JP6943782B2 - セパレータ材の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用のセパレータ材の製造方法に関する。
燃料電池は、固体高分子電解質膜を、アノード電極とカソード電極とで挟んだものを単セルとし、ガス(水素ガス、酸素ガス等)の流路が形成されたセパレータを介して、単セルを複数個重ね合わせたスタックとして構成される。燃料電池用のセパレータは、スタック内において発生した電流を隣接したセルに流す役割を担っているので、高い導電性及び導電耐久性が求められている。このようなセパレータは、セパレータ材をプレス加工などの加工を行うことにより、製造される。
たとえば、セパレータ材を製造する方法として、特許文献1には、表面から深さ10nmの位置での炭素濃度が10原子%以下であるチタン基材の表面にカーボンブラックを塗布し、塗布した基材を酸素分圧が25Pa以下である低酸素雰囲気下で加熱処理する製造方法が開示されている。
この方法では、基材のチタン原子がカーボンブラック層に外方拡散し、低酸素雰囲気中の微量の酸素ガスと反応して酸化チタンとなり、酸化チタンと、酸化チタンに保持されたカーボンブラックとの混合層が形成される。このような混合層が形成されることによって、セパレータに高い導電性および導電耐久性を付与することができる。
特開2016−122642号公報
しかし、発明者らの実験の結果によれば、特許文献1に記載の方法で製造されたセパレータ材には、チタン基材と混合層との界面に、チタン基材の表層に炭素が固溶した炭化チタン層(固溶層)が形成されることがある。このようなセパレータ材を燃料電池に使用すると、炭化チタン層は燃料電池の生成水に溶出しやすいため、混合層がチタン基材から剥離することがあり、この剥離によりセパレータの接触抵抗が上昇することがあった。特に、このような現象は、セパレータ材をプレス加工などの機械加工する場合に顕著に現れた。
本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、本発明では、燃料電池に適用した際に、混合層の耐久性が確保され、接触抵抗の上昇を抑制することができるセパレータ材の製造方法を提供する。
上記課題を解決するために、本発明は、燃料電池用のセパレータ材の製造方法であって、前記セパレータ材の基材であり、チタンまたはチタン合金からなるチタン基材の表面にカーボンブラックを塗布することにより、カーボンブラック層を形成するカーボンブラック層形成工程と、前記カーボンブラック層が形成された前記チタン基材に対して、酸素分圧が1〜100Paで酸素ガスを含む低酸素雰囲気下で加熱処理を行うことにより、前記チタン基材のチタン原子を前記カーボンブラック層に外方拡散させるとともに、前記外方拡散したチタン原子と前記酸素ガスとを反応させて酸化チタンを生成し、前記酸化チタンと、前記酸化チタンに保持されたカーボンブラックとからなる混合層を形成する混合層形成工程と、前記カーボンブラック層を形成したカーボンブラックのうち、前記混合層の表面に残存したカーボンブラックを除去するカーボンブラック除去工程と、前記カーボンブラック除去工程後の前記チタン基材に対して、再度加熱処理を行うことにより、前記混合層形成工程において、前記混合層と前記チタン基材との界面に生成された炭化チタン層を前記チタン基材に吸収させる炭化チタン層吸収工程と、を含むことを特徴とする。
本発明によれば、炭化チタン層吸収工程において、混合層の表面に残存したカーボンブラックを除去した状態のチタン基材に対して、再度加熱処理を行う。これより、混合層形成工程で混合層とチタン基材との界面に生成された炭化チタン層をチタン基材に吸収することができる。特に、残存した余剰のカーボンブラックの除去後に、炭化チタン層をチタン基材に吸収させるので、余剰のカーボンブラックによりチタン基材が急激に温度上昇することを抑えることができるため、安定的に炭化チタン層をチタン基材に吸収させることができる。
このようにして、製造されたセパレータ材の混合層とチタン基材との界面には、炭化チタン層が形成されていない。したがって、セパレータ材を加工したセパレータを燃料電池に組み込んで使用しても、炭化チタン層のチタンの溶出は生じないため、チタン基材から混合層が剥離することを防止することができる。このようにして、セパレータ材から製造されるセパレータの耐久性が向上し、接触抵抗の上昇を抑制することができる。
本実施形態のセパレータ材の模式的な断面図である。 本実施形態に係るセパレータ材の製造方法の工程を説明するフロー図である。 本実施形態に係るセパレータ材の製造方法のカーボンブラック層形成工程を説明する模式的概念図である。 本実施形態に係るセパレータ材の製造方法の混合層形成工程を説明する模式的概念図である。 本実施形態に係るセパレータ材の製造方法のカーボンブラック除去工程を説明する模式的概念図である。 (a)は、余剰のカーボンブラックの除去前のチタン基材の断面写真であり、(b)は、余剰のカーボンブラックの除去後のチタン基材の断面写真である。 (a)は、腐食試験前の実施例に係る試験体の断面写真であり、(b)は、(a)のa部近傍の混合層とチタン基材との界面をさらに拡大した断面写真であり、(c)は、(b)の混合層とチタン基材との界面における電子エネルギー損失分光法における分析(EELS分析)によるスペクトルを示す図である。 腐食試験に用いる装置を説明する模式的概念図である。 実施例および比較例について、腐食試験前および腐食試験後のガス拡散層(GDL)に対する接触抵抗値を示すグラフである。 比較例の試験体の断面観察結果を示した写真であり、(a)は腐食試験前、(b)は腐食試験後の試験体の断面観察結果を示した写真である。 実施例の試験体の断面観察結果を示した写真であり、(a)は腐食試験前、(b)は腐食試験後の試験体の断面観察結果を示した写真である。
以下に、図1〜5を参照しながら本発明に係る実施形態について説明する。
まず、図1を参照して、本実施形態に係るセパレータ材1について説明し、次に、図1〜5を参照して、本実施形態に係るセパレータ材1の製造方法について説明する。
図1は、本実施形態のセパレータ材1の模式的な断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るセパレータ材1は、燃料電池のセルを構成するセパレータの材料として用いられるものであり、チタン基材2と、チタン基材2の表面に形成された混合層3とを備えている。混合層3は、酸化チタン32と、酸化チタン32に保持されたカーボンブラック31とから構成されている。本実施形態では、後述する工程により、チタン基材2と混合層3との界面には炭化チタン層4が形成されていない。
次に、図2〜5をさらに参照して、上述したセパレータ材1の製造方法について説明する。図2は、本実施形態に係るセパレータ材1の製造方法の工程を説明するフロー図である。図3〜5は、それぞれ、本実施形態に係るセパレータ材1の製造方法における、カーボンブラック層形成工程S1、混合層形成工程S2、およびカーボンブラック除去工程S3を説明する模式的概念図である。
以下に、セパレータ材1の製造方法を、図2に示す各工程に沿って説明する。
<カーボンブラック層形成工程S1>
セパレータ材1の製造方法では、まず、カーボンブラック層形成工程S1を行う。この工程では、図3に示すように、セパレータ材1の基材であり、チタンまたはチタン合金からなるチタン基材2の表面にカーボンブラックを塗布することにより、カーボンブラック層3’を形成する。
具体的には、まず、セパレータ材1の基材として、チタンまたはチタン合金からなるチタン基材2を準備する。チタン基材2の厚さは0.05〜1mmが好ましい。チタン基材2は、圧延時の圧延油または成形時の潤滑油等に含まれる炭素原子の一部が、その表層に拡散することがあるので、チタン基材2の表面から10nmまでの表層の炭素濃度が、3原子%以下であることが好ましい。
炭素濃度が3原子%を超えると、後述する混合層形成工程S2でのチタン原子の外方拡散が抑制され、また、後述する炭化チタン層吸収工程S4において、炭化チタン層4の炭素原子がチタン基材2に固溶し難くなる。
なお、チタン基材2の表面から10nmまでの表層の炭素濃度は、例えば、X線光電子分光分析装置(X-ray Photoelectron Spectroscopy;XPS)を用いて、深さ方向の組成分析を行うことにより測定することができる。
このようにして、準備したチタン基材2の表面にカーボンブラックを塗布し、カーボンブラック層3’を形成する。カーボンブラックは、水やエタノールなどの分散媒にカーボンブラックを分散した状態で塗布してもよい。塗布する方法としては、例えば、ロールコーターなどを用いることが挙げられるが、チタン基材2にカーボンブラック層3’を形成することができるのであれば、これに限定されるものではない。
カーボンブラックの粉末の粒径の範囲は、後述する混合層形成工程S2において形成される混合層3の厚みに応じて決定されることが好ましく、具体的には、10〜500nmが好ましい。チタン基材2の表面へのカーボンブラック31の粉末の塗布量の範囲は、1〜50μg/cmとするのが好ましい。
本実施形態では、分散媒の乾燥後に形成されたカーボンブラック層3’の厚みは、後述する混合層形成工程S2において形成される混合層3の厚みより大きい。例えば、形成される混合層3の厚みが20〜100nmの場合は、カーボンブラック層3’の厚みは約500nmが好ましい。
なお、カーボンブラック層3’の厚みは、混合層3の厚みより大きいため、混合層3を構成しなかった余剰のカーボンブラックは、後述するカーボンブラック除去工程S3において、残存したカーボンブラック31aとして除去される。
<混合層形成工程S2>
次に、混合層形成工程S2を行う。この工程では、図4に示すように、カーボンブラックが塗布されたチタン基材2に対して、酸素分圧が1〜100Paで酸素ガスを含む低酸素雰囲気下で加熱処理を行う。これにより、チタン基材2のチタン原子をカーボンブラック層3’(図3を参照)に外方拡散させるとともに、外方拡散したチタン原子と酸素ガスとを反応させて酸化チタン32を生成し、酸化チタン32と、酸化チタン32に保持されたカーボンブラック31とからなる混合層3を形成する。
ここで、酸素分圧の下限値が1Pa未満の場合は、チタン原子の酸化が不十分となり、酸素分圧の上限値が100Paを超えると、炭素と酸素との反応により二酸化炭素となる可能性がある。なお、酸素分圧の範囲は、3〜30Paが好ましい。
また、加熱温度の範囲は、550〜700℃が好ましく、600〜650℃がより好ましい。加熱時間の範囲は、5〜60秒が好ましく、10〜30秒がより好ましい。加熱温度および加熱時間を前記した範囲にすることにより、混合層3の厚みを酸化チタン32でカーボンブラック31を十分保持することができる厚みにすることができる。
混合層3の厚みの上限値は、カーボンブラック層形成工程S1で形成されたカーボンブラック層3’の厚みより小さいことが好ましい。具体的には、混合層3の厚みの上限値は、100nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましい。一方、混合層3の厚みの下限値は、20nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。なお、下限値が20nm未満になると、カーボンブラック31を十分に保持することができないことがある。厚みは、上述した加熱温度および処理時間を調整することにより制御することができる。
このような加熱処理により、本実施形態では、図4に示すように、混合層3以外に、混合層3とチタン基材2との界面に炭化チタン層4が生成されてしまう。この炭化チタン層4を消滅すべく、後述する炭化チタン層吸収工程S4を行う。
<カーボンブラック除去工程S3>
次に、カーボンブラック除去工程S3を行う。この工程では、図5に示すように、カーボンブラック層3’を形成したカーボンブラックのうち、混合層3の表面に残存したカーボンブラック31a(図4を参照)を除去する。残存したカーボンブラック31aは、混合層3の厚みがカーボンブラック層3’の厚みより小さいため、酸化チタン32に保持されなかった余剰のカーボンブラックが混合層3の表面に残存したものである。残存したカーボンブラック31aを除去する方法は特に限定されないが、具体的には、ウォータージェット洗浄、ブラスト洗浄、ブラシ洗浄、または超音波洗浄などを挙げることができる。なお、カーボンブラックを除去する際には、カーボンブラックが、混合層が形成された側の表面全体に対して、面積率で5%以下となることが好ましい。
残存したカーボンブラック31aを除去することにより、後述する炭化チタン層吸収工程S4での再度の加熱処理において、残存したカーボンブラック31aの輻射率に起因した急激な温度上昇を抑制することができる。また、燃料電池を製造する際、残存したカーボンブラック31aによるセパレータ材1の接着性および加工性の低下を抑えることができる。
<炭化チタン層吸収工程S4>
次に、炭化チタン層吸収工程S4を行う。この工程では、図1に示すように、カーボンブラック除去工程S3後のチタン基材2に対して、再度加熱処理を行うことにより、混合層形成工程S2において、混合層3とチタン基材2との界面に生成された炭化チタン層4(図4、図5を参照)をチタン基材2に吸収させる。
ここで、本明細書いう、「炭化チタン層4をチタン基材2に吸収させる」とは、炭化チタン層4の炭素原子をチタン基材2に固溶拡散させるとともに、炭化チタン層4のチタン原子をチタン基材の一部とすることである。すなわち「炭化チタン層4をチタン基材2に吸収させる」とは、結果として、混合層3とチタン基材2との界面から、炭化チタン層4を消滅させることである。
再度の加熱処理の条件としては、真空雰囲気下で加熱処理を行う。ここで、真空雰囲気とは、1.3×10−3Pa以下の圧力雰囲気であり、かつ、無酸素雰囲気下の状態にある。加熱温度の範囲は、好ましくは、550〜700℃であり、より好ましくは、混合層形成工程S2での加熱処理温度より低い温度である。このような温度にすることにより、新しい炭化チタン層4が生成されることを抑制することができる。具体的には、より好ましくは、580〜650℃であり、さらに好ましくは、580〜620℃である。加熱時間の範囲は、5〜60秒が好ましく、10〜30秒がより好ましい。
このような条件で再度の加熱処理を実施することにより、炭化チタン層4をチタン基材2に吸収することができる。なお、再度の加熱処理後の混合層3の厚みは、20〜100nmが好ましく、40〜60nmがより好ましい。
このようにして、本実施形態のセパレータ材1を取得することができる。
本実施形態によれば、上述のように、再度の加熱処理を行うことにより、混合層形成工程S2において、混合層3とチタン基材2との界面に生成された炭化チタン層4をチタン基材2に吸収させる。これにより、セパレータ材1の混合層3とチタン基材2との界面には炭化チタン層4が形成されていない。このため、セパレータ材1のプレス加工など加工の如何にかかわらず、製造されたセパレータ材を燃料電池に組み込んで使用しても、炭化チタン層からチタン原子が燃料電池の生成水に溶出することが起因として、チタン基材から混合層の剥離することはない。このため、セパレータ材から得られた燃料電池のセパレータの耐久性が確保され、その接触抵抗の上昇を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、炭化チタン層4をチタン基材2に吸収する炭化チタン層吸収工程S4の前に混合層3の表面に残存したカーボンブラック31aを除去するカーボンブラック除去工程S3を行う。これにより、チタン原子に比べて輻射率が高い残存したカーボンブラック31aが除去されるため、炭化チタン層吸収工程S4における再度の加熱処理時での急激な温度上昇を抑制することができる。この結果、炭化チタン層4を吸収するための加熱処理を精度良く行うことができ、炭化チタン層4が新たに生成することを抑制しながら、炭化チタン層4を効率よくチタン基材2に吸収することができる。
以下に本発明を実施例により説明する。
<実施例>
上述したカーボンブラック層形成工程S1〜炭化チタン層吸収工程S4に沿って、本発明のセパレータ材に相当する試験体として、実施例に係る試験体を作製した。
[カーボンブラック層形成工程]
まず、チタン合金からなるチタン基材を準備し、その表面にカーボンブラックを塗布することにより、カーボンブラック層を形成した。
[混合層形成工程]
次に、カーボンブラックを塗布したチタン基材に対して、低酸素雰囲気下で加熱処理(酸素分圧20Pa、温度600℃、処理時間15秒)を行なった。このようにして、チタン基材のチタン原子をカーボンブラック層に外方拡散させるとともに、外方拡散したチタン原子と酸素ガスとを反応させて酸化チタンを生成し、酸化チタンと、酸化チタンに保持されたカーボンブラックからなる混合層を形成した。
[カーボンブラック除去工程]
次に、上述した混合層形成工程で得られた試験体の混合層の表面に残存したカーボンブラックを除去した。カーボンブラックの除去を、ブラシ洗浄により行なった。ブラシ洗浄後の試験体を水洗した。この結果を図6(a)、(b)に示す。図6(a)は、カーボンブラックの除去前のチタン基材の断面写真であり、図6(b)は、カーボンブラックの除去後のチタン基材の断面写真である。これらの断面写真から、カーボンブラックが除去されたことが分かる。
[炭化チタン層吸収工程]
次に、カーボンブラック除去工程で得られた試験体に対して、真空雰囲気下で再度加熱処理(圧力2Pa、温度580℃、処理時間15秒)を行うことにより、混合層形成工程において、混合層とチタン基材との界面に生成された炭化チタン層をチタン基材に吸収させた。形成した混合層の厚みは約50nmであった。得られた試験体を実施例とした。
このようにして得られた試験体に対して、混合層とチタン基材との界面付近(具体的にはチタン基材寄りに5nmの位置)の組成状態をTEM(Transmission Electron Microscopy)-EELS(Electron Energy Loss Spectroscopy)を用いて分析した。ここでは、日本電子製 電界放射型透過型電子顕微鏡(JEM-2010F)およびGatan製 EELS Spectrometer(Model 776 Enfina 1000)を用いて、EESL分析では、加速電圧200kVの条件で測定した。この結果を、図7に示す。図7(a)は、実施例に係る試験体の断面写真であり、図7(b)は、図7(a)のa部近傍の混合層とチタン基材との界面をさらに拡大した断面写真であり、図7(c)は、図7(b)の混合層とチタン基材との界面における電子エネルギー損失分光法における分析(EELS分析)によるスペクトルを示す図である。図7(c)に示すように、これらの界面には、カーボンのピークはなく、炭化チタン層は存在していなかった。
<比較例>
実施例と同じように試験体を作製した。実施例と相違する点は、上述した混合層形成工程の次に炭化チタン層吸収工程と同じ加熱処理を行い、その後、カーボンブラック除去工程を行った点である。したがって、比較例では、カーボンブラック除去工程後に、実施例の如き炭化チタン層吸収工程を行っていない。得られた試験体に対して、混合層とチタン基材との界面付近の組成状態をTEM−EELSを用いて分析した結果、混合層とチタン基材との界面に、炭化チタン層が存在していた。
このようにして作製した実施例及び比較例を用いて、以下の耐久性試験を実施し、耐久性試験前および耐久性試験後の接触抵抗値の測定と、断面の観察とを行なった。
<耐久性試験>
耐久性試験として、図8に示す腐食試験装置10を用いて、実施例および比較例の試験体に対して腐食試験を実施した。図8は腐食試験に用いる装置を説明する模式的概念図である。まず、腐食試験を行うまえに、セパレータ材へのプレス加工条件を模擬するために、実施例および比較例の試験体を引張した。具体的には、実施例および比較例の試験体の長さを100%とした場合、それぞれの試験体を約130%の長さになるように、引張した。引張した各試験体に対して以下に説明する腐食試験を行った。
腐食試験は、燃料電池環境下を模擬するように行った。具体的には、図8に示すように、ガラス製密閉容器11の中に、浸漬溶液16を投入し、白金製の対極12と、実施例または比較例の試験体13と、参照電極14と、白金測温抵抗体15を浸漬した。各試験体13の評価面以外はマスキングを施し、各器具はゴム栓にて固定して密閉を維持した。図8に図示するように、ポテンショスタットP、無抵抗電流計A、および電圧計Vを接続した。燃料電池の環境下を模擬した浸漬溶液16は、30ppmのフッ素イオンおよび10ppmの塩素イオンを含むpH3.0の酸性溶液である。電位0V、100時間、および温度80℃の条件で浸漬処理を行なった。
<接触抵抗の測定>
上述した腐食試験を行う前の実施例及び比較例の試験体と、腐食試験を行った実施例および比較例の試験体に対して接触抵抗値を測定した。具体的には、各試験体の両面を、燃料電池のガス拡散層(GDL)に相当するカーボンクロスで挟み、さらにその外側を2枚の銅電極で挟み、所定の荷重で加圧した。そして、電源を用いて銅電極間に所定量の電流を通電し、カーボンクロスの間に加わる電圧を電圧計で測定し、接触抵抗値を算出した。結果を図9に示す。
<接触抵抗の測定結果>
図9は、実施例および比較例に係る腐食試験前後のガス拡散層(GDL)に対する接触抵抗値を示すグラフである。なお、図9において、腐食試験前および腐食試験後をそれぞれ「初期」および「耐久後」として示す。図9に示すように、耐久後(腐食試験後)の実施例の試験体の接触抵抗値は、比較例のものに比べて、低かった。一方、初期(腐食試験前)では、比較例および実施例の試験体の接触抵抗値はほぼ同じであった。
<試験体の断面観察>
腐食試験を行う前の実施例及び比較例の試験体と、腐食試験を行った実施例および比較例の試験体の断面を電子顕微鏡で観察した。図10は、比較例の試験体の断面観察結果を示した写真であり、図10(a)は腐食試験前、図10(b)は腐食試験後の試験体の断面観察結果を示した写真である。図11は、実施例の試験体の断面観察結果を示した写真であり、図11(a)は腐食試験前、図11(b)は腐食試験後の試験体の断面観察結果を示した写真である。
<断面観察結果>
初期(腐食試験前)の実施例および比較例の試験体では、混合層とチタン基材との界面に剥離は認められなかった(図10(a)および図11(a)参照)。一方、耐久後(腐食試験後)の比較例の試験体では、混合層とチタン基材との界面(図10(b)参照)に剥離が生じていた。それに対して、耐久後(腐食試験後)の実施例の試験体では、比較例のものと異なり、混合層とチタン基材との界面に剥離が発生していなかった(図11(b)参照)。
<考察>
比較例の試験体では、混合層とチタン基材との界面に炭化チタン層が形成されていた。これは、カーボンブラックの輻射率はチタン基材の輻射率よりも高いため、混合層にカーボンブラックが残存した状態で再度加熱処理を行うと、試験体の温度が急激に上昇すると考えられる。このような再度の加熱処理により、炭化チタンの炭素が、チタン基材に拡散するが、その一方で、炭化チタン層に、カーボンブラックの炭素が供給されるため、炭化チタン層は、チタン基材に吸収されずに、残存してしまうと考えられる。
このようにして得られた、炭化チタン層が形成された比較例の試験体(セパレータ材)に、プレス加工で発生するような引張応力させると、炭化チタン層にすべり面が形成される。そして、燃料電池の使用環境下の如く、生成水に相当する溶液に浸漬すると、このすべり面から、炭化チタン層のチタン原子がイオンとなって、溶液中に溶出すると考えられる。これにより、比較例の試験体では、チタン基材に対して混合層が剥がれたと考えられる。この剥がれに起因して、耐久後(腐食試験後)の比較例の試験体の接触抵抗値は、初期(腐食試験前)の比較例のものよりも、大きくなったと考えられる。
一方、実施例では、混合層の表面に残存したカーボンブラックを、再度加熱処理を行う前に除去したので、カーボンブラックの輻射率に起因した急激な温度上昇を抑制することができたと考えられる。これにより、新たな炭化チタン層の生成を抑制しながら、効率よく炭化チタン層を吸収することができたと考えられる。その結果、実施例の試験体では、混合層とチタン基材との界面の炭化チタン層が吸収されたと考えられる。この結果、実施例の試験体では、比較例のように炭化チタン層のチタンが、溶液内に溶出するような現象は起こらず、チタン基材に対して混合層が剥がれることなかったと考えられる。このため、耐久後(腐食試験後)の実施例の試験体の接触抵抗値は、それほど変化しなかったと考えられる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:セパレータ材、2:チタン基材、3:混合層、3’:カーボンブラック層、4:炭化チタン層、31:保持されたカーボンブラック、31a:残存したカーボンブラック、S1:カーボンブラック層形成工程、S2:混合層形成工程、S3:カーボンブラック除去工程、S4:炭化チタン層吸収工程

Claims (1)

  1. 燃料電池用のセパレータ材の製造方法であって、
    前記セパレータ材の基材であり、チタンまたはチタン合金からなるチタン基材の表面にカーボンブラックを塗布することにより、カーボンブラック層を形成するカーボンブラック層形成工程と、
    前記カーボンブラック層が形成された前記チタン基材に対して、酸素分圧が1〜100Paで酸素ガスを含む低酸素雰囲気下で加熱処理を行うことにより、前記チタン基材のチタン原子を前記カーボンブラック層に外方拡散させるとともに、前記外方拡散したチタン原子と前記酸素ガスとを反応させて酸化チタンを生成し、前記酸化チタンと、前記酸化チタンに保持されたカーボンブラックとからなる混合層を形成する混合層形成工程と、
    前記カーボンブラック層を形成したカーボンブラックのうち、前記混合層の表面に残存したカーボンブラックを除去するカーボンブラック除去工程と、
    前記カーボンブラック除去工程後の前記チタン基材に対して、再度加熱処理を行うことにより、前記混合層形成工程において、前記混合層と前記チタン基材との界面に生成された炭化チタン層を前記チタン基材に吸収させる炭化チタン層吸収工程と、を含むことを特徴とする燃料電池用のセパレータ材の製造方法。
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