以下、図面に基づいて本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る冷蔵庫1は、図1および図2に示すように、前面に開口部するキャビネット2を備える。キャビネット2は、鋼板製の外箱4と合成樹脂製の内箱6との間に形成された断熱空間8に断熱材を有して構成されている。キャビネット2の内部には複数の貯蔵室が設けられており、具体的には、図1に示すように、キャビネット2の内部には、上段から順に、冷蔵室10、野菜室12が設けられ、その下方に製氷室14と小冷凍室(図示せず)が左右に並べて設けられ、これらの下方に冷凍室16が設けられている。製氷室14内には、自動製氷装置18が設けられている。
冷蔵室10および野菜室12は、いずれも冷蔵温度帯(例えば、1〜4℃)に冷却される貯蔵室であり、それらの間は、合成樹脂製の仕切壁20により上下に仕切られている。冷蔵室10の前面開口部には、ヒンジ開閉式の断熱扉10aが設けられている。断熱扉10a前面には、庫内温度などを表示する表示部とブザー音や音声を発する音声部と庫内温度などを調節する操作部を備えた操作パネル13と、使用者の操作によって開扉装置15を作動させる開扉スイッチ17が設けられている。
開扉装置15は、図1に示すように、キャビネット2の天井壁の上面に設けられており、開扉スイッチ17の操作を受けて、不図示の押圧部材を前方に突き出すことにより断熱扉10aを前方へ押圧して開扉する。
また、冷蔵室10内には、冷蔵室10の庫内温度を検出する冷蔵室温度センサ11や、断熱扉10aの開閉を検知する扉センサ21や冷蔵室10内を照明する庫内灯23が設けられている。
野菜室12の前面開口部には、引出し式の断熱扉12aが設けられている。この断熱扉12aの背面部には、貯蔵容器を構成する上下2段の収納ケース22が連結されている。
製氷室14、小冷凍室、及び冷凍室16は、いずれも冷凍温度帯(例えば、−10〜−20℃)に冷却される貯蔵室であり、野菜室12と製氷室14および小冷凍室との間は、断熱仕切壁28により上下に仕切られている。製氷室14の前面開口部には、引出し式の断熱扉14aが設けられており、その断熱扉14aの背面部に貯氷容器30が連結されている。小冷凍室の前面開口部にも、図示はしないが、貯蔵容器が連結された引出し式の断熱扉が設けられている。冷凍室16の前面開口部にも、上下2段の貯蔵容器32が連結された引出し式の断熱扉16aが設けられている。
製氷室14、小冷凍室、及び冷凍室16の前面には、各断熱扉14a、16aの開閉を検知する扉センサ24、25が設けられている。また、冷凍室16の背面には、冷凍室16の庫内温度を検出する冷凍室温度センサ26が設けられている。
キャビネット2内には、各貯蔵室を冷却する冷凍サイクル50(図3参照)が組み込まれている。詳細は後述するが、冷凍サイクル50は、冷蔵温度帯の貯蔵室である冷蔵室10、野菜室12を冷却するための冷蔵冷却器52と、冷凍温度帯の貯蔵室である製氷室14、小冷凍室、冷凍室16を冷却するための冷凍冷却器54とを含んで構成されている。図1に示すように、キャビネット2の下端部背面側には、機械室34が設けられている。この機械室34内に、冷凍サイクル50を構成する圧縮機56や凝縮器58(図3参照)およびこれらを冷却するための冷却ファン57(図4参照)などが配設されている。
キャビネット2の冷蔵温度帯の貯蔵室(冷蔵室10及び野菜室12)の奥部には、冷蔵冷却器室36及びダクト38が形成されている。冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52及び冷蔵ファン53が設けられており、冷蔵ファン53が、冷蔵冷却器52で冷却した冷蔵冷却器室36内の空気をダクト38を介して冷蔵室10および野菜室12に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
また、冷蔵冷却器室36には、冷蔵冷却器52から発生した除霜水を受ける冷蔵水受部31が設けられている。冷蔵水受部31で受けた除霜水は、冷蔵排水ホース33(図8参照)を介して、機械室34内に設けられた蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
キャビネット2の冷凍温度帯の貯蔵室(製氷室14、小冷凍室、冷凍室16)の奥部には、冷凍冷却器室40及びダクト44が設けられている。この冷凍冷却器室40には、冷凍冷却器54及び冷凍ファン55が設けられており、冷凍ファン55が、冷凍冷却器54で冷却した冷凍冷却器室40内の空気をダクト44を介して製氷室14、小冷凍室、冷凍室16に供給することで、これらの貯蔵室を冷却する。
また、冷凍冷却器室40には、冷凍冷却器54から発生した除霜水を受ける冷凍水受部35が設けられている。冷凍水受部35で受けた除霜水は、キャビネット2の底部断熱壁を通る冷凍排水ホース37を介して、機械室34内に設けられた蒸発皿に排水され、機械室34内で発生する熱を受けて蒸発するようになっている。
キャビネット2の外側、例えば、キャビネット2の天井壁2cの上面後部には、冷蔵庫1を制御するマイコン等を実装した制御基板46が設けられている。この制御基板46には、図4に示すように、冷蔵室温度センサ11、操作パネル13、開扉装置15、開扉スイッチ17、扉センサ21、24,25、庫内灯23、冷凍室温度センサ26、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57及び三方弁70等のキャビネット2の内側又は外側に設けられた電気部品が、リード線90によって電気接続されており、各種センサやスイッチから入力される信号と予めメモリに記憶された制御プログラムに基づいて、操作パネル13、開扉装置15、庫内灯23、冷蔵ファン53、冷凍ファン55、圧縮機56、冷却ファン57及び三方弁70の動作を制御して冷蔵庫1の動作全般を制御する。
次に、冷凍サイクル50の構成について詳述する。冷凍サイクル50は、図3に示すように、高温高圧のガス状の冷媒を吐出する圧縮機56の吐出側から順番に、蒸発パイプ60、凝縮器58、放熱パイプ64、防露パイプ66、ドライヤ68、および三方弁70の入口側が接続されている。
三方弁70の一方の出口には、減圧手段としての冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵冷却器52、冷蔵アキュムレータ74および冷蔵サクションパイプ76が、配管により順に接続されている。三方弁70の他方の出口には、減圧手段としての冷凍キャピラリチューブ78、冷凍冷却器54、冷凍アキュムレータ80、冷凍サクションパイプ82および逆止弁84が配管により順に接続されている。そして、逆止弁84の出口側と冷蔵サクションパイプ76の出口側が一つになって圧縮機56の吸入側に接続されている。
三方弁70は、凝縮器58で液化した冷媒を、冷蔵冷却器52と冷凍冷却器54に対して交互に供給するように流路を切り替える切替弁であり、圧縮機56から凝縮器58及び冷蔵キャピラリチューブ72を介して供給される低温の冷媒を冷蔵冷却器52に供給する冷蔵冷却運転の状態と、冷蔵冷却器52に供給せずに冷凍冷却器54に供給する冷凍冷却運転の状態とに、切り替える。
この冷凍サイクル50では、冷媒は、圧縮機56で圧縮されて、高温高圧の気体状の冷媒に変化し、凝縮器58と放熱パイプ64と防露パイプ66で放熱しながら液体状の冷媒となる。液体状の冷媒は、三方弁70によって冷蔵キャピラリチューブ72又は冷凍キャピラリチューブ78に送られ、各キャピラリチューブ72,78で気化し易いように減圧され、その後に冷蔵冷却器52又は冷凍冷却器54で気化し、周囲から熱を奪うことにより冷気が発生する。周囲から熱を奪った冷媒は、各アキュムレータ74,80にそれぞれ流れ、各アキュムレータ74,80では気液混合体状の冷媒を気体状の冷媒と液体状の冷媒とにそれぞれ分離し、気体状の冷媒のみが各サクションパイプ76、82を経て圧縮機56へ戻り、再び圧縮され高温高圧の気体状の冷媒となる。
次に、キャビネット2の具体的構成について、図面を参照しながら説明する。
キャビネット2は、左側壁2a、右側壁2b、天井壁2c、底壁2dおよび背壁2eにおける断熱空間8に平板状の真空断熱材7a、7b、7c、7d、7eが設けられ、機械室34の周囲やキャビネット2の角部等の真空断熱材が存在しない箇所に、発泡ウレタンや発泡スチロールや段ボール等の断熱材9とともに、放熱パイプ64、防露パイプ66、冷蔵キャピラリチューブ72、冷蔵サクションパイプ76、冷凍キャピラリチューブ78及び冷凍サクションパイプ82などの冷媒パイプや、キャビネット2の内側あるいは外側に設けられた電気部品と制御基板46とを電気接続するリード線90が設けられている。
具体的には、キャビネット2の外郭を構成する鋼板製の外箱4は、左側板4a、右側板4b、天板4c、底板4dおよび背板4eを有する前面に開口した箱状をなしている。左側板4a、右側板4b、天板4cは、一枚の長尺な鋼板をほぼU字状に折曲することにより形成されている。底板4dおよび背板4eは、左側板4a、右側板4b、及び天板4cと別個に設けられた部材であり、底板4dには、機械室34を形成するための段差部4d−1が折曲形成されている。
また、図2に示すように、左側板4aおよび右側板4bにおいて、前端部には、内方に突出するフランジ部4a−1および4b−1が形成され、後端部には、前方に指向するフランジ部4a−2および4b−2が形成されている。更に、背板4eの左右の両端部には、左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−2および4b−2に挿入係合されるフランジ部4e−1および4e−2が形成されている。
合成樹脂製の内箱6は、真空成形機で一体成形されたもので、外箱4の左側板4a、右側板4b、天板4c、底板4dおよび背板4eとそれぞれ対向する左側板6a、右側板6b、天板6c、底板6dおよび背板6eを有する前面に開口した箱状をなしている。
内箱6の底板6dには、外箱4の底板4dの段差部4d−1に対応して機械室34を形成するための段差部6d−1が形成されている。内箱6の背板6eには、断熱仕切壁28を形成する仕切部6fが内箱6の前面開口部に向けて突出している。
内箱6の左側板6aおよび右側板6bの前端部には、外箱4の左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−1および4b−1に挿入係合されるフランジ部6a−1および6b−1が形成されている。
また、図1、図2、図5及び図8に示すように、内箱6の背板6eとこれに連なる他の板とがなす角部には、当該角部よりも内箱6の内方に突出する面取り部6ae、6be、6ceが形成されている。具体的には、内箱6の左側板6aと背板6eとがなす角部には、左側板6a及び背板6eを連結する面取り部6aeが上下方向に沿って設けられ、内箱6の右側板6bと背板6eとがなす角部には、右側板6b及び背板6eを連結する面取り部6beが上下方向に沿って設けられ、内箱6の天板6cと背板6eとがなす角部には、天板6c及び背板6eを連結する面取り部6ceが冷蔵庫幅方向に沿って設けられている。
冷蔵庫1に設けられた電気部品のうち、冷蔵室温度センサ11、扉センサ21、24,25、冷凍室温度センサ26、冷蔵ファン53、及び冷凍ファン55等のキャビネット2の内側に設けられた電気部品や、圧縮機56、冷却ファン57、及び三方弁70等のキャビネット2の外側に設けられた電気部品は、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて配置されたリード線90によって、キャビネット2の天井壁2cの上面後部に設けられた制御基板46に電気接続されている。
具体的には、複数のリード線90は、例えば、図5に示すように、天板6c及び背板6eを連結する面取り部6ceの外側(断熱空間8側)で2分割され、一方を右側板6bに向け、他方を左側板6aに向けて面取り部6ceに沿わせて配置されている。
左側板6a又は右側板6bに向けて面取り部6ceに沿わせて配置された複数のリード線90は、面取り部6ceの左端部又は右端部において下方に折れ曲がり面取り部6ae、6beに沿わせて設けられている。面取り部6ae、6beに沿わせて設けられた複数のリード線90は、その一部が面取り部6ae、6beに設けられた導入孔6be−1から内箱6の内側に進入して冷蔵室温度センサ11等のキャビネット2の内側に設けられた電気部品に接続され、残りが外箱4の段差部4d−1を貫通して機械室34に進入して圧縮機56等のキャビネット2の外側に設けられた電気部品に接続される。
そして、面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて配置された複数のリード線90は、面取り部6ae、6be、6ceの外側に貼付された保持具100によって引き揃えられた状態で保持されている。
この保持具100は、図6に例示すように、ループ状又はコイル状の起毛部102を備えた面ファスナ104と、面ファスナ104の起毛部102に係止するフック部106を備えた面ファスナ108とを備え、一対の面ファスナ104、108のいずれか一方が両面接着テープなどによって面取り部6ae、6be、6ceの外側に貼付されている。
この例では、面ファスナ108には、フック部106を間引いて形成された複数の収納部110が間隔をあけて平行に設けられており、これらの収納部110に引き揃えられたリード線90が嵌まり込んだ状態で、面ファスナ108のフック部106が面ファスナ104の起毛部102に係止する。保持具100は、収納部110の深さが保持具100で保持するリード線90の外径より大きく設定されており、一対の面ファスナ104,108の間でリード線90を挟持することで、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceの外側にリード線90を引き揃えた状態で沿わせて保持する。
保持具100によって内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに引き揃えた状態で設けられた複数のリード線90は、図2に示すように、キャビネット2の背壁2eに設けられた真空断熱材7eと内箱6との間で前後方向に挟まれるように配置されてもよく、このような配置に加え、更に、キャビネット2の左側壁2a又は右側壁2bに設けられた真空断熱材7a、7bと内箱6との間で幅方向に挟まれるように配置されてもよい。このような配置により、内箱6に沿わせて設けられ庫内の冷熱によって冷却されやすいリード線90の外側を真空断熱材7a、7b、7eで覆うことができるため、外部への冷熱漏洩を抑えることができるとともに、キャビネット2の角部における結露の発生を抑えることができる。
なお、本実施形態において、保持具100を構成する一対の面ファスナ104,108が長手方向(収納部110が並列する方向)に繋がっている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、一対の面ファスナ104,108が別個の部材で構成されていてもよい。また、保持具100は、一対の面ファスナ104,108以外にも、例えば、図7に例示するように、リード線90が嵌まり込む溝状の収納部120を備え内箱6の外側に貼付される内箱貼り付け部122と、収納部120に収納されたリード線90を内箱貼り付け部122との間で挟持する蓋部124と、内箱貼り付け部122に対して蓋部124を固定する係止部126とを備えた樹脂成形体であってもよい。その場合、内箱貼り付け部122において収納部120を区画する突条127における内箱6と対向する面に欠肉部128を設けてもよい。
そして、冷凍サイクル50の冷蔵キャピラリチューブ72及び冷蔵サクションパイプ76は、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化され冷蔵パイプ体73を構成する(図2参照)。
この冷蔵パイプ体73は、図8に示すように、内箱6の内側において背板6eに沿わせて設けられた冷蔵冷却器52から背板6eに設けられた導出孔6e−1を通って断熱空間8内に進入し、左右一方の面取り部、この例では、内箱6の左側板6a及び背板6eを連結する面取り部6aeの外面(断熱空間8側)まで引き出される。面取り部6aeの外面に引き出された冷蔵パイプ体73は、面取り部6aeに沿って上昇した後、面取り部6ceに沿って幅方向反対側(正面から見て右側)の面取り部6beに向かって延び、更に、下方に折れ曲がり面取り部6beに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。そして、冷蔵パイプ体73は、機械室34において、冷蔵キャピラリチューブ72が三方弁70の一方の出口に接続され、冷蔵サクションパイプ76が圧縮機56の吸入側に接続される。なお、図8は、内箱6を背面から見ているため、冷蔵パイプ体73の左右方向の向きが逆転している。
また、冷凍サイクル50の冷凍キャピラリチューブ78及び冷凍サクションパイプ82も、冷蔵キャピラリチューブ72及び冷蔵サクションパイプ76と同様、ロウ付けなどによって互いに熱交換可能に一体化され冷凍パイプ体79を構成する(図2参照)。
この冷凍パイプ体79は、内箱6の内側において背板6eに沿わせて設けられた冷凍冷却器54からキャビネット2の断熱仕切壁28を形成する内箱6の仕切部6fの下面に設けられた導出孔6f−1を通って断熱仕切壁28内に進入する。
導出孔6f−1から断熱仕切壁28内に進入した冷凍パイプ体79は、断熱仕切壁28において冷凍温度帯の貯蔵室に近接する側(この例では断熱仕切壁28の下側)を通って
上記した冷蔵パイプ体73が引き出された左右一方の面取り部と反対側の面取り部、この例では、内箱6の右側板6b及び背板6eを連結する面取り部6beの外面まで引き出される。面取り部6beに引き出された冷凍パイプ体79は、上方に向けて折り曲げられ面取り部6beの外面に沿って上昇し、当該面取り部6beの上端部において下方に折り曲げられる。その際、当該面取り部6beの上端部では、冷凍パイプ体79が冷蔵庫幅方向外側から内側に向かって折り曲げられている。これにより、冷凍パイプ体79が有する冷凍サクションパイプ82において冷凍冷却器54に近接する上流側冷凍サクションパイプ82aが、これより下流側(圧縮機56側)に位置する下流側冷凍サクションパイプ82bより冷蔵庫幅方向外側に配置されている。そして、このように面取り部6beの外面に沿って設けられた冷凍パイプ体79は、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
なお、冷蔵パイプ体73が有する冷蔵サクションパイプ76や、冷凍パイプ体79が有する冷凍サクションパイプ82は、キャビネット2の左側壁2aや右側壁2bや背壁2eに設けられた真空断熱材7a、7b、7eから離して断熱空間8に配置することが好ましい。このように冷蔵サクションパイプ76や冷凍サクションパイプ82が真空断熱材7a、7b、7eに接触しないように配置することで、冷蔵サクションパイプ76や冷凍サクションパイプ82の冷熱が、真空断熱材7a、7b、7eの外皮を構成する金属膜層を介して真空断熱材7a、7b、7eに接触する外箱4に伝導しにくくなり、外箱4表面における結露の発生を抑えることができる。
冷蔵水受部31に接続された冷蔵排水ホース33は、図8に示すように、背板6eにおいて導出孔6e−1の下方に設けられた導出孔6e−2を通って断熱空間8内に進入し、冷蔵パイプ体73が引き出された左右一方の面取り部6ae(つまり、冷凍パイプ体79が引き出された左右他方の面取り部6beと反対側の面取り部6ae)の外面まで引き出される。面取り部6aeの外面に引き出された冷蔵パイプ体73は、面取り部6aeに沿って下降し、外箱4の底板4dの段差部4d−1を貫通して機械室34へ進入する。
放熱パイプ64および防露パイプ66は、キャビネット2の断熱空間8内に外箱4と接触するように埋設されている。この例では、図2及び9に示すように、放熱パイプ64は、機械室34から外箱4の段差部4d−1を貫通して断熱空間8内に進入し、外箱4の背板4eに沿って配される背板放熱パイプ64Aと、右側板4bに沿って配される右放熱パイプ64Bと、天板4cに沿って配される天井放熱パイプ64Cと、左側板4aに沿って配される左放熱パイプ64Dとから構成されている。凝縮器58から流れ出た高温高圧の冷媒は、背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、天井放熱パイプ64C、左放熱パイプ64Dの順に流れ、その後、防露パイプ66を通って機械室34内であって冷却ファン57の風の流れにおいて、圧縮機56よりも上流側に位置して設けられたドライヤ68に流れ込む。
背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Dは、真空断熱材7e、7b、7aの外箱4側に設けられた凹溝7e−1、7b−1、7a−1に収納され、真空断熱材7e,7b、7aの外側を覆う外箱4の背板4e、右側板4b、左側板4aと接触する。天井放熱パイプ64Cは、天井壁2cの断熱空間8に配設された真空断熱材7cと外箱4の天板4cとの間に設けられ断熱材9内に天板4cと接触するように埋設されている。
なお、背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Dは、断熱空間8において真空断熱材7e,7b,7aの外側(外箱4側)であって、その周縁部に近接させて配置してもよい。キャビネット2の左右側壁2a、2bの前端部や、左右側壁2a、2bと背壁2eとの角部は、真空断熱材を設けることが困難であり、真空断熱材で覆われた箇所に比べて断熱性能が確保しにくいが、背板放熱パイプ64A、右放熱パイプ64B、及び左放熱パイプ64Dを真空断熱材7e,7b,7aの外側の周縁部に近接配置することで、断熱性能が確保しにくいキャビネット2の前端部や角部において結露の発生を抑えることができる。
防露パイプ66は、結露が生じやすい扉周囲としてキャビネット2の前面開口部に配設されており、その凝縮熱により扉周囲の露付きを抑制している。
しかして、図1及び図2に示すように、外箱4の左側板4a、右側板4b、背板4eの内面には、左放熱パイプ64D、右放熱パイプ64B、背板放熱パイプ64Aを凹溝7a−1、7b−1、7e−1に収納した状態で面接着テープ或いはホットメルトなどの接着剤により真空断熱材7a、7b、7eが接着され、外箱4の天板4cの内面には、天井放熱パイプ64Cが金属箔テープなどにより固定されている。また、内箱6の天板6cおよび底板6dの外面には、両面接着テープ或いはホットメルトなどの接着剤により真空断熱材7c、7dが接着されている。
そして、外箱4の左側板4a、右側板4b及び天板4cの内側に内箱6を配置して、内箱6の左側板6aおよび右側板6bのフランジ部6a−1aおよび6b−1aを外箱4の左側板4aおよび右側板4bのフランジ部4a−1および4b−1に挿入係合させる。
その後、内箱6の面取り部6ae、6be、6ceには、保持具100が貼付され、複数のリード線90が保持具100によって引き揃えられた状態で配線される。そして、リード線90の配線後、不図示の固定治具を用いて冷蔵パイプ体73と冷凍パイプ体79が内箱6の面取り部6ae、6be、6ceに沿わせて配置される。そして、外箱4の底板4dを外箱4の左側板4a及び右側板4bに取り付け、更に、外箱4の背板4eを左側板4a、右側板4b、底板4dに取り付けて背板4eに設けられた真空断熱材7eを内箱6の背板6eの外面に圧接させる。
その後、外箱4及び内箱6の前面開口部を下方に向けつつ、内箱6内に発泡治具を嵌め込んだ状態にして、外箱4の背板4eに設けられた不図示の注入孔から発泡ウレタン等の発泡断熱材の原液を注入し、断熱空間8において真空断熱材7a,7b,7c,7d,7eが存在しない箇所に断熱材9を発泡充填することで、キャビネット2が形成される。
以上のような本実施形態の冷蔵庫1では、内箱6の断熱空間8側に貼付された保持具100によって、キャビネット2の内側又は外側に設けられた電気部品と制御基板46とを接続する複数のリード線90を引き揃えた状態で内箱6に沿わせて配設することができるため、断熱空間8の広範囲に真空断熱材7a、7b、7c、7d、7eを設けても、真空断熱材7a、7b、7c、7d、7eや冷凍サイクルが有する冷媒パイプとの接触を避けつつ、キャビネット2の断熱空間8にリード線90を簡便に配設することができる。
また、保持具100は、一対の面ファスナ104,108の間で複数のリード線90を保持するため、リード線90の線径が異なっていても保持具100に容易に保持させることができるとともに、内箱6の湾曲あるいは屈曲する面に対しても保持具100を設けることができ、リード線90を断熱空間8に配置しやすくなる。
しかも、保持具100の面ファスナ108には、リード線90が嵌まり込む複数の収納部110が間隔をあけて平行に形成されているため、収納部110が外に向くように面ファスナ108を内箱6に貼付した後、収納部110が設けられた面ファスナ108の上で複数のリード線90を作業者が手で均すように押さえつけることで、複数のリード線90が収納部110にばらけて嵌まり込み、簡単に複数のリード線90を引き揃えた状態で保持具100に保持させることができる。
また、本実施形態の冷蔵庫では、保持具100が内箱6の左側板6aや右側板6bと背板6eとがなす角部に貼付されているため、キャビネット2の左側壁2a、右側壁2b、背壁2eの広範囲に真空断熱材を設けることができ、断熱性能を確保しつつ断熱空間3の厚みを抑え内容積の大容量化を図ることができる。
更に、本実施形態では、内箱6の背板6eとこれに連なる他の板とがなす角部に、当該角部よりも内箱6の内方に突出する面取り部6ae、6beを形成し、保持具100をこの面取り部6ae、6beに貼付しているため、幅広の保持具100であっても内箱6の角部に貼付しやすく、複数のリード線90を簡単に配設することができる。
なお、上述した実施形態は面取り部6ae、6beに保持具100の全体が収まるような場合を例に説明を行ったが、これに限られず、面取り部6ae、6beから一部分はみ出るように配設しても良い。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。