以下、第1の実施形態の構成を、図面を参照して説明する。
図2において、11は自律走行体としての電気掃除機であり、この電気掃除機11は、例えばこの電気掃除機11の充電用の基地部となる基地装置としての充電装置(充電台)12とともに自律走行体装置としての電気掃除装置(電気掃除システム)を構成するものである。そして、電気掃除機11は、本実施形態において、走行面としての被掃除面である床面上を自律走行(自走)しつつ床面を掃除する、いわゆる自走式のロボットクリーナ(掃除ロボット)である。
そして、図1ないし図3に示す電気掃除機11は、中空状の本体ケース20を備えている。また、この電気掃除機11は、駆動部である駆動輪21を備えている。さらに、この電気掃除機11は、塵埃を掃除する掃除部22を備えている。また、この電気掃除機11は、センサ部23を備えていてもよい。さらに、この電気掃除機11は、コントローラである制御手段(制御部)24を備えている。そして、この電気掃除機11は、給電用の電池である二次電池を備えていてもよい。また、この電気掃除機11は、例えば有線、あるいは無線によりネットワークを介して通信する情報送信手段としてのデータ通信手段(通信部)を備えていてもよい。さらに、この電気掃除機11は、外部装置や使用者との間で信号が入出力される入出力部を備えていてもよい。なお、以下、電気掃除機11(本体ケース20)の走行方向に沿った方向を前後方向(図2に示す矢印FR,RR方向)とし、この前後方向に対して交差(直交)する左右方向(両側方向)を幅方向として説明する。
本体ケース20は、例えば合成樹脂などにより形成されている。この本体ケース20は、例えば扁平な円柱状(円盤状)などに形成されていてもよい。また、この本体ケース20には、集塵口である吸込口31などが床面に対向する下部などに設けられていてもよい。
駆動輪21は、電気掃除機11(本体ケース20)を床面上で前進方向および後退方向に走行(自律走行)させる、すなわち走行用のものである。本実施形態では、この駆動輪21は、例えば本体ケース20の左右に一対設けられている。この駆動輪21は、駆動手段としてのモータ33により駆動される。なお、この駆動輪21に代えて、駆動部としての無限軌道などを用いることもできる。
モータ33は、駆動輪21に対応して配置されている。したがって、本実施形態では、このモータ33は、例えば左右一対設けられている。そして、このモータ33は、各駆動輪21を独立して駆動させることが可能となっている。
掃除部22は、例えば床面や壁面などの被掃除部の塵埃を除去するものである。この掃除部22は、例えば床面上の塵埃を吸込口31から集めて捕集したり、壁面を拭き掃除したりする機能を有している。この掃除部22は、吸込口31から空気とともに塵埃を吸い込む電動送風機35と、吸込口31に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き上げる回転清掃体としての回転ブラシ36およびこの回転ブラシ36を回転駆動させるブラシモータ37と、本体ケース20の前側などの両側に回転可能に取り付けられて塵埃を掻き集める旋回清掃部としての補助掃除手段(補助掃除部)であるサイドブラシ38およびこのサイドブラシ38を駆動させるサイドブラシモータ39との少なくともいずれかを備えていてもよい。また、この掃除部22は、吸込口31と連通して塵埃を溜める集塵部40を備えていてもよい。
センサ部23は、電気掃除機11(本体ケース20)の走行をサポートする各種の情報をセンシングするものである。より具体的に、このセンサ部23は、例えば床面の凹凸状態(段差)や、走行の障害となる壁あるいは障害物、床面の塵埃量などをセンシングするものである。このセンサ部23は、周囲検出手段である周囲検出センサ43を備えている。また、このセンサ部23は、例えば赤外線センサや、塵埃量センサ(ごみセンサ)を備えていてもよい。そして、このセンサ部23は、必須の構成ではない。
周囲検出センサ43は、本体ケース20の周囲の障害物などの形状や配置を検出するものである。すなわち、この周囲検出センサ43は、本体ケース20の周囲の掃除領域の情報を検出するものである。この周囲検出センサ43は、撮像手段としてのカメラ51を備えている。また、この周囲検出センサ43は、判定部52を備えている。なお、この周囲検出センサ43は、検出補助手段(検出補助部)としてのランプ53を備えていてもよい。
カメラ51は、本体ケース20の走行方向である前方を、それぞれ所定の水平画角(例えば105°など)でデジタルの画像を所定時間毎、例えば数十ミリ秒毎などの微小時間毎、あるいは数秒毎などに撮像するデジタルカメラである。このカメラ51は、単数でも複数でもよい。本実施形態では、カメラ51は、左右一対設けられている。すなわち、このカメラ51は、左右に離間されて本体ケース20の前部に配置されている。また、これらカメラ51,51は、互いの撮像範囲(視野)が重なっている。そのため、これらカメラ51,51により撮像される画像は、その撮像領域が左右方向にラップしている。なお、カメラ51により撮像する画像は、例えば可視光領域のカラー画像や白黒画像でもよいし、赤外線画像でもよい。
判定部52は、カメラ51により撮像された画像中から特徴点などを抽出することにより、撮像された画像から本体ケース20の周囲に位置する物体(障害物など)の形状(物体の距離および高さなど)を検出するように構成されている。換言すれば、この判定部52は、カメラ51により撮像された画像に基づいて本体ケース20からの距離を算出した物体が障害物であるかどうかを判定するように構成されている。例えば、この判定部52は、既知の方法を用いて、カメラ51により撮像した画像と、カメラ51間の距離とに基づいて物体(特徴点)の距離(深度)および三次元座標を計算するように構成されている。すなわち、この判定部52は、具体的に、カメラ51,51とこれらカメラ51,51により撮像された画像G,Gの物体O(特徴点SP)との距離f(視差)、および、カメラ51,51間の距離lに基づく三角測量を応用し、カメラ51,51により撮像した各画像G,G中から同一位置を示す画素ドットを検出し、この画素ドットの上下方向、左右方向および前後方向の角度を計算して、これら角度とカメラ51,51間の距離lとからその位置のカメラ51からの距離および高さを計算するとともに物体O(特徴点SP)の三次元座標を算出するように構成されている(図4)。また、この判定部52は、例えば所定の画像範囲(例えば本体ケース20の幅および高さに対応して設定された画像範囲)中に撮像されている物体の距離を、予め設定された、あるいは可変設定された閾値である設定距離と比較し、この設定距離以下の距離(電気掃除機11(本体ケース20)からの距離)に位置する物体を障害物であると判定するように構成されている。なお、この判定部52は、例えばカメラ51により撮像した生画像のレンズの歪み補正やノイズの除去、コントラスト調整、および画像中心の一致化などの一次画像処理をする画像補正機能を備えていてもよい。また、この判定部52は、制御手段24に設けられていてもよい。さらに、カメラ51が単数である場合には、判定部52は、電気掃除機11(本体ケース20)が移動したときに、対象物の座標の移動量から距離を計算することもできる。
ランプ53は、カメラ51の撮像範囲を照明することで撮像に必要となる明るさを得るものである。このランプ53は、本実施形態では、カメラ51,51の中間位置に配置され、各カメラ51に対応して設けられている。このランプ53は、例えばLEDなどが用いられる。
赤外線センサは、例えば本体ケース20の外方に向けて赤外線を出射し、その出射された赤外線が物体により反射される反射波を利用して障害物などを検出可能となっている。
塵埃量センサは、例えば発光部と受光部とを備える光センサなどが用いられ、これら発光部と受光部との間を通過する塵埃により受光部で受光する発光部からの光の量の大小に基づき、集塵部40に吸い込まれる塵埃量の多寡を検出可能となっている。
制御手段24は、例えば制御手段本体(制御部本体)であるCPUやROMおよびRAMなどを備えるマイコンが用いられる。この制御手段24は、駆動輪21(モータ33)を駆動させる走行制御手段である走行制御部61を備えている。また、この制御手段24は、掃除部22と電気的に接続される掃除制御手段である掃除制御部62を備えている。さらに、この制御手段24は、センサ部23と電気的に接続されるセンサ制御手段であるセンサ接続部63を備えている。また、この制御手段24は、マッピング手段(マッピング部)としての地図生成部64を備えている。さらに、この制御手段24は、方向算出手段である方向算出部65を備えていてもよい。また、この制御手段24は、保有手段(保有部)であるメモリ66を備えていてもよい。すなわち、この制御手段24は、掃除部22、センサ部23などと電気的に接続されている。また、この制御手段24は、二次電池と電気的に接続されている。さらに、この制御手段24は、二次電池の充電を制御する充電制御部を備えていてもよい。
走行制御部61は、モータ33の駆動を制御する、すなわち、モータ33に流れる電流の大きさおよび向きを制御することにより、モータ33を正転、あるいは逆転させることで、モータ33の駆動を制御し、モータ33の駆動を制御することで駆動輪21の駆動を制御するものである。そして、この走行制御部61は、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、メモリ66により情報を保有する掃除領域内にて本体ケース20(電気掃除機11)をジグザグ状に自律走行させるジグザグ走行モードを備えている。ここで、ジグザグ状の自律走行(ジグザグ走行)とは、掃除領域において所定の一方向に平行な方向に沿って往復走行を繰り返しながら一方向と交差(直交)する他方向に順次進んで掃除領域を塗り潰すように自律走行することをいう。より詳細に、ジグザグ状の自律走行とは、掃除領域を所定の一方向に向かって直進し、掃除領域の一端部近傍において所定方向(右回り、または左回り)に90°旋回(超信地旋回)して所定距離走行し、さらに同方向に90°旋回した後、掃除領域を所定の一方向とは反対方向に向かって直進し、掃除領域の他端部近傍において所定方向とは反対方向(左回り、または右回り)に90°旋回して所定距離走行し、さらに同方向に90°旋回した後、掃除領域を所定の一方向に向かって直進する、という走行動作を繰り返すことをいう。なお、走行制御部61は、ジグザグ走行モードの他に、その他の走行ルートを設定する走行モードを別途備えていてもよい。
掃除制御部62は、掃除部22の電動送風機35、ブラシモータ37およびサイドブラシモータ39の駆動を制御する、すなわち、電動送風機35、ブラシモータ37、および、サイドブラシモータ39の通電量をそれぞれ別個に制御することで、これら電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、および、サイドブラシモータ39(サイドブラシ38)の駆動を制御する。この掃除制御部62は、二次電池の残量に基づき、電動送風機35、ブラシモータ37およびサイドブラシモータ39の駆動を制御することもできる。例えば、二次電池の残量が不充分な場合には、電動送風機35、ブラシモータ37およびサイドブラシモータ39の駆動を低減して、二次電池の使用量を抑制することもできる。
センサ接続部63は、センサ部23(周囲検出センサ43など)による検出結果を取得するものである。また、このセンサ接続部63は、カメラ51の動作(シャッタ動作など)を制御して所定時間毎にカメラ51により画像を撮像させる撮像制御部やランプ53の動作(ランプ53のオンオフ)を制御する照明制御部の機能を備えていてもよい。
地図生成部64は、周囲検出センサ43により検出された本体ケース20の周囲の形状(障害物となる物体の距離および高さ)に基づき掃除領域を走行可能であるかどうかを示す地図(マップ)データを生成するものである。具体的に、この地図生成部64は、カメラ51により撮像した画像中の物体の特徴点の三次元座標に基づき、電気掃除機11の自己位置、および、障害物となる物体の有無を判断するとともに、電気掃除機11(本体ケース20)が配置された掃除領域内に位置する物体(障害物)などの位置関係および高さを記す地図データを生成する。すなわち、この地図生成部64には、既知のSLAM(simultaneous localization and mapping)技術を用いることができる。
方向算出部65は、周囲検出センサ43により検出した掃除領域の情報に基づいて地図生成部64により生成された地図データから、掃除領域(部屋)の長手方向を算出し、走行制御部61のジグザグ走行モードにおける走行開始方向をこの長手方向に設定するものである。具体的に、この方向算出部65は、所定の一方向(縦方向)とこの一方向に対して交差(直交)する他方向(横方向)とにおいて、掃除領域がいずれの方向に長いかを、周囲検出センサ43により検出した掃除領域の情報に基づいて地図生成部64により生成された地図データの縦横比から検出する。ここで、一方向は、例えば充電装置12から離脱する方向とし、他方向は、この一方向に対して直交する方向とする。すなわち、通常、充電装置12は壁沿いなど、部屋の縦方向または横方向に沿って配置されることから、充電装置12に対して離脱する方向を一方向とし、その直交方向を他方向とすることで、掃除領域の縦横に沿って一方向および他方向を設定することが可能になる。
メモリ66は、例えば不揮発性のものである。このメモリ66は、地図生成部64により生成された地図データを記憶して保有する。
入出力部は、図示しないリモコンなどの外部装置から送信される制御コマンドや、本体ケース20に設けられたスイッチ、あるいはタッチパネルなどの入力手段から入力される制御コマンドを取得するとともに、例えば充電装置12などに対して信号を送信するものである。この入出力部は、例えば充電装置12などへと無線信号(赤外線信号)を送信する例えば赤外線発光素子などの図示しない送信手段(送信部)、および、充電装置12やリモコンなどからの無線信号(赤外線信号)を受信する例えばフォトトランジスタなどの図示しない受信手段(受信部)などを備えている。
二次電池は、掃除部22、センサ部23および制御手段24などに給電するものである。また、この二次電池は、例えば本体ケース20の下部などに露出する接続部としての充電端子71と電気的に接続されており、これら充電端子71が充電装置12側と電気的および機械的に接続されることで、この充電装置12を介して充電されるようになっている。
充電装置12は、例えば定電流回路などの充電回路を内蔵している。また、この充電装置12には、二次電池の充電用の充電用端子73が設けられている。この充電用端子73は、充電回路と電気的に接続されており、充電装置12に帰還した電気掃除機11の充電端子71と機械的および電気的に接続されるようになっている。
外部装置は、建物の内部では例えばホームゲートウェイを介してネットワークに対して有線あるいは無線通信可能であるとともに、建物の外部ではネットワークに対して有線あるいは無線通信可能な、例えばPC(タブレット端末(タブレットPC))やスマートフォン(携帯電話)などの汎用のデバイスである。この外部装置は、画像を表示する表示機能を有していてもよい。
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
走行制御部61がジグザグ走行モードに設定されている場合の掃除の開始から終了までの概略を説明する。まず、電気掃除機11は、掃除を開始すると、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されている場合には、この地図データ中の現在位置に最も近い角部に移動するとともに掃除領域の大きさに応じて方向算出部65によって掃除領域、または、掃除領域を複数に分割した分割領域の長手方向を算出し、この長手方向に向かうようにジグザグ走行を開始する。また、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されていない場合には、周囲検出センサ43により取得した掃除領域の情報に基づいて地図生成部64により地図データを生成し、この地図データ中の現在位置に最も近い角部に移動するとともに掃除領域の大きさに応じて方向算出部65によって掃除領域、または、掃除領域を複数に分割した分割領域の長手方向を算出し、この長手方向に向かうようにジグザグ走行を開始する。電気掃除機11は、ジグザグ走行を行いながら掃除部22により掃除をする。そして、掃除が終了すると、電気掃除機11は、充電装置12へと帰還した後、二次電池の充電作業に移行する。
上記の制御をより具体的に説明すると、電気掃除機11は、例えば予め設定された掃除開始時刻となったときや、リモコンまたは外部装置によって送信された掃除開始の制御コマンドを入出力部によって受信したときなどのタイミングで、制御手段24が待機モードから走行モードに切り換わる。
次いで、電気掃除機11は、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されている場合、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、掃除領域CAにおいて現在の本体ケース20(電気掃除機11)の位置から最も近い角部COに向かって本体ケース20(電気掃除機11)を自律走行させる(図5)。このとき、電気掃除機11が充電装置12に接続された位置から掃除を開始する場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、本体ケース20(電気掃除機11)を充電装置12から離脱させた後、角部COに向かって走行させ、電気掃除機11が充電装置12に接続されていない位置から掃除を開始する場合には、その位置から直接角部COに向かって走行させる。なお、電気掃除機11が予め掃除領域の角部COに位置している場合には、この角部COに向かって走行させる制御は不要である。
一方、電気掃除機11は、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されていない場合、周囲検出センサ43により掃除領域を走査する。この走査は、例えばその場で360°旋回しながら行ってもよいし、所定の範囲内を走行しながら行ってもよい。そして、走査した掃除領域の情報に基づいて、地図生成部64が地図データを生成し、この地図データがメモリ66に記憶される。そして、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、メモリ66に記憶されている掃除領域の地図データにおいて、現在の本体ケース20(電気掃除機11)の位置から最も近い角部に向かって本体ケース20(電気掃除機11)を自律走行させる。
さらに、メモリ66に地図データが記憶された掃除領域の大きさが所定以上でない場合(所定未満である場合)、方向算出部65が掃除領域全体での長手方向を算出する。そして、走行制御部61は、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、方向算出部65により算出した掃除領域全体での長手方向に向かって本体ケース20(電気掃除機11)のジグザグ走行を開始させる。
例えば、図6(a)に示すように、図中の上下方向(縦方向)に長手方向を有する四角形状の一の掃除領域CAの場合には、本体ケース20(電気掃除機11)が、上下方向に沿ってジグザグ走行を開始する。また、図6(b)に示すように、図中の左右方向(横方向)に長手方向を有する四角形状の他の掃除領域CAの場合には、本体ケース20(電気掃除機11)が、左右方向に沿ってジグザグ走行を開始する。
また、メモリ66に地図データが記憶された掃除領域の大きさが所定以上である場合、方向算出部65が掃除領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に長手方向を算出する。この分割領域は、例えば四角形状とする。この分割領域は、地図データ全体から最も効率よくジグザグ走行できるように分割を最適化することが可能である。そして、走行制御部61は、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、方向算出部65により算出した分割領域毎の長手方向に向かって、分割領域毎にジグザグ走行モードを実施する。
例えば、図7(a)ないし図7(d)に示すように、掃除領域CAが大きい場合には、方向算出部65がこの掃除領域CAを複数の分割領域DA(例えば分割領域DA1〜DA4)に分割し、その分割領域DA毎に、本体ケース20(電気掃除機11)が長手方向に沿ってジグザグ走行を開始する。なお、掃除領域CAは、掃除の開始時に一括で複数の分割領域DAに分割してもよいし、一つの分割領域DAのジグザグ走行(掃除)が終了する毎に次の分割領域DAを形成するようにしてもよい。また、分割領域の長手方向の算出は、掃除の開始時に一括で実施してもよいし、一つの分割領域でのジグザグ走行が終了した後に次の分割領域について実施してもよい。
そして、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)を制御することで本体ケース20(電気掃除機11)をジグザグ走行させつつ、掃除制御部62が掃除部22を動作させて掃除領域の床面を掃除する。掃除部22では、例えば制御手段24(掃除制御部62)により駆動された電動送風機35、ブラシモータ37(回転ブラシ36)、あるいはサイドブラシモータ39(サイドブラシ38)により床面の塵埃を、吸込口31を介して集塵部40へと捕集する。また、電気掃除機11は、自律走行の際、センサ部23の周囲検出センサ43や赤外線センサにより、メモリ66に記憶された地図データに記されていない掃除領域内の障害物などの物体の三次元座標や位置を検出すると、地図生成部64が地図データに反映させ、メモリ66に記憶してもよい。
そして、ジグザグ走行により掃除領域CAを塗り潰すように走行すると電気掃除機11は掃除動作を終了し、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して充電装置12に移動し、この充電装置12と接続(充電端子71と充電用端子73とを機械的および電気的に接続)して、この接続から所定時間後など、所定のタイミングで充電動作に移行する。
この制御を図8に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、走行制御部61は、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されているか否かを判断する(ステップS1)。
このステップS1において、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されていないと判断した場合には、周囲検出センサ43により掃除領域を走査して地図生成部64により地図データを生成してメモリ66に記憶し(ステップS2)、ステップS3に進む。
一方、ステップS1において、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されていると判断した場合には、本体ケース20(電気掃除機11)が掃除領域の角部に位置しているか否かを判断する(ステップS3)。このステップS3において、本体ケース20(電気掃除機11)が掃除領域の角部に位置していないと判断した場合には、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して本体ケース20(電気掃除機11)を掃除領域の角部へと移動させる(ステップS4)。また、ステップS3において、本体ケース20(電気掃除機11)が掃除領域の角部に位置していると判断した場合には、ステップS5に進む。
次いで、メモリ66に地図データが記憶された掃除領域の大きさが所定以上であるか否かを判断する(ステップS5)。このステップS5において、掃除領域の大きさが所定以上でない(所定未満である)と判断した場合には、方向算出部65が、掃除領域全体の長手方向を算出し(ステップS6)、走行制御部61が、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、本体ケース20(電気掃除機11)がこの長手方向に向かうようにジグザグ走行を開始させる(ステップS7)。
そして、走行制御部61は、掃除領域全体の走行が終了したか否かを判断し(ステップS8)、走行が終了していないと判断した場合には、このステップS8を繰り返し、走行が終了したと判断した場合には、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して本体ケース20(電気掃除機11)を充電装置12へと帰還させ(ステップS9)、ジグザグ走行モードを終了する。
また、ステップS5において、掃除領域の大きさが所定以上であると判断した場合には、方向算出部65が、掃除領域を複数の分割領域に分割し、分割領域毎に長手方向を算出する(ステップS10)。そして、走行制御部61が、駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、分割領域毎に、本体ケース20(電気掃除機11)がこの長手方向に向かうようにジグザグ走行を開始させる(ステップS11)。
そして、走行制御部61は、すべての分割領域の走行が終了したか否かを判断し(ステップS12)、走行が終了していないと判断した場合には、このステップS12を繰り返し、走行が終了したと判断した場合には、ステップS9に進む。
上述したように、上記第1の実施形態によれば、メモリ66が掃除領域の地図データを掃除領域の情報として保有することで、掃除領域の長手方向を地図データに基づいて容易に検出でき、掃除領域を効率よく自律走行しながら掃除できる。
また、掃除領域が所定以上の大きさである場合、走行制御部61が掃除領域を複数に分割する分割領域毎にジグザグ走行モードを実施し、それぞれのジグザグ走行モードの開始時の本体ケース20(電気掃除機11)の走行方向を、分割領域の長手方向に沿う方向とすることで、大きな掃除領域においても、分割領域毎にきめ細かくジグザグ走行させることができるので、掃除領域をより効率よく自律走行しながら掃除できる。
特に、上記の分割領域を四角形状とすることで、ジグザグ走行する分割領域を簡易化できるとともに、ジグザグ走行時に長手方向となる方向を容易に設定でき、ジグザグ走行の効率をより向上できる。
しかも、メモリ66に掃除領域の地図データが記憶されているため、掃除領域全体の形状などに基づいて分割領域を設定することが可能になる。このため、掃除領域の全体から見て走行効率が最もよくなるように分割領域を設定することも可能となり、掃除領域をより効率よく自律走行しながら掃除できる。
次に、第2の実施形態を図9を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態において、走行制御部61が、ジグザグ走行モードにおいて、掃除領域に内接する四角形に対してジグザグ状に走行するように駆動輪21(モータ33)の駆動を制御するものである。
すなわち、図9に示すように、部屋内の壁沿いなどに障害物OBが位置して、掃除領域CAの外縁に凹凸が生じる場合、走行制御部61は、障害物OBに内接する最大の四角形SQ1を抽出し、この四角形SQ1の内部で本体ケース20(電気掃除機11)がジグザグ走行するように駆動輪21(モータ33)の駆動を制御する。方向算出部65は、掃除領域CAの長手方向の算出に代えて、四角形SQ1の長手方向を算出してもよい。この制御は、例えば掃除領域CAが所定以上の大きさでない場合にのみ行ってもよいし、掃除領域CAが所定以上の大きさである場合には、分割領域毎に同様に行ってもよい。
このように、掃除領域に内接する四角形に対して本体ケース20(電気掃除機)がジグザグ状に走行するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、障害物の配置などによって複雑な形状となった掃除領域の場合などに、ジグザグ走行する領域を簡易化でき、掃除領域の主要な部分を短時間で掃除することが可能になる。
この構成の場合、掃除領域に内接する四角形の外側に位置する掃除領域については、走行制御部61が本体ケース20(電気掃除機11)を壁に沿って走行させつつ掃除部22により掃除をするなどの別途の仕上げ動作を行うことで、掃除領域全体を掃除することが可能になる。
次に、第3の実施形態を図10を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
この第3の実施形態は、上記第1の実施形態において、走行制御部61が、ジグザグ走行モードにおいて、掃除領域に外接する四角形に対してジグザグ状に走行するように駆動輪21(モータ33)の駆動を制御するものである。
すなわち、図10に示すように、掃除領域CA内に障害物OBが位置する場合でも、障害物OBを無視して掃除領域CAを含む最小の四角形SQ2を抽出し、この四角形SQ2の内部で本体ケース20(電気掃除機11)がジグザグ走行するように駆動輪21(モータ33)の駆動を制御する。この制御は、例えば掃除領域CAが所定以上の大きさでない場合にのみ行ってもよいし、掃除領域CAが所定以上の大きさである場合には、分割領域毎に同様に行ってもよい。なお、図10においては、説明を明確にするために四角形SQ2を掃除領域CAより僅かに小さく図示している。
このとき、障害物OBの位置では、走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御して、本体ケース20(電気掃除機11)を、この障害物OBを回避するように走行させる。
このように、掃除領域に外接する四角形に対して本体ケース20(電気掃除機11)がジグザグ状に走行するように走行制御部61が駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、障害物の近傍の位置ではジグザグ走行する領域が重複する部分が生じるものの、仕上げ動作を行うことなく、掃除領域全体を細かく順に掃除可能となる。
なお、上記各実施形態において、地図データは、メモリだけでなく、データ通信手段を介して、ネットワークを経由してサーバに送信して記憶したり、外部装置に送信して外部装置のメモリに記憶したり外部装置に表示したりすることができる。
また、メモリ66に記憶された掃除領域の地図データに基づいてジグザグ走行モードの開始時の走行方向を決定したが、例えば周囲検出センサ43により検出した掃除領域の情報をメモリ66に保有し、この保有した情報に基づいてジグザグ走行モードの開始時の走行方向を決定しても、同様の作用効果を奏することができる。この場合、例えば周囲検出センサ43により検出可能な範囲から掃除領域、あるいは分割領域の長手方向を見つけて設定することができる。また、この場合、地図生成部64は不要となる。
さらに、例えば使用者が入出力部などを介して外部入力することなどによって掃除領域の地図を入力してメモリ66に記憶させるように構成することもできる。この場合には、周囲検出センサ43および地図生成部64をそれぞれ設けなくてもよい。
さらに、周囲検出センサ43としては、カメラ51を用いるものの他に、例えばレーザや赤外線を用いるものなど、物体の三次元座標を検出する任意の構成を適用できる。
また、走行制御部61、掃除制御部62、センサ接続部63、地図生成部64、方向算出部65、メモリ66、充電制御部などは、それぞれ制御手段24に備える構成としたが、それぞれ別個に備えていてもよいし、任意に一体的に組み合わせてもよい。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、走行制御部61が、ジグザグ走行モードの開始時の本体ケース20(電気掃除機11)の走行方向を、掃除領域の長手方向に沿う方向とすることで、ジグザグ走行の方向転換時の旋回の回数を低減できる。このため、掃除領域を効率よく自律走行しながら掃除できる。
すなわち、方向転換時の旋回の際には、走行を一旦停止し、90°旋回して所定距離走行し、さらに走行を一旦停止して90°旋回する必要があるため、これら一連の動作に時間を要する。したがって、旋回の回数を低減できるほど、掃除領域の完走に要する時間を短縮することが可能となるから、ジグザグ走行モードの開始時の走行方向を掃除領域の長手方向とすることで、掃除領域の短手方向に向かう場合よりも旋回の回数を低減でき、効率よく自律走行できる。
特に、二次電池を電源として用いる電気掃除機11の場合、旋回の回数を低減することによって掃除時間を短縮できることにより、二次電池の電力を有効に利用でき、充電時間や充電回数を抑制しつつ、より広い面積の掃除領域を掃除することが可能になる。
例えば、長手方向の長さが短手方向の長さと比較して非常に大きい、細長い廊下などの掃除領域を掃除する場合には、旋回の回数を大幅に低減でき、短時間で効率よく掃除できる。
走行制御部61は、ジグザグ走行モードの開始前に、本体ケース20(電気掃除機11)が掃除領域の角部にない場合、本体ケース20(電気掃除機11)を掃除領域の角部に移動させた後、ジグザグ走行モードを開始するように駆動輪21(モータ33)の駆動を制御することで、例えば掃除領域の中央部などからジグザグ走行を開始する場合と比較して、ジグザグ走行の効率を向上できるとともに、一度に掃除領域全体をジグザグ走行で掃除することが可能になる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。