JP6915281B2 - 誘電体組成物及び電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、誘電体組成物、および、当該誘電体組成物から構成される誘電体層を備える電子部品に関する。特に、積層セラミックコンデンサ、薄膜コンデンサ等の電子部品の誘電体層に好適な誘電体組成物に関する。
電子部品、例えば、積層セラミックコンデンサ、薄膜コンデンサの小型化、高機能化に伴い、これらの誘電体層に用いられる誘電体材料としては、高い比誘電率を示し、かつ低い誘電損失を示す材料が求められる。さらに、これらの電子部品が搭載された電子機器の作動時には、電子部品に直流電圧が印加されるので、直流電圧に起因する高い電界強度下であっても、誘電体層の絶縁性を維持する必要がある。
現在、誘電体材料として広く使用されているBaTiO系の誘電体組成物の比誘電率は500〜6000程度であり、比誘電率が10000を超えることはほとんどない。
BaTiO系の誘電体材料と異なる材料系であって、高い比誘電率を示す誘電体材料も種々研究されている。たとえば、特許文献1には、ルチル型結晶構造を有するTiOに、In、Ga等の+3価の元素Aと、Nb、Ta等の+5価の元素Bを共置換した(A3+,B5+)TiO系の誘電体材料が開示されている。特許文献1によれば、この誘電体材料は、+3価元素と+5価元素とを共置換することにより得られる電子ピン止め欠陥双極子機構を利用して、10000を超える高い比誘電率と低い誘電損失とを両立している。
また、特許文献2には、主成分のTiOにNbを含有させることにより半導体化させ、さらにBi、CeO、LaTiを含有させた誘電体材料が開示され、この誘電体材料も10000を超える巨大な比誘電率と低い誘電損失とを両立していることが開示されている。
特表2014−531389号公報 特開昭55−95204号公報
しかしながら、特許文献1に記載の誘電体材料では、酸素欠陥を利用し電子を局在化(ピン止め)しているため、当該誘電体材料を用いた誘電体層を備える電子部品に高い直流電圧が印加されると、酸素欠陥が移動し易くなると共に、局在化している電子がホッピング伝導し易くなり、比抵抗が急激に低下してしまうという課題があった。
また、特許文献2に記載の誘電体材料では、含有されているBi、CeO、LaTiが、高い比抵抗を有する粒界を形成しているが、粒界自体は極薄(例えば10nm以下)であるため、高い直流電圧が印加されると、絶縁破壊が生じて比抵抗が急激に低下するという特許文献1と同様な課題があった。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、高い比誘電率(たとえば、10000以上)を示しつつ、直流電圧印加時の高い電界強度下においても高い比抵抗(たとえば、5V/μmにおいて、1.00×10Ωcm以上)を有する誘電体組成物と、その誘電体組成物から構成される誘電体層を備える電子部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の誘電体組成物は、
[1]組成式Ti1.0000−x−y−z2+δで表され、ルチル型結晶構造を有する複合酸化物を主成分として含み、
AがAl、Ga、Inおよび希土類元素からなる群から選ばれる1つ以上の元素、
BがSi、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1つ以上の元素、
CがV、Nb、SbおよびTaからなる群から選ばれる1つ以上の元素であり、
xとyとzとが、
x>0、y>0、z>0、
0.0050≦x+y+z≦0.3000、
2.0000≦(x+z)/y≦20.0000、
0.8000≦x/z≦1.2000
である関係を満足することを特徴とする誘電体組成物である。
[2]xとzとが、1.0200<x/z≦1.2000である関係を満足することを特徴とする[1]に記載の誘電体組成物である。
[3]xとyとzとが、
0.8000≦x/z<0.9800、
2.0000≦(x+z)/y≦9.0000
である関係を満足することを特徴とする[1]に記載の誘電体組成物である。
[4]xとyとzとが、
0.9800≦x/z≦1.0200、
7.0000<(x+z)/y<17.0000
である関係を満足することを特徴とする[1]に記載の誘電体組成物である。
[5][1]から[4]のいずれかに記載の誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品である。
本発明の誘電体組成物が上記の特徴を有することにより、高い比誘電率(たとえば、10000以上)を示しつつ、直流電圧印加時の高い電界強度下においても高い比抵抗(たとえば、5V/μmにおいて、1.00×10Ωcm以上)を有する誘電体組成物と、その誘電体組成物から構成される誘電体層を備える電子部品を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.積層セラミックコンデンサ
1.1 積層セラミックコンデンサの全体構成
1.2 誘電体層
1.2.1 誘電体組成物
1.3 内部電極層
1.4 端子電極
2.積層セラミックコンデンサの製造方法
3.本実施形態における効果
4.変形例
(1.積層セラミックコンデンサ)
(1.1 積層セラミックコンデンサの全体構成)
図1に示すように、本実施形態に係る電子部品の一例としての積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と、内部電極層3と、が交互に積層された構成の素子本体10を有する。この素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
(1.2 誘電体層)
誘電体層2は、後述する本実施形態に係る誘電体組成物から構成されている。その結果、誘電体層2を有する積層セラミックコンデンサは、高い比誘電率(たとえば、10000以上)を示しつつ、かつ、直流電圧印加時の高い電界強度下においても高い比抵抗(たとえば、5V/μmにおいて、1.00×10Ωcm以上)を示すことができる。
誘電体層2の1層あたりの厚み(層間厚み)は特に限定されず、所望の特性や用途等に応じて任意に設定することができる。通常は、層間厚みは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは30μm以下である。本実施形態では、層間厚みの下限は、たとえば3.0μm程度に設定できるが、これよりも薄い厚みであってもよい。本実施形態に係る誘電体組成物によれば、層間厚みを上記の範囲とした場合であっても、上述した効果を十分に得ることができる。
また、誘電体層2の積層数は特に限定されないが、本実施形態では、20以上であることが好ましく、より好ましくは50以上である。
(1.2.1 誘電体組成物)
本実施形態に係る誘電体組成物は、ルチル型結晶構造を有する複合酸化物を主成分として含有している。当該複合酸化物は、組成式Ti1.0000−x−y−z2+δで表され、二酸化チタン(TiO)において、チタン元素(Ti)の一部を、所定の元素により置換した構成を有している。また、当該複合酸化物では、酸素(O)量が化学量論比であってもよいし、酸素欠陥等により化学量論比から若干偏倚してもよい。化学量論比からの偏倚量は、置換する元素の種類およびそれらの置換量に応じて変化し、上記の組成式において「δ」で表される。
本実施形態では、Tiを置換する元素は、TiOにおけるTiの価数(+4価)を基準にして、3つの元素グループ(「A」、「B」および「C」)に分けられている。
上記の組成式における「A」は、Tiの価数(+4価)よりも価数が1小さい+3価の価数を有する元素から構成される。すなわち、「A」に属する元素はアクセプターである。具体的には、「A」は、Al、Ga、Inおよび希土類元素からなる群から選ばれる1つ以上である。なお、希土類元素は、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選ばれる1つ以上である。したがって、「A」は、Al、Ga、In、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、YbおよびLuからなる群から選ばれる1つ以上である。
上記の組成式における「x」は、複合酸化物において、「A」がTiを置換している割合(アクセプター量)を示している。本実施形態では、x>0であり、0.0010以上であることが好ましい。「x」の上限は、後述する「y」および「z」との関係により決まる。
上記の組成式における「B」は、Tiの価数(+4価)と同じ価数を有する元素から構成される。具体的には、「B」は、Si、Zr、Hfからなる群から選ばれる1つ以上であり、少なくともZrを含むことが好ましい。
上記の組成式における「y」は、複合酸化物において、「B」がTiを置換している割合(Bの置換量)を示している。本実施形態では、y>0であり、0.0010以上であることが好ましい。「y」の上限は、上述した「x」および後述する「z」との関係により決まる。
上記の組成式における「C」は、Tiの価数(+4価)よりも価数が1大きい+5価の価数を有する元素から構成される。すなわち、「C」に属する元素はドナーである。具体的には、「C」は、V、Nb、SbおよびTaからなる群から選ばれる1つ以上であり、少なくともNbを含むことが好ましい。
上記の組成式における「z」は、複合酸化物において、「C」がTiを置換している割合(ドナー量)を示している。本実施形態では、z>0であり、0.0010以上であることが好ましい。「z」の上限は、上述した「x」および「y」との関係により決まる。
本実施形態では、複合酸化物において、アクセプターとして働く「A」と、ドナーとして働く「C」とを含有させ(Tiを置換し)、さらに、Tiと同じ価数を有する「B」を含有させている(Tiを置換している)。そして、「x」、「y」および「z」、すなわち、Tiに対する「A」の置換量(アクセプター量)、「B」の置換量および「C」の置換量(ドナー量)が所定の関係を満足するよう制御することにより、非常に高い誘電率(たとえば、10000以上)を示しつつ、直流電圧印加時の高い電界強度下においても高い比抵抗(たとえば、5V/μmにおいて1.0×10Ωcm以上)を得ることができる。
具体的には、Tiを置換する元素(「A」、「B」および「C」)の総置換量、「B」の置換量とアクセプター量およびドナー量の合計との比率、アクセプター量とドナー量との比率を制御している。本実施形態では、総置換量が、0.0050≦x+y+z≦0.3000である関係を満足し、「B」の置換量とアクセプター量およびドナー量の合計との比率が、2.0000≦(x+z)/y≦20.0000である関係を満足し、アクセプター量とドナー量との比率が、0.8000≦x/z≦1.2000である関係を満足する。
本実施形態では、総置換量、および、「B」の置換量とアクセプター量およびドナー量の合計との比率を上記の範囲内とすることにより、直流電圧印加時の高い電界強度下においても高い比抵抗を得ることができる。一方、総置換量および「B」の置換量とアクセプター量およびドナー量の合計との比率が上記の関係を満足しない場合、高い直流電圧が印加されると、比抵抗が急激に低下してしまう傾向にある。
また、総置換量、および、アクセプター量とドナー量との比率を上記の範囲内とすることにより、非常に高い比誘電率が得られる。一方、アクセプター量とドナー量との比率が小さすぎる場合、高い比誘電率は得られるものの、誘電損失が大きくなってしまう傾向にある。また、アクセプター量とドナー量との比率が大きすぎる場合は、高い比誘電率が得られない傾向にある。
したがって、非常に高い誘電率と直流電圧印加時の高い電界強度下における高い比抵抗とを両立するには、Tiを置換する元素の総置換量、「B」の置換量とアクセプター量およびドナー量の合計との比率、および、アクセプター量とドナー量との比率の全てが上記の関係を満足する必要がある。
非常に高い誘電率が得られる要因としては、たとえば以下のような説明が可能である。すなわち、ルチル型結晶構造を有するTiOのTiの一部を、ドナーである+5価元素「C」(V、Nb、Sb、Taから選ばれる少なくとも1つ)で置換することにより、負に帯電した電子が生成される。しかしながら、ドナーのみを導入しただけでは、通常は、電子のホッピング伝導が促進されるので、比抵抗が低下してしまう。
そのため、さらに、TiOのTiの一部を、アクセプターである+3価元素「A」(Al、Ga、In及び希土類元素から選ばれる少なくとも1つ)で置換することにより、正に帯電した酸素欠陥を生成させ、この生成した酸素欠陥により生成した電子をピン止めする。その結果、電子の移動が抑制されるため、比抵抗の低下が抑制できる。このとき、生成した電子が酸素欠陥によるピン止め効果の及ぶ範囲でTi−Tiの格子間を移動するため、酸素欠陥を利用した欠陥双極子が形成され、欠陥双極子の存在に起因する巨大な比誘電率を得ることが可能となる。
また、直流電圧印加時の高い電界強度下において高い比抵抗が得られる要因としては、たとえば、以下のように推測することができる。アクセプターの導入により生成される酸素欠陥は、高い直流電圧が印加されると移動し易くなると共に、ピン止めされていた電子もピン止め効果の影響が減少し、電子のホッピング伝導が起り易くなる。このため、高い直流電圧下では、比抵抗が急激に低下する。
本実施形態では、この比抵抗の急激な低下を抑制するために、Tiと同じ価数を有する+4価元素「B」(Si、Zr、Hfから選ばれる少なくとも1つ)でTiOのTiの一部を置換し、+3価元素「A」の置換量(アクセプター量)と、+5価元素「C」の置換量(ドナー量)と、+4価元素「B」の置換量とを制御することにより、これらの元素間に生じる相互作用が酸素欠陥の移動を抑制し電子をピン止めする効果を強めることが可能となり、直流電圧印加時の高い電界強度下においても比抵抗の低下が抑制できると考えている。
したがって、TiOに対し、アクセプターおよびドナーを導入するだけでなく、Tiと異なり、Tiと同じ価数を有する元素を導入することにより初めて、アクセプターおよびドナーを導入しただけでは得られない相互作用を生じさせることができる。その結果、「B」の置換量とアクセプター量およびドナー量の合計との比率を上述した範囲内とすることにより、高い比誘電率と直流電圧印加時の高い電界強度下における高い比抵抗とを両立することができる。
本実施形態では、xとzとが、1.0200<x/z≦1.2000の関係を満足することが好ましい。すなわち、「A」の置換量(アクセプター量)が「C」の置換量(ドナー量)よりも多い上記の範囲(「A」リッチの範囲)とすることで、酸素欠陥の移動抑制と電子をピン止めする効果とを更に強めることが可能となる。その結果、直流電圧印加時の高い電界強度下において、より高い比抵抗が得られやすい傾向にある。
また、xとzとが、0.8000≦x/z<0.9800の関係を満足する場合、xとyとzとが、2.0000≦(x+z)/y≦9.0000の関係を満足することが好ましい。すなわち、「A」の置換量(アクセプター量)が「C」の置換量(ドナー量)よりも少ない上記の範囲(「C」リッチの範囲)である場合、「A」の置換量(アクセプター量)と「C」の置換量(ドナー量)との合計量と、「B」の置換量(+4価元素量)との比率を上記の範囲とすることで、酸素欠陥の移動抑制と電子をピン止めする効果とを更に強めることが可能となる。その結果、直流電圧印加時の高い電界強度下において、より高い比抵抗が得られやすい傾向にある。
また、xとzとが、0.9800≦x/z≦1.0200の関係を満足する場合、xとyとzとが、7.0000<(x+z)/y<17.0000の関係を満足することが好ましい。すなわち、「A」の置換量(アクセプター量)と、「C」の置換量(ドナー量)とが等量に近い範囲内である場合、「A」の置換量(アクセプター量)と「C」の置換量(ドナー量)との合計量と、「B」の置換量(+4価元素量)との比率を上記の範囲とすることで、酸素欠陥の移動抑制と電子をピン止めする効果とを更に強めることが可能となる。その結果、直流電圧印加時の高い電界強度下において、より高い比抵抗が得られやすい傾向にある。
このように、本実施形態に係る誘電体組成物は、高い比誘電率と、直流電圧印加時の高い電界強度下における高い比抵抗とを両立できるため、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサ、低背かつ大容量の薄膜コンデンサ等の電子部品の誘電体層として好適に用いることができる。
また、本実施形態に係る誘電体組成物は、本発明の効果を奏する範囲内において、微量な不純物、副成分等を含んでいてもよい。このような成分としては、たとえば、Mn、Ca、Ba,Zn等が例示される。したがって、主成分の含有量は特に限定されるものではないが、たとえば主成分を含有する誘電体組成物全体に対して70mol%以上、100mol%以下である。
(1.3 内部電極層)
本実施形態では、内部電極層3は、各端面が素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金が好ましい。なお、Ni、Ni系合金、CuまたはCu系合金中には、P等の各種微量成分が0.1質量%程度以下含まれていてもよい。また、内部電極層3は、市販の電極用ペーストを使用して形成してもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよい。
(1.4 外部電極)
本実施形態では、一対の外部電極4は、素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。外部電極4に含有される導電材は特に限定されない。本実施形態では、安価なNi、Cu、耐熱性の高いAu、Ag、Pd、これらの合金等の種々の導電材を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定されればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
(2.積層セラミックコンデンサの製造方法)
次に、図1に示す積層セラミックコンデンサ1の製造方法の一例について以下に説明する。
本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成して素子本体を得た後、素子本体に外部電極を印刷又は転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体組成物の出発原料を準備する。出発原料としては、上記の誘電体組成物を構成する複合酸化物に含まれる金属の酸化物やその混合物、複合酸化物を用いることができる。その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物、たとえば炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることができる。たとえば、上記の「A」がGa、「B」がZr、「C」がNbである場合には、TiO粉末、Ga粉末、ZrO粉末およびNb粉末を準備すればよい。なお、各粉末の平均粒子径は1.0μm以下であることが好ましい。
準備した出発原料を、所定の割合に秤量した後、ボールミル等を用いて所定の時間、湿式混合を行う。混合粉を乾燥後、大気中において1000℃以下の熱処理を行い、複合酸化物の仮焼き粉末を得る。
続いて、上記で得られた仮焼き粉末を塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。誘電体層用ペーストは、誘電体混合粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
また、誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤等を水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、たとえば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂等を用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属、その合金からなる導電材、あるいは、焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、バインダは1質量%〜5質量%程度、溶剤は10質量%〜50質量%程度とすれば良い。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10質量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に印刷、積層し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5℃/時間〜300℃/時間、保持温度を好ましくは180℃〜500℃、温度保持時間を好ましくは0.5時間〜24時間とする。また、雰囲気は、空気もしくは還元雰囲気とする。また、上記した脱バインダ処理において、Nガスや混合ガス等を加湿するには、たとえばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5℃〜75℃程度が好ましい。
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1250℃〜1450℃、より好ましくは1300℃〜1400℃である。保持温度が上記の範囲未満であると焼結体の緻密化が不十分となり、上記の範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れが生じ易く、内部電極層を構成する材料の拡散に起因して温度に対する静電容量の変化率が大きく成り易い。また、上記の範囲を超えると結晶粒子が粗大化して、焼結体の絶縁性を低下させてしまう恐れがある。
また、昇温速度を好ましくは200℃/時間〜1000℃/時間、より好ましくは200℃/時間〜500℃/時間とする。また、焼結後の結晶粒子の粒度分布を0.5μm〜5.0μmの範囲内に制御するために、温度保持時間を好ましくは1.0時間〜24.0時間、より好ましくは2.0時間〜10.0時間、冷却速度を好ましくは100℃/時間〜500℃/時間、より好ましくは200℃/時間〜300℃/時間とする。
また、焼成雰囲気としては、加湿したNとHとの混合ガスを用い、酸素分圧が10−2〜10−9Paであることが好ましい。より好ましくは、酸素分圧が10−2〜10−5Paである。
焼成後、得られた素子本体に対し、必要に応じてアニール処理を行う。アニール処理条件は、公知の条件とすればよく、たとえば、アニール処理時の酸素分圧を焼成時の酸素分圧よりも高い酸素分圧とし、保持温度を1000℃以下とすることが好ましい。
また、上記の脱バインダ処理、焼成およびアニール処理は、独立して行ってもよく、連続して行ってもよい。
上記のようにして得られた焼結体(素子本体)の誘電体層に含まれる複合酸化物は、上述した組成式で表され、ルチル型結晶構造を有している。この焼結体に、例えばバレル研磨やサンドブラスト等により端面研磨を施し、外部電極用ペーストを塗布して焼成し、外部電極4を形成する。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
(3.本実施形態における効果)
本実施形態では、誘電体組成物を構成する複合酸化物として、二酸化チタン(TiO)のチタン(Ti)の一部を、アクセプター元素およびドナー元素により置換するだけでなく、Tiと同じ価数を有する元素(+4価元素)もTiの一部を置換している。
そして、置換元素の総置換量(x+y+z)と、アクセプター量(x)とドナー量(z)との比率と、を所定の範囲に制御することにより、酸素欠陥を利用する欠陥双極子機構に起因する非常に大きな比誘電率を発現させることができる。
さらに、置換元素の総置換量(x+y+z)と、アクセプター量(x)およびドナー量(z)の合計量と+4価元素の置換量(y)との比率と、を所定の範囲に制御することにより、アクセプター(A)、ドナー(C)、+4価元素(B)間に相互作用が生じて、電子をピン止めする効果を強めることができる。その結果、直流電圧印加時の高い電界強度下においても比抵抗の低下を抑制することができる。換言すれば、比抵抗の電圧依存性を小さくすることができる。
すなわち、TiOにおいて、価数の違いにより区分される3つの元素グループ(A、BおよびC)に属する元素でTiの一部を置換し、3つの元素グループに属する元素の置換量の関係を上述した範囲内とすることにより、非常に高い比誘電率(たとえば、10000以上)を示しつつ、高い電界強度下における高い比抵抗(たとえば、5V/μmの電界強度下において1.00×10Ωcm以上)を得ることができる。
電界強度は印加される電圧に比例するので、本実施形態に係る誘電体組成物が高い電界強度下において高い比抵抗が得られるということは、当該誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品の定格電圧を高めることにつながる。したがって、このような電子部品は、従来の電子部品の定格電圧を超える高い電圧が印加される場合においても使用でき、より多くの電荷を蓄積することができる。
さらに、3つの元素グループに属する元素の置換量の関係をより限定することにより、非常に高い比誘電率を維持しつつ、高い電界強度下における比抵抗をより高めることができる。
(4.変形例)
上述した実施形態では、電子部品が積層セラミックコンデンサである場合について説明したが、電子部品が、その他の電子部品、たとえば、薄膜コンデンサであってもよい。この場合には、薄膜コンデンサの誘電体層を上述した誘電体組成物で構成すればよい。この薄膜コンデンサの誘電体層は、たとえば、薄膜形成法等を用いて、上述した誘電体組成物を構成する元素が基板上に堆積され形成されていてもよい。薄膜形成法としては、スパッタリング法、化学気相蒸着法等の公知の気相成長法が好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例及び比較例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、誘電体組成物の主成分である複合酸化物(Ti1.0000−x−y−z2+δ)の出発原料として、二酸化チタン(TiO)、「A」の酸化物(A)、「B」の酸化物(BO)および「C」の酸化物(C)の粉末を準備した。なお、各粉末の平均粒子径は1.0μm以下であった。本焼成後の誘電体組成物(焼結体)が、表1および2に示す組成を有するように、上記の出発原料を秤量した。
次に、秤量した各原料粉末を、分散媒としてのエタノールを用いてボールミルにより16時間湿式混合し、混合物を乾燥して混合原料粉末を得た。その後、得られた混合原料粉末を、大気中において保持温度950℃、保持時間24時間の条件で熱処理を行い、複合酸化物の仮焼き粉末を得た。
上記で得られた仮焼き粉末1000gに対して、トルエン+エタノール溶液、可塑剤及び分散剤を90:6:4で混合した溶剤を700g添加し、周知の分散方法であるバスケットミルを用いて2時間分散させ、誘電体層用ペーストを作製した。
内部電極層の原料として、平均粒径が0.2μmのNi粉末を準備し、Ni粉末100質量%と、有機ビヒクル(エチルセルロース樹脂8質量%をブチルカルビトール92質量%に溶解したもの)30質量%、及びブチルカルビトール8質量%とを、3本ロールにより混練、ペースト化し、内部電極層用ペーストを得た。なお、これらのペーストの粘性はいずれも約200cpsに調整した。
作製した誘電体層用ペーストを用いて、PETフィルム上に、乾燥後の厚みが7μmとなるようにグリーンシートを形成した。次いで、この上に内部電極層用ペーストを用いて、内部電極層を所定パターンで印刷した後、PETフィルムからシートを剥離し、内部電極層を有するグリーンシートを作製した。次いで、内部電極層を有するグリーンシートを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体とし、このグリーン積層体を所定サイズに切断することにより、グリーンチップを得た。
次いで、得られたグリーンチップについて、脱バインダ処理、焼成及びアニール処理を行うことで積層セラミック焼結体を得た。なお、脱バインダ処理、焼成及びアニール処理の条件は、以下の通りである。また、それぞれの雰囲気ガスの加湿にはウェッターを用いた。
(脱バインダ処理)
昇温速度:100℃/時間
保持温度:400℃
温度保持時間:8.0時間
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス
(焼成)
昇温速度:300℃/時間
保持温度:1300℃〜1450℃
温度保持時間:10時間
冷却速度:200℃/時間
雰囲気ガス:加湿したNとHとの混合ガス
酸素分圧:10−2〜10−5Pa
(アニール処理)
保持温度:1000℃
温度保持時間:2.0時間
昇温、降温速度:200℃/時間
雰囲気ガス:加湿したNガス
得られた各焼結体(素子本体)について、ICP発光分光分析法を用いて、各焼結体に含まれる誘電体組成物の組成分析を行った結果、表1および2に記載されている組成と一致した。
得られた焼結体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Ga共晶合金を塗布し、図1に示す積層セラミックコンデンサと同形状の積層セラミックコンデンサ試料(試料No.1から試料No.54)を得た。得られた各積層セラミックコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×1.2mmであり、誘電体層の厚みが5.0μm、内部電極層の厚みが2.0μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は50層であった。
得られた試料No.1から試料No.54の積層セラミックコンデンサ試料について、室温の比誘電率、tanδ及び直流電圧を25V(電界強度5V/μm)印加したときの比抵抗を以下のようにして測定・評価した。
[比誘電率及びtanδ]
積層セラミックコンデンサ試料に対し、室温(20℃)において、デジタルLCRメータ(YHP社製4284A)にて、周波数1kHz、入力信号レベル(測定電圧)1Vrmsの信号を入力し、静電容量及びtanδを測定した。そして、比誘電率(単位なし)を、誘電体層の厚みと、有効電極面積と、測定により得られた静電容量とに基づき算出した。比誘電率は高いほうが好ましく、10000以上を良好であると判断し、tanδは低い方が好ましく30%以下を良好であると判断した。結果を表1および2に示す。
[直流電圧印加時の比抵抗]
積層セラミックコンデンサ試料に対し、室温(20℃)において、デジタル抵抗メータ(ADVANTEST社製R8340)にて、測定電圧25V(電界強度5V/μm)を印加し、測定時間60秒の条件で絶縁抵抗を測定した。なお、参考のため、測定電圧を5V(電界強度1V/μm)とした場合の絶縁抵抗も同様に測定した。
得られた絶縁抵抗、積層セラミックコンデンサ試料の電極面積および誘電体厚みから比抵抗の値を算出した。比抵抗は高いほうが好ましく、測定電圧25V(電界強度5V/μm)において、1.00×10Ωcm以上である試料を良好であると判断した。比抵抗が1.00×10Ωcm以上である試料がより好ましい。なお、表1および2では、比抵抗の値を対数表示しており、表1および2の比抵抗の欄において「a」と表されている場合、比抵抗の値は10である。1.00×10を対数表示すると9.0となり、3.16×10を対数表示すると、8.5となり、1.00×10を対数表示すると8.0となる。結果を表1および2に示す。
Figure 0006915281
Figure 0006915281
表1および2に示す結果によれば、試料No.1〜試料No.54のうち、本実施形態の範囲内にある積層セラミックコンデンサ試料は、酸素欠陥を利用した欠陥双極子が形成されるため、10000以上の巨大な比誘電率および低い誘電損失が得られることが確認できた。さらに、+3価元素(Al、Ga、In、希土類元素)の置換量(アクセプター量)と、+5価元素(V、Nb、Sb、Ta)の置換量(ドナー量)と、+4価元素(Si、Zr、Hf)の置換量との所定の関係に起因する相互作用により、酸素欠陥の移動を抑制し、電子をピン止めする効果が強めることが可能となる。その結果、高い電界強度下においても(5V/μm)、高い比抵抗(1.00×10Ωcm以上)を示すことが確認できた。
これに対し、試料No.1〜試料No.6は、組成式Ti1.0000−x−y−z2+δ中のx、y、zの何れか1つ以上が0であり、本実施形態の範囲外である。この場合には、酸素欠陥を利用した欠陥双極子に起因する非常に大きな比誘電率が発現しない、または、+3価元素「A」(Al、Ga、In、希土類元素)の置換量と、+5価元素「C」(V、Nb、Sb、Ta)の置換量と、+4価元素「B」(Si、Zr、Hf)の置換量との所定の関係に起因する相互作用が得られない。その結果、比誘電率が10000未満となる、または、高い電界強度下(5V/μm)における比抵抗が1.00×10Ωcm未満になることが確認できた。
また、試料No.7、試料No.8は、「A」、「B」および「C」の総置換量(x+y+z)が本実施形態の範囲外のため、酸素欠陥を利用した欠陥双極子の作用が得られ難く、比誘電率が10000未満となることが確認できた。
また、「A」の置換量と「C」の置換量との合計量と、「B」の置換量との比率((x+z)/y)が本実施形態の範囲外である試料No.9、試料No.11、試料No.13、試料No.22、試料No.23は、+4価元素「B」がTiの一部を置換しているものの、+3価元素「A」(Al、Ga、In、希土類元素)の置換量と、+5価元素「C」(V、Nb、Sb、Ta)の置換量と、+4価元素「B」(Si、Zr、Hf)の置換量との所定の関係に起因する相互作用が得られず、高い電界強度下(5V/μm)における比抵抗が1.00×10Ωcm未満になることが確認できた。
また、アクセプター量とドナー量との比率(x/z)が0.8000未満である試料No.11、試料No.19は、tanδが30%を超え、高い電界強度下(5V/μm)における比抵抗が1.00×10Ωcm未満になることが確認できた。一方、x/zが1.2000を超えている試料No.8、試料No.9、試料No.18は、比誘電率が1000未満と非常に低い比誘電率しか示さないことが確認できた。
また、試料No.1〜試料No.54のうち、本実施形態の範囲内にある積層セラミックコンデンサ試料では、アクセプターである「A」がAl、Ga、Inおよび希土類元素から選ばれる1つ以上の元素であれば、比誘電率が10000以上を示しつつ、高い電界強度下(5V/μm)における比抵抗が1.00×10Ωcm以上であることが確認できた。同様に、+4価元素である「B」がSi、Zr、Hfから選ばれる1つ以上の元素、ドナーである「C」がV、Nb、Sb、Taから選ばれる1つ以上の元素であれば、同様な効果が得られることが確認できた。
アクセプター量とドナー量との比率(x/z)が、1.0200<x/z≦1.2000の範囲にある試料No.16、試料No.25、試料No.31、試料No.33〜試料No.38は、酸素欠陥の移動抑制と電子をピン止めする効果を更に強めることが可能となり、高い電界強度下(5V/μm)において、より高い比抵抗(1.00×10Ωcm以上)が得られ易くなることが確認できた。
アクセプター量とドナー量との比率(x/z)が、0.8000≦x/z<0.9800であり、(x+z)/yが2.000≦(x+z)/y≦9.0000を満足する試料No.17、試料No.48〜試料No.50、試料No.52〜試料No.54も、酸素欠陥の移動抑制と電子をピン止めする効果を更に強めることが可能となるため、高い電界強度下(5V/μm)において、より高い比抵抗(1.00×10Ωcm以上)が得られ易くなることが確認できた。
アクセプター量とドナー量との比率(x/z)が、0.9800≦x/z≦1.0200であり、(x+z)/yが7.0000<(x+z)/y<17.0000を満足する試料No.21、試料No.24、試料No.32、試料No.40〜試料No.45も、酸素欠陥の移動抑制と電子をピン止めする効果を更に強めることが可能となるため、高い電界強度下(5V/μm)において、より高い比抵抗(1.00×10Ωcm以上)が得られ易くなることが確認できた。
本発明に係る誘電体組成物は、高い比誘電率(たとえば、10000以上)と、高い電界強度下における高い比抵抗(たとえば、5V/μmにおいて、1.00×10Ωcm以上)と、を両立できるため、小型かつ大容量の積層セラミックコンデンサ、低背かつ大容量の薄膜コンデンサ等の電子部品の誘電体層として好適に用いることができる。
1… 積層セラミックコンデンサ
10… 素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (5)

  1. 組成式Ti1.0000−x−y−z2+δで表され、ルチル型結晶構造を有する複合酸化物を主成分として含み、
    前記AがAl、Ga、Inおよび希土類元素からなる群から選ばれる1つ以上の元素、
    前記BがSi、ZrおよびHfからなる群から選ばれる1つ以上の元素、
    前記CがV、Nb、SbおよびTaからなる群から選ばれる1つ以上の元素であり、
    前記xと前記yと前記zとが、
    x>0、y>0、z>0、
    0.0050≦x+y+z≦0.3000、
    2.0000≦(x+z)/y≦20.0000、
    0.8000≦x/z≦1.2000
    である関係を満足し、
    周波数1kHzにおける比誘電率が14500以上であり、周波数1kHzにおけるtanδが30%以下であり、電界強度5V/μmにおける比抵抗が1.00×10 Ωcm以上であることを特徴とする誘電体組成物。
  2. 前記xと前記zとが、1.0200<x/z≦1.2000である関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の誘電体組成物。
  3. 前記xと前記yと前記zとが、
    0.8000≦x/z<0.9800、
    2.0000≦(x+z)/y≦9.0000
    である関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の誘電体組成物。
  4. 前記xと前記yと前記zとが、
    0.9800≦x/z≦1.0200、
    7.0000<(x+z)/y<17.0000
    である関係を満足することを特徴とする請求項1に記載の誘電体組成物。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の誘電体組成物を含む誘電体層を備える電子部品。
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