JP6913891B1 - タイル施工方法及び接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工面の振動や線膨張に対する接着したタイルの耐久性を高めることができ、かつ接着剤層の耐汚染性に優れるタイル施工方法を提供する。【解決手段】タイル施工方法は、施工面に、硬化後の貯蔵弾性率が1.0MPa以上10MPa以下である接着剤組成物によりタイルを接着する。【選択図】図1

Description

本開示は、タイル施工方法及び接着剤組成物に関し、詳しくは、施工面にタイルを接着するタイル施工方法及び特定の特性を有する接着剤組成物に関する。
不陸を有する壁面等の施工面にタイルを張り付ける場合には、不陸調整用組成物を用いて不陸調整層を形成した後、タイルを接着することが行われる(特許文献1及び特許文献2参照)。不陸調整用組成物として、特許文献1には、硬化物の最大引張強さが0.6N/mm以上、破断時の伸び率が35%以上であるものが、特許文献2には、硬化物の最大引張強さが0.4〜2.0N/mm、破断時の伸び率が40〜200%であるものが開示されている。このような不陸調整用組成物を用いることにより、壁面にタイルを優れた密着性及び追従性にて張ることができるとされている。
特開2017−43975号公報 特開2013−32675号公報
しかし、発明者が研究開発を進めた結果得られた知見によると、特許文献1及び特許文献2に開示されている不陸調整用組成物と同じ引張強さ及び破断伸び率の硬化物を与える接着剤組成物を用いて、壁面へのタイルの接着を行った場合、壁面の地震等による振動や、日々の温度変化等による線膨張に起因して、接着したタイルが剥がれたり、割れたりすることがあり、耐久性に問題があった。加えて、タイルの接着に用いる接着剤組成物には、張り付けたタイル間の目地に露出した接着剤層への異物等の付着を抑制することができ、耐汚染性に優れることも要求される。
本開示の課題は、壁面等の施工面に接着したタイルの耐久性を高めることができ、かつ接着剤層の耐汚染性に優れるタイル施工方法、及び接着剤組成物を提供することにある。
本開示の一態様に係るタイル施工方法においては、施工面に、硬化後の23℃における貯蔵弾性率が1.5MPa以上10MPa以下である接着剤組成物によりタイルを接着する。接着剤組成物は、空気中の湿気で硬化する組成物及び熱で硬化する組成物の少なくとも一方である。
本開示の一態様に係る接着剤組成物は、JIS−A5557:2010に準拠して測定される接着強さが0.3N/mm以上かつ凝集破壊率が75%以上であり、硬化後の23℃における貯蔵弾性率が1.5MPa以上10MPa以下であり、空気中の湿気で硬化する組成物及び熱で硬化する組成物の少なくとも一方であり、タイルの接着に用いられる。
本開示によれば、壁面の振動や線膨張に対する接着したタイルの耐久性を高めることができ、かつ接着剤層の耐汚染性に優れるタイル施工方法、及び接着剤組成物を提供できる。
図1は、本開示の一実施形態に係るタイル施工方法により形成された壁構造の概略の断面図である。 図2は、面内せん断試験に用いる試験体の概略の断面図である。
本実施形態に係るタイル施工方法は、継ぎ目を有する施工面に、硬化後の貯蔵弾性率が1.0MPa以上10MPa以下である接着剤組成物(以下、組成物(X)ともいう)によりタイルを接着する。
本発明者らは、施工面へのタイルの接着において、地震等による振動や、日々の温度変化等による線膨張で施工面が変位することによってタイルに生じる応力と、接着剤組成物の硬化後の貯蔵弾性率との間に関連があることを見出した。すなわち、硬化後の貯蔵弾性率が10MPa以下であれば、タイルにかかる応力が十分に緩和されると考えられ、施工面の振動や線膨張等に起因する応力に耐え切れずにタイルが剥がれたり、割れたりすることを抑制することができ、結果的に接着したタイルの耐久性を高めることができる。硬化後の貯蔵弾性率が10MPaを超えると、施工面の振動や線膨張等に起因する応力の緩和が不十分となり、タイルに伝わる応力が大きくなり過ぎることがあると考えられ、接着したタイルの剥がれや割れを十分に抑制できなくなる恐れがある。特に継ぎ目を有する施工面では、変位による歪応力が継ぎ目部分に集中することから、応力緩和によるタイルの剥がれや割れの抑制効果は顕著となる。
また、本発明者らは、組成物(X)の硬化後の貯蔵弾性率と、形成される接着剤層の表面タック性や、異物等の付着性との間に関連があることを見出した。すなわち、硬化後の貯蔵弾性率が1.0MPa以上であれば、接着剤組成物の硬化物を含む接着剤層の表面タック性は低く、異物等の付着性も抑制され、良好な耐汚染性が得られる。硬化後の貯蔵弾性率が1MPa未満であると、接着剤層の表面タック性が大きくなり、異物等の付着を十分防止できなくなる恐れがある。
ここで「施工面」とは、タイルを貼り付け施工する対象となる建築物の構造面であって、具体的には、建物の内外壁面、床面、天井面、仕切り壁面等の建築物における表出面をいい、垂直壁面、傾斜壁面、水平壁面等を含む。また、施工面には、補修中のものも含まれる。
以下、施工面として壁面にタイルを施工する場合について説明する。
本実施形態に係るタイル施工方法では、例えばまず、壁面の全面又は一部に、組成物(X)を塗布する。組成物(X)を塗布する厚みは、例えば0.1mm以上5mm以下であり、1mm以上3mm以下であることが好ましい。次に、塗布した組成物(X)の面に、タイルを配置する。これにより、壁面−タイル接着体を得る。この場合、タイルの面に組成物(X)を塗布してもよく、塗布しなくてもよい。次いで、好ましくは、組成物(X)の硬化処理を行う。硬化処理は、組成物(X)が空気中の湿気で硬化する組成物の場合、壁面−タイル接着体を、所定の温度及び湿度条件下で所定時間養生することにより、また、組成物(X)が熱で硬化する組成物の場合、壁面−タイル接着体を所定の温度下で所定時間加熱することにより行う。このようにして、壁面にタイルを接着することができる。
本実施形態に係るタイル施工方法は、継ぎ目を有している壁面に適用することで、その効果が顕著となる。この場合、タイルを継ぎ目に重ねて接着してもよい。本実施形態に係るタイル施工方法によれば、組成物(X)を用いるので、壁面が継ぎ目を有する場合でも、壁面が継ぎ目部分で動いたときに組成物(X)で形成された接着剤層が好適に応力緩和するため、タイルが剥がれたり、割れたりすることを抑制することができる。すなわち結果として、接着したタイルの耐久性を高めることができる。ここで「継ぎ目」とは、二つのもの(壁下地材等)を継ぎ合わせた箇所を意味するが、例えば壁面のひび割れた箇所なども含まれる。継ぎ目において、継ぎ合わされた二つのものは互いに接していてもよく、互いに離れてそれらの間に隙間が存在してもよい。
継ぎ目は、シーリング材が充填されたシーリング部を含んでもよい。この場合、タイルをシーリング部に重ねて接着してもよい。本実施形態に係るタイル施工方法によれば、組成物(X)を用いるので、壁面がシーリング部を有する場合でも、シーリング部を跨いで接着したタイルの耐久性を高めることができ、例えば面内せん断試験において、シーリング部を跨いで接着したタイルの割れを抑制することができる。
本実施形態に係るタイル施工方法では、タイルを目地の間隔をあけて接着してもよい。この場合、目地をシールしても、しなくてもよい。本実施形態に係るタイル施工方法によれば、耐汚染性に優れる組成物(X)を用いることにより、タイル間の目地をシールしない場合でも、目地に露出した接着剤層への異物等の付着を抑制することができる。
本実施形態に係るタイル施工方法により形成される壁構造は、壁面と、前記壁面に形成された接着剤層と、前記接着剤層に固定されたタイルとを含む。前記接着剤層は、組成物(X)の硬化物を含む。
図1に、本実施形態に係るタイル施工方法により形成された壁構造1の一例の断面図を示す。この壁構造1は、壁下地材2と、壁下地材2間の継ぎ目に存在するシーリング部3と、壁下地材2及びシーリング部3に形成されている接着剤層4と、接着剤層4に固定された複数のタイル5とを含む。複数のタイル5は、互いに目地の間隔をあけて固定されている。接着剤層4は、組成物(X)の硬化物を含んでいる。接着剤層4は、少なくともシーリング部3に重ねて形成されている。タイル5は、接着剤層4を介してシーリング部3に重なっている。このような場合においても、組成物(X)を用いることにより、シーリング部を跨いで接着されたタイルの割れを抑制することができる。また、図1の壁構造1では、タイル間の目地6がシールされていないので、接着剤層4の一部は目地6に露出している。このような場合においても、耐汚染性に優れる組成物(X)を用いることにより、タイルの目地に露出した接着剤層への異物等の付着を抑制することができる。
壁下地材2としては、例えばサイディングボード、モルタル、石材等の多孔質パネルなどが挙げられる。シーリング部3を与えるシーリング材としては、例えばシリコーン系、ポリイソブチレン系、変成シリコーン系、ポリウレタン系等の各種シーリング材組成物などが挙げられる。タイル5としては、外装タイル、内装タイル、モザイクタイル、耐酸タイル等が挙げられる。
[接着剤組成物]
組成物(X)は、硬化後の貯蔵弾性率が1.0MPa以上10MPa以下である。
(貯蔵弾性率)
組成物(X)の硬化後の貯蔵弾性率は、1.0MPa以上10MPa以下である。貯蔵弾性率が10MPa以下であることで、例えば壁面の振動や線膨張に対する接着したタイルの耐久性を高めることができる。貯蔵弾性率は、8MPa以下であることが好ましく、6MPa以下であることがより好ましく、5MPa以下であることがさらに好ましい。また、貯蔵弾性率が1.0MPa以上であることで、例えば組成物(X)の硬化物の耐汚染性を優れたものとすることができる。貯蔵弾性率は、2MPa以上であることが好ましく、3MPa以上であることがより好ましく、4MPa以上であることがさらに好ましい。
ここで、組成物(X)の硬化後の貯蔵弾性率は、組成物(X)の硬化物について動的粘弾性試験を行うことにより得られる。動的粘弾性試験では、組成物(X)を硬化させて試験片を作製し、23℃における貯蔵弾性率(MPa)を測定する。なお、貯蔵弾性率の測定方法は、後掲の実施例の欄で説明する。
本実施形態では、後述するように、組成物(X)の組成により、このような貯蔵弾性率を実現することができる。
(破断伸び率)
組成物(X)の硬化後の破断伸び率は、80%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましく、120%以上であることがさらに好ましい。破断伸び率が80%以上であることで、接着剤層が壁面の振動や線膨張に起因する動きによる歪みに、より追従することができ、タイルの剥がれや割れをより抑制することができる。破断伸び率の上限値は、特に限定されないが、200%もあれば十分である。
ここで、組成物(X)の硬化後の破断伸び率は、組成物(X)の硬化物について引張試験を行うことにより得られる。引張試験では、組成物(X)を硬化させて試験片を作製し、JIS A5557 6.3.4 皮膜物性試験方法に準拠して、破断伸び率(%)を測定する。なお、破断伸び率の測定方法は、後掲の実施例の欄で説明する。
(引張強さ)
組成物(X)の硬化後の引張強さは、0.60N/mm以上であることが好ましく、0.80N/mm以上であることがより好ましく、0.90N/mm以上であることがさらに好ましい。引張強さが0.60N/mm以上であることで、接着剤層のタックの発生をより抑制することにより、異物の付着性がより低減し、耐汚染性をより向上させることができる。引張強さの上限値は、特に限定されないが、例えば1.50N/mmである。
ここで、組成物(X)の硬化後の引張強さは、組成物(X)の硬化物について引張試験を行うことにより得られる。引張試験では、組成物(X)を硬化させて試験片を作製し、JIS A5557 6.3.4 皮膜物性試験方法に準拠して、引張強さ(N/mm)を測定する。なお、引張強さの測定方法は、後掲の実施例の欄で説明する。
(接着強さ)
組成物(X)による接着強さは、0.3N/mm以上であることが好ましい。この場合、壁面に接着したタイルの耐久性をより向上させることができる。接着強さは、0.6N/mm以上であることがより好ましく、0.7N/mm以上であることがさらに好ましく、0.8N/mm以上であることが特に好ましい。
(凝集破壊率)
組成物(X)による凝集破壊率は、75%以上であることが好ましい。この場合、壁面に接着したタイルの耐久性をより向上させることができる。凝集破壊率は、85%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましく、100%であることが特に好ましい。
ここで、組成物(X)による接着強さ及び凝集破壊率は、JIS−A5557:2010に準拠した接着強さ試験により測定される値である。なお、接着強さ及び凝集破壊率の測定方法は、後掲の実施例の欄で説明する。
組成物(X)としては、その硬化方法により、空気中の湿気で硬化する組成物(以下、組成物(X1)ともいう)、熱で硬化する組成物(以下、組成物(X2)ともいう)が挙げられる。組成物(X1)は空気中の湿気により硬化させることができるので、これによって、現場でのより簡便な施工が可能になる。組成物(X2)は、加熱により硬化させることができるので、より短時間での施工が可能になる。
[空気中の湿気で硬化する組成物(X1)]
組成物(X1)としては、例えば架橋性シリル基を有する重合体(以下、重合体(A)ともいう)を含有する組成物(以下、組成物(X11)ともいう)等が挙げられる。
組成物(X11)は、重合体(A)の他に、例えば密着性付与剤(B)、エポキシ化合物用硬化剤(C)、可塑剤(D)、充填材(E)、触媒(F)、添加剤(G)等を含有してもよい。
(重合体(A))
重合体(A)は、架橋性シリル基を有する。架橋性シリル基とは、ケイ素原子と、ケイ素原子に結合している加水分解性基とを有する基である。一つの架橋性シリル基において、一つのケイ素原子に、例えば1〜3個の加水分解性基が結合されている。加水分解性基としては、例えば水素原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基等が挙げられる。加水分解性基はアルコキシ基を含むことが好ましい。すなわち、架橋性シリル基はアルコキシシリル基を含むことが好ましい。
アルコキシシリル基としては、例えばトリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;ジメトキシメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基等のジアルコキシシリル基;メトキシジメチルシリル基、エトキシジメチルシリル基等のモノアルコキシシリル基などが挙げられる。アルコキシシリル基は、ジアルコキシシリル基及びトリアルコキシシリル基の少なくとも一方を含むことが好ましく、ジメトキシメチルシリル基及びトリメトキシシリル基の少なくとも一方を含むことがより好ましい。
重合体(A)は、架橋性シリル基を有するのであれば、種々の骨格を有してもよい。重合体(A)は、例えばポリオキシレン骨格、ビニル変性ポリオキシレン骨格、ポリ(メタ)アクリレート骨格、ビニル系重合体を含む骨格、ポリエステル骨格等を有してもよい。重合体(A)の骨格はオルガノシロキサンを含んでもよい。
重合体(A)は、ポリオキシレン骨格及びポリ(メタ)アクリレート骨格の少なくとも一方を有することが好ましい。すなわち、重合体(A)は、ポリオキシレン骨格を有する重合体(A1)及びポリ(メタ)アクリレート骨格を有する重合体(A2)の少なくとも一方を含むことが好ましい。この場合、組成物(X11)は、シーリング部等との接着性がより高くなりやすい。特に重合体(A)がポリ(メタ)アクリレート骨格を有する重合体(A2)である場合には、組成物(X11)及びその硬化物はより良好な耐候性及び耐UV性を有しやすい。なお、(メタ)アクリレート骨格は、アクリレート骨格及びメタクリレート骨格の少なくとも一方からなる。組成物(X11)は、重合体(A1)及び重合体(A2)の両方を含有してもよい。
(重合体(A1))
重合体(A1)は、例えばポリオキシレン骨格と、ポリオキシレン骨格に結合している架橋性シリル基とを有する。重合体(A1)は、一分子あたり少なくとも1個の架橋性シリル基を有する。架橋性シリル基は、ポリオキシレン骨格の途中に側鎖として結合してもよく、ポリオキシレン骨格の末端に結合していてもよい。架橋性シリル基は、ポリオキシレン骨格の末端にウレタン結合等を介して結合していてもよい。
ポリオキシレン骨格としては、例えばポリオキシアルキレン骨格、ポリオキシアリーレン骨格等が挙げられる。ポリオキシレン骨格は、例えば−(R−O)n−という式で表される。Rは例えばアルキレン基、アリーレン基であり、アルキレン基の炭素数は例えば1以上14以下、アリーレン基の炭素数は例えば6以上14以下である。nは2以上の自然数である。一つのポリオキシレン骨格中の複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。
ポリオキシレン骨格は、例えばエチレンオキサイド単位、プロピレンオキサイド単位、ブチレンオキサイド単位、テトラメチレンオキサイド単位、フェニレンオキサイド単位等の構成単位を有する。
ポリオキシレン骨格は、出発原料にエチレングリコールを用いた2官能のもの(直鎖状ポリオキシレン骨格)、及び出発原料に2−ヒドロキシメチルプロパン−1,3−ジオールを用いた3官能のもの(分岐状ポリオキシレン骨格)の少なくとも一方を含むことが好ましい。
重合体(A1)の重量平均分子量は、8000以上25000以下であることが好ましい。重量平均分子量が8000以上であることで、組成物(X11)の硬化物はより良好な柔軟性を有しやすい。また、重量平均分子量が25000以下であることで、組成物(X11)の粘度が大きくなりにくく、そのため組成物(X11)の塗布性が良好になりやすい。重量平均分子量は15000以上20000以下であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による測定結果からスチレン換算で得られる値である。
(重合体(A2))
重合体(A2)は、ポリ(メタ)アクリレート骨格と、ポリ(メタ)アクリレート骨格に結合している架橋性シリル基とを有する。重合体(A2)は、一分子あたり少なくとも1個の架橋性シリル基を有する。架橋性シリル基は、ポリ(メタ)アクリレート骨格の途中に側鎖として結合してもよく、ポリ(メタ)アクリレート骨格の末端に結合していてもよい。ポリ(メタ)アクリレート骨格の一方の末端に1個の架橋性シリル基が結合し、かつ側鎖に1個以上の架橋性シリル基が結合していることが好ましい。ポリ(メタ)アクリレート骨格の両末端のみに架橋性シリル基が結合している場合は後架橋の影響を受けて硬化物が硬くなりやすく、ポリ(メタ)アクリレート骨格の側鎖のみに架橋性シリル基が結合している場合はアクリル側鎖の加水分解により硬化物の強度低下を引き起こす可能性がある。
ポリ(メタ)アクリレート骨格は、(メタ)アクリル化合物を含む不飽和単量体が重合した構造を有する。(メタ)アクリル化合物は、アクリル化合物及びメタクリル化合物の少なくとも一方からなる。(メタ)アクリル化合物としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸トリシクロデシニル等の(メタ)アクリル酸脂環式アルキル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸芳香族エステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸クロロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン付加反応物等のヘテロ原子含有(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。なお、(メタ)アクリル化合物が含みうる成分は前記のみには制限されない。
ポリ(メタ)アクリレート骨格を構成する不飽和単量体は、(メタ)アクリル化合物のみを含んでもよく、(メタ)アクリル化合物とそれ以外の単量体とを含んでもよい。(メタ)アクリル化合物以外の単量体としては、例えばスチレン、インデン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステル基を持つ化合物;無水マレイン酸、N−ビニルピロリドン、N−ビニルモルホリン、メタクリロニトリル、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−ベンジルマレイミド;n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、tert−アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4−ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン−1,4−ジオール−ジビニルエーテル、ヘキサン−1,6−ジオール−ジビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール−ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4−ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4−ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテル等のビニロキシ基を持つ化合物などが挙げられる。
重合体(A2)の重量平均分子量は、10000以上70000以下であることが好ましい。重量平均分子量が10000以上であることで組成物(X11)の硬化物はより良好な柔軟性を有しやすい。また、重量平均分子量が70000以下であることで、組成物(X11)の粘度が大きくなりにくく、そのため組成物(X11)の塗布性が良好になりやすい。重量平均分子量は20000以上60000以下であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による測定結果からスチレン換算で得られる値である。
重合体(A)の一分子当たりの架橋性シリル基の数は、1.3個以上であることが好ましい。この場合、硬化後の重合体(A)分子間の架橋度がより高くなり、組成物(X11)の硬化後の貯蔵弾性率及び引張強さをより高めることができる。架橋性シリル基の数は、1.5個以上であることがより好ましく、2.0個以上であることがさらに好ましい。架橋性シリル基の数の上限値は、特に限定されないが、例えば3個である。
重合体(A)は、ポリオキシレン骨格及びポリ(メタ)アクリレート骨格の少なくとも一方と、1分子中に1.3個以上の架橋性シリル基とを有する重合体(A1)を含むことが好ましい。
組成物(X11)全体に対する重合体(A)の割合は、10質量%以上50質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X11)の空気中の湿気による硬化性をより向上させることができる。重合体(A)の割合は、15質量%以上40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以上35質量%以下であることがさらに好ましい。
(密着性付与剤(B))
密着性付与剤(B)は、組成物(X11)の密着性を高めるための物質である。組成物(X11)は、密着性付与剤(B)を含有することで、接着性をより向上させることができる。
密着性付与剤(B)としては、例えばエポキシ化合物、アミノシラン化合物、トリアジン系化合物、イミダゾール系化合物等が挙げられる。密着性付与剤(B)は、エポキシ化合物及びアミノシラン化合物の少なくとも一方を含むことが好ましい。すなわち、組成物(X11)は、エポキシ化合物及びアミノシラン化合物の少なくとも一方を含有することが好ましい。
(エポキシ化合物)
エポキシ化合物は、一分子中に少なくとも一つのエポキシ基を有する。組成物(X11)は、密着性付与剤(B)としてのエポキシ化合物を含有することで、硬化物の接着性をより向上させることができる。エポキシ化合物としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)骨格エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、長鎖脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂などのエポキシ樹脂;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシランなどが挙げられる。エポキシ樹脂は、一分子中に2つ以上のエポキシ基を有する化合物である。なお、エポキシ化合物に含まれる成分は前記のみには制限されない。
重合体(A1)100質量部に対するエポキシ化合物の割合は、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。この場合、組成物(X11)の硬化物の柔軟性をより向上させることができる。エポキシ化合物の割合は、0.5質量部以上6質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上4質量部以下であることがさらに好ましい。
(アミノシラン化合物)
アミノシラン化合物は、アミノ基を有するシラン化合物である。組成物(X11)は、密着性付与剤(B)としてのアミノシラン化合物を含有することで、硬化物の接着性をより向上させることができる。また、密着性付与剤(B)としてアミノシラン化合物を用いることにより、組成物(X11)がエポキシ化合物を含有しないようにすることができ、温水浸漬した場合の組成物(X11)の硬化物の貯蔵弾性率の変化を抑制することができる。アミノシラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
重合体(A1)100質量部に対するアミノシラン化合物の割合は、0.1質量部以上6質量部以下であることが好ましい。この場合、組成物(X11)の硬化物の柔軟性をより向上させることができる。アミノシラン化合物の割合は、0.5質量部以上4質量部以下であることがより好ましく、1質量部以上3質量部以下であることがさらに好ましい。
(エポキシ化合物用硬化剤(C))
硬化剤(C)は、エポキシ化合物を硬化させることができる化合物であれば、特に限定されない。組成物(X11)は、例えば密着性付与剤(B)としてエポキシ化合物を含有する場合、硬化剤(C)を含有することが好ましい。組成物(X11)は、硬化剤(C)を含有することで、空気中の湿気による硬化性をより向上させることができる。
硬化剤(C)としては、例えばケチミン化合物、フェノール系硬化剤、酸無水物類、アミン類、イミダゾール類、ヒドラジド類、ポリメルカプタン類、ルイス酸−アミン錯体等が挙げられる。硬化剤(C)は、ケチミン化合物を含むことが好ましい。すなわち、組成物(X11)は、エポキシ化合物及びケチミン化合物を含有することが好ましい。この場合、組成物(X11)は、保管時の変質をより抑制することができる。
ケチミン化合物は、ケチミン構造を有する化合物である。ケチミン化合物は、例えば一級アミノ基を有するアミン化合物とケトン化合物との脱水縮合反応により合成される。
ケチミン化合物は、そのままではエポキシ化合物と反応しにくいが、ケチミン化合物は加水分解して一級アミンを生成し、この一級アミンがエポキシ化合物と反応することで、組成物(X11)が硬化する。このため、組成物(X11)の保管時には組成物(X11)の硬化反応は進行しにくく、そのため、組成物(X11)の一液化が可能である。
ケチミン化合物は、加水分解性シリル基を有するケチミン化合物、及び加水分解性シリル基を有さないケチミン化合物の少なくとも一方を含むことができる。ケチミン化合物が特に加水分解性シリル基を有するケチミン化合物を含む場合、重合体(A)の架橋性シリル基とケチミン化合物の架橋性シリル基とが反応して架橋構造を形成できる。そのため、組成物(X11)の硬化性が高くなる。ただし、重合体(A)とケチミン化合物との間に架橋構造が形成されなくても組成物(X11)が十分な硬化性を有すれば、ケチミン化合物は、加水分解性シリル基を有するケチミン化合物を必ずしも含まなくてもよい。
加水分解性シリル基を有するケチミン化合物は、例えば少なくとも一つの架橋性シリル基及び少なくとも一つの一級アミノ基を有するアミン化合物と、ケトン化合物との脱水縮合反応により合成される。アミン化合物は、例えばX−R”−NHという構造を有する。Xは架橋性シリル基である。R”は2価の炭化水素基である。R”の炭素数は例えば1以上10以下である。ケトン化合物としては、例えばシクロペンタノン、トリメチルシクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、トリメチルシクロヘキサノン等の環状ケトン;アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−tert−ブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン等の脂肪族ケトン;アセトフェノン、ベンゾフェノン、プロピオフェノン等の芳香族ケトンなどが挙げられる。
加水分解性シリル基を有さないケチミン化合物としては、例えば2,5,8−トリアザ−1,8−ノナジエン、2,10−ジメチル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、2,10−ジフェニル−3,6,9−トリアザ−2,9−ウンデカジエン、3,11−ジメチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、3,11−ジエチル−4,7,10−トリアザ−3,10−トリデカジエン、2,4,12,14−テトラメチル−5,8,11−トリアザ−4,11−ペンタデカジエン、2,4,20,22−テトラメチル−5,12,19−トリアザ−4,19−トリエイコサジエン、2,4,15,17−テトラメチル−5,8,11,14−テトラアザ−4,14−オクタデカジエン等が挙げられる。なお、加水分解性シリル基を有さないケチミン化合物に含まれる成分は前記のみには制限されない。
密着性付与剤(B)としてのエポキシ化合物のエポキシ基に対するケチミン化合物のケチミン構造のモル比は、0.4以上0.8以下であることが好ましい。この場合、温水浸漬した場合の組成物(X11)の硬化物の貯蔵弾性率の変化を抑制することができる。なお、エポキシ化合物のエポキシ基に対するケチミン化合物のケチミン構造のモル比(ケチミンmol部数/エポキシ基mol部数)とは、エポキシ化合物のエポキシ基に対する、ケチミン化合物がすべて加水分解した場合に生じる第一アミンが有する一級アミノ基のモル比であるともいえる。このモル比は、0.45以上0.75以下であることがより好ましく、0.45以上0.6以下であることがさらに好ましい。なお、エポキシ化合物が異なる複数種のエポキシ化合物を含む場合、エポキシ化合物のエポキシ基とは、複数種のエポキシ化合物のエポキシ基の総数である。また、ケチミン化合物が、異なる複数種のケチミン化合物を含む場合、ケチミン化合物のケチミン構造とは、複数種のケチミン化合物のケチミン構造の総数である。これらのことから、異なる複数種のエポキシ化合物及びケチミン化合物を含む場合であっても、エポキシ化合物のエポキシ基に対するケチミン化合物のケチミン構造のモル比を算出することが可能である。
(可塑剤(D))
組成物(X11)は、可塑剤(D)を含有してもよい。組成物(X11)は、可塑剤(D)を含有することにより、硬化物の柔軟性をより向上させることができる。また、組成物(X11)は、可塑剤(D)を含有することにより、粘度を下げることができ、そのため、塗布性を向上させることができる。
可塑剤(D)としては、例えばリン酸エステル、フタル酸エステル、脂肪族一塩基酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、ポリアルキレングリコール、脂肪族エステル、エポキシ可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリエーテル、ポリスチレン、(メタ)アクリル重合体等が挙げられる。
フタル酸エステルとしては、例えばフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジノルマルヘキシル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソウンデシル、フタル酸ビスブチルベンジル等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
(メタ)アクリル重合体は、アクリル化合物及びメタクリル化合物の少なくとも一方を含む不飽和単量体の重合体である。(メタ)アクリル重合体としては、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等を含む不飽和単量体の重合体などが挙げられる。不飽和単量体は、アクリル化合物及びメタクリル化合物の少なくとも一方のみを含んでもよく、これら以外のビニル系単量体等を含んでいてもよい。
可塑剤(D)は、架橋性シリル基を有してもよく、有していなくてもよい。
可塑剤(D)は、重量平均分子量が1000以上5000以下であるポリプロピレングリコール及び(メタ)アクリル重合体の少なくとも一方を含むことが好ましい。この場合、組成物(X11)の低粘度化及び硬化物の柔軟性向上が、より実現しやすい。さらに、可塑剤(D)は水に溶出しにくくなり、そのため硬化物が水に曝されても硬化物が脆くなりにくい。重量平均分子量が1000以上であることで可塑剤(D)が水に特に溶出しにくくなる。また、重量平均分子量が5000以下であることで、組成物(X11)の低粘度化及び硬化物の柔軟性向上が、さらに実現しやすい。この重量平均分子量は1500以上4000以下であることがより好ましく、2000以上3000以下であることがさらに好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)による測定結果からスチレン換算で得られる値である。
重合体(A1)100質量部に対する可塑剤(D)の割合は、30質量部以上80質量部以下であることが好ましい。この割合が30質量部以上であることで組成物(X11)の低粘度化及び硬化物の柔軟性向上が、特に実現しやすい。また、この割合が80質量部以下であることで、組成物(X11)のより良好な硬化性が確保されやすい。この割合は、40質量部以上75質量部以下であることがより好ましく、45質量部以上60質量部以下であることがさらに好ましい。
(充填材(E))
組成物(X11)は、充填材(E)を含有してもよい。組成物(X11)は、充填材(E)の量を調整することで、その流動性を制御することができ、例えば接着剤組成物により適した流動性とすることができる。また、充填材(E)は顔料を含んでもよい。その場合、顔料によって組成物(X11)及び硬化物を着色することができる。
充填材(E)としては、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、シリカ、ヒュームドシリカ、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、ガラスバルーン等が挙げられる。充填材(E)は、分散性改善のため、脂肪酸処理や疎水化などの表面処理を行ってもよい。
重合体(A)100質量部に対する充填材(E)の割合は、50質量部以上300質量部以下であることが好ましく、100質量部以上200質量部以下であることがより好ましい。
(触媒(F))
組成物(X11)は、架橋性シリル基の反応を促進させる触媒(F)を含有してもよい。触媒(F)としては、例えば1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレートビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル酸オキサイド、アルコキシシリル基を有する錫化合物、スタナスオクトエート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ナフテン酸錫等の有機錫化合物;ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のチタン酸エステル;アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チタンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物;オクチル酸鉛;ジブチルアミン−2−エチルヘキソエートなどが挙げられる。
重合体(A)100質量部に対する触媒(F)の割合は、0.01質量部以上1質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましい。
(添加剤(G))
組成物(X11)は、添加剤(G)として、前記以外の成分を含有してもよい。添加剤(G)としては、例えば脱水剤、光安定剤、紫外線吸収剤、骨材、酸化防止剤、タレ防止剤、溶剤、香料等が挙げられる。
組成物(X11)が光安定剤及び紫外線吸収剤の少なくとも一方を含有すると、組成物(X11)及びその硬化物の耐光性及び耐UV性が高まりやすい。光安定剤としては、例えばビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダートアミン系光安定剤(HALS)等が挙げられる。紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
組成物(X1)を硬化させる条件は、例えば温度0℃以上50℃以下、湿度20%RH以上100%RH以下、時間1時間以上1年以下であり、温度20℃以上30℃以下、湿度40%RH以上70%RH以下、時間20日以上40日以下であることが好ましい。
[熱で硬化する組成物(X2)]
組成物(X2)としては、例えば熱硬化性樹脂(以下、樹脂(P)ともいう)を含有する組成物(以下、組成物(X21)ともいう)等が挙げられる。
組成物(X21)は、樹脂(P)の他に、例えばエポキシ樹脂用硬化剤(Q)等を含有してもよい。
(樹脂(P))
樹脂(P)は、熱硬化性樹脂である。樹脂(P)としては、例えばエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。
組成物(X21)全体に対する樹脂(P)の割合は、10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。この場合、組成物(X21)の熱による硬化性をより向上させることができる。樹脂(P)の割合は、20質量%以上60質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上50質量%以下であることがさらに好ましい。
樹脂(P)は、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。この場合、組成物(X21)は、接着性をより向上させることができる。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、一分子中に2つ以上のエポキシ基を有する。エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、メタキシレンジアミンやヒダントインなどをエポキシ化した含窒素エポキシ樹脂、ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂、NBR(アクリロニトリル−ブタジエン共重合体)骨格エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、長鎖脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂などが挙げられる。なお、エポキシ樹脂に含まれる成分は前記のみに制限されない。
エポキシ樹脂は、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、ポリブタジエン骨格エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、長鎖脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも一種のエポキシ樹脂を含むことが好ましい。この場合、組成物(X21)は、硬化前は液状の性状とすることができ、かつエポキシ樹脂としてビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いた場合に比べて、硬化物がより可撓性を有するものとすることができる。
(エポキシ樹脂用硬化剤(Q))
組成物(X21)は、例えば樹脂(P)がエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂用硬化剤(Q)を含有することが好ましい。この場合、組成物(X21)の熱による硬化性をより向上させることができる。
硬化剤(Q)としては、例えばアミン系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、チオール系硬化剤等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、例えばジシアンジアミド、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン;m−キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミン;イソホロンジアミン、メンセンジアミン等の脂環族ポリアミン;ポリアミドなどが挙げられる。
イソシアネート系硬化剤としては、例えばキシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、n−ペンタン−1,4−ジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;これらのブロックイソシアネートなどが挙げられる。
イミダゾール系硬化剤としては、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等が挙げられる。
フェノール系硬化剤としては、例えばレゾール型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等が挙げられる。
酸無水物系硬化剤としては、例えばヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等の脂環族酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の芳香族酸無水物などが挙げられる。
チオール系硬化剤としては、例えばエステル結合型チオール化合物、脂肪族エーテル結合型チオール化合物、芳香族エーテル結合型チオール化合物等が挙げられる。
硬化剤(Q)は、1液性のエポキシ樹脂に用いられる潜在性硬化剤を含むことが好ましい。潜在性硬化剤とは、その潜在性硬化剤をエポキシ樹脂と混合した状態であっても、常温付近の温度を適用している間は実質的に硬化が進まず、所定温度以上の温度へ加熱した場合に初めて硬化の進行が認められる種類の硬化剤である。エポキシ樹脂用の潜在性硬化剤としては、例えば変性アミン系潜在性硬化剤等が挙げられる。変性アミン系潜在性硬化剤としては、例えばエポキシ化合物にアミン化合物を付加させたエポキシ化合物付加アミン化合物、ポリアミン系フェノール塩等が挙げられる。
硬化剤(Q)は、変性アミン系潜在性硬化剤及びブロックイソシアネートの少なくとも一方を含むことが好ましく、変性アミン系潜在性硬化剤及びブロックイソシアネートの両方を含むことがより好ましい。この場合、組成物(X21)の熱による硬化性をより向上させることができる。
エポキシ樹脂100質量部に対する硬化剤(Q)の割合は、50質量部以上300質量部以下であることが好ましく、100質量部以上150質量部以下であることがより好ましい。
組成物(X21)は、前記成分の他に、例えば組成物(X11)が含有してもよい成分として挙げた可塑剤(D)、充填材(E)、添加剤(G)等を含有してもよい。
組成物(X21)が充填材(E)を含有する場合、樹脂(P)100質量部に対する充填材(E)の割合は、0.1質量部以上100質量部以下であることが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。
組成物(X2)を硬化させる条件は、例えば温度が80℃以上200℃以下、時間が1分以上1日以下であり、温度が80℃以上120℃以下、時間が30分以上2時間以下であることが好ましい。
組成物(X)は、外装タイル、内装タイル等のタイルの接着用に好適に用いることができる。
以下、本開示を実施例によって具体的に説明するが、本開示は実施例に限定されない。
1.組成物の調製
表1の「組成」の欄に示す原料を混合して、組成物を調製した。原料の詳細は下記の通りである。なお、表1に示す原料の配合量は、質量部で示されている。
−重合体1:分岐状ポリオキシレン骨格と架橋性シリル基とを有する重合体。AGC社製、品名エクセスター ES−S3430。重量平均分子量17000。一分子中の架橋性シリル基の平均個数2.2個。
−重合体2:ポリ(メタ)アクリレート骨格と架橋性シリル基とを有する重合体(一末端一側鎖ジメトキシシリル基置換ポリ(メタ)アクリル樹脂)。綜研化学社製。開発品番NE4003DD6。重量平均分子量51000。一分子中の架橋性シリル基の平均個数2個。
−重合体3:直鎖状ポリオキシレン骨格と架橋性シリル基とを有する重合体。AGC社製。品名エクセスター ES−S4530。重量平均分子量18000。一分子中の架橋性シリル基の平均個数1.5個。
−重合体4:直鎖状ポリオキシレン骨格と架橋性シリル基とを有する重合体。AGC社製。品名エクセスター ES−2410。重量平均分子量17000。一分子中の架橋性シリル基の平均個数1.2個
−エポキシ化合物1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂。DIC社製。品名エピクロン850S、エポキシ当量188。
−エポキシ化合物2:エポキシシラン。信越化学工業社製。品番KBM403。エポキシ当量236.3。
−ケチミン化合物1:架橋性シリル基を有するケチミン化合物。N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン。JNC社製。品名サイラエースS340。加水分解後の1級アミン当量303g/mol。
ケチミン化合物2:2価ケチミン化合物。日東化成社製。品名エボニットK100。加水分解後の1級アミン当量209g/mol。
−アミノシラン化合物:3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン 信越化学工業社製。品番KBM603。
−可塑剤1:ポリプロピレングリコール。AGC社製。品名エクセノール3020。
−可塑剤2:(メタ)アクリル重合体。東亞合成社製。品番UP1000。
−充填材1:軽質炭酸カルシウム。白石工業社製。品名CCR。
−充填材2:重質炭酸カルシウム。白石工業社製。品名ホワイトン305。
−充填材3:ヒュームドシリカ。日本アエロジル社製。品名RY200。
−触媒:錫触媒、日東化成社製、品番U220H。
−エポキシ樹脂1:水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂。三菱ケミカル社製。品名jER YX8000。エポキシ当量205。
−エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂。DIC社製。品名エピクロン850S、エポキシ当量188。
−変性アミン系潜在性硬化剤:ポリアミン系フェノール塩。ADEKA社製。EH−5030S。
−ブロックイソシアネート:三井化学社製。品名タケネートB−7010K。
2.壁面の施工
壁面全面に、組成物を厚み1.5mmで均一に塗布した後、塗布した組成物の面に、タイルを配置して固定し接着させた。得られた壁面−タイル接着体について、湿気硬化組成物では23℃、50%RHで28日間養生処理を行い、熱硬化組成物では100℃で60分硬化処理を行い、壁面にタイルを接着させた。
3.評価
(1)貯蔵弾性率
組成物を用い、厚み1.5mmの塗膜を作製し、この塗膜について、湿気硬化組成物では23℃、50%RHで28日間養生処理を行い、熱硬化組成物では100℃で60分硬化処理を行った。硬化処理後の塗膜から、幅5mm、長さ30mm〜40mmの試験片を作製した。動的粘弾性測定装置(セイコーインスツル社製、DMS6100)を用い、下記に示す条件で、この試験片の23℃における貯蔵弾性率を測定した。
モード:引張
測定長さ:20mm
測定温度範囲:0℃〜30℃
昇温速度:5℃/min設定
SS設定:スタート、エンド 50mN
歪振幅:10μm
最小張力:50mN
張力 ゲイン:1.2
周波数:1Hz
力振幅初期値:50mN
クリープ:0
(2)破断伸び率、引張強さ
破断伸び率及び引張強さは、JIS A5557(2010)に準拠して測定した。組成物から、厚み約1.5mmの塗膜を作製し、この塗膜について、湿気硬化組成物では23±2℃、50%±10RHで28日間養生処理し、熱硬化組成物では100℃で60分間硬化処理を行った。硬化処理後の塗膜から、引張6号ダンベル形の試験片を作製した。この試験片について、引張試験機(島津製作所社製、型番AGS−X)を用い、JIS A5557 6.3.4 皮膜物性測定方法に従い、100mm/minの引張速度で引張試験を行った。その測定結果から、以下の式により、破断伸び率及び引張強さを求めた。
破断伸び率(%)=(破断時の標線間距離(mm)−標線間距離(mm))×100/標線間距離(mm)
引張強さ(N/mm)=最大荷重(N)/試験片の元の断面積(mm
(3)面内せん断試験
面内せん断試験に用いた試験体101の構造を図2に示す。試験体101は、以下の手順で作製した。高さ3000mm×幅1600mmの壁下地材パネル102を、幅10mmのシーリング材103(横浜ゴム社製、品番ハマタイトSC−MS1NB−LM)で繋ぎとめて、壁下地を作製した。壁下地材パネル102及びシーリング材103上に、接着剤組成物を厚み1.5mmで均一に塗布した後、塗布された接着剤組成物104上に、目地幅5mmの間隔でシーリング部に半分かかるようにタイル105を配置し接着した。この試験体について、湿気硬化組成物では23±2℃、50%±10RHで28日間養生し、熱硬化組成物では100℃で60分間硬化処理を行った。面内せん断試験において、硬化処理後の試験体101を、1/100rad相当(最大目地ずれ4.5mm)まで荷重をかけて変形させた後、タイルの割れの有無を確認した。タイルの割れがない場合は「OK」と、タイルの割れがある場合は「NG」と評価した。
(4)汚染性試験
接着剤組成物を、壁下地材に厚み1.5mmで均一に塗布した後、湿気硬化組成物では23±2℃、50±10%RHで28日間養生し、熱硬化組成物では100℃で60分間硬化処理を行い、硬化物の塗膜を形成させた。この塗膜の表面に、200メッシュの篩をかけた火山灰を散布した後、刷毛を用いて火山灰の除去を行った。火山灰を除去できた場合は「OK」と、除去できない場合は「NG」と評価した。
(5)接着強さ試験
壁下地材に対するタイルの接着強さの測定を、JIS A5557(2010)に準拠して行った。
(i)試験体は以下の(a)〜(e)の手順により作製した。
(a)壁下地材として、下地外装材シーラー板(70mm×70mm×厚み16mm)又はJIS A5557 6.2 試験に用いる材料、用具などに規定するモルタル板(70mm×70mm×厚み20mm)を用いた。
(b)タイルとして、JIS A5209に規定する外装モザイクタイルを用いた。タイルサイズは、45mm×45mmとした。ただし、タイルの裏足の高さは0.5mm程度、又は裏足無しとした。
(c)壁下地材に接着剤組成物を厚み1.5mmで均一に塗布した後、タイルを壁下地材の中央部に接着し、壁下地材−タイル接着体を得た。
(d)得られた接着体について、湿気硬化組成物では23±2℃、50±10%RHで28日間養生処理し、熱硬化組成物では100℃で60分間硬化処理を行った。
(e)硬化処理後の接着体のタイル側に接着試験用鉄片を取り付け、タイルの周囲にカッターナイフ等でカット(下地材に達する切込み)を入れて、試験体を得た。
(ii)引張接着試験は、以下の(f)〜(i)の手順により行った。
(f)作製した試験体について、引張速度3mm/minで引張試験を行い、破壊するまでの最大引張荷重を測定した。
(g)引張接着強さを下記式により求めた。
接着強さ(N/mm)=最大引張荷重(N)/破断面全体の面積(タイルの面積(45mm×45mm)(mm))
(h)凝集破壊率を以下のようにして求めた。
破壊面を観察し、破壊の位置を、B(タイル)、AB(接着剤とタイル界面)、A(接着剤)、GA(下地材と接着剤界面)及びG(下地材)に区分した。
凝集破壊率を下記式により求めた。
凝集破壊率(%)=(A+G+Bの面積)×100/破壊面全体の面積(タイルの面積(45mm×45mm)(mm))
(i)接着強さが、0.3N/mm以上、かつ凝集破壊率が75%以上の場合は「OK」と、接着強さが0.3N/mm未満又は凝集破壊率が75%未満の場合は「NG」と評価した。
評価結果を表1に示す。
Figure 0006913891
1 壁構造
2 壁下地材
3 シーリング部
4 接着剤層
5 タイル
6 目地

Claims (10)

  1. 施工面に、硬化後の23℃における貯蔵弾性率が1.5MPa以上10MPa以下である接着剤組成物によりタイルを接着するタイル施工方法であって、
    前記接着剤組成物が、空気中の湿気で硬化する組成物及び熱で硬化する組成物の少なくとも一方であるタイル施工方法。
  2. 前記施工面が継ぎ目を有し、
    前記タイルを前記継ぎ目に重ねて接着する請求項1に記載のタイル施工方法。
  3. 前記継ぎ目にはシーリング材が充填されたシーリング部が形成されており、
    前記タイルを前記シーリング部に重ねて接着する請求項2に記載のタイル施工方法。
  4. 前記タイルを目地の間隔をあけて施工面に接着し、前記目地に前記接着剤組成物の硬化物が露出する請求項1から3のいずれか一項に記載のタイル施工方法。
  5. 前記接着剤組成物のJIS−A5557:2010に準拠して測定される接着強さが0.3N/mm以上であり、かつ凝集破壊率が75%以上である請求項1から4のいずれか一項に記載のタイル施工方法。
  6. JIS−A5557:2010に準拠して測定される接着強さが0.3N/mm以上かつ凝集破壊率が75%以上であり、硬化後の23℃における貯蔵弾性率が1.5MPa以上10MPa以下であり、
    空気中の湿気で硬化する組成物及び熱で硬化する組成物の少なくとも一方であり、
    タイルの接着に用いられる接着剤組成物。
  7. 架橋性シリル基を有する重合体を含有し、
    前記重合体が、ポリオキシレン骨格及びポリ(メタ)アクリレート骨格の少なくとも一方と、1分子中に1.3個以上の架橋性シリル基とを有し、
    空気中の湿気で硬化する請求項6に記載の接着剤組成物。
  8. 可塑剤をさらに含有し、前記重合体100質量部に対する前記可塑剤の割合が30質量部以上80質量部以下である請求項7に記載の接着剤組成物。
  9. エポキシ化合物及びアミノシラン化合物の少なくとも一方をさらに含有する請求項7又は8に記載の接着剤組成物。
  10. エポキシ化合物及びケチミン化合物をさらに含有する請求項7又は8に記載の接着剤組成物。
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