ロングタームエボリューション(LTE)
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させる上での最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンストアップリンク(高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。
LTE(ロングタームエボリューション)に関する作業項目(WI)の仕様は、E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA):進化したUMTS地上無線アクセス)およびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN):進化したUMTS地上無線アクセスネットワーク)と称され、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(例えば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI)を受けにくく、また、サイクリックプレフィックス(CP)を使用しており、さらに、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access:シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8/9では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(例えば、MIMO(多入力多出力)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
LTEのアーキテクチャ
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示し、図2は、E−UTRANのアーキテクチャをより詳細に示している。E−UTRANは、eNodeBから構成され、eNodeBは、UE向けの、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端処理する。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)レイヤ、メディアアクセス制御(MAC)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤ(これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクQoS(サービス品質)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号化、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。複数のeNodeBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。
また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNodeB間のハンドオーバー時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンク・データ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンク・データが到着したときにページングをトリガーする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えばIPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラの有効化/無効化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバー時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/整合性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
LTE(リリース8)におけるコンポーネントキャリアの構造
3GPP LTE(リリース8、およびそれ以降)のダウンリンクコンポーネントキャリアは、時間−周波数領域において、いわゆるサブフレームに分割されている。3GPP LTE(リリース8、およびそれ以降)では、図3に示したように、各サブフレームが2つのダウンリンクスロットに分割されており、第1のダウンリンクスロットは、最初のいくつかのOFDMシンボルにおける制御チャネル領域(PDCCH領域)を含んでいる。各サブフレームは、時間領域における特定の数のOFDMシンボルからなり(3GPP LTE、リリース8、およびそれ以降では12個または14個のOFDMシンボル)、OFDMシンボルそれぞれが、コンポーネントキャリアの帯域幅全体を範囲としている。したがって、OFDMシンボルそれぞれは、図4にも示したように、NDL RB×NRB sc個のそれぞれのサブキャリア上で送信される複数の変調シンボルからなる。
例えば、3GPP LTE(ロングタームエボリューション)において使用される、例えばOFDMを採用するマルチキャリア通信システムを考えると、スケジューラによって割り当てることのできるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB)は、図4に例示的に示したように、時間領域におけるNDL symb個の連続するOFDMシンボル(例:7個のOFDMシンボル)と、周波数領域におけるNRB sc個の連続するサブキャリアとして定義される(例:コンポーネントキャリアの12のサブキャリア)。したがって、3GPP LTE(リリース8)においては、物理リソースブロックは、NDL symb×NRB sc個のリソース要素からなり、時間領域における1スロットと、周波数領域における180kHzに対応する(ダウンリンクリソースグリッドに関するさらなる詳細については、例えば非特許文献1の6.2節を参照)(非特許文献2において入手可能であり、参照によって本明細書に組み込まれている)。
1つのサブフレームは2つのスロットからなり、したがって、いわゆる「通常の」CP(サイクリック・プレフィックス)が使用されているときにはサブフレームに14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張」CPが使用されているときにはサブフレームに12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語として、以下では、サブフレーム全体にわたる、同一のNRB sc個の連続するサブキャリアに等しい時間−周波数リソースを、「リソースブロックペア」、または同じ意味で「RBペア」または「PRBペア」と称する。
用語「コンポーネントキャリア」は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組合せを意味する。LTEの将来のリリースにおいて、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されない。代わりに、この用語は「セル」に変更される。「セル」は、ダウンリンク・リソースおよび任意でアップリンク・リソースの組合せを意味する。ダウンリンク・リソースのキャリア周波数とアップリンク・リソースのキャリア周波数との連結(linking)は、ダウンリンク・リソースで送信されるシステム情報に示される。
コンポーネントキャリアの構造の同様の想定は、以降のリリースにも適用される。
論理チャネルおよびトランスポートチャネル
MAC層は、論理チャネルを通じてRLC層にデータ伝送サービスを提供する。論理チャネルは、RRCシグナリングなどの制御データを伝える制御論理チャネルか、ユーザプレーンデータを伝えるトラフィック論理チャネルのいずれかである。ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)、ページング制御チャネル(PCCH)、共通制御チャネル(CCCH)、マルチキャスト制御チャネル(MCCH)、および専用制御チャネル(DCCH)は、制御論理チャネルである。専用トラフィックチャネル(DTCH)およびマルチキャストトラフィックチャネル(MTCH)は、トラフィック論理チャネルである。
MAC層からのデータは、トランスポートチャネルを通じて物理層と交換される。データは、無線送信方式に応じてトランスポートチャネルに多重化される。トランスポートチャネルは、次のようにダウンリンクまたはアップリンクとして分類される。ブロードキャストチャネル(BCH)、ダウンリンク共有チャネル(DL−SCH)、ページングチャネル(PCH)、およびマルチキャストチャネル(MCH)は、ダウンリンクトランスポートチャネルであるのに対して、アップリンク共有チャネル(UL−SCH)およびランダムアクセスチャネル(RACH)は、アップリンクトランスポートチャネルである。
ダウンリンクおよびアップリンクそれぞれにおいて、論理チャネルとトランスポートチャネルの間で多重化が実行される。
第1層/第2層(L1/L2)制御シグナリング
スケジューリング対象のユーザに、ユーザの割当てステータス、トランスポート・フォーマット、およびその他のデータ関連情報(例:HARQ情報、送信電力制御(TPC)コマンド)を知らせる目的で、第1層/第2層制御シグナリングがデータと一緒にダウンリンクで送信される。第1層/第2層制御シグナリングは、サブフレーム内でダウンリンク・データと一緒に多重化される(ユーザ割当てがサブフレーム単位で変化し得るものと想定する)。なお、ユーザ割当てをTTI(送信時間間隔)ベースで実行することもでき、その場合、TTI長はサブフレームの倍数であることに留意されたい。TTI長は、サービスエリアにおいてすべてのユーザに対して一定とする、ユーザ毎に異なる、あるいはユーザ毎に動的とすることもできる。第1層/第2層制御シグナリングは、一般的にはTTIあたり1回送信するのみでよい。一般性を失うことなく、以下では、TTIが1サブフレームに等しいものと想定する。
第1層/第2層制御シグナリングは、物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)で送信される。PDCCHは、メッセージをダウンリンク制御情報(DCI)として伝え、このメッセージには、大抵の場合、移動端末またはユーザ機器のグループのリソース割当て情報およびその他の制御情報が含まれる。一般的には、いくつかのPDCCHを1つのサブフレーム内で送信することができる。
なお、3GPP LTEでは、アップリンク・データ送信のための割当て(アップリンクスケジューリンググラントまたはアップリンク・リソース割当てとも称する)も、PDCCHで送信されることに留意されたい。
一般的には、アップリンク無線リソースまたはダウンリンク無線リソース(特に、LTE(−A)リリース10)を割り当てるための第1層/第2層制御シグナリングで送られる情報は、次の項目に分類することができる。
・割り当てられるユーザを示すユーザID。ユーザIDは、一般的には、CRCをユーザIDでマスクすることによってチェックサムに含まれる。
・ユーザが割り当てられるリソース(リソースブロック(RB))を示すリソース割当て情報。ユーザが割り当てられるRBの数は、動的にすることができることに留意されたい。
・第1のキャリアで送信される制御チャネルが、第2のキャリアに関与するリソース、すなわち、第2のキャリア上のリソースまたは第2のキャリアに関連するリソースを割り当てる場合に使用されるキャリアインジケータ。
・採用される変調方式および符号化率を決定する変調および符号化方式。
・データパケットまたはデータパケット一部の再送信において特に有益な新しいデータインジケータ(NDI:new data indicator)および/または冗長バージョン(RV:redundancy version)などのHARQ情報。
・割り当てられたアップリンク・データまたは制御情報送信の送信電力を調整するための電力制御コマンド。
・割当てに関連する基準信号の送信または受信のために採用されるべき、適用されるサイクリック・シフトおよび/または直交カバー符号インデックスなどの基準信号情報。
・TDDシステムにおいて特に有益な、割当ての順序を識別するために使用されるアップリンク割当てインデックスまたはダウンリンク割当てインデックス。
・例えば、周波数ダイバーシチを増加させるために、リソースホッピングを適用すべきか、およびリソースホッピングをどのように適用すべきかの指示などのホッピング情報。
・割り当てられたリソースにおけるチャネル状態情報の送信をトリガーするために使用されるCSI要求。
・送信が単一のクラスタ(隣接するRBのセット)において発生するのか、または複数のクラスタにおいて(隣接するRBの少なくとも2つの隣接しないセットにおいて)発生するのかを示し、および制御するために使用されるフラグであるマルチクラスタ情報。マルチクラスタ割当ては、3GPP LTE(−A)リリース10によって導入されている。
上記に示したものは包括的ではなく、使用されるDCIフォーマットに応じて、前述されたすべての情報項目が各PDCCH送信に存在する必要はないことに留意されたい。
ダウンリンク制御情報は、全体的なサイズにおいて、また、そのフィールドに含まれる情報においても異なるいくつかのフォーマットで発生する。LTEについて現在定義されている異なるDCIフォーマットは、次の通りであり、非特許文献3の5.3.3.1節“Multiplexing and channel coding”において詳細に説明されている(非特許文献2において入手可能であり、参照によって本明細に組み込まれている)。DCIフォーマットと、DCIにおいて送信される具体的な情報に関するさらなる詳細については、技術規格、または非特許文献4(参照によって本明細書に組み込まれている)の9.3章を参照されたい。
フォーマット0:DCIフォーマット0は、アップリンク送信モード1またはアップリンク送信モード2において単一アンテナ・ポート送信を使用する、PUSCHのリソース・グラントの送信のために使用される。
フォーマット1:DCIフォーマット1は、単一符号語PDSCH送信(ダウンリンク送信モード1、2および7)のリソース割当ての送信のために使用される。
フォーマット1A:DCIフォーマット1Aは、単一符号語PDSCH送信のリソース割当てのコンパクトなシグナリングのため、およびコンテンションフリー・ランダム・アクセスのために移動端末に専用プリアンブル署名を割り当てるために使用される。
フォーマット1B:DCIフォーマット1Bは、ランク1送信(ダウンリンク送信モード6)による閉ループ・プリコーディングを使用したPDSCH送信のリソース割当てのコンパクトなシグナリングのために使用される。送信される情報は、フォーマット1Aと同じであるが、PDSCH送信に適用されるプリコーディング・ベクトルのインジケータが加えられる。
フォーマット1C:DCIフォーマット1Cは、PDSCH割当ての非常にコンパクトな送信のために使用される。フォーマット1Cが使用される場合、PDSCH送信は、QPSK変調を使用するように制約される。これは、例えば、ページング・メッセージおよびブロードキャスト・システム情報メッセージをシグナリングするために使用される。
フォーマット1D:DCIフォーマット1Dは、マルチユーザMIMOを使用したPDSCH送信のリソース割当てのコンパクトなシグナリングのために使用される。送信される情報は、フォーマット1Bと同じであるが、プリコーディング・ベクトル・インジケータのビットのうちの1つの代わりに、電力オフセットがデータ・シンボルに適用されるかを示すための単一のビットが存在する。この特徴は、送信電力が2つのUE間で共有されるか否かを示すために必要とされる。LTEの将来のバージョンは、これをより多くの数のUE間での電力共有の場合にまで拡張し得る。
フォーマット2:DCIフォーマット2は、閉ループMIMO動作のためのPDSCHのリソース割当ての送信のために使用される。
フォーマット2A:DCIフォーマット2Aは、開ループMIMO動作のためのPDSCHのリソース割当ての送信のために使用される。送信される情報は、eNodeBが2つの送信アンテナ・ポートを有する場合には、プリコーディング情報が存在せず、4つのアンテナ・ポートを有する場合には、送信ランクを示すために2つのビットが使用されることを除いて、フォーマット2と同じである。
フォーマット2B:リリース9において導入され、2層ビーム形成のためのPDSCHのリソース割当ての送信のために使用される。
フォーマット2C:リリース10において導入され、閉ループ単一ユーザまたは最大で8層までのマルチユーザMIMO動作のためのPDSCHのリソース割当ての送信のために使用される。
フォーマット2D:リリース11において導入され、最大で8層までの送信のために使用される。主に、COMP(Cooperative Multipoint(協調マルチポイント))のために使用される。
フォーマット3およびフォーマット3A:DCIフォーマット3およびDCIフォーマット3Aは、それぞれ2ビットまたは1ビットの電力調整を伴うPUCCHおよびPUSCHのための電力制御コマンドの送信のために使用される。これらのDCIフォーマットは、UEのグループの個々の電力制御コマンドを含む。
フォーマット4:DCIフォーマット4は、アップリンク送信モード2における閉ループ空間多重送信を使用した、PUSCHのスケジューリングのために使用される。
以下の表は、例示を目的として、50RBのシステム帯域幅とeNodeBにおける4つのアンテナを想定して、いくつかの利用可能なDCIフォーマットおよび一般的なビット数の概観を示している。右側の列に示されるビットの数は、特定のDCIのCRCのビットを含む。
UEがPDCCH送信を正しく受信したかをUEが識別できるようにするために、誤り検出は、各PDCCH(すなわち、DCI)に付加される16ビットのCRCによって提供される。
さらに、どのPDCCHがUEを対象としたものかをUEが識別することができる必要がある。これは、理論的には、PDCCHペイロードに識別子を加えることによって達成され得る。しかしながら、「UE ID」を用いてCRCをスクランブルする方がより効率的であることが分かっており、これにより、付加的なオーバーヘッドが節約される。CRCは、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献3の5.3.3.2節“CRC attachment”によって詳細に定義されるように、計算され、スクランブルされ得る。この節は、どのように誤り検出が巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を通じてDCI送信上に提供されるかを説明する。簡単な要約は、次に示されている。
ペイロード全体は、CRCパリティ・ビットを計算するために使用される。パリティ・ビットは、計算され、付加される。UEの送信アンテナ・セクションが構成されていないか、または適用可能ではない場合には、付加後に、CRCパリティ・ビットは、対応するRNTIを用いてスクランブルされる。
スクランブルは、非特許文献3から明らかなように、UE送信アンテナ・セクションにさらに依存し得る。UEの送信アンテナ・セクションが構成されており、適用可能である場合には、付加後に、CRCパリティ・ビットは、アンテナ選択マスクおよび対応するRNTIを用いてスクランブルされる。両方の場合においてRNTIはスクランブル動作に関与するため、簡単のために、一般性を失うことなく、以下の実施形態の説明は、RNTIを用いてスクランブルされている(および、適用可能な場合には、デスクランブルされている)CRCに単に言及する。したがって、RNTIは、それにもかかわらず、例えば、アンテナ選択マスクなどの、スクランブリング・プロセスにおけるさらなる要素として理解されるべきである。
それに応じて、UEは、「UE ID」を適用することによってCRCをデスクランブルし、CRC誤りが検出されない場合、UEは、PDCCHがそのUE自体を対象とするそのUEの制御情報を伝えるものと判定する。「マスキング」および「デマスキング」という用語は、IDを用いてCRCをスクランブルする上記したプロセスにも同様に使用される。
DCIのCRCがスクランブルされ得る上記した「UE ID」は、SI−RNTI(System Information Radio Network Temporary Identifier)とすることもできる。SI−RNTIは、「UE ID」自体ではなく、むしろ、示され、送信される情報、この場合には、システム情報のタイプに関連付けられる識別子である。SI−RNTIは、通常、仕様で決められており、したがって、すべてのUEに先験的に認識されている。
異なる目的のために使用されるさまざまなタイプのRNTIが存在する。非特許文献5の7.1章に記載されている以下の表は、さまざまな16ビットのRNTIおよびそれらの用途の概要を示す。
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)と物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)
物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)は、例えば、ダウンリンクまたはアップリンクでデータを送信するためのリソースを割り当てるスケジューリンググラントを伝える。サブフレームにおいて複数のPDCCHを送信することができる。
ユーザ機器へのPDCCHは、サブフレームの中の最初のNPDCCH symb個のOFDMシンボル(通常では1個、2個、または3個のOFDMシンボル(PCFICHによって示される)、例外的なケースでは2個、3個、または4個のOFDMシンボル(PCFICHによって示される))で送信され、OFDMシンボルはシステム帯域幅全体にわたり延びている。システム帯域幅は、一般にはセルまたはコンポーネントキャリアの範囲に等しい。時間領域における最初のNPDCCH symb個のOFDMシンボルと、周波数領域におけるNDL RB×NRB sc本のサブキャリアとによって占有される領域は、PDCCH領域または制御チャネル領域とも称される。周波数領域におけるNDL RB×NRB sc本のサブキャリアにわたる、時間領域における残りのNPDSCH symb=2*NDL symb−NPDCCH symb個のOFDMシンボルは、PDSCH領域または共有チャネル領域と称される(後述する)。
物理ダウンリンク共有チャネル(PDSCH)に関するダウンリンク・グラント(すなわち、リソース割当て)において、PDCCHは、同じサブフレーム内の(ユーザ)データのためのPDSCHリソースを割り当てる。サブフレーム内のPDCCH制御チャネル領域は、一連のCCEからなり、サブフレームの制御領域におけるCCEの総数は、時間−周波数制御リソース全体にわたり分散している。制御チャネルの符号化率を効果的に低減するため、複数のCCEを組み合わせることができる。CCEは、さまざまな符号化率を達成するためツリー構造を使用する所定の方法において組み合わされる。
トランスポート・チャネル・レベルでは、PDCCHを介して送信される情報は、L1/L2制御シグナリングとも称される(L1/L2制御シグナリングに関する詳細については、上記を参照されたい)。
サブフレームにおいて受信されるアップリンク・リソース割当てと、PUSCHにおける対応するアップリンク送信との間には、特定の事前定義されたタイミング関係が存在する。詳細は、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6の8.0章"UE procedure for transmitting the physical uplink shared channel"に示されている。特に、非特許文献6の表8−2は、TDD構成0〜6についてのパラメータkを定義しており、kは、サブフレームにおいて受信されるアップリンク・リソース割当てのターゲットの正のオフセットを示す。TDD構成0の場合には、アップリンク・サブフレーム3および8についてのタイミングの付加的な定義が存在するが、簡単のために、ここでは省略する。例えば、TDD構成1のサブフレーム1についてのパラメータkは6であり、TDD構成1のサブフレーム1において受信されるアップリンク・リソース割当てが、TDD構成1のサブフレーム1+6=7を対象とすることを意味し、これは、実際にアップリンク・サブフレームである等である。
ハイブリッドARQ方式
信頼できないチャネル上でのパケット送信システムにおける誤り検出および訂正のための一般的な技術は、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)と称される。ハイブリッドARQは、前方誤り訂正(FEC:Forward Error Correction)とARQとの組合せである。
FEC符号化されたパケットが送信され、受信器がそのパケットを正しく復号化できない場合(誤りは、通常、CRC(巡回冗長検査)によって検査される)、受信器は、そのパケットの再送信を要求する。一般には(また、本文書全体を通じて)、付加的な情報の送信は、「(パケットの)再送信」と称される。この再送信は、必ずしも、同じ符号化された情報の送信を意味せず、パケットに属する任意の情報(例えば、付加的な冗長情報)の送信も意味し得る。
送信が構成される情報(一般には、コードビット/シンボル)に応じて、また、どのように受信器が情報を処理するかに応じて、以下のハイブリッドARQ方式が定義される。
タイプI HARQ方式では、受信器がパケットを正しく復号化できない場合、符号化されたパケットの情報が破棄され、再送信が要求される。これは、すべての送信が別個に復号化されることを意味する。一般には、再送信は、最初の送信と同一の情報(コードビット/シンボル)を含む。
タイプII HARQ方式では、受信器がパケットを正しく復号化できない場合、再送信が要求される。受信器は、(誤って受信された)符号化されたパケットを軟情報(ソフト・ビット/シンボル)として記憶する。これは、受信器においてソフト・バッファが必要とされることを意味する。再送信は、以前の送信と同じパケットに従って、同一の、部分的に同一の、または非同一の情報(コードビット/シンボル)から構成することができる。再送信を受信する場合、受信器は、ソフト・バッファからの記憶された情報と現在受信されている情報とを組み合わせて、組み合わせられた情報に基づいてパケットを復号化しようと試みる。(受信器は、送信を個々に復号化しようと試みることもできるが、一般には、送信を組み合わせる場合に性能が向上する。)送信の組合せは、受信された複数のコードビット/シンボルが尤度結合され、受信されたコードビット/シンボルのみが符号結合される、いわゆる軟結合(soft-combining)と称される。軟結合のための一般的な方法は、受信された変調シンボルの最大比結合(MRC:Maximum Ratio Combining)および対数尤度比(LLR:log-likelihood-ratio)結合である(LLR結合は、コードビットのみに作用する)。
タイプII方式は、タイプI方式よりも洗練されている。なぜなら、パケットの正しい受信の確率は、受信される再送信ごとに向上するためである。この向上は、受信器における必要とされるハイブリッドARQソフト・バッファを犠牲にして得られる。この方式は、再送信されるべき情報の量を制御することによって、動的なリンク・アダプテーションを実行するために使用され得る。例えば、受信器が、復号化が「ほとんど」成功したことを検出する場合、受信器は、送信されるべき次の再送信についての小さな情報(過去の送信よりも少ない数のコードビット/シンボル)のみを要求し得る。この場合、この再送信それだけを考慮するだけでは、パケットを正しく復号化することが理論的上ですら可能ではないということが生じ得る(自己復号化不可能な再送信)。
タイプIII HARQ方式は、タイプII方式のサブセットとしてみなされ得る。タイプII方式の要件に加えて、タイプIII方式における各送信は、自己復号化可能でなければならない。
同期HARQは、HARQブロックの再送信が事前定義された周期的な間隔で発生することを意味する。そのため、受信器に対して再送信スケジュールを示すための明示的なシグナリングが必要とされない。
非同期HARQは、エア・インタフェース条件に基づいて、再送信をスケジューリングする柔軟さを提供する。この場合、正確な結合およびプロトコル動作を可能にするために、HARQプロセスの何らかの識別がシグナリングされる必要がある。3GPP LTEシステムでは、8つのプロセスを有するHARQ動作が使用される。ダウンリンク・データ送信のためのHARQプロトコル動作は、HSDPAと同様であるか、または同一ですらある。
アップリンクHARQプロトコル動作では、どのように再送信をスケジューリングするかに関して、2つの異なるオプションが存在する。再送信は、NACKによって「スケジューリングされる」(同期非適応型再送信(synchronous non-adaptive retransmission)とも称される)か、または、PDCCHを送信することによってネットワークによって明示的にスケジューリングされる(同期適応型再送信(synchronous adaptive retransmissions)とも称される)。同期非適応型再送信の場合、再送信は、過去のアップリンク送信と同じパラメータを使用する。すなわち、再送信は、同じ物理チャネル・リソース上でシグナリングされ、それぞれ同じ変調方式/トランスポート・フォーマットを使用する。
同期適応型再送信は、PDCCHを介して明示的にスケジューリングされるため、eNodeBは、再送信のために特定のパラメータを変更する可能性がある。再送信は、アップリンクにおけるフラグメンテーションを回避するために、例えば、異なる周波数リソース上でスケジューリングされ得る。または、eNodeBは、変調方式を変更し、もしくは代わりに、ユーザ機器に対して、どの冗長バージョンを再送信に使用すべきかを示し得る。HARQフィードバック(ACK/NACK)とPDCCHシグナリングとは、同じタイミングで発生することに留意されたい。したがって、ユーザ機器は、同期非適応型再送信がトリガーされる(すなわち、NACKのみが受信される)か、または、eNodeBが同期適応型再送信を要求する(すなわち、PDCCHがシグナリングされる)かを、一度だけ検査しさえすればよい。
TDD動作のためのHARQおよび制御シグナリング
上述したように、HARQを用いるダウンリンク・データまたはアップリンク・データの送信は、肯定応答ACKまたは否定ACKが反対方向で送られて、送信側にパケット受信の成功または失敗を通知することを必要とする。
FDD動作の場合、サブフレームnにおけるデータ送信に関連する肯定応答インジケータは、トランスポートが送信される瞬間とその対応する肯定応答との間に1対1の同期マッピングが存在するように、サブフレームn+4の間に反対方向で送信される。しかしながら、TDD動作の場合、サブフレームは、セルに固有な基礎に基づいてアップリンクまたはダウンリンクまたは特殊(次の章を参照されたい)として指定され、それによって、リソース・グラント、データ送信、肯定応答および再送信がそれらそれぞれの方向で送られ得る時間を制約する。したがって、TDDのためのLTE設計は、グループ化されたACK/NACK送信をサポートして、1つのサブフレーム内で複数の肯定応答を伝える。
アップリンクHARQの場合、物理ハイブリッドARQインジケータ・チャネル(PHICH)上で複数の肯定応答を(1つのダウンリンク・サブフレームにおいて)送ることは、問題ではない。なぜなら、eNodeBから見れば、これは単一の肯定応答が複数のUEへ同時に送られる場合と著しくは異ならないからである。しかしながら、ダウンリンクHARQの場合、非対称がダウンリンク側に偏っている(downlink-biased)場合、FDDのアップリンク制御シグナリング(PUCCH)フォーマットは、付加的なACK/NACK情報を伝えるには不十分である。LTEにおけるTDDサブフレーム構成(下記、および図6を参照されたい)のそれぞれは、HARQのために、ダウンリンク・サブフレームとアップリンク・サブフレームとの間の事前定義されたその構成自体のそのようなマッピングを有する。マッピングは、肯定応答遅延の最小化と利用可能なアップリンク・サブフレームにわたるACK/NACKの均等な分配との間でバランスを達成するように設計されている。さらなる詳細は、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6の7.3章において提供される。
参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献6の10.1.3章は、TDD HARQ−ACKフィードバック手順を説明する。非特許文献6の表10.1.3−1は、無線フレームのサブフレームについてのACK/NACK/DTX応答のためのダウンリンク対応関係セット・インデックスを記載しており、TDD構成についてのボックス内の数字は、サブフレームのネガティブ・オフセットを示し、HARQフィードバックは、当該サブフレーム内でトランスポートされる。例えば、TDD構成0のサブフレーム9は、サブフレーム9−4=5のHARQフィードバックをトランスポートする。TDD構成0のサブフレーム5は、実際に、ダウンリンク・サブフレームである(図6を参照されたい)。
図5は、非特許文献6の表10.1.3−1と基本的に同じであるが、ボックス内の数字はオフセットを示さず、サブフレーム番号を直接示すように変形されており、HARQフィードバックは、当該サブフレーム内でトランスポートされる。例示を目的として、サブフレーム0〜9の代わりに、サブフレーム20〜29が考慮される。図から理解できるように、例えば、TDD構成6のサブフレーム23は、サブフレーム16のACK/NACK/DTX等を伝える。
HARQ動作では、UEが組合せ利得上で付加的な符号化利得を得るために増分冗長(IR:incremental redundancy)結合[8]を採用することができるように、eNBは、再送信において元のTBとは異なる符号化バージョンを送信することができる。しかしながら、実際のシステムでは、eNBが、1つの特定のUEへ1つのリソース・セグメント上でTBを送信しても、UEは、DL制御情報の損失が原因で、データ送信を検出することができないことがあり得る。この場合、IR結合は、再送信を復号化する上で非常に低い性能につながる。なぜなら、系統的なデータは、UEにおいては利用可能ではなかったからである。この問題を軽減するために、UEは、第3の状態、すなわち、不連続送信(DTX)フィードバックを返して、(復号化の失敗を示すNACKとは異なる)関連付けられるリソース・セグメント上でTBが検出されないことを示すべきである。
時分割複信:TDD
LTEは、TD−SCDMA(時分割同期符号分割多重アクセス)の進化もサポートするように設計されている統一フレームワーク(harmonized framework)における周波数分割複信(FDD)モードおよび時分割複信(TDD)モードで動作することができる。TDDでは、時間領域においてアップリンク送信とダウンリンク送信が分離されるが、周波数は同じままである。
用語「複信」は、2つの装置の間の双方向通信を意味し、一方向通信と区別される。双方向の場合、各方向におけるリンクを通じての送信を、同時に(全二重)または交替して(半二重)行うことができる。
非ペア無線スペクトル(unpaired radio spectrum)におけるTDDの場合、リソースブロックおよびリソース要素の基本的な構造は図4に示してあるが、無線フレームのサブフレームのサブセットのみがダウンリンク送信に利用可能である。残りのサブフレームは、アップリンク送信に使用される、または、特殊サブフレームに使用される。特殊サブフレームは、UEからの送信信号(すなわち、アップリンク)がeNodeBにほぼ同時に到達するように、アップリンク送信タイミングを進めることができるようするために重要である。信号伝搬遅延は、送信器と受信器との間の距離に関連するため(反射および他の同様の効果は無視する)、これは、eNodeBの近くのUEによって送信される信号が、eNodeBから遠くのUEによって送信される信号よりも、短い時間だけ進むことを意味する。同時に到達するためには、遠くのUEは、その信号を近くのUEよりも早期に送信しなければならない。これは、3GPPシステムにおける、いわゆる「タイミング・アドバンス」手順によって解決される。TDDでは、これは、送信および受信が同じキャリア周波数上で発生する、すなわち、ダウンリンクおよびアップリンクが時間領域において二重化される必要があるという付加的な状況を有する。eNodeBから遠くのUEは、近くのUEよりも早期にアップリンク送信を開始する必要があるのに対して、反対に、ダウンリンク信号は、近くのUEによって、遠くのUEよりも早期に受信される。回路をDL受信からUL送信へ切り替えられるようにするために、ガード時間が特殊サブフレームにおいて定義される。タイミング・アドバンス問題にさらに対処するために、遠くのUEのガード時間は、近くのUEよりも長くする必要がある。
このTDD構造は、3GPP LTEリリース8以降において「フレーム構造タイプ2」として公知であり、7つの異なるアップリンク−ダウンリンク構成が定義されており、これらの構成により、さまざまなダウンリンク−アップリンク比率および切替え周期が可能である。図6は、7つの異なるTDDアップリンク−ダウンリンク構成(番号:0〜6)の表を示しており、「D」はダウンリンク・サブフレームを、「U」はアップリンク・サブフレームを、「S」は特殊フレームを示す。表から理解できるように、7つの利用可能なTDDアップリンク−ダウンリンク構成は、ダウンリンク・サブフレームの40%〜90%を提供することができる(簡単のために、特殊サブフレームをダウンリンク・サブフレームとして数える場合。なぜなら、そのようなサブフレームの一部は、ダウンリンク送信に利用可能であるからである)。
図7は、特に、5msの切替え点周期性(すなわちTDD構成0、1、2、6)の場合のフレーム構造タイプ2を示している。
図7は、長さ10msである無線フレームと、それぞれ5msの対応する2つのハーフ・フレームとを示している。無線フレームは、それぞれ1msの10個のサブフレームから構成されており、サブフレームそれぞれには、図6の表に従ったアップリンク−ダウンリンク構成のうちの1つによって定義されるように、アップリンク、ダウンリンク、または特殊のタイプが割り当てられている。
図6から理解できるように、サブフレーム#1はつねに特殊サブフレームであり、サブフレーム#6は、TDD構成0、1、2、6の場合には特殊サブフレームであり、TDD構成3、4、5の場合にはダウンリンク・サブフレームである。特殊サブフレームは、3つのフィールドとして、DwPTS(ダウンリンクパイロットタイムスロット)、GP(ガード期間)、およびUpPTS(アップリンクパイロットタイムスロット)を含む。以下の表は、特殊サブフレームに関する情報を示し、特に、3GPP LTEリリース11について定義されているように、DwPTS(ダウンリンク・パイロット・タイム・スロット)、GP(ガード期間)、およびUpPTS(アップリンク・パイロット・タイム・スロット)の長さを、サンプル時間TS=(1/30720)の倍数として一覧表にしている。
システムにおいて適用されるTDD構成は、移動局および基地局において実行される数多くの動作、例えば、無線リソース管理(RRM)測定、チャネル状態情報(CSI)測定、チャネル推定、PDCCH検出、HARQタイミングなどに影響する。
特に、ユーザ機器は、システム情報を読み取ることで、自身の現在のセルにおけるTDD構成に関して認識し、すなわち、測定用に監視するサブフレーム、CSIの測定および報告のために監視するサブフレーム、チャネル推定を取得するための時間領域フィルタリングのために監視するサブフレーム、PDCCHの検出のために監視するサブフレーム、またはUL/DL ACK/NACKフィードバックのために監視するサブフレームを認識する。
現在の半静的なTDDアップリンク/ダウンリンク構成方式の欠点
現在、LTE TDDでは、以下において静的TDD構成と称される、7つの異なる半静的に設定されるアップリンク−ダウンリンク構成を提供することによって、非対称的なUL−DL割当てが可能である(図6を参照)。UL−DL割当てを適合させるための現在のメカニズムは、システム情報取得手順またはシステム情報変更手順に基づいており、SIBによって、特に、SIB1におけるTDD構成パラメータによって、UL−DL TDD構成が示される(システム情報のブロードキャストに関する詳細は、参照によって本明細書に組み込まれている非特許文献7)。
リリース8のシステム情報変更手順では、TDD UL/DL再構成のためのサポートされる時間スケールは、毎640ms以上である。ETWS(地震津波警報システム)を再利用すると、UL−DL TDD再構成のためのサポートされる時間スケールは、設定されているデフォルトのページングサイクルに応じて毎320ms以上である。
TDD UL/DL構成の半静的割当ては、瞬間的なトラフィック状況に合致することもあれば、しないこともある。静的なTDD構成を変更するための時間スケールは、かなり大きい。例えば、ダウンリンク帯域幅を増加させるために、より多くのダウンリンク・サブフレームを動的に作成する目的で、または、隣接セルの例えばアップリンクもしくはダウンリンクにおける通信との干渉を緩和するために、より多くの空白のアップリンク・サブフレームを動的に作成する目的で、TDD UL/DL構成を現在のトラフィック需要にさらにすばやく適合させることは有利である。したがって、リリース12では、TDD UL/DL構成のより動的な変更が採用されるものと予測される。
3GPPは、さまざまなタイプのTDD UL/DL再構成の時間スケールおよびそれらの利点/欠点を検討するため、検討項目として非特許文献8に着手した。一般的に、この検討項目の結論として、TDD UL/DL再構成の時間スケールが速いほど、TDD UL/DL再構成の時間スケールが遅いよりも大きな恩恵が得られる。さらには、要求される仕様の変更量は、サポートされる再構成の時間スケールに依存する。
本発明の1つの目的は、上述した従来技術の問題を解決する、よりフレキシブルな時分割複信構成動作を提供することである。
この目的は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明のさまざまな実施形態は、ダウンリンク・サブフレーム、アップリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームは別として、新たなタイプのサブフレームがTDD構成に導入されるというコンセプトに基づいている。簡単のために、フレキシブル・サブフレームを含んでいない構成は、静的なTDD構成と称されるのに対して、少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームを含んでいる構成は、フレキシブルなTDD構成と称される。
特に、アップリンクおよびダウンリンクにおける通信のために移動局によって使用されるTDD構成は、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームがフレキシブル・サブフレームとして定義されるという点において、よりフレキシブルなものとされる。フレキシブル・サブフレームは、ダウンリンク通信もしくはアップリンク通信に使用され得る(または、いかなるダウンリンク通信もしくはアップリンク通信にも使用されないことがあり得る)。言い換えれば、フレキシブル・サブフレームは、ダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームと同様に使用され得る。当然ながら、フレキシブル・サブフレームは、隣接セルにおけるこのサブフレームへの干渉を緩和するために、(任意のアップリンク・サブフレームまたはダウンリンク・フレームと同様に)いかなる通信についても全く使用されなくてもよい。どのようにフレキシブル・サブフレームを使用するかは、1つのフレキシブル・サブフレームから次のフレキシブル・サブフレームまでの通信中に変化し得る。例えば、1つの無線フレーム内のフレキシブル・サブフレームnflexは、ダウンリンク用であり得るのに対して、次の無線フレーム内のフレキシブル・サブフレームnflexは、アップリンク用とすることができる。同じことは、1つの無線フレーム内のさまざまなフレキシブル・サブフレームにも当てはまる。
そのようなフレキシブルなTDD構成における、フレキシブル・サブフレームからアップリンク・サブフレームへの移行は、ダウンリンク・サブフレームとフレキシブル・サブフレームとの間の移行と同様に、回避するべきである。
本発明の第1の態様によると、フレキシブルなTDD構成は、無線フレームについて、アップリンク、ダウンリンクまたは特殊となるべきサブフレームを定義する。ただし、一般に、フレキシブル・サブフレームが、アップリンク送信用に定義されるサブフレームにそのサブフレーム終端部においてつねに後に続き、ダウンリンク送信用に定義されるサブフレームにそのサブフレーム先頭においてつねに先行するように、フレキシブルなTDD構成は、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとしてさらに定義するという違いがある。
より具体的には、3GPPサブフレーム・タイプについて、フレキシブルなTDD構成は、
・サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ
・サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなる
ように、サブフレームをフレキシブル・サブフレームと定義する。
結果として、フレキシブル・サブフレームは、つねに特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームの後に続き、つねにダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームに先行する。したがって、ダウンリンク・サブフレームから後続のフレキシブル・サブフレームへの移行は、フレキシブル・サブフレームから後続のアップリンク・サブフレームへの移行と同様に回避される。さらに、フレキシブル・サブフレームをダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとして選択的に使用することにより、現在のトラフィックへのより良好な適合が可能になる。
この態様について説明したように、フレキシブルなTDD構成は、このように定義され、それに従って、移動局は、例えば、基地局との通信を実行し得る。当然ながら、さらにいっそうフレキシブルになり、さまざまなフレキシブルなTDD構成のうちの1つを選択することによって、トラフィックへのより良好な適合が可能になるように、それぞれが、異なる数のダウンリンク・サブフレーム、アップリンク・サブフレーム、特殊サブフレームおよびフレキシブル・サブフレームを有する、1つよりも多くのフレキシブルなTDD構成が存在してもよい。
第1の態様の第1のバリエーションによると、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、事前定義されており、したがって、移動局および基地局において既に認識されていることが想定される。言い換えれば、移動局および基地局は、無線フレームのサブフレームのTDDタイプを定義する少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成について(7つの静的なTDD構成に関して)の情報を保持する。それに応じて、基地局は、特定のフレキシブルなTDD構成を単に識別することによって、そのフレキシブルなTDD構成を変更するように移動局へ命令を提供し得る。これは、静的なTDD構成を識別するために現在採用されている、SIB1におけるTDD構成パラメータの使用と同様である(背景技術のセクションを参照)。
理論的には、フレキシブルなTDD構成は、(フレキシブル・サブフレームについての上記要件が満たされる限り)現在標準化されている静的なTDD構成とは完全に独立して定義され得る。言い換えれば、いかなる静的なTDD構成においても、いずれにしても使用されないフレキシブル・サブフレームを無視することにより、残りの非フレキシブル・サブフレーム(すなわち、アップリンク、ダウンリンクおよび特殊)も、静的なTDD構成のうちのいずれとも異なるように定義され得る。
これに対して、当然ながら、フレキシブル・サブフレームは別として、フレキシブルなTDD構成が、静的なTDD構成のうちの1つとできる限り一致することは、有利となり得る。移動通信システムの基地局は、一般に、異なるUEと効率的に通信することができる必要があり、異なるUEのうちのいくつかは、おそらくはフレキシブル・サブフレームをサポートするのに対して、他のUEはサポートしないため、複数のサブフレーム(理想的には、できる限り多くのサブフレーム)が、それらの異なるタイプのUEについて同じ意味を有することが有利である。結果として、フレキシブル・サブフレームをサポートしないUEは、静的なTDD構成に従って動作し、フレキシブル・サブフレームをサポートするUEは、静的なTDD構成またはフレキシブルなTDD構成に従って動作させられ得る。前記の場合、サブフレームのうちの少なくとも1つが、フレキシブル・サブフレームとして異なって定義されることを除いて、フレキシブルなTDD構成は、静的なTDD構成のうちの1つによって行われるのと同じように、無線フレームのサブフレームがアップリンク、ダウンリンクおよび特殊になるように定義する。上述したように、フレキシブル・サブフレームによって満たされるべき要件は、静的な/フレキシブルなTDD構成のサブフレームnflex−1が特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、静的な/フレキシブルなTDD構成のサブフレームnflex+1がダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなることである。
フレキシブルなTDD構成は、静的なTDD構成のうちの1つと同じように、非フレキシブル・サブフレームを定義すると想定すると、静的なTDD構成のサブフレームn=nflexがアップリンク・サブフレームであるなら、言い換えれば、フレキシブルなTDD構成が(ダウンリンク・サブフレームではなく)アップリンク・サブフレームのみをフレキシブル・サブフレームに再定義するなら、さらに有利となり得る。レガシーUE、または、より一般的には、フレキシブルなTDD構成に従って通信することができないUEは、ダウンリンク信号測定のために、ダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームを使用し得る。
第1の態様の第2のバリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、上述したように事前定義されず、静的なTDD構成のうちの1つから、移動局および基地局において直接導かれる。前記の特定の場合、移動局および基地局において事前定義される別個のフレキシブルなTDD構成は存在せず、その代わりに、移動局および基地局が、静的なTDD構成のうちの1つからの通信に対して使用されるべきフレキシブルなTDD構成を決定する。例えば、基地局からの指示があると、移動局は(および基地局も)、以下の要件が満たされるように、少なくとも1つのサブフレームnflexについて、サブフレームのタイプをフレキシブルへ再定義することによって、通信のために現在使用されている静的なTDD構成を対応するフレキシブルなTDD構成へ変更し得る。
− 静的なTDD構成のサブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ、
− 静的なTDD構成のサブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなる。
任意で、静的なTDD構成のうちの1つのサブフレーム・タイプをフレキシブルなTDD構成に達するように再定義することは、アップリンク・サブフレームのみがフレキシブル・サブフレームに変更され得るように、すなわち、対応する静的なTDD構成のサブフレームnがアップリンク・サブフレームとなるように、さらに行われ得、n=nflexである。
この第2のバリエーションでは、(さまざまな事前定義されたフレキシブルなTDD構成のうちで)使用されるべき特定のフレキシブルなTDD構成を直接示す代わりに、フレキシブルなTDD構成への変更のための指示があれば十分であり得る。これは、TDD構成のフレキシブルさを有効化および無効化する単一のビットによって行われ得る。(どの特定の静的なTDD構成が現在使用されているかとは独立して)静的なTDD構成をフレキシブルに変更するためのトリガーを受信することに応答して、移動局は(および、そのトリガーを送った後には、基地局も)、上述したアルゴリズム/要件を適用することによって、静的なTDD構成からの通信に対して使用されるべきフレキシブルなTDD構成を導く/決定する。
本発明のさらに重要な第2の態様は、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきか、またはアップリンク・サブフレームとして使用されるべきかをどのように決定するかの問題に言及する。移動局と基地局とは、上述した第1の態様のバリエーションのうちのいずれかに従って、フレキシブルなTDD構成に基づいて、すなわち、各無線フレームに少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームを含んで、互いに通信しているものと想定される。実際に、本発明の第2の態様は、第1の態様とは独立しており、したがって、ある程度別個に扱われるべきである。特に、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるか、またはアップリンク・サブフレームとして使用されるかをどのように決定するかは、どのように完全なフレキシブルなTDD構成が定義され、示されるかとは独立している。第2の態様は、それぞれのフレキシブル・サブフレームに言及し、どのサブフレーム・タイプがフレキシブル・サブフレームに続きもしくは先行するか、またはどれだけ多くのフレキシブル・サブフレームが各無線フレームについて定義されるかとは独立している。
リソースの浪費を回避するために、移動局と基地局との両方が、どのようにフレキシブル・サブフレームが使用されるべきかについて同じ理解を有することが重要である。例えば、基地局がフレキシブル・サブフレームをダウンリンク送信に使用するのに対して、移動局が同じフレキシブル・サブフレームをアップリンク送信に使用する場合、フレキシブル・サブフレームのリソースは浪費されてしまう。フレキシブル・サブフレームの使用は、以下で説明されるように、黙示的に、または明示的なシグナリングによって、制御され得る。
第2の態様の1つのバリエーションによると、フレキシブル・サブフレームをダウンリンクまたはアップリンクとして使用することは、前記フレキシブル・サブフレームについていずれかのアップリンク送信が保留中であるかに依存する。より具体的には、移動局がフレキシブル・サブフレーム内で送信されることになっている少なくとも1つのアップリンク送信を有する場合、フレキシブル・サブフレームは、アップリンクとして、すなわち、保留中のアップリンク通信、および、場合により、さらなるアップリンク送信のためのサブフレームとして、使用されるべきである。反対に、フレキシブル・サブフレームについて保留中のアップリンク送信が存在しない場合、フレキシブル・サブフレームは、潜在的なダウンリンク通信のためのダウンリンク・サブフレームとして使用され得る。
アップリンク送信は、多くの理由が原因で保留中となり得る。例えば、基地局は、フレキシブル・サブフレームについてのアップリンク送信を動的にスケジュール済みである場合があり、この場合、基地局は、いつフレキシブル・サブフレームについてのアップリンク送信が保留中であるかを認識している。
または、アップリンク・データ送信は、セミ・パーシステントなリソース割当てが原因で、フレキシブル・サブフレームについてスケジュールされ得る。基地局は、移動局によって使用されるセミ・パーシステントな割当て構成を認識しており、したがって、フレキシブル・サブフレームがセミ・パーシステントにスケジューリングされたアップリンク送信上に位置することも予見することができ、その結果、アップリンク・サブフレームとして使用されるべきフレキシブル・サブフレームを決定する。
または、過去のダウンリンク送信についての(HARQ ACK/NACK/DTXなどの)再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックが、フレキシブル・サブフレームに適用され得る。再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックは、基地局にも認識されている事前定義されたタイミングに従って実行される。このような理由から、基地局は、再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックについてのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームのために保留されている場合も認識していることになる。
または、チャネル状態情報報告が、フレキシブル・サブフレームのために保留中であり得る。CSI報告は、移動局と基地局との両方に認識されている事前定義された構成に従って、周期的に送信され得る。CSI報告は、基地局によって動的にトリガーされてもよい。両方の場合において、基地局は、CSI報告がフレキシブル・サブフレームのために保留中である場合を認識している。
移動局がユーザ・データを送信する必要がある場合、移動局は、アップリンク送信のためのアップリンク・リソースを要求するスケジューリング要求を基地局へ送る。基地局は、いつ移動局がスケジューリング要求を実際に送信するのかを正確には認識していないが、基地局は、スケジューリング要求を送信するためにどのサブフレームが使用され得るかは認識している。なぜなら、移動局がスケジューリング要求を送信するための設定可能な制限された機会が存在するからである。基地局は、設定について認識している。前記の場合、スケジューリング要求を送信する機会を移動局に与える任意のフレキシブル・サブフレームは、したがって、アップリンク・サブフレームとしてみなされるべきである。
同様に、ランダム・アクセス・メッセージは、例えば、UEがそのアップリンク同期を失った場合にアップリンク時間同期を達成するために、または、基地局に接続するために、または、送信リソースを要求するために、移動局によって送信される。UEは、そのアップリンク送信タイミングが同期される場合にのみ、アップリンク送信をスケジューリングされ得る。この場合も、移動局がランダム・アクセス・メッセージを送信するための設定可能な制限された機会が存在する。基地局は、設定について認識している。前記の場合、ランダム・アクセス・メッセージを送信する機会を移動局に与える任意のフレキシブル・サブフレームは、したがって、アップリンク・サブフレームとしてみなされ得る。
上記の場合、フレキシブル・サブフレームにおけるアップリンク送信の存在または不在は、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームまたはダウンリンク・サブフレームとして使用可能であることを判定するための基準として考えられる。しかしながら、この黙示的な「指示」は、例えば、設定メッセージ内の検出されない誤りの場合に、または設定メッセージの受信と設定メッセージの適用との間のUEにおける未知の遅延が原因で、基地局と移動局とが、フレキシブル・サブフレームについてアップリンク送信が保留中であるか否かについて異なる理解を簡単に有し得るという点で、困難につながり得る。また、上記送信のうちのいくつかの場合、基地局は、アップリンク送信が実際に保留中であるのか、またはアップリンク送信機会がUEによって使用されないのかを、事前に認識することができない。これにより、フレキシブル・サブフレームがダウンリンクのために使用され得る回数が減少し、したがって、ダウンリンク容量が減少する。
したがって、黙示的なシグナリングの上記の欠点を回避するために、付加的なシグナリングという代償を払っても、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきなのか、またはアップリンク・サブフレームとして使用されるべきなのかを明示的に定義することは有利となり得る。基地局は、フレキシブル・サブフレームの用途に関する対応する決定を受け入れ、どのようにフレキシブル・サブフレームが使用されるべきかを移動局に通知する命令を移動局へ送信し得る。
明示的なシグナリングの特定の例によると、基地局は、アップリンク・リソース割当てのための制御情報を移動局へ送信し得る。この場合、制御情報のCRCは、
ページングRNTI、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD−RNTI
のうちの1つなどの非一般的な識別子を用いてスクランブルされる。
事前定義されたフレキシブルなTDD RNTIは、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきか、またはダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきかを制御する目的に固有の新たに導入されるRNTIであり得る。
LTEシステムでは、アップリンク・リソース割当てのためのこの制御情報は、フォーマット0のDCIであり、または、DCIフォーマット4をサポートするUEの場合には、DCIフォーマット4が、アップリンク・リソース割当てのために代わりに使用され得る。DCIフォーマット0またはDCIフォーマット4は、通常、C−RNTIまたは(SPSについてのSPS−C−RNTI)などの、移動局の特定の識別子を用いてスクランブルされるが、いくつかのUEに共通の上記識別子のうちの1つを用いてはスクランブルされない。
特定のDCIフォーマット0/4は、フレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを実際に割り当てるDCIフォーマット0/4の適当なタイミングで、基地局から送信される。さらに、DCIフォーマット0/4は、セル内のすべてのUEによって実際に受信され得るように、好ましくは、共通サーチ・スペース内で送信され得る。
それに応じて、移動局は、前記識別子のうちの1つによってスクランブルされている対応するCRCを用いてアップリンク・リソース割当てについての制御情報(DCIフォーマット0/4)を検出する場合、アップリンク・リソース割当ての受信タイミングに従った対応するフレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用され得ると判定する。それ以外の場合、すなわち、そのようなアップリンク・リソース割当てが受信されない場合、移動局は、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用され得ると判定する。
いま説明したDCIフォーマット0/4は、フレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク送信のための実際のリソースを割り当てても、または割り当てなくてもよい。特に、DCIフォーマット0/4は、UEに固有なC−RNTIを用いては符号化されないが、別のRNTIを用いて符号化され、したがって、通常は、移動局によって「通常の」アップリンク・リソース割当てとしてみなされない。それにもかかわらず、このDCIフォーマット0/4を受信するUEは、依然として、当該DCIフォーマット0/4を通常のアップリンク・リソース割当てとして使用し得る。あるいは、この特殊にスクランブルされたDCIフォーマット0/4を受信するUEは、当該DCIフォーマット0/4を通常のアップリンク・リソース割当てとして無視し、当該DCIフォーマット0/4から、対応するフレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであることのみを導き得る。C−RNTIまたはSPS−C−RNTIを用いてスクランブルされる別個のアップリンク・リソース割当てが、付加的に受信されてもよい。
誤り耐性を強化するように、特殊なDCIフォーマット0/4が、アップリンク・リソースの無効な値(または事前定義された値)を示すことは、さらに有利となり得る。結果として、特定のフレキシブル・サブフレームをアップリンク・サブフレームとして示すために、アップリンク・リソース割当てのCRCが特定のRNTI(上記を参照)を用いてスクランブルされるべきであるだけでなく、アップリンク・リソース割当ても、無効な(または事前定義された)リソース割当てを示すべきである。
あるいは、または、付加的に、フレキシブル・サブフレームをダウンリンク・サブフレームとして使用することは、
ページングRNTI、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD−RNTI
のうちの1つを用いてスクランブルされるダウンリンク・リソース割当てのための制御情報の使用によって示される。
LTEシステムでは、ダウンリンク・リソース割当てのためのこの制御情報は、例えば、フォーマット1AのDCIである。DCIフォーマット1Aは、DCIフォーマット1Aが受信される同じサブフレームについてのリソースを割り当てる。しかしながら、フレキシブル・サブフレームの用途を示す目的のためには、このタイミングは遅すぎる。このような理由から、特殊にスクランブルされたDCIフォーマット1Aが、フレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるアップリンク・リソース割当てのタイミングで、すなわち、DCIフォーマット0のタイミングで、送信される。
また、DCIフォーマット1Aは、ダウンリンク・リソースの無効な値を示して、誤り耐性を強化すべきである。さらに、DCIフォーマット1Aは、セル内のすべてのUEによって実際に受信され得るように、共通サーチ・スペース内で送信され得る。
いずれの場合にも、第2の態様のバリエーションのうちのいずれかに従って、フレキシブル・サブフレームをダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとして選択的に使用することが可能であり、これは、対応する指示(DCIフォーマット0、1A)を用いて基地局によって明示的に制御され、またはフレキシブル・サブフレームについての移動局における保留中のアップリンク送信の存在もしくは不在に応じて黙示的に制御され得る。
本発明の第3の態様は、フレキシブル・サブフレームについて保留中であるアップリンク送信の数を減少させることを目的とする。フレキシブル・サブフレーム内で実行されるべきアップリンク送信の数を減少させることは、例えば、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとしてより頻繁に使用され得、したがって、フレキシブルなTDD構成のダウンリンク容量を増加させることができるという点で有利である。
本発明の第3の態様は、以下に説明されるように、上述された第1の態様および第2の態様とはある程度別個のものとしてみなされるべきである。特に、フレキシブルなTDD構成が使用されることは第3の態様にとって要件であり得るが、どのようにTDD構成が詳細に定義されるか、またはどのようにTDD構成の定義が移動局へ示されるか、またはどのようにフレキシブル・サブフレームがアップリンクもしくはダウンリンクについてのものであると判定されるかは、第3の態様のバリエーションのほとんどにとって、必ずしも重要とは限らない。
1つのバリエーションでは、再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック、すなわち、LTEにおけるHARQアップリンクACK/NACK/DTXフィードバックを基地局へ送信するためのタイミングは、当該フィードバックがフレキシブル・サブフレーム内では送信されず、代わりに、無線フレーム内の別のアップリンク・サブフレーム内で送信されるように変更される。これは、例えば、静的なTDD構成について既に事前定義されている特定のHARQフィードバック・タイミングを再利用することによって達成され得る。特に、HARQフィードバック・タイミングがフレキシブル・サブフレームのうちの1つ上に位置しないように、特定のフレキシブルなTDD構成は、いくつかの静的なTDD構成のうちの1つのHARQフィードバック・タイミングに関連付けられる。
前述のバリエーションと組み合わされてもよく、または組み合わされなくてもよい、さらなるバリエーションでは、過去に送信されたデータの非適合的なアップリンク再送信は、フレキシブル・サブフレーム内で送信されるべきではない。これは、例えば、過去の送信についての基地局の対応するNACKフィードバックを無視することによって、または、(実際のHARQフィードバックが何であるかとは独立して)非適合的な再送信がフレキシブル・サブフレーム上に位置する、過去の送信についてのHARQフィードバックがACKであると自動的に判定することによって、行われ得る。
前述のバリエーションと組み合わされてもよく、または組み合わされなくてもよい、また別のバリエーションでは、フレキシブル・サブフレームに適用され得る他の保留中のアップリンク送信は、移動局において許容されない。これは、フレキシブル・サブフレームについてセミ・パーシステントにスケジューリングされるデータ・アップリンク送信、アップリンク送信用のリソースを要求するためのスケジューリング要求、チャネル状態情報報告、アップリンク・サウンディング信号、ランダム・アクセス送信を含む。
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのフレキシブルな時分割複信(TDD)構成のうちの1つに基づく通信システムにおいて移動局と基地局との間で通信するための方法を提供する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のそれぞれは、無線フレームについて、その無線フレームのサブフレームを、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレーム、特殊サブフレームまたはフレキシブル・サブフレームとして定義し、
・サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ、
・サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなる
ように、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして定義する。
フレキシブル・サブフレームは、ダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとして選択的に使用され得る。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局と基地局との間の通信は、複数の静的なTDD構成のうちの1つに、または少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のうちの1つに基づき得る。静的なTDD構成のそれぞれは、無線フレームについて、その無線フレームのサブフレームを、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとして定義する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとしてさらに定義することを除いて、対応する静的なTDD構成と同じように、無線フレームのサブフレームをアップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとして定義する。この場合、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
ように、少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして定義する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、移動局および基地局において、あらかじめ設定されており、移動局は、通信のために使用されるべきフレキシブルなTDD構成を識別する識別子を基地局から受信する。
本発明の実施形態のいま説明したバリエーションの代わりのバリエーションによると、第1の静的なTDD構成に基づいて通信する移動局は、フレキシブルなTDD構成を使用するための指示を基地局から受信する。移動局は、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ、
− サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなり、かつ、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
ように、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして決定することによって、第1の静的なTDD構成に基づいて、通信のために使用されるべきフレキシブルなTDD構成を決定する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームをアップリンク・サブフレームとして定義する。無線フレームのインデックス2のサブフレームがアップリンク・サブフレームとして定義される場合、さらに好ましい。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、無線フレーム内のほとんどのアップリンク・サブフレームを定義する、すなわち、すべてのフレキシブルなTDD構成の最大ダウンリンク容量利得を提供する、静的なTDD構成に対応する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局および基地局は、移動局からのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームについて保留中である場合、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。さらに、移動局および基地局は、移動局からのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームについて保留中ではない場合、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。保留中のアップリンク送信は、基地局から受信される動的なアップリンク・リソース割当てに従ってフレキシブル・サブフレームについてスケジューリングされたデータ送信、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック、チャネル状態情報報告、移動局からのスケジューリング要求、サウンディング送信、ランダム・アクセス・メッセージ、フレキシブル・サブフレームについてセミ・パーシステントにスケジューリングされたデータ送信のうちの少なくとも1つであり得る。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局および基地局は、アップリンク・リソース割当てについての制御情報の巡回冗長検査部分が、
ページング無線ネットワーク一時識別子(RNTI:Radio Network Temporary Identifier)、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD RNTI
のうちの1つを用いてスクランブルされる場合、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。
アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソース割当てについての制御情報がフレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるタイミングで、基地局から送信される。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソースの無効な値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマット0またはDCIフォーマット4である。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、共通サーチ・スペースのリソースにおいて基地局から送信される。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソース割当てについての事前定義された電力制御値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局および基地局は、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報の巡回冗長検査部分が、
ページング無線ネットワーク一時識別子(RNTI)、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD RNTI
のうちの1つを用いてスクランブルされる場合、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。
ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソース割当てについての制御情報がフレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるタイミングで、基地局から送信される。ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク・リソースの無効な値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマット1Aである。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、共通サーチ・スペースのリソースにおいて基地局から送信される。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク・リソース割当てについての事前定義された電力制御値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、無線フレームのフレキシブル・サブフレームnflexがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定される場合、および前記無線フレームのサブフレームn−1が特殊サブフレームである場合、移動局および基地局は、前記無線フレームの特殊サブフレームn−1が、特殊サブフレームとして使用される代わりに、ダウンリンク・サブフレームとして使用され得ると判定する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局が、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のうちの1つに基づいて通信する場合、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックは、フレキシブル・サブフレームにおいて移動局によって送信されない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての複数の再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングは、複数の静的なTDD構成について事前定義され、静的なTDD構成ごとに1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングが事前定義される。特に、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての少なくとも1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングは、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成について事前定義され、フレキシブルなTDD構成ごとに1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングが事前定義される。再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックが、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレーム内のみで移動局によって送信されるように、フレキシブルなTDD構成についての少なくとも1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングは、静的なTDD構成についての複数の再送信プロトコル・フィードバック・アップリンク・タイミングのうちの1つと同じである。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、アップリンク通信のために使用されるべきであると判定されるフレキシブル・サブフレームについて、再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックを基地局へ送信する。好ましくは、アップリンク通信のために使用されるフレキシブル・サブフレームについての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックは、NACKまたは不連続送信(DTX)を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、好ましくは、
過去のアップリンク送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックを無視すること、または
過去のアップリンク送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックをACKとして判定すること
によって、過去のアップリンク送信のためにフレキシブル・サブフレーム内でアップリンク再送信を送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、好ましくは、
フレキシブル・サブフレームにおける過去の送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックを無視すること、または
フレキシブル・サブフレームにおける過去の送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックをACKとして判定すること
によって、フレキシブル・サブフレーム内で送信された過去のアップリンク送信についてのアップリンク再送信を送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、フレキシブル・サブフレームについてセミ・パーシステントにスケジューリングされたデータ・アップリンク送信、アップリンク送信用のリソースを要求するためのスケジューリング要求、チャネル状態情報報告、アップリンク・サウンディング信号、ランダム・アクセス送信のうちの少なくとも1つを、フレキシブル・サブフレーム内で送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、セミ・パーシステントにスケジューリングされるアップリンク送信についての設定を、当該設定によって設定されるようなセミ・パーシステントにスケジューリングされるアップリンク送信のうちの少なくとも1つがフレキシブル・サブフレーム内で送信される場合に、リリースする。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、チャネル状態情報レポーティングについての設定を、当該設定によって設定されるようなチャネル状態情報報告のうちの少なくとも1つがフレキシブル・サブフレーム内で送信される場合に、リリースする。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、アップリンク・サウンディング信号についての設定を、当該設定によって設定されるような少なくとも1つのアップリンク・サウンディング信号がフレキシブル・サブフレーム内で送信される場合に、リリースする。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、移動局がフレキシブル・サブフレームにおいて測定を実行しないように、ダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームにおいてのみ測定を実行する。
本発明は、少なくとも1つのフレキシブルな時分割複信(TDD)構成のうちの1つに基づいて通信システムにおいて基地局と通信する移動局をさらに提供する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のそれぞれは、無線フレームについて、その無線フレームのサブフレームを、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレーム、特殊サブフレームまたはフレキシブル・サブフレームとして定義し、
・サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ
・サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなる
ように、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして定義する。
フレキシブル・サブフレームは、ダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとして選択的に使用され得る。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局との通信は、複数の静的なTDD構成のうちの1つに、または少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のうちの1つに基づく。静的なTDD構成のそれぞれは、無線フレームについて、その無線フレームのサブフレームを、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとして定義する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとしてさらに定義することを除いて、対応する静的なTDD構成と同じように、無線フレームのサブフレームをアップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとして定義する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
ように、少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして定義する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のメモリは、フレキシブルなTDD構成を格納する。移動局の受信器は、通信のために使用されるべきフレキシブルなTDD構成を識別する識別子を基地局から受信する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、第1の静的なTDD構成に基づいて通信している。移動局のメモリは、複数の静的なTDD構成を格納する。移動局の受信器は、フレキシブルなTDD構成を使用するための指示を基地局から受信する。移動局のプロセッサは、受信された指示に応答して、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ、
− サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなり、かつ、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
ように、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして決定することによって、第1の静的なTDD構成に基づいて、通信のために使用されるべきフレキシブルなTDD構成を決定する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームをアップリンク・サブフレームとして定義する。好ましくは、無線フレームのインデックス2のサブフレームが、アップリンク・サブフレームとして定義される。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、無線フレーム内のほとんどのアップリンク・サブフレームを定義する静的なTDD構成に対応する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサは、移動局からのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームについて保留中である場合、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。プロセッサは、移動局からのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームについて保留中ではない場合、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであるとさらに判定する。保留中のアップリンク送信は、基地局から受信される動的なアップリンク・リソース割当てに従ってフレキシブル・サブフレームについてスケジューリングされたデータ送信、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック、チャネル状態情報報告、移動局からのスケジューリング要求、サウンディング送信、ランダム・アクセス・メッセージ、フレキシブル・サブフレームについてセミ・パーシステントにスケジューリングされたデータ送信のうちの少なくとも1つであり得る。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサは、アップリンク・リソース割当てについての制御情報の巡回冗長検査部分が、ページング無線ネットワーク一時識別子(RNTI)、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD RNTIのうちの1つを用いてスクランブルされる場合、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。移動局の受信器は、基地局から送信されているアップリンク・リソース割当てについての制御情報を、アップリンク・リソース割当てについての制御情報がフレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるタイミングで受信する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソースの無効な値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマット0またはDCIフォーマット4である。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、受信器は、アップリンク・リソース割当てについての制御情報を、共通サーチ・スペースのリソースにおいて基地局から受信するようにされている。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソース割当てについての事前定義された電力制御値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサは、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報の巡回冗長検査部分が、ページング無線ネットワーク一時識別子(RNTI)、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD RNTIのうちの1つを用いてスクランブルされる場合、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。移動局の受信器は、基地局からのダウンリンク・リソース割当てについての制御情報を、アップリンク・リソース割当てについての制御情報がフレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるタイミングで受信する。ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク・リソースの無効な値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマット1Aである。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、受信器は、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報を、共通サーチ・スペースのリソースにおいて基地局から受信するようにさらにされている。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク・リソース割当てについての事前定義された電力制御値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサが、無線フレームのフレキシブル・サブフレームnflexはダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する場合、および前記無線フレームのサブフレームn−1が特殊サブフレームである場合、プロセッサは、前記無線フレームの特殊サブフレームn−1は、特殊サブフレームとして使用される代わりに、ダウンリンク・サブフレームとして使用され得るとさらに判定する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局が、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のうちの1つに基づいて通信する場合、移動局の送信器は、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックをフレキシブル・サブフレーム内で送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のメモリは、複数の静的なTDD構成についての、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての複数の再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングを格納し、静的なTDD構成ごとに1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングを格納する。メモリは、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成についての、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての少なくとも1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングをさらに格納し、フレキシブルなTDD構成ごとに1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングを格納する。フレキシブルなTDD構成についての少なくとも1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングのそれぞれは、再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックが、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレーム内のみで移動局によって送信されるように、静的なTDD構成についての複数の再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングのうちの1つと同じである。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局の送信器は、アップリンク通信のために使用されるべきであると判定されるフレキシブル・サブフレームについての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックを基地局へ送信する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク通信のために使用されるフレキシブル・サブフレームについての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックは、NACKまたは不連続送信(DTX)を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、好ましくは、
プロセッサが、過去のアップリンク送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックを無視すること、または
プロセッサが、過去のアップリンク送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックをACKとして判定すること
によって、過去のアップリンク送信のためにフレキシブル・サブフレーム内でアップリンク再送信を送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局は、好ましくは、
プロセッサが、フレキシブル・サブフレームにおける過去の送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックを無視すること、または
プロセッサが、フレキシブル・サブフレームにおける過去の送信についてのNACKを示す再送信プロトコル・ダウンリンク・フィードバックをACKとして判定すること
によって、フレキシブル・サブフレーム内で送信された過去のアップリンク送信についてのアップリンク再送信を送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局の送信器は、フレキシブル・サブフレームについてセミ・パーシステントにスケジューリングされたデータ・アップリンク送信、アップリンク送信用のリソースを要求するためのスケジューリング要求、チャネル状態情報報告、アップリンク・サウンディング信号、ランダム・アクセス送信のうちの少なくとも1つを、フレキシブル・サブフレーム内で送信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサは、セミ・パーシステントにスケジューリングされるアップリンク送信についての設定を、当該設定によって設定されるようなセミ・パーシステントにスケジューリングされるアップリンク送信のうちの少なくとも1つがフレキシブル・サブフレーム内で送信される場合に、リリースする。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサは、チャネル状態情報レポーティングについての設定を、当該設定によって設定されるようなチャネル状態情報報告のうちの少なくとも1つがフレキシブル・サブフレーム内で送信される場合に、リリースする。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、プロセッサは、アップリンク・サウンディング信号についての設定を、当該設定によって設定されるような少なくとも1つのサウンディング信号がフレキシブル・サブフレーム内で送信される場合に、リリースする。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局のプロセッサは、移動局のプロセッサがフレキシブル・サブフレームにおいて測定を実行しないように、ダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームにおいてのみ測定を実行する。
本発明は、少なくとも1つのフレキシブルな時分割複信(TDD)構成のうちの1つに基づく通信システムにおいて移動局と通信するための基地局をさらに提供する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のそれぞれは、無線フレームについて、その無線フレームのサブフレームを、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレーム、特殊サブフレームまたはフレキシブル・サブフレームとして定義し、
・サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ、
・サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなる
ように、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして定義する。
フレキシブル・サブフレームは、ダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとして選択的に使用され得る。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、移動局との通信は、複数の静的なTDD構成のうちの1つに、または少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のうちの1つに基づく。静的なTDD構成のそれぞれは、無線フレームについて、その無線フレームのサブフレームを、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとして定義する。少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとしてさらに定義することを除いて、対応する静的なTDD構成と同じように、無線フレームのサブフレームをアップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとして定義する。この場合、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成は、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
ように、少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして定義する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局のメモリは、フレキシブルなTDD構成を格納する。基地局の送信器は、通信のために使用されるべきフレキシブルなTDD構成を識別する識別子を移動局へ送信する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局は、第1の静的なTDD構成に基づいて通信する。基地局のメモリは、複数の静的なTDD構成を格納する。基地局の送信器は、フレキシブルなTDD構成を使用するための指示を移動局へ送信する。基地局のプロセッサは、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、かつ、
− サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなり、かつ、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
ように、無線フレームの少なくとも1つのサブフレームnflexをフレキシブル・サブフレームとして決定することによって、第1の静的なTDD構成に基づいて、通信のために使用されるべきフレキシブルなTDD構成を決定する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局のプロセッサは、移動局からのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームについて保留中である場合、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。プロセッサは、移動局からのアップリンク送信がフレキシブル・サブフレームについて保留中ではない場合、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。保留中のアップリンク送信は、基地局から受信される動的なアップリンク・リソース割当てに従ってフレキシブル・サブフレームについてスケジューリングされたデータ送信、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック、チャネル状態情報報告、移動局からのスケジューリング要求、サウンディング送信、ランダム・アクセス・メッセージ、フレキシブル・サブフレームについてセミ・パーシステントにスケジューリングされたデータ送信のうちの少なくとも1つであり得る。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局のプロセッサは、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。プロセッサが、フレキシブル・サブフレームはアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する場合、プロセッサは、ページング無線ネットワーク一時識別子(RNTI)、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD RNTIのうちの1つを用いて、アップリンク・リソース割当てについての制御情報の巡回冗長検査部分をスクランブルする。基地局の送信器は、アップリンク・リソース割当てについての制御情報がフレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるタイミングで、アップリンク・リソース割当てについての制御情報を移動局へ送信する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソースの無効な値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマット0またはDCIフォーマット4である。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、送信器は、アップリンク・リソース割当てについての制御情報を、共通サーチ・スペースのリソースにおいて移動局へ送信するようにされる。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、アップリンク・リソース割当てについての制御情報は、アップリンク・リソース割当てについての事前定義された電力制御値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局のプロセッサは、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。プロセッサが、フレキシブル・サブフレームはダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する場合、プロセッサは、ページング無線ネットワーク一時識別子(RNTI)、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTI、マルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTI、事前定義されたフレキシブルなTDD RNTIのうちの1つを用いて、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報の巡回冗長検査部分をスクランブルするようにされる。基地局の送信器は、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報を、アップリンク・リソース割当てについての制御情報がフレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク・リソースを割り当てるタイミングで移動局へ送信する。ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク・リソースの無効な値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク制御情報(DCI)フォーマット1Aである。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、送信器受信器は、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報を、共通サーチ・スペースのリソースにおいて基地局から送信するようにさらにされている。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、ダウンリンク・リソース割当てについての制御情報は、ダウンリンク・リソース割当てについての事前定義された電力制御値を示す。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局のプロセッサが、無線フレームのフレキシブル・サブフレームnflexはダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する場合、および前記無線フレームのサブフレームn−1が特殊サブフレームである場合、プロセッサは、前記無線フレームの特殊サブフレームn−1は、特殊サブフレームとして使用される代わりに、ダウンリンク・サブフレームとして使用され得るとさらに判定する。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局が、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成のうちの1つに基づいて通信する場合、基地局の受信器は、移動局によって受信された過去のダウンリンク送信についての再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックを、フレキシブル・サブフレームにおいて受信しない。
上記に加えて、または上記の代わりに使用され得る、本発明の実施形態の有利なバリエーションによると、基地局のメモリは、複数の静的なTDD構成についての、移動局へ送信された過去のダウンリンク送信についての複数の再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングを格納し、静的なTDD構成ごとに1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングを格納する。メモリは、少なくとも1つのフレキシブルなTDD構成についての、移動局へ送信された過去のダウンリンク送信についての少なくとも1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングをさらに格納し、フレキシブルなTDD構成ごとに1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングを格納する。フレキシブルなTDD構成についての少なくとも1つの再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングのそれぞれは、再送信プロトコル・アップリンク・フィードバックが、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレーム内のみで移動局によって受信されるように、静的なTDD構成についての複数の再送信プロトコル・アップリンク・フィードバック・タイミングのうちの1つと同じである。
以下では、本発明について、添付の図面を参照しながらさらに詳しく説明する。
以下の段落では、本発明のさまざまな実施形態について説明する。例示のみを目的として、実施形態のほとんどは、3GPP LTE(リリース8/9)およびLTE−A(リリース10/11/12)の移動通信システムによる無線アクセス方式に関連して概説してあり、これらの技術については一部が上の背景技術のセクションに説明してある。なお、本発明は、例えば、上の背景技術のセクションに説明されている3GPP LTE−A(リリース10/11/12)の通信システムなどの移動通信システムにおいて有利に使用することができるが、本発明は、この特定の例示的な通信ネットワークにおける使用に限定されないことに留意されたい。
用語「静的なTDD構成」は、現在の標準規格に定義されているTDDアップリンク/ダウンリンク構成を意味し、TDD構成は、無線フレームの各サブフレームについて、それらがダウンリンク・サブフレームであるか、アップリンク・サブフレームであるか、特殊サブフレームであるかを定義する。用語「TDD構成インデックス」は、7つの可能なTDD UL/DL構成のうちの1つにそれぞれ関連付けられる番号(現時点では0〜6)であり、3GPPの技術規格に定義されている(図6を参照)。本発明は、「静的なTDD構成」と「フレキシブルなTDD構成」とを区別しており、フレキシブルなTDD構成は、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームに加えて、フレキシブル・サブフレームを定義する。
特許請求の範囲および本明細書において使用される「フレキシブル・サブフレーム」という用語は、アップリンク・サブフレームまたはダウンリンク・サブフレームとしてフレキシブルに使用され得るサブフレームとして理解されるべきであり、これは、フレキシブル・サブフレームごとに別個に決定され得る。特許請求の範囲および本明細書において使用される「動的なダウンリンク・サブフレーム」または「フレキシブルなダウンリンク・サブフレーム」という用語は、ダウンリンク・サブフレームとして使用されるフレキシブル・サブフレームとして理解されるべきである。特許請求の範囲および本明細書において使用される「動的なアップリンク・サブフレーム」または「フレキシブル・アップリンク・サブフレーム」という用語は、アップリンク・サブフレームとして使用されるフレキシブル・サブフレームとして理解されるべきである。
「サブフレームn」という用語は、無線フレーム内の任意のサブフレームを意味するのに対して、「サブフレームnflex」という用語は、フレキシブル・サブフレームを意味する。
誤り検出符号に関連して特許請求の範囲において使用され、また、(誤り検出符号の例としての)CRCに主に関連して詳細な説明において使用される「スクランブルする」という用語は、例えば、識別子を誤り検出符号(CRC)へ黙示的に符号化するプロセスを意味する。「マスクする」という用語と、「によって設定される」という用語とは、識別子がCRCへ、または、より一般的には、情報要素(例えば、DCI)へ符号化されることを意味するために本技術分野における「スクランブルする」と同等に使用される。
特許請求の範囲および本明細書において使用される「無効なパラメータ」という用語は、無効な値を有し、したがって、無効なパラメータを構成するパラメータとして理解されるべきである。
以下では、本発明のいくつかの実施形態について詳しく説明する。これらの説明は、本発明を制限するものではなく、本発明を深く理解するため本発明の実施形態の単なる例であることを理解されたい。当業者には、請求項に記載されている本発明の一般的な原理を、異なるシナリオに適用できること、または本明細書に明示的に記載されていない方法で適用できることが認識されるであろう。したがって、さまざまな実施形態を説明する目的のために想定されている以下のシナリオは、本発明を制限するものではない。
本発明について説明されるさまざまな実施形態は、一般に、TDD構成に言及し、特に、改善された、よりフレキシブルなTDD構成および関連するメカニズム/プロセスを提供する。
第1の実施形態
本発明の実施形態の第1のセットは、主に、フレキシブルなTDD構成の定義に関し、特に、どのようにフレキシブル・サブフレームがTDD構成に導入され得るかに関する。現在までのところ、静的なTDD構成は、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームを、無線フレームベースで、5msまたは10msの周期的パターンを用いて定義している。アップリンク・サブフレームは、アップリンク通信のみに使用され、反対に、ダウンリンク・サブフレームは、ダウンリンク通信のみに使用され得る。したがって、TDD構成は、どちらかと言えば、静的で固定的である。7つの利用可能なTDD構成間の変更は、ゆっくりであり、高速で変化するトラフィック条件にTDD動作を適応させるためには実際的ではない。
少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームをそれぞれの無線フレームに導入することによって、すなわち、少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームをフレキシブルなTDD構成において定義することによって、TDD動作をよりフレキシブルにすることができ、フレキシブル・サブフレームが、ダウンリンク・サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとして使用され得る。
一般的には、ダウンリンク・サブフレームnからアップリンク・サブフレームn+1への移行は、回避されるべきである。なぜなら、そのときには、特殊サブフレームおよびガード期間に関連して背景技術のセクションにおいて説明されたように、UEは、その回路を受信から送信へ切り替え、タイミング・アドバンス調整を適用する必要があるからである。
以下では、簡単のために、2つ(または2つ以上の)後続のサブフレームがフレキシブルと定義されないことが想定されるが、第1の実施形態の1つのバリエーションによると、フレキシブル・ダウンリンク・サブフレームのフレキシブル・アップリンクへの移行が回避される限り、2つ(または2つ以上の)後続のサブフレームがフレキシブルと定義されることは、実際には可能である。後続のフレキシブル・サブフレームは、フレキシブルと定義され得るが、この場合、第1のサブフレームの特定の使用は、次の(および、場合により、さらなる)フレキシブル・サブフレームの使用を既に固定し得る。例えば、1つの極端な場合において、フレキシブルなTDD構成F0は、無線フレームのサブフレーム0〜9について、D、S、F、F、F、D、S、F、F、Fのシーケンスを用いて定義され得る。インデックス2のフレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームであると判定される場合、インデックス3の後続のフレキシブル・サブフレームは、アップリンクまたはダウンリンクと自由に選択され得る。しかしながら、インデックス2のフレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームであると判定される場合、2つの後続のサブフレーム間でのダウンリンクからアップリンクへの移行を回避するように、インデックス3の後続のフレキシブル・サブフレーム(およびインデックス4の後続のフレキシブル・サブフレーム)も、ダウンリンク・サブフレームとして使用されなければならない。同じことは、上述したTDD構成のシーケンスの残りのフレキシブル・サブフレームにも当てはまる。このコンセプトは、他のフレキシブルなTDD構成にも適用され得る。
本実施形態の別のバリエーションによると、特殊サブフレームのガード期間の必要性を回避するために、フレキシブルなTDD構成におけるフレキシブル・サブフレームは、つねに、その終端部がアップリンク送信のために定義されるサブフレームの後に続くべきであり、かつ、つねに、その開始部がダウンリンク送信のために定義されるサブフレームの前に存在する(先行する)べきである。より具体的には、3GPP LTEの場合、サブフレームnは、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームもしくはアップリンク・サブフレームであり、またはサブフレームnflex−1が、実際にはダウンリンク送信が生じないダウンリンク・サブフレームである
− サブフレームn+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームである
場合にのみ、フレキシブル・サブフレームnflexとなり得る。
あるいは、サブフレームnは、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームもしくはアップリンク・サブフレームであり、またはサブフレームnflex−1が、実際にはダウンリンク送信が生じないダウンリンク・サブフレームである
− サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームもしくは特殊サブフレームであり、またはサブフレームnflex+1が、実際にはアップリンク送信が生じないアップリンク・サブフレームである
場合にのみ、フレキシブル・サブフレームnflexとなり得る。
しかしながら、アップリンク/ダウンリンク送信がサブフレームnflex+1またはnflex−1において実際に生じるかという上記の要件は、リソース管理を複雑化し、送信が失われる場合または送信が誤って発生する場合には、潜在的な誤りも導入してしまう。結果として、上記の要件は、以下のように、さらに改善され得る。
サブフレームnは、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームである
− サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームである
場合にのみ、フレキシブル・サブフレームnflexとなり得る。
そのフレキシブル・サブフレームについての上記の要件を満たす、いかなるフレキシブルなTDD構成も、本発明による移動局および基地局によって使用され得る。結果として、フレキシブル・サブフレームからアップリンク・サブフレームへの移行、およびダウンリンク・サブフレームからフレキシブル・サブフレームへの移行が回避されるように、フレキシブル・サブフレームは、つねに、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームの後に続き、つねに、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームに先行する。
これまでのところ、1つのフレキシブルなTDD構成のみが述べられているが、3GPP LTEに従って既に事前定義されている静的なTDD構成0〜6(図6を参照)と類似した、いくつかのフレキシブルなTDD構成(例えばF0〜F6)が存在し得る。さまざまなフレキシブルなTDD構成は、無線フレームについてサブフレーム・タイプの異なる定義を提供するが、それらはすべて、上記の要件を満たすべきである。以下では、説明の目的のため、いくつかのフレキシブルなTDD構成が存在するものと想定する。
上述したフレキシブルなTDD構成は、フレキシブル・サブフレームについての要件が満たされる限り、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレーム、特殊サブフレームおよびフレキシブル・サブフレームを任意の適切な方法で定義し得る。しかしながら、第1の実施形態のより好ましいバリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、フレキシブル・サブフレームを除いて、対応する静的なTDD構成に一致するべきである。これにより、eNodeBとさまざまなUEとの間での効率的な通信が可能になる。より具体的には、いくつかのUEは、(静的なTDD構成の使用に加えて)フレキシブルなTDD構成の使用をサポートするが、他のUEは、フレキシブルなTDD構成の使用をサポートしないことがあり得る。したがって、すべてのUEが、無線フレーム内のできる限り多くのサブフレームのサブフレーム・タイプに関して同じ意味を有することが有利である。別の利点は、静的なTDD構成mとフレキシブルなTDD構成Fmとの間の対応に起因して、フレキシブルなTDD構成を使用するようにUEに指示する、UEへの指示が、単に、静的なTDD構成の代わりにフレキシブルを使用するための指示となり得ることである。そのため、静的なTDD構成のシグナリングに加えて、フレキシブルなTDD構成の明示的なシグナリングを必要とする解決策と比較すると、制御シグナリング・オーバーヘッドを低減することができる。さらなる詳細は、後述される。
本バリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、無線フレーム内の少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームを除いて、対応する静的なTDD構成と同じになるように定義される。言い換えれば、フレキシブルなTDD構成は、少なくとも1つのサブフレームをフレキシブル・サブフレームとして定義するが、フレキシブルなTDD構成は、アップリンク・サブフレーム、ダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームを、対応する静的なTDD構成と同じように定義する。なお、本発明には直接的には重要ではないが、特殊サブフレームの定義、ならびにそのダウンリンク・パイロット時間スロット、ガード期間およびアップリンク・パイロット時間スロットなどの、静的なTDD構成について定義される他のパラメータも、フレキシブルなTDD構成について同様に再利用されることに留意されたい。
これは、図8〜図10を使用することにより、以下において例示される。
図8〜図10は、第1の実施形態の異なるバリエーションによる、異なるフレキシブルなTDD構成を示しており、静的なTDD構成と組み合わせて、どのように潜在的なフレキシブル・サブフレームについての上述した要件を適用するかを例示する。
図8〜図10の基礎は、3GPP LTEによって定義され、図6に示されているような静的なTDD構成である。それに基づいて、フレキシブル・サブフレームについての上述した要件を適用する場合、図8および図9は、2つの異なる結果を示している。図8は、静的なTDD構成のダウンリンク・サブフレームがフレキシブル・サブフレームへ「変更される」ことを想定するのに対して、図9は、静的なTDD構成のアップリンク・サブフレームがフレキシブル・サブフレームとして定義されることを想定する。別個の図面において示されてはいないが、これら2つの混合も可能である。
対応する静的なTDD構成がアップリンク・サブフレームを定義する場合にのみフレキシブル・サブフレームが定義される図9のフレキシブルなTDD構成は、対応する静的なTDD構成がダウンリンク・サブフレームを定義する場合にのみフレキシブル・サブフレームが定義される図8のバリエーションに対して有利である。すべてのUE、特に、レガシーUEが、フレキシブル・サブフレームを正しく扱うことができるわけではないため、これらのUEは、あらゆるダウンリンク・サブフレームおよび特殊サブフレームがダウンリンク信号測定のために使用され得る静的なTDD構成に従って動作し、通信する。それに応じて、ダウンリンク・サブフレームは、依然としてダウンリンク測定に使用され得る。さらに、図8のフレキシブルなTDD構成を想定する場合、フレキシブルなTDD構成をサポートしないUEについてのダウンリンク・サブフレームは、フレキシブルなTDD構成をサポートするUEについてのフレキシブル・サブフレームであると想定され、それにより、フレキシブル・サブフレームは別のUEによってアップリンクのために使用されるにもかかわらず、前記フレキシブル/ダウンリンク・サブフレームが、ダウンリンク測定のためにレガシーUEによって誤って使用され得る。したがって、レガシーUEの測定を潜在的に損なわせてしまう。この効果は、フレキシブル・サブフレームがアップリンクのために使用されるのか、またはダウンリンクのために使用されるのかについて、UEにおいて誤った理解が存在する場合に、非レガシーUEについても起こり得る。一般的な測定には、ダウンリンク送信についての推奨される変調および符号化方式を判定するために使用可能な短期チャネル状態測定、または非特許文献9において定義されるような無線リンク測定が含まれる。これらの測定のうちでは、RSSI測定、RSRP測定またはRSRQ測定が特に関連する。なぜなら、これらの測定は、1つまたは複数の基地局への長期リンク品質を判定するために使用され得、最も強い受信信号または信号品質を用いて基地局へのリンクを確立するためにさらに使用され得るからである。
フレキシブル・サブフレームにおける測定によって引き起こされる測定損傷(corruption)を回避するために、第1の実施形態の好ましいバリエーションでは、たとえフレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されると判定された場合であっても、UEは、フレキシブル・サブフレームを使用してそれらの測定を実行しない。代わりに、UEは、フレキシブルなTDD構成(または静的なTDD構成)の非フレキシブルな(または静的な)ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームだけに基づいて、UEによる測定を行う。
それに応じて、図9のより有利なバリエーションによれば、さらなる要件がフレキシブル・サブフレームについて定式化されること、すなわち、対応する静的なTDD構成のサブフレームnがアップリンク・サブフレームとなり、n=nflexであるように、フレキシブル・サブフレームnflexが定義されることが可能になる。言い換えれば、静的なTDD構成の対応するサブフレームがアップリンク・サブフレームである場合にのみ、サブフレームnは、フレキシブル・サブフレームとして定義されるべきである。
フレキシブルなTDD構成定義の別のより有利なバリエーションは、図10に示されている。利用可能な無線フレームごとに、少なくとも1つの非動的なアップリンク・サブフレームを有することが有利である。図9によるフレキシブルなTDD構成F5から理解できるように、アップリンク・サブフレームは存在せず、8つのダウンリンク・サブフレーム、1つの特殊サブフレームおよび1つのフレキシブル・サブフレームのみが存在する。例えば、フレキシブルなTDD構成は、無線フレームごとに少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームを定義すべきであるが、少なくとも1つのアップリンク・サブフレームが定義されたままである場合に限る。フレキシブルなTDD構成F5の場合、これは、実際には、フレキシブル・サブフレームが定義されないかもしれないことを意味する。なぜなら、対応する静的なTDD構成は、少なくとも1つのアップリンク・サブフレームを定義する要件を満たさないため、前述の要件を満たすサブフレームn=2を使用することはできないからである。図9に示されているような、フレキシブルなTDD構成F2の場合、2つの潜在的なフレキシブル・サブフレームnflex=2および7のうちの1つだけが、フレキシブル・サブフレームとして定義され得る。図9の残りのフレキシブルなTDD構成は、少なくとも1つのアップリンク・サブフレームを有する、この付加的な要件を既に満たしている。
フレキシブルなTDD構成についてつねに少なくとも1つのアップリンク・サブフレームを定義する上記の要件の代わりに、以下の要件が、フレキシブルなTDD構成によって満たされるべきである。図10によって示されているように、フレキシブルなTDD構成は、TDD構成サブフレーム・インデックス=2のサブフレームを、つねにアップリンク・サブフレームとして定義するべきである。言い換えれば、TDD構成サブフレーム・インデックス2のサブフレームは、フレキシブル・サブフレームとなることができない。利点は、異なるTDD構成における調和であり、これにより、例えば、静的な構成が使用されるのか、もしくはフレキシブルな構成が使用されるのかを認識する必要性なしに、または、どの静的なTDD構成もしくフレキシブルなTDD構成が使用されるのかを認識する必要性なしに、少なくとも1つのアップリンク・サブフレームの位置についての知識を有することが可能になる。
さらなるバリエーションおよびさらなる実施形態の以下の説明は、主に、図10のフレキシブルなTDD構成に焦点を当てる。しかしながら、当業者には明らかであるように、以下の説明は、図10のフレキシブルなTDD構成には限定されず、図8および図9のフレキシブルなTDD構成などの、上述した他のフレキシブルなTDD構成にも同様に適用可能である。
フレキシブルなTDD構成によるフレキシブル・サブフレームを導入することによって、1つのフレキシブルなTDD構成をアップリンク/ダウンリンクの必要性にフレキシブルに適応することが可能になるだけでなく、対応する静的なTDD構成のダウンリンク容量と比較して、全体的に、フレキシブルなTDD構成のダウンリンク容量が増加する。したがって、3GPP LTEにおいて現在定義されている静的なTDD構成(図6を参照)に対する図10のフレキシブルなTDD構成を想定する場合、無線フレームのダウンリンク容量は、以下の表によって示されるように増加され得る。特殊サブフレームSは、使用される特定の特殊サブフレーム構成に応じて、異なるダウンリンク容量を有する。例えば、背景技術のセクションにおける特殊サブフレーム構成についての表によれば、また、ダウンリンクにおける通常のサイクリック・プレフィックスを想定すると、307200*TSのうちの19760*TSが、TDD構成1におけるダウンリンクについて定義され、これは、特殊サブフレーム全体のうちの約64%のダウンリンクに達する。前記の表から理解できるように、特殊サブフレームにおけるダウンリンクの特定の量は、TDD構成によって異なる。この説明に反するが、無線フレームの最大ダウンリンク容量の比較を簡単にするために、64%のダウンリンク比が、静的なTDD構成およびフレキシブルなTDD構成におけるすべての特殊サブフレームについて想定され、これは、したがって、この評価の目的のために、DLサブフレームの0.64として数えられる。さらに、当然ながら、フレキシブル・サブフレームは、この評価の目的のために、ダウンリンク・サブフレームとして想定される。
明らかなように、フレキシブルなTDD構成F5については、ダウンリンク容量の改善がない。ダウンリンク容量の改善がないことは、フレキシブルなTDD構成F5にはフレキシブル・サブフレームが存在しないことから、論理的である。しかしながら、これは、システムにとっては損失ではない。なぜなら、フレキシブル・サブフレームの主な利点は、動的なダウンリンク・サブフレームを通じて付加的なダウンリンク容量を付加することによって、ダウンリンク・トラフィックの必要性に適応することだからである。HARQ機能性およびそれに関連する対応する容量利得について不可欠である、アップリンクにおける対応するACK/NACKフィードバックを送信するために、無線フレームごとに1つのサブフレームがアップリンクとなることが必要とされることを想定すると、フレキシブルな/静的なTDD構成5は、最大のTDDダウンリンク容量を既に提供している。
上記の表のダウンリンク容量利得を考慮すると、第1の実施形態の別のバリエーションは、これまでに想定されたように、7つのフレキシブルなTDD構成を定義しないが、ダウンリンク容量利得が最大となる、1つまたは複数のフレキシブルなTDD構成のみを定義する。例えば、フレキシブルなTDD構成F0および/またはF6および/またはF1および/またはF3および/またはF2および/またはF4のみが、定義され、使用され得る。それに応じて、フレキシブルなTDD構成のこのサブセットは、対応する静的なTDD構成に対して最大の潜在的な利得を提供し、上述したように、レガシーUEに影響を及ぼさずに、フレキシブル・サブフレームを最も簡単に収容することもできる(それらは、バランスのとれたTDD構成、または若干アップリンク側に偏っている(uplink-biased)TDD構成から始まる)。
これまでに、フレキシブルなTDD構成の異なる定義が提示され、さまざまな利点が説明されてきた。以下では、移動局および基地局が、上述したフレキシブルなTDD構成のうちのいずれかの使用をどのように判定し、制御することができるかが説明されるであろう。この場合も、説明の目的のために、図10によるフレキシブルなTDD構成のセットが想定される。
第1の実施形態の1つのバリエーションによると、フレキシブルなTDD構成は、静的なTDD構成に対して行われるのと同様に、UEおよびeNodeBにおいて事前定義されることが想定される。異なる表現で言えば、UEおよびeNodeBは、フレキシブルなTDD構成とフレキシブルなTDD構成によって与えられる特定のサブフレーム・タイプ定義とに関する情報を、メモリ内に既に格納している。したがって、eNodeBは、さまざまなフレキシブルな(および静的な)TDD構成のうちから、将来使用されるべきフレキシブルな(および静的な)TDD構成を選択することができ、eNodeBが、フレキシブルなTDD構成が通信のために使用されるべきであると決定するならば、eNodeBは、使用されるべき決定された特定のフレキシブルなTDD構成を識別する、対応する指示をUEへ提供し得る。フレキシブルなTDD構成へ変更するためのeNodeBによる決定、および、どの特定のフレキシブルなTDD構成を使用するべきかに関するeNodeBによる選択は、さまざまなパラメータに基づき得るが、これは本発明の焦点ではないため、これ以上は特定されない。
指示を受信すると、UEは、指示されたフレキシブルなTDD構成に関する対応する情報をUEのメモリから収集し、指示されたフレキシブルなTDD構成をUEのさらなる通信のために使用する。特定のフレキシブルなTDD構成の指示は、セルのすべてのUEへ送信され/ブロードキャストされてもよいし、または、セルの少なくとも1つのUEのサブセットのみへ特別に送信されてもよい。
背景技術のセクションにおいて説明したように、静的なTDD構成は、SIB1におけるTDD構成パラメータによって、セル内のすべてのUEへ示されてもよい。同様に、1つのバリエーションでは、別個のパラメータのフレキシブルなTDD構成は、どのフレキシブルなTDD構成が使用されるべきかに関する指示を伝えるために、SIB1において定義され得る。あるいは、特定の静的なTDD構成を識別するために既に定義されているTDD構成パラメータは、さらなるフレキシブルなTDD構成を識別することができるように、再利用され、または拡張され得る。
いずれの場合にも、eNodeBは、さまざまな異なるフレキシブルな(および静的な)TDD構成を区別することが可能な適当な識別子を使用することによって、フレキシブルなTDD構成をUEに直接示し得る。
フレキシブルなTDD構成の使用をサポートしないUE(例えば、レガシーUE)は、単に指示を無視し、現在の静的なTDD構成に従って通信することを続行し得る。
フレキシブルなTDD構成の使用を制御するための第1の実施形態の別のバリエーションは、図8〜図10に関連して説明したように、フレキシブルなTDD構成が、フレキシブル・サブフレームを除いて、対応する静的なTDD構成に一致すると想定する。静的なTDD構成mとフレキシブルなTDD構成Fmとの間の対応に起因して、mの値のみが、設定され、(静的なTDD構成mに従って通信を実行する)UEへシグナリングされる必要があるが、第2のTDD構成パラメータFmが、フレキシブルなTDD構成について別個にシグナリングされる必要はない。なぜなら、UEにとっては、構成mが静的(すなわち、構成mを使用すること)として解釈されるべきか、またはフレキシブル(すなわち、構成Fmを使用すること)として解釈されるべきかを認識すれば、十分だからである。そのため、静的なTDD構成のシグナリングに加えて、フレキシブルなTDD構成の明示的なシグナリングを必要とする利用可能な解決策と比較すると、制御シグナリング・オーバーヘッドが低減され得る。
この特定のバリエーションでは、UEおよびeNodeBは、フレキシブルなTDD構成に関する情報を保持せず、静的なTDD構成を単に格納する。その結果、eNodeBからの指示があると、以下に詳細に説明されるように、UEは、対応する格納された静的なTDD構成から、特定のフレキシブルなTDD構成を導き得る。
この場合も、フレキシブルなTDD構成および静的なTDD構成の使用の制御は、おそらくは静的なTDD構成を使用してUEと通信しているeNodeBにおいて存在する。eNodeBは、ある時点で、eNodeBが現在使用している静的なTDD構成の代わりに、フレキシブルなTDD構成を(少なくとも1つのUEについて)使用しようと決定し得る。eNodeBの決定は、さまざまなパラメータに基づき得るが、これは本発明の焦点ではないため、さらに詳細には議論されない。
以下の説明では、現在使用されている静的なTDD構成が、フレキシブルにされること、例えば、静的なTDD構成m(例えば、m=0)の代わりに、フレキシブルなTDD構成Fm(例えば、Fm=F0)を使用することが想定される。前記の特定の場合では、eNodeBが、現在の静的なTDD構成をフレキシブルにするように指示する指示をUEへ送信すれば十分である。対応する指示は、例えば、個別のメッセージもしくはブロードキャスト・メッセージにおいてUEもしくはUEのグループへ送信されるオン/オフ・パラメータによって、または、例えば、設定メッセージにおけるパラメータの存在もしくは不在によって、実装され得る。
あるいは、eNodeBが、現在の静的なTDD構成に基づかない、別のフレキシブルなTDD構成を使用することが有利であると考える場合、eNodeBは、TDD構成をフレキシブルにするようにUEへ指示することに加えて、静的なTDD構成を変更する必要がある。
UEは、どのようにフレキシブルなTDD構成がサブフレームを定義するのかに関する直接的な情報を有さないため、UEは、上述した要件を静的なTDD構成の各サブフレームに適用することによって、および、その要件を満たすサブフレームに向けてサブフレーム・タイプをフレキシブルに変更することによって、その情報を静的なTDD構成から導く。図10のフレキシブルなTDD構成の特定の例では、UEは、以下の要件が満たされるように、アルゴリズムが無線フレームのサブフレームnのサブフレーム・タイプをフレキシブルに変更するように、アルゴリズムを実行する。サブフレームnは、
− サブフレームnflex−1が、特殊サブフレームまたはアップリンク・サブフレームとなり、
− サブフレームnflex+1が、ダウンリンク・サブフレームまたは特殊サブフレームとなり、かつ、
− 対応する静的なTDD構成のサブフレームnが、アップリンク・サブフレームとなり、n=nflexである
場合にのみ、フレキシブル・サブフレームnflexとなり得る。
eNodeBは、同じことを行い、対応するアルゴリズムを適用することによって、対応する静的なTDD構成から、使用されるべきフレキシブルなTDD構成を同様に導く。いずれの場合にも、UEとeNodeBとの両方が、特定のフレキシブルなTDD構成(例えば、図10のフレキシブルなTDD構成F0〜F6のうちの1つ)を導き、それを通信のために使用する。
これらの2つのバリエーションは、図11および図12の流れ図において示されており、図11および図12は、適当な指示があった場合に、フレキシブルなTDD構成へ変更するためのUEにおける対応するプロセスを示しており、「静的なTDD構成mからフレキシブルなTDD構成Fmを決定する」というステップは、第1の実施形態の上記バリエーションのうちの1つに従った要件のうちの1つに従うことが好ましい。
第2の実施の形態
本発明の第2の実施形態は、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるか、またはアップリンク・サブフレームとして使用されるかの判定を論じる。この第2の実施形態は、第1の実施形態とは独立して考えられるべきである。なぜなら、どのようにフレキシブル・サブフレームが実際に使用されるか、すなわち、ダウンリンクまたはアップリンクのためかというコンセプトは、まさにどのようにフレキシブルなTDD構成が定義され、示されるかというコンセプトとは独立しているからである。当然ながら、第1の実施形態と第2の実施形態とは、任意の組合せにおいて使用されてもよい。
フレキシブルなTDD構成の適当な使用のために、およびフレキシブル・サブフレームを最大限に活用するために、UEおよびeNodeBは、どのように特定のフレキシブル・サブフレームが使用されるべきかについて同じ理解を有することが重要である。このことは、UEとeNodeBとがフレキシブル・サブフレームを異なった方法で使用する(使用したい)場合に、リソースの浪費を回避するのに役立つ。一般的には、eNodeBによるUEへの明示的な指示または両者における黙示的な合意により、同じフレキシブル・サブフレームの理解を有することが可能になる。そのいくつかのバリエーションは、以下において説明されるであろう。
概して、いったんフレキシブル・サブフレームの特定の使用が決定されると、UEおよびeNodeBは、フレキシブルなダウンリンク/アップリンク・サブフレームを他の非フレキシブル・ダウンリンク/アップリンク・サブフレームのいずれかとして使用し得る。それに応じて、UEは、フレキシブルなダウンリンク・サブフレーム内でダウンリンク送信を受信するためのダウンリンク・グラント(PDCCHまたはEPDCCH、DCIフォーマット1、1A、1B、1C、1D、2、2A、2B、2C、2D)を有し、アップリンク送信を実行するためにフレキシブル・アップリンク・サブフレームにおけるリソースをUEに許可する、対応するアップリンク・リソース割当てを過去に受信しているはずである。
第1の黙示的なバリエーションによると、フレキシブル・サブフレームごとに別個に、UEおよびeNodeBは、前記フレキシブル・サブフレームについてUEからのアップリンク送信が保留中であるかを判定する。より一般的なバリエーションでは、UEおよびeNodeBは、前記フレキシブル・サブフレームについてアップリンク送信機会が保留中であるかを判定するとも言える。その違いは、UEが、アップリンク送信を送信するためにフレキシブル・サブフレームにおいて、例えば、フレキシブル・サブフレームのSPSスケジューリングされたリソースにおいて、アップリンク送信機会を実際に利用するかを、eNodeBが前もって認識することができないことがあり得るということである。
少なくとも1つのアップリンク送信(機会)がUEによってフレキシブル・サブフレームにおいて送信されると仮定される場合、対応するフレキシブル・サブフレームは、アップリンク・サブフレームとして使用されるべきであり、これは、UEに、保留中のアップリンク送信と(例えば、前記の特定のフレキシブル・サブフレームがアップリンク通信のために使用可能となることを認識して、eNodeBによって動的にスケジューリングされた)他のアップリンク送信とを実際に送信するための機会を与える。反対に、フレキシブル・サブフレームについてアップリンク送信が保留中ではない場合、前記フレキシブル・サブフレームは、ダウンリンク・サブフレームとして使用可能であると判定され得る。eNodeBは、前記フレキシブル・サブフレームにおいてUEへのダウンリンク送信をスケジューリングし得る。
UEは、(特に、データ送信についての特定されたタイミング関係、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)フィードバック、および、検出される動的な、セミ・パーシステントな、または周期的なスケジューリング割当てと共に、UEのアップリンク・バッファ・ステータスまたは同期ステータスなどのUE自体の送信ステータスから)フレキシブル・サブフレームについてアップリンク送信が保留中であるか否かを直接認識する。これに対して、eNodeBは、保留中のアップリンク送信の全部を確実には認識していないが、それらのうちの一部のみを認識していることがあり得る。他のものについて、eNodeBは、フレキシブル・サブフレーム上に位置し得る他の潜在的なアップリンク送信機会のみを認識していることがあり得る。これは、保留中のアップリンク送信の以下の非包括的な例に関して、より詳細に議論されるであろう。
背景技術のセクションにおいて説明したように、HARQは、アップリンクだけでなくダウンリンクにも適用される。このため、UEも、UEによって過去に受信されたダウンリンク送信についてHARQアップリンク・フィードバック(ACK/NACK/DTX)をeNodeBへ送信することになっている。そのようなフィードバックは、UEによって、PUCCHまたはPUSCH上で送信される。3GPP LTEに従った特定のHARQフィードバック・タイミングは、図5において例示的に与えられる。図13は、図5に基づいており、図10のフレキシブルなTDD構成に従ったフレキシブル・サブフレームを付加的に示している。図13から理解できるように、フレキシブル・サブフレームにおいて送信について保留中のHARQフィードバックが実際に存在し得る。UEは、当然ながら、HARQフィードバックに起因して、いかなる保留中のアップリンク送信についても認識しており、eNodeBも、HARQフィードバックについて図5のタイミング対応関係を認識しており、したがって、いつUEからのHARQフィードバックを期待するべきかを認識しており、したがって、フレキシブル・サブフレームにおいて送信についてHARQフィードバックが保留中である場合と保留中ではない場合とを判定し得る。
別の保留中のアップリンク送信は、UEからeNodeBへ定期的に(例えば、周期的に)送信されるか、またはeNodeBによって個別にスケジューリングされるチャネル状態情報(CSI)報告であり得る。両方の場合において、UEおよびeNodeBは、CSI報告がフレキシブル・サブフレームについて構成/スケジューリングされているか否かを前もって認識し、したがって、同じ理解がUEとeNodeBとの間で達成され得る。
別の保留中のアップリンク送信は、セミ・パーシステントな割当てに従ってスケジューリングされるアップリンク・データ送信であり得る。セミ・パーシステントな割当てにより、UEは、アップリンク送信のために特定のリソースを定期的に使用することが可能になる。セミ・パーシステントな割当ては、eNodeBによって変更され、またはリリースされ得る。UEについてのセミ・パーシステントな割当てを設定するのはeNodeBであるため、eNodeBは、一般には、いつセミ・パーシステントに割り当てられたリソースがフレキシブル・サブフレーム上に位置するかを前もって認識する。UEが送信するべきものを有さない場合であっても、UEは、SPSリソースを使用して、ダミー・データをeNodeBへ送信する。eNodeBが前もって認識しないことは、セミ・パーシステントに割り当てられたリソースが依然としてUEによって使用されるかである。なぜなら、UEは、eNodeBに通知せずに、セミ・パーシステントな割当てについての設定を黙示的にリリースし得るからである。そのような黙示的なリリースは、特定の数のSPS送信についてのパディング・データのみを送信した後に、UEによって実行され、設定されたアップリンク・グラントをクリアするものとして、非特許文献10の5.10.2章の最後において詳細に仕様化されている。
別の保留中のアップリンク送信は、UEによって定期的に、または明示的なトリガーに基づいて送信されるべき、eNodeBによって設定されるサウンディング・リファレンス・シンボル(SRS)であり得る。eNodeBは、SRSが各無線フレーム内で送信され得る複数のサブフレーム・セットのうちの1つを示す、セルに固有なパラメータを設定する。その結果、UEは、個別のSRSを送信するようにトリガーされ、または、UEは、セルに固有なパラメータを考慮して、設定された周期性により、SRSを周期的に送信するように構成され得る。さらなる詳細は、非特許文献4の16.6章、特に16.6.1節および16.6.2節に記載されている。したがって、eNodeBだけでなくUEも、サウンディング・リファレンス・シンボルを送るために使用されるサブフレームを前もって認識し、したがって、サウンディング・リファレンス・シンボルがフレキシブル・サブフレームについて保留中である場合と保留中でない場合とを簡単に判定することができる。
別の保留中のアップリンク送信は、アップリンク・リソースを要求するために、UEによってeNodeBへ送信されるスケジューリング要求であり得る。UEが、アップリンクにおいてユーザ・データを送信する必要があり、アップリンク送信のためにSPS割当てまたは他の割当てが利用可能ではない場合、UEは、何が送信されるべきかに関する情報を有するスケジューリング要求を送信することができ、eNodeBのスケジューラは、UEのスケジューリング要求を考慮することができ、次いで、(可能な場合には)動的なアップリンク・リソース割当てをUEに提供し得る。UEは、いつでもスケジューリング要求を送信することができるわけではないが、スケジューリング要求を送信するための特定の設定可能な機会を有する。したがって、eNodeBは、まさにいつUEがスケジューリング要求を実際に送信するのかを認識することはできないが、eNodeBは、前記の点において、UEについて利用可能なスケジューリング要求機会を認識しており、したがって、スケジューリング要求機会がフレキシブル・サブフレームにおいて存在する場合と存在しない場合とを判定することができる。したがって、念のために、eNodeBは、UEにとって利用可能なあらゆるスケジューリング要求機会がスケジューリング要求のために潜在的に使用され得る、すなわち、UEがスケジューリング要求を実際に送るか否かとは独立して、スケジューリング要求機会を有するいかなるフレキシブル・サブフレームもアップリンク・サブフレームとみなされると仮定する。UEは、当然ながら、UEが実際に保留中のスケジューリング要求は存在しないことを十分に間に合って既に認識していても、スケジューリング要求機会が利用可能なフレキシブル・サブフレームをアップリンク・サブフレームとみなすことによって、対応する方法で振る舞う。後述されるさらなる実施形態では、これは、異なった方法で扱われる。
別の潜在的な保留中のアップリンク送信は、(UEによって失われた場合、または通信の開始時に)UEがアップリンク同期を達成することができ、または基地局に接続し、もしくは送信リソースを要求するためのランダム・アクセス・メッセージである。スケジューリング要求と同様に、UEは、いつでもランダム・アクセス・メッセージを送信し得るわけではないが、前記の点において、特定の機会を有する。したがって、eNodeBは、まさにいつUEがランダム・アクセス・メッセージを実際に送信するのかを認識することはできないが、eNodeBは、ランダム・アクセス・メッセージを送信するためにUEが有する機会は認識する。したがって、念のために、eNodeBは、(たとえ実際には使用されなくても)ランダム・アクセス・メッセージを送信するためにUEに利用可能なあらゆる機会が実際に使用される、すなわち、UEがスケジューリング要求を実際に送るか否かとは独立して、ランダム・アクセス機会を有するいかなるフレキシブル・サブフレームもアップリンク・サブフレームとみなされると想定する。UEは、UEとeNodeBとの双方が前記の点において同じ判定を行うように、それに応じて振る舞う。後述されるさらなる実施形態では、これは、異なった方法で扱われる。
また別の潜在的な保留中のアップリンク送信は、eNodeBによって動的にスケジューリングされるアップリンク・ユーザ・データ送信である。eNodeBは、例えば、必要に応じて、フォーマット0またはフォーマット4のうちの1つのDCIを使用することによって、フレキシブル・サブフレーム上のリソースをグラントする動的なアップリンク・リソース割当てをUEに提供済みであり得る。現在の3GPP LTEシステムでは、アップリンク・リソース割当てのためのタイミングが、さまざまな静的なTDD構成について事前定義されている。図14は、この3GPP標準化されているアップリンク・リソース割当てタイミングに基づいており、図10のフレキシブルなTDD構成によって定義されるように、いつアップリンク・リソース割当てが期待されるか、どれがフレキシブル・サブフレームにおけるアップリンク・リソースをグラントするかを示している。静的なTDD構成について3GPPにおいて定義される、アップリンク・リソース割当てを受信するためのタイミングと同じタイミングが、フレキシブルなTDD構成についても使用されると想定される。
例えば、TDD構成0では、サブフレームn=4においてアップリンク・リソースをグラントするためのアップリンク・リソース割当てが、サブフレーム0、すなわち、4つ前のサブフレームにおいて期待される。しかしながら、TDD構成6の場合、アップリンク・リソース割当てとアップリンク・リソース割当てが意図される対応するサブフレームn=4との間の関係は、異なる。すなわち、5つ前のサブフレームである。静的なTDD構成mについて定義されるこれらのタイミング関係は、フレキシブルなTDD構成Fmについての対応するタイミング関係にも使用されるべきである。
図14から理解されるように、PUSCH送信が、動的なリソース割当てに起因してフレキシブル・サブフレームにおいて実際に保留中であるかは、フレキシブル・サブフレームの少なくとも4つ前のサブフレームにおいて発生するアップリンク・リソース割当ての受信後につねに認識される。これは、アップリンク・リソース割当てを処理し、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定するための十分な時間をUEに残す。また、動的なアップリンク・リソース割当ては、ここでは黙示的な合意のコンテキストにおいて説明されているが、明示的な指示とみなされてもよく、したがって、後で再度扱われる。
どのようにフレキシブル・サブフレームが使用されるべきかについて同じ理解を黙示的に有する代わりに、第2の実施形態のさらなるバリエーションによると、無線フレーム内のフレキシブル・サブフレームの明示的な制御を有することも可能である。特に、(例えば、SPSまたはCSI報告についての)設定メッセージ内の検出されない誤りが原因で、または設定メッセージの受信と設定メッセージの使用との間のUEにおける未知の遅延が原因で、またはUEによって失われたアップリンク送信のためのリソース割当てが原因で、またはUEがアップリンク送信のためのリソース割当てを、そのようなリソース割当てがeNodeBによって送信されなかったにもかかわらず、誤って検出する場合、それらすべての場合、および、当然ながら、さらなる場合に、UEおよびeNodeBは、どのように特定のフレキシブル・サブフレームが扱われるべきかに関して、異なる理解を有し得る。また、上述してきたように、eNodeBは、あらゆる種類の潜在的なアップリンク送信について、例えば、スケジューリング要求、ランダム・アクセス・メッセージ、またはSPSスケジューリングされたアップリンク送信に関して、アップリンク送信が実際に起こるかを予測することはできない。したがって、これは、フレキシブル・サブフレームをダウンリンク・サブフレームとして使用する機会がさらに減少することにつながる。
したがって、フレキシブル・サブフレームについての明示的な使用の指示は、有利となり得る。好ましくは、これは、eNodeBによって制御され、eNodeBは、フレキシブル・サブフレームがどのように使用されるべきか、すなわち、アップリンク・サブフレームまたはダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきかに関する特定の指示をUEへ送信する。
第1のバリエーションによると、eNodeBは、DCIフォーマット0(または、代替的にフォーマット4、もしくはアップリンク・リソース割当てを示すことができる任意の他のDCIフォーマット)を特殊な方法でスクランブルして、UEへ送信し、それにより、どのようにフレキシブル・サブフレームが使用されるべきかをUEが当該DCIフォーマットから導くことができるようにする。DCIフォーマット0およびDCIフォーマット4は、図14に関連して上述したように、UEについてのアップリンク・リソースをスケジューリングする。このバリエーションの以下の説明は、DCIフォーマット0に焦点を当てるが、DCIフォーマット4、またはアップリンク・リソース割当てを示すことができる他のDCIフォーマットにも同様に当てはまる。特に、eNodeBは、DCIフォーマット0がUEについてのアップリンク・リソースをフレキシブル・サブフレームにおいてグラントするかのように、DCIフォーマット0を送信する。別の言い方をすると、DCIフォーマット0は、図14に関連して議論したようなアップリンク・リソース割当てタイミングに従って送信される。通常のアップリンク・リソース割当ての場合、DCIフォーマット0(または、より具体的には、DCIフォーマット0のCRC)は、UEを識別し、アップリンク・リソース割当てが実際にそのUE自体を意図したものであるとUEが判定することを可能にするC−RNTIを用いて(または、セミ・パーシステントなスケジューリングの場合、SPS−C−RNTIを用いて)スクランブルされる。しかしながら、このバリエーションでは、UEに固有なC−RNTIを使用する代わりに、eNodeBは、ページングRNTI、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTIまたはマルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTIなどの共通RNTIを用いて、DCIフォーマット0のCRCをスクランブルする。これらのRNTIは、UEに固有ではないが、セルのUEセットまたはすべてのUEに共通である。また、あるいは、特定のRNTIが、フレキシブル・サブフレーム使用指示のために予約されてもよい。例えば、背景技術のセクションの表に記載されるようなRNTI構造が再利用される場合、好ましくは、「将来の使用のために予約される」と表示されるFFF4〜FFFCの範囲からの1つまたは複数の値が、前記の点において採用され得る。
したがって、そのような方法でスクランブルされたDCIフォーマット0は、UEによって、通常のアップリンク・リソース割当てとして扱われない。共通RNTIのうちのいずれか(または新たなRNTI)の使用は、後方互換性の問題を引き起こさない。なぜなら、アップリンク・リソース割当てを示すことができるDCIフォーマットのCRCをスクランブルするための共通RNTIの使用は、これまでのところいかなる特定の意味も有さず、むしろ本発明の一態様の主題だからである。さらに、UEに固有なサーチ・スペース内でDCIフォーマット0を送信する代わりに、eNodeBは、特殊にスクランブルされたDCIフォーマット0を共通サーチ・スペース内で送信し、それにより、セル内のすべてのUEが当該DCIフォーマット0を受信することができるようにする。
DCIフォーマット0は、通常、対応するサブフレームについて使用可能なアップリンク・リソース割当てを含む。1つの代替案では、DCIフォーマット0によって示されるアップリンク・リソース割当ては、有効なアップリンク・リソース割当てとして実際に使用され得る。また、UEは、フレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク内で送信するためにアップリンク・リソース割当てを使用することができる。しかしながら、前記DCIフォーマット0は、好ましくは、いくつかのUEによって受信されるため、これは、すべてのUEが同じように振る舞い、フレキシブル・サブフレームにおいてアップリンク内で送信する場合には、あまりに多くの干渉をもたらし得る。
したがって、別の代替案によると、DCIフォーマット0は、リソース割当てについての無効な値、または、この場合には事前定義された値を伝えるリソース割当てを表すビットを示す。これにより、誤り耐性が改善される。なぜなら、UEは、特殊にスクランブルされ、送信されたDCIフォーマット0が有効なリソース割当てを示すのか、もしくは無効なリソース割当てを示すのか、または、必要に応じて、事前定義された値に一致するかをさらに検査し得るからである。DCIフォーマット0が、無効なリソース割当てを示す場合、または、必要に応じて、事前定義された値に一致する場合にのみ、UEは、対応するフレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。前記の場合、前記フレキシブル・アップリンク・サブフレームのための別個のアップリンク・リソース割当ては、アップリンク内で送信するために特定のUEにリソースを割り当てるべく、通常の方法(例えば、特定のUEのC−RNTIを用いてスクランブルされたDCIフォーマット0)で受信され得る。
上記のDCIフォーマット0は、実際のアップリンク送信のために使用されるアップリンク・リソース割当てを実際には符号化しないため、前記DCIフォーマット0に含まれる送信電力制御コマンド(PUSCHのためのTPCコマンド)も、無意味である。したがって、誤り耐性をさらに高めるために、DCIフォーマット0のPUSCHについての対応する電力制御調整は、事前定義された値に設定され得る。例えば、それぞれのビットは、0に設定される。そのような場合、UEは、電力制御調整が0dBであると想定することが好ましい。
eNodeBが、特定のフレキシブル・サブフレームはアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると決定する場合、eNodeBは、UEに前記の点において明示的に通知するように、そのような特殊にスクランブルされたDCIフォーマット0を送信する。反対の場合、eNodeBは、そのようなDCIフォーマット0を送信しない。
UEが、いま説明したようにスクランブルされ、送信されたDCIフォーマット0を受信する場合、UEは、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定し得る。それに応じて、そのようなDCIフォーマット0送信が不在の場合、UEは、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。したがって、eNodeBは、特殊なDCIフォーマット0をUEへ送信することによって、特定のフレキシブル・サブフレームの使用を明示的に示すことができる。
また、DCIフォーマット0が、共通RNTIを用いてスクランブルされ、共通サーチ・スペース内で送信される場合、eNodeBは、セル内のUEのすべて(またはサブセット)に到達することができ、当該UEはすべて、指示に従って、フレキシブル・サブフレームがダウンリンクまたはアップリンクであると判定する。
上述したDCIフォーマット0(または4)の使用に代えて、eNodeBは、どのようにフレキシブル・サブフレームを使用するかをUEに明示的に指示するために、フォーマット1、1A、1B、1C、1D、2、2A、2B、2C、2Dなどの、ダウンリンク・リソース割当てを示すことができるDCIフォーマットを再利用してもよい。例示を簡単にするために、フォーマット1Aが、以下では想定されるが、以下は、その他のDCIフォーマットにも同様に当てはまる。
通常、ダウンリンク・リソース割当ては、少なくとも4つ前のサブフレームにおいて受信されるアップリンク・リソース割当て(上記議論および図14を参照)とは対照的に、対応するダウンリンク送信が実行されるサブフレームと同じサブフレーム内で送信される。このタイミングは、UEがフレキシブル・サブフレームの使用をタイミング良く判定することを可能にしない。したがって、このバリエーションによると、DCIフォーマット1Aが、アップリンク・リソース割当てのタイミングで、すなわち、図14において例示されたように、フレキシブル・サブフレームのためのリソースをグラントするアップリンク・リソース割当てをUEが受信するサブフレームにおいて、送信される。例えば、フレキシブルなTDD構成0とインデックス4を有するフレキシブル・サブフレームとを想定すると、DCIフォーマット1Aは、インデックス0を有するサブフレーム内で送信される。
また、DCIフォーマット1A(または、より具体的には、DCIフォーマット1AのCRC)は、ページングRNTI、システム情報RNTI、ランダム・アクセスRNTIまたはマルチメディア・ブロードキャスト・マルチキャスト・サービスRNTIなどの共通RNTIのうちの1つを用いてスクランブルされる。これらのRNTIは、UEに固有ではないが、セルのUEセットまたはすべてのUEに共通である。しかしながら、3GPP標準動作によると、DCIフォーマット1Aは、(例えば、割当てられたPDSCHリソース上でシステム情報の送信のために)これらの共通RNTIのうちのいくつかを用いてスクランブルされ得、このため、これらの共通RNTIのうちの1つを用いたスクランブリングは、このDCIフォーマット1Aと通常のダウンリンク・リソース割当てのための「通常の」DCIフォーマット1Aとを区別するためには十分ではないことに留意されたい。そのような場合、リソース割当て指示は、前記区別を容易にするように、無効にされるべきである。結果として、UEは、特殊にスクランブルされ、特殊に送信されたDCIフォーマット1Aもダウンリンク・リソース割当てについての無効な値を示すのかをさらに検査し、UEがダウンリンク・リソース割当てについての無効な値を発見する場合にのみ、UEは、フレキシブル・サブフレームをダウンリンク・サブフレームとして使用することを判定するために、DCIフォーマット1Aを考慮する。
あるいは、特定のRNTIが、フレキシブル・サブフレーム使用指示のために予約されてもよい。例えば、背景技術のセクションの表に記載されるようなRNTI構造が再利用される場合、好ましくは、「将来の使用のために予約される」と表示されるFFF4〜FFFCの範囲からの1つまたは複数の値が、前記の点において採用され得る。共通RNTIのうちのいずれか(または新たなRNTI)の使用は、後方互換性の問題を引き起こさない。前記の特定の場合、無効なリソース割当てを示す必要はないが、誤り耐性を高めるために、リソース割当てのためのそのような無効な指示、または、すべてのビットが0に設定されたものなど、リソース割当てのための事前定義された指示すら、依然として提供することも可能である。
さらに、DCIフォーマット1AをUEに固有なサーチ・スペース内で送信する代わりに、eNodeBは、セル内のすべてのUEが特殊にスクランブルされたDCIフォーマット1Aを受信することができるように、特殊にスクランブルされたDCIフォーマット1Aを共通サーチ・スペース内で送信することが好ましい。
上記のDCIフォーマット1Aは、実際の送信のために使用されるダウンリンク・リソース割当てを実際には符号化しないため、対応するHARQフィードバックは期待されず、したがって、前記DCIフォーマット1Aに含まれる送信電力制御コマンド(PUCCHのためのTPCコマンド)も、無意味である。この送信電力制御コマンドは、通常、DCIフォーマット1Aのダウンリンク送信に関連した対応するHARQフィードバックのための電力を調整するために使用される。しかしながら、誤り耐性をさらに高めるために、DCIフォーマット1AのPUCCHについての対応する電力制御調整は、事前定義された値に設定され得る。例えば、対応するビットは、0に設定される。そのような場合、UEは、電力制御調整が0dBであると想定し得る。
eNodeBが、特定のフレキシブル・サブフレームはダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると決定する場合、eNodeBは、UEに前記の点において明示的に通知するように、そのような特殊にスクランブルされたDCIフォーマット1Aを送信する。反対に、eNodeBが、フレキシブル・サブフレームはアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると決定する場合、eNodeBは、そのようなDCIフォーマット1Aを送信しない。そのような特殊にスクランブルされ、送信されたDCIフォーマット1Aを受信するUEは、(アップリンク・リソース割当てについてのタイミング関係に基づいて)特殊なDCIフォーマット1Aが指すフレキシブル・サブフレームを適切に識別し、その結果、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。したがって、UEは、フレキシブル・サブフレームにおいてさらなるダウンリンク・リソース割当てを伝えるDCIと、フレキシブル・サブフレームにおける対応するダウンリンク送信とを期待することになる。それに応じて、そのようなDCIフォーマット1A送信が不在の場合、UEは、対応するフレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームとして使用されるべきであると判定する。したがって、eNodeBは、特殊なDCIフォーマット1AをUEへ送信することによって、特定のフレキシブル・サブフレームの使用を明示的に示すことができる。
上記2つのバリエーションでは、特殊なDCIフォーマット0/1Aが不在の場合には、UEがフレキシブル・サブフレームはダウンリンク/アップリンクとして使用されるべきであると判定し得ることが想定されてきた。しかしながら、その代わりに、2つの上記バリエーションは、例えば、DCIフォーマット0がフレキシブル・アップリンク・サブフレームを明示的に示し、DCIフォーマット1Aがフレキシブルなダウンリンク・サブフレームを明示的に示すような方法で、組み合わせられてもよい。明示的な指示の欠如は、さらに好ましくは、UEによって、対応する静的なTDD構成mにおいて定義されるのと同じようにフレキシブル・サブフレームを扱うように解釈され得る。
共通RNTIによってスクランブルされたDCIを用いてフレキシブル・サブフレームの使用を明示的に指示する前記アプローチの場合、DCIフォーマット0およびDCIフォーマット1Aを使用することが有利である。なぜなら、これらは、同じサイズを有しており(背景技術のセクションにおける表:DCIフォーマットを参照)、したがって、ブラインド復号化中にUEによって簡単に検出され得るからである。また、DCIフォーマット0は、それらの構成されたアップリンク送信モードにかかわらず、UEによって検出され、同様に、DCIフォーマット1Aは、それらの構成されたダウンリンク送信モードにかかわらず、UEによって検出される(それぞれ、非特許文献11の8.0節および7.1節を参照)。
上記実施形態のバリエーションでは、フレキシブル・サブフレームの使用が、無線フレーム内(または、代替的に、任意の5ms期間もしくは10ms期間について)のすべてのフレキシブル・サブフレームについて行われる。このバリエーションでは、UEは、実施形態のうちの1つまたは複数に従って、第1のフレキシブル・サブフレームの使用をダウンリンクまたはアップリンクと判定する。第1のフレキシブル・サブフレームの使用は、その結果、無線フレーム(または前記期間)内のその他のフレキシブル・サブフレームの使用を同じように判定する。例えば、図10に示されるような構成F0を想定すると、UEが、サブフレーム4はアップリンクとして使用されることを検出する場合、UEは、そのことから、サブフレーム9もアップリンクとして使用されると判定する。そのようなアプローチは、フレキシブル・サブフレームを使用する指示に関与するオーバーヘッドを低減することができ、柔軟さを過度に失わずに、ネットワーク側におけるリソース管理をさらに単純化し得る。なぜなら、判定の有効性は、10ms期間を超えないからである。また、そのようなアプローチは、例えば、HARQフィードバック報告について、UE側における処理を単純化することができる。なぜなら、第2のフレキシブル・サブフレームについて、UEは、当該第2のフレキシブル・サブフレームがダウンリンクのために使用されるか、またはアップリンクのために使用されるかを、さらに早期に認識するからである。
さらなる改善によると、また、フレキシブル・サブフレームがダウンリンクのために使用されると判定されることを想定すると、フレキシブルなダウンリンク・サブフレームにおけるそれぞれのダウンリンク送信のためにフレキシブルなダウンリンク・サブフレームにおいて受信されるDCIフォーマット1A(または、その他のダウンリンク・リソース割当てフォーマットのうちのいずれか)は、PUCCHのためのTPCコマンドにおける予約された値を伝え得、それにより、UEは、これらの予約された値を検証して、誤って受信されたDCIの検出をさらに改善することができる。これは、対応するHARQフィードバックが非フレキシブル・ダウンリンク・サブフレームに対応するHARQフィードバックと共に送信される場合、フレキシブル・サブフレームにおいて受信されるDCIについて特に有利である。図15から導かれる例は、構成F1において存在し、フレキシブル・サブフレーム18についてのHARQフィードバックが、非フレキシブル・サブフレーム22において、非フレキシブル・ダウンリンク・サブフレーム14、15、16についてのHARQフィードバックと共に送信される。それらの非フレキシブル・ダウンリンク・サブフレームにおいてダウンリンク・リソース割当てを伝えるDCIは、それぞれPUCCHのためのTPCコマンドを既に伝えており、また、これらは、(サブフレーム22における例において)同じPUCCHに影響を及ぼすため、ダウンリンク・リソースを割り当て、フレキシブル・サブフレームにおいて受信されるDCIからのさらなる電力調整は、厳密には必要とされず、結果として、DCI内の対応するフィールドは、予約され、または、ビットが0であるなど、事前定義された値に設定され得る。UEは、好ましくは、対応する電力制御調整を0dBとして扱うべきである。
この実施形態のバリエーションによると、特殊サブフレームnflex−1は、後続のフレキシブル・サブフレームnflexがダウンリンクのために使用される場合、ダウンリンク・サブフレームに変更される。背景技術のセクションにおいて概要を述べたように、特殊サブフレームnは、UEにおいてサブフレームn−1におけるダウンリンクからサブフレームn+1におけるアップリンクへ変更する場合にギャップを提供するために使用される。フレキシブル・サブフレームが特殊サブフレームによって先行され、かつ、前記フレキシブル・サブフレームがダウンリンクのために使用される場合、先行するサブフレームにおいてそのようなギャップを提供するための動機は存在しない。フレキシブル・サブフレームがアップリンクのために使用されるか、またはダウンリンクのために使用されるかは、本発明の他の態様によると、それぞれのフレキシブル・サブフレームの少なくとも4ms前のDCIの受信後に認識され、結果として、それぞれの特殊サブフレームの少なくとも3ms前である。したがって、UEには、UEの理解を適応させ、そのような特殊サブフレームnflex−1をダウンリンク・サブフレームに変更するための十分な時間があり、これにより、ダウンリンク容量が増加し、したがって、より高いスループットが可能になる。このバリエーションは、図10によるフレキシブルなダウンリンク構成F2に関して簡単に例示され得、DSUDDDSFDDとして与えられる。フレキシブル・サブフレームnflex=7がダウンリンクのために使用される場合、サブフレームnflex−1=6は、ダウンリンク・サブフレームに変更される。フレキシブル・サブフレームnflex=7がアップリンクのために使用される場合、サブフレームnflex−1=6は、特殊サブフレームとして使用される。結果として、フレキシブル・サブフレームの判定された使用に応じて、フレキシブルなTDD構成F2は、DSUDDDDDDDとして(構成5として)またはDSUDDDSUDD(構成2におけるように)使用され、これは無線フレームによって変化し得る。明らかに、DSUDDDDDDDとしての使用は、DSUDDDSDDDとしての使用よりも、多くのダウンリンク容量を提供する。
さらなる実施の形態
本発明のこれらのさらなる実施形態は、フレキシブル・サブフレーム内で送信されるアップリンク送信をどのように扱うかという問題に関する。これらの実施形態は、上述した第1の実施形態および第2の実施形態と密接に関連するが、これらの実施形態は、それでもなお、さまざまな第1の実施形態および第2の実施形態と大抵は別個に、かつ、独立して扱われるべきである。以下において説明されるプロセスおよびコンセプトのほとんどは、機能すべき特定のフレキシブルなTDD構成、またはフレキシブルなダウンリンク/アップリンク・サブフレームの特定の判定を必要としない。むしろ、これらのコンセプトは、フレキシブルなTDD構成のコンテキストにおいて広く適用され得る。なお、当然ながら、以下の実施形態は、第1の実施形態および第2の実施形態と任意の適当な組合せにおいて使用され得る。
第2の実施形態のコンテキストにおいて説明したように、フレキシブル・サブフレームについて潜在的に保留中であり得る、さまざまな異なるタイプのアップリンク送信が存在する。第2の実施形態の1つのバリエーションの場合、フレキシブル・サブフレームについての保留中のアップリンク送信は、フレキシブル・サブフレームをアップリンクと自動的に判定し、したがって、フレキシブル・サブフレームがダウンリンクのために使用されることを回避する。これは、フレキシブルなTDD構成の目的がダウンリンク容量を最大化することであるため、不利である。また、(アップリンク送信が保留中であるか否かにかかわらず)フレキシブル・サブフレームがダウンリンクのために使用されると判定されるべきである場合、フレキシブル・サブフレーム上に位置するこれらのアップリンク送信の異なる扱いを定義することは有利である。
1つの実施形態は、フレキシブル・サブフレームについて保留中のHARQ ACK/NACK/DTXフィードバックが、別の非フレキシブル・アップリンク・サブフレーム内で送信されるように、HARQ ACK/NACK/DTXフィードバックの扱いに関する。図13から明らかなように、あらゆるフレキシブル・サブフレームについて、少なくとも1つのHARQフィードバックが保留中であり得る。別の言い方をすると、フレキシブルなTDD構成についても静的なTDD構成の標準的なHARQフィードバック・タイミングを使用することは、すべての対応するダウンリンク・サブフレームが、フレキシブル・サブフレームにおけるHARQフィードバックをトリガーするダウンリンク送信のために実際に使用されたと想定すると、HARQフィードバックがすべてのフレキシブル・サブフレーム内で送信され得ることをもたらす。これは、フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして実際には使用可能ではない場合ですら、もたらされ得る。なぜなら、フレキシブル・サブフレームは、HARQアップリンク・フィードバックによって「ブロックされる」からである。
結果として、HARQフィードバックは、アップリンク・サブフレーム内で送信されなければならない。すなわち、フレキシブル・サブフレーム内で送信されてはならない。したがって、HARQフィードバックがフレキシブル・サブフレーム内で送信されることにならないように、異なるHARQフィードバック・タイミングが、フレキシブルなTDD構成について定義されるべきである。これにより、フレキシブル・サブフレームをフレキシブル・ダウンリンク・サブフレームとして使用することが容易になる。特定の実施形態によると、静的なTDD構成(図5を参照)について標準化されているHARQフィードバック・タイミングは、フレキシブルなTDD構成についての新たなHARQフィードバック・タイミングを定義するために再利用される。より詳細には、それぞれのフレキシブルなTDD構成について、HARQアップリンク・フィードバックがフレキシブル・サブフレームのタイミングにされないように、静的なTDD構成についてのさまざまなHARQフィードバック・タイミングのうちの1つが選択される。この広いコンセプトは、ここでは、図10のフレキシブルなTDD構成に基づいて例示されるが、他のフレキシブルなTDD構成にも同じように適用可能である。
すべてのフレキシブルなTDD構成についてのHARQフィードバック・タイミングは、以下の表に従って、静的なTDD構成のHARQフィードバック・タイミングに関連付けられる。
言い換えれば、フレキシブルなTDD構成について完全な新たなHARQフィードバック・タイミングを定義する代わりに、HARQフィードバックがフレキシブル・サブフレームのタイミングにされないという結果を達成するように、フレキシブルなTDD構成のそれぞれを静的なTDD構成の1つの適当なHARQフィードバック・タイミングに単に関連付けることが有利である。これにより、別個のACK/NACKタイミング設定メッセージが回避され、それによって、制御シグナリング・オーバーヘッドの増加が回避される。
図15は、上記の表の結果、および、特に、図10によって定義されるような7つのフレキシブルなTDD構成についてのHARQフィードバック・タイミングを示している。理解できるように、HARQフィードバックがフレキシブル・サブフレーム以外のアップリンク・サブフレーム内でeNodeBへ送信されるように、HARQフィードバックは、異なるタイミングにされている。例えば、フレキシブルなTDD構成F0を想定すると、過去にはフレキシブル・サブフレーム24のタイミングにされていた、サブフレーム20についてのHARQアップリンク・フィードバックが、ここではアップリンク・サブフレーム27内で送信されている。
しかしながら、これは、以下の実施形態によって軽減され得る、さらなる問題につながる。図15から理解できるように、また、例えば、フレキシブルなTDD構成F1について、サブフレーム22は、サブフレーム14、15、18および16における潜在的なダウンリンク・データ送信についてのHARQフィードバックを送信するために使用される。同様に、サブフレーム27は、サブフレーム19、20、23、21における潜在的なダウンリンク・データ送信についてのHARQフィードバックを送信するために使用される。しかしながら、サブフレーム18およびサブフレーム23は、実際にはフレキシブル・サブフレームである。フレキシブル・サブフレームがダウンリンク・サブフレームとして使用され、ダウンリンク送信がこれらのサブフレームにおいて実行される場合、HARQフィードバックは、通常通り送信され得る。
しかしながら、フレキシブル・サブフレームがアップリンク・サブフレームであると判定される場合、フレキシブル・サブフレームにおいて発生するダウンリンク送信は存在しない。いずれの場合にも、フレキシブル・アップリンク・サブフレームについて、HARQアップリンク・フィードバックの使用は、したがって、意味を持たない。なお、通常のHARQフィードバック・タイミングおよび使用によると、HARQフィードバックも、フレキシブル・アップリンク・サブフレームについて送信されるべきである。このコンテキストでは、1つの構成されたサービング・セルについては非特許文献6の10.1.3.1章の「TDD HARQ-ACK procedure」および対応する表10.1.3−2〜10.1.3−7を参照されたい。これは、フレキシブル・サブフレームについてのフィードバックが他のサブフレームについてのHARQフィードバックと共に送信される場合に特に当てはまる。例えば、フレキシブル・サブフレーム13、18についてのHARQフィードバックは、それぞれ3つの他のHARQフィードバックと共に送信される。
フレキシブル・アップリンク・サブフレームについてのそのようなHARQフィードバックの好ましい扱いは、エラー・ケース、または少なくともエラー・ケースの効果が最小化されるべきであるという考えに基づく。最も大きな悪影響は、UEがフレキシブル・サブフレームをフレキシブル・アップリンク・サブフレームとして扱うのに対して、eNodeBがフレキシブル・サブフレームをダウンリンク・データを送信するためのフレキシブル・ダウンリンク・サブフレームとして使用することである。UEは、ダウンリンク送信を期待しておらず、したがって、ダウンリンク送信を適切に受信しないため、eNodeBからのダウンリンク送信は成功しない。
1つの実施形態によると、UEは、したがって、HARQ NACKを任意のフレキシブル・アップリンク・サブフレームについてのHARQフィードバックとして送信するべきである。これは、eNodeBに、送信が成功しなかったという情報、および送信が再送信されるべきであるという情報を与える。
しかしながら、いくつかの場合、特に、いくつかのダウンリンク送信についてのHARQフィードバックが同じサブフレーム内で伝達される場合、必要とされる再送信が失われるよりも、むしろ過度の再送信が促進されるように保守的な立場をとるために、単一のNACKフィードバックは、すべての他のダウンリンク送信についてのNACKも同様にフィードバックすることをUEに要求し得る。
したがって、さらなる実施形態によると、UEは、HARQ DTXを任意のフレキシブル・アップリンク・サブフレームについてのHARQフィードバックとして提供するべきである。HARQ DTXは、例えば、検出されたDCIなしのダウンリンク・サブフレームが存在する(言い換えれば、ダウンリンク・リソース割当てが検出されなかった)場合について、LTEリリース11において既に使用されている。したがって、UEがその時にアップリンクを送信していたために、ダウンリンク信号を検出することはできなかったという背景的な理由により、HARQ DTXの扱いは、ダウンリンク・リソース割当てが検出されなかったことを意味するものとして、動的なアップリンク・サブフレームについてのアップリンク・フィードバックのために有利に採用され得る。
同様に、ダウンリンク・リソース割当てが検出されなかった動的なダウンリンク・サブフレームについてのアップリンクACK/NACKフィードバックの扱いは、好ましくは、DTXとして、または、それが利用可能ではない場合には、NACKとして扱われるべきである。
フレキシブル・サブフレームについて潜在的に保留中であり得るアップリンク送信の別のタイプは、いわゆる「非適応型再送信」である。背景技術のセクションにおいて説明したように、非適応型再送信は、アップリンクHARQについてLTEリリース11(およびリリース11以前)の時点で採用されている。サブフレームnにおける任意のアップリンク送信について、UEは、サブフレームn+k(kは、標準によって与えられており、それぞれのTDD構成について固有である)における所与のリソース上の(通常、PHICHによって伝達される、ハイブリッドARQ指示(HI)を使用する)ダウンリンクACK/NACKフィードバックを期待する。これは、以下において例示されるであろう。
フレキシブルなTDD構成F1が、以下の説明のために想定される。DCIは、サブフレーム8におけるPUSCH送信をスケジューリングするために、サブフレーム4内で送信される(図14を参照)。それに応じて、UEは、サブフレーム8においてアップリンク送信(PUSCH)を送信し、次いで、HARQフィードバック・タイミングに従って(図には示されていないが、非特許文献11の9.1.2節によって、および、特に、そこにおけるTDD構成mについての定義をフレキシブルなTDD構成Fmに適用する表9.1.2−1によって、例示的に定義されている)、そのアップリンク送信についてのHARQ ACK/NACKダウンリンク・フィードバックをサブフレーム8+6=14において期待する。サブフレーム14におけるPHICHがHARQ NACKを伝え、新たなグラントがサブフレーム14におけるPDCCHまたはEPDCCHによって検出されない場合、UEは、サブフレーム18(すなわち、図14によると、サブフレーム14+k)を自律的に使用して、いわゆる非適応型再送信を送信する。
ここで、我々はサブフレーム3、8、13、18、23等…がフレキシブル・サブフレームであると想定するため、この例における状況は、次のようになる。フレキシブルなTDD構成F1のサブフレーム8は、(サブフレーム8におけるアップリンク送信をトリガーする、サブフレーム4におけるDCIに起因して)フレキシブル・アップリンク・サブフレームであり、フレキシブル・サブフレーム18は、(サブフレーム18における非適応型再送信をトリガーする、サブフレーム14内で受信されるPHICH=NACKに起因して)動的なアップリンク・サブフレームである。
さらに、サブフレーム14におけるHARQダウンリンク・フィードバックを有するPHICHがACKとして送信される場合、それは2つの事柄を意味し得る。第1に、それは、eNodeBがフレキシブル・サブフレーム18をダウンリンク・データを(そのUEへ、または他のUEへ)送信するための動的なダウンリンク・サブフレームとして使用したかった可能性があり、したがって、UEがサブフレーム18内で送信する非適応型再送信を受信および処理することは不可能であることを意味し得る。第2に、それは、eNodeBがサブフレーム18を動的なアップリンク・サブフレームとして動作させるが、UEが非適応型再送信を送信することは望まず、むしろ、リソースが他のUEによって使用されるべきであることを意味し得る。その結果、そのようなHARQダウンリンク・フィードバックが誤って受信される場合、すなわち、ACKではなくNACKとして受信される場合、非適応型再送信は、不要な干渉を生成する。
非適応型再送信によるフレキシブル・サブフレームの上述したブロッキングを回避するために、本発明のさらなる実施形態によると、UEは、非適応型再送信をフレキシブル・サブフレーム内で送信すべきではない。これは、フレキシブル・サブフレームにおける非適応型再送信を潜在的にトリガーする、対応するHARQダウンリンク・フィードバックを無視することによって、または、代替的に、フレキシブル・サブフレームにおける非適応型再送信を潜在的にトリガーする、PHICH上のすべてのHARQフィードバックをHARQ ACK(PHICH=ACK)として扱うことによって、異なった方法で達成され得る。これらの方法の両方により、UEは、フレキシブル・サブフレームが非適応型再送信を含まないようにすることが可能になり、eNodeBは、フレキシブル・サブフレームを制御すること、すなわち、フレキシブル・サブフレームについてのアップリンク・リソース割当てをUEへ送信すること、または送信しないことによって、フレキシブル・サブフレームが動的なダウンリンク・サブフレームであるか、またはアップリンク・サブフレームであるかを制御することが可能になる。過去の送信の再送信は、前記の点において新たなDCIを使用して行われ得る。
アップリンクPUSCHデータ送信およびPHICHダウンリンク・フィードバックに関する別の複雑な要因は、フレキシブル・アップリンク・サブフレーム内で送信されるデータについてのフィードバックに関与する。
いくつかのTDD構成では、フレキシブル・アップリンク・サブフレーム送信についてのNACKを送信するPHICHは、(上記の例におけるように)フレキシブル・サブフレームにおける非適応型再送信をトリガーし、非フレキシブル・アップリンク・サブフレーム送信についてのNACKを送信するPHICHは、後続の非フレキシブル・サブフレームにおける非適応型再送信をトリガーする。
しかしながら、いくつかのTDD構成では、フレキシブル・アップリンク・サブフレーム送信についてのNACKを送信するPHICHは、非フレキシブル・サブフレームにおける非適応型再送信をトリガーし、非フレキシブル・アップリンク・サブフレーム送信についてのNACKを送信するPHICHは、フレキシブル・サブフレームにおける非適応型再送信をトリガーする。
それらの構成の場合、PHICHは、非適応型再送信をフレキシブル・サブフレームにおいてトリガーすることができず、フレキシブル・アップリンク・サブフレームにおける送信のために送信されるPHICHも、後続の非フレキシブル・サブフレームにおいて再送信をトリガーすることができないことが好ましい。したがって、好ましい実施形態では、UEは、ダウンリンクACK/NACKを以下のように扱う。
− フレキシブル・サブフレームにおける、より早期のアップリンク・データ送信についてのフィードバックとしてUEによって期待されるすべてのACK/NACKフィードバックは、無視され、またはACKとして扱われる
− UEによって期待され、将来のフレキシブル・サブフレームにおけるアップリンク・データ送信をトリガーするすべてのACK/NACKフィードバックは、無視され、またはACKとして扱われる(上記を参照)
− フレキシブルなTDD構成Fmの非フレキシブル・アップリンク・サブフレームnについて、アップリンク・データ送信と対応するダウンリンクHARQフィードバックとの間のタイミングは、当該アップリンク・サブフレームnについて静的なTDD構成mにおけるタイミングと同じである
− ダウンリンクHARQフィードバックと非フレキシブル・アップリンク・サブフレームnにおける対応するアップリンク送信との間のタイミングについて、フレキシブルなTDD構成Fmは、当該アップリンク・サブフレームnについて静的なTDD構成mと同じタイミングを使用する
影響は、図16において視覚化され得る。例えば、フレキシブルなTDD構成F1についての上記の例では、サブフレーム8においてPUSCHのためのダウンリンクにおいて送信されるサブフレーム14におけるPHICHは、そのサブフレームにおいて実際に受信されるPHICH値にかかわらず、ACKとして扱われる。フレキシブルなTDD構成F0では、サブフレーム10およびサブフレーム15のそれぞれにおいて、2つのACK/NACKがPHICH上で送信されること、すなわち、1つは非フレキシブル・サブフレームのアップリンク送信についてのものであり(3それぞれ8)、1つはフレキシブル・サブフレームのアップリンク送信についてのものであることに留意されたい。これらの場合であっても、必要に応じて、後者のみがACKとして扱われ、または無視される。したがって、本発明の好ましい実施形態は、それぞれのアップリンク・データ送信サブフレームが非フレキシブルである場合、フレキシブルなTDD構成Fmについての、アップリンク・データ送信と対応するダウンリンクHARQフィードバック(通常、PHICH上のHI)との間のタイミング、およびダウンリンクHARQフィードバックと対応する再送信との間のタイミングを、静的なTDD構成mについてのタイミングと同じように適用することである。
フレキシブル・サブフレームについて回避されるべき他のタイプのアップリンク送信は、第2の実施形態に関連して既に説明済みであり、以下の通りである。
− SPSによってスケジューリングされるデータ・アップリンク送信
− スケジューリング要求
− 周期的なCSI報告
− アップリンク・サウンディング
− ランダム・アクセス・メッセージ
フレキシブル・サブフレームがこれらのアップリンク送信をできる限り含まないように維持するために、これらのアップリンク送信は、抑制されるべきである。言い換えれば、上記のアップリンク送信のうちの1つがフレキシブル・サブフレーム上に位置する場合、UEは、そうしたアップリンク送信を実行するべきではない。
あるいは、さらなる実施形態によると、少なくとも1つの送信インスタンスがフレキシブル・サブフレームと一致する、上述したアップリンク送信について定義される任意の構成は、UEによって無効と扱われ、その結果、破棄される。それに応じて、そのようなアップリンク送信は、もはや生じなくなる。しかしながら、eNodeBは、破棄された構成について新たな構成を提供するべきであり、この新たな構成は、アップリンク送信のいずれもフレキシブル・サブフレームにおいて実行されないように、フレキシブル・サブフレームを考慮する。
別の代替的で有利な実施形態では、(フレキシブルな、または静的な)TDD構成が、アップリンクSPS送信がフレキシブル・サブフレームと一致するフレキシブルなTDD構成に変化する場合、任意のアップリンクSPS構成は、UEによって自動的にリリースされる。ここでも、eNodeBは、この場合には、UEがSPSアップリンク・リソースを使用し続けられるように、アップリンクSPSの新たな構成を提供するべきである。
さらなる実施形態では、フレキシブルなTDD構成の使用、または、同じように、無線フレームごとに少なくとも1つのフレキシブル・サブフレームの存在は、ダウンリンクHARQプロセスの最大数に影響を及ぼす。特に、フレキシブルなTDD構成Fmが、静的なTDD構成mよりも多くのダウンリンク+フレキシブル・サブフレームを含む場合、UEは、その限られたメモリ・バッファをより多くのダウンリンクHARQプロセスに適応させることが必要とされ得る。静的なTDD構成mについて、非特許文献11の表7−1は、ダウンリンクについてのHARQプロセスの最大数を定義している。第1の好ましい実施形態では、フレキシブルなTDD構成Fmを動作させる場合のDL HARQプロセスの最大数を決定するために、静的なTDD構成mについての表7−1において与えられる数が、フレキシブルなTDD構成Fmにおいて定義されるフレキシブル・サブフレームごとに1つだけ増加される。例えば、表7−1は、TDD UL/DL構成0について最大で4つのHARQプロセスを特定する。図10によるフレキシブルなTDD構成F0は、2つのフレキシブル・サブフレームを含んでおり、したがって、フレキシブルなTDD UL/DL構成F0におけるDL HARQプロセスの最大数は、4+2=6として決定される。このようにして、フレキシブルなTDD UL/DL構成F0〜F6におけるDL HARQプロセスの最大数は、(それぞれ)6、9、11、10、13、15、8と求められ得る。
別のバリエーションでは、できる限り多くのサブフレームがフレキシブルなTDD UL/DL構成においてダウンリンクのために使用される場合間で比較が行われ、これらを静的なTDD構成の等価な場合と比較する。例示的に、図10におけるフレキシブルな構成が使用され、Fとして表されるそれぞれのサブフレームをDによって置換し、その結果を図6と比較する。次いで、図6から得られるような等価な構成は、非特許文献11からの表7−1に従って、DL HARQプロセスの最大数をルックアップするために使用される。直接的な対応が見つからない場合、ダウンリンクのために使用可能な同じ数のサブフレームを提供する別の構成を見つけることによって、対応が確立される。このようにして、例えば、フレキシブルなTDD UL/DL構成F6(図10によると、最大で5×D+2×S=7つのダウンリンクのために使用可能なサブフレームを提供する)と、構成3(図6によると、6×D+1×S=7つのダウンリンクのために使用可能なサブフレームを提供する)との間の対応。その結果は、以下の表に示されている。
本発明のハードウェアおよびソフトウェア実装
本発明の他の実施形態は、ハードウェアおよびソフトウェアを用いて、上記したさまざまな実施形態を実施することに関する。これに関連して、本発明は、ユーザ機器(移動端末)およびeNodeB(基地局)を提供する。ユーザ機器は、本発明の方法を実行するようにされている。
本発明のさまざまな実施形態は、コンピューティングデバイス(プロセッサ)を使用して実施または実行され得るものとさらに認識される。コンピューティングデバイスまたはプロセッサは、例えば、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または、その他プログラマブルロジックデバイスなどである。本発明のさまざまな実施形態は、これらのデバイスの組合せによっても実行または具体化され得る。
さらに、本発明のさまざまな実施形態は、ソフトウェアモジュールによっても実施され得る。これらのソフトウェアモジュールは、プロセッサによって実行され、または、ハードウェアにおいて直接実行される。また、ソフトウェアモジュールとハードウェア実装の組合せも可能である。ソフトウェアモジュールは、任意の種類のコンピュータ可読記憶媒体、例えば、RAMやEPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、レジスタ、ハードディスク、CD−ROM、DVDなどに格納され得る。
さらには、本発明の複数の異なる実施形態の個々の特徴は、個々に、または任意の組合せにおいて、別の本発明の主題とすることができることに留意されたい。
具体的な実施形態に示した本発明には、広義に記載されている本発明の概念または範囲から逸脱することなく、さまざまな変更もしくは修正またはその両方を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。したがって、本明細書に示した実施形態は、あらゆる点において例示的であり、本発明を制限するものではないものとみなされる。