以下、図面を参照しつつ、本開示の典型的な実施形態に係る走査型レーザー検眼鏡(Scanning Laser Ophtalmoscope:SLO)を説明する。本開示における走査型レーザー検眼鏡(以下、「SLO」と記す)1は、レーザー光を眼底上で走査し、眼底からのレーザー光の戻り光を受光することによって眼底の正面画像を取得する装置である。SLO1の撮影手法として、眼底反射光を用いる撮影手法の他に、例えば、蛍光撮影の撮影手法が知られている。本開示に係る走査型レーザー検眼鏡は、光干渉断層計(OCT:Optical Coherence Tomography)、視野計などの他の眼科装置と一体化された装置であってもよい。
なお、以下説明する実施形態では、特に断りが無い限り、SLO1は、観察面上でスポット上に集光されるレーザー光を、走査部の動作に基づき,2次元的に走査することで眼底画像を得るものとする。但し、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、いわゆるラインスキャンSLOに対して本開示の技術が適用されてもよい。この場合、走査部の動作に基づいて、ライン状のレーザ光束が観察面上で一次元的に走査される。
<装置の外観>
はじめに、図1を参照して、本実施形態における走査型レーザ検眼鏡(SLO:Scanning Laser Opthalmoscope)1の概略構成を説明する。図1に示すように、SLO1は、本体部(装置本体)2と、広角レンズアタッチメント3(以下、「レンズアタッチメント3」と省略する)と、を備える。本実施形態において、本体部2は、SLO1が眼底画像を撮像するうえで主要な光学系(図2参照)と制御系(図9参照)とを有する。また、本実施形態において、レンズアタッチメント3は、本体部2の筐体2aに対し着脱可能に構成される。より詳細には、レンズアタッチメント3は、被検者側の筐体面に対し、着脱される。SLO1は、レンズアタッチメント3の装着状態と、非装着状態とのそれぞれにおいて眼底撮影が可能である。レンズアタッチメント3は、筐体2aに装着されることによって、本体部2にて得られる眼底画像の撮像画角を広角化させる。
本実施形態において、本体部2は、測定部4、位置あわせ機構5、基台6、顔支持ユニット7、およびセンサ8を有する。測定部4には、被検眼Eを撮像するための光学系が格納されている。この光学系については、図2を参照して後述する。
位置あわせ機構5は、装置を被検眼Eに対して位置あわせするために用いられる。本実施形態の位置あわせ機構5は、基台6に対して測定部4を3次元的に移動させる。即ち、Y方向(上下方向)、X方向(左右方向:)、及び、Z方向(前後方向)の各方向に移動させる。
顔支持ユニット7は、図1に示すように、被検眼Eを測定部4に対向させた状態で被験者の顔を支持する。なお、本実施形態において、顔支持ユニット7は、基台6に設けられている。
センサ8は、レンズアタッチメント3の装着を検出する検出手段である。センサ8は、レンズアタッチメント3の装着状態に応じた電気信号を出力する。例えば、センサ8は、本体部2にレンズアタッチメント3が装着される場合と、本体部2にレンズアタッチメント3が装着されていない場合とで、電圧値の異なる電気信号を継続的に出力するものであってもよい。このようなセンサ3としては、マイクロスイッチ等の接触センサであってもよく、また、例えば、光電センサ、磁気センサ等の非接触センサであってもよい。
<本体側の光学構成>
次にSLO1の本体部2に設けられた光学系を説明する。図2に示すように、SLO1は、照射光学系10と、受光光学系20と、を有する(まとめて、「撮影光学系」と称す)。つまり、照射光学系10と、受光光学系20と、が、同一の筐体2aに収納される。SLO1は、これらの光学系10,20を用いて眼底画像を撮影する。
照射光学系10は、少なくとも走査部16と、対物レンズ系17と、を含む。また、図2に示すように、照射光学系10は、更に、レーザー光出射部11、コリメーティングレンズ12、穴開きミラー13、レンズ14(本実施形態において、視度調節部40の一部)、および、レンズ15を有してもよい。
レーザー光出射部11は、照射光学系10の光源である。レーザー光出射部11は、例えば、レーザーダイオード(LD)、および、スーパールミネッセントダイオード(SLD)等を含んでいてもよい。具体的な構造についての説明は省略するが、レーザー光出射部11は、少なくとも1種類以上の波長域の光を出射する。本実施形態では、複数色の光が、同時に、又は選択的に、レーザー光出射部11から出射されるものとする。例えば、本実施形態では、レーザー光出射部11から、青,緑,赤の可視域の3色と、赤外域の1色と、の計4色の光が出射される。青,緑,赤の可視域の3色は、例えば、カラー撮影に利用される。例えば、光源11から青,緑,赤の3色が実質的に同時に出射されることによって、カラー撮影が行われる。また、可視域の3色のうち、いずれか1色が、可視蛍光撮影に利用されてもよい。例えば、青色の光が、可視蛍光撮影の一種であるFAG撮影(フルオレセイン蛍光造影撮影)に利用されてもよい。また、例えば、赤外域の光は、赤外域の眼底反射光を用いる赤外撮影の他、赤外蛍光撮影に利用されてもよい。例えば、赤外蛍光撮影には、ICG撮影(インドシアニングリーン蛍光造影撮影)が知られている。この場合、レーザー光源11から出射される赤外光は、ICG撮影で使用されるインドシアニングリーンの蛍光波長とは異なる波長域に設定されていることが好ましい。
レーザー光は、図2に示した光線の経路にて眼底Erに導かれる。つまり、レーザー光出射部11からのレーザー光は、コリメーティングレンズ12を経て穴開きミラー13に形成された開口部を通り、レンズ14およびレンズ15を介した後、走査部16に向かう。走査部16によって反射されたレーザー光は、対物レンズ系17を通過した後、被検眼Eの眼底Erに照射される。その結果、レーザー光は、眼底Erで反射・散乱される。或いは、眼底に存在する蛍光物質を励起させ、眼底からの蛍光を生じさせる。これらの光(つまり、反射・散乱光および蛍光等)が、戻り光として、瞳孔から出射される。
本実施形態において、図2に示すレンズ14は、視度調節部40の一部である。視度調節部40は、被検眼Eの視度の誤差を矯正(軽減)するために利用される。例えば、レンズ14は、駆動機構14aによって、照射光学系10の光軸方向へ移動可能である。レンズ14の位置に応じて、照射光学系10および受光光学系20の視度が変わる。このため、レンズ14の位置が調節されることで、被検眼Eの視度の誤差が軽減され、その結果として、レーザー光の集光位置が、眼底Erの観察部位(例えば、網膜表面)に設定可能となる。なお、視度調節部40は、例えば、バダール光学系など、図2とは異なる光学系が適用されてもよい。
走査部16(「光スキャナ」ともいう)は、光源(レーザー光出射部11)から発せられたレーザー光を、眼底上で走査するためのユニットである。以下の説明では、特に断りが無い限り、走査部16は、レーザー光の走査方向が互いに異なる2つの光スキャナを含むものとする。それらの2つの光スキャナは、互いに異なる位置に配置される。即ち、主走査用(例えば、X方向への走査用)の光スキャナ16aと、副走査用(例えば、Y方向への走査用)の光スキャナ16bと、を含む。主走査用の光スキャナ16aと、副走査用の光スキャナ16bとは、それぞれ、レゾナントスキャナと、ガルバノミラーとであってもよい。但し必ずしもこれに限られるものではなく、各光スキャナ16a,16bに対し、他の反射ミラー(ガルバノミラー、ポリゴンミラー、レゾナントスキャナ、および、MEMS等)の他、光の進行(偏向)方向を変化させる音響光学素子(AOM)等が適用されてもよい。なお、走査部16は、必ずしも複数の光スキャナである必要はなく、1つの光スキャナであってもよい。2次元的にレーザー光を走査する単一の光スキャナとしては、例えば、MEMSデバイス、及び、音響光学素子(AOM)等のいずれかを利用したものが提案されている。
対物レンズ系17は、SLO1の対物光学系である。対物レンズ系17は、走査部16
によって走査されるレーザー光を、眼底Erに導くために利用される。そのために、対物レンズ系17は、走査部16を経たレーザー光が旋回される旋回点Pを形成する。旋回点Pは、照射光学系10の光軸L1上であって、対物レンズ系17に関して走査部16と光学的に共役な位置に形成される。対物レンズ系17の詳細構成については、後述する。なお、本開示において「共役」とは、必ずしも完全な共役関係に限定されるものではなく、「略共役」を含むものとする。即ち、眼底画像の利用目的(例えば、観察、解析等)との関係で許容される範囲で、完全な共役位置からズレて配置される場合も、本開示における「共役」に含まれる。
走査部16を経たレーザー光は、対物レンズ系17を通過することによって、旋回点Pを経て、眼底Erに照射される。このため、対物レンズ系17を通過したレーザー光は、走査部16の動作に伴って旋回点Pを中心に旋回される。その結果として、本実施形態では、眼底Er上でレーザー光が2次元的に走査される。眼底Erに照射されたレーザー光は、集光位置(例えば、網膜表面)にて反射される。また、レーザー光は、集光位置の前後の組織にて散乱される。反射光および散乱光は、平行光としてそれぞれ瞳孔から出射する。
次に、受光光学系20について説明する。受光光学系20は、対物レンズ系17を照射光学系10と共用すると共に、少なくとも1つの受光素子を持つ。例えば、図2に示すように、複数の受光素子25,27,29を有してもよい。この場合、照射光学系10によって照射されたレーザー光による眼底Erからの光は、受光素子25,27,29によって受光される。
図2に示すように、本実施形態における受光光学系20は、対物レンズ系17から穴開きミラー13までに配置された各部材を、照射光学系10と共用してもよい。この場合、眼底からの光は、照射光学系10の光路を遡って、穴開きミラー(本実施形態における光路分岐部材)13まで導かれる。また、穴開きミラー13は、照射光学系10と受光光学系20とを分岐させる。本実施形態では、眼底Erからの光は、穴開きミラー13の反射面によって反射されることで、受光光学系20の独立光路(受光素子25,27,29側の光路)へ導かれる。照射光学系10と受光光学系20との共通光路から,穴開きミラーへ向かう光には、レーザー光の主光線における光軸L2の近傍の領域に、ノイズ光が含まれやすい。なお、ここでいうノイズ光は、主に、眼底Erの集光位置(例えば、網膜表面)等、撮影および観察の目標以外からの光を指す。具体的には、角膜による反射光、および、装置内部の光学系からの反射光等が挙げられる。穴開きミラー13は、このようなノイズ光の少なくとも一部を取り除きつつ、眼底Erからの光を、受光光学系20の独立光路へ導く。本実施形態において、穴開きミラー13は、前眼部との共役位置に配置されている。このため、角膜による反射光、および、装置内部の光学系からの反射光等が、穴開きミラー13の開口によって取り除かれる。一方、眼底Erからの光のうち、瞳孔周辺を通過する光が、穴開きミラー13の反射面で反射されて、独立光路へ導かれる。
なお、照射光学系10と受光光学系20とを分岐させる光路分岐部材は、穴開きミラー13に限られるものではない。例えば、穴開きミラー13に代えて、穴開きミラー13における開口と反射面とを互いに置き換えた部材を光路分岐部として利用できる。但し、例えば、図2に適用する場合、更に、照射光学系10の独立光路(光源11から穴開きミラー13からまで)と、受光光学系20の独立光路(穴開きミラー13から受光素子25,27,29まで)とを、互いに置き換えて配置することが必要となる。なお、光路分岐部材は、その他のビームスプリッターであってもよい。
受光光学系20は、穴開きミラー13の反射光路に、レンズ21、遮光部22、ピンホール板23、および、光分離部(光分離ユニット)30を有する。また、光分離部30と
各受光素子25,27,29との間に、レンズ24,26,28が設けられている。
詳細は後述するが、遮光部22は、受光光学系20の光軸L2の近傍において遮光する。眼底共役面からの光は、遮光部22を通過し、ノイズ光の少なくとも一部が遮光部22によって遮光される。
また、ピンホール板23は、眼底共役面に配置されており、SLO1における共焦点絞りとして機能する。すなわち、視度調節部40によって視度が適正に補正される場合において、レンズ21を通過した眼底Erからの光は、ピンホール板23の開口において焦点を結ぶ。ピンホール板23によって、眼底Erの集光点(あるいは、焦点面)以外の位置からの光が取り除かれ、残り(集光点からの光)が主に受光素子25,27,29へ導かれる。
なお、特に断りが無い限り、受光素子25,27,29と穴開きミラー13との間の眼底共役位置には、ピンホール板23(共焦点絞り)が置かれているものとして説明するが、ピンホール板23の代わりに、図3に示すようなアパーチャユニット230が配置されていてもよい。アパーチャユニット230は、観察面(眼底)の集光点と共役な位置に開口を持つ共焦点絞り231と、観察面(眼底)の集光点と共役な位置に遮光部を持ち、集光点の前後で散乱された光のうち、光軸L2から離れた領域にある光を受光素子25,27,29に通過させるための開口を持つアパーチャ232,232と、のいずれか1つを、切換配置する。アパーチャ232,232が配置される場合は、集光点の前後からの散乱光による眼底画像が取得される。この場合、共焦点絞り231を配置した際に撮影される眼底画像(例えば、反射画像)では確認できない、眼底における微小な生体物質を画像化することができる。
光分離部30は、眼底Erからの光を分離させる。本実施形態では、光分離部30によって、眼底Erからの光が波長選択的に光分離される。また、光分離部30は、受光光学系20の光路を分岐させる光分岐部を兼用していてもよい。例えば、図2に示すように、光分離部30は、光分離特性(波長分離特性)が互いに異なる2つのダイクロイックミラー(ダイクロイックフィルター)31,32を含んでいてもよい。受光光学系20の光路は、2つのダイクロイックミラー31,32によって、3つに分岐される。また、それぞれの分岐光路の先には、受光素子25,27,29の1つがそれぞれ配置される。
例えば、光分離部30は、眼底Erからの光の波長を分離させ、3つの受光素子25,27,29に、互いに異なる波長域の光を受光させる。例えば、青,緑,赤の3色の光を、受光素子25,27,29に1色ずつ受光させてもよい。この場合、各受光素子25,27,29の受光結果から、カラー画像を容易に得ることができる。
また、光分離部30は、赤外撮影で使用される赤外域の光を、受光素子25,27,29の少なくとも1つに受光させてもよい。この場合において、例えば、蛍光撮影で使用される蛍光と、赤外撮影で使用される赤外域の光とが、互いに異なる受光素子に受光されてもよい。
各受光素子25,27,29が感度を持つ波長帯は、互いに異なっていてもよい。また、受光素子25,27,29のうち、少なくとも2つが、共通の波長域に感度を持っていてもよい。それぞれの受光素子25,27,29は、受光した光の強度に応じた信号(以下、受光信号と称す)をそれぞれ出力する。本実施形態において、受光信号は、受光素子毎に別々に処理されて画像が生成される。つまり、本実施形態では、最大で3種類の眼底画像が、並行して生成される。
SLO1(ここでは、本体部2の光学系)では、穴開きミラー13から対物レンズ系17までの間における前眼部共役位置が、走査部16の位置と、穴開きミラー13の位置との2か所のみに形成される。これにより、全長の短い光学系が実現されている。
<光スキャナの配置間隔の条件>
眼底に対して照射されるレーザー光が瞳孔によってケラレると、周囲が暗い眼底画像が得られてしまう。これに対し、光スキャナ16aと光スキャナ16bとの間隔aを、次の(1)の数式を満たすように設定することで、ケラレを抑制することができる。
a ≦ {sin(θ/2) / sin(θo/2)} ・ (k-1)・ φ/ tan(θo/2) ・・・(1)
ここで,θは、視野直径を表す角度であり、θoは、走査部16(光スキャナ16a,16b)における光学振り角の全角であり、φは、前眼部における穴開きミラー13の開口の像の直径である。また、kは、発明者の検討の結果求められた定数である。kは、1より大きな値である。発明者の検討の結果、定数kは「1.5」程度の値とすると、他のパラメータが変更されても、ケラレが生じにくいことが確認された。
例えば、θ=60°,θo=16°,φ=1.4mm,k=1.5である場合において、aは、18mm以内にすれば、レーザー光は、旋回点Pのより近傍を通過しつつ旋回され、例えば、φ2.5mm程度の小瞳孔径の眼であっても、レーザー光がケラレにくくなる。
図4を用いて数式(1)を説明する。図4は、走査部16周辺を模式的に示した図である。図4には、穴開きミラー13を通過する投光時の光束を、模式的に示している。Gは、光スキャナ16a,16bの中間点であって前眼部共役(瞳孔共役)な位置に形成される。光スキャナ16a,16bが静止している場合における光束の太さ(実際の光束の太さ)を、Doとして示す。また、光スキャナ16a,16bの動作時における中間点C(中間面)での見かけ上のレーザー光の太さを、Dとして示す。
ここで、数式(1)における『sin(θ/2) / sin(θo/2)』は、正弦条件の仮定により、対物レンズ系17における倍率を表す項と考えられる。このため、数式(1)に含まれる『sin(θ/2) / sin(θo/2) ・ φ』は、実際の光束の太さDoと同義である。ここで、Doを用いて数式(1)を書き換え、以下の数式(2)として示す。
a ≦ Do・(k-1) / tan(θo/2)
a・tan(θo/2) ≦ Do ・ (k-1) ・・・(2)
図4から明らかなように、『D=Do+a・tan(θo/2)』の関係が成り立つ。そこで、(2)を置き換え、整理すると、数式(3)を導くことができる。
D = Do+a・tan(θo/2) ≦ Do・k ・・・(3)
このように、数式(1)は、前眼部共役位置である中間点Cにおける,見かけ上の光束の太さDが、実際の光束の太さDoのk倍以内とすることを定める条件となる。定数kを「1.5」程度の値として設定することは、この関係に着目し、実際にケラレが生じ難くなる値として、発明者において確認されたものである。
<ノイズ抑制に寄与する光学的な構成>
本実施形態のSLO1は、前述のように、共焦点絞り(ピンホール板23)および穴開きミラー13によって、受光素子25,27,29に対し、ノイズ光が入射されることを抑制できる。
しかし、一般に、対物レンズ系を持つSLOにおいて、数十度以上の撮影画角を確保し
ようとすると、余裕をもって対物レンズ系の焦点距離確保することが困難になってしまう。このとき、対物レンズ系においてレーザー光を大きく折り曲げるレンズが持つ光源側レンズ面が、対物レンズ系に関する眼底共役面(中間像面ともいう)の近くに配置されることで、共焦点絞りおよび穴開きミラー等では取り除ききれないノイズ光が生じやすくなる。レーザー光を大きく折り曲げるレンズでは、光源側のレンズ面における曲率半径が小さくなりやすい。このため、このレンズを傾斜させたとしても、ノイズ光を、受光光路外に逃すことが難しい。なお、対物レンズ系に関する眼底共役面は、対物レンズ系によって形成される一次拡大像であり、倒立像を、主に指している。但し、必ずしも一次拡大像である必要は無い。
また、レーザー光を眼底に適正に集光させるために、視度補正が行われる場合がある。このとき、対物レンズ系を介して形成される眼底共役面は、視度の補正量に応じて移動する。例えば、被検眼の近視が強い場合ほど、視度補正の結果として、対物レンズ系に関する眼底共役面は被検眼E側に接近する。故に、視度補正の影響によっても、共焦点絞りおよび穴開きミラー等では取り除ききれないノイズ光が生じることが考えられる。
これに対し、本実施形態のSLO1は、以下に記載する構成を持ってもよい。なお、本開示に係る技術を実施する際、以下に記載する構成は、必ずしも全て実施される必要はなく、一部が選択的に実施されてもよい。
<対物レンズ系>
図2に示すように、対物レンズ系17は、第1レンズ系17aと、第2レンズ系17bと、を有する。各々のレンズ系17a,17bには、少なくとも1つ以上のレンズが含まれる。第1レンズ系17aは、対物レンズ系17において、レーザー光を旋回点へ向けて折り曲げるための主要なレンズ系である。例えば、図2に示した第1レンズ系17aは、対物レンズ系17におけるレーザ光の主光線高さが最も高くなる位置にて、旋回点Pへ向けて、レーザー光を折り曲げる。また、第1レンズ系17aは、対物レンズ系17の中で、最も被検眼側に配置される。
本実施形態では、1つのレンズ171で、第1レンズ系17aが形成されている。図2に示すように、レンズ171には、非球面レンズが利用されてもよい。
ところで、装置と被検眼Eとの作動距離を十分に確保しつつ、数十度以上の画角での眼底撮影を実現するためには、図2に示すように、ある程度以上の口径を持つレンズを第1レンズ系17aに設け、レーザー光を折り曲げることが必要となる。このため、対物レンズ系17(特に、第1レンズ系17a)において、レンズの口径に依存する収差(例えば、球面収差、および、コマ収差等)が、生じやすくなっている。これに対し、レンズ171は、レンズの口径に依存する収差を軽減するような、非球面形状で形成されたレンズ面を持つことが望ましい。例えば、レンズ171は、旋回点Pにおける結像の球面収差を軽減するように、非球面のレンズ面が形成されている。例えば、レンズ171における光源側のレンズ面171aが非球面であってもよい。例えば、レンズ面171aは、レンズ171の光軸(レンズ軸)から離れた位置ほど曲率半径が大きくなるような曲面によって形成されていてもよい。一方、レンズ171における被検眼側のレンズ面171bは、球面、平面、および非球面のいずれであってもよい。
レンズ171(又は、第1レンズ系17a)は、その光軸が照射光学系10の光軸L1と沿うようにして配置されることが好ましい。例えば、レンズ171は、屈折力が大きなレンズであるので、レンズ171の光軸が、光軸L1と沿うようにして配置されることで眼底画像における歪みを抑制できる。ここで、レンズ171の光軸は、照射光学系10の光軸L1と完全に同軸であってもよいし、光軸L1に対してわずかに傾斜していてもよい
。例えば、眼底画像の歪が許容される範囲で、レンズ171の光軸L1をわずかに傾斜させて配置されてもよい。レンズ171の光軸を光軸L1に対し傾斜させて配置することによって、後述の「傾斜レンズ」に由来する,像面の傾きが軽減される場合がある。
第2レンズ系17bは、第1レンズ系17aと、走査部16との間に配置される。第2レンズ系17bは、光源側のレンズ面が照射光学系10の光軸L1に対して傾斜したレンズ(以下の説明では、便宜上「傾斜レンズ」と称する)を、少なくとも1つ有する。第2レンズ系17bが複数のレンズを含む場合、2つ以上のレンズが傾斜レンズであってもよく、図2に示すように、全てが傾斜レンズであってもよい。
例えば、本実施形態では、接合レンズ172と、凸メニスカスレンズ173と、のそれぞれが、第2レンズ系17bにおける傾斜レンズである。図2に示すように、それぞれの傾斜レンズ172,173において、光源側のレンズ面172a,173aは、第1レンズ系17における光源側のレンズ面171aよりも大きな曲率半径を持つように形成されている。図2に示す各傾斜レンズ172,173は、いずれも球面レンズである。また、いずれの傾斜レンズ172,173も、正のパワーを持つ。但し、必ずしもこれに限定されるものではなく、非球面レンズ、および/または、負のパワーを持つレンズが、第2レンズ系17bに含まれる一部または全部のレンズに対して適用されてもよい。
第2レンズ系17bは、第1レンズ系17aによって生じる収差を補正するためのレンズを含んでもよい。例えば、本実施形態の接合レンズ172は、色収差を補正する。補正される色収差は、軸上色収差と、倍率色収差の一方または両方であってもよい。より詳細には、接合レンズ172は、少なくとも光の分散(アッベ数)の異なる2つ以上のレンズが貼りあわせられて形成された色消しレンズであってもよい。なお、接合レンズ172の接合面172bにおいてレーザー光が反射することで、ノイズ光が生じる可能性がある。これに対し、接合レンズ172に含まれる各レンズ(図2では、凹レンズおよび凸レンズ)と、各レンズを貼りあわせるための接着剤と、の屈折率が、互いに一致(略一致を含む)していてもよい。これにより、接合面172bでのレーザー光の反射が抑制される。結果、接合面172bでの反射によるノイズ光が生じにくくなる。ここで、接合レンズ172に含まれる各レンズと、接着剤との屈折率差が0.01以下であると、ノイズ光の抑制効果が、より好適に得られる。
接合レンズ171における接合面172bは、被検眼側に凸であることが好ましい。接合面172bと、眼底共役面Hとが離れるため、ノイズ光の発生が好適に抑制されるためである。
また、接合レンズ172に含まれる各レンズと、接着剤と、の屈折率が高いほど、接合面の曲率半径を大きくすることが容易となり、接合面172bでの反射光が受光素子25,27,29へ入射する角度で反射され難くなる。結果、更に、眼底画像に対するノイズ光の影響が抑制される。また、接合面172bの曲率半径が大きくなることで、接合レンズ172の製造コストを抑制できる。例えば、屈折率が1.63でほぼ一致するような、凹レンズおよび凸レンズと、各レンズを貼りあわせるための接着剤と、が選択されてもよい。
接合レンズ172を形成するレンズの数は、レーザー光に含まれる色の数に応じて定められてもよい。例えば、2枚構成の接合レンズ172は、レーザー光に含まれる3色中2色の光の集光位置を、他の1色の集光位置に揃えることができる。前述したように、本実施形態のSLO1は、レーザー光出射部11から、赤,緑,青の3色と、赤外域の1色と、の計4色が出射される。図2の示すような、2枚構成の接合レンズ172の場合、最も波長の短い青色の光の集光位置と、赤外域の光の集光位置とを、それらの中間的な波長の
光(ここでいう「中間的な波長」は、レーザー光出射部11から出射されるレーザー光の波長と必ずしも一致していなくてもよい。)の集光位置に一致(略一致を含む)させるように設計されていてもよい。接合レンズ172が設けられることによって、各色のレーザー光における旋回点の位置がズレにくくなる。その結果として、複数色の光を投影して行う眼底撮影が、より小さな瞳孔の眼に対し、或いは、より大きな画角で、良好に行われやすくなる。
接合レンズ172のパワーが0となるように、接合レンズ172に含まれる各レンズが選択されてもよい。この場合、接合レンズ172は、光線の傾きおよび高さ等に影響を与え難い。よって、接合レンズ172の有無が、対物レンズ系17において、レーザー光を折り曲げる役割のレンズ(例えば、第1レンズ系17a)の設計に影響し難くなる。
凸メニスカスレンズ173は、正のパワーを持つ。このため、レーザー光を旋回点Pへ折り曲げることに寄与する。但し、折り曲げ量は、第1レンズ系17aに比べて十分小さい。
ところで、本実施形態と同程度の画角を確保するためには、以上のような対物レンズ系に含まれる複数のレンズを、1つの接合レンズ500として形成するような設計解も考えられる(図5の比較例参照)。しかし、対物レンズ系を、1つの接合レンズ500で形成した場合、レンズ面500aが、眼底共役面(中間像I)の近くに配置されてしまいやすい。その結果として、レンズ面500aでのレーザー光の反射によるノイズ光が生じ易くなる。また、光源側のレンズ面500aの曲率半径が小さくなることから、レンズ500を傾斜させても、レンズ面500aでの反射光を受光光路から逃すことが難しい。
このような比較例に対し、本実施形態の対物レンズ系17は、第1レンズ系17aと、第2レンズ系17bとに分かれている。レーザー光を旋回点へ向けて折り曲げるための主要なレンズ系である第1レンズ系17aと、走査部16との間に第2レンズ系17bが設けられていることで、対物レンズ系17において比較的小さな曲率半径を持つ第1レンズ系のレンズ面171aを、対物レンズ系17に関する眼底共役面(中間像H)から離して配置しやすくなる。その結果、レンズ面171aでの反射光が、ノイズ光として受光素子25,27,29へ入射され難くなる。また、第2レンズ系17bの傾斜レンズ172,173は、レーザー光を反射するレンズ面172a,173aが光軸L1に対して傾斜しており、更に、レンズ面172a,173aは、第1レンズ系17aのレンズ面171aよりも大きな曲率半径で形成されているので、いずれかのレンズ面172a,173aの位置が眼底共役面(中間像H)の近傍となっても、レンズ面172a,173aでの反射光がノイズ光として受光素子25,27,29へ入射され難い。結果、本実施形態の対物レンズ系17によれば、受光素子25,27,29へ入射するノイズ光が生じにくい。
ところで、図2に示すように、主走査用の光スキャナ16aと、副走査用の光スキャナ16bと、が別体であることは、被検眼Eの瞳における走査部16の像位置において、非点隔差を生じさせる要因となりうる。すなわち、主走査方向に関するレーザー光の旋回点の位置と、副走査方向に関するレーザー光の旋回点の位置とに、光軸L1に沿う方向に関するズレを生じさせる要因となりうる。非点隔差があると、レーザー光が瞳孔でケラレてしまう可能性が高くなるので、眼底画像の周辺部における明るさが中央部に対して暗くなるようなムラが生じやすくなる。
これに対し、2つの光スキャナ16a,16bに起因する非点隔差を、打ち消す(軽減する)向きとなるように、第2レンズ系17bに含まれる傾斜レンズ172,173が光軸L1に対し傾斜配置されてもよい。この場合、傾斜レンズの傾きにより生じる非点隔差と、2つの光スキャナ16a,16bに起因する非点隔差とが打ち消し合うことで、旋回
点Pにおいて残留する非点隔差が抑制される。例えば、図2に示すように、光源側から、副走査用の光スキャナ16b、主走査用の光スキャナ16a、の順番で配置される場合、傾斜レンズを、yz面内(紙面内)で適宜傾斜させることで、非点隔差を軽減することができる。結果、均一な明るさの眼底画像が得られやすくなる。
<広角レンズアタッチメント>
SLO1は、レンズアタッチメント3を装着する。図6を参照して、レンズアタッチメント3が装着された状態における光学系を説明する。
レンズアタッチメント3は、後述の第2対物レンズ系50がレーザー光の光路中に配置されるように、SLO1の被検者側筐体面に装着される。例えば、第1旋回点Pの近傍に配置される。
図6に示すように、レンズアタッチメント3は、主に、第2対物レンズ系50を有している。また、レンズアタッチメント3は、その他にレンズ系およびミラー系を有していてもよい。例えば、図6に示すレンズアタッチメント3は、視度補正レンズ57(視度補正レンズ光学系)を有していている。SLO1にレンズアタッチメント3が装着されることで、レンズアタッチメント3に含まれる上記の光学系が、SLO1の対物レンズ系17と、被検眼Eと、の間に配置される。
視度補正レンズ57は、第2対物レンズ系50による視度変化を相殺する(即ち、視度変化の一部又は全部を打ち消す)。より具体的には、視度補正レンズ57は、レンズアタッチメント3の装着状態と、非装着状態とにおいて被検眼Eに入射する光の視度の差を抑制する。図6に示すように、視度補正レンズ57は、正のパワーを持つレンズ(より詳細には、凸面を被検眼E側に向けた平凸レンズ)であってもよい。レンズアタッチメント3の装着によって、広角(例えば、φ90°以上の画角)での眼底撮影を実現しようとした場合、第2対物レンズ系50が数十ディオプター以上の屈折力を持つことが想定される。この場合、SLO1の本体(例えば、照射光学系10)では、視度の変化を補正しきれない場合が考えられる。これに対し、第2対物レンズ系50に応じた度数のレンズを、視度補正レンズ57として適用することで、第2対物レンズ系50による視度変化が相殺される。その結果、広角の眼底画像を良好に撮像できる。また、視度補正レンズ57によれば、レンズアタッチメント3の装着状態と、非装着状態とにおける被検眼Eに入射する光の視度の差が低減されるので、SLO1に対するレンズアタッチメント3の着脱に伴う視度の調節が簡便化される、又は、調節が不要となる。
また、図6に示すように、視度補正レンズ57は、第2対物レンズ系50に対し、光源側に配置される。より具体的には、視度補正レンズ57は、旋回点Pの位置に配置される。その結果、視度補正レンズ57の中心付近にレーザー光が通過される。よって、視度補正レンズ57として小さな径のレンズを使用できる。また、レーザー光は視度補正レンズ57の中心付近を通過するので、レーザー光の主光線の傾きは、視度補正レンズ57のパワーの影響を受け難い。その結果、視度の設定変更は視度補正レンズ57の変更のみで可能となる。これにより第2対物レンズ系50における設計工数は削減される。なお、視度補正レンズ57は、必ずしも旋回点Pに位置していなくてもよい。但し、レンズアタッチメント3の内部で眼底共役面(つまり、中間像L,換言すれば、第2対物レンズ系50による一次拡大像)への配置は、避けるべきである。
第2対物レンズ系50は、レンズアタッチメント3の装着状態において、旋回点Q(第2旋回点Q)を形成する。旋回点Qは、旋回点Pを通過したレーザー光(より詳細には、レーザ光の主光線)が走査部16の動作に伴って更に旋回される点である。旋回点Qは、第2対物レンズ系50に関して、走査部16と光学的に共役な位置に形成される。なお、
旋回点Qは、第2対物レンズ系50の光軸L3上に形成される。図6に示すように、第2対物レンズ系50の光軸L3は、照射光学系10の光軸L1と同軸であってもよい。
第2対物レンズ系50は、第1レンズ系50aと、第2レンズ系50bと、を有する。第2対物レンズ系50における第1レンズ系50aは、第1対物レンズ系17における第1レンズ系17aに関して前述した特徴の少なくとも一部を有していてもよく、また、第2対物レンズ系50における第2レンズ系50bは、第1対物レンズ系17における第2レンズ系17bに関して前述した特徴の少なくとも一部を有していてもよい。
即ち、第1レンズ系50aは、第2対物レンズ系50において、レーザー光を旋回点Qへ向けて折り曲げるための主要なレンズ系である。すなわち、第1レンズ系50aは、第2対物レンズ系50におけるレーザ光の主光線高さが最も高くなる位置にて、旋回点Qへ向けて、レーザー光を折り曲げる。また、第1レンズ系50aは、第2対物レンズ系50の中で、最も被検眼側に配置される。
第1レンズ系50aは、1つのレンズ51で形成されていてもよい。また、レンズ51には、旋回点Qでの結像の球面収差を抑制する非球面レンズが適用されてもよい。光源側のレンズ面51aは、球面収差を軽減するため、第2対物レンズ系50の光軸L3から離れた位置ほど曲率半径が大きくなるような曲面で形成されている。
ここで、眼底画像の画角と作動距離とは、トレードオフの関係にある。φ90°以上の画角を実現しつつ、より大きな作動距離を確保するため、例えば、レンズ51は、被検眼側のレンズ面51bにおける曲率半径が、光源側のレンズ面51aにおける曲率半径に対し、大きくなるように形成されている。被検眼側のレンズ面51bの曲率半径が大きな場合ほど、レンズ面51b(但し、レンズ面51bにおける最も被検眼側の位置)と旋回点Qとの間隔wが確保されやすくなることが確認された。図6の例では、レンズ面51bは平面であり、その曲率半径は無限大である。よって、十分な間隔wが得られる光学系の設計が容易になる。このようにレンズ面51bを、十分に大きな曲率半径の面で形成した結果として、作動距離が確保されやすくなる。これにより、例えば、検者等による被検者の開瞼作業(上瞼を指等で持ち上げる作業)が容易になる。なお、発明者による図6の光学系の一設計解では、全角100°以上の画角を確保しつつ、13mm程度の間隔wを確保することが可能であった。ここで、レンズ面51bによって検査窓が兼用されており、作動距離を、間隔wから、人眼の角膜頂点から瞳孔までの典型的間隔である3mm程度減じた値と仮定すると、作動距離として10mm程度を確保できることとなる。なお、レンズ面51bは、球面などの曲面であってもよい。この場合、レンズ面51bの曲率半径は、所望する作動距離の、例えば、10倍以上の値とすることが好ましい。
第2レンズ系50bは、第1レンズ系50aと、走査部16との間(より詳細には、第1対物レンズ系17との間)に配置される。第2レンズ系50bは、傾斜レンズを、少なくとも1つ有する。第2レンズ系50bが複数のレンズを含む場合、2つ以上のレンズが傾斜レンズであってもよく、図6に示すように、全てが傾斜レンズであってもよい。
図6に示す第2レンズ系50には、接合レンズ52と、凸メニスカスレンズ53,54,55と、が傾斜レンズとして含まれる。図6に示すように、それぞれの傾斜レンズ52,53,54,55において、光源側のレンズ面は、第1レンズ系(より詳細には、レンズ51)における光源側のレンズ面51aよりも大きな曲率半径を持つように形成されている。各傾斜レンズは、いずれも球面レンズであってもよい。また、いずれの傾斜レンズ52,53,54,55も、正のパワーを持つ。但し、必ずしもこれに限定されるものではなく、非球面レンズ、および/または、負のパワーを持つレンズが、第2レンズ系50bに含まれる一部または全部のレンズに対して適用されてもよい。第2対物レンズ系50
においても、第1対物レンズ系17と同様、傾斜レンズ52,53,54,55が、第1レンズ系50aと、走査部16との間に配置されることによって、第1レンズ系50aのレンズ面による反射光が、受光素子25,27,29へ入射することが、抑制される。
第2レンズ系50bは、第1レンズ系50aによって生じる収差を補正するためのレンズを含んでもよい。例えば、接合レンズ52は、色収差を補正する。接合レンズ52は、より詳細には、接合レンズ52は、少なくとも光の分散(アッベ数)の異なる2つ以上のレンズが貼りあわせられて形成された色消しレンズであってもよい。なお、接合レンズ52における接合面での反射を抑制するために、接合レンズ52において、各レンズと、各レンズを貼りあわせるための接着剤と、の屈折率が、互いに一致(略一致を含む)していてもよい。また、接合レンズ52のパワーが0となるように、接合レンズ52に含まれる各レンズが選択されてもよい。
なお、レンズアタッチメント3の装着状態において生じる色収差の全てが、接合レンズ52によって補正される必要はない。レンズアタッチメント3は、更に、傾斜されていない色収差補正レンズ59(色消しレンズ)を有していてもよい。これを共に用いて、色収差を補正してもよい。この場合において、レンズ59のパワーが0(即ち、凹レンズおよび凸レンズのパワーの和が0)であることが好ましい。
凸メニスカスレンズ53,54,55は、正のパワーを持つ。このため、レーザー光を旋回点Qへ折り曲げることに寄与する。但し、折り曲げ量は、第1レンズ系50aに比べて十分小さい。
本実施形態において、光スキャナ16a,16bに起因する非点隔差(旋回点Pでの非点隔差)は、SLO1の筐体内に配置された第1対物レンズ系17に設けられた傾斜レンズ172,173によって補正(軽減)される。ここで、光スキャナ16a,16bに起因する非点隔差が第1対物レンズ系17を介して残留する場合が考えられる。第2対物レンズ系50へ入射するレーザー光に上述の非点隔差がある場合は、その非点隔差を打ち消す(軽減する)向きとなるように、第2レンズ系50bに含まれる傾斜レンズが光軸L1に対し傾斜配置されてもよい。例えば、図6に示すように、第2対物レンズ系50における傾斜レンズ52,53,54,55の傾斜量は、残留する非点隔差を更に軽減するように,傾斜されて配置される。
また、図6に示すように、第2レンズ系50bが複数の傾斜レンズを含んでいる場合は、そのうち一部の傾斜レンズと、残り一部の傾斜レンズとが、レンズアタッチメントの光軸L3(又は、照射光学系10の光軸L1)に対し、互いに逆相で配置されてもよい。具体例として、図6の第2対物レンズ系50bでは、傾斜レンズ52,53と、傾斜レンズ54,55と、が光軸L3に対して互いに逆相に傾斜されて配置されている。これによって、傾斜レンズ52,53と傾斜レンズ54,55のそれぞれが発生させる像面の傾きを打消しあうことができる。なお、必ずしも第2レンズ系50bの内部で像面の傾きが補正される必要はない。例えば、第2レンズ系50bの傾斜レンズで生じる像面の傾きを、第1レンズ系50aに含まれるレンズを傾斜配置することで補正してもよい。この場合、第1レンズ系50aに含まれる少なくとも1つのレンズが、光軸L3に関して、第2レンズ系50bに含まれる少なくとも1つの傾斜レンズと逆相に配置される。
<穴開きミラーの配置>
以上の説明において、穴開きミラー13は、前眼部と共役な位置に配置されるものとして説明した。より好適にノイズ光を抑制するためには、作動距離が適正である場合において、穴開きミラー13が、角膜共役位置となるように配置されてもよい。SLO1が、図3に示すようなアパーチャユニット230を持ち、散乱光撮影用のアパーチャ232,2
33のいずれかが受光光学系20の光路中に配置される場合に、アパーチャ232,233の開口が大きくなるので、アパーチャ232,233で十分にノイズ光を除去できない場合が考えられる。特に、角膜反射によるノイズ光が、受光素子25,27,29へ導かれやすくなる。これに対し、作動距離が適正である場合に、穴開きミラー13が角膜共役位置となるように配置されていることで、穴開きミラー13において、角膜反射が良好に取り除かれる。
<遮光部材>
遮光部22は、穴開きミラー13と受光素子25,27,29との間の光路における眼底共役面から外れた位置に設けられている。遮光部22は、眼底共役面からの光を通過させると共に、対物レンズ系17,50のレンズ面からの反射光の少なくとも一部を遮光する。本実施形態において、遮光部22は、受光光学系20の光軸L2の近傍を遮光する。
本実施形態において、遮光部22は、遮光領域を形成する黒点22aと、リング状の開口が形成された透光板22bとを有する黒点板である(図7参照)。黒点22aは、例えば、光軸L2上に配置され、光軸L2の近傍の光を遮光するために設けられる。透光板22bは、光軸L2から離れた領域に形成され、眼底共役面からの光を透過するために設けられる。なお、ここでいう光軸L2の近傍とは、穴開きミラー13にて反射される眼底からの光の通過領域の外側の縁に対し、光軸L2に近い領域であってもよい。なお、後述するように、通過領域の内側の縁に対し、光軸L2に近い領域に黒点22aが形成されることがより好ましい。好適な黒点22aの設置範囲については、後述する。
なお、遮光部22の設置位置(つまり、眼底共役面から外れた位置)は、少なくとも眼底の略共役位置から外れているという条件にて規定されうる。すなわち、遮光部22は、受光素子25,27,29に向かう光のうち、光軸L2近傍の光(主にレンズ面からの光を含む)を遮光すると共に、光軸L2から離れた領域における光(主に眼底共役面からの光)を通過させる。この場合、遮光部22は、略共役面からの光(眼底の集光面に対する前後面)を通過させるように構成される。
また、遮光部22の設置位置は、瞳共役位置と眼底共役位置との間であって、瞳共役位置および眼底共役位置のいずれからも外れた位置であってもよい。例えば、図2,図8に示すように、遮光部22の設置位置は、穴開きミラー13とピンホール板23との間であってもよい。前述したように、本実施形態では、レーザー光の折り曲げ量が比較的大きなレンズ51,171において、光源側のレンズ面での反射が問題となる。そこで、レンズ51またはレンズ171の光源側レンズ面51a,171aと共役な位置に、遮光部22は配置されてもよい。便宜上、図8では、レンズ面171aと共役な位置に遮光部22が配置されるものとして説明する。但し、レンズ171と比べると、よりレーザー光を大きく折り曲げるレンズ51のほうが、光源側レンズ面での反射光が、受光素子25,27,29へ導かれてしまい易い。このため、遮光部22は、レンズ51の光源側レンズ面51aとの共役位置に配置されることが、より好ましい(この場合の光線図は省略する)。また、レンズ面171aの共役位置と、レンズ面51の共役位置とのそれぞれに遮光部22を1つずつ配置してもよい。
遮光部22は、受光光学系20の光軸近傍を遮光することによって、例えば、レンズ面51a,171aからの反射光を取り除く。レンズ面51a,171aにおけるレーザー光の照射領域Aの像は、遮光部22の位置において受光光学系20の光軸近傍の領域Bに結像する。ここで、照射領域Aはレーザー光の走査によって逐次変位される。しかし、レンズ面51a,171aからの反射光は、走査部16を経ることによって変位がキャンセルされる。その結果として、照射領域Aの像は、レンズ面171aまたはレンズ面51aと共役な遮光部材23の設置位置にて、一定の領域内(詳細には、光軸L2の近傍領域内
)に結像される。つまり、レンズ面171aまたはレンズ面51aからの反射光が穴開きミラー13によって反射される場合には、該反射光は、共役関係によって領域Bの内部に入射される。したがって、黒点22bによる遮光領域が領域Bにて形成されることによって、レンズ面17aからの反射光が除去される。
なお、遮光部22の設置位置とレンズ面171aまたはレンズ面51aの共役位置との間に多少の誤差がある場合でも、レンズ面171aまたはレンズ面51aからの反射光を遮光部22によって良好に抑制できることを、本件発明者は、光線追跡法を用いたシミュレーション計算によって確認した。よって、遮光部22の設置位置は、本開示の目的に適合する範囲でレンズ面171aまたはレンズ面51aの共役位置に対して前後に離れて配置されてもよい。視度調節部40で光学系の視度が調節される場合、遮光部22と、レンズ面171aまたはレンズ面51aの共役位置とに、ズレが生じ得るが、このズレについても許容され得る。
なお、遮光領域(黒点22)は、遮光部22の設置位置においてピンホール23aを基準とした視角(見かけの大きさ)が穴開きミラー13の開口部13aの視角と等しくなる範囲に形成されてもよい。
例えば、遮光領域は、遮光部22の設置位置において、ピンホール23aを基準とした視角が、開口部13aと完全に一致するものであってもよい。この場合、受光素子25,27,29に導かれる眼底Erからの光の光量低下を抑制しつつ、レンズ面171aまたはレンズ面51aからの反射光が受光素子25,27,29に入射することが抑制される。また、遮光領域は、眼底反射光を完全に遮らない範囲で、ピンホール23aを基準とした視角が開口部13aの視角よりも大きく形成されてもよい。
なお、以下の説明において、遮光部22aは、レーザー光出射部11から出射される全ての波長域の光を遮光するものとして説明するが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、眼底からの蛍光(主に可視域の一部)を透過し、観察光(主に赤外光)を遮光するフィルタであってもよい。この場合、レーザー光出射部11から、励起光と観察光とを照射することで、観察画像においては、ノイズ光を抑制しつつ、蛍光眼底画像を良好に観察することが可能となる。このようなフィルタで形成された遮光部22aを持つ遮光部材と、レーザー光出射部11から出射される全ての波長域の光を遮光する遮光部材と、が光軸L2に対して切り替えて配置させるユニットが、SLO1に設けられていてもよい。
<偏光板>
また、図2に示すように、SLO1は、偏光ユニット45を、受光光学系20に備えていてもよい。偏光ユニット45は、偏光板46(偏向部)と駆動機構46aとを有する。駆動機構46aの駆動制御によって、偏光板46が、穴開きミラー13と受光素子25,27,29との間の光路で挿脱される。対物レンズ系17および第2対物レンズ系51からの反射光が偏向板46で遮光され、且つ、眼底からの光は透過するように偏光板46を透過できる直線偏光の向きが調節されるとよい。対物レンズ系17および第2対物レンズ系51からの反射光の偏光方向は一定である。これに対し、眼底の網膜においては視細胞等が異方性を持つため、眼底反射光は、対物レンズ系17および第2対物レンズ系51からの反射光とは、異なる偏光方向を持つ。このため、偏光板46を光軸L2周りに適宜回転(自転)させることで、上記条件に適合するように偏向板46を調整することができる。このような調整作業は、例えば、製品出荷時に行われてもよい。
<対物レンズ系に関する他の実施形態>
以上説明したように、本実施形態では、レンズアタッチメント3の着脱によって、撮影画角が切換わる。つまり、本実施形態では、予め本体部2に設けられた対物レンズ系17
と、レンズアタッチメント3に設けられた第2対物レンズ系50と、のうち、対物レンズ系17のみを介して、第1の撮影画角による眼底撮影が行われる。また、対物レンズ系17および第2対物レンズ系50の両方を介して、第1の撮影画角とは異なる第2の撮影画角での眼底撮影が行われる。しかし、撮影画角を切換えるための構成は、必ずしも本実施形態の方式に限定されるものではない。例えば、SLOの本体部に設けられた対物レンズ系において、レンズの位置関係が切換えられることで、撮影画角が切換えられてもよい。この場合、例えば、対物レンズ系に含まれるレンズ間の位置関係が、照射光学系の光軸に沿って切換えられ、これにより撮影画角が切換えられてもよい。また、本体部の被検者側の筐体面に装着されるレンズアタッチメントが交換されることで、撮影画角が切換えられてもよい。この場合、SLOの本体部は、必ずしも対物レンズ系を有していなくてもよい。これらいずれの場合に対しても、本実施形態における対物レンズ系17または第2対物レンズ系50に関して上述した特徴の少なくとも一部が、適用可能である。この場合、いずれの実施形態においても、照射光学系10の少なくとも一部と、受光光学系20の少なくとも一部と、が同一の筐体に収容される。
<制御系の構成>
次に、図9を参照して、SLO1の制御系を説明する。SLO1は、制御部70によっての各部の制御が行われる。制御部70は、SLO1の各部の制御処理と、演算処理とを行う電子回路を有する処理装置(プロセッサ)である。制御部70は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリ等で実現される。制御部70は、記憶部71と、バス等を介して電気的に接続されている。また、制御部70は、レーザー光出射部11、受光素子25,27,29、駆動機構14a,46a、走査部16、入力インターフェイス75、およびモニタ80等の各部とも電気的に接続されている。
記憶部71には、各種の制御プログラムおよび固定データ等が格納される。また、記憶部71には、一時データ等が記憶されてもよい。SLO1による撮影画像は、図9に示すように、記憶部71に記憶されていてもよい。但し、必ずしもこれに限られるものではなく、外部の記憶装置(例えば、LANおよびWANで制御部70に接続される記憶装置)へ撮影画像が記憶されてもよい。
便宜上、本実施形態では、制御部70が画像処理部を兼用するものとする。例えば、受光素子25,27,29から出力される受光信号を基に、制御部70が眼底画像を形成する。また、眼底画像に対する画像処理(画像の加工、解析等)についても、制御部70によって行われる。勿論、画像処理部は、制御部70とは別体の装置であってもよい。なお、図9に示すように、制御部70は、各受光素子25,27,29からの信号に基づいて、それぞれの受光素子25,27,29からの信号に基づく最大3種類の画像を、略同時に生成する。
また、制御部70は、入力インターフェイス75(操作入力部)から出力される操作信号に基づいて、上記の各部材を制御する。入力インターフェイス75は、検者の操作を受け付ける操作入力部である。例えば、マウスおよびキーボード等であってもよい。
<動作説明>
前述した光学系の特徴によって、対物レンズ系17,第2対物レンズ系50からの反射光による反射像が眼底画像に映り込むことは軽減される。但し、映り込みの抑制効果と、受光素子25,27,29へ導かれる眼底Erからの光の光量とは、トレードオフの関係になるので、対物レンズ系17,第2対物レンズ系50からの反射像の映り込みを許容するような設計解および撮影条件も考えられる。そこで、本実施形態では、上記の反射像の映り込みを、画像処理によっても軽減する。
まず、本開示の制御部70において行われる処理の概要を説明する。制御部70は、眼底画像の撮影処理を行い、眼底Erを撮影することで眼底画像を撮影画像として取得する。また、制御部70は、撮影画像(眼底画像)に対する背景画像(「マスク画像」ともいう)を取得する。「背景画像」は、少なくとも対物レンズ系による反射像を含む。背景画像は、被写体である被検眼が写らないようにして、少なくとも対物レンズ系による反射像を写した画像である。また、背景画像は、画像処理の一種である背景差分での観測画像(本実施形態では、眼底画像)との対比において利用される(図12参照)。背景画像には、対物レンズ系の反射像以外にも、眼底画像の観察および解析等を妨げるアーチファクトが含まれる。
このような背景画像は、「遮光状態」での撮影光学系による撮影に基づいて取得されてもよい。「遮光状態」は、対物レンズ系において反射像を生じさせるレンズ,の被検眼側が遮光されることによって実現される。複数のレンズを持つ対物レンズ系では、目的の反射像を生じさせるレンズの被検眼側の位置で、遮光されることが望ましい。例えば、対物レンズ系の鏡筒先端部の位置で遮光されてもよい。この場合は、対物光学系の全てのレンズに起因する反射像が、背景画像に含まれうる。背景画像の撮影タイミングは、背景差分の対象となる眼底画像の撮影よりも前であってもよいし、後であってもよい(詳細は後述する)。
対物レンズ系において反射像を生じさせるレンズよりも被検眼側に、「遮光部材」が配置されることで遮光されてもよい。遮光部材は、照明光の光路上に配置されることで、被検眼に導かれる照明光を遮光する。遮光部材は、装置本体とは別部材であってもよいし、装置本体に予め備え付けられていてもよい。具体的には、レンズキャップ、シャッター、暗幕等が、遮光部材として適用されうる。シャッターの場合、シャッター(遮光部材)を照明光の光路に対して挿脱させる駆動機構(シャッター機構)が、装置本体、又は、対物レンズ系の鏡筒(例えば、レンズアタッチメントの鏡筒でもよい)に設けられてもよい。シャッター機構は、遮光部材の挿脱に応じて、反射像を生じさせるレンズ,の被検眼側が遮光部材により遮光される閉状態、および、反射像を生じさせるレンズ,の被検眼側が遮光部材により遮光されない開状態、の間で切り替える。なお、シャッター機構は、対物レンズ系の鏡筒先端部に対して遮光部材で蓋をする状態と、蓋を外す状態とに切り替える機構であってもよい。遮光部材において照明光が照射される面は、照明光の吸収率が高い材料で形成されることが好ましい。例えば、黒色の植毛紙であってもよい。また、例えば、カーボンナノチューブを利用した新素材が近年注目を集めており、これが適用されてもよい。
また、遮光部材による遮光状態が、センサ等によって検出されてもよい。そして、遮光状態の検出結果に基づいて背景画像の撮影(取得)が行われてもよい。例えば、シャッター機構が設けられている場合は、シャッター機構の開状態から閉状態への切換に基づいて背景画像が撮影されてもよい。
本実施形態では、眼底画像(図11参照)と背景画像(図12参照)とに基づく背景差分が、制御部70によって行われることで、眼底画像において,対物レンズ系による反射像の影響が抑制された画像が、差分画像として生成される(図13参照)。つまり、対物レンズ系による反射像の眼底画像への映り込みが、画像処理によって事後的に軽減される。本実施形態における差分画像は、眼底画像と背景画像との差分を直接とることで生成される差分画像であってもよい。また、眼底画像と背景画像との少なくとも一方に対して補正を行い、補正後の画像について差分をとることで生成される差分画像であってもよい。
ここで、背景差分の結果として得られる差分画像は、元の眼底画像よりも、ランダムノイズが増加するおそれがある。そこで、例えば、制御部70は、同一の領域を異なるタイ
ミングで撮影した複数枚の眼底画像のそれぞれについての差分画像を取得し、各差分画像による加算平均画像を生成してもよい。その結果、対物レンズ系による反射像と共に、ランダムノイズが抑制された眼底の正面画像を得ることができる。
また、例えば、照射光学系の走査部に対して、レゾナントスキャナが適用される場合が考えられる。レゾナントスキャナは、外乱等によって、レーザー光の走査が不安定になる場合がありうる。このため、眼底画像と背景画像との間で、少なくとも画像の一部における走査方向の倍率が異なってしまう可能性がある。その結果として、アーチファクトの現出位置が、眼底画像と背景画像との間でズレている場合が考えられる。SLO1の光学系に付着したホコリ等による微小なアーチファクトの位置が、眼底画像と背景画像との間でズレていると、微小なアーチファクトについては、背景差分が行われることで、かえって増大してしまうことがありうる。
これに対し、制御部70は、対物レンズ系による反射像が含まれる部分を、背景画像の中から抽出し、抜き出した画像(便宜上、「部分背景画像」という、例えば、図14の領域U)と,眼底画像とに基づく背景差分を行うことで、差分画像を取得してもよい。つまり、差分画像は、眼底画像において部分背景画像と位置が対応する領域から、部分背景画像における輝度値が画素毎に減算されて生成される。結果、微小なアーチファクトについては、元々の眼底画像と同程度に抑えられ、対物レンズ系による反射像の影響が抑制された眼底の正面画像が、差分画像として生成される(例えば、図15参照)。また、背景画像全体を用いた背景差分が行われる場合に比べ、画像処理における処理時間を短縮できる。
ここで、眼底画像および背景画像において、対物レンズ系による反射像の生じる領域の位置は、ほぼ一定である。例えば、画像中心部に生じる。このため、部分背景画像は、背景画像において予め定められた位置の領域が抽出された画像でもよい。また、制御部70は、背景画像から対物レンズ系による反射像の領域を検出し、検出された領域から、部分背景画像を抽出してもよい。
ところで、対物レンズ系による反射像を、良好に軽減するためには、眼底画像と背景画像との撮影条件が互いに同じであることが好ましい。或いは、眼底画像と背景画像との一方または両方に対する画像補正で、撮影条件の違いによる影響を抑制することが好ましい。撮影条件としては、照明光の出力、受光信号のゲイン、および、撮影光学系における視度、の少なくとも1つに関する条件(例えば、設定値)である。
互いの撮影条件を一致させるためには、例えば、制御部70は、背景差分の対象となる眼底画像の撮影後に、撮影条件を変更せずに(受け付けずに)背景画像を撮影してもよい。この場合、眼底画像と背景画像とが、一連の撮影動作の中で取得される。
また、制御部70は、眼底画像を撮影した際の撮影条件を示す情報を、眼底画像と対応付けて記憶部に記憶させてもよい。そして、制御部70は、記憶部に記憶された撮影条件を再現して背景画像を撮影してもよい。この場合、眼底画像の撮影後に、一旦、撮影条件がリセットされたり、変更されたりしても、眼底画像との背景差分を行ううえで良好な背景画像を得ることができる。
また、制御部70は、照明光の出力,受光信号のゲイン,および,撮影光学系の視度,の少なくともいずれかに関する撮影条件を切換えながら,撮影条件が互いに異なる複数の背景画像を、遮光状態での撮影を繰り返すことで予め取得してもよい。この場合、眼底画像との背景差分となる背景画像が、予め取得される複数の背景画像の中から選択される。例えば、制御部70は、眼底画像の撮影条件と同じ,又は,より近い,撮影条件で取得さ
れた背景画像を選択してもよい。選択された背景画像と,眼底画像と,の背景差分が行われ、差分画像が得られる。この場合、対物レンズ系による反射像が良好に抑制された差分画像を、眼底画像の撮影後、直ちに(例えば、眼底画像の撮影からわずかなタイムラグで)得ることもできる。この手法では、例えば、眼底画像の観察画像を逐次取得し、各眼底画像に基づく差分画像を逐次生成して表示させることで、差分画像によるリアルタイムな動画を表示することもできる。
ここで、光源の出力特性、および、受光素子のゲイン特性などが、継時的にゆるやかに変化してしまう場合がありうる。背景画像は、適宜、更新されることが好ましい。例えば、背景画像の更新は、数日おき(数週間おき、数月おき、等を含む)の定期的に行われもよい。また、更新時期の管理が行われてもよく、制御部70は、予め定められた更新時期に近づいた場合に、背景画像の更新を知らせるためのガイド情報を、モニタに表示させてもよい。
次に、眼底画像と背景画像との一方または両方に対する画像補正を行う手法の一例を示す。例えば、制御部70は、照明光の出力,および,受光信号のゲイン,の少なくともいずれかに関する撮影条件が,第1の撮影条件であるときの背景画像を、少なくとも1つ予め取得してもよい。そして、背景差分の対象となる眼底画像における撮影条件(第2の撮影条件)が、背景画像における第1の撮影条件と異なる場合、制御部70は、眼底画像および背景画像の少なくとも一方におけるコントラストまたは明るさを補正し、補正後の画像に基づいて背景差分を行ってもよい。この場合、コントラストまたは明るさに関する画像補正(つまり、整合)における補正量は、第1の撮影条件を示す情報と、第2の撮影条件を示す情報と、に応じて取得されてもよい。例えば、補正値は、第1の撮影条件を示す情報と、第2の撮影条件を示す情報と、の関数とする所定の計算式の演算結果によって取得されてもよい。また、補正値は、第1の撮影条件を示す情報と、第2の撮影条件を示す情報と、の組合せごとに補正値が対応づけられたルックアップテーブルを参照することで、取得されてもよい。例えば、第1の撮影条件における背景画像を、第2の撮影条件における背景画像に補正するためのコントラストおよび明るさの補正量は、第1の撮影条件における背景画像と、第2の撮影条件における背景画像との差分から求めても良い。この場合、ルックアップテーブルに格納される補正値は、例えば、撮影条件が異なる複数枚の背景画像に基づいて得ることができる。この手法では、多数の背景画像が記憶部に予め記憶されていなくてもよい。また、この手法では、良好な差分画像を、眼底画像の撮影後、直ちに得ることができるようになる。このため、例えば、差分画像によるリアルタイムな動画を表示することもできる。
この手法において、予め取得される背景画像として、照明光の出力,および,受光信号のゲイン,の少なくともいずれかに関する撮影条件(第2の撮影条件)が互いに異なる複数の画像が利用されてもよい。互いの撮影条件が異なる複数の背景の中から、眼底画像の撮影条件(第1の撮影条件)により近い第2の撮影条件で撮影された背景画像が選択される。そして、第1の撮影条件を示す情報と、第2の撮影条件を示す情報と、に応じた補正値で、眼底画像および背景画像の少なくとも一方におけるコントラストまたは明るさを補正し、補正後の画像に基づいて背景差分を行ってもよい。この場合、補正値は、複数の背景画像の間における撮影条件の違いを補間するために利用されてもよい。結果として、予め取得する背景画像の数を抑制できる。また、光源の出力特性、および、受光素子のゲイン特性などの経時変化があるので、補正値および背景画像は、適宜更新されてもよい。
第1照明光の眼底反射光により撮影された眼底画像(「第1眼底画像」と称す)と、第2照明光(第1照明光とは波長域が異なる)の眼底反射光により撮影された眼底画像(「第2眼底画像」と称す)と、の少なくとも2枚の画像が合成される場合においても、背景差分を適用することができる。「合成」は、少なくとも2枚の画像における各対応画素毎
に、各画像と対応する色を混色して、1つの画像を生成する処理であってもよい。
例えば、第1の波長域での背景画像(「第1背景画像」と称す)と、第2の波長域での背景画像(「第2背景画像」と称す)とが取得されてもよい。そして、第1眼底画像と第1背景画像との背景差分、第2眼底画像と第2差分画像との背景差分がそれぞれ行われて第1差分画像,第2差分画像が生成され、第1差分画像,第2差分画像が合成されることにより、合成差分画像が得られてもよい。対物レンズ系における反射像が、波長域毎に異なる強度分布および範囲で生じることが考えられる。このため、各波長域の眼底画像毎に背景差分が行われることで、第1差分画像,第2差分画像において対物レンズ系の反射像が、好適に抑制される。このような画像同士が合成されるので、良好な合成差分画像が得られる。
但し、必ずしも各波長域の眼底画像毎に背景差分が行われる必要は無い。例えば、合成差分画像は、第1眼底画像と第2眼底画像との第1合成画像と、第1背景画像と第2背景画像との第2合成画像と、に基づく背景差分によって得られてもよい。また、互いの照明光の波長域が異なる眼底画像と背景画像とによって、差分画像が生成されてもよいし、そのような差分画像同士を用いた合成画像が生成されてもよい。
次に、SLO1における具体的な動作を、図10に示すフローチャートを参照して説明する。被検眼と装置とのアライメント(S1)完了後、撮影モードが制御部70によって選択される(S2)。例えば、撮影法および画角に応じた複数の撮影モードが予め用意されていてもよい。例えば、本実施形態において、撮影モードは、レンズアタッチメント3の非装着状態での撮影モードである「通常モード」と、レンズアタッチメント3の装着状態での撮影モードである「広角モード」とに大別される。即ち、「広角モード」は、「通常モード」に対して撮影画角が大きくなる。「通常モード」と「広角モード」とのそれぞれは、更に、撮影モードとしては、眼底反射光による眼底画像を撮影するためのモード(より具体的には、赤外撮影のための「IRモード」、および、カラー撮影のための「カラーモード」等)と、眼底から発せられた蛍光による眼底画像を撮影するためのモード(より具体的には、ICG撮影のための「ICGモード」、FAG撮影のための「FAモード」、自発蛍光撮影のための「FAFモード」等)が用意されていてもよい。これらの撮影モードは、例えば、入力インターフェイス75に対する撮影モードの選択操作に応じて選択されてもよい。また、装置の状態の検出結果に基づいて、および/または、予め定められた撮影順序に応じて、制御部70が自動的に撮影モードを選択してもよい。この場合、例えば、レンズアタッチメント3が装着されているか否かを示すセンサ8(図1参照)からの信号に応じて、制御部70は、「通常モード」と「広角モード」との選択を行ってもよい。
選択された撮影モードに応じて、制御部70は、少なくともレーザー光出射部11からのレーザー光の波長域、3つの受光素子25,27,29のうち眼底画像の観察および撮影に利用する受光素子等、撮影光学系(照射光学系10および受光光学系20)の設定を切り替える(S3)。
次に、制御部70は、特定の撮影モードが選択されたか否かを判定する(S4)。ここでいう、特定の撮影モードは、眼底反射光を利用して撮影するモードである。例えば、「IRモード」「カラーモード」等である。本実施形態では、光分離部30等に設けられたフィルタ(例えば、ダイクロイックミラー31,32。その他、図示無きフィルタ等でもよい)により、蛍光撮影の場合に、励起光の波長域(つまり、対物レンズ系17,第2対物レンズ系50からの反射光の波長域)の光は、蛍光画像を得るための受光素子へは入射されにくくなる。このため、撮影画像において、上記の映り込みは問題となりにくいからである。但し、蛍光画像においても、対物レンズ系17,第2対物レンズ系50での反射
による反射像が生じる場合がありうる。このため、蛍光画像に対しても、背景差分が行われてもよい。この場合、眼底を蛍光撮影するときと同じ撮影条件で撮影された背景画像と、背景差分が行われることが好ましい。例えば、蛍光撮影の際に、撮影光学系の光路へ、エキサイタフィルタおよびバリアフィルタが挿入される構成では、フィルタが同様に配置された条件で背景画像が撮影によって取得されるとよい。また、例えば、「通常モード」と「広角モード」とのうち、「広角モード」のみで上記の映り込みが問題となる場合は、「広角モード」であることが、特定の撮影モードの条件とされてもよい。
また、特定の撮影モードである場合(S4:Yes)、制御部70は、光量およびゲインのうち、少なくとも一方の調節範囲を制限する(S5)。例えば、調節範囲は、眼底画像および後述の背景画像において、対物レンズ系17,第2対物レンズ系50による反射像の映り込みが生じる領域(例えば、眼底画像の中央部)の輝度値が飽和(サチレーション)しない範囲に制限される。輝度値が飽和している場合、その領域には、眼底の構造を示す情報が含まれていないためである。このような調節範囲は、例えば、予め実験等の結果に基づいて設定されていてもよいし、観察画像に基づいて設定されてもよい。なお、「調節範囲の制限」とは、SLO1の撮影モードのうち、特定の撮影モード以外の撮影モードと比べて、調節範囲が狭くなることである。光量およびゲインのうち少なくとも一方がある値(固定値)に切り替わることも含まれる。
次に、眼底画像の撮影が行われる(S6)。例えば、「カラーモード」の場合、カラー眼底画像が撮影される。レーザー光出射部11から、赤、緑、青の波長域の光を同時に出射(異なるタイミングで、順番に出射でもよい)し、各受光素子25,27,29からの信号に基づいて、赤、緑、青の波長域の光に基づく反射画像を形成する。そして、これらの反射画像が合成されることでカラー眼底画像が形成される(図11参照)。このようにして得たカラー眼底画像は、記憶部71に格納されてもよい。
次に、本実施形態では、背景画像の撮影が行われる(S7)。背景画像には、眼底画像において観察および解析等を妨げるアーチファクトが含まれる。本実施形態において、典型的なアーチファクトは、対物レンズ系17a,51aによる反射像Sである。また、光学系に付着したホコリ、光学系の傷、汚れ、および、フレア等、の像もアーチファクトとして背景画像に含まれ得る。また、SLOでは、ガルバノミラー等の光スキャナのエッジの反射も、アーチファクトとして生じることが考えられる。図12には、ホコリの像Dが、一例として図示されている。
背景画像は、例えば、被検眼Eと,被検眼Eの最も近くに配置されるレンズ面(例えば、レンズ面51a,レンズ面171a)の位置で遮光されて撮影されるSLO画像であってもよい。「遮光」は、背景画像として撮影されるSLO画像において眼底が映らないように、最も被検眼E側のレンズ面51a(またはレンズ面171a)と被検眼Eとの間に、遮光部材を配置することで、実現されてもよい。遮光部材は、必ずしも装置に予め備え付けられている必要はない。例えば、レンズキャップ、シャッター、暗幕等が、遮光部材として適用されうる。シャッター機構がSLO1の本体、または、レンズアタッチメント3に設けられてもよく、この場合、シャッター機構がレンズ51およびレンズ171の後段(光源から離れた側)でシャッターを降ろして遮光する。
また、必ずしも遮光部材をレンズ面51a(またはレンズ面171a)の位置に配置することで、遮光を実現する必要はない。例えば、被検眼Eの瞼が閉じられることで、SLO画像において眼底Erが写らなくなる。そこで、被検者の瞼が閉じられることで、遮光が行われると、考えることもできる。この場合、例えば、制御部70は、被検眼の瞬目を検出し、瞬目によって瞼が閉じられている間に、背景画像を撮影してもよい。
なお、遮光されたことを検出し、その検出をトリガとして(換言すれば、検出信号に基づいて)、背景画像の撮影が行われてもよい。具体的には、例えば、レンズアタッチメント3,および/または,SLO1の本体部に、最も被検眼側のレンズ面の位置が遮光されたことを検出するためのセンサが設けられていてもよく、そのセンサからの信号に基づいて、制御部70は、遮光されているか否かを識別してもよい。また、瞬目であれば、図示無き前眼部カメラでの前眼部の撮影結果に基づいて検出してもよいし、観察画像のヒストグラム等に基づいて検出してもよい。但し、遮光状態が検出された場合に、背景画像の撮影が自動的に行われなくてもよく、例えば、検者が遮光を確認し、入力インターフェイス75に所定の操作を入力した場合に、その入力に基づいて背景画像の撮影が行われてもよい。
S7の処理では、S6の眼底画像の撮影後に、光源の出力(光量),受光素子25,27,29のゲイン,および,光学系の視度に関する撮影条件を、S6にて眼底画像を取得したときから変更せずに、遮光された状態での撮影が行われる。このような撮影の結果として、背景画像が取得される。
次に、制御部70は、眼底画像と背景画像とに基づく背景差分によって、差分画像を取得する(S8)。差分画像では、眼底画像に対するアーチファクトの影響が抑制される。例えば、図13に示すように、図11の眼底画像に対し、対物レンズ系17a,51aによる反射像Sおよびホコリ等の像Dが取り除かれた画像が、差分画像として取得される。取得された差分画像は、記憶部71に記憶されてもよい。また、モニタ75に表示されてもよい。このように、眼底画像における,対物レンズ系による反射像の映り込みが、画像処理によって事後的に軽減される。
S8の処理では、背景差分と併せて、差分画像のコントラスト調整が行われてもよい。例えば、背景差分によって得られた中間画像(差分画像の一種)のヒストグラムが、予め定められた階調範囲において伸展されるように、コントラストを調整する補正処理が、S8の処理に含まれていてもよい。
ここで、コントラスト調整後の差分画像は、第1の階調数(例えば、8ビット)で表現される。第1の階調数は、モニタ75で表示されるときの階調数であってもよい。これに対し、SLO1は、第1の階調数よりも大きな第2の階調数(例えば、12ビット)で表現される画像を、S6,およびS7の処理によって取得してもよい。つまり、背景差分の対象となる眼底画像および背景画像が、いずれも第2の階調数で表現されてもよい。そして、制御部70は、第2の階調数で表現される画像同士の背景差分を行い、中間画像(差分画像の一種)を取得する。そして、中間画像に対してコントラスト調整を行った後、コントラスト調整後の画像を圧縮して、第1の階調数で表現される差分画像を取得してもよい。このようにすれば、アーチファクトをより精度よく取り除くことができる。
本実施形態では、差分画像を得るために、互いの撮影条件(すなわち、光源の出力,受光素子25,27,29のゲイン,および,光学系の視度に関する撮影条件)が同じ背景画像と眼底画像とに基づいて背景差分が行われる。撮影条件が同じであることで、背景画像と眼底画像とのそれぞれにおいて写りこむアーチファクトの成分に違いが生じにくい。このため、差分画像におけるアーチファクトの影響が抑制されやすい。
なお、上記説明した背景差分等の画像処理は、対物光学系に屈折系(レンズ系)を持つSLOに対し、適宜適用可能である。但し、前述したように、眼底画像において反射像Sの輝度値が飽和していると、背景差分によってアーチアクトを除去した結果として、差分画像において、反射像Sの位置における眼底の情報が得られないことが考えられる。このたえめ、反射像Sにおける輝度値の飽和を抑制するために、本実施形態で示した,対物レ
ンズ系17,第2対物レンズ系50からの反射光の映り込みを抑制するための特徴のうち、少なくとも1つが、画像処理と共に適宜併用されてもよい。
また、上記説明した背景差分等の画像処理は、SLOへの適用に限定されるものではなく、それ以外の、『少なくとも1つのレンズを含む対物レンズ系と、光源から発せられた照明光を前記対物レンズ系を介して被検眼に照射する照射光学系と、照明光の被検眼による反射光を対物レンズ系を介して受光する受光素子を備える受光光学系と、を含む撮影光学系と、を備え、受光素子からの信号に基づいて撮影画像を生成する眼科撮影装置』に対しても適用されてもよい。このような眼科撮影装置は、眼底撮影装置であってもよい。この場合、照射光学系によって、照明光が被検眼の眼底に照射され、且つ、受光光学系によって、照明光の眼底反射光が受光素子に受光される。SLO以外の眼底撮影装置としては、例えば、眼底カメラ等が考えられる。また、眼科撮影装置は、前眼部撮影装置であってもよい。
以上、実施形態に基づいて説明を行ったが、本開示を実施するうえで、実施形態の内容を適宜変更することができる。