JP6939315B2 - 照明装置 - Google Patents

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Description

本開示は、トンネル内への照明を行う照明装置に関する。
従来、車両等が通行するトンネル内の照明には、トンネル内の安全性の向上等を目的としてさまざまな工夫がなされている。例えば特許文献1では、トンネル照明用器具における配光の向き及び形状を工夫することにより、先行する車両の背面を明るく照らし、とりわけ交通量の多い都市部のトンネル等で、照明環境を改善したものが開示されている。
特許第3296129号公報
ところで、車両が、太陽光等により照らされる明るい環境からトンネル内に進入する場合、トンネル内が一様に黒く視認され、トンネル内の状況を視認しにくい場合がある。これは、トンネル内を照明していたとしても、太陽光によるトンネル外の明るさと比較して、トンネル内の明るさがはるかに小さいことに起因する。人間の目は、太陽光によるトンネル外の明るさに順応している場合、それよりもはるかに暗いトンネル内における路面や壁面等の明るさの違いを認識できない。したがって、トンネル内は一様に黒く視認され、トンネルが黒い穴のように見える(図21参照)、いわゆるブラックホール現象や、トンネル内にトンネル出口が見えている場合には、トンネル内の壁面、天井及び路面が黒い枠のように見える、いわゆるブラックフレーム現象が起こり得る。この場合、トンネル内に進入する際には、トンネル内の明るさに目が順応するまで、運転者はトンネル内の様子を把握できず、このことが交通事故の原因となることがある。
逆に、トンネル内からトンネル外へ出る場合、トンネル内の明るさに順応した目には、トンネル内よりもはるかに明るいトンネル外は眩しく見える。これによりトンネル外及びトンネル内の出口近傍が一様に白く見える、いわゆるホワイトホール現象が起こり得る。
このような、ブラックホール現象、ブラックフレーム現象又はホワイトホール現象が生じることを抑制するために、従来、トンネル内の出入り口近傍に重点的に照明を配置すること等により、トンネル内の出入り口近傍を明るく照明することも行われている。
しかしながら、このような照明によっても、その効果は十分ではなく、トンネル内におけるさらなる照明の改善が求められている。
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、トンネル内における効果的な照明を実現することを目的とする。
本発明による照明装置は、
トンネル内への照明を行う照明装置であって、
コヒーレント光源と、
前記コヒーレント光源から射出したコヒーレント光を整形する整形光学系と、
前記整形光学系で整形された前記コヒーレント光を回折して被照明領域に向ける回折光学素子と、を備える。
本発明による照明装置において、
前記整形光学系は、前記コヒーレント光の光束の断面積を拡大させてもよい。
本発明による照明装置において、
前記回折光学素子は、複数の要素回折光学素子を含み、
前記複数の要素回折光学素子に含まれる少なくとも二つの要素回折光学素子は、異なる回折特性を有してもよい。
本発明による照明装置において、
前記少なくとも二つの要素回折光学素子は、同一の領域を照明してもよい。
本発明による照明装置において、
前記少なくとも二つの要素回折光学素子は、異なる領域を照明してもよい。
本発明による照明装置において、
前記少なくとも二つの要素回折光学素子は、前記回折光学素子から前記被照明領域への入射角度が最大となる入射光の光路を含み且つ前記被照明領域への法線方向に平行な面と、前記回折光学素子が位置する仮想面と、の交線に平行な方向に沿って配列されていてもよい。
本発明による照明装置において、
前記被照明領域は、車線を区画する区画線を含んで、前記トンネルの入口又は出口から前記トンネル内へ向けて所定距離にわたって位置してもよい。
本発明による照明装置において、
前記被照明領域は、前記トンネルの入口又は出口から前記トンネル内へ向かうにつれてその照度が小さくなってもよい。
本発明による照明装置において、
前記被照明領域は、前記トンネルの天井部及び/又は側壁部に位置し、
前記被照明領域は、情報を表示してもよい。
本発明によれば、トンネル内における効果的な照明を実現することができる。
図1は、本開示による一実施の形態を説明するための図であって、照明装置を示す斜視図である。 図2は、図1の照明装置の回折光学素子と被照明領域の一例との位置関係をxyz座標系で示す図である。 図3は、図2の回折光学素子と被照明領域との位置関係をθV−θH角度座標系で示す図である。 図4は、図2の回折光学素子と被照明領域との位置関係をyz座標系で示す図であって、 図5は、図2の回折光学素子と被照明領域との位置関係をxz座標系で示す図である。 図6は、反復フーリエ変換法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図7は、図1に対応する図であって、回折光学素子が複数の要素回折光学素子を含む例を示す斜視図である。 図8は、図2に対応する図であって、図7の照明装置の回折光学素子と被照明領域の他の例との位置関係をxyz座標系で示す図である。 図9は、図3に対応する図であって、図8の回折光学素子と被照明領域の他の例との位置関係をθV−θH角度座標系で示す図である。 図10は、回折光学素子と被照明領域との位置関係をyz座標系で示す図であって、回折光の被照明領域への入射位置のずれを説明するための図である。 図11は、回折光学素子と被照明領域との位置関係をxz座標系で示す図であって、各要素回折光学素子からの回折光によって照明される領域のずれを説明するための図である。 図12は、回折光学素子と被照明領域との位置関係をyz座標系で示す図であって、要素回折光学素子からの回折光が被照明領域内に異なる領域を照明する例を説明するための図である。 図13は、図1に対応する図であって、照明装置の一変形例を示す図である。 図14は、図1に対応する図であって、照明装置の他の変形例を示す図である。 図15は、照明装置の一適用例を説明するための図である。 図16は、照明装置の一適用例を説明するための図である。 図17は、照明装置の他の適用例を説明するための図である。 図18は、照明装置の他の適用例を説明するための図である。 図19は、照明装置のさらに他の適用例を説明するための図である。 図20は、照明装置の設置場所の例を説明するための図である。 図21は、ブラックホール現象について説明するための図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や、長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は、照明装置10の全体構成を模式的に示す斜視図である。照明装置10は、被照明領域Zを照明する装置である。後述するように、被照明領域Zは、トンネル1内のいずれかの箇所、例えばトンネル1内の側壁部2、天井部3、道路5上に位置する。被照明領域Zは、特定の領域を照明するものであってもよいし、文字、図形、絵、写真、動画又はこれらの組み合わせを表示するものであってもよい。図1〜図5に示された例において、被照明領域Zは、照明装置10の遠方に位置し、長手方向dlを有する四角形形状の領域となっている。被照明領域Zの長手方向dlは、照明装置10の遠方を横切る方向に延びている。
ここで説明する照明装置10は、所定の領域を高精度に照明するための工夫を施され、これにより、照明装置10の設置場所の制約を効果的に緩和している。したがって、以下に説明する照明装置10は、被照明領域Zとの相対位置に強い拘束を受けることなく、例えば被照明領域から遠方に離間した位置や、被照明領域Zに対する照明光の入射角度が大きくなってしまう位置等にも、設置することができる。
以下、図示された具体例を参照しながら、一実施の形態について説明する。
図1に示すように、照明装置10は、光を投射するコヒーレント光源20と、コヒーレント光源20から射出した光を回折する回折光学素子40と、を有している。図1及び図2に示すように、照明装置10は、コヒーレント光源20から射出した光の光路に沿って、コヒーレント光源20と回折光学素子40との間に、整形光学系30を有している。図示された例において、コヒーレント光源20から射出した光は、整形光学系30及び回折光学素子40を経て、被照明領域Zに向かう。以下、照明装置10の各構成要素について、順に説明していく。
コヒーレント光源20として、種々の型式の光源を用いることができる。典型的には、コヒーレント光源20として、レーザー光源を用いることができ、一具体例として、半導体レーザー光源を例示することができる。図1に示された例において、コヒーレント光源20は、単一の光源を含んでいる。したがって、図示された例では、コヒーレント光源20から発振されるコヒーレント光の波長域に対応した色で、被照明領域Zが照明される。
ただし、被照明領域Zを所望の色に照明することができるよう、コヒーレント光源20が複数のコヒーレント光源20を含み、各コヒーレント光源20から射出した光が重ね合わされた後、整形光学系30及び回折光学素子40に向かうようにしてもよい。また、図13及び図14に示された変形例のように、各コヒーレント光源20から射出した光が当該コヒーレント光源20に対応して設けられた整形光学系30A,30B,30C及び回折光学素子40A,40B,40Cを経て、その後に被照明領域Z上で重ね合わされてもよい。このような例において、コヒーレント光源20に含まれる複数のコヒーレント光源20は、異なる波長域の光を射出するだけでなく、同一の波長域の光を射出するようにしてもよい。コヒーレント光源20が同一の波長域の光を射出するコヒーレント光源20を含むことで、被照明領域Zを明るく照明することが可能となる。
なお、図13及び図14に示す例において、コヒーレント光源20は、第1コヒーレント光源20A、第2コヒーレント光源20B及び第3コヒーレント光源20Cを有している。コヒーレント光源20が、複数のコヒーレント光源を含む場合には、各コヒーレント光源20からのコヒーレント光の射出、より具体的には射出の発停および射出量を調節することで、被照明領域Zの照明色や被照明領域Zの明るさを制御するようにしてもよい。
次に、整形光学系30について説明する。整形光学系30は、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を整形する。言い換えると、整形光学系30は、コヒーレント光の光軸に直交する断面での形状や、コヒーレント光の光束の立体的な形状を整形する。典型的には、整形光学系30は、コヒーレント光の光軸に直交する断面でのコヒーレント光の光束断面積を拡大させる。すなわち、整形光学系30に入射する前のコヒーレント光の光路面積la1よりも、整形光学系30から出射した後のコヒーレント光の光路面積la2が、大きい。
図示された例において、整形光学系30は、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を拡幅した平行光束に整形する。すなわち、整形光学系30は、コリメート光学系として機能する。図1に示すように、整形光学系30は、コヒーレント光の光路に沿った順で、第1レンズ31及び第2レンズ32を有している。第1レンズ31は、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を発散光束に整形する。第2レンズ32は、第1レンズ31で生成された発散光束を、平行光束に整形し直す。すなわち、第2レンズ32は、コリメートレンズとして機能する。
次に、回折光学素子40について説明する。回折光学素子40は、コヒーレント光源20から射出した光に対して回折作用を及ぼす素子である。回折光学素子40は、コヒーレント光源20からの光を回折して、被照明領域Zに向ける。したがって、被照明領域Zは、回折光学素子40での回折光によって、照明されることになる(図1参照)。
回折光学素子40は、整形光学系30で整形されたコヒーレント光を角度空間における所定の拡散角度範囲内に回折させて、予め定めた位置およびサイズの被照明領域Zを照明する。回折光学素子40は、典型的には、ホログラム素子である。後述するように、回折光学素子40としてホログラム素子を用いることで、ホログラム素子の回折特性を設計しやすくなり、予め定めた位置、サイズおよび形状の被照明領域Zの全域を照明するようなホログラム素子の設計も比較的容易に行うことができる。
被照明領域Zは、回折光学素子40に対して予め定めた位置に、予め定めたサイズおよび形状で設けられている。被照明領域Zの位置、サイズおよび形状は、回折光学素子40の回折特性に依存しており、回折光学素子40の回折特性を調整することで、被照明領域Zの位置、サイズおよび形状を任意に調整することができる。従って、回折光学素子40を設計する際には、まず被照明領域Zの位置、サイズおよび形状を決定して、決定した被照明領域Zの全域を照明できるように、回折光学素子40の回折特性を調整すればよい。
回折光学素子40を、計算機合成ホログラム(CGH:Computer Generated Hologram)として作製することができる。計算機合成ホログラムは、任意の回折特性を持つ構造をコンピュータ上での計算によって設計することで作製される。したがって、計算機合成ホログラムを回折光学素子40として採用することで、コヒーレント光源や光学系を用いた物体光及び参照光の生成や、露光によるホログラム記録材料への干渉縞の記録を不要とすることができる。照明装置10は、例えば図1に示すように、回折光学素子40に対して予め定めた位置に、予め定めたサイズおよび形状の被照明領域Zを照明することを想定されている。被照明領域Zに関する情報をパラメータとしてコンピュータに入力することで、この被照明領域Zを照明可能な回折特性を持つ構造、例えば凹凸面を、コンピュータでの演算によって特定することができる。特定された構造を、例えば樹脂賦型により形成することで、計算機合成ホログラムとしての回折光学素子40を、簡易な手順にて低コストで作製することができる。
回折光学素子40で回折された光が、照明光として、被照明領域Zを照明する。図示された例において、回折光学素子40と被照明領域Zとの間には、他の光学素子等が介在していない。したがって、回折光学素子40での回折光は、被照明領域Zに直接入射する。回折光学素子40上の各点における回折光は、被照明領域Zの少なくとも一部を照明する。すなわち、回折光学素子40上の各点における回折光は、所定の拡散角度範囲内を進行して、被照明領域Zを照明する。
ここで、図2では、実空間における被照明領域Zを斜視図で示している。また、図3では、回折光学素子40が設けられた位置を基準とした角度空間における被照明領域Zを示している。図3において、被照明領域Zは、回折光学素子40上の基準位置に対する角度座標、具体的には、角度θV及び角度θHによって表される座標系で示されている。ここで、角度θVは、図4に示すように、図2のyz面への投影において、回折光学素子40上の基準位置に対する被照明領域Zの相対位置を、z軸方向に対する角度で表している。また、角度θHは、図5に示すように、図2のxz面への投影において、回折光学素子40上の基準位置に対する被照明領域Zの相対位置を、z軸方向に対する角度で表している。
なお、非限定的な図1〜図5に示された例において、回折光学素子40は、その出射面がxy面上に位置するように配置され、被照明領域Zはxz面上に広がっている。しかしながら、この例に限られず、例えば、被照明領域Zが、xz面に対して傾斜していてもよい。
回折光学素子40の設計には、例えば反復フーリエ変換法が用いられる。図6は反復フーリエ変換法の処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、被照明領域Z上の放射照度分布から、回折光学素子40からの1次回折光強度の角度空間分布をコンピュータにて計算するとともに、ランダムな位相分布を準備する(ステップS1)。
次に、ステップS1で計算した角度空間分布にランダムな位相分布を組み合わせた電場の複素振幅分布を生成する(ステップS2)。次に、得られた複素振幅分布に対して逆フーリエ変換(IFT)を施して、被照明領域Z上の電場の複素振幅分布を生成する(ステップS3)。
得られた複素振幅分布は、ランダムな位相分布を用いて計算したために、そのランダム性を反映した光強度分布を有する。次に、得られた光強度分布を被照明領域Z上の設計照明強度分布に合わせて修正する(ステップS4)。次に、ステップS4で修正した光強度分布と、ステップS3で生成した複素振幅分布の位相情報とを含む複素振幅分布に対してフーリエ変換を施して、回折光学素子40上の電場の複素振幅分布を計算する(ステップS5)。次に、ステップS5で計算した複素振幅分布に含まれる光強度分布を、ステップS1で計算した角度空間分布に置換した複素振幅分布を生成する(ステップS6)。次に、ステップS6で生成した複素振幅分布を用いて、ステップS3以降の処理を繰り返す。
ステップS3〜S6の処理を繰り返すうちに、回折光学素子40からの出射角度空間における光強度分布が、ステップS1で計算した光強度分布に近づいていく。
図6の処理手順は、被照明領域Zが回折光学素子40から遠方にあることを前提とした場合の処理であり、被照明領域Z上の回折像は、フラウンホーファ回折像である。したがって、被照明領域Zの法線方向ndが回折光学素子40の出射面の法線方向nd1と非平行であっても、被照明領域Zの全域にわたって、照明強度を均一化でき、被照明領域Z内のボケを抑制できる。
ところで、図1に示す例では、被照明領域Zは、照明装置10からz方向に離間して設定され、z方向と直交するx方向に延びている。このような例において、照明装置10からの照明光L1の進行方向が、yz平面内で、ごく僅かにでもずれると、被照明領域Zの幅wが大きく変動する。また、被照明領域Zが照明装置10の近傍に位置していたとしても、照明装置10から射出した照明光L1の被照明領域Zへの入射角度αが大きくなる場合には、同様に、照明光L1の進行方向のごく僅かなずれによって、被照明領域Zの幅wが大きく変動する。そして、幅wが太くなってしまうと、被照明領域Zの近傍に位置する観察者からは、もはや被照明領域Zを細長状の領域として認識することができなくなることも想定される。このような問題から、高精度の照明が要求される照明装置は、従来、その設置位置に制約があり、被照明領域Zの近傍や被照明領域Zへの照明光の入射角度が小さくなる位置に配置する必要があった。
なお、被照明領域Zへの入射角度αとは、入射光の進行方向が被照明領域Zの法線方向ndに対してなす角度のことである。
その一方で、ここで説明する照明装置10は、回折光学素子40により照明光L1の光路を調整している。一般に、回折光学素子40の光路調整機能は高精度であることから、被照明領域Zを所望のパターンで高精度に照明することができる。このため、被照明領域Zとの相対位置に強い拘束を受けることなく、例えば被照明領域Zから遠方に離間した位置や、被照明領域Zに対する照明光の入射角度αが大きくなってしまう位置等にも、照明装置10を設置することができる。
例えば、図6を参照して説明した設計により作製された計算機合成ホログラムからなる回折光学素子40によれば、一定の方向から入射する光の進行方向を、角度空間において、±0.01°の精度で調整することができる。このような回折光学素子40を用いることにより、回折光学素子40から1m以上300m以下の距離にある被照明領域Zや、照明光の被照明領域Zへの入射角度αが最小でも45°以上となり最大で89.99°以下となる被照明領域Zを、所望するパターンで高精度に照明することが可能となる。
また、更なる工夫として、図7に示すように、回折光学素子40が、複数の要素回折光学素子41を有するようにしてもよい。複数の要素回折光学素子41は、回折光学素子40を平面分割して配置されている。言い換えると、回折光学素子40は、複数の要素回折光学素子41をタイリングして構成されている。この例においては、各要素回折光学素子41が、コヒーレント光源20から射出した光に対して回折作用を及ぼす。すなわち、各要素回折光学素子41が、上述したようにホログラム素子等として構成される。
なお、図7に示された例においても、照明装置10によって照明される被照明領域Zは、照明装置10の遠方に位置し、長手方向を有する四角形形状の領域となっている。ただし、被照明領域Zの長手方向dlは、照明装置10から離間する方向、すなわちz方向に延びている。図8及び図9は、それぞれ図2又は図3に対応する図であって、図7の被照明領域Zを実空間または角度空間において示している。
図10に示すように、回折光学素子40上の二つの位置から光L101,L102が、平行な方向に射出して、被照明領域Zに入射する場合、二つの光L101,L102は、被照明領域Z内の異なる点に入射する。そして、二つの光L101,L102が、被照明領域Zと非平行な方向にずれている場合、被照明領域Z内への入射位置のずれ量a’[m]は、二つの光L101,L102の光路の最小ずれ量a[m]よりも大きくなる。具体的には、被照明領域Zへの法線方向ndに沿った面において、二つの光L101,L102の光路がa[m]だけずれている場合、被照明領域Z上での入射位置のずれ量a’[m]は、被照明領域Zへの入射角度α[°]を用いた次の式によって表される。
a’=a/cosα ・・・式(1)
すなわち、被照明領域Z上でのずれ量a’[m]は、実際の光線のずれ量a[m]以上となる。
例えば、図7に示された回折光学素子40において、y軸方向に配列された二つの要素回折光学素子41が、同一の回折特性を有していたとすると、この二つの要素回折光学素子41によって照明される領域は、それぞれ、図11に示すように、実線で示された被照明領域Z1および点線で示された被照明領域Z2となり、被照明領域Z1及び被照明領域Z2はz軸方向にずれてしまう。被照明領域Z1及び被照明領域Z2のz軸方向へのずれ量は、y軸方向における二つの要素回折光学素子41のずれ量よりも格段に大きくなる。
以上の点から、回折光学素子40が複数の要素回折光学素子41を有するようにして、複数の要素回折光学素子に含まれる少なくとも二つの要素回折光学素子41が、異なる回折特性を有することが好ましい。この例において、少なくとも二つの要素回折光学素子41の回折特性を、各要素回折光学素子41によって照明されるべき領域に対する当該要素回折光学素子41の相対位置に応じて設定することができる。例えば、各要素回折光学素子41が、それぞれ、被照明領域Zの全域を照明する場合には、被照明領域Zに対する各要素回折光学素子41の相対位置を考慮して、当該要素回折光学素子41の回折特性を決定すればよい。このような例によれば、複数の要素回折光学素子41の各々が、被照明領域Zを所望のパターンで高精度に照明することができる。
なお、上述した式(1)が成り立つのは、二つの光L101,L102が、被照明領域Zに直交する面上での二つの光L101,L102の最大間隔が最小ずれ量a[m]となっている場合である。そして、被照明領域Zに直交する面に沿って光L101,L102がずれると、被照明領域Z上での入射位置のずれが最大となり、そのずれ量が上述した式(1)のa’[m]となる。また、式(1)から明らかなように、入射角度α[°]が大きくなると、被照明領域Z上での入射位置のずれ量a’[m]も大きくなり、入射角度α[°]が小さくなると、被照明領域Z上での入射位置のずれ量a’[m]も小さくなる。
したがって、被照明領域Zを所望のパターンで高精度に照明する観点からは、図8に示された一つの面pl1と他の一つの面pl2との交線lxに沿って配列された複数の要素回折光学素子41が、それぞれ、その位置に応じて回折特性を調節されていることが好ましい。交線lxを特定する一つ面pl1は、回折光学素子40から被照明領域Zへの入射角度α[°]が最大となる入射光L81の光路を含み且つ被照明領域Zへの法線方向ndに平行な面である。すなわち、この面pl1は、被照明領域Zへの法線方向ndと、この法線方向ndに対して最大の角度α[°]をなすようになる回折光学素子40の出射面上の或る位置と被照明領域Z上の或る位置とを結ぶ直線分laと、を含んでいる。一方、他の一つの面pl2は、回折光学素子40の出射面が位置する仮想面である。図示された例において、この面pl2は、xy面である。
すなわち、複数の要素回折光学素子41が同一の回折特性を有していると仮定すると、交線lxの方向に沿って異なる位置に配置された要素回折光学素子41からの回折光によって照明される被照明領域Z上の領域が、大きく変化することになる。したがって、この交線lxの方向に配列された要素回折光学素子41の回折特性を、他の要素回折光学素子41とは別途に調節しておくことが、被照明領域Zを所望のパターンで高精度に照明する上で有効である。また、その前提として、回折光学素子40をこの交線lxの方向に分割することが、被照明領域Zを所望のパターンで高精度に照明する上で有効となる。
なお、図7に示された例において、複数の要素回折光学素子41は、マトリクス状に配置されている。言い換えると、回折光学素子40は、交線lxの方向に一致するy軸方向に分割され、さらに、y軸方向に直交するx軸方向にも配列されている。この例では、交線lxの方向に一致するy軸方向に並ぶ複数の要素回折光学素子41の各々が、その配置位置に応じた互いに異なる回折特性を有するようにしてもよい。また、x軸方向に並ぶ複数の要素回折光学素子41の各々も、その配置位置に応じた互いに異なる回折特性を有するようにしてもよい。その一方で、複数の要素回折光学素子41が、交線lxの方向に一致するy軸方向に配列され、且つ、各要素回折光学素子41が、x軸方向に細長く延びるようにしてもよい。
さらに別の工夫として、回折光学素子40が複数の要素回折光学素子41を含む例においては、図12に示すように、少なくとも二つの要素回折光学素子41が、異なる領域を照明するようにしてもよい。
0次光の進行方向に対して回折光の進行方向がなす角度を回折角度とすると、この回折角度に応じて、回折を実現するための回折光学素子の構造、例えば干渉縞パターンをなす凹凸のピッチを設計する。また、回折効率を最適化するには、回折角度に応じて設計された回折を実現するための回折光学素子の構造に応じて、回折効率に影響を与え得る構成、一具体例として干渉縞パターンを形成する凹凸の深さを調整することになる。したがって、広範に亘る回折角度を実現するための構造を一つの回折光学素子内に設ける場合、当該一つの回折光学素子内の各位置で回折効率に影響を与え得る構成を最適化する必要がある。例えば、広範に亘るピッチの凹凸を一つの回折光学素子内に設ける必要がある場合、各位置での凹凸のピッチに応じて、当該位置での凹凸の深さを最適化していく必要がある。しかしながら、実際の照明装置にそのような複雑な構成を付与することは実質的に不可能であり、また、商業的にも成立し得ない。この結果、広い回折角度範囲を持ち広範な領域に照明光を拡散させることができる回折光学素子では、回折効率が低下し、これにともなって、照明装置のエネルギー効率が低下してしまっていた。
このような不具合に対処するため、図12に示すように、異なる要素回折光学素子41で回折された光が、被照明領域Zを区分けしてなる複数の要素被照明領域Zeのうちの異なる要素被照明領域を照明するようにしてもよい。図12に示された例において、被照明領域Zは、第1要素被照明領域Ze1及び第2要素被照明領域Ze2に区分けされている。一つの要素回折光学素子41aからの回折光によって第1要素被照明領域Ze1を照明し、他の要素回折光学素子41bからの回折光によって第2要素被照明領域Ze2を照明するようにしてもよい。各要素回折光学素子41a,41bでの回折角度範囲Rθ1,Rθ2は、被照明領域Zの全域に回折光を広げる場合の回折角度範囲Rθよりも狭くなっている。これにより、要素回折光学素子41での回折効率を改善し、一定のエネルギーによって、被照明領域Zを明るく照明することができる。このように電源の負担を軽減することができるので、バッテリー等による電力供給も可能となり、この点からも、照明装置10の設置位置に関する自由度を向上させることができる。
なお、被照明領域Zが含む要素被照明領域Zeの数は二つに限られることなく、三以上としてもよい。図8及び図9に二点鎖線で示す例では、被照明領域Zが四つの要素被照明領域Zeを含んでいる。この例では、回折光学素子40が、四以上の要素回折光学素子41を含み、各要素被照明領域Zeが一以上の要素回折光学素子41からの回折光によって照明される。
また、各要素回折光学素子41は、当該要素回折光学素子41から射出する0次光の光路を含む要素被照明領域Zeに光を回折するようにしてもよい。このような例によれば、0次光の進行方向に対して回折光の進行方向がなす角度、すなわち回折角度を小さくすることができる。これにより、各要素回折光学素子41での回折効率をさらに効果的に改善することができ、結果として、照明装置10のエネルギー効率をさらに効果的に向上させることができる。
次に、図15〜図20を参照して、本発明の照明装置10の適用例について説明する。
図15及び図16は、照明装置10の一適用例を説明するための図である。図15は、トンネル1及び当該トンネル1内を通る道路5を示す斜視図であり、図16は、トンネル1及び道路5を示す平面図である。図16では、トンネル1の天井部3の図示を省略している。
トンネル1は、道路5の延びる方向に沿って道路5の一部を覆うように設けられる。図示された例では、トンネル1は、道路5の幅方向の全域にわたって道路5を覆っている。トンネル1は、道路5を挟んで道路5の幅方向に対向した二つの側壁部2と、両側壁部2の上部どうしを接続し道路5の上方を覆う天井部3と、を有している。とりわけ図示された例では、トンネル1は、道路5の延びる方向と直交する断面において略円弧形状を有しており、両側壁部2及び天井部3は、滑らかに連続した壁面を形成している。
道路5には、車両が走行する車線を区画するための区画線6が設けられている。区画線6は、道路5の延びる方向に沿って、実線状、破線状等の線状に設けられる。図示された例では、道路5には、道路5の幅方向の中央部に、道路5の延びる方向に沿って一方側へ向かう車両が走行すべき車線と他方側へ向かう車両が走行すべき車線とを区画する車道中央線7(区画線6)が設けられ、道路5の幅方向の両端部近傍に、車道と路側帯とを区画する車道外側線8(区画線6)が設けられている。なお、これに限られず、区画線6として、同一方向へ向かう車両が走行すべき複数の車線間を区切る車線境界線等の他の区画線が設けられていてもよい。
図示された例では、被照明領域Zは、道路5の区画線6上に位置している。とりわけ、被照明領域Zは、区画線6上を含んで、トンネル1の入口又は出口からトンネル内へ向けて所定距離にわたって、位置している。照明装置10は、トンネル1の天井部3に設けられている。なお、後述するように、照明装置10は、側壁部2等の他の箇所に設けられてもよい。
図17及び図18は、照明装置10の他の適用例を説明するための図である。図17は、トンネル1及び当該トンネル1内を通る道路5を示す斜視図であり、図18は、トンネル1及び道路5を示す平面図である。図18では、トンネル1の天井部3の図示を省略している。
図示された例では、被照明領域Zは、トンネル1の側壁部2上に位置している。とりわけ、被照明領域Zは、側壁部2上における、トンネル1の入口又は出口の近傍からトンネル内へ向けて所定距離にわたって、位置している。図視された例では、照明装置10は、被照明領域Zが設けられる側壁部2と対向する側壁部2に設けられている。なお、これに限られず、照明装置10は、天井部3等の他の箇所に設けられてもよい。
図15及び図16を参照して説明した適用例及び図17及び図18を参照して説明した適用例によれば、太陽光等により照らされる明るい環境からトンネル内に進入する場合に、トンネル内が一様に黒く視認されるブラックホール現象又はブラックフレーム現象が生じても、トンネル1の入口からトンネル1内へ向けて所定距離にわたって区画線6又は側壁部2が照明されているので、トンネル1内へ進入しようとする車両の乗員から、この区画線6又は側壁部2が容易に視認され得る。したがって、当該車両の乗員は、トンネル1内へ進入する前に、トンネル1内の状況、例えば、道路5がトンネル1内において直線状に延びているか、右または左にカーブしているか、上り坂となっているか、下り坂となっているか、等を容易に認識することができる。これにより、トンネル1の入口への進入前後における安全な運転が可能になる。
図19は、照明装置10のさらに他の適用例を説明するための図である。図19は、トンネル1及び当該トンネル1内を通る道路5を示す斜視図である。
図示された例では、被照明領域Zは、トンネル1の天井部3上に位置している。本適用例では、被照明領域Zは、制限速度を示す数値を含む形状を有している。したがって、被照明領域Zは、トンネル1の天井部3に制限速度情報を表示するように形成される。図示された例では、照明装置10は、トンネル1の手前の路側上に設けられたポール51上に設置されている。なお、これに限られず、被照明領域Zは、側壁部2等の他の箇所に位置してもよい。また、被照明領域Zは、制限速度以外の他の情報を表示するように形成されてもよい。さらに、照明装置10は、トンネル1の側壁部2、天井部3等の他の箇所に設置されてもよい。
本適用例によれば、トンネル1内の天井部3や側壁部2等に、制限速度等の情報を表示することができる。したがって、トンネル1内に情報を表示するために、電光表示板のような追加の表示装置を設ける必要がない。これにより、簡易な構成及び低コストで、トンネル1内に情報を表示することができる。
上述の各適用例において、照明装置10の設置場所は、特に限られない。照明装置10は、例えば図20に示すように、トンネル1の側壁部2、天井部3、路側又は車道中央線7上に設けられたポール51上等の、さまざまな箇所に設置することができる。
また、図15及び図16を参照して説明した適用例及び図17及び図18を参照して説明した適用例において、被照明領域Zは、トンネル1の入口又は出口からトンネル1内へ向かうにつれてその照度が小さくなるように形成されることもできる。例えば、トンネル1の入口近傍又は出口近傍の側壁部2、天井部3又はポール51上に照明装置10を設置し、トンネル1内へ向けて、道路5の延びる方向と比較的小さな角度をなす方向へ向けて照明光を射出して、この照明光により被照明領域Zを形成するようにすることで、被照明領域Zを、トンネル1の入口からトンネル1内へ向かうにつれてその照度が小さくなるように形成することができる。
この場合、トンネル1内に進入した車両の乗員の目がトンネル1内の明るさに順応していくにしたがって、被照明領域Zの明るさが小さくなるので、トンネル1内において乗員が被照明領域Zを眩しく感じることがない。これにより、トンネル1の入口への進入前後において、さらに安全な運転が可能になる。
以上に、いくつかの適用例を示したが、当然に、2以上の適用例を組み合わせて用いてもよい。
以上に説明してきた実施の形態において、照明装置10は、トンネル1内への照明を行う照明装置10であって、コヒーレント光源20と、コヒーレント光源20から射出したコヒーレント光を整形する整形光学系30と、整形光学系30で整形されたコヒーレント光を回折して被照明領域Zに向ける回折光学素子40と、を含んでいる。このような一実施の形態では、整形光学系30で整形されたコヒーレント光を回折する回折光学素子40によって、光の光路が被照明領域Zに向けられる。回折光学素子40によれば、整形光学系30で整形されたコヒーレント光の進行方向を所望の角度空間に高精度に回折することができる。これにより、照明装置10から遠方に離間する被照明領域Zや、回折光学素子40の法線方向nd1に対してその法線方向ndが大きな角度、例えば45°を超えるようになる被照明領域Zを、予定した所望のパターンにて、高精度に照明することができる。このような照明装置10は、高い自由度で、その設置位置を選択することができる。
また、この照明装置10の電力消費量は、プロジェクターと比較して大幅に低い。したがって、例えば太陽電池等を組み合わせたバッテリーとともに設置することで、電力需要をまかなうことも可能である。すなわち、電源の確保が容易であることからも、照明装置10の設置位置の自由度を向上させることができる。
このような照明装置10は、照明が行われる被照明領域Zから離間した位置に配置することができる。この照明装置10の動作は、その用途に応じて、センサ等の検出結果に基づいて自動的に行われるようにしてもよい。例えば、照明装置10が、照度センサを含み、トンネル1外の明るさの変化にともない被照明領域Zを照明するようにしてもよい。すなわち、トンネル1外の明るさが所定の明るさよりも大きい場合に被照明領域Zを照明するようにしてもよい。また、照明装置10が、車両検出センサを含み、トンネル1に車両が近づいたことを検出して、被照明領域Zを照明するようにしてもよい。さらに、照明装置10が、車速検出センサを含み、トンネル1に近づく車両の速度が所定の速度を超えている場合に、被照明領域Zを照明するようにしてもよい。
また、上述した一実施の形態の一具体例において、整形光学系30は、コヒーレント光の光路面積を拡大させる。このような例によれば、エタンデュの保存則から、整形光学系30で整形されたコヒーレント光は、光路面積の拡大、すなわち光束の断面積の拡大にともなって、その放射立体角を狭めることになる。したがって。整形光学系30で整形されたコヒーレント光の発散角を、整形光学系30の入射する前のコヒーレント光の発散角よりも、大幅に小さくすることができる。すなわち、回折光学素子40への入射光の発散角を、効果的に低減することができる。これにより、回折光学素子40での回折により、被照明領域Zを所望のパターンでさらに高精度に照明することができる。
さらに、上述した一実施の形態の一具体例において、回折光学素子40は、複数の要素回折光学素子41を含み、複数の要素回折光学素子41に含まれる少なくとも二つの要素回折光学素子41は、異なる回折特性を有するようにした。この例では、各要素回折光学素子41の被照明領域Zに対する相対位置に応じて、当該要素回折光学素子41の回折特性を調整することができる。したがって、各要素回折光学素子41が、所定の領域を高精度に照明することができる。
また、この少なくとも二つの要素回折光学素子41は、異なる領域を照明するようにしてもよい。この例によれば、一つの要素回折光学素子41での回折光が照明すべき領域を小さくすることができる。したがって、各要素回折光学素子41での回折角度範囲Rθ1,Rθ2を狭くすることができる。これにより、各要素回折光学素子41での回折効率を改善することができる。結果として、照明装置10のエネルギー効率を向上させることができる。すなわち、入力するエネルギーを増加させることなく、被照明領域Zを明るく照明することができる。
さらに、この少なくとも二つの要素回折光学素子41が、回折光学素子40から被照明領域Zへの入射角度αが最大となる入射光線の光路L81を含み且つ被照明領域Zへの法線方向ndに平行な面pl1と、回折光学素子40が位置する仮想面pl2と、の交線lxに平行な方向に沿って配列されるようにしてもよい。隣り合う要素回折光学素子41が同一の回折特性を有する場合、各要素回折光学素子41から同一の入射角度αで被照明領域Zに入射する光は、隣り合う要素回折光学素子の配列ピッチを最小ずれ量aとすると、次の式で表されるa’だけ、被照明領域上でずれる。
a’=a/cosα ・・・式(1)
同一の回折特性を有する複数の要素回折光学素子41からの回折光は、回折光学素子40の法線方向nd1に対して非平行な法線方向ndを有する被照明領域Z上において、要素回折光学素子41の配列ピッチa以上ずれた領域に入射する。このずれ量は、入射角度αが最大となる場合に、最も大きくなる。すなわち、上述した面pl1と面pl2との交線lxに沿って配列された複数の要素回折光学素子41が、同一の回折特性を有する場合、各要素回折光学素子41によって照明される領域のずれ量a’が最大となる。したがって、この交線lxに沿って配列された要素回折光学素子41の回折特性を、当該要素回折光学素子41によって照明されるべき被照明領域Z又はその一部の領域に対する相対位置に応じて、設定することで、被照明領域Zを所望のパターンでより高精度に照明することができる。
一実施の形態を複数の具体例により説明してきたが、これらの具体例は一実施の形態を限定することを意図していない。上述した一実施の形態は、その他の様々な具体例で実施されることが可能であり、その要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
1 トンネル
2 側壁部
3 天井部
5 道路
6 区画線
7 車道中央線
8 車道外側線
10 照明装置
20 コヒーレント光源
20A 第1コヒーレント光源
20B 第2コヒーレント光源
20C 第3コヒーレント光源
30 整形光学系
31 第1レンズ
32 第2レンズ
40 回折光学素子
41 要素回折光学素子
41a 第1要素回折光学素子
41b 第2要素回折光学素子
Z 被照明領域
Ze 要素被照明領域
Ze1 第1要素被照明領域
Ze2 第2要素被照明領域

Claims (7)

  1. トンネル内への照明を行う照明装置であって、
    コヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光源から射出したコヒーレント光を整形する整形光学系と、
    前記整形光学系で整形された前記コヒーレント光を回折して被照明領域に向ける回折光学素子と、を備え、
    前記回折光学素子は、複数の要素回折光学素子を含み、
    前記複数の要素回折光学素子に含まれる少なくとも二つの要素回折光学素子は、異なる回折特性を有し、
    前記少なくとも二つの要素回折光学素子は、異なる領域を照明する、照明装置。
  2. 前記整形光学系は、前記コヒーレント光の光束の断面積を拡大させる、請求項1に記載の照明装置。
  3. 全ての前記要素回折光学素子に、前記コヒーレント光が同時に入射する、請求項1又は2に記載の照明装置。
  4. 前記少なくとも二つの要素回折光学素子は、前記回折光学素子から前記被照明領域への入射角度が最大となる入射光の光路を含み且つ前記被照明領域への法線方向に平行な面と、前記回折光学素子が位置する仮想面と、の交線に平行な方向に沿って配列されている、請求項のいずれか一項に記載の照明装置。
  5. 前記被照明領域は、車線を区画する区画線を含んで、前記トンネルの入口又は出口から前記トンネル内へ向けて所定距離にわたって位置する、請求項1〜のいずれか一項に記載の照明装置。
  6. 前記被照明領域は、前記トンネルの入口又は出口から前記トンネル内へ向かうにつれてその照度が小さくなる、請求項に記載の照明装置。
  7. 前記被照明領域は、前記トンネルの天井部及び/又は側壁部に位置し、
    前記被照明領域は、情報を表示する、請求項1〜のいずれか一項に記載の照明装置。
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