JP6929759B2 - トナー - Google Patents
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Description
求められている具体的トナーとしては、メンテナンスフリー対応策として、サービスマンによる現像剤の交換頻度を抑えるために、長期の画像出力においても劣化しにくいトナーや、省エネルギー対応策として、定着工程での消費電力を低下させるために、より低い温度で定着できるトナーが求められている。
そこで、長期の画像出力においても劣化にしにくいトナーとして、トナー表面に大粒径の無機微粒子を添加し、スペーサー効果を発現させる提案(特許文献1)や、ゴム弾性を有し、低いガラス転移温度の樹脂である熱可塑性エラストマー樹脂を用いる提案(特許文献2)や、ポリエチレンなどの熱可塑性エラストマー樹脂を用いる提案(特許文献3)がなされている。
一方、特許文献2に記載のトナーは、低いガラス転移温度であるため、優れた低温定着が可能となっている。さらには長期の画像出力においても、ゴム弾性により無機微粒子の埋没が抑制され、トナーの流動性や付着性が担保されている。しかし、ゴム弾性が強いが故に、トナー表面に付着されている無機微粒子が遊離しやすく、その無機微粒子がクリーニング不良を招き、帯電部材や紙面上に縦スジ状の汚れを発生させるため、やはり帯電部材や静電潜像担持体の交換等のメンテナンスが必要になる場合があった。
また、特許文献3に記載のトナーは、熱可塑性エラストマーのポリエチレンを用いているものの、ポリエチレンをコアとして、非晶性樹脂によるシェル化しているため、前記トナーと同様に無機微粒子がトナー表面に埋没し、転写効率が低下し、画質濃度が低下するため、やはり現像剤の交換等のメンテナンスが必要になる場合があった。さらに、実施例を顧みると、シェル層の膜厚が400nm程度と推測され、前記に挙げられた大粒径の無機微粒子を添加しても、無機微粒子の埋没の問題を解消できる構成ではなかった。また、400nm以上の粒径の無機微粒子を添加することで、無機微粒子の埋没の問題は解消できるものの、曲率が小さくなり、スペーサー効果が得られなかった。
以上のことから、無機微粒子の遊離抑制と埋没抑制はトレードオフ関係にあり、このトレードオフ関係を脱却し、優れた低温定着性を示した上で、長期間の画像出力において優れた転写性とクリーニング性を維持できるトナーの開発が急務となっている。
前記樹脂1の、超微小硬度測定装置によって50μN荷重をかけた際の変位hコアが、300nm以上500nm以下であり、かつ、塑性変形率Hコアが、1%以上30%以下であり、
前記非晶性樹脂2のTgが、50℃以上70℃以下であり、
前記非晶性樹脂2の、超微小硬度測定装置によって50μN荷重をかけた際の変位hシェルが、50nm以上100nm以下であり、かつ、塑性変形率Hシェルが、40%以上90%以下であり、
前記無機微粒子の平均粒径D無機微粒子が、90nm以上300nm以下であり、
前記シェルの平均膜厚sシェルおよび前記平均粒径D無機微粒子が、下記式(1)を満たし、
0.3≦sシェル/D無機微粒子≦0.9 (1)
前記トナー粒子の表面に露出している無機微粒子の高さが、20nm以上100nm以下であることを特徴とするトナーに関する。
前記樹脂1の、超微小硬度測定装置によって50μN荷重をかけた際の変位hコアが、300nm以上500nm以下であり、かつ、塑性変形率Hコアが、1%以上30%以下であり、
前記非晶性樹脂2のTgが、50℃以上70℃以下であり、
前記非晶性樹脂2の、超微小硬度測定装置によって50μN荷重をかけた際の変位hシェルが、50nm以上100nm以下であり、かつ、塑性変形率Hシェルが、40%以上90%以下であり、
前記無機微粒子の平均粒径D無機微粒子が、90nm以上300nm以下であり、
前記シェルの平均膜厚sシェルおよび前記平均粒径D無機微粒子が、下記式(1)を満たし、
0.3≦sシェル/D無機微粒子≦0.9 (1)
前記トナー粒子の表面に露出している無機微粒子の高さが、20nm以上100nm以下であることを特徴とする。
0.3≦sシェル/D無機微粒子≦0.9 (1)
本発明におけるエステル基含有オレフィン系共重合体は、エステル基含有オレフィン系共重合体の質量の総和をZ1、前記式(2)、前記式(3)、前記式(4)で示されるユニットの質量をそれぞれl、m、nとする。樹脂成分中に含有される前記エステル基含有オレフィン系共重合体の(l+m+n)/Z1の値は0.80以上であることが低温定着性の観点から好ましく、0.95以上であることがより好ましく、1.00であることがさらに好ましい。
エステル基濃度(単位:%)=[(N×44)/数平均分子量]×100
(ここで、Nはエステル基含有オレフィン系共重合体の1分子当りのエステル基数の平均であり、44はエステル基[−C(=O)O−]の式量である。数平均分子量は、エステル基含有オレフィン系共重合体の数平均分子量である。)
本発明におけるカルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体は、前記式(2)で示されるユニットY1に酸基を有する成分をランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合された樹脂、およびそれらの樹脂を高分子反応により改変させたものをさす。共重合される成分としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、スルホン酸エチルなどが挙げられるが、前記の通り、アクリル酸またはメタクリル酸であることが、低温定着性の観点から好ましい。また、物性に影響しない程度であれば、前記式(2)で示されるユニットY1や前記酸基以外のユニットを含んでもよく、前記式(2)で示されるユニットY1や前記酸基以外のユニットの含有量としては、酸基含有オレフィン系共重合体の全質量に対し、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、実質的に0質量%であることが、低温定着性の観点からさらに好ましい。また、低温定着性の観点から、前記式(2)で示されるユニットY1は、融点を低く設計できるためポリエチレンが好ましい。
dp=λ/(2πn1)×[sin2θ−(n1/n2)2]-1/2
dp:にじみ込み深さ
n1:試料の屈折率(本発明では1.5としている)
n2:ATR結晶の屈折率(ATR結晶がGeの場合の屈折率;4.0、ATR結晶がKRS5の場合の屈折率;2.4)
θ:入射角
本発明における非晶性樹脂2にポリエステル樹脂を使用する場合は、以下の構造が挙げられる。
本発明におけるコアを構成する樹脂1は、前記エステル基含有オレフィン系共重合体や前記カルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系有共重合体以外に、他の重合体を併用してもよい。具体的には、下記の重合体などを用いることが可能である。ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
本発明におけるトナー粒子は、離型剤としてシリコーンオイルを含有することが好ましい。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等を用いることができる。この中でも、ジメチルシリコーンオイルが、耐ホットオフセットの観点から好ましい。シリコーンオイルがジメチルシリコーンオイルである場合、エステル基含有オレフィン系共重合体及び酸基含有オレフィン系共重合体との極性差が大きくなるため、定着時にシリコーンオイルが染み出しやすく、定着フィルムと画像上のトナー層との間に、シリコーンオイルの界面を形成し泣き別れるため、耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
本発明におけるトナー粒子は、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素化合物を、樹脂成分の総量100質量部に対して1質量部以上40質量部以下含有することが低温定着性の観点から好ましい。脂肪族炭化水素化合物は加熱するとエステル基含有オレフィン系共重合体を可塑化することができる。そのために、トナー中に脂肪族炭化水素化合物を含有させることで、トナーを加熱定着時にマトリックスを形成しているエステル基含有オレフィン系共重合体が可塑化し、低温定着性が良化する。さらに、融点が50℃以上100℃以下の脂肪族炭化水素化合物はエステル基含有オレフィン系共重合体の核剤としても作用する。そのために、エステル基含有オレフィン系共重合体のミクロな運動性が抑制され帯電維持性が良化する。脂肪族炭化水素化合物は、樹脂成分の総量100質量部に対して10質量部以上30質量部以下含有されることが低温定着性と帯電維持性の観点からより好ましい。
本発明におけるトナー粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
本発明における無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
本発明におけるトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、ドット再現性をより向上させるために、また、長期にわたり安定した画像を供給するために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることもできる。
本発明のトナー粒子は、任意の方法で製造することができるが、水系媒体中にて製造されるトナー粒子であることが好ましい。その理由は、水系媒体中で製造することにより、本発明のトナー粒子のようなカルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体を含有する場合には、トナー粒子の表面に酸基含有オレフィン系共重合体が配向しやすくなる。その結果、優れた低温定着性を示しつつ、長期間の画像出力において優れた転写性とクリーニング性を維持できる。更に後述の乳化凝集法で製造される乳化凝集トナーであることが、転写性の観点からより好ましい。その理由は、トナー粒子の凝集時から、多価金属イオンとカルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体の酸基との塩形成が起こるため、トナー表層に微分散した疎水性と親水性のドメインマトリックスを形成させることができるからである。その結果、摩擦帯電による電荷の局在化を抑制でき、中間転写体とトナーとの静電付着力を弱めることができるため、優れた転写性が得られる。
乳化凝集法とは、目的の粒子径に対して、十分に小さい、トナーの構成材料から成る微粒子の水系分散液を前もって準備し、その微粒子を水系媒体中でトナーの粒子径になるまで凝集し、加熱により樹脂を融着させてトナーを製造する方法である。
(樹脂微粒子分散液)
樹脂微粒子分散液は、公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。公知の方法としては、例えば、乳化重合法、自己乳化法、有機溶剤に溶解させた樹脂溶液に水系媒体を添加していくことで樹脂を乳化する転相乳化法、又は、有機溶剤を用いず、水系媒体中で高温処理することで強制的に樹脂を乳化する強制乳化法が挙げられる。
必要に応じて用いられる着色剤微粒子分散液は、以下に挙げる公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。
可塑剤微粒子分散液は、以下に挙げる公知の方法により調製できるが、これらの手法に限定されるものではない。
シリコーンオイル微粒子分散液は、コアを構成する樹脂1とシリコーンオイルとを混合した複合微粒子分散液として作製することがより好ましい。これは、トナー中のシリコーンオイル含有量を高めつつ、トナー表面のシリコーンオイル量を適正な範囲にしやすいため、転写効率の観点から好ましい。
混合工程では、結着樹脂微粒子分散液、可塑剤微粒子分散液、シリコーン化合物微粒子分散液、及び必要に応じて着色剤微粒子分散液を混合した混合液を調製する。ホモジナイザー、及びミキサーのような公知の混合装置を用いて行うことができる。
凝集工程では、混合工程で調製された混合液中に含まれる微粒子を凝集し、目的とする粒径の凝集体を形成させる。このとき、凝集剤を添加混合し、必要に応じて加熱及び/又は機械的動力を適宜加えることにより、樹脂微粒子、必要に応じて可塑剤微粒子、シリコーン化合物微粒子、及び着色剤微粒子が凝集した凝集体を形成させる。コアシェル構造を形成させる場合、非晶性樹脂2の微粒子分散液以外を混合し凝集させた後に、非晶性樹脂2の微粒子分散液を添加し凝集させる方法が好ましい。
融合工程においては、凝集工程で得られた凝集体を含む分散液に、凝集工程と同様の撹拌下で、凝集停止剤が添加される。凝集停止剤としては、界面活性剤の酸性極性基を解離側へ平衡を移動させ、凝集粒子を安定化する塩基性化合物が挙げられる。また、界面活性剤の酸性極性基と凝集剤である金属イオンとのイオン架橋を部分的に解離し、金属イオンと配位結合を形成させることで、凝集粒子を安定化するキレート剤などが挙げられる。これらのうち、凝集停止の効果がより大きいキレート剤が好ましい。
冷却工程においては、融合工程で得られたトナー粒子を含む分散液の温度を、結着樹脂の結晶化温度及び/またはガラス転移温度より低い温度まで冷却する工程である。冷却を結晶化温度及び/またはガラス転移温度より低い温度まで行わないと、粗大粒子が発生してしまう。具体的な冷却速度は0.1〜50℃/分である。
金属イオンに対してキレート能を有するキレート化合物を添加により除去される金属除去工程を有すること好ましい。これにより、コア表層の多価金属イオンとカルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体の酸基との塩の濃度が最適に制御することができるため、転写性の観点から好ましい。キレート化合物としては、公知の水溶性キレート剤であれば特に限定されず、前記のキレート剤が使用できる。金属除去性能は、温度に非常に敏感であるため、40℃以上60℃以下で行うことが好ましく、50℃で行うことがより好ましい。
洗浄工程においては、冷却工程で得られたトナー粒子を、洗浄、ろ過、繰り返すことによりトナー粒子中の不純物を除去することができる。具体的にはエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)及びそのNa塩などのキレート剤を含有した水溶液を用いてトナー粒子を洗浄し、さらに純水で洗浄することが好ましい。純水での洗浄はろ過を複数回繰り返すことによりトナー粒子中の金属塩や界面活性剤などを除くことができる。ろ過の回数は3〜20回が製造効率の点から好ましく、3〜10回がより好ましい。
有機溶剤と接触させる工程および分離工程においては、必要に応じて、洗浄工程で得られたトナー粒子を、有機溶剤と接触させ、分離することにより、有機溶剤と親和性の高い低分子量のシリコーン化合物が洗浄され、分子量分布がシャープなシリコーン化合物の薄膜がトナー表面に形成させることができる。用いられる有機溶剤は、従来の離型剤を洗浄するような溶剤とは異なり、むしろシリコーン化合物との親和性がある一定値以上低いことが重要である。親和性が高すぎると、離型剤であるシリコーン化合物をトナー粒子から引き抜きすぎてしまい、定着分離性が悪化してしまう。従って、本発明の有機溶剤とシリコーン化合物との親和性を制御することが重要である。具体的な有機溶剤としては、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、及びこれらの混合物などが挙げられる。
乾燥工程においては、上記工程で得られたトナー粒子の乾燥を行う。
外添工程においては、必要に応じて、乾燥工程で得られたトナー粒子に無機微粒子が外添処理される。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム等の無機微粒子や、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂微粒子を、乾燥状態で剪断力を印加して添加することが好ましい。
樹脂1及び非晶性樹脂2の50μN荷重をかけた際の変位と塑性変形率の測定は、超微小押し込み硬さ試験機「ENT1100a」(エリオニクス製)にて測定を行った。
荷重:50μN
分割数:1000回
ステップインターバル:50msec
圧子:50μm平面圧子
塑性変形率H={変位x/変位h}×100
シェルの平均膜厚は、トナー粒子の断面の形態を測定することによって求めることができる。トナー粒子の断面の形態を測定する具体的方法としては、まず、光硬化性のエポキシ樹脂中にトナー粒子を十分分散させた後、紫外線を照射してエポキシ樹脂を硬化さる。得られた硬化物を、ダイヤモンド歯を備えたミクロトームを用いて切断し、薄片状のサンプルを作製する。該サンプルに四酸化ルテニウムを用い染色を施した後、透過電子顕微鏡(TEM)(HITACHI社製 H7500)を用い、加速電圧120kVの条件でトナーの断層形態を観察する。前記した観察方法において、四酸化ルテニウムによりトナー粒子の非晶部が強く染色される。その結果、本発明における非晶性樹脂を主成分とするシェル部分が染色され、染色されていない結晶性樹脂を主成分とするコア部分がコントラストとして観察可能となる。尚、観察倍率は20000倍とした。また、上記写真撮影により得られた画像は、インターフェースを介して、600dpiで読み取り、画像解析装置WinROOFVersion5.0(マイクロソフト社製−三谷商事)に導入した。得られたTEM写真をもとに、トナー粒子の断面においてトナー粒子の表面同士を直線で結んだときに最も長い直線をトナー粒子の長軸とし、その長さを長軸直径R(nm)とする。長軸上における二つのコア/シェル界面間の長さをr(nm)としたときに、(R−r)/2(nm)をシェルの膜厚sシェルとした。さらにこの測定をトナー100個について行い、その平均値をシェル平均膜厚sシェルとした。
トナーを試料用板上に載せ、体積平均粒径に近い粒径を有するものを選び出して、バイオレットカラーレーザー顕微鏡(キーエンス社製、機種名「VK−9500」)を用いて、トナーの粒子表面4μmについて、粗さ曲線を測定した。測定は、レンズ倍率150倍、光学ズーム20倍、ピッチ0.05μm、曲率0.08mm以上カットオフの条件で行い、三次元表面形状解析ソフトウェア(三谷商事社製、商品名「SurftopEye」)を用いて、算術平均粗さRaを求めた。100個のトナー粒子について、それぞれRaを求め、その平均値をトナー粒子の表面に露出している無機微粒子の高さとした。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径は、走査型電子顕微鏡でトナー粒子表面に存在する無機微粒子を観察して求める。走査型電子顕微鏡としては、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S−4800(日立製作所製)を用いる。S−4800の画像撮影条件は以下の通りである。なお、予めエネルギー分散型X線分析装置(EDAX社製)による元素分析を行い、それぞれの粒子がシリカ微粒子、酸化チタン微粒子であることを確認した上で測定を行う。
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径の算出は、S−4800の反射電子像観察により得られた画像を用いて行う。反射電子像は二次電子像と比べて無機微粒子のチャージアップが少ないため、無機微粒子の粒径を精度良く測定することができる。S−4800の筐体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S−4800の「PCSTEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20〜40μAであることを確認する。試料ホルダをS−4800筐体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[0.8kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[3.0mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を100000(100k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせて、粒径を測定する。トナー粒子表面上の少なくとも300個の無機微粒子について粒径を測定して、平均粒径を求める。
FT−IRスペクトルは、ユニバーサルATR測定アクセサリー(Universal ATR Sampling Accessory)を装着したフーリエ変換赤外分光分析装置(Spectrum One:PerkinElmer社製)を用い、ATR法で測定する。具体的な測定手順は以下の通りである。
Range
Start:4000cm-1
End:600cm-1(GeのATR結晶)、400cm-1(KRS5のATR結晶)
Duration
Scan number:16
Resolution:4.00cm-1
Advanced:CO2/H2O補正あり
(1)GeのATR結晶(屈折率=4.0)を装置に装着する。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定する。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定する。
(4)トナー粒子をATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(5)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(6)サンプルを測定する。
(7)得られたFT−IRスペクトルを、Automatic Correctionでベースライン補正をする。
(8)1680cm-1以上1720cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出し、カルボキシル基(Ge)とする。
(9)1725以上1765cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出し、エステル基(Ge)とする。
(10)カルボキシル基(Ge)/(エステル基(Ge)+カルボキシル基(Ge))をカルボキシル指数(Ge)とする。
(1)ダイヤモンド/KRS5のATR結晶(屈折率=2.4)を装置に装着する。
(2)Scan typeをBackground、UnitsをEGYに設定し、バックグラウンドを測定する。
(3)Scan typeをSample、UnitsをAに設定する。
(4)トナー粒子をATR結晶の上に、0.01g精秤する。
(5)圧力アームでサンプルを加圧する。(Force Gaugeは90)
(6)サンプルを測定する。
(7)得られたFT−IRスペクトルを、Automatic Correctionでベースライン補正をする。
(8)1680cm-1以上1720cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出し、カルボキシル基(D)とする。
(9)1725cm-1以上1765cm-1以下の範囲の吸収ピーク強度の最大値を算出し、エステル基(D)とする。
(10)カルボキシル基(D)/(エステル基(D)+カルボキシル基(D))をカルボキシル指数(D)とする。
エステル基含有オレフィン系共重合体のエステル基濃度は、1H−NMRによって求める。以下の条件で、式(2)におけるアルケニルの水素、式(3)におけるアセチル基又はプロピオニル基の水素、式(4)における酸素に結合したメチル基又はエチレン基の水素の積分比を測定し、それぞれ比較することでそれぞれのユニット比率が算出できる。得られたユニット比率を下記式に導入することで、エステル基濃度が算出できる。
エステル基濃度(単位:質量%)=[(N×44)/数平均分子量]×100
装置:JNM−ECZR series FT NMR(JEOL日本電子社製)
溶媒:重アセトン5ml(テトラメチルシランが化学シフト0.00ppmの内部標準として含まれる)
試料:5mg
繰り返し時間:2.7秒
積算回数:16回
溶剤への溶解度の差を利用してトナーからエステル基含有オレフィン系共重合体を分離してから測定を行う。
酸価とは、試料1g中に含有されている遊離脂肪酸、樹脂酸の如き酸成分を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数である。測定方法は、JIS−K0070に準じ以下のように測定する。
・溶剤:トルエン−エチルアルコール混液(2:1)を、使用直前にフェノールフタレインを指示薬として0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で中和しておく。
・フェノールフタレイン溶液:フェノールフタレイン1gをエチルアルコール(95体積%)100mLに溶かす。
・0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液:水酸化カリウム7.0gをできるだけ少量の水に溶かしエチルアルコール(95体積%)を加えて1Lとし、2〜3日放置後ろ過する。標定はJIS K 8006(試薬の含量試験中滴定に関する基本事項)に準じて行う。
試料として樹脂1〜20gを正しくはかりとり、これに前記溶剤100mL及び指示薬として前記フェノールフタレイン溶液数滴を加え、試料が完全に溶けるまで十分に振る。固体試料の場合は水浴上で加温して溶かす。冷却後これを前記0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、指示薬の微紅色が30秒間続いたときを中和の終点とする。
次の式によって酸価を算出する。
A=B×f×5.611/S
A:酸価(mgKOH/g)
B:0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/Lの水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクター
S:試料(g)
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
<エステル基含有オレフィン系共重合体及び酸基含有オレフィン系共重合体の融点(Tp)の測定方法>
エステル基含有オレフィン系共重合体及び酸基含有オレフィン系共重合体の融点は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
上記の方法と同様に、溶剤への溶解度の差を利用してトナーからエステル基含有オレフィン系共重合体とカルボキシ基を有する酸基含有オレフィン系共重合体を分離してからDSC測定を行う。
エステル基含有オレフィン系共重合体及び酸基含有オレフィン系共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC−8121GPC/HT(東ソー社製)
カラム:TSKgel GMHHR−H HT(7.8cm I.D×30cm)2連(東ソー社製)
検出器:高温用RI
温度:135℃
溶媒:トルエン
流速:1.0mL/min
試料:0.1%の試料を0.4mL注入
非晶性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF−801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10mL
軟化点は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
トナーの重量平均粒径(D4)は、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
エステル基含有オレフィン系共重合体微粒子、酸基含有オレフィン系共重合体微粒子、非晶性ポリエステル樹脂微粒子、シリコーン化合物微粒子、脂肪族炭化水素化合物微粒子、及び、着色剤微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)の測定には、動的光散乱式粒度分布計ナノトラックUPA−EX150(日機装製)を用いた。測定試料(樹脂微粒子)の凝集を防ぐため、ファミリーフレッシュ(花王株式会社製)を含む水溶液中に測定試料が分散した分散液を投入して撹拌した後、上記装置に注入し、2回測定を行ってその平均値を求めた。測定条件としては、測定時間を30秒とし、試料粒子屈折率を1.49とし、分散媒を水とし、分散媒屈折率を1.33とした。測定試料の体積粒度分布を測定し、測定結果から累積体積分布における小粒子径側からの累積体積が50%になる粒子径を各微粒子の体積分布基準の50%粒径(D50)として算出した。
・エチレン 75.2部
(総モル数に対して90.3mol%)
・酢酸ビニル 24.8部
(総モル数に対して9.7mol%)
・イソブチルアルデヒド(連鎖移動剤) 4.2部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド(ラジカル発生触媒) 0.0025部
上記材料を秤量し、高圧ポンプを使用して管状反応器に圧送し、反応圧力240MPa、反応ピーク温度250℃の重合条件でポリエチレンと酢酸ビニルとを共重合させ、エステル基含有オレフィン系共重合体1を得た。得られたエステル基含有オレフィン系共重合体1は、重量平均分子量(Mw)が110000、融点(Tp)が86℃、メルトフローレート(MFR)が12g/10分、酸価(Av)が0mgKOH/gであった。
エステル基含有オレフィン系共重合体1の製造例において、それぞれのモノマー及び質量部数を表1となるように変更した以外は同様にして反応を行い、エステル基含有オレフィン系共重合体2〜6を得た。エステル基含有オレフィン系共重合体2〜6の物性を表2に示す。エステル基含有オレフィン系共重合体4は、R1=H、R4=H、R5=C2H5である。
・エチレン 86.1部
(総モル数に対して95.0mol%)
・メタクリル酸 13.9部
(総モル数に対して5.0mol%)
・イソブチルアルデヒド(連鎖移動剤) 4.2部
・ジ−t−ブチルパーオキサイド(ラジカル発生触媒) 0.0025部
上記材料を秤量し、高圧ポンプを使用して管状反応器に圧送し、反応圧力240MPa、反応ピーク温度250℃の重合条件でポリエチレンとメタクリル酸とを共重合させ、酸基含有オレフィン系共重合体1を得た。得られた酸基含有オレフィン系共重合体1は、重量平均分子量(Mw)が90000、融点(Tp)が90℃、メルトフローレート(MFR)が60g/10分、酸価(Av)が90mgKOH/gであった。
酸基含有オレフィン系共重合体1の製造例において、それぞれのモノマー及び質量部数を表3となるように変更した以外は同様にして反応を行い、酸基含有オレフィン系共重合体2〜6を得た。酸基含有オレフィン系共重合体2〜6の物性を表4に示す。
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(総モル数に対して50.0mol%) 76.3部
・テレフタル酸(総モル数に対して30.0mol%) 16.1部
・コハク酸(総モル数に対して20.0mol%) 7.6部
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒) 0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤) 0.1部
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(総モル数に対して14.5mol%) 38.9部
・テレフタル酸(総モル数に対して7.2mol%) 8.2部
・コハク酸(総モル数に対して4.8mol%) 3.9部
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒) 0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。
・スチレン(総モル数に対して56.5mol%) 41.7部
・ジブチルパーオキサイド(重合開始剤) 1.5部
その後、上記混合物を滴下ロートにより1時間かけて滴下し、1時間保持した(StAc化反応工程)。
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が表1に示す所望温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、非晶性樹脂2を得た。得られた非晶性樹脂2の重量平均分子量(Mw)が14000、軟化点(Tm)が100℃、ガラス転移温度(Tg)が60℃、酸価(Av)が3mgKOH/gであった。
非晶性樹脂2の製造例において、それぞれのモノマー及び質量部数を表5となるように変更した以外は同様にして反応を行い、非晶性樹脂3〜7を得た。非晶性樹脂3〜7の物性を表6に示す。
BPA−PO:ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
TPA:テレフタル酸
SUS:コハク酸
AA:アクリル酸
DEHP:2−エチルヘキシル
ST:スチレン
・トルエン(和光純薬製) 300g
・エステル基含有オレフィン系共重合体1 100g
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させた。
エステル基含有オレフィン系共重合体微粒子1分散液の製造例において、それぞれのエステル基含有オレフィン系共重合体を表7となるように変更した以外は同様にして乳化を行い、エステル基含有オレフィン系共重合体微粒子2〜6分散液を得た。エステル基含有オレフィン系共重合体微粒子2〜6分散液の物性を表7に示す。
・トルエン(和光純薬製) 300g
・酸基含有オレフィン系共重合体1 100g
上記材料を秤量・混合し、90℃で溶解させた。
酸基含有オレフィン系共重合体微粒子1分散液の製造例において、それぞれの酸基含有オレフィン系共重合体を表8となるように変更した以外は同様にして乳化を行い、酸基含有オレフィン系共重合体微粒子2〜6分散液を得た。酸基含有オレフィン系共重合体微粒子2〜6分散液の物性を表8に示す。
・テトラヒドロフラン(和光純薬製) 300g
・非晶性樹脂1 100g
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 0.5g
上記材料を秤量・混合し、溶解させた。
非晶性樹脂微粒子1分散液の製造例において、それぞれの非晶性樹脂を表9となるように変更した以外は同様にして乳化を行い、非晶性樹脂微粒子2〜7分散液を得た。非晶性樹脂微粒子2〜7分散液の物性を表9に示す。
・シリコーンオイル 100g
(ジメチルシリコーンオイル 信越化学製:KF96−500CS動粘度500mm2/s)
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5g
・イオン交換水 395g
上記材料を秤量・混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散して、シリコーンオイルを分散させてなるシリコーンオイル微粒子の濃度20%の水系分散液(シリコーンオイル微粒子分散液)を得た。
・脂肪族炭化水素化合物HNP−51(日本精蝋製) 100g
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 5g
・イオン交換水 395g
上記材料を秤量し、撹拌装置付きの混合容器に投入した後、90℃に加熱し、クレアミックスWモーション(エム・テクニック製)へ循環させて分散処理を60分間行った。分散処理の条件は、以下のようにした。
・ローター外径3cm
・クリアランス0.3mm
・ローター回転数19000r/min
・スクリーン回転数19000r/min
分散処理後、ローター回転数1000r/min、スクリーン回転数0r/min、冷却速度10℃/minの冷却処理条件にて40℃まで冷却することで、脂肪族炭化水素化合物微粒子の濃度20%の水系分散液(脂肪族炭化水素化合物微粒子分散液)を得た。
・着色剤 50.0g
(シアン顔料 大日精化製:Pigment Blue 15:3)
・アニオン界面活性剤ネオゲンRK(第一工業製薬製) 7.5g
・イオン交換水 442.5g
上記材料を秤量・混合し、溶解し、高圧衝撃式分散機ナノマイザー(吉田機械興業製)を用いて約1時間分散して、着色剤を分散させてなる着色剤微粒子の濃度10%の水系分散液(着色剤微粒子分散液)を得た。
・エステル基含有オレフィン系共重合体微粒子1分散液 360g
・酸基含有オレフィン系共重合体微粒子1分散液 120g
(以上がコアを形成する樹脂1)
・シリコーンオイル微粒子分散液 125g
・脂肪族炭化水素化合物微粒子分散液 150g
・着色剤微粒子分散液 80g
・イオン交換水 160g
前記の各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入、混合した後、10%硫酸マグネシウム水溶液60gを添加した。続いてホモジナイザー ウルトラタラックスT50(IKA社製)を用いて5000r/minで10分間分散した。その後、加熱用ウォーターバス中で撹拌翼を用いて、混合液が撹拌されるような回転数を適宜調節しながらで73℃まで加熱した。73℃で5分保持した後、形成された凝集粒子の体積平均粒径を、コールターマルチサイザーIIIを用い、適宜確認し、重量平均粒径(D4)が約6.00μmである凝集粒子が形成されたところで、下記シェルを形成する樹脂2の材料を3分間かけて投入した。
・非晶性樹脂微粒子1分散液 20g
・平均粒径130nmのヘキサメチルジシラザンで表面処理した大粒径シリカ微粒子
3g
・平均粒径20nmのヘキサメチルジシラザンで表面処理した小粒径シリカ微粒子
1g
・平均粒径40nmのイソブチルトリメトキシシランで表面処理した酸化チタン微粒子
1g
前記の各材料をヘンシェルミキサーFM−10C型(三井三池化工機製)で回転数30s-1、回転時間10minで混合して、トナー1を得た。トナー1の構成材料を表10に示す。
トナー1の製造例において、エステル基含有オレフィン系共重合体微粒子1分散液、酸基含有オレフィン系共重合体微粒子1分散液、非晶性樹脂微粒子1分散液、及び、大粒径シリカ微粒子1を表10となるように変更した以外は同様の操作を行い、トナー2〜38を得た。トナー2〜38の物性を表11に示す。
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8g
メチルメタクリレートモノマー 0.2g
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4g
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3g
メチルエチルケトン 31.3g
アゾビスイソブチロニトリル 2.0g
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3g
トルエン 66.4g
カーボンブラックRegal330(キャボット製) 0.3g
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1及び被覆樹脂溶液1を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
92.0gの磁性キャリア1と8.0gのトナー1をV型混合機(V−20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
二成分系現像剤1の製造例において、表12のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2〜38を得た。
上記二成分系現像剤1を用いて、評価を行った。
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm2(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の全面に画像比率5%の罫線チャート
試験環境:低温低湿環境(温度15℃/湿度10%RH(以下L/L))
プロセススピード:377mm/sec
A:紙上の縦スジなし、帯電ローラの汚れもなし(非常に優れている)
B:紙上の縦スジなし、帯電ローラの汚れあり(優れている)
C:紙上の縦スジが1箇所発生(良好である)
D:紙上の縦スジが2箇所以上5箇所未満発生(問題ないレベルである)
E:紙上の縦スジが5箇所以上(許容できない)
紙:GFC−081(81.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.50mg/cm2
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:低温低湿環境:温度15℃/湿度10%RH(以下「L/L」)
定着温度:150℃
プロセススピード:377mm/sec
画像濃度の低下率=(摩擦前の画像濃度−摩擦後の画像濃度)/摩擦前の画像濃度×100
A:画像濃度の低下率5.0%未満(非常に優れている)
B:画像濃度の低下率5.0%以上、8.0%未満(優れている)
C:画像濃度の低下率8.0%以上、10.0%未満(良好である)
D:画像濃度の低下率10.0%以上、13.0%未満(問題ないレベルである)
E:画像濃度の低下率13.0%以上(許容できない)
紙:CS−680(68.0g/m2)
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売)
紙上のトナーの載り量:0.35mg/cm2(FFh画像)
(現像剤担持体の直流電圧VDC、静電潜像担持体の帯電電圧VD、及びレーザーパワーにより調整)
評価画像:上記A4用紙の中心に2cm×5cmの画像を配置
試験環境:高温高湿環境(温度30℃/湿度80%RH(以下H/H))
プロセススピード:377mm/sec
評価機の安定化及び耐久評価として、画像比率0.1%の帯チャートを用いて、A4用紙に10000枚出力を行った。その後、静電潜像担持体上に上記評価画像を形成し、中間転写体に転写され、かつ記録紙に転写される前に、評価機を止めた。止めた評価機の中間転写体を取り出し、転写された画像に透明な粘着テープを貼ってトナーを採取し、粘着テープごと記録紙に貼り付けた。光学濃度系で画像の濃度を測定し、粘着テープのみを記録紙に貼った箇所の濃度を差し引き、転写濃度Aを求めた。また、評価機の静電潜像担持体を取り出し、転写残トナーについても同様の方法で転写残濃度Bを求めた。粘着テープは透明で弱粘着のスーパーステック(リンテック社製)を使用し、光学濃度計はX−Riteカラー反射濃度計(X−Rite社製)を使用した。そして、下記式を用いて、転写効率を算出した。得られた転写効率を下記の評価基準に従って評価した。
転写効率={転写濃度A/(転写濃度A+転写残濃度B)}×100
A:転写効率98.0%以上(非常に優れている)
B:転写効率95.0%以上、98.0%未満(優れている)
C:転写効率92.0%以上、95.0%未満(良好である)
D:転写効率90.0%以上、92.0%未満(問題ないレベルである)
E:転写効率90.0%未満(許容できない)
二成分系現像剤2〜38を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表13に示す。
Claims (8)
- 樹脂1で構成されているコアおよび非晶性樹脂2で構成されているシェルを有するコアシェル構造を有するトナー粒子、ならびに、前記トナー粒子の表面に露出する無機微粒子を有するトナーであって、
前記樹脂1の、超微小硬度測定装置によって50μN荷重をかけた際の変位hコアが、300nm以上500nm以下であり、かつ、塑性変形率Hコアが、1%以上30%以下であり、
前記非晶性樹脂2のTgが、50℃以上70℃以下であり、
前記非晶性樹脂2の、超微小硬度測定装置によって50μN荷重をかけた際の変位hシェルが、50nm以上100nm以下であり、かつ、塑性変形率Hシェルが、40%以上90%以下であり、
前記無機微粒子の平均粒径D無機微粒子が、90nm以上300nm以下であり、
前記シェルの平均膜厚sシェルおよび前記平均粒径D無機微粒子が、下記式(1)を満たし、
0.3≦sシェル/D無機微粒子≦0.9 (1)
前記トナー粒子の表面に露出している無機微粒子の高さが、20nm以上100nm以下であることを特徴とするトナー。 - 前記非晶性樹脂2が、ポリエステル樹脂を50質量%以上含有している請求項1又は2に記載のトナー。
- 前記無機微粒子が、コロイダルシリカである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記無機微粒子が、トナー粒子100質量部に対して2.0質量部以上5.0質量部以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記樹脂1が、カルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体を含有する請求項1乃至5のいずれか1項に記載のトナー。
- 前記カルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体が、酸価50mgKOH/g以上300mgKOH/g以下のエチレン−アクリル酸共重合体またはエチレン−メタクリル酸共重合体である請求項6に記載のトナー。
- 前記カルボキシル基を有する酸基含有オレフィン系共重合体が、前記樹脂1の全質量に対して10.0質量%以上30.0質量%以下である請求項6又は7に記載のトナー。
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