JP6908810B2 - 4リピートタウの質的違いを検出する特異的結合試薬、これを用いた検査方法、検査キット、及び医薬のスクリーニング方法 - Google Patents

4リピートタウの質的違いを検出する特異的結合試薬、これを用いた検査方法、検査キット、及び医薬のスクリーニング方法 Download PDF

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Description

タウオパチーと総称されるリン酸化タウの蓄積が見られる神経変性疾患を鑑別する検査方法に関する。特に、4リピートタウが蓄積するアルツハイマー病(Alzheimer disease、以下ADと記載することもある。)と、進行性核上性麻痺(Progressive supranuclear palsy、以下PSPと記載することもある。)/大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration、以下CBDと記載することもある。)を区別することのできる4リピートタウに対する特異的結合試薬、及びこれを用いた検査方法に関する。また、この特異的結合試薬を用いた医薬のスクリーニング方法に関する。
高齢者人口の増加とともに認知症患者も増加し、平成24年の認知症患者数は462万人に達していると言われている(内閣府 平成28年版高齢社会白書(概要版))。今後高齢者の増加とともに、認知症患者はますます増加すると考えられており、大きな社会的問題となっている。
しかしながら、認知症と言っても、同じような症状を呈する原因疾患は多様であることが明らかとなってきた。例えば、大脳皮質基底核変性症候群(Corticobasal syndrome:CBS)の臨床像を呈する疾患には、CBD、AD、PSPの他に、ピック病(Pick’s desease、以下PiDと記載することもある。)をはじめとする様々な疾患が含まれていることが明らかとなっている(非特許文献1)。
近年、画像診断の進歩に伴い、認知症の診断にもCTやMRIなどの画像診断が欠かせないものとなってきている。しかし、画像診断は局在性変化の確認と経時的な変化の追跡を可能とするものの、質的な変化をとらえるには十分でなく、客観的な診断基準に反映させるにも限界がある。
そのため認知症はMRIなどを用いた画像診断による検査所見や臨床所見だけでは正確に生前診断を行うことが未だに困難であると言われており、患者の死後に病理診断を行い、はじめて確定診断を行うことができるのが現状である。したがって、生前の臨床診断が正確でないことから、適切な治療を受けられていない患者も多いと考えられている。そのため、髄液、血液などの体液中のバイオマーカーを用いた診断精度、特異度の高い検査方法の確立が望まれている。
さらに、神経変性疾患を正確に診断することのできるマーカーは、患者の確定診断により、治療法の選択に寄与するだけではなく、新薬開発にも大きく寄与することができる。例えば、現状では「アルツハイマー病である確率が高い患者群」を対象に、新薬の臨床試験を行っているにすぎない。その結果、臨床試験の対象としている群には、他の神経変性疾患の患者も含まれている可能性が高い。したがって、アルツハイマー病といった特定の神経変性疾患に対する薬剤の効果を的確に判断することができない。臨床症状による医師の判断だけではなく、客観的な検査結果により診断精度を高めることができれば、適切な患者群に対して臨床試験を行うことが可能となり、候補薬の効果について正しい評価をくだすことができる。
我が国の認知症の原因疾患は、脳血管性が最も多いとされてきたが、近年の疫学的研究によればアルツハイマー病が最多とも言われている。したがって、アルツハイマー病を他の神経変性疾患と臨床的に区別することは今後の治療薬の開発にとっても非常に重要なこととなる。
アルツハイマー病の原因としては、病理学的な特徴とされる老人斑を構成するアミロイドβにその原因を求める考えと、神経原線維を構成するタウに注目する立場があるが、原因が明らかではないのが現状である。アルツハイマー病の診断には、体液中のアミロイドβやタウタンパク質を検出する方法や、タウのイメージングプローブにより検出する方法が提案されているが、未だ臨床診断を左右できるほどの精度には達していない(特許文献1、2)。
タウは微小管の重合や安定化に寄与するタンパク質であり正常脳にも存在する。タウは、AD、PSP、CBD、PiDなどにおいて異常に蓄積し、神経原線維変化やその他の封入体として観察される。リン酸化タウが異常に蓄積するこれらの疾患を総称して「タウオパチー」と呼んでいる(非特許文献2)。
タウオパチーでは、正常脳のタウにも起こるリン酸化が亢進して蓄積することが知られており、脳脊髄液中のリン酸化タウの全タウタンパク質に対する比により前頭側頭型認知症(frontotemporal lobar degeneration:FTLD)のサブタイプを分類することができると報告されている(非特許文献3)。ALS(Amyotrophic lateral sclerosis)を伴うFTLD−TDPなどのサブタイプとともに、タウとアミロイドβが蓄積するADもリン酸化タウの量比が異なっている。確かに、統計的にはリン酸化タウの量は、健常者や各サブタイプ群間での差がみられるものの群間の重なりが大きく、個々の臨床例の診断を髄液中のリン酸化タウの量的違いをもとに鑑別するには至っていない。
タウはエクソン2、3、10の選択的スプライシングにより6つのアイソフォームが存在する(図1(A)参照。)。このうちC末端側に存在する微小管結合領域の繰り返し構造の数が、3つのものを3リピートタウ、4つのものを4リピートタウと呼んでいる。タウアイソフォームは、発生段階で発現調節を受けていることが知られており、タウの6つのアイソフォーム全てが成人の脳では発現している。
タウオパチーの変性神経疾患患者脳の封入体中の不溶化タウの解析から、タウオパチーは3リピートタウのみが蓄積するもの(PiD)と、4リピートタウのみが蓄積するもの(PSP/CBD)と、両者が蓄積するもの(AD)と大別されることが明らかになってきた(非特許文献4)。もし、3リピートタウと4リピートタウの髄液中の量を区別して定量できれば、これらの疾患を質的に区別する手がかりになると期待される。しかし、髄液中の3リピートタウ、4リピートタウの量をイムノPCR法で測定しても、これらの疾患群間を区別するにいたってはいない(非特許文献5)。これらアイソフォームは正常脳でも発現しているためか、正常例、AD、その他の認知症の個々の例をタウアイソフォームの量で鑑別できる精度には程遠い。
国際公開第2013/111578号 国際公開第2012/057312号 特表2005−512550号公報 特表2003−521713号公報 特表2003−504015号公報
徳田 隆彦、2013年、BRAIN and NERVE, Vol.65(1), pp.55-64. 吉田 眞理、2013年、BRAIN and NERVE, Vol.65(12),pp.1445-1458. Pijnenburg, Y. A. L. et al., 2015, Alzheimer’s Dementia, Vol. 1,pp.505-512. de Sliva, R. et al., 2003, Neuropathol. Appl. Neurobiol., Vol.29,pp.288-302. Luk, C. et al., 2012, J, Neurochem., Vol.123, pp.396-405. Dan, A. et al., 2013, Acta Neuropathologica Commun., 1:54, doi: 10.1186/2051-5960-1-54 大海 忍、2014年、抗ペプチド抗体ベーシック、学研メディカル秀潤社
上述のように、脳に病変が生じ、認知症などを生じる疾患の鑑別診断は、現在のところ有効なバイオマーカーが存在しないため、臨床症状と画像診断による確率的推論に頼っているのが現状である。アルツハイマー病をはじめとする神経変性疾患は、同一疾患内でも病変の分布に症例毎の違いがあり、個々の症例における臨床症状、画像所見の違いも大きいことから、画像診断、臨床症状のみによる評価、診断方法は、医師の判断によるばらつきが大きいものと考えられる。適切な治療を行うためには、客観性の高い方法による信頼性の高い診断が必要である。また、各疾患に有効な医薬の開発には、正確な診断がくだされた対象群に対して臨床試験を行い、解析、評価がなされる必要がある。そのためには、各疾患の正確な診断は必須の要件である。本発明は、信頼性の高い検査方法、検査に必要な抗体、検査キット、また、これを用いた医薬のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
本発明は、アルツハイマー病を他の神経変性疾患と臨床的に区別する検査方法、これに用いる検査試薬、検査キット、さらに医薬のスクリーニング方法に関する。
(1)検体中のタウタンパク質の279位のアスパラギンがアスパラギン酸に置換しているペプチドに特異的に結合する特異的結合試薬によりアルツハイマー病と、進行性核上性麻痺/大脳皮質基底核変性症を鑑別する検査方法。
(2)前記特異的結合試薬が抗体である(1)記載の検査方法。
(3)前記検体が、髄液、血液、脳神経組織、生検組織である(1)又は(2)に記載の検査方法。
(4)ELISA、又は免疫組織染色により検出することを特徴とする(2)又は(3)記載の検査方法。
(5)アルツハイマー病と、進行性核上性麻痺/大脳皮質基底核変性症を鑑別する特異的結合試薬であって、タウタンパク質の279位のアスパラギンがアスパラギン酸に置換しているペプチドに対して特異的に結合することを特徴とする試薬。
(6)前記特異的結合試薬が抗体である(5)記載の特異的結合試薬。
(7)前記抗体がモノクローナル抗体である(6)記載の特異的結合試薬。
(8)前記抗体がポリクローナル抗体を精製して得られたものである(6)記載の特異的結合試薬。
(9)(5)〜(8)いずれか1つ記載の特異的結合試薬と検出に必要な試薬を備えていることを特徴とする検査キット。
(10)前記検出がELISA又は免疫染色によるものであることを特徴とする(9)記載の検査キット。
(11)タウタンパク質の279位の脱アミド化を指標としてスクリーニングすることを特徴とする医薬のスクリーニング方法。
図1Aはタウのアイソフォームを模式的に示した図である。図1(B)は市販の抗体によるAD、PSP症例の病理染色像を示す。 279位のアスパラギン酸を特異的に検出する抗体はAD症例に蓄積したタウを検出することを示す。 279位のアスパラギン酸を特異的に検出する抗体のペプチドに対する反応性をELISAにより解析した図。
上述のように、タウオパチーは封入体に蓄積するタウアイソフォームの違いにより大別することができる。3リピートタウは、C末端側の微小管結合領域IとIIIに隣接する領域のペプチド(KHQPGGGKVIVYKPV:配列番号1)を認識するRD3抗体により検出することができ、4リピートタウは、微小管結合領域IIを含むペプチド(VQIINKKLDLSNVQSKC:配列番号2)を認識するRD4抗体により検出することができる(図1(A)参照。)。本発明者は、ADとPSPの病理標本において、4リピートタウを認識する抗体が脱アミド化により反応性が違うことを見出し、本発明を完成させた。
4リピートタウは279位がアスパラギンとして翻訳される。その一部は脱アミド化されアスパラギン酸に変化することが報告されている(非特許文献6)。今まで279位のアスパラギンが脱アミド化したタウタンパク質は、AD、PSP・CBDなどの疾患に関わりなく存在すると考えられていた。
これは、市販の抗体を用いて病理標本を染色すると、279位がアスパラギンであるタウペプチド(配列番号2)に対して作製された抗体(RD4抗体)でも、279位をアスパラギン酸に置換したペプチドであるVQIIKKLDLSNVQSKC(配列番号3、下線部は279位のアミノ酸を示す。)に対して作製された抗体(4R抗体)でも、4リピートタウの蓄積が同じように検出されていたからである(図1(B)参照。)。
本発明者は、配列番号3のペプチドに対して作製された市販ポリクローナル抗体(4R抗体)に、配列番号2で示されるペプチドを認識する抗体と、配列番号3で示されるペプチドを認識する抗体が混在していることを見出した。精製した抗体を用いて解析した結果、279位が脱アミド化したタウは、ADのみに存在することが明らかとなった。すなわち、279位が脱アミド化したペプチドに対して特異的な抗体は、ADに蓄積したタウのみを検出する。
279位のアスパラギンが脱アミド化したタウが、タウオパチーとして総称される神経変性疾患のうちADで特異的に検出されることは、本発明者がはじめて見出したことである。脱アミド化したタウはここでは抗体により検出しているが、279位のアスパラギンが脱アミド化しているタウを検出することができる試薬であれば抗体に限らずどのような試薬を用いてもよい。したがって、本明細書で特異的結合試薬という場合には、抗体に限らず、アプタマーなど特定の分子と特異的に結合する試薬を含むことができる。核酸アプタマー、ペプチドアプタマーは公知の方法によって作製し、279位がアスパラギン酸に置換されているタウと特異的に結合することができるものを選択すればよい。さらに、本発明の特異的結合試薬には、修飾された形態のものも含む。具体的には、放射性物質により標識しPET診断薬として用いることができるものや、蛍光物質により標識し二次抗体等を使用することなく検出することができるものなどが挙げられる。
また、本発明で抗体という場合には、Fab、Fab´、F(ab´)、単鎖抗体(scFv)、ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)、もしくはCDRを含むペプチドなどの抗体の機能的断片が含まれる。抗体の機能的断片は、ペプシン、又はパパインなどの酵素によって消化する等公知の方法によって得ることができる。
さらに、本発明において抗体をはじめとする特異的結合試薬の検出は、特異的結合試薬に直接標識を付与して行ってもよいし、二次抗体、三次抗体を用いた間接法、あるいはアビジン-ビオチンを用いた検出など、公知の検出技術を用いることができる。
以下、本発明について説明するが、以下の方法に限らず公知の方法を用いることができることは言うまでもない。
1.抗体の精製方法
4リピートタウを認識する抗体としては、配列番号2で示すペプチドを免疫原とするモノクローナル抗体(RD4抗体、メルク株式会社製)、配列番号3で示すペプチドを免疫原とするポリクローナル抗体(4R抗体、コスモ・バイオ株式会社製)が市販されている。
配列番号3で示すペプチドを免疫して得られた市販抗体は、本発明者の解析により279位のアミノ酸がアスパラギンのペプチド、アスパラギン酸のペプチドの両者に反応する抗体が混在していることが明らかとなった。279位のアミノ酸がアスパラギン酸に脱アミド化されているタウを特異的に認識する抗体(以下D279抗体と記載する。)は、市販の抗体、あるいは配列番号3を免疫した動物から得られた抗体を、ペプチドカラムにより精製して使用することができる。
2.抗体の作製方法
抗体は公知の方法(非特許文献7)を参考に作製することができる。配列番号2、又は3に特異的な抗体を、ウサギ、マウスに抗原を免疫することによって、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体を作製することができる。
3.検査方法
D279抗体を検査に用いる場合には、脳脊髄液、血液、尿などの体液や生検検体を試料として用いることができる。生検検体としては、タウやαシヌクレインの検出が認められている鼻粘膜、皮膚、唾液腺、消化管粘膜などを好適に用いることができる。脳脊髄液を用いることが、感度の点から好ましい。免疫染色法、ELISAを以下に具体例として挙げるが、特異的な反応を検出することができる方法であれば、これに限らずどのような方法を用いてもよい。
(1)免疫染色法
組織染色は、常法によりホルマリン固定、パラフィン包埋された組織を薄切し、上記のタウペプチドに特異的な一次抗体、標識された二次抗体を用いて染色を行い検出することができる。検出方法は、酵素標識による発色、蛍光標識を検出する方法など、公知の方法を用いて行うことができる。
(2)ELISA
96穴ELISA用プレートに配列番号2又は3のペプチドを入れ、一定時間静置し、固相化を行う。固相化したプレートは洗浄、ブロッキングを行い、検査に使用すればよい。
抗体の反応性を確認する場合には作製した抗体や精製した抗体を、患者検体を検査する場合には検体を入れ、その後二次抗体と反応させた後、常法により発色させ、反応停止後マイクロプレートリーダーを用い測定を行う。
4.医薬のスクリーニング方法
D279抗体は、AD病変を特異的に認識することから、これを用いてアルツハイマー病を治療する医薬をスクリーニングすることが可能となる。
(1)培養細胞を用いたスクリーニング方法
タウタンパク質の279位のアスパラギン酸への脱アミド化を抑制することができる化合物はアルツハイマー病の医薬として有効である可能性が高い。培養細胞を用いて279位のアスパラギン酸の脱アミド化を指標として化合物をスクリーニングすることにより、アルツハイマー病に効果のある化合物を選択することができる。
用いる培養細胞としては、タウの279位の脱アミド化が認められる細胞であればどのような細胞を用いてもよい。好適な培養細胞としては、アルツハイマー病患者、あるいはモデル動物より樹立した神経細胞、また、アルツハイマー病患者より得たiPS細胞から誘導された神経細胞、4リピートタウを強制発現させ、脱アミド化が起こることを確認した細胞などが挙げられる。
培養液に候補化合物を添加した後、D279抗体や同等の反応性をもった特異的結合試薬を用いてELISAなど公知の方法によりタウの279位の脱アミド化を定量し、脱アミド化を抑制する化合物をスクリーニングすることができる。
今後の解析を待つ必要があるが、脱アミド化がAD発症の原因の1つであるとすると、脱アミド化を抑制することが知られている化合物は、有力な医薬の候補となる可能性がある。
(2)モデル動物を用いたスクリーニング方法
培養細胞を用いたスクリーニング系で効果が見られた化合物は、モデル動物を用いてさらに検討することができる。モデル動物としては、加齢した正常動物や老化促進モデルマウスなどの老化モデルを用いることができる。また、特許文献3〜5に記載されているタウ遺伝子を改変し、アルツハイマー様の病変を生じるトランスジェニック動物を用いてもよい。
いずれのモデル動物を使用する場合であっても、候補化合物を動物に投与することによって、タウタンパク質の279位の脱アミド化の抑制を指標として医薬のスクリーニングを行うことができる。
[実施例1]抗体の精製
以下、データを示しながら、本発明の検査方法を詳細に説明する。抗体を精製するためのアフィニティカラムは、配列番号3のペプチドをセルファインホルミル(JNC株式会社製)のホルミル基に結合させて用いた。具体的には、セルファインホルミルを蒸留水で洗浄後、カップリングバッファー(50mM炭酸-重炭酸緩衝液、pH8.5)に配列番号3(279位がアスパラギン酸に置換したペプチド、以下D279ペプチドと記載することもある。)のペプチドとともに懸濁し、室温で約30分振盪させる。次に、水酸化シアノホウ素ナトリウムを添加し、4℃、一晩振盪し、余剰のホルミル基を還元する。ブロッキングバッファー(0.1M モノエタノールアミン、50mM Tris−HCl、pH8.0)で洗浄後、再度水酸化シアノホウ素ナトリウムを添加し、完全に還元を行う。その後、ペプチドを結合させた樹脂をカラムに充填し、蒸留水、溶出バッファー(0.1M Gly−HCl、pH2.5)、蒸留水、洗浄バッファー(1M NaCl、1% Triton−X 100、20mM Tris−Hcl、pH7.5)、蒸留水の順で洗浄し、アフィニティカラムを作製した。
市販のポリクローナル抗体(4R抗体:279位のアミノ酸がアスパラギンであるタウペプチドに反応する抗体と、アスパラギン酸であるタウペプチドに反応する抗体が混在している抗体、以下DN279抗体と記載することもある。)と配列番号2のペプチド(279位をアスパラギンであるペプチド、以下N279ペプチドと記載することもある。)を混合し、TBS(0.15M NaCl、20mM Tris−HCl、pH7.5)で平衡化したアフィニティカラムに入れ、転倒混和し、4℃で8時間カラムに吸着させる。未吸着の血清を流出させた後、TBS、洗浄バッファー、0.15M NaClで洗浄した後、溶出バッファーでカラムに吸着した抗体を溶出させる。溶出させた抗体は、ELISAなどにより、配列番号3に示すD279ペプチドに特異的に結合することを確認して以後の実験に用いている。
[実施例2]組織染色
病理標本を用いて、配列番号3で示すペプチドを用いて作製された未精製ポリクローナル抗体(DN279抗体)、又はペプチドカラムを用いて精製したD279抗体を用いて組織染色を行った。
用いた試料は確定診断によりADと診断された患者の嗅内野、及びPSPと診断された患者の下オリーブ核の病理標本である。ホルマリン固定、パラフィン包埋された病理標本を5〜6μmに薄切し、脱パラフィン後、0.01Mクエン酸バッファー中でオートクレーブにより121℃10分間加熱し、次に、100%ギ酸に10分浸漬して、抗原性賦活化処理を行った。1%過酸化水素で内因性ペルオキシダーゼ不活化し、5%血清を含むPBSでブロッキング後、一次抗体としてRD4抗体(1000倍希釈)、4R抗体(DN279抗体、30,000希釈)、又は精製したD279抗体(20倍希釈)を4℃で2日以上反応させ、洗浄後、二次抗体としてビオチン化抗ウサギIgG(Vector社製、1000倍希釈)、又はビオチン化抗マウスIgG(Vector社製、1000倍希釈)と室温で2時間反応させた。二次抗体を洗浄後、Avidin biotin−peroxidase complex(Vector社製、ABC Elite、1000倍希釈)で1時間反応後、ジアミノベンジジンで発色させ検出を行った(図2)。
タウタンパク質279位のアミノ酸がアスパラギン酸、アスパラギン両者を認識する抗体が混在しているDN279抗体は、AD、PSPどちらの試料のタウも認識するが、D279抗体は、ADのタウは認識するもののPSPのタウを認識することができない。ここでは病理組織を用いて示しているが、脳脊髄液に混入する患者の細胞を用いても同様に検出することができる。
[実施例3]ELISA
脳脊髄液などの体液中に存在するタウタンパク質はELISAによっても検出することができる。図3は、配列番号2で示すペプチド(N279ペプチド)、配列番号3で示すペプチド(D279ペプチド)の濃度を変えてマイクロタイタープレートにコートし、D279抗体の反応性を解析したものである。
ペプチドの固相化は、4℃、16時間、1.0×10−16〜1.0×10−6μM/μlの濃度のペプチド溶液を96穴ELISA用プレート(住友ベークライト株式会社製)に添加して行った。ELISA用洗浄バッファー(0.05% Tween−20/PBS)で洗浄後、ELISA用ブロッキングバッファー(10%BSA/0.01×PBS)でブロッキングを行い、再度洗浄した後、精製したD279抗体を添加し、室温で1.5時間静置した。洗浄後、二次抗体としてHRP標識ヤギ抗ウサギIgG(Pierce社製)を添加し、1時間室温で静置した。洗浄した後、O−フェニレンジアミンを用い発色させ、マイクロプレートリーダー(Chameleon、Hidex社製)で測定を行った。
1X10−16μmol/μlという非常に低濃度の検体であっても、D279抗体はD279ペプチドを認識することができる。また、D279抗体はD279ペプチドに非常に特異性が高いこともこの結果から明らかである。したがって、非常に特異性高くD279ペプチドを含むタウ、すなわちADを検出することができる。
以上、示してきたように、D279抗体によれば、タウオパチーのうち、アルツハイマー病を診断することが可能となる。これまで、客観的な指標が得られなかったタウオパチーの診断を感度・精度ともによく検査を行うことが可能となる。

Claims (9)

  1. 検体中のタウタンパク質の279位がアスパラギンであるペプチドには結合せず、279位のアスパラギンがアスパラギン酸に置換しているペプチドに特異的に結合する特異的結合試薬によりアルツハイマー病と、進行性核上性麻痺又は大脳皮質基底核変性症を鑑別する検査方法であって、
    前記特異的結合試薬が279位がアスパラギン酸であるペプチドを免疫原として得られたポリクローナル抗体を
    279位がアスパラギンであるペプチドと混合し
    279位がアスパラギン酸であるペプチドに対して吸着させて精製した抗体であることを特徴とする検査方法。
  2. 前記検体が、
    髄液、血液、脳神経組織、生検組織である請求項1に記載の検査方法。
  3. ELISA、又は免疫組織染色により検出することを特徴とする請求項1又は2記載の検査方法。
  4. アルツハイマー病と、進行性核上性麻痺又は大脳皮質基底核変性症を鑑別する特異的結合試薬であって、
    前記特異的結合試薬が抗体であり、
    タウタンパク質の279位がアスパラギンであるペプチドには結合せず、279位のアスパラギンがアスパラギン酸に置換しているペプチドに対して特異的に結合することを特徴とする特異的結合試薬。
  5. 前記抗体がモノクローナル抗体である請求項4記載の特異的結合試薬。
  6. 前記抗体がポリクローナル抗体を精製して得られたものである請求項4記載の特異的結合試薬。
  7. 請求項4〜6いずれか1項記載の特異的結合試薬と
    検出に必要な試薬を備えていることを特徴とする検査キット。
  8. 前記検出がELISA又は免疫染色によるものであることを特徴とする請求項7記載の検査キット。
  9. 請求項4〜6いずれか1項記載の特異的結合試薬を用いる医薬のスクリーニング方法であって、
    タウタンパク質の279位の脱アミド化を指標としてスクリーニングすることを特徴とする医薬のスクリーニング方法。
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