JP6924377B2 - 熱間鍛造用金型及びその製造方法並びに鍛造材の製造方法 - Google Patents

熱間鍛造用金型及びその製造方法並びに鍛造材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間鍛造用金型及びその製造方法、並びにかかる熱間鍛造用金型を用いた鍛造材の製造方法に関するものである。
近年、蒸気タービンの高効率化の要請により、蒸気タービンに用いられるタービンブレード(以下単に「ブレード」という。)も長尺化してきている。約1500mmを超える長尺のブレード素材を製造する場合では、素材を上型と下型の間に挟み込んで、大型のプレス鍛造でブレード素材に成形する方法が主流である。
例えば、特開平4−46651号公報(特許文献1)には三次元形状をした型彫り面を有する上金型及び下金型の打撃面を互いに型合わせして構成された、三次元形状に優れたキャビティーを用いて鍛造を行うブレードの製造方法の発明が開示されている。ここに開示されている上金型及び下金型は、一つの金属材料で一体物で構成されている(例えば、特許文献1の図2及び図4参照)。
これに対し、本願出願人による特開2014−208379号公報(特許文献2)では、長尺材用の熱間鍛造用金型であって、前記熱間鍛造用金型は、複数個の熱間鍛造用金型片が長尺材の長手方向に一列に並べられた一体の組立て体である熱間鍛造用金型の提案がある。この提案は製品(熱間鍛造材)の大型化にも適用可能な優れた提案である。この提案によれば、数個の熱間鍛造用金型片はタイロッドにより一体化することが好ましいとしている。
特開平4−46651号公報 特開2014−208379号公報
本発明者の検討によれば、数万トン規模の大型熱間鍛造装置に用いられる熱間鍛造用金型を一体物で製造しようとすると、その素材重量は50トンを超えるような重量となる。このような重量物を素材として所定の特性とするための熱処理を行うのは困難である。
更に、入子型を用いて組み立てる分割金型のような場合では、焼嵌めのように入子型を圧入する金型としたほうが入子型に圧縮応力が加わって金型が割れると言った危険性も低減できる。しかしながら、入子型が四角柱形状の分割金型において、焼嵌めによって入子型を固定する提案は見当たらない。
本発明の目的は、入子型が四角柱形状の熱間鍛造用金型を焼嵌めすることにより、金型の割れを防止して、製品の大型化にも適用可能な熱間鍛造用金型、該金型の製造方法、およびかかる熱間鍛造用金型を用いた鍛造材の製造方法を提供することである。
本発明は上述した課題に鑑みてなされたものである。
すなわち本発明は、熱間鍛造用素材を押圧して鍛造材とする熱間鍛造用金型において、
前記熱間鍛造用金型は、少なくとも入子型と前記入子型を収納する母型とを有し、
前記入子型は、前記熱間鍛造用素材を押圧する型彫り面を有するとともに四角柱状の外形を有し、
前記母型は、前記入子型を収納する収納部を備えるとともに四角柱状の外形を有し、
前記入子型は、前記母型に挿入される方向に沿って伸びる角部に面取り形状を有し、
前記入子型と前記母型とは焼嵌めされて一体化された構造を有する熱間鍛造用金型である。
好ましくは、前記入子型が複数個の入子金型片の組立て体である。
更に好ましくは、前記入子金型片の前記型彫り面に、Ni基超耐熱合金の肉盛層を有する構造とする。前記入子金型片の少なくとも一つが、Ni基超耐熱合金製の入子金型片であることも好ましい。
上記の熱間鍛造用金型において、前記型彫り面の縁部分の少なくとも一部に、前記入子型に対して着脱可能な分割部材を備えることが好ましい。
さらに、かかる熱間鍛造用金型において、前記分割部材が、前記入子型よりも高い熱間強度を有することが好ましい。
また、本発明は、熱間鍛造用素材を押圧して鍛造材とする熱間鍛造用金型の製造方法において、
前記熱間鍛造用金型は、少なくとも入子型と前記入子型を収納する母型とを有し、
前記入子型は、外形が四角柱状であって、前記熱間鍛造用素材を押圧する型彫り面を有し、前記母型に挿入される方向に沿って伸びる角部に面取り形状を有し、
前記母型は、外形が四角柱状であって、前記入子型を収納する収納部を有し、
前記入子型と前記母型とを焼嵌めして一体化する熱間鍛造用金型の製造方法である。
好ましくは、前記入子型が複数個の入子金型片の組立て体である。
本発明の鍛造材の製造方法は、加熱された熱間鍛造用素材を上記の熱間鍛造用金型を用いて熱間鍛造し、鍛造材を得ることを特徴とする。
本発明の熱間鍛造用金型は、四角柱状の外形を有する入子型を四角柱状の外形を有する母型に焼嵌めすることにより一体化した熱間鍛造用金型とすることで、金型の割れを防止して、製品の大型化にも適用可能な熱間鍛造用金型とすることが可能である。
また、かかる金型を用いる本発明の鍛造材の製造方法によれば、例えば大型の鍛造材を熱間鍛造で得る場合の金型に係るコストを低減することができる。
本発明の熱間鍛造用金型の入子型の一例を示す図である。 本発明の熱間鍛造用金型の一例を示す図である。 本発明の熱間鍛造用金型の入子型を締結部材で固定したときの一例を示す図である。 本発明の熱間鍛造用金型に用いる入子金型片の一例を示す図である。 本発明の熱間鍛造用金型の他の例を示す図である。 図5に示す実施形態の入子型の部分断面図である。
最初に、焼嵌めを行う熱間鍛造用金型について述べる。通常、焼嵌めによって入子型を圧入した構造を有する熱間鍛造用金型においては、例えば、本願出願人の提案によるWO2013/147154パンフレットに示されるように、環状、円錐台状の金型の組合わせによるものが一般的である。これは、環状の金型であればその直径方向に膨張と収縮して外周全体に均一に応力が加わって強固に圧入による一体化が図れるためである。一方、例えば、ブレードのような長尺の鍛造材を熱間鍛造しようとすると、前述のような環状、円錐台状の金型の組合わせでは長尺材を熱間鍛造する際の金型としては不向きである。また、前述の特許文献2のようにタイロッドで入子型を一体化する方法もあるが、数万トン規模の大型熱間鍛造装置で用いられる場合には、金型の割れをより確実に防止できる方が有利となる。そこで、本発明では、鍛造用素材が棒状で、熱間鍛造によって長尺の熱間鍛造材とするときに用いる熱間鍛造用金型を焼嵌めによって作製するものである。なお、本発明でいう「熱間鍛造」には、恒温鍛造およびホットダイも含まれるものとする。
本発明の熱間鍛造用金型について、図を用いて説明する。
図1は、本発明の熱間鍛造用金型を構成する入子型2の模式図であり、上述したように、例えば、棒状の鍛造用素材を熱間鍛造によって長尺のブレードのような形状に成形するものである。そのため、図2に示す熱間鍛造用金型1の全体の外形(母型3の外形)と入子型2の外形は四角柱状である。なお、熱間鍛造用金型1の外周に、例えば、ハードプレートに固定するための鍔部等の若干の凹凸状の加工がなされていても差しつかえないし、図1に示すように、鍔部に相当する別部材の入子型固定枠23を設けていても良い。
本発明の熱間鍛造用金型1においては、少なくとも入子型2と前記入子型2を収納する収納部31を備えた母型3とが必須の構成となる。なお、図2に示すように、入子型2の表面には製品形状に応じた凹状(掘り込み部分)の型彫り面21を有するものである。本発明では前記の掘り込み部分を「型彫り面」として説明する。また、入子型2の外形は四角柱状である。ここで言う「四角柱状」とは例えば直方体の他、四角錐台形状も含むものとする。
本発明では、前記入子型の前記母型に挿入される方向(以下、単に挿入方向という)に沿って伸びる角部24(図1では4カ所に角部24を有する)は面取り形状とする。角部を直線的に面取り加工しても良いし、またはR形状としても良い。この面取り形状の付与は、角部24への過度の応力集中を防止して、入子型の割れを防止するために行う。入子型は、その表面に型彫り面を有し、鍛造用素材を加工する。そのため、鍛造時の鍛造荷重を直接受ける入子型の角部を面取りして角部への応力集中を緩和させる。本発明における面取り形状は、かかる目的のために形成されるものであり、金型加工上の制限等で必然的に形成される角部形状とは異なる。例えば、仮に、挿入方向に垂直な方向に沿って伸びる角部に微小なアール形状があったとしても、本発明における面取り形状は、かかるアール形状よりも大きいものである。面取り形状の大きさは、鍛造荷重の大きさ、入子型の大きさ等に応じて決定すればよい。この場合、面取り部の大きさとは、各辺から一つの面取り部によって除去されている長さをいう。例えば、面取り部の大きさは、R10〜R50にすることができる。なお、これに対応する母型3の隅部にも入子型の角部24の面取り形状に合わせて加工を施すと良い。
本発明の母型3は焼嵌めにより入子型2が圧入されるものであり、入子型2と接触する面に適当な応力を付与する必要がある。特に、入子型が直方体のように、鍛造用素材の長さに合せて長手方向が長い場合、それと接触する母型の部分はその厚さ(図2中の記号W)が過度に薄いと入子型に加わる圧縮応力が低くなって焼嵌めによる割れ防止効果が不十分となるおそれがあることから、例えば、入子型の高さ(図1中のIW)の1.0〜2.0倍程度の厚さでもって入子型の周囲の厚さWとすることが好ましい。また、入子型と母型の大きさについては、鍛造用素材の長さを考慮しつつ焼嵌め率を計算して決定すると良い。
また、本発明の入子型2は、複数個の入子金型片22を例えば、入子型の長手方向(母型に挿入される方向に垂直な方向)に一列に並べて組立て体の入子型とすることができる。これにより、個々の入子金型片22の大きさを小さくすることができる。そのため、型彫り面に対して肉盛を行う際に、特別な大型肉盛溶接機を新たに用意することなく、入子金属片22に対して個別に所望の箇所に任意の厚さや形状の肉盛層を形成することができる。また、図2に示す入子金型片22を、図4に示すように更に分割(金型片27のように)して構成して良い。この場合、型彫り面側を予め時効処理まで施して強度を十分に高めたNi基超耐熱合金製の入子金型片22とし、最も大きな鍛造荷重がかかる箇所に配置すれば、金型の寿命を大きく向上させることも可能である。
また、もし、一部の入子金型片が過度に摩耗を生じた場合でも、当該入子金型片のみを交換したり、補修することも可能である。これにより、経済的にも有利な熱間鍛造用金型とすることができる。
なお、入子金型片の材質は、大きな鍛造荷重が加わる位置以外は、基本的に、例えば、JISで規定されるSKD61、SKT4等の熱間金型用鋼を用いることができるし、例えば、金型を高強度化する場合には、Alloy718等のNi基超耐熱合金、高速度工具鋼を選択することもできる。また、本発明では、それぞれの金型片に加わる負荷の大きさに応じて異なる材質の金型片を組み合わせて熱間鍛造用金型を構成することができる。これらの組み合わせにより、熱間鍛造用金型の寿命を向上させることができる。母型の材質はJISで規定されるSKD61、SKT4等の熱間金型用鋼で十分である。
また、本発明で用いる入子金型片22の長さ(長尺材の長手方向の長さ)は、不均等にしてもよい。これは、例えば、ブレードなどの場合においては、熱間鍛造中の被鍛造材には捻じりの作用が働くため、例えば、応力が高く加わる箇所の入子金型片22には、応力に耐える長さとしたり、逆に、応力が低い箇所はコスト的に有利な金型片の長さとすることで、入子金型片22の組立体としたときに、熱間鍛造用金型全体にかかる応力を分散することが可能となるとともに、金型コストも低減できる。また、必要に応じて、各金型片の応力が加わる箇所を予めシミュレーションで検証し分割場所を決定することが好ましく、もし、応力が高く加わる場所であっても、やむを得ず分割する必要がある場合は、例えば、図4に示すように、金型片の高さ方向を更に斜めに分割して応力を緩和させたり、隣合う金型片の荷重を受ける突起状の鍔部26を設けておくことが有効である。
また、各金型片の長手方向の長さは、熱間鍛造用金型に加わる応力や金型片自体が有する材料強度を勘案して長さを決定するのが良い。特に、数万トン規模の大型熱間鍛造装置に用いられる際には、金型片に加わる応力も大きくなることから、過度に長さが短くなると金型片が破壊するおそれがあることから、最低でも100mm以上の長さとすることが好ましい。
また、本発明では入子型2を4個以上の入子金型片22の組立て体とすることができる。上述したように、入子金型片22の長さ(長尺材の長手方向の長さ)を不均一とすることで、応力の分散が可能となる。例えば、鍛造の初期段階から最終段階に移行する、各段階では組み立てた熱間鍛造用金型に加わる応力が各金型片に応じて異なるため、例えば、ブレードの場合では、根部付近、ボス部付近、カバー部付近を分割し、それを更に複数個の金型片に分割することで応力の分散をより確実に行うことができる。特に数万トン規模の大型熱間鍛造装置に用いられる際に、本発明の熱間鍛造用金型を用いる場合は、入子型2を5個以上の入子金型片22に分割すると良く、更に好ましくは7個以上とすると良い。
更に、本発明では入子型2を4個以上の入子金型片22で構成すると、一つの入子金型片の重量を小さくすることができる。従来のような一体の金型を大型製品の熱間鍛造に使用しようとすると、どうしても焼入れ時の冷却速度が低下して、靱性を阻害するベイナイトのような金属組織があらわれて靱性が劣化する。これに対し、本発明では、例えば、上述のJISで規定されるSKD61、SKT4等の熱間金型用鋼を金型片として用いた場合であっても、金型片の焼入れの際に冷却速度を速くすることが可能となる。その結果、SKD61、SKT4等の熱間金型用鋼が有する、優れた高温強度と、高靱性を十分に発揮することが可能となり、高強度と高靱性を兼備する金型片とすることができる。そのため、その重量が小さくできるように、4個以上の入子金型片とするのが好ましい。
また、本発明では、入子金型片の型彫り面に、Ni基超耐熱合金の肉盛層を形成しても良い。
Ni基超耐熱合金の肉盛層は熱間鍛造時の負荷が大きく加わる箇所に、高強度化可能な材質のものを選定すると、金型片の寿命を高めることが可能となる。また、用いるNi基超耐熱合金の肉盛層は、金型片の材質と比較して熱伝導率の低い材質を選定すると、熱間鍛造中に被鍛造材の温度低下を防止する効果も得られる。
上述した、高寿命化、温度低下防止効果の2つの効果を得るには、例えば、Ni基超耐熱合金製の肉盛層を形成するのが好ましく、中でも特に、質量%でB:0〜0.02%、C:0.01〜0.15%、Mg:0〜0.01%、Al:0.5〜2%、Si:0〜1%、Mn:0〜1%、Ti:1〜3%、Cr:15〜22%、Co:2〜15%、Nb:0〜3%、Mo:3〜7%、Ta:1〜7%、W:3〜7%、且つ、Ta単独またはTa+2Nbの合計で1〜7%を含み、残部はNi及び不純物でなる合金を用いるのが好ましい。
また、図5に示すように、凹状の型彫り面の縁部分の少なくとも一部に、入子型に対して着脱可能な分割部材を備える構成も好ましい。図6は図5のA−Aの位置における断面のうち左側の部分を拡大した部分断面図である。図5および図6に示す実施形態では、製品形状に応じた凹状の型彫り面21の縁部分に、型彫り面を成す入子型2に対して着脱可能な分割部材28が配置されている。
型彫り面を形成した金型で型鍛造を行う場合、欠肉を防ぐとともに、上型と下型による圧下の終盤で加圧力が急激に上昇して過負荷になることを防ぐため、型彫り面の縁を超えて鍛造用素材をはみ出させるための隙間(ばり道)を上型と下型の間に設けるのが一般的である。この場合、型彫り面の縁の部分の金型の摩耗や損傷が特に著しくなり、型彫り面の縁の部分と、その内側の型彫り面の中央寄りの部分とで、摩耗や損傷の程度が大きく異なることになる。これに対して、図5に示す実施形態のように、摩耗等が激しい縁の部分を着脱可能にしておけば、分割部材が摩耗等で使用不能になった場合には、分割部材のみを交換すればよい。したがって、金型の交換作業が大幅に簡略化され、材料ロスも低減される。
さらに、分割部材28が、入子型よりも高い熱間強度を有する構成を採用することで、金型の寿命をよりいっそう延ばすことができる。ここでいう熱間強度は、熱間鍛造の際に金型表面が到達する温度における強度であり、例えば温度500℃における引張強度をその指標とすることができる。分割部材28の材質としては、Alloy718等のNi基超耐熱合金、高速度工具鋼等を用いることができる。このうち、Ni基超耐熱合金が特に好ましい。Ni基超耐熱合金のように高価な材料を用いる場合であっても、分割部材の部分だけ交換すればよいので、金型の維持・交換コストの大幅な低減が可能である。
図5の分割部材が占める領域を一つの分割部材で構成することもできるが、図5に示すように隣接配置された複数の分割部材片で分割部材を構成すること、すなわち分割部材を複数の分割部材片に分割された状態で配置することで、摩耗等によって交換する部分を必要最小限にすることができる。また、鍛造の際の応力が分散され、分割部材にかかる最大応力が低減されることも期待できる。
図6の部分断面図に示すように、型彫り面の縁に配置された分割部材28の一部は、型彫り面の彫り込み方向(鍛造の加圧方向:z方向)に垂直な方向で型彫り面に露出し、該型彫り面の一部を構成する。分割部材28の他の一部はz方向上側の表面に露出し、ばり道28の一部を構成する。摩耗等の損傷が激しい、凹状の型彫り面のz方向端部およびばり道を含む縁の部分に着脱可能な分割部材28を配置することは、交換等に係る金型コスト低減に非常に効果的である。
図5に示す示す実施形態では、長手方向に沿った長辺側に分割部材が配置されている。型彫り面の全周に渡って分割部材を配置することもできるが、図5に示すように、摩耗等が激しい、少なくとも一部に配置すればよい。
分割部材28の上面の、ばり道を構成する部分から先には、型彫り面から遠ざかるにしたがい下側に傾斜する傾斜部、及びかかる傾斜部の先に続く、ばり道を構成する面よりも下方に位置する面で構成される、ばりだまり29が形成されている。図6に示す実施形態では、上述のばりだまり29が形成される位置で、分割部材28が入子型に上方からボルト30によって着脱可能に固定されている。
また、分割部材28は、その下部に、型彫り面の彫り込み方向(z方向)に垂直な方向(型彫り面の縁に垂直な方向であって、図6ではy方向である。)に突出した、断面が矩形の凸部を有し、入子型には、かかる凸部と嵌め合わせ可能な凹部が設けられている。かかる凸部および凹部によって、分割部材、入子型、それぞれに凹凸が形成されている。分割部材27の凹凸が入子型の凹凸に嵌合することにより、分割部材28が型彫り面の彫り込み方向(z方向)で拘束される。したがって、鍛造の際に分割部材に上方に向かう強い摩擦力が働いても、分割部材の固定状態を安定に維持することができる。図6に示す凹凸の嵌合による拘束を利用しない構成を用いることもできるが、図6に示す構成を用いることで、ばりだまり部分の位置でのボルト固定に加えて、より型彫り面に近い位置で分割部材を型彫り面の彫り込み方向で拘束するため、よりいっそう強固に補強部材を固定することができる。
入子型を複数の入子型片の組立て体で構成する場合、各入子型片に分割部材を配置することができる。かかる場合、分割部材を配置する入子型片の数は一つでも、二つ以上でもよい。また、一つの入子型片に配置する分割部材の数も、一つでも、二つ以上でもよい。
なお、Ni基超耐熱合金の肉盛層を形成する場合は、金型片と肉盛層との間に、肉盛層とは別の固溶強化型耐熱合金でなる合金層を肉盛溶接により形成し、溶接性を向上させ、金型片の母材と打撃面との間に発生する応力を緩和させることが好ましい。
本発明で言う固溶強化型耐熱合金とは、例えば、JIS−G4901やG4902に示される組成を有する合金のうち、合金元素を固溶させて基地(マトリックス)を強化することが可能な組成を有する合金や、ASTM−A494に記される合金で有ればよい。
典型的な成分範囲を示すと、質量%で、C:0.15%以下、Cr:15〜30%、Co:0〜3%、Mo:0〜30%、W:0〜10%、Nb:0〜4%、Ta:0〜4%、Ti:0〜1%、Al:0〜2%、Fe:0〜20%、Mn:0〜4%を含み、残部はNi及び不純物でなる合金である。
上述した本発明の熱間鍛造用金型を製造(組立て)する代表例としては、先ず、外形が四角柱状であって、鍛造用素材を押圧する型彫り面を有する入子型を準備する。前述のように熱間鍛造用素材は長尺製品となるものであるため、丸棒状の形状である。準備する入子型は直方体となる場合が多く、予め鍛造荷重とその分布を計算し、鍛造荷重に耐えるに必要な入子金型片の個数、形状、材質とする。特に耐久性が必要な個所は、入子金型片自体または型彫り面にNi基超耐熱合金の肉盛層を形成したものを用意するか、或いは、入子金型片を更に分割して、型彫り面を予め固溶化熱処理と時効処理を施したNi超耐熱合金製の金型片とするのが好ましい。なお、入子型と母型の熱収縮の計算を行って、入子型の寸法を決定することを考慮すると、大きな鍛造荷重を受ける型彫り面付近だけにNi基超耐熱合金の金型片を用いるか、肉盛層を形成するのが熱収縮計算が容易となるため好ましい。
また、組立てた入子型の四隅(母型に挿入される方向に沿って伸びる4つの角部)となる部分に面取り加工を行って、一体物としてタイロッド等の締結部材25により締結して一体化し、入子型2とする(図3)。なお、図3に示すように、入子型を構成する入子型片の形状は鍛造荷重を考慮して、鍛造荷重を受ける鍔部を有したものや、例えばNi基超耐熱合金製の別な金型片27との組立て体を設けても差し支えない。
次に、外形が四角柱状であって、入子型を収納する収納部を備えた母型を準備する。母型の収納部の隅部には、入子型の角部24の面取り形状に合わせて加工を施すと良い。母型と入子型が焼嵌めによって強固に一体化できるように、母型の幅は入子型の高さの1.0〜2.0倍程度の厚さでもって入子型の周囲の厚さとすることが好ましい。
そして、この母型と入子型とを焼嵌めして一体化して、外形が四角柱状の熱間鍛造用金型とすることができる。
以上、説明する本発明によれば、肉盛溶接も任意の箇所に所望の肉盛層が形成可能で、経済的にも優れ、製品の大型化、高強度化にも適用可能である。
1 熱間鍛造用金型
2 入子型
21 型彫り面
22 入子型片
23 入子型固定枠
24 角部
25 締結部材
26 鍔部
27 金型片
28 分割部材
29 ばりだまり
30 ボルト
3 母型
31 収納部
32 隅部

Claims (8)

  1. 熱間鍛造用素材を押圧して鍛造材とする熱間鍛造用金型において、
    前記熱間鍛造用金型は、少なくとも入子型と前記入子型を収納する母型とを有し、
    前記入子型は、前記熱間鍛造用素材を押圧する型彫り面を有するとともに四角柱状の外形を有し、
    前記母型は、前記入子型を収納する収納部を備えるとともに四角柱状の外形を有し、
    前記入子型は、前記母型に挿入される方向に沿って伸びる角部に面取り形状を有し、
    前記入子型と前記母型とは焼嵌めされて一体化された構造を有し、
    前記型彫り面の縁部分の少なくとも一部に、前記入子型に対して着脱可能な分割部材を備えることを特徴とする熱間鍛造用金型。
  2. 前記入子型が複数個の入子金型片の組立て体であることを特徴とする請求項1に記載の熱間鍛造用金型。
  3. 前記入子金型片の前記型彫り面に、Ni基超耐熱合金の肉盛層を有することを特徴とする請求項2に記載の熱間鍛造用金型。
  4. 前記入子金型片の少なくとも一つが、Ni基超耐熱合金製の入子金型片であることを特徴とする請求項2または3に記載の熱間鍛造用金型。
  5. 前記分割部材が、前記入子型よりも高い熱間強度を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱間鍛造用金型。
  6. 熱間鍛造用素材を押圧して鍛造材とする熱間鍛造用金型の製造方法において、
    前記熱間鍛造用金型は、少なくとも入子型と前記入子型を収納する母型とを有し、
    前記入子型は、外形が四角柱状であって、前記熱間鍛造用素材を押圧する型彫り面を有し、前記母型に挿入される方向に沿って伸びる角部に面取り形状を有し、
    前記母型は、外形が四角柱状であって、前記入子型を収納する収納部を有し、
    前記型彫り面の縁部分の少なくとも一部に、前記入子型に対して着脱可能な分割部材を備え、
    前記入子型と前記母型とを焼嵌めして一体化することを特徴とする熱間鍛造用金型の製造方法。
  7. 前記入子型が複数個の入子金型片の組立て体であることを特徴とする請求項に記載の熱間鍛造用金型の製造方法。
  8. 加熱された熱間鍛造用素材を請求項1〜のいずれか一項に記載の熱間鍛造用金型を用いて熱間鍛造し、鍛造材を得る鍛造材の製造方法。
JP2017151804A 2016-08-04 2017-08-04 熱間鍛造用金型及びその製造方法並びに鍛造材の製造方法 Active JP6924377B2 (ja)

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