JP6927969B2 - 全熱交換素子用紙 - Google Patents

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Description

本発明は、空調分野で使用される積層構造の熱交換換気装置において、顕熱と潜熱の双方の熱交換を行う全熱交換器素子に使用する全熱交換素子用紙に関する。
近年、冷房や暖房などの空調機器の普及に伴い、換気の際に給気と排気との間で熱交換して温度及び湿度を回収できる換気用熱交換器が使用されている。
この熱交換器は、伝熱性と透湿性とを有する平板状の仕切板と2枚の仕切板の間に挟んで空気流路を確保する間隔板からなり、仕切板と間隔板を複数層に重ね合わせた基本構造を有している。間隔板は鋸波状又は正弦波状の波形に成形された波板であり、その波形の成形方向を直交方向へ交互に変えて仕切板の間に挟着されている。これにより、間隔板と仕切板から構成される各層間に、二系統の流体通路が一層おきに交互に直交するように構成されている。
仕切板は室外の新鮮な空気を室内に導入する給気経路と、汚れた室内の空気を室外に排出する排気経路を分離し、給気と排気の間で顕熱と同時に潜熱の熱交換を行う機能を有するものである。このため、仕切板には伝熱性と透湿度で示される水蒸気透過性が必須であり、加えて難燃性や給気と排気が交じり合わないような空気遮蔽性が必要とされている。
このような要求に対応できる仕切板の素材として全熱交換素子用紙が用いられており、下記のような従来技術が開示されている。
特許文献1には、多孔質基材に吸湿剤と水溶性高分子物質の混合溶液を含浸若しくは塗布することにより得られる吸放湿性と空気遮蔽性を有する全熱交換器エレメント用紙が開示されている。
特許文献2には、高叩解度の原料を抄紙した基紙に吸湿剤を塗工使用することで、水溶性高分子物質を用いずに空気遮蔽性と吸湿性の優れた全熱交換素子用紙が得られることが開示されている。
特許文献3には、吸湿剤にアルカリ金属塩を配合した厚さ10〜50ミクロンの空気遮蔽性の優れた熱交換器用仕切部材が記載されている。
特許文献4には、製紙用繊維にミクロフィブリル化セルロースと吸放湿性粉体であるシリカゲルや水酸化アルミニウムを配合してなる吸放湿性を有する全熱交換器用紙が開示されている。
特許文献5には、吸湿剤に塩化カルシウムを使用し、ブロッキング防止剤を配合した紙基材を用いた全熱交換器用紙が開示されている。
特公昭58−46325号公報 国際公開第2002/099193号 特開2003−148892号公報 特開平11−189999号公報 特開2007−119969号公報
従来、全熱交換素子用紙として、特許文献1に記載されているような多孔質基材に吸湿剤と水溶性高分子物質の混合溶液を含浸若しくは塗布した用紙が仕切部材に使用されてきたが、夏期などの温度と湿度が高い条件下では、吸湿により水溶性高分子物質の一部が溶けてブロッキングする現象がおき、エレメント製造工程でコルゲート加工する際、原紙巻取の巻き戻し作業時の破断やコルゲーターのプレスロールへの貼り付きにより作業効率が低下するという問題点がある。
また、特許文献2や特許文献3に記載されているような高叩解度の原料を用いて空気遮蔽性を高めた基紙に吸湿剤を添加した用紙は、基紙が緻密で空気が透過し難いため、水溶性高分子物質を含浸または塗工して空気遮蔽性を付与する必要が無く、吸湿剤や難燃剤からなる薬液を含浸または塗工することで吸放湿性と空気遮蔽性を有する全熱交換素子用紙が得られる。しかし、基紙を高叩解度にすると抄紙時の搾水性が悪くなり生産効率が低下する上、得られた基紙が脆弱で裂け易くなり、熱交換ユニットを生産する際に加工性が低下するという問題がある。
特許文献4に記載されているように、水不溶性の吸放湿性粉体であるシリカゲルや水酸化アルミニウムを配合し、目止め材としてミクロフィブリル化セルロースを添加した全熱交換素子用紙は吸放湿性を有するものの、坪量を120g/m2まで増しても透気抵抗度が200秒と低く、高度な空気遮蔽性を得ることができない。
特許文献5に記載されているように、基材を構成するパルプを変則フリーネス(パルプ採取量を0.3gとした以外はJIS P8121に準ずる)で200〜600mlまで叩解した原料は、通常のフリーネス測定方法では測定困難なほど高叩解であるため、抄紙時の搾水性が悪くなり生産効率が低下する上、得られた基紙が脆弱で裂け易くなり、熱交換ユニットを生産する際に加工性が低下する恐れがある。
以上のように、基紙へ吸湿剤と水溶性高分子物質を含浸または塗工することにより得られる全熱交換素子用紙はブロッキングし易く、一方、高叩解の基紙に吸湿剤を含浸または塗工することにより吸放湿性と空気遮蔽性を付与した全熱交換素子用紙は抄紙時の生産効率や熱交換ユニット生産時の加工性が低下する恐れがあるという問題がある。
本発明は、抄紙時の生産効率が高く、エレメント加工時に断紙などの問題が発生し難く、吸放湿性と空気遮蔽性が高い全熱交換素子用紙を提供することを課題とする。
本発明者等は、鋭意研究の結果、前記課題を解決した新規な全熱交換素子用紙を開発した。
本発明の課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.製紙用繊維、吸湿剤、セルロースナノファイバーを含有することを特徴とする全熱交換素子用紙。
2.前記製紙用繊維が、セルロース繊維であることを特徴とする1.に記載の全熱交換素子用紙。
3.前記セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、カルボキシル化セルロースナノファイバー、カチオン化セルロースナノファイバー、エステル化セルロースナノファイバーの少なくとも一種であることを特徴とする1.または2.に記載の全熱交換素子用紙。
4.前記吸湿剤が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれかであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の全熱交換素子用紙。
5.透気抵抗度が700秒以上であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載の全熱交換素子用紙。
6.製紙用繊維からなる基紙の少なくとも片面に、吸湿剤とセルロースナノファイバーとを含有する薬液を塗工することを特徴とする全熱交換素子用紙の製造方法。
本発明の全熱交換素子用紙は、セルロースナノファイバーを配合することにより、優れた透気抵抗度と透湿度とを有し、熱交換器に好適に利用することができる。本発明の全熱交換素子用紙は、高叩解である基紙を使用する必要が無いため、基紙を高叩解にすることによる抄紙時の生産効率低下や、基紙の脆弱化を防ぐことができる。また、本発明の全熱交換素子用紙は、水溶性高分子物質の塗工量を少なくすることができ、場合によっては水溶性高分子物質が不要なため、ブロッキングが起こりにくく、取扱性、加工性に優れる。
以下に、本発明における実施の形態を詳細に説明する。
(1)製紙用繊維
本発明の全熱交換素子用紙の原料として使用する製紙用繊維は、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、亜麻、アバカ、ケナフ、竹、バガスなどの非木材原料から得られる非木材パルプ等から得られるセルロース繊維が挙げられる。セルロース繊維の蒸解方法や漂白の有無および漂白方法は特に限定されない。また、セルロース繊維の他に、接着性、寸法安定性、賦形性向上などの目的でポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、リヨセル繊維などの合成繊維や半合成繊維を配合することができる。
本発明で使用するパルプは、JIS P8121記載のカナダ標準ろ水度で100mlCSF以上500mlCSF以下の範囲に叩解し、より好ましくは200mlCSF以上300mlCSF以下の範囲に叩解して使用する。カナダ標準ろ水度が100mlCSF未満の場合は、紙匹が緻密化して空隙が少なくなり、全熱交換素子用紙の基紙として用いた場合に塗工剤が紙中に浸透し難くなって基紙表面に吸湿剤等が局在化するためブロッキングし易くなること、および湿度変化による伸縮量が大きくなることなどの問題が発生し好ましくない。また、カナダ標準ろ水度が500mlCSFを越えると紙匹の空隙量や空隙径が増大してセルロースナノファイバーによる空気遮蔽効果が不十分となるため好ましくない。パルプの叩解は、ビーター、リファイナー等の一般的な叩解装置が使用でき、叩解装置や叩解方法に特段の制限はない。
抄紙用の紙料は、上記叩解パルプへ必要に応じて合成または半合成繊維、填料、色料、紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、硫酸バンド、カチオン化デンプン、歩留り向上剤等を配合して調成される。
上記紙料は、長網式抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機、ツインワイヤー式抄紙機やそれらを組み合せた抄紙機等を用い、一般的な抄紙方法で抄造され、抄紙機や抄紙方法に特段の制限はない。また、必要に応じてサイズプレスやロールコーター等のオンマシン塗工装置で難燃剤、防錆剤、ブロッキング防止剤等を含浸し、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトニップカレンダー等でカレンダー処理を施すことで、基紙が得られる。
基紙の透気抵抗度は、基紙に含浸または塗工されるセルロースナノファイバーの目止め作用により向上するが、その効果を十分発揮させるために、基紙自体の透気抵抗度を50秒以上650秒以下、好ましくは150秒以上600秒以下、より好ましくは200秒以上500秒以下とすることが必要である。基紙の透気抵抗度が50秒未満では含浸または塗工によりセルロースナノファイバーを添加しても、添加後の透気抵抗度の増加が少なく、全熱交換素子用紙の空気遮蔽性が不足する。基紙の透気抵抗度が650秒を越えると、含浸または塗工された薬液が基紙の内部へ浸透し難くなり、基紙表面付近の薬液成分によるブロッキングが発生し易くなるため好ましくない。基紙の透気抵抗度は、製紙用繊維として配合するパルプの叩解の程度や基紙の坪量を変えることにより、通常の抄紙技術で調整することができる。
本発明の全熱交換素子用紙は、前記基紙にセルロースナノファイバーと吸湿剤とを含有する薬液を含浸または少なくとも片面に塗工して得られる。
(2)セルロースナノファイバー
セルロースナノファイバーは、セルロース原料を、必要に応じ化学変性処理した後で、解繊処理することにより得られる微細繊維である。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、通常3nm以上500nm以下程度である。平均繊維径及び平均繊維長は、電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて、30本以上の繊維を観察した結果から得られる繊維径及び繊維長を平均することによって得ることができる。
セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常10以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
(2−1)セルロース原料
セルロースナノファイバーの原料であるセルロース原料の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))等が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
セルロース原料の数平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30μm以上60μm以下程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10μm以上30μm以下程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度に調整することが好ましい。
(2−2)変性
セルロース原料は、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の化学変性処理を行うことが可能である。本発明では、これらに対して変性を行ってもよく、また行わなくてもよいが、化学変性処理を行った方が、繊維の微細化が十分に進み、均一な繊維長及び繊維径が得られる。
セルロース原料を変性するための変性方法は特に制限されないが、例えば、酸化(カルボキシル化)、エーテル化(カルボキシメチル化)、カチオン化、エステル化、リン酸化、シランカップリング、フッ素化などの化学変性が挙げられる。中でも、酸化(カルボキシル化)、エーテル化(カルボキシメチル化)、カチオン化、エステル化が好ましく、以下ではこれらの詳細な方法について説明する。
(2−2−1)酸化(カルボキシル化)セルロースナノファイバー
酸化によりセルロース原料を変性する場合、得られる酸化セルロース又はセルロースナノファイバーの絶乾重量に対するカルボキシル基の量は、好ましくは0.5mmol/g以上、より好ましくは0.8mmol/g以上、さらに好ましくは1.0mmol/g以上である。上限は、好ましくは3.0mmol/g以下、より好ましくは2.5mmol/g以下、さらに好ましくは2.0mmol/g以下である。従って、0.5mmol/g以上3.0mmol/g以下が好ましく、0.8mmol/g以上2.5mmol/g以下がより好ましく、1.0mmol/g以上2.0mmol/g以下がさらに好ましい。
酸化の方法は特に限定されないが、1つの例としては、N−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群より選択される物質の存在下で酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、及びカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。反応時のセルロース原料の濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。ニトロキシラジカルとしては例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシル(TEMPO)が挙げられる。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であれば特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上が好ましく、0.02mmol以上がより好ましい。上限は、10mmol以下が好ましく、1mmol以下がより好ましく、0.5mmol以下がさらに好ましい。従って、N−オキシル化合物の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.01mmol以上10mmol以下が好ましく、0.01mmol以上1mmol以下がより好ましく、0.02mmol以上0.5mmol以下がさらに好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属、例えば臭化ナトリウム等が挙げられる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物又はヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択すればよい。臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上が好ましく、0.5mmol以上がより好ましい。上限は、100mmol以下が好ましく、10mmol以下がより好ましく、5mmol以下がさらに好ましい。従って、臭化物及びヨウ化物の合計量は絶乾1gのセルロースに対して、0.1mmol以上100mmol以下が好ましく、0.1mmol以上10mmol以下がより好ましく、0.5mmol以上5mmol以下がさらに好ましい。
酸化剤は、特に限定されないが例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、それらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などが挙げられる。中でも、安価で環境負荷が少ないことから、次亜ハロゲン酸又はその塩が好ましく、次亜塩素酸又はその塩がより好ましく、次亜塩素酸ナトリウムがさらに好ましい。酸化剤の使用量は、絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上が好ましく、1mmol以上がより好ましく、3mmol以上がさらに好ましい。上限は、500mmol以下が好ましく、50mmol以下がより好ましく、25mmol以下がさらに好ましく、10mmol以下が最も好ましい。従って、酸化剤の使用量は絶乾1gのセルロースに対して、0.5mmol以上500mmol以下が好ましく、0.5mmol以上50mmol以下がより好ましく、1mmol以上25mmol以下がさらに好ましく、3mmol以上10mmol以下が最も好ましい。N−オキシル化合物を用いる場合、酸化剤の使用量はN−オキシル化合物1molに対して1mol以上が好ましい。上限は、40mol以下が好ましい。従って、酸化剤の使用量はN−オキシル化合物1molに対して1mol以上40mol以下が好ましい。
酸化反応時のpH、温度等の条件は特に限定されず、一般に、比較的温和な条件であっても酸化反応は効率よく進行する。反応温度は4℃以上が好ましく、15℃以上がより好ましい。上限は40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。従って、温度は4℃以上40℃以下が好ましく、15℃以上30℃以下、すなわち室温であってもよい。反応液のpHは、8以上が好ましく、10以上がより好ましい。上限は、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。従って、反応液のpHは、好ましくは8以上12以下、より好ましくは10以上11以下程度である。通常、酸化反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHは低下する傾向にある。そのため、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを上記の範囲に維持することが好ましい。酸化の際の反応媒体は、取扱い性の容易さや、副反応が生じにくいこと等の理由から、水が好ましい。
酸化における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5時間以上である。上限は通常は6時間以下、好ましくは4時間以下である。従って、酸化における反応時間は通常0.5時間以上6時間以下、例えば0.5時間以上4時間以下である。
酸化は、2段階以上の反応に分けて実施してもよい。例えば、1段階目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一又は異なる反応条件で酸化させることにより、1段階目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
カルボキシル化(酸化)方法の別の例として、オゾン処理により酸化する方法が挙げられる。この酸化反応により、セルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位及び6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾン処理は通常、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより行われる。気体中のオゾン濃度は、50g/m以上であることが好ましい。上限は、250g/m以下であることが好ましく、220g/m以下であることがより好ましい。従って、気体中のオゾン濃度は、50g/m以上250g/m以下であることが好ましく、50g/m以上220g/m以下であることがより好ましい。オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。上限は、通常30重量%以下である。従って、オゾン添加量は、セルロース原料の固形分100重量%に対し、0.1重量%以上30重量%以下であることが好ましく、5重量%以上30重量%以下であることがより好ましい。オゾン処理温度は、通常0℃以上であり、好ましくは20℃以上である。上限は通常50℃以下である。従って、オゾン処理温度は、通常0℃以上50℃以下であり、20℃以上50℃以下であることが好ましい。オゾン処理時間は、通常は1分以上であり、好ましくは30分以上である。上限は通常360分以下である。従って、オゾン処理時間は、通常は1分以上360分以下であり、30分以上360分以下が好ましい。オゾン処理の条件が上述の範囲内であると、セルロースが過度に酸化及び分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。
オゾン処理後に得られる結果物に対しさらに、酸化剤を用いて追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが例えば、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物;酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。追酸化処理の方法としては例えば、これらの酸化剤を水又はアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、酸化剤溶液中にセルロース原料を浸漬させる方法が挙げられる。
酸化セルロースナノファイバーに含まれるカルボキシル基、カルボキシレート基、アルデヒド基の量は、酸化剤の添加量、反応時間等の酸化条件をコントロールすることで調整することができる。
カルボキシル基量の測定方法の一例を以下に説明する。酸化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mlを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a〔ml〕)から、下式を用いてカルボキシル基量を算出することができる:
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース又はセルロースナノファイバー〕=a〔ml〕×0.05/酸化セルロース重量〔g〕
(2−2−2)エーテル化(カルボキシメチル化)セルロースナノファイバー
エーテル化としては、カルボキシメチル(エーテル)化、メチル(エーテル)化、エチル(エーテル)化、シアノエチル(エーテル)化、ヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピル(エーテル)化、エチルヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピルメチル(エーテル)化などが挙げられる。この中から一例としてカルボキシメチル化の方法を以下に説明する。
カルボキシメチル化によりセルロース原料を変性する場合、得られるカルボキシメチル化セルロース又はセルロースナノファイバー中の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上であることがさらに好ましい。上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましい。従って、カルボキシメチル基置換度は、0.01以上0.50以下が好ましく、0.05以上0.40以下がより好ましく、0.10以上0.35以下がさらに好ましい。
カルボキシメチル化の方法は特に限定されないが、例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。カルボキシメチル化反応に用いる溶媒としては例えば、水、アルコール(例えば、低級アルコール)及びこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノールが挙げられる。混合溶媒における低級アルコールの混合割合は、通常は60重量%以上95重量%以下である。溶媒の量は、セルロース原料に対し通常は3重量倍である。上限は特に限定されないが20重量倍である。従って、溶媒の量は3重量倍以上20重量倍以下であることが好ましい。
マーセル化は通常、発底原料とマーセル化剤を混合して行う。マーセル化剤としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属が挙げられる。マーセル化剤の使用量は、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5倍モル以上が好ましく、1.0倍モル以上がより好ましく、1.5倍モル以上であることがさらに好ましい。上限は、通常20倍モル以下であり、10倍モル以下が好ましく、5倍モル以下がより好ましい。従って、0.5倍モル以上20倍モル以下が好ましく、1.0倍モル以上10倍モル以下がより好ましく、1.5倍モル以上5倍モル以下がさらに好ましい。
マーセル化の反応温度は、通常0℃以上であり、好ましくは10℃以上である。上限は通常70℃以下、好ましくは60℃以下である。従って、反応温度は、通常0℃以上70℃以下、好ましくは10℃以上60℃以下である。反応時間は、通常15分以上、好ましくは30分以上である。上限は、通常8時間以下、好ましくは7時間以下である。従って、通常は15分以上8時間以下、好ましくは30分以上7時間以下である。
エーテル化反応は、通常、カルボキシメチル化剤をマーセル化後に反応系に追加して行う。カルボキシメチル化剤としては、例えば、モノクロロ酢酸ナトリウムが挙げられる。カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料のグルコース残基当たり通常0.05倍モル以上が好ましく、0.5倍モル以上がより好ましく、0.8倍モル以上であることがさらに好ましい。上限は、通常10.0倍モル以下であり、5倍モル以下が好ましく、3倍モル以下がより好ましい、従って、好ましくは0.05倍モル以上10.0倍モル以下であり、より好ましくは0.5倍モル以上5倍モル以下であり、さらに好ましくは0.8倍モル以上3倍モル以下である。反応温度は通常30℃以上、好ましくは40℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。従って反応温度は通常30℃以上90℃以下、好ましくは40℃以上80℃以下である。反応時間は、通常30分以上であり、好ましくは1時間以上である。上限は、通常は10時間以下、好ましくは4時間以下である。従って反応時間は、通常は30分以上10時間以下であり、好ましくは1時間以上4時間以下である。カルボキシメチル化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法によって行えばよい。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を水素型カルボキシメチル化セルロースにする。3)水素型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5〜2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのHSOで過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A =[(100×F’−(0.1NのHSO)(mL)×F)×0.
1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A :水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する1N
のNaOH量(mL)
F’:0.1NのHSOのファクター
F :0.1NのNaOHのファクター
(2−2−3)カチオン化セルロースナノファイバー
カチオン化によりセルロース原料を変性する場合、得られるカチオン化セルロースナノファイバーは、アンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム等のカチオン、又は該カチオンを有する基を分子中に含んでいればよい。カチオン化セルロースナノファイバーは、アンモニウムを有する基を含むことが好ましく、四級アンモニウムを有する基を含むことがより好ましい。
カチオン化の方法は特に限定されないが例えば、セルロース原料にカチオン化剤と触媒を水及び/又はアルコールの存在下で反応させる方法が挙げられる。カチオン化剤としては例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライト(例:3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムハイドライト)又はこれらのハロヒドリン型などが挙げられ、これらのいずれかを用いることで、四級アンモニウムを含む基を有するカチオン化セルロースを得ることができる。触媒としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化アルカリ金属が挙げられる。アルコールとしては例えば、炭素数1〜4のアルコールが挙げられる。カチオン化剤の量は、好ましくはセルロース原料100重量%に対して5重量%以上であり、より好ましくは10重量%以上である。上限は通常800重量%以下であり、好ましくは500重量%以下である。触媒の量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して0.5重量%以上であり、より好ましくは1重量%以上である。上限は通常7重量%以下であり、好ましくは3重量%以下である。アルコールの量は、好ましくはセルロース繊維100重量%に対して50重量%以上であり、より好ましくは100重量%以上である。上限は通常50000重量%以下であり、好ましくは500重量%以下である。
カチオン化の際の反応温度は通常10℃以上、好ましくは30℃以上であり、上限は通常90℃以下、好ましくは80℃以下である。反応時間は、通常10分以上であり、好ましくは30分以上である。上限は、通常は10時間以下、好ましくは5時間以下である。カチオン化反応の間必要に応じて、反応液を撹拌してもよい。
カチオン化セルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、カチオン化剤の添加量、水及び/又はアルコールの組成比率のコントロールによって調整することができる。カチオン置換度とは、セルロースを構成する単位構造(グルコピラノース環)あたりの導入された置換基の個数を示す。言い換えると、カチオン置換度は、「導入された置換基のモル数をグルコピラノース環の水酸基の総モル数で割った値」として定義される。純粋セルロースは単位構造(グルコピラノース環)あたり3個の置換可能な水酸基を有しているため、カチオン置換度の理論最大値は3(最小値は0)である。
カチオン化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。上限は、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましい。従って、0.01以上0.40以下であることが好ましく、0.02以上0.30以下がより好ましく、0.03以上0.20以下がさらに好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.01以上であることにより、十分にナノ解繊することができる。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.40以下であることにより、膨潤又は溶解を抑制することができ、これにより繊維形態を維持することができ、ナノファイバーとして得られない事態を防止することができる。
グルコース単位当たりのカチオン置換度の測定方法の一例を以下に説明する。試料(カチオン化セルロース)を乾燥させた後に、全窒素分析計TN−10(三菱化学株式会社製)で窒素含有量を測定し、次式によりカチオン置換度を算出する。ここでいうカチオン置換度とは、無水グルコース単位1モル当たりの置換基のモル数の平均値である。
カチオン置換度=(162×N)/(1−151.6×N)
N :窒素含有量
(2−2−4)エステル化セルロースナノファイバー
エステル化の方法は特に限定されないが、例えば、セルロース原料に対し下記化合物Aを反応させる方法が挙げられる。セルロース原料に対し化合物Aを反応させる方法としては例えば、セルロース原料に化合物Aの粉末又は水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーに化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高まり、且つエステル化効率が高くなることから、セルロース原料又はそのスラリーに化合物Aの水溶液を混合する方法が好ましい。
化合物Aとしては、例えば、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸、これらのエステル等が挙げられる。化合物Aは、塩の形態でもよい。上記の中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由から、リン酸系化合物が好ましい。リン酸系化合物は、リン酸基を有する化合物であればよく、例えば、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。用いられるリン酸系化合物は、1種、あるいは2種以上の組み合わせでもよい。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましい。また、反応の均一性が高まり、且つリン酸基導入の効率が高くなることから、エステル化においてはリン酸系化合物の水溶液を用いることが好ましい。リン酸系化合物の水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから、7以下が好ましく、パルプ繊維の加水分解を抑える観点から、pH3以上がより好ましい。
エステル化の方法としては例えば、以下の方法が挙げられる。セルロース原料の懸濁液(例えば、固形分濃度0.1〜10重量%)に化合物Aを撹拌しながら添加し、セルロースにリン酸基を導入する。セルロース原料を100重量部とした際に、化合物Aがリン酸系化合物の場合、化合物Aの添加量はリン元素量として、0.2重量部以上が好ましく、1重量部以上がより好ましい。これにより、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。上限は、500重量部以下が好ましく、400重量部以下がより好ましい。これにより、化合物Aの使用量に見合った収率を効率よく得ることができる。従って、0.2重量部以上500重量部以下が好ましく、1重量部以上400重量部以下がより好ましい。
セルロース原料に対し化合物Aを反応させる際、さらに下記化合物Bを反応系に加えてもよい。化合物Bを反応系に加える方法としては例えば、セルロース原料のスラリー、化合物Aの水溶液、又はセルロース原料と化合物Aのスラリーに、添加する方法が挙げられる。
化合物Bは、塩基性を示す窒素含有化合物である。「塩基性を示す」とは通常、フェノールフタレイン指示薬の存在下で化合物Bの水溶液が桃〜赤色を呈すること、または化合物Bの水溶液のpHが7より大きいことを意味する。塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。この中でも低コストで扱いやすい点で、尿素が好ましい。化合物Bの添加量は、セルロース原料を100重量部とした際に、2重量部以上1000重量部以下が好ましく、100重量部以上700重量部以下がより好ましい。反応温度は0℃以上95℃以下が好ましく、30℃以上90℃以下がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常1分以上600分以下程度であり、30分以上480分以下が好ましい。エステル化反応の条件がこれらのいずれかの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化セルロースの収率を向上させることができる。
セルロース原料に化合物Aを反応させた後、通常はエステル化セルロース懸濁液が得られる。エステル化セルロース懸濁液は必要に応じて脱水され、脱水後には加熱処理を行うことが好ましい。これにより、セルロース原料の加水分解を抑えることができる。加熱温度は、100℃以上170℃以下が好ましく、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下(さらに好ましくは110℃以下)で加熱し、水を除いた後100℃以上170℃以下で加熱処理することがより好ましい。
リン酸エステル化セルロースにおいては、セルロース原料にリン酸基置換基が導入されており、セルロース同士が電気的に反発する。そのため、リン酸エステル化セルロースは容易にナノ解繊することができる。リン酸エステル化セルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001以上が好ましい。これにより、十分な解繊(例えばナノ解繊)が実施できる。上限は、0.40が好ましい。これにより、リン酸エステル化セルロースの膨潤又は溶解を防止し、ナノファイバーが得られない事態を防止することができる。従って、0.001以上0.40以下であることが好ましい。リン酸エステル化セルロースは、煮沸後冷水で洗浄する等の洗浄処理がなされることが好ましい。これにより解繊を効率よく行うことができる。
(2−3)解繊
セルロース原料の解繊は、セルロース原料に変性処理を施す前に行ってもよいし、後に行ってもよい。また、解繊は、一度に行ってもよいし、複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊の時期はいつでもよい。
解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に強力なせん断力を印加できるものが好ましい。装置が印加できる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は、セルロース原料又は変性セルロース(通常は分散液)に上記圧力を印加することができかつ強力なせん断力を印加できる、湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。
解繊をセルロース原料の分散体に対して行う場合、分散体中のセルロース原料の固形分濃度は、通常は0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、より好ましくは0.3重量%以上である。これにより、セルロース繊維原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は通常10重量%以下、好ましくは6重量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
解繊(好ましくは高圧ホモジナイザーでの解繊)、又は必要に応じて解繊前に行う分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
(2−4)セルロースナノファイバー
本発明において、セルロースナノファイバーは、分散液のまま用いてもよいが、必要に応じ乾燥処理を行うことにより、溶媒を一部あるいは完全に除去して、湿潤固形物あるいは乾燥固形物として用いてもよい。ここで湿潤固形物とは、分散液と乾燥固形物との中間の態様の固形物である。
乾燥処理を行う際には、再分散性を向上させるために、予めセルロースナノファイバーの分散液に水溶性高分子を混合させた上で乾燥処理を行ってもよい。水溶性高分子としては例えば、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース及びその塩、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、澱粉、かたくり粉、クズ粉、陽性澱粉、燐酸化澱粉、コーンスターチ、アラビアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、ジェランガム、ペクチン、グァーガム及びコロイダルシリカ並びにそれら1つ以上の混合物が挙げられる。この中でも、カルボキシメチルセルロース及びその塩を用いることが相溶性の点から好ましい。
セルロースナノファイバーの乾燥固形物及び湿潤固形物は、セルロースナノファイバーの分散液又はセルロースナノファイバーと水溶性高分子の混合液を乾燥して調製すればよい。乾燥方法は特に限定されないが、例えば、スプレードライ、圧搾、風乾、熱風乾燥、及び真空乾燥が挙げられる。乾燥装置としては例えば、連続式のトンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置等、回分式の箱型乾燥装置、真空箱型乾燥装置、及び撹拌乾燥装置等が挙げられる。これらの乾燥装置は、単独で用いてもよいし、2つ以上組み合わせて用いてもよい。乾燥装置は、ドラム乾燥装置が好ましい。これにより、均一に被乾燥物に熱エネルギーを直接供給することができるので、エネルギー効率を高めることができる。また、必要以上に熱を加えずに直ちに被乾燥物を回収することができる。
本発明で使用されるセルロースナノファイバーは、流動性とガスバリア性に優れるので、基紙に含浸または塗工することにより、空気遮蔽性を高めることができる。
セルロースナノファイバーの好ましい塗工量は、片面当たりの固形分塗工量として0.2g/m以上5.0g/m以下であり、好ましくは0.5g/m以上3.0g/m以下である。セルロースナノファイバーの塗工量が0.2g/m未満では透気抵抗度の向上が少なく、空気遮蔽性が不足する。塗工量が5.0g/mを越えると透湿性が低下して好ましくない。
(3)吸湿剤
吸湿剤は、塩化リチウム、乳酸ナトリウムのようなアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩、リン酸アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムなどのアンモニウム塩、スルファミン酸グアニジンや塩酸グアニジンなどのグアニジン塩などを使用することができ、特に吸湿性に優れ安価な塩化カルシウムが好適に使用できる。これらの化合物は単独でも2種類以上を混合してもよい。また、吸湿剤のうち難燃剤として使用できるものは、基紙に難燃性を付与するために配合することもできる。
吸湿剤の好ましい塗工量は、0.5g/m以上20g/m以下であり、好ましくは1.0g/m以上15g/m以下である。吸湿剤の塗工量が0.5g/m未満では透湿性が不足する。また、塗工量が20g/mを越えると吸湿量が過多となり高温高湿度の環境では結露や吸湿剤の流れ出しなどが起こる危険性があり、好ましくない。吸湿剤は上記塗工量の範囲内であれば、基紙全体に含浸しても良く、片面または両面に塗工しても良い。
(4)全熱交換素子用紙
本発明の全熱交換用素子用紙は、セルロースナノファイバーを含有する薬液と吸湿剤を含有する薬液とを、製紙用繊維からなる基紙に含浸または塗工することにより製造することができる。
セルロースナノファイバーを含有する薬液と吸湿剤を含有する薬液とは、同一の薬液とすることが、各成分の塗工量を正確に見積もることができるため好ましい。セルロースナノファイバーと吸湿剤とを含有する薬液は、セルロースナノファイバーの分散液に、吸湿剤を添加することにより得られる。セルロースナノファイバー分散液に添加する吸湿剤の割合は、固形分質量部でセルロースナノファイバーの1質量部に対し吸湿剤を2質量部以上30質量部以下、好ましくは5質量部以上20質量部以下配合する。吸湿剤の配合が2質量部未満では十分な透湿性が得られない。また、吸湿剤の配合割合が30質量部を越えると透気抵抗度が不足して好ましくない。
本発明の薬液には、必要に応じて、耐水化剤、難燃剤、防錆剤、抗菌剤、制菌剤、ブロッキング防止剤等の通常使用される各種機能性助剤を添加しても良い。また、薬液を基紙に塗工する場合は、少なくとも片面に塗布するが、両面に塗布する際は両面とも同じ薬液でも良く、各面で配合や組成の異なる薬液を用いても良い。
本発明の全熱交換素子用紙は、セルロースナノファイバーを塗布することにより、優れた透気抵抗度を発揮することができる。水溶性高分子物質は、ブロッキングが発生しない範囲で添加することが可能であるが、その量は2.0g/m未満であることが好ましく、0.5g/m未満であることがさらに好ましい。上記水溶性高分子物質とは、ポリビニルアルコール、澱粉、澱粉誘導体、ポリエチレンオキサイド、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース塩、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
上記のように調製されたセルロースナノファイバーを含有する薬液を基紙に塗工する方法としては、ロッドコーター、ダイコーター、カーテンコーター、2ロールサイズプレス、ロッドメタリングサイズプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター等の塗工機によって塗布する方法や、含浸する方法を挙げることができる。
湿潤塗工層を乾燥させる方法としては、特に制限はなく、例えば蒸気加熱シリンダー、熱風エアドライヤー、ガスヒータードライヤー、電気ヒータードライヤー、赤外線ヒータードライヤー等各種の方法を単独もしくは併用して用いることができる。
得られた塗工紙は、必要に応じて、スーパーカレンダー、熱圧ロール等でカレンダー処理を施してもよい。カレンダー処理を施すことによって、厚さが減少して厚さ方向の熱伝導性が向上し、高密度化することによって透気抵抗度が高まり空気遮蔽性が向上する。
かくして製紙用繊維、吸湿剤、セルロースナノファイバーを含有する用紙が得られるが、該用紙は空気遮蔽性と透湿性を兼備し、全熱交換素子用紙として好適に使用できる。
全熱交換素子用紙の坪量は10g/m以上70g/m以下が好ましく、さらに好ましくは15g/m以上40g/m以下であり、最も好ましくは20g/m以上35g/m以下である。坪量が10g/m未満では強度が著しく低下して全熱交換素子へ加工する際の作業性が低下する。坪量が70g/mを越えると厚さ方向の全熱交換効率が低下して好ましくない。
全熱交換素子用紙の厚さは8μm以上80μm以下が好ましく、この範囲内では薄いほうが全熱交換効率が高くなる傾向が見られるため、より好ましい。厚さが8μm未満では強度が著しく低下して全熱交換素子へ加工する際の作業性が低下する。また、厚さが80μmを越えると厚さ方向の全熱交換効率が低下して好ましくない。
全熱交換素子用紙の透気抵抗度は700秒以上とすることが好ましい。透気抵抗度が700秒未満では基紙の透気抵抗度と大差がなく、セルロースナノファイバーを塗工する意味がない。熱交換換気装置に使用されている熱交換素子用紙の透気抵抗度が高くなると新鮮な給気と汚れた排気の間で空気が混合し難くなり、特に炭酸ガス移行率が低下するため、給気と排気を分離する空気遮蔽性が向上する。特許文献3には、透気抵抗度が200秒以上のとき炭酸ガス移行率は5%以下になり、透気抵抗度が5000秒以上のとき炭酸ガス移行率は1%以下に抑えることができることが開示されており、特許文献5では透気抵抗度が500秒以上であれば、全熱交換素子用紙として使用することが可能であるとされている。
全熱交換素子用紙の透湿度は800g/m・24hr以上が好ましく、さらに好ましくは1000g/m・24hr以上である。透湿度は全熱交換素子用紙の潜熱交換効率の指標として有効であり、透湿度が高い方が潜熱交換効率は高くなり、一方、透湿度が800g/m・24hr未満では必要とされる潜熱交換効率が得られない。
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明における各特性の定義および測定方法は以下のとおりである。
[測定方法]
(1)坪量
250mm×200mmの大きさの試料を重量既知の秤量瓶に入れ、105℃で2時間乾燥した後の重量を測定し、試料1平方メートルあたりの絶乾重量を算出して、坪量(g/m)とした。
(2)付着量
基紙1平方メートルあたりに塗布した塗工液のウェット重量に塗工液の固形分濃度を乗じて全付着量(g/m)とした。また、塗工液に含まれるセルロースナノファイバーと吸湿剤の固形分構成比で全付着量を案分してセルロースナノファイバー付着量(g/m)と吸湿剤付着量(g/m)を算出した。
(3)厚さ
試料を25℃、35%RHの恒温恒湿槽内で1時間調和した後、ハイブリッヂ紙厚計で5点の厚さを測定し、平均値を算出して厚さ(μm)とした。
(4)透湿度
JIS Z0208(1976)透湿度(カップ法)に規定する器具を用い、測定環境の温湿度条件を変更して測定を行った。試験片を装着した透湿カップを20℃、65%RHに設定した恒温恒湿槽内に24時間静置して重量増加を測定し、測定面積1平方メートルの24時間あたりの重量変化を算出して透湿度(g/m・24hr)とした。
(5)透気抵抗度
JIS P8117(2009)透気度および透気抵抗度に記載の王研式試験機法に準拠して5回の測定の平均値を算出し、透気抵抗度(王研)(秒)とした。
[基紙の製造]
針葉樹晒クラフトパルプ40質量%と広葉樹晒クラフトパルプ60質量%をカナダ標準ろ水度250mlCSFになるように混合叩解し、パルプ質量に対してポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系湿潤紙力剤(星光PMC株式会社製、商品名:WS−535)を絶乾量で0.25質量%添加して抄紙原料を調成し、長網式抄紙機で抄紙後、スーパーカレンダー処理して坪量32g/m2(絶乾重量)の塗工用基紙を得た。
[カルボキシメチル化セルロースナノファイバーの製造]
パルプを混ぜることができる撹拌機に、針葉樹晒クラフトパルプ(日本製紙株式会社製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g(発底原料の無水グルコース残基当たり2.25倍モル)加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分撹拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算、パルプのグルコース残基当たり1.5倍モル)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシメチル化したパルプを得た。これを水で固形分1.2%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊しカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(以下、CM−CNFという)を得た。平均繊維径は15nm、アスペクト比は50であった。
<実施例1>
CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)90質量部に水45質量部と塩化カルシウム(セントラル硝子株式会社製)17.6質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで上記塗工液を塗工し、乾燥して本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)90質量部へ塩化カルシウム(セントラル硝子株式会社製)5.52質量部を加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し、乾燥して本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<実施例3>
塩化カルシウムの配合部を11.7質量部としたこと以外は実施例2と同様にして本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<実施例4>
CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)60質量部に水30質量部と塩化カルシウム(セントラル硝子株式会社製)11.7質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し、乾燥して本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定して表1に示した。
[カルボキシル化セルロースナノファイバーの製造]
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mlに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウムが5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。
反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水洗することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.1%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、カルボキシル化セルロースナノファイバー(以下、T−CNFという)の水分散液を得た。平均繊維径は3nm、アスペクト比は250であった。
<実施例5>
T−CNFの水分散液(固形分濃度1.1質量%)120質量部に水60質量部と塩化カルシウム(セントラル硝子株式会社製)25.2質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し乾燥してT−CNFと塩化カルシウムの片面塗工紙を得た。この片面塗工紙の反対面に、T−CNFの水分散液(固形分濃度1.1質量%)90質量部へ水45質量部を加えて翼付撹拌機で分散した塗工液をマイヤーバーで塗工後、乾燥して両面に塗工が施された本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
[カチオン化セルロースナノファイバーの製造]
パルプを撹拌することができるパルパーに、針葉樹晒クラフトパルプ(日本製紙株式会社製)を乾燥重量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥重量で24g加え、パルプ固形濃度が15%になるように水を加えた。その後、30℃で30分撹拌した後に70℃まで昇温し、カチオン化剤として3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドを200g(有効成分換算)添加した。1時間反応した後に、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカチオン置換度0.05のカチオン変性されたパルプを得た。これを固形濃度1.2%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、140MPaの圧力で2回処理しカチオン化セルロースナノファイバー(以下、C−CNFという)を得た。平均繊維径は25nm、アスペクト比は50であった。
<実施例6>
C−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)90質量部に水45質量部と塩化カルシウム(セントラル硝子株式会社製)17.6質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し乾燥してC−CNFと塩化カルシウムの片面塗工紙を得た。この片面塗工紙の反対面に、C−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)90質量部へ水45質量部を加えて翼付撹拌機で分散した塗工液をマイヤーバーで塗工、乾燥して両面に塗工が施された本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<実施例7>
CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)90質量部に水45質量部と塩化カルシウム(セントラル硝子株式会社製)17.6質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し乾燥してCM−CNFと塩化カルシウムの片面塗工紙を得た。この片面塗工紙の反対面に、CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)60質量部へ水30質量部を加えて翼付撹拌機で分散した塗工液をマイヤーバーで塗工、乾燥して両面に塗工が施された本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<実施例8>
CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)60質量部に水30質量部と酢酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)3.6質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し、乾燥して本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。
結果を表1に示す。
<実施例9>
CM−CNFの水分散液(固形分濃度1.2質量%)60質量部に水30質量部と塩化リチウム(和光純薬工業株式会社製)3.6質量部とを加えて翼付撹拌機で分散、溶解して塗工液を調製した。基紙の片面にマイヤーバーで前記塗工液を塗工し、乾燥して本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<ブロッキング性評価>
実施例5の両面塗工紙から50mm×80mmの試験片2枚を切り出し、F面(フェルト面)側とW面(ワイヤー面)側を重ね、20℃、75%RHの恒温恒湿槽内で15分間調和した後、ロール温度90℃、ロール線圧40kg/cmの1ニップ式カレンダー装置(由利ロール機械株式会社製)を通して2枚の試験片を圧着した。圧着した試験片の長手方向の一端を少し剥がし、1枚の端部をデジタルフォースゲージ(日本電産シンポ株式会社製、装置名:FGP−0.5型)に装着した試料掴み部に挟み、他の1枚の端部を手でつかんで引張り、長手方向に約70mm剥がして剥離抵抗の最大値を読み取り、試料幅5cmあたりの剥離抵抗とした。熱圧ロールを用いて強制圧着された試験片の剥離抵抗は50g/5cm以下であり、ブロッキング性は極めて弱いと評価した。
また、その他の実施例のブロッキング性においても、圧着させた一部が剥がれず、母材が破壊されることはなかった。
<比較例1>
CM−CNFを無配合としたこと以外は実施例1と同様にして本発明の全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。なお、基紙はカレンダー処理での高密度化により紙厚が薄く、透気抵抗度が高くなっていたが、塗工過程による湿潤と乾燥作用により密度、厚さ、透気抵抗度はカレンダー処理前に近い状態に戻り、紙厚が厚く、透気抵抗度が低くなった。
<比較例2>
塩化カルシウムを無配合とし、CM−CNF付着量が0.3g/m2となるようにした以外は実施例1と同様にして全熱交換素子用紙を得た。この用紙について付着量、透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<比較例3>
塗工を行っていない基紙について透気抵抗度、透湿度を測定した。結果を表1に示す。
<比較例4>
坪量55g/mの難燃紙(透気抵抗度 4秒)の片面に、固形分換算でポリビニルアルコール(株式会社クラレ製)14質量部、塩化リチウム(和光純薬工業株式会社製)10質量部、水76質量部からなる塗工液を塗布、乾燥して、片面に吸湿剤を含む水溶性高分子層が塗工された全熱交換素子用紙を作製した。この用紙の吸湿剤塗布量は固形分換算で2.5g/m、ポリビニルアルコール塗布量は固形分換算で3.5g/mであった。透気抵抗度は23000秒、透湿度は1200g/m・24hrであり、全熱交換素子用紙として十分な空気遮蔽性と透湿性を有していた。
この用紙について、前記ブロッキング性評価と同様の方法で熱圧ロールを用いた強制圧着試験を行い、剥離抵抗を測定した結果、剥離抵抗が300g/cm以上と極めて大きく、一部は剥がれずに母材が破壊したため、ブロッキング性が非常に強いと評価した。
実施例1〜9から明らかなように、高叩解しない原料からなる基紙を用いても、セルロースナノファイバーを配合した塗工層を設けることにより、透湿性を低下させることなく透気抵抗度を高めることができる。また、両面塗工した場合でも片面塗工の透湿度を維持して透気抵抗度を大幅に高めることができる。
Figure 0006927969

Claims (4)

  1. 製紙用繊維として100mlCSF以上500mlCSF以下のパルプを含む基紙と、
    前記基紙の少なくとも一面に、吸湿剤、セルロースナノファイバーを含有する塗工層と、
    を有し、
    前記吸湿剤が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、グアニジン塩のいずれかであり、
    透気抵抗度が700秒以上であることを特徴とする全熱交換素子用紙。
  2. 前記製紙用繊維が、セルロース繊維であることを特徴とする請求項1に記載の全熱交換素子用紙。
  3. 前記セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー、カルボキシル化セルロースナノファイバー、カチオン化セルロースナノファイバー、エステル化セルロースナノファイバーの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または2に記載の全熱交換素子用紙。
  4. 製紙用繊維として100mlCSF以上500mlCSF以下のパルプを含む基紙の少なくとも片面に、吸湿剤とセルロースナノファイバーとを含有する薬液を塗工し、
    前記吸湿剤が、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、グアニジン塩のいずれかであることを特徴とする全熱交換素子用紙の製造方法。
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