程と、前記一定時間培養の後に、前記間葉系幹細胞からエクソソームを回収する、エクソソーム回収工程と、を有することを特徴とする。ここでエクソソームとは、細胞から細胞外に放出された膜小胞である。エクソソームには、脂質二重膜の袋内にエクソソームを放出した細胞由来のmiRNA、mRNA、lncRNA、タンパク質、代謝小分子化合物等が包含されている。
本発明によれば、間葉系幹細胞からのエクソソームを効率的に大量に回収することが可能となる。
骨髄由来間葉系幹細胞において、不織布を足場とする培養における糖消費量と培養時間の関係を示す図である。 脂肪由来間葉系幹細胞において、不織布を足場とする培養における糖消費量と培養時間の関係を示す図である。 骨髄由来間葉系幹細胞及び脂肪由来間葉系幹細胞において、最終細胞数により補正をしたエクソソーム数を、不織布培養(3D)と培養皿培養(2D)とで比較する図である。 骨髄由来間葉系幹細胞において、NTA測定でのエクソソーム数を不織布培養(3D)と培養皿培養(2D)とで比較する図である。
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について具体的に説明するが、当該実施形態は本発明の原理の理解を容易にするためのものであり、本発明の範囲は、下記の実施形態に限られるものではなく、当業者が以下の実施形態の構成を適宜置換した他の実施形態も、本発明の範囲に含まれる。
本発明にかかるエクソソーム回収方法は、(1)間葉系幹細胞に代謝される培地中の物質量を計測しながら、不織布を足場として前記培地中で間葉系幹細胞を三次元培養する、三次元培養工程と、(2)培地中の物質量がプラトーになった後に更に一定時間培養する、プラトー状態後培養工程と、(3)一定時間培養の後に、間葉系幹細胞からエクソソームを回収する、エクソソーム回収工程と、を有する。即ち不織布を足場として間葉系幹細胞を培養するのみならず、細胞が代謝することでその細胞が培地中の物質を消費する量又は細胞から培地中へ産生される量がプラトーになった後に一定時間培養することで、間葉系幹細胞からのエクソソーム回収量を著しく増大させることを本発明者は新知見として見出し、かかる事実に基づいて本発明を完成させた。
(1)三次元培養工程
三次元培養工程では、間葉系幹細胞に代謝される培地中の物質量を計測しながら、不織布を足場として、培地中で間葉系幹細胞を三次元培養する(なお本明細書では三次元を3Dと記載することがある。)。
エクソソームが産生される間葉系幹細胞は、間葉系に属する細胞であり、一種以上の細胞(骨細胞、心筋細胞、軟骨細胞、腱細胞、脂肪細胞等)、好ましくは二つ以上の細胞、より好ましくは三つ以上の細胞への分化能を有し、当該能力を維持したまま増殖できる細胞を意味する。間葉系幹細胞を含む組織としては、例えば、脂肪組織、臍帯、骨髄、臍帯血、子宮内膜、胎盤、羊膜、絨毛膜、脱落膜、真皮、骨格筋、骨膜、歯小嚢、歯根膜、歯髄、歯胚等が挙げられる。具体的には間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞(ADSCと記載することがある)、骨髄由来間葉系幹細胞(BMSCと記載することがある)、臍帯由来間葉系幹細胞、胎盤由来間葉系幹細胞、歯髄由来間葉系幹細胞等が挙げられ、脂肪由来間葉系幹細胞、又は、骨髄由来間葉系幹細胞が好ましく、特に脂肪由来間葉系幹細胞が好ましい。
脂肪由来間葉系幹細胞は、骨髄由来間葉系幹細胞と比較して、細胞増殖が速い、再生促成因子を多く分泌する、免疫抑制能が高い、という有利な特徴を有する。さらに、脂肪由来間葉系幹細胞は、腹部又は臀部の脂肪組織から得られるため、骨髄を採取する必要のある骨髄由来間葉系幹細胞と比較して、安全に十分量確保しやすいという有利な特徴も有する。また、患者の自己脂肪組織由来の間葉系幹細胞を患者の治療に用いることは、倫理的な問題がない、免疫拒絶反応がない、感染症等の問題が少ない、静脈投与で治療効果がある等の点で優れている。
培地は間葉系幹細胞用培地であり、例えばDMEM、MEMα、DMEM/F12、MEM等が挙げられる。間葉系幹細胞が代謝することで消費される培地中の物質は、特に限定されるものではないが、例えば糖であり、糖の中ではグルコースが好ましい。間葉系幹細胞が代謝することで培地中へ産生される物質は、特に限定されるものではないが、例えばLDH、乳酸等が挙げられる。
使用される足場は不織布である。不織布の目付は、1〜500g/m2であればよく、例えば、50〜200g/m2であることが好ましい。不織布は、親水化処理された不織布であってもよい。不織布の親水化は、フッ素ガス処理、常圧プラズマ処理、真空プラズマ処理、コロナ処理、親水性単量体のグラフト重合処理、スルホン化処理、又は界面活性剤付与処理によって施すことができ、フッ素ガス処理、常圧プラズマ処理が好ましい。
不織布を構成する繊維はポリオレフィン系重合体であることが好ましく、ポリオレフィン系重合体としては例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ドデセン、1−オクタデセン等が挙げられる。
不織布を構成する繊維は、繊維径の小さい繊維であることが望ましく、平均繊維径は好ましくは200μm以下、より好ましくは010〜100μm、とくに好ましくは15〜50μmである。繊維には、相対的に繊維径の大きい繊維と相対的に繊維径の小さい繊維とが混在していてもよい。
不織布は多孔質性を有するものであることが好ましい。多孔質性は組織を再生させるのに必要な細胞への十分な酸素及び栄養を補給し、二酸化炭素や老廃物を速やかに排出する意味において重要である。また多孔質性を有することにより比表面積が大きくなり細胞接着性が高まる。かかる場合の平均孔径は、例えば、5μm〜200μm、20μm〜100μm、25μm〜100μm、30μm〜100μm、35μm〜100μm、40μm〜100μm、50μm〜100μm又は60μm~100μmであり、好ましくは、50μm〜300μmである。
不織布の形態は特に限定されるものではないが、好ましくは不織布シートである。不織布シートは、厚さ方向に貫通した複数の貫通孔を備えるものであることが好ましい。不織布シートの総膜厚は、例えば、5μm以上、10μm以上、20μm以上又は25μm以上であってもよく、500μm以下、300μm以下、100μm以下、75μm以下又は50μm以下であってもよい。好ましくは30~2000μmであり、より好ましくは500~1000μmである。
この三次元培養工程では、間葉系幹細胞に代謝される培地中の物質量を計測しながら間葉系幹細胞を三次元培養し、培地中のこの物質量がプラトーになるまで培養を継続する。培養皿を足場とする細胞培養では二次元的に細胞が増殖していくため、培養皿の表面を細胞が覆い尽くした状態は把握しやすい。しかしながら不織布を足場とする細胞培養では三次元的に細胞が増殖していくため、不織布を細胞が覆い尽くした状態は把握しにくい。そこで、細胞が消費又は産生する培地中の物質量がプラトーになるまで培養を継続する。
細胞が消費又は産生する培地中の物質量の測定は、特に限定されるものではないが、例えば、細胞が消費する培地中の物質量の測定の場合は、培養時間ごとに間葉系幹細胞の糖消費量を測定する。好ましくは前述したように培地中のグルコース量を測定する。間葉系幹細胞のグルコース消費量を測定する場合は、細胞培養上清中のグルコース量を測定する市販のグルコースアッセイキットを使用でき、細胞内に取り込まれた2-デオキシグルコースに酵素を反応させて測定をすることができる。
細胞が消費又は産生する培地中の物質量がプラトーになることの判定は、特に限定されるものではないが、例えば、培地中の物質量と培養日数のグラフを作成し、そこから近似線としての一次関数(y=ax+b)を導き、その一次関数の傾きaが横ばいになる場合を物質量がプラトーになると判定する。近似線としての一次関数の傾きaが横ばいになる場合とは例えば−0.1≦a≦0.1であり、好ましくは−0.01≦a≦0.01であり、より好ましくはa=0である。培地中の物質量がプラトーになることの判定には、培地中の物質量と培養日数との関係式の近似線である一次関数(y=ax+b)の傾きaが横ばいになる場合のみならず培地中の消費量又は産生量がマイナスになる場合を包含させてもよい。近似線としての一次関数の傾きaがマイナスになる場合とは例えば−0.5≦a≦−0.01であり、好ましくは−0.1≦a≦−0.05である。
(2)プラトー状態後培養工程
プラトー状態後培養工程では、間葉系幹細胞の培地中の物質量がプラトーとなってから更に一定時間培養を行う。
培地中の物質量がプラトーとなってからの培養時間は、特に限定されるものではないが例えば12時間〜72時間、好ましくは18時間〜66時間、更に好ましくは24時間〜60時間、特に好ましくは36時間〜54時間、最も好ましくは48時間である。
(3)エクソソーム回収工程
最後に間葉系幹細胞からのエクソソームを回収する。前述のプラトー状態後培養工程の完了後は大量のエクソソームが産生しており、産生した大量のエクソソームの回収は通常用いられる手法を利用できる。エクソソームの回収法としては、特に限定されるものではなく、例えば超遠心法が挙げられる。超遠心法としては例えばペレットダウン法、スクロースクッション法、密度勾配遠心法等が挙げられる。
本発明にかかるエクソソーム回収方法を使用することで取得されるエクソソームは、エクソソーム含有製剤として利用できる。エクソソーム含有製剤の形態は、特に限定されないが、例えば注射剤、懸濁剤、溶液剤、スプレー剤のような液剤であってもよいし、シート状製剤やゲル状製剤であってもよい。
エクソソーム含有製剤は、その用い方は限定されず、例えば、被験体へ直接投与するために利用することや、生体外において行われる、組織や器官の再構築のための供給源として利用することができる。
エクソソーム含有製剤は疾患又は障害の治療に利用できる。対象とし得る疾患又は障害は、免疫性疾患、虚血性疾患(下肢虚血、虚血性心疾患(心筋梗塞等)、冠動脈性心疾患、脳血管虚血、腎臓虚血、肺虚血等)、神経性疾患、クローン病、移植片対宿主病(GVHD)、潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患、全身性エリテマトーデスを含む膠原病、肝硬変、脳梗塞、脳内血腫、脳血管痙攣、放射線腸炎、アトピー性皮膚炎、多発性硬化症、関節リウマチ、乾癬、紅斑性狼瘡、糖尿病、菌状息肉腫(Alibert-Bazin症候群)、強皮症、軟骨等の結合組織の変性及び/又は炎症から起こる疾患、眼疾患、血管新生関連疾患、うっ血性心不全、心筋症、創傷、上皮損傷、線維症、肺疾患、癌等の疾患や障害が挙げられる。
また、エクソソーム含有製剤は、美容目的の治療、処置又は改善にも利用できる。美容目的とは、純粋に健常状態への美容を目的とするのみならず、手術後または外傷後の変形及び先天性の変形に対する美容治療も含まれる。例えば、***の組織増大術(豊乳術、***再建)、頬もしくは上下眼瞼の陥凹に対する組織増大術、ならびに顔面半側萎縮症、顔面または漏斗胸への組織増大術に利用できる。
エクソソーム含有製剤は、エクソソーム以外に薬学的に許容される担体や添加物を含有させてもよい。このような担体や添加物としては、例えば、等張化剤、増粘剤、糖類、糖アルコール類、防腐剤(保存剤)、殺菌剤又は抗菌剤、pH調節剤、安定化剤、キレート剤、油性基剤、ゲル基剤、界面活性剤、懸濁化剤、結合剤、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、発泡剤、流動化剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、溶解補助剤、抗酸化剤、甘味剤、酸味剤、着色剤、呈味剤、香料又は清涼化剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
1.不織布(3D)を足場とするエクソソームの大量回収(実施例)
以下に、不織布(3D)を足場として培養してその後糖消費量がプラトー状態での培養後のエクソソーム大量回収にかかる実施例を記載する。
1-1.三次元培養工程
三次元培養工程では、細胞の糖消費量(本実施例では培地中のグルコース消費量)がプラトーになるまで不織布を足場として細胞を三次元培養した。
骨髄由来間葉系幹細胞(BMSC)及び脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)を足場に播種した。足場は、三次元構造体である不織布(3D、BioNOCII、CESCO社 in 非接着性24well plate (PrimeSurface(登録商標)住友ベークライト)を使用した。
BMSCは各wellに6×103個播種し、ADSCは各wellに4×104個播種した。基礎培地は、10%FBS/DMEM F12(シグマ) 1.5 mlであった。なおDMEM/F12は、DMEM(DMEMはグルコースを包含している)とHam's F-12を1:1で混合した培地であり、FBSを培地に対して10%添加して使用した。
Day2より1.5mlずつ毎日培地交換を行い、使用済み培養液の糖消費量を測定した。細胞の糖消費量がプラトーになるまで培養した。糖消費量がプラトーになるまでの培養時間はBMSCにおいては10日間であった。糖消費量がプラトーになるまでの培養時間はADSCにおいては8日間であった。
1-2.プラトー状態後培養工程
プラトー状態後培養工程では、細胞の糖消費量がプラトーになってから一定時間細胞を三次元培養した。
即ち、BMSC及びADSCの糖消費量がプラトーになり始めてから直ちに培地を変えた。培地はDMEM F12に10%ExoFBS(フナコシ)を添加したものを使用した。培地を変更してからBMSC及びADSCにおいて48時間培養した。即ち、BMSCにおいては10日間培養後、糖消費量がプラトーになったので、培地をDMEM F12+10%ExoFBSに変更して更に48時間培養した。ADSCにおいては8日間培養後、糖消費量がプラトーになったので、培地をDMEM F12+10%ExoFBSに変更して更に48時間培養した。
1-3.エクソソーム回収工程
BMSC及びADSCにおいて48時間後の培養上清1.5 ml全量を回収した。回収した培養上清から超遠心法にてエクソソームを回収した。また足場から細胞を剥離して最終細胞数を計測した。
2.培養皿(2D)を足場とするエクソソームの回収(比較例)
以下に、培養皿(2D)を足場として培養してその後糖消費量がプラトー状態での培養後のエクソソーム回収にかかる比較例を記載する。
BMSC及びADSCを足場に播種した。足場は6cm培養皿(2D、接着性細胞培養皿、住友ベークライト)を使用した。BMSCは各wellに6×103個播種し、ADSCは各wellに4×104個播種した。基礎培地は、10%FBS/DMEM F12(シグマ) 1.5 mlであった。
Day2より1.5mlずつ毎日培地交換を行い、使用済み培養液の糖消費量を測定した。細胞の糖消費量がプラトーになるまで培養した。糖消費量がプラトーになるまでの培養時間はBMSCにおいては10日間であった。糖消費量がプラトーになるまでの培養時間はADSCにおいては8日間であった。
次に、BMSC及びADSCの糖消費量がプラトーになり始めてから直ちに培地を変えた。培地はDMEM F12に10%ExoFBS(フナコシ)を添加したものを使用した。培地を変更してからBMSC及びADSCにおいて48時間培養した。
BMSC及びADSCにおいて48時間後の培養上清1.5 ml全量を回収した。回収した培養上清からエクソソームを回収した。
3.糖消費量プラトー前での培養後のエクソソームの回収(比較例)
以下に、糖消費量がプラトー前での培養後のエクソソーム回収にかかる比較例を記載する。
BMSC及びADSCを足場に播種した。足場は、三次元構造体である不織布(3D、BioNOCII、CESCO社 in 非接着性24well plate (PrimeSurface(登録商標)住友ベークライト)と、6cm培養皿(2D、接着性細胞培養皿、住友ベークライト)と、を使用した。BMSCは不織布足場と培養皿足場の各wellに6×103個播種し、ADSCは不織布足場と培養皿足場の各wellに4×104個播種した。基礎培地は、10%FBS/DMEM F12(シグマ) 1.5 mlであった。
Day2より1.5mlずつ毎日培地交換を行い、使用済み培養液の糖消費量を測定した。BMSC及びADSCともに、不織布足場及び培養皿足場において、細胞の糖消費量がプラトーになる前の段階であるDay7まで培養した。
次に、Day7の後に直ちに培地を変えた。培地はDMEM F12に10%ExoFBS(フナコシ)を添加したものを使用した。培地を変更してからBMSC及びADSCともに、不織布足場及び培養皿足場において、48時間培養した。48時間後の培養上清1.5 ml全量を回収した。回収した培養上清からエクソソームを回収した。
4.エクソソームの評価
4-1. 三次元構造体である不織布を使用した効果
全量回収した培養上清1.5 mlの内、評価項目当り50 μlずつをExoCounter(JVCKENWOOD)にて測定(CD63及びCD81をエクソソームマーカーとして定量)した。
図1は、BMSCにおいて、不織布を足場とする培養における糖消費量と培養時間の関係である。図1に示すように、プロット値から、近似線y=5.4833x+4.287であり、Day10での糖消費量はプラトー状態であることが確認できた。
図2は、ADSCにおいて、不織布を足場とする培養における糖消費量と培養時間の関係である。図2に示すように、プロット値から、近似線y=7.0952x-3.8571であり、Day8での糖消費量はプラトー状態であることが確認できた。
それぞれの細胞足場における最終細胞数にてそれぞれ補正したエクソソーム産生量の比較検討を試みた。
まず下記表1はBMSC及びADSCにおける細胞数を示す。
Figure 0006948081
ExoCounterで計測されたエクソソームの数値において、それぞれの検体の最終細胞数による補正値にて、図を作成した(図3)。細胞数当たりのエクソソーム数は、BMSCにおいては、CD63では3D不織布培養は2D培養皿培養よりもx1.23であり、CD81では3D不織布培養は2D培養皿培養よりもx 1.39であった。また、細胞数当たりのエクソソーム数は、ADSCにおいては、CD63では3D不織布培養は2D培養皿培養よりもx2.08であり、CD81では3D不織布培養は2D培養皿培養よりもx 1.74であった。
このようにBMSC及びADSCともに、不織布(3D)培養からのエクソソーム回収法において、エクソソーム産生量が増加したことが実証された。
BMSCに関しては、NTA測定(粒子分布、細胞数比補正値(3D/2D ratio))を実施し、比較検討した。NTA測定値(3D:10.1x109個、2D: 7.1x109個)から、3D/2D ratioは、x 1.46であり、上記表1の細胞数比(x1.18)を用いて補正したエクソソーム量増加は、x1.24であった(図4)。即ちNTA測定でもエクソソーム産生量が増加したことが実証された。
4-2. 糖消費量がプラトーになるまで培養した効果
BMSC及びADSCともに、不織布足場(3D)及び培養皿足場(2D)において、細胞の糖消費量がプラトーになる前の段階であるDay7まで培養した場合、不織布足場では細胞数は1.11±0.04 x 105個であり、培養皿足場では1.43±0.12 x 105個であった。細胞数の比率は不織布足場(3D)/培養皿足場(2D)ratio = x 0.776であった。
次にCD63エクソソーム産生量は、不織布足場(3D)では145,863であり、培養皿足場(2D)では189,653であった。CD63エクソソーム産生量の比率は3D/2D ratio = x 0.769であった。細胞数比でエクソソーム産生量の比率を補正すると0.99となり不織布足場(3D)を使用してもエクソソームの産生量が増大するものではないことが判明した。
次にCD81エクソソーム産生量は、不織布足場(3D)では139,287であり、培養皿足場(2D)では186,584であった。CD81エクソソーム産生量の比率は3D/2D ratio = x 0.747であった。細胞数比でエクソソーム産生量の比率を補正すると0.96となり不織布足場(3D)を使用してもエクソソームの産生量が増大するものではなかった。
このようにBMSC及びADSCともに、単に不織布(3D)培養だけではエクソソーム産生量を増大させることはできず、(a)不織布(3D)を足場として培養し(b)その後糖消費量がプラトー状態での培養することで、エクソソーム大量回収ができたことが実証された。
エクソソームの大量産生に利用できる。

Claims (8)

  1. 間葉系幹細胞からのエクソソームの回収方法であって、
    前記間葉系幹細胞に代謝される培地中の物質量を計測しながら、不織布を足場として前記培地中で間葉系幹細胞を三次元培養する、三次元培養工程と、
    前記培地中の前記物質量がプラトーになった後に更に一定時間培養する、プラトー状態後培養工程と、
    前記一定時間培養の後に、前記間葉系幹細胞からエクソソームを回収する、エクソソーム回収工程と、
    を有することを特徴とするエクソソーム回収方法。
  2. 前記間葉系幹細胞に代謝される前記培地中の物質は糖であり、
    前記間葉系幹細胞の培養時間に対する糖消費量を計測し、
    前記プラトー状態後培養工程は、前記糖消費量がプラトー状態となってから更に一定時間培養することを特徴とする請求項1に記載のエクソソーム回収方法。
  3. 前記プラトー状態後培養工程において、前記間葉系幹細胞の培養時間に対する糖消費量の計測ではグルコースの消費量を計測することを特徴とする請求項2に記載のエクソソーム回収方法。
  4. 前記プラトー状態後培養工程において、前記物質量がプラトー状態となってからの培養時間は、24時間以上72時間以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載のエクソソーム回収方法。
  5. 前記間葉系幹細胞は、脂肪由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエクソソーム回収方法。
  6. 前記間葉系幹細胞が脂肪由来間葉系幹細胞である場合、前記三次元培養工程における脂肪由来間葉系幹細胞の培養時間は7日以上9日以下であることを特徴とする請求項5に記載のエクソソーム回収方法。
  7. 前記間葉系幹細胞は、骨髄由来間葉系幹細胞であることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のエクソソーム回収方法。
  8. 前記間葉系幹細胞が骨髄由来間葉系幹細胞である場合、前記三次元培養工程における骨髄由来間葉系幹細胞の培養時間は9日以上11日以下であることを特徴とする請求項7に記載のエクソソーム回収方法。
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