JP6915170B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、変性セルロースナノファイバーを含有するゴム組成物の製造方法に関する。
セルロースナノファイバー(CNF)はゴム組成物の補強繊維としての利用が期待されている。例えば特許文献1には、セルロースナノファイバーを分散させたゴム組成物が記載されている。
一般に、ゴム組成物にセルロースナノファイバーを均一に分散させるため、ホモジナイザー、プロペラ式撹拌装置、ロータリー撹拌装置などを用いて、撹拌翼等によりせん断力を加えることによる分散が行われている。
特開2006−206864号公報
しかしながら、高速回転式の撹拌翼を備えたホモジナイザーを用いて天然ゴムのラテックスとセルロースナノファイバー分散液とを混合すると、撹拌翼によるせん断力により、ラテックスが凝集する場合があった。また、ホモジナイザーの内部にラテックスの凝集汚れが付着し、この汚れを除去するためにホモジナイザーの運転を定期的に停止しなければならず、連続操業性に問題があった。
また、セルロースナノファイバーとゴム成分とを含有するゴム組成物におけるセルロースナノファイバーの分散性は、このゴム組成物から作製される成形体等の物性にも影響を及ぼす。そのため、ゴム組成物中でのセルロースナノファイバーの分散性をより一層高めることが求められている。
そこで、本発明は、分散性および連続操業性に優れ、高強度なゴム組成物を得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の混合装置を用いることが極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下を提供する。
(1)変性セルロースナノファイバーを含有するゴム組成物の製造方法であって、変性セルロースナノファイバー分散液と、ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する混合工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
(2)前記変性セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーを含む(1)のゴム組成物の製造方法。
(3)前記インライン静止型流体混合装置が、スタティックミキサーである(1)または(2)のゴム組成物の製造方法。
(4)前記インライン静止型流体混合装置が、OHRミキサーである(1)または(2)のゴム組成物の製造方法。
本発明によれば、分散性および連続操業性に優れ、高強度なゴム組成物を得ることができる製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において「〜」は端値を含む。すなわち「X〜Y」はその両端の値XおよびYを含む。
本発明のゴム組成物の製造方法は、変性セルロースナノファイバー分散液と、ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する混合工程を含む。
(変性セルロースナノファイバー)
本発明において、変性セルロースナノファイバー(CNF)は、変性セルロースを原料とする微細繊維である。変性セルロースナノファイバーの繊維径は、特に限定されないが、3〜500nm程度である。変性セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。変性セルロースナノファイバーは、変性セルロースを解繊することによって得ることができる。微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、解繊処理により調整することができる。
本発明に用いる変性セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常50以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
変性セルロースは、セルロース原料に含まれるセルロースを変性して得られる。セルロース原料は、セルロースを含んでいればよく、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、晒クラフトパルプ(BKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物等が挙げられる。セルロース原料としては、これらのいずれかであってもよいし2種類以上の組み合わせであってもよいが、好ましくは植物又は微生物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)であり、より好ましくは植物由来のセルロース原料(例えば、セルロース繊維)である。
セルロース原料の数平均繊維径は特に制限されないが、一般的なパルプである針葉樹クラフトパルプの場合は30〜60μm程度、広葉樹クラフトパルプの場合は10〜30μm程度である。その他のパルプの場合、一般的な精製を経たものは50μm程度である。例えばチップ等の数cm大のものを精製したものである場合、リファイナー、ビーター等の離解機で機械的処理を行い、50μm程度に調整することが好ましい。
セルロースは、グルコース単位あたり3つのヒドロキシル基を有しており、各種の変性を行うことが可能である。変性(通常は、化学変性)としては、例えば、酸化、エーテル化、リン酸エステル化等のエステル化、シランカップリング、フッ素化、カチオン化等が挙げられる。中でも、酸化(カルボキシル化)、エーテル化(カルボキシメチル化等)、カチオン化、エステル化が好ましく、酸化(カルボキシル化)、カルボキシメチル化がより好ましい。
(変性)
(酸化)
本発明において、変性セルロースとして酸化(カルボキシル化)したセルロースを用いる場合、酸化セルロース(カルボキシル化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法で酸化(カルボキシル化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、酸化の際には、変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基の量が0.6〜2.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。
酸化(カルボキシル化)方法の一例として、セルロース原料を、N−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物もしくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート基(−COO-)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生しうる化合物をいう。N−オキシル化合物としては、目的の酸化反応を促進する化合物であれば、いずれの化合物も使用できる。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシラジカル(TEMPO)およびその誘導体(例えば4−ヒドロキシTEMPO)が挙げられる。
N−オキシル化合物の使用量は、原料となるセルロースを酸化できる触媒量であればよく、特に制限されない。例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.01〜10mmolが好ましく、0.01〜1mmolがより好ましく、0.05〜0.5mmolがさらに好ましい。また、反応系に対し0.1〜4mmol/L程度が好ましい。
臭化物とは臭素を含む化合物であり、その例には、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属が含まれる。また、ヨウ化物とはヨウ素を含む化合物であり、その例には、ヨウ化アルカリ金属が含まれる。臭化物またはヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる範囲で選択できる。臭化物およびヨウ化物の合計量は、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.1〜100mmolが好ましく、0.1〜10mmolがより好ましく、0.5〜5mmolがさらに好ましい。
酸化剤としては、公知のものを使用でき、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸またはそれらの塩、ハロゲン酸化物、過酸化物などを使用できる。中でも、安価で環境負荷の少ない次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。酸化剤の使用量としては、例えば、絶乾1gのセルロースに対して、0.5〜500mmolが好ましく、0.5〜50mmolがより好ましく、1〜25mmolがさらに好ましく、3〜10mmolが最も好ましい。また、例えば、N−オキシル化合物1molに対して1〜40molが好ましい。
セルロースの酸化は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。よって、反応温度は4〜40℃が好ましく、また15〜30℃程度の室温であってもよい。反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを8〜12、好ましくは10〜11程度に維持することが好ましい。反応媒体は、取扱容易性や、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
酸化反応における反応時間は、酸化の進行の程度に従って適宜設定することができ、通常は0.5〜6時間、例えば、0.5〜4時間程度である。
また、酸化反応は、2段階に分けて実施してもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、再度、同一または異なる反応条件で酸化させることにより、1段目の反応で副生する食塩による反応阻害を受けることなく、効率よく酸化させることができる。
酸化(カルボキシル化)方法の別の例として、オゾンを含む気体とセルロース原料とを接触させることにより酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、グルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50〜250g/m3であることが好ましく、50〜220g/m3であることがより好ましい。セルロース原料に対するオゾン添加量は、セルロース原料の固形分を100質量部とした際に、0.1〜30質量部であることが好ましく、5〜30質量部であることがより好ましい。オゾン処理温度は、0〜50℃であることが好ましく、20〜50℃であることがより好ましい。オゾン処理時間は、特に限定されないが、1〜360分程度であり、30〜360分程度が好ましい。オゾン処理の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度に酸化および分解されることを防ぐことができ、酸化セルロースの収率が良好となる。オゾン処理を施した後に、酸化剤を用いて、追酸化処理を行ってもよい。追酸化処理に用いる酸化剤は、特に限定されないが、二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム等の塩素系化合物や、酸素、過酸化水素、過硫酸、過酢酸などが挙げられる。例えば、これらの酸化剤を水またはアルコール等の極性有機溶媒中に溶解して酸化剤溶液を作成し、溶液中にセルロース原料を浸漬させることにより追酸化処理を行うことができる。
酸化セルロースのカルボキシル基の量は、上記した酸化剤の添加量、反応時間等の反応条件をコントロールすることで調整することができる。
(カルボキシメチル化)
本発明において、変性セルロースとして、カルボキシメチル化したセルロースを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるものが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3〜20質量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
なお、本明細書において、セルロースナノファイバーの調製に用いる変性セルロースの一種である「カルボキシメチル化したセルロース」は、水に分散した際にも繊維状の形状の少なくとも一部が維持されるものをいう。したがって、水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースとは区別される。「カルボキシメチル化したセルロース」の水分散液を電子顕微鏡で観察すると、繊維状の物質を観察することができる。一方、水溶性高分子の一種であるカルボキシメチルセルロースの水分散液を観察しても、繊維状の物質は観察されない。また、「カルボキシメチル化したセルロース」はX線回折で測定した際にセルロースI型結晶のピークを観測することができるが、水溶性高分子のカルボキシメチルセルロースではセルロースI型結晶はみられない。
(カチオン化)
変性セルロースとして、前記カルボキシル化セルロースをさらにカチオン化したセルロースを使用することができる。当該カチオン変性されたセルロースは、前記カルボキシル化セルロース原料に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライトまたはそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と、触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を、水または炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって得ることができる。
グルコース単位当たりのカチオン置換度は0.02〜0.50であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.02より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのカチオン置換度が0.50より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たカチオン変性されたセルロース原料は洗浄されることが好ましい。当該カチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量、水または炭素数1〜4のアルコールの組成比率によって調整できる。
(エステル化)
変性セルロースとして、エステル化したセルロースを使用できる。当該セルロースは、前述のセルロース原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法により得られる。
リン酸系化合物Aとしては、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。これらの中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由からリン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用できる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩がより好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物Aは水溶液として用いることが好ましい。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3〜7が好ましい。
リン酸エステル化セルロースの製造方法の一例として以下の方法を挙げることができる。固形分濃度0.1〜10質量%のセルロース原料の分散液に、リン酸系化合物Aを撹拌しながら添加してセルロースにリン酸基を導入する。セルロース原料を100質量部とした際に、リン酸系化合物Aの添加量はリン元素量として、0.2〜500質量部であることが好ましく、1〜400質量部であることがより好ましい。リン酸系化合物Aの割合が前記下限値以上であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。しかし、前記上限値を超えると収率向上の効果は頭打ちとなるのでコスト面から好ましくない。
この際、セルロース原料、リン酸系化合物Aの他に、これ以外の化合物Bの粉末や水溶液を混合してもよい。化合物Bは特に限定されないが、塩基性を示す窒素含有化合物が好ましい。ここでの「塩基性」は、フェノールフタレイン指示薬の存在下で水溶液が桃〜赤色を呈すること、または水溶液のpHが7より大きいことと定義される。本発明で用いる塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられるが、特に限定されない。この中でも低コストで扱いやすい尿素が好ましい。化合物Bの添加量はセルロース原料の固形分100質量部に対して、2〜1000質量部が好ましく、100〜700質量部がより好ましい。反応温度は0〜95℃が好ましく、30〜90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、1〜600分程度であり、30〜480分がより好ましい。エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、リン酸エステル化セルロースの収率が良好となる。得られたリン酸エステル化セルロース懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水を除いた後、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。
リン酸エステル化されたセルロースのグルコース単位当たりのリン酸基置換度は0.001〜0.40であることが好ましい。セルロースにリン酸基置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。このため、リン酸基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができる。なお、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.001より小さいと、十分にナノ解繊することができない。一方、グルコース単位当たりのリン酸基置換度が0.40より大きいと、膨潤あるいは溶解するため、ナノファイバーとして得られなくなる場合がある。解繊を効率よく行なうために、上記で得たリン酸エステル化されたセルロース原料は煮沸した後、冷水で洗浄することで洗浄されることが好ましい。
(解繊)
本発明において、解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて前記水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて、上記のCNFに予備処理を施すことも可能である。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
分散処理においては通常、溶媒に変性セルロースを分散する。溶媒は、変性セルロースを分散できるものであれば特に限定されないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等の親水性の有機溶媒)、それらの混合溶媒が挙げられる。セルロース原料が親水性であることから、溶媒は水であることが好ましい。
分散体中の変性セルロースの固形分濃度は、通常は0.1質量%以上、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上である。これにより、セルロース繊維原料の量に対する液量が適量となり効率的である。上限は、通常10質量%以下、好ましくは6質量%以下である。これにより流動性を保持することができる。
解繊処理又は分散処理に先立ち、必要に応じて予備処理を行ってもよい。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行えばよい。
解繊工程を経て得られた変性セルロースナノファイバーが塩型の場合は、そのまま用いても良いし、鉱酸を用いた酸処理や、陽イオン交換樹脂を用いた方法等により酸型として用いても良い。また、カチオン性添加剤を用いた方法により疎水性を付与して用いても良い。
本発明において、変性セルロースナノファイバーは分散媒に分散させた分散液の状態で混合工程に供する。分散媒としては、水、有機溶媒が挙げられ、これらを混合したものであっても良い。混合工程に用いる変性セルロースナノファイバー分散液の濃度は、分散媒が水である場合、0.1〜5%(w/v)であってもよく、分散媒が水とアルコール等の有機溶媒とを含む場合、0.1〜20%(w/v)であってもよい。
変性セルロースナノファイバーは、2以上の変性セルロースナノファイバーの組み合わせでもよい。本発明においては、ゴムの補強効果の観点から、完全ナノ分散しており、かつ高アスペクト比である酸化セルロースナノファイバーを含むことが好ましい。
(ゴム成分)
ゴム成分とはゴムの原料であり、架橋してゴムとなるものをいう。ゴム成分としては、天然ゴム用のゴム成分と合成ゴム用のゴム成分が存在する。天然ゴム用のゴム成分としては、例えば、化学修飾を施さない狭義の天然ゴム(NR);塩素化天然ゴム、クロロスルホン化天然ゴム、エポキシ化天然ゴム等の化学修飾した天然ゴム;水素化天然ゴム;脱タンパク天然ゴムが挙げられる。合成ゴム用のゴム成分としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらの中で、NBR、NR、SBR、クロロプレンゴム、BRが好ましい。ゴム成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
本発明において、ゴム成分は分散媒に分散させたラテックス(分散液)として混合工程に供する。分散媒としては、水、有機溶媒が挙げられ、これらを混合したものであっても良い。ラテックス中におけるゴム成分の含有割合は、好ましくは10〜80%、より好ましくは20〜70%である。
(混合工程)
本発明においては、上記変性セルロースナノファイバー分散液と、上記ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する。
(インライン静止型流体混合装置)
本発明の混合工程においては、インライン静止型流体混合装置を用いる。インライン静止型流体混合装置としては、スタティックミキサー、OHRミキサー、MSEスタティックミキサー等が挙げられ、長期間の運転後のミキサー内のラテックス凝集汚れの付着量や洗浄性の観点からスタティックミキサー、及びOHRミキサーを用いることがより好ましい。
スタティックミキサーとは、管中に、右捻りの螺旋状エレメントと左捻りの螺旋状エレメントとを交互に、かつ一方の端が他方の端に対して直角になるように配列された形の流体混合装置である。
OHRミキサーとは、管体内周壁面に複数の突起物を設け、流体中のキャビテーションを増大させることにより、混合・撹拌を促進させる流体混合装置である。
MSEスタティックミキサーとは、多数の小貫通孔及び中央に大貫通孔を有する混合エレメントの積層体が管内に配置されている流体混合装置、または、このような混合エレメントを配管内に設置して用いる流体混合装置である。
本発明においては、インライン式(連続式)の混合装置を用いるため、バッチ式と比較すると、生産効率を高めることができる。また、撹拌槽を用いた場合と比較して、省スペース化が図れる。また、静止型の混合装置を用いるため、省エネルギー化を図ることができ、撹拌翼の回転等のせん断力に起因するラテックスの凝集を抑制することができる。さらには、ラテックスの凝集が抑制されるため、凝集汚れの除去の頻度が減り、その結果、連続操業性に優れる。
なお、インライン静止型流体混合装置は、1基を単独で用いてもよいし、複数基を連結して用いてもよい。
また、インライン静止型流体混合装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法においては、ラテックス中におけるゴム成分の固形分100質量部に対して、変性セルロースナノファイバーを固形分で0.5〜30質量部含むように、ゴム成分を含有するラテックスと変性セルロースナノファイバー分散液とを混合する。
本発明の製造方法には、得られるゴム組成物の用途等に応じて、1種または2種以上の任意成分を加える工程を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、補強剤(例えば、カーボンブラック、シリカ等)、シランカップリング剤、架橋剤、加硫促進剤、加硫促進助剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸)、オイル、硬化レジン、ワックス、老化防止剤、着色剤など、ゴム工業で使用され得る配合剤が挙げられる。このうち加硫促進剤、加硫促進助剤が好ましい。任意成分の含有量は、任意成分の種類等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。
ゴム組成物が未加硫ゴム組成物または最終製品である場合、架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤としては、例えば、硫黄、ハロゲン化硫黄、有機過酸化物、キノンジオキシム類、有機多価アミン化合物、メチロール基を有するアルキルフェノール樹脂等が挙げられる。これらの中でも硫黄が好ましい。架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し1.0質量部以上が好ましく、1.5質量部以上がより好ましく、1.7質量部以上がさらに好ましい。上限は、10質量部以下が好ましく、7質量部以下が好ましく、5質量部以下がさらに好ましい。
加硫促進剤としては、例えば、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが挙げられる。加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対し0.1質量部が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.4質量部以上がさらに好ましい。上限は、5質量部以下が好ましく、3質量部以下が好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
本発明の製造方法により得られるゴム組成物の用途は、特に限定されず、最終製品としてゴムを得るための組成物であればよい。すなわち、ゴム製造用の中間体(マスターバッチ)でもよいし、加硫剤を含む未加硫のゴム組成物でもよいし、最終製品としてのゴムでもよい。最終製品の用途は特に限定されず、例えば、自動車、電車、船舶、飛行機等の輸送機器等;パソコン、テレビ、電話、時計等の電化製品等;携帯電話等の移動通信機器等;携帯音楽再生機器、映像再生機器、印刷機器、複写機器、スポーツ用品等;建築材;文具等の事務機器等、容器、コンテナー等が挙げられる。これら以外であっても、ゴムや柔軟なプラスチックが用いられている部材への適用が可能であり、タイヤへの適用が好適である。タイヤとしては例えば、乗用車用、トラック用、バス用、重車両用などの空気入りタイヤが挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各実施例における各数値の測定/算出方法が特に記載されていない場合には、明細書中に記載されている方法により測定/算出されたものである。
(分散度の測定方法)
実施例および比較例において、天然ゴムラテックスおよびCNF水分散液の混合物について、下記の通りCNF分散指数を算出し、下記基準に従って分散度の評価を行った。
実施例および比較例において得られたCNF水分散液と天然ゴムラテックスの混合物1gに、墨滴(株式会社呉竹製、固形分10%)を2適垂らし、ボルテックスミキサー(IUCHI社製、機器名:Automatic Lab−mixer HM-10H)の回転数の目盛りを最大に設定して1分間撹拌した。次に、墨滴を含有する上記混合物の膜厚が0.15mmになるように二枚のガラス板に挟み、光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープKH−8700(株式会社ハイロックス製))を用いて倍率100倍で観察した。
上記観察において、3mm×2.3mmの範囲に存在する凝集物の長径を測定し、観察された凝集物を、特大:150μm以上、大:100μm以上150μm未満、中:50μm以上100μm未満、小:20μm以上50μm未満に分類し、分類した凝集物の個数を数え、下式によりCNF分散指数を算出した。
CNF分散指数=(特大の個数×512+大の個数×64+中の個数×8+小の個数×1)÷2×CNF濃度係数
なお、CNF濃度係数を、表1に示した。
Figure 0006915170
(分散度の評価基準)
○:CNF分散指数が1600未満
△:CNF分散指数が1600以上、6400未満
×:CNF分散指数が6400以上
なお、分散度の評価結果は、表2に示した。
(製造例1)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー水分散液を得た。得られた酸化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が3nm、アスペクト比は250であった。
(カルボキシル基量の測定方法)
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕
(実施例1)
天然ゴムラテックス(商品名:HAラテックス、レヂテックス社、固形分濃度61.5質量%)の絶乾固形分100質量部に対して、上記製造例1で得られた酸化CNFの1%水分散液を絶乾相当で20質量部含むように配合し、インライン式の静止型流体混合装置であるスタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製3/8−N30−232−F型を2基連結、処理流量10.9L/分)で1パス処理して混合物を得た。この混合物を、70℃の加熱オーブン中で15時間乾燥させることにより、マスターバッチを得た。なお、混合物を得た後に、スタティックミキサーの内部を目視で確認し、ラテックスの凝集物による汚れ具合を調査した。ラテックスの凝集物による汚れは見られず、良好な結果であった。
上記の方法により得たマスターバッチに対し、酸化亜鉛、ステアリン酸をマスターバッチ中のゴム成分に対しそれぞれ6質量%、0.5質量%混合し、オープンロール(関西ロール株式会社製)にて、30℃で10分間混練することによって混練物を得た。この混練物に対し、硫黄および加硫促進剤(BBS、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)を、混練物中のゴム成分に対しそれぞれ3.5質量%、0.7質量%加え、オープンロール(関西ロール株式会社製)を用い、30℃で10分間混練して、未加硫ゴム組成物のシートを得た。得られた未加硫ゴム組成物のシートを金型にはさみ、150℃で15分間プレス加硫することにより、厚さ2mmの加硫ゴムシート(加硫ゴム組成物)を得た。得られた加硫ゴムシートを、所定の形状の試験片に裁断し、JIS K6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−引張特性の求め方」に従い、引張強度を示すものとして、50%ひずみ時(M50)、100%ひずみ時(M100)、および300%ひずみ時(M300)における応力、破断強度をそれぞれ測定した。結果を表2に示した。引張応力、および破断強度については数値が大きい程、加硫ゴム組成物が良好に補強されており、機械強度に優れることを示す。
(実施例2)
スタティックミキサーによる処理を3パス処理としたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
(実施例3)
スタティックミキサーによる処理を10パス処理としたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
(実施例4)
スタティックミキサーに代えて、OHRミキサー(株式会社OHR流体工学研究所製、MX−F8、処理流量3.9L/分)を用いて10パス処理したこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
(実施例5)
スタティックミキサーに代えて、OHRミキサー(株式会社OHR流体工学研究所製、MX−F8、処理流量6.7L/分)を用いて10パス処理したこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
(比較例1)
スタティックミキサーに代えて、インライン式の乳化分散機であるキャビトロン(株式会社ユーロテック製 CD1000、処理流量10.9L/分)を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、混合物を得た後に、キャビトロン内部を目視確認し、ラテックスの凝集物による汚れ具合を調査した。ラテックスの凝集物による汚れが見られ、悪い結果であった。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
(比較例2)
キャビトロンによる処理を3パス処理としたこと以外は比較例1と同様にして混合物を得た。また、混合物を得た後に、キャビトロン内部を目視確認し、ラテックスの凝集物による汚れ具合を調査した。ラテックスの凝集物による汚れが多く見られ、非常に悪い結果であった。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
(比較例3)
スタティックミキサーを用いず、天然ゴムラテックスと酸化CNF1%水分散液とをそれぞれポンプを用いて同一の配管に処理流量が10.9L/分となるように導入し、通過させたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
Figure 0006915170
表2からわかる通り、変性CNF分散液とゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置であるスタティックミキサーまたはOHRミキサーを用いて混合する混合工程を含むゴム組成物の製造方法によれば、ミキサー内の汚れも見られず、CNFの分散度が高く、得られた加硫ゴムシートは、引張強度及び破断強度に優れるものであった。

Claims (4)

  1. 変性セルロースナノファイバーを含有するゴム組成物の製造方法であって、
    変性セルロースナノファイバー分散液と、ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する混合工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
  2. 前記変性セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーを含む請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
  3. 前記インライン静止型流体混合装置が、スタティックミキサーである請求項1または2記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 前記インライン静止型流体混合装置が、OHRミキサーである請求項1または2記載のゴム組成物の製造方法。
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