JP6924440B2 - 鉄道車両の摩擦係数演算方法及び走行安全性評価方法並びに軌道の潤滑状態管理方法 - Google Patents

鉄道車両の摩擦係数演算方法及び走行安全性評価方法並びに軌道の潤滑状態管理方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際の車輪とレールとの間の摩擦係数を演算する方法、及びこの摩擦係数演算方法を用いた鉄道車両の走行安全性評価方法、並びにこの走行安全性評価方法を用いた軌道の潤滑状態管理方法に関する。特に、本発明は、鉄道車両の台車が具備する一対の輪軸のうち前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数を精度良く演算する方法、及びこの摩擦係数演算方法を用いた鉄道車両の走行安全性評価方法、並びにこの走行安全性評価方法を用いた軌道の潤滑状態管理方法に関する。
従来、鉄道車両の走行安全性を評価する上で、車輪に加わる横圧Qと輪重Pとの比によって表わされる脱線係数Q/Pが広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。そして、脱線係数Q/Pの大小を評価する上で、限界脱線係数という指標が用いられている。限界脱線係数は、Nadalの式と称される以下の式(1)で与えられるものであり、車輪とレールとの接触角αと、車輪とレールとの間の摩擦係数μとによって決まる値である。
限界脱線係数(Q/P)cr=(tanα−μ)/(1+μtanα)・・・(1)
脱線係数Q/Pが上記の限界脱線係数(Q/P)crを超えると、脱線が生じる可能性が高まる。特に、鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際、鉄道車両の台車が具備する前側輪軸が有する外軌側車輪の脱線係数(外軌脱線係数)Q/Pが限界脱線係数(Q/P)crを超えるか否かが問題となる。
ところが、通常は、限界脱線係数(Q/P)crを算出するのに必要な摩擦係数μ、特に、前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数μ1outを精度良く測定する手段がない。このため、例えば摩擦係数μ1outを0.3と仮定し、この場合に算出される限界脱線係数(Q/P)crの値に安全係数としての0.85を乗算し、この乗算値を外軌脱線係数Q/Pの上限の目安として用いる場合がある。
しかしながら、車輪とレールとの間の摩擦係数μ1outの値は、レールの潤滑状態や天候等に左右されるため、常に0.3であるとは限らない。仮に車輪とレールとの接触角α=60°とした場合、摩擦係数μ1out、限界脱線係数(Q/P)cr及び外軌脱線係数Q/Pの上限の目安の関係は以下の表1に示す通りとなる。
Figure 0006924440
表1に示すように、摩擦係数μ1outの値が大きくなればなるほど、限界脱線係数(Q/P)crの値は小さくなる。例えば、測定した外軌脱線係数Q/Pの値がその上限の目安である0.80と等しかった場合(安全であると判定される場合)に、実際の摩擦係数μ1outが0.3より大きければ、既に外軌脱線係数Q/Pが限界脱線係数(Q/P)crを超えて脱線し得る危険領域に達している可能性がある。例えば、実際の摩擦係数μ1out=0.5であれば、表1に示すように、限界脱線係数(Q/P)cr=0.66となるため、測定した外軌脱線係数Q/P=0.80であれば、既に限界脱線係数(Q/P)crを超えて脱線し得る危険領域に達している。
また、逆に実際の摩擦係数μ1outの値が0.3より小さければ、危険性を過剰に見積もっていることになる。例えば、実際の摩擦係数μ1out=0.1であれば、表1に示すように、限界脱線係数(Q/P)cr=1.39となるため、測定した外軌脱線係数Q/P=0.80であれば、鉄道車両の走行安全性には問題が無いと考えられる。実際、降雨等で摩擦係数μ1outの値が小さくなると、車輪の自己操舵性が失われることで、外軌脱線係数Q/Pの値は増加する。しかしながら、限界脱線係数(Q/P)crの値も増加することから、鉄道車両の走行安全性には問題が無い場合がある。ところが、固定値の摩擦係数μ1out=0.3のみで限界脱線係数(Q/P)crを評価すると、上記のような走行安全性に問題が無い場合であっても危険であると判定してしまうおそれがある。
このように、限界脱線係数は鉄道車両の走行安全性を評価する上で重要な指標であるにも関わらず、車輪とレールとの間の摩擦係数、特に、前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数を精度良く測定できないに起因して、限界脱線係数の実際の値は不明であった。このため、鉄道車両の走行安全性を正確に評価し難いという問題があった。
なお、特許文献2には、車輪とレールとの間に生じる接線力を測定する方法が開示されている(特許文献2の段落0025、0026)。
また、特許文献3には、輪重と横圧とを測定可能なPQモニタリング台車が開示されている。
特開2006−88967号公報 特開2016−113018号公報 特開2015−51674号公報
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、鉄道車両の台車が具備する一対の輪軸のうち前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数を精度良く演算する方法を提供することを課題とする。また、この摩擦係数演算方法を用いた鉄道車両の走行安全性評価方法、及びこの走行安全性評価方法を用いた軌道の潤滑状態管理方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明者らは、鋭意検討した結果、車輪とレールとの間の摩擦係数と、内軌脱線係数(前側輪軸が有する内軌側車輪に加わる横圧と輪重との比)や車輪とレールとの間に生じる接線力(車輪とレールとの間に生じる前後方向のクリープ力)とが相関を有することを利用すれば、比較的容易に測定可能な内軌脱線係数や接線力を測定することで、これに相関を有する摩擦係数を精度良く演算可能ではないかと考えた。
具体的には、車体や台車等の重量や慣性モーメントなど鉄道車両の諸元を反映した解析モデルに対して、摩擦係数を変数とする運動解析を実行する(摩擦係数を種々の値に変更して、各摩擦係数の値について運動解析を実行する)ことで、複数の異なる値の摩擦係数毎に内軌脱線係数及び接線力を算出可能である。これにより、摩擦係数と内軌脱線係数及び接線力との間の相関関係を同定でき、測定した内軌脱線係数及び接線力にこの同定した相関関係を適用すれば、摩擦係数を精度良く演算できるのではないかと考えた。
本発明は、上記の本発明者らの新しい着眼に基づき完成したものである。
すなわち、前記課題を解決するため、本発明は、走行方向の前後に一対の輪軸を具備する台車を備えた鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際の、前記一対の輪軸のうち前側輪軸が有する外軌側車輪と前記曲線区間における外軌との間の摩擦係数μ1outを演算する方法であって、以下の各工程を含むことを特徴とする鉄道車両の摩擦係数演算方法を提供する。
(1)運動解析工程:前記鉄道車両の諸元を反映した解析モデルに対して、前記摩擦係数μ1outと、前記前側輪軸が有する内軌側車輪と前記曲線区間における内軌との間の摩擦係数μ1inと、前記一対の輪軸のうち後側輪軸が有する外軌側車輪と前記外軌との間の摩擦係数μ2outと、前記後側輪軸が有する内軌側車輪と前記内軌との間の摩擦係数μ2inとを変数とする運動解析を実行することで、複数の異なる値の前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に、前記前側輪軸が有する内軌側車輪に加わる横圧Q1inと輪重P1inとの比Q1in/P1inによって表わされる内軌脱線係数κと、前記前側輪軸が有する内軌側車輪と前記内軌との間に生じる接線力T1inと前記輪重P1inとの比T1in/P1inによって表わされる前側接線力指標Taと、前記後側輪軸が有する外軌側車輪と前記外軌との間に生じる接線力T2outと前記後側輪軸が有する外軌側車輪に加わる輪重P2outとの比T2out/P2out及び前記後側輪軸が有する内軌側車輪と前記内軌との間に生じる接線力T2inと前記後側輪軸が有する内軌側車輪に加わる輪重P2inとの比T2in/P2inの平均値(T2out/P2out+T2in/P2in)/2によって表わされる後側接線力指標Tbとを算出する。
(2)同定工程:前記運動解析工程において前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に算出した前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbに基づき、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを入力とし、前記摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定する。
(3)測定工程:前記鉄道車両が前記曲線区間を走行する際に、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを測定する。
(4)摩擦係数演算工程:前記測定工程で測定した前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを、前記同定工程で同定した前記入出力関係の入力として用いることで、出力としての前記摩擦係数μ1outを演算する。
本発明に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法によれば、運動解析工程において、前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数μ1outと、他の3つの車輪とレールとの間の摩擦係数μ1in、μ2out及びμ2inとを変数とする運動解析を実行する。運動解析は、例えば、市販の汎用機構解析ソフトを利用して実行可能である。これにより、複数の異なる値の摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを算出可能である。
内軌脱線係数κは、前側輪軸が有する内軌側車輪に加わる横圧Q1inと輪重P1inとの比Q1in/P1inによって表わされる。
前側接線力指標Taは、接線力T1inと輪重P1inとの比T1in/P1inによって表わされる。接線力T1inは、前側輪軸が有する内軌側車輪と内軌との間に生じる接線力である。輪重P1inは、前述の通り、前側輪軸が有する内軌側車輪に加わる輪重である。
後側接線力指標Tbは、接線力T2outと輪重P2outとの比T2out/P2out及び接線力T2inと輪重P2inとの比T2in/P2inの平均値(T2out/P2out+T2in/P2in)/2によって表わされる。接線力T2outは、後側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間に生じる接線力である。輪重P2outは、後側輪軸が有する外軌側車輪に加わる輪重である。接線力T2inは、後側輪軸が有する内軌側車輪と内軌との間に生じる接線力である。輪重P2inは、後側輪軸が有する内軌側車輪に加わる輪重である。
なお、「複数の異なる値の摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に・・・(中略)・・・内軌脱線係数κと、・・・(中略)・・・前側接線力指標Taと、・・・(中略)・・・後側接線力指標Tbとを算出する」とは、4つの摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせのうち、少なくとも何れか1つの摩擦係数の値が、他の組み合わせにおける当該少なくとも何れか1つの摩擦係数の値と異なる複数の組み合わせ毎に、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを算出することを意味する。
次いで、本発明に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法によれば、同定工程において、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に算出した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbに基づき、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを入力とし、摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定する。摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に算出した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tb、すなわち、複数の異なる値の摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbの組み合わせが運動解析工程で得られれば、これらを用いることで、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを入力とし、摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定可能である。
なお、同定する入出力関係において、摩擦係数μ1inを入力とする必要がないのは、摩擦係数μ1inと内軌脱線係数κとが強い相関を有し、一方の内軌脱線係数κを入力とするからである。また、同定する入出力関係において、摩擦係数μ2out及びμ2inを入力とする必要がないのは、摩擦係数μ2out及びμ2inと後側接線力指標Tbとが強い相関を有し、一方の後側接線力指標Tbを入力とするからである。換言すれば、運動解析工程において、内軌脱線係数κ及び後側接線力指標Tbを変数とする運動解析を実行することができない(内軌脱線係数κ及び後側接線力指標Tbは運動解析を実行した結果として得られるものである)ため、変数として、内軌脱線係数κの代わりに摩擦係数μ1inを用い、後側接線力指標Tbの代わりに摩擦係数μ2out及びμ2inを用いて運動解析を実行するものの、同定工程においては、運動解析を実行した結果として得られる内軌脱線係数κ及び後側接線力指標Tbを用いることができるため、これらを入出力関係の入力としている。
この同定工程においてできるだけ精度の良い入出力関係を同定するには、運動解析工程に用いる変数である摩擦係数μ1out、摩擦係数μ1in、μ2out及びμ2inの変動範囲をできるだけ広く設定すると共に、変動ピッチをできるだけ小さく設定することが好ましい。
次いで、本発明に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法によれば、測定工程において、鉄道車両が曲線区間を走行する際に、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを測定する。
内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbは、公知の方法を用いて測定(算出)可能である。
最後に、本発明に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法によれば、摩擦係数演算工程において、測定工程で測定した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを、同定工程で同定した入出力関係の入力として用いることで、出力としての摩擦係数μ1outを精度良く演算可能である。
以上のように、本発明に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法によれば、鉄道車両の台車が具備する一対の輪軸のうち前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数を精度良く演算可能である。
好ましくは、前記測定工程において、前記前側輪軸と、前記台車が具備する台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで、前記接線力T1inを算出し、前記後側輪軸と、前記台車が具備する台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで、前記接線力T2out及びT2inを算出し、前記横圧Q1inと、前記輪重P1in、P2out及びP2inとを測定し、前記算出した接線力T1in、T2out及びT2inと、前記測定した横圧Q1in並びに前記輪重P1in、P2out及びP2inとに基づき、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを算出する。
上記の好ましい方法によれば、前側輪軸と、台車が具備する台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで、接線力T1inを算出する。同様に、後側輪軸と、台車が具備する台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで、接線力T2out及びT2inを算出する。輪軸と台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで接線力を算出する方法は公知であり、例えば、特許文献2に記載のように、輪軸が有する車輪を支持する軸箱体を台車枠に連結する軸箱体支持リンク(上記の好ましい方法における「連結する部材」に相当)に歪ゲージを貼り付けておき、歪ゲージで測定した歪を応力(荷重)に換算して接線力を算出する方法を例示できる。
また、上記の好ましい方法によれば、横圧Q1inと、輪重P1in、P2out及びP2inとを測定する。各車輪に加わる輪重及び横圧は、例えば、特許文献3に記載のようなPQモニタリング台車を用いれば容易に測定可能である。
そして、上記の好ましい方法によれば、算出した接線力T1in、T2out及びT2inと、測定した横圧Q1in並びに輪重P1in、P2out及びP2inとに基づき、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを算出可能である。
好ましくは、前記運動解析工程において、前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに前記曲線区間の曲率半径rを変数とする運動解析を実行することで、複数の異なる値の前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに前記曲率半径rの組み合わせ毎に、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを算出し、前記同定工程において、前記運動解析工程において前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに前記曲線区間の曲率半径rの組み合わせ毎に算出した前記内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbに基づき、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tb並びに前記曲率半径rを入力とし、前記摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定し、前記測定工程において、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tb並びに前記曲率半径rを測定し、前記摩擦係数演算工程において、前記測定工程で測定した前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tb並びに前記曲率半径rを、前記同定工程で同定した前記入出力関係の入力として用いることで、出力としての前記摩擦係数μ1outを演算する。
上記の好ましい方法によれば、運動解析工程において、変数として曲線区間の曲率半径rを更に含めた運動解析を実行することで、同定工程において、入力として曲率半径rを更に含めた入出力関係を同定可能である。そして、測定工程において、公知の方法を用いて曲率半径rを更に測定すれば、摩擦係数演算工程において、曲率半径rの値に応じた摩擦係数μ1outを演算可能である。
すなわち、上記の好ましい方法によれば、曲率半径rの異なる複数の曲線区間について、摩擦係数μ1outを精度良く演算可能である。
好ましくは、前記測定工程において、前記鉄道車両の走行位置を測定し、該測定した走行位置と前記軌道の諸元についてのデータベースとに基づき、前記曲率半径rを算出する。
上記の好ましい方法によれば、車輪の回転数等を用いた公知の方法で鉄道車両の走行位置(基準点からの走行距離等)を測定し、曲線区間の曲率半径rなど軌道の諸元について記憶されたデータベースを参照し、測定した走行位置における曲線区間の曲率半径rをデータベースから抽出することで、曲率半径rを算出可能である。
また、前記課題を解決するため、本発明は、以下の各工程を含むことを特徴とする鉄道車両の走行安全性評価方法としても提供される。
(1)限界脱線係数演算工程:上記の何れかに記載の方法を用いて演算した前記摩擦係数μ1outを用いて、限界脱線係数を演算する。
(2)外軌脱線係数演算工程:鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際に、前記前側輪軸が有する前記外軌側車輪に加わる輪重及び横圧を測定し、該測定した横圧と輪重との比によって、外軌脱線係数を演算する。
(3)評価工程:前記限界脱線係数演算工程で演算した前記限界脱線係数と、前記外軌脱線係数演算工程で演算した前記外軌脱線係数との大小関係に基づき、前記鉄道車両の走行安全性を評価する。
本発明に係る鉄道車両の走行安全性評価方法によれば、限界脱線係数演算工程において、前述した何れかの方法を用いて精度良く演算した摩擦係数μ1outを用いて、限界脱線係数を精度良く演算可能である。この限界脱線係数演算工程で演算した限界脱線係数は、従来のように固定値の摩擦係数(例えば、0.3)を用いて演算したものではなく、実際に測定した接線力等を用いて演算したものである。このため、評価工程において、外軌脱線係数演算工程で演算した外軌脱線係数との大小関係に基づき、鉄道車両の走行安全性を評価すれば、従来のように安全であると判定したにも関わらず既に外軌脱線係数が限界脱線係数を超えて脱線し得る危険領域に達している可能性や、逆に危険性を過剰に見積もる可能性を大きく低減することができる。すなわち、鉄道車両の走行安全性を正確に評価することができる。
さらに、前記課題を解決するため、本発明は、上記に記載の方法を用いて前記鉄道車両の走行安全性を評価した結果、安全ではないと判定した場合に、前記曲線区間におけるレールに潤滑材を供給する潤滑材供給工程を含むことを特徴とする軌道の潤滑状態管理方法としても提供される。
本発明に係る軌道の潤滑状態管理方法によれば、前述した方法を用いて鉄道車両の走行安全性を正確に評価した結果、安全ではないと判定した場合に、曲線区間におけるレールに潤滑材を供給する。このため、適切なタイミングで車輪とレールとの間の摩擦係数が低減され、鉄道車両が脱線するおそれを回避可能である。
本発明によれば、鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際の、鉄道車両の台車が具備する一対の輪軸のうち前側輪軸が有する外軌側車輪と外軌との間の摩擦係数を精度良く演算可能である。
本発明の一実施形態に係る軌道の潤滑状態管理方法を適用する鉄道車両の構成例を部分的に示す図である。 本発明の一実施形態に係る軌道の潤滑状態管理方法の概略手順を示すフロー図である。 鉄道車両の諸元の一例を示す図である。 図2に示す同定工程S12において同定された入出力関係の一例を示す図である。 図2に示す同定工程S12を説明する説明図である。 図2に示す摩擦係数演算工程S14を説明する説明図である。 図2に示す摩擦係数演算工程S14を説明する説明図である。 図2に示す摩擦係数演算工程S14を説明する説明図である。 図2に示す摩擦係数演算工程S14を説明する説明図である。 図2に示す摩擦係数演算工程S14を説明する説明図である。 図2に示す摩擦係数演算手順S1を評価した結果の一例を示す図である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法、及びこの摩擦係数演算方法を用いた鉄道車両の走行安全性評価方法、並びにこの走行安全性評価方法を用いた軌道の潤滑状態管理方法の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る軌道の潤滑状態管理方法を適用する鉄道車両の構成例を部分的に示す図である。図1(a)は鉄道車両が備える台車の概略構成例を示す側面図であり、図1(b)は鉄道車両が軌道の曲線区間を走行している際に生じる接線力及び摩擦係数を説明する模式的平面図である。また、図2は、本実施形態に係る軌道の潤滑状態管理方法の概略手順を示すフロー図である。
図2に示すように、本実施形態に係る軌道の潤滑状態管理方法は、鉄道車両の摩擦係数演算手順S1と、鉄道車両の走行安全性評価手順S2と、軌道の潤滑状態管理手順S3とを含んでいる。鉄道車両の摩擦係数演算手順S1が、本実施形態に係る鉄道車両の摩擦係数演算方法に相当する。鉄道車両の摩擦係数演算手順S1及び鉄道車両の走行安全性評価手順S2を組み合わせた手順が、本実施形態に係る鉄道車両の走行安全性評価方法に相当する。
以下、各手順S1〜S3について、順に説明する。
<1.鉄道車両の摩擦係数演算手順S1>
図1に示すように、本実施形態の鉄道車両の摩擦係数演算手順S1は、走行方向Aの前後(図1の左右)に一対の輪軸1(1a、1b)を具備する台車100を備えた鉄道車両が軌道R(外軌R1、内軌R2)の曲線区間を走行する際の、前側輪軸(走行方向Aの前側に位置する輪軸)1aが有する外軌側車輪11と曲線区間における外軌R1との間の摩擦係数μ1outを演算する手順である。
台車100は、台車枠2と、鉄道車両が備える車体200と台車枠2とを連結し車体200を支持する空気ばね3と、輪軸1をベアリングを介して支持する軸箱体4と、軸箱体4を台車枠2に連結する軸箱体支持リンク5とを備えている。また、本実施形態の台車100は、後述のように接線力T1in、T2out及びT2inを測定するために、軸箱体支持リンク5に貼り付けられた歪ゲージ6を備えている。そして、本実施形態の台車100としては、適宜の手段で輪重Pと横圧Qとを測定可能なPQモニタリング台車が用いられている。台車100が備える上記の構成要素及びその他の構成要素は、公知の台車と同様であるため、その詳細な説明は省略する。なお、図1では、1台の台車100のみを図示しているが、実際には、車体200に前後1対の台車100が連結されている。
図2に示すように、鉄道車両の摩擦係数演算手順S1は、運動解析工程S11と、同定工程S12と、測定工程S13と、摩擦係数演算工程S14とを含んでいる。
(1−1.運動解析工程S11)
運動解析工程S11では、例えば、図3に示すような車体200や台車枠2等の質量や慣性モーメントなど鉄道車両の諸元を反映した解析モデルを作成する。そして、この解析モデルに対して、前側輪軸1aが有する外軌側車輪11と外軌R1との間の摩擦係数μ1outと、台車100が有する他の3つの車輪(前側輪軸1aが有する内軌側車輪12、後側輪軸1bが有する外軌側車輪13及び後側輪軸1bが有する内軌側車輪14)とレールRとの間の摩擦係数μ1in、μ2out及びμ2inとを変数とする運動解析を実行する。
すなわち、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inを種々の値に変更して、運動解析を実行する。前述のように、車体200には前後1対の台車100が連結されているため、解析モデルにも前後1対の台車100が存在し、双方の台車100について上記の摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inを変数とする運動解析を実行する。前後の台車100についての摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inは、各々の台車100で同じ値として運動解析を実行することになる。
例えば、摩擦係数μ1outについては、変動範囲が0.1〜0.7で、変動ピッチが0.1である7つの値で運動解析を実行し、摩擦係数μ1in、μ2out及びμ2inについても同様に、変動範囲が0.1〜0.7で、変動ピッチが0.1である7つの値で運動解析を実行することが考えられる。具体的には、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの値の組み合わせ(7×7×7×7=計2401通り)を変更し、鉄道車両が所定の曲線区間を所定の走行速度で走行することを想定して、運動解析を実行する。
運動解析は、市販の汎用機構解析ソフトを利用して実行可能であり、例えば、ダッソー・システムズ(株)製マルチボディダイナミクス解析ツール「Simpack」を好適に利用可能である。この運動解析を実行することで、複数の異なる値の摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを算出可能である。
内軌脱線係数κは、前側輪軸1aが有する内軌側車輪12に加わる横圧Q1inと輪重P1inとの比Q1in/P1inによって表わされる。
前側接線力指標Taは、接線力T1inと輪重P1inとの比T1in/P1inによって表わされる。接線力T1inは、前側輪軸1aが有する内軌側車輪12と内軌R2との間に生じる接線力である。輪重P1inは、前述の通り、前側輪軸1aが有する内軌側車輪12に加わる輪重である。
後側接線力指標Tbは、接線力T2outと輪重P2outとの比T2out/P2out及び接線力T2inと輪重P2inとの比T2in/P2inの平均値(T2out/P2out+T2in/P2in)/2によって表わされる。接線力T2outは、後側輪軸1bが有する外軌側車輪13と外軌R1との間に生じる接線力である。輪重P2outは、後側輪軸1bが有する外軌側車輪13に加わる輪重である。接線力T2inは、後側輪軸1bが有する内軌側車輪14と内軌R2との間に生じる接線力である。輪重P2inは、後側輪軸1bが有する内軌側車輪14に加わる輪重である。
運動解析工程S11で算出する必要のある接線力は、接線力T1in、T2out及びT2inであるが、図1に示すように、前側輪軸1aが具備する外軌側車輪11と外軌R1との間にも、接線力T1inと大きさ(絶対値)が略同等で逆向きの接線力T1outが生じる。運動解析を実行することにより、これら接線力T1out、T1in、T2out及びT2inの全てを算出可能である。しかしながら、鉄道車両の摩擦係数演算手順S1では接線力T1in、T2out及びT2inのみが必要であるため、運動解析工程S11では上記の接線力T1outの算出は必ずしも必要ではない。
なお、接線力指標Taを算出するのに用いる接線力T1inと、後側接線力指標Tbを算出するのに用いる接線力T2out及びT2inとは、何れも大きさ(絶対値)を意味し、向きの相違(正負)は考慮されない。
なお、運動解析工程S11において、変数として曲線区間の曲率半径rを更に含めた運動解析を実行することも可能である。すなわち、運動解析工程S11において、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに曲線区間の曲率半径rを変数とする運動解析を実行することで、複数の異なる値の摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに曲率半径rの組み合わせ毎に、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを算出してもよい。
例えば、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inについては、前述のように、それぞれ変動範囲が0.1〜0.7で、変動ピッチが0.1である7つの値でそれぞれ運動解析を実行し、曲線区間の曲率半径rについては、160m、200m、250m、300m、350m、400m、450m、500mの8つの値で運動解析を実行することが考えられる。具体的には、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに曲率半径rの組み合わせ(7×7×7×7×8=計19208通り)を変更し、鉄道車両が所定の走行速度で走行することを想定して、運動解析を実行すればよい。
(1−2.同定工程S12)
同定工程S12では、運動解析工程S11において摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に算出した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbに基づき、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを入力とし、摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定する。
図4は、同定工程S12において同定された入出力関係の一例を示す図である。図4は、第1軸が前側接線力指標Ta(=T1in/P1in)であり、第1軸に直交する第2軸が内軌脱線係数κ(=Q1in/P1in)であり、第1軸及び第2軸に直交する第3軸が摩擦係数μ1outである入出力関係を示す。以下、第1軸が前側接線力指標Taで、第2軸が内軌脱線係数κで、第3軸が摩擦係数μ1outである入出力関係を適宜「第1入出力関係」という。なお、図4は、摩擦係数μ2out=μ2in=0.5で、曲率半径r=160mの場合の第1入出力関係を示す。
図4に示す第1入出力関係は、運動解析工程S11において、摩擦係数μ1out及びμ1inの双方について、それぞれ変動範囲が0.1〜0.7で、変動ピッチが0.1である7つの値で運動解析を実行することにより得られた入出力関係である。図4に「●」でプロットした計49点が、それぞれ摩擦係数μ1out及びμ1inの計49通り(7×7)の組み合わせで得られたデータである。()内の数値は摩擦係数μ1outの値を示す。
図4に示すように、摩擦係数μ1inを固定値とした場合、第1入出力関係は、摩擦係数μ1outが前側接線力指標Taのn次関数(nは自然数)であるf1(Ta)で近似される入出力関係とされている。具体的には、図4に示す例の場合、運動解析工程S11で与えた摩擦係数μ1inが同一の7つの点(例えば、点Pa、点Pb、点Pc、点Pd、点Pe、点Pf及び点Pg)に最小二乗法を適用することにより、摩擦係数μ1outは、前側接線力指標Taの3次関数で近似されている。なお、厳密には摩擦係数μ1outは前側接線力指標Taと内軌脱線係数κの関数となるが、摩擦係数μ1inと内軌脱線係数κとが強い相関を有するため、摩擦係数μ1inを固定すると、ほぼ内軌脱線係数κも固定値となるため、内軌脱線係数κを変数から省略している。同様にして、摩擦係数μ1outを固定値とした場合、第1入出力関係は、内軌脱線係数κが前側接線力指標Taのn次関数(nは自然数、本実施形態ではn=3)であるf2(Ta)で近似される入出力関係とされている。
図示を省略するが、同定工程S12では、第1軸が前側接線力指標Taであり、第1軸に直交する第2軸が内軌脱線係数κであり、第1軸及び第2軸に直交する第3軸が後側接線力指標Tb(=(T2out/P2out+T2in/P2in)/2)である入出力関係も同定される。すなわち、図4に示す例と第1軸及び第2軸は同じであるが第3軸が異なる入出力関係も同定される。以下、第1軸が前側接線力指標Taで、第2軸が内軌脱線係数κで、第3軸が後側接線力指標Tbである入出力関係を適宜「第2入出力関係」という。
図4に示す第1入出力関係は、摩擦係数μ2out=μ2in=0.5の場合の入出力関係であるが、同定工程S12では、運動解析工程S11で用いた摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に第1入出力関係が同定される。運動解析工程S11において、摩擦係数μ2out及びμ2inの双方について、それぞれ変動範囲が0.1〜0.7で、変動ピッチが0.1である7つの値で運動解析を実行する場合、同定工程S12では、図5に示すように、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に計49個の第1入出力関係が同定されることになる。第2入出力関係についても同様に、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に計49個の第2入出力関係が同定される。
なお、運動解析工程S11において、変数として曲線区間の曲率半径rを更に含めた運動解析を実行した場合には、同定工程S12において、入力として曲率半径rを更に含めた入出力関係を同定可能である。すなわち、同定工程S12において、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに曲率半径rの組み合わせ毎に算出した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbに基づき、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tb並びに曲率半径rを入力とし、摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定可能である。具体的には、図5に示すような摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎の第1入出力関係及び第2入出力関係を、運動解析工程S11で用いた曲率半径rの数に応じて複数同定することになる。
(1−3.測定工程S13)
測定工程S13では、鉄道車両が曲線区間を走行する際に、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを測定する。
具体的には、前述の軸箱体支持リンク5に貼り付けられた歪ゲージ6で測定した歪を応力(荷重)に換算することで、接線力T1in、T2out及びT2inを算出可能である。
また、車輪12に加わる横圧Q1in及び輪重P1in、車輪13に加わる輪重P2out及び車輪14に加わる輪重P2inを測定可能である。
そして、内軌脱線係数κをQ1in/P1inによって算出可能である。また、前側接線力指標TaをT1in/P1inによって算出可能である。さらに、後側接線力指標Tbを(T2out/P2out+T2in/P2in)/2によって算出可能である。
なお、運動解析工程S11において、変数として曲線区間の曲率半径rを更に含めた運動解析を実行し、同定工程S12において、入力として曲率半径rを更に含めた入出力関係を同定した場合、測定工程S13において、曲率半径rを更に測定すればよい。すなわち、測定工程S13において、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tb並びに曲率半径rを測定すればよい。
具体的には、測定工程S13において、鉄道車両の走行位置を測定し、該測定した走行位置と軌道の諸元についてのデータベースとに基づき、曲率半径rを算出可能である。より具体的には、車輪の回転数等を用いた公知の方法で鉄道車両の走行位置(基準点からの走行距離等)を測定し、曲線区間の曲率半径rなど軌道の諸元について記憶されたデータベースを参照し、測定した走行位置における曲線区間の曲率半径rをデータベースから抽出することで、曲率半径rを算出可能である。
(1−4.摩擦係数演算工程S14)
摩擦係数演算工程S14では、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを、同定工程S12で同定した入出力関係の入力として用いることで、出力としての摩擦係数μ1outを演算する。
なお、運動解析工程S11において、変数として曲線区間の曲率半径rを更に含めた運動解析を実行し、同定工程S12において、入力として曲率半径rを更に含めた入出力関係を同定し、測定工程S13において、曲率半径rを更に測定した場合、摩擦係数演算工程S14において、曲率半径rの値に応じた摩擦係数μ1outを演算可能である。
以下、図6〜図10を適宜参照しつつ、摩擦係数演算工程S14について、より具体的に説明する。
図6〜図10は、摩擦係数演算工程S14を説明する説明図である。
図6に示すように、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に同定された第1入出力関係に、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κ及び前側接線力指標Taを入力することで、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に摩擦係数μ1outが出力される。図6には、図4に示す第1入出力関係(摩擦係数μ2out=μ2in=0.5の場合の第1入出力関係)に内軌脱線係数κ及び前側接線力指標Taを入力し、摩擦係数μ1outが出力される様子を図示しているが、他の摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせの場合も同様である。
また、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に同定された第2入出力関係に、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κ及び前側接線力指標Taを入力することで、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に後側接線力指標Tbが出力される。
ここで、図7(a)に示すように、図6に示す第1入出力関係に入力される測定工程S13で測定した内軌脱線係数κの値(図7(a)に示す例では、κ=κ1)は、同定工程S12で第1入出力関係を同定するのに用いた摩擦係数μ1out及びμ1inの値(図7(a)に示す例では、μ1out=0.1〜0.7の7つ、μ1in=0.1〜0.7の7つ)から得られる内軌脱線係数κの値と異なるのが一般的であると考えられる。そして、この場合、摩擦係数演算工程S14では、同定工程S12で第1入出力関係を同定するのに用いた摩擦係数μ1outの値に応じたn次関数であるκ=f2(Ta)に対して、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κの値((図7(a)に示す例では、κ=κ1)を入力することで、その内軌脱線係数κの値に応じたTaを演算する。例えば、図7(a)に示す点P1は、同定工程S12で入出力関係を同定するのに用いた摩擦係数μ1out=0.1である場合のκ=f2(Ta)に対して、内軌脱線係数κ=κ1を入力することで得られた前側接線力指標Taの値を第1軸の座標として有する点である。同様に、図7(a)に示す点P2は、同定工程S12で入出力関係を同定するのに用いた摩擦係数μ1out=0.2である場合のκ=f2(Ta)に対して、内軌脱線係数κ=κ1を入力することで得られた前側接線力指標Taの値を第1軸の座標として有する点である。同様の演算を全てのn次関数κ=f2(Ta)に対して実行することで、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κの値に応じたデータ点(図7(a)に「○」でプロットした点)を作成する。
次に、摩擦係数演算工程S14では、上記のようにして作成したデータ点(図7(a)に示す例では7つの点)に最小二乗法を適用することにより、図7(b)に示すように、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κの値(κ=κ1)に応じて、摩擦係数μ1outを近似する前側接線力指標Taのn次関数(nは自然数、本実施形態ではn=3)であるf1(Ta)を算出する。
次に、摩擦係数演算工程S14では、図7(c)に示すように、上記のようにして算出した近似関数μ1out=f1(Ta)に対して、図6に示す第1入出力関係に入力される測定工程S13で測定したTaの値(図7(c)に示す例では、Ta=Ta’)を入力することで、測定工程S13で測定した前側接線力指標Ta及び内軌脱線係数κの値に応じた摩擦係数μ1outを演算する。図7(c)に「◎」でプロットした点PFが、測定工程S13で測定した前側接線力指標Taの値(=Ta’)を第1軸の座標として有し、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κ(=κ1)の値を第2軸の座標として有し、摩擦係数演算工程S14で演算した摩擦係数μ1outの値を第3軸の座標として有する点である。
なお、測定工程S13で測定した内軌脱線係数κの値と、同定工程S12で入出力関係を同定するのに用いた内軌脱線係数κの値とが仮に同じである場合には、摩擦係数演算工程S14では、その同じ内軌脱線係数κの値に応じたn次関数であるμ1out=f1(Ta)に対して、測定工程S13で測定した前側接線力指標Taの値を入力することで、摩擦係数μ1outを演算可能である。
図7では、第1入出力関係の場合を例に挙げて説明したが、摩擦演算工程S14では、第2入出力関係の場合も同様にして、測定工程S13で測定した前側接線力指標Ta及び内軌脱線係数κの値に応じた後側接線力指標Tbを演算する。
以上に説明した手順により、図8に示すように、摩擦係数演算工程S14では、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に、測定工程S13で測定した前側接線力指標Ta及び内軌脱線係数κの値に応じた摩擦係数μ1out及び後側接線力指標Tbが演算されることになる。
次に、摩擦係数演算工程S14では、摩擦係数μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に演算した摩擦係数μ1out及び後側接線力指標Tbに基づき、図9に示すように、後側接線力指標Tbを入力とし、摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係(以下、「第3入出力関係」という)を同定する。第3入出力関係は、摩擦係数μ1outが後側接線力指標Tbのn次関数(nは自然数)であるf3(Tb)で近似される入出力関係とされている。具体的には、図9に示す例の場合、前述のようにして演算された49個の摩擦係数μ1out及び後側接線力指標Tbの組み合わせデータ(図8参照)に最小二乗法を適用することにより、摩擦係数μ1outは、後側接線力指標Tbの3次関数で近似されている。
最後に、摩擦係数演算工程S14では、測定工程S13で測定した後側接線力指標Tbを、第3入出力関係の入力として用いることで、出力としての摩擦係数μ1outを演算する。図9に示す例の場合、測定工程S13で測定した後側接線力指標Tb(=Tb’)の値を第3入出力関係に入力することで、摩擦係数μ1outが出力される。曲率半径rが固定の値(例えば、r=160m)である場合には、この第3入出力関係から出力される摩擦係数μ1outが最終的な摩擦係数μ1outの演算結果となる。
曲率半径rの値に応じた摩擦係数μ1outを演算する場合には、同定工程S12で入出力関係を同定するのに用いた各曲率半径rの値について上記の演算を繰り返し実行し、図10に示すように、各曲率半径rの値に応じた摩擦係数μ1outを演算する。図10に示す例では、曲率半径r=160m、200m、250m、300m、350m、400mの6つの値に応じた摩擦係数μ1outを演算している。図10に「●」でプロットした各点が、各曲率半径rの値に応じて演算された摩擦係数μ1outである。
そして、図10に示すように、各曲率半径rの値に応じて演算した摩擦係数μ1outに最小二乗法を適用することにより、摩擦係数μ1outを曲率半径r(本実施形態では、曲率半径rの逆数である曲率ρ)のn次関数(nは自然数、本実施ではn=3)であるf4(ρ)で近似する。この近似関数μ1out=f4(ρ)に対して、測定工程S13で測定した曲率半径rの値(図10に示す例ではr=r1)を入力する(曲率ρ=1/r1を入力する)ことで、測定工程S13で測定した曲率半径rの値に応じた摩擦係数μ1outを演算可能である。
以上に説明した運動解析工程S11、同定工程S12、測定工程S13、摩擦係数演算工程S14を含む摩擦係数演算手順S1によれば、鉄道車両の台車100が具備する一対の輪軸1のうち前側輪軸1aが有する外軌側車輪11と外軌R1との間の摩擦係数μ1outを精度良く演算可能である。
<2.鉄道車両の走行安全性評価手順S2>
図2に示すように、鉄道車両の走行安全性評価手順S2は、限界脱線係数演算工程S21と、外軌脱線係数演算工程S22と、評価工程S23とを含んでいる。
(2−1.限界脱線係数演算工程S21)
限界脱線係数演算工程S21では、摩擦係数演算手順S1で演算した摩擦係数μ1outを用いて、限界脱線係数(Q/P)crを演算する。具体的には、前述した式(1)のμに、摩擦係数演算手順S1で演算した摩擦係数μ1outを代入することで限界脱線係数(Q/P)crを演算すればよい。なお、式(1)における接触角αは、車輪のフランジ部の形状から予め把握可能である。
(2−2.外軌脱線係数演算工程S22)
外軌脱線係数演算工程S22では、鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際に、前側輪軸1aが有する外軌側車輪11に加わる輪重P及び横圧Qを測定し、該測定した横圧Qと輪重Pとの比によって、外軌脱線係数Q/Pを演算する。
(2−3.評価工程S23)
評価工程S23では、限界脱線係数演算工程S21で演算した限界脱線係数(Q/P)crと、外軌脱線係数演算工程S22で演算した外軌脱線係数Q/Pとの大小関係に基づき、鉄道車両の走行安全性を評価する。限界脱線係数(Q/P)crと外軌脱線係数Q/Pとをそのまま対比して、Q/P>(Q/P)crであれば、安全ではないと判定してもよいし、従来と同じように、限界脱線係数(Q/P)crに0.85等の安全係数を乗算し、Q/P>乗算値であれば、安全ではないと判定してもよい。
以上に説明した限界脱線係数演算工程S21、外軌脱線係数演算工程S22、評価工程S23を含む走行安全性評価手順S2によれば、限界脱線係数演算工程S21において、摩擦係数演算手順S1で精度良く演算した摩擦係数μ1outを用いて、限界脱線係数(Q/P)crを精度良く演算可能である。この限界脱線係数演算工程S21で演算した限界脱線係数(Q/P)crは、従来のように固定値の摩擦係数(例えば、0.3)を用いて演算したものではなく、実際に測定した接線力T1out等を用いて演算したものである。このため、評価工程S23において、外軌脱線係数演算工程S22で演算した外軌脱線係数Q/Pとの大小関係に基づき、鉄道車両の走行安全性を評価すれば、従来のように安全であると判定したにも関わらず既に外軌脱線係数Q/Pが限界脱線係数(Q/P)crを超えて脱線し得る危険領域に達している可能性や、逆に危険性を過剰に見積もる可能性を大きく低減することができる。すなわち、鉄道車両の走行安全性を正確に評価することができる。
<3.軌道の潤滑状態管理手順S3>
図2に示すように、軌道の潤滑状態管理手順S3は、潤滑材供給工程S32を含んでいる。
軌道の潤滑状態管理手順S3では、走行安全性評価手順S2で鉄道車両の走行安全性を評価した結果、安全ではないと判定した場合(S31において「No」の場合)、曲線区間におけるレールに潤滑材を供給する潤滑材供給工程S32を実行する。一方、走行安全性評価手順S2で鉄道車両の走行安全性を評価した結果、安全であると判定した場合(S31において「Yes」の場合)には、鉄道車両の摩擦係数演算手順S1における測定工程S13から繰り返し実行することになる。
潤滑材供給工程S32における潤滑材の供給方法としては、軌道の曲線区間の地上に設置された供給装置(塗布装置)によって、グリースや潤滑油などの潤滑材をレールに供給(塗布)する場合に限らず、鉄道車両に設置された供給装置からレールに供給する方法を採用することも可能である。
以上に説明した軌道の潤滑状態管理手順S3によれば、走行安全性評価手順S2で鉄道車両の走行安全性を正確に評価した結果、安全ではないと判定した場合に、曲線区間におけるレールに潤滑材を供給する。このため、適切なタイミングで車輪とレールとの間の摩擦係数が低減され、鉄道車両が脱線するおそれを回避可能である。
図11は、本実施形態の鉄道車両の摩擦係数演算手順S1を評価した結果の一例を示す図である。
図11に示す演算値は、以下のようにして演算した値である。
すなわち、運動解析工程S11において、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの変動範囲がそれぞれ0.1〜0.7(変動ピッチはそれぞれ0.1)の7つの値で、曲率半径rの変動範囲は160m〜500mの8つの値(7×7×7×7×8=計19208通り)で運動解析を実行し、同定工程S12において、内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tb並びに曲率半径rを入力とし、摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定する。
一方、摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inをそれぞれ以下の表2に示す値とした3つの条件(曲率半径r=167.3m)で運動解析を実行し、これらの値に応じた内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを演算する。この演算した内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbが実際に測定工程S13で測定された内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbであると仮定して、上記の同定した入出力関係に入力することで摩擦係数μ1outを演算する。この演算した値が図11に示す3つの演算値である。
Figure 0006924440
図11に示すように、円曲線区間の始点(BCC)から終点(ECC)の間では、何れの条件で演算した演算値も設定値である0.55とほぼ一致している。例えば、図11に示す距離程400mの位置において、条件1で演算した摩擦係数μ1outの演算値は0.5508、条件2で演算した摩擦係数μ1outの演算値は0.5584、条件3で演算した摩擦係数μ1outの演算値は0.5402である。なお、図11の「BTC」は緩和曲線区間の始点を、「ETC」は緩和曲線区間の終点を意味する。図11に示す結果より、測定工程S13において内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び後側接線力指標Tbを精度良く測定可能である限りにおいて、本実施形態の摩擦係数演算手順S1を実行することで、円曲線区間における摩擦係数μ1outを精度良く演算可能であるといえる。
1・・・輪軸
1a・・・前側輪軸
1b・・・後側輪軸
11・・・前側輪軸が有する外軌側車輪
12・・・前側輪軸が有する内軌側車輪
13・・・後側輪軸が有する外軌側車輪
14・・・後側輪軸が有する内軌側車輪
100・・・台車
200・・・車体
R・・・軌道
R1・・・外軌
R2・・・内軌

Claims (6)

  1. 走行方向の前後に一対の輪軸を具備する台車を備えた鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際の、前記一対の輪軸のうち前側輪軸が有する外軌側車輪と前記曲線区間における外軌との間の摩擦係数μ1outを演算する方法であって、
    前記鉄道車両の諸元を反映した解析モデルに対して、前記摩擦係数μ1outと、前記前側輪軸が有する内軌側車輪と前記曲線区間における内軌との間の摩擦係数μ1inと、前記一対の輪軸のうち後側輪軸が有する外軌側車輪と前記外軌との間の摩擦係数μ2outと、前記後側輪軸が有する内軌側車輪と前記内軌との間の摩擦係数μ2inとを変数とする運動解析を実行することで、複数の異なる値の前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に、前記前側輪軸が有する内軌側車輪に加わる横圧Q1inと輪重P1inとの比Q1in/P1inによって表わされる内軌脱線係数κと、前記前側輪軸が有する内軌側車輪と前記内軌との間に生じる接線力T1inと前記輪重P1inとの比T1in/P1inによって表わされる前側接線力指標Taと、前記後側輪軸が有する外軌側車輪と前記外軌との間に生じる接線力T2outと前記後側輪軸が有する外軌側車輪に加わる輪重P2outとの比T2out/P2out及び前記後側輪軸が有する内軌側車輪と前記内軌との間に生じる接線力T2inと前記後側輪軸が有する内軌側車輪に加わる輪重P2inとの比T2in/P2inの平均値(T2out/P2out+T2in/P2in)/2によって表わされる後側接線力指標Tbとを算出する運動解析工程と、
    前記運動解析工程において前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2inの組み合わせ毎に算出した前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbに基づき、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを入力とし、前記摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定する同定工程と、
    前記鉄道車両が前記曲線区間を走行する際に、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを測定する測定工程と、
    前記測定工程で測定した前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを、前記同定工程で同定した前記入出力関係の入力として用いることで、出力としての前記摩擦係数μ1outを演算する摩擦係数演算工程と、
    を含むことを特徴とする鉄道車両の摩擦係数演算方法。
  2. 前記測定工程において、
    前記前側輪軸と、前記台車が具備する台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで、前記接線力T1inを算出し、
    前記後側輪軸と、前記台車が具備する台車枠とを連結する部材に作用する応力を測定することで、前記接線力T2out及びT2inを算出し、
    前記横圧Q1inと、前記輪重P1in、P2out及びP2inとを測定し、
    前記算出した接線力T1in、T2out及びT2inと、前記測定した横圧Q1in並びに前記輪重P1in、P2out及びP2inとに基づき、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを算出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両の摩擦係数演算方法。
  3. 前記運動解析工程において、前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに前記曲線区間の曲率半径rを変数とする運動解析を実行することで、複数の異なる値の前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに前記曲率半径rの組み合わせ毎に、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbを算出し、
    前記同定工程において、前記運動解析工程において前記摩擦係数μ1out、μ1in、μ2out及びμ2in並びに前記曲線区間の曲率半径rの組み合わせ毎に算出した前記内軌脱線係数κ、前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tbに基づき、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tb並びに前記曲率半径rを入力とし、前記摩擦係数μ1outを出力とする入出力関係を同定し、
    前記測定工程において、前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tb並びに前記曲率半径rを測定し、
    前記摩擦係数演算工程において、前記測定工程で測定した前記内軌脱線係数κ、前記前側接線力指標Ta及び前記後側接線力指標Tb並びに前記曲率半径rを、前記同定工程で同定した前記入出力関係の入力として用いることで、出力としての前記摩擦係数μ1outを演算する、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の鉄道車両の摩擦係数演算方法。
  4. 前記測定工程において、前記鉄道車両の走行位置を測定し、該測定した走行位置と前記軌道の諸元についてのデータベースとに基づき、前記曲率半径rを算出する、
    ことを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両の摩擦係数演算方法。
  5. 請求項1から4の何れかに記載の方法を用いて演算した前記摩擦係数μ1outを用いて、限界脱線係数を演算する限界脱線係数演算工程と、
    鉄道車両が軌道の曲線区間を走行する際に、前記前側輪軸が有する前記外軌側車輪に加わる輪重及び横圧を測定し、該測定した横圧と輪重との比によって、外軌脱線係数を演算する外軌脱線係数演算工程と、
    前記限界脱線係数演算工程で演算した前記限界脱線係数と、前記外軌脱線係数演算工程で演算した前記外軌脱線係数との大小関係に基づき、前記鉄道車両の走行安全性を評価する評価工程と、
    を含むことを特徴とする鉄道車両の走行安全性評価方法。
  6. 請求項5に記載の方法を用いて前記鉄道車両の走行安全性を評価した結果、安全ではないと判定した場合に、前記曲線区間におけるレールに潤滑材を供給する潤滑材供給工程を含むことを特徴とする軌道の潤滑状態管理方法。
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