JP6915170B2 - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
(1)変性セルロースナノファイバーを含有するゴム組成物の製造方法であって、変性セルロースナノファイバー分散液と、ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する混合工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
(2)前記変性セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーを含む(1)のゴム組成物の製造方法。
(3)前記インライン静止型流体混合装置が、スタティックミキサーである(1)または(2)のゴム組成物の製造方法。
(4)前記インライン静止型流体混合装置が、OHRミキサーである(1)または(2)のゴム組成物の製造方法。
本発明において、変性セルロースナノファイバー(CNF)は、変性セルロースを原料とする微細繊維である。変性セルロースナノファイバーの繊維径は、特に限定されないが、3〜500nm程度である。変性セルロースナノファイバーの平均繊維径および平均繊維長は、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。変性セルロースナノファイバーは、変性セルロースを解繊することによって得ることができる。微細繊維の平均繊維長と平均繊維径は、酸化処理、解繊処理により調整することができる。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
(酸化)
本発明において、変性セルロースとして酸化(カルボキシル化)したセルロースを用いる場合、酸化セルロース(カルボキシル化セルロースとも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法で酸化(カルボキシル化)することにより得ることができる。特に限定されるものではないが、酸化の際には、変性セルロースナノファイバーの絶乾質量に対して、カルボキシル基の量が0.6〜2.0mmol/gとなるように調整することが好ましく、1.0mmol/g〜2.0mmol/gになるように調整することがさらに好ましい。
本発明において、変性セルロースとして、カルボキシメチル化したセルロースを用いる場合、カルボキシメチル化したセルロースは、上記のセルロース原料を公知の方法でカルボキシメチル化することにより得てもよいし、市販品を用いてもよい。いずれの場合も、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル基置換度が0.01〜0.50となるものが好ましい。そのようなカルボキシメチル化したセルロースを製造する方法の一例として次のような方法を挙げることができる。セルロースを発底原料にし、溶媒として3〜20質量倍の水及び/又は低級アルコール、具体的には水、メタノール、エタノール、N−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、N−ブタノール、イソブタノール、第3級ブタノール等の単独、又は2種以上の混合媒体を使用する。なお、低級アルコールを混合する場合の低級アルコールの混合割合は、60〜95質量%である。マーセル化剤としては、発底原料の無水グルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属、具体的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用する。発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0〜70℃、好ましくは10〜60℃、かつ反応時間15分〜8時間、好ましくは30分〜7時間、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モル添加し、反応温度30〜90℃、好ましくは40〜80℃、かつ反応時間30分〜10時間、好ましくは1時間〜4時間、エーテル化反応を行う。
変性セルロースとして、前記カルボキシル化セルロースをさらにカチオン化したセルロースを使用することができる。当該カチオン変性されたセルロースは、前記カルボキシル化セルロース原料に、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリアルキルアンモニウムハイドライトまたはそのハロヒドリン型などのカチオン化剤と、触媒である水酸化アルカリ金属(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)を、水または炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって得ることができる。
変性セルロースとして、エステル化したセルロースを使用できる。当該セルロースは、前述のセルロース原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法により得られる。
本発明において、解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などの装置を用いて前記水分散体に強力なせん断力を印加することが好ましい。特に、効率よく解繊するには、前記水分散体に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。前記圧力は、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。また、高圧ホモジナイザーでの解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて、上記のCNFに予備処理を施すことも可能である。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
ゴム成分とはゴムの原料であり、架橋してゴムとなるものをいう。ゴム成分としては、天然ゴム用のゴム成分と合成ゴム用のゴム成分が存在する。天然ゴム用のゴム成分としては、例えば、化学修飾を施さない狭義の天然ゴム(NR);塩素化天然ゴム、クロロスルホン化天然ゴム、エポキシ化天然ゴム等の化学修飾した天然ゴム;水素化天然ゴム;脱タンパク天然ゴムが挙げられる。合成ゴム用のゴム成分としては、例えば、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム、イソプレン−ブタジエン共重合体ゴム等のジエン系ゴム;ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM、EPDM)、アクリルゴム(ACM)、エピクロロヒドリンゴム(CO、ECO)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(Q)、ウレタンゴム(U)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)等の非ジエン系ゴムが挙げられる。これらの中で、NBR、NR、SBR、クロロプレンゴム、BRが好ましい。ゴム成分は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
本発明においては、上記変性セルロースナノファイバー分散液と、上記ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する。
本発明の混合工程においては、インライン静止型流体混合装置を用いる。インライン静止型流体混合装置としては、スタティックミキサー、OHRミキサー、MSEスタティックミキサー等が挙げられ、長期間の運転後のミキサー内のラテックス凝集汚れの付着量や洗浄性の観点からスタティックミキサー、及びOHRミキサーを用いることがより好ましい。
実施例および比較例において、天然ゴムラテックスおよびCNF水分散液の混合物について、下記の通りCNF分散指数を算出し、下記基準に従って分散度の評価を行った。
実施例および比較例において得られたCNF水分散液と天然ゴムラテックスの混合物1gに、墨滴(株式会社呉竹製、固形分10%)を2適垂らし、ボルテックスミキサー(IUCHI社製、機器名:Automatic Lab−mixer HM-10H)の回転数の目盛りを最大に設定して1分間撹拌した。次に、墨滴を含有する上記混合物の膜厚が0.15mmになるように二枚のガラス板に挟み、光学顕微鏡(デジタルマイクロスコープKH−8700(株式会社ハイロックス製))を用いて倍率100倍で観察した。
なお、CNF濃度係数を、表1に示した。
○:CNF分散指数が1600未満
△:CNF分散指数が1600以上、6400未満
×:CNF分散指数が6400以上
なお、分散度の評価結果は、表2に示した。
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物をガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150MPa)で3回処理して、酸化セルロースナノファイバー水分散液を得た。得られた酸化セルロースナノファイバーは、平均繊維径が3nm、アスペクト比は250であった。
カルボキシル化セルロースの0.5質量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定し、電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出した:
カルボキシル基量〔mmol/gカルボキシル化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/カルボキシル化セルロース質量〔g〕
天然ゴムラテックス(商品名:HAラテックス、レヂテックス社、固形分濃度61.5質量%)の絶乾固形分100質量部に対して、上記製造例1で得られた酸化CNFの1%水分散液を絶乾相当で20質量部含むように配合し、インライン式の静止型流体混合装置であるスタティックミキサー(ノリタケカンパニーリミテド社製3/8−N30−232−F型を2基連結、処理流量10.9L/分)で1パス処理して混合物を得た。この混合物を、70℃の加熱オーブン中で15時間乾燥させることにより、マスターバッチを得た。なお、混合物を得た後に、スタティックミキサーの内部を目視で確認し、ラテックスの凝集物による汚れ具合を調査した。ラテックスの凝集物による汚れは見られず、良好な結果であった。
スタティックミキサーによる処理を3パス処理としたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
スタティックミキサーによる処理を10パス処理としたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
スタティックミキサーに代えて、OHRミキサー(株式会社OHR流体工学研究所製、MX−F8、処理流量3.9L/分)を用いて10パス処理したこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
スタティックミキサーに代えて、OHRミキサー(株式会社OHR流体工学研究所製、MX−F8、処理流量6.7L/分)を用いて10パス処理したこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
スタティックミキサーに代えて、インライン式の乳化分散機であるキャビトロン(株式会社ユーロテック製 CD1000、処理流量10.9L/分)を用いたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、混合物を得た後に、キャビトロン内部を目視確認し、ラテックスの凝集物による汚れ具合を調査した。ラテックスの凝集物による汚れが見られ、悪い結果であった。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
キャビトロンによる処理を3パス処理としたこと以外は比較例1と同様にして混合物を得た。また、混合物を得た後に、キャビトロン内部を目視確認し、ラテックスの凝集物による汚れ具合を調査した。ラテックスの凝集物による汚れが多く見られ、非常に悪い結果であった。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
スタティックミキサーを用いず、天然ゴムラテックスと酸化CNF1%水分散液とをそれぞれポンプを用いて同一の配管に処理流量が10.9L/分となるように導入し、通過させたこと以外は実施例1と同様にして混合物を得た。また、この混合物を用いたこと以外は実施例1と同様にマスターバッチおよび加硫ゴムシートを得て、引張強度、破断強度の測定を行った。結果を表2に示した。
Claims (4)
- 変性セルロースナノファイバーを含有するゴム組成物の製造方法であって、
変性セルロースナノファイバー分散液と、ゴム成分を含有するラテックスとをインライン静止型流体混合装置を用いて混合する混合工程を含む、ゴム組成物の製造方法。 - 前記変性セルロースナノファイバーが、酸化セルロースナノファイバーを含む請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記インライン静止型流体混合装置が、スタティックミキサーである請求項1または2記載のゴム組成物の製造方法。
- 前記インライン静止型流体混合装置が、OHRミキサーである請求項1または2記載のゴム組成物の製造方法。
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