JP6944241B2 - 架空電車線におけるわたり線装置及びわたり線装置の改修方法 - Google Patents

架空電車線におけるわたり線装置及びわたり線装置の改修方法 Download PDF

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Description

本発明は、分岐箇所を有する線路の上空に設けられた架空電車線において、電気車が本線から側線(副本線)へ分岐または側線から本線へ合流できるように本線及び側線の各トロリ線を近接配設してパンタグラフによる集電を可能とするわたり線装置であって、特に2本の線路間(本線間)を電気車が遷移時にパンタグラフを架空電車線に接触するおそれなく相互に移動可能にするわたり線装置及びわたり線装置の改修方法に関する。
従来、線路の分岐箇所において相互に電気車が走行できるよう、本線のトロリ線及び側線のトロリ線を近接させ、パンタグラフによる集電を可能とするわたり線装置が知られている。その代表的なものとして、交差金具を用いた交差わたり線装置がある。交差わたり線装置においては、分岐部上方の本線トロリ線を交差金具の下部に取り付け、交差金具に設けられている本線トロリ線と平行なパイプ部で、側線(副本線)のトロリ線を抑え込むようにして本線トロリ線の上で交差させている。このような交差金具およびそれを用いた交差わたり線については、例えば特許文献1に従来技術として記載されている。
このような交差金具を用いたわたり線装置においては、主要な電車線側の本線トロリ線へのパンタグラフの摺動を優先するため、側線(副本線)のトロリ線との間に高低差を設けており、本線トロリ線の方が低くなっている。本線では側線に比して電気車が高速走行するため架線の押し上げ量が大きくなることから、パンタグラフと側線側トロリ線とが接触しないような離隔を設けている。そのため、側線(副本線)の側から本線へ進出する際に、パンタグラフによる本線トロリ線の押し上げ力が大きくなり、本線トロリ線に偏摩耗が発生するおそれがある。また、交差金具を取り付けていることによりトロリ線に硬点ができ、局部摩耗の発生原因となっている。
そこで、交差わたり装置における上記のような問題点を解消するために、無交差式のわたり線装置が考えられた。無交差式のわたり線装置は、副本線トロリ線を本線トロリ線と交差させないで、分岐器上方で本線トロリ線に最も近づけることにより、副本線トロリ線側及び本線トロリ線側の両パンタグラフが共にスムーズに走行できるようにしたもので、本線走行時のパンタグラフは副本線トロリ線を摺動しないように、各トロリ線を必要最小限の高低差で配設する方式である。
しかしながら、無交差わたり線装置のように、本線走行時のパンタグラフが副本線トロリ線に接触しない架線構成で、かつ副本線からの進出・進入時に本線トロリ線に生じる偏摩耗を極力抑えるために、本線トロリ線と副本線トロリ線との高低差を必要最小限にするには、電柱の建植位置をはじめとして、ビーム、支線、腕金等で構成される支持物(可動ブラケット)を、相当厳密な正確さを有して適正位置に配設しなければならない。
ところが、一般に、トロリ線の支持物である電化柱もしくはビームは一度設備すると取り替えるときに非常に多くの労力や時間、そして多大な経費を要するために、簡単には取り替えることのできない設備である。特に高架橋においては、狭隘箇所にあらかじめ基礎部を新設時に作りこんでいる構造なので、建植位置の変更は現実的ではない。従って、既設設備を無交差化するには大規模な支持物改修工事が伴い、施工は困難である。
そこで、特許文献1は、支持物の大がかりな変更を伴うことなく、既設の交差式のわたり線装置を無交差化でき、硬点をなくして局部摩耗の解消や振動疲労特性の向上、そして偏摩耗を極力抑えることができるようにした無交差わたり線装置に関する発明を開示している。
特開平06−227296号公報
無交差わたり線装置は、走行する電気車のパンタグラフが走行中に側線(副本線)のトロリ線に接触しないようにして偏摩耗を抑制することはできるが、図9(A)に示すように、本線11から側線(副本線)12が分岐する箇所にのみ適用できるわたり線装置であって、図9(B)に示すように、上り本線と下り本線のような2本の線路11A,11B間で相互に電気車を移動可能にするための側線12が設けられている分岐箇所には適用することができない。仮に、図9(B)に示すような分岐箇所に無交差わたり線装置を適用したとすると、図9(C)に示すように、分割された側線トロリ線13A,13Bが配設される形態となり、破線Cで示す部分のトロリ線を形成することができない。
上述の特許文献1に開示されている無交差わたり線装置に関する発明も、本線トロリ線と副本線トロリ線との間に補助トロリ線を設けることによって、支持物の大がかりな変更を伴うことなく、走行する電気車のパンタグラフが走行中に副本線トロリ線に接触しないようにするものである。しかし、交差金具を用いた交差わたり線を無交差わたり線化するにしても、図9(A)に示すような本線から側線が分岐する箇所に限定されており、図9(B)に示すような分岐箇所に適用することができず、かかる箇所で側線に発生する偏摩耗を抑制することができる技術ではないという課題がある。
また、交差金具を用いたわたり線装置においても、本線を走行する電気車のパンタグラフが走行中に側線(副本線)のトロリ線に接触しないように、本線トロリ線と側線(副本線)のトロリ線との間の高低差が厳密に規定され、規定に従って各トロリ線の敷設工事が実施されている。しかし、交差箇所には循環電流による電線損傷を防止するため、本線トロリ線と側線(副本線)のトロリ線とを電気的に接続するコネクタと呼ばれる架線金具が設けられることがある。そして、このコネクタが交差金具の近傍に設けられていると、施工後に側線(副本線)のトロリ線の位置(高さ)が次第にずれてしまい、本線を走行する電気車のパンタグラフが走行中に側線(副本線)のトロリ線に接触して摩耗が生じ、断線が発生するおそれがあるという課題があることが明らかになった。
さらに、新幹線(登録商標)を含む高速鉄道において、速達性向上のため、既設路線での最高速度の向上を図る場合がある。しかし、列車の速度が速くなるとパンタグラフによるトロリ線の押し上げ量が増加することが知られている。また、高速走行時のトロリ線の押し上げ量が例えば100mmのような大きさになる場合には、従来の交差金具を用いた方式では、パンタグラフの側線(副本線)のトロリ線への接触を回避することができないことが明らかとなった。また、列車運行に影響を与えないようにするため、わたり線装置を改修するに際しては、営業列車が走行していない夜間の限られた時間帯での工事で済ませたいという要望がある。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、2本の線路間を電気車が相互に移動可能にする側線が設けられている分岐箇所において、交差金具を使用することなく、かつ支持物の建植位置を変更することなく、トロリ線間の高低差を確保して偏摩耗が発生するのを防止することができるわたり線装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、走行する列車の最高速度の向上を図る際に、交差金具を使用せずに、パンタグラフの側線(副本線)のトロリ線への接触を充分に回避することができるわたり線装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、営業列車が走行していない比較的短い時間帯を利用して工事を行い、既設の交差式わたり線を偏摩耗の発生を防止できる構造のわたり線に改修することができるわたり線の改修方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本出願に係る発明は、
2本の本線線路間で相互に電気車を移動可能にするための側線を備える分岐部において、前記本線線路に対応してそれぞれ設けられている本線トロリ線と、前記側線に対応して設けられている2本の側線トロリ線とが平面視で交差され、電気車が前記2本の本線線路または側線のいずれを走行する際にもパンタグラフによる集電が可能なわたり線装置であって、
前記本線トロリ線と側線トロリ線の平面視で交差する箇所において、前記本線トロリ線と前記2本の側線トロリ線とは、交差式わたり線装置で使用される交差金具で規定さる高さ以上の間隔をおいて高さ方向に離間され、かつ前記2本の側線トロリ線同士も少なくとも電気的分離に必要な距離だけ水平方向に平行に離間され、
前記2本の側線トロリ線のうち第1側線トロリ線は前記2本の本線線路のいずれか一方の本線トロリ線に近い側において、また第2側線トロリ線は前記2本の本線線路の他方の本線トロリ線に近い側において、それぞれ最も低い部位を有するカテナリ曲線を形成し、前記2本の側線トロリ線の前記最も低い部位は前記本線トロリ線のいずれの部位よりも低くなるように配設したものである。
上記のように構成された交差式のわたり線装置によれば、本線トロリ線と側線トロリ線の平面視で交差する箇所において、側線トロリ線が本線トロリ線から上方へ充分高い位置を通過するように配設されるため、交差金具を使用することなくトロリ線間の高低差を確保して、本線を走行する電気車のパンタグラフが側線トロリ線へ接触するのを回避し、側線トロリ線に偏摩耗が発生するのを防止することができる。また、本線から側線、側線から他方の本線へとパンタグラフの割り込みが無く、スムーズにパンタグラフが移行することが出来る。
また、望ましくは、前記2本の側線トロリ線は、いずれの部位においても、前記本線線路を電気車が走行する際にパンタグラフが最大移動可能であると想定される範囲に側線トロリ線の振れ幅を加えた範囲の外側に位置するように配設する。
かかる構成によれば、本線を電気車が高速で走行してもパンタグラフが側線トロリ線へ接触するのを回避し、側線トロリ線に偏摩耗が発生するのを防止することができる。
さらに、望ましくは、前記本線トロリ線が鋼芯系の線材で形成されている場合において、前記2本の側線トロリ線は銅系の線材で形成されているように構成する。
かかる構成によれば、側線トロリ線に鋼芯系の線材に比べて剛性の低い銅系の線材を用いているので、側線トロリ線を傾斜の大きなカテナリ曲線形状に容易に形成することができ、これによって本線トロリ線と側線トロリ線の平面視で交差する箇所において、側線トロリ線が本線トロリ線から上方へ充分高い位置を通過するように配設して、パンタグラフが側線トロリ線へ接触するのを回避することができる。
本出願に係る他の発明は、
本線トロリ線と側線トロリ線とが交差する箇所において、交差金具によって本線トロリ線と側線トロリ線とが所定の高低差を有して結合されている交差式のわたり線装置の改修方法において、
支持点の可動ブラケットを最終形態のわたり線に対応可能なものに改修する第1工程と、
本線トロリ線と側線トロリ線とを結合している交差金具を外す第2工程と、
本線トロリ線に対する側線トロリ線の偏位量を調整する第3工程と、
前記交差金具を新しい交差位置に移動して固定し、本線トロリ線と側線トロリ線とを結合する第4工程と、
前記側線トロリ線から前記交差金具を外す第5工程と、
交差金具を外した方の側線トロリ線を切断する第6工程と、
前記側線トロリ線の通過空間を移し変え、不足する分の補間トロリ線を追加して、切断状態のトロリ線間を接続金具を用いて結合する第7工程と、
前記側線トロリ線の最も低い部位が前記本線トロリ線の高さよりも低くなるカテナリ曲線となるように、当該側線トロリ線の各部の高さを調整する第8工程と、
可動ブラケットの支持金具を締め付けて側線トロリ線を固定する第9工程と、
を含むようにしたものである。
かかる方法によれば、第1工程〜第4工程を比較的短い時間内に完了できる上、第1工程〜第4工程を実施した時点で当該分岐箇所を電気車が走行できる状態になるとともに、第5工程〜第9工程も比較的短い時間内に完了できる。そのため、わたり線装置の改修工事を複数日に分割して実施することが可能となり、営業列車が走行していない比較的短い時間帯を利用して工事を行い、既設の交差式わたり線を、偏摩耗の発生を防止できる構造のわたり線に改修することができる。
また、望ましくは、前記第1工程〜第4工程を1日目に実施し、
側線に沿って配設されている2本の側線トロリ線のうち一方について、前記第5工程〜第9工程を2日目に実施し、
側線に沿って配設されている2本の側線トロリ線のうち他方について、前記第5工程〜第9工程を3日目に実施するようにする。
これにより、既設の交差式わたり線を偏摩耗の発生を防止できる構造のわたり線に改修する工事を、時刻表(列車ダイヤ)を変更したり運行中止の列車を生じさせることなく3日間で完了することができる。
本発明のわたり線装置によれば、2本の線路間を電気車が相互に移動可能にする側線が設けられている分岐箇所において、交差金具を使用することなくトロリ線間の高低差を確保して偏摩耗が発生するのを回避することができる。また、本発明のわたり線装置の改修方法によれば、営業列車が走行していない比較的短い時間帯を利用して工事を行い、既設の交差式わたり線を偏摩耗の発生を回避できる構造のわたり線に改修することができることができるという効果がある。
(A)は本発明に係るわたり線装置を適用して好適な分岐部の線路状態を示す平面図、(B)は(A)に示す分岐部に設けられるわたり線装置の概略を示す平面図、(C)はわたり線装置全体における2本の側線トロリ線の高さ関係を模式的に示す側面図である。 図1(A)に示すわたり線装置の一方の分岐箇所に対応した部位の構成をより詳細に示す平面図である。 (A),(B),(C)は図2に示す理論移行点P1、移行終始点P2、架線近接終始点P3におけるパンタグラフの支障限界範囲と本線トロリ線および側線トロリ線との関係を示す説明図である。 (A),(B)は従来の無交差わたり線装置と本発明に係るわたり線装置における側線トロリ線の逃がし方の差異を模式的に示すもので、(A)は本発明に係るわたり線装置におけるパンタグラフと本線トロリ線および側線トロリ線との関係を示す説明図、(B)は従来の無交差わたり線装置におけるパンタグラフと本線トロリ線および側線トロリ線との関係を示す説明図である。 本発明の実施形態のわたり線装置の一方の分岐箇所における本線トロリ線と側線トロリ線との高さ関係を示す説明図である。 (A)は従来の交差金具を使用した既設のわたり線装置における本線トロリ線と側線トロリ線とがなす角度を示す平面図、(B)は本発明を適用して改修した交差式わたり線装置における本線トロリ線と側線トロリ線とがなす角度を示す平面図、(C)は側線トロリ線を1本にした場合のわたり線装置の構成を示す平面図である。 (A),(B)は、既設の交差式わたり線装置を実施形態のわたり線装置に改修する場合における工事の手順の一例を示すフローチャートである。 図7(A)に示す手順に従った工事によって変化するわたり線装置の状態を示す平面図である。 (A)は本線から側線(副本線)が分岐する、トロリ線同士の交差が1つだけである分岐箇所の軌道の構成例を示す平面図、(B)は2本の線路間で相互に電気車を移動可能にするための側線が設けられている軌道の構成例を示す平面図、(C)は(B)の軌道に公知文献1の無交差わたり線装置を適用した場合のトロリ線の敷設例を示す平面図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係るわたり線装置の実施の形態について説明する。
図1(A)は、本発明に係るわたり線装置を適用して好適な分岐箇所の線路状態を示す平面図、図1(B)は該分岐箇所に設けられるわたり線装置の概略を示す平面図である。
本発明に係るわたり線装置を適用して好適な分岐箇所は、図1(A)に示すように、上り本線と下り本線のような2本の線路(以下、本線と称する)11A,11B間で相互に電気車(以下、列車と称する)を移動可能にするための側線12が設けられている、2つの分岐点20A,20Bがある分岐箇所である。
本実施形態のわたり線装置においては、図1(B)に示すように、2本の側線トロリ線22A、22Bが、本線トロリ線21A,21Bと斜めに交差するように配設され、支柱23A、23Bによって両端が支持されている。側線トロリ線22A、22Bにはそれぞれ碍子24A、24Bが設けられ、側線トロリ線22A、22Bは碍子24A、24Bを挟んで電気的に分離されている。また、側線トロリ線22A、22Bの一方の端部には自動張力調整装置25が接続され、張力が付与される。
本実施形態のわたり線装置においては、本線11Aまたは11Bを走行する列車が分岐点20Aおよび20Bを通過する際に、パンタグラフが側線12のトロリ線を摺動しない位置条件(高低差および偏位量)を満たすようにして配設されている。具体的には、列車が側線12から本線11Aまたは11Bへ進入する際には、先ず、パンタグラフが本線から充分に離れた位置にて側線12のトロリ線22に摺接してこれを所定量押し上げながら移動し、摺り板(スライダー)の端が本線トロリ線21に近づいた位置で両トロリ線の高さが同一となり、両トロリ線と摺動した状態のまま反対側へ移動し、途中で側線12のトロリ線22が上方へ離れて行くように配設されている。
従って、列車が本線11Aまたは11Bから側線12へ進入する際には、上記とは逆に、本線トロリ線21に摺接しているパンタグラフに対して、側線12のトロリ線22が上方から近づいて来て所定の距離をおいた位置に接触した後、両トロリ線が摺接した状態で移動して側線トロリ線22の押し上げ量が増加しながら両トロリ線が横方向へ移動し、しばらくすると、本線トロリ線21がパンタグラフから側方へ離れて行くこととなる。
本実施形態のわたり線装置は、2本の側線トロリ線22A、22Bを使用しており、各側線トロリ線22A、22Bが、分岐点20Aおよび20Bにおいて、本線トロリ線に対して、図2〜図5を用いて以下に説明するような位置関係を持って配設される。なお、従来も2本の側線トロリ線を使用した交差式わたり線装置は存在しており、このような分岐箇所では、図6(A)に示すように、交差する本線トロリ線21Aと側線トロリ線22A、本線トロリ線21Bと側線トロリ線22Bが、それぞれ交差金具14にて所定の高低差(約60〜70mm)を有した状態で結合されていた。
図2は、本線および側線のレールセンターと本線トロリ線および側線トロリ線との関係を示す平面図である。なお、図2には、2本の側線トロリ線のうち一方のトロリ線22A(22B)しか示されていない。他方の側線トロリ線22B(22A)は、図2に示されている範囲では、本線トロリ線21A(21B)よりも高い位置に配設されており、側線トロリ線22A(22B)とパンタグラフとの摺接は考えなくても良い。
また、側線トロリ線は、図6(C)に示すように、側線トロリ線12の中間に対応する位置にセクションインシュレータ16を設けることで1本とすることも可能である。しかし、このような構成のわたり線を、1つのパンタグラフしか有していない車両が通過して、パンタグラフがセクションインシュレータ16に接触している位置で停止したとすると、給電が不能になるため、その後車両が自力で移動することができなくなる。従って、側線トロリ線が1本の方式は、1パンタグラフの車両が通過する可能性のある分岐箇所には適用することができないという課題がある。そこで、本実施形態では、2本の側線トロリ線を使用することとした。
図2には、本線11A(または11B)のレールセンターRC1および側線12のレールセンターRC2と、本線トロリ線21A(または21B)および側線トロリ線22A(または22B)との関係が示されている。
また、図3(A),(B),(C)には、図2に示されているP1,P2,P3の各点におけるレールセンターRC1,RC2を基準としたパンタグラフの支障限界範囲LAと各トロリ線21A(または21B)および22A(または22B)との位置関係が示されている。
なお、ここで、「支障限界範囲」は、パンタグラフの水平部の最大幅と、パンタグラフの水平方向の搖動幅と、トロリ線の支持物の風圧による撓み量と、可動ブラケットの回転に伴う偏位量とを考慮して、隣接するトロリ線がパンタグラフに接触する可能性があると想定される範囲として決定した範囲であり、この範囲に入らなければ側線トロリ線がパンタグラフと接触することはないといえる。
また、「P1」は列車が側線から本線へ進入する際に、側線のレールセンターRC2を基準として本線トロリ線21A(または21B)の偏位と側線トロリ線22A(または22B)の偏位とが等しくなる点で、パンタグラフが接触するトロリ線が移り変わる位置(以下、理論移行点と称する)である。この理論移行点P1において、本線を列車が通過する際には、側線トロリ線22A(または22B)がパンタグラフの接触しない高さまで引きあがっている必要がある。そこで、理論移行点P1では、図3(A)に示すように、側線トロリ線22A(または22B)を、本線のレールセンターRC1からL1(例えば約860mm)だけ離れた位置で、本線トロリ線21A(または21B)よりも所定量ΔH(例えば100mm程度)高い位置に来るように配設している。L1は、トロリ線の配設限界から保守尤度を減じた偏位量285mmを3倍した値である。また、所定量ΔHは、本線通過のパンタグラフが本線トロリ線を押し上げる量から決定される。
「P2」は本線トロリ線21A(または21B)の高さと側線トロリ線22A(または22B)の高さが同一つまり高低差を「0」とすることで実際に移行を始める位置(以下、移行終始点と称する)である。ただし、本線を走行する列車がこの移行終始点P2を通過する際には、パンタグラフが側線トロリ線22A(または22B)と接触することは許されない。
そこで、本実施形態では、図3(B)に示すように、側線のレールセンターRC2と本線トロリ線21A(または21B)との距離L3を、主すり板の全長の半分(例えば500mm程度)に設定する。一方、側線トロリ線22A(または22B)に関しては、本線を走行する列車のパンタグラフが側線トロリ線に接触しないよう、本線との静的な高低差が0mmの際の本線のレールセンターRC1から支障限界範囲に支障しない距離であるL2(例えば1060mm程度)以上離れた位置に、側線トロリ線22A(または22B)が来るように配設している。
「P3」はパンタグラフが他方のトロリ線に接触するパンタグラフの「支障限界範囲」に接近する位置(以下、架線近接終始点と称する)である。この架線近接終始点P3では、側線を列車が走行する際に、パンタグラフが本線トロリ線21A(または21B)の下に入り込むことによる、パンタグラフの割込を防止する必要がある。そこで、本実施形態では、図3(C)に示すように、側線のレールセンターRC2から距離L4(約900mm)の位置で、本線トロリ線21A(または21B)が、側線トロリ線22A(または22B)よりも必ず上に位置する、つまり高低差が0mm以上となるように配設している。
なお、図2において、ハッチングH1が付されている範囲は本線のレールセンターRC1から見た本線トロリ線21A(または21B)の側線側の配設限界、ハッチングH2が付されている範囲は側線のレールセンターRC2から見た側線トロリ線22A(または22B)の本線側の配設限界、ハッチングH3が付されている範囲は側線のレールセンターRC2から見た側線トロリ線22A(または22B)の本線と反対側の配設限界である。また、符号SP1,SP2,SP3は、可動ブラケット等によるトロリ線の支持点である。従って、各トロリ線21A(または21B)および22A(または22B)は、支持点SP1−SP2−SP3間では、直線状をなすように配設されることになり、支持点以外で配設角度を変えることはできない。
また、本実施形態のわたり線装置においては、走行速度のアップに伴うトロリ線の押し上げ量の増加にも対応できるように工夫されている。具体的には、本線トロリ線の押し上げ量ΔHを100mmと想定し、図2に示すように、支持点SP2−SP3では、本線トロリ線21A(または21B)を、できるだけ側線トロリ線22A(または22B)に近づけるため、本線の側線側配設限界H1のレールセンターRC1からの距離をL1とすると、理論移行点P1では、RC1からの距離が(L1−15mm)となるような位置に本線トロリ線21A(または21B)を配設するように構成されている。これは、トロリ線の配設限界L1から保守尤度15mmを考慮したものである。なお、このとき、側線トロリ線22A(または22B)の位置は、本線のレールセンターRC1から860mm離れ、本線トロリ線21A(または21B)よりも100mm以上高い位置となるように配設している。
上記のような構成により、列車が本線を高速で走行して、本線トロリ線21A(または21B)が100mm押し上げられたとしても、この位置では、図3(A)に示すように、側線トロリ線22A(または22B)がパンタグラフの支障限界範囲LAの外側に位置して、接触が確実に回避される。
また、移行終始点P2では、側線トロリ線22A(または22B)は、図3(B)に示すように、本線のレールセンターRC1から1060mm離れた位置で、本線トロリ線21A(または21B)よりも+0mm以上高くように配設している。さらに、架線近接終始点P3では、図3(C)に示すように、側線トロリ線22A(または22B)は、本線トロリ線21A(または21B)よりも低い位置になるように配設している。
ここで、従来の無交差わたり線装置と本実施形態のわたり線装置における本線トロリ線21と側線トロリ線22の敷設の仕方(考え方)の差異について、図4を用いて説明する。
従来の無交差わたり線装置においては、理論移行点P1よりも交差部に近い範囲では、図4(B)に示すように、側線トロリ線22がパンタグラフ15の側部に対して側方かつ上方へ遠ざけることで、パンタグラフ15の側線トロリ線22への接触を回避するという考え方である。これに対し、本実施形態のわたり線装置は、理論移行点P1より交差部に近い範囲で、図4(A)に示すように、側線トロリ線22をパンタグラフ15に対して上方へ充分に遠ざけることで、パンタグラフ15の側線トロリ線22への接触を回避するようにしている。
図4の(A)と(B)を比較すると、(B)のように側線トロリ線22をパンタグラフ15の側方へ逃がさなくても、(A)のように上方へ充分に逃がしてやることで、パンタグラフ15の側線トロリ線22への接触を回避できることが分かる。本発明は、かかる知見に基づいてなされたもので、従来の無交差わたり線装置にはこのような観点が全くなく、本発明者らが鋭意検討した結果、初めて見出した考え方である。
次に、本実施形態のわたり線装置を構成する2本の側線トロリ線22Aと22Bとの関係について説明する。
図5は、図2における可動ブラケット等による支持点SP2−SP3間を真横から見て、本線トロリ線21と側線トロリ線22の高さの関係を示したものである。図5には、比較のため、従来の交差金具を使用した交差式わたり線装置における本線トロリ線と側線トロリ線を、二点鎖線21’,22’で示してある。
図5に示されているように、本線トロリ線21,21’は、従来も本実施形態においても同様に、ほぼ水平に敷設されている。従来の交差式わたり線装置の側線トロリ線22’は、SP2−SP3間において本線トロリ線21’よりも僅かに高い位置に在るように配設され、支持点SP2の近傍の本線トロリ線21’との交差部位で、交差金具14によって本線トロリ線21’に結合されていた。これに対し、本実施形態における側線トロリ線22は、「理論移行点P1」と「架線近接終始点P3」との間で、本線トロリ線21との高さ関係が入れ替わり、移行終始点P2付近から支持点SP3との間では、側線トロリ線22の方が本線トロリ線21よりも低くなるように配設される。
つまり、本実施形態の側線トロリ線22の方が、従来の交差式わたり線装置の側線トロリ線22’よりも、SP2−SP3間においてカテナリ曲線の傾斜(接線の傾き)が大きくなるように配設される。なお、既設の鉄道設備を改修して本実施形態を適用する場合におけるこのようなカテナリ曲線の傾斜の変更は、トロリ線の上方に敷設されている図示しない吊架線との間に吊架されているハンガーと呼ばれる金具(図示省略)の長さを調整する工事を実施することで実現することができる。
また、既設の鉄道路線の中には、トロリ線として、芯材に鋼を使用し銅で被覆した鋼芯系のトロリ線を用いている路線があるが、鋼芯系のトロリ線は剛性が高い。そのため、本実施形態のわたり線装置を構成する側線トロリ線に鋼芯系トロリ線を用いると、上記のような傾斜の大きなカテナリ曲線を形成することが困難である。従って、本線トロリ線に鋼芯系トロリ線を用いている場合であっても、本実施形態を適用する場合には、側線トロリ線に銅系トロリ線(例えばGT170)を用いるのが良い。
図1(C)には、わたり線装置全体すなわち図1(A)の分岐点20Aおよび20Bを含む範囲における2本の側線トロリ線22Aと22Bの高さ関係が模式的に示されている。
図1(C)に示されているように、側線トロリ線22Aは本線トロリ線21Aに近い側で最も低くなり、側線トロリ線22Bは本線トロリ線21Bに近い側で最も低くなるように配設される。つまり、2本の側線トロリ線22Aと22Bは、高さ関係では、対称となるように配設されることとなる。なお、側線トロリ線22Aと22Bの最も低くなる部位は、本線トロリ線21A、21Bの高さよりも充分に低く、パンタグラフが接触して押し上げ力が働いたとしてもその関係が変わらないように、最も低くなる部位の高さが設定される。
次に、既設の鉄道設備を改修して本実施形態を適用する場合における具体的な構成および工事手順を、図6〜図8を用いて説明する。
前述したように、本実施形態において、支持点SP2−SP3間での側線トロリ線22のカテナリ曲線の傾斜が従来に比べて大きくなるように配設することとした。これは、側線トロリ線22A、22Bの最も低い部位は本線トロリ線21A、21Bよりも低い位置にあり、しかもトロリ線同士が交差する位置においては、側線トロリ線22A、22Bが本線トロリ線21A、21Bより充分に高くなるようにするためである。しかし、カテナリ曲線は、周知のように、y=ax2で表わされる曲線であり、上記のような条件を満たすカテナリ曲線をP2−SP3間で実現するには、既設のものでは長さが短いことが明らかとなった。
そこで、本実施形態においては、図6(B)に示すように、平面視で、側線トロリ線22A、22BとレールセンターRC1とがなす角度θ2を、図6(A)に示す既設の交差式わたり線装置における側線トロリ線22A、22BとレールセンターRC1とがなす角度θ1よりも小さくすることとした。このような角度θの変更は、例えば側線トロリ線や吊架線を支持する可動ブラケット17において、トロリ線を把持して位置を調整する曲線引き装置の支持金具や吊架線を支持する支持金具の位置を調節することよって実現することができる。
一方、交差式わたり線装置を使用している既設の鉄道設備を改修して本実施形態を適用する場合、2本の側線トロリ線22Aと22Bに対してそれぞれ上記工事が必要であるとともに、その際に元々設けられている交差金具を外す作業も必要である。
さらに、既設の鉄道設備の改修においては、日中帯に営業運転している列車に影響を与えずに、つまり鉄道設備の使用停止なり運転本数削減といった時刻表(列車ダイヤ)変更をせずに工事を実施したいという要求がある。
しかるに、上述した側線トロリ線22のカテナリ曲線を変更する工事に要する時間について、本発明者が見積もりを行なったところ、現在ある機械や施工技術では、実施するトロリ線が2本あることもあって、工事所要時間が営業列車が走行していない夜間の非営業時間よりも長くなってしまうことが明らかになった。
そこで、本発明者らは、夜間の非営業時間帯のみの工事で、本実施形態を適用したわたり線装置の改修を行える、以下に説明するような施工方法を開発した。
次に、本発明者らが考えた施工方法について、図7を用いて説明する。
本発明者らは、夜間のみの工事で本実施形態を適用して既設のわたり線装置の改修を行えるようにするため、工事の工程を3分割し、3日に分けて作業することとした。
図7(A)には1日目の作業の手順のフローチャートが、図7(B)には2日目と3日目に共通の作業の手順のフローチャートが示されている。
1日目の作業では、図7(A)に示すように、先ず2本の側線トロリ線22A,22Bのうち一方(例えば22A)について、支持点の可動ブラケットを最終形態のわたり線に対応可能なものに改修する(ステップS11)。続いて、本線トロリ線(21A)と側線トロリ線(22A)とを結合している交差金具14を一旦外し(ステップS12)、本線トロリ線(21A)に対する側線トロリ線の偏位量を調整する(ステップS13)。なお、この際、必要に応じて、本線トロリ線(21A)の位置をずらすこともある。次に、交差金具14を新しい交差位置に移動して固定し、本線トロリ線(21A)と側線トロリ線(22A)とを結合する(ステップS14)。その後、列車が高速で走行できるように、本線トロリ線と側線トロリ線の高さ、偏位量の測定および調整を行う(ステップS15)。
その後、ステップS11へ戻り、他方の側線トロリ線(例えば22B)について、上記と同じ作業S11〜S15を行なって、列車が走行可能な状態に設定して1日目の作業を終了する。なお、上記一連の作業は2つの分岐箇所において並行して実施するようにしても良い。
図8には、1日目の作業開始前と作業終了後の側線トロリ線22A,22Bの位置が示されている。図8において、破線で示されているのが作業開始前の位置で、実線で示されているのが作業終了後の位置である。図8より、移動後の側線トロリ線22A,22Bと本線トロリ線21A,21Bとの角度が小さくなっていることが分かる。
2日目の作業では、図7(B)に示すように、2本の側線トロリ線22A,22Bのうち一方(例えば22A)について、先ず本線トロリ線(21A)と側線トロリ線(22A)とを結合している交差金具14を外す(ステップS21)。続いて、側線トロリ線(22A)を切断し(ステップS22)、本線トロリ線(21A)の補助吊架線の下方を通過していた側線トロリ線(22A)を本線補助吊架線の上方へ移し変え、不足する分の補間トロリ線を追加して、切断状態のトロリ線間をダブルイヤ等の接続金具を用いて結合し、連結する(ステップS23)。
次に、支持点SP1,SP2の可動ブラケットの支持金具を緩めてからトロリ線(21A,22A)の支持位置を調節する(ステップS24)。また、吊架線との間のハンガーの長さを調節して、前述したように、側線トロリ線(22A)の最も低い部位が本線トロリ線(21A)の高さよりも低くなる前述した傾斜の大きなカテナリ曲線が得られるように、側線トロリ線(22A)の各部の高さを修正する(ステップS25)。その後、各部の偏位量や高さが所定の設定値内に入っているか否か、測定および調整を行い可動ブラケットの支持金具を締め付けて側線トロリ線(22A)を固定する(ステップS26)。
その後、ステップS21へ戻り、他方の側線トロリ線(例えば22B)について、上記と同じ作業S21〜S26を行なって列車が走行可能な状態とし、作業を終了する。なお、上記一連の作業は2つの分岐箇所において並行して実施するようにしても良い。
図5は、2日目の作業開始前と作業終了後の側線トロリ線22の高さ方向の位置を表わしているとみなすことができる。図5において、破線で示されているのが作業開始前の位置で、実線で示されているのが作業終了後の位置である。図5より、修正後の側線トロリ線22のカテナリ曲線の方が、修正前よりも傾斜が大きくなることが分かる。
3日目は、他方の側線トロリ線(この場合、22B)に対して、図7(B)に示されている手順と同一の手順に従った作業を実行し、他方の側線トロリ線(22B)が所望のカテナリ曲線となるように、修正を行う。
上記のように、作業を3日に分けて実施することで、各作業を営業列車が走行していない夜間の非営業時間帯に終了させることができ、時刻表(列車ダイヤ)を変更したり運行中止の列車を生じさせることなく、わたり線装置の改修を実施することができる。そして、これによって、改修後のわたり線装置を従来よりも速度向上した列車が高速走行したとしても、側線わたり線にパンタグラフが接触して摩耗が発生するのを確実に回避することができるようになる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施形態では、上り本線と下り本線のような2本の線路間(複々線の同一方向線路間を含む)で相互に電気車を移動可能にするための側線を備える分岐箇所のわたり線装置に適用した場合について説明したが、本発明は、本線から副本線が分岐する図9(A)に示すような分岐箇所のわたり線装置にも適用することができる。
また、上記実施形態では、トロリ線の支持装置として可動ブラケットを使用した例を説明したが、振止装置などでトロリ線を支持するように構成しても良い。
さらに、上記実施形態では、既設のわたり線装置を改修する場合について説明したが、本発明に係るわたり線装置は、新たに建造する鉄道路線における分岐箇所のわたり線装置にも利用することができる。
11A,11B 本線
12 側線
14 交差金具
15 パンタグラフ
17 可動ブラケット
21A,21B 本線トロリ線
22A,22B 側線トロリ線
24A,24B 碍子
RC1,RC2 レールセンター
LA 支障限界範囲

Claims (5)

  1. 2本の本線線路間で相互に電気車を移動可能にするための側線を備える分岐部において、前記本線線路に対応してそれぞれ設けられている本線トロリ線と、前記側線に対応して設けられている2本の側線トロリ線とが平面視で交差され、電気車が前記2本の本線線路または側線のいずれを走行する際にもパンタグラフによる集電が可能なわたり線装置であって、
    前記本線トロリ線と側線トロリ線の平面視で交差する箇所において、前記本線トロリ線と前記2本の側線トロリ線とは、交差式わたり線装置で使用される交差金具で規定さる高さ以上の間隔をおいて高さ方向に離間され、かつ前記2本の側線トロリ線同士も少なくとも電気的分離に必要な距離だけ水平方向に平行に離間され、
    前記2本の側線トロリ線のうち第1側線トロリ線は前記2本の本線線路のいずれか一方の本線トロリ線に近い側において、また第2側線トロリ線は前記2本の本線線路の他方の本線トロリ線に近い側において、それぞれ最も低い部位を有するカテナリ曲線を形成し、前記2本の側線トロリ線の前記最も低い部位は前記本線トロリ線のいずれの部位よりも低くなるように配設されていることを特徴とするわたり線装置。
  2. 前記2本の側線トロリ線は、いずれの部位においても、前記本線線路を電気車が走行する際にパンタグラフが最大移動可能であると想定される範囲に側線トロリ線の振れ幅を加えた範囲の外側に位置するように配設されていることを特徴とする請求項1に記載のわたり線装置。
  3. 前記本線トロリ線が鋼芯系の線材で形成されている場合において、前記2本の側線トロリ線は銅系の線材で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のわたり線装置。
  4. 本線トロリ線と側線トロリ線とが交差する箇所において、交差金具によって本線トロリ線と側線トロリ線とが所定の高低差を有して結合されている交差式のわたり線装置の改修方法であって、
    支持点の可動ブラケットを最終形態のわたり線に対応可能なものに改修する第1工程と、
    本線トロリ線と側線トロリ線とを結合している交差金具を外す第2工程と、
    本線トロリ線に対する側線トロリ線の偏位量を調整する第3工程と、
    前記交差金具を新しい交差位置に移動して固定し、本線トロリ線と側線トロリ線とを結合する第4工程と、
    前記側線トロリ線から前記交差金具を外す第5工程と、
    交差金具を外した方の側線トロリ線を切断する第6工程と、
    前記側線トロリ線の通過空間を移し変え、不足する分の補間トロリ線を追加して、切断状態のトロリ線間を接続金具を用いて結合する第7工程と、
    前記側線トロリ線の最も低い部位が前記本線トロリ線の高さよりも低くなる傾斜の大きなカテナリ曲線となるように、当該側線トロリ線の各部の高さを調整する第8工程と、
    可動ブラケットの支持金具を締め付けて側線トロリ線を固定する第9工程と、
    を含むことを特徴とするわたり線装置の改修方法。
  5. 前記第1工程〜第4工程を1日目に実施し、
    側線に沿って配設されている平行する2本の側線トロリ線のうち一方について、前記第5工程〜第9工程を2日目に実施し、
    側線に沿って配設されている2本の側線トロリ線のうち他方について、前記第5工程〜第9工程を3日目に実施することを特徴とする請求項4に記載のわたり線装置の改修方法。
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