本発明を説明する前に、本発明は説明する特定の方法および実験条件に限定されないことを理解すべきである。そのような方法および条件は変わることがあるからである。本明細書において用いる専門用語は、特定の実施形態の説明を目的にしたものに過ぎず、限定的することを意図したものでないことも理解すべきである。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるからである。
別段の定義がない限り、本明細書において用いる全ての専門および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されているのと同じ意味を有する。本明細書において用いる場合、用語「約」は、特定の列挙されている数値に関して用いるとき、その値が、列挙されている値から1%以下変動することがあることを意味する。例えば、本明細書において用いる場合、「約100」という表現は、99および101、ならびに間の全ての値(例えば、99.1、99.2、99.3、99.4など)を含む。
本明細書に記載のものと同様または等価の任意の方法および材料を本発明の実施の際に使用することができるが、好ましい方法および材料を次に説明する。本明細書において言及する全ての出版物は、それら全体が説明のために参照によって本明細書に組み入れられている。
最大耐用量スタチン治療によって十分に制御されない高コレステロール血症および既存の冠動脈心疾患またはCHDリスク相当状態
本発明は、スタチンによって十分に制御されない高コレステロール血症および既存のCHDまたはCHDリスク相当状態、すなわち、スタチンの1日最大耐用量を含む処置レジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症を有する高心血管リスク患者を処置する方法および組成物に概して関する。本明細書において用いる場合、高コレステロール血症に関して「十分に制御されない」という表現は、スタチンの安定した1日用量を含む治療レジメンを受けていて少なくとも4週間後に患者の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)濃度、総コレステロール濃度、および/またはトリグリセリド濃度が(該患者の冠動脈心疾患の相対リスクを考慮に入れて)認知されている医学的に許容されるレベルに低減されないことを意味する。例えば、「スタチンによって十分に制御されない高コレステロール血症の患者」は、患者が少なくとも4週間、安定した毎日のスタチンレジメンを受けてきた後、(心疾患についての該患者の潜在的リスクに依存して)約70mg/dL以上、100mg/dL、130mg/dL、140mg/dL、またはそれ以上の血清LDL−C濃度を有する患者を含む。
特定の実施形態によると、本発明の方法によって処置可能である高心血管リスク患者は、少なくとも4週間、5週間、6週間、またはそれ以上、(他の脂質修飾治療と共にまたはなしで)スタチンの安定した1日用量の摂取にも関わらず高コレステロール血症(例えば、70mg/dL以上の血清LDL−C濃度)を有する。特定の実施形態において、高心血管リスク患者の高コレステロール血症は、最大耐用量スタチン治療(本明細書において、「1日最大耐用量処置スタチンレジメン」とも呼ばれる)によって十分に制御されない。
本明細書において用いる場合、「最大耐用量スタチン治療」は、個々の患者についての最大投与可能量であるスタチンの1日用量の投与を含む治療レジメンを意味する。最大投与可能量は、患者において許容し難い有害副作用を生じさせることなく患者に投与することができるスタチンの最高用量を意味する。最大耐用量スタチン治療は、例えば、アトルバスタチン40〜80mg/日、ロスバスタチン20〜40mg/日またはシンバスタチン80mg(>1年、この用量を既に受けている場合)を含むが、これらに限定されない。しかし、上記のスタチン用量を許容できない患者は、より高用量を使用しない許容可能な理由があれば、より低用量の毎日のアトルバスタチン、ロスバスタチンまたはシンバスタチンを摂取することもある。より低いスタチン用量を摂取した患者の許容可能な理由のいくつかの例としては、次のことが挙げられた:より高い用量での有害作用、高齢、低いボディマスインデックス(BMI)、地域特有の実施、限局的処方情報、併用薬、認知的有害事象についての懸念および耐糖能障害/空腹時血糖異常、血糖の増大、糖化ヘモグロビン、肝臓疾患または肝臓酵素の上昇および筋肉症状および/またはクレアチンホスホキナーゼの上昇のような併発状態。
本発明はまた、セリバスタチン、ピタバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチンおよびプラバスタチンのような他のスタチンの毎日投与を含む最大耐用量スタチン治療によって十分に制御されない、高コレステロール血症および既存のCHDまたはCHDリスク相当状態を有する高心血管リスク患者を処置する方法を含む。
患者選択
本発明は、1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない、高コレステロール血症および既存のCHDまたはCHDリスク相当状態を有する高心血管リスク患者の処置に有用な方法および組成物を含む。
既存のCHDは、次のうち1つまたはそれ以上を含むCHDの記録された履歴として定義される:急性心筋梗塞(MI)、無症候性MI、不安定狭心症、冠動脈血行再建術(例えば、経皮的冠動脈形成術[PCI]または冠動脈バイパス移植術[CABG])、および侵襲的もしくは非侵襲的検査(冠動脈造影法、トレッドミルを使用する負荷試験、負荷心エコー検査もしくは核イメージングのような)によって診断された臨床的に有意なCHD。
CHDリスク相当状態は、次の4つ基準のうち1つまたはそれ以上を含む:1)末梢動脈疾患(PAD);2)虚血性脳卒中;3)慢性腎疾患;および/または4)糖尿病、およびa)高血圧症歴(降圧薬服用時に確証されたもの)、b)足関節・上腕血圧指数≦0.90の履歴、c)微量アルブミン尿もしくは顕性アルブミン尿の履歴またはタンパク質が>2+であるスクリーニング訪問(−第2週)時の尿試験紙尿検査、d)前増殖性もしくは増殖性網膜症または網膜症レーザー処置の履歴、e)早期CHDの家族既往歴(年齢55歳未満の父親もしくは兄弟のCHD;年齢65歳未満の母親もしくは姉妹のCHD)を含む2つまたはそれ以上の追加のリスク因子の既往歴。
本明細書において、末梢動脈疾患(PAD)では、次の基準[a、bまたはc]の1つを満たさなければならない):a)安静時のいずれかの脚における足関節・上腕血圧指数<0.90と共に、アテローム動脈硬化症に起因すると推定される、現在の間欠性跛行(再現可能でもあり、10分以内の休息によって緩和されもする、運動によって生じる下肢の筋肉不快感)またはb)アテローム動脈硬化性疾患のための片脚もしくは両脚における血管内手術もしくは外科的介入と共に、間欠性跛行歴、またはc)アテローム動脈硬化性疾患のための片脚もしくは両脚における血栓溶解、血管内手術もしくは外科的介入と共に、重症虚血肢歴。
本明細書において、記録される虚血性脳卒中は、アテローム血栓症に起因すると考えられる、24時間より長く持続した局所虚血性神経障害を有する虚血性脳卒中を含む。出血および非虚血性神経疾患を除外するために、コンピューター断層撮影法(CT)または磁気共鳴画像法(MRI)を実施できる。
本明細書において、慢性腎疾患(CKD)は、3カ月またはそれ以上の、≧30〜<60ml/分/1.73m2の推定される糸球体濾過速度(eGFR)によって定義される。
特定の実施形態によると、年齢(例えば、40、45、50、55、60、65、70、75または80歳より高齢)、人種、出身国、性別(男性または女性)、運動習慣(例えば、運動する習慣のある人、運動しない人)、他の既存の病状(例えば、II型糖尿病、高血圧など)および現在の投薬状態(例えば、現在摂取しているβ遮断薬、ナイアシン、エゼチミブ、フィブラート、オメガ3脂肪酸、胆汁酸樹脂など)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の追加のリスク因子を有することに基づいて高心血管リスク患者を選択することができる。
本発明によると、高心血管リスク患者は、上述の選択基準または治療特性の1つまたはそれ以上についての組合せに基づいて選択することができる。
最大耐用量スタチン治療への追加治療としてのPCSK9阻害剤の投与
本発明は、PCSK9阻害剤の不在下で安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンによって十分に制御されない高コレステロール血症および既存のCHDまたはCHDリスク相当状態を有する高心血管リスク患者にPCSK9阻害剤が特定の投薬量および頻度に従って投与され、前記PCSK9阻害剤が該患者の治療スタチンレジメンへの追加として投与される方法を含む。例えば、特定の実施形態によると、高心血管リスク患者が、例えばアトルバスタチン40〜80mgを含む安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンを受けているにも関わらず十分に制御されない高コレステロール血症および既存のCHDまたはCHDリスク相当状態を有する場合、前記高心血管リスク患者は、彼または彼女の安定した毎日の治療スタチンレジメンを継続しながら、PCSK9阻害剤を特定の用量および投薬間隔で投与される。
本発明の方法は、高心血管リスク患者がPCSK9阻害剤を受ける前に受けていた同じ安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメン(すなわち、同じスタチン投薬量)への追加治療としてPCSK9阻害剤が投与される、追加治療レジメンを含む。他の実施形態において、PCSK9阻害剤は、患者がPCSK9阻害剤を受ける前に受けていたスタチンの用量より多いまたは少ない量でスタチンを含む1日最大耐用量治療スタチンレジメンへの追加治療として投与される。例えば、特定の投薬頻度および量で投与されるPCSK9阻害剤を含む治療レジメンを開始した後、患者に投与または処方されるスタチンに1日用量は、患者の治療上の必要に応じて、その高心血管リスク患者がPCSK9阻害剤治療レジメンを開始する前に摂取していた毎日のスタチン用量と比較して(a)同じままであることもあり、(b)増加するまたは(c)減少する(例えば、アップタイトレーションするまたはダウンタイトレーションする)こともある。
治療効能
本発明の方法は、LDL−C、アポB、非HDL−C、総コレステロール、HDL−C、アポA−1、トリグリセリド、およびLp(a)からなる群から選択される1つまたはそれ以上の脂質成分の血清レベルの改善をもたらす。例えば、本発明の特定の実施形態によれば、安定した1日最大耐用量処置スタチンレジメンによって十分に制御されない、高コレステロール血症および既存のCHDまたはCHDリスク相当状態を有する高心血管リスク患者へのPCSK9阻害剤を含む医薬組成物の投与(例えば、患者の最大耐用量スタチン治療に加えてPCSK9阻害剤の投与)は、少なくとも約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%またはそれ以上の、血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)のベースラインからの平均低減パーセント;少なくとも約35%、36%、37%、38%、39%、40%もしくはそれ以上の、アポBのベースラインからの平均低減パーセント;少なくとも約35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%もしくはそれ以上の、非HDL−Cのベースラインからの平均低減パーセント;少なくとも約20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%もしくはそれ以上の、総コレステロールのベースラインからの平均低減パーセント;少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%もしくはそれ以上の、HDL−Cのベースラインからの平均増大パーセント;少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%もしくはそれ以上の、アポA−1のベースラインからの平均増大パーセント;少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%もしくはそれ以上の、トリグリセリドのベースラインからの平均低減パーセント;および/または少なくとも約10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%もしくはそれ以上の、Lp(a)のベースラインからの平均低減パーセントをもたらす。
PCSK9阻害剤
本発明の方法は、PCSK9阻害剤を含む治療用組成物を高心血管リスク患者に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「PCSK9阻害剤」は、ヒトPCSK9と結合し、またはヒトPCSK9と相互作用し、かつインビボまたはインビトロでPCSK9の正常な生物学的機能を阻害する、任意の薬剤である。PCSK9阻害剤のカテゴリーの非限定的な例としては、小分子PCSK9アンタゴニスト、ペプチドベースのPCSK9アンタゴニスト(例えば、「ペプチボディ」分子)、およびヒトPCSK9に特異的に結合する抗体または抗体の抗原結合断片が挙げられる。
用語「ヒトプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型」または「ヒトPCSK9」または「hPCSK9」は、本明細書において用いる場合、配列番号197で示される核酸配列および配列番号198のアミノ酸配列を有するPCSK9、またはその生物活性断片を指す。
用語「抗体」は、本明細書において用いる場合、4本のポリペプチド鎖、すなわちジスルフィド結合によって相互に連結されている2本の重(H)鎖と2本の軽(L)鎖、を含む免疫グロブリン分子、およびその多量体(例えば、IgM)を指すことを意図したものである。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書ではHCVRまたはVHと略記する)および重鎖定常領域を含む。重鎖定常領域は、3つのドメイン、CH1、CH2およびCH3、を含む。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書ではLCVRまたはVLと略記する)および軽鎖定常領域を含む。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL1)を含む。VHおよびVL領域は、フレームワーク領域(FR)と称する、より保存される領域が散在する、相補性決定領域(CDR)と称する超可変性の領域にさらに細分することができる。各VHおよびVLは、3つのCDRおよび4つのFRからなり、これらは、アミノ末端からカルボキシ末端へ次の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。本発明の種々の実施形態において、抗PCSK9抗体(またはその抗原結合部分)のFRは、ヒト生殖系列配列と同一であることもあり、または天然にもしくは人工的に修飾されていることもある。アミノ酸コンセンサス配列は、2つまたはそれ以上のCDRの並行分析に基づいて定義することができる。
用語「抗体」は、本明細書において用いる場合、完全抗体分子の抗原結合断片も含む。抗体の「抗原結合部分」、抗体の「抗原結合断片」などの用語は、本明細書において用いる場合、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得ることができる、合成の、または遺伝子改変ポリペプチドまたは糖タンパク質を含む。抗体の抗原結合断片は、例えば、タンパク質消化、または抗体可変および場合により定常ドメインをコードするDNAの操作および発現を含む組換え遺伝子改変法などの、任意の好適な標準的技法を用いて完全抗体分子から得ることができる。そのようなDNAは、公知でありおよび/または例えば商業的供給源、DNAライブラリー(例えばファージ−抗体ライブラリーを含む)から容易に調達することができ、または合成することができる。DNAをシークエンシングし、化学的にまたは分子生物学技法の使用によって操作して、例えば、1つもしくはそれ以上の可変および/もしくは定常領域を好適な高次構造に配置すること、またはコドンを導入すること、システイン残基を生成すること、アミノ酸を修飾する、付加させるまたは欠失させることなどができる。
抗原結合断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)2断片;(iii)Fd断片;(iv)Fv断片;(v)一本鎖Fv(scFv)分子;(vi)dAb断片;および(vii)抗体の超可変領域(例えば、単離された相補性決定領域(CDR)、例えばCDR3ペプチド)を模倣するアミノ酸残基からなる最小認識単位、または拘束FR3−CDR3−FR4ペプチドが挙げられる。他の改変分子、例えば、ドメイン特異的抗体、シングルドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDRグラフト抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、ナノボディ(例えば、一価ナノボディ、二価ナノボディなど)、小モジュラー免疫薬(SMIP)、サメ可変IgNARドメインも、本明細書において用いる場合の「抗原結合断片」という表現に包含される。
抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの可変ドメインを概して含むことになる。可変ドメインは、いずれのサイズまたはアミノ酸組成のものであり、一般的には、1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列に隣接しているまたは1つもしくはそれ以上のフレームワーク配列とインフレームである少なくとも1つのCDRを含むことになる。VLドメインと会合しているVHドメインを有する抗原結合断片の場合、VHおよびVLドメインは、互いに対してあらゆる好適な配置で位置することができる。例えば、可変領域は、二量体であり、VH−VH、VH−VLまたはVL−VL二量体を含有することがある。あるいは、抗体の抗原結合断片は、単量体VHまたはVLドメインを含有することもある。
特定の実施形態において、抗体の抗原結合断片は、少なくとも1つの定常ドメインに共有結合で連結されている少なくとも1つの可変ドメインを含有することがある。本発明の抗体の抗原結合断片内で見つけることができる可変および定常ドメインの非限定的、例示的高次構造としては、(i)VH−CH1;(ii)VH−CH2;(iii)VH−CH3;(iv)VH−CH1−CH2;(v)VH−CH1−CH2−CH3;(vi)VH−CH2−CH3;(vii)VH−CL;(viii)VL−CH1;(ix)VL−CH2;(x)VL−CH3;(xi)VL−CH1−CH2;(xii)VL−CH1−CH2−CH3;(xiii)VL−CH2−CH3;および(xiv)VL−CLが挙げられる。上に列挙した例示的高次構造のいずれかを含む、可変および定常ドメインのいずれの高次構造においても、可変および定常ドメインは、互いに直接連結されていることもあり、または完全もしくは部分ヒンジもしくはリンカー領域によって連結されていることもある。ヒンジ領域は、少なくとも2つ(例えば、5、10、15、20、40、60またはそれ以上)のアミノ酸からなることがあり、その結果、単一ポリペプチド分子内の隣接した可変および/または定常ドメイン間の柔軟なまたはやや柔軟な連鎖となる。さらに、本発明の抗体の抗原結合断片は、互いにおよび/または1つもしくはそれ以上の単量体VHもしくはVLドメインと非共有結合で(例えば、ジスルフィド結合によって)会合している、上に列挙したいずれかの可変および定常ドメイン高次構造のホモ二量体またはヘテロ二量体(または他の多量体)を含むことがある。
完全抗体分子と同様に、抗原結合断片は、単一特異性であることもあり、または多重特異性(例えば、二重特異性)であることもある。抗体の多重特異性抗原結合断片は、各可変ドメインが別個の抗原にまたは同じ抗原上の異なるエピトープと特異的に結合できる、少なくとも2つの異なる可変ドメインを概して含むことになる。本明細書において開示する例示的二重特異性抗体形式を含む、いずれの多重特異性抗体形式も、当技術分野において利用可能な常例的技法を用いる本発明の抗体の抗原結合断片との関連での使用に適応させることができる。
抗体の定常領域は、補体を固定し、細胞依存性細胞傷害を媒介する抗体の能力に重要である。したがって、抗体が細胞傷害を媒介することが望ましいかどうかに基づいて抗体のアイソタイプを選択することができる。
用語「ヒト抗体」は、本明細書において用いる場合、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する抗体を含むことを意図したものである。とはいえ、本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでのランダムもしくは部位特異的突然変異誘発によってまたはインビボでの体細胞突然変異によって誘導された突然変異)を、例えば、CDR、特にCDR3に含むことがある。しかし、用語「ヒト抗体」は、本明細書において用いる場合、マウスなどの別の哺乳動物種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列にグラフトされた抗体を含むことを意図したものではない。
用語「組換えヒト抗体」は、本明細書において用いる場合、組換え手段によって製造、発現、生成または単離される全てのヒト抗体、例えば、宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体(さらに下で説明する)、組換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリー(下でさらに説明する)、ヒト免疫グロブリン遺伝子が遺伝子導入されている動物(例えばマウス)から単離された抗体(例えば、Taylorら(1992)Nucl.Acids Res.20:6287〜6295を参照されたい)、またはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって製造、発現、生成もしくは単離された抗体を含むことを意図したものである。そのような組換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変および定常領域を有する。しかし、特定の実施形態において、そのような組換えヒト抗体は、インビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列が遺伝子導入された動物を使用する場合にはインビボ体細胞突然変異)に付されるので、該組換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列に由来し、ヒト生殖細胞系VHおよびVL配列と類縁の配列だが、インビボでヒト抗体生殖細胞系レパートリー内に天然に存在できない配列である。
ヒト抗体は、2つの形態で存在することができ、これらの形態がヒンジ異質性に関連する。一方の形態の場合、免疫グロブリン分子は、二量体が鎖間重鎖ジスルフィド結合によって一緒に保持されている、おおよそ150〜160kDaの安定した4鎖構築物を含む。第2の形態の場合、二量体は鎖間ジスルフィド結合によって連結されておらず、約75〜80kDaの分子が、共有結合でカップリングされた軽鎖と重鎖で形成され、構成される(ハーフ抗体(half-antibody))。これらの形態は、アフィニティー精製後でさえ分離することが極めて難しかった。
様々なインタクトIgGアイソタイプにおける第2の形態の出現頻度は、抗体のヒンジ領域アイソタイプに関連する構造の違いに、これに限定されるものではないが、起因する。ヒトIgG4ヒンジのヒンジ領域における単一アミノ酸置換は、第2の形態の出現を、ヒトIgG1ヒンジを使用して概して観察されるレベルに、有意に低減させることができる(Angalら(1993)Molecular Immunology 30:105)。本発明は、例えば生産の際、所望の抗体形態の収率を向上させるために望ましいことがある、ヒンジ、CH2またはCH3領域に1つまたはそれ以上の突然変異を有する抗体を包含する。
「単離された抗体」は、本明細書において用いる場合、その天然環境の少なくとも1つの成分から同定および分離および/または回収された抗体を意味する。例えば、生物の少なくとも1つの成分から分離もしくは除去された抗体、またはその抗体が天然に存在するもしくは天然に生産される組織もしくは細胞から分離もしくは除去された抗体は、本発明では「単離された抗体」である。単離された抗体は、組換え細胞内の生体内原位置の抗体も含む。単離された抗体は、少なくとも1工程の精製または単離工程に付された抗体である。特定の実施形態によると、単離された抗体には、他の細胞物質および/または化学物質が実質的にないこともある。
用語「特異的に結合する」またはこれに類する用語は、抗体またはその抗原結合断片が、生理条件下で比較的安定している抗原との複合体を形成することを意味する。抗体が抗原と特異的に結合するかどうかを判定する方法は、当技術分野において周知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。例えば、PCSK9「に特異的に結合する」抗体は、本発明に関連して用いる場合、表面プラズモン共鳴アッセイで測定して、約1000nM未満、約500nM未満、約300nM未満、約200nM未満、約100nM未満、約90nM未満、約80nM未満、約70nM未満、約60nM未満、約50nM未満、約40nM未満、約30nM未満、約20nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、約1nM未満、または約0.5nM未満のKDで、PCSK9またはその一部に結合する抗体を含む。しかし、ヒトPCSK9に特異的に結合する単離された抗体は、他の(非ヒト)種からのPCSK9分子などの、他の抗原への交差反応性を有する。
本発明の方法に有用な抗PCSK9抗体は、該抗体が由来する対応する生殖細胞系配列と比較して、重鎖および軽鎖可変ドメインのフレームワークおよび/またはCDR領域に1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、挿入および/または欠失を含むことがある。そのような突然変異は、本明細書において開示するアミノ酸配列を例えば公開抗体配列データベースから入手できる生殖細胞系配列と比較することによって、容易に突き止めることができる。本発明は、本明細書において開示するアミノ酸配列のいずれかに由来する抗体およびそれらの抗原結合断片の使用を含む方法であって、1つまたはそれ以上のフレームワークおよび/またはCDR領域内の1つまたはそれ以上のアミノ酸が、該抗体が由来する生殖細胞系配列の対応する残基に、または別のヒト生殖細胞系配列の対応する残基に、または対応する生殖細胞系残基の保存的アミノ酸置換に突然変異される(このような配列交換を本明細書ではまとめて「生殖細胞系突然変異」と呼ぶ)前記方法を含む。当業者は、本明細書において開示する重鎖および軽鎖可変領域配列で出発して、1つもしくはそれ以上の個々の生殖細胞系突然変異またはそれらの組合せを含む多数の抗体および抗原結合断片を容易に生産することができる。特定の実施形態では、VHおよび/またはVLドメイン内のフレームワークおよび/またはCDR残基の全てが、抗体が由来する元の生殖細胞系配列中で見つけられる残基に復帰突然変異される。他の実施形態では、特定の残基のみ、例えば、FR1の最初の8アミノ酸中もしくはFR4の最後の8アミノ酸中で見つけられる突然変異残基のみ、またはCDR1、CDR2もしくはCDR3内で見つけられる突然変異残基のみが、元の生殖細胞系配列に復帰突然変異される。他の実施形態では、フレームワークおよび/またはCDR残基の1つまたはそれ以上が、異なる生殖細胞系配列(すなわち、抗体が当初由来した生殖細胞系配列とは異なる生殖細胞系配列)の対応する残基に突然変異される。さらに、本発明の抗体は、フレームワークおよび/またはCDR領域内に、2つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異の何らかの組合せ、例えば、特定の個々の残基は特定の生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異されるが、元の生殖細胞系配列とは異なる特定の他の残基は維持されるか、または異なる生殖細胞系配列の対応する残基に突然変異される組合せを含有することもある。1つまたはそれ以上の生殖細胞系突然変異を含有する抗体および抗原結合断片は、ひとたび得てしまえば、1つまたはそれ以上の所望の特性、例えば、結合特異性改善、結合親和性増加、(場合によって)アンタゴニストまたはアゴニストとしての生物学的特性改善または向上、免疫原性低減などについて容易に試験することができる。この一般的手法で得られる抗体および抗原結合断片の使用は、本発明に包含される。
本発明は、1つまたはそれ以上の保存的置換を有する本明細書において開示するHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかについての変異体を含む抗PCSK9抗体の使用を含む方法も含む。例えば、本発明は、例えば、本明細書において開示するHCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列のいずれかと比較して10またはそれ以下、8またはそれ以下、6またはそれ以下、4またはそれ以下などの保存的アミノ酸置換を有する、HCVR、LCVRおよび/またはCDRアミノ酸配列を有する抗PCSK9抗体の使用を含む。
用語「表面プラズモン共鳴」は、本明細書において用いる場合、例えばBIAcore(商標)システム(Biacore Life Sciences devision of GE Healthcare、Piscataway、NJ)を使用してバイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度変化の検出によりリアルタイム相互作用を分析することができる光学現象を指す。
用語「KD」は、本明細書において用いる場合、特定の抗体−抗原相互作用の平衡解離定数を指すことを意図したものである。
用語「エピトープ」は、パラトープとして公知の抗体分子の可変領域内の特異的抗原結合部位と相互作用する抗原決定基を指す。単一の抗原が1つより多くのエピトープを有することもある。それ故、抗体によって、結合する抗原領域が異なることもあり、有する生物学的効果が異なることもある。エピトープは、高次構造であることもあり、または線状であることもある。高次構造エピトープは、直鎖状ペプチド鎖の異なるセグメントからの空間的に隣り合って並ぶアミノ酸によって生成される。線状エピトープは、ポリペプチド鎖内の隣接したアミノ酸残基によって生成されるものである。特定の状況では、エピトープは、抗原上の糖類、ホスホリル基またはスルホニル基部分を含むことがある。
特定の実施形態によると、本発明の方法において使用される抗PCSK9抗体は、pH依存性結合特性を有する抗体である。本明細書において用いる場合、「pH依存性結合」という表現は、抗体またはその抗原結合断片が、「中性pHと比較して酸性pHでPCSK9との結合低減」を示すことを意味する(本開示では、両方の表現を同義で用いることがある)。例えば、「pH依存性結合特性を有する」抗体は、酸性pHでより中性pHでのほうが高い親和性でPCSK9に結合する抗体およびそれらの抗原結合断片を含む。特定の実施形態において、本発明の抗体およびそれらの抗原結合断片は、酸性pHでより中性pHでのほうが少なくとも3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100倍またはそれ以上高い親和性でPCSK9に結合する。
本発明のこの態様によると、pH依存性結合特性を有する抗PCSK9抗体は、親抗PCSK9抗体と比較して1つまたはそれ以上のアミノ酸変異を有することがある。例えば、pH依存性結合特性を有する抗PCSK9抗体は、例えば、親抗PCSK9抗体の1つまたはそれ以上のCDR内に、1つまたはそれ以上のヒスチジン置換または挿入を有することがある。それ故、本発明の特定の実施形態に従って、親抗体の1つまたはそれ以上のCDRの1つまたはそれ以上のアミノ酸のヒスチジン残基での置換を除いて親抗PCSK9抗体のCDRアミノ酸配列と同一であるCDRアミノ酸配列(例えば、重鎖および軽鎖CDR)を含む抗PCSK9抗体を投与することを含む方法を提供する。pH依存性結合を有する抗PCSK9抗体は、親抗PCSK9抗体の単一のCDR内に、または親抗PCSK9抗体の複数(例えば、2、3、4、5もしくは6)のCDR全体にわたって分布している、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上のヒスチジン置換を有することがある。例えば、本発明は、親抗PCSK9抗体のHCDR1に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、HCDR2に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、HCDR3に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、LCDR1に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、LCDR2に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換、および/またはLCDR3に1つもしくはそれ以上のヒスチジン置換を含む、pH依存性結合を有する抗PCSK9抗体の使用を含む。
本明細書において用いる場合、「酸性pH」という表現は、6.0またはそれ以下(例えば、約6.0未満、約5.5未満、約5.0未満など)のpHを意味する。「酸性pH」という表現は、約6.0、5.95、5.90、5.85、5.8、5.75、5.7、5.65、5.6、5.55、5.5、5.45、5.4、5.35、5.3、5.25、5.2、5.15、5.1、5.05、5.0またはそれ以下のpH値を含む。本明細書において用いる場合、「中性pH」という表現は、約7.0〜約7.4のpHを意味する。「中性pH」という表現は、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35および7.4のpH値を含む。
ヒト抗体の製造
トランスジェニックマウスでヒト抗体を産生する方法は当技術分野において公知である。任意のそのような公知の方法を本発明に関連して使用して、ヒトPCSK9と特異的に結合するヒト抗体を作製することができる。
VELOCIMMUNE(登録商標)技術(例えば米国特許第6,596,541号、Regeneron Pharmaceuticalsを参照されたい)、またはモノクローナル抗体の任意の他の公知産生方法を用いて、ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する、PCSK9に対する高親和性キメラ抗体を、最初に単離する。VELOCIMMUNE(登録商標)技術は、マウスが抗原刺激に応答してヒト可変領域およびマウス定常領域を含む抗体を生産するように、内在性マウス定常領域遺伝子座に作動可能に連結されたヒト重鎖および軽鎖可変領域を含むゲノムを有するトランスジェニックマウスの産生を含む。抗体の重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、ヒト重鎖および軽鎖定常領域をコードするDNAに作動可能に連結させる。その後、完全ヒト抗体を発現することができる細胞においてそのDNAを発現させる。
一般には、VELOCIMMUNE(登録商標)マウスに、対象とする抗原を感作させ、抗体を発現しているマウスからリンパ細胞(例えば、B細胞)を回収する。リンパ細胞を骨髄腫細胞株と融合させて不死ハイブリドーマ細胞株を製造することができ、そのようなハイブリドーマ細胞株をスクリーニングし、選択して、対象とする抗原に特異的な抗体を生産するハイブリドーマ細胞株を同定する。重鎖および軽鎖の可変領域をコードするDNAを単離し、重鎖および軽鎖の望ましいアイソタイプ定常領域に連結させることができる。そのような抗体タンパク質を、CHO細胞などの細胞において生産することができる。あるいは、抗原特異的キメラ抗体をコードするDNA、または重鎖および軽鎖の可変ドメインを、抗原特異的リンパ球から直接単離することができる。
ヒト可変領域およびマウス定常領域を有する高親和性キメラ抗体を最初に単離する。当業者に公知の標準的手順を用いて、抗体を特性評価し、親和性、選択性、エピトープなどをはじめとする所望の特定について選択する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置換して、本発明の完全ヒト抗体、例えば野生型または修飾IgG1またはIgG4、を産生させる。選択される定常領域は具体的な用途によって変わることがあるが、高親和性抗原結合特性および標的特異性が可変領域にある。
一般に、本発明の方法で使用することができる抗体は、固相に固定された抗原または溶液相中の抗原と結合させることによって測定したとき、上で説明したような高い親和性を有する。マウス定常領域を所望のヒト定常領域で置換して、本発明の完全ヒト抗体を産生させる。選択される定常領域は具体的な用途によって変わることがあるが、高親和性抗原結合特性および標的特異性が可変領域にある。
本発明の方法に関連して使用することができる、PCSK9に特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の具体的な例としては、配列番号1および11からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、重鎖可変領域(HCVR)に含有された3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が挙げられる。あるいは、本発明の方法に関連して使用することができる、PCSK9に特異的に結合するヒト抗体または抗体の抗原結合断片の具体的な例としては、配列番号37、45、53、61、69、77、85、93、101、109、117、125、133、141、149、157、165、173、181および189からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、重鎖可変領域(HCVR)に含有された3つの重鎖CDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)を含む任意の抗体または抗原結合断片が挙げられる。抗体または抗原結合断片は、配列番号6および15からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、軽鎖可変領域(LCVR)に含有された3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むことがある。あるいは、抗体または抗原結合断片は、配列番号41、49、57、65、73、81、89、97、105、113、121、129、137、145、153、161、169、177、185および193からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するか、または少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%配列同一性を有するその実質的に類似の配列を有する、軽鎖可変領域(LCVR)に含有された3つの軽鎖CDR(LCVR1、LCVR2、LCVR3)を含むこともある。
本発明の特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。あるいは、本発明の特定の実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号37/41、45/49、53/57、61/65、69/73、77/81、85/89、93/97、101/105、109/113、117/121、125/129、133/137、141/145、149/153、157/161、165/169、173/177、181/185および189/193からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)からの6つのCDR(HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2およびLCDR3)を含む。
本発明の特定の実施形態において、本発明の方法で使用することができる抗PCSK9抗体またはその抗原結合断片は、配列番号2/3/4/7/8/10(mAb316P)および12/13/14/16/17/18(mAb300N)(米国特許出願公開第2010/0166768号を参照されたい)から選択されるHCDR1/HCDR2/HCDR3/LCDR1/LCDR2/LCDR3アミノ酸配列を有する。
本発明の特定の実施形態において、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号1/6および11/15からなる群から選択されるHCVR/LCVRアミノ酸配列対を含む。あるいは、本発明の特定の実施形態において、抗体または抗原結合タンパク質は、配列番号37/41、45/49、53/57、61/65、69/73、77/81、85/89、93/97、101/105、109/113、117/121、125/129、133/137、141/145、149/153、157/161、165/169、173/177、181/185および189/193からなる群から選択される重鎖可変領域アミノ酸配列と軽鎖可変領域アミノ酸配列の対(HCVR/LCVR)を含む。
医薬組成物および投与方法
本発明は、医薬組成物に含有されているPCSK9阻害剤を高心血管リスク患者に投与することを含む方法を含む。本発明の医薬組成物は、好適な担体、賦形剤、および好適な転移、送達、耐性などをもたらす他の薬剤を用いて製剤化される。多くの適切な製剤を全ての薬剤師に公知の処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Company、Easton、PAにおいて見つけることができる。これらの製剤としては、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、(カチオン性またはアニオン性)脂質含有ビヒクル(例えば、LIPOFECTIN(商標))、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型および油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、ならびにカルボワックスを含有する半固体混合物が挙げられる。Powellら、「Compendium of excipients for parenteral formulations」、PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238〜311も参照されたい。
様々な送達システム、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセルへの封入、突然変異型ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介エンドサイトーシス(例えば、Wuら、1987、J.Biol.Chem.262:4429〜4432を参照されたい)は公知であり、本発明の医薬組成物を投与するためにそれらを使用することができる。投与方法としては、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外および経口経路が挙げられるが、これらに限定されない。組成物を任意の適便な経路によって、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮内層または粘膜皮膚内層(例えば、経口粘膜、直腸および腸粘膜など)による吸収によって投与することができ、他の生物活性薬剤と一緒に投与することができる。
本発明の医薬組成物は、標準的な針および注射器で皮下または静脈内送達することができる。加えて、皮下送達に関しては、ペン型送達デバイスを本発明の医薬組成物の送達に容易に利用される。そのようなペン型送達デバイスは、再使用可能であることもあり、または使い捨てであることもある。再使用可能なペン型送達デバイスには、医薬組成物を収容している交換可能カートリッジが一般に利用される。カートリッジ内の医薬組成物の全てを投与してしまい、カートリッジが空になったら、空のカートリッジを容易に廃棄することができ、医薬組成物を収容している新たなカートリッジと容易に交換することができる。その後、そのペン型送達デバイスを再使用することができる。使い捨てペン型送達デバイスには、交換可能カートリッジがない。もっと正確に言えば、使い捨てペン型送達デバイスには医薬組成物が予め充填されており、該医薬組成物は該デバイスの貯液部に保持されている。貯蔵部の医薬組成物が空になったら、デバイス全体を廃棄する。
非常に多くの再使用可能ペン型および自己注射器送達デバイスが本発明の医薬組成物の皮下送達に利用される。例としては、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford,Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Bergdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly and Co.、Indianapolis、IN)、NOVOPEN(商標)I、IIおよびIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、NJ)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、ならびにOPTICLIK(商標)(sanofi−aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物の皮下送達に利用される使い捨てペン型送達デバイスの例としては、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(sanofi−aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)およびKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)オートインジェクター(Amgen、Thousand Oaks、CA)、PENLET(商標)(Haselmeier、Stuttgart、Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)およびHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park IL)が挙げられるが、これらに限定されない。
特定の状況では、医薬組成物を制御放出システムで送達することができる。1つの実施形態では、ポンプを使用することがある(Langer、上掲;Sefton、1987、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.14:201を参照されたい)。別の実施形態では、高分子材料を使用することができる;Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編集)、1974、CRC Pres.、Boca Raton、Floridaを参照されたい。さらに別の実施形態では、制御放出システムを組成物の標的のすぐそばに配置することができ、したがって全身用量のほんの一部のみ要する(例えば、Goodson、1984、Medical Applications of Controlled Release、上掲、第2巻、115〜138頁を参照されたい)。他の制御放出システムは、Langer、1990、Science 249:1527〜1533による総説で論じされている。
注射用製剤としては、静脈内、皮下、皮内および筋肉内注射、点滴注入などのための剤形を挙げることができる。これらの注射用製剤を公知の方法によって製造することができる。例えば、注射用製剤は、例えば、注射剤に従来使用されている滅菌水性媒体または油性媒体に上で説明した抗体またはその塩を溶解する、懸濁させるまたは乳化させることによって、製造することができる。注射剤のための水性媒体としては、例えば、生理食塩水、グルコースおよび他の補助剤を含有する等張溶液などがあり、これらは、適切な可溶化剤、例えばアルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO−50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加体)]などと併用されることもある。油性媒体としては、例えば、ゴマ油、ダイズ油が利用され、これらは、可溶化剤、例えば安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用されることもある。好ましくは、このようにして製造された注射剤は、適切なアンプルに充填される。
有利には、上で説明した経口または非経口使用用の医薬組成物は、活性成分の用量を合わせることに適している単位用量での剤形に製造される。単位用量でのそのような剤形としては、例えば、錠剤、ピル、カプセル、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられる。
投薬量
本発明の方法に従って高心血管リスク被験者に投与されるPCSK9阻害剤(例えば、抗PCSK9抗体)の量は、一般に治療有効量である。本明細書において用いる場合、「治療有効量」という句は、LDL−C、アポB、非HDL−C、総コレステロール、HLDL−C、トリグリセリドおよびLp(a)からなる群から選択される1つまたはそれ以上のパラメータの(ベースラインから少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%またはそれ以上の)検出可能な改善をもたらすPCSK9阻害剤の量を意味する。
抗PCSK9抗体の場合、治療有効量は、抗PCSK9抗体約0.05mg〜約600mg、例えば、約0.05mg、約0.1mg、約1.0mg、約1.5mg、約2.0mg、約10mg、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mgまたは約600mgであることができる。
個々の用量に含有される抗PCSK9抗体の量を患者体重1キログラム当たりの抗体のミリグラム(すなわち、mg/kg)によって表すことができる。例えば、抗PCSK9抗体を患者に約0.0001〜約10mg/(患者体重のkg)の用量で投与することができる。
併用治療
本明細書中の他の箇所で説明するように、本発明の方法は、高心血管リスク患者に、該患者の以前に処方された安定した1日最大耐用量治療スタチンレジメンと併用してPCSK9阻害剤を投与することを含むことがある。本発明の特定の実施形態によると、スタチンに加えてさらなる治療薬がPCSK9阻害剤と併用して患者に投与されることもある。そのようなさらなる治療薬の例としては、例えば、(1)コレステロール取り込みおよび/もしくは胆汁酸再吸収を阻害する薬剤(例えば、エゼチミブ);(2)リポタンパク質異化を増加させる薬剤(例えば、ナイアシン);ならびに/または(3)コレステロール削減に関与するLXR転写因子の活性化剤、例えば22−ヒドロキシコレステロールが挙げられる。
投与レジメン
本発明の特定の実施形態によると、PCSK9阻害剤(すなわち、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物)の複数の用量を被定義時間にわたって(例えば、毎日の治療スタチンレジメンに加えて)被験者に投与することができる。本発明のこの態様による方法は、PCSK9阻害剤の複数の用量を高心血管リスク被験者に逐次的に投与することを含む。本明細書において用いる場合、「逐次的に投与すること」は、PCSK9阻害剤の各用量を被験者に異なる時点で、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間または数カ月)隔てた異なる日に投与することを意味する。本発明は、高心血管リスク患者のPCSK阻害剤の単一初回用量、その後、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の第2の用量、場合によりその後、PCSK9阻害剤の1用量またはそれ以上の第3の用量を逐次的に投与することを含む方法を含む。
用語「初回用量」、「第2の用量」および「第3の用量」は、PCSK9阻害剤を含む医薬組成物の個々の用量の投与についての時系列を指す。したがって、「初回用量」は、処置レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも呼ばれ)であり;「第2の用量」は、初回用量後に投与される用量であり、「第3の用量」は、第2の用量後に投与される用量である。初回、第2および第3の用量は、全て同じ量のPCSK9阻害剤を含有することもあるが、一般には投与頻度の点から互いに異なることがある。しかし、特定の実施形態において、初回、第2および/または第3の用量に含有されるPCSK9阻害剤の量は、処置の過程で互いに変動する(例えば、必要に応じて上方または下方調整される)。特定の実施形態では、2用量またはそれ以上の(例えば、2、3、4または5)用量が「負荷用量」として処置レジメンの開始時に投与され、その後、より低頻度で投与される後続の用量(例えば、「維持用量」)が投与される。
本発明の例示的実施形態によると、各第2および/または第3の用量は、直前の用量の1〜26週間(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、15.5、16、16.5、17、17.5、18、18.5、19、19.5、20、20.5、21、21.5、22、22.5、23、23.5、24、24.5、25、25.5、26、26.5週間またはそれ以上)後に投与される。「直前の用量」という句は、本明細書において用いる場合、複数の投与の順序に関して、介在する用量のない順序的にまさにその次の用量の投与の前に患者に投与される抗原結合分子の用量を意味する。
本発明のこの態様による方法は、PCSK9阻害剤の任意の数の第2および/または第3の用量を高心血管リスク患者に投与することを含む。例えば、特定の実施形態では、単一の第2の用量のみ患者に投与される。他の実施形態では、2またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の)第2の用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態では、単一の第3の用量のみ患者に投与される。他の実施形態では、2またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8またはそれ以上の)第3の用量が患者に投与される。
複数の第2の用量を含む実施形態において、各々の第2の用量は、他の第2の用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各々の第2の用量は、直前の用量の1〜2、4、6、8週間またはそれ以上後に高心血管リスク患者に投与されることがある。同様に、複数の第3の用量を含む実施形態において、各々の第3の用量は、他の第3の用量と同じ頻度で投与されることがある。例えば、各々の第3の用量は、直前の用量の1〜2、4、6、8週間またはそれ以上後に患者に投与されることがある。あるいは、第2および/または第3の用量が患者に投与される頻度は、処置レジメンの過程を通して様々であることができる。投与頻度は、臨床検査に従って個々の患者の必要に応じて医師によって処置の過程で調整されることもある。
本発明は、アップタイトレーションオプション(本明細書では「用量修飾」とも呼ぶ)を含む投与レジメンを含む。本明細書において、「アップタイトレーションオプション」とは、PCSK9阻害剤の特定数の用量を受けた後に、患者が1つまたはそれ以上の被定義処置パラメータの指定された低減を達成しなかった場合、PCSK9阻害剤の用量がそれ以降増加されることを意味する。例えば、抗PCSK9抗体の75mg用量の高心血管リスク患者への2週間に1回の頻度での投与を含む処置レジメンの場合、8週間(すなわち、第0週、第2週および第4週、第6週および第8週で投与された5用量)後、該患者が70mg/dL未満の血清LDL−C濃度に達しなかった場合には、抗PCSK9抗体の用量は、それ以降、例えば、2週間に1回投与される150mgに増加される(例えば、第12週に開始される)。
特定の実施形態では、抗PCSK9抗体は、例えば少なくとも6用量にわたって、約150mgの用量で、隔週、被験者に投与される。
特定の実施形態において、抗PCSK9抗体は、例えば少なくとも6用量にわたって、約75mgの用量で、隔週、被験者に投与される。
いくつかの実施形態において、抗体は、12週間にわたって、隔週、約75mgの用量で被験者に投与され、第8週に被験者のLDL−C値が70mg/dL未満であった場合、用量は、隔週、75mgのままである。
他の実施形態において、抗体は、12週間にわたって、隔週、約75mgの用量で被験者に投与され、第8週に被験者のLDL−C値が70mg/dL以上であった場合、用量は、隔週、約150mgに上げられる。
以下の実施例は、本発明の方法および組成物の作製および使用方法の完全な開示および説明を当業者に与えるために提示するものであり、本発明者らが自分達の発明と考える範囲を限定することを意図したものではない。用いる数値(例えば、量、温度など)に関して正確を期すように努めたが、多少の実験的誤差および偏差を考慮すべきである。別段の指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、圧力は大気圧またはほぼ大気圧である。
ヒトPCSK9に対するヒト抗体の産生
ヒト抗PCSK9抗体を米国特許8,062,640号に記載されているように産生させた。以下の実施例で使用する例示的PCSK9阻害剤は、「アリロクマブ」としても公知の「mAb316P」と称するヒト抗PCSK9抗体である。mAb316Pは、次のアミノ酸配列特性を有する:配列番号1を含む重鎖可変領域(HCVR);配列番号6を含む軽鎖可変領域(LCVR);配列番号2を含む重鎖相補性決定領域1(HCDR1);配列番号3を含むHCDR2;配列番号4を含むHCDR3;配列番号7を含む軽鎖相補性決定領域1(LCDR1);配列番号8を含むLCDR2;および配列番号10を含むLCDR3。
スタチンの最大投与可能量に対する制御されていない高コレステロール血症を有する高心血管リスク患者における、完全ヒトPCSK9モノクローナル抗体(「mAb316P」)アリロクマブの有効性および安全性
序論
COMBO IおよびII研究の目的は、他の脂質低下治療の有無に拘らず心血管リスクが高い高コレステロール血症の患者における、安定した1日最大投与可能量スタチン治療に対する追加治療としてのアリロクマブ(「mAb316P」)の有効性および安全性を評価することであった。COMBO Iは、プラセボ対照であって、かつ患者は、スタチン治療に加えて他の脂質低下治療を受けてもよかった;COMBO IIは、スタチン治療を受けている(ただし他の脂質低下治療は受けていない)患者においてアリロクマブとエゼチミブとを比較した。各々のCOMBO研究は、無作為化、二重盲検、プラセボ対照であった。両方の研究とも、隔週で、アリロクマブ75mgの出発用量を利用した(Q2W;自己注射器によって1mlの溶液として投与した)。処置の8週間後、≧70mg/dlのLDL−Cレベルを有する患者を、盲検方式で、第12週でアリロクマブ150mg(Q2W)までアップタイトレーションした(これも1mlで自己注射器)。
研究の目的
各々の研究についての主要有効性エンドポイントは、ベースラインから第24週のLDL−Cにおける変化率での処置アーム間の差であった。
各々の研究についての重要な副次的エンドポイントは次の通りであった:有効性処置期間の間、全ての低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)値を用いて、オントリートメント集団におけるベースラインから第24週まで、算定LDL−Cの百分率変化(ITT被推定値(estimand));ベースラインから第12週まで算定LDL−Cの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、算定LDL−Cの百分率変化(オントリートメント被推定値);ベースラインから第24週まで、アポリポタンパク質(Apo)Bの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第24週まで、Apo Bの百分率変化(オントリートメント被推定値);ベースラインから第24週まで、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)の百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第24週まで、非HDL−Cの百分率変化(オントリートメント被推定値);ベースラインから第24週まで、総コレステロールの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、Apo Bの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、非HDL−Cの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、総コレステロールの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第52週まで、算定LDL−Cの百分率変化(ITT被推定値);第24週で、算定LDL−C<70mg/dl(1.81mmol/l)に達する患者の割合(ITT被推定値);第24週で、算定LDL−C<70mg/dl(1.81mmol/l)に達する患者の割合(オントリートメント被推定値);ベースラインから第24週まで、リポタンパク質(a)(Lp(a))の百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第24週まで、HDL−Cの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第24週まで、空腹時トリグリセリド(TG)の百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第24週まで、Apo A1の百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、Lp(a)の百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、HDL−Cの百分率変化(ITT被推定値);ベースラインから第12週まで、空腹時TGの百分率変化(ITT被推定値);およびベースラインから第12週まで、Apo A1の百分率変化(ITT被推定値)。Apo、アポリポタンパク質;HDL−C、高密度リポタンパク質コレステロール;ITT、治療企図;LDL−C、低密度リポタンパク質コレステロール;Lp(a)、リポタンパク質(a);TG、トリグリセリド。
研究デザイン
COMBO Iは、第III相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、多施設、52週研究であった。この研究では、他の安定した脂質低下治療の有無に拘らず制御されていない高コレステロール血症を有する高リスク患者における、安定した最大投与可能1日用量のスタチンに対する追加治療としてのアリロクマブの有効性および安全性を評価した(図1A)。
COMBO IIは、第III相、無作為化、二重盲検、実対照、並行群間、多国籍104週研究であった。この研究には、安定した1日最大投与可能量スタチン治療に対して制御されていない高コレステロール血症を有する高リスク患者を登録した。COMBO I(プラセボアームあり)とは異なり、COMBO IIは、ダブルダミーデザインを用いる実処置アーム(エゼチミブ)を組み込んでおり(図1B)、患者には、スタチンおよびそれらの無作為化した処置の他になんら他の脂質低下治療を受けさせなかった。
患者選択
COMBO IおよびIIの全ての患者が、高コレステロール血症を有し、かつCHDまたはCHDリスク相当状態と確認され、LDL−Cは、スタチンの最大投与可能1日用量で十分に制御されなかった。COMBO Iにおいてだけは、患者は、スタチンに加えて、他の脂質低下治療を受けることも、スクリーニング訪問の前少なくとも4週間(フェノフィブラートについては6週間)、スタチンおよび他の脂質低下治療が両方とも安定した用量である条件では、許容した;COMBO IIでは、スタチン用量は、スクリーニング訪問の前少なくとも4週間安定である必要があり、他の脂質低下治療は許さなかった。スクリーニングの時点で、患者は、LDL−C≧70mg/dl(≧1.81mmol/l)(CVDの証明あり)、またはLDL−C≧100mg/dl(≧2.59 mmol/l)(CVDの履歴なし)のいずれかを与えられた。
スタチンの「最大耐用量」は、ロスバスタチン20mgもしくは40mg/日、アトルバスタチン40mgもしくは80mg/日、またはシンバスタチン80mg/日(>1年、この用量を既に受けている場合)のいずれかで定義した。しかし、治験責任医師がより高い用量を用いない記録された理由を有したならば、患者は、より低い毎日のアトルバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンの用量を用いた場合、包含について適格な範囲である上記スタチン用量を超えて耐容できなかった。
COMBO I
COMBO I研究の組み入れ基準は、次の通りであった。高コレステロール血症を有し、かつ冠動脈心疾患(CHD)またはCHDリスク相当状態(定義については以下を参照されたい)と確認された患者であって、他の脂質低下治療(LLT)の有無に拘らずスタチンの最大投与可能1日用量で十分制御されず、スクリーニング訪問の前少なくとも4週間(およびフェノフィブラートについてはスクリーニング訪問の前6週間)、両方とも安定した用量である患者。
最大投与可能量の定義(以下のいずれも許容可能であった):ロスバスタチン20mgもしくは40mg/日、アトルバスタチン40mgもしくは80mg/日、またはシンバスタチン80mg/日(>1年、この用量を既に受けている場合)。上記スタチン用量のいずれも用いることができない患者は、治験責任医師の判定または懸念に応じて患者にとって適切と考えられる毎日のアトルバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンの用量で処置を受けた。より低いスタチン用量を摂取した患者の許容可能な理由のいくつかの例としては、次のことが挙げられた:より高い用量での有害作用、高齢、低いボディマスインデックス(BMI)、地域特有の実施、限局的処方情報、併用薬、および併発状態、例えば耐糖能障害/空腹時血糖異常。
CHDの確立とは、記録されたCHD歴として定義され、次の1つまたはそれ以上を含んだ:急性心筋梗塞(MI)、無症候性MI、不安定狭心症、冠動脈血行再建術(例えば、経皮的冠動脈形成術[PCI]または冠動脈バイパス移植[CABG]手術)、および侵襲的または非侵襲的検査(例えば、冠動脈造影法、トレッドミルを使用する負荷試験、負荷心エコー検査、または核イメージング)によって診断された臨床的に有意なCHD。
CHDリスク相当状態は、次の4つの基準の1つまたはそれ以上を含んだ:1)記録された末梢動脈疾患(PAD)(次の基準[a、bまたはc]の1つを満たさなければならない):a)安静時のいずれかの脚で0.90以下の足関節・上腕血圧指数と共に、アテローム性動脈硬化症に起因すると推定される現在の間欠性跛行(再現可能であり、かつ10分以内の休息によって緩和される運動で生じる下肢の筋肉不快感)、またはb)アテローム性動脈硬化症のための片脚もしくは両脚における血管内手術もしくは外科的介入と共に、間欠的な既往、またはc)アテローム性動脈硬化症のための片脚もしくは両脚における血栓溶解、血管内手術または外科的介入と共に、重症虚血肢歴;2)アテローム性動脈硬化症に起因すると考えられる、24時間より長く持続した局所虚血性神経障害と共に記録された虚血性脳卒中。コンピュータートモグラフィー(CT)または磁気共鳴画像化(MRI)を行って、出血および非虚血性の神経疾患を除外しなければならなかった;3)スクリーニング訪問を含む、3カ月またはそれ以上の、≧30〜<60ml/分/1.73m2という推定糸球体濾過量(eGFR)によって定義される、記録された慢性腎疾患(CKD);ならびに/あるいは4)糖尿病および2つまたはそれ以上の追加のリスク因子の既往歴、例としては:a)高血圧歴(降圧薬服用時に確証されたもの)、b)足関節・上腕血圧指数≦0.90の記録された履歴、c)微量アルブミン尿もしくは顕性アルブミン尿の記録された履歴、またはタンパク質が>2+であるスクリーニング訪問(−第2週)時の尿試験紙尿検査、d)前増殖性もしくは増殖性網膜症または網膜症レーザー処置の記録された履歴、e)早期CHDの家族既往歴(年齢55歳未満に父親もしくは兄弟のCHD;年齢65歳未満の母親もしくは姉妹のCHD)。
上記の組み入れ基準の全てを満たす患者を、次の除外基準についてスクリーニングした。
試験方法に関する除外基準は次の通りであった:CHDもしくはCHDリスク相当状態と確認されないない患者;記録された心血管疾患[CVD]歴のある患者でスクリーニング訪問時にLDL−C<70mg/dl(<1.81mmol/l);記録されたCVD歴のない患者で、スクリーニング訪問時にLDL−C<100mg/dl(<2.59mmol/l);スクリーニング訪問の前、およびスクリーニングから無作為化までに、適宜、少なくとも4週間、および/またはフェノフィブラートについては少なくとも6週間、安定した用量の脂質低下治療(スタチンを含む)を受けていない;シンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチン以外のスタチンを現在摂取している;シンバスタチン、アトルバスタチンもしくはロスバスタチンを毎日摂取していないか、または登録した用量で摂取していない;アトルバスタチン80mg、ロスバスタチン40mgまたはシンバスタチン40mgを超える1日用量(1年より長い間シンバスタチン80mgを受けており、適格である、患者を除く);スクリーニング訪問の6週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、フェノフィブラート以外のフィブラートの使用;スクリーニング訪問の前少なくとも4週間の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、安定した用量/量でなかった、脂質に作用し得る栄養補助食品または市販の治療薬の使用;スクリーニング訪問の4週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、紅色酵母米製品の使用;スクリーニング訪問(−第2週)の前2週間以内に血漿交換処置を受けた、またはこの研究の間にその処置を受ける計画がある患者;最近の(スクリーニング訪問の前3カ月以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の)MI、入院につながる不安定狭心症、PCI、CABG、制御されていない心不整脈、脳卒中、一過性虚血性脳卒中、頸動脈血行再建術、末梢血管疾患のための血管内手術または外科的介入;予定されたPCI、CABG、頸動脈または末梢血行再建をこの研究中に受けるように計画されている;スクリーニング訪問または無作為化訪問時の収縮期血圧(BP)>160mmHgまたは拡張期BP>100mmHg;過去12カ月以内のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIVの心不全の履歴;出血性脳卒中の既往歴;スクリーニング訪問時に、18歳または法律上成人、いずれか高い方の年齢未満;スクリーニング訪問の前にコレステロール低下食についての事前指導を受けていない患者;新しく診断(無作為化訪問の前3カ月内)または制御不十分(スクリーニング訪問時の糖化ヘモグロビン[HbA1c]>8.5%)の糖尿病;血清脂質またはリポタンパク質に影響することが公知の制御されていない何らかの臨床的に有意な内分泌疾患の存在(注記:甲状腺補充療法の患者は、投薬量が、スクリーニング前およびスクリーニングと無作為化訪問の間、少なくとも12週間にわたって安定であり、甲状腺刺激ホルモン(TSH)レベルが、スクリーニング訪問時に中央実験室の正常範囲内である場合、含まれてもよい);スクリーニング訪問の前12カ月内の肥満手術の既往;スクリーニング訪問の前2カ月内に5kgを超える変動で定義される不安定な体重;ホモ接合性またはヘテロ接合性の家族性高コレステロール血症(FH)の既往歴;プロタンパク質転換酵素サブチリシンケキシン9(PCSK9)の機能喪失(すなわち、遺伝子突然変異または配列変異)の既往歴;無作為化訪問の前少なくとも6週間の、安定したレジメンで下垂体/副腎疾患のための補充治療として使用した場合を除く、全身性コルチコステロイド薬の使用(注記:局所的、関節内、鼻、吸入および眼科的ステロイド治療は、「全身性」とみなさず、許可する);レジメンがスクリーニング訪問(第−2週)の前の過去6週間安定しており、かつ研究中にそのレジメンを変更する計画がない場合を除く、連続的なエストロゲンまたはテストステロンホルモン補充治療の使用;適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌歴;HIV陽性の既往歴;1カ月以内または5半減期以内、いずれか長い方で、アリロクマブトレーニング用プラセボキット以外の何らかの治験薬を摂取した患者;アリロクマブまたは何らかの他の抗PCSK9治療の何らかの臨床試験に以前に参加した患者;スクリーニング期間中に同意を撤回する患者(継続する意思がないか、または再訪問しない患者)。
追加的な除外基準は、次のような条件/状況であった:治験責任医師または任意の治験補助医師の判断で、研究の安全な完了を妨げるか、もしくはエンドポイントの評価を制約することになる、スクリーニング時に特定される何らかの臨床的に有意な異常、例えば重大な全身性疾患、または余命の短い患者;治験責任医師または任意の治験補助医師によって何らかの理由でこの研究に不適切とみなされる患者、例えば、予定された訪問などの特定のプロトコール要件を満たすことができないと判断される患者;患者または治験責任医師の意見に基づいて長期間の注射を投与または耐容することができないと判断される患者;治験責任医師もしくは任意の治験補助医師、薬剤師、研究コーディネーター、プロトコールの実施に直接関与する他の研究スタッフもしくはその親族など;治験責任医師が研究期間に患者の参加を限定もしくは制限することになると感じる、実際のまたは予測される何らかの他の条件(例えば、地理的、社会的条件)の存在。
スクリーニング期間(無作為化検査を含まない)の間の検査所見:B型肝炎表面抗原またはC型肝炎抗体についての検査陽性(反射試験によって確認);妊娠の可能性がある女性における血清ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)または尿妊娠検査(第0週を含む)の陽性;トリグリセリド>400mg/dL(>4.52mmol/L)(1回の再検査を許可する);eGFR<30mL/分/1.73m2;アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)>3×正常の上限(ULN)(1回の再検査を許可する);クレアチンホスホキナーゼ(CPK)>3×ULN(1回の再検査を許可する);甲状腺刺激ホルモン(TSH)<正常の下限(LLN)または>ULN。
バックグラウンド治療に関する除外基準は、次の通りであった。それぞれの国の製品表示に示されている通りのバックグラウンド治療の全ての忌避または使用についての警告/注意(適宜)。
アリロクマブに関する除外基準は、次の通りであった。モノクローナル抗体治療に対する既知過敏症;妊娠しているまたは授乳中の女性;有効な受胎調整方法によって保護されていない妊娠の可能性がある女性および/または妊娠について検査する意思がないか、もしくは検査することができない女性。妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時および無作為化訪問時に妊娠検査陰性が確認されていなければならなかった。彼女たちは、この研究を通して有効な避妊法を用いなければならず、指定訪問時に尿妊娠検査を繰り返すことに同意しなければならなかった。適用される避妊方法は、薬剤のヒト臨床試験および製造承認の実施のための非臨床的安全性研究に対するガイダンスのための覚書による極めて有効な受胎調整方法の基準を満たさなければならなかった。閉経後女性は、少なくとも12カ月間、無月経でなければならなかった。
COMBO II
COMBII研究の組み入れ基準は、次の通りであった。高コレステロール血症を有し、かつCHDまたはCHDリスク相当状態(定義については以下を参照されたい)と確認された患者であって、スクリーニング訪問の前少なくとも4週間、スタチンの最大投与可能1日用量で十分制御されない患者。
最大投与可能量の定義(以下のいずれも許容可能であった):ロスバスタチン20mgもしくは40mg/日、アトルバスタチン40mgもしくは80mg/日、およびシンバスタチン80mg/日(>1年、この用量を既に受けている場合−除外基準を参照されたい)。上記スタチン用量のいずれも用いることができない患者は、治験責任医師の判定または懸念に応じて患者にとって適切と考えられる毎日のアトルバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンの用量で処置を受けるものとした。より低いスタチン用量を摂取した患者の許容可能な理由のいくつかの例としては、次のことが挙げられる:より高い用量での有害作用、高齢、低いBMI、地域特有の実施、限局的処方情報、併用薬、および併発状態、例えば、耐糖能障害/空腹時血糖異常。
CHDの確立には、次の1つまたはそれ以上が含んだ:急性MI、無症候性MI、不安定狭心症;冠動脈血行再建術(例えば、PCIまたはCABG);侵襲的または非侵襲的検査(例えば、冠動脈造影法、トレッドミルを用いる負荷試験、負荷心エコー検査、または核イメージング)によって診断された臨床的に有意なCHD。
CHDリスク相当状態は、次の4つの基準の1つまたはそれ以上を含んだ:1)記録されたPAD(次の基準[a、bまたはc]の1つを満たさなければならない):a)安静時のいずれかの脚で0.90以下の足関節・上腕血圧指数と共に、アテローム性動脈硬化症に起因すると推定される現在の間欠性跛行、またはb)アテローム性動脈硬化症のための片脚もしくは両脚の血管内手術または外科的介入と共に、間欠性跛行の既往、またはc)アテローム性動脈硬化症のための片脚もしくは両脚における血栓溶解、血管内手術または外科的介入と共に、重症虚血肢歴;2)アテローム性動脈硬化症に起因すると考えられる、24時間より長く持続した局所虚血性神経障害と共に記録された虚血性脳卒中。CTまたはMRIを行って、出血および非虚血性の神経疾患を除外しなければならなかった;3)スクリーニング訪問を含む、3カ月またはそれ以上の、eGFRが≧30〜<60ml/分/1.73m2で定義される、記録されたCKD;ならびに/あるいは4)糖尿病および2つまたはそれ以上の追加のリスク因子の既往歴:a)高血圧歴(降圧薬服用時に確証されたもの)、b)足関節・上腕血圧指数≦0.90の記録された履歴、c)微量アルブミン尿症もしくは顕性アルブミン尿症の記録された履歴、またはタンパク質が>2+であるスクリーニング訪問(第−3週)時の尿試験紙尿検査、d)前増殖性もしくは増殖性網膜症または網膜症レーザー処置の記録された履歴、e)早期CHDの家族既往歴(年齢55歳未満に父親もしくは兄弟のCHD;年齢65歳未満の母親もしくは姉妹のCHD)。
上記の組み入れ基準の全てを満たす患者を、次の除外基準についてスクリーニングした。
試験方法に関する除外基準は次の通りであった。CHDもしくはCHDリスク相当状態と確認されないない患者;記録されたCVD歴のある患者でスクリーニング訪問時にLDL−C<70mg/dl(<1.81mmol/l);記録されたCVD歴のない患者で、スクリーニング訪問時に、LDL−C<100mg/dl(<2.59mmol/l);スクリーニングから無作為化までに、スタチン用量または用量レジメンが変化;シンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチン以外のスタチンを現在摂取している;シンバスタチン、アトルバスタチンもしくはロスバスタチンを毎日摂取していないか、または登録した用量で摂取していない;アトルバスタチン80mg、ロスバスタチン40mgまたはシンバスタチン40mgを超える1日用量(1年より長い間シンバスタチン80mgを受けており、適格である、患者を除く);スクリーニング訪問の前の過去4週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、コレステロール吸収阻害剤(すなわち、エゼチミブ)、オメガ−3脂肪酸(≧1000mg/日の用量で)、ニコチン酸、胆汁酸結合封鎖剤、または紅色酵母米製品の使用;スクリーニング訪問の前の過去6週間の、フィブラートの使用;スクリーニング訪問の前少なくとも4週間の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、安定した用量/量でなかった、脂質に作用し得る栄養補助食品または市販の治療薬の使用;スクリーニング訪問の前の2カ月以内に血漿交換処置を受けたか、またはこの研究の間にその処置を受ける計画がある患者;最近の(スクリーニング訪問の前3カ月以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の)MI、入院につながる不安定狭心症、PCI、CABG、制御されていない心不整脈、脳卒中、一過性虚血性脳卒中、頸動脈血行再建術、末梢血管疾患のための血管内手術または外科的介入;予定されたPCI、CABG、頸動脈または末梢血行再建をこの研究中に受けるように計画されている;スクリーニング訪問または無作為化訪問時の収縮期BP>160mmHgまたは拡張期BP>100mmHg;過去12カ月以内のNYHAクラスIIIまたはIVの心不全の履歴;出血性脳卒中の既往歴;スクリーニング訪問時に、18歳または法律上成人、いずれか高い方の年齢未満;スクリーニング訪問の前にコレステロール低下食についての事前指導を受けていない患者;新しく診断(無作為化訪問の前3カ月内)または制御不十分(スクリーニング訪問時のHbA1c>9%)の糖尿病;血清脂質またはリポタンパク質に影響することが公知の制御されていない何らかの臨床的に有意な内分泌疾患の存在(注記:甲状腺補充療法の患者は、投薬量が、スクリーニング前およびスクリーニングと無作為化訪問の間、少なくとも12週間にわたって安定であり、TSHレベルが、スクリーニング訪問時に中央実験室の正常範囲内である場合、含まれてもよい);スクリーニング訪問の前12カ月内の肥満手術の既往;スクリーニング訪問の前2カ月内に5kgを超える変動で規定される不安定な体重;ホモ接合性またはヘテロ接合性のFHの既往歴;PCSK9の機能喪失(すなわち、遺伝子突然変異または配列変異)の既往が知られている;無作為化訪問の前少なくとも6週間の、安定したレジメンで下垂体/副腎疾患のための補充治療として使用した場合を除く、全身性コルチコステロイド薬の使用(注記:局所的、関節内、鼻、吸入および眼科的ステロイド治療は、「全身性」とみなさず、許可する);レジメンがスクリーニング訪問の前の過去6週間安定しており、かつ研究中にそのレジメンを変更する計画がない場合を除く、連続的なエストロゲンまたはテストステロンホルモン補充治療の使用;適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌歴;HIV検査陽性の既往歴;1カ月以内または5半減期以内、いずれか長い方で、アリロクマブトレーニング用プラセボキット以外の何らかの治験薬を摂取した患者;他の臨床試験で、アリロクマブまたは何らかの他の抗PCSK9モノクローナル抗体の少なくとも1用量で以前に処置された患者;スクリーニング期間中に同意を撤回する患者(継続する意思がないまたは再訪問しない患者)。
追加的な除外基準は、次のような条件/状況であった:治験責任医師または任意の治験補助医師の判断で、研究の安全な完了を妨げるか、もしくはエンドポイントの評価を制約することになる、スクリーニング時に特定される何らかの臨床的に有意な異常、例えば重大な全身性疾患;余命の短い患者;治験責任医師または任意の治験補助医師によって何らかの理由でこの研究に不適切とみなされる患者、例えば、予定された訪問などの特定のプロトコール要件を満たすことができないと判断される患者;患者または治験責任医師により長期間の注射を投与または耐容することができないと判断される患者;治験責任医師もしくは任意の治験補助医師、薬剤師、研究コーディネーター、プロトコールの実施に直接関与する他の研究スタッフもしくはその親族など;治験責任医師が研究期間に患者の参加を限定もしくは制限することになると感じる、実際のまたは予測される何らかの他の状態(例えば、地理的、社会的条件)の存在。
スクリーニング期間(無作為化検査を含まない)の間の検査所見:B型肝炎表面抗原またはC型肝炎抗体についての検査陽性;妊娠の可能性がある女性における血清ベータhCGまたは尿妊娠検査(第0週を含む)の陽性;トリグリセリド>400mg/dL(>4.52mmol/L)(1回の再検査を許可する);eGFR<30mL/分/1.73m2;ALTまたはAST>3×ULN(1回の再検査を許可する);CPK>3×ULN(1回の再検査を許可する);TSH<LLNまたは>ULN(1回の再検査を許可する)。
実際の比較薬および必須のバックグラウンド治療に関する除外基準は、次の通りであった。それぞれの国の製品表示に示されている通りのエゼチミブに対する全ての忌避または使用についての警告/注意(適宜):それぞれの国の製品表示に示されている通りのバックグラウンドのスタチンに対する全ての忌避または使用の警告/注意(適宜)。
アリロクマブに関する除外基準は、次の通りであった。モノクローナル抗体または薬物製品の任意の成分に対する既知過敏症;妊娠しているまたは授乳中の女性;高度に有効な受胎調整方法によって保護されていない妊娠の可能性がある女性および/または妊娠について検査する意思がないか、もしくは検査することができない女性。妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時および無作為化訪問時に妊娠検査陰性が確認されていなければならなかった。彼女たちは、この研究処置の全期間を通して、かつ研究薬の最終取り込み(注射剤またはカプセルどちらにしても最終)後10週間、有効な避妊法を用いなければならず、かつ指定訪問時に尿妊娠検査を繰り返すことに同意しなければならなかった。(適用される避妊方法は、「薬剤のヒト臨床試験および製造承認の実施のための非臨床的安全性研究に対するガイダンスのための覚書(Note for guidance on non−clinical safety studies for the conduct of human clinical trials and marketing authorization for pharmaceuticals)」による極めて有効な受胎調整方法の基準を満たさなければならなかった。閉経後女性は、少なくとも12カ月間、無月経でなければならなかった)。
研究手順
組み入れ基準を満たす患者を、無作為化前第2週(COMBO I)または第3週(COMBO II)までのスクリーニング期間に入れた。スクリーニングの間、患者は、インフォームドコンセントを完了し、包括/除外基準をさらに評価し、患者情報を収集して、患者を自己注射器デバイスの使用について訓練した。さらに、バイタルサインをとって、12リードの心電図をとり、空腹時血液および尿サンプルを分析のために得た。AEは、研究全体にわたってスクリーニング訪問から評価した。
COMBO I
適格な患者を無作為化して(2:1アリロクマブ:プラセボ)、1)心筋梗塞(MI)、または虚血性脳卒中の既往歴、および2)スタチン処置の強度で層別化して、これらの因子についてアーム間のバランスを保証した。無作為化後、患者は、第52週の二重盲検処置期間に入った。既存のスタチンおよび他の既存の脂質低下治療に加えて、必要である場合、患者は、無作為化から第12週まで、自己注射器を利用して、単回の1mlの注射として投与した、隔週(Q2W)75mgの皮下(SC)用量を受けるアリロクマブに無作為化した。患者は、同一の自己注射器から1mlのSCプラセボ注射を受けるプラセボに無作為化した。
第12週で、アリロクマブに無作為化した患者を、第8週でLDL−C≧70mg/dl(1.81mmol/l)である場合、150mg(Q2W)までアップタイトレーションした。盲検を維持するために、患者および治験責任医師には、第8週のLDL−Cレベル(または無作為化後の脂質値について);自己式および盲検方式で生じた用量の継続またはアップタイトレーションの情報を与えなかった。150mg(Q2W)用量のアリロクマブをまた、自己注射器で1mlの溶液としても投与した。
初期期間の間の現場での患者評価を、無作為化時に、次いで第4週、第8週、第12週、第16週、第24週、第36週および第52週(処置訪問の終わり)で予定した(図1A)。処置期間後、8週間の追跡期間があった。
COMBO II
適格な患者を無作為化して(2:1アリロクマブ:エゼチミブ)、1)MI、または虚血性脳卒中の既往歴、2)スタチン処置の強度、および3)地理的領域で層別化して、これらの因子についてアーム間のバランスを保証した。無作為化後、患者を、104週の二重盲検の、ダブルダミー処置期間に入れた。患者は、アリロクマブ75mgのSC(Q2W)に加えてプラセボ(毎日の経口(PO)のエゼチミブのため)、またはプラセボ(アリクロクマブSC(Q2W)のため)に加えて毎日のPOのエゼチミブ10mgいずれかに無作為化した。第12週の時点で、患者は、アクロロマブに無作為化した患者を、第8週のLDL−Cで≧70mg/dl(1.81mmol/l)である場合、150mg(Q2W)までアップタイトレーションした。
現場での患者評価を、無作為化から第104週まで(処置訪問の終わり)規則的な間隔で予定した(図1B)。処置期間後、8週間の追跡期間があった。
COMBOIおよびII
両方の研究とも、患者に安定した食事を維持するように求め(米国コレステロール教育プログラム成人治療パネルIII 治療のライフスタイル変化 食事または相当状態)、そしてスタチンの1日用量は、スクリーニングから追跡訪問まで試験期間全体にわたって安定にすべきである。スタチンに対する改変(およびCOMBO Iの場合、他のバックグラウンド脂質低下治療)は、専門的な環境下でのみ可能であった。
安全性評価
両方の研究の間の安全性評価は次の通りであった。安全性は有害事象(AE)報告(判定された心血管事象を含む)、実験室分析、およびバイタルサイン測定を通じて評価した。スタチンに加えてPCSK9阻害のLDL−C−低下効果は未知であるので、多数のAEを、特に対象とするとして定義し、モニターしたが、これには、アラニンアミノトランスフェラーゼ異常、アレルギー事象、溶血性貧血、妊娠、試験薬物の過量、神経学的事象、眼科的事象、および局所注射部位反応が挙げられる。AEは、以前の臨床試験の再考、規制当局およびデータモニタリング委員会との一致、本研究におけるモノクローナル抗体の使用、および薬物投与の経路に基づいて特に対象とするものを決定した。
安全性評価は次の通りであった。AE(判定された心血管事象を含む)、実験室パラメータ、およびバイタルサインを、安全性集団に基づいて、記述的に報告した(試験処置の少なくとも1用量または部分的用量を受けた全ての無作為化患者)。安全性解析は、第1の二重盲検用量から、治験製品の最終の二重盲検用量までの時間+70日(第10週)として定義した、治療創発的AE期間に焦点をあてた。
安全性:患者によって報告されるか、または治験責任医師が気付く、治療創発的有害事象(TEAE)、重篤な有害事象(SAE)、処置中断につながるTEAE、特に対象とするAE(判定結果による、局所注射部位反応、アレルギー事象、選択された神経学的事象、および心血管事象)、実験室パラメータにおけるPCSA(潜在的に臨床的に有意な異常)の出現、糖尿病または糖制御障害の特異的な解析、および2連続のLDL−C<25mg/dL(0.65mmol/L)のある患者。
COMBO I:統計学的方法
サンプルサイズ決定
最終の総サンプルサイズは、306であって、無作為化比は2:1(アリロクマブ204:プラセボ102)であった。
Combo I:解析集団
主要有効性解析集団は、治療企図(ITT)集団であって、これは、評価可能な主要エンドポイントを有する全ての無作為化患者として定義され、すなわち、利用可能なベースラインの算定LDL−C値、および少なくとも1つの利用可能な算定LDL−C値を、第24週までの解析ウィンドウの1つの中に有する集団であった(オントリートメントおよびオフトリートメントの全ての算定LDL−Cを含む)。
副次的有効性解析集団は、修正治療企図(mITT)集団であって、これは、二重盲検の治験医薬品(IMP)の少なくとも1用量または用量の一部を摂取し、有効性処置期間の間、ベースラインで利用可能な算定LDL−C値、および第24週までの解析ウィンドウの1つの中に少なくとも1つを有する全ての無作為化患者として定義された。有効性処置期間は、最初の二重盲検IMP投与から最終の二重盲検注射後21日までの時間として定義された。
安全性集団は、二重盲検のIMPの少なくとも1用量または用量の一部を受けた、全ての無作為化患者を含んだ。
Combo I:有効性解析
有効性エンドポイントの主要解析は、患者が治療を継続するか否かに関わらず、全ての脂質データを含む、ITTアプローチ(上記で定義されるITT集団に基づく)を用いて行った。これは、主要かつ重要な副次的エンドポイントについて定義されたITT被推定値に相当する。さらに、解析はまた、有効性処置期間の間に収集した脂質データを含む、オントリートメントアプローチ(上記で定義されるmITT集団に基づく)を用いて行った。これは、重要な副次的エンドポイントのオントリートメント被推定値に相当する。
このITTアプローチは、全ての患者を、処置に対するそれらの順守に関わらず、解析した;これは、処置ストラテジーの有益性を評価し、患者のある集団における効果をできるだけ反映していた。オントリートメントアプローチは、患者が実際に処置を受けている期間を制限した、処置の効果を解析した。これによって、考慮する時点まである処置を順守した患者でその処置が達成する有益性を評価した。
有効性解析は、無作為化した通りの処置によって行った。
全ての測定(予定または予定外、空腹時または非空腹時)を、解析ウィンドウに割り当てて、第4週から第52週時点まで評価を得た。
主要有効性解析(ITTアプローチ)に関して、ベースラインから第24週までの算定LDL−Cにおける変化率は、繰り返し測定混合効果モデル(MMRM)のアプローチを用いて解析した。第4週〜第52週の解析ウィンドウから利用可能な全てのベースライン後のデータを用い、欠測値をMMRMモデルによって考慮した。このモデルは、処置群の固定カテゴリー効果(アリロクマブに対してプラセボ)、無作為化層(IVRSのような)、時点(第4週〜第52週)、処置と時点の相互作用および層と時点の相互作用、ならびに、ベースラインLDL−C値およびベースライン値と時点の相互作用の連続固定共変数を含んだ。このモデルによって、両方の処置群について、それらの対応する95%信頼区間で、第24週でベースラインの調整した最小二乗法平均(LS平均)推定が提供された。プラセボ群に対してアリロクマブ群を比較するために、適切なステートメントを用いて、これらの推定値の差を5%アルファレベルで試験した。
階層法は、多重性を制御しながら重要な副次的エンドポイントを試験するために定義した(重要な副次的エンドポイントの上の大きさを用いる)。この第1の重要な副次的エンドポイントは、オントリートメントアプローチを用いて、ベースラインから第24週までの算定LDL−Cの変化率であった。
正規分布を有すると予測される連続副次変数(すなわち、TGおよびLp(a)以外の脂質)を、主要エンドポイントについてと同じMMRMモデルを用いて解析した。非正規分布を有すると予想された連続エンドポイント(すなわち、TGおよびLp(a))を、処置効果を比較するための効果として、処置群、無作為化層(IVRSのような)および対応するベースライン値を用いる、M推定を用いて(SAS ROBUSTREG手順を用いて)、反応変数として、対象とするエンドポイントを用いるロバスト回帰モデルに従って、失われた値の取り扱いについて多重インピュテーションアプローチを用いて解析した。両方の処置群での平均についての総合推定値、ならびにこれらの推定値の差は、それらの対応するSE、95%CIおよびp値を用いて、提供された(SAS MIANALYZE手順を通じて)。
二元の副次的有効性エンドポイントを、主要効果として処置群での層別化したロジスティック回帰に従う、失われた値の取り扱いのための複数のインピュテーションアプローチ、および無作為化因子によって層別化した(IVRSのような)、共変数として対応するベースライン値を用いて解析した。プラセボに対するオッズ比の総合推定値、95%CI、およびp値を得た(SAS MIANALYZE手順を通じて)。
Combo I:安全性解析
安全性解析は、記述的であって、実際に受けた処置に従って、安全性集団で行った。TEAEおよびPCSAの解析のために、安全性解析は、最終の二重盲検の注射後、二重盲検IMPの第1の用量から70日までの時間として定義されたTEAE期間に集中した。実験データおよびバイタルサインの経時的な解析を、最終のIMP注射後、21日までの期間で行った。
COMBO I:結果
患者説明責任
316名の無作為化患者のうち、アリロクマブ群の2名の患者は、処置せず、したがって、安全性集団には含めなかった。5名の無作為化患者は、ITT集団には含めなかった(第24週にわたって1つの解析ウィンドウ内にLDL−C値はない)。7名の無作為化患者は、mITT集団から除外した(ITT集団から除外した患者、および有効性処置期間の間、第24週まで解析ウィンドウの1つの中にLDL−C値がない患者)。
アリロクマブ群では、第12週の後、少なくとも1回の注射を受けた191名の患者の中で、32名(16.8%)の患者が、第12週で、盲検方式のアリロクマブ75mg(Q2W)〜150mg(Q2W)の自動的なアップタイトレーションを受けた。
COMBO I:研究内訳
適格性についてスクリーニングされた640名の患者のうち、316名を引き続き、アリロクマブ(209名)またはプラセボ(107名)に無作為化した。316名の無作為化患者のうち、2名(アリロクマブ)は処置しなかった;231名の患者(73.1%)が、第52週の研究処置を完了した(75名のプラセボ;156名のアリロクマブ);311名(98.4%)が、ITT集団を含んだ(106名のプラセボ;205名のアリロクマブ、5名の患者は、LDL−Cレベルを失っている);309名の患者は、オントリートメント集団を含み(105名のプラセボ;204名のアリロクマブ)、そして314名の患者が安全性集団を含んだ(107名のプラセボ;207名のアリロクマブ)。
第52週の二重盲検期間にわたって、研究医薬の順守(予定した注射の受け入れが80%以上)は、処置群の間で同様であった(98%アリロクマブ;99%プラセボ)。第8週のLDL−Cレベル≧70mg/dLに基づいて、32/191の患者(16.8%)は、そのアリロクマブ用量を、150mg皮下、隔週、第12週で増大した(第12週の後で少なくとも1回注射した患者の間で)。
二重盲検IMPは、プラセボ群で、32名(29.9%)の無作為化患者、およびリクロマブ群で、51名(24.4%)の無作為化患者について、第52週の前に、早期に中止した。研究処置中止の主な理由は、「他の理由」および有害事象であった。これらの「他の理由」としては、次のように挙げられた:患者は、ウィンドウ第50週で注射をしなかった/はずれた、またはウィンドウ第52週訪問から外れたかのいずれかに起因して処置を完了する基準を満たさなかった(17名の患者)、被験者脱落は、他に特定されなかった(8名の患者)、部位が近い(4名の患者)、突然死/死(3名の患者)(死亡前に処置を止める治験責任医師の決定がなかった)、雑多(2名の患者)。
COMBO I:集団特性の要約
アリロクマブ群でのベースラインでの人口統計学的特性、疾患特性および脂質パラメータは、プラセボ群と比較して同様であった。ベースラインの人口統計学的特性を、表2に示す。ベースラインの脂質医薬および脂質レベルを表3に示す。CHDの定義は、急性心筋梗塞(MI)、無症候性MI、不安定狭心症、冠動脈血行再建術、または侵襲的もしくは非侵襲的検査によって診断された臨床的に有意なCHDを含んだ。CHDリスク相当状態は、末梢動脈疾患、虚血性脳卒中、慢性腎疾患(推定糸球体濾過量≧30〜<60mL/分/1.73m2(3カ月以上の場合))、または2つもしくはそれ以上の追加的なリスク因子(高血圧、足関節・上腕血圧指数≦0.90、微量アルブミン尿もしくは顕性アルブミン尿、尿試験紙尿検査(タンパク質が>2+)、網膜症、または早期CHDの家族歴[55歳未満で父親/兄弟、65歳未満で母親/姉妹がCHD])と組み合わせた糖尿病を含んだ。
アリロクマブ群で女性患者および2型糖尿病の患者の数値的により高い割合があった。同様に、プラセボ群の百分率のより高い患者は、スタチンに加えて他のLLTを用いた(アリロクマブ群38.3%に対して、49.5%)。しかし、処置群の間のこれらの差は、統計学的に有意であるとは見出されなかった。
1名以外の全ての患者をスタチンで処置し、57.6%が、高密度スタチン(アトルバスタチン40〜80mg/日、またはロスバスタチン20〜40mg/日)を、そして8.2%は、スタチンに加えてエゼチミブを受けた。平均(SD)の算定LDL−Cは、ベースラインで、102.2(31.6)mg/dL(2.646(0.820)mmol/L)であった。約78%の無作為化集団が、冠動脈心疾患(CHD)歴を有した(表5)。
注射剤への曝露は、処置群全体にわたって同様であり、平均曝露は46週間であった。アリロクマブ群では、第12週の後に少なくとも1回の注射を受けた191名の患者の中で、32名(16.8%)の患者が、第12週で、アリロクマブ75mg(Q2W)〜150mg(Q2W)の自動的なアップタイトレーションを盲検方式で受けた。
完全に記録されたCHDもCHDリスク相当状態もない4名の患者があった。
実測のLDL−Cの収集は、最初のプロトコールでは計画されておらず、補正で追加された。したがって、実測のLDL−C値は、算定LDL−C値と比較して利用可能な患者が少ない。
COMBO I:投薬量および期間
注射剤への曝露は、処置群全体にわたって同様であり、平均曝露は約46週であった。アリロクマブ群では、第12週の後、少なくとも1回の注射を受けた191名の患者の中で、32名(16.8%)の患者が、第12週で、アリロクマブ75mg(Q2W)〜150mg(Q2W)の自動的なアップタイトレーションを盲検方式で受けた。
COMBO I:主要有効性エンドポイント
ITT解析は、第52週まで、オントリートメントおよびオフトリートメントで収集された全てのLDL−C値を含んだ。主要エンドポイント(ベースラインから第24週まで、算定LDL−Cにおける変化率)解析は、第24週でLS平均推定値を用いて、ITT集団でMMRMモデルに基づいて提供される。アリロクマブ群での16名(7.8%)の患者およびプラセボ群での9名(8.5%)の患者は、第24週で算定LDL−C値を有さなかった。これらの失われた値は、MMRMモデルで説明された。
主要エンドポイント解析の結果は、表9に、mmol/Lおよびmg/dLで示される。
ベースラインから第24週までのLDL−Cにおける変化率における統計学的に有意な減少が、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均−2.3%)に比較してアリロクマブ群(ベースラインに対するLS平均−48.2%)で観察された(プラセボに対するLS平均差−45.9%、p<0.0001)。
アリロクマブ群では、ベースラインからのLDL−C低下が第4週から第52週まで観察された。
LDL−C低下の経時的なわずかな減少は、おそらく、第24週に比較して第52週でのより多数の処置中止および、結果として第52週で含まれるより多数の処置後LDL−C(第24週で3.9%に対して第52週で8.8%)に起因して、アリロクマブ群で観察された(第24週で−48.2に対して第52週でベースラインに対するLS平均−42.5)。
実際、オントリートメントLDL−Cのみが考慮される場合、第24週から第52週まで処置効果は安定である(図3を参照されたい)が、処置後LDL−Cも含まれる場合には、わずかな減少が観察された(図2を参照されたい)。
COMBO I:重要な副次的有効性エンドポイント
表11は、重要な副次的エンドポイントに対する解析結果を階層的順序で要約したものである。全ての重要な副次的エンドポイントは、含まれる第24週のHDL−Cエンドポイント(ITT被推定値)まで階層的試験手順によって統計学的に有意である。統計学的有意差は、第24週で空腹時TGエンドポイントに達しなかった(ITT被推定値)。
ベースラインから第24週までのLDL−C変化率のオントリートメント解析によって、ITT解析における−45.9%に対してオントリートメント解析における、プラセボに対するLS平均差−49.9%を伴うITT解析との一致した結果が示される。実際、第24週で処置後(すなわち、最終注射後21日超)収集されたLDL−C値を有する患者は少なかった:プラセボ群では5名の患者(4.7%)、およびアリロクマブ群では8名の患者(3.9%)。
ITT解析におけるベースラインから第12週(すなわち、可能なアップタイトレーションの前)までLDL−Cにおける変化率の統計学的に有意な減少が、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均+1.1%)に比較して、アリロクマブ群(ベースラインに対するLS平均−46.3%)で、観察された(プラセボに対するLS平均差−47.4%、p<0.0001)。オントリートメント解析で得られた結果は同様であった。
39名(19.5%)の患者が、2連続の算定LDL−C値<25mg/dLを経験した。特定の安全性の懸念は、これらの39名の患者では観察されなかった。
COMBO I:有効性結果の要約
第24週で、ITT集団中の算定LDL−Cにおけるベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均−2.3%)に比較してアリロクマブ群(ベースラインに対するLS平均−48.2%)で有意に大きかった(プラセボに対するLS平均差−45.9%、p<0.0001)(表9を参照されたい)。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率のオントリートメント解析は、オントリートメント解析におけるプラセボに対するLS平均差−49.9%でITT解析と一致する結果を示す(p<0.0001)(表9を参照されたい)。
第12週で、75mg〜150mgの可能なアップタイトレーションの前に、統計学的な有意な差がまた、ITT集団で達した(アリロクマブおよびプラセボ群について、ベースラインに対するLS平均、それぞれ−46.3%および+1.1%、プラセボに対するLS平均差−47.4%;p<0.0001)(表11を参照されたい)。
アリロクマブ群では、ベースラインからのLDL−C低下は、第4週〜第52週で観察された(表10を参照されたい)。LDL−C低下の経時的なわずかな減少は、おそらく、第24週に比較して第52週でのより多数の処置中止および、結果として第52週で含まれるより多数のベースライン後LDL−C(第24週で3.9%に対して第52週で8.8%)に起因して、アリロクマブ群で観察された(第24週で−48.2%に対して第52週でベースラインに対するLS平均−42.5%)。実測のLDL−C結果(ベータ−定量)は、算定LDL−Cについての結果と一致していた。パターン混合モデルを用いる主要エンドポイントの感度解析の結果は、ITT解析と一致していた。具体的には、ITT群では、第24週でのベースラインからのLS平均(SE)変化(%)についての総合推定値は、−44.2(アリロクマブ群について2.1およびプラセボ群について−1.5(3.0))であった。プラセボに対するアリロクマブのLS平均差(SE)%は、−42.7(3.7)であった(95%CIで−49.9〜−35.4;p<0.0001)。感度解析を行って、主要エンドポイントに対する欠測値の影響をさらに評価した。この解析では、「オントリートメント」期間の間の、失われた算定LDLコレステロール値は、無作為に欠失を仮定するモデルを用いて多重に帰属され、処置後期間の間の失われた算定LDLコレステロール値は、正規分布からの無作為抽出を用いて多重に帰属され、平均は、被験者自身のベースライン値に等しかった。
図4は、第12週で用量増大の有/無で、アリロクマブ処置患者について経時的なLDL−Cレベルを示す。用量増大のあった患者では、LDL−Cは、第12週と比較して、第24週で追加の平均の22.8%(SD27.1)まで低下された。第12週でアリロクマブ用量増大のある32名(16.8%)の患者(第8週でLDL−C≧70mg/dLに基づいて)の中で、達成されたLDL−Cは、用量漸増を行っていない患者の間で観察されたLDL−Cに対して第24週、第36週および第52週で匹敵していた(第8週のLDL−C<70mg/dL)。
ITT(75.0%)集団およびオントリートメント(77.5%)集団の間で、第24週でLDL−C<70mg/dL(<1.81mmol/L)を達成する患者の相対的な割合は、プラセボよりもアリロクマブで有意に大きかった(それぞれ、9.0%および8.0%、p<0.0001)。
全ての重要な副次的エンドポイント、例としては、Apo B、非HDL−C、総C、Lp(a)、HDL−Cは、種々の時点で、第24週での空腹時TGエンドポイントを除いて、階層的試験手順によって統計学的に有意であった(ITT被推定値)(表11を参照されたい)。(プラセボに対して)アリロクマブでの治療後ベースラインから第24週の有意な低下が、非HDL−C(−39.1[1.8]%アリロクマブ、−1.6[2.5]%プラセボ)、アポリポタンパク質B(−36.7[1.6]%アリロクマブ、−0.9[2.3]%プラセボ)、総コレステロール(−27.9[1.3]%アリロクマブ、−2.9[1.8]%プラセボ)およびリポタンパク質(a)(−20.5[2.0]%アリロクマブ、−5.9[2.8]%プラセボ)で観察された(プラセボに対するアリロクマブ、全てp<0.0001)。トリグリセリドレベルでは有意な変化は観察されず、一方、HDL−C(アポリポタンパク質A1)の有意でかつ指向性の多様な増大が、アリロクマブ群で観察された;プラセボについて−3.8(1.5)%に対して、3.5(1.1)%(p<0.0001;表9を参照されたい)。
プラセボに対するアリロクマブについての人口統計学的特性および患者サブグループによる第24週のLDL−Cにおけるベースラインからの百分率変化を図5に示した。年齢、性別、人種、民族性、バックグラウンドスタチン治療の強度、他のLLT治療(スタチンに加えて)および心筋梗塞歴または虚血性脳卒中歴によって定義される各々のレベルのサブグループ内のアリロクマブとプラセボとの間のLDL−C低下率における差について、95%信頼区間の全てが、効果線なしの左に完了した。処置効果は、各々のサブグループ内のあらゆるレベルで見られた。さらに、年齢、性別、人種、民族性、バックグラウンドスタチン治療の強度による相互作用についての試験は、5%レベルで有意に到達せず、したがって、これらのサブグループ内の処置効果の整合性が実証される。しかし、他のLLT治療(スタチンに加えて)を受ける患者、および心筋梗塞歴または虚血性脳卒中歴を有する患者は、比較的大きい処置効果を実証した(相互作用についてp値、それぞれ、0.012および0.018;図5を参照されたい)。
2連続の算定LDL−C値<25mg/dL(<0.65mmo/L)が、39名(19.5%)の患者で観察された。特に安全性の懸念はこれらの患者では観察されなかった。
COMBO I:安全性結果の要約
治療創発的有害事象(TEAE)、重篤TEAE、死亡につながるTEAE、および処置中止につながるTEAEを経験した患者の百分率は、処置群の間で同様であった。第52週で最終の患者訪問までに収集された安全性データを、表13に示した。
アリクロマブにもともと無作為化した209名の患者のうち、2名は、処置を受けず、このことは、この安全性集団が、アリロクマブについて207名の患者を含んだことを意味した。プラセボアーム中の全ての無作為化患者は、彼らに割り当てられた処置を受けたので、その安全性集団はプラセボについて107名の患者であった。
プラセボ群に比較してアリロクマブ群においてより高い頻度で、最も頻繁に報告されかつ注目すべきSOCは次の通りであった:「感染および侵入」:プラセボ群での27.1%に対してアリロクマブ群での37.2%;「代謝性および栄養の障害」:プラセボ群で
の5.6%に対してアリロクマブ群での10.1%;ならびに「心臓障害」:プラセボ群での4.7%に対してアリロクマブ群での8.2%、特定の事象について顕著な不均衡は注目されなかったが、プラセボ群での3名に対して、アリロクマブ群で9名の虚血性事象が生じたことが注目される。判定の結果を参照する場合、5名の患者(2.4%)は、プラセボ群での2名の患者(1.9%)に対して、陽性判定された心血管事象を経験した。
より低い頻度のSOCの間では、SOC「眼の障害」は、プラセボ群での0.9%に対してアリロクマブ群での4.3%の患者で観察され、特定の事象についての不均衡はなかった。
2名(1.0%)および3名(2.8%)の死が、それぞれ、アリクロマブ群(心筋梗塞および肺塞栓症)およびプラセボ群(食道腺癌、認知症および心臓突然死)での処置期間の間に生じた。さらに、アリロクマブ群では、1名の処置後の死(冠動脈疾患の増悪)が生じた。
判定されたCV事象としては、陽性判定された全てのCV AEが挙げられる。判定のカテゴリーは、次の通りである:CHD死、非致死性MI、致死性および非致死性の虚血性脳卒中、入院の必要な不安定狭心症、入院の必要なうっ血性心不全、および虚血由来冠動脈血行再建術[PCI、CABG]。
SAEは、TEAE期間の間、アリロクマブでは12.6%の患者、プラセボでは13.1%で報告された。低い頻度で個々に報告された、SAEの優先的な項目の間に特定の臨床的パターンはなかった。
永久処置中止をもたらすTEAEの間に特定のパターンは注目されなかった。
対象とする事象の中で、神経学的事象および神経認知障害に関連してTEAEについて特定のシグナルは検出されなかった。
14名の患者のうち、アリロクマブ群で11名(5.3%)、およびプラセボ群で3名(2.8%)が、治療創発的局所注射部位反応を経験した。いくつかのアレルギー反応の中で、5名(2.4%)の症例の喘息について不均衡が注目され、それには、プラセボ群での症例なしに対して、アリロクマブ群での2名の重篤な症例を含んでいた。
ベースラインでグルコース調節障害であると報告された、アリロクマブ群での5名(7.4%)の患者およびプラセボ群での1名(2.7%)の患者が、TEAE期間に糖尿病と分類された。ベースラインで正常な状態であると分類された患者で糖尿病になった患者はいなかった。
PCSA値に関する不均衡が、ベースライン≧20g/Lからのヘモグロビンの減少について(プラセボ群での3.9%に対してアリロクマブ群での6.3%)、および赤血球値≧6 Tera/Lの新しい症例について(プラセボ群においては症例なしに対してアリロクマブ群での2.5%)注目された。PCSAについて他の関連の異常は観察されなかった。
LDL−Cレベル<25mg/dL(2連続の測定≧21日離れて)が、39名のアリロクマブ処置患者で観察され、そのうち9名が、LDL−C<15mg/dLを有した。全体の有害事象プロファイルは、このような低いLDL−Cレベルなしの患者と同様であるらしいが、わずかに高率の筋肉痛(アリロクマブ群での3.4%(全体として)、プラセボで3.7%に対して、LDL−C<25mg/dLである患者の7.7%)、変形性関節症(3.9%および4.7%に対して、7.7%)、関節痛(3.9%および7.5%に対して、5.1%)および椎間板突出(1.0%および0%に対して、5.1%)があった。
アリロクマブに対する抗体は、合計18名の患者で検出され(296名の評価可能な患者;6.1%)、アリロクマブに対する抗体は、合計5名の患者で、ベースラインで検出され、引き続き、アリロクマブ(3/197;1.5%)またはプラセボ(2/99;2.0%)に無作為化された。治療創発的な低い抗体陽性が、13/197名(6.6%)のアリロクマブ処置患者で観察され、240を超える力価はなかった。これらの患者のうちの7名では、抗体は、一過性であって、連続したアリロクマブ処置に関わらず解消した。アリロクマブに対する抗体の検出までの時間の中央値は、12週間であった;特異的な臨床事象は、抗体陽性患者では観察されなかった。しかし、抗アリロクマブ抗体が存在しても、安全性および有効性に対する影響は観察されなかった。
COMBO I:全体の結果
患者のこの集団では、最大投与可能スタチン(他のLLTと共にまたはなしで)に関わらず、HeFHおよび高いベースラインのレベルのLDL−Cで、次の観察が行われた:1)自己投与したアリロクマブは、第24週でプラセボに対して有意に大きいLDL−C低下を生じた;2)LDL−Cにおけるベースラインからの絶対的な平均の減少は、プラセボでの−15.5mg/dLに対してアリクロマブで第24週では−90.8mg/dLであった;3)達成された平均のLDL−Cレベルは、プラセボでの182mg/dLに対してアリロクマブでの第24週で107mg/dLであった;4)ベースラインのLDL−C>190mg/dLに関わらず、32%のアリロクマブ患者はLDL−C<70mg/dLに達した;5)57%のアリロクマブ患者が、第24週でLDL−C<100mg/dLを達成した;そして6)アリロクマブは、一般的に、十分耐容されて、TEAEは一般に、プラセボ群に匹敵した。
COMBO II:統計学的方法
サンプルサイズ決定
最終の総サンプルサイズは、660で、無作為化比は2:1であった(アリロクマブ440:エゼチミブ220)。
Combo II:解析のタイミング
第1段階解析には、第52週(最終有効性解析)までの有効性エンドポイント、および中間安全性解析を含み、これは、共通の研究カットオフ日(最終患者の第52週訪問)まで、全ての安全性データで行った。第52週を超える脂質データの解析は、記述的であった。これらの結果を、本明細書において示す。
第2段階(最終)解析は、研究の終わりに行い、これは、第104週および最終の安全性解析まで有効性エンドポイントの最終解析からなる。
Combo II:解析集団
主要有効性解析集団は、治療企図(ITT)集団であって、これは、評価可能な主要エンドポイントを有した全ての無作為化患者として定義され、すなわち、利用可能なベースラインの算定LDL−C値、および少なくとも1つの利用可能な算定LDL−C値を、第24週までの解析ウィンドウの1つの中に有する集団であった(オントリートメントおよびオフトリートメントの全ての算定LDL−Cを含む)。
副次的有効性解析集団は、修正治療企図(mITT)集団であって、これは、二重盲検の治験医薬品(IMP)の少なくとも1用量または用量の一部を摂取し、有効性処置期間の間、ベースラインで利用可能な算定LDL−C値、および第24週までの解析ウィンドウの1つの中に少なくとも1つを有する全ての無作為化患者として定義された。有効性処置期間は、最初の二重盲検IMP投与(カプセルまたは注射剤、最初はどれでも)から、最終注射の日+21日まで、または最終カプセル摂取の日+3日(最初はどれでも)までの時間として定義された。
安全性集団は、二重盲検のIMPの少なくとも1用量または用量の一部を受けた、全ての無作為化患者を含んだ。
Combo II:有効性解析
有効性エンドポイントの主要解析は、患者が治療を継続するか否かに関わらず、全ての脂質データを含む、ITTアプローチ(上記で定義されるITT集団に基づく)を用いて行った。これは、主要かつ重要な副次的エンドポイントについて定義されたITT被推定値に相当する。さらに、解析はまた、有効性処置期間の間に収集した脂質データを含む、オントリートメントアプローチ(上記で定義されるmITT集団に基づく)を用いて行った。これは、重要な副次的エンドポイントのオントリートメント被推定値に相当する。
このITTアプローチは、全ての患者を、処置に対するそれらの順守に関わらず、解析した;これは、処置ストラテジーの有益性を評価し、患者のある集団における効果をできるだけ反映していた。オントリートメントアプローチは、患者が実際に処置を受けている期間を制限した、処置の効果を解析した。これによって、考慮する時点までの処置を順守した患者でその処置が達成する有益性を評価した。
有効性解析は、無作為化した通りの処置によって行った。
全ての測定(予定または予定外、空腹時または非空腹時)を、解析ウィンドウに割り当てて、第4週から第104週時点まで評価を得た。
主要有効性解析(ITTアプローチ)に関して、ベースラインから第24週までの算定LDL−Cにおける変化率は、繰り返し測定混合効果モデル(MMRM)アプローチを用いて解析した。第4週〜第52週の解析ウィンドウから利用可能な全てのベースライン後のデータを用い、欠測値をMMRMモデルによって考慮した。このモデルは、処置群の固定カテゴリー効果(アリロクマブに対してエゼチミブ)、無作為化層(IVRSのような)、時点(第4週〜第52週)、処置と時点の相互作用および層と時点の相互作用、ならびに、ベースラインLDL−C値およびベースライン値と時点の相互作用の連続固定共変数を含んだ。このモデルによって、両方の処置群について、それらの対応する95%信頼区間で、第24週でベースラインの調整した最小二乗法平均(LS平均)推定が提供された。エゼチミブに対してアリロクマブ群を比較するために、適切なステートメントを用いて、これらの推定値の差を5%アルファレベルで試験した。
階層法は、多重性を制御しながら重要な副次的エンドポイントを試験するために定義した(重要な副次的エンドポイントの上の大きさを用いる)。この第1の重要な副次的エンドポイントは、オントリートメントアプローチを用いて、ベースラインから第24週までの算定LDL−Cの変化率であった。
正規分布を有すると予測される連続副次変数(すなわち、TGおよびLp(a)以外の脂質)を、主要エンドポイントについてと同じMMRMモデルを用いて解析した。非正規分布を有すると予想された連続エンドポイント(すなわち、TGおよびLp(a))を、処置効果を比較するための効果として、処置群、無作為化層(IVRSのような)および対応するベースライン値を用いる、M推定を用いて(SAS ROBUSTREG手順を用いて)、反応変数として、対象とするエンドポイントを用いるロバスト回帰モデルに従って、失われた値の取り扱いについて多重インピュテーションアプローチを用いて解析した。両方の処置群での平均についての総合推定値、ならびにこれらの推定値の差は、それらの対応するSE、95%CIおよびp値を用いて、提供された(SAS MIANALYZE手順を通じて)。
二元の副次的有効性エンドポイントを、主要効果として処置群での層別化したロジスティック回帰に従う、失われた値の取り扱いのための複数のインピュテーションアプローチ、および無作為化因子によって層別化した(IVRSのような)、共変数として対応するベースライン値を用いて解析した。エゼチミブに対するオッズ比の総合推定値、95%CI、およびp値を得た(SAS MIANALYZE手順を通じて)。
Combo II:安全性解析
安全性解析は、記述的であって、実際に受けた処置に従って、安全性集団で行った。TEAEおよびPCSAの解析のために、安全性解析は、最終の二重盲検の注射後、二重盲検IMP投与(カプセルまたは注射剤、最初はどれでも)の第1の用量から70日までの時間として定義されたTEAE期間に集中した。実験データおよびバイタルサインの経時的な解析を、最終のIMP注射後、21日までの期間で行った。
COMBO II:結果
患者説明責任
720名の無作為化患者のうち、全ての患者を処置し、したがって、安全性集団に含めた。
13名の無作為化患者(アリロクマブ群での12名およびエゼチミブ群での1名)は、ITT集団には含めなかった(第24週にわたって1つの解析ウィンドウ内にLDL−C値はない)。
21名の無作為化患者は、mITT集団から除外した(ITT集団から除外した患者、および有効性処置期間の間、第24週まで解析ウィンドウの1つの中にLDL−C値がない患者)。
アリロクマブ群では、第12週の後、少なくとも1回の注射を受けた446名の患者の中で、82名(18.4%)の患者が、第12週で、盲検方式のアリロクマブ75mg(Q2W)〜150mg(Q2W)の自動的なアップタイトレーションを受けた。
COMBO II:研究内訳
研究内訳、曝露および安全性解析は、研究の共通のカットオフ日(最終患者の第52週訪問日として定義)までの全てのデータを用いて評価した。したがって、この第1段階解析には、数名の患者について第52週を超えるデータを含む。本明細書に示される結果は、この第1段階解析からであって、第52週までの有効性データ、第52〜第102週までの安全性データ(第52週の最終患者訪問まで収集した全データを含む)を含む。
第104週の二重盲検研究処置期間を完了した無作為化患者はおらず、612名(85.0%)の無作為化患者(アリロクマブアームではN=406、およびエゼチミブアームではN=206)は、第1段階解析カットオフ日の時点で処置継続中であった。
二重盲検IMPは、アリロクマブ群での73名(15.2%)の無作為化患者(第52週の前に中止した71名の患者を含む)およびエゼチミブ群での35名(14.5%)の無作為化患者(第52週の前に中止した33名の患者を含む)について第104週の前に早期に中止した。
研究処置中止の主な理由は、有害事象および他の理由であった。「他の」というカテゴリーは、最も頻繁に報告されており、かつ以下を含む:患者は、プロトコール包括/除外基準(3名の患者)を満たさない、被験者が個人的理由で脱落した(14名の患者)、突然死/死亡(5名の患者)(死亡前に処置を停止する治験責任医師の決定がなかった)、追跡しなかった(1名の患者)。この第1段階解析では、最終結果が、第24週で主要有効性エンドポイント、ならびに第12週、第24週および第52週で評価した重要な副次的有効性エンドポイントについて、利用可能であった。第24週では、主要有効性エンドポイントは、アリクロマブ群での428名(91.6%)について、およびエゼチミブ群での221名(92.1%)について利用可能であった。第52週では、主要有効性エンドポイントは、アリロクマブ群での414名(88.7%)、およびエゼチミブ群での211名(87.9%)について利用可能であった。
主要エンドポイントは、58名の患者について失われた(アリロクマブ群での39名の患者(8.4%)およびエゼチミブ群での19名の患者(7.9%))。第24週訪問では、喪失の理由は次の通りであった:29名のサンプルは、早期の研究中止のせいで行わず;8名のサンプルは、解析時間ウィンドウ外で行った;9名はサンプルを失ったが、第24週訪問は行った;12名のサンプルは、行ったが、測定は行えなかった(脂肪血症、量が不十分、TG>400mg/dL[>4.52mmol/L]、サンプル喪失)。
COMBO II:人口統計学的特性およびベースライン特性
人口統計学的特性、疾患特性および脂質パラメータはベースラインでは、エゼチミブ群と比較して、アリロクマブ群においてと一般的に同様であった。アリクロマブ群(N=479)について、年齢(平均年齢(SD))は、61.7(9.4)であって、男性の百分率は、75.2%(N=360)であり、白人種の百分率は、84.3%(N=404)であって、黒人またはアフリカ系アメリカ人種の百分率は、4.4%(N=21)、他の人種の百分率は、11.3%(N=54)であって、BMI(平均kg/m2(SD))は、30.0(5.4)であった。エゼチミブ群(N=241)については、年齢(平均年齢(SD))は、61.3(9.2)であって、男性の百分率は、70.5%(N=170)で、白人種の百分率は、85.5%(N=206)であって、黒人またはアフリカ系アメリカ人種の百分率は、2.9%(N=7)であって、他の人種の百分率は、11.6%(N=28)であって、BMI(平均kg/m2(SD))は、30.3(5.1)であった。
アリロクマブ群およびエゼチミブ群のベースライン特性は、表15〜19に示した。平均(SD)ベースラインLDL−Cは、107.3(35.7)mg/dL(2.778(0.926)mmol/L)であった。HbA1c(平均(SD)、%)は、アリロクマブ群での6.05(0.75)、およびエゼチミブ群での6.07(0.77)であった。無作為化集団の約90%が、CHD歴(すなわち、CHDについて5つの下のサブカテゴリーのうちの少なくとも1つ)を有し、残りの患者が、完全に記録されたCHDまたはCHDリスク相当状態でもなかった、アリクロマブ群での2名の患者を除いて、CHDリスク相当状態を有した(表16)。全体として30%が、糖尿病歴を有した。1名を除いて全ての患者を、スタチンで処置し、66.7%は、高密度スタチン(アトルバスタチン40〜80mg/日、またはロスバスタチン20〜40mg/日)を投与され、2.1%が毎日80mgのシンバスタチンを受けた。
まとめると、1112名の高い心血管リスクの患者を、スクリーニングして、そのうち720名は適格であって、研究への参加に協力的であった。彼らのうち、479名を無作為にアリロクマブ、および241名をエゼチミブに割り当てた。平均(SD)年齢は、61.6(9.3)歳であり、参加者の73.6%が男性であり、90.1%が冠動脈心疾患を有し、30.7%が2型糖尿病を有し、平均(SD)ベースラインの算定LDL−C濃度は、107.3(35.7)mg/dLであって、66.7%が、高密度スタチン処置を受けていた(すなわち、アトルバスタチン40/80mg/日またはロスバスタチン20/40mg/日)。15名の患者が、シンバスタチン80mgを与えられた。ベースライン特性は、2つの群の間で平衡をとった。
実測のLDL−Cの収集は、最初のプロトコールでは計画しておらず、補正で追加した。したがって、実測のLDL−C値は、算定LDL−C値に比較して利用可能な患者が少ない。
COMBO II:投薬量および期間
注射剤(アリロクマブまたはプラセボ)への曝露、およびカプセル(エゼチミブまたはプラセボ)への曝露は、処置群全体にわたって同様であり、平均曝露は約57週間であった。
アリロクマブ群では、第12週の後、少なくとも1回の注射を受けた446名の患者の中で、82名(18.4%)の患者が、第12週で、アリロクマブ75mg(Q2W)〜150mg(Q2W)の自動的なアップタイトレーションを盲検方式で受けた。
注射剤曝露の平均(SD)期間は、アリロクマブアームでは、58.0(18.7)週間(平均[SD]は26.6[8.8]注射)、およびエゼチミブアームでは、57.7(19.0)週間(26.6[9.0]注射)であった。この解析の時点では、アリロクマブアーム中の84.8%の患者およびエゼチミブアームでの85.5%の患者が処置継続中であった(実効またはプラセボ)。アリロクマブアームでの82名(18.4%)の患者は、第8週でLDL−C≧70mg/dLであったので、第12週で、150mg(Q2W)の投薬レジメンまで用量増大した。
COMBO II:主要有効性エンドポイント
ITT解析は、第52週まで、オントリートメントおよびオフトリートメントで収集された全ての算定LDL−C値を含む。主要エンドポイント(ベースラインから第24週まで、算定LDL−Cにおける変化率)解析は、第24週でLS平均推定値を用いて、ITT集団でMMRMモデルに基づいて提供される。アリロクマブ群での39名(8.4%)の患者およびエゼチミブ群での19名(7.9%)の患者は、第24週で算定LDL−C値を有さなかった。これらの欠測値をMMRMモデルによって考慮した。
主要エンドポイント解析の結果は、表20で、mmol/Lおよびmg/dLで示される。
ベースラインから第24週までのLDL−Cにおける変化率における統計学的に有意な減少が、エゼチミブ群(ベースラインに対するLS平均−20.7%)に比較してアリロクマブ群(ベースラインに対するLS平均−50.6%)で観察された(エゼチミブに対するLS平均差−29.8%、p<0.0001)。
アリロクマブ群では、ベースラインからのLDL−C低下が第4週から第52週まで観察された(図6および表12を参照されたい)。LDL−C低下は、アリロクマブ群で第52週まで維持された(第24週の−50.6%に対して第52週でのベースラインに対するLS平均−49.5%)。
COMBO II:重要な副次的有効性エンドポイントおよび追加的な解析
次の表は、重要な副次的エンドポイントに対する解析結果を、階層的順序で要約したものである。全ての重要な副次的エンドポイントは、含まれる第24週のHDL−Cエンドポイント(ITT被推定値)まで階層的試験手順によって統計学的に有意である。
統計学的有意差は、第24週で空腹時TG(ITT被推定値)に到達せず、したがって、試験手順を停止して、p値は、記述の目的のためにのみこのエンドポイントから得る。
ベースラインから第24週までのLDL−C変化率のオントリートメント解析は、ITT解析と極めて一致した結果を示す(ITT解析での−29.8%に対してオントリートメント解析でのエゼチミブに対するLS平均差−30.6%)。
次の重要な副次的エンドポイント、例としては、Apo B、非HDL−C、総C、Lp(a)、HDL−Cは、種々の時点で、同様に、第24週でLDL−C目標値に達する患者の割合は、階層的試験手順によって統計学的に有意であった。
バックグラウンドのスタチンでアリロクマブを受けている最も高い心血管リスク患者は、彼らのLDL−C目標値を達成した。第24週で算定LDL−C<70mg/dL(1.81mmol/L)に達する患者の割合は、エゼチミブ群におけるよりもアリロクマブ群で統計学的に高かった(エゼチミブ群での45.6%に対してアリロクマブ群での割合の総合推定値77.0%、p<0.0001)。
ITT解析におけるベースラインから第24週までの空腹時TGの変化率の差は統計学的に有意ではなかった。ベースラインに対するLS平均は、アリロクマブ群において−13.0%、およびエゼチミブ群において−12.8%であった(エゼチミブに対するLS平均差−0.3%、p=0.9117)。
105名(22.8%)の患者が、2連続の算定LDL−C値<25mg/dLを経験した。これらの105名の患者で、特別な安全性の懸念は観察されなかった。
COMBO II:有効性結果の要約
第24週で、ITT集団中の算定LDL−Cにおけるベースラインからの変化率は、エゼチミブ群(ベースラインに対するLS平均−20.7%)に比較してアリロクマブ群(ベースラインに対するLS平均−50.6%)で有意に大きかった(エゼチミブに対するLS平均差−29.8%、p<0.0001)(表20)。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率のオントリートメント解析は、オントリートメント解析におけるエゼチミブに対するLS平均差−30.6%でITT解析と一致する結果を示す(p<0.0001)(表24)。
ベースラインから第52週のアリロクマブアームおよびエゼチミブアームにおけるLDL−C濃度における変化の時間経過を図6に示す。平均のLDL−C濃度は、最初の4週間で急激に落ちたが、アリクロマブアームではさらに大きい程度まで落ちた。アリクロマブ群では、ベースラインからのLDL−C低下が、第4週から観察され、かつ第52週まで維持された(ベースラインに対するLS平均が、第52週で−49.5%、対、第24週で−50.6%)(表21)。
第24週でのベースラインのおよび達成されたLDL−C値の分布を、図7に示す。中央値は、エゼチミブでの70mg/dLと比較して、アリロクマブで40mg/dLであった。第24週で平均の達成されたLDL−Cは、アリロクマブで51.6(1.4)mg/dL、およびエゼチミブで82.5(2.0)mg/dLであった;これらの差は、第52週で維持された。
アリロクマブアームにおける用量増大状況によるLDL−C濃度の変化の時間経過を、図8に示す。アリクロマブ群の患者の18%のみ、150mgのSC(Q2W)まで用量増大があった。これらの患者は、用量増大を必要としない患者に対して、かなり高いベースラインLDL−C値を有し(101.1[29.7]mg/dLに対して、140.4[47.4]mg/dL)、第12週および第24週で達成されたLDL−Cの低下率は、小さかった。第12週での用量増大は、12.4%というさらなる低下につながった。さらに、第24週までのLDL−Cにおける絶対低下は、残りのアリクロマブ群に対して用量増大群ではわずかに大きかった(56.9mg/dLに対して63.5mg/dL)。
重要な副次的エンドポイントに関して、Apo B(22.4%)、Lp(a)(21.7%)、および非−HDL−C(22.9%)(全てP<0.0001)について統計学的に有意な低下が観察され、エゼチミブと比較してアリロクマブアームでは、第24週ではHDL−Cに8.1%の増大があった(P<0.0001)(表22)。統計学的に有意な差は、第24週で、空腹時TGで達成されず(ベースラインから、アリロクマブ群で13.5%、およびエゼチミブ群で13.3%まで低下した)、したがって、試験手順は、このエンドポイントから停止した。エゼチミブに対するアリロクマブの有効性は、ITT集団においていくつかのサブグループにわたって一致した(図9)。表22では、ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率を決定するためのベータ定量法は、エゼチミブ群での180名の患者およびアリロクマブ群での361名の患者で行った感度解析であった。
COMBO II:安全性結果の要約
平均58(19)週間の追跡にわたる治療創発的有害事象(TEAE)の率を表25に示す。少なくとも1つのTEAEを経験した患者の全体の百分率は、アリロクマブアームで71.2%、およびエゼチミブアームで67.2%であった。死亡につながるTEAEは、アリロクマブアームで2名(0.4%)の患者(両方とも心臓由来)、およびエゼチミブアームで4名(1.7%)の患者(2名は心臓由来)で生じた。両方の群での被験者の同様の百分率が、重篤な有害事象を経験した(エゼチミブ17.8%に対してアリロクマブ18.8%)。アリロクマブ群ではより高い割合の患者が、処置中止につながるTEAEを経験し(5.4%に対して7.5%)、基本項目レベルで特定のパターンはなかった(表25)。
感染および侵入(エゼチミブ25.3%に対して27.1%)、筋骨格および結合組織の障害(エゼチミブ17.0%に対して19.6%)、および胃腸障害(エゼチミブ13.7%に対して15.0%)について、アリロクマブでわずかに高い率であったことを除いて、器官別大分類レベルでTEAEに不均衡は示されなかった(表25)。判定された心血管事象はまた、高率の非致死性心筋梗塞および冠動脈血行再建術により、アリロクマブ群ではさらに高頻度であった(4.8%、n=23;3.7%、n=9に対して)。
治療創発的局所注射部位反応の率は、アリロクマブアームでわずかに高いようであった(エゼチミブでの0.8%に対して2.5%)(表25)。反応は、中程度の強度の1つを除いて、軽度の強度であって、重篤なものはなかった。2つの事象がアリクロマブ群の停止につながった。百分率の低い両群の患者が筋肉痛を発症した。
実験室測定値の異常は珍しく、かつアラニンアミノトランスフェラーゼおよびアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを除いて両群で同様の率で生じ(アリロクマブ群ではより高い頻度で)、かつグルコース調節が損なわれた(アリロクマブ群ではより低い頻度で)(表25)。
処置期間の間に<25mg/dL未満の2連続のLDL−Cの値の患者が、アリロクマブアームでの105名(460名のうち22.8%)であり、エゼチミブアームではいなかった。この群でのTEAEの率は、アリロクマブ群でより高い頻度であった鼻咽頭炎は除いて、エゼチミブ群の率と同様であった(表25)。
COMBO II:全体の結果
最大耐用量スタチン治療を受けたLDL−C制御が劣った高いCVリスクの患者のこの集団では、次の観察が行われた:1)自己投与したアリロクマブは、24週間後にエゼチミブよりも有意に大きいLDL−C低下を生じた(LS平均差−29.8%);2)自己投与したアリクロマブは、コンプライアンスが良好で、十分耐容された;3)アリクロマブ患者のうち77%が、第24週で<0.81mmol/L(70mg/dL)というLDL−C目標値を達成した;ベースラインに対して約50%というLDL−Cの低下が、アリロクマブで第52週まで維持された;4)1.4mmol/L(53.3mg/dL)という平均のLDL−Cレベルが、アリロクマブを用いて第52週で達成された;5)約80%の患者が、アリロクマブ150mg(Q2W)へのアップタイトレーションを必要とせず、このことは、75mg(Q2W)が、ほとんどの患者について十分であり得ることを示唆している;ならびに6)TEAEは、アリロクマブアームおよびエゼチミブアームで同様の頻度で生じた。
高コレステロール血症が脂質修飾治療で十分に制御されていない高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性:無作為化、二重盲検、プラセボ対照研究
序論
LDL−C目標値に達していない心血管リスクが高い患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価するためにこの研究に着手した。最適化されたLMTを受けていてLDL−C目標値に達していないこの集団は、まだ対処されていない医療ニーズが十分に確認されている最高リスク群の代表であり、彼らのLDL−C修飾治療にアリロクマブを加えることによってそのような医療ニーズに対処することができる。2セットの結果を報告する:(1)全ての患者が処置1年に達し、患者のおおよそ25パーセントが処置18カ月に達したとき、事前に設定された中間解析を行った;また(2)全ての患者がこの研究を完了したとき、安全性集団の最終解析。
研究目的
主要研究目的は、高コレステロール血症が脂質修飾治療で十分に制御されていない高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価することであった。
副次的研究目的は、1)プラセボと比較した24週間の処置後の、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL−C)レベルに対するアリロクマブの効果を評価すること、2)他の時点でのLDL−Cレベルに対するアリロクマブの効果を評価すること、3)プラセボと比較した、24週間の処置後の、および他の時点でのアポリポタンパク質B(アポB)、非高密度リポタンパク質コレステロール(非HDL−C)、総コレステロール(総C)、リポタンパク質a(La[a])、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL−C)、トリグリセリド(TG)レベルおよびアポリポタンパク質A−1(アポA−1)に対するアリロクマブの効果を評価すること、4)抗アリロクマブ抗体の発生を評価することおよび5)アリロクマブの薬物動態学(PK)を評価することであった。
研究デザイン
これは、他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量で十分に制御されていない高コレステロール血症を有する高心血管リスク患者におけるアリロクマブの長期安全性および耐容性を評価する、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、非釣り合い型(2:1 アリロクマブ:プラセボ)、並行群間、多施設、多国籍研究であった。図10を参照されたい。heFH集団、MIまた虚血性脳卒中の既往歴、スタチン処置および地理的領域に従って患者を階層化した。心血管リスクが高い患者は、1)heFHを有すること(CHD/CHDリスク相当状態(CHD risk equivalent)を有することもあり、有さないこともある)、または2)heFHの過去の診断はないが、高コレステロール血症を既存のCHDまたはCHDリスク相当状態と共に有することと定義した。患者は、高コレステロール血症でなければならず、かつ、スクリーニング前に少なくとも4週間(フェノフィブレートについては6週間)の安定した用量での他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量での治療にも関わらず十分に制御されていてはならなかった(すなわち、LDL−C≧70mg/dL[以下1.81mmol/L]でなければならなかった)。
プロトコールの説明
アリロクマブに無作為化された患者は、隔週、150mgを受けた。処置スキームは、タイトレーションスキームを用いてより低用量を導入するために、プロトコール修正によって、研究の過程の間、必要に応じて調整された。
研究は、3期間から成った:スクリーニング、二重盲検処置および追跡調査。スクリーニング期間は、継続期間が3週間以下であり、患者(または配偶者、親類などのような別の指定された人物)が、プラセボを自己注射/注射するよう訓練された中間の訪問を含んだ。患者を研究に無作為化することを可能にするために適格性評価を実施した。二重盲検処置期間は、18カ月の無作為化、二重盲検研究処置期間であった。二重盲検期間の間の最初の注射は、無作為化当日に部位に、研究への無作為化後できる限り近接して行った。その後の注射は、患者が好む場所(家...)で患者(自己注射)または別の指定の人物(配偶者、親類などのような)によって行った。追跡調査期間は、二重盲検処置期間終了後8週間の期間であった。
研究の間に2連続算出LDL−Cレベル<25mg/dL(0.65mmol/L)を達成した患者をモニタリングし、管理した。
スタチンおよび他の脂質修飾処置(妥当な場合)は、治験責任医師の判断に従って最優先事項(中央検査室によって発せられるトリグリセリドの警告を含むが、これに限定されない)がそのような変更を正当化する例外的事情がなければ、二重盲検処置期間の最初の24週間の期間は、安定であるべきである(用量を含む)。第24週以降、バックグラウンド脂質修飾処置は、特定の条件下でのみ修飾されることもある。
患者は、スクリーニングから全研究期間を通じて安定な食事状態(NCEP−ATPIII TLC食事または相当状態)になければならなかった。適当な訓練を受けた栄養士または現場スタッフが、スクリーニング訪問で研究を通じて定期的に患者の食事を審査した。表26は、高コレステロールのTLC食の概要を提供する。
無作為化から最後の追跡調査訪問までに心血管事象を有した患者は、準備された判定パッケージを有し、独立した臨床事象判定委員会に送られた。
患者は、研究を通じて定期的に色覚検査を受けた。研究集団のサブセットにおいて眼科的下位研究を実施した。
研究参加の期間
研究期間は、最大3週間のスクリーニング、18カ月の二重盲検研究処置期間および8週間の追跡調査機関を含んだ。それ故、患者ごとの研究期間は、およそ20カ月であった。患者ごとの研究の終了は、最後のプロトコールによって計画された訪問またはどちらが最後に来るとしても全てのSAEおよびAESIの回復/安定化であった。研究の終了は、各患者の追跡調査機関の最後の訪問であると定義された。
患者の選択
この研究は、患者おおよそ2100名を次の群に無作為化比2:1で無作為化するように設計した:アリロクマブ−患者おおよそ1400名;プラセボ−患者おおよそ700名。
次の基準の全てを満たす患者をこの研究への登録について考慮した:1)他の脂質修飾治療(LMT)と共にもしくはなしで、スクリーニング訪問(−第3週)前少なくとも4週間のスタチンの安定した最大投与可能1日用量**で十分に制御されていない、既存の冠動脈心疾患(CHD)もしくはCHDリスク相当状態があるもしくはないヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(heFH)*を有する患者;または2)他の脂質修飾治療(LMT)と共にもしくはなしで、スクリーニング訪問(−第3週)前少なくとも4週間のスタチンの安定した最大投与可能1日用量**で十分に制御されていない、高コレステロール血症および既存のCHDリスクまたはCHDリスク相当状態(定義については下文を参照されたい)を有する患者。
*heFHの診断は、遺伝子型判定または臨床基準いずれかによって行わなければならなかった。遺伝子型判定しなかった患者についての臨床診断は、スコア>8点でWHO基準/Dutch Lipid Clinical network基準に基づくこともあり、または確定FHの基準に関してサイモン・ブルーム登録者診断基準に基づくこともあった。
**最大投与可能量の定義(以下のいずれも許容可能である):1)ロスバスタチン20mgまたは40mg/日;2)アトルバスタチン40mgまたは80mg/日;3)シンバスタチン80mg/日(>1年、この用量を既に受けている場合);4)上記スタチン用量のいずれも用いることができない患者は、治験責任医師の判断または懸念に応じて患者にとって適切と考えられる毎日のアトルバスタチン、ロスバスタチンまたはシンバスタチンの用量で処置を受けるものとした。より低いスタチン用量を摂取した患者の許容可能な理由のいくつかの例としては、これらに限定されるものではないが次のことが挙げられる:より高い用量での有害作用、高齢、低いボディマスインデックス、地域特有の実施、限局的処方情報、併用薬、併発状態、例えば耐糖能障害/空腹時血糖異常。理由は、記録されなければならない。
記録されたCHD歴は、次の1つまたはそれ以上を含む:i)急性心筋梗塞(MI);ii)無症候性心筋梗塞;iii)不安定狭心症;iv)冠動脈血行再建術(例えば、経皮的冠動脈形成術[PCI]もしくは冠動脈バイパス移植術[CABG]);および/またはv)侵襲的もしくは非侵襲的検査(例えば、冠動脈造影法、トレッドミルを使用する負荷試験、負荷心エコー検査もしくは核イメージング)によって診断された臨床的に有意なCHD。
CHDリスク相当状態は、次の4つの基準の1つまたはそれ以上を含む:i)記録された末梢動脈疾患(次の基準[a、bまたはc]の1つを満たさなければならない):安静時のいずれかの脚における足関節・上腕血圧指数<0.90と共に、アテローム動脈硬化症に起因すると推定される現在の間欠性跛行(運動によって再現可能でもあり、生じることもあり、10分以内の休息によって緩和されもする下肢の筋肉不快感)、またはb)アテローム動脈硬化性疾患のための片脚もしくは両脚における血管内手術もしくは外科的介入と共に、間欠性跛行(運動によって再現可能でもあり、生じることもあり、10分以内の休息によって緩和されもする下肢の筋肉不快感)歴、またはc)アテローム動脈硬化性疾患のための片脚もしくは両脚における血栓溶解、血管内手術もしくは外科的介入と共に、重症虚血肢歴;ii)アテローム血栓症に起因すると考えられる、24時間より長く持続した局所虚血性神経障害と共に記録された過去の虚血性脳卒中。出血および非虚血性神経疾患を除外するためにCTまたはMRIを行わなければならなかった;iii)スクリーニング訪問を含む、3カ月またはそれ以上の30≦eGFR<60mL/分/1.73m2によって定義される、記録された中等度慢性腎疾患(CKD);iv)糖尿病および(下に列挙するような)2つまたはそれ以上の追加のリスク因子の既往歴:a 高血圧歴(降圧薬服用時に確証されたもの)、b 足関節・上腕血圧指数≦0.90の記録された履歴、c 微量アルブミン尿もしくは顕性アルブミン尿の記録された履歴、またはタンパク>+2であるスクリーニング訪問(−第3週)時の尿試験紙尿検査、d 前増殖性もしくは増殖性網膜症または網膜症レーザー処置の記録された履歴、e 早期CHDの家族既往歴(年齢55歳未満の父親もしくは兄弟のCHD;年齢65歳未満の母親もしくは姉妹のCHD)。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症に関するサイモン・ブルーム登録者診断基準に従って、確定家族性高コレステロール血症を次のように定義した:16歳未満の児童における総C>6.7mmol/l(260mg/dL)、もしくは4.0mmol/l(155mg/dL)より高いLDLコレステロール、または成人における総C>7.5mmol/l(290mg/dL)、もしくは4.9mmol/l(190mg/dL)より高いLDLコレステロール(処理前のレベルまたは処置中の最高レベルいずれか)に加えて、患者もしくは一親等血縁者(親、兄弟姉妹、子)もしくは二親等血縁者(祖父母、叔父、叔母)における腱黄色腫、またはLDL受容体突然変異もしくは家族性アポB−100欠損のDNAに基づく証拠。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症に関するサイモン・ブルーム登録者診断基準に従って、可能性のある家族性高コレステロール血症を次のように定義した:16歳未満の児童における総C>6.7mmol/l(260mg/dL)、もしくは4.0mmol/l(155mg/dL)より高いLDLコレステロール、または成人における総C>7.5mmol/l(290mg/dL)、もしくは4.9mmol/l(190mg/dL)より高いLDLコレステロール(処理前のレベルまたは処置中の最高レベルいずれか)、ならびに次のうちの少なくとも1つ:二親等血縁者における年齢50歳未満もしくは一親等血縁者における年齢60歳未満の心筋梗塞の家族歴、または成人一もしくは二親等血縁者における>7.5mmol/l(290mg/dL)もしくは年齢16歳未満の子もしくは兄弟姉妹における>6.7mmol/l(260mg/dL)のコレステロール上昇の家族歴。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(heFH)の診断に関するWHO基準(Dutch Lipid Network臨床基準)を表27に示す。
上記組み入れ基準全てを満たした患者を以下の除外基準についてスクリーニングした。
研究方法論に関係する除外基準は、次の通りであった:1)CHDもしくはCHDリスク相当状態の既往歴なし、または遺伝子型判定もしくは臨床基準に基づくheFHの診断なし;2)スクリーニング訪問(−第3週)時にLDL−C<70mg/dL(<1.81mmol/L);3)スクリーニング訪問(−第3週)前におよびスクリーニングから無作為化までに、適宜、少なくとも4週間、LMT(スタチンを含む)の、および/または少なくとも6週間、フェノフィブラートの安定した用量を受けていない;4)シンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチンでないスタチンを現在摂取している;5)シンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチンを毎日摂取していない、または登録した用量で摂取していない;6)アトルバスタチン80mg、ロスバスタチン40mgまたはシンバスタチン40mgより上の1日用量(1年より長い間シンバスタチン80mgを受けている、適格である、患者を除く);7)スクリーニング訪問(−第3週)前6週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、フェノフィブラート以外のフィブラートの使用;8)スクリーニング訪問(−第3週)前少なくとも4週間の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、安定した用量でなかった脂質に作用することができる栄養補助食品または市販の治療薬の使用;9)スクリーニング訪問(−第3週)から4週間以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の、紅色酵母米製品の使用;10)スクリーニング訪問(−第3週)前2週間以内に血漿交換処置を受けた、または血漿交換処置を受ける計画がある患者;11)最近の(スクリーニング訪問[−第3週]前3カ月以内の、またはスクリーニング訪問と無作為化訪問の間の)MI、入院につながる不安定狭心症、制御されていない不整脈、CABG、PCI、頸動脈手術またはステント留置術、脳血管発作、一過性脳虚血発作(TIA)、末梢血管疾患のための血管内手術または外科的介入;12)予定されたPCI、CABG、頸動脈または末梢血行再建をこの研究中に受けるように計画されている;13)過去12カ月以内のニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIV心不全歴;14)スクリーニング訪問またはランダム化訪問時の収縮期血圧>180mmHgまたは拡張期血圧>110mmHg;15)出血性脳卒中の既往歴;16)スクリーニング訪問(−第3週)時に18歳または法律上成人、いずれか高い方の年齢未満;17)活動性視神経疾患の既往歴;18)スクリーニング訪問(−第3週)前にコレステロール低下食についての事前指導を受けていない患者;19)ホモ接合性FHの既往歴;20)PCSK9機能喪失(すなわち、遺伝子突然変異または配列変異)の既往歴;21)無作為化前少なくとも6週間の、安定したレジメンで下垂体/副腎疾患のための補充治療として使用した場合を除く、全身性コルチコステロイド薬の使用。注記:局所的、関節内、鼻、吸入および眼科的ステロイド治療は、「全身性」とみなさず、許可する;22)レジメンがスクリーニング訪問(−第3週)前の過去6週間安定しており、研究中にそのレジメンを変更する計画がない場合を除く、連続ホルモン補充治療の使用;23)適切に処置された基底細胞皮膚癌、扁平細胞皮膚癌、または子宮頸部上皮内癌を除く、過去5年以内の癌歴;24)HIV陽性の既往歴;25)次のような条件/状況:a)治験責任医師または任意の治験補助医師の判断で、研究の安全な完了を妨げるもしくはエンドポイントの評価を制約することになる、スクリーニング時に特定される何らかの臨床的に有意な異常、例えば重大な全身性疾患、余命の短い患者、b)治験責任医師または任意の治験補助医師によって何らかの理由でこの研究に不適切とみなされる患者、例えば以下の患者:i)予定された訪問などの特定のプロトコール要件を満たすことができないと判断される患者;ii)患者または治験責任医師により長期間の注射を投与または耐容することができないと判断される患者;iii)治験責任医師もしくは任意の治験補助医師、薬剤師、研究コーディネーター、プロトコールの実施に直接関与する他の研究スタッフもしくは親族など;iv)治験責任医師が研究継続期間に患者の参加を限定もしくは制限することになると感じる、実際のまたは予測される何らかの他の条件(例えば、地理的、社会的条件)の存在;26)他の治験で以前にアリロクマブまたは何らかの他の抗PCSK9モノクローナル抗体の少なくとも1用量で処置された患者;27)1カ月以内または5半減期以内、いずれか長い方、にアリロクマブトレーニング用プラセボキット以外の何らかの被験薬を摂取した患者;28)スクリーニング期間中に同意を撤回する患者(継続する意思がないまたは再訪問しない患者);29)(無作為化検査を含まない)スクリーニング期間中の検査所見:A)B型肝炎表面抗原および/またはC型肝炎抗体についての検査陽性(反射試験によって確認);B)トリグリセリド(TG)>400mg/dL(>4.52mmol/L)(1回の再検査を許可する);C)妊娠の可能性がある女性における血清または尿妊娠検査陽性;D)4変数MDRD方程式に従ってeGFR<30mL/分/1.73m2;E)HbA1c>10%;F)ALTまたはAST>3×ULN(1回の再検査を許可する);G)CPK>3×ULN(1回の再検査を許可する)。
医師は、ニューヨーク心臓協会(NYHA)機能分類システムに従って心不全のステージを評価することが多い。このシステムは、表28に示されるように、日々の活動および患者の生活の質に対する症状に関する。
対照実薬および/または必須バックグラウンド治療に関する除外基準は、次の通りであった:30)それぞれの国の製品表示に示されている通りのバックグラウンド治療の全ての忌避または使用についての警告/注意(適宜)。
アリロクマブについての現在の知識に関する除外基準は、次の通りであった:31)モノクローナル抗体治療に対する既知過敏症;32)妊娠しているまたは授乳中の女性;33)非常に有効な受胎調整方法によって保護されていない妊娠の可能性がある女性および/または妊娠について検査する意思がないもしくは検査することができない女性。注記:妊娠の可能性がある女性は、スクリーニング時に血清妊娠検査陰性および無作為化訪問時に尿妊娠検査陰性が確認されていなければならなかった。彼女たちは、この研究を通して有効な避妊法を用いなければならず、指定訪問時に尿妊娠検査を繰り返すことに同意しなければならなかった。適用される避妊方法は、「Note for guidance on non−clinical safety studies for the conduct of human clinical trials for pharmaceuticals(CPMP/ICH/286/95)」による非常に有効な受胎調整方法の基準を満たさなければならなかった。閉経後女性は、少なくとも12カ月間、無月経でなければならなかった。
研究処置
無菌アリロクマブ製剤(IMP)を150mg/mLの濃度でシリンジに充填された体積1mLとして供給した。二重盲検処置期間中、アリロクマブまたはプラセボを隔週、1mL注射として皮下投与し、この投与を第0週に開始して、二重盲検処置期間終了2週間前である最終注射(すなわち第76週)まで継続した。IMPは、理想的には、1日のうちほぼ同じ時間に2週間ごとに皮下投与されるべきであるが、±3日のウィンドウピリオドを有することが許容された。
次のクラスの薬は、その薬物がバックグラウンド治療薬または有望な救急薬のいずれかであったので、非治験薬とみなした:スタチン(ロスバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン);コレステロール吸収阻害剤(エゼチミブ);胆汁酸結合封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム);ニコチン酸;フェノフィブラート;オメガ−3脂肪酸(≧1000mg/日)。
二重盲検研究処置期間中にプラセボまたはアリロクマブを受けるように患者を無作為化した。アリロクマブ:プラセボの無作為化比は、2:1であった。無作為化を、heFH集団(イエス、ノー)、急性もしくは無症候性MIまたは虚血性脳卒中の既往歴(イエス、ノー)、スタチン処置(いかなる1日用量であれシンバスタチン、アトルバスタチン40mg未満/日またはロスバスタチン20mg未満/日に対して、アトルバスタチン40〜80mgまたはロスバスタチン20〜40mg/日)および地域(北米、西欧、東欧および世界のその他の地域)によって階層化した。
併用薬は、この研究と同時に(追跡調査訪問まで)患者が受けたあらゆる処置薬であった。併用薬は、この研究中、最低限に保つべきであった。しかし、これらの併用薬は、患者の福祉のために必要と考えられ、IMPに干渉する可能性が低いと考えられる場合、治験責任医師の裁量で、安定した用量で(可能な場合)与えることができた。この節で提供する併用薬に関する特定の情報に加えて、任意の他の併用薬を許可することにし、記録しなければならないことにした。患者が、スクリーニング訪問(−第3週)時にLDL−C≧160mg/dL(4.14mmol/L)を有し、患者をスタチンのみで、すなわち、さらなるLMTなしで処置した場合、治験責任医師は、患者が第2のLMTを受けていなかった理由を報告しなければならなかった。脂質に作用することができる栄養補助食品または市販の治療薬は、スクリーニング訪問前少なくとも4週間、スクリーニング期間中、安定した用量で使用され、二重盲検処置期間の最初の24週間の間、維持される場合にのみ許可した。第24週訪問後、これらの栄養補助食品または市販の治療薬の変更を許可したが、一般には避けるべきであった。そのような栄養補助食品または市販の治療薬の例としては、用量<1000mgでのオメガ−3脂肪酸、植物スタノール、例えばベネコールに見られるもの、アマニ油、およびサイリウムが挙げられた。
患者は、この研究中、他の脂質修飾治療と共にまたはなしでスタチンの登録された最大投与可能1日用量を受けていた。スクリーニング訪問(−第3週)から二重盲検処置期間の最初の24週間(第24週)まではバックグラウンド脂質修飾治療を変更すべきでなかった。他のスタチンまたは他の脂質修飾治療の用量調整、中止または開始は、治験責任医師の判断に従って最優先事項(中央検査室によって発せられるトリグリセリドの警告を含むが、これに限定されない)がそのような変更を正当化する例外的事情がなければ、この時期に行うべきではなかった。
以下の治療薬は、(追跡調査訪問までのスクリーニング期間を含む)この研究中、許可しなかった:フェノフィブラート以外のフィブラート;紅色酵母米製品;およびシンバスタチン、アトルバスタチンまたはロスバスタチン以外のスタチン。
安全性評価
安全性は、次のパラメータによって評価した:有害事象(判定された心血管事象を含む)記録;標準検査室検査(血液学、化学および尿検査);肝パネル(ALT、AST、アルカリホスファターゼ[ALP]、および総ビリルビン);クレアチンホスホキナーゼ(CPK);C型肝炎抗体(陽性の場合には、反射試験を行った);ビタミンE(アルファ−トコフェロール)および他の脂溶性ビタミン;コルチゾール(と共に必要に応じて反射性ACTHレベル、そしてその後、必要に応じてACTH刺激試験);性腺ホルモン評価;心電図(ECG);バイタルサイン(収縮期および拡張期血圧ならびに心拍数);健康診断(神経学的診察を含む);色覚検査(必要に応じて、より総合的な眼科検査のためのスクリーニング検査として)。安全性パラメータ(有害事象[判定された心血管事象を含む]、検査データ、バイタルサイン、およびECG)をこの研究を通して評価した。
2連続算出LDL−Cレベル<25mg/dL(0.65mmol/L)を達成する患者をモニタリングする。
追跡調査訪問時に抗アリロクマブ抗体の240以上の力価を有する患者は、最後の用量後6〜12カ月で、およびその後、力価が240未満に戻るまで約3〜6カ月ごとに追加の抗体サンプル(単数または複数)を有する。
この試験で評価した安全性エンドポイントは、次の通りであった:心血管事象;アレルギー事象;注射部位での局所耐容性;他の有害事象(溶血性貧血を含む);検査室検査:尿検査、血液学(赤血球数、赤血球分布幅(RDW)、網状赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板、白血球数と血球百分率数)、標準化学(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、カルシウム、リン、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、総タンパク質、アルブミン、LDH、γグルタミルトランスフェラーゼ[γGT])、ビタミンE(アルファトコフェロール)および他の脂溶性ビタミン、コルチゾール(および必要に応じて反射性ACTHレベル、そしてその後、必要に応じてACTH刺激試験)、性腺ホルモン評価;C型肝炎抗体、肝パネル(ALT、AST、ALP、および総ビリルビン)、およびCPK;心拍数および血圧を含む、バイタルサイン;ならびに12リードECG。
研究手順
1日目/第0週(無作為化訪問)後の全ての訪問について、特定の日数の時間枠が許可された。12および24週での訪問のウィンドウピリオドは、±3日であり、週で52±5日であり、全ての他のサイト訪問については、二重盲検処置期間および追跡調査機関の間は±7日であった。無作為化訪問(1日目/第0週)については+3日のウィンドウピリオドが許可され、注射訓練(−第1週)のためのスクリーニングについては±7日が許可された。全ての電話訪問については±7日のウィンドウピリオドが許可された。1日目/無作為化訪問後の全ての訪問について、訪問日が変更された場合には、次の訪問は、元のスケジュールに従って行われた
眼科的下位研究
ラットにおける毒性学研究の際に記述された眼の異常は、アリロクマブの投与によるものではなかったという証拠に関わらず、アリロクマブの眼の安全性を検証するためにプロトコールにおいて患者のサブセットにおいて徹底的な眼の評価を実施した。
主要目的は、そのLMTを用いて十分に制御されない高コレステロール血症を有する高心血管リスク患者においてアリロクマブの臨床的な眼の安全性を評価することであった。
患者は、スクリーニング期間で眼科医/検眼士による眼科的評価を受けた。患者が、主研究試験にとって適格と思われ、下位研究のための追加の適格性基準を満たした場合には、患者は、18カ月の二重盲検処置期間の間6カ月ごとに眼科的評価を受けた。
主要エンドポイントは、研究期間にわたる眼科的異常と関連する有害事象(SMQ「視神経障害」、「レチナール障害」および「角膜障害」を使用する)であった。
この下位研究におよそ270名の患者が参加すると予想された。全ての被験者は、主研究のための適格性基準およびこの下位研究にとって適格であるためにこの下位研究のために概説された追加の適格性基準を満たさなければならない。
唯一の追加の組み入れ基準は、署名された書面でのインフォームドコンセントであった。
下位研究の追加の除外基準は、スクリーニング期間の間に眼科的下位研究についての同意を取り消す患者(継続する意思がない患者);スクリーニング期間の間に眼科的評価の全てを完了できない患者;スクリーニング期間の眼科的評価の際に検出される活動性視神経疾患(例えば、視神経炎)を有する患者であった。注記−制御された開放隅角緑内障を有する患者は、研究に適格であり得;また、スクリーニング期間の眼科的評価の際に検出される活動性脈絡網膜疾患を有する患者であり得る。
統計的手法:
サンプルサイズ決定:
安全性評価のために、2100名の患者のサンプルサイズ(無作為化比2:1、すなわち、アリロクマブ:1400およびプラセボ:700)は、広範なデータベースにおける長期の安全性データの収集を可能にする(最小12カ月間のアリロクマブに曝露された少なくとも1000名の患者、そのうちおよそ900名の患者が18カ月間アリロクマブに曝露された)。
このサンプルサイズおよび次の仮定:16カ月の補充の期間、最初の9カ月に補充された患者の44%ならびにそれぞれ、12カ月および18カ月での25%および35%のドロップアウト率を用いると、最小で12カ月および18カ月の処置の間、アリロクマブに曝露される患者の予想される数は、以下に示される:
解析のタイミングによる、アリロクマブに曝露される患者の予想される数:
さらに、アリロクマブを用いて処置された1400名の患者のサンプルサイズは、アリロクマブ群において95%の信頼で≧0.002の率の有害事象を検出することを可能にする。270名の患者のサンプルサイズを考慮し、12カ月にわたって25%の中断率を想定して、少なくとも12カ月間の眼科的下位研究において、アリロクマブに曝露された122名から142名の間の患者が評価されると予測された。これは、アリロクマブ群において95%の信頼で0.021から0.024の間の真の発生を有する眼科的事象の検出を可能にする。
解析のタイミング:
第1ステップの解析は、第52週までの最終効能エンドポイント(第24週での主要効能エンドポイントを含む)および共通研究カットオフ日(およそ600名の無作為化された患者が、18カ月の二重盲検処置期間を完了した日)までの全ての安全性データで実施された中間安全性解析を含んだ。第52週を超える脂質データの解析は、説明的なものであった。結果は本明細書に提示されている。
第2ステップ(最終)解析は、研究の最後に実施され、第1ステップ解析で解析される時点を超える時点での効能データの最終解析および最終安全性解析からなる。
解析集団:
主効能解析集団は、全て無作為化された、評価可能な主要効能エンドポイントを有する患者、すなわち、入手可能なベースライン算定LDL−C値および第24週までの解析ウィンドウの1つ内の少なくとも1つの入手可能な算出LDL−C値(全ての算出LDL−Cオントリートメントおよびオフトリートメントを含む)を有するものとして定義される処置企図(ITT)集団であった。
副次的効能解析集団は、全て無作為化された、二重盲検治験医薬品(IMP)の少なくとも1用量または用量の一部を摂取した、ならびにベースラインでの入手可能な算出LDL−C値および効能処置期間の間に第24週までの解析ウィンドウの1つ内の少なくとも1つの入手可能な算出LDL−C値を有していた患者として定義される修飾された処置企図(mITT)集団であった。効能処置期間は、最初の二重盲検IMP投与から最後の二重盲検注射後21日までの時間として定義された。
安全性集団は、全て無作為化された、二重盲検IMPの少なくとも1用量または用量の一部を受けた患者を含んだ。
効能解析:
効能エンドポイントの主解析は、ITTアプローチを使用して実施し(上記で定義されたITT集団に基づいて)、患者が処置を継続していたか否かに関わらず、全ての脂質データを含んだ。これは、主および肝要な副次的エンドポイントについて定義されるITT被推定値に対応する。さらに、分析はまた、オントリートメントアプローチを使用して実施された(上記で定義されるmITT集団に基づいて)、効能処置期間の間に収集された脂質データを含む。これは、肝要な副次的エンドポイントのオントリートメント被推定値に対応する。
ITTアプローチは、処置に対するその順守率に関わらず全ての患者を解析し;処置戦略の利益を評価し、患者の集団における効果をできる限り多く反映した。患者が実際に処置を受けた期間に制限された、オントリートメントアプローチは、処置の効果を解析した。考慮された時点までに処置に対して順守する患者において処置が達成する利益を評価した。
効能解析は、無作為化されたような処置に従って実施した。
予定されたまたは予定外の、空腹時または非空腹時、全ての測定値を、第4週から第78週の時点で評価を提供するために解析ウィンドウに割り当てた。
主効能解析(ITTアプローチ)に関して、ベースラインから24週までの算出LDL−Cの変化率を、反復測定を用いる混合効果モデル(MMRM)アプローチを使用して解析した。第4週から第52週の解析ウィンドウから入手可能な全てのポストベースラインデータを使用し、欠測データをMMRMによって考慮した。モデルは、処置群(プラセボ対アリロクマブ)、無作為化層(IVRSのように)、時点(第4週から第52週)、処置と時点の相互作用および層と時点の相互作用ならびにベースラインLDL−C値およびベースライン値と時点の相互作用の連続固定共変数の固定カテゴリー効果を含んだ。このモデルは、その対応するSEおよび95%信頼区間とともに両処置群について第24週でのベースライン調整最小二乗平均(LS平均)推定値を提供した。アリロクマブ対プラセボ群を比較するために、適当なコントラストステートメントを使用して、5%αレベルでこれらの推定値の相違を試験した。
多重度について制御しながら肝要な副次的エンドポイントを試験するために(肝要な副次的エンドポイントの上記の順序を使用して)、階層的手順が定義された。第1の肝要な副次的エンドポイントは、オントリートメントアプローチを使用するベースラインから第24週までの算出LDL−Cの変化率であった。
正規分布を有すると予測される連続副次的変数(すなわち、TGおよびLp(a)以外の脂質)を、主要なエンドポイントの同一MMRMモデルを使用して分析した。非正規分布を有すると予測される連続エンドポイント(すなわち、TGおよびLp(a))は、欠測値の取り扱いのための複数の補完アプローチと、それに続く、処置群を用いるM−推定(SAS ROBUSTREG手順を使用する)、無作為化層(IVRSのように)および処置効果を比較するための効果として対応するベースライン値(単数または複数)を使用して可変の応答として対象とするエンドポイントを用いる頑強な回帰モデルを使用して解析した。両処置群における平均の組合せ推定値ならびにその対応するSE、95%CIおよびp値とともにこれらの推定値の相違が提供された(SAS MIANALYZE手順によって)。
欠測値の取り扱いのための複数の補完アプローチと、それに続く、主効果としての処置群を用いる重層ロジスティック回帰および無作為化因子(IVRSのように)によって重層された、共変数としての対応するベースライン値(単数および複数)を使用して、2値副次的効能エンドポイントを解析した。オッズ比対プラセボの組合せ推定値、95% CIおよびp値が提供された(SAS MIANALYZE手順によって)。
安全性解析:
安全性解析は、実際に受けた処置に従って安全性集団で実施した説明的なものであった。安全性解析は、二重盲検注射の第1の用量から最後の二重盲検注射後70日までの時間として定義されるTEAE期間に焦点を合わせた。オープンラベル延長研究(LTS13643)において、患者の第1の注射後に、発症し、悪化し、重篤になったTEAEまたは生じるPCSAは、TEAE期間において考慮しなかった。TEAE期間は、共通研究カットオフ日で切り詰められた。
結果I−事前に設定された解析
患者への説明責任
全ての患者が1年に到達し、患者のおよそ25パーセントが18カ月の処置に到達した時点で、事前に設定された中間解析を実施した。2341名の無作為化された患者のうち、3名の患者は処置されず、したがって、安全性集団に含まれなかった。
31名の無作為化された患者は、ITT集団に含まれなかった(第24週まで解析ウィンドウの1つ内にLDL−Cはない)。
41名の無作為化された患者は、mITT集団(ITT集団から排除された患者および効能処置期間の間に第24週まで解析ウィンドウの1つ内にLDL−C値を有さない患者)から除外された。
研究内訳
この事前に設定された解析におけるカットオフ日に、607名(25.9%)の患者が、18カ月の二重盲検処置期間を完了し(少なくとも第76週の曝露および実施された第78週訪問として定義される)、「第2相の最後」のミーティング協議中に保健医療当局と合意したようなアリロクマブ群において少なくとも400名の患者:アリロクマブ群における405名の患者(26.1%)およびプラセボ群における202名の患者(25.6%)を含んだ。
アリロクマブ群では、1553名のうち1550名がアリロクマブを実際に受けた。これらの患者のうち23%(n=349)が、78週を完了し、20%(n=311)が処置を中断し、57%(n=890)が処置を依然として受けている。処置を中断したアリロクマブ群の患者は、プロトコールに対する不十分なコンプライアンス(n=54)、有害事象(n=98)または別の理由(n=159)のためにそのようにした。アリロクマブ群のITT安全性集団は、それぞれ、1530名および1550名であった。プラセボ群では、全ての788名がプラセボを受けた。これらの患者のうち22%(n=176)が78週を完了し、19%(n=146)が処置を中断し、59%(n=466)が処置を依然として受けている。処置を中断したプラセボ群の患者は、プロトコールに対する不十分なコンプライアンス(n=34)、有害事象(n=44)または別の理由(n=67)のためにそのようにした。アリロクマブ群のITT安全性集団は、それぞれ、780名および788名の患者であった。ITT集団中の患者は、第52週までの全ての効能エンドポイントに含まれていた。安全性集団中の患者は、少なくとも52週間アリロクマブまたはプラセボのいずれかを受けた。
研究内訳、研究共通カットオフ日までの全てのデータを使用して曝露および安全性解析を評価し、それ故、第52週を超え、第78週までまたは追跡調査訪問までのデータを含む。この第1ステップ解析において、主要効能エンドポイントの最後の結果(第24週時)および肝要な副次的効能エンドポイント(第52週まで評価した)が提供される。
この事前に設定された解析におけるカットオフ日まで研究処置期間を完了した、すなわち、最終IMP注射を行い(第76週)、最終処置訪問(第78週)を最終IMP注射後21日以内かつ無作為化後少なくとも525日以内に実施した、合計525名(22.4%)の無作為化された患者があった。
455名(19.4%)の無作為化された患者(アリロクマブ群の310名(20.0%)の患者およびプラセボ群の145名(18.4%)の患者)について、二重盲検IMPは時期尚早に中断された。1358名(58.0%)の無作為化された患者について、処置は、第1ステップ解析カットオフ日の時点で進行中であった。
全体的に、研究処置中断の主な理由は、「他の理由−他の」および「有害事象」であった。これらの「他の理由」は、次を含んでいた:被験者の継続拒否(93名の患者)、患者は、欠測した/ウィンドウ外の第78週訪問(71名の患者)、死亡(6名の患者)(死亡の前に処置を停止する治療責任医師の決定はなかった)、種々の(5名の患者)、追跡不能(4名の患者)、サイト閉鎖(3名の患者)および引っ越した被験者(2名の患者)のいずれかのために処置の完了のためのeCRF基準を満たさなかった。
さらに、時期尚早に中断したこれらの455名の患者の中で、アリロクマブ群において219名(14.1%)の無作為化された患者が、第52週の訪問の前に二重盲検IMPを時期尚早に中断し、プラセボ群において111名(14.1%)が中断した。
最後に、139名(5.9%)の患者が、任意の眼科的下位研究に参加した(計画された270名の患者の代わりに)。
この第1ステップ解析において、第24週での主要効能エンドポイントならびに第12週、第24週および第52週で評価される肝要な副次的効能エンドポイントの最終結果が利用可能である。第24週で、アリロクマブ群における1384名(90.5%)およびプラセボ群における708名(90.8%)の主要効能エンドポイントが利用可能であった。
218名の患者については、主要効能エンドポイントは欠測していた。第24週訪問時の、欠測の理由は次の通りであった:より早期の研究中断のために行われなかった108サンプルは、;解析ウィンドウ外で行われた47サンプル;行われなかった10サンプル;行われたが測定を行うことができなかった51サンプル(不十分な品質、TG>400mg/dL(4.52mmol/L)...);および無作為化されたが処置されていない患者の、行われなかった2サンプル。
人口統計学的特性およびベースライン特性
研究において合計2341名の患者を無作為化した(アリロクマブにおける1553名対プラセボ群における788名)。アリロクマブ群におけるベースラインでの人口統計学的特性、疾患特性および脂質パラメータは、プラセボ群と比較して同様であった。アリロクマブ群(N=1553)について、年齢(平均年齢(SD))は60.4(10.4)であり、男性の百分率は63.3%(N=983)であり、白色人種百分率は92.8%(N=1441)であり、BMI(平均kg/m2(SD))は30.2(5.7)であった。プラセボ群(N=788)について、年齢(平均年齢(SD))は60.6(10.4)であり、男性の百分率は60.2%(N=474)であり、白色人種百分率は92.6%(N=730)であり、BMI(平均kg/m2(SD))は30.5(5.5)であった。
アリロクマブ患者の17.7%(17.8%(N=276)およびプラセボ群の17.6%(N=139)は、既存のCHDまたはCHDリスク相当状態と共にまたはなしでheFHを有していた。患者の82.3%は、既存のCHDまたはCHDリスク相当状態がある非家族性高コレステロール血症で登録した。無作為化集団の大多数(90.6%)は、冠動脈心疾患(CHD)またはCHDリスク相当状態の履歴を有した。CHDは、患者の68.6%について報告された。患者の91.5%を極めて高リスクとして分類した(以下の注記を参照されたい)。
アリロクマブ群におけるベースラインでの人口統計学的特性、疾患特性および脂質パラメータは、プラセボ群と比較して同様であった。平均(SD)ベースライン算定LDL−Cは、122.4(42.2)mg/dL(3.171(1.092)mmol/L)であった。バックグラウンド脂質修飾治療に関して、患者1032名(44.1%)は、無作為化時に高強度スタチン(すなわち、アトルバスタチン40〜80mgまたはロスバスタチン20〜40mg)を摂取しており、334名(14.3%)は、前記スタチンに加えてエゼチミブを受けていた。
アリロクマブおよびプラセボ群のベースライン特性の要約が、表34に示されている。
注射剤への曝露は処置群全体にわたって同様であり、中央値曝露は68週間であった。第2相の最後のミーティング協議中に保健医療当局と合意したようにアリロクマブ群の患者少なくとも400名を含む、患者607名(25.9%):アリロクマブ群の患者405名(26.1%)およびプラセボ群の患者202名(25.6%)は、カットオフ日(2014年5月7日)に、18カ月二重盲検処置期間を完了していた(すなわち、少なくとも76週間の曝露および第78週訪問完了)。
注記:219名の患者は、冠動脈心疾患の病歴も冠動脈心疾患リスク相当状態の病歴も有していなかった。そのうち200名は、heFH患者である(高CVリスクカテゴリーに相当する)。他の19名は、CHDまたはCHDリスク相当状態の既往歴を有さない非FHである(すなわち、除外基準E01)。プログラムレベルで慣例により、逸脱を有するこれらの19名の患者は、極めて高いCVリスクのカテゴリーにおいて考慮される。
以下は、スクリーニングでのスタチンを含む脂質修飾治療(LMT)の履歴を要約する:1245名(53.2%)の患者は、アトルバスタチン40〜80mg、ロスバスタチン20〜40mgまたはシンバスタチン80mgを毎日摂取しなかった。最も一般的な理由は、地域特有の実施および限局的表示であった。地域特有の実施/限局的表示のために高強度スタチンまたはシンバスタチン80mgを毎日摂取しなかった656名(28.0%)の患者の中で、375名(57.2%)の患者は、シンバスタチン40mgを摂取した。
投与量および期間
注射剤への曝露は処置群全体にわたって同様であり、中央値曝露は68週間であった。注目すべきことに、817名(35.0%)の患者が、少なくとも76週間処置された(
アリロクマブ群の543名(35.0%)の患者およびプラセボ群の274名(34.6%)の患者)。817名の患者の中で、607名の患者はまた、第1ステップ解析カットオフ日の時点で第78週の訪問も完了していた。
主要効能エンドポイント
ITT解析は、第52週までオントリートメントおよびオフトリートメントで収集した全てのLDL−C値を含んだ。第24週におけるLS平均推定値を用い、ITT集団でのMMRMモデルに基づいて、主要エンドポイント(ベースラインから第24週までの算定LDL−Cの変化率)を解析した。アリロクマブ群の患者146名(9.5%)およびプラセボ群の患者72名(9.2%)は、第24週における算定LDL−C値を有さなかった。これらの欠測値をMMRMモデルによって考慮した。
主要エンドポイント解析の結果は、mmol/Lおよびmg/dLで表35に提示されている。
ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の統計的に有意な減少が、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均0.8%)と比較してアリロクマブ群(ベースラインに対するLS平均−61.0%)で観察された(プラセボに対するLS平均差−61.9%、p<0.0001)。
アリロクマブ群ではベースラインからの一貫したLDL−C低減が第4週から第52週まで観察された。算出LDL−C値、ベースラインからの変化および変化率が、表36および図11に提示されており(52週間の観察期間にわたる全ての利用可能な測定値のITT解析)、アリロクマブおよびプラセボ処置群間の顕著な相違を実証する。
注目すべきことに、モデル仮定チェックの一部として、脂質ベースラインレベルにわたる処置効果の均一性が評価されており、ベースラインLDL−Cレベル相互作用によって有意な処置を示す(p<0.0001)。さらにこの相互作用をさらに探究するために、ベースラインLDL−Cレベルの4クラスに従う主要効能エンドポイントに対する処置効果が以下に提示されている。より高いベースラインLDL−Cレベルのプラセボに対して低減した処置効果を示す(ベースラインLDL−C<100mg/dLを有する患者の−75.0%からLDL−C≧160mg/dLを有する患者の−41.3%へ)。この知見は、ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率が、ベースラインLDL−Cカテゴリーが増大するにつれ低減するプラセボ群の変化によると思われる。対照的に、ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率は、アリロクマブ群内のLDL−Cの種々の下位カテゴリーにわたって一致する。
肝要な副次的効能エンドポイント
表38は、階層的順序で肝要な副次的エンドポイントに関する解析結果を要約する。全ての肝要な副次的エンドポイントは、階層的試験手順に従って統計的に有意である。
各肝要な副次的エンドポイントの詳細な解析が本明細書に記載されている。
ベースラインから第24週までの算出LDL−C変化率のオントリートメント解析は、ITT解析と一致した結果を示し、ITT解析における−61.9%に対して、オントリートメント解析において−63.5%のLS平均差対プラセボを有する。実際、少数の患者は、処置後に集められたLDL−C値を有していた(すなわち、第24週での最終注射後21日を超える:アリロクマブ群の37名の患者(2.4%)対プラセボ群の20名(2.6%)。ITT集団およびオントリートメント集団における第24週での脂質パラメータのベースラインからの変化率は、それぞれ、表39および表40に見ることができる。第24週での算出LDL−Cのベースラインからの変化率のパターン混合モデル解析は、表41に見ることができる。
ベースラインから第12週までの算出LDL−C変化率のITTおよびオントリートメント解析も、一致した結果を示す。
第24週で、測定LDL−Cに対する処置効果は、算出LDL−Cに対する効果と同等である。算出および測定LDL−C間の相関を含めて、測定LDL−Cに対する結果はさらに調査される。
第12週および第24週でのアポB、非HDL−Cおよび総CでITT解析を実施した。オントリートメント解析もまた、アポBおよび非HDL−Cについて第24週で実施した。ITTおよびオントリートメント解析の結果は、これら2種の脂質パラメータについて同様である。アリロクマブ群は、第24週でのプラセボに対して非HDL−C、アポBおよびLp(a)レベルにおいて有意な低減を示した。
第24週でのITT解析で、プラセボ群における8.5%に対して、極めて高いCVリスクまたは高CVリスク患者の80.7%が、アリロクマブ群において、それぞれ、算出LDL−C<70mg/dLまたは<100mg/dLに到達した(p<0.0001)。第24週でのオントリートメント解析に関して、プラセボ群における8.5%に対して、極めて高いCVリスクまたは高CVリスク患者の82.8%が、アリロクマブ群において、それぞれ、算出LDL−C<70mg/dLまたは<100mg/dLに到達した。
算出LDL−C<70mg/dLに到達する患者の割合を、第24週でITTおよびオントリートメント解析で研究した。ITT解析でのプラセボ群における8.0%(オントリートメント解析において8.0%)に対して、ITT解析で、アリロクマブ群に由来する患者の79.3%がこのレベルに到達した(オントリートメント解析で81.2%)。
サブグループ状態による主要効能エンドポイント
次に記載されるように、HeFH状態、人口統計学群、病歴および連続LDL−C<25mg/dLに到達した患者を含めた種々のサブグループにおいて主要効能エンドポイントの比較を分析した。
ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症(「HeFH」)を有する患者と有さないものの間のベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の比較が、表43および図12A〜Cに提供されている。図12Bは、<160mg/dLまたは≧160mg/dLのベースラインLDL−Cレベルを有するHeFH患者の集団間の比較を示す;図12Cは、<190mg/dLまたは≧190mg/dLのベースラインLDL−Cレベルを有するHeFH患者の集団間の比較を示す。全ての患者は、最大投与可能スタチンおよび任意選択のさらなる脂質低下治療を含めたバックグラウンド処置にあった。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の低減は、患者がHeFHを有するか否かに関わらず、プラセボ群と比較して、アリロクマブ群において統計的に有意であった(図12Aを参照されたい)。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の低減はまた、HeFHを有する患者が、LDL−C≧160mg/dLもしくは<160mg/dL(図12Bを参照されたい)またはLDL−C≧190mg/dLもしくは<190mg/dL(図12Cを参照されたい)を有していたか否かに関わらず、プラセボ群と比較して、アリロクマブ群において統計的に有意であった。
アリロクマブ処置患者におけるLDL−Cのベースラインから第24週までのLS平均(SE)変化率間で見られる相違(プラセボ患者と比較して)はまた、中央値総または遊離PCSK9値未満またはそれを超えるPCSK9レベルを有する患者において一致した。中央値総PCSK9レベルは、アリロクマブ群において637ng/mLおよびプラセボ群において640ng/mLであった。総PCSK9レベルは、全ての循環PCSK9として定義され、それは、遊離である(結合していない)PCSK9ならびに抗PCSK9抗体によって結合されている(および不活性の)PCSK9を含む。中央値未満の総PCSK9レベルを有する患者については、算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均−2.8%)と比較してアリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−60.1%)(−57.3%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)。中央値またはそれを超える総PCSK9レベルを有する患者については、算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均4.1%)と比較してアリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−62.1%)(−66.0%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率は、中央値未満の総PCSK9レベルを有するものと比較して、中央値またはそれを超える総PCSK9レベルを有する被験者において統計的に大きな低減を示した(相互作用p値0.0003)。
同様に、中央値未満の遊離PCSK9レベルを有する患者については、算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均−1.6%)と比較して、アリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−59.4%)(−58.0%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)。中央値またはそれを超える遊離PCSK9レベルを有する患者について、算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均3.0%)と比較して、アリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−62.7%)(−66.0%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率は、中央値未満の遊離PCSK9レベルを有するものと比較して、中央値またはそれを超える遊離PCSK9レベルを有する被験者において統計的に大きな低減を示した(相互作用p値0.0015)。
この研究において見られたベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の減少はまた、男性および女性の両方においてプラセボ群と比較して、アリロクマブ群において統計的に有意であった。男性では、算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均−0.7%)と比較して、アリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−65.5%)(−64.7%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)。女性では、算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均3.2%)と比較して、アリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−53.4%)(−56.6%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)。ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率は、女性においてよりも男性において統計的に大きな低減を示した(相互作用p値0.0014)。
ODDYSEY LONG TERM研究において見られるベースラインから第24週までのLDL−Cの変化率の減少もまた、人種、年齢、BMI、中程度の慢性腎疾患、糖尿病状態およびベースライン空腹時TGレベル(図13を参照されたい)、種々のスタチンおよび脂質低下治療(LLT)サブグループ(図14を参照されたい)を含めた種々のサブグループにおいて、プラセボ群と比較してアリロクマブ群において統計的に有意であった。全ての患者は、バックグラウンドスタチンにあった(最大投与可能レベルの)。患者のサブセットはまた、さらなる脂質低下治療を受けた。
562名(37.4%)の患者において2連続算出LDL−C値<25mg/dL(<0.65mmo/L)が観察された。解析は、顕著な不均衡を評価する全アリロクマブ群に対するTEAE(PT)の頻度で行った。2連続算出LDL−C値<25mg/dL(<0.65mmo/L)を有する患者において生じたAESIであったTEAEを、全アリロクマブ群を用いて頻度について比較した。最後に、このような報告された用語が存在しないことを確実にするために理論的AEが審査され、存在する場合には、患者レベルデータでさらに調査した。これらの患者において、このような解析から、特に安全性の懸念は観察されなかった。
要約効能結果:
第24週で、ITT集団における算出LDL−Cのベースラインからの変化率は、プラセボ群(ベースラインに対するLS平均0.8%)と比較して、アリロクマブ群において有意に大きかった(ベースラインに対するLS平均−61.0%)(−61.9%のプラセボに対するLS平均差、p<0.0001)(表35を参照されたい)。ベースラインから第24週までのLDL−C変化率のオントリートメント解析は、オントリートメント解析において−63.5%のプラセボに対するLS平均差を有するITT解析と一致した結果を示す(p<0.0001)。実際、第24週に、少数の患者(患者全体の2.5%)は、処置後に集められたLDL−C値を有していた(すなわち、最終注射後21日を超える)。第24週で、測定LDL−Cに対する処置効果(ベースラインに対するLS平均−61.3%)は、算出LDL−C(ITT解析)に対する効果と同等である。
アリロクマブ群において、ベースラインからの一致しているLDL−C低減が、第4週から第52週に観察された。
脂質ベースラインレベルにわたる処置効果の均一性を評価し、有意な処置とベースラインLDL−Cレベルの相互作用を示した(p<0.0001)。この知見は、プラセボ群における変化によると思われる。実際、ベースラインから第24週までのLDL−Cの変化は、アリロクマブ群内のLDL−Cの種々の下位カテゴリーにわたって一致している。アリロクマブ群患者におけるLDL−Cのベースラインから第24週までのLS平均(SE)変化率は、統計的に有意であり、LDL−Cベースライン値の範囲にわたって一致している(表37)。
全ての肝要な副次的エンドポイントは、階層的試験手順に従って統計的に有意であった。
562名(37.4%)の患者において、2連続算出LDL−C値<25mg/dL(<0.65mmo/L)が観察された。これらの患者において、特に安全性の懸念は観察されなかった。
要約安全性結果:
この研究の目的のために、TEAEは、TEAE期間(二重盲検処置の第1の用量から最終用量後70日までの時間)の間に発症し、悪化し、重篤になった有害事象である。事前に設定された解析の時点で、TEAE、重篤TEAE、および処置中止につながるTEAEは、治療群間で同様であった(表44を参照されたい)。
両方の処置群で報告頻度が最も高かったSOC(≧10%)は、「感染症および寄生虫症」(プラセボ群での46.1%に対してアリロクマブでは45.5%)、「骨格筋および結合組織障害」(プラセボ群での28.6%に対してアリロクマブでは27.2%)、「胃腸障害」(プラセボ群での18.8%に対してアリロクマブ群では18.6%)、「神経系障害」(プラセボ群での17.8%に対してアリロクマブ群では17.0%)、「全身性障害および投与部位の状態」(プラセボ群での17%に対してアリロクマブでは15.4%)、「傷害、中毒および処置合併症」(プラセボ群での14.2%に対してアリロクマブでは13.4%)、ならびに「呼吸器、胸部および縦隔障害」(11.0%対10.9%)であった。表45は、選択された系−臓器−クラスのTEAEの数を列挙する。表46は、アリロクマブおよびプラセボ処置群における種々のTEAEの百分率を列挙し、ならびに具体的には、25mg/dL未満の2連続LDL−C測定値を有するアリロクマブ処置患者において観察されたTEAE(患者の百分率によって)を列挙する。全ての患者は、バックグラウンドスタチン(最大投与可能レベルで)にあった。患者のサブセットはまた、さらなる脂質低下治療も受けた。2以上の連続期間において25mg/dL未満のLDL−Cレベルを達成した患者は、アリロクマブを用いて処置された患者集団の36.3%を構成する(1550名のうち562名の患者)。対象とする特定の臨床実験値(アラニンアミノトランスフェラーゼ>3×ULN、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ>3×ULNおよびクレアチンキナーゼ>3×ULN)が表37に示されている。少数のアリロクマブ患者(1461名のうち31名、2.1%)は、TEAE期間の間に正常の外側限界未満の低下した血漿ビタミンEレベルを有していた(プラセボ群における738名のうち1名の患者、0.1%と比較して)。
TEAE(優先使用語)の頻度に関して顕著な不均衡は観察されなかった。以下のTEAEは、どちらの処置群においても報告頻度が最も高かった(いずれの群においても≧5%):上咽頭炎(アリロクマブでは12.6%対プラセボ群では12.7%)、上気道感染症(7.0%対8.0%)、注射部位反応(5.7%対4.3%)、インフルエンザ(5.4%対5.5%)、下痢(5.3%対5.1%)、***症(5.2%対6.2%)、気管支炎(5.2%対4.7%)および頭痛(4.8%対5.6%)。ほとんどの注射部位反応(治療創発的局所注射部位反応)は、軽度または中程度の強度のものであり、第1の反応は、最初の患者の大多数について、3カ月の治療(57日のアリロクマブ対100日のプラセボ)において生じる。
特に対象とするTEAEは、次を含んでいた:治療創発的局所注射部位反応;全身性アレルギー反応事象;神経学的事象;神経認知障害;判定された心血管事象;神経認知障害;および溶血性貧血。アリロクマブおよびプラセボ群におけるこれらの事象の罹患率は、表48に示されている。アリロクマブおよびプラセボ群における特定の神経認知有害事象の罹患率は、表49に示されている。
この研究中に十九(19)件の死亡が報告された(プラセボ群での8件(1.0%)に対してアリロクマブ群では11件(0.7%))。死亡につながるTEAEに焦点を合わせると、プラセボ群での8件(1.0%)に対してアリロクマブ群では7件(0.5%)の死亡が報告された。判定に従って、主要な死因は、両方の処置群において心血管のものであった(TEAE期間中、プラセボ群での5件(0.6%)に対してアリロクマブ群では心血管死5件(0.3%))。
SAEは、TEAE期間の間に、394名の患者(アリロクマブ群の255名(16.5%)の患者およびプラセボ群の139名(17.6%)の患者)によって報告された。
永久的処置中断につながる、TEAEの中の特定のパターンは記述されなかった。
対象とする事象の中で、神経学的事象および眼科的事象(眼科的下位研究においてを含む)と関連するTEAEの特定のシグナルは検出されなかった。神経認知障害について、プラセボ群における4名(0.5%)に対して、アリロクマブ群において18名(1.2%)が観察され、主に、健忘症、記憶障害および錯乱状態を含む。溶血性貧血の症例は報告されなかった。
全身性アレルギー反応に関して、アリロクマブ(140名[9.0%])対プラセボ(71名[9.0%])群において、同様の割合の患者が、少なくとも1つのこのような事象を報告した。
124名(5.3%)の患者(アリロクマブ群に由来する90名(5.8%)の患者ならびにプラセボ群に由来する34名(4.3%)の患者)は、治療創発的局所注射部位反応を経験した。これらの事象のほとんどは、軽度または中程度の強度のものであった。
「糖尿病および損なわれたグルコース管理」探索解析によれば、ベースラインで「損なわれたグルコース管理」を有すると分類された、アリロクマブ群の36名(6.3%)の患者およびプラセボ群の10名(3.6%)の患者の合計は、TEAE期間において糖尿病と定義された。ベースラインで正常状態を有すると分類された2名の患者が、糖尿病になった(各処置群において1名)。
臨床検査パラメータのPCSA、ECGおよびバイタルサインについて不均衡はなかった。
結果II−最終解析
主要および副次的効能エンドポイントの全ては、事前に設定された中間解析の時点で完了していたが、この研究は、完全な安全性集団の解析を可能ならしめる完了まで継続した。
安全性集団特性の要約:
平均研究薬物曝露は、安全性解析に組み入れた患者2338名(アリロクマブ群における1550名およびプラセボ群における788名)において70週間であり、2061患者・年を隔週のアリロクマブ150mgに曝露した。研究処置の全平均順守率(すなわち、患者が計画された投薬スケジュールに従って注射を行った日数の百分率)は、アリロクマブ群およびプラセボ群においてそれぞれ98.0%および97.6%であった。安全性集団における追跡調査の(処置順守率に関わらず)平均継続期間は、アリロクマブについては80.9週間、プラセボについては80.1週間であった。研究処置中止率は、アリロクマブについては28%、プラセボについては25%であった。
効能
アリロクマブ群において第4週から第78週まで、一貫したベースラインからのLDLコレステロール低減が観察された(図15)。測定LDLコレステロール結果は、算出LDLコレステロールのものと一致していた。LDLコレステロールの低下率は、治療企図解析において第24週(61%)に対して第78週(52%)でわずかに低く;この知見は、中途での処置中断後に集められた値によって影響を受けた。
安全性
両方の処置群において患者の同様の百分率(プラセボで83%に対してアリロクマブで81%)が治療創発的有害事象を経験した(表50)。研究薬物中止につながる治療創発的有害事象は、アリロクマブ患者の7.2%およびプラセボ患者の5.8%において起こった。具体的な有害事象に関しては、アリロクマブ群とプラセボ群間に注射部位反応率(それぞれ5.9%対4.2%)、筋肉痛(それぞれ5.4%対2.9%)、神経認知事象(それぞれ1.2%対0.5%)および眼科的事象(それぞれ2.9%対1.9%;表50)の差があった。
アリロクマブ患者の中で、575名(総数の38%)は、25mg/dL未満の2連続算定LDLコレステロールレベルを有した。これらの患者間の治療創発的有害事象率は、全アリロクマブ群の中での治療創発的有害事象率と同程度であった。
全体の要約
この研究は、PCSK9阻害剤の最大および最長の二重盲検研究である。現在の解析は、アリロクマブ150mg Q2Wに対する二重盲検患者曝露の約1900名の患者・年を提供する。最大投与可能スタチン±他の脂質低下治療にある高CVリスク患者では、次の知見があった:1)自己投与アリロクマブ処置は、第24週でプラセボよりも有意に大きいLDL−C低減をもたらした(LS平均差−61.9%);効能は、処置を通じて一致したままであり、第78週で、アリロクマブは、LDL−Cを、プラセボに対してさらに56パーセント、ベースラインから低減させた;2)アリロクマブ患者の79%が、第24週で<0.81mmol/L(70mg/dL)のLDL−C目標を達成した;3)LDL−Cレベルの低減は、第4週までにアリロクマブ患者において観察され、アリロクマブ患者は、第52週で1.4mmol/L(53.1mg/dL)の平均LDL−Cレベルを達成した;および4)アリロクマブおよびプラセボアームならびに<25mg/dLの2連続LDL−Cレベルを有するアリロクマブ処置患者のサブセット(n=562)において、TEAEは、同様の頻度で生じた。
本発明の範囲は、本明細書に記載する特定の実施形態によって限定されない。実際、本明細書に記載するものに加えて、本発明の様々な修飾形態が、上述の説明および添付の図面から当業者に明らかになるだろう。そのような修飾形態は、添付の特許請求の範囲の範囲に入ることが意図される。