JP6944822B2 - 易服用性カプセル - Google Patents

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Description

本発明は、服用性を改善した易服用性カプセル、カプセルのバンドシール液などに関する。
カプセルは、医薬成分や食品成分を中に充填できて製剤化しやすく、嬌味や嬌臭などの効果もあり、汎用されている。しかしながら、比較的サイズの大きいカプセルは、咽喉に接着しやすいなど嚥下しにくい場合がある。特に、高齢者や子供では問題となりやすい。
一方、カプセルは、内容物の改ざん防止や漏出抑制のために、カプセルの嵌合部を封緘するバンドシールが施される場合がある。特に、内容物が液状のとき、酸素に不安定な物質のときなどには、バンドシールによりカプセルの密封性を高めることで、内容物の漏出や劣化を防ぐことが行われている。
カプセルのバンドシールに関して、例えば、以下のような技術が存在する。
特許文献1(特公平05‐005807号公報)は、硬質ゼラチンカプセルのバンドシール液であって、ゼラチン、グリセリン、エタノール、水を含む、ゼラチン含有のバンドシール液を開示する。
特許文献2(WO2009/125485号パンフレット)は、ポリビニルアルコールおよびその共重合体、有機酸などを含有する硬質カプセル剤に対して、同じポリビニルアルコールおよびその共重合体、有機酸などを含有するバンドシールを施すことが記載されている。
このように、バンドシールは、通常、カプセルと同一または類似の組成物が使用されるケースが多い。
また、錠剤など経口用組成物の嚥下性を改善する技術のひとつとして、例えば、特許文献3(WO2011/125798号パンフレット)が開示されている。増粘剤と多価金属化合物を用いて、錠剤等をコーティングすることにより、唾液などの水の存在で増粘剤が架橋され、すべり性がよくなり、嚥下性を改善する。しかし、この文献には、カプセルのバンドシールについて言及はない。
特公平05‐005807号公報 WO2009/125485号パンフレット WO2011/125798号パンフレット
このような状況の下、新たな易服用性カプセルが求められている。カプセルは咽頭に接着し嚥下しにくい場合があり、好ましくは、嚥下しやすいカプセルが求められている。また、カプセルの汎用的な使用を考慮すると、嚥下しやすいカプセルであることに加えて、好ましくは、カプセルの内容物の溶出性にほとんど影響を与えないようにする技術が望まれている。
本発明者は検討を重ね、従来、カプセル内容物の改ざん防止や漏出抑制のために使用されているカプセルのバンドシールを、金属架橋増粘剤の少なくとも1種、および多価金属化合物等を主要成分として作製することに想到した。本発明者らは、当該バンドシールは、カプセルの材質に関わらず、カプセルのシールとしての機能(内容物の漏出抑制など)を果たすとともに、唾液や水の存在により滑り性が向上し、カプセルが嚥下しやすくなり得ることを見出した。また、本発明者らは、当該バンドシールを使用した場合でも、カプセル内容物の溶出を遅延させないようにし得ることを見出した。本発明者らは、これらの知見から、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様は、以下のバンドシールを有するカプセルである。
[1] 少なくとも、金属架橋増粘剤、および、多価金属化合物を含有するバンドシールを有するカプセル。
[1−1] a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
b) 多価金属化合物、並びに、
c) 第2の増粘剤を含有するバンドシールを有するカプセル。
[1−2] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)である、[1−1]に記載のカプセル。
[1−3] バンドシールが、さらに、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、および、ロジンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]〜[1−2]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−4] バンドシールが、さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、マンニトール、カルナウバロウ、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、乳糖水和物、および、ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]〜[1−3]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−5] バンドシールが、さらに、ポリソルベート80、グリセリン、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、モノステアリン酸グリセリン、および、ステアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]〜[1−4]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−6] バンドシールが、さらに、糖および/または糖アルコールを含有する、[1]〜[1−5]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−7] バンドシールが、さらに、崩壊剤を含有する、[1]〜[1−6]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−8] バンドシール中の、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤とを合わせた増粘剤の含有量が、45質量%〜90質量%である、[1]〜[1−7]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−9] バンドシールの幅が、硬カプセル表面の略円柱形状の範囲内である、[1]〜[1−8]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−10] バンドシールの幅が、硬カプセル結合時の長径の5%〜85%である、[1]〜[1−9]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−11] バンドシールの幅が、1mm〜22mmである、[1]〜[1−10]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−12] バンドシールの厚みが、5μm〜500μmである、[1]〜[1−11]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−13] バンドシール中の粒子の粒子径が、80μm以下である、[1]〜[1−12]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−14] バンドシール中の、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムは、実質的に多価金属イオンにより架橋されていない、[1]〜[1−13]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−15] バンドシールが、多価金属化合物を含有する層と、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する層とが重ね合わせて形成された、[1]〜[1−14]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−16] カプセルが、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、キトサン、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および、カラギーナンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[1]〜[1−15]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−17] カプセルの大きさが、日本薬局方に記載の、000号、00号、0号、1号、2号、3号、4号、および5号からなる群から選択されるいずれか1種である、[1]〜[1−16]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−18] カプセル内容物の漏出が抑制された、[1]〜[1−17]のいずれか1項に記載のカプセル。
[1−19] カプセルの滑り性が向上した、[1]〜[1−18]のいずれか1項に記載のカプセル。
また、本発明の第2の態様は、少なくとも、金属架橋増粘剤、および、多価金属化合物を含有する以下の組成物である。
[2] 少なくとも、金属架橋増粘剤、および、多価金属化合物を含有する組成物。
[2−1] a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
b) 多価金属化合物、並びに、
c) 第2の増粘剤を含有する組成物。
[2−2] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)である、[2−1]に記載の組成物。
[2−3] 組成物が、さらに、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、および、ロジンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[2]〜[2−2]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−4] 組成物が、さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、マンニトール、カルナウバロウ、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、乳糖水和物、および、ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[2]〜[2−3]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−5] 組成物が、さらに、ポリソルベート80、グリセリン、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、モノステアリン酸グリセリン、および、ステアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[2]〜[2−4]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−6] 組成物が、さらに、糖および/または糖アルコールを含有する、[2]〜[2−5]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−7] 組成物が、さらに、崩壊剤を含有する、[2]〜[2−6]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−8] 組成物中の、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤とを合わせた増粘剤の含有量が、45質量%〜90質量%である、[2]〜[2−7]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−9] 組成物が、カプセルおよび/または錠剤の表面の一部を被覆する被覆物である、[2]〜[2−8]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−10] 組成物が、硬カプセル表面の略円柱形状の範囲内に存在する、[2]〜[2−9]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−11] 組成物が、乾燥状態である、[2]〜[2−10]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−12] 組成物の厚みが、5μm〜500μmである、[2]〜[2−11]のいずれか1項に記載の組成物。
[2−13] 組成物が、多価金属化合物を含有する層と、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する層とが重ね合わせて形成された、[2]〜[2−12]のいずれか1項に記載の組成物。
また、本発明の第3の態様は、以下のバンドシール液である。
[3] 多価金属化合物と組み合わせて用いられる、金属架橋増粘剤、および溶媒を含有するバンドシール液。
[3−1] b) 多価金属化合物と組み合わせて用いられる、
a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
c)第2の増粘剤、並びに、
d) アルコール、および、水とアルコールの混合溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒とを含有する、カプセルのバンドシール液。
[3−2] 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)である、[3−1]に記載のバンドシール液。
[3−3] バンドシール液が、さらに、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、および、ロジンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[3]〜[3−2]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−4] バンドシール液が、さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、マンニトール、カルナウバロウ、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、乳糖水和物、および、ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[3]〜[3−3]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−5] バンドシール液が、さらに、ポリソルベート80、グリセリン、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、モノステアリン酸グリセリン、および、ステアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、[3]〜[3−4]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−6] バンドシール液が、さらに、糖および/または糖アルコールを含有する、[3]〜[3−5]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−7] バンドシール液が、さらに、崩壊剤を含有する、[3]〜[3−6]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−8] バンドシール液中の、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤とを合わせた増粘剤の量が、溶媒の容積に対して、5.5w/v%〜30w/v%である、[3]〜[3−7]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−9] バンドシール液中の、非溶媒成分の量が、溶媒の容積に対して、9w/v%〜40w/v%、好ましくは、14w/v%〜35w/v%である、[3]〜[3−8]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−10] バンドシール液中の、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムは、実質的に多価金属イオンにより架橋されていない、[3]〜[3−9]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−11] バンドシール液が、多価金属化合物を含有する、[3]〜[3−10]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
[3−12] カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と溶媒とを含有するバンドシール液、並びに、多価金属化合物と溶媒とを含有する液とがセットとなるように用いられる、[3]〜[3−11]のいずれか1項に記載のバンドシール液。
また、本発明の第4の態様は、以下のバンドシールを有するカプセルの製造方法である。
[4] 前記[3]〜[3−12]のいずれか1項に記載のバンドシール液をカプセルに塗布する工程を含む、バンドシールを有するカプセルの製造方法。
[4−1] 前記バンドシール液をカプセルに塗布する工程が、
a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される第1の増粘剤、
b) 多価金属化合物、
c)第2の増粘剤、並びに、
d) アルコール、および、水とアルコールの混合溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒
を含有するバンドシール液を塗布する工程を含む、[4]に記載のカプセルの製造方法。
[4−2] 前記バンドシール液をカプセルに塗布する工程が、
多価金属化合物と溶媒とを含有する液を塗布する工程と、
カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と溶媒とを含有する液を塗布する工程とを含む、[4]に記載のカプセルの製造方法。
[4−3] 前記バンドシール液のカプセルへの塗布はスプレーコーティングを用いない、[4]〜[4−2]のいずれか1項に記載のカプセルの製造方法。
[4−4] さらにバンドシール液の塗布部を乾燥させる工程を含む、[4]〜[4−3]のいずれか1項に記載のカプセルの製造方法。
本発明によれば、新たな易服用性カプセルが提供される。当該カプセルは、バンドシールを有する。
好ましくは、バンドシールを有するカプセルにおいて、バンドシールは、カプセルの内容物の改ざん防止、内容物の漏出や酸化等による劣化の抑制などというカプセルのシールとしての機能と、カプセルを嚥下しやすくする機能とを兼ね備えうる。
好ましくは、バンドシールを有するカプセルにおいて、バンドシールは、様々な材質およびサイズのカプセルへの適用が期待でき、また、カプセル内容物の溶出性に影響を及ぼさないため、汎用性が高い。
好ましくは、バンドシールを有するカプセルにおいて、バンドシールは、製造時に加温の必要がなく室温で製造可能なため、製造上メリットとなり、また、熱に弱い有効成分を含有するカプセルに対しても使用しうる。
好ましくは、バンドシールを有するカプセルにおいて、バンドシールは、色素を含有させることにより、カプセルの視認性の向上、他のカプセルとの識別性の向上の効果が得られうる。
好ましくは、本発明のバンドシールを有するカプセルは、上記のいずれか1以上の効果を有しうる。
1.バンドシールを有するカプセル
第1の態様は、バンドシールを有するカプセルである。以下では、バンドシールを有するカプセルについて説明する。
本明細書において、「バンドシール」とは、医薬品、医薬部外品、健康食品、食品などにおいて用いられるカプセル中央部表面を一定の幅で円周方向に被覆する被覆物であり、カプセル表面の一部が被覆される。より好ましくは、硬カプセルのボディ部とキャップ部の嵌合部に、キャップ部の端縁部を中心として、それを跨ぐように一定の幅でボディ部とキャップ部の表面に、その円周方向に形成された、嵌合部を封緘するシールである。本明細書において、バンドシールの幅は、必ずしも並行であることは必要とされない。
本発明は、少なくとも、金属架橋増粘剤、および、多価金属化合物を含有するバンドシールを有するカプセルを提供する。好ましくは、バンドシールは、a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、b) 多価金属化合物、並びに、c)第2の増粘剤を含有する。
本明細書において、前記成分a),b)およびc)を含有するバンドシールを「第1の態様のバンドシール」という場合がある。
第1の増粘剤は、金属架橋増粘剤である。
金属架橋増粘剤とは、多価金属イオンにより架橋される物質を意味し、そのような性質を示す物質であれば特に限定されない。金属架橋増粘剤としては、具体的には、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、グルコマンナン、カルメロースナトリウム等が挙げられ、好ましくは、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、およびポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられ、より好ましくは、カルボキシビニルポリマー、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。これらは市販品を入手して使用することが可能である。また、本明細書に記載の各成分の詳細は、日本薬局方、または、医薬品添加物事典(2016)(薬事日報社)を参照しうる。
少量の水により多価金属化合物から生成する多価金属イオンにより金属架橋増粘剤が架橋を形成することにより、粘度が増大し、ゼリー状の比較的硬いゲルを形成することで、服用時に粘膜上を滑りやすくなり嚥下性に改善をもたらすことができる。
用いられるカルボキシビニルポリマーは、特に限定されないが、表示粘度が4000〜60000mPa・s(0.5%,25℃,20rpm)のものが好ましく使用できる。カルボキシビニルポリマーとして、より具体的には、市販のもの、例えば、カーボポール971P(商品名) (Lubrizol AdvancedMaterial Inc.,表示粘度:6420mPa・s)、カーボポール974P(商品名)(Lubrizol AdvanceMaterial Inc., 表示粘度:32850mPa・s)、カーボポール974P NF(Lubrizol AdvanceMaterial Inc.,)、ハイビスワコー103(商品名)(和光純薬工業,表示粘度:15000mPa・s)、ハイビスワコー104(商品名)(和光純薬工業,表示粘度:26000mPa・s)、ハイビスワコー105(商品名)(和光純薬工業,表示粘度:4000mPa・s)などを用いることができる。
用いられるアルギン酸ナトリウムは、特に限定されないが、表示粘度が600mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。表示粘度が、さらに800〜1600mPa・sのものが好ましい。アルギン酸ナトリウムとして、より具体的には、市販のもの、例えば、キミカアルギンI−8(キミカ社、表示粘度、800〜900mPa・s(1%,20℃))、ダックアルギン(商品名)(紀文フードケミファ、表示粘度:850mPa・s)、ダックアルギンNSPH2(キッコーマンバイオケミファ(株))などを用いることができる。
いくつかの態様では、バンドシール中の金属架橋増粘剤の含有量は、5質量%〜90質量%が好ましく、より好ましくは、10質量%〜70質量%である。
ここで、本明細書において「〜」を用いて示された数字範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。また、本明細書において、特に断らない限り、数値は±10%の幅を有する。
本明細書において、多価金属化合物とは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、鉄、亜鉛などの多価金属の水溶性塩を意味する。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリミョウバン、塩化鉄ミョウバン、アンモニウムミョウバン、硫酸第二鉄、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、クエン酸鉄、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、硫酸亜鉛又はそれらの水和物等が挙げられる。好ましくは、塩化カルシウム又はその水和物であり、さらに好ましくは、塩化カルシウム2水和物である。これらの多価金属化合物は、市販品を入手して使用することが可能である。多価金属化合物から生成する多価金属イオンは、具体的には、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、二価もしくは三価鉄イオン、亜鉛イオン等が挙げられる。好ましくは、カルシウムイオンである。
いくつかの態様では、バンドシール中の多価金属化合物の含有量は、0.1質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは、0.2質量%〜10質量%である。
バンドシールは、好ましくは、第1の金属架橋増粘剤の他に、第2の増粘剤を含有する。
第2の増粘剤は、例えば、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、マクロゴール4000、マクロゴール6000、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種である(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)。好ましくは、第2の増粘剤は、キサンタンガム、グアガム、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種であり(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、より好ましくはキサンタンガムである。これらは市販品を入手して使用することが可能である。
バンドシールが、第1の金属架橋増粘剤とは異なる第2の増粘剤を含有することにより、第1の金属架橋増粘剤の過度のゲル化を抑制し、粘度やなめらかさを調節することができる。
第2の増粘剤として用いられるキサンタンガムは特に限定されないが、表示粘度が600mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。さらに表示粘度が800〜1600mPa・sのものが好ましい。キサンタンガムとして、より具体的には、市販のもの、例えば、KeltrolCG−T(商品名)(三晶、表示粘度:1555mPa・s)、KELTROL F(三晶)、サンエース(商品名)(三栄源エフ・エフ・アイ、表示粘度:1600mPa・s)などを用いることができる。
第2の増粘剤として用いられるグアガムは特に限定されないが、表示粘度が 600mPa・s以上(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましく使用できる。さらに表示粘度が800〜1600mPa・s(1%/1%KCl溶液、25℃)のものが好ましい。グアガムとして、より具体的には、市販のもの、例えば、グアーガムRG100(商品名)(エムアールシーポリサッカライト、表示粘度:1100mPa・s)を用いることができる。またビストップD−2029(商品名)(三栄源エフ・エフ・アイ、表示粘度:約450mPa・s(0.5%))も用いることができる。
第2の増粘剤として用いられるアルギン酸ナトリウムは、前記第1の金属架橋増粘剤において説明したものと同じものである。
いくつかの態様では、バンドシール中の第2の増粘剤の含有量は、5質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜60質量%がより好ましい。
バンドシール中の、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤を合わせた増粘剤全体の含有量は、好ましくは30質量%〜90質量%であり、より好ましくは45質量%〜90質量%であり、さらに好ましく45質量%〜80質量%である。
好ましくは、バンドシール中の第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤の質量比(第1の金属架橋増粘剤:第2の増粘剤)は、1:10〜10:1であり、より好ましくは、1:5〜5:1であり、さらに好ましくは、1:3〜3:1である。
バンドシールは、このような組成をとることにより、バンドシールの製造時、バンドシール液のカプセルへの付着性がよく、塗布に適する粘度とすることが可能となる。
好ましくは、バンドシールは、さらに、ヒドロキシプロピルセルロース(本明細書において「HPC」という場合がある)およびHPCと同様に使用できる成分等を含んでいてもよい。HPCおよびHPCと同様に使用できる成分は、アルコールに溶解して適度な粘性が得られるため、後述のバンドシール液の調製時に分散粒子の均一な分散を保つ上で有利である。また、結合剤として、バンドシール液中の分散粒子のカプセル表面への付着を助けるとともに、滑らかなバンドシールを形成することできる。より好ましくは、HPCである。
バンドシールのために用いることができるヒドロキシプロピルセルロースとしては、特に限定されないが、低粘度のものが好ましく、10mPa・s(2%、20℃)以下のものが好ましい。ヒドロキシプロピルセルロースとして、より具体的には、市販のもの、例えば、HPC−L(商品名)(日本曹達、表示粘度:6.0〜10mPa・s)、HPC−SL(商品名)(日本曹達、表示粘度:3.0〜5.9mPa・s)などを用いることができる。
前記HPCと同様に使用できる成分としては、例えば、エチルセルロース、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ショ糖脂肪酸エステル、ロジンなどが挙げられる。これらの成分は、結合剤、粘稠剤などの作用を有し、HPCと同様に使用することができる。これらは市販品を入手可能である。
別のいくつかの態様では、バンドシール中のヒドロキシプロピルセルロースおよびHPCと同様に使用できる成分の全体の含有量は、0質量%〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは、5質量%〜30質量%である。
好ましくは、バンドシールは、さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(本明細書において「HPMC」という場合がある)およびHPMCと同様に使用できる成分を含んでいてもよい。HPMCおよびHPMCと同様に使用できる成分は、エタノールにほとんど溶けず、バンドシールの製造時、後述のバンドシール液の粘度を調整し、また、増粘剤成分の分散性を向上させることができる。そのため、バンドシールの表面がなめらかになり、かつ、水存在下での滑り性が向上する効果が得られる。より好ましくは、HPMCである。
バンドシールに用いられるヒドロキシプロピルメチルセルロースは、特に限定されないが、粘度が100mPa・s以下のものが好ましく、10mPa・s以下のものがより好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースとして、より具体的には、市販のもの、例えば、TC−5E(商品名)(信越化学、表示粘度:3mPa・s)、TC−5R(商品名)(信越化学,表示粘度:6mPa・s)などを用いることができる。
前記HPMCと同様に使用できる成分としては、例えば、メチルセルロース、マンニトール、カルナウバロウ、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、乳糖水和物、ヒドロキシエチルセルロースなどが挙げられる。これらの成分は、分散剤、崩壊剤などの作用を有し、HPMCと同様に使用することができる。これらは市販品を入手して使用することが可能である。
好ましくは、バンドシール中のHPMCおよびHPMCと同様に使用できる成分の全体の含有量は、0質量%〜40質量%が好ましく、より好ましくは、5質量%〜30質量%である。
好ましくは、バンドシールは、さらに、可塑剤および/または界面活性剤を含んでいてもよい。可塑剤および/または界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、ポリソルベート80、グリセリン、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、モノステアリン酸グリセリン、および、ステアリルアルコールなどが挙げられ、より好ましくは、ポリソルベート80である。これらは市販品を入手して使用することが可能である。
ただし、第2の増粘剤がマクロゴール4000である場合には、可塑剤および/または界面活性剤としてマクロゴール4000以外のものを用いる。また、ただし、第2の増粘剤がマクロゴール6000である場合には、可塑剤および/または界面活性剤としてマクロゴール6000以外のものを用いる。
バンドシールに可塑剤および/または界面活性剤を配合することにより、バンドシールの製造時、後述のバンドシール液の粘度の調製が可能となり、また、バンドシールの表面のワレを防ぎ、なめらかにする効果、あるいは、カプセル表面への付着性向上が期待できる。
バンドシールは、可塑剤および/または界面活性剤として、グリセリンを含有してもよい。用いられるグリセリンは、特に限定されないが、定量の際、換算した脱水物に対し、グリセリン98.0%以上を含む、濃グリセリンが好ましい。これらは市販品を入手可能である。グリセリンは、バンドシール中で可塑剤として働き、バンドシールが水に接触したときのゲルの膨潤を促進する効果も有すると考えられる。
好ましくは、バンドシール中の可塑剤および/または界面活性剤の全体の含有量は、0質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。
好ましくは、バンドシールは、さらに、糖および/または糖アルコールを含んでいてもよい。バンドシールに用いられる糖および/または糖アルコールは、特に限定されないが、好ましくは、20℃の溶解度が30以上のものであり、より好ましくは、50以上のものである。溶解度とは、100 gの水に溶解する溶質の最大質量(g)を意味する。
糖および/または糖アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、ショ糖、果糖、乳糖水和物、ブドウ糖、トレハロース、スクラロース、マルトース、エリスリトール、マルチトール(還元麦芽糖水飴)、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ラクチトール等が挙げられる。口に入れたときに適度な甘みを感じるエリスリトール、スクラロースやマルチトールは、服用感の点で好ましい。また、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、スクラロースは吸湿性が低く、製剤の保存安定性上特に好ましい。これらは市販品を入手して使用することが可能である。
バンドシールが、糖および/または糖アルコールを含有することにより、水と接触することで増粘剤によるゲルの膨潤を速めることができ、速やかに嚥下しやすい滑り性を得ることが可能となる。また、適度な甘みを感じることで嬌味性および/または服用感が向上する。
好ましくは、バンドシール中の糖および/または糖アルコールの全体の含有量は、0質量%〜50質量%が好ましく、0質量%〜40質量%がより好ましい。
いくつかの態様では、バンドシールは、さらに、エリスリトール、カンテン末、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、タルク、およびポビドンからなる群から選択される少なくとも1種の崩壊剤を含有してもよい。
バンドシールは、本発明の効果を妨げない限り、製剤学的および/または食品に使用可能な添加剤をさらに含有してもよい。そのような添加剤としては、例えば、安定化剤、賦形剤、結合剤、懸濁剤、コーティング剤、抗酸化剤、滑沢剤、分散剤、流動化剤、香料、甘味剤、嬌味剤、着色剤などが挙げられるがこれらに限定されない。
いくつかの好ましい態様では、バンドシールが含有する成分として、以下の組み合わせを例示することができる。

(1)カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、およびエリスリトールの組み合わせ;
(2)アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、およびエリスリトールの組み合わせ;
(3)ペクチン、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、およびエリスリトールの組み合わせ;
(4)ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、およびエリスリトールの組み合わせ;
(5)カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、およびスクラロースの組み合わせ;
(6)アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、およびスクラロースの組み合わせ;
(7)カルボキシビニルポリマー、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、スクラロース、およびクロスポビドンの組み合わせ;または
(8)アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、塩化カルシウム、HPC、HPMC、ポリソルベート80、スクラロース、およびクロスポビドンの組み合わせ。
用いられるカプセルは、特に限定されないが、好ましくは硬カプセルである。
カプセルの材質は、例えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、プルラン、キトサン、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および、カラギーナンなどが挙げられるが、これらに限定されない。より好ましくは、ゼラチンおよび/またはHPMCを含有するカプセルである。
カプセルの大きさは、例えば、日本薬局方、米国薬局方(The United States Pharmacopeia)または欧州薬局方(European Pharmacopoeia)に記載の、000号(長径約26mm)、00号(長径約25mm)、0号(長径約22mm)、1号(長径約19mm)、2号(長径約18mm)、3号(長径約16mm)、4号(長径約15mm)、5号(長径約11mm)などが挙げられるが、これらに限定されない。
用いられるカプセルの内容物は、例えば、医薬品、医薬部外品、健康食品、食品などが挙げられるが、これらに限定されない。
好ましくは、バンドシールは、硬カプセルのボディ部とキャップ部を封緘(シール)することによりボディ部とキャップ部との嵌合部から内容物が漏出することを防止しうる。また、バンドシールによりカプセルの密封性を高めることで、酸素に不安定な内容物が劣化することを防止しうる。
従って、バンドシールは、好ましくは、カプセル嵌合部の密着性や、カプセル内容物の漏出が問題となりやすい物質(例えば、液体、および粉末)、酸化が問題となる物質などに適用されることが望ましい。
バンドシールは、好ましくは、硬カプセルのボディ部とキャップ部の嵌合部に、キャップ部の端縁部を中心として、それを跨ぐように一定の幅で、ボディ部とキャップ部の表面に、その円周方向に形成される。このとき、バンドシールの幅は、必ずしも並行である必要はない。
いくつかの態様では、バンドシールの幅は、カプセル結合時の長径の5%〜90%が好ましく、より好ましくは5%〜85%である。
カプセルの中央部が略円柱形状で、その両端に略半球形状(ラウンド部)をもつカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、カプセルの略円柱形状の範囲内であり、略円柱形状の表面全体を覆う幅であってもよい。本明細書において「円柱」とは、長方形の一つの辺を軸として長方形を一回転させてできる立体をいう。
バンドシールの幅が広いほど、バンドシールを有するカプセルの滑り性がよくなる傾向が得られたことから、幅を広くすることも好ましい。バンドシールは、カプセル先端のラウンド部を覆わないものであるのがより好ましい。
別のいくつかの態様では、バンドシールの幅は、カプセル結合時の長径の5%〜60%であることが好ましく、より好ましくは、10%〜50%である。
いくつかの態様では、バンドシールの幅は、カプセルの大きさにより異なり、特に限定されないが、好ましくは、1mm〜22mmであり、より好ましくは3mm〜15mmである。
具体的には、000号(長径約26mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、2mm〜20mmであり、より好ましくは、3mm〜19mmである。
00号(長径約25mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、2mm〜19mmであり、より好ましくは、3mm〜18mmである。
0号(長径約22mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、2mm〜16mmであり、より好ましくは、3mm〜15mmである。
1号(長径約19mm)または2号(長径約18mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、2mm〜14mmであり、より好ましくは、3mm〜13mmである。
3号(長径約16mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、2mm〜12mmであり、より好ましくは、3mm〜11mmである。
4号(長径約15mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、2mm〜10mmであり、より好ましくは、3mm〜9mmである。
5号(長径約11mm)のカプセルの場合、バンドシールの幅は、好ましくは、1mm〜8mmであり、より好ましくは、2mm〜7mmである。
バンドシールの厚みは、特に限定されないが、好ましくは、1〜550μmであり、より好ましくは、5μm〜500μmであり、さらに好ましくは、5μm〜300μmである。バンドシールの厚みの測定方法は、種々の市販されている測定機器で測定でき、特に限定されないが、例えば、外側マイクロメータ MCD-25MJT((株)ミツトヨ)などで測定してもよい。
バンドシールにおける、各成分の粒子径は、100μm以下であることが好ましく、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下である。バンドシール中の各成分の粒子径が一定値以下であることは、製造時に粒子の分散性がよく、なめらかで外観のよいバンドシール形成に寄与しうる。
ここで、本明細書において、粒子径は、公知の測定方法を用いて測定できるが、3次元X線顕微鏡(X線CT)により測定したものが好ましい。
バンドシールは、第1の態様のバンドシールの前述の成分を含有する1種の層であってもよい。このとき、後述のとおり、バンドシール液のカプセルへの塗布は1回ないし複数回(例えば、5回、4回、3回、および2回)行われてもよい。
また、バンドシールは、多価金属化合物を含有する層(「b層」という場合がある)と、金属架橋増粘剤を含有する層(「a層」という場合がある)との2種の層を重ね合わせて形成されてもよい。このとき、2種の層は、後述の製造方法により得ることができ、各層はどちらが内層であってもよい。例えば、a層が内層であり、b層が外層であってもよいし、あるいはb層が内層であり、a層が外層であってもよい。このとき、後述のとおり、各々のバンドシール液の塗布は1回ないし複数回行われてもよい。
a層の厚さは、好ましくは1μm〜450μmであり、より好ましくは5μm〜400μmである。
b層の厚さは、好ましくは0.1μm〜100μmであり、より好ましくは0.5μm〜70μmである。
a層とb層の厚さの比は、好ましくは100:1〜2:1であり、より好ましくは80:1〜3:1である。
いくつかの態様では、カプセルとバンドシールの間にアンダーコートを設けてもよい。
カプセルにアンダーコートを設けることにより、カプセルの封緘性が高まり、製造および/または保存中にカプセルの内容物がバンドシールに移動してバンドシール中の金属架橋増粘剤がゲル化する等を防ぐことができる。
アンダーコートは、カプセルにシールを施すことができるものであればよく、特に限定されないが、例えば、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、アクリル酸エステル・メタクリル酸エステルの共重合体などからなる群から選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。アンダーコートの作製は、常法に従って、後述のバンドシールの製造方法に準じて行うことができる。
いくつかの態様では、アンダーコートの幅は、前述のバンドシールの幅と同様である。
アンダーコートの厚さは、好ましくは0.1μm〜50μmであり、より好ましくは0.5μm〜30μmである。
バンドシールを有するカプセルは、好ましくは、防湿性のあるPTP(press through pack)シート等で保存されることが好ましい。
好ましい態様のカプセルは、上記のようなバンドシールを施すことにより、バンドシールのないカプセルと比較して、硬カプセルの封緘(シール)ができて内容物の漏出を抑制する、および唾液や水の存在によりカプセルの滑り性が向上する、の少なくとも1つの効果を発揮する。
2.組成物
第2の態様の組成物について説明する。
第2の態様の組成物は、少なくとも、金属架橋増粘剤、および、多価金属化合物を含有する組成物であり、好ましくは、
a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、b) 多価金属化合物、並びに、c) 第2の増粘剤を含有する組成物である(以下、本明細書において、「第2の態様の組成物」という場合がある)。
a), b), およびc)の各成分の詳細、含有量、好ましい態様などは、第1の態様の記載に準じる。
第2の態様の組成物は、上記成分以外にも、第1の態様に記載の成分を用いてもよく、それらの成分の例や、好ましい含有量、好ましい態様なども、第1の態様の記載に準じて行うことができる。
第2の態様の組成物は、好ましくは、カプセルや錠剤等の固形物の表面上の組成物である。より好ましくは、第2の態様の組成物は、当該固形物の表面の一部を被覆する被覆物であり、固形物の表面の全面を被覆しない。第2の態様の組成物がカプセル表面に存在する場合、好ましくは、該組成物はカプセル表面の略円柱形状の範囲内に存在する。
好ましくは、前記固形物の最外層は、ゼラチンおよび/またはHPMCを含有することが望ましい。
好ましくは、第2の態様の組成物は、固形物の表面上の乾燥状態の組成物である。
より好ましくは、第2の態様の組成物中の、該組成物中の第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤を合わせた増粘剤全体の含有量は、好ましくは30質量%〜90質量%であり、より好ましくは45質量%〜90質量%であり、さらに好ましくは45質量%〜80質量%である。第2の態様の組成物は、このような組成をとることにより、カプセルや錠剤など固形物への付着性がよく、塗布に適する組成物である。いくつかの態様では、第2の態様の組成物は、前記固形物へ塗布するための組成物であってもよい。
第2の態様の組成物は、好ましくは、カプセルや錠剤等の固形物を嚥下しやすくする効果を有する。
また、第2の態様の組成物は、好ましくは、本発明の第4の態様のバンドシールを有するカプセルの製造方法に準じて作製することができる。
3.バンドシール液
第3の態様は、バンドシール液である。以下では、バンドシール液について説明する。
本明細書において、「バンドシール液」とは、カプセルにバンドシールを形成するための液である。本明細書において、「バンドシール液」または「液」は、成分が溶解している溶液のみならず、成分が分散している分散液や懸濁液であってもよい。
本発明は、多価金属化合物と組み合わせて用いられる、少なくとも、金属架橋増粘剤および溶媒を含有するバンドシール液を提供する。より好ましくは、
b) 多価金属化合物と組み合わせて用いられる、
a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
c) 第2の増粘剤、並びに
d)アルコール、および、水とアルコールの混合溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒
を含有する、カプセルのバンドシール液を提供する。
本明細書において、当該バンドシール液を「第3の態様のバンドシール液」という場合がある。
バンドシール液に用いられる、非溶媒成分、具体的には、a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、b) 多価金属化合物、並びに、c) 第2の増粘剤の詳細、好ましい含量、好ましい態様などは、第1の態様に記載に準じる。
バンドシール液は、非溶媒成分として、上記の成分以外にも、第1の態様に記載の成分を用いてもよく、それらの成分の例や、好ましい含有量、好ましい態様なども、第1の態様の記載に準じて行うことができる。
本明細書において「非溶媒成分」とは、バンドシール液中の溶媒以外の成分をいい、上記のとおり、例えば、第1の金属架橋増粘剤、多価金属化合物、第2の増粘剤、その他、HPCやHPMCなど第1の態様に記載された成分が挙げられる。
ここで、第1の態様で好ましいものとして示したバンドシール中の各成分の含有量は、後述の1種の液の場合には、第3の態様の好ましいバンドシール液では、バンドシール液中の全非溶媒成分に対する各成分の含有量に対応する。
また、第1の態様で好ましいものとして示したバンドシール中の各成分の含有量は、後述の2種の液の場合には、第3の態様の好ましいバンドシール液では、2種の液の全非溶媒成分に対する各成分の含有量に対応する。
バンドシール液に用いられる溶媒は、少なくとも非水溶媒を含む溶媒であって、特に限定されないが、好ましくは、アルコール、および、水とアルコールの混合溶媒からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。中でもアルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノールあるいは無水エタノールが好ましい。ここで、エタノールは、エタノール (CO)95.1〜96.9vol%以上を含有し,無水エタノールは、エタノール99.5vol%以上含有するものをいう。より好ましくは、無水エタノールである。
好ましい態様において、溶媒として非水溶媒、具体的にはエタノールまたは無水エタノールを用いることにより、バンドシール液中の金属架橋増粘剤が、実質的に多価金属イオンにより架橋されておらず、カプセルに塗布しやすい性状および粘度のバンドシール液を得ることができる。
別の好ましい態様において、溶媒が水を含有するとき、バンドシール液中の金属架橋増粘剤が、多価金属イオンにより架橋され、バンドシール液の粘度が上昇する。このとき、バンドシール液をカプセルに塗布可能な粘度にするために、溶媒中の水の量を調節する、あるいは、バンドシール液中の金属架橋増粘剤の量および/または多価金属化合物の量を調節するなどの調整を行ってもよい。
バンドシール液は、好ましくは、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤(本明細書中、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤を、単に「増粘剤」という場合がある)を、溶媒の容積に対して、5.5w/v%〜30w/v%、より好ましくは、5.5w/v%〜25w/v%の濃度で含有することが好ましい。
また、バンドシール液は、多価金属化合物を含む全非溶媒成分を1種の溶媒に含有させる場合、非溶媒成分を、溶媒の容積に対して、9w/v%〜40w/v%の濃度で含有することが好ましく、より好ましくは、10w/v%〜40w/v%の濃度で含有し、さらに好ましくは、14w/v%〜35w/v%で含有し、特に好ましくは、15w/v%〜30w/v%の濃度で含有する。
また、バンドシール液が、後述のとおり、金属架橋増粘剤を含むバンドシール液と、多価金属化合物を含む液の2種のセットとなるように用いられる場合には、金属架橋増粘剤を含むバンドシール液中の非溶媒成分を、バンドシール液の溶媒の容積に対して、7w/v%〜40w/v%の濃度で含有することが好ましく、より好ましくは8w/v%〜35w/v%の濃度で含有する。
このようにバンドシール液中の増粘剤および/または全非溶媒成分の濃度を比較的高めに設定することで、適度な粘度のバンドシール液が得られ、カプセルへの付着性がよくなり、簡便にバンドシールを塗布することが可能となる。
好ましい態様では、バンドシール液は、非溶媒成分、例えば増粘剤を、前述の溶媒に溶解および/または均一に分散させることが望ましい。このため、例えば、増粘剤を予め粉砕する、増粘剤と分散剤を予め混合するなどの処理を行うことが望ましい。ここで、分散剤としては、例えば、HPMC、結晶セルロース、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。
ここで、バンドシール液が、「b) 多価金属化合物と組み合わせて用いられる」とは、(i)多価金属化合物が、金属架橋増粘剤と同じ溶媒に含まれるように、すなわち、1種のバンドシール液を調製するように用いられること、あるいは(ii)多価金属化合物が金属架橋増粘剤とは別の溶媒に含まれるように、すなわち、金属架橋増粘剤を含むバンドシール液と、多価金属化合物を含む液の2種の液のセットとなるように用いられること、を意味する。
いくつかの態様では、バンドシール液は、金属架橋増粘剤と多価金属化合物を含有する1種の液である。例えば、バンドシール液は、第1の金属架橋増粘剤、多価金属化合物、および第2の増粘剤を含む全成分を1種の溶媒に含有させてもよい。
また、別のいくつかの態様では、バンドシール液は、多価金属化合物を含有せず、金属架橋増粘剤、例えば、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と溶媒とを含有する液であり、多価金属化合物と溶媒とを含む液とのセットで用いられる。このとき、バンドシール液、および多価金属化合物と溶媒とを含む液に添加する他の成分は、これら2種の液のいずれかに含有させることが好ましい。この態様における「非溶媒成分」とは、特に断らない限り、バンドシール液、および、多価金属化合物を含有する液に含まれる溶媒以外の成分の全ての成分をいう。
4.製造方法
第4の態様は、バンドシールを有するカプセルの製造方法である。以下では、バンドシールを有するカプセルの製造方法を説明する。
バンドシールを有するカプセルの製造方法は、少なくとも第3の態様のバンドシール液をカプセルに塗布する工程を含む。ここで第3の態様のバンドシール液は前述のとおりである。
いくつかの態様では、前記バンドシール液をカプセルに塗布する工程が、
多価金属化合物と溶媒とを含有する液を塗布する工程と、
カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属架橋増粘剤と溶媒とを含有するバンドシール液を塗布する工程とを含む。ここでバンドシール液、および多価金属化合物と溶媒とを含有する液は、第3の態様のバンドシール液で説明した通りである。
別のいくつかの態様では、前記バンドシール液をカプセルに塗布する工程が、
a) カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される第1の金属架橋増粘剤、
b) 多価金属化合物、
c)第2の増粘剤、並びに、
d) アルコール、および、水とアルコールの混合溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒
を含有するバンドシール液を塗布する工程を含む。ここでバンドシール液は、第3の態様のバンドシール液として前記した通りである。
バンドシールを有するカプセルの製造方法は、好ましくは、バンドシールを塗布する工程の後に、さらに、塗布部を乾燥させる工程を含む。
好ましくは、増粘剤を溶媒に溶解および/または分散させる前に、増粘剤を粉砕する工程および/または増粘剤と分散剤を予め混合する工程を含むようにしてもよい。
バンドシール液のカプセルへの塗布は、常法に従って行われ、特に限定されないが、例えば、市販のバンドシール機を用いた塗布、あるいは、筆やブラシ、ヘラを用いた塗布が挙げられる。
いくつかの態様では、好ましくは、バンドシール液のカプセルへの塗布は、スプレーコーティングを用いない。
バンドシールを有するカプセルの製造方法において、好ましいバンドシールの位置、幅、厚みなどは、第1の態様に記載のとおりである。
いくつかの態様では、第3の態様のバンドシール液をカプセルに塗布する工程において、多価金属化合物も含めた非溶媒成分の全成分と溶媒とを含有するバンドシール液が用いられてもよい。このとき、バンドシール液の塗布は1回ないし複数回(例えば、5回、4回、3回または2回)重ねて塗布してもよい。複数回塗布する場合は、塗布と塗布の間に乾燥の工程を入れることが好ましい。
また、別のいくつかの態様では、第3の態様のバンドシール液をカプセルに塗布する工程が、
多価金属化合物と溶媒とを含有する液を塗布する工程と、
カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属架橋増粘剤と溶媒とを含有するバンドシール液を塗布する工程を含み、各液はカプセルに重ね合わせて塗布される。
ここで、「重ね合わせて塗布される」とは、一方の液がカプセルに塗布された後に、他方の液がその上に塗布されることを意味する。
このとき、各液を塗布する工程は、いずれが先であっても後であってもよい。また、各液は1回ないし複数回(例えば、5回、4回、3回または2回)塗布してもよい。塗布と塗布の間に乾燥の工程を入れることが好ましい。このようにして、前述の2種の層を重ねて形成されたバンドシールを形成することができる。
用いられるバンドシール機は、カプセルにバンドシールを施すことのできる機械であれば、特に限定されないが、バンドシール機として、例えば、HICAPSEAL15、またはHICAPSEAL40/100(クオリカプス株式会社)、Laboratory Model Capsule Banding Machine、LAB-TOP SEALING MACHINE(SCHAEFER TECHNOLOGIES社)などを用いることができる。
カプセルにバンドシール液を塗布した後は、バンドシール液中の溶媒を気化させて乾燥させることが好ましい。乾燥の手段は、特に限定されないが、例えば、自然乾燥、送風乾燥、乾燥機を用いた乾燥などが挙げられる。乾燥の温度も特に限定されないが、例えば、20℃〜60℃、好ましくは、室温、25℃〜30℃、あるいは、45℃〜50℃などで行ってもよい。
5.評価方法
第1の態様のバンドシールを有するカプセルは、以下のような評価方法を用いて効果を確認してもよい。
バンドシールを有するカプセルの滑り性は、当該カプセルのバンドシールが施されている部分と、バンドシールのない部分に水を0.05mL〜5mL滴下し、指先で滑り性を比較してもよい。このとき、バンドシールを施していない同カプセルを用いて比較を行ってもよい。カプセルのバンドシールが施されている部分が、バンドシールのない部分またはバンドシールを施していない同カプセルと比較して滑り性がよい場合には、当該カプセルは、カプセルの滑り性が向上したと評価できる。
バンドシールを有するカプセルの滑り性は、バンドシールを有するカプセルとバンドシールを施していない同カプセルの2種を準備し、それぞれ服用することにより、嚥下しやすさを評価してもよい。滑り性の評価時に限り、服用時の水は約10mLの少ない水等で行ってもよい。
バンドシールを有するカプセルが、バンドシールを施していないカプセルと比較して嚥下しやすいと評価される場合には、当該カプセルは、カプセルの滑り性が向上したと評価できる。
バンドシールの封緘性、および/または、カプセル内容物の漏出性を、次の評価方法で評価してもよい。
評価対象のバンドシールを有するカプセルに、カプセル内容物として、液体成分、例えば、それぞれゴマ油(市販品)、ゴマ油+無水エタノール、サラダ油(市販品)を充填し、室温、25℃〜30℃、あるいは、45℃〜50℃などで一定時間、例えば12時間、24時間、36時間あるいは40時間保存した後の内容物の漏出性を評価する。このとき、カプセルは複数個用いて評価されることが望ましく、また、評価対象のカプセルでバンドシールを施していないカプセルについても同様に試験を行い、漏出性を比較することが望ましい。
バンドシールを有するカプセルは、バンドシールを有しないカプセルと比較して、内容物の漏出性が抑制されていることが望ましい。
カプセル内容物の溶出性は、バンドシールを有するカプセルとバンドシールを施していない同カプセルの2種について、市販の溶出試験器を用いた溶出試験を行って評価してもよい。好ましい溶出試験の方法は、本明細書の実施例6に記載のとおりである。バンドシールを有するカプセルとバンドシールを施していない同カプセルとで比較し、一方の溶出時間が、他方の溶出時間の0.75倍〜1.25倍、好ましくは0.85倍〜1.15倍のとき、バンドシールは、カプセル内容物の溶出性に影響を与えないと評価されてもよい。
実施例1: カプセルのバンドシール用処方の検討(1)

表1の各処方を用いてバンドシール液を調製し、シャーレ上で外観および滑り性を評価した。表1は、溶媒の無水エタノール100mL中の各成分の添加量(g)を示す。
増粘剤のキサンタンガム(「KELTROL F」、(株)三晶)は既粉砕品を購入して使用し、カルボキシビニルポリマー(「CARBOPOL 974P NF」、Lubrizol Advances Materials INC.)は10μm以下、アルギン酸ナトリウム(「ダックアルギンNSPH2」、キッコーマンバイオケミファ(株))は50μm以下の粒子となるように、予め粉砕して用いた。
処方1−1: 表1に従い、塩化カルシウム2水和物(「塩化カルシウム水和物「製造専用」」、和光純薬工業(株))、および、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)(「HPC-L」、日本曹達株式会社)を無水エタノール(「エタノール(99.5)」、純正化学(株))に溶解して「塩化カルシウムを含有する1液」とし、約0.5mLをポリスチレン製のシャーレに滴下、乾燥させた。ヒドロキシプロピルセルロースを無水エタノールに溶解した液に、キサンタンガム、およびカルボキシビニルポリマーを分散させて「増粘剤を含有する2液」とし、前記シャーレ上の乾燥物の上に約0.5mL滴下し、乾燥させた。
処方1−2: 表1に従い、処方1−1に準じて調製した。処方1−2は、「増粘剤を含有する2液」がヒドロキシプロピルセルロースを含まない。
処方2−1: 表1に従い、塩化カルシウム2水和物、および、ヒドロキシプロピルセルロースを無水エタノールに溶解し、その溶液に、キサンタンガム、および、アルギン酸ナトリウムを分散させて、得られた調製物の約1mLをシャーレに滴下、乾燥させた。
処方3−1: 表1に従い、処方1−2に準じて、調製した。
各調製物をシャーレへ滴下した後の乾燥は、25℃〜30℃、または、45℃〜50℃の風でそれぞれ実施し、評価した。
外観の評価は、各シャーレ上の乾燥物の外観を目視し、A「外観に欠点がない」、B「外観にやや欠点がある」、C「外観に大きな欠点がある」の3段階で評価した。
滑り性の評価は、各シャーレ上の乾燥物の上に水を約0.1ml滴下し、指先で軽く混ぜた後に触感により、A「滑り性が極めてよい」、B「滑り性がよい」、C「滑り性に効果なし」の3段階で評価した。AまたはBの評価のとき、滑り性向上の効果あり、と評価した。
その結果、いずれの処方においても、乾燥に用いた風の温度の差は評価結果にほとんど影響を与えなかった。そのため、45℃〜50℃の風を用いたときの結果を表1に示す。
滑り性の評価では、いずれの処方もよい滑り性が得られたことが分かった。
外観の評価では、処方1−2、および2−1は、乾燥物がやや不均一であった。また、処方3−1は、乾燥物にワレがみられた。処方1−1は、乾燥物のワレはなく、不均一性はほとんどなかった。
Figure 0006944822
実施例2: カプセルのバンドシール用処方の検討(2)

(1)シャーレ上での評価
表2の各処方を用いてバンドシール液を調製し、シャーレ上で外観および滑り性を評価した。表2は、溶媒の無水エタノール100mL中の各成分の添加量(g)を示す。
実施例1の処方1−1を元に、処方量を変更した処方を1−3、1−4とし、処方1−1の調製方法に準じて調製した。「増粘剤を含有する2液」の調製は、複数の増粘剤は1成分ずつ添加、分散を行い、カルボキシビニルポリマーを最後に添加することとした。当該調製は、乳鉢を用いて実施した。
実施例1の処方2−1を元に、処方量を変更した処方を2−2とし、処方2−1の調製方法に準じて調製した。
比較例として、増粘剤を含有しない処方を4−1、4−2とした。
乾燥に用いた風の温度は、45℃〜50℃とした。
実施例1の評価基準を用いて評価を行った結果を表2に示す。
その結果、処方1−3および1−4は、処方1−1と比較して、滑り性は同等かやや優れる傾向がみられたが、外観の不均一、ざらつきが見られ、乾燥に時間を要した。これは、バンドシール液の粘度が高いことに起因すると考えられた。
処方2−2は、滑り性は極めてよく、表面は比較的均一で滑らかであった。一方、処方4−1、4−2の比較例は、滑り性に効果がないという結果であった。また、処方4−1、4−2は透明なフィルムを形成し、増粘剤を含む処方の外観と比較できなかったため、外観の評価を行わなかった。
(2)カプセルを用いた評価
表2に記載の処方1−4、2−2、4−1、および4−2について、カプセルに塗布したときの滑り性の評価を行った。
ゼラチンカプセルの1号または2号、HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)カプセル1号または2号に対して、カプセルの継ぎ目を中心に約5mmの幅(すなわち、カプセル1号の結合時の長径の約26%、およびカプセル2号の結合時の長径の約28%)となるように、筆(馬毛丸0号)を用いて各バンドシール液を塗布した。カプセルは空の状態であった。
カプセルへの塗布は、処方1−4については、実施例1の処方1−1に準じて、「塩化カルシウムを含有する1液」を塗布して乾燥後、「増粘剤を含有する2液」を塗布して乾燥させた。処方2−2については、実施例1の処方2−1に準じて全成分を含むバンドシール液を塗布し、乾燥させた。処方1−4、2−2とも、カプセル上の乾燥後のバンドシールの質量は約6mg程度であった。
評価は、カプセルのバンドシール上に水を約0.1mL滴下し、指先での滑り性を評価した。
結果を表2に示す。
その結果、いずれの処方についても、カプセルへの塗布、乾燥後に、バンドシールの脱落や亀裂は認められなかった。処方1−4、および処方2−2は、カプセルに塗布した場合にも、よい滑り性が得られた。処方2−2では、処方1−4と比較して、増粘剤のゲル化が早く感じられた。
本発明のバンドシールは、ゼラチンカプセルとHPMCカプセルのいずれに対してもバンドシールを施すことが可能であり、同等の評価結果が得られることが分かった。
Figure 0006944822
実施例3: カプセルのバンドシール用処方の検討(3)

(1)カプセルを用いた評価
表3の各処方を用いて、カプセルにバンドシールを施し、滑り性の評価を行った。表3は、溶媒の無水エタノール100mL中の各成分の添加量(g)を示す。
処方は、実施例1または2で検討した処方に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、「TC-5 E」、信越化学工業(株))、ポリソルベート80(「TO-10MV」、日光ケミカルズ(株))、および/または、エリスリトール(「エリスリトール微粉タイプ」、三菱化学フーズ(株))の既粉砕品を追加した処方とした。エリスリトールは粉砕後のものを用いた。
実施例2(2)のカプセルを用いた評価において、ゼラチンカプセルとHPMCカプセルとでは評価結果に差がみられなかったことから、本試験では、ゼラチンカプセルとHPMCカプセルのいずれかを任意で用いた。カプセルのサイズはいずれも2号を用いた。
処方1−6は、処方1−4に準じて、「塩化カルシウムを含有する1液」をカプセルに塗布、乾燥後、「増粘剤を含有する2液」を塗布、乾燥させた。
他の処方は、実施例1の処方2−1に準じて全成分を含むバンドシール液をカプセルに塗布後、乾燥させた。
カプセルへのバンドシール液の塗布は、処方1−5〜1−7は、バンドシール液が比較的高粘度であったため、ステンレス製ヘラを用いて行った。処方2−3〜処方2−7は、実施例2と同様に筆を用いてバンドシール液を塗布した。表3に記載の各処方で、カプセルの継ぎ目を中心に約5mmの幅(すなわち、カプセル2号の結合時の長径の約28%)となるように塗布した。乾燥は、45℃〜50℃の風で行った。カプセル上の乾燥後のバンドシールの質量(mg)を表中に示した。
処方1−5〜1−7は、バンドシールの厚みの測定(外側マイクロメータMCD-25MJT、(株)ミツトヨ)、および、カプセルを口に含んだときの味の評価を行った。
結果を表3に示す。
いずれの処方についても、極めてよい滑り性が得られた。
味の評価では、処方1−7は、エリスリトールを含有するため甘みが感じられ、嬌味効果が得られたことが分かった。
Figure 0006944822
(2)カプセルの強度試験
実施例3−(1)で作製した、処方2−3〜2−7のバンドシールを施したカプセルについて、高さ30cmから実験台(VALUEQUEST QCB-II、オリエンタル技研工業(株))上に3回落下させて、バンドシールの破損を確認した。
その結果、いずれのカプセルについても、バンドシールの破損は見られなかった。本発明のバンドシールは、カプセルに適用した場合にも、カプセル落下の衝撃に耐えられる強度を有することが分かった。
実施例4: バンドシール機を用いたバンドシールを有するカプセルの作製

バンドシール機(Laboratory Model Capsule Banding Machine(LAB-TOP SEALING MACHINE) SCHAEFER TECHNOLOGIES社)を用いて、その操作マニュアルに準じて、実施例2の処方1−4、および実施例3の処方2−6を室温にて、ゼラチンカプセル2号((株)松屋)にそれぞれバンドシールを施し、滑り性を評価した。
処方1−4は、「塩化カルシウムを含有する1液」を塗布して乾燥後、「増粘剤を含有する2液」を塗布して乾燥させて、バンドシールとした。
処方2−6は、全成分の調製物を塗布後、乾燥させてバンドシールとした。このとき、処方1−4、2−6とも、バンドシールの幅は、約3mm(すなわち、カプセル2号の結合時の長径の約17%)、厚みは、約100μmであった。
得られたカプセルのバンドシール上に、水を約0.1mL滴下し、指先で滑り性を評価した。処方1−4、処方2−6とも、優れた滑り性が得られたことが分かった。
また、実施例3−(2)に準じて、カプセルの強度試験を行ったところ、いずれのカプセルについても、バンドシールの破損は見られなかった。本発明のバンドシールは、バンドシール機により作製した場合も、優れた滑り性およびカプセル落下の衝撃に耐えられる強度を有していることが分かった。
実施例5: カプセル内容物の漏出性の評価

実施例4に準じて、バンドシール機を用いて、ゼラチンカプセル2号に処方2−6のバンドシールを施し、カプセル内容物の漏出の有無を評価した。バンドシールの幅は、約10mm(カプセル2号の結合時の長径の約56%)、厚みは約10μmであった。
カプセルに、以下の3種類の内容物をそれぞれ充填した。
内容物は、ゴマ油(純正ごま油、かどや製油(株))、ゴマ油+無水エタノール(前記ゴマ油に、無水エタノールを5%混合して使用)、および、サラダ油(さらさらキャノーラ油、(株)J-オイルミルズ)とした。
バンドシール有または無の、内容物を充填したカプセルについて、25℃の室内に約40時間静置後の内容物の漏出を観察した。結果は、(漏出がみられたカプセルの個数)/(試験を行ったカプセルの個数)として表した。
結果を表4に示す。
その結果、バンドシール無のカプセルは、一部、内容物の漏出がみられたのに対し、バンドシール有のカプセルでは、内容物の漏出が認められたものはなかった。
このように、本発明のバンドシールは、内容物の漏出を防ぐカプセルのシールとしての機能を果たすことが分かった。
Figure 0006944822
実施例6: カプセル内容物の溶出性の評価

実施例4に準じて、乳糖を充填したゼラチンカプセル2号にバンドシール機を用いて、処方2−6のバンドシールを施し、溶出試験機(溶出試験器、富山産業(株))にて、カプセル内容物の溶出性を評価した。
試料は、表5のとおり、3種を作製し、評価した。
試料番号6−2は、バンドシール機で、カプセルにバンドシール液を3mm幅(カプセル2号の結合時の長径の約17%)で2回塗布した。カプセルは、1回目の塗布後乾燥させ、2回目の塗布を行った。カプセル上の乾燥後のバンドシールの質量は約35mg、バンドシールの厚みは約80μmであった。
試料番号6−3は、バンドシール機で、カプセルにバンドシール液を7〜10mm幅で1回塗布した。カプセル上の乾燥後のバンドシールの質量は約40mg、バンドシールの厚みは約90μmであった。
溶出試験は、溶出試験機の各溶出槽(ベッセル)にシンカーに収めた各カプセルを1個入れ、精製水を溶出液として、37℃、50rpmの条件で、カプセル内の粉末が漏出するまでの時間を測定した(n=3)。
評価結果を表5に示す。
その結果、処方番号6−2および6−3のバンドシールを施したカプセルは、バンドシールなしのカプセルと比較して、カプセル内容物の溶出性に差がないことが分かった。以上より、本発明のバンドシールは、カプセル内容物の溶出性にほとんど影響を与えないことが示された。
Figure 0006944822
実施例7: 滑り性(服用感)の評価

実施例4に準じて、結晶セルロースを充填したゼラチンカプセル2号に、バンドシール機を用いて、処方2−6のバンドシールを施し、その服用感を評価した。
試料は、表6のとおり、3種を作製し、評価した。
試料番号7−2は、バンドシール機で、バンドシール液を5mm幅(カプセル2号の結合時の長径の約28%)で1回塗布し、乾燥させた。カプセル上の乾燥後のバンドシールの質量は約6mg、バンドシールの厚みは約80μmであった。
試料番号7−3は、バンドシール機で、バンドシール液を5mm幅(カプセル2号の結合時の長径の約28%)で3回塗布した。塗布と塗布の間には乾燥工程を入れた。カプセル上の乾燥後のバンドシールの質量は約20mg、バンドシールの厚みは約250μmであった。
評価は、3名の評価者(年齢:50代、40代、および30代)による服用感の評価を行った。評価は3段階で行い、バンドシールなしを基準(0点)として、滑り性が「ややよい」を1点、「よい」を2点とした。
結果を表6に示す。
試料番号7−2と7−3は、バンドシールなしと比較して、嚥下しやすい傾向がみられた。また、バンドシールの塗布量を増加させることにより、より服用感がよくなる傾向がみられた。
Figure 0006944822

Claims (22)

  1. バンドシールを有するカプセルであって、当該バンドシールは、
    a) 5質量%〜90質量%の、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
    b) 多価金属化合物、
    c) ヒドロキシプロピルセルロース、並びに、
    d) 5質量%〜70質量%の、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第2の増粘剤を含有する(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、カプセル。
  2. 第1の金属架橋増粘剤が、カルボキシビニルポリマーまたはアルギン酸ナトリウムである、請求項1に記載のカプセル。
  3. 第2の増粘剤が、キサンタンガム、グアガム、よび、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)である、請求項1または2に記載のカプセル。
  4. 多価金属化合物が、塩化カルシウム又はその水和物である、請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカプセル。
  5. バンドシールが、さらに、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、マンニトール、カルナウバロウ、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、コンドロイチン硫酸ナトリウム、乳糖水和物、および、ヒドロキシエチルセルロースからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1ないしのいずれか1項に記載のカプセル。
  6. バンドシールが、さらに、ポリソルベート80、グリセリン、マクロゴール600、マクロゴール1500、マクロゴール4000、マクロゴール6000、グリセリン脂肪酸エステル、クエン酸トリエチル、ソルビタン脂肪酸エステル、中鎖脂肪酸トリグリセリド、トリアセチン、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、モノステアリン酸グリセリン、および、ステアリルアルコールからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1ないしのいずれか1項に記載のカプセル。
  7. バンドシールが、さらに、エリスリトール、スクラロースおよびマルチトールからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカプセル。
  8. バンドシール中の、第1の金属架橋増粘剤と第2の増粘剤とを合わせた増粘剤の含有量が、45質量%〜90質量%である、請求項1ないしのいずれか1項に記載のカプセル。
  9. バンドシールの幅が、硬カプセル表面の略円柱形状の範囲内である、請求項1ないしのいずれか1項に記載のカプセル。
  10. バンドシールの幅が、硬カプセル結合時の長径の5%〜85%である、請求項1ないしのいずれか1項に記載のカプセル。
  11. バンドシールの幅が、1mm〜22mmである、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のカプセル。
  12. バンドシールの厚みが、5μm〜500μmである、請求項1ないし11のいずれか1項に記載のカプセル。
  13. バンドシール中の粒子の粒子径が、80μm以下である、請求項1ない12のいずれか1項に記載のカプセル。
  14. バンドシール中の、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムは、実質的に多価金属イオンにより架橋されていない、請求項1ないし13のいずれか1項に記載のカプセル。
  15. バンドシールが、多価金属化合物を含有する層と、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含有する層とが重ね合わせて形成された、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のカプセル。
  16. カプセルが、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、プルラン、キトサン、ポリビニルアルコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および、カラギーナンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1ないし15のいずれか1項に記載のカプセル。
  17. カプセルの大きさが、日本薬局方に記載の、000号、00号、0号、1号、2号、3号、4号、および5号からなる群から選択されるいずれか1種である、請求項1ないし16のいずれか1項に記載のカプセル。
  18. カプセルおよび/または錠剤の表面の一部を被覆する組成物であって、当該組成物は、
    a) 5質量%〜90質量%(組成物中の非溶媒成分に対する質量%、以下同じ)の、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
    b) 多価金属化合物、
    c) ヒドロキシプロピルセルロース、並びに、
    d) 5質量%〜70質量%の、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第2の増粘剤を含有する(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、組成物。
  19. b) 多価金属化合物と組み合わせて用いられる、
    a) 5質量%〜90質量%(バンドシール液中の非溶媒成分に対する質量%、以下同じ)の、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第1の金属架橋増粘剤、
    c) ヒドロキシプロピルセルロース、
    d)5質量%〜70質量%の、キサンタンガム、グアガム、ゼラチン、シクロデキストリン、デキストリン、トラガント、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリビニルアルコール、および、アルギン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の第2の増粘剤(ただし、第1の金属架橋増粘剤がアルギン酸ナトリウムである場合に、第2の増粘剤はアルギン酸ナトリウムではない)、並びに、
    e) アルコール、および、水とアルコールの混合溶媒からなる群から選択される少なくとも1種の溶媒を含有する、カプセルのバンドシール液。
  20. バンドシール液が、多価金属化合物を含有する、請求項19に記載のカプセルのバンドシール液。
  21. カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、および、ポリアクリル酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種と溶媒とを含有するバンドシール液、並びに、多価金属化合物と溶媒とを含有する液とがセットとなるように用いられる、請求項19に記載のバンドシール液。
  22. 請求項19ないし21のいずれか1項に記載のバンドシール液をカプセルに塗布する工程を含む、
    バンドシールを有するカプセルの製造方法。
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