JP6924200B2 - 実質的に球状の比較的構造化されていないシリカを含むゴム組成物 - Google Patents
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Description
さらに、タイヤの安全規定により、製造業者には、乾燥条件または湿潤条件にある道路上でグリップの改善をもたらす半完成品およびタイヤを提供することがますます奨励されている。
良好な湿潤グリップおよび乾燥グリップを維持しながら、転がり抵抗および耐摩耗性を低下させるというこれらの目的を実現するために、多数の解決策が既に試験されてきた。特に、製造業者は、カーボンブラックを特定の沈降シリカによって置き換えたトレッド用組成物を開発した。実際に、一部のシリカは、これらの目的を実現するのに特に有効であると特定されている。これらのシリカは、100〜250m2/gの間のBET比表面積を有しており、「高分散性」(HD)または「高分散性シリカ」(HDS)と呼ばれる。それらは、エネルギーの節約をユーザーにもたらすということに関して、時として「グリーンタイヤ」と呼ばれる、転がり抵抗が低いタイヤに使用される。このようなシリカの例として、Evonik製のUltrasil7000シリカ、BET比表面積が約160m2/gに等しくSolvayにより販売されているZeosil1165MPシリカ、Solvay製のZeosil1135MPおよびZeosil1115MPシリカ、PPG製のHi−Sil EZ150Gシリカ、Huber製のZeopol8715、8745または8755シリカをとりわけ挙げることができる。
これらの目的を実現する別の可能性は、合成エラストマーと組み合わせて、補強用充填剤および希釈剤を体積基準でかなりの割合で有するゴム組成物を配合することにある。
欧州特許出願公開第2336231号は、ジエンエラストマーに基づくゴム組成物であって、カーボンブラック、10〜80phrの高度に構造化されている沈降シリカおよび10〜70phrの比較的構造化されていない球形態のシリカからなる補強用充填剤の系を含むゴム組成物を記載している。この高度に構造化されている多孔質シリカは、45〜550m2/gの範囲のBET比表面積を有しており、比較的構造化されていないシリカは、15〜25m2/gの範囲のBET比表面積を有する。比較的構造化されていないシリカ粒子の平均サイズは、150nmである。これらの組成物は、カーボンブラックと高度に構造化されている沈降シリカとの混合物を含む組成物と比べて、良好な転がり抵抗特性を有するが、様々な耐摩耗性特性を有する。
それにもかかわらず、製造業者は、タイヤ用組成物の性能特性、とりわけ転がり抵抗、グリップ、摩耗などを改善し続ける新規な解決策を常に探索している。
本発明によるゴム組成物の利点は、転がり抵抗/耐摩耗性の妥協点の改善を有する点である。
本発明による組成物の別の利点は、とりわけ乾燥条件または湿潤条件の道路上で、良好なグリップ特性を保持しながらも、転がり抵抗/耐摩耗性の妥協点の改善を有する点である。
本発明による組成物の別の利点は、スコーチ現象を回避しながら、亜鉛の含有量を非常に低くして使用することができる点である。
スコーチは、密閉式ミキサー中でのゴム組成物の調製中に、粗原料状態での非常に高い粘度を引き起こす、早期加硫を急速にもたらす現象であり、これは、工業的に作業および加工するのが極めて困難なゴム組成物が得られることに相当する。
優先的に、このシリカのBET比表面積は、30〜150m2/g、より一層好ましくは、30〜120m2/g、さらに良好には30〜100m2/gの範囲とすることができる。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、1nm2あたり、4以上、好ましくは4〜12の範囲、より好ましくは5〜10の範囲のシラノール基数を有する。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、0.80以上、好ましくは0.80〜0.99の範囲、より好ましくは0.85〜0.99の範囲の球指数を有する。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、溶融シリカとすることができる。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの含有量は、60〜250phr、好ましくは80〜200phrの範囲とすることができる。
優先的に、ジエンエラストマーは、実質的に不飽和なジエンエラストマーから選択することができる。
好ましくは、ジエンエラストマーは、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマーおよびこれらのエラストマーの混合物から選択することができる。
一実施形態によれば、本組成物は、第1のジエンエラストマーを50〜100phr含むことができ、第1のジエンエラストマーとは異なる第2のジエンエラストマーを0〜50phr含んでもよい。
変形によれば、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、主に補強用充填剤である。
別の変形によれば、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの質量は、補強用充填剤の総質量の60%超、好ましくは90%超となる。
さらに別の変形によれば、補強用充填剤は、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカからなる。
さらに別の変形によれば、本組成物はまた、カーボンブラックを含む。
優先的に、本組成物中の補強用充填剤の全含有量は、60〜300phrの範囲とすることができ、好ましくは80〜250phrの範囲とすることができる。
別の実施形態によれば、本組成物はまた、20℃超のガラス転移温度を有する可塑性樹脂、室温で液体である可塑剤、およびそれらの混合物から選択される可塑化剤を10〜220phr含む。
優先的に、上記で定義した組成物において、化学架橋系は、硫黄、0〜1phrの亜鉛、および0〜1phrの脂肪酸、とりわけ例えばステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を含む脂肪酸を含む加硫系である。
優先的に、上記で定義した組成物において、化学架橋系は、硫黄、0〜0.5phrの間の亜鉛、および0〜0.5phrの間の脂肪酸、とりわけ例えばステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を含む脂肪酸を含む加硫系である。
− 第1の工程の間に、ジエンエラストマー中に、少なくとも1種の補強用充填剤および少なくとも1種のカップリング剤を配合する工程であり、110℃〜190℃の間の最大温度に到達するまで、1回または複数回、すべてが熱機械的に混練され、前記補強用充填剤が実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカを含み、このシリカのBET比表面積が、30m2/g〜250m2/gの範囲である、工程、
− 続いて、第2の工程中に、架橋系を配合し、110℃未満、優先的には80℃未満の最大温度まで、すべてを混練する工程
を含むことを特徴とする、とりわけタイヤ製造用の、ゴム組成物を調製する方法に関する。
本発明はまた、架橋性または架橋済みである、上で定義したゴム組成物または上で定義した方法により得ることができるゴム組成物の少なくとも1種を含む、タイヤ用半完成ゴム物品に関する。優先的に、半完成物品は、トレッドとすることができる。
本発明はまた、上で定義した、少なくとも1つの半完成物品を含むタイヤに関する。
I.1 シリカの物性評価
I.1.1.BET比表面積の測定:
BET比表面積は、"The Journal of the American Chemical Society", Vol. 60, page 309, February 1938に記載されている、Brunauer−Emmett−Teller法を使用するガス吸着により、より具体的には、1996年12月のフランス規格NF ISO9277[多点(5点)容積法−ガス:窒素−脱気:1時間、160℃、p/po相対圧の範囲:0.05〜0.17]に準拠して決定する。
I.1.2.ナノ粒子の球指数およびメジアンサイズの測定:
ナノ粒子の球指数およびメジアンサイズは、透過型電子顕微鏡(TEM)を使用する方法により決定する。
・ 円周の長さ=2πr=PM→r=PM/2π
・ 対応する表面積=πr2
・ 再計算した表面積(B)→B=π(PM/2π)2=PM2/4π
球指数は、以下の通り定義される:Is=A/B=4πA/PM2
この定義は、WaldellおよびHakon, "Volume, Shape and Roundness of Quartz particles" Journal of Geology, 43 (3) 250-280による論文に記載されている球指数の表面積適合(投影)である。
ナノ粒子のメジアンサイズは、凝集体(ナノ粒子)の50質量%がこのサイズよりも小さく、かつ凝集体(ナノ粒子)の50質量%がこのサイズよりも大きい、サイズに相当する。
観察用の試料は、約10分間、600Wの出力でプローブにより音波照射することにより、超純水5〜50ml中の2〜10mgのシリカを分散させることからなる方法に準拠して調製した。予め疎水処理された、炭素/Formvarグリッド(Ted Pella番号01800−F、支持フィルム、200メッシュの銅グリッド)に、1〜10μlとなる得られた懸濁液1滴分を堆積する。堆積した液滴中の水を、周囲空気(温度23℃)中で少なくとも2時間、蒸発させる。
その観察は、200kVの電子加速電圧での、明視野モードの透過型電子顕微鏡(TEM−BF)を用いて行った。画像は、デジタルカメラを使用し、1.4nmのピクセルサイズで、4.495μmの幅×3.464μmの高さとなる視野をもたらす倍率で取得した。これらの条件で、約35枚の画像を取得し、これらは、545μm2に及ぶ領域に相当する。
画像からの定量的データを抽出するため、画像解析は、CLEMEX Vision PE v7.0.553解析ソフトウェア(Clemex Technologies Inc.−Quebec)を使用して行った。以下の決まった手順を使用して、35枚の画像を解析した。
「視野
− 001ビットプレーンで画像’*.tif’をロード
− ファイル:*.tif
− 必要な場合:デフォルト較正を使用
− 002メジアンx2
− 003高さのシャープ化
− 004メジアンx2
− 005グレイ閾値
− BPL1範囲0..170
− 視野全体でポーズ
− 006オープニングCIRC x3=>BPL1エクステンド
− 007個別のCIRC=>BPL1
− 008オブジェクトトランスファーBPL1−>BPL2
− 0.8未満の球形度
− 009オブジェクトトランスファーBPL1−>BPL3
− 0.025μm未満の円の直径
− 010ボーダートランスファーBPL1(すべて)−>リサイクルビン
− 012オブジェクト測定(BPL1)−>OBJM2
− 1アスペクト比
− 1丸さ
− 1球形度
− 1フラクタル寸法
− 1周囲
− 1円の直径」
・分離アルゴリズム(個別のCIRC)の使用
・最も球状の物体(球指数>0.8を保持)に基づく選別
・物体サイズに基づく選別(円の直径>25nmを保持)
・同一物を除外することによる、画像の縁に触れている物体に基づく選別
これらの条件下では、解析は、10000個を超える物体に対して実施される。ソフトウェアは、物体のサイズ分布、メジアンサイズ、および個々のサイズの関数としての球指数を抽出する。
I.1.3.1nm2あたりのシラノール基数:
1nm2あたりのシラノール基数は、シリカの表面上にメタノールをグラフトすることにより決定される。先ず、約1gの量の粗製シリカを、110mlのオートクレーブ中、10mlのメタノール中に懸濁させる。
1nm2あたりのシラノール基数は、以下の式(I):
式中、
NSiOH/nm2は、1nm2あたりのシラノール基数(SiOH/nm2)を表し、
%Cgは、グラフトしたシリカ上に存在する炭素の質量百分率を表し、
%Cbは、粗製シリカ上に存在する炭素の質量百分率を表し、
SSpeは、シリカのBET比表面積(m2/g)を表す。
公知の方法において、エラストマーマトリックス中の充填剤の分散は、Zスコア(ディスパーグレーダースコアとも呼ばれる)によって表すことができ、このスコアは、規格ISO11345に準拠して、S.OttoらによりKautschuk Gummi Kunststoffe, 58 Edition, NR 7-8/2005に記載されている方法に従って、架橋後に測定する。
Zスコアの算出は、以下の式:
Z=100−(%非分散表面積)/0.35
に従い、Dyniscoにより提供されている、操作指示書および「disperDATA」操作ソフトウェアを含む「disperGRADER+」装置により測定すると、充填剤が分散していない(「%非分散表面積」)表面積の百分率に基づいている。
I.2 ゴム組成物の物性評価
ゴム組成物は上記の通り生成され、以下に示されている通り、硬化前および硬化後に物性評価される。
I.2.1.引っ張り試験:
これらの引っ張り試験は、弾性応力および破壊特性の決定を可能にする。特に示さない限り、これらの試験は、2005年12月のフランス規格NF ISO37に準拠して行われる。
破断応力(MPa)および破断伸び(%)は、温度(23℃±2℃)および相対湿度(50±10%相対湿度)である標準条件下で測定する。伸びの記録値を処理すると、伸びの関数としてのモジュラスの曲線をプロットすることも可能になる。
動力学的特性tan(δ)maxは、規格ASTM D 5992−96に準拠して、粘度分析器(Metravib VA4000)で測定する。規格ASTM D 1349−99に準拠して、標準温度条件(23℃)下で、10Hzの周波数で単純交互正弦せん断応力(simple alternating sinusoidal shear stress)を施した加硫済み組成物の試料(厚さ4mmおよび断面積400mm2を有する円筒状試験片)の応答を記録する。ピーク対ピークの歪み振幅掃引は、0.1%から50%まで(外方向サイクル)、次いで50%から1%(戻りサイクル)まで行う。利用される結果は、損失係数(tanδ)である。戻りサイクルの場合、観測されたtanδ(tan(δ)max)の最大値を示す。
60℃の温度にて10Hzの周波数で0.7MPaの強制正弦応力を施した、温度掃引中に単純交互正弦せん断応力を施した加硫済み組成物の試料の応答も記録し、60℃における、複素動的せん断係数(G*)を測定する。
測定は、1991年のフランス規格NF T43−005に準拠して、130℃で行う。時間の関数としての稠度指数(consistometric index)の変化により、ゴム組成物のスコーチ時間を決定することが可能であり、このスコーチ時間は、分で表されるパラメータT5(大きいローターの場合)によって、上記規格に準拠して評価され、この指数に関して測定される最小値を5単位超える稠度指数(MUで表される)の増加を得るために必要な時間(分)として定義される。
I.3 タイヤまたはトレッドの物性評価:
I.3.1.転がり抵抗:
転がり抵抗は、ISO87−67(1992年)の方法に準拠して、フライホイールで測定する。100に任意に設定された対照の値よりも大きな値は、改善された結果、すなわちより小さな転がり抵抗であることを示している。
耐摩耗性を測定するために使用した方法は、都市走行経路と曲線経路の両方に及ぶ公道を4000km走行した後の、対照タイヤ(タイヤPT0)と本発明によるタイヤ(タイヤPC1)との間の残留トレッドの高さパターンの比較に基づく。100に任意に設定された対照の値よりも大きな値は、改善された結果、すなわち、より優れた耐摩耗性であることを示している。
I.3.3.乾燥グリップ:乾燥地面でのブレーキング
ABSブレーキングシステムを装備した車両にタイヤを取付け、乾燥地面(アスファルトコンクリート)での急なブレーキングの間に、100km/時から0km/時となるまでに必要な距離を測定する。100に任意に設定された対照の値よりも大きな値は、改善された結果、すなわち、ブレーキング距離がより短いことを示し、これによって、より優れたグリップであることに反映する。
II.図面の説明
本発明によるゴム組成物は、1種または複数種のジエンエラストマー、少なくとも1種の補強用充填剤、少なくとも1種のカップリング剤、少なくとも1種の化学架橋系をベースとしており、補強用充填剤が、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカを含み、このシリカのBET比表面積が、30m2/g〜250m2/gの範囲である。
「をベースとする組成物」という表現は、使用した様々な構成物の混合物および/またはインシチュ反応の生成物を含む組成物を意味することが意図されており、これらの構成物の一部は、組成物の製造の様々な段階中、または最初に調製されたそのままの組成物の後の硬化、修飾の間に、少なくとも部分的に、互いに反応することが可能であるおよび/または反応することが意図されている。したがって、本発明のために使用される組成物は、非架橋状態および架橋状態が異なり得る。
本明細書の記載では、特に明示的に示されていない限り、示されている百分率(%)はすべて、質量百分率である。
「phr」(per hundred parts of rubber)という略語は、ゴム組成物中に存在しているエラストマー(エラストマーがいくつか存在する場合、これらのエラストマーの合計)またはゴム100部あたりの質量部を意味する。
「脂肪酸」は、本発明の目的の場合、長鎖で、とりわけ飽和または不飽和な、炭素をベースとする鎖を含むカルボン酸を意味することが意図されている。優先的に、脂肪酸は、14〜28個の炭素原子を含み、とりわけ飽和である。より優先的には、脂肪酸は、16〜20個の炭素原子を含む。より一層優先的には、脂肪酸はステアリン酸である。
III.1.エラストマー
本発明による組成物は、1種または複数種のジエンエラストマーを含む。
用語「ジエン」エラストマー(または、ゴムと等価である)は、天然か合成かに関わらず、公知の通り、ジエンモノマー単位(2つの共役または非共役炭素−炭素二重結合を有するモノマー)から少なくとも部分的になるエラストマー(すなわち、ホモポリマーまたはコポリマー)を意味することが理解されるべきである。
(a)共役ジエンモノマーの任意のホモポリマー、とりわけ4〜12個の炭素原子を有する共役ジエンモノマーの重合によって得られる任意のホモポリマー、
(b)1種もしくは複数種の共役ジエンが、相互に、または8〜20個の炭素原子を有する1種もしくは複数種のビニル芳香族化合物と共重合することによって得られる任意のコポリマー、
(c)エチレンと3〜6個の炭素原子を有するα−オレフィンと6〜12個の炭素原子を有する非共役ジエンモノマーとの共重合によって得られる三成分コポリマー(例えば、エチレンと、プロピレンと、とりわけ1,4−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネンまたはジシクロペンタジエンなどの上述のタイプの非共役ジエンモノマーとから得られるエラストマーなど)、
(d)イソブテンとイソプレンのコポリマー(ブチルゴム)、さらにまた、このタイプのコポリマーのハロゲン化型、特に、塩素化または臭素化型
を意味することが意図されている。
本発明は、任意のタイプのジエンエラストマーに適用されるが、特に上記のタイプ(a)または(b)の、実質的に不飽和なジエンエラストマーと共に好ましくは使用されることを当業者は理解する。
例えば、以下が、ビニル芳香族化合物として好適である:スチレン、オルト−、メタ−またはパラ−メチルスチレン、「ビニルトルエン」(市販の混合物)、パラ−(tert−ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼンまたはビニルナフタレン。
本発明の特定の実施形態によれば、本ゴム組成物は、例えば、第1のジエンエラストマー50〜100phr、および第1のジエンエラストマーとは異なる第2のジエンエラストマー0〜50phrを含んでもよい。
III.2 補強用充填剤およびカップリング剤
「補強用充填剤」は、公知の通り、タイヤを製造するために使用することができるゴム組成物を補強するその能力について知られている充填剤を意味することが意図されている。
これらの補強用充填剤のなかには、カーボンブラックなどの有機充填剤、および無機充填剤がある。
本発明による組成物は、補強用無機充填剤として、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカを含み、このシリカのBET比表面積は、30m2/g〜250m2/gの範囲である。
有利には、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、30m2/g〜150m2/gの範囲、好ましくは30m2/g〜120m2/g、より一層好ましくは、30m2/g〜100m2/gの範囲のBET比表面積を有することができる。BET比表面積は、段落I.1.1において記載されているプロトコルに準拠して測定される。
エラストマーマトリックス中の実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの分散は、「高分散性」と称されるシリカに関して得られたものと同等であるのが有利である。本発明の組成物のエラストマーマトリックス中のこのシリカの分散は、特に80以上のZスコアを有する。このスコアは、段落I.1.5において記載されている方法に準拠して測定される。
実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの1nm2あたりのシラノール基数(NSiOH/nm2)は、4以上とすることができる。実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの1nm2あたりのシラノール基数は、好ましくは4〜12の範囲とすることができ、より好ましくは5〜10の範囲とすることができる。1nm2あたりのシラノール基数は、段落I.1.4において記載されている方法に準拠して測定される。
好ましくは、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、溶融シリカとすることができる。
実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、例えば、供給業者である電気化学工業株式(DENKA)から、とりわけ市販されている。例えば、DENKAにより販売されている「超微細」粉末形態のシリカUFP−40およびUFP−30は、本発明の文脈内で使用されるシリカとして、とりわけ好適である。
本発明の組成物中の実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの含有量は、60〜250phr、好ましくは80〜200phrの範囲である。当然ながら、当業者は、ゴム組成物向けの目標用途に応じて、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの必要な含有量を適用する方法を認識している。
一実施形態によれば、補強用充填剤は、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカからなることができる。
優先的には、組成物が補強用無機充填剤の混合物を含む場合、他の補強用無機充填剤は、ケイ質もしくはアルミ質タイプの充填剤、またはこれらの2種のタイプの充填剤の混合物であってもよい。
他の補強用無機充填剤が提供される物理状態は、粉末、マイクロビーズ、顆粒、ビーズの形態、または適切な任意の他の高密度形態にあるかどうかは重要ではない。当然ながら、用語「補強用無機充填剤」は、様々な補強用無機充填剤の混合物、特に、上記の実質的に球状または非球状ナノ粒子の形態の高分散性アルミ質充填剤および/またはケイ質充填剤の混合物を意味することも意図されている。
一実施形態によれば、本発明の組成物は、カーボンブラックをさらに含んでもよい。
カーボンブラック以外の有機充填剤の例として、国際公開第2006/069792号、同第2006/069793号、同第2008/003434号および同第2008/003435号の出願に記載されているものなどの、官能基化ポリビニル有機充填剤を挙げることができる。
当業者は、使用される無機充填剤または有機充填剤の性質に従って、および例えば、自動二輪車向け、乗用車向け、またはローリー車もしくは重負荷車両などの特定用途車向けの、対象とするタイヤのタイプに従って、補強用充填剤の含有量を調節する方法を認識している。
本発明の組成物は、補強用無機充填剤をジエンエラストマーに結合させることを可能にする、少なくとも1種のカップリング剤を含む。
オルガノシランは、とりわけ、その具体的な構造に応じて、例えば、国際公開第03/002648号(または米国特許出願公開第2005/016651号)および同第03/002649号(または米国特許出願公開第2005/016650号)の出願に記載されているような、「対称」または「非対称」と呼ばれるシランポリスルフィドであってよい。
Z−A−Sx−A−Z(II)
[式中、
− xは、2〜8(好ましくは2〜5)の整数であり、
− 記号Aは、同一または異なっており、二価の炭化水素をベースとするラジカル(好ましくはC1−C18アルキレン基またはC6−C12アリーレン基、より詳細にはC1−C10、とりわけC1−C4アルキレン基、特にプロピレン)を表し、
− 記号Zは、同一または異なっており、以下の式の1つ:
− R1ラジカルは、置換または無置換であり、同一または互いに異なり、C1−C18アルキル、C5−C18シクロアルキルまたはC6−C18アリール(好ましくは、C1−C6アルキル、シクロヘキシルまたはフェニル、とりわけC1−C4アルキル、より詳細にはメチルおよび/またはエチル)を表し、
− R2ラジカルは、置換または無置換であり、同一または互いに異なり、C1−C18アルコキシルまたはC5−C18シクロアルコキシル基(好ましくは、C1−C8アルコキシルおよびC5−C8シクロアルコキシルから選択される基、より一層優先的には、C1−C4アルコキシル、特に、メトキシルおよびエトキシルから選択される基を表す)]
に相応する、「対称」と称されるシランポリスルフィドである。
とりわけ、通常の混合物が市販されている、上の式(II)に相当するアルコキシシランポリスルフィドの混合物の場合、指数「x」の平均値は、好ましくは2〜5の間の分数であり、より優先的には約4である。しかし、本発明はまた、有利には、例えばアルコキシシランジスルフィド(x=2)を用いて実施することもできる。
当然ながら、例えば、上記の国際公開第2006/125534号の出願に記載されている混合物などの、上記のカップリング剤の混合物も使用されてもよい。
カップリング剤の含有量は、有利には、20phr未満であってよい。通常、カップリング剤の含有量は、好ましくは、0.3〜15phrであってよい。この含有量は、組成物中に使用される補強用無機充填剤の含有量に応じて、当業者により容易に調節され得る。
本発明によるゴム組成物はまた、カップリング剤の他に、カップリング活性化剤、充填剤を被覆するための作用剤、またはより一般には、公知の通り、ゴムマトリックス中の充填剤の分散の改善により組成物の粘度を低下させることができる、粗原料状態で加工する能力を改善することができる加工助剤を含むことができ、これらの作用剤は、例えば、アルキルアルコキシシランなどの加水分解可能なシラン、ポリオール、ポリエーテル、一級、二級もしくは三級アミン、またはヒドロキシル化されているもしくは加水分解可能なポリオルガノシロキサンである。
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の可塑化剤を含んでもよい。可塑化剤は、20℃超のガラス転移温度(Tg)を有する可塑性樹脂、室温(23℃)で液体である可塑剤、およびそれらの混合物から選択することができる。例えば、可塑化剤は、20℃超のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも1種の可塑性樹脂、および室温(23℃)で液体である少なくとも1種の可塑剤からなる、可塑剤系とすることができる。
組成物中の可塑化剤の含有量は、10〜220phrの範囲とすることができ、好ましくは20〜180phrの範囲とすることができる。
III.3.1.樹脂
当業者に公知の通り、名称「可塑性樹脂」は、本出願において、定義により、一方では、室温(23℃)で固体であり(油などの液体可塑性化合物とは対照的に)、他方では、意図されるゴム組成物と適合性があり(すなわち、通常、5phrよりも多く使用される含有量において混和性である)、その結果、真の希釈剤として作用する化合物に該当する。
好ましくは、炭化水素をベースとする可塑性樹脂は、以下の特徴の少なくともいずれか1つを有する:
− 20℃よりも高い、より優先的には30℃より高いTg、
− 400〜2000g/molの間、より優先的には500〜1500g/molの間の数平均分子量(Mn)、
− 3未満、より優先的には2未満の多分散性指数(PI)(注:PI=Mw/Mn;Mwは質量平均分子量)。
より優先的には、この炭化水素をベースとする可塑性樹脂は、上記の優先的な特徴をすべて有する。
可塑性樹脂は、脂肪族もしくは芳香族、または脂肪族/芳香族タイプとすることができる、すなわち脂肪族モノマーおよび/または芳香族モノマーに基づくものとすることができる。それらは、天然または合成の、石油をベースとするまたはベースとしないものとすることができる(このような場合、石油樹脂という名前でも知られている)。
用語「テルペン」は、本明細書では、公知の通り、α−ピネン、β−ピネンおよびリモネンモノマーを含む。公知の通り、3つの可能な異性体:L−リモネン(左旋性鏡像異性体)、D−リモネン(右旋性鏡像異性体)、または右旋性および左旋性鏡像異性体のラセミ体であるジペンテンの形態にある化合物である、リモネンモノマーが優先的に使用される。
・ ポリリモネン樹脂:DRT製、Dercolyte L120という名称(Mn=625g/mol;Mw=1010g/mol;PI=1.6;Tg=72℃)、またはArizona製、Sylvagum TR7125Cという名称(Mn=630g/mol;Mw=950g/mol;PI=1.5;Tg=70℃)、
・ C5フラクション/ビニル芳香族コポリマー樹脂、とりわけC5フラクション/スチレンまたはC5フラクション/C9フラクションコポリマー樹脂:Neville Chemical Company製のSuper Nevtac78、Super Nevtac 85およびSuper Nevtac99という名称、Goodyear Chemicals製のWingtack Extraという名称、Kolon製のHikorez T1095およびHikorez T1100という名称、またはExxon製のEscorez2101およびECR373という名称、
・ リモネン/スチレンコポリマー樹脂:DRT製のDercolyte TS105(DRT製)またはArizona Chemical Company製のZT115LTおよびZT5100という名称。
III.3.2.室温で液体である可塑化剤
可塑化剤は、室温(23℃)で液体である可塑剤、例えば、室温で液体である進展油(extending oil)(または可塑化油)とすることができ、その通常の役割は、ムーニー可塑度(Mooney plasticity)を低下させることにより加工性を容易にすること、および硬化後の伸び係数を低下させることにより耐久性を改善することである。
ジエンエラストマーに関して、可塑化特性があることが知られている任意の進展油を、芳香族または非芳香族性質であるかに関わらず使用することができる。室温(23℃)では、多少なりとも粘性があるこれらの油は、とりわけ、本来、固体である樹脂またはゴムとは対照的に、液体である(すなわち、注釈すると、その容器の形状を最終的に呈する能力を有する物質)。好ましくは、可塑化油は、そのガラス転移温度Tgが0℃未満、好ましくは−20℃未満であるという特徴を有することができる。ガラス転移温度は、規格ASTM D3418(1999年)に準拠して測定される。
本発明の特定の一実施形態によれば、液体可塑剤は、石油、好ましくは非芳香族石油、または植物油である。
液体可塑剤は、ある含有率の多環式芳香族化合物を有する場合、IP346法に準拠してDMSO中での抽出を用いて決定すると、液体可塑剤の総質量に対して3%未満の非芳香族として説明される。
この目的のため、MES油、TDAE油、ナフテン油(低粘度または高粘度、とりわけ水素化されているかまたは水素化されていない)、パラフィン油およびこれらの油の混合物からなる群から選択される、液体可塑剤が使用され得る。
III.3.3.可塑化剤の混合物
本発明の一実施形態によれば、可塑化剤は、上記の通り、室温で液体である、少なくとも1種の可塑化剤との混合物中の、上述の少なくとも1種の可塑性樹脂であってよい。次に、可塑剤系について述べる。
一実施形態によれば、可塑剤系の全内容物(A+B)は、本発明による組成物中、10〜220phrの範囲、好ましくは20〜180phrの範囲であってよい。
− CPDホモポリマー樹脂、DCPDホモポリマー樹脂、CPD/スチレンコポリマー樹脂、DCPD/スチレンコポリマー樹脂、ポリリモネン樹脂、リモネン/スチレンコポリマー樹脂、リモネン/CPDコポリマー樹脂、リモネン/DCPDコポリマー樹脂、C5フラクション/スチレンコポリマー樹脂、C5フラクションコポリマー樹脂、C9フラクションコポリマー樹脂、ならびにこれらの樹脂の混合物からなる群から選択される少なくとも1種の可塑性樹脂、とりわけC5フラクションコポリマー樹脂とC9フラクションコポリマー樹脂との混合物、および
− 特に、植物油、MES油、TDAE油、ナフテン油(低粘度または高粘度、とりわけ水素化または非水素化)、パラフィン油およびこれらの油の混合物からなる群から選択される、石油または植物油である少なくとも1種の液体可塑化剤
を含むことができる。
III.4 架橋系
本発明による組成物は、エラストマー鎖間の共有結合の形成を可能にする化学架橋系を含む。この化学架橋系は、加硫系、または1種もしくは複数種の過酸化合物を含有する系であってよい。
好ましくは、加硫系は、硫黄、亜鉛、とりわけ酸化亜鉛の形態のもの、および少なくとも1種の脂肪酸、とりわけステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を有する脂肪酸を含む。
硫黄を使用する場合、0.5〜12phrの間、特に1〜10phrの間の優先的な含有量で使用される。一次加硫促進剤は、0.5〜10phrの間、より優先的には0.5〜5phrの間の優先的な含有量で使用される。
本発明の一実施形態によれば、化学架橋系は、硫黄、0〜1phrの亜鉛、および0〜1phrの脂肪酸、とりわけ、例えばステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を含む、好ましくは飽和の脂肪酸を含む、加硫系である。
優先的には、上記で定義した組成物において、化学架橋系は、硫黄、0〜0.5phrの間の亜鉛、および0〜0.5phrの間の脂肪酸、とりわけ、例えばステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を含む、好ましくは飽和の脂肪酸を含む、加硫系である。
第2の変形によれば、1種または複数種の過酸化合物を使用して化学的架橋が行われる場合、前記過酸化合物の含有量は、0.01〜10phrの範囲とすることができる。化学架橋系として使用される過酸化合物としては、アシルペルオキシド、例えば過酸化ベンゾイルまたはp−クロロベンゾイルペルオキシド、ケトンペルオキシド、例えばメチルエチルケトンペルオキシド、ペルオキシエステル、例えば過酢酸t−ブチル、過安息香酸t−ブチルおよびt−ブチルペルオキシフタレート、アルキルペルオキシド、例えばジクミルペルオキシド、過安息香酸ジ(t−ブチル)および1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンまたはヒドロペルオキシド、例えばt−ブチルヒドロペルオキシドを挙げることができる。
本発明によるタイヤのゴム組成物は、例えば、顔料、抗オゾンワックス、化学的抗オゾン剤または抗酸化剤、抗疲労剤、上記のもの以外の架橋剤、補強用樹脂、例えば国際公開第02/10269号の出願に記載されているようなメチレン受容体(例えば、フェノールノボラック樹脂)またはメチレン供与体(例えば、HMTまたはH3M)などの、半完成品およびタイヤの製造が意図されているエラストマー組成物において一般に使用されている通常の添加物のすべてまたは一部も含んでもよい。
当然ながら、本発明による組成物は、単独で、または半完成品およびタイヤを製造するために使用される任意の他のゴム組成物とのブレンド(すなわち、混合物として)使用することができる。
本発明は、「粗製」または非架橋状態(すなわち、硬化前)と「硬化した」もしくは「架橋済み」または加硫状態(すなわち、架橋または加硫後)との両方の、上記のゴム組成物に関することは明白である。
本発明のゴム組成物は、好適なミキサー中で、当業者に周知の一般手順に従って、調製の2つの連続段階:130℃〜200℃の間、好ましくは145℃〜185℃の間の最大温度までの高温で、熱機械的に作業または混練する第1段階(時として「非製造的」段階と呼ばれる)、次いで、通常、120℃未満、例えば60℃〜100℃の間のより低い温度で機械的に作業する第2段階(時として「製造的」段階と呼ばれる)を使用して製作することができ、この完成段階の間に、架橋系または加硫系が配合される。これらの段階は、例えば、欧州特許第0501227号、欧州特許第0735088号および欧州特許第0810258号の出願に記載されている。
こうして得られた混合物を冷却した後、次に、加硫系を、通常、開放ミルなどの外部ミキサーにおいて、低温(典型的には100℃未満)で配合する。次に、この合わせた混合物を、数分間、例えば5〜15分の間、混合する(製造的段階)。
実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの好ましい特性は、上記の方法に当てはまる。
特に、このシリカのBET比表面積は、30〜150m2/g、より一層好ましくは、30〜120m2/g、さらに良好には30〜100m2/gの範囲であってよい。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、1nm2あたり、4以上、好ましくは4〜12の範囲、より好ましくは5〜10の範囲のシラノール基数を有する。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、0.80以上、好ましくは0.80〜0.99の範囲、より好ましくは0.85〜0.99の範囲の球指数を有する。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、溶融シリカであってよい。
優先的に、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの含有量は、60〜250phr、好ましくは80〜200phrの範囲であってよい。
優先的に、実質的に球状のシリカナノ粒子のメジアンサイズは、100nm以下であってよい。実質的に球状のシリカナノ粒子のメジアンサイズは、好ましくは10〜80nmの範囲であってよく、より一層好ましくは、20〜70nmの範囲であってよい。
優先的に、加硫系は、硫黄、亜鉛、とりわけ酸化亜鉛の形態のもの、および少なくとも1種の脂肪酸、とりわけ、ステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を有する好ましくは飽和の脂肪酸を含む。
硫黄を使用する場合、0.5〜12phrの間、特に1〜10phrの間の優先的な含有量で使用される。一次加硫促進剤は、0.5〜10phrの間、より優先的には0.5〜5phrの間の優先的な含有量で使用される。
本方法の一実施形態によれば、化学架橋系は、硫黄、0〜1phrの亜鉛、および0〜1phrの脂肪酸、とりわけ、例えばステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を含む、好ましくは飽和の脂肪酸を含む、加硫系である。
優先的に、上記で定義した方法において、化学架橋系は、硫黄、0〜0.5phrの間の亜鉛、および0〜0.5phrの間の脂肪酸、とりわけ、例えばステアリン酸などの16〜20個の炭素原子を含む、好ましくは飽和の脂肪酸を含む、加硫系である。
本発明の別の主題は、上記で定義した、または上記の方法により得ることができる、少なくとも1つの架橋性または架橋済みゴム組成物を含む半完成物品に関する。半完成品は、タイヤ製造を意図したゴム製品である。これは、とりわけ、トレッド、クラウン強化パイル(crown reinforcement plie)(例えば、作業パイル、保護パイルまたはホッピングパイル(hooping plie))、カーカス強化パイル、サイドウォールパイル、ビーズパイル、プロテクターパイル、下層パイル、ラバーブロックパイル、および上述のタイヤ領域間のインターフェースを設ける他のパイルなどの、任意のタイプのゴムストリップとすることができる。好ましくは、半完成物品はトレッドである。
本発明の別の主題は、上述の少なくとも1つの半完成物品を含むタイヤである。
以下の実施例は、本発明を例示するが、本発明を限定するものではない。
以下の試験を行うため、以下の方法で組成物を製造する:ジエンエラストマー(SBRコポリマー)、補強用充填剤(試験されるシリカ)、カップリング剤および可塑剤、次に、1〜2分間混練した後に、加硫系を除く様々な他の成分を、約50℃の内部容器温度を有する密閉式ミキサーに1回でまたは小分けにして複数回連続して、70%の充填となるよう導入する。次に、熱機械作業(非製造的段階)を、約165℃の最高「落下(dropping)」温度に到達するまで、1回の工程で行う(全混練時間は、約10分間に等しい)。
このように得られた混合物を回収して冷却し、次に、加硫系(硫黄および促進剤)を外部ミキサー(ホモフィニッシャー(homofinisher))に約70℃で添加し、それぞれを約5〜10分間、混合する(製造的段階)。
・ 試験1
以下の試験の目的は、本発明に準拠せず、かつ補強用充填剤として実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカを含まない組成物と比べて、本発明によるゴム組成物の特性が改善されていることを実証することである。
この目的の場合、ジエンエラストマー(SBRコポリマー)、カップリング剤および加硫系を含む、3種の組成物を比較し、これらの組成物はそれぞれ、様々なシリカにより強化されており、それらの特徴を以下に具体的に示す。
組成物T1:対照組成物(その補強用充填剤は、沈殿によって得られたシリカである)。このシリカは、非球状であり、35m2/gに等しいBET比表面積を有する。
組成物T2:対照組成物(その補強用充填剤は、ヒューミングによって得られたシリカである)。このシリカは、実質的に球状であり、20m2/gに等しいBET比表面積を有する。
組成物C1:本発明による組成物(その補強用充填剤は、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカである)。このシリカは、40m2/gに等しいBET比表面積を有する。
様々な組成物の配合を表1に示す。量は、エラストマー100質量部あたりの部数(phr)で表す。
充填剤の体積率は、すべての組成物について同一である。
シリカは、段落I.1に記載の方法に準拠して物性評価した。
・ 試験2
この試験は、優れたグリップおよび転がり抵抗を有するトレッドを含むタイヤを得るよう意図されているトレッド製造のために使用される配合を代表する組成物と比べて、本発明によるゴム組成物は特性が改善されていることを実証することを目的としている。
様々な組成物の配合を表3に示す。量は、エラストマー100質量部あたりの部数(phr)で表す。
シリカは、段落I.1.に記載の方法に準拠して物性評価した。
非常に驚くべきことに、本発明による組成物C1は、組成物T0のそれと等価なZスコアを有する。組成物C1中で使用される実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカは、「高分散性」と称されるシリカと同等に、エラストマーマトリックス中に分散する。
さらに、表4の観察はまた、驚くべきことに、本発明による組成物C1は、組成物T0に比べて、非常に有意に改善された破壊特性およびヒステリシス特性を有することを示している。ヒステリシス特性および破壊特性の改善は、組成物C1を含むトレッドを装備したタイヤの転がり抵抗を低下させるのに好都合である。
まとめると、タイヤ向けのゴム組成物中で、補強用充填剤として、30m2/g超のBET比表面積を有する実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカを使用すると、驚くべきことに、別のタイプの補強用充填剤を使用する組成物と比べて、破壊特性をかなり改善することが可能になる。
・ 試験3
この試験の目的は、酸化亜鉛およびステアリン酸の含有量を低下させた対照組成物に比べて、酸化亜鉛およびステアリン酸の含有量も低い本発明の組成物の、スコーチの現象に関する利点を実証することである。
様々な組成物TM4〜TM9およびC4〜C9の配合を表5に示す。量は、エラストマー100質量部あたりの部数(phr)で表す。
スコーチ現象は、段落I.2.3.に記載の方法に準拠して、スコーチ時間(T5)の測定によって観察する。結果を、図5にも示す。
対照的に、さらに驚くべきことに、本発明の組成物(組成物C5〜C8またはC9)では、対照組成物(組成物TM5〜TM8またはTM9)の場合と同じように酸化亜鉛およびステアリン酸の含有量を低下させるまたは除去すると、スコーチ時間の短縮は非常に小さい。
実際に、組成物C5〜C7のスコーチ時間は、その酸化亜鉛の含有量を0.28phrまで、およびステアリン酸の含有量を0.31phrまで低下させると、組成物C4と同じスコーチ時間となる。早期加硫は、これらの組成物に対して観察されない。
酸化亜鉛およびステアリン酸の含有量をさらに低下させた場合(組成物C8)、またはこれらの2つの構成物を除去した場合(組成物C9)、スコーチ時間の値の30%の低下が観察される。組成物C8およびC9に関して得られたスコーチ時間は、これらの組成物を工業的に使用することを禁じるものではない。
・ 試験4
この試験の目標は、グリップおよび転がり抵抗の非常に優れた特性を有するタイヤまたはトレッドと比べて、本発明によるゴム組成物を含むタイヤまたはトレッドは特性が改善されていることを例示することである。この比較は同じ剛性で行う。
最初に、タイヤを転がり抵抗を決定するために機械で試験し、次に、グリップおよび摩耗試験に関しては車両に装備した。合わせた結果を表6にまとめる。
Claims (8)
- 1種または複数種のジエンエラストマー、少なくとも1種の補強用充填剤、少なくとも1種のカップリング剤、少なくとも1種の化学架橋系に基づくゴム組成物であって、補強用充填剤が、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカを含み、このシリカのBET比表面積が、30m2/g〜250m2/gの範囲であり、実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカが、0.80〜0.99の範囲の球指数を有し、及び実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカが溶融シリカである、ゴム組成物。
- 実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカが、1nm2あたり4以上のシラノール基数を有することを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
- 実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの含有量が、60〜250phrの範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
- 実質的に球状のナノ粒子の形態のシリカの質量が、補強用充填剤の総質量の60%超となることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の組成物。
- カーボンブラックをさらに含むことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の組成物。
- 架橋性または架橋済みである、請求項1から5までのいずれか1項に記載のゴム組成物の少なくとも1つを含む、タイヤ用半完成ゴム物品。
- トレッドであることを特徴とする、請求項6に記載の物品。
- 請求項6または7に記載の少なくとも1つの半完成物品を含むことを特徴とする、タイヤ。
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