以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
図1乃至図16に、本発明に係る座の実施形態の一例を示す。
本実施形態では、各図中において、「前」が付されている矢印の向きが図中の座(また、座を構成する部材),当該座が取り付けられている椅子,及び当該椅子の座に座った着座者にとっての前向きであり、「後」が付されている矢印の向きが前記座,前記椅子,及び前記着座者にとっての後ろ向きである。また、矢印によって表される前後方向と水平面内において直交する方向が前記座,前記椅子,及び前記着座者にとっての左右方向である。さらに、「上」が付されている矢印の向きが前記座,前記椅子,及び前記着座者にとっての上向きであり、「下」が付されている矢印の向きが前記座,前記椅子,及び前記着座者にとっての下向きである。
本実施形態を説明する各図は、インナーシェル1及びアウターシェル2のうちの平面視における概ね中央部分及び当該中央部分から右側の前側部分のみを示している。なお、本実施形態では、荷重受け部材3が設けられている位置が、インナーシェル1の(延いては、座全体の)平面視における概ね中央位置である。
本実施形態の座は、座の芯材を構成するインナーシェル1と、利用者の着座に伴って座に作用する着座荷重(本明細書では、略して着座荷重と呼ぶ)がかけられると動作する荷重受け部材3と、インナーシェル1の変形を阻止する変形制限位置に位置したりインナーシェル1の変形を許容する変形許容位置に位置したりする変形制御部材6とを有し、荷重受け部材3に着座荷重がかけられていないときに変形制限位置にある変形制御部材6が、荷重受け部材3に着座荷重がかけられたときに当該荷重受け部材3の動作と連動して変形許容位置へと動くことでインナーシェル1の一部の変形が許容されるようにしている。
ここで、本発明の説明では、変形制御部材6による変形制限機能(別言すると、変形阻止機能)が働いてインナーシェル1の変形が阻止・制限・禁止されている(言い換えると、インナーシェル1が変形しないように形状が固定されている)状態を「変形制限状態」と呼び、変形制御部材6による変形制限が解除されてインナーシェル1の変形が許容されている状態を「変形許容状態」と呼ぶ。
アウターシェル2は、当該アウターシェル2が取り付けられる支持基部(図示省略)によって下方から支持され、前記支持基部が脚部(図示省略)の脚柱の上端に取り付けられることにより、座の一部を構成する部材として椅子に備えられる。
ここで、本発明に係る座を備える椅子の全体の態様は特定の形態や種類に限定されるものではなく、本発明に係る座は多様な椅子に対して適用され(言い換えると、設けられ)得る。本発明に係る座は、具体的には例えば、あくまで一例として挙げると、脚部,当該脚部の脚柱の上端に取り付けられる支持基部,当該支持基部によって下方から支持されるアウターシェル2,前記支持基部に対して取り付けられる背フレーム,及び当該背フレームに取り付けられる背凭れを有する椅子に適用され得る。この場合、背フレームが支持基部に対して回動して背凭れが前後傾動可能であるように構成されていても良い。また、脚柱の下端部に放射状に広がる複数の脚羽根を有すると共にこれら脚羽根の先端のそれぞれにキャスタが備えられていても良い。
すなわち、本発明に係る椅子は、例えば、インナーシェル1を下方から支持するアウターシェル2,当該アウターシェル2を下方から支持する支持基部,当該支持基部に対して回動可能に取り付けられる背フレーム,及び当該背フレームに取り付けられて当該背フレームが支持基部に対して回動することによって前後傾動する背凭れを有すると共に、インナーシェル1を含む本発明に係る座を備えるものとして構成され得る。
本発明に係る椅子は、また、インナーシェル1を下方から支持するアウターシェル2,当該アウターシェル2を下方から支持する支持基部,当該支持基部が上端に取り付けられる脚柱,及び当該脚柱の下端部に設けられ且つキャスタを備える脚羽根を有すると共に、インナーシェル1を含む本発明に係る座を備えるものとして構成され得る。
アウターシェル2内には、複数の前後方向のリブ壁2aや左右方向のリブ壁2bが形成され、当該アウターシェル2自体の強度と共に当該アウターシェル2の上方に設置されるインナーシェル1を支持する強度が確保されるようにしている。
インナーシェル1は、当該インナーシェル1が取り付けられるアウターシェル2によって下方から支持されて、座の一部(特に、芯材)を構成する部材として椅子に備えられる。
インナーシェル1の上面にクッション材(図示省略)が取り付けられると共に当該クッション材を覆う張地(図示省略)が張設されて座が構成される。
インナーシェル1及びアウターシェル2は、例えば樹脂によって形成される。
インナーシェル1は、前側から順に前部インナーシェル1A,曲がり部1B,及び後部インナーシェル1Cを有するものとして構成され、全体として概ね平板状に形成される。ただし、前部インナーシェル1Aや後部インナーシェル1Cの各々が、或いは、インナーシェル1全体として、湾曲する態様に形成されても構わない。
インナーシェル1は、本実施形態では、前部インナーシェル1A,曲がり部1B,及び後部インナーシェル1Cが順に連なる一体成型部材として樹脂によって形成される。
インナーシェル1の曲がり部1Bは、インナーシェル1がアウターシェル2の上方(言い換えると、上面)へと組み付けられた状態におけるアウターシェル2の前方位置(特に、アウターシェル2の前端壁2hの前方近傍位置)に形成される。
そして、後部インナーシェル1Cは、アウターシェル2の上方(言い換えると、上面)へと取り付けられて固定される(言い換えると、アウターシェル2によって下方から固定的に支持される)。
一方、前部インナーシェル1Aは、アウターシェル2には固定されておらず、アウターシェル2によって動きが拘束されていない。
インナーシェル1の曲がり部1Bは、表(おもて)面に形成された左右方向において相互に平行な二本の細溝1d,1dと、これら二本の細溝1d,1dのそれぞれと対向するように裏面に形成された左右方向において相互に平行な二本の溝1e,1eとを有するものとして構成される。
曲がり部1Bとしての、インナーシェル1の表面の細溝1dは例えば浅い切り込み程度のものとして形成され、インナーシェル1の裏面の溝1eは例えば縦断面形状が半円形の溝として形成される。
インナーシェル1は、曲がり部1Bにおいて屈曲可能(別言すると、湾曲可能,折れ曲がり可能,或いは撓み可能)であるように形成され、具体的には、アウターシェル2によって固定的に支持されている後部インナーシェル1Cに対する前部インナーシェル1Aの側面視角度(言い換えると、傾斜の程度)が変化するものとして構成される。
インナーシェル1の下面に、当接片1fが形成される。
当接片1fは、前側部分の上端が前部インナーシェル1Aの下面と連接し、インナーシェル1の下方において、曲がり部1Bを越えて後部インナーシェル1Cの下方へと延出するものとして形成される(尚、当接片1fの後ろ側部分は曲がり部1B及び後部インナーシェル1Cの下面とは離隔している)。
当接片1fの後端を含む後端寄りの部分は、アウターシェル2の前端壁2hに形成された貫通口を通過してアウターシェル2内へと進入する。
荷重受け部材3は、円柱状の軸部3aと当該軸部3aの上端に設けられる円盤状のばね受け3bとを有し、軸部3aの長手軸心方向が上下方向に沿うように配設される。
荷重受け部材3は、後部インナーシェル1Cに形成された貫通口1gを貫通してばね受け3b及び軸部3aの上端側の部分を後部インナーシェル1Cの上面から上向きに突出させると共に、軸部3aの中間部分がアウターシェル2によって上下方向に摺動可能であるように支持され、さらに、アウターシェル2の底板に形成された貫通孔2fを貫通して軸部3aの下端側の部分をアウターシェル2の底板下面から下向きに突出させて設けられる。
荷重受け部材3の軸部3aの中間部分を上下方向に貫通させて摺動可能に支持するため、アウターシェル2内に、上下方向の貫通孔を有する軸支持部2cが形成される。
弾性部材4は、荷重受け部材3とアウターシェル2との間に介在して荷重受け部材3に対して着座荷重がかけられて(別言すると、下向きの外力が付与されて)荷重受け部材3が動作した場合に上下方向の弾性力(別言すると、付勢力)を発揮するものである。なお、図11乃至14並びに図16においては弾性部材4の図示を省略している。
図に示す例では、弾性部材4として、荷重受け部材3の軸部3aを取り巻くコイルばねが配設される。
弾性部材4としてのコイルばねは、伸縮方向軸心部分に荷重受け部材3の軸部3aを貫通させると共に、荷重受け部材3の上端のばね受け3bの下面に上端が突き当たり、且つ、アウターシェル2内の軸支持部2cの上面に下端が支持されて配設される。
弾性部材4は、コイルばねに限定されるものではなく、荷重受け部材3に着座荷重がかけられたときに当該荷重受け部材3を所定の位置へと戻すための弾性力を発揮し得る機序・機作が適宜選択される。
連動部材5は、軸部5Aと、当該軸部5Aから延出する荷重伝達部5Bと、軸部5Aから延出するアーム部5Cとを有する。
連動部材5の軸部5Aは、長手軸心方向が左右方向に沿うようにアウターシェル2内に配設される。
連動部材5の軸部5Aは、アウターシェル2内の複数の前後方向のリブ壁2aに形成された軸受け溝2dに嵌まって軸回転可能であるように複数箇所が支持される。
連動部材5の荷重伝達部5Bは、上端が軸部5Aと連接すると共に概ね下方へと延出する連結部5dと、当該連結部5dの下端から後方へと延出する受け部5eとを有する。
連動部材5の荷重伝達部5Bは、アウターシェル2の底板に形成された貫通口2iを貫通して連結部5dの下側の部分及び受け部5eをアウターシェル2の底板下面から下向きに突出させて設けられる。
連動部材5の荷重伝達部5Bの受け部5eは、荷重受け部材3の軸部3a下端の下方へと至る(或いは、軸部3a下端の下方を越えて更に後方へと至る)ように延出する。
ここで、荷重受け部材3に対して外力が付与されていない状態では荷重受け部材3のばね受け3bとアウターシェル2の軸支持部2cとの間に弾性部材4(具体的には、コイルばね)が介在することによって荷重受け部材3の位置が安定して荷重受け部材3の軸部3aによって連動部材5に対して外力が付与されることがなく、且つ、荷重受け部材3に対して着座荷重がかけられている(別言すると、下向きの外力が付与されている)状態では弾性部材4の弾性力に抗して軸部3aが長手軸心方向(即ち、上下方向)下向きに移動(別言すると、動作)して荷重受け部材3の軸部3aの下端が連動部材5の荷重伝達部5Bの受け部5eの上面へと突き当たって当該受け部5eが押し下げられる(言い換えると、荷重伝達部5Bが前後方向垂直面に沿って下向きに回動する)ように構成される。
連動部材5のアーム部5Cは、後端(言い換えると、上端)が軸部5Aと連接すると共に前方斜め下方へと延出する連結部5fと、当該連結部5fの前端(言い換えると、下端)から前方へと延出する支持部5gとを有する。
連動部材5のアーム部5Cの支持部5gは、変形制御部材6の下方へと至る(或いは、変形制御部材6の下方を越えて更に前方へと至る)ように延出する。
変形制御部材6は、帯板状の部材として形成され、面方向を上下方向に沿わせると共に長手方向を左右方向に沿わせてアウターシェル2内に配設される。
変形制御部材6は、上下方向には移動可能であり且つ前後方向には移動不能である(若しくは、移動範囲が制限される)ように配設される。
図に示す例では、アウターシェル2内に、面方向が前後方向に沿うと共に長手方向が上下方向に沿う小札状の当接リブ2gが複数形成される。
具体的には、変形制御部材6の前方に複数の当接リブ2gが形成されると共に変形制御部材6の後方にも複数の当接リブ2gが形成され、前方に形成された当接リブ2gの後端が変形制御部材6の前面へと摺動可能に当接し、また、後方に形成された当接リブ2gの前端が変形制御部材6の後面へと摺動可能に当接することにより、上下方向には移動可能であり且つ前後方向には移動不能である(若しくは、移動範囲が制限される)ように変形制御部材6が配設される。
ここで、荷重受け部材3に対して外力が付与されていないために当該荷重受け部材3の軸部3aによって連動部材5に対して外力が付与されない状態では変形制御部材6の重量によって連動部材5のアーム部5Cの支持部5gが上向きに移動する(言い換えると、アーム部5Cが前後方向垂直面に沿って上向きに回動する)ことが阻止され、且つ、荷重受け部材3に対して着座荷重がかけられている(別言すると、下向きの外力が付与されている)状態では荷重受け部材3が動作して軸部3aが受け部5eを押し下げて荷重伝達部5Bが前後方向垂直面に沿って下向きに回動することに伴って軸部5Aが軸回転してアーム部5Cが前後方向垂直面に沿って上向きに回動し、当該アーム部5Cの支持部5gによって変形制御部材6が持ち上げられるように構成される。
なお、連動部材5に対して外力が付与されていないときの変形制御部材6は、連動部材5の支持部5gによって重量が支えられることによって位置が安定するようにしても良く、或いは、アウターシェル2内に受け部が形成されて当該受け部によって重量が支えられることによって位置が安定するようにしても良い。
荷重受け部材3に対して外力が付与されていないときの、連動部材5の支持部5g若しくはアウターシェル2の受け部に支持されている変形制御部材6の位置のことを「変形制限位置」と呼ぶ。
また、荷重受け部材3に対して外力が付与されているときの、連動部材5の支持部5gによって持ち上げられている変形制御部材6の位置のことを「変形許容位置」と呼ぶ。
そして、荷重受け部材3に対して外力が付与されておらず、延いては連動部材5に対して外力が付与されておらず、そして変形制御部材6に対して外力が付与されていない状態では、変形制限位置にある変形制御部材6の前面に前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が当接し、これにより、インナーシェル1の変形(具体的には、側面視において、曲がり部1Bを回動中心とする、前部インナーシェル1Aの下向きの回動(別言すると、前傾する回動))が阻止される。この状態が変形制限状態である。
一方、荷重受け部材3に対して着座荷重がかけられ、延いては連動部材5に対して下向きの外力が付与され、そしてアーム部5Cの支持部5gによって変形制御部材6が持ち上げられている状態では、変形許容位置にある変形制御部材6の前面に前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が当接することなく変形制御部材6の下方を当接片1fの後端が後ろ向きに通過することが可能になり、このため、インナーシェル1の変形(具体的には、側面視において、曲がり部1Bを回動中心とする、前部インナーシェル1Aの下向きの回動(別言すると、前傾する回動))が許容される。この状態が変形許容状態である。
次に、上述した座の作動を以下に説明する。
着座による着座荷重が座に対してかけられておらず、荷重受け部材3に対して着座荷重(別言すると、下向きの外力)が付与されていないために連動部材5を介して変形制御部材6に対しても外力が付与されていない状態では、変形制御部材6が変形制限位置に位置し、当該変形制御部材6の前面に前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が当接する(特に、図15)。
そして、前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が変形制御部材6の前面に当接している状態では、当接片1fを含む前部インナーシェル1Aの下向きの傾動は阻止され、インナーシェル1は変形することができず形状が固定される。
一方、着座によって荷重受け部材3に対して着座荷重(別言すると、下向きの外力)が付与されている状態では、弾性部材4の弾性力に抗して荷重受け部材3が押し下げられることにより、連動部材5の荷重伝達部5Bの受け部5eが押し下げられて荷重伝達部5Bが下向きに回動すると共に軸部5Aが軸回転し、同時に、アーム部5Cが上向きに回動する。
そして、アーム部5Cが上向きに回動することにより、当該アーム部5Cの前端部の支持部5gによって変形制御部材6が変形許容位置へと持ち上げられ、前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が変形制御部材6の下方を通過するようになって変形制御部材6の前面に当接しなくなる。これにより、当接片1fが移動可能(別言すると、運動可能)な状態になり、延いては前部インナーシェル1Aが下向き傾動可能な状態になり、インナーシェル1が変形可能な状態になる(特に、図16)。
さらに、着座者が立ち上がって座に対する着座荷重が解除されて荷重受け部材3に対して着座荷重(下向きの外力)が付与されていない状態に戻ると、弾性部材4の弾性力(別言すると、付勢力)によって荷重受け部材3が持ち上げられると共に連動部材5に対する外力が解除され、変形制御部材6は自重によって変形制限位置へと降下し、当該変形制御部材6の前面に前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が当接する(特に、図15)。
そして、前部インナーシェル1A下面の当接片1fの後端が変形制御部材6の前面に当接している状態では、当接片1fを含む前部インナーシェル1Aの下向きの傾動は阻止され、インナーシェル1は変形することができず形状が固定される。
以上のように構成された座や当該座を備える椅子によれば、座に着座していない場合には座(具体的には、座の芯材を構成するインナーシェル1)の変形を制限(別言すると、禁止)する一方で椅子の利用者が座に着座している間に限って座(インナーシェル1)の一部を変形させる(具体的には、前部インナーシェル1Aを傾動させる)ことができる。このため、座に着座していない状況で座に手をついたり座に浅く腰掛けようとしたりした場合に座が不意に変形することを防止することが可能になり、安全性を確保することが可能になる。
以上のように構成された座や当該座を備える椅子によれば、しかも、椅子の利用者が座に着座して荷重受け部材3に着座荷重がかけられることを契機として座(具体的には、座の芯材を構成するインナーシェル1)の変形の制限が解除されるので、着座者が特段の操作を行うことなく座に単に座ることによって座(インナーシェル1)の変形の制限と当該制限の解除とを切り替えることができる。このため、座の変形の制御・操作に纏わる煩わしさがなく、座が変形する椅子としての利便性や快適性を向上させることが可能になる。
なお、上述の実施形態は本発明を実施する際の好適な形態の一例ではあるものの本発明の実施の形態が上述のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において本発明は種々変形実施可能である。
例えば、上述の実施形態では表面の二本の細溝1d,1dと裏面の二本の溝1e,1eとを有する曲がり部1Bによってインナーシェル1を変形させるようにしているが、インナーシェル1の形状変化を生じせしめる態様は上述の実施形態における態様に限定されるものではなく、前部インナーシェル1Aと後部インナーシェル1Cとが左右方向に配設されるピンによって連結されるようにしても良い。
また、上述の実施形態ではインナーシェル1の前側部分である前部インナーシェル1Aが傾動するようにしているが、インナーシェルの変形として動作する(別言すると、変形する)部分は上述の実施形態における態様に限定されるものではなく、インナーシェルのうちの一部であればどこでも良い。具体的には例えば、インナーシェルの変形として動作する(変形する)インナーシェルの一部は、インナーシェルの右側部分若しくは左側部分でも良く、或いは、インナーシェルの後ろ側部分でも良い。
また、上述の実施形態では荷重受け部材3がインナーシェル1の平面視における概ね中央位置に設けられるようにしているが、荷重受け部材の位置は上述の実施形態における態様に限定されるものではなく、インナーシェルの変形として動作しない部分(上述の実施形態では、アウターシェル2によって固定的に支持される部分である後部インナーシェル1C)のうち、着座によって着座荷重がかかる部分であればどこでも良い。具体的には例えば、後部インナーシェル1Cの、着座者の臀部や大腿部が当たる範囲のうちのいずれかの場所に荷重受け部材3は設けられ得る。
また、上述の実施形態では荷重受け部材3に着座荷重がかけられた場合に変形制御部材6を上方へと移動させて当該変形制御部材6の下方を前部インナーシェル1Aの当接片1fの後端が通過することによってインナーシェル1の一部の変形が可能になるようにしているが、前部インナーシェル1Aの当接片1fと変形制御部材6とに纏わる変形制御のための切り替えの態様は上述の実施形態における態様に限定されるものではなく、例えば、変形制御部材6を下方へと移動させて当該変形制御部材6の上方を当接片1fの後端が通過するようにしたり、前後方向の貫通口を設けた変形制御部材6を左右方向にスライドさせて当該変形制御部材6の前記貫通口を当接片1fの後端が通過するようにしたりしても良い。
また、上述の実施形態では前部インナーシェル1Aの当接片1fの後端を変形制御部材6の前面と当接させることによってインナーシェル1の変形を阻止・禁止するようにしているが、インナーシェル1の変形を阻止・禁止するための前部インナーシェル1Aの当接片1fと変形制御部材6との当接の態様は上述の実施形態における態様に限定されるものではなく、例えば、当接片1fの下端を変形制御部材6の上面に当接させるようにしても良い。
さらに言えば、上述の実施形態におけるインナーシェル1の当接片1f,荷重受け部材3,弾性部材4,連動部材5,及び変形制御部材6に纏わる形態や相互の連動の仕方は上述の実施形態における態様には限定されない。すなわち、本発明の要点は座に着座荷重がかけられたときに荷重受け部材を動作させると共に当該荷重受け部材の動作と連動させて変形制御部材を変形制限位置から変形許容位置へと動かすことであり、この仕組みを達成し得るものであれば、各部材の具体的な形態や相互の連動の仕方は特定の態様には限定されない。具体的には例えば、あくまで一例として挙げあると、上述の実施形態における荷重受け部材3と連動部材5とに相当する部材が一部材(別言すると、一体部品)として組み込まれるようにしたり、連動部材5と変形制御部材6とに相当する部材が一部材/一体部品として組み込まれるようにしたり、或いは、荷重受け部材3,連動部材5,及び変形制御部材6に相当する部材が一部材/一体部品として組み込まれるようにしたりしても良い。