JP6931227B2 - 保湿剤 - Google Patents
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Description
本発明は、保湿剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、食品、樹脂フィルム、コーティング剤などの種々の用途に使用することが期待される保湿剤に関する。
保湿剤は、一般にヒトの皮膚から水分が揮散することを防止し、皮膚に保湿性を付与することを目的として、例えば、皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品などに用いられている。従来、保湿剤には、(ポリ)グリセリンが広く用いられているが(例えば、特許文献1参照)、当該(ポリ)グリセリンが用いられた保湿剤は、その保湿性が周囲の湿度によって影響を受けやすく、皮膚に存在している水分を奪い、皮膚を乾燥させることがある。
近年、人体に対する安全性を高める観点から、動物成分に由来する保湿剤に代わり、植物成分に由来する保湿剤が注目されている。植物成分に由来する保湿剤が使用されている皮膚外用剤組成物として、ポリ−γ−L−グルタミン酸および/またはその塩と、スクワラン、スクワレン、オリーブオイル、セサミオイルおよび椿油からなる群より選ばれた油成分と、尿素および尿素付加体の混合物とを含む皮膚外用剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、前記皮膚外用剤組成物には油成分が用いられていることから、当該皮膚外用剤組成物をヒトの皮膚に適用したときに皮膚がべとつくことがあるため、保湿性を有しつつ、親水性に優れている保湿剤の開発が望まれている。
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、保湿性および親水性に優れた保湿剤を提供することを課題とする。
本発明は、有効成分として式(I):
(式中、R1はメチル基を示す)
で表わされるソルボシド化合物を含有することを特徴とする保湿剤に関する。
で表わされるソルボシド化合物を含有することを特徴とする保湿剤に関する。
本発明によれば、保湿性および親水性に優れた保湿剤が提供される。したがって、本発明の保湿剤は、例えば、皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品、食品、樹脂フィルム、コーティング剤などの種々の用途に使用することが期待される。
本発明の保湿剤は、前記したように、有効成分として式(I):
(式中、R1はメチル基を示す)
で表わされるソルボシド化合物を含有することを特徴とする。
で表わされるソルボシド化合物を含有することを特徴とする。
本発明の保湿剤に用いられているソルボシド化合物は、食用に供されているトロピカルフルーツに含まれている化合物であることから安全性が高いと考えられており、皮膚に対する刺激性が低く、またアレルギー性も低いと考えられている。
さらに、前記ソルボシド化合物は、ヒトの皮膚の表面でバリア機能を形成している細菌叢を壊さず、悪玉菌を選択的に抑制するという特異的な抗菌性を有することが本発明者によって確認されている。
したがって、本発明の保湿剤は、保湿性が要求される幅広い用途のみならず、保湿性および抗菌性の双方が要求される用途、例えば、皮膚外用剤、化粧料、医薬部外品などの用途に使用することが期待されるものである。
式(I)で表わされるソルボシド化合物において、R1はメチル基である。式(I)において、R1としてメチル基以外のアルキル基、例えば、炭素数2〜4のアルキル基などが考えられるが、種々のアルキル基のなかでR1がメチル基である場合に、保湿性に顕著に優れることが本発明者によって見出されている。
ソルボシド化合物は、例えば、インドウオトリギ(学名:Grewia asiatica)などのトロピカルフルーツなどから抽出することによって得ることができる。トロピカルフルーツに含まれているソルボシド化合物としては、例えば、メチル−L−ソルボシドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、ソルボシド化合物は、合成によって調製することができる。ソルボシド化合物を合成によって調製する場合、ソルボシド化合物の原料として、例えば、L−ソルボース、D−ソルボースなどのソルボースを用いることができる。
ソルボースのなかではL−ソルボースは、ヒトの皮膚に対する刺激性が低く、人体に対する安全性が高く、抗菌性を有し、保湿性および水溶性に優れた保湿剤を得る観点から好ましい。原料としてソルボースを用いる場合、当該ソルボースとアルコールとを反応させることにより、ソルボシド化合物を得ることができる。
アルコールは、式(I)に示されている−OR1(アルコキシ基)を形成するものである。本発明においては、アルコールとしてメタノールが用いられる。メタノールには、本発明の目的が阻害されない範囲内で、例えば、他のアルコールをはじめ、水、酢酸エチルなどのアルコール以外の溶媒が含まれていてもよい。
ソルボースとメタノールとを反応させる際、ソルボースとメタノールとが化学量論的に等モル比で反応するが、ソルボースを効率よくグリコシド化させることによってソルボシド化合物を得る観点から、メタノールの量は、ソルボースに対して過剰量であることが好ましく、ソルボース100gあたりのメタノールの量は、300〜2000mL程度であることがより好ましい。
ソルボースとメタノールとの反応は、例えば、ソルボースとメタノールとを混合することによって容易に行なうことができる。ソルボースとメタノールとの反応温度は、特に限定されず、通常、好ましくは0〜120℃、より好ましくは10〜110℃、さらに好ましくは15〜100℃である。
なお、原料のソルボースは、メタノールに対して難溶性を呈するのに対し、生成するソルボシド化合物は、メタノールに対して可溶性を呈する。したがって、ソルボースの量が減少することは、ソルボースが、その量が減少した分だけメタノールと反応し、ソルボシド化合物が生成していることを示唆するものと考えられる。したがって、ソルボシド化合物の生成は、ソルボースの量の減少によって容易に把握することができる。ソルボースとメタノールとの反応の終点は、ソルボースの量がほとんど減少しなくなった時点とすることができる。なお、ソルボシド化合物が生成していることは、例えば、1H−NMR(核磁気共鳴)による分析、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)による分析などによって確認することができる。
ソルボースとメタノールとを反応させる際には、両者の反応を促進させるために、酸触媒を用いることが好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸などの無機酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、フルオロスルホン酸などの有機酸、強酸性イオン交換樹脂、ゼオライトなどの固体酸触媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。ソルボース100質量部あたりの酸触媒の量は、0.01〜20質量部程度であることが好ましい。酸触媒は、メタノールにあらかじめ添加しておいてもよく、ソルボースとメタノールの混合物に添加してもよい。
以上のようにして式(I)で表わされるソルボシド化合物を得ることができる。前記で得られたソルボシド化合物は、ソルボシド化合物のメタノール溶液であり、そのままの状態で用いることができるが、必要により、当該溶液からメタノールおよび酸触媒を常法で除去することにより、精製してもよい。
式(I)で表わされるソルボシド化合物は、具体的にはメチル−L−ソルボキシドであり、種々の菌に対する抗菌性に優れている。前記ソルボシド化合物は、本発明者の研究によれば、アクネ菌、コリネバクテリウム、トリコフィトンなどの菌に対して特異的に抗菌性に優れ、皮膚を保護する性質を有する常在菌に対して抗菌性をほとんど呈さず、常在菌による皮膚のバリア機能を高めるという優れた性質を有することが確認されている。前記ソルボシド化合物が呈する静菌効果は、病原性菌に対して強いが、常在菌などの病原性菌以外の菌に対して弱いので、前記ソルボシド化合物は、細菌叢を破壊しがたいと考えられることから、例えば、皮膚バリア機能を保持するが、善玉菌を除去しないという特異的な性質を有するものと考えられる。
本発明の保湿剤におけるソルボシド化合物の含有率は、当該保湿剤の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、その用途などに応じて適宜決定することが好ましい。保湿剤におけるソルボシド化合物の含有率は、通常、1〜100質量%である。本発明の保湿剤を例えば化粧品、医薬品、医薬部外品などの用途に用いる場合には、当該用途における保湿剤に含まれているソルボシド化合物の含有率が0.1〜0.5質量%程度であっても優れた保湿性を当該用途に付与することができる。
なお、本発明の保湿剤には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、例えば、安定化剤、pH調整剤、保存剤、分散剤、界面活性剤、着色剤、香料などの添加剤が含まれていてもよい。
以上説明したように、本発明の保湿剤に用いられるソルボシド化合物は、安価で供給が安定しているL−ソルボースなどのソルボースを原料として用いることによって合成することができるので、安定して供給することができる。
また、本発明の保湿剤に用いられるソルボシド化合物は、食用天然物に含まれている成分であることから人体に対する安全性が高いのみならず、人体に対する安全性が高いソルボシドとメタノールとの縮合体であり、当該縮合体は、酸、酵素などによって分解され、分解されると元の安全性の高いL-ソルボースに戻るという性質を有するとともに、刺激性が低いという優れた性質を有する。
本発明の保湿剤は、ソルボシド化合物が有効成分として用いられているので、ヒトの皮膚に対して低刺激性を有し、保湿性および人体に対する安全性に優れている。また、本発明の保湿剤は、保湿性および抗菌性を併せ持つことから、例えば、顔ニキビ原因菌(アクネ菌など)、腋臭・加齢臭原因菌(コリネバクテリウムなど)、水虫菌(トリコフィトンなど)などの菌に対して抗菌(静菌)作用を示すことから、皮膚に対する保湿剤、防臭剤などの化粧品、医薬品、医薬部外品、食品、樹脂フィルム、コーティング剤、ドライアイ用剤、ドライマウス用剤などの種々の用途に使用することが期待される。より具体的には、本発明の保湿剤は、化粧品に関しては、例えば、ニキビ予防用ローション、防臭スプレー、保湿用パッド、保湿クリーム、フケ症改善用ヘアトニック、肌荒れ予防用お尻拭きシート、褥瘡の悪化防止介護用シートなどの用途に用いることが期待されるものである。
本発明の保湿剤に用いられるソルボシド化合物は、水溶性を呈することから、例えば、イオン交換水などの精製水に溶解させ、得られたソルボシド化合物の水溶液を保湿剤として用いることができる。また、本発明の保湿剤に用いられるソルボシド化合物は、メタノール、エタノールなどのアルコールに対する溶解性を有することから、例えば、ソルボシド化合物をエタノールなどのアルコールと精製水との混合溶媒に溶解させて得られたソルボシド化合物溶液を保湿剤として用いることができる。
本発明の保湿剤は、例えば、液体、クリーム、ゲル、固体などの剤型で用いることができるが、本発明は、当該剤型の種類によって限定されるものではない。
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
L−ソルボース〔ナカライテスク(株)製〕5.0g、酸触媒として10%塩酸1滴(約0.3mL)およびメタノール50mLを500mL容のフラスコ内に入れ、15〜100℃の温度で10時間撹拌することにより、L−ソルボースとメタノールとを反応させ、式(I)において、R1がメチル基であるソルボシド化合物のメタノール溶液を得た。前記で得られたソルボシド化合物が、式(I)において、R1がメチル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
L−ソルボース〔ナカライテスク(株)製〕5.0g、酸触媒として10%塩酸1滴(約0.3mL)およびメタノール50mLを500mL容のフラスコ内に入れ、15〜100℃の温度で10時間撹拌することにより、L−ソルボースとメタノールとを反応させ、式(I)において、R1がメチル基であるソルボシド化合物のメタノール溶液を得た。前記で得られたソルボシド化合物が、式(I)において、R1がメチル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
前記で得られたソルボシド化合物のメタノール溶液からメタノールおよび酸触媒(塩酸)を留去した後、イオン交換水に溶解させることにより、25℃の温度で30%ソルボシド化合物水溶液を調製した。
前記で得られたソルボシド化合物水溶液にさらに脱色、脱塩およびクロマトグラフィーによる分離を行ない、得られたソルボシド化合物を乾燥させてソルボシド化合物の固形分を回収し、当該ソルボシド化合物の固形分を保湿剤として用いた。
比較例1
L−ソルボース〔ナカライテスク(株)製〕をそのままの状態で保湿剤として用いた。
L−ソルボース〔ナカライテスク(株)製〕をそのままの状態で保湿剤として用いた。
比較例2
実施例1において、メタノールの代わりにエタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソルボシド化合物の水溶液を調製した。得られたソルボシド化合物の水溶液に含まれているソルボシド化合物が、式(I)において、R1がエチル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
実施例1において、メタノールの代わりにエタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソルボシド化合物の水溶液を調製した。得られたソルボシド化合物の水溶液に含まれているソルボシド化合物が、式(I)において、R1がエチル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
前記で得られたソルボシド化合物の水溶液にさらに脱色、脱塩およびクロマトグラフィーによる分離を行ない、得られたソルボシド化合物を乾燥させてソルボシド化合物の固形分を回収し、当該ソルボシド化合物の固形分を保湿剤として用いた。
比較例3
実施例1において、メタノールの代わりに1−プロパノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソルボシド化合物の水溶液を調製した。得られたソルボシド化合物の水溶液に含まれているソルボシド化合物が、式(I)において、R1が1−プロピル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
実施例1において、メタノールの代わりに1−プロパノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソルボシド化合物の水溶液を調製した。得られたソルボシド化合物の水溶液に含まれているソルボシド化合物が、式(I)において、R1が1−プロピル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
前記で得られたソルボシド化合物の水溶液にさらに脱色、脱塩およびクロマトグラフィーによる分離を行ない、得られたソルボシド化合物を乾燥させてソルボシド化合物の固形分を回収し、当該ソルボシド化合物の固形分を保湿剤として用いた。
比較例4
実施例1において、メタノールの代わりに1−ブタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソルボシド化合物の水溶液を調製した。得られたソルボシド化合物の水溶液に含まれているソルボシド化合物が、式(I)において、R1が1−ブチル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
実施例1において、メタノールの代わりに1−ブタノールを用いたこと以外は、実施例1と同様にしてソルボシド化合物の水溶液を調製した。得られたソルボシド化合物の水溶液に含まれているソルボシド化合物が、式(I)において、R1が1−ブチル基であるソルボシド化合物であることは、1H−NMRによる分析およびHPLCによる分析によって確認した。
前記で得られたソルボシド化合物の水溶液にさらに脱色、脱塩およびクロマトグラフィーによる分離を行ない、得られたソルボシド化合物を乾燥させてソルボシド化合物の固形分を回収し、当該ソルボシド化合物の固形分を保湿剤として用いた。
比較例5
糖類としてD−マンニトールを用い、当該D−マンニトールをそのままの状態で保湿剤として用いた。
糖類としてD−マンニトールを用い、当該D−マンニトールをそのままの状態で保湿剤として用いた。
次に、実施例1および各比較例で得られた保湿剤の物性として保湿性を以下の方法に基づいて評価した。
〔保湿性の評価方法〕
保湿剤5.0gをシャーレに入れ、当該シャーレを室温が40℃で相対湿度が75%である恒温恒湿器内に入れ、恒温恒湿器内で吸湿させる前のシャーレの質量Aおよび当該恒温恒湿器内で所定時間で吸湿させた後のシャーレの質量Bを測定し、式:
[保湿性]=[(質量B−質量A)÷5.0]×100
に基づいて、保湿剤の保湿性を評価した。その結果を表1に示す。
保湿剤5.0gをシャーレに入れ、当該シャーレを室温が40℃で相対湿度が75%である恒温恒湿器内に入れ、恒温恒湿器内で吸湿させる前のシャーレの質量Aおよび当該恒温恒湿器内で所定時間で吸湿させた後のシャーレの質量Bを測定し、式:
[保湿性]=[(質量B−質量A)÷5.0]×100
に基づいて、保湿剤の保湿性を評価した。その結果を表1に示す。
表1に示された結果から、実施例1で得られた保湿剤は、経時とともに吸湿量が増加し、22時間経過後には初期状態から質量が25%以上増加していることから、吸湿した水分を保持しているので保湿性に優れていることがわかる。これに対して、各比較例で得られた保湿剤は、いずれも、ほとんど吸湿しておらず、比較例2および比較例4で得られた保湿剤は、経時とともにその質量が減少していることから、保湿性に劣っていることがわかる。
実施例1で得られた保湿剤を25℃のイオン交換水に溶解させたところ、50%ソルボシド化合物の水溶液を容易に調製することができた。このことから、実施例1で得られた保湿剤は、水溶性に優れていることがわかる。
次に、実施例1で得られた保湿剤の抗菌性を以下の方法に基づいて評価した。
〔抗菌性の評価方法〕
実施例1で得られた保湿剤をイオン交換水に溶解させ、ソルボシド化合物の含有率が0.5質量%である水性保湿剤を調製した。前記で得られた水性保湿剤を用い、各種微生物の生育に対する抗菌性を以下の方法に基づいて調べた。
実施例1で得られた保湿剤をイオン交換水に溶解させ、ソルボシド化合物の含有率が0.5質量%である水性保湿剤を調製した。前記で得られた水性保湿剤を用い、各種微生物の生育に対する抗菌性を以下の方法に基づいて調べた。
培地を分注した直径18mmの試験管内に、表2に示すいずれかの菌を接種することにより、培養を開始した。菌の生育の度合いは、可視分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製、商品名:SPECTRONIC200)を用い、波長600nmにて測定するとともに目視にて確認した。
培地には、菌体が十分に生育することができるD−グルコースを含む培地を用いた。培養に供した菌体の種類によっては、好気性、嫌気性、最適培養温度、最適pH領域などが異なるが、当該培養では、各菌体に最も適した条件で当該菌体を培養した。なお、培養時には、培養温度を28〜36℃に設定し、好気性菌は振盪器で回転速度150rpmにて振盪し、嫌気性菌は樹脂製容器内に脱酸素剤〔三菱ガス化学(株)製、商品名:アネロパック〕を入れ、静置培養した。
次に、前記で得られた培養液を用い、以下の方法に基づいて菌の生育度および生育阻害効果を調べた。生育阻害効果を表2に示す。
(菌の生育度)
各条件での菌の生育度(菌の濃度)を濁度法によって求めた。すなわち、分光光度計〔サーモ・サイエンティフィック社製、商品名:SPECTRONIC200〕を用い、試験管内で生育した菌の培養液の波長600nmにおける吸光度を測定し、当該吸光度の値を菌の生育度とした。
各条件での菌の生育度(菌の濃度)を濁度法によって求めた。すなわち、分光光度計〔サーモ・サイエンティフィック社製、商品名:SPECTRONIC200〕を用い、試験管内で生育した菌の培養液の波長600nmにおける吸光度を測定し、当該吸光度の値を菌の生育度とした。
(生育阻害効果)
前記菌の生育度の測定方法に準じて波長600nmにおける吸光度を測定し、
式:[生育阻害率(%)]=100−{[L−ソルボシドを添加したときの吸光度]÷[L−ソルボシドが添加されていないときの吸光度]×100
に基づいて各菌株に対する生育阻害率を求めた。
前記菌の生育度の測定方法に準じて波長600nmにおける吸光度を測定し、
式:[生育阻害率(%)]=100−{[L−ソルボシドを添加したときの吸光度]÷[L−ソルボシドが添加されていないときの吸光度]×100
に基づいて各菌株に対する生育阻害率を求めた。
次に、前記で求められた生育阻害率を用い、以下の評価基準に基づいて各菌株に対する生育阻害効果を評価した。その結果を表2に示す。
[評価基準]
◎:生育阻害率が70%以上
〇:生育阻害率が60%以上70%未満
△:生育阻害率が50%以上60%未満
×:生育阻害率が50%未満
◎:生育阻害率が70%以上
〇:生育阻害率が60%以上70%未満
△:生育阻害率が50%以上60%未満
×:生育阻害率が50%未満
表2に示された結果から、実施例1で得られた保湿剤は、微生物に対する生育抑制効果に優れていることがわかる。また、実施例1で得られた保湿剤は、ラクトバシルス、プロピオニバクテリウム(ニキビ菌)、コリネバクテリウム(加齢臭原因菌)などの菌体に対して特異的に抗菌性に優れ、皮膚を保護する性質を有する常在菌に対し、抗菌性をほとんど呈さないことから、常在菌による皮膚のバリア機能を高めることに対して好ましいことがわかる。
次に、実施例1で得られた保湿剤を用い、前記と同様にしてプロピオニバクテリウム(ニキビ菌)、コリネバクテリウム(加齢臭原因菌)、トリコフィトン(水虫菌)に対し、抗菌性の評価を調べた。その結果、実施例1で得られた保湿剤は、いずれも、抗菌スペクトルが異なるが、プロピオニバクテリウム(ニキビ菌)、コリネバクテリウム(加齢臭原因菌)、トリコフィトン(水虫菌)などの菌体に対し、強力な生育阻害作用を有するという特異的効果が奏されることが確認された。
これらの効果は、ソルボースでは発現されなかったため、当該ソルボースから予期することができない顕著に優れた効果であることから、本発明の保湿剤によって発現される斬新な効果であることがわかる。
また、一般に、生育の阻害(抗菌)作用は、滅菌、殺菌、静菌などに分けられるが、本発明の保湿剤を用いた場合には、多くの菌が培養の初期で抑制されるが、長時間の培養により、最終的に菌が生育していた。このことから、本発明の保湿剤を用いることにより、菌の生育が遅延されることから、抗菌の種類は静菌に帰属するものであることが認められた。
次に、実施例1で得られた保湿剤にD−グルコース0.5質量%およびペプトン1.0質量%を含有させた溶液またはコントロールとしてD−グルコース0.5質量%およびペプトン1.0質量%のみを含有する水溶液を用い、ニキビの原因菌とされているプロピオニバクテリウム・アクネス(ATCC6919)を用いて37℃の温度で55時間培養を行なった後、前記と同様にして抗菌性の評価を行なった。
その結果、前記保湿剤では、生育度(波長:660nm)が0.12であり、生育阻害率が89%であるのに対し、コントロールでは、生育度(波長:660nm)が1.05であり、実施例1で得られた保湿剤は、コントロールと対比して、生育阻害率が格段に高く、しかも目視による観察において菌の繁殖が認められなかったことから、菌の生育を完全に抑制するものであることがわかる。
以上の結果から、本発明の保湿剤は、ヒトの皮膚に対して低刺激性を有し、抗菌性および人体に対する安全性に優れており、例えば、顔ニキビ原因菌(アクネ菌など)、背中ニキビ・フケ原因菌(マラセチアなど)、腋臭・加齢臭原因菌(コリネバクテリウムなど)などの菌に対して抗菌(静菌)作用を示すことから、皮膚に対する保湿剤、防臭剤などの化粧品、医薬品、医薬品および医薬部外品をはじめ、食品、樹脂フィルム、コーティング剤などの用途に使用することが期待される。
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