JP6920053B2 - 乾燥米飯の新規製法及び乾燥米飯 - Google Patents

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Description

本発明は湯戻り特性が改善された乾燥米飯の新規製法及び乾燥米飯に関する。乾燥米飯は災害食として、またアウトドアでのインスタント食として利用されている。
α化米は米を炊飯釜または蒸気で炊飯後に米粒中の澱粉がα化した状態のまま乾燥させることにより得られ、これに湯または水を注ぐことにより復元させ、通常の炊飯米と同等の味や食感を有する米飯となる乾燥米飯であり、災害時の避難所等において、また登山やキャンプ等のアウトドア生活において便利である。
炊飯米を効率よく乾燥させることがα化米を製造する上で重要な要素であり、そのために炊飯米を1粒1粒バラけさせること、すなわち単粒化することが重要であることは公知である。単粒化により乾燥効率が上昇するとともに、復元時の湯戻りも改善することが知られている。その目的を達成するため、加圧蒸気を用いて米粒表面をα化させる前処理を行う技術(特許文献1、2)、アルカリ水溶液中で炊飯した米を中和する方法(特許文献3)、作用至適温度の異なる2種類以上のアミラーゼを使用することによって米飯のほぐれと食感を改善する方法(特許文献4)、炊飯した米飯をほぐし室内にて高速のエアを吹き付けて飛び散らせて解れた米飯を回収する方法(特許文献5)、加工澱粉を添加して米粒表面を改質する方法(特許文献6)などが開示されている。
特開2012−161251号公報 特開2004−159561号公報 特開2015−188361号公報 特開2015−80458号公報 特開2014−236671号公報 特開2013−034414号公報
しかしながらこれらの技術を用いた場合でもその効果は充分ではなく。またものによっては多大な設備投資が必要である場合や、アミラーゼ処理により米粒表面のいわゆるおネバ成分が失われることによる食感の低下が懸念されることから、さらに効果の高い技術が求められていた。
本発明の課題は炊飯米の食感を損なわずに簡便な操作で炊飯米を単粒化することにより効率良くα化米を製造する技術を確立するとともに、該α化米の復元を早めることである。
本発明につき詳しく説明する。通常、α化米は搗精度90%前後の精白米を水分が60〜65%となるように炊飯した後に、温風を用いて乾燥させることにより得られる。乾燥後の炊飯米は米粒同士が結着して板状の乾燥物となるため、これに湯を注いで復元させた場合には板の表面部分は比較的短時間で復元するものの、板の中心部分は湯の通りが悪く、復元に多大な時間を要すると同時に、復元後も硬い芯が残りやすく、これが復元したご飯の食感を低下させるため、板状の乾燥物を解砕して(いわゆる「解し」工程)湯の通りを良くすることが求められる。しかし米粒同士が強く結着している場合には該「解し」工程に多大なエネルギーが必要となることや、「解し」により米粒が割れていわゆる破砕米が増加することによりご飯の美味しさが損なわれることが課題であった。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、炊飯前に、加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分を米に添加するか、又は、米を過熱水蒸気で処理する工程、すなわち米粒の表面硬化/コーティング工程と、炊飯前に、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤を米に添加する工程、すなわち米粒同士の結着を抑制する工程との組合せが、炊飯後の米飯の「解れ」向上、また該米飯を乾燥させる際の乾燥米同士の「解れ」を大幅に向上させることを見出した。さらにかかる「解れ」の良い乾燥米飯は復元速度が従来の乾燥米飯と比較して大幅に短縮することを見出し、本発明を完成させるに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 乾燥米飯の製造方法であって、
炊飯前に、加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分を米に添加するか、又は、米を過熱水蒸気で処理する、第1の工程と、
炊飯前に、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤を米に添加する第2の工程と、
前記第1の工程及び前記第2の工程後に米を炊飯し、炊飯後の米を乾燥させる工程と、を有する方法。
(2) 前記第1の工程において、
前記加工澱粉がヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉でありかつ前記加工澱粉の精白米に対する添加量が重量比で0.2乃至5%であるか、
イソマルトデキストリンの精白米に対する添加量が重量比で0.2乃至3%であるか、
プルランの精白米に対する添加量が重量比で0.5乃至2%であるか、
トレハロースの精白米に対する添加量が重量比で0.5乃至5%であるか、又は
過熱水蒸気による処理が150乃至300℃で30秒乃至5分間の処理である(1)記載の方法。
(3) 前記第2の工程において、乳化剤の添加量が精白米に対する重量比で0.02乃至1%である(1)又は(2)記載の方法。
(4) 前記第2の工程において、乳化剤のHLBが2乃至15である(1)から(3)のいずれか記載の方法。
(5) 前記第1の工程において過熱水蒸気処理を行った後に、前記第2の工程において精白米に対して重量比で0.02乃至1%の、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はグリセリン脂肪酸エステルを添加する(1)から(4)のいずれか記載の方法。
(6) 炊飯を蒸気炊飯により行う(1)から(5)のいずれかの方法。
(7) 炊飯前に、さらに精白米に対する添加量が重量比0.1乃至5%のカルシウム製剤を精白米に対して添加する工程を有する(1)から(6)のいずれか記載の方法。
(8) 加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分と、
ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤と、を含有する乾燥米飯。
本発明の技術を用いることにより炊飯後の米粒同士の結着が緩和され、パラパラした状態の米飯が製造できる。また該米飯を乾燥させることにより米粒同士の結着やダマが解消されることにより乾燥効率が向上する。米粒同士の結着やダマは乾燥不良を引き起こすと同時にこの乾燥不良部分が澱粉の老化を引き起こし、湯や水で復元させる際に芯残りとなりやすいため、本発明の技術は湯戻し改善および短縮化に多大な効果を及ぼすことになる。
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<乾燥米飯の製造方法>
本発明の乾燥米飯の製造方法は、炊飯前に、加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分を米に添加するか、又は、米を過熱水蒸気で処理する、第1の工程と、炊飯前に、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤を米に添加する第2の工程と、第1の工程及び第2の工程後に米を炊飯し、炊飯後の米を乾燥させる工程と、を有する。本発明は、このような簡便な操作により、炊飯米の食感を損なわずに炊飯米を単粒化することにより効率良くα化米を製造することができ、該α化米の復元を早めることができる。
本発明における「乾燥米飯」とは、炊飯等の加水加熱によって米の澱粉をα化(糊化)させた後に、乾燥処理によってその糊化の状態を固定させた米であり、α化米のことを指す。
本発明の製造方法において使用される米としては、精白米の他に、例えば、玄米、胚芽精米等を使用しても良い。
(第1の工程)
本発明における第1の工程は、炊飯前に、加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分を米に添加するか、又は、米を過熱水蒸気で処理するかのいずれかの工程である。第1の工程により、米粒の表面の硬化/コーティングを行うことができる。第1の工程と、後述の第2の工程との組み合わせにより、本発明は、炊飯米を単粒化するのみでなく、α化米の復元を早めることができる。
第1の工程において米に添加されるものは、加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分である。これらのうち、加工澱粉は、特に限定されないが、ヒドロキシプロピル化澱粉、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、リン酸モノエステル化澱粉、及びリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉が利用でき、好ましくはヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉を精白米の重量に対して0.2〜5%、好ましくは0.5%〜1%添加することが好ましい。イソマルトデキストリンを添加する場合は精白米の重量に対して0.05〜3%、好ましくは0.2〜3%、より好ましくは0.2〜1%を添加することが好ましい。プルランの場合は、精白米の重量に対して0.5〜2%、好ましくは0.7〜1.2%添加することが好ましい。トレハロースを添加する場合には、精白米の重量に対して0.5〜5%、好ましくは1〜2%を添加することが好ましい。トレハロースは、加工澱粉、イソマルトデキストリンもしくはプルランの米に対する添加、又は、米の過熱水蒸気処理と併用することができる。ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、イソマルトデキストリン、プルランの例として、それぞれ松谷化学社のエマルスター(登録商標)900、林原社のファイバリクサ(登録商標)、同じく林原社のプルランが挙げられる。加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分を添加するタイミングとしては、例えば、精白米を洗米した後に浸漬水とともに添加することができる。
本発明は、米を過熱水蒸気処理することにより、米粒表面を糊化させて硬化させることができ、これにより、米粒の表面の硬化/コーティングを行うことができる。第1の工程において過熱水蒸気処理を行う場合には、精白米を、例えば、150℃〜300℃の温度で処理することができるが、好ましくは180℃〜250℃で30秒〜5分間、好ましくは1分〜2分間処理することができる。また、過熱水蒸気処理は、水に浸漬した米に対して行ってよく、水に浸漬させていない米に対して行ってもよい。
(第2の工程)
本発明における第2の工程においては、炊飯前に、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤を米に添加する。第2の工程において使用される乳化剤は、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)の値は、例えば、2〜15であってよく、好ましくは5〜11であり、乳化剤の種類としては好ましくはショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステル(例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等)く、精白米に対する添加量はいずれの乳化剤も重量比で0.02〜1%であることが好ましく、より好ましくは重量比で0.05〜0.3%である。ショ糖脂肪酸エステルの例としては三菱化学フーズ社のリョートーシュガーエステルシリーズが挙げられる。またグリセリン脂肪酸エステルの例としては、同じく三菱化学フーズ社のリョートーポリグリエステルシリーズが挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステルの例としては理研ビタミン社のポエムシリーズが挙げられる。過熱水蒸気と組み合わせる場合には乳化剤を含む水で浸漬した後に過熱水蒸気処理を行っても良いが、好ましくは加熱水蒸気処理後に乳化剤を含む水を加えて炊飯を行う方が良い。
本発明において、第1の工程後に第2の工程を行ってもよく、第2の工程後に第1の工程を行ってもよく、第1の工程と第2の工程を並行して行ってもよい。ただし、より米粒を単粒化でき、α米の復元を早くすることができることから、第1の工程において過熱水蒸気処理を行った後に、第2の工程においてショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はグリセリン脂肪酸エステルを米に対して添加することが好ましい。この際、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はグリセリン脂肪酸エステルは、精白米に対して重量比で0.02乃至1%の量を添加することが好ましい。
本発明において、特に、米の復元を早くすることができることから、第1の工程においてヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉又トレハロースを米に添加し、第2の工程においてショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はグリセリン脂肪酸エステルを米に添加することが好ましい。
上述の第1の工程、第2の工程において、上述した成分以外に、炊飯に使用される公知の成分を米に添加してもよく、添加しなくてもよい。
(炊飯及び乾燥工程)
本発明における炊飯及び乾燥工程においては、上述の工程及び第2の工程後に米を炊飯し、炊飯後の米を乾燥させる。
炊飯は常法に従って行えばよく、例えば、精白米に対して1.3倍〜1.5倍重量の水を加えて通常の炊飯器で炊飯しても良く、また蒸し器を用いて適宜振り水を行いながら20分〜30分蒸すことにより炊飯することもできる。炊飯は、蒸気炊飯により行うことが好ましい。また、炊飯した米飯の水分含量は60%〜65%となることが望ましい。
炊飯米を乾燥する方法としては常法に従って行えばよく、例えば、通風乾燥やバンド乾燥、凍結乾燥等が利用可能である。他方、本発明の処理を行うことにより米飯の結着が大幅に緩和されることから流動層乾燥も場合によっては使用可能となり、均一に短時間で乾燥を完了させることが可能となる。
(その他の工程)
本発明は、上述の工程以外の工程を有してもよく、有さなくてもよいが、乾燥米飯の湯戻しを改善するには、上記のように乾燥中の「解し」効果を高めることの他に米粒そのものを改変する工程も重要である。すなわち炊飯前における浸漬時にトレハロースやカルシウム製剤を加えてこれらを米粒内部に浸透させることにより復元時の湯の米粒内部への浸透を高めることができる。トレハロースは、上述の第1の工程においてトレハロース以外の成分を添加するか、過熱水蒸気による処理を行う場合に、これらと併せて添加することが好ましい。トレハロースの添加量としては精白米に対する重量比で0.1乃至10%、好ましくは0.3乃至2%である。トレハロースの添加量が増えるに従い炊飯米または乾燥後の復元した米飯の甘味が増加するため、トレハロースの添加量は重量比で10%以下とすることが好ましい。またカルシウム製剤としては食品として利用可能なものであれば如何なるものでも使用できるが、微粒子の焼成カルシウムが好ましく、精白米に対する添加量は重量比で0.1乃至5%、好ましくは0.3乃至1%である。
また、第1の工程及び第2の工程後における米を、炊飯前に吸水させてもよい。吸水は、例えば、20分間〜3時間、米を水に浸漬することにより行ってよい。また、吸水後、炊飯前に、吸水させた米を蒸してもよい。米の蒸しは、例えば、1分間〜1時間行ってもよい。このように、米の吸水及び/又は蒸しにより、さらにα化米の復元を早くすることができる。
(乾燥米飯)
本発明は、加工澱粉、イソマルトデキストリン、プルラン及びトレハロースからなる群から選ばれる1つ以上の成分と、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤と、を含有する乾燥米飯をさらに包含する。
本発明における乾燥米飯は、上述の乾燥米飯の製造方法により製造することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
秋田県産あきたこまち(平成27年度産)の精白米300gを洗米し、精白米と水との合計重量が720gとなるように(精白米の1.4倍重量)水を加えた。これに表1に示す添加剤として多糖類は3g(精白米の1重量%)、乳化剤は0.9g(精白米の0.3重量%)を加え、パナソニック社製炊飯器(SR−HS104−C)を用いて通常モードで炊飯した。尚、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉として松谷化学社のエマルスター900を、ショ糖脂肪酸エステルとして三菱化学フーズ社のリョートーシュガーエステルシリーズを、グリセリン脂肪酸エステルとして三菱化学フーズ社のリョートーポリグリエステルシリーズを、ソルビタン脂肪酸エステルとして理研ビタミン社のポエムS−65Vをそれぞれ用いた。またこれら乳化剤メーカーが開示しているHLB値を表1に示した。炊飯した米飯をしゃもじでほぐし、その約200gをフィリップス社製ノンフライヤープラスのトレー(ステンレス金網を底に敷いた状態)に投入して110℃で通風乾燥させた。途中で適宜ほぐしながら合計で約30分間加熱することにより乾燥米を得た。炊飯米における米粒の「解れ」と乾燥途中の単粒の出現度合いから単粒化の効果を比較した。尚、「解れ」に関しては数字が大きいほどパラパラと解れ易い、もしくは解れた状態であることを意味する。なお、下記表1中、「標品1」、「標品2」、「標品8」、「標品18」、「標品20」は比較例である。
Figure 0006920053
表1から明らかなように、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、イソマルトデキストリンであるファイバリクサ、プルランから選ばれる多糖類と乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステル)とを併用した標品3〜7、標品9〜17、標品19は、比較例である標品1、標品2、標品8、標品18、標品20より、炊飯後の「解れ」と乾燥中の「解れ」の総合評価が高かった。このことから、ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉、イソマルトデキストリンであるファイバリクサ、プルランから選ばれる多糖類と乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルまたはグリセリン脂肪酸エステル)とを併用することが炊飯した米の「解れ」に効果的であり、これらを単独で使用してもその効果は少ないか殆どないことが解る。
<実施例2>
実施例1と同様にあきたこまち300gをそれぞれ洗米し、標品21および23ではそのまま水に浸漬した。また標品22では0.9gのショ糖脂肪酸エステルS−970(米の0.3%)を含む水約200gに浸漬し、30分間吸水させた。吸水させた米をステンレス網上に米の厚さが約1cmとなるように広げ、直本社製加熱蒸気オーブンDFC−460−1Lを用いて200℃で1分間の過熱水蒸気処理を施した。処理した米は実施例1と同様に炊飯釜に移して米と水の合計重量が720gとなるように加水し、標品21はそのまま、標品23には0.9gのショ糖脂肪酸エステルS−970を加えて通常モードで炊飯し、実施例1と同様に乾燥を行った。なお、下記表2中、「標品21」は比較例である。
表2に示した通り、過熱水蒸気処理単独での効果は少なく、乳化剤との併用が必須であること、また乳化剤の添加時期は過熱水蒸気処理後が好ましいことが解る。
Figure 0006920053
<実施例3>
実施例1と同様の手法によりヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉とショ糖脂肪酸エステルの適正添加量を検討した。表3に示した量の添加剤を加えて実施例1と全く同様の手法で炊飯と乾燥を行った。ヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉の添加量0.5%でも炊飯米の「解し」効果は確認できたが、0.2%ではその効果は十分ではなかった。またショ糖脂肪酸エステルの添加量は0.05%〜1%の場合に高い効果が認められた(表3)。
Figure 0006920053
<実施例4>
あきたこまち300gを洗米した後、3gのヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(米の1%)と0.9gのショ糖脂肪酸エステルS−970(米の0.3%)を含む水200gに浸漬し2時間吸水させた。これを蒸し器に投入し、20分間蒸した。途中で約90℃の湯を3回、合計1500ml振りかけた。炊飯後の水分は62%であった。実施例1と同様に乾燥させて「解れ」を評価した。この標品(標品29)も「解れ」が良く、単粒の乾燥米が多量に回収された(表4)。
Figure 0006920053
<実施例5>
あきたこまち300gを洗米した後、1.5gのヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉(米に対して0.5%)と0.9gのショ糖脂肪酸エステルS−970(米に対して0.3%)を添加し、さらにトレハロース(林原社製)または焼成カルシウム(製品名「シェルパウダー[ホタテ22]」、カワイマテリアル株式会社製)を表5に記載した量を添加して炊飯し、実施例1と同様の方法で乾燥させた。トレハロースやカルシウム製剤を添加した場合でも、炊飯米および乾燥途中での「解れ」は良好であった。
Figure 0006920053
<実施例6>
あきたこまち300gを洗米した後、0.9gのショ糖脂肪酸エステルS−970(米に対して0.3%)と6gのトレハロース(米に対して2%、林原社製)を添加して炊飯し、実施例1と同様に乾燥させた(標品34)。炊飯後ならびに乾燥中の米の「解れ」は良好であり、トレハロースの添加は、加工澱粉、イソマルトデキストリン、またはプルランから選ばれる多糖類を炊飯前に添加する工程、もしくは水に浸漬した米を過熱水蒸気で処理することにより米粒表面を糊化させる工程と同等の作用を有することが確認された。一方、ショ糖脂肪酸エステルを添加せずに炊飯した標品35も比較例として炊飯したが、トレハロースのみを添加した場合には「解れ」は非常に悪く、乳化剤との併用が必須であることが判明した(表6)。
Figure 0006920053
<実施例7>
実施例1〜6で得られた標品1、9、29〜34を開口部2.9mmのステンレス篩で処理して米粒同士が決着した複粒やダマを除去した。篩下をさらに開口部1.7mmのステンレス篩で破砕米と紛体を除去した。篩上に1.4倍重量の沸騰水を加え、軽く撹拌した後に静置し、5分後、7分後、10分後および15分後に復元の程度を評価した。結果を表7に示した。標品1は復元に15分を要したが、標品9および標品29は5分で大部分が復元し、7分ではほぼ完全に復元していた。また標品32〜33は7分でほぼ復元し、特に標品32は7分で完全に復元した。
Figure 0006920053

Claims (11)

  1. 乾燥米飯の製造方法であって、
    炊飯前に、トレハロースを米に添加する、第1の工程と、
    炊飯前に、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤を米に添加する第2の工程と、
    前記第1の工程及び前記第2の工程後に米を炊飯し、炊飯後の米を乾燥させる工程と、を有する方法。
  2. 前記第1の工程において、前記トレハロースの精白米に対する添加量が重量比で0.5乃至5%である、請求項1記載の方法。
  3. 前記第1の工程において、前記米に対して、加工澱粉、イソマルトデキストリン、及びプルランからなる群から選ばれる1つ以上の成分をさらに添加し、
    前記加工澱粉がヒドロキシプロピルリン酸架橋澱粉でありかつ前記加工澱粉の精白米に対する添加量が重量比で0.2乃至5%であるか、
    イソマルトデキストリンの精白米に対する添加量が重量比で0.2乃至3%であるか、又は
    プルランの精白米に対する添加量が重量比で0.5乃至2%である、請求項1又は2記載の方法。
  4. 前記第2の工程において、乳化剤の添加量が精白米に対する重量比で0.02乃至1%である請求項1から3のいずれか記載の方法。
  5. 前記第2の工程において、乳化剤のHLBが2乃至15である請求項1から4のいずれか記載の方法。
  6. 前記第1の工程において、前記トレハロースの添加の前後、又は前記トレハロースの添加とともに、前記米を過熱水蒸気で処理する、請求項1又は2記載の方法。
  7. 前記過熱水蒸気による処理が150乃至300℃で30秒乃至5分間の処理である、請求項6記載の方法。
  8. 前記第1の工程において前記過熱水蒸気処理を行った後に、前記第2の工程において精白米に対して重量比で0.02乃至1%の、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、又はグリセリン脂肪酸エステルを添加する請求項6又は7記載の方法。
  9. 炊飯を蒸気炊飯により行う請求項1から8のいずれか記載の方法。
  10. 炊飯前に、さらに精白米に対する添加量が重量比0.1乃至5%のカルシウム製剤を精白米に対して添加する工程を有する請求項1から9のいずれか記載の方法。
  11. トレハロースと、
    ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル及びグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1つ以上の乳化剤と、を含有する乾燥米飯。
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