この発明に係る眼科装置の実施形態の例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この明細書において引用された文献の記載内容や任意の公知技術を、以下の実施形態に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科装置は、少なくともOCTを実行する機能を備え、被測定物体に対してOCTを実行することにより被測定物体に関する情報を取得することが可能な計測装置である。以下、実施形態に係る眼科装置が、被測定物体としての生体眼に対してOCTを実行することにより生体眼を画像化する場合について説明するが、実施形態はこれに限定されない。例えば、実施形態に係る眼科装置は、生体眼に対してOCTを実行することにより眼軸長など生体眼の眼内距離を計測可能であってよい。
実施形態に係る眼科装置は、フーリエドメインOCTと眼底カメラとを組み合わせた眼科装置である。この眼科装置は、スウェプトソースOCTを実行する機能を備えているが、実施形態はこれに限定されない。例えば、OCTの種別はスウェプトソースOCTには限定されず、スペクトラルドメインOCT等であってもよい。スウェプトソースOCTは、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光をバランスドフォトダイオード等で検出し、波長の掃引及び測定光のスキャンに応じて収集された検出データにフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。スペクトラルドメインOCTは、低コヒーレンス光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被測定物体を経由した測定光の戻り光を参照光と干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル分布を分光器で検出し、検出されたスペクトル分布にフーリエ変換等を施して画像を形成する手法である。
実施形態に係る眼科装置には、眼底カメラの代わりに、走査型レーザー検眼鏡(SLO)や、スリットランプ顕微鏡や、前眼部撮影カメラや、手術用顕微鏡や、光凝固装置などが設けられてもよい。この明細書では、OCTによる計測を「OCT計測」と総称し、OCTによって取得される画像をOCT画像と総称し、測定光の光路を「測定光路」と表記し、参照光の光路を「参照光路」と表記することがある。
[構成]
図1に示すように、実施形態に係る眼科装置1は、眼底カメラユニット2、OCTユニット100及び演算制御ユニット200を含む。眼底カメラユニット2は、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有する。OCTユニット100には、OCTを実行するための光学系が設けられている。演算制御ユニット200は、各種の演算処理や制御処理等を実行するプロセッサを具備している。
本明細書において「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等を含む処理回路を意味する。プロセッサは、例えば、記憶回路や記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。
〔眼底カメラユニット〕
眼底カメラユニット2には、被検眼Eの眼底Efの表面形態を表す2次元画像(眼底像)を取得するための光学系が設けられている。眼底像には、観察画像や撮影画像などが含まれる。観察画像は、例えば、近赤外光を用いて所定のフレームレートで形成されるモノクロの動画像である。撮影画像は、例えば、可視光をフラッシュ発光して得られるカラー画像、又は近赤外光若しくは可視光を照明光として用いたモノクロの静止画像であってもよい。眼底カメラユニット2は、これら以外の画像、例えばフルオレセイン蛍光画像やインドシアニングリーン蛍光画像や自発蛍光画像などを取得可能に構成されていてもよい。
眼底カメラユニット2には、被検者の顔を支持するための顎受けや額当てが設けられている。更に、眼底カメラユニット2には、照明光学系10と撮影光学系30とが設けられている。照明光学系10は眼底Efに照明光を照射する。撮影光学系30は、この照明光の眼底反射光を撮像装置(CCDイメージセンサ(単にCCDと呼ぶことがある)35、38)に導く。また、撮影光学系30は、OCTユニット100からの測定光を被検眼Eに導くとともに、被検眼Eを経由した測定光をOCTユニット100に導く。
照明光学系10の観察光源11は、例えばハロゲンランプ又はLED(Light Emitting Diode)により構成される。観察光源11から出力された光(観察照明光)は、曲面状の反射面を有する反射ミラー12により反射され、集光レンズ13を経由し、可視カットフィルタ14を透過して近赤外光となる。更に、観察照明光は、撮影光源15の近傍にて一旦集束し、ミラー16により反射され、リレーレンズ17、18、絞り19及びリレーレンズ20を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー21の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efを照明する。
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ22により屈折され、ダイクロイックミラー46を透過し、孔開きミラー21の中心領域に形成された孔部を通過し、ダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を経由し、ミラー32により反射される。更に、この眼底反射光は、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33により反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に結像される。CCDイメージセンサ35は、例えば所定のフレームレートで眼底反射光を検出する。表示装置3には、CCDイメージセンサ35により検出された眼底反射光に基づく画像(観察画像)が表示される。なお、撮影光学系30のピントが前眼部に合わせられている場合、被検眼Eの前眼部の観察画像が表示される。
撮影光源15は、例えばキセノンランプ又はLEDにより構成される。撮影光源15から出力された光(撮影照明光)は、観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光のそれと同様の経路を通ってダイクロイックミラー33まで導かれ、ダイクロイックミラー33を透過し、ミラー36により反射され、集光レンズ37によりCCDイメージセンサ38の受光面に結像される。表示装置3には、CCDイメージセンサ38により検出された眼底反射光に基づく画像(撮影画像)が表示される。なお、観察画像を表示する表示装置3と撮影画像を表示する表示装置3は、同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。また、被検眼Eを赤外光で照明して同様の撮影を行う場合には、赤外の撮影画像が表示される。また、撮影光源としてLEDを用いることも可能である。
LCD(Liquid Crystal Display)39は、固視標や視力測定用視標を表示する。固視標は被検眼Eを固視させるための視標であり、眼底撮影時やOCT計測時などに使用される。
LCD39から出力された光は、その一部がハーフミラー33Aにて反射され、ミラー32に反射され、撮影合焦レンズ31及びダイクロイックミラー55を経由し、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて眼底Efに照射される。LCD39の画面上における固視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。
更に、眼底カメラユニット2には、従来の眼底カメラと同様にアライメント光学系50とフォーカス光学系60が設けられている。アライメント光学系50は、被検眼Eに対する装置光学系の位置合わせ(アライメント)を行うための視標(アライメント視標)を生成する。フォーカス光学系60は、被検眼Eに対してフォーカス(ピント)を合わせるための視標(スプリット視標)を生成する。
アライメント光学系50のLED51から出力された光(アライメント光)は、絞り52、53及びリレーレンズ54を経由してダイクロイックミラー55により反射され、孔開きミラー21の孔部を通過する。孔開きミラー21の孔部を通過した光は、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により被検眼Eの角膜に照射される。
アライメント光の角膜反射光は、対物レンズ22、ダイクロイックミラー46及び上記孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過し、撮影合焦レンズ31を通過する。撮影合焦レンズ31を通過した角膜反射光は、ミラー32により反射され、ハーフミラー33Aを透過し、ダイクロイックミラー33に反射され、集光レンズ34によりCCDイメージセンサ35の受光面に投影される。CCDイメージセンサ35による受光像(アライメント視標)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。ユーザは、従来の眼底カメラと同様の操作を行ってアライメントを実施する。また、演算制御ユニット200がアライメント視標の位置を解析して光学系を移動させることによりアライメントを行ってもよい(オートアライメント機能)。
フォーカス光学系60は、照明光学系10の光路に沿って移動可能である。撮影合焦レンズ31は、フォーカス光学系60の移動に連動して撮影光学系30の光路に沿って移動可能である。フォーカス光学系60の反射棒67は、照明光路に対して挿脱可能である。
フォーカス調整を行う際には、照明光路上に反射棒67の反射面が斜設される。フォーカス光学系60のLED61から出力された光(フォーカス光)は、リレーレンズ62を通過し、スプリット視標板63により2つの光束に分離され、二孔絞り64を通過する。二孔絞り64を通過した光は、ミラー65により反射され、集光レンズ66により反射棒67の反射面に一旦結像されて反射される。反射棒67の反射面により反射された光は、リレーレンズ20を経由し、孔開きミラー21に反射され、ダイクロイックミラー46を透過し、対物レンズ22により屈折されて一対のスプリット視標光として被検眼Eに照射される。
被検眼Eの瞳孔を通過した一対のスプリット視標光は、被検眼Eの眼底Efに到達する。一対のスプリット視標光の眼底反射光は、瞳孔を通過し、照明光の眼底反射光束と同様の経路を通ってCCDイメージセンサ35により検出される。CCDイメージセンサ35による受光像(一対のスプリット視標像)は、観察画像とともに表示装置3に表示される。演算制御ユニット200は、従来と同様に、一対のスプリット視標像の位置を解析してフォーカス光学系60を移動させてピント合わせを行う(オートフォーカス機能)。フォーカス光学系60の移動に連動して撮影合焦レンズ31を移動することにより、眼底像はCCDイメージセンサ35の撮像面に結像する。また、一対のスプリット視標像を視認しつつ手動で(後述の操作部242に対する操作で)ピント合わせを行ってもよい。
反射棒67は、被検眼Eの眼底Efと光学的に略共役な照明光路上の位置に挿入される。照明光学系10の光路に挿入されている反射棒67の反射面の位置は、スプリット視標板63と光学的に略共役な位置である。フォーカス視標光は、前述のように、二孔絞り64などの作用により2つに分離される。眼底Efと反射棒67の反射面とが共役ではない場合、CCDイメージセンサ35により取得された一対のスプリット視標像は、例えば、左右方向に2つに分離して表示装置3に表示される。眼底Efと反射棒67の反射面とが略共役である場合、CCDイメージセンサ35により取得された一対のスプリット視標像は、例えば、上下方向に一致して表示装置3に表示される。眼底Efとスプリット視標板63とが常に光学的に共役になるようにフォーカス光学系60が照明光路に沿って移動されるとこれに連動して撮影合焦レンズ31が撮影光軸に沿って移動する。眼底Efとスプリット視標板63とが共役になっていない場合には一対のスプリット視標像が2つに分離するため、一対のスプリット視標像が上下方向に一致するようにフォーカス光学系60を移動することにより、撮影合焦レンズ31の位置が求められる。なお、この実施形態では、一対のスプリット視標像が取得される場合について説明したが、3以上のスプリット視標像であってよい。
ダイクロイックミラー46は、眼底撮影用の光路からOCT用の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー46は、OCTに用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT用の光路には、OCTユニット100側から順に、コリメータレンズユニット40と、光路長変更部41と、光スキャナ42と、OCT合焦レンズ43と、ミラー44と、リレーレンズ45とが設けられている。
コリメータレンズユニット40は、コリメータレンズを含む。コリメータレンズユニット40は、光ファイバによりOCTユニット100と光学的に接続されている。この光ファイバの出射端を臨む位置に、コリメータレンズユニット40のコリメータレンズが配置されている。コリメータレンズユニット40は、光ファイバの出射端から出射された測定光LS(後述)を平行光束にするとともに、被検眼Eからの測定光の戻り光を当該出射端に集光する。
光路長変更部41は、図1に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT用の光路の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部41は、例えばコーナーキューブと、これを移動する機構とを含んで構成される。
光スキャナ42は、例えば、被検眼Eの瞳孔と光学的に略共役な位置に配置されている。光スキャナ42は、OCT用の光路を通過する光(測定光LS)の進行方向を変更する。それにより、被検眼Eを測定光LSでスキャンすることができる。光スキャナ42は、例えば、測定光LSをx方向にスキャンするガルバノミラーと、y方向にスキャンするガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含んで構成される。それにより、測定光LSをxy平面上の任意の方向にスキャンすることができる。
OCT合焦レンズ43は、測定光LSの光路(干渉光学系の光軸)に沿って移動可能である。
〔OCTユニット〕
OCTユニット100の構成の一例を図2に示す。OCTユニット100には、被検眼EのOCT画像を取得するための光学系が設けられている。この光学系は、波長掃引型(波長走査型)光源からの光を測定光と参照光とに分割し、被検眼Eからの測定光の戻り光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光を検出する干渉光学系である。干渉光学系による干渉光の検出結果(検出信号)は、干渉光のスペクトルを示す干渉信号であり、演算制御ユニット200に送られる。
光源ユニット101は、一般的なスウェプトソースタイプの眼科装置と同様に、出射光の波長を掃引(走査)可能な波長掃引型(波長走査型)光源を含んで構成される。波長掃引型光源は、共振器を含むレーザー光源を含んで構成される。光源ユニット101は、人眼では視認できない近赤外の波長帯において、出力波長を時間的に変化させる。
光源ユニット101から出力された光L0は、光ファイバ102により偏波コントローラ103に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ103は、例えばループ状にされた光ファイバ102に対して外部から応力を与えることで、光ファイバ102内を導かれる光L0の偏光状態を調整する。
偏波コントローラ103により偏光状態が調整された光L0は、光ファイバ104によりファイバカプラ105に導かれて測定光LSと参照光LRとに分割される。
参照光LRは、光ファイバ110によりコリメータ111に導かれて平行光束となる。平行光束となった参照光LRは、光路長変更部114に導かれる。光路長変更部114は、図2に示す矢印の方向に移動可能とされ、参照光LRの光路長を変更する。この移動により参照光LRの光路の長さが変更される。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正や、干渉状態の調整などに利用される。光路長変更部114は、例えばコーナーキューブと、これを移動する移動機構とを含んで構成される。この場合、光路長変更部114のコーナーキューブは、コリメータ111により平行光束とされた参照光LRの進行方向を逆方向に折り返す。コーナーキューブに入射する参照光LRの光路と、コーナーキューブから出射する参照光LRの光路とは平行である。
なお、図1及び図2に示す構成においては、測定光LSの光路(測定光路、測定アーム)の長さを変更するための光路長変更部41と、参照光LRの光路(参照光路、参照アーム)の長さを変更するための光路長変更部114の双方が設けられている。しかしながら、光路長変更部41及び114の一方だけが設けられていてもよい。また、これら以外の光学部材を用いて、参照光路長と測定光路長との差を変更することも可能である。
光路長変更部114を経由した参照光LRは、コリメータ116によって平行光束から集束光束に変換されて光ファイバ117に入射する。
コリメータ111と光路長変更部114との間の参照光路、及びコリメータ116と光路長変更部114との間の参照光路の少なくとも一方には、光路長補正部材が配置されていてもよい。光路長補正部材は、参照光LRの光路長(光学距離)と測定光LSの光路長とを合わせるための遅延手段として作用する。
光ファイバ117に入射した参照光LRは、偏波コントローラ118に導かれてその偏光状態が調整される。偏波コントローラ118は、例えば、偏波コントローラ103と同様の構成を有する。偏波コントローラ118により偏光状態が調整された参照光LRは、光ファイバ119によりアッテネータ120に導かれて、演算制御ユニット200の制御の下で光量が調整される。アッテネータ120により光量が調整された参照光LRは、光ファイバ121によりファイバカプラ122に導かれる。
一方、ファイバカプラ105により生成された測定光LSは、光ファイバ127によりに導かれ、コリメータレンズユニット40により平行光束とされる。平行光束にされた測定光LSは、光路長変更部41、光スキャナ42、OCT合焦レンズ43、ミラー44及びリレーレンズ45を経由してダイクロイックミラー46に導かれる。ダイクロイックミラー46に導かれてきた測定光LSは、ダイクロイックミラー46により反射され、対物レンズ22により屈折されて被検眼Eに照射される。測定光LSは、被検眼Eの様々な深さ位置において散乱(反射を含む)される。このような後方散乱光を含む測定光LSの戻り光は、往路と同じ経路を逆向きに進行してファイバカプラ105に導かれ、光ファイバ128を経由してファイバカプラ122に到達する。
ファイバカプラ122は、光ファイバ128を介して入射された測定光LSと、光ファイバ121を介して入射された参照光LRとを合成して(干渉させて)干渉光を生成する。ファイバカプラ122は、所定の分岐比(例えば1:1)で、測定光LSと参照光LRとの干渉光を分岐することにより、一対の干渉光LCを生成する。ファイバカプラ122から出射した一対の干渉光LCは、それぞれ光ファイバ123、124により検出器125に導かれる。
検出器125は、例えば一対の干渉光LCをそれぞれ検出する一対のフォトディテクタを有し、これらによる検出結果の差分を出力するバランスドフォトダイオード(Balanced Photo Diode)である。検出器125は、その検出結果(干渉信号)をDAQ(Data Acquisition System)130に送る。DAQ130には、光源ユニット101からクロックKCが供給される。クロックKCは、光源ユニット101において、波長掃引型光源により所定の波長範囲内で掃引(走査)される各波長の出力タイミングに同期して生成される。光源ユニット101は、例えば、各出力波長の光L0を分岐することにより得られた2つの分岐光の一方を光学的に遅延させた後、これらの合成光を検出した結果に基づいてクロックKCを生成する。DAQ130は、クロックKCに基づき、検出器125の検出結果をサンプリングする。DAQ130は、サンプリングされた検出器125の検出結果を演算制御ユニット200に送る。演算制御ユニット200は、例えば一連の波長走査毎に(Aライン毎に)、検出器125により得られた検出結果に基づくスペクトル分布にフーリエ変換等を施すことにより、各Aラインにおける反射強度プロファイルを形成する。更に、演算制御ユニット200は、各Aラインの反射強度プロファイルを画像化することにより画像データを形成する。
〔演算制御ユニット〕
演算制御ユニット200の構成について説明する。演算制御ユニット200は、検出器125から入力される干渉信号を解析して被検眼EのOCT画像を形成する。OCT画像を形成するための演算処理は、従来のスウェプトソースタイプの眼科装置と同様である。
また、演算制御ユニット200は、眼底カメラユニット2、表示装置3及びOCTユニット100の各部を制御する。例えば演算制御ユニット200は、被検眼EのOCT画像を表示装置3に表示させる。
演算制御ユニット200は、例えば、従来のコンピュータと同様に、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ、通信インターフェイスなどを含む。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、眼科装置1を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。演算制御ユニット200は、各種の回路基板、例えばOCT画像を形成するための回路基板を備えていてもよい。また、演算制御ユニット200は、キーボードやマウス等の操作デバイス(入力デバイス)や、LCD等の表示デバイスを備えていてもよい。
〔制御系〕
眼科装置1の制御系の構成について図3及び図4を参照しつつ説明する。なお、図3においては、眼科装置1のいくつかの構成要素が省略されており、この実施形態を説明するために特に必要な構成要素が選択的に示されている。
(制御部)
演算制御ユニット200は、制御部210と、画像形成部220と、データ処理部230とを含む。制御部210は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、通信インターフェイス等を含んで構成される。制御部210には、主制御部211と記憶部212とが設けられている。
(主制御部)
主制御部211は前述の各種制御を行う。特に、図3に示すように、主制御部211は、眼底カメラユニット2のレンズ駆動部31A及び43A、CCDイメージセンサ35及び38、LCD39、光路長変更部41、及び光スキャナ42を制御する。また、主制御部211は、光学系駆動部1Aを制御する。更に、主制御部211は、OCTユニット100の光源ユニット101、光路長変更部114、検出器125、及びDAQ130などを制御する。
レンズ駆動部31Aは、主制御部211からの制御を受け、撮影光学系30の光軸に沿って撮影合焦レンズ31を移動させる。レンズ駆動部31Aには、撮影合焦レンズ31を保持する保持部材と、この保持部材を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。それにより、主制御部211からの制御を受けたレンズ駆動部31Aが撮影合焦レンズ31を移動することにより、撮影光学系30の合焦位置が変更される。なお、手動又はユーザの操作部242に対する操作によりレンズ駆動部31Aが撮影光学系30の光軸に沿って撮影合焦レンズ31を移動するようにしてもよい。
レンズ駆動部43Aは、主制御部211からの制御を受け、OCTユニット100における干渉光学系の光軸(測定光の光路)に沿ってOCT合焦レンズ43を移動させる。レンズ駆動部43Aには、OCT合焦レンズ43を保持する保持部材と、この保持部材を移動するための駆動力を発生するアクチュエータと、この駆動力を伝達する伝達機構とが設けられる。アクチュエータは、例えばパルスモータにより構成される。伝達機構は、例えば歯車の組み合わせやラック・アンド・ピニオンなどによって構成される。それにより、主制御部211からの制御を受けたレンズ駆動部43AがOCT合焦レンズ43を移動することにより、測定光の合焦位置が変更される。なお、手動又はユーザの操作部242に対する操作によりレンズ駆動部43Aが干渉光学系の光軸に沿ってOCT合焦レンズ43を移動するようにしてもよい。
主制御部211は、CCD35の露光時間(電荷蓄積時間)、感度、フレームレート等を制御することが可能である。主制御部211は、CCD38の露光時間、感度、フレームレート等を制御することが可能である。
主制御部211は、LCD39に対して固視標や視力測定用視標の表示制御を行うことが可能である。それにより、被検眼Eに呈示される視標の切り替えや視標の種別の変更が可能になる。また、LCD39における視標の表示位置を変更することにより、被検眼Eに対する視標呈示位置を変更することが可能である。
主制御部211は、光路長変更部41を制御することにより、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長との差を相対的に変更することが可能である。主制御部211は、被検眼Eの対象部位がOCT画像のフレーム内における所定の範囲に描出されるように光路長変更部41を制御する。具体的には、主制御部211は、被検眼Eの対象部位がOCT画像のフレーム内における所定のz位置(深さ方向の位置)に描出されるように光路長変更部41を制御することが可能である。
主制御部211は、光スキャナ42を制御することにより被検眼Eの眼底Efにおける測定光LSの走査位置を変更することが可能である。
光学系駆動部1Aは、眼科装置1に設けられた光学系(図1及び図2に示す光学系)を3次元的に移動する。光学系駆動部1Aは、主制御部211からの制御を受け、光学系を移動する。この制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの運動に合わせて装置光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとピント合わせが実行される。トラッキングは、被検眼Eを動画撮影して得られる画像に基づき被検眼Eの位置や向きに合わせて装置光学系をリアルタイムで移動させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
主制御部211は、光源ユニット101を制御することにより、光L0の点灯と消灯の切り替えや、光L0の光量の変更などを制御することが可能である。
主制御部211は、光路長変更部114を制御することにより、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長との差を相対的に変更することが可能である。主制御部211は、被検眼Eの対象部位がOCT画像のフレーム内における所定の範囲に描出されるように光路長変更部114を制御する。具体的には、主制御部211は、被検眼Eの対象部位がOCT画像のフレーム内における所定のz位置に描出されるように光路長変更部114を制御することが可能である。主制御部211は、光路長変更部41及び114の少なくとも一方を制御することにより、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長との差を相対的に変更することが可能である。以下では、主制御部211は、光路長変更部114だけを制御することにより測定光LSと参照光LRとの光路長差調整を行うものとして説明するが、光路長変更部41だけを制御することにより参照光LRと測定光LSとの光路長差調整を行ってもよい。
このような主制御部211による光路長差調整は、OCT計測により得られた干渉光の検出結果から生成されたz方向の輝度プロファイルに基づいて行われる。この実施形態において、z方向の輝度プロファイルは、z方向の複数の位置に対応した複数の輝度値の配列データである。輝度プロファイルは、z方向の複数の位置に対応した複数の輝度値が配列されたデータであってもよいし、当該複数の輝度値の変化を表すデータであってもよい。このような輝度プロファイルは、被検眼Eの断層像(Aスキャン画像又はBスキャン画像)から生成される。輝度プロファイルは、検出器125による検出結果から生成されてもよい。主制御部211は、輝度プロファイルにおけるz方向の輝度値の変化(変化方向、変化量)に基づいて光路長差調整を行う。具体的には、z方向の輝度値の変化に基づいて被検眼Eの注目部位を特定し、特定された注目部位がフレーム内の所定のz位置に描出されるように光路長差調整が行われる。注目部位として、例えば眼底Efの最深領域(眼底Efの像の最深領域、眼底EfにおいてOCT計測が可能な最大のz位置を含む領域)などがある。
被検眼Eの断層像を反復的に取得し、取得された断層像から輝度プロファイルを生成し、生成された輝度プロファイルに基づいて光路長差調整を反復的に行うことにより、所望の注目部位が所定のz位置に描出された状態を維持することが可能である。
主制御部211は、検出器125の露光時間(電荷蓄積時間)、感度、フレームレート等を制御することが可能である。また、主制御部211は、DAQ130を制御することが可能である。
(記憶部)
記憶部212は、各種のデータを記憶する。記憶部212に記憶されるデータとしては、例えば、OCT画像の画像データ、眼底像の画像データ、被検眼情報などがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。また、記憶部212には、眼科装置1を動作させるための各種プログラムや制御情報等のデータが記憶されている。
(画像形成部)
画像形成部220は、検出器125(DAQ130)からの干渉信号に基づいて眼底Efの断層像の画像データを形成する。この処理には、ノイズ除去(ノイズ低減)、フィルタ処理、FFT(Fast Fourier Transform)などの処理が含まれている。このようにして取得される画像データは、複数のAライン(被検眼E内における各測定光LSの経路)における反射強度プロファイルを画像化することにより形成された一群の画像データを含むデータセットである。
画質を向上させるために、同じパターンでのスキャンを複数回繰り返して収集された複数のデータセットを重ね合わせる(加算平均する)ことができる。
画像形成部220は、例えば、前述の回路基板を含んで構成される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。また、被検眼Eの部位とその画像とを同一視することもある。
(データ処理部)
データ処理部230は、画像形成部220により形成された画像に対して各種のデータ処理(画像処理)や解析処理を施す。例えば、データ処理部230は、画像の輝度補正や分散補正等の補正処理を実行する。
データ処理部230は、断層像の間の画素を補間する補間処理などの公知の画像処理を実行することにより、被検眼Eのボリュームデータ(ボクセルデータ)を形成することができる。ボリュームデータに基づく画像を表示させる場合、データ処理部230は、このボリュームデータに対してレンダリング処理を施して、特定の視線方向から見たときの擬似的な3次元画像を形成する。
データ処理部230は、眼底像とOCT画像との位置合わせを行うことができる。眼底像とOCT画像とが並行して取得される場合には、双方の光学系が同軸であることから、(ほぼ)同時に取得された眼底像とOCT画像とを、撮影光学系30の光軸を基準として位置合わせすることができる。また、眼底像とOCT画像との取得タイミングに関わらず、OCT画像のうち眼底Efの相当する画像領域の少なくとも一部をxy平面に投影して得られる正面画像と、眼底像との位置合わせをすることにより、そのOCT画像とその眼底像とを位置合わせすることも可能である。この位置合わせ手法は、眼底像取得用の光学系とOCT用の光学系とが同軸でない場合においても適用可能である。また、双方の光学系が同軸でない場合であっても、双方の光学系の相対的な位置関係が既知であれば、この相対位置関係を参照して同軸の場合と同様の位置合わせを実行することが可能である。
図4に示すように、データ処理部230には、輝度プロファイル生成部231と、演算部232と、特定部233とが設けられている。
輝度プロファイル生成部231は、被検眼Eの断層像からz方向の輝度プロファイルを生成する。演算部232は、輝度プロファイル生成部231により生成された輝度プロファイルにおけるz方向の輝度値の変化(変化方向、変化量)を求める。特定部233は、演算部232により求められたz方向の輝度値の変化に基づいて被検眼Eの注目部位のz方向の位置を特定する。実施形態に係る特定部233は、眼底Efの最深領域のz方向の位置を特定することが可能である。
輝度プロファイル生成部231は、例えば、検出器125により得られたAスキャンの検出結果に基づいて生成されたAスキャン画像における複数のz位置の輝度値から輝度プロファイルを生成することが可能である。また、輝度プロファイル生成部231は、例えば、検出器125による検出結果に基づいて生成されたBスキャン画像における複数のz位置の輝度値について、Aスキャン方向に交差する交差方向(例えば、x方向又はy方向)に統計値を求めることにより輝度プロファイルを生成することが可能である。ここで、統計値は、公知の統計処理により得られた値を意味する。この実施形態に係る統計値には、積算値、平均値などがある。
或いは、輝度プロファイル生成部231は、検出器125による干渉光の検出結果から直接的にz方向の輝度プロファイルを生成してもよい。輝度プロファイル生成部231は、例えば、検出器125により得られたAスキャンの検出結果を解析して複数のz位置における反射光強度を求め、求められた反射光強度に対応した輝度値を割り当てることにより輝度プロファイルを生成する。また、輝度プロファイル生成部231は、例えば、眼底Efにおける交差方向の複数の走査位置について検出器125により得られたAスキャンの検出結果を解析して各Aラインの複数のz位置における反射光強度を求め、求められた反射光強度に対応した輝度値を割り当て、複数のz位置の輝度値について当該交差方向に統計値を求めることにより輝度プロファイルを生成してもよい。
以下では、輝度プロファイル生成部231は、積算部2311を含むものとする。積算部2311は、画像形成部220により形成されたBスキャン画像における複数のz位置についてAスキャン方向と交差する方向に輝度値を積算して輝度値の積算値を求める。すなわち、輝度プロファイル生成部231は、OCTを実行することにより得られたBスキャン画像における複数のz位置について輝度値の積算値が配列された輝度プロファイルを生成する。
演算部232は、輝度プロファイル生成部231により生成された輝度プロファイルにおけるz方向の輝度値の変化を求める。演算部232は、z方向の輝度値の変化方向とその変化量を求めることが可能である。例えば、演算部232は、取得された輝度プロファイルにおいてz方向に隣接する2つの輝度値の差分を順次に求めることによりz方向の輝度値の変化方向とその変化量とを求める。変化方向は、求められた差分値の符号(+、−)に対応する。変化量は、求められた差分値の絶対値に対応する。また、例えば、演算部232は、取得された輝度プロファイルに基づいてz位置の変化に対応する輝度値の変化の割合を求めることにより輝度値の変化方向とその変化量とを特定してもよい。変化方向は、求められた割合の符号に対応する。変化量は、求められた割合の絶対値に対応する。
以下では、演算部232は、差分算出部2321を含むものとする。差分算出部2321は、輝度プロファイルにおいてz方向に隣接する2つの輝度値の差分を求める。すなわち、演算部232は、輝度プロファイルにおいてz方向に隣接する2つの輝度値の差分を順次に求めることによりz方向の輝度値の変化方向とその変化量とを求める。
図5に、実施形態に係る輝度プロファイルの説明図を示す。図5は、縦方向に深さ方向(z方向)を表し、横方向にz方向に交差するxyスキャン方向(xy平面上のスキャン方向)を表す。
輝度プロファイル生成部231は、画像形成部220により形成されたBスキャン画像IMG1が取得されると、複数のz位置について深さ方向(z方向)に交差する方向(図5ではxyスキャン方向)に輝度値を積算することにより輝度プロファイルを生成する。図5に示すように、輝度プロファイル生成部231は、z位置z0についてxyスキャン方向にBスキャン画像IMG1の各画素の輝度値を積算して輝度値La0を求め、z位置z1(z0<z1)についてxyスキャン方向にBスキャン画像IMG1の各画素の輝度値を積算して輝度値La1を求め、・・・、z位置zN(z1<・・・<zN)についてxyスキャン方向にBスキャン画像IMG1の各画素の輝度値を積算して輝度値LaNを求める。
演算部232は、輝度プロファイル生成部231により生成された輝度プロファイルにおいてz方向に隣接する2つの輝度値の差分を順次に求めることにより、図5に示すような差分プロファイルを生成する。図5において、演算部232は、z位置z0に対応する輝度値La0とz位置z1に対応する輝度値La1との差分値D0(=La0−La1)を求め、z位置z1に対応する輝度値La1とz位置z2に対応する輝度値La2との差分値D1(=La1−La0)を求め、・・・、z位置z(N−1)に対応する輝度値La(N−1)とz位置zNに対応する輝度値LaNとの差分値D(N−1)(=LaN−La(N−1))を求める。
特定部233は、図5に示すように演算部232により求められたz方向の輝度値の変化を表す差分プロファイルに基づいて、被検眼Eの所定部位のz方向の位置を特定する。
図6に、実施形態に係る差分プロファイルの説明図を示す。図6は、演算部232により求められた差分値を縦軸に表し、深さ位置を横軸に表す。図6において、図5に示す深さ位置に対応する差分値については同一符号で示されている。図6において、図5の図示の便宜上、白い画素の輝度値より黒い画素の輝度値の方が高いものとする。
特定部233は、所定の変化方向における輝度値の変化量の絶対値が最大である位置を最深領域の位置として特定する。特定部233は、演算部232により求められた差分プロファイルに基づいて、所定の変化方向に対応する符号を有する差分値に対応する深さ位置を特定する。続いて、特定部233は、上記の符号を有する差分値のうち絶対値が最大の深さ位置を被検眼Eの最深領域の位置として特定する。
例えば、図5及び図6に示す場合、符号が「+」の領域は、輝度値が高い画素(黒い画素)から輝度値が低い画素(白い画素)に変化する領域であることを表し、符号が「−」の領域は、輝度値が低い画素から輝度値が高い画素に変化する領域であることを表す。従って、図5及び図6に示すz位置Pz1が被検眼Eの最深領域に含まれる位置として特定される。
なお、特定部233は、注目部位に対応する輝度値の変化の仕方に応じて差分プロファイル又は輝度プロファイルを解析して、当該注目部位のz位置を特定することが可能である。例えば、特定部233は、浅いz位置から順番に差分プロファイルを探索し、最初に符号が「−」で閾値以上の差分値の絶対値であるz位置Pz0を、被検眼Eにおいて最も浅い領域の位置として特定することができる。
以上のように機能するデータ処理部230は、例えば、マイクロプロセッサ、RAM、ROM、ハードディスクドライブ、回路基板等を含んで構成される。ハードディスクドライブ等の記憶装置には、上記機能をマイクロプロセッサに実行させるコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。
(ユーザインターフェイス)
ユーザインターフェイス240には、表示部241と操作部242とが含まれる。表示部241は、前述した演算制御ユニット200の表示デバイスや表示装置3を含んで構成される。操作部242は、前述した演算制御ユニット200の操作デバイスを含んで構成される。操作部242には、眼科装置1の筐体や外部に設けられた各種のボタンやキーが含まれていてもよい。また、表示部241は、眼底カメラユニット2の筺体に設けられたタッチパネルなどの各種表示デバイスを含んでいてもよい。
なお、表示部241と操作部242は、それぞれ個別のデバイスとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。その場合、操作部242は、このタッチパネルとコンピュータとを含んで構成される。操作部242に対する操作内容は、電気信号として制御部210に入力される。また、表示部241に表示されたグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)と、操作部242とを用いて、操作や情報入力を行うようにしてもよい。
図7及び図8に、実施形態に係る眼科装置1の動作説明図を示す。図7は、参照光LRと測定光LSとの光路長差調整を行う前にフレーム内に描出された眼底Efの断層像の一例を表す。図8は、参照光LRと測定光LSとの光路長差調整を行った後にフレーム内に描出された眼底Efの断層像の一例を表す。
例えば、図7に示すような描出位置に被検眼Eの最深領域(例えば、RPEなどの眼底Efの深層領域)が描出された断層像が取得されたものとする。このとき、輝度プロファイル生成部231は、上記のように輝度プロファイルを生成する(図5)。演算部232は、上記のように、輝度プロファイルにおいてz方向に隣接する2つの輝度値の差分を順次に求めることにより、差分プロファイルを生成する(図5)。特定部233は、上記のように、被検眼Eの最深領域の位置を特定する。
制御部210は、特定部233により特定された被検眼Eの最深領域がフレーム内の所定のz位置に描出されるように光路長変更部114を制御することにより、参照光LRの光路長と測定光LSの光路長とを相対的に変更する。例えば、記憶部212には、所定の基準z位置に対する複数の最深領域のz位置それぞれに参照光LRと測定長LSとの光路長差調整量が関連付けられた制御情報があらかじめ記憶されている。所定の基準z位置として、参照光LRの光路長が測定光LSの光路長に等しいゼロディレイ位置などがある。制御部210は、特定部233により特定された被検眼Eの最深領域のz位置を取得すると、記憶部212に記憶された制御情報を参照し、当該z位置に関連付けられた光路長調整量を決定し、決定された光路長調整量に基づいて光路長変更部114を制御する。それにより、図8に示すように被検眼Eの最深領域がフレーム内の所定のz位置に描出される断層像が取得される。
なお、記憶部212には、所定の基準z位置に対する複数の最深領域のz位置それぞれに光路長変更部114に対する制御内容が関連付けられた制御情報があらかじめ記憶されていてもよい。この場合、制御部210は、特定部233により特定された被検眼Eの最深領域のz位置を取得すると、記憶部212に記憶された制御情報を参照し、当該z位置に関連付けられた制御内容に基づいて光路長変更部114を制御する。
図2に示すOCTユニット100に含まれる光学系は、実施形態に係る「干渉光学系」の一例である。光路長変更部114のコーナーキューブは、実施形態に係る「参照ミラー」の一例である。光路長変更部114のコーナーキューブを移動する移動機構は、実施形態に係る「移動機構」の一例である。
[動作例]
実施形態に係る眼科装置1の動作について説明する。以下では、被検眼Eの注目部位が眼底Efの断層像における最深領域であるものとする。
図9に、実施形態に係る眼科装置1の動作の一例を示す。図9は、被検眼EのOCT画像と眼底画像とを取得する場合の動作例のフロー図を表す。
(S1)
まず、主制御部211は、撮影光学系30を制御して被検眼Eの前眼部を撮影することにより前眼部像を取得する。
(S2)
主制御部211は、S1において取得された前眼部像に基づいて、上記の光学系駆動部1Aを制御することにより光学系を3次元的に移動して、被検眼Eに対する光学系の位置合わせを行う(x方向、y方向、及びx方向とy方向の双方に直交するz方向)。
(S3)
主制御部211は、あらかじめ決められた初期位置が走査位置になるように光スキャナ42をセットする。
(S4)
主制御部211は、光源ユニット101をオンにして、光スキャナ42を制御することにより光源ユニット101からの光L0に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。画像形成部220は、検出器125による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。
(S5)
主制御部211は、撮影光学系30により得られた前眼部像から網膜のフォーカス方向のアライメントを行う。それにより、OCTユニット100が備える光学系の光軸方向における位置の微調整が可能になる。
(S6)
主制御部211は、被検眼Eの注目部位のフレーム内の描出位置の調整を開始させる。S6以降から、被検眼Eの断層像が反復的に取得され、取得された断層像から輝度プロファイルが生成され、生成された輝度プロファイルに基づいて光路長差調整が反復的に行われる。それにより、被検眼Eの注目部位が所定のz位置に描出された状態が維持される。S6の詳細については、後述する。
(S7)
主制御部211は、検出器125による干渉光の検出結果に基づいて、OCTユニット100が備える光学系の焦点位置を変更する。主制御部211は、例えば、所定の干渉光の検出信号の振幅が最大となるようにレンズ駆動部43Aを制御してOCT合焦レンズ43を光軸方向に移動することにより光学系の焦点位置を変更する。
(S8)
主制御部211は、再び、光スキャナ42を制御することにより光源ユニット101からの光L0に基づく測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを開始させる。画像形成部220は、検出器125による干渉光の検出結果に基づいて眼底EfのOCT画像を形成する。S8では、図8に示すように、被検眼Eの最深領域がフレーム内の所定のz位置に描出されたOCT画像が取得される。
(S9)
主制御部211は、撮影光学系30を制御して被検眼Eの眼底Efを撮影することにより眼底画像を取得する。以上で、眼科装置1の動作は終了する(エンド)。
図10に、図9のS6の動作例のフロー図を示す。
(S21)
図9のS6において、被検眼Eの注目部位のフレーム内の描出位置の調整が開始されると、主制御部211は、図5に示すように輝度プロファイルを輝度プロファイル生成部231に生成させる。輝度プロファイル生成部231は、S4や反復的な測定光LSのスキャンにおける検出ステップにおいて事前に得られた干渉光の検出結果に基づいて生成されたOCT画像を取得する。輝度プロファイル生成部231は、取得されたOCT画像における複数のz位置についてxyスキャン方向に輝度値を積算することにより輝度プロファイルを生成する(輝度プロファイル生成ステップ)。
(S22)
次に、主制御部211は、図5に示すように、S21において生成された輝度プロファイルにおいてz方向に隣接する2つの輝度値の差分を順次に求めることにより演算部232に差分プロファイルを生成させる。
(S23)
主制御部211は、上記のように被検眼Eの最深領域のz位置を特定部233に特定させる。特定部233は、S22において生成された差分プロファイルに基づいて、例えば符号が「+」の差分値のうち絶対値が最大の深さ位置を被検眼Eの最深領域のz位置として特定する(特定ステップ)。
(S24)
主制御部211は、記憶部212に記憶された制御情報を参照し、S23において特定された被検眼Eの最深領域のz位置に関連付けられた制御内容を取得し、取得された制御内容に基づいて参照光LRと測定光LSとの光路長差調整量を決定する。
(S25)
主制御部211は、S24において決定された光路長差調整量に基づいて光路長変更部114を制御して、被検眼Eの最深領域がフレーム内の所定のz位置に描出されるように参照光LRと測定光LSとの光路長差を変更する(光路長差変更ステップ)。例えば、測定光LSで被検眼Eの眼底Efのスキャンを反復的に行い、断層像が取得されたときにS21〜S25を実行して光路長差調整を反復的に行うことが可能である。
[効果]
実施形態に係る眼科装置について説明する。
実施形態に係る眼科装置(1)は、干渉光学系(OCTユニット100に含まれる光学系)と、光路長変更部(光路長変更部41及び114の少なくとも一方)、輝度プロファイル生成部(231)と、制御部(210、主制御部211)とを含む。干渉光学系は、光源(光源ユニット101)からの光(L0)を参照光(LR)と測定光(LS)とに分割し、測定光を被検眼(E)に照射し、被検眼からの測定光の戻り光と参照光との干渉光(LC)を検出する。光路長変更部は、参照光の光路長と測定光の光路長とを相対的に変更する。輝度プロファイル生成部は、干渉光学系による干渉光の検出結果に基づいて干渉光学系の光軸方向(z方向、深さ方向)の輝度プロファイルを生成する。制御部は、輝度プロファイルにおける光軸方向の輝度値の変化(変化方向、変化量)に基づいて光路長変更部を制御する。
このような構成では、干渉光学系により参照光と被検眼を経由した測定光との干渉光の検出結果に基づいて当該干渉光学系の光軸方向の輝度プロファイルを生成し、生成された輝度プロファイルにおける光軸方向の輝度値の変化に基づいて、参照光と測定光との光路長差を変更する。それにより、OCT画像において輝度値が最大となる部位等を特定する必要がなく、被検眼の注目部位の描出位置や計測可能位置を変更することができる。従って、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、被検眼の注目部位に対して描出位置や計測可能位置を変更することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。その結果、OCT計測の深さレンジが広くなった場合であっても、適正な位置で被検眼の注目部位を画像化したり計測したりすることが可能な眼科装置を提供することができる。例えば、いわゆるフルレンジでOCT計測を行った場合であっても、適正な位置で被検眼の注目部位を画像化したり計測したりすることできる。
また、実施形態にかかる眼科装置は、画像形成部(220)を含んでもよい。画像形成部は、干渉光学系による干渉光の検出結果に基づいて被検眼の断層像を形成する。干渉光学系は、光スキャナ(42)を含んでもよい。光スキャナは、光軸方向に交差するスキャン方向(xyスキャン方向)に測定光を偏向する。輝度プロファイル生成部は、断層像における上記の光軸方向の複数の位置(z位置)それぞれについてスキャン方向に輝度値を積算することにより輝度プロファイルを生成することができる。
このような構成によれば、画像形成部により形成された断層像から輝度プロファイルを生成するようにしたので、被検眼の注目部位に対して描出位置や計測可能位置を容易に変更することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置は、特定部(233)を含んでもよい。特定部は、輝度プロファイルにおける輝度値の変化に基づいて被検眼の最深領域の光軸方向における位置を特定する。制御部は、特定部により特定された位置に基づいて光路長変更部を制御することができる。
このような構成によれば、輝度プロファイルにおける輝度値の変化に基づいて被検眼の最深領域の光軸方向における位置を特定するようにしたので、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、被検眼の最深領域に対して描出位置や計測可能位置を変更することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、特定部は、所定の変化方向における輝度値の変化量の絶対値が最大である位置を最深領域の位置として特定してもよい。
このような構成によれば、輝度プロファイルにおいて所定の変化方向に変化量が絶対値が最大である位置を特定するようにしたので、簡素な処理で被検眼の最深領域を特定することが可能になる。それにより、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、簡素な処理で被検眼の最深領域に対して描出位置や計測可能位置を変更することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、制御部は、画像のフレームの所定の範囲内に最深領域が描出されるように光路長変更部を制御してもよい。
このような構成によれば、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、画像のフレームの所望の位置に注目部位が描出されるOCT画像の取得が可能になる。
また、実施形態に係る眼科装置は、演算部(232)を含んでもよい。演算部は、輝度プロファイルにおいて光軸方向に隣接する2つの輝度値の差分を順次に求める。制御部は、演算部により求められた差分を輝度値の変化として求め、求められた差分に基づいて光路長変更部を制御することができる。
このような構成によれば、簡素な差分値の算出により輝度値の変化を特定するようにしたので、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、簡素な処理で被検眼の注目部位に対して描出位置や計測可能位置を変更することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。
また、実施形態に係る眼科装置では、光路長変更部は、参照ミラー(コーナーキューブ)と、移動機構とを含んでもよい。参照ミラーは、参照光の光路に配置され、参照光の光路に沿って移動可能である。移動機構は、参照光の光路に沿って参照ミラーを移動する。制御部は、移動機構を制御することにより参照光の光路長と前記測定光の光路長とを相対的に変更させることができる。
このような構成によれば、簡素な構成及び制御で参照光路長を変更するようにしたので、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、被検眼の注目部位に対して描出位置や計測可能位置の変更が可能な眼科装置の構成及び制御を簡素化することができる。
また、実施形態に係る眼科装置では、干渉光学系は、測定光で被検眼を反復的にスキャンし、制御部は、上記の輝度値の変化に基づいて光路長変更部を反復的に制御してもよい。
このような構成によれば、被検眼の注目部位が所望の深さ位置に描出された状態を維持することが可能な眼科装置を提供することができる。
実施形態に係る眼科装置(眼科装置1)の制御方法は、検出ステップと、輝度プロファイル生成ステップと、光路長差変更ステップとを含む。検出ステップでは、光源(光源ユニット101)からの光(L0)を参照光(LR)と測定光(LS)とに分割し、測定光を被検眼(E)に照射し、被検眼からの測定光の戻り光と参照光との干渉光(LC)を検出する。輝度プロファイル生成ステップでは、干渉光の検出結果に基づいて被検眼の深さ方向(z方向)の輝度プロファイルを生成する。光路長差変更ステップでは、輝度プロファイルにおける深さ方向の輝度値の変化(変化方向、変化量)に基づいて参照光の光路長と測定光の光路長とを相対的に変更する。
このような構成では、干渉光学系により参照光と被検眼を経由した測定光との干渉光を検出し、その検出結果に基づいて当該干渉光学系の光軸方向の輝度プロファイルを生成し、生成された輝度プロファイルにおける光軸方向の輝度値の変化に基づいて、測定光と参照光との光路長差を変更する。それにより、OCT画像において輝度値が最大となる部位等を特定することなく、被検眼の注目部位の描出位置や計測可能位置を変更することができる。従って、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、被検眼の注目部位に対して描出位置や計測可能位置を変更することが可能な眼科装置を提供することができるようになる。その結果、OCT計測の深さレンジが広くなった場合であっても、適正な位置で被検眼の注目部位を画像化したり計測したりすることが可能になる。
また、実施形態に係る眼科装置の制御方法は、特定ステップを含んでもよい。特定ステップでは、輝度値の変化に基づいて被検眼の最深領域の深さ方向の位置を特定する。光路長差変更ステップでは、深さ方向の位置に基づいて、画像のフレームの所定の範囲内に最深領域が描出されるように参照光の光路長と測定光の光路長とを相対的に変更することができる。
このような構成によれば、輝度プロファイルにおける輝度値の変化に基づいて被検眼の最深領域の深さ位置を特定し、特定された深さ位置に基づいて画像のフレームの所定の範囲内に最深領域が描出されるように参照光の光路長と測定光の光路長とを相対的に変更するようにしたので、OCT計測の深さレンジを広くして計測精度が低下した場合でも、画像のフレームの所望の位置に被検眼の最深領域が描出されるOCT画像の取得が可能になる。
<変形例>
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。
上記の実施形態を実現するためのコンピュータプログラムを、コンピュータによって読み取り可能な任意の記録媒体に記憶させることができる。この記録媒体としては、たとえば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記憶媒体(ハードディスク/フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)などを用いることが可能である。