JP6935059B2 - カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコールの精製方法 - Google Patents

カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコールの精製方法 Download PDF

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Description

本発明は、医薬用途に用いられるカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物の精製方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、ドラッグデリバリーシステムにおける化学修飾用途の活性化ポリエチレングリコールであり、かつその原料として用いられる高純度なカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を得る精製方法である。
本発明は、ポリペプチド、酵素、抗体やその他低分子薬物や遺伝子、オリゴ核酸などを含む核酸化合物、核酸医薬やその他の生理活性物質の修飾、または、リポソーム、ポリマーミセル、ナノパーティクルなどのドラッグデリバリーシステムキャリアへの応用を含む医薬用途に特に適する。
ポリエチレングリコール(PEG)は、ドラッグデリバリーシステムにおけるスタンダードな担体として広く知られており、現在も精力的に開発が進められている。ポリエチレングリコールを生理活性物質やリポソーム等の薬剤に修飾することで、ポリエチレングリコールの高い水和層と立体反発効果により、薬剤の細網内皮系(RES)による補足や腎臓での***作用を抑制し、血中滞留性の改善及び抗原性の低減が可能である。中でも末端にカルボキシル基を有するポリエチレングリコールは、タンパク質のリジン残基やN末端の1級アミノ基と安定なアミド結合を形成する活性化エステル体や、その他の活性基に変換するための原料となるため特に重要な素材である。カルボキシル基を有するポリエチレングリコールを原料として使用したPEG化製剤としては、SOMAVERT(登録商標):PEGVISOMANT(Pfizer)、Mircera(登録商標):Methoxy Polyethylene glycol-epoetin beta(F Hoffmann-La Roche)、Macugen(登録商標):Pegaptanib(Eyetech)などが既に上市されている。加えて、他にも多くのPEG化製剤の臨床試験が行なわれており、その有用性を立証している。
このような医薬用途を目的とした活性化ポリエチレングリコールは、これを修飾して製造される薬剤の性能や安全性の観点から不純物の少ないものが求められてきた。現在、カルボキシル基を持つポリエチレングリコール化合物には、様々な骨格、及びカルボキシル基とポリエチレングリコールの間のリンカーを持つものが開発されており、その製造方法により副生する不純物は様々である。以下にその例を示す。
カルボキシル基を有する直鎖型のポリエチレングリコールの製造方法としては、非特許文献1に記載のポリエチレングリコールの末端ヒドロキシル基を重金属試薬により酸化する方法、特許文献1に記載のポリエチレングリコールの末端ヒドロキシル基とアクリル酸エステル化合物とをMichael反応により結合させた後、エステル加水分解を行なう方法、特許文献2に記載のポリエチレングリコールの末端ヒドロキシル基と脱離基を有するオルトエステル化合物をWilliamson反応により結合させた後、加水分解を行なう方法などがこれまでに報告されている。
また、カルボキシル基を1つ有する分岐型のポリエチレングリコールに関して、特許文献3にはリジンエチルエステルの2つのアミノ基にメトキシポリエチレングリコールを導入した後に、エステルの加水分解を行なう方法などが報告されている。
しかし、上述のいずれの製造方法でもポリエチレングリコール末端のカルボキシル基への変換率は高くなく、最も高いものでカルボン酸純度は90%前後である。この状態で薬剤に修飾した場合、目的のPEG化製剤の他に、未反応の薬剤や未反応または失活したポリエチレングリコール化合物等の不純物が多く含まれることになる。PEG化製剤の精製は、分離が困難であるという技術的問題、及び薬物収率の低下による製造コストの上昇といった問題が生じる。よって、不純物であるポリエチレングリコール化合物は、できるだけ薬剤との結合前に除去しておくことが望ましい。
ポリエチレングリコールのような高分子化合物から低分子化合物や塩などの不純物を除去する場合、分子量に起因する物理化学的性質、特に溶媒に対する溶解性の大きな差を利用した晶析及び抽出操作による精製が一般的である。一方で、不純物であるポリエチレングリコール化合物が存在する場合、不純物と目的物のポリエチレングリコール化合物の間に溶解性などの物理化学的な性質に大きな違いが現れない。そのためカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物から、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物を、低分子不純物を除去する一般的な操作で除去、精製することは困難である。
カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物の精製方法としては、その極性を利用してイオン交換樹脂によるカラム精製が行なわれており、特許文献4では分岐型のポリエチレングリコールについての精製が記載されている。しかし、工程中のポリエチレングリコール化合物の濃度は、分離能の低下を抑えるため0.1−2%程度と高希釈条件でなければならず、分画後は水溶液中のポリエチレングリコール化合物を回収するための大容量の抽出設備または濃縮設備が必要となるため、工業的な生産性を十分に満足できるものではない。また、最終的に廃棄物として大量のイオン交換樹脂が出てしまうため、工業的に問題がある精製法である。
また、特許文献5においては、有機溶剤に溶解させたカルボキシル基を有するポリエチレングリコールを無機系吸着剤に物理的に吸着させた後に、アルコール系溶剤を用いて脱着させることで精製する方法が記載されている。しかし、この精製方法では脱着反応が不十分で歩留りが50〜60%と低い。また、最終的に廃棄物として大量の吸着剤が出てしまうため、工業的に問題がある精製法である。
一方、特許文献6においては、アミノ基を有するポリエチレングリコール化合物をpH1〜3の強酸性水溶液中に溶解させて末端アミノ基をイオン化し、特定の混合有機溶剤を用いて特定の温度範囲で抽出することによって精製する方法が記載されている。この特許においては、イオン化により親水性の高まったアミノ基を有するポリエチレングリコール化合物が水層に分配し、アミノ基を有さないポリエチレングリコール化合物は混合有機層に分配するため、選択的に分離、精製することができる。
J. Chromatography A 1986,368, 309-317
日本国特許5015608 日本国特許4959133 米国特許6113609 米国特許5932462 日本国特許5618248 日本国特開2014-059754 日本国特開2004-197077 日本国特表平9-504299
しかし、特許文献6には、カルボキシル基を有したポリエチレングリコール化合物の精製に関する記載は無く、また、この精製方法ではカルボキシル基を有したポリエチレングリコール化合物をイオン化することができないため、選択的に分離、精製することは困難である。
また、仮にカルボキシル基をイオン化することを試みたとしても、カルボキシル基とアミノ基は同じ極性基であるが、水に対する溶解性は異なっている。例えば、同じアルキル鎖長を有するn-ブチルアミン(n-C4H10NH2)と吉草酸(n-C4H10COOH)のオクタノール水/分配係数 Log Powはn-ブチルアミン:0.86、吉草酸:1.39となっている。Log Powは化学物質の親油/親水性の指標となる値であり、吉草酸はn-ブチルアミンよりもオクタノール側にモル濃度で約3倍移行しやすい、つまりカルボキシル基の親油性が高いことが示されている。よって、カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物をアルカリ性水溶液中でイオン化した場合、カルボキシル基とアミノ基ではイオン化した際の混合有機溶剤と水に対する溶解性が異なるため、アミノ基を有するポリエチレングリコールを精製するために最適化された有機溶剤の混合比率や特定の温度範囲を適用することはできない。
このように、カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物は、医薬用途において重要な素材であるにも関わらず、工業的に製造容易な方法では得られておらず、多くの課題を有している。
本発明の課題は、カルボキシル基を1つ有するポリエチレングリコール化合物を、工業的に実施可能な方法にて効率及び純度良く精製することである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を特定のpHの範囲のアルカリ性水溶液中でイオン化し、特定の比率で混合した2種類以上の有機溶剤と特定のpHのアルカリ性水溶液からなる系において、特定の温度範囲で抽出操作を行なうことで精製する方法を見出した。
この発明の特徴は、特定のpHの範囲で、特定の炭化水素系溶剤と、ハロゲン化炭化水素系溶剤を混合する比率と抽出温度を適切な範囲に制御することにより実現可能であり、樹脂やゲルなど大量の担体/吸着剤、限外ろ過膜などを用いず、大スケールでも実施可能なため工業的である点にある。
すなわち、本発明は、以下のものである。
(1) カルボキシル基を一つ有しており、分子内のエチレンオキシドユニットの合計平均付加モル数が20〜1490であるポリエチレングリコール化合物を精製する方法であって、
以下の工程(A)、工程(B)および工程(C)を有することを特徴とする、ポリエチレングリコール化合物の精製方法。

(A) 前記ポリエチレングリコール化合物の水溶液であって、pHが8〜11の弱アルカリ性水溶液を調製する工程

(B) 前記工程(A)で得られた前記水溶液と混合有機溶剤とを15℃以上、50℃以下の温度で混合し、有機層と水層とに分層させ、この際前記混合有機溶剤における有機溶剤Iの比率が25〜60質量%であり、有機溶剤IIの比率が75〜40質量%であり、前記有機溶剤Iが、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ブチルからなる群より選ばれる炭化水素系溶剤であり、前記有機溶剤IIが塩化メチレンおよびクロロホルムからなる群より選ばれるハロゲン化炭化水素系溶剤であり、前記有機溶剤Iの前記有機溶剤IIに対する混合比率(有機溶剤I/有機溶剤II)Y、前記混合時の温度T(℃)および前記ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量Mが、式(1)の関係を満足する抽出工程

3.11×10-6M+0.084≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404 ・・ (1)

(C) 前記水層から前記ポリエチレングリコール化合物を回収する工程
(2) 前記工程(B)において、前記有機溶剤Iの前記有機溶剤IIに対する混合比率(有機溶剤I/有機溶剤II)Y、前記混合時の温度T(℃)および前記ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量Mが、式(2)の関係を満足することを特徴とする、(1)の方法。

2.03×10-6M+0.175≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404 ・・ (2)
(3) 前記工程(B)において分層した前記水層に対して、前記抽出工程(B)を複数回実施することを特徴とする、(1)または(2)の方法。
(4) 前記工程(A)において、前記弱アルカリ性水溶液が緩衝剤を含むことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかの方法
(5) 前記工程(A)において、前記緩衝剤が、ナトリウム、カリウム、リチウムおよびアンモニウムからなる群より選ばれた一種以上の元素の有機塩および無機塩からなる群より選ばれた1種以上の塩であることを特徴とする、(4)の方法。
(6) 前記工程(B)において、前記有機溶剤Iがトルエンを含むことを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかの方法。
前記工程(B)において、前記有機溶剤IIがクロロホルムを含むことを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかの方法。
本発明は、医薬用途を目的とした高純度なカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を得るための新規な精製法である。この精製方法は、従来の技術では分離が困難な、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物を分離することが可能である。また、ポリエチレングリコール化合物中にアミド結合やカーバメート結合のような加水分解性のリンカーがある場合も結合の分解が起こりにくく、品質の低下を防ぐことが可能である。また、工業的に容易に実施可能で、生産性に優れ、吸着剤やイオン交換樹脂といった廃棄物を生成しない工程にて高収率に実施することが可能である。
ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量が5,000である場合の溶剤の混合比率Yと抽出温度Tとの関係を示すグラフである。 ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量が40,000である場合の溶剤の混合比率Yと抽出温度Tとの関係を示すグラフである。 ある重量平均分子量Mにおけるポリエチレングリコール化合物の溶剤混合比率Yと抽出温度Tとの関係性を示すグラフであり、精製処理が可能な範囲を示すグラフである。 ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量Mと、溶剤混合比率Yの切片との関係を示すグラフである。 実施例6で抽出精製に用いた原料のHPLCクロマトグラムを示す。 実施例6で得られた精製品のHPLCクロマトグラムを示す。
本発明の、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物とは、ポリエチレングリコール分子内に他の分子と反応させることができるカルボキシル基を一つ有する化合物のことである。
本発明の、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物の分子内のエチレンオキシドユニットの合計平均付加モル数は、20以上であり、好ましくは40以上、より好ましくは110以上である。また、本ポリエチレングリコール化合物の分子内のエチレンオキシドユニットの合計平均付加モル数は1490以下であり、好ましくは1370以下である。
本発明のカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物の重量平均重量平均分子量は、1000以上が好ましく、更に好ましくは2000以上であり、より好ましくは5000以上である。また、本ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量は65573以下が好ましく、より好ましくは60263以下である。
本発明のカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物は、直鎖型または分岐型の構造を有している。分岐型は、好ましくは、グリセリン骨格、リジン骨格、ペンタエリスリトール骨格、キシリトール骨格であり、より好ましくは、グリセリン骨格及びリジン骨格である。これらの化合物は、例えば特許文献7(特開2004-197077号公報)のように1価または多価の水酸基を有する出発物質よりエチレンオキシドを重合する工程とその後の活性化工程を経て得られるか、または特許文献8(特表平9-504299号公報)のように典型的には2本以上の直鎖型ポリエチレングリコールのカップリング反応と活性化工程を経て得られる。
本発明で精製できるポリエチレングリコール化合物は構造中にカルボキシル基を一つだけ有するものである。カルボキシル基以外のポリエチレングリコール鎖の末端に結合している官能基としては、炭素数1から7の炭化水素基、弱アルカリ水溶液中で安定な反応性官能基、または官能基の保護基である。炭素数1から7の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基などのアルキル基、フェニル基、ベンジル基などを挙げることができる。好ましくは、炭化水素基としてはメチル基、エチル基、tert-ブチル基、ベンジル基、であり、より好ましくはメチル基である。弱アルカリ水溶液中で安定な反応性官能基は、好ましくはアミノ基、オキシアミノ基、水酸基、チオール基、シアノ基、アジド基である。官能基の保護基は、好ましくはアミノ基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、オキシアミノ基の保護基のうち弱アルカリ性水溶液中で安定なものである。
(工程(A))
カルボキシル基を1つ有するポリエチレングリコール化合物の水溶液であって、pHが8〜11の弱アルカリ性水溶液を調製する工程である。
弱アルカリ性水溶液のpHは、低いとカルボキシル基のイオン化が不十分で、ポリエチレングリコール化合物の親水性を増加させることができず、高いとポリエチレングリコール化合物中にアミド結合やカーバメート結合のような加水分解性のリンカーがある場合に結合の分解が起こる恐れがあるため、8〜11とし、好ましくは8〜10である。
弱アルカリ性水溶液はpHの変動を緩和するための緩衝剤を含んでいてもよい。緩衝剤としては、pHを8〜11を維持するために通常用いられる緩衝性を示す有機塩や無機塩を使用することができる。具体的には、ナトリウム、カリウム、リチウム又はアンモニウムからなるの、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、フタル酸塩、酒石酸塩又は乳酸塩などの有機塩及び無機塩が含まれる。また、これらの複数の有機塩や無機塩を組み合わせて用いてもよい。
緩衝剤の濃度は、本発明の溶液を目的とするpH8〜11に維持するために十分であれば特に限定されないが、低いと緩衝作用が発現せず、高いとポリエチレングリコール化合物の水に対しての溶解性が低下し、目的物が有機層側に分配されやすくなり、歩留が低下する恐れがあるため、本発明の水溶液の総量に対して10〜500mMの濃度となることが好ましく、より好ましくは25〜300mMである。
使用する弱アルカリ性水溶液の質量は、ポリエチレングリコール化合物の1〜50質量倍とするのが好ましく、より好ましくはポリエチレングリコール化合物の2〜20質量倍である。特に好ましくはポリエチレングリコール化合物の5〜20質量倍である。
(工程(B))
有機溶剤と、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物が溶解した弱アルカリ性水溶液を撹拌や振とうなどにより混合し、一定時間これを静置することにより有機層と水層に分層させる工程である。この抽出工程において、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物は、予め有機溶剤に溶解させた状態で弱アルカリ性水溶液と混合すると、乳化により不純物の分離、目的物の回収が不能となる可能性が高いため、予め弱アルカリ性水溶液に溶解していることが好ましい。
工程中の混合、分層の時間は特に限定されないが、好ましくは1分〜12時間の間であり、より好ましくは10分〜3時間である。また、この抽出操作を実施する雰囲気は特に限定されないが、好ましくは酸化を最小限に抑えることを目的として、窒素などの不活性ガス存在下にて行うこともできる。また、装置も特に限定されないが、酸化劣化の起きにくい窒素下かつ密閉状態での操作を考慮して耐圧容器にて行うこともできる。
使用する有機溶剤Iは、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルから選ばれる炭化水素系溶剤であり、好ましくは、トルエン、酢酸エチルであり、より好ましくは、トルエンである。
使用する有機溶剤IIは、塩化メチレン、クロロホルムから選ばれるハロゲン化炭化水素系溶剤であり、好ましくはクロロホルムである。
使用する一般的なポリエチレングリコール化合物は特有の溶解性を示し、その溶解性は、有機溶剤II>水>有機溶剤Iである。一方、イオン化されたカルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物は、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物よりもわすかに親水性が高い。そのため、有機溶剤Iに有機溶剤IIを適当量混合した有機溶剤を用いると、カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物の溶解性は、水>(有機溶剤I+有機溶剤II)となり、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物の溶解性は、(有機溶剤I+有機溶剤II)>水となる。つまり、カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物は水層に分配し、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物は有機層に分配するため、選択的に分離、精製することができる。
使用する有機溶剤は、混合比率が、有機溶剤I:25〜60質量%、有機溶剤II:75〜40質量%の混合溶液である。有機溶剤Iの比重は1より小さく、有機溶剤IIの比重は1より大きいため、有機溶剤Iの比率が増加すると、混合溶剤の比重が水溶液の比重に近づくため分層性が悪くなる傾向がある。そのため、混合比率が、有機溶剤I:25〜50質量%、有機溶剤II:75〜50質量%の混合溶液であることが好ましい。
下記の実施例にて示すが、有機溶剤Iの有機溶剤IIに対する混合比率(有機溶剤I/有機溶剤II)をY、工程(B)における温度をT(℃)、および前記ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量をMとしたとき、以下の式(1)の関係を満足する範囲で精製が可能である。これによって、高純度の前記ポリエチレングリコール化合物を初めて工業的に分離可能な精製方法を提供することに成功した。

3.11×10-6M+0.084≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404 (1)
使用する有機溶剤IとIIの質量は、それぞれポリエチレングリコール化合物の1〜50質量倍が好ましく、より好ましくは、それぞれポリエチレングリコール化合物の2〜20質量倍である。特に好ましくは、それぞれポリエチレングリコール化合物の5〜20質量倍である。
抽出操作を行なう温度としては、温度が高くなると有機溶剤の揮発により溶剤の混合比率が変化しポリエチレングリコール化合物の溶解性が変化する恐れがあるため、50℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましく、35℃以下が更に好ましい。また、抽出操作を行なう温度としては、温度が低くなるとポリエチレングリコールの粘性が増大するため、10℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましい。
(工程(C))
抽出後の水層からカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を回収する方法である。
カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を含んだ弱アルカリ性水溶液を酸によって中性、または酸性にする。その後、有機層への抽出を経て、濃縮、結晶化、乾燥などのいずれかを含む工程によってカルボキシル基を1つ有するポリエチレングリコール化合物を回収する。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例において分離、除去されるカルボキシル基を有さないポリエチレングリコール不純物は、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物と重量平均分子量が同程度の不純物である。なお、ポリエチレングリコール化合物の分析にはGPC、HPLCを使用した。実施例中に記載されているカルボン酸収率とは、(精製後の質量(g)×精製後のカルボン酸純度(%))÷(原料の質量(g)×原料のカルボン酸純度(%))×100のことである。
ポリエチレングリコール化合物の分子量は、GPCシステムとしてLC-10Avp(島津)を用い、以下の条件で測定を行った。

GPC装置:LC-10Avp(島津)
移動相:DMF(10mM LiBr)
流速:0.7ml/min
カラム:PL gel MIXED-D (ポリマーラボラトリー)
カラム温度:65℃
検出器:RI
注入量:30mg/30mL(100μl)

検量線は、ポリエチレングリコール化合物を標準物質として作成した。
ポリエチレングリコール化合物のカルボン酸純度は、HPLCシステムとしてalliance (Waters)を用い、以下の条件で測定を行なった。

HPLC装置:alliance (Waters)
移動相:ギ酸アンモニウム緩衝液(溶媒:水、pH:8.0)
流速:1.0ml/min
カラム:陰イオン交換カラム ES-502N(Asahipak)
カラム温度:30℃
検出器:RI
注入量:10mg/mL(20μl)
弱アルカリ性水溶液中で、イオン化したカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物は抽出時に主として水層に残り、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物は有機層に移る傾向があるため精製が可能となる。しかし、適切な溶剤の混合比率及び抽出温度で抽出を実施しなくては精製をすることはできない。
まず、有機層からポリエチレングリコール化合物が得られ始める溶剤の混合比率YをY1とする。Y1は、本発明の抽出方法により精製が可能となる混合比率の指標である。つまり、不純物であるカルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物が優先して有機層に分配され始める点である。溶剤の混合比率YがY1より大きい場合は、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物が有機層に分配、除去されないため精製はできない。
次に、溶剤の混合比率YをY1よりも下げて抽出を行なうと、有機層から得られるカルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物の質量は増加するが、ある混合比率からはカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコールも有機層に分配されるようになる。そして、有機層を濃縮して得られるポリエチレングリコール化合物中にカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物が20質量%含まれる混合比率YをY2とする。Y2は、抽出によるカルボン酸収率に関わる混合比率の指標であり、効率的な精製が可能な下限値である。溶剤の混合比率YがY2より小さい場合は、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物とともに目的物であるカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物が有機層へ分配、除去されるため、精製後のカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物のカルボン酸収率が低下することになる。
混合比率YがY2である場合のカルボン酸収率をより具体的に説明する。カルボン酸純度90%のポリエチレングリコール化合物100gを用いて抽出し、有機層を濃縮したところ濃縮物が10g得られたとする。この濃縮物の20%に該当するカルボキシル基を1つ有するポリエチレングリコール化合物の質量は、10g×20%÷100=2gである。カルボン酸収率の低下としては、2g÷(100g×90%÷100)×100=2.2%となる。
Y1、Y2の関係は、常にY1>Y2である。
したがって、前記溶剤の混合比率YがY1とY2の間にあれば(Y1>Y>Y2)、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を抽出によって、工業的に利用可能な効率で精製できることを意味する。
さらに、有機層を濃縮して得られるポリエチレングリコール化合物中にカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物が5質量%含まれる混合比率YをY3とする。Y3はカルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物の有機層へのロスがY2よりも少なく、効率的な精製が可能な好ましい下限値である。
混合比率YがY3である場合のカルボン酸収率をより具体的に説明する。カルボン酸純度90%のポリエチレングリコール化合物100gを用いて抽出し、有機層を濃縮したところ濃縮物が10g得られたとする。この濃縮物の5%に該当するカルボキシル基を1つ有するポリエチレングリコール化合物の質量は、10g×5%÷100=0.5gである。カルボン酸収率の低下としては、0.5g÷(100g×90%÷100)×100=0.55%となる。
Y1、Y2及びY3の関係は、常にY1>Y3>Y2である。
前記溶剤の混合比率YがY1とY3の間にあれば(Y1>Y>Y3)、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を抽出によって、より好ましい条件で工業的に利用可能な効率で精製できることを意味する。
種々の分子量のカルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物について、抽出による精製の効果を調査した。以下に代表として、重量平均分子量5000と40000のデータを挙げて説明を行う。
はじめに、溶剤の混合比率Y及び温度Tの適切な範囲を調べた。
カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を弱アルカリ水溶液に溶解させた。有機溶剤Iと有機溶剤IIの混合溶液を加えて抽出操作を2回行った。有機層をエバポレーターで減圧留去し、回収したポリエチレングリコール化合物の質量測定及びHPLC測定を行った。HPLCのクロマトグラムのピーク面積比及び質量から、カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物及びカルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物の質量を算出した。この抽出検討を、様々な抽出温度及び溶剤の混合比率の条件下で行ない、それぞれの温度でのY1、Y2及びY3を算出した。縦軸に溶剤の混合比率Y、横軸に抽出温度Tをとり、Y1、Y2及びY3をプロットした。
図1及び2に示すように、重量平均分子量M=5000及び40000のポリエチレングリコール化合物の場合、Y1、Y2、Y3はそれぞれ温度Tの関数として式(3)及び(4)のように表すことができた。

M=5000の場合:
Y1=0.0135T+0.395、Y2=0.0135T+0.100、Y3=0.0135T+0.185 (3)

M=40000の場合:
Y1=0.0135T+0.333、Y2=0.0135T+0.209、Y3=0.0135T+0.256 (4)
式(3)及び(4)より、温度変化に対するグラフの傾き0.0135は、ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量に依存せず、一定であることがわかった。つまり、図3に示すように、ある重量平均分子量Mのポリエチレングリコール化合物を用いて抽出精製を行う場合、Y1、Y2及びY3はそれぞれ温度Tの関数とし、各切片をA、B及びCとした時に式(5)のように表すことができる。

Y1=0.0135T+A、Y2=0.0135T+B、Y3=0.0135T+C ・・(5)
図3に示すように、抽出による精製が可能なのは、混合比率Yが、図3のY≦0.0135T+AかつY≧0.0135T+Bを満たす領域にあるときであり、2つの式をまとめると式(6)のように表すことができる。

B≦Y-0.0135T≦A ・・(6)
好ましくは、図3のY≦0.0135T+AかつY≧0.0135T+Cを満たす領域であり、2つの式をまとめると式(7)のように表すことができる。

C≦Y-0.0135T≦A ・・(7)
次に、図4に示すように、縦軸にYの切片、横軸に重量平均分子量Mをとり、式(3)及び(4)から得られたA、B及びCをそれぞれプロットした。図4より各切片A、B及びCを重量平均分子量Mの関数とすると、式(8)のように表すことができる。

A= -1.77×10-6M+0.404
B= 3.11×10-6M+0.084
C= 2.03×10-6M+0.175 ・・(8)
以上をまとめると、有機溶剤Iの有機溶剤IIに対する混合比率(有機溶剤I/有機溶剤II)をY、工程(B)における温度をT(℃)、及びポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量をMとしたとき、抽出による精製が可能である範囲は、式(6)と式(8)より導いた

3.11×10-6M+0.084≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404
であり、より好ましくは式(7)と式(8)より導いた
2.03×10-6M+0.175≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404
である。
切片A、Bが一致するとき、図4の抽出精製が可能な領域は存在しない。このときの重量平均分子量Mは、A=Bより、M=65573である。つまり、抽出精製が可能な重量平均分子量の上限は、65573ということになる。より好ましくは、切片A,Cが一致する時であって、B=Cより、M=60263である。つまり、より好ましい抽出精製が可能な重量平均分子量の上限は、60263ということになる。
一方、特許文献6によると、アミノ基を有するポリエチレングリコール化合物の抽出精製が可能な重量平均分子量の上限は104167であった。カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物の抽出精製が可能な重量平均分子量の上限が低くなったのは、カルボキシル基はアミノ基と比較すると親水性が低いために、カルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物との混合溶剤及び水溶液に対する溶解性の差が小さく、選択的に分離精製ができる重量平均分子量範囲がより狭いことを示している。
(実施例1)
本例では、重量平均分子量Mは5000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.53である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの4つ口フラスコに、式[1]で示されるα-メトキシ-ω-カルボキシメチル-ポリエチレングリコール(重量平均分子量:5000、カルボン酸純度:79.2%):5gを入れ、100mM ホウ酸緩衝液(pH9)を50gに溶解させた。これにトルエン:16gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:16gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。
この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した後にクロロホルム:25gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(3.9g、カルボン酸純度:99.0%、カルボン酸収率:98.5%)。
Figure 0006935059
(実施例1−1)
実施例1において、抽出温度27.5℃にて、混合比率Yを種々変更し、濃縮物質量中のα-メトキシ-ω-カルボキシメチル-ポリエチレングリコールの重量が5%である混合比率(Y1)、得られる濃縮物が最小である混合比率(Y2)、20%である混合比率(Y3)を調査した。その結果、Y1は0.751、Y2は0.490、Y3は0.565であった。
(実施例1−2)
実施例1において、抽出温度32.5℃にて、混合比率Yを種々変更し、Y1、Y2、Y3を調査した。その結果、Y1は0.842、Y2は0.530、Y3は0.620であった。
(実施例1−3)
実施例1において、抽出温度22.5℃にて、混合比率Yを種々変更し、Y1、Y2、Y3を調査した。その結果、Y1は0.707、Y2は0.395、Y3は0.485であった。
実施例1〜3の結果をプロットしたものが図1である。
(実施例2)
本例では、重量平均分子量Mは40000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.63である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの4つ口フラスコに、式[1]で示されるα-メトキシ-ω-カルボキシメチル-ポリエチレングリコール(重量平均分子量:40000、カルボン酸純度:80.5%):5gを入れ、100mM ホウ酸緩衝液(pH9)を50gに溶解させた。これにトルエン:19gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:19gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した後にクロロホルム:25gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(3.8g、カルボン酸純度:99.2%、カルボン酸収率:93.7%)。
(実施例2−1)
実施例1において、抽出温度27.5℃にて、混合比率Yを種々変更し、濃縮物質量中のα-メトキシ-ω-カルボキシメチル-ポリエチレングリコールの重量が5%である混合比率(Y1)、得られる濃縮物が最小である混合比率(Y2)、20%である混合比率(Y3)を調査した。その結果、Y1は0.704、Y2は0.580、Y3は0.627であった。
(実施例2−2)
実施例1において、抽出温度32.5℃にて、混合比率Yを種々変更し、Y1、Y2、Y3を調査した。その結果、Y1は0.771、Y2は0.648、Y3は0.695であった。
(実施例2−3)
実施例1において、抽出温度22.5℃にて、混合比率Yを種々変更し、Y1、Y2、Y3を調査した。その結果、Y1は0.637、Y2は0.513、Y3は0.561であった。
実施例2-1〜3の結果をプロットしたものが図2である。
(実施例3)
本例では、重量平均分子量Mは5000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.67である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの4つ口フラスコに、式[2]で示されるα−メトキシ−ω−2−カルボキシエチル-ポリエチレングリコール(重量平均分子量:5000、カルボン酸純度:78.1%):5gを入れ、50mM ホウ酸緩衝液(pH9)を50gに溶解させた。これにトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した後にクロロホルム:25gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(3.6g、カルボン酸純度:99.0%、カルボン酸収率:91.3%)。
Figure 0006935059
(実施例4)
本例では、重量平均分子量Mは20000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.67である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの3つ口フラスコに、式[3]で示されるα-メトキシ-ω-5-カルボキシペンチル−ポリエチレングリコール(重量平均分子量:20000、カルボン酸純度:79.5%):5gと水:50gを入れ、窒素下で攪拌しながら室温で溶解した。これに1M炭酸ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した。これにトルエン:18gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した後にクロロホルム:25gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(3.5g、カルボン酸純度:99.3%、カルボン酸収率:86.8%)。
Figure 0006935059
(実施例5)
本例では、重量平均分子量Mは10000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.50である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの4つ口フラスコに、式[4]で示されるα−2−シアノエトキシ−ω−5−カルボキシペンチル−ポリエチレングリコール(重量平均分子量:10000、カルボン酸純度:81.7%):5gを入れ、100mM ホウ酸緩衝液(pH9)を50gに溶解させた。これにトルエン:15gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:15gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した後にクロロホルム:25gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(3.7g、カルボン酸純度:99.1%、カルボン酸収率:89.8%)。
Figure 0006935059
(実施例6)
本例では、重量平均分子量Mは40000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.65である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの4つ口フラスコに、式[5]で示される分岐型ポリエチレングリコール(重量平均分子量:40000、カルボン酸純度:81.3%):10gを入れ、100mM ホウ酸緩衝液(pH9)を100gに溶解させた。これにトルエン:39gとクロロホルム:60gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:39gとクロロホルム:60gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:25gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを3に調整した後にクロロホルム:100gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:100gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:3.0gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:50gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を50gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(7.1g、カルボン酸純度:99.3%、カルボン酸収率:90.4%)。
Figure 0006935059
(比較例1)
次に、特許文献4の実施例と同様の方法にてイオン交換カラムで精製を行い、結果を比較した。
φ6cmのカラムに、DEAE Sepharose
FF(GEヘルスケア社製) 約850mlを高さが30cmとなるように展開液はイオン交換水を用いて充填した。式[5]で示される分岐型ポリエチレングリコール20g をイオン交換水 4.4Lに溶解してカラムにチャージ後、精製した[5]が含まれるフラクションをTLCにより確認しながら溶出液を回収した。回収した溶出液は、食塩を加えた後にクロロホルムを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(3.8g、カルボン酸純度:99.3%、カルボン酸収率:22.9%)。
(比較例2)
次に、特許文献5の実施例と同様の方法にて無機系吸着剤で精製を行い、結果を比較した。
機械式攪拌装置、ジムロート冷却管、温度計、窒素吹き込み管を装着した1L4つ口フラスコに、式[5]で示す分岐型ポリエチレングリコール30gとトルエン:450gを入れ、窒素下で攪拌しながら55℃で溶解した。これにキョーワード200B(協和化学工業):120gを添加し、50℃で1時間攪拌し、吸着操作を行った後ろ過した。その後、予め50℃に加温しておいたトルエン:300gを用いてろ過ケーキの洗浄を行った。その後、ろ過ケーキにエタノールを加えて50℃で加温、攪拌を行った後にろ過してろ液を回収した。更に50℃に加温したエタノール300gでろ過ケーキの洗浄を行い、ろ液を回収した。ろ液をエバポレーターを用いて濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た(12.3g、カルボン酸純度:99.4%、カルボン酸収率:50.0%)。
実施例6、比較例1、2の結果を以下の表1に示す。
Figure 0006935059
表1に示すように、本発明の精製方法で得られるカルボキシル基を1つ有するポリエチレングリコール化合物のカルボン酸純度は、比較例1のイオン交換樹脂による精製、及び比較例2の無機系吸着剤による精製品と同等であり、カルボン酸収率については大幅に高い結果となった。
なお、図5は、実施例5で抽出精製に用いた原料のHPLCクロマトグラムを示し,図6は、実施例5で得られた精製品のHPLCクロマトグラムを示す。
次に、特許文献6に記載の、アミノ基を一つ有するポリエチレングリコール化合物の精製可能範囲にて、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物の精製が可能か比較検討を行った。
(比較例3)
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した100mLの3つ口フラスコに、式[3]で示されるα-メトキシ-ω-5-カルボキシペンチル−ポリエチレングリコール(重量平均分子量:20000、カルボン酸純度:79.5%):5gと水:50gを入れ、窒素下で攪拌しながら室温で溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した。これにトルエン:18gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:18gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。クロロホルム:25gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行って最終品を得た。得られた最終品のカルボン酸純度は64.3%であった。
以上のように、酸性条件下ではカルボキシル基がイオン化していないために精製を行うことはできなかった。
次に、特許文献6に記載のアミノ基を一つ有するポリエチレングリコール化合物が精製可能な混合溶剤の比率及び温度において、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物の精製が可能か比較例4−1及び比較例4−2において比較検討を行った。
(比較例4−1)
本例では、重量平均分子量Mは80000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.67である。
機械式攪拌装置、ジムロート冷却管、温度計、窒素吹き込み管を装着した200mLの4つ口フラスコに、式[6]で示される分岐型ポリエチレングリコール誘導体(重量平均分子量:80000、アミン純度:78.3%):5gと水:50gを入れ、窒素下で攪拌しながら室温で溶解した。これに1N塩酸を添加してpHを2に調整した。これにトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:10gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この溶液に1N NaOH aqを添加してpHを12に調整した。ゆっくりと撹拌し50℃になるまで加温し、トルエン:37.5gを添加して50℃で30分間撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。トルエン:37.5gを添加して再度抽出を行い、有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて50℃で濃縮し、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。ろ過ケーキをトルエン:10gで洗浄し、ろ液と合わせた。この溶液をマグネチックスターラーを用いて攪拌しながら室温まで冷却した後、これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を40gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い、精製品を得た(3.7g、アミン純度:97.4%、アミン収率:92.1%)。
Figure 0006935059
(比較例4−2)
本例では、重量平均分子量Mは80000であり、抽出温度Tは27.5℃であり、Yは0.67である。
機械式攪拌装置、温度計、窒素吹き込み管を装着した100mLの4つ口フラスコに、式[7]で示される分岐型ポリエチレングリコール(重量平均分子量:80000、カルボン酸純度:77.6%):5gを入れ、100mM ホウ酸緩衝液(pH9)を50gに溶解させた。これにトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加えて、27.5℃で30分撹拌し、撹拌を停止して同温度にて30分間静置して分層させた。分層した下層の有機層を抜き取り、新たに調製したトルエン:20gとクロロホルム:30gの混合溶剤を加え、同様に抽出操作を行った。撹拌、分層後、有機層を抜き取り、残った水層に食塩:12.5gを添加し、室温で撹拌、溶解した。この水溶液に6N 塩酸を添加してpHを2に調整した後にクロロホルム:50gを加え、室温で30分間撹拌し、撹拌を停止して30分間静置して分層させた。下層の有機層をナスフラスコに回収した。有機層はエバポレーターにて40℃で濃縮し、酢酸エチル:50gを添加して希釈した後、硫酸マグネシウム:1.5gで脱水、ろ過した。これにヘキサン:25gを加えて結晶を析出させた。このスラリーを30分攪拌し、ろ過し、残渣を25gのヘキサンにて洗浄した後、真空にて乾燥を行い精製品を得た。得られた最終品のカルボン酸純度は77.8%であった。
Figure 0006935059
比較例4−1及び4−2に示したように、アミノ基を一つ含むポリエチレングリコール化合物が精製可能な混合溶剤の比率及び温度において、カルボキシル基を一つ含むポリエチレングリコール化合物の精製を行うことはできなかった。
本例により、カルボキシル基はアミノ基と比較すると親水性が低いために、カルボキシル基を有するポリエチレングリコール化合物とカルボキシル基を有さないポリエチレングリコール化合物との混合溶剤及び水溶液に対する溶解性の差が小さく、選択的に分離精製ができる重量平均分子量範囲がより狭いことが示された。
以上より、本発明は、カルボキシル基を一つ有するポリエチレングリコール化合物を高純度で、収率良く、工業的に製造することができる有用な精製方法である。

Claims (7)

  1. カルボキシル基を一つ有しており、分子内のエチレンオキシドユニットの合計平均付加モル数が20〜1490であるポリエチレングリコール化合物を精製する方法であって、
    以下の工程(A)、工程(B)および工程(C)を有することを特徴とする、ポリエチレングリコール化合物の精製方法。

    (A) 前記ポリエチレングリコール化合物の水溶液であって、pHが8〜11の弱アルカリ性水溶液を調製する工程

    (B) 前記工程(A)で得られた前記水溶液と混合有機溶剤とを15℃以上、50℃以下の温度で混合し、有機層と水層とに分層させ、この際前記混合有機溶剤における有機溶剤Iの比率が25〜60質量%であり、有機溶剤IIの比率が75〜40質量%であり、前記有機溶剤Iが、トルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ブチルからなる群より選ばれる炭化水素系溶剤であり、前記有機溶剤IIが塩化メチレンおよびクロロホルムからなる群より選ばれるハロゲン化炭化水素系溶剤であり、前記有機溶剤Iの前記有機溶剤IIに対する混合比率(有機溶剤I/有機溶剤II)Y、前記混合時の温度T(℃)および前記ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量Mが、式(1)の関係を満足する抽出工程

    3.11×10-6M+0.084≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404 ・・ (1)

    (C) 前記水層から前記ポリエチレングリコール化合物を回収する工程
  2. 前記工程(B)において、前記有機溶剤Iの前記有機溶剤IIに対する混合比率(有機溶剤I/有機溶剤II)Y、前記混合時の温度T(℃)および前記ポリエチレングリコール化合物の重量平均分子量Mが、式(2)の関係を満足することを特徴とする、請求項1記載の方法。

    2.03×10-6M+0.175≦Y−0.0135T≦-1.77×10-6M+0.404 ・・ (2)
  3. 前記工程(B)において分層した前記水層に対して、前記抽出工程(B)を複数回実施することを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記工程(A)において、前記弱アルカリ性水溶液が緩衝剤を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  5. 前記工程(A)において、前記緩衝剤が、ナトリウム、カリウム、リチウムおよびアンモニウムからなる群より選ばれた1種以上の元素の有機塩および無機塩からなる群より選ばれた1種以上の塩であることを特徴とする、請求項4記載の方法。
  6. 前記工程(B)において、前記有機溶剤Iがトルエンを含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つの請求項に記載の方法。
  7. 前記工程(B)において、前記有機溶剤IIがクロロホルムを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つの請求項に記載の方法。
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