JP6938095B2 - 熱音響機関 - Google Patents

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Description

本発明は、熱音響機関に関する。
従来より、作動気体が封入された配管に原動機が組み込まれた熱音響機関が知られている(例えば、特許文献1を参照)。原動機は、蓄熱器と、蓄熱器の一端側に隣接配置された高温側熱交換器と、蓄熱器の他端側に隣接配置された低温側熱交換器と、を有する。蓄熱器の両端側にそれぞれ隣接配置された高温側・低温側熱交換器の作用により、蓄熱器の両端部間にて温度勾配が発生する。この温度勾配によって作動気体が自励振動することで、蓄熱器内にて、熱エネルギーが音響パワーに変換される。このように熱音響機関で発生した音響パワーは、典型的には、リニア発電機の発電駆動、及び、冷凍機の冷凍作動などに使用され得る。
特許文献1に記載の熱音響機関では、作動気体が封入された配管が、環状の環状配管部と、環状配管部の一部(分岐点)から分岐して延びる分岐配管部と、を備える。環状配管部には、単一の第1原動機が組み込まれ、分岐配管部には、複数(図1では、2つ)の第2原動機が直列に組み込まれている。
第1原動機は、作動気体の音響パワーを発生させる。各第2原動機は、第1原動機により発生して分岐点から分岐配管部の他端側に向けて進む音響パワーを増幅させる。これにより、第1原動機により発生した音響パワーが、それぞれの第2原動機を通過する度に増幅されるので、分岐配管部の他端側では、大きな音響パワーを取り出すことができる。
特許第5609159号公報
ところで、熱音響機関の配管内における音響インピーダンス値は、配管の延在方向位置に対して周期的にインピーダンスピーク範囲に最大値をとるように変動する。ここで、音響インピーダンス値とは、「作動気体の圧力振動」を「作動気体の流速振動」で除することで求めることができる。このような配管の延在方向位置に対する音響インピーダンス分布は、境界条件等を与えることにより、数値計算によって求めることができる。
分岐配管部に組み込まれた第2原動機による音響パワーの増幅率を高めるためには、第2原動機を、インピーダンスピーク範囲内の最大値近傍位置に配置することが好ましいと考えられる。これは、以下の理由による。
即ち、音響インピーダンス値が大きいことは、作動気体の圧力振動が大きく且つ作動気体の流速振動が小さいことを意味する。作動気体の圧力振動(従って、圧力のピーク値)が大きいと、粘性散逸が小さくなる.従って、第2原動機を、分岐配管部におけるインピーダンスピーク範囲内の最大値近傍位置に配置すると、粘性散逸を小さく抑えながら音響パワーを大きく増幅することができる。即ち、音響パワーの増幅率が高くなる。
特許文献1には、複数の第2原動機の配置については、「分岐配管部の延在方向に適宜な間隔で任意の複数個配置される」旨の記載があるのみであり(段落0023を参照)、音響インピーダンスのピーク位置、或いはその近傍位置に第2原動機を配置する点については何らの記載も示唆もなされていない。
ここで、分岐配管部の延在方向において複数現れるピーク位置それぞれに1つの第2原動機を配置する構成を採用することが考えられる。しかしながら、この構成を採用すると、隣接するピーク位置の間隔が比較的長くなることに起因して、隣接する第2原動機の間隔が比較的長くなる。この結果、分岐配管部の全長が長くなり、ひいては熱音響機関全体が大型化するという問題が発生する。
本発明は上記問題に対処するためになされたものであり、その目的は、環状配管部に配置された第1原動機にて発生した音響パワーを増幅するために分岐配管部にて複数の第2原動機が直列に配置された熱音響機関であって、機関全体の大型化を抑制しつつ、第2原動機による音響パワーの増幅率を高めることができるもの、を提供することである。
本発明に係る熱音響機関では、上述と同様、環状配管部にて、作動気体の音響パワーを発生させるための第1原動機が配置され、分岐配管部にて、その音響パワーを増幅するための複数の第2原動機が直列に配置される。ここで、第1、第2原動機の双方は、進行波型原動機である。進行波型原動機については後述する。
本発明に係る熱音響機関の特徴は、分岐配管部の延在方向位置に対する音響インピーダンス分布において、作動気体の密度をρ、音速をcとしたとき、音響インピーダンス値が1つのインピーダンスピーク範囲内に最大値をとるピーク位置を含み、且つ、音響インピーダンス値が3ρc以上となる配管延在方向位置の範囲内において、複数の第2原動機が配置されたことにある。以下、説明の便宜上、「1つのピーク位置を含み、且つ、音響インピーダンス値が3ρc以上となる配管延在方向位置の範囲」を「ピーク範囲」と呼ぶ。
一般に、値「ρc」は、進行波が一様に広域的に分布する際の音響インピーダンス値に相当し、特性インピーダンス値とも呼ばれる。本発明者は、音響インピーダンス値が特性インピーダンス値の3倍以上となる範囲(即ち、ピーク範囲)に進行波型原動機を配置すれば、入力された音響パワーが十分に大きく増幅され得ることを見出した。
上述した本発明に係る熱音響機関の特徴は係る知見に基づく。即ち、複数の第2原動機の全てを1つのピーク範囲内に配置することで、隣接する第2原動機の間隔が非常に短くなり、且つ、それぞれの第2原動機について音響パワーの増幅効率が大きくなる。この結果、分岐配管部の全長を短くしつつ(即ち、機関全体の大型化を抑制しつつ)、第2原動機による増幅効率を高めることができる。
更には、第1、第2原動機の双方は、進行波型原動機である。通常、定在波型原動機は、熱流を音響パワーに不可逆的にエネルギー変換するために一般的に熱効率が低い。進行波型原動機については、熱流を音響パワーに可逆的にエネルギー変換する原動機である。従って、進行波型原動機を用いることによって、高効率の熱音響機関を実現することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る熱音響機関を模式的に示すと共に、分岐配管部の延在方向位置に対する音響パワーの大きさの推移を示す図である。 図2は、分岐配管部の延在方向位置に対する音響インピーダンスの分布を示すと共に、ピーク範囲を説明するための図である。 図3は、本発明の実施形態に係る熱音響機関における分岐配管部の他端に接続される負荷として熱音響発電機が採用された場合を示す図である。 図4は、本発明の実施形態に係る熱音響機関における分岐配管部の他端に接続される負荷として熱音響冷凍機が採用された場合を示す図である。
以下、本発明の実施形態に係る熱音響機関1について図面を参照しながら説明する。
(構成)
図1に示すように、熱音響機関1は、金属製の配管10と、配管10に組み込まれた第1原動機20と、配管10に組み込まれた複数の第2原動機30と、を備える。以下、各構成部材について順に説明していく。
先ず、配管10について説明する。配管10は、環状(ループ状)の配管部分である環状配管部11と、環状配管部11から分岐し且つその管内空間が環状配管部11の管内空間と連通する分岐配管部12と、で構成されている。分岐配管部12は、環状配管部11から分岐する分岐点Aから他端Bまで直線状に延びる配管部分である。分岐配管部12の他端Bには、熱音響機関1により発生する音響パワーを利用して稼働する負荷40が接続されている。負荷40としては、典型的には、後述するように、熱音響発電機、及び、熱音響冷凍機などが接続される。
配管10は、実際には、複数の直線状の配管、及び、屈曲した配管を所定の連結部材(典型的には、ボルトとナット)を用いて繋ぎ合わすことで構成されている。分岐配管部12は、図1に示す例では、直線状に延びる配管部分となっているが、曲線状に延びる配管部分であっても、曲線状に延びる配管部分と直線状に延びる配管部分とを組み合わせた配管部分であってもよいことはもちろんである。
配管10の全体、即ち、環状配管部11及び分岐配管部12の双方には、負荷40との協働のもと、所定の作動気体(本実施形態では、ヘリウム)が所定圧力下で封入されている。尚、作動気体としては、ヘリウムに代えて或いは加えて、窒素、アルゴン、空気、それらの混合気体等が採用され得る。以上、配管10について説明した。
次に、第1原動機20について説明する。第1原動機20は、環状配管部11の途中に組み込まれている。第1原動機20は、環状配管部11の管内に組み込まれた蓄熱器21と、蓄熱器21の高温側の端部に隣接配置された高温側熱交換器22と、蓄熱器21の低温側の端部に隣接配置された低温側熱交換器23と、を備える。なお、本例では、単一の第1原動機20が設けられているが、必要に応じて、環状配管部11において複数の第1原動機20が直列に組み込まれていてもよい。
蓄熱器21は、例えば、環状配管部11の延在方向に垂直な方向の断面が円形となる円柱状の構造体である。蓄熱器21は、環状配管部11の延在方向に沿って互いに平行に延びる貫通した複数の流路を有する。この複数の流路内にて作動気体が振動するようになっている。
蓄熱器21内の複数の流路は、典型的には、蓄熱器21の内部を縦横に仕切る多数の壁によってマトリクス状に区画・形成されている。なお、蓄熱器21の内部にて環状配管部11の延在方向に延びる貫通した複数の流路が形成されている限りにおいて、蓄熱器21の内部は、ハニカム状等を含みどのように仕切られていてもよい。
蓄熱器21としては、典型的にはセラミック製の構造体や、ステンレス鋼によるメッシュ薄板の複数を微小ピッチで平行に積層した構造体、金属繊維からなる不織布状物などを用いることができる。尚、蓄熱器21として横断面が円形のものに代えて、横断面が楕円形、多角形等のものを採用することもできる。
蓄熱器21の両端部間に所定の温度勾配が生じると、環状配管部11内の作動気体が不安定になって環状配管部12の延在方向に沿って自励振動する。この結果、環状配管部11の延在方向に沿って振動する波振動が形成され、この振動が、環状配管部11を循環すると共に、分岐点Aを介して分岐配管部12へと伝わるようになっている。
ここで、作動気体の自励振動に起因する振動は、進行波と定在波とに分類され得る。進行波は、一方向に進行する波である。このため、進行波は、音響パワーの伝搬に伴うエネルギーロスが少ない。加えて、進行波増幅の際には、可逆的なエネルギー変換が行われる。従って、蓄熱器で進行波を増幅させると、高効率のエネルギー変換を実現し易い。一方、定在波は、反射を伴う波の重ね合わせである。このため、音響パワーの伝搬に伴うエネルギーロスが大きい。加えて、定在波発生の際には、不可逆的なエネルギー変換が行われる。従って、蓄熱器で定在波を発生させると、高効率のエネルギー変換を実現し難い。
以下、進行波を増幅させる蓄熱器を「進行波型蓄熱器」と呼び、進行波型蓄熱器を備えた原動機を「進行波型原動機」と呼ぶ。また、定在波を発生させる蓄熱器を「定在波型蓄熱器」と呼び、定在波型蓄熱器を備えた原動機を「定在波型原動機」と呼ぶ。
本明細書では、蓄熱器内の各流路の断面の半径を「r」、作動気体の熱境界層厚さを「δ」としたとき、「r/δ < 1」を満たし,かつ進行波位相を利用したエネルギー変換を行う場合を進行波型蓄熱器と定義し、「r/δ ≧ 1」かつ定在波位相を利用したエネルギー変換を行う場合を定在波型蓄熱器と定義する。
ここで、「r」とは、流路の断面形状が円形である場合には、その円の半径を指し、流路の断面形状が円形ではない場合には、その断面形状の面積と同じ面積を有する等価円の半径を指すものとする。「δ」は、作動気体の種類、及び、作動気体の振動周波数等に応じて一義的に決定される値であり、物理的には、流路の内壁面の温度と作動気体の温度とが一致すると見なせる壁面近傍環状領域における径方向の厚さを意味する。従って、「r/δ < 1」を満たす進行波型蓄熱器内の各流路では、流路内の径方向の全域に亘って内壁面の温度と作動気体の温度とが一致する。
図1に示す蓄熱器21としては、進行波型蓄熱器が採用されている。従って、第1原動機20は、進行波型原動機である。
高温側熱交換器22は、高温側の熱源(図示省略)と接続され、低温側熱交換器23は、高温側の熱源より温度が低い低温側の熱源(図示省略)と接続されている。典型的には、高温側の熱源、及び、低温側の熱源として、それぞれ、常温より温度が高い熱源、及び、常温の熱源が使用される。常温より温度が高い熱源としては、例えば、工場の排熱に係る熱源が使用され得る。なお、高温側の熱源、及び、低温側の熱源として、それぞれ、常温の熱源、及び、常温より温度が低い熱源が使用されてもよい。
高温側熱交換器22では、高温側の熱源から供給される媒体と高温側熱交換器22内の作動気体との間で熱交換が行われる。これにより、蓄熱器21の高温側の端部周辺の作動気体の温度が、高温側の熱源の温度に近づくように調整される。低温側熱交換器23では、低温側の熱源から供給される媒体と低温側熱交換器23内の作動気体との間で熱交換が行われる。これにより、蓄熱器21の低温側の端部周辺の作動気体の温度が、低温側の熱源の温度に近づくように調整される。なお、高温側熱交換器22及び低温側熱交換器23の構成としては、周知の熱交換器の構成が使用され得る。
上述した高温側熱交換器22及び低温側熱交換器23の双方の協働によって、蓄熱器21の両端部間に温度勾配が生じる。即ち、高温側熱交換器22及び低温側熱交換器23は、配管10に封入された作動気体を自励振動させるために蓄熱器21内の複数の流路の両端部間に温度勾配が生じるよう作動気体との間で熱交換を行う。
このように、環状配管部11に組み込まれた進行波型原動機である第1原動機20は、環状配管部11において音響パワーを増幅する機能を有する。以上、第1原動機20について説明した。
次に、第2原動機30について説明する。第2原動機30は、分岐配管部12の途中に直列に複数組み込まれている。図1に示す例では、2つの第2原動機30が、分岐配管部12に直列に組み込まれている。
各第2原動機30は、上述した第1原動機20と同様の構成を有する。即ち、各第2原動機30は、分岐配管部12の管内に組み込まれた蓄熱器31と、蓄熱器31の高温側の端部に隣接配置された高温側熱交換器32と、蓄熱器31の低温側の端部に隣接配置された低温側熱交換器33と、を備える。
蓄熱器31、高温側熱交換器32、及び、低温側熱交換器33のそれぞれの構成は、第1原動機20の蓄熱器21、高温側熱交換器22、及び、低温側熱交換器23の構成と同様であるので、ここでは、これらの説明を省略する。各第2原動機30においても、第1原動機20と同様、蓄熱器31として、進行波型蓄熱器が採用されている。従って、各第2原動機30も、第1原動機20と同様、進行波型原動機である。
分岐配管部12に直列に組み込まれた2つの第2原動機30はそれぞれ、第1原動機20によって発生した音響パワーを増幅する機能を有する。2つの第2原動機30の分岐配管部12における配置については後述する。
なお、図1には示されていないが、環状配管部11内における作動気体の音響質量流の発生を防止するために、環状配管部11の一部に遮断膜が介挿されていてもよい。遮断膜は、作動気体そのものの通過(移動)を禁止する一方で、作動気体の振動に伴って振動可能であるので、作動気体の振動(音響パワー)の伝達は許容する。
このため、遮断膜には、作動気体そのものの通過(移動)を禁止し得る程度の気密性と、周縁部が固定された状態で中央部が環状配管部11の延在方向に振動できる程度の柔軟性(弾性)とが要求される。遮断膜を構成する材料としては、金属、ガラス、セラミックス、樹脂、ゴム、繊維などが採用され得る。
(作動)
以下、上記のように構成された熱音響機関1の作動について、前述の内容に沿って簡単に説明する。熱音響機関1において、第1原動機20の高温側熱交換器22及び低温側熱交換器23、及び、各第2原動機30の高温側熱交換器32及び低温側熱交換器33をそれぞれ稼働させると、第1原動機20について、高温側熱交換器22及び低温側熱交換器23の双方の協働によって、蓄熱器21の両端部間に温度勾配が生じる。この温度勾配によって、蓄熱器21では作動気体の自励振動による振動(具体的には、進行波)が形成される。
このように第1原動機20によって発生した音響パワーは、環状配管部11において第1原動機20の内部を低温側から高温側へ通過する向き(図1において、環状配管部11内の2本の黒矢印が指し示す向き)に循環すると共に、その一部の音響パワーが、分岐点Aを介して分岐配管部12に進入し、分岐点Aから分岐配管部12の他端Bに向けて移動する(図1において、分岐配管部12内の2本の黒矢印を参照)。
分岐配管部12を他端Bに向けて移動する音響パワーは、それぞれの第2原動機30を通過する度に増幅される。この結果、図1の下部に示すように、分岐配管部12を通過する音響パワーも、それぞれの第2原動機30を通過する度に増幅される。この結果、分岐配管部12の他端Bに接続された負荷40には、複数回増幅された大きな音響パワーを与えることができる。
(分岐配管部内における2つの第2原動機30の配置)
分岐配管部12の他端Bに接続された負荷40により大きい音響パワーを与えるためには、分岐配管部12に組み込まれた2つの第2原動機30のそれぞれによる音響パワーの増幅率を高める必要がある。第2原動機30による音響パワーの増幅率と、分岐配管部12の延在方向における第2原動機30の配置位置での音響インピーダンス値と、は密接な関係がある。
音響インピーダンス値は、作動気体の圧力振動を「P」、作動気体の流速振動を「U」としたとき、「P/U」で表すことができる。音響インピーダンス値は、配管の延在方向位置に対して周期的にインピーダンスピーク範囲内に最大値をとるように変動する。このような配管の延在方向位置に対する音響インピーダンス分布は、境界条件等を与えることにより、数値計算によって求めることができる。
図2に示す例では、分岐配管部12について、分岐配管部12の一端A(分岐点)に環状配管部11が接続され、分岐配管部12の他端Bに負荷40が接続され、分岐配管部12の延在方向中央付近にて2つの第2原動機30が配置されている。
このことに起因して、音響インピーダンス値(=P/U)は、図2の下部に示すように、分岐配管部12において、他端B及び中央位置Cにてインピーダンスピーク範囲内の最大値をとるように分布する。
分岐配管部12に組み込まれた2つの第2原動機30のそれぞれによる音響パワーの増幅率を高めるためには、それぞれの第2原動機30を、インピーダンスピーク範囲内の最大値近傍付近に配置することが好ましいと考えられる。これは、以下の理由による。
即ち、音響インピーダンス値(=P/U)が大きいことは、作動気体の圧力振動Pが大きく且つ作動気体の流速振動Uが小さいことを意味する。作動気体の圧力振動P(従って、圧力のピーク値)が大きいと、作動気体を押し出す力(即ち、音響パワーを増幅する力)が大きくなる。作動気体の流速振動U(従って、流速のピーク値)が小さいと、作動気体の移動に起因するエネルギーロスが小さくなる。従って、第2原動機30を、分岐配管部12におけるピーク位置、或いはその近傍位置に配置すると、エネルギーロスを小さく抑えながら音響パワーを大きく増幅することができる。即ち、音響パワーの増幅率が高くなる。
ここで、作動気体の密度をρ、音速をcとしたとき、「音響インピーダンス値が1つのインピーダンスピーク範囲に最大値をとるピーク位置を含み、且つ、音響インピーダンス値が3ρc以上となる配管延在方向位置の範囲」を「ピーク範囲」(図2を参照)と呼ぶ。
一般に、値「ρc」は、進行波が一様に広域的に分布する際の音響インピーダンス値に相当し、特性インピーダンス値とも呼ばれる。本発明者は、音響インピーダンス値が特性インピーダンス値の3倍以上となる範囲(即ち、図2に示すピーク範囲)に進行波型原動機を配置すれば、進行波型原動機に入力された音響パワーが十分に大きく増幅されて出力され得ることを見出した。
係る知見に基づき、本発明の実施形態に係る熱音響機関1では、図2に示すように、2つの第2原動機30の双方がピーク範囲内に配置されている。このため、隣接する2つの第2原動機30の間隔が非常に短くなり、且つ、それぞれの第2原動機30について音響パワーの増幅率が大きくなる。この結果、分岐配管部12の全長を短くしつつ(即ち、熱音響機関1全体の大型化を抑制しつつ)、分岐配管部12の他端Bに接続された負荷40により大きい音響パワーを与えることができる。
以下、分岐配管部12の他端Bに接続された負荷40について付言する。負荷40としては、典型的には、図3に示す熱音響発電機50、及び、図4に示す熱音響冷凍機60が接続される。
図3に示す例では、分岐配管部12の他端Bを介して、上述のように複数回増幅された音響パワーが熱音響発電機50(具体的には、リニア発電機)に伝達される。熱音響発電機50に音響パワーが伝達されると、振動に基づいて熱音響発電機50内のピストン(図示省略)が往復運動することで、音響パワーが電気エネルギーに変換される。このように、音響パワーを利用して、熱音響発電機50により発電駆動が行われる。
図4に示す例では、分岐配管部12の他端Bに環状配管部13が接続され、環状配管部13の一部に熱音響冷凍機60が組み込まれている。熱音響冷凍機60は、上述した第1原動機20と同様の構成を有する。即ち、熱音響冷凍機60は、環状配管部13の管内に組み込まれた蓄熱器61と、蓄熱器61の高温側の端部に隣接配置された高温側熱交換器62と、蓄熱器61の低温側の端部に隣接配置された低温側熱交換器63と、を備える。
蓄熱器61、高温側熱交換器62、及び、低温側熱交換器63のそれぞれの構成は、第1原動機20の蓄熱器21、高温側熱交換器22、及び、低温側熱交換器23の構成と同様であるので、ここでは、これらの説明を省略する。
高温側熱交換器62は、常温の熱源(図示省略)と接続され、低温側熱交換器63は、常温より低い温度(低温)に維持すべき対象物に接続される。高温側熱交換器62では、常温の熱源から供給される媒体と高温側熱交換器62内の作動気体との間で熱交換が行われる。これにより、蓄熱器61の高温側の端部周辺の作動気体の温度が、常温に近づくように調整される。
2つの第2原動機30によって増幅された音響パワーが、分岐配管部12の他端Bを介して環状配管部13内を循環し(図4において、環状配管部13内の2本の黒矢印を参照)、蓄熱器61内に伝達されると、その進行波による音響パワーにより、蓄熱器61の両端部間に温度勾配が生じる。
この結果、蓄熱器61の低温側の端部周辺の作動気体の温度が、蓄熱器61の両端部間に生じている温度勾配に相当する温度比分だけ常温より低い温度に調整される。この常温より低い温度の作動気体が低温側熱交換器63内に供給されることで、低温側熱交換器63では、常温より低い温度の作動気体と対象物との間で熱交換が行われる。これにより、対象物の温度が、低温に維持されるように調整される。このように、音響パワーを利用して、熱音響冷凍機60により冷凍作動が行われる。
(作用・効果)
以上説明したように、本発明の実施形態に係る熱音響機関1によれば、複数(具体的には、2つ)の第2原動機30の全てを1つのピーク範囲内に配置することで、隣接する第2原動機30の間隔が非常に短くなり、且つ、それぞれの第2原動機30について音響パワーの増幅率が大きくなる。この結果、分岐配管部12の全長を短くしつつ(即ち、熱音響機関1全体の大型化を抑制しつつ)、分岐配管部12の他端Bに接続された負荷40により大きい音響パワーを与えることができる。
更には、第1、第2原動機20,30の双方が、進行波型原動機である。進行波型原動機は、不可逆的なエネルギー変換を行い且つ音響パワーの伝搬に伴うエネルギーロスが大きい定在波型原動機とは異なり、可逆的なエネルギー変換を行い且つ音響パワーの伝搬に伴うエネルギーロスが少ない。従って、高効率の熱音響機関を実現することができる。
本発明は、上記の典型的な実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
上記実施形態では、図1に示すように、分岐配管部12に組み込まれた2つの第2原動機30の全てが1つのピーク範囲内に配置されているが、分岐配管部12に組み込まれた3つ以上の第2原動機30の全てが1つのピーク範囲内に配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、分岐配管部12に組み込まれた複数の第2原動機30の全てが1つのピーク範囲内に配置されているが、分岐配管部12に組み込まれた複数の第2原動機30のうち一部の複数の第2原動機30が1つのピーク範囲内に配置され、残りの1つ又は複数の第2原動機30が、ピーク範囲外に配置されていてもよい。
また、上記実施形態では、分岐配管部12に組み込まれた複数の第2原動機30の構成部品の全部が1つのピーク範囲内に配置されているが、複数の第2原動機30の構成部品のうち少なくともそれぞれの蓄熱器31が1つのピーク範囲内に配置されていればよい。
また、上記実施形態では、分岐配管部12にて1つのピーク範囲が発生する態様について説明したが(図2を参照)、分岐配管部12の長さによって、音響インピーダンス分布のピーク範囲の数を複数に調整することができる。そのため、複数の音響インピーダンス分布のそれぞれのピーク範囲のうち、いずれか1つ以上の音響インピーダンス分布のピーク範囲に複数の第2原動機30を組み込んでもよい。複数の音響インピーダンス分布のそれぞれのピーク範囲に対して、複数の第2原動機30を配置するとなお好ましい。
1…熱音響機関、10…配管、11…環状配管部、12…分岐配管部、20…第1原動機、21…蓄熱器、22…高温側熱交換器、23…低温側熱交換器、30…第2原動機、31…蓄熱器、32…高温側熱交換器、33…低温側熱交換器

Claims (1)

  1. 作動気体が封入された配管であって、環状の環状配管部と、前記環状配管部の一部である分岐点から分岐して延びる分岐配管部とを備える、配管と、
    前記環状配管部に組み込まれた第1原動機であって、蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接配置された高温側熱交換器と、前記蓄熱器の他端側に隣接配置された低温側熱交換器とを備える、第1原動機と、
    前記分岐配管部に直列に組み込まれた複数の第2原動機であって、それぞれが、蓄熱器と、前記蓄熱器の一端側に隣接配置された高温側熱交換器と、前記蓄熱器の他端側に隣接配置された低温側熱交換器とを備える、複数の第2原動機と、
    を備えた熱音響機関であって、
    前記第1原動機は、前記作動気体の音響パワーを増幅させる進行波型原動機であり、
    各前記第2原動機は、前記分岐点から前記分岐配管部の他端側に向けて進む前記第1原動機により発生した前記音響パワーを増幅する進行波型原動機であり、
    前記分岐配管部に関する、前記分岐配管部の延在方向位置に対する音響インピーダンス分布において、前記作動気体の密度をρ、音速をcとしたとき、音響インピーダンス値が1つのインピーダンスピーク範囲内に最大値をとるピーク位置を含み、且つ、音響インピーダンス値が3ρc以上となる前記延在方向位置の範囲内において、前記複数の第2原動機が配置された、熱音響機関。
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