〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、第1実施形態について説明する。第1実施形態では、2つの振動体を有する振動発生装置10について説明する。
(振動発生装置10の構成)
図1は、第1実施形態に係る振動発生装置10を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る振動発生装置10(上側ケース112およびFPC160が取り外された状態)を示す平面図である。図3は、第1実施形態に係る振動発生装置10の分解図である。なお、以降の説明では、便宜上、図中Z軸方向を縦方向または上下方向とし、図中X軸方向を、横方向または左右方向とし、図中Y軸方向を前後方向とする。
図1〜図3に示す振動発生装置10は、例えば、携帯情報端末(例えば、スマートフォン、携帯電話機、タブレット端末等)、ゲーム機、自動車等の車両に搭載された情報表示装置等の電子機器に搭載される装置である。この振動発生装置10は、例えば、各種着信(例えば、通話着信、メール着信、SNS着信)を通知するための振動や、ユーザ操作に対するフィードバックをユーザに触覚的に与えるための振動等を発生させるために用いられる。
振動発生装置10は、筐体110の内部に設けられている振動体130が、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿って振動するように構成されている。特に、本実施形態の振動発生装置10は、従来の振動発生装置と比較して、より多くの共振周波数による振動が実現されたものとなっている。具体的には、本実施形態の振動発生装置10は、筐体110の内部に、振動体130および錘135を左右方向に並べて設け、各々を弾性支持部140によって支持する構成を採用しており、振動体130および錘135の各々を上下方向および左右方向に振動させることにより、複数(4つ以上)の共振周波数による振動を得ることが可能となっている。
図1〜図3に示すように、振動発生装置10は、筐体110、振動ユニット120、永久磁石151,152、およびFPC(Flexible Printed Circuits:フレキシブルプリント基板)160を備えて構成されている。
筐体110は、金属板を加工することにより形成されており、概ね直方体をなす箱状の部材である。筐体110は、互いに分離可能な、下側ケース111および上側ケース112を有している。下側ケース111は、上部が開口された容器状の部材である。下側ケース111の内部には、その他の各構成部品(振動ユニット120、永久磁石151,152、およびFPC160)が組み込まれる。上側ケース112は、蓋状の部材であり、下側ケース111の上部開口に覆い被さることにより、下側ケース111の上部開口を閉塞する。
図1に示すように、上側ケース112の外周縁部には、折り曲げられていない状態において外側且つ水平に突出した、複数(図1に示す例では合計6つ)の平板状の爪部112Aが形成されている。爪部112Aは、先端部分が横長の長方形状を有しており、概ねT字状をなしている。爪部112Aは、下側ケース111の上部開口が上側ケース112によって閉じられた状態において、下方に向って直角に折り曲げられることにより、長方形状を有する先端部分が、下側ケース111の側壁部に形成された、爪部112Aと略同形状および略同サイズの開口111Bに嵌め込まれる。これにより、下側ケース111に対する上側ケースの上下方向(図中Z軸方向)、左右方向(図中X軸方向)、および前後方向(図中Y軸方向)への移動は、爪部112Aのせん断面によって係止されることとなる。すなわち、下側ケース111に対して上側ケース112が確実に固定されることとなる。
振動ユニット120は、筐体110の内部において、振動を発生させるユニットである。振動ユニット120は、振動体130、錘135、および弾性支持部140を備えて構成されている。
振動体130は、「振動体」の一例である。振動体130は、角柱状の電磁石を構成する磁心131およびコイル132(「磁気駆動部」を構成する部材)を有しており、当該電磁石によって周囲に交番磁界を発生させることにより、筐体110の内部において、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿って能動的に振動する部分である。
錘135は、「振動体」の一例である。錘135は、一定の重量を有する角柱状の部材であり、筐体110の内部において、振動体130の振動に伴って、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿って追随的に振動する部分である。
弾性支持部140は、筐体110の内部において、振動体130および錘135を互いに平行に支持するとともに、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に弾性変形することにより、振動体130および錘135による上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿った振動を可能とする部材である。
永久磁石151,152は、「磁気駆動部」を構成する部材である。永久磁石151,152は、筐体110の内部において、振動体130との間に引力および斥力を生じさせるために設けられたものである。永久磁石151は、振動体130が備える磁心131の一方の端部(図中Y軸負側の端部)と対向するように設けられている。永久磁石152は、振動体130が備える磁心131の他方の端部(図中Y軸正側の端部)と対向するように設けられている。
FPC160は、コイル132に対して外部からの通電を可能とする「通電手段」の一例である。FPC160は、振動体130が備えるコイル132に交流電流を供給するために、コイル132と外部回路(図示省略)とを接続する部材である。FPC160は、金属膜からなる配線をポリイミド等の樹脂材料により挟んだ構造を有するフィルム状の部材である。FPC160は、可撓性を有しているため、折り曲げたり撓んだりすることが可能である。FPC160は、その外部回路側の端部を除き、筐体110の内部に配置されている。一方、FPC160の外部回路側の端部は、筐体110(下側ケース111と上側ケース112との間)に形成された開口部110Aから、筐体110の外部に露出している。当該露出部分には、外部回路に電気的に接続するための、金属膜からなる電極端子が形成されている。
このように構成された振動発生装置10は、外部回路(図示省略)からFPC160を介して、振動体130が備えるコイル132に交流電流が供給されることにより、コイル132の周囲に交番磁界を発生させることができる。これにより、振動体130は、振動体130と、永久磁石151,152との間に生じた引力および斥力により、当該振動体130を支持する弾性支持部140を弾性変形させつつ、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿って能動的に振動する。また、錘135は、当該錘135を支持する弾性支持部140を弾性変形させつつ、振動体130の振動に伴って、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿って追随的に振動する。振動発生装置10は、このような振動体130の振動と錘135の振動とによる連成振動により、複数(4つ以上)の共振周波数による振動を実現可能となっている。なお、振動ユニット120の具体的な構成については、図4〜図7を用いて後述する。また、弾性支持部140の具体的な構成については、図8〜図11を用いて後述する。また、永久磁石151,152の具体的な構成については、図13,図14を用いて後述する。また、振動ユニット120の具体的な動作については、図15〜図18を用いて後述する。
(振動ユニット120の構成)
図4は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動ユニット120を示す斜視図である。図5は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動ユニット120を示す正面図である。図6は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動ユニット120を示す側面図である。図7は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動ユニット120の分解図である。
図4〜図7に示すように、振動ユニット120は、磁心131、コイル132、フランジ133、フランジ134、錘135、および弾性支持部140を備えて構成されている。磁心131、コイル132、および錘135は、いずれも、振動体130の振動方向である横方向(第1の方向、図中X軸方向)と交差する、前後方向(第2の方向、図中Y軸方向)に延在する部材である。
磁心131およびコイル132は、振動体130を構成するものである。磁心131は、鉄等の強磁性体により形成されている、角柱状の部材である。コイル132は、磁心131に対して、電線が多重に巻かれることによって形成される。コイル132を形成する電線は、電気抵抗が比較的小さい素材を用いることが好ましく、例えば、絶縁体で被覆された銅線が好適に用いられる。コイル132を形成する電線は、FPC160に対して半田付け等によって接続される。
振動体130は、FPC160を介して、外部回路からコイル132に電流が供給されることにより、当該振動体130の周囲に交番磁界を発生させる。これにより、振動体130は、磁心131の一端と磁心131の他端とが、互いに異なる磁極に磁化されつつ、磁心131の一端と磁心131の他端との各々が、N極とS極とに交互に磁化されることとなる。
錘135は、振動体130と平行に配置された、一定の重量を有する角柱状の部材である。例えば、錘135には、十分な重量を確保すべく、金属素材が用いられる。特に、錘135には、比較的比重が高い金属素材を用いることが好ましい。例えば、本実施形態では、錘135に、比較的比重が高い金属素材の好適な一例として、磁心131に用いられる鉄や、コイル132に用いられる銅よりも比重が高い、タングステンを用いている。本実施形態の錘135は、その両端部が、振動体130の磁心131と同様に弾性支持部140によって保持されるために、その長手方向(図中Y軸方向)において、磁心131と略同じ長さを有する。
フランジ133,134は、例えば、絶縁性を有する素材からなる部材である。フランジ133は、矩形状に開口された磁心保持部336a内において、磁心131の一端(図中Y軸負側の端部)を保持する。フランジ134は、矩形状に開口された磁心保持部337a内において、磁心131の他端(図中Y軸正側の端部)を保持する。
フランジ133,134の各々の上面には、円柱状の2つの突起部が形成されている。各突起部は、コイル132を形成する電線の端部が巻きつけられることにより、当該端部をまとめて保持することが可能である。また、各突起部は、例えば、FPC160に形成された円形状の開口部が嵌め込まれることにより、FPC160を所定の位置に位置決めしつつ、当該FPCを安定的に保持することも可能である。
弾性支持部140は、ばね性を有する金属板を所定の形状に加工することにより形成された部材である。弾性支持部140は、振動体130(磁心131がフランジ133,134によって保持された状態)および錘135を互いに平行に支持するとともに、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に弾性変形することにより、振動体130および錘135による上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)に沿った振動を可能とする。
このように、本実施形態の振動発生装置10は、振動ユニット120において、振動体130および錘135を左右方向に並べて設け、各々を弾性支持部140によって支持する構成を採用している。これにより、本実施形態の振動発生装置10は、振動体130の能動的な振動と錘135の追随的な振動とによる連成振動により、複数(4つ以上)の共振周波数による振動を実現可能となっている。
(弾性支持部140の構成)
図8は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える弾性支持部140を示す斜視図である。図9は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える弾性支持部140を示す平面図である。図10は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える弾性支持部140を示す正面図である。図11は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える弾性支持部140を示す側面図である。
図8〜図11に示すように、弾性支持部140は、第1の保持部141、第2の保持部142、第1のバネ部143、第2のバネ部144、および第3のバネ部145を有して構成されている。なお、弾性支持部140は、これらの各構成部141〜145を含め、一枚の金属板から一体的に形成されている。
第1の保持部141は、振動体130を保持する受け皿状の部分である。第1の保持部141は、上方から平面視したときに概ね長方形状をなしている。第1の保持部141は、第1の壁部141a、第2の壁部141bを有している。第1の壁部141aは、第1の保持部141の一方の短辺部分(図中Y軸負側の短辺部分)において垂直に立設された壁状の部分であり、矩形状の開口内において、振動体130を構成する磁心131の一端を保持する部分である。第2の壁部141bは、第1の保持部141の他方の短辺部分(図中Y軸正側の短辺部分)において垂直に立設された壁状の部分であり、矩形状の開口内において、振動体130を構成する磁心131の他端を保持する部分である。なお、第1の壁部141aおよび第2の壁部141bは、例えば、磁心131の両端部を割り広げたり、矩形状の開口をカシメたりすることにより、磁心131の両端部を固定的に保持することができる。
第2の保持部142は、錘135を保持する受け皿状の部分である。第2の保持部142は、上方から平面視したときに概ね長方形状をなしている。第2の保持部142は、第1の壁部142a、第2の壁部142bを有している。第1の壁部142aは、第2の保持部142の一方の短辺部分(図中Y軸負側の短辺部分)において垂直に立設された壁状の部分であり、矩形状の開口内において、錘135の一端を保持する部分である。第2の壁部142bは、第2の保持部142の他方の短辺部分(図中Y軸正側の短辺部分)において垂直に立設された壁状の部分であり、矩形状の開口内において、錘135の他端を保持する部分である。なお、第1の壁部142aおよび第2の壁部142bは、例えば、錘135の両端部を割り広げたり、矩形状の開口をカシメたりすることにより、錘135の両端部を固定的に保持することができる。
第1のバネ部143は、「弾性体」の一例である。第1のバネ部143は、第1の保持部141の左右方向における外側(図中X軸正側)に設けられており、第1の保持部141の外側(図中X軸正側)の長辺部分に繋がる金属板を、前後方向(図中Y軸方向)に沿った折り曲げ線(「折り曲げ部」の一例)により、上下方向(図中Z軸方向)に複数回折り曲げることにより形成された部分である。図10に示すように、第1のバネ部143は、前方または後方から正面視したときに、2つの山部143a,143bが横方向(図中X軸方向)に連なった形状の、折り曲げ構造を有している。第1のバネ部143は、いわゆる板バネとして機能する部分であり、当該第1のバネ部143が弾性変形することによって、振動体130の上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)への振動を可能とする。
第2のバネ部144は、「弾性体」の一例である。第2のバネ部144は、第1の保持部141と第2の保持部142との間に設けられており、第1の保持部141の内側(図中X軸負側)の長辺部分と、第2の保持部142の内側(図中X軸正側)の長辺部分とに繋がる金属板を、前後方向(図中Y軸方向)に沿った折り曲げ線(「折り曲げ部」の一例)により、上下方向(図中Z軸方向)に複数回折り曲げることにより形成された板バネ状の部分である。図10に示すように、第2のバネ部144は、前方または後方から正面視したときに、2つの山部144a,144bが横方向(図中X軸方向)に連なった形状の、折り曲げ構造を有している。第2のバネ部144は、いわゆる板バネとして機能する部分であり、当該第2のバネ部144が弾性変形することによって、振動体130の振動に伴う、錘135の上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)への振動を可能とする。
第3のバネ部145は、「弾性体」の一例である。第3のバネ部145は、第2の保持部142の左右方向における外側(図中X軸負側)に設けられており、第2の保持部142の外側(図中X軸負側)の長辺部分に繋がる金属板を、前後方向(図中Y軸方向)に沿った折り曲げ線(「折り曲げ部」の一例)により、上下方向(図中Z軸方向)に複数回折り曲げることにより形成された板バネ状の部分である。図10に示すように、第3のバネ部145は、前方または後方から正面視したときに、2つの山部145a,145bが横方向(図中X軸方向)に連なった形状の、折り曲げ構造を有している。第3のバネ部145は、いわゆる板バネとして機能する部分であり、当該第3のバネ部145が弾性変形することによって、錘135の上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)への振動を可能とする。
ここで、上記各バネ部143〜145は、折り曲げ構造を有しているため、折り曲げ線と直交する方向(図中X軸方向およびZ軸方向)には変形しやすいが、折り曲げ線に沿った方向(図中Y軸方向)には変形しにくいという特性を有している。したがって、上記各バネ部143〜145は、伸縮によって左右方向(図中X軸方向)に弾性変形し、撓みによって上下方向(図中Z軸方向)に弾性変形するが、前後方向(図中Y軸方向)における弾性変形は抑制されたものとなっている。
例えば、振動体130が上下方向に大きく振動する場合、主に、第1のバネ部143および第2のバネ部144が、上下方向に大きく撓むこととなる。また、例えば、振動体130が左右方向に大きく振動する場合、主に、第1のバネ部143および第2のバネ部144が、左右方向に大きく伸縮することとなる。
また、例えば、錘135が上下方向に大きく振動する場合、主に、第2のバネ部144および第3のバネ部145が、上下方向に大きく撓むこととなる。また、例えば、錘135が左右方向に大きく振動する場合、主に、第2のバネ部144および第3のバネ部145が、左右方向に大きく伸縮することとなる。
また、上記各バネ部143〜145は、折り曲げ構造を有しているため、撓みによる上下方向(図中Z軸方向)への弾性変形よりも、伸縮による左右方向(図中X軸方向)への弾性変形のほうが、変形し易くなっている。このため、例えば、上記各バネ部143〜145の左右方向(図中X軸方向)における弾性係数を第1の弾性係数とし、上記各バネ部143〜145の上下方向(図中Z軸方向)における弾性係数を第2の弾性係数とした場合、第1の弾性係数と第2の弾性係数とは互いに異なる値となる。
また、図8〜図11に示すように、上記各バネ部143〜145を構成する各平面部(すなわち、各山部の斜面を構成する各平面部)には、開口部が形成されている。各開口部は、シミュレーション等により、狙いとする弾性係数が得られるように、その形状およびサイズが決定されている。例えば、第1のバネ部143を構成する平面部には、比較的小さいサイズの台形状の開口部が形成されている。また、第2のバネ部144を構成する平面部には、比較的中くらいのサイズの台形状の開口部が形成されている。また、第3のバネ部145を構成する平面部には、比較的大きいサイズの台形状の開口部が形成されている。これにより、各バネ部143〜145は、弾性係数が互いに異なるものとなっている。具体的には、第1のバネ部143の弾性係数は、第2のバネ部144の弾性係数よりも高く、第2のバネ部144の弾性係数は、第3のバネ部145の弾性係数よりも高くなっている。これは、振動体130が能動的に振動するものであるのに対し、錘135は追随的に振動するものであるため、錘135の十分な振動量を得るために、錘135を保持する第2の保持部142に接続されているバネ部144,145については、開口部を比較的大きくとることにより、弾性変形し易くしているのである。このように開口部の大きさを調整することにより、板厚や素材によって弾性係数を調整することなく、各バネ部143〜145を弾性支持部140に一体形成して、製造コストの削減、品質の安定化を図ることができる。また、各バネ部143〜145の前後方向(図中Y軸方向)の長さを調整することによっても弾性係数は調整可能であるが、前後方向の長さが小さくなると振動体130の前後方向への振動が大きくなる傾向となる。これに対し、開口部の大きさを調整することにより、前後方向の長さを小さくすることなく、前後方向への振動を抑制したまま弾性係数を調整することが可能である。したがって、各バネ部143〜145は、開口部によって弾性係数を調整する方法を用いることが、より好ましいといえる。
また、図8〜図11に示すように、上記各バネ部143〜145を構成する各平面部(すなわち、各山部の斜面を構成する各平面部)は、上辺を短辺とし、下辺を長辺とする、台形状の平面形状を有している。このような形状を有する一つの利点として、FPC160との干渉を避けることができる点が挙げられる。この点について、図12を参照して説明する。
図12は、第1実施形態に係る振動発生装置10の一部拡大図である。図12に示すように、FPC160は、外部回路側に向って、その延伸する方向が第1の方向(図中X軸負方向)から第2の方向(図中X軸正方向)に折り返される部分である、折り返し部160Aを有しており、当該折り返し部160Aは、振動体130よりも内側の空間(図中X軸負側の空間、すなわち、振動体130と錘135との間の空間)へ張り出している。
振動体130よりも内側の空間には、第2のバネ部144が設けられているが、当該第2のバネ部144(山部144b)は、台形状の平面形状(すなわち、上辺に向うにつれて徐々に中央側に向って切り欠かれてゆく平面形状)を有している。このため、第2のバネ部144は、この切り欠かれた部分によって折り返し部160Aとの干渉を回避しつつ、上下方向および左右方向に弾性変形することができるようになっている。
これにより、本実施形態の振動発生装置10は、振動体130および錘135の振動に伴う、FPC160の損傷を抑制できるものとなっている。
特に、本実施形態の振動発生装置10は、2つの振動体(振動体130および錘135)を有するものであり、他の振動発生装置と比較して、各バネ部が弾性変形し易くなっているため、その平面形状を台形状とすることによる、折り返し部160Aとの干渉を避けるという効果は、より顕著なものとなる。
また、本実施形態の振動発生装置10は、第2のバネ部144が、振動体130と錘135とを連結するものであり、他のバネ部と比較して、弾性変形し易くなっているため、その平面形状を台形状とすることによる、折り返し部160Aとの干渉を避けるという効果は、より顕著なものとなる。
さらに、本実施形態の振動発生装置10は、各バネ部が複数の折り曲げ部を有するものであり、他の振動発生装置と比較して、各バネ部が弾性変形し易くなっているため、その平面形状を台形状とすることによる、折り返し部160Aとの干渉を避けるという効果は、より顕著なものとなる。
なお、弾性支持部140における左右両方の最も外側に位置する平面部は、その前後方向(図中Y軸方向)における両端部に、垂直な平面部を有しており、当該平面部が、任意の固定手段(例えば、接着材、リベット、ネジ、カシメ等)により、筐体110(下側ケース111)の側壁部の内面に固定される。これにより、弾性支持部140は、振動体130および錘135を振動可能に保持した状態で、筐体110内に固定されることとなる。
(永久磁石151の着磁状態)
図13は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える永久磁石151の着磁状態を説明するための図である。ここでは、永久磁石151を図中Y軸負側から平面視したときの、永久磁石151の着磁状態について説明する。
図13に示すように、永久磁石151は、図中Y軸負側から平面視したとき、左上の角から右下の角に至る対角線により2つの領域に分けられており、これら2つの領域が、互いに異なる極性となるように着磁されている。図13に示す例では、永久磁石151の左下側の領域である第1の磁化領域151aがS極に着磁されており、永久磁石151の右上側の領域である第2の磁化領域151bがN極に着磁されている。
なお、図示を省略するが、振動体130を間に挟んで、永久磁石151と対向する永久磁石152は、永久磁石151と同様に、図中Y軸負側から平面視したとき、左上の角から右下の角に至る対角線により2つの領域(第1の磁化領域および第2の磁化領域)に分けられている。但し、永久磁石152は、永久磁石151とは反対に、左下側の領域である第1の磁化領域がN極に着磁されており、右上側の領域である第2の磁化領域がS極に着磁されている。
(振動体130の動作)
図14Aおよび図14Bは、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動体130の動作を説明するための図である。
本実施形態の振動発生装置10では、振動体130を構成するコイル132に交流電流を流すことによって、振動体130の周囲に交番磁界を発生させ、磁心131の両端が互いに異なる極性となるように、磁心131の両端を磁化させる。
例えば、図14Aに示すように、磁心131の一端(図中Y軸負側の端部)がN極に磁化された場合、磁心131の一端には、永久磁石151の第1の磁化領域151a(S極)に引き付けられる引力と、永久磁石151の第2の磁化領域151b(N極)と反発し合う斥力が生じる。同時に、S極に磁化された磁心131の他端には、永久磁石152の第1の磁化領域(N極)に引き付けられる引力と、永久磁石152の第2の磁化領域(S極)と反発し合う斥力が生じる。これにより、振動体130は、弾性支持部140を弾性変形させつつ、左方向(図中矢印D1方向)および下方向(図中矢印D2方向)へ移動する。
一方、図14Bに示すように、磁心131の一端(図中Y軸負側の端部)がS極に磁化された場合、磁心131の一端には、永久磁石151の第2の磁化領域151b(N極)に引き付けられる引力と、永久磁石151の第1の磁化領域151a(S極)と反発し合う斥力が生じる。同時に、N極に磁化された磁心131の他端には、永久磁石152の第2の磁化領域に引き付けられる引力と、永久磁石152の第1の磁化領域と反発し合う斥力が生じる。これにより、振動体130は、弾性支持部140を弾性変形させつつ、右方向(図中矢印D3方向)および上方向(図中矢印D4方向)へ移動する。
このように、本実施形態の振動発生装置10においては、コイル132に電流を流す方向により、振動体130の移動方向が、左方向および下方向、または、右方向および上方向に決定される。従って、本実施形態の振動発生装置10において、コイル132に交流電流を供給することにより、図14Aに示すように、振動体130の、左方向(図中矢印D1方向)および下方向(図中矢印D2方向)へ移動と、図14Bに示すように、振動体130の、右方向(図中矢印D3方向)および上方向(図中矢印D4方向)へ移動とが、交互に繰り返される。これにより、振動体130は、上下方向(図中Z軸方向)および左右方向(図中X軸方向)へ能動的に振動することとなる。
(振動ユニット120の動作)
図15〜18は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動ユニット120の動作の動作を説明するための図である。なお、図15〜図18において、実線矢印は、比較的大きな振動を表し、点線矢印は、比較的小さな振動を表している。
図15は、振動発生装置10が有する第1の共振周波数における振動ユニット120の動作の動作を例示するものである。図15に示すように、第1の共振周波数で振動体130を駆動した場合、振動体130および錘135が、互いに略同程度に上下方向(図中Z軸方向)に大きく振動することにより、これらの振動による連成振動により、振動発生装置10全体として、上下方向(図中Z軸方向)への大きな振動が得られる。
図16は、振動発生装置10が有する第2の共振周波数における振動ユニット120の動作の動作を例示するものである。図16に示すように、第2の共振周波数で振動体130を駆動した場合、振動体130および錘135が、互いに略同程度に左右方向(図中X軸方向)に大きく振動することにより、これらの振動による連成振動により、振動発生装置10全体として、左右方向(図中X軸方向)への大きな振動が得られる。
図17は、振動発生装置10が有する第3の共振周波数における振動ユニット120の動作の動作を例示するものである。図17に示すように、第3の共振周波数で振動体130を駆動した場合、振動体130が上下方向(図中Z軸方向)に大きく振動し、一方で、錘135が上下方向(図中Z軸方向)に小さく振動することにより、これらの振動による連成振動により、振動発生装置10全体として、上下方向(図中Z軸方向)への大きな振動が得られる。
図18は、振動発生装置10が有する第4の共振周波数における振動ユニット120の動作の動作を例示するものである。図18に示すように、第4の共振周波数で振動体130を駆動した場合、振動体130が左右方向(図中X軸方向)に大きく振動し、一方で、錘135が左右方向(図中X軸方向)に小さく振動することにより、これらの振動による連成振動により、振動発生装置10全体として、左右方向(図中X軸方向)への大きな振動が得られる。
なお、第1〜第4の共振周波数は、振動体130および錘135の質量、弾性支持部140の材質および板厚、弾性支持部140が有する各バネ部143〜145の弾性係数等によって決定づけられるものである。したがって、本実施形態の振動発生装置10は、シミュレーション等により、これらのパラメータの少なくともいずれか一つを調整することにより、第1〜第4の共振周波数を狙いの周波数としたり、振動の強弱を調整したりすることが可能である。すなわち、本実施形態の振動発生装置10は、このような共振周波数の調整を行うことにより、様々な用途に適用することが可能である。
(振動発生装置10の振動特性)
図19は、第1実施形態に係る振動発生装置10が備える振動発生装置10の振動特性を示すグラフである。図19に示す振動特性は、発明者らが、実施形態の振動発生装置10を用いて、シミュレーション等の試験を実施することによって、実際に確認されたものである。図19に示すグラフにおいて、横軸は、周波数を示し、縦軸は、振動の加速度を示している。また、図19に示すグラフにおいて、実線は、上下方向への振動を表しており、点線は、左右方向への振動を表している。図19に示すように、この試験では、振動発生装置10により、生体にとってより感じやすい1kHz以下の周波数帯域において、互いに異なる少なくとも4つの共振周波数(第1〜第4の共振周波数)による振動を発生できることが、発明者らによって確認されている。なお、この試験では、振動体130および錘135として、互いに略同じ質量を有するものを用いている。
〔第2実施形態〕
以下、図面を参照して、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、1つの振動体を有する振動発生装置20について説明する。
(振動発生装置20の構成)
図20は、第2実施形態に係る振動発生装置20を示す斜視図である。図21は、第2実施形態に係る振動発生装置20の分解図である。
図20および図21に示すように、振動発生装置20は、筐体110、振動体130、弾性支持部240、永久磁石151,152、フランジ133,134、およびFPC160を備えている。なお、筐体110、振動体130、永久磁石151,152、フランジ133,134、およびFPC160は、第1実施形態の振動発生装置10に用いたものと同様である(但し、細部が変更されている場合がある)ため、これらの説明は省略する。
(弾性支持部240の構成)
図22および図23は、第2実施形態に係る振動発生装置20が備える弾性支持部240の説明図である。図22Aは、弾性支持部240の斜視図であり、図22Bは、弾性支持部240の正面図である。図23は、弾性支持部240の側面図である。
弾性支持部240は、ばね性を有した金属板を所定の形状に加工して形成される。弾性支持部240は、略直方体の箱状の保持部241を有する。保持部241には、振動体130が収容されて保持される。
弾性支持部240は、左右方向に延びる金属板を、折り目が前後方向に沿うように複数回折り曲げて形成された2つのバネ部242(「弾性体」の一例)を有する。2つのバネ部242のうちの一方は保持部241の左端部から左側に延出し、他方は保持部241の右端部から右側に延出している。
各バネ部242は、3つの折り曲げ部41と、2つの平坦部42と、取り付け部43と、係合爪部44とを有している。折り曲げ部41は、折り目に沿って折り曲げられた部分である。平坦部42は、3つの折り曲げ部41のうちの1つから他の1つに向かって延出する略長方形の部分であり、折り目の方向に沿った辺と、延出方向に沿った辺とを有している。そして、バネ部242は、平坦部42の折り目の方向に沿った寸法(以下、平坦部42の幅寸法と略称)が、平坦部42の延出方向に沿った寸法(以下、平坦部42の長さ寸法と略称)よりも大きくなるように形成されている。また、平坦部42の外周部を避けた位置には、略長方形の開口部42aが形成されている。
なお、バネ部242のような折り曲げ構造の板ばねは、折り目と直交する方向(左右方向及び上下方向)には弾性変形し易いという特徴を有する。すなわち、このような板ばねは、伸縮によって左右方向に沿って弾性変形し、撓みによって上下方向に沿って弾性変形することができる。一方、このような板ばねは、折り目に沿った方向(前後方向)には変形し難いという特徴も有しているので、前後方向に沿った移動を抑制するための部材として好適である。
また、このような折り曲げ構造の板ばねでは、通常、撓みによる上下方向に沿った弾性変形と、伸縮による左右方向に沿った弾性変形とでは変形し易さが異なる。そのため、バネ部242の左右方向に対する弾性係数を第1の弾性係数とし、バネ部242の上下方向に対する弾性係数を第2の弾性係数とすると、第1の弾性係数と第2の弾性係数とは異なる値となる。
取り付け部43は、バネ部242の先端部に形成されている。取り付け部43の所定の位置には、被固定部43aが形成されている。そして、被固定部43aが筐体110の本体部211に固定されることによって、弾性支持部240が筐体110に取り付けられる。そして、弾性支持部240は、左右方向及び上下方向に沿って弾性変形することによって、振動体130を左右方向及び上下方向に沿って振動可能に支持するようになる。
被固定部43aは、前後方向に沿って延在する。被固定部43aは、前後左右、4か所に設けられる。例えば、4か所の被固定部43aは、振動発生装置20の中心(平面視で中心)に関して対称な位置に設けられ、対称な構成である。
係合爪部44は、弾性支持部240の上部に形成されている。左側のバネ部242は、係合爪部44が左側(外側)に向けて延在する。右側のバネ部242は、係合爪部44が右側(外側)に向けて延在する。尚、図22に示す例では、係合爪部44のそれぞれは、前後方向に離間した2つの爪を有している。
尚、振動体130は、弾性支持部240に支持されて、第1の弾性係数及び振動体130の質量に対応して決まる第1の固有振動数で左右方向に沿って振動し、第2の弾性係数及び振動体130の質量に対応して決まる第2の固有振動数で上下方向に沿って振動する。そして、第1の弾性係数と第2の弾性係数とが異なる値なので、第1の固有振動数と第2の固有振動数とも異なる値となる。
(振動発生装置20の動作)
次に、振動発生装置20の動作について、図24を用いて説明する。図24Aおよび図24Bは、振動体130の振動方向を示す説明図であり、振動体130と弾性支持部240とを前から見た場合の説明図となっている。図24Aは、振動体130が第1の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を発生させた時の、振動体130の振動方向を示し、図24Bは、振動体130が第2の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を発生させた時の、振動体130の振動方向を示している。図24において、実線の矢印は、振動体130が振動し易くなる方向、すなわち振動体130の振動方向であり、点線の矢印は、振動体130が相対的に振動し難くなる方向である。
振動体130は、前述したように、弾性支持部240によって、左右方向及び上下方向に沿って振動可能に支持されている。そして、振動体130は、第1の弾性係数及び振動体130の質量に対応して決まる第1の固有振動数で左右方向に沿って振動し、第2の弾性係数及び振動体130の質量に対応して決まる第2の固有振動数で上下方向に沿って振動する。
そのため、図24Aに示すように、振動体130が第1の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を発生させた時には、振動体130は、左右方向に対して振動し易くなる。その結果、振動体130は、左右方向に沿って大きく振動するようになる。また、図24Bに示すように、振動体130が第2の固有振動数と同じ周波数の交番磁界を発生させた時には、振動体130は、上下方向に対して振動し易くなる。その結果、振動体130は、上下方向に沿って大きく振動するようになる。
磁気駆動部(コイル132および永久磁石151,152)は、このような交番磁界の周波数と振動体130の振動し易さとの関係を利用して、第1の固有振動数と同じ周波数の交番磁界によって振動体130を左右方向に沿って振動させ、第2の固有振動数と同じ周波数の交番磁界によって振動体130を上下方向に沿って振動させている。以下、第1の固有振動数と同じ周波数の交番磁界によって振動体130を左右方向に沿って振動させることを、第1の固有振動数で振動体130を左右方向に駆動すると略称し、第2の固有振動数と同じ周波数の交番磁界によって振動体130を上下方向に沿って振動させることを、第2の固有振動数で振動体130を上下方向に駆動すると略称する。
また、第1の固有振動数とも第2の固有振動数とも一致しない周波数での交番磁界を発生させた場合でも、振動体は上下方向、左右方向に振動する。第1の固有振動数に近い周波数の場合には上下方向よりも左右方向に大きく振動し、第2の固有振動数に近い周波数の場合には左右方向よりも上下方向に大きく振動する。また、パルス波による交番磁界の場合には、与えた周波数の高調波も振動に寄与するため、高調波が第1の固有振動数に一致する、または近くなる周波数、具体的には第1の固有振動数の1/N倍の周波数(ただしNは整数であり、例えば3、以下同じ)であれば、左右方向に大きく振動し、第2の固有振動数の1/M倍の周波数(ただしMは整数であり、例えば3、以下同じ)であれば、上下方向に大きく振動する。
次に、振動体130の振動動作を安定させる方法について説明する。バネ部242のような折り曲げ構造の板ばねは、前述したように、折り目と直交する方向には弾性変形し易いが、折り目に沿った方向には変形し難いという特徴を有する。そのため、本実施形態では、このような折り曲げ構造の板ばねの特徴を利用して、バネ部242の前後方向に沿った変形を抑制している。そして、それによって、振動体130が前後方向に沿った移動を抑制し、振動体130の左右方向及び上下方向に沿った振動動作を安定させている。
また、このような折り曲げ構造の板ばねでは、平坦部42の幅寸法が平坦部42の長さ寸法よりも大きい程、折り目に沿った方向に変形し難くなる。本実施形態では、このような折り曲げ構造の板ばねの特徴を利用して、平坦部42の幅寸法が平坦部42の長さ寸法よりも大きくなるように、バネ部242を形成し、それによって、バネ部242の前後方向に沿った変形を抑制し易くしている。
また、このような折り曲げ構造の板ばねでは、平坦部42の外周部は、弾性支持部240の折り目に沿った方向への変形し難さに大きく影響するが、平坦部42の外周部を避けた部分(中央部寄りの部分)の影響は、平坦部42の外周部の影響と比較して小さい。一方、平坦部42の外周部を避けた部分に開口部42aを形成することによって、平坦部42の折り目と直交する方向(左右方向及び上下方向)に対する機械強度を低下させ、弾性支持部240を折り目と直交する方向に弾性変形し易くすることができる。
本実施形態では、このような折り曲げ構造の板ばねの特徴を利用して、平坦部42の外周部を避けた位置に開口部42aを形成し、それによって、バネ部242が前後方向に沿って変形し易くなるのを抑制しつつ、左右方向及び上下方向に沿って弾性変形し易くしている。そして、開口部42aの寸法を調節することによって、バネ部242の左右方向及び上下方向に沿った弾性変形し易さを調節可能としている。
前述したように、本実施形態の振動発生装置20では、バネ部242は、折り目が左右方向(第1の方向)及び上下方向(第2の方向)と直交する前後方向(第3の方向)に沿うように折り曲げられた複数の折り曲げ部41と、複数の折り曲げ部41のうちの1つから他の1つに向かって延出する略長方形の2つの平坦部42とが形成された板ばねである。このような折り曲げ構造の板ばねは、折り目と直交する方向には弾性変形し易いが、折り目に沿った方向には変形し難いという特徴を有する。そのため、バネ部242を左右方向及び上下方向に沿って弾性変形し易くし、且つ、バネ部242の前後方向に沿った変形を抑制することができる。その結果、振動体130と永久磁石151,152との間の磁力によって振動体130に前後方向に沿った力が加わっても、振動体130の前後方向に沿った移動を抑制することができ、振動体130の左右方向及び上下方向に沿った振動動作を安定させることができる。
また、本実施形態の振動発生装置20では、磁気駆動部(コイル132および永久磁石151,152)が、第1の弾性係数及び振動体130の質量に対応した第1の固有振動数で振動体130を駆動することによって、振動体130を左右方向に沿って振動し易くし、上下方向に沿って振動し難くすることができる。また、磁気駆動部(コイル132および永久磁石151,152)が、第2の弾性係数及び振動体130の質量に対応した第2の固有振動数で振動体130を駆動することによって、振動体130を上下方向に沿って振動し易くし、左右方向に沿って振動し難くすることができる。その結果、振動体130の振動動作を安定させつつ、振動体130の左右方向及び上下方向に沿った所望の振動動作を実現することができる。
(バネ部242の平面形状)
図25は、第2実施形態に係る振動発生装置20が備える振動ユニット220(FPC160が組み込まれた状態)を示す斜視図である。図26は、第2実施形態に係る振動発生装置20が備える振動ユニット220(FPC160が組み込まれた状態)を示す正面図である。図27は、第2実施形態に係る振動発生装置20が備える振動ユニット220(FPC160が組み込まれた状態)を示す平面図である。図28は、図25に示す振動ユニット220(FPC160が組み込まれた状態)のA−A断面図である。
図25〜図28に示すように、上記各バネ部242を構成する各平面部(すなわち、各平坦部42)は、上辺を短辺とし、下辺を長辺とする、台形状の平面形状を有している。このような形状を有する一つの利点として、FPC160との干渉を避けることができる点が挙げられる。
図25〜図28に示すように、FPC160は、外部回路側に向って、その延伸する方向が第1の方向(図中X軸負方向)から第2の方向(図中X軸正方向)に折り返される部分である、折り返し部160Aを有しており、当該折り返し部160Aは、振動体130よりも外側の空間(図中X軸負側の空間)へ張り出している。
振動体130よりも外側の空間には、バネ部242が設けられているが、当該バネ部242(平坦部42)は、台形状の平面形状(すなわち、上辺に向うにつれて徐々に中央側に向って切り欠かれてゆく平面形状)を有している。
このため、バネ部242は、この切り欠かれた部分によって折り返し部160Aとの干渉を回避しつつ、上下方向および左右方向に弾性変形することができるようになっている。
これにより、本実施形態の振動発生装置20は、振動体130の振動に伴う、FPC160の損傷を抑制できるものとなっている。
特に、本実施形態の振動発生装置20は、各バネ部が複数の折り曲げ部を有するものであり、他の振動発生装置と比較して、各バネ部が弾性変形し易くなっているため、その平面形状を台形状とすることによる、折り返し部160Aとの干渉を避けるという効果は、より顕著なものとなる。
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、各バネ部の平面形状を台形状としているが、これに限らず、各バネ部の平面形状は、少なくとも、通電手段に近接する部分において、通電手段との接触を回避可能に切り欠かれた平面形状を有するものであればよい。
また、上記実施形態では、全てのバネ部を台形状としているが、これに限らず、例えば、通電手段と接触する虞のあるバネ部のみ、台形状とするようにしてもよい。
また、上記実施形態では、通電手段の一例としてFPCを用いているが、これに限らず、例えば、通電手段として、電線等を用いてもよい。
また、各バネ部の構成(例えば、折り曲げ回数、平面形状、開口部の形状,サイズ,有無等)は、上記実施形態で説明したものに限らない。すなわち、各バネ部の構成は、振動発生装置の各種仕様(例えば、所望する共振周波数、筐体のサイズの制限等)に応じて、適宜変更され得るものである。
また、上記実施形態では、「通電手段との接触を回避可能に切り欠かれた面」の一例として、各バネ部に台形状の平面部(平坦部)を設けているが、「通電手段との接触を回避可能に切り欠かれた面」は、平面に限らず、平面以外の面(例えば、緩やかに湾曲した面)であってもよい。この場合も、当該平面以外の面は、特定の方向(例えば、垂線方向)から平面視したときに、台形状を有するものであることが好ましい。
本国際出願は、2017年11月20日に出願した日本国特許出願第2017−223135号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の全内容を本国際出願に援用する。