JP6938884B2 - 機能性膜の形成方法及び塗布装置 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性膜の形成方法及び塗布装置に関する。
圧電アクチュエータに用いられる機能性膜の形成方法の一つとして、CSD法(Chemical Solution Deposition:化学溶液堆積法、またはゾル−ゲル法などとも呼ばれる)により、機能性膜の前駆体膜の形成、加熱焼成処理による結晶化を所定回数繰り返して成膜する方法が知られている。そして、機能性膜に電極を形成し、機能性膜が形成された基板の裏面の一部を加工してダイヤフラムを形成し、圧電アクチュエータが得られることが知られている。
また、機能性膜の前駆体のゾルをインクジェット方式の塗布機構を用いて塗布し、このゾル(インク)に加熱処理を施して結晶化させ、機能性膜を成膜することでパターニングされた機能性膜を成膜する方法も提案されている。これによれば、予め塗布対象の基板を、表面エネルギーがパターニングされた状態にしておくことで、所望の領域にのみインクが広がる上、インク着弾位置がずれても補正ができ、塗布精度を高めることができる。
しかし、機能性膜の塗布パターン上に着弾したインクの濡れ広がりには限界があるため、塗布パターンの端部までインクを濡れ広がらせるにはインク滴の着弾位置を細かく調整してパターン端部付近に着弾させる必要がある。着弾位置の細かい調整は多大な工数が必要であり、またパターン端部付近に着弾させるとわずかな吐出曲がりでもインク滴が塗布パターンからはみ出し、狙い通りの形状を有する機能性膜を得るのが難しいという問題があった。
特許文献1には、パターン領域全体に液状材料を濡れ広がらせる目的で、予めパターン領域に飽和蒸気圧に近い溶媒雰囲気下で溶媒からなる皮膜を形成し、その皮膜を「呼び水」として機能させる方法が開示されている。
しかし、乾燥前に先に塗った溶媒と機能性インクが混合するが、パターン領域全体に溶媒を塗布するため、乾燥時の体積収縮量が大きくなり機能性インクの種類、濃度によっては乾燥時にクラックが発生しやすく狙い通りの形状とならないという問題があった。
また、特許文献2〜3では、液晶表示装置や有機薄膜トランジスタ等を作製するにあたり、機能性液体を塗布する前に機能性液体の溶媒を塗布することが開示されている。
しかし、特許文献1と同様にパターン領域全体に溶媒を塗布するため、乾燥時のクラックが懸念され、狙い通りの形状にならないという問題があった。
本発明の目的は、狙い通りの形状を有する機能性膜を効率よく形成することができる機能性膜の形成方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の機能性膜の形成方法は、撥液性を有する領域に囲まれた塗布パターンを有するように塗布パターン作製処理及び撥液処理が行われた基板に対し、前記塗布パターンの周縁部の少なくとも一部に機能性液と相溶する先行塗布液を塗布する工程と、前記塗布された先行塗布液が液体の状態で前記塗布パターンに機能性液を塗布する工程と、前記塗布された機能性液及び先行塗布液を加熱する工程と、を有し、前記加熱する工程は、前記塗布された先行塗布液を加熱して消失させるとともに、前記塗布された機能性液を加熱して機能性膜を得ることを特徴とする。
本発明によれば、狙い通りの形状を有する機能性膜を効率よく形成することができる。
本発明に係る機能性膜の形成方法の一例における先行塗布液及び機能性液の着弾位置の一例を説明するための概略図である。 本発明に含まれない機能性膜の形成方法の一例における先行塗布液及び機能性液の着弾位置の一例を説明するための概略図である。 本発明に係る機能性膜の形成方法の一例を説明するためのフローチャートである。 本発明に係る機能性膜の形成方法の一例を説明するための機能性膜の断面の一例を示す概略図である。 本発明に係る機能性膜の形成方法の他の例における先行塗布液及び機能性液の着弾位置の一例を説明するための概略図である。 本発明に係る機能性膜の形成方法の他の例における先行塗布液及び機能性液の着弾位置の一例を説明するための概略図である。 本発明に係る塗布装置の一例を示す概略図である。
以下、本発明に係る機能性膜の形成方法及び塗布装置について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明の機能性膜の形成方法は、撥液性を有する領域に囲まれた塗布パターンを有する基板に対し、前記塗布パターンの周縁部の少なくとも一部に機能性液と相溶する先行塗布液を塗布する工程と、前記塗布された先行塗布液が液体の状態で前記塗布パターンに機能性液を塗布する工程と、前記塗布された機能性液を加熱する工程と、を有することを特徴とする。以下、詳細を説明する。なお、機能性液を機能性インクと称することがある。
(第1の実施形態)
本発明に係る機能性膜の形成方法の一実施形態について図1を用いて説明する。
図1は、塗布パターン上に先行塗布液、機能性液を塗布する方法について説明する図であり、基板を上から見た場合の概略図である。図1(A)は基板10上(下部電極11上)の塗布パターンの形状の一例を表し、機能性膜を配置したい所望の領域と同じ平面形状にしてある。例として塗布パターン20が矩形状である場合を挙げており、直角部は液滴が濡れ広がりにくいため、角は丸めてある。本実施形態では、基板10上に表面エネルギーがパターニングされており、液滴をはじきやすい撥液性の領域(撥液領域21)と、濡れ性が相対的に良い親液性の領域(塗布パターン20)とを有している。
本実施形態ではこのような基板に対して、図1(B)に示されるように先行塗布液を塗布する。図1(B)では先行塗布液の着弾位置が符号30で示されており、点線で描かれた丸は液滴の着弾の中心位置を示す。本実施形態では、塗布パターン20の周縁部の少なくとも一部に機能性液と相溶する先行塗布液を塗布する。塗布パターン20の周縁部とは、図示されるように撥液領域21と塗布パターン20の境界ができている箇所をいう。
本実施形態では、塗布パターン20の周縁部を先行塗布液の着弾位置としている。このとき、仮に先行塗布液が塗布パターン20から外れて着弾しても後の加熱工程で乾燥して消滅するため、塗布パターン20の縁を狙って着弾させても問題ない。このように、本実施形態によれば塗布パターン20の端の部分にまで先行塗布液を濡れ広げることができる。図1(C)に先行塗布液が濡れ広がった状態を示す。
また、図1(B)に示されるように、先行塗布液の塗布を行う際、塗布パターン20の周縁部以外、すなわち中心部には先行塗布液を塗布しないことが好ましい。中心部にも先行塗布液を塗布すると、機能性液と混合した際にインク濃度の低下が大きくなり、コーヒーステインがおきやすくなるほか、乾燥時に体積収縮量が増えるのでクラックが発生しやすくなる。
次に、塗布パターン20に機能性液を塗布する。図1(D)に示されるように、機能性液は先行塗布液が塗布されていない領域を含む塗布パターン20に対して塗布される。なお、図中、機能性液の着弾位置が符号40で示されており、点線で描かれた丸は液滴の着弾の中心位置を示す。
図1(D)に示されるように、機能性液は塗布パターン20の周縁部の内側に塗布されており、機能性液の着弾位置40は塗布パターン20の縁から離れている。このため、吐出曲がりがあった場合でも塗布パターン20からはみ出す可能性が極めて低くなる。そして、機能性液が着弾すると、機能性液は塗布パターン20上で濡れ広がるほか、既に塗布されている先行塗布液と混合する。
塗布パターン20の大きさが例えば100μm×100μm程度の大きさで、先行塗布液及び機能性液の粘度が数cP程度の低い粘度の場合、分子拡散によって先行塗布液と機能性液の溶媒は長くとも数分以内に均一に混合される。この結果、機能性液を塗布パターン20上の端部までより効率的に濡れ広げることができる。このように、機能性液は塗布された先行塗布液が液体の状態で塗布される。なお、機能性液が塗布される際には先行塗布液が全て液体の状態でなく、一部固体の状態であってもよい。
また、先行塗布液が塗布された領域と、先行塗布液が塗布されていない領域(塗布パターン20が露出している領域)との境界を覆うように機能性液を着弾させることが好ましい。この場合、先行塗布液と機能性液をより確実に混合させることができる。
このようにして、図1(E)に示されるように、機能性液41が塗布パターン20上に付与される。
ここで、本発明に含まれない実施形態の一例について図2を用いて説明する。図2は図1と同様に基板10を上から見た場合の概略図である。図2(A)に示される塗布パターン20に対して、従来では図2(B)に示されるように機能性液を着弾させている。なお、点線で描かれた丸は液滴の着弾の中心位置を示す。
塗布された機能性液は着弾後、図2(C1)に示されるように塗布パターン20上を広がるが、塗布パターン外は撥液性の領域であるため、塗布パターン20からはみ出ない。
このとき、塗布パターン20における機能性液の濡れ性が十分に高い場合は問題ないが、濡れ性が十分に高くない場合は図2(C2)に示されるように機能性液が全面に濡れ広がらず、符号41aのようなパターン欠けが生じてしまう。また、機能性液の着弾位置を塗布パターン20の縁に近づければパターン欠けは防げるが、着弾位置の細かい制御が必要になり、調整の手間が掛かる上、僅かな吐出曲がりでも図2(C3)に示される符号41bのように塗布パターン20外に着弾し、所望の機能性膜のパターン形状を得られない。
これに対して、本実施形態によれば、機能性液を塗布する前に先行塗布液を塗布することで、機能性液が塗布パターン20の濡れ広がりにくい箇所にも濡れ広げることができ、狙い通りの形状を有する機能性膜を形成することができる。また、塗布パターン20全体に先行塗布液を塗布するのではなく、塗布パターン20の周縁部の少なくとも一部に塗布するため、効率よく狙い通りの形状を有する機能性膜を形成することができる。さらに、先行塗布液を塗布する箇所を塗布パターン20の周縁部の少なくとも一部にすることで、塗布パターン20上で先行塗布液と機能性液とが混合する量を減らし、乾燥時の体積収縮量を減らすことができる。これにより、機能性液の乾燥時にクラックが発生することを抑制することができる。
次に、本実施形態に係る機能性膜の形成方法の詳細を説明する。図3に本実施形態によって得られる機能性膜を有する素子の製造方法のフローチャートを示す。図3には下部電極作製工程、表面改質工程、塗布工程、加熱工程、上部電極作製工程が図示されている。また、図4に機能性膜の形成方法における機能性膜を有する素子の断面模式図を示す。なお、図の縮尺は必ずしも実物と一致するものではない。
まず、下部電極作製工程で基板10上に下部電極11を作製した後(図3のS101)、塗布パターン20となる塗布パターン形成層12を作製する(図3のS102、図4(A))。
次に、表面改質工程により、塗布パターン20が親液性、塗布パターン20以外の領域が撥液性となるように表面エネルギー制御を施す(図3のS103、図4(B))。本実施形態では塗布パターン20以外の領域にSAM(SAM:Self Assembled Monolayer)膜14を形成し、撥液性としている。
次に、塗布工程により、先行塗布液31を塗布パターン20の周縁部の一部に塗布し(図3のS104、図4(C))、機能性液(前駆体ゾル16a)を塗布パターン20に塗布する(図3のS104、図4(D))。塗布工程はインクジェット方式により行うことが好ましい。
次に、加熱工程により、機能性液を加熱し(図3のS105、図4(E))、機能性膜16bが形成される。
次に、基準回数に達したかの判定を行い(図3のS106)、基準回数に達していない場合、表面改質工程、塗布工程、加熱工程を繰り返す。なお、図4(F)には2回目以降の表面改質工程後の素子の断面図を示しており、図4(G)には2回目以降の加熱工程後の素子の断面図を示している。表面改質工程、塗布工程、加熱工程を行う回数は特に制限されるわけではなく、適宜変更することが可能であり、例えば24回繰り返し、例えばPZT膜等の機能性膜16(塗布パターン形成層含む)を形成する。
その後、上部電極作製工程で上部電極を作製する(図3のS107)。
塗布工程における先行塗布液は機能性液と相溶し、かつ加熱工程で消失するものであり、より詳しくは機能性液の溶媒と相溶し、かつ加熱工程で消失するものである。中でも機能性液(機能性液の溶媒)と相溶性の高い溶媒が好ましい。先行塗布液としてはアルコール類、グリコール類及びエーテル類から選ばれる少なくとも一つであることが好ましい。先行塗布液は単一種の溶媒でもよいし、複数の種類の溶媒を混合したものでもよい。
先行塗布液としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば1−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、1−ノナノール、2−メトキシエタノール等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。
また、先行塗布液は塗布パターン20上での水に対する接触角が機能性液と同程度かそれより低いものが望ましい。
機能性膜としては、適宜変更が可能であるが、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)膜等の強誘電体膜が挙げられる。このため本実施形態では強誘電体膜の形成方法も得られる。
機能性液としてPZT前駆体ゾルインクを用いる場合の例について説明する。PZT前駆体ゾルインクはPb:Zr:Ti=120:53:47の組成比で調合する。具体的なPZT前駆体ゾルインクの作製については、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いることができる。酢酸鉛の結晶水は2−メトキシエタノールに溶解後、脱水する。なお、化学両論組成に対し鉛量を過剰にすることが好ましい。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。
そして、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを2−メトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応を進める。安定剤として酢酸を加え、2−メトキシエタノール及び高沸点溶媒で希釈し、PZT濃度を例えば0.3mol/Lにする。
高沸点溶媒はインクの乾燥速度を調整する目的で添加され、機能性液の溶媒と相溶性があり、それよりも沸点の高い溶媒であって、アルコール類、グリコール類及びエーテル類から選ばれることが好ましい。例えば1−ノナノールを用いることができる。
機能性液の溶媒としては、特に制限されるものではなく、適宜変更することが可能である。例えば、2−メトキシエタノール、ブタノール等が挙げられ、これらの混合物であってもよい。
(第2の実施形態)
本発明に係る機能性膜の形成方法における他の実施形態について説明する。上記実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
本実施形態について図5を用いて説明する。図5は図1と同様に基板10を上から見た場合の概略図であり、塗布パターン20上に塗布する方法の別の形態について説明する図である。
上記実施形態と同様の塗布パターン20(図5(A))に対して、図5(B)に示されるように塗布パターン20の一部に先行塗布液を塗布する。なお、上記実施形態と同様に先行塗布液の着弾位置が符号30で示されており、点線で描かれた丸は液滴の着弾の中心位置を示す。
本実施形態では、塗布パターン20は矩形形状となっており、先行塗布液を矩形形状の四隅、すなわち塗布パターン20の周縁部の一部に先行塗布液を塗布している。これにより、図5(C)に示されるように先行塗布液31が付与され、これに対して図5(D)に示されるように機能性液を塗布すると、図5(E)に示されるように機能性液41が塗布パターン20上に付与される。
機能性インクは塗布パターン20の角の部分に特に濡れ広がりにくい。そのため、本実施形態のように四角形の塗布パターン20の四隅に先行塗布液を塗布することで、塗布パターン20上の角の部分に機能性インクをより確実に濡れ広がらせることができる。さらに、四角形の塗布パターン20の四隅のみに先行塗布液を塗布する場合、先行塗布液の塗布量を減らすことができ、クラックの発生をより抑えることができる。
(第3の実施形態)
本発明に係る機能性膜の形成方法における他の実施形態について説明する。上記実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
本実施形態について図6を用いて説明する。図6は図1と同様に基板10を上から見た場合の概略図であり、塗布パターン20上に塗布する方法の別の形態について説明する図である。
本実施形態は、図6(A)に示されるような、中心部にも撥液性領域がある塗布パターン20に対して先行塗布液を塗布する場合の一例である。図中、中心部の撥液性領域は符号21aで表されている。これについて、図6(B)に示されるように先行塗布液を塗布する。なお、上記実施形態と同様に先行塗布液の着弾位置が符号30で示されており、点線で描かれた丸は液滴の着弾の中心位置を示す。
図示されるように、本実施形態では塗布パターン20の周縁部に先行塗布液を塗布しており、さらに中心部の撥液性領域21aの周縁部にも塗布されている。図6(B)に示されるような着弾位置に先行塗布液が塗布されると、図6(C)に示されるように先行塗布液が塗布パターン20上に付与される。これに対して図6(D)に示されるように機能性インクを着弾させると、図6(E)に示されるように、塗布パターン20上の隅々まで機能性インクを濡れ広げることができる。
図示されるように中心部の撥液性領域21aの周縁部にも先行塗布液を塗布しているため、中心部の撥液性領域21aの端まで機能性インクを濡れ広げることができ、かつ、中心部の撥液性領域21aに機能性インクがはみ出すことなく塗布することができる。このように、塗布パターン20が様々な形状に変化した場合であっても、塗布パターン20の周縁部の少なくとも一部に先行塗布液を塗布することで狙い通りの形状を有する機能性膜を効率よく形成することができる。
(塗布装置)
次に、本発明に係る塗布装置の一実施形態について説明する。
本実施形態の塗布装置は、上記実施形態における機能性膜の形成方法に用いられる塗布装置であり、前記基板を保持する保持手段と、前記先行塗布液を吐出する第1の液滴吐出手段と、前記機能性液を吐出する第2の液滴吐出手段と、前記基板に対して前記第1及び第2の液滴吐出手段が相対的に移動するように、前記基板、前記第1の液滴吐出手段及び第2の液滴吐出手段のいずれか又は全てを移動させる移動手段と、を有する。そして、前記第1の液滴吐出手段は、前記塗布パターンの周縁部の少なくとも一部に前記先行塗布液を塗布し、前記第2の液滴吐出手段は、前記塗布された先行塗布液が液体の状態で前記塗布パターンに前記機能性液を塗布する。
図7に本実施形態の塗布装置を示す。図7に示すように、架台60の上には、Y軸駆動手段71が設置してある。Y軸駆動手段71の上には、基板62を搭載するステージ63がY軸方向に駆動できるように設置されている。なお、ステージ63には、図示を省略している真空、静電気などの吸着手段が設けられており、基板62が固定されている。
また、X軸支持部材64には、X軸駆動手段65が取り付けられている。X軸駆動手段65には、Z軸駆動手段61上に搭載されたヘッドベース66が取り付けられており、ヘッドベース66はX軸方向に移動できるようになっている。ヘッドベース66の上には、PZT前駆体ゾルインクを吐出させる液体吐出ヘッドとも呼ばれる液滴吐出ヘッド68が搭載されている。
液滴吐出ヘッド68には、PZT前駆体ゾルインク貯蔵用のタンク及びPZT前駆体ゾルインクの供給用パイプ70からPZT前駆体ゾルインクが供給される。先行塗布液についても同様にヘッドベース66の上に先行塗布液を吐出させる液滴吐出ヘッド68が搭載され、先行塗布液貯蔵用のタンク及び先行塗布液の供給用パイプ70から先行塗布液が供給される。
なお、図7には液滴吐出ヘッド68が2つ図示されているが、どのヘッドで先行塗布液、PZT前駆体ゾルゲルインクを塗布するかは適宜変更することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
本実施例について、図1、図3、図4に沿って説明する。
まず、表面に熱酸化膜を有するシリコンウエハ上に二酸化チタンを90nm形成後、下部電極11となる白金をスパッタにより厚さ150nmで形成した。次に、下部電極11上に以下の方法でパターン化された塗布パターン形成層12を形成した。なお、塗布パターン形成層のパターンは作製したいPZT膜のパターンと同一の平面形状としている。
パターン化された塗布パターン形成層12の形成方法を説明する。塗布パターン形成層12としてCSD(Chemical Solution Deposition)法で形成されたPZT膜(チタン酸ジルコン酸鉛)を使った。下部電極11である白金上に下記のPZT前駆体ゾルをスピンコート法で塗布した後、加熱処理をしてアモルファス状の膜を形成した。この膜に対し通常のフォトリソグラフィーでレジストパターンを形成した後、フッ酸、硝酸、酢酸、水、フッ化アンモニウム、塩酸を主成分とする混酸を用いたウエットエッチングでパターニングした。残ったレジストは、有機溶剤で除去した。その後、さらに加熱処理によって結晶化を行い、塗布パターン形成層12を形成した。結晶化後の塗布パターン形成層12の厚みは0.1μm程度であった。
この際に使用した上記のPZT前駆体ゾルの作製方法について説明する。PZT前駆体ゾルはPb:Zr:Ti=120:53:47の組成比で調合した。具体的には、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水は2−メトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを2−メトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応を進めた。安定剤として酢酸を加え、2−メトキシエタノールで希釈し、PZT濃度は0.5mol/Lにした。
次に表面改質工程を行うことで、白金が露出している領域は表面改質工程後に表面エネルギーが低い領域となり、塗布パターン形成層12が露出している部分は表面改質工程後に表面エネルギーが高い領域となる。これにより、塗布パターン形成層12が露出している部分は塗布パターン20となる。塗布パターン形成層12によって得られた本実施例の塗布パターン20は、図1(A)に示されるような、幅100μm、長さ200μmの角を丸めた長方形であった。
表面改質工程後には図4(B)に示されるように、塗布パターン20以外の領域はSAM膜14が形成され、撥液性を有する領域であった。
ここで、表面改質工程において部分的に自己組織化単分子膜(SAM:Self Assembled Monolayer)を形成し、低表面エネルギー化する方法を説明する。
図4(A)に示される酸化物である塗布パターン形成層12が部分的に成膜された下部電極11をもつ基板をアルカンチオール溶液(CH(CH11SH)の溶液にディップした。SAM膜形成にはアルカンチオールが白金に自己配列する現象を利用している。アルカンチオールは酸化物にはつかず、白金にのみSAM膜を形成する性質をもつため、SAM膜が白金上のみに形成された状態となる。そのため、形成されたSAM膜は表面側にアルキル基が配置しているので低表面エネルギーになる。これにより、濡れ性パターンを形成することができ、表面が部分的に撥液性を有する基板を得た。このように表面改質した白金に対する水の接触角は110℃であった。
なお、SAM膜14は加熱工程でなくなるため、2回目以降の塗布前にもSAM膜14を形成する処理を施す必要がある。2回目以降も酸化物の上のみにPZT膜(又はその前駆体膜)が成膜された状態の基板にSAM膜を形成する処理を施すことになるが、PZT膜(又はその前駆体膜)上もSAM膜が形成されず、白金上のみにSAM膜が形成されるため、1回目と同様の濡れ性のコントラストが形成される。
塗布工程では先行塗布液を塗布パターン上の一部に塗布した後、下記のPZT前駆体ゾルインクを塗布パターン20上に塗布した。本実施例では先行塗布液には2−メトキシエタノールと1−ノナノールの混合溶媒を使用した。
塗布工程におけるPZT前駆体ゾルインクはPb:Zr:Ti=120:53:47の組成比で調合した。具体的なPZT前駆体ゾルインクの作製については、出発材料に酢酸鉛三水和物、イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを用いた。酢酸鉛の結晶水は2−メトキシエタノールに溶解後、脱水した。化学両論組成に対し鉛量を過剰にしてある。これは熱処理中のいわゆる鉛抜けによる結晶性低下を防ぐためである。イソプロポキシドチタン、イソプロポキシドジルコニウムを2−メトキシエタノールに溶解し、アルコール交換反応を進めた。安定剤として酢酸を加え、2−メトキシエタノール及び高沸点溶媒で希釈し、PZT濃度は0.3mol/Lにした。本実施例では高沸点溶媒として1−ノナノールを選択した。
塗布工程における先行塗布液、機能性液の塗布は図1に示すようにして行った。先行塗布液の塗布は図1(B)のように塗布パターン20の周縁部を狙って着弾させ、図1(C)のように周縁部に濡れ広がったが、塗布パターン20外の領域は撥液性であるため、塗布パターン20をはみ出すことはなかった。PZT前駆体ゾルインクの塗布では図1(D)のように塗布パターンの周縁部を外して着弾させた。着弾後は先行塗布液と混合し、塗布パターン全面をはみ出しなく前駆体ゾルインクで満たすことができた。PZT前駆体ゾルインクと先行塗布液を十分混合させるため、加熱工程の前に1分間放置した。
加熱工程では基板に対し最大700℃までの加熱を行い、乾燥、熱分解、結晶化を行った。乾燥は最大250℃、熱分解は500℃、結晶化は700℃で行った。
表面改質工程、塗布工程、加熱工程を24回繰り返し、塗布パターン形成層12として形成したPZTも含めて中心部で2μmの膜厚を有するPZT膜を成膜することができた。得られたPZT膜はクラックは生じていなかった。
その後、上部電極を形成し素子を得た。
以上のように、本発明によれば、狙い通りの形状を有する機能性膜を効率よく形成することができる。
10 基板
11 下部電極
12 塗布パターン形成層
14 SAM膜
16 機能性膜
16a 前駆体ゾル
16b 機能性膜
20 塗布パターン
21 撥液性領域
21a 撥液性領域
30 先行塗布液の着弾位置
31 先行塗布液
30 機能性液の着弾位置
41 機能性液
60 架台
61 Z軸駆動手段
62 基板
63 ステージ
64 X軸支持部材
65 X軸駆動手段
66 ヘッドベース
68 液滴吐出ヘッド
70 供給用パイプ
71 Y軸駆動手段
特許第4314557号公報 特許第3922517号公報 特開2007−123580号公報 特開2010−66477号公報

Claims (5)

  1. 撥液性を有する領域に囲まれた塗布パターンを有するように塗布パターン作製処理及び撥液処理が行われた基板に対し、前記塗布パターンの周縁部の少なくとも一部に機能性液と相溶する先行塗布液を塗布する工程と、
    前記塗布された先行塗布液が液体の状態で前記塗布パターンに機能性液を塗布する工程と、
    前記塗布された機能性液及び先行塗布液を加熱する工程と、を有し、
    前記加熱する工程は、前記塗布された先行塗布液を加熱して消失させるとともに、前記塗布された機能性液を加熱して機能性膜を得ることを特徴とする機能性膜の形成方法。
  2. 前記先行塗布液及び前記機能性液は、インクジェット方式により塗布されることを特徴とする請求項1に記載の機能性膜の形成方法。
  3. 前記塗布パターンは矩形形状であり、前記先行塗布液を前記矩形形状の四隅に塗布することを特徴とする請求項1又は2に記載の機能性膜の形成方法。
  4. 前記加熱する工程の後に、前記基板に対して、SAM(Self Assembled Monolayer)膜を形成することにより、前記塗布パターン以外を撥液性にする表面改質工程を有し、
    前記表面改質工程、前記先行塗布液を塗布する工程、前記機能性液を塗布する工程及び前記加熱する工程を複数回繰り返すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機能性膜の形成方法。
  5. 前記機能性膜が強誘電体膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の機能性膜の形成方法。
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